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平成10(行ウ)57 損害賠償請求事件

裁判所

平成13年12月21日 大阪地方裁判所 住民訴訟

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46,824 文字

主文 1 被告P1,被告P2,被告大日本土木株式会社,被告P3及び被告P4は,東大阪市に対して,連帯して,金5089万2300円及びこれに対する被告P1,被告P2,被告P3及び被告P4については平成10年10月20日から,被告大日本土木株式会社については平成10年10月21日から,支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。3 訴訟費用は原告らに生じた費用の6分の1と被告P5に生じた費用を原告らの負担とし,原告らに生じたその余の費用とその余の被告らに生じた費用については10分の1をその余の被告らの負担とし,10分の9を原告らの負担とする。4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。事実及び理由 第1 請求被告らは,東大阪市に対して,各自,金6億1000万円及びこれに対する被告P5,被告P1,被告P2,被告P3及び被告P4については平成10年10月20日から,被告大日本土木株式会社については平成10年10月21日から,支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。第2 事案の概要本件は,東大阪市が被告大日本土木株式会社(以下「被告会社」という。)に対して発注した「平成7年度公共下水道第2工区管渠築造工事」(以下「本件工事」という)にかかる請負契約(以下「本件工事契約」という。)に関して,本件工事契約が締結されるに先立って行われた入札に際し,被告らによって談合が行われたことにより,東大阪市が損害を被ったと主張して,東大阪市の住民である原告らが,談合にかかわった被告らに対し,地方自治法242条の2第1項4号後段により,東大阪市に代位して,不法行為に基づく損審賠償の支払を求め,また,被告P5に対しては,予備的に,仮に被告P5が上記談合にかかわってい かわった被告らに対し,地方自治法242条の2第1項4号後段により,東大阪市に代位して,不法行為に基づく損審賠償の支払を求め,また,被告P5に対しては,予備的に,仮に被告P5が上記談合にかかわっていなかったとしても,談合の存在を知り又は知り得たにもかかわらず漫然と公金を支出したとして,地方自治法242条の2第1項4号前段に基づき,東大阪市に代位して,不法行為に基づく損害賠償の支払を求めた事案である。 かわった被告らに対し,地方自治法242条の2第1項4号後段により,東大阪市に代位して,不法行為に基づく損審賠償の支払を求め,また,被告P5に対しては,予備的に,仮に被告P5が上記談合にかかわっていなかったとしても,談合の存在を知り又は知り得たにもかかわらず漫然と公金を支出したとして,地方自治法242条の2第1項4号前段に基づき,東大阪市に代位して,不法行為に基づく損害賠償の支払を求めた事案である。1 前提事実(争いのない事実及び証拠から容易に認定できる事実)(1) 当事者ア原告らは,東大阪市民である。イ被告P5は,本件工事契約が締結された当時,東大阪市長の地位にあった者であり,工事契約を締結する権限を有していた(甲5の刑事記録甲48,被告P5本人)。ウ被告P1は,平成3年から平成7年5月まで東大阪市の市長公室長であった者である(甲7の刑事記録甲10)。エ被告P2は,本件工事契約が締結された当時,土木建築等を目的とする株式会社田中組(以下「田中組」という。)の代表取締役であった者である(甲4の刑事記録甲24)。オ被告大日本土木株式会社(以下「被告会社」という。)は,土木建築業工事等を目的とする株式会社である(甲4の刑事記録甲25)。カ被告P3は,本件工事契約が締結された当時,被告会社の大阪支店土木営業部長の地位にあった者である(甲4の刑事記録甲25,甲7の刑事記録乙1)。キ被告P4は,本件工事契約が締結された当時,被告会社の大阪支店副支店長の地位にあった者である(甲4の刑事記録甲25,甲7の刑事記録乙12)。(2) 東大阪市の入札制度(甲4の刑事記録甲3,甲5の刑事記録甲37,甲5の刑事記録甲41,甲5の刑事記録甲42)ア起工書の作成東大阪市では,公共工事が行われる場合,まず,各関係部署において,公共工事 阪市の入札制度(甲4の刑事記録甲3,甲5の刑事記録甲37,甲5の刑事記録甲41,甲5の刑事記録甲42)ア起工書の作成東大阪市では,公共工事が行われる場合,まず,各関係部署において,公共工事の原案が作成,計画され,各関係部署において,工事の設計を民間のコンサルタントに依頼する。設計書等ができあがった時点で,各関係部署において,工事価格の積算を行って,工事内訳書に工事価格を記入する。工事価格の合計に消費税を足した価格が設計金額となる。各関係部署の検査室の検査を受け,工事起工書を作成し,各工事の規模に応じて決済を受けた後,総務部調度課に工事起工書が送付される。 各関係部署において,公共工事の原案が作成,計画され,各関係部署において,工事の設計を民間のコンサルタントに依頼する。設計書等ができあがった時点で,各関係部署において,工事価格の積算を行って,工事内訳書に工事価格を記入する。工事価格の合計に消費税を足した価格が設計金額となる。各関係部署の検査室の検査を受け,工事起工書を作成し,各工事の規模に応じて決済を受けた後,総務部調度課に工事起工書が送付される。イ指名業者選定作業総務部調度課において,東大阪市建設工事指名選定要項に従って指名業者の選定が行われる。本件工事のように発注予定金額が3億円以上10億円未満の工事については,12社以上の指名業者を指名しなければならないと定められている。また,各公共工事の種類ごとに,発注工事金額により,指名業者の指名格付がなされており,下水道工事等土木一式工事については,工事価格が3億5000万円を超える工事についてはAランクの指名業者を指名することになっている。当時,Aランクの指名業者は250社が登録されていた。調度課長は,工事関係部署と打合せをして,指名業者を選定し,指名原案を作成する。本件では,Aランクの業者として登録されている業者の中から16社が指名業者として選ばれ,指名原案が作成された。ウ指名業者の決定指名原案作成後,東大阪市建設工事業者審査委員会(以下「審査委員会」という。)の審査を受け,市長の決裁を終えた時点で指名業者が決定される。もっとも,実際には,秘書課を通じて,調度課課長が作成した指名原案について,事前に指名業者決定権者である市長の事実上の了承を得たうえで,審査 審査を受け,市長の決裁を終えた時点で指名業者が決定される。もっとも,実際には,秘書課を通じて,調度課課長が作成した指名原案について,事前に指名業者決定権者である市長の事実上の了承を得たうえで,審査委員会の審査を受けるという手続になっていた。エ指名業者の通知指名業者が決定されると,調度課から各指名業者に対し,電話により,現場説明の日時,場所が連絡される。工事内容については一切通知されない。オ現場説明現場説明では,指名業者に対し,入札用紙2部と設計図,仕様書,単価抜設計書(金抜き設計書)などが配布され,入札日,入札場所,工事内容と入札一般事項等の説明が関係各部署の担当者から行われる。なお,本件においては,現場説明は,指名業者を個別に一社ずつ呼んで資料を配付し,工事内容を伝えるという,個別資料配付方式によって行われていた。 明の日時,場所が連絡される。工事内容については一切通知されない。オ現場説明現場説明では,指名業者に対し,入札用紙2部と設計図,仕様書,単価抜設計書(金抜き設計書)などが配布され,入札日,入札場所,工事内容と入札一般事項等の説明が関係各部署の担当者から行われる。なお,本件においては,現場説明は,指名業者を個別に一社ずつ呼んで資料を配付し,工事内容を伝えるという,個別資料配付方式によって行われていた。カ予定価格調書の作成入札書比較価格とは,当該入札の上限価格をいう。工事価格は,物品の定価を基にして計算されており,実際は定価よりも安い価格で購入できることから,工事価格から通常2,3パーセントを引いた価格を実勢価格として入札書比較価格を計算し,これに消費税相当額を足した価格を予定価格としている。当時の東大阪市では,工事価格から0パーセント,1.6パーセント,1.9パーセント,2.4パーセント,2.7パーセントを引いて5とおりの入札書比較価格の原案を算出し,それぞれに消費税相当額を足して5とおりの予定価格の原案を作成し,5とおりの原案のうちから決定権者が入札書比較価格及び予定価格を決定していた。限定価格入札書比較価格とは,当該入札の下限の価格をいう。限定価格入札書比較価格に消費税相当額を加えた額を限定価格という。一定の価格以下で落札契約をすれば,工事に手抜き等が生じることが必至であることから,最低価格が 較価格とは,当該入札の下限の価格をいう。限定価格入札書比較価格に消費税相当額を加えた額を限定価格という。一定の価格以下で落札契約をすれば,工事に手抜き等が生じることが必至であることから,最低価格が決定されているのである。当時の東大阪市では,工事価格から現場管理費の80パーセントの額及び一般管理費の全額の合計額を引いたものが限定価格入札書比較価格とされており,これに消費税相当額を加えたものが限定価格とされていた。各指名業者らは,入札の際,消費税相当額を抜いた額を記入して入札するので,入札書比較価格を超えた価格で入札するか,限定価格入札書比較価格を下回る価格を入札すると失格となり,入札書比較価格と限定価格入札書比較価格との間で落札することになっている。決裁権限者は,入札日までに,調度課長及び調度係長の助言を受けて,予定価格,入札書比較価格,限定価格及び限定価格入札書比較価格を設定して予定価格調書を作成し,その場で封書に入れて封印し,入札日まで保管することになっている。 するので,入札書比較価格を超えた価格で入札するか,限定価格入札書比較価格を下回る価格を入札すると失格となり,入札書比較価格と限定価格入札書比較価格との間で落札することになっている。決裁権限者は,入札日までに,調度課長及び調度係長の助言を受けて,予定価格,入札書比較価格,限定価格及び限定価格入札書比較価格を設定して予定価格調書を作成し,その場で封書に入れて封印し,入札日まで保管することになっている。キ入札入札者(指名業者)は,消費税を抜いた工事請負金額を入札用紙に記入し,入札箱に投かんする。全員が投かん後,調度課の係員が開票するとともに,封印されていた予定価格調書を開封し,入札書比較価格と限定価格入札書比較価格との間で一番低い工事請負金額を記入した入札者が落札することになる。仮に,入札書比較価格と限定価格入札書比較価格との間の価格で入札した指名業者がなければ,再入札をすることになる。その際,第1回の入札で限定価格入札書比較価格以下で入札した業者は,再入札には参加できないとされている。ク契約の締結入札後に落札者と仮契約が締結され,その後,予定価格が2億円以上の場合は,東大阪市議会に上程され,議会の承認を得た後に,正式に契約が締結される。(3) 本件 できないとされている。ク契約の締結入札後に落札者と仮契約が締結され,その後,予定価格が2億円以上の場合は,東大阪市議会に上程され,議会の承認を得た後に,正式に契約が締結される。(3) 本件工事契約締結の経緯ア起工書の作成(甲5の刑事記録甲41)建設第2課は,平成7年8月20日ころ,本件工事の起工書を作成して市長である被告P5の決裁を受け,調度課に送付した。本件工事の工事価格は,6億2824万2000円,設計金額は6億4708万9260円であった。イ指名業者の選定(ア) 当時の東大阪市の助役であったP6(以下「P6助役」という。)は,平成7年8月中旬ころ,東大阪市総務部調度課課長P7(以下「P7課長」という。)に対し,本件工事の指名業者に株式会社森本組(以下「森本組」という。)を加えるよう依頼した(甲5の刑事記録甲37,甲5の刑事記録甲44)。被告P1は,東大阪市長公室秘書課の課長代理P8に対し,平成7年6月ころ,本件工事に関し,森本組が落札するという談合情報があり,P6助役が絡んでいるようだが,そのような話に巻き込まれないように忠告しておくようにとの連絡をした(甲5の刑事記録甲38,甲6の刑事記録甲64)。 ,本件工事の指名業者に株式会社森本組(以下「森本組」という。)を加えるよう依頼した(甲5の刑事記録甲37,甲5の刑事記録甲44)。被告P1は,東大阪市長公室秘書課の課長代理P8に対し,平成7年6月ころ,本件工事に関し,森本組が落札するという談合情報があり,P6助役が絡んでいるようだが,そのような話に巻き込まれないように忠告しておくようにとの連絡をした(甲5の刑事記録甲38,甲6の刑事記録甲64)。(イ) 被告会社は,かねてより本件工事を落札することを強く希望していたことから,被告P3は,株式会社銭高組を通じて,同会社の下請業者であり,かつ,東大阪市の公共工事の受注に影響力があると言われていた田中組の代表取締役である被告P2を紹介してもらった。そして,被告P3は,被告P2に対し,平成7年6月ころ,被告会社が本件工事の入札に参加できるようだれか頼んでくれるよう依頼をし,被告P2はこれを了承した(甲6の刑事記録甲63,甲7の刑事記録乙2及び3,甲15の2)。ところで被告P2と被告P1の妻とは子供のころからの の入札に参加できるようだれか頼んでくれるよう依頼をし,被告P2はこれを了承した(甲6の刑事記録甲63,甲7の刑事記録乙2及び3,甲15の2)。ところで被告P2と被告P1の妻とは子供のころからの知り合いであり,被告P1が東大阪市市長公室長に就任したことから,被告P2は被告P1に対し,東大阪市の発注に係る土木工事につき,田中組を入札参加業者として指名選定してほしい旨依頼し,被告P1がこれに応じて,田中組のために便宜を図るなど互いに親しく交際していた(甲15の1)。そこで,被告P2は,被告P1に対し,平成7年7月中旬ころ,本件工事の入札の指名業者に被告会社が選定されるようにしてほしいと依頼し,被告P1はこれを承諾した。その際,被告P1は,被告P2に対し,森本組が本件工事を落札しようとして働きかけを行っていることを伝えた(甲6の刑事記録甲63及び64,甲16の2ないし4)。被告P2から上記森本組の動向を聞いた被告P3は,森本組が入札に参加すれば,被告会社が落札することができない可能性があると考え,被告P2に対し,本件工事の入札に森本組が参加できないようにすることが可能かどうか尋ねたところ,被告P2は,森本組を指名業者の選定から除外して本件工事を落札しようとするなら,本件工事の落札価格の3パーセントの金員が必要である旨を述べた(甲6の刑事記録甲63,甲7の刑事記録乙3)。 P2から上記森本組の動向を聞いた被告P3は,森本組が入札に参加すれば,被告会社が落札することができない可能性があると考え,被告P2に対し,本件工事の入札に森本組が参加できないようにすることが可能かどうか尋ねたところ,被告P2は,森本組を指名業者の選定から除外して本件工事を落札しようとするなら,本件工事の落札価格の3パーセントの金員が必要である旨を述べた(甲6の刑事記録甲63,甲7の刑事記録乙3)。被告P3は,上司である被告P4から,落札した際には落札価格の3パーセントを支払うという条件で,本件工事の指名業者の選定から森本組を除外してもらい,被告会社が落札することができるようにしてもらうことについて了解を得た(甲7の刑事記録乙4)被告P3は,被告P2に対し,平成7年8月上旬ころ,被告会社が本件工事を落札することができたら落札価格の3パーセントに相当する金員を るようにしてもらうことについて了解を得た(甲7の刑事記録乙4)被告P3は,被告P2に対し,平成7年8月上旬ころ,被告会社が本件工事を落札することができたら落札価格の3パーセントに相当する金員を支払うとの条件を承諾することを伝えて,森本組を指名業者の選定から除外してもらうことを依頼し,被告P2はこれを承諾した(甲6の刑事記録甲63,甲7の刑事記録乙4)。被告P2は,被告P1に対し,平成7年8月20日ころ,本件工事に関し,森本組が本件工事の指名業者に選定されると被告会社が落札できない可能性があるので森本組を指名業者の選定から除外するよう依頼し,被告P1はこれを承諾した(甲6の刑事記録甲63,甲6の刑事記録甲64)。(ウ) 被告P1は,P8に対し,平成7年8月下旬ころ,本件工事の指名業者の選定に被告会社を加えること,森本組については談合のうわさがあるから指名業者の選定から除外するようにP7課長に伝えてくれと言った(甲5の刑事記録甲38,甲6の刑事記録甲64)。P8は,P7課長に対し,平成7年8月20日過ぎ,本件工事の指名業者の選定に被告会社を加えること及び森本組を指名業者の選定から除外することを要請した(甲5の刑事記録甲37,甲5の刑事記録甲38)。(エ) P7課長及びP8課長代理は,平成7年9月初旬ころ,P6助役に対し,森本組には談合の情報があり,上の方から指名するなとの指示が来ているとして森本組を指名業者には選定できないことを説明した。 録甲64)。P8は,P7課長に対し,平成7年8月20日過ぎ,本件工事の指名業者の選定に被告会社を加えること及び森本組を指名業者の選定から除外することを要請した(甲5の刑事記録甲37,甲5の刑事記録甲38)。(エ) P7課長及びP8課長代理は,平成7年9月初旬ころ,P6助役に対し,森本組には談合の情報があり,上の方から指名するなとの指示が来ているとして森本組を指名業者には選定できないことを説明した。これに対してP6助役は特に何も言わなかった(甲5の刑事記録甲37)。(オ) P7課長,いずれも調度課の職員であるP9主幹,P10課長代理,P11主査,P12主査は,平成7年9月上旬ころ,本件工事の指名業者の選定会議を開いた。選定会議のたたき台となる素案はP11主査が作成しており,同素案では, 課の職員であるP9主幹,P10課長代理,P11主査,P12主査は,平成7年9月上旬ころ,本件工事の指名業者の選定会議を開いた。選定会議のたたき台となる素案はP11主査が作成しており,同素案では,森本組が指名業者として入っていた。P7課長は,秘書課からの情報で森本組には談合のうわさがあるので外そうと述べ,森本組は指名業者の原案から外された。また,P7課長は,P8から被告会社を指名業者に加えるよう要請されていたが,P11主査が作成した素案にもともと被告会社が加えられていたので特に何も言わなかった。その結果,被告会社を含めた16社を指名業者とする指名原案が作成された。その後,P7課長は,この原案をもとに総務部長,総務部次長,助役,市長の被告P5に説明に回り,決裁権者である被告P5から事実上の了承を得てから,指名原案が審査委員会に上程された(甲5の刑事記録申37,甲5の刑事記録甲39ないし42)。(カ) 平成7年9月8日,審査委員会が開催され,調度課が作成した指名原案どおりの内容で決議され,決裁段階においても修正されることなく,指名原案どおり指名業者が選定された(甲5の刑事記録甲37)。ウ現場説明会指名業者が決定したことを受けて,直ちに調度課の職員が,各指名業者に対し,現場説明会の日程を連絡した。そして,平成7年9月11日,現場説明会が行われ,金額の部分が空白となった設計書等が手渡されるとともに,入札日(平成7年9月26日)が連絡された。なお,このときの現場説明会は,個別資料配付方式によって行われている(甲5の刑事記録甲37)。 どおり指名業者が選定された(甲5の刑事記録甲37)。ウ現場説明会指名業者が決定したことを受けて,直ちに調度課の職員が,各指名業者に対し,現場説明会の日程を連絡した。そして,平成7年9月11日,現場説明会が行われ,金額の部分が空白となった設計書等が手渡されるとともに,入札日(平成7年9月26日)が連絡された。なお,このときの現場説明会は,個別資料配付方式によって行われている(甲5の刑事記録甲37)。エ予定価格調書の作成P7課長及びP11主査は,入札日の4,5日前に,予定価格及び限定価格の原案を作成した。その後,P7課長及びP11主査が予定価格の原案をもって市長の被告P5のところへ行き,本件工事 価格調書の作成P7課長及びP11主査は,入札日の4,5日前に,予定価格及び限定価格の原案を作成した。その後,P7課長及びP11主査が予定価格の原案をもって市長の被告P5のところへ行き,本件工事の予定価格が6億3155万8920円,限定価格が5億0374万3130円,入札書比較価格が6億1316万4000円,限定価格入札書比較価格が4億8907万1000円と決定された(甲5の刑事記録甲37)。オ落札価格の調査被告P3は,被告P2に対し,平成7年9月中旬ころ,被告会社以外の指名業者を教えてもらえないかと尋ねてきた(甲6の刑事記録甲63,甲7の刑事記録乙5)。そこで,被告P2は,被告P1に対し,本件工事の指名業者に選ばれた被告会社以外の会社を調べて教えてほしい旨を依頼したところ,被告P1は,P8から本件工事の指名業者16社を聞いてこれを被告P2に教え,被告P2は被告P3にこれを伝えた(甲6の刑事記録甲63及び64,甲7の刑事記録乙5)。被告P3は,被告P4と相談したうえで,被告P2に対し,平成7年9月下旬ころ,本件工事についての被告会社の見積額を述べて,この価格で本件工事が落札できるかどうか調べてもらうことを依頼し,被告P2はこれを承諾した(甲6の刑事記録甲63,甲7の刑事記録乙5)。そこで,被告P2は,被告P1に対し,本件工事をどの程度の価格で落札できるのか調べてもらうよう依頼し,その後,被告P1は,被告P2に対し,6億1000万円で落札することができる旨伝え,被告P2は,被告P3に対し,その旨を伝えた(甲6の刑事記録甲63,甲7の刑事記録乙6)。カ入札平成7年9月26日,本件工事に関する入札が実施され,被告会社が6億1000万円で落札した。 記録甲63,甲7の刑事記録乙5)。そこで,被告P2は,被告P1に対し,本件工事をどの程度の価格で落札できるのか調べてもらうよう依頼し,その後,被告P1は,被告P2に対し,6億1000万円で落札することができる旨伝え,被告P2は,被告P3に対し,その旨を伝えた(甲6の刑事記録甲63,甲7の刑事記録乙6)。カ入札平成7年9月26日,本件工事に関する入札が実施され,被告会社が6億1000万円で落札した。ほかの指名業者はいずれもその入札価格が入札書比較価格を超えていたため失格と の刑事記録乙6)。カ入札平成7年9月26日,本件工事に関する入札が実施され,被告会社が6億1000万円で落札した。ほかの指名業者はいずれもその入札価格が入札書比較価格を超えていたため失格となっている(甲5の刑事記録甲37)。キその後の経緯被告会社は,被告P2に対し,本件工事を落札することができた謝礼として1800万円を支払い,同1800万円は最終的には本件工事に係る地域における工事について影響力を有するとされる山口組系暴力団である奥浦組に支払われた。なお,この1800万円は,被告会社の下請業者である山本土木株式会社が用立てた(甲6の刑事記録甲55及び56,甲6の刑事記録甲58ないし61,甲6の刑事記録甲63,甲6の刑事記録甲65)。(4) 監査請求(甲1,2の1)原告らは,東大阪市監査委員に対し,平成10年7月3日,本件工事にかかる入札について談合を行った談合業者に対し東大阪市に契約代金全額を返還させること,東大阪市の幹部職員などに対する損害賠償請求等適切な措置をとることなどを求めて住民監査請求をしたが,同監査委員は,平成10年8月28日,原告らの監査請求を棄却した。2 争点2-1 本案前の争点適法な監査請求を経ているか。2-2 本案の争点(1) 本件契約の違法性(2) 責任の有無(3) 損害3-1 本案前の争点についての当事者の主張(1) 監査請求期間を徒過した監査請求であること(被告らの主張)本件工事契約は,平成7年10月26日,東大阪市と被告会社との間で締結されており,本件監査請求がなされたのは本件工事契約から2年8月経過した平成10年7月3日であるから,本件監査請求は,「当該行為のあった日又は終わった日から1年」という監査請求期間を徒過しており,適法な監査請求を前置していないから,本件訴え の争点についての当事者の主張(1) 監査請求期間を徒過した監査請求であること(被告らの主張)本件工事契約は,平成7年10月26日,東大阪市と被告会社との間で締結されており,本件監査請求がなされたのは本件工事契約から2年8月経過した平成10年7月3日であるから,本件監査請求は,「当該行為のあった日又は終わった日から1年」という監査請求期間を徒過しており,適法な監査請求を前置していないから,本件訴え 事契約から2年8月経過した平成10年7月3日であるから,本件監査請求は,「当該行為のあった日又は終わった日から1年」という監査請求期間を徒過しており,適法な監査請求を前置していないから,本件訴えは不適法である。(2)監査請求期間を徒過したことにつき「正当な理由」がないこと(被告P5・P1・P2の主張)本件工事の入札結果は,東大阪市議会に提出されており,市議会の議決を得て,本件請負契約が締結されており,さらに本件入札の結果は一般市民に公開されているから,だれでも入札の結果を知ることができる状態になっていたといえる。したがって,監査請求期間を徒過したことにつき「正当な理由」は認められない。(被告会社・同P3・同P4の主張)ア地方自治法242条2項但書にいうところの「正当な理由」が認められるには,当該行為が秘密裡に行われたことが必要であるところ,東大阪市においては,設計金額が2億円以上の公共工事については,東大阪市議会の議決を経ることになっており,本件工事の入札結果についても市議会の議決を経たうえで本件工事契約が締結されており,また,東大阪市では,公共工事の指名競争入札に関しては,落札後の3か月間,同市役所の調度課に「入札結果調書」の写しを編綴した台帳を備え付けることになっており,広く一般市民の閲覧に供されている。そして入札結果調書には,落札業者名,落札価格及び指名入札業者各社の入札状況が克明に記載されているのであるから,本件工事契約の締結行為は東大阪市の住民にとって秘密裡に行われたのではないから,本件監査請求が監査請求期間を徒過して行われたことにつき,「正当な理由」はない。イ仮に本件工事が秘密裡に行われたものであるとしても,住民が入札結果調書を閲覧するなどの方法により,相当の注意力をもって調査すれば,平成7年12月末ころまで たことにつき,「正当な理由」はない。イ仮に本件工事が秘密裡に行われたものであるとしても,住民が入札結果調書を閲覧するなどの方法により,相当の注意力をもって調査すれば,平成7年12月末ころまでには,本件工事契約の違法性及び不当性を疑わせるに足りる事実を知ることができたのである。 ものであるとしても,住民が入札結果調書を閲覧するなどの方法により,相当の注意力をもって調査すれば,平成7年12月末ころまで たことにつき,「正当な理由」はない。イ仮に本件工事が秘密裡に行われたものであるとしても,住民が入札結果調書を閲覧するなどの方法により,相当の注意力をもって調査すれば,平成7年12月末ころまでには,本件工事契約の違法性及び不当性を疑わせるに足りる事実を知ることができたのである。ウ仮に,上記入札結果調書を閲覧することによっては,本件工事契約の違法性及び不当性を疑わせるに足りる事実を知ることができなかったとしても,本件工事契約締結の前提となる本件入札について,朝日新聞は,平成10年4月23日の夕刊で,「下水道工事談合疑惑予定価格漏らす?」との見出しのもと,東大阪市が平成7年度に発注した同市α内の公共下水道工事の入札に絡み,予定価格が事前に落札業者に漏れていた疑惑があること,平成7年9月下旬に指名業者16社全社が参加して入札が実施されたこと,岐阜市内にある中堅ゼネコンが6億1000万円で落札したことなどが報道されている。また,同種の記事が,平成10年4月24日発行の毎日新聞の夕刊にも記載されていた。かかる新聞報道に加えて,平成10年3月中旬ころから,被告P5にまつわる各種の不正疑惑が新聞報道で取りざたされていたことを合わせて考慮すれば,遅くとも平成10年4月24日までには,住民において相当の注意力をもって調査すれば,本件工事契約について原告らが主張する何らかの違法性及び不当性を疑わせるに足りる事実を知ることができたことは明らかである。原告らは,遅くとも平成10年6月24日までに監査請求を容易になし得たであろうから,本件監査請求が監査請求期間を徒過したことについて「正当な理由」はない。(原告らの主張)ア本件では,工事契約締結行為自体は秘密裡に行われていないかもしれないが,契約の前提となる入札に際して,談合が行われていたことは住民に 徒過したことについて「正当な理由」はない。(原告らの主張)ア本件では,工事契約締結行為自体は秘密裡に行われていないかもしれないが,契約の前提となる入札に際して,談合が行われていたことは住民にとっては到底知り得ることではなかったのであるから,本件工事契約締結行為の違法性及び不当性を疑わせるに足りる事実すなわち談合の事実を知ることができたと解されるときから相当な期間経過内に監査請求をすれば,「正当な理由」が認められるべきである。 理由」はない。(原告らの主張)ア本件では,工事契約締結行為自体は秘密裡に行われていないかもしれないが,契約の前提となる入札に際して,談合が行われていたことは住民にとっては到底知り得ることではなかったのであるから,本件工事契約締結行為の違法性及び不当性を疑わせるに足りる事実すなわち談合の事実を知ることができたと解されるときから相当な期間経過内に監査請求をすれば,「正当な理由」が認められるべきである。イ被告P1が,本件工事の談合に関して逮捕されたのは平成10年6月3日であり,本件監査請求がなされたのは,平成10年7月3日である。談合は本来的に秘密裡に行われること,本件談合は東大阪市が積極約に関与して行われた官製談合ともいうべきものであり,蜜行性が極めて高かったこと,東大阪市では情報公開条例が存在しなかったため,住民が市の行為を知ることができる機会が極めて限定していたことを考えると,住民が相当の注意力をもって調査したときに客観的にみて本件工事の談合行為を知ることができたのは,被告P1が逮捕された平成10年6月3日である。原告らは,被告P1が逮捕された日から30日後に本件監査請求を行っており,本件工事契約が違法であることを知り得たときから相当な期間内に監査請求を行っている。ウ被告らは,平成10年4月23日の朝日新聞の夕刊の報道により,本件工事契約の存在及びその内容を知ることができたと主張しているが,同新聞記事には,落札した業者名も,入札に参加した業者名も記載されておらず,また,予定価格を漏らしたとされる元市幹部の名前も特定されていないのであるから,住民が監査請求をすることができる程度に本件工事の違法性を基礎付ける事実が明らかになっているとはいえない。また,同記事は,十分な根拠のある記事かどうかも明らか 部の名前も特定されていないのであるから,住民が監査請求をすることができる程度に本件工事の違法性を基礎付ける事実が明らかになっているとはいえない。また,同記事は,十分な根拠のある記事かどうかも明らかではない。よって,同新聞記事だけで,住民に対し,監査請求を提起することを要求することはできないというべきである。エまた,被告らは,上記新聞報道に加えて,平成10年3月中旬ころから,被告P5にまつわる各種の不正疑惑が新聞報道で取りざたされていたことを合わせて考慮すれば,平成10年4月末ころには,本件工事契約が違法であることを知り得たと主張するが,この当時主に問題にされていたのは,被告P5の愛人の住民票が移動されていた問題などであり,本件工事の談合について住民が監査請求をすることができるような問題ではなかった。 エまた,被告らは,上記新聞報道に加えて,平成10年3月中旬ころから,被告P5にまつわる各種の不正疑惑が新聞報道で取りざたされていたことを合わせて考慮すれば,平成10年4月末ころには,本件工事契約が違法であることを知り得たと主張するが,この当時主に問題にされていたのは,被告P5の愛人の住民票が移動されていた問題などであり,本件工事の談合について住民が監査請求をすることができるような問題ではなかった。オ結論したがって,本件においては,監査請求期間を徒過したことについて正当な理由があるから,本件訴えは適法である。3-2 本案の争点に対する当事者の主張(1) 本件契約の違法性について(原告らの主張)ア被告会社は,本件工事を落札するため,被告会社の大阪支店土木営業部長であった被告P3において,被告P2に対し,被告会社が本件工事を落札できるよう協力を依頼した。被告P3から依頼を受けた被告P2は,被告P1に対し,上記依頼があったことを伝え,被告P1は,被告P5と共謀のうえ,被告P2と連絡を取りあって,被告会社に本件工事を落札させるための談合工作を行うこととなった。そして,被告らは,ほかの入札参加業者15社の入札担当者に対し,本件工事は被告会社が落札することを伝え,ほかの業者は入札書比較価格を超える額で入札することを合意し,その結果,被告会社が計画どおり入札書比較価格をぎりぎり下回る価格で落札し,本件工事契約を締結したのである。告会社が落札することを伝え,ほかの業者は入札書比較価格を超える額で入札することを合意し,その結果,被告会社が計画どおり入札書比較価格をぎりぎり下回る価格で落札し,本件工事契約を締結したのである。イ入札指名及び予定価格情報入手は,談合のための準備行為であり,入札指名及び入札予定価格情報を入手しても談合を行ったうえで落札しなければ意味がない。また,談合がなされなければ,予定価格のほぼ上限で落札することは期待できないのであるから,本件において談合が行われたことは明らかである。ウ被告らは,刑事事件において談合罪で立件されなかったことを強調するが,競売入札妨害罪で立件された場合,これに重ねて談合罪についても立件する必要は必ずしもないのであるから,談合が行われなかったことの理由とはならないし,被告らの主張は,刑事事件にさえならなければ違法行為が存在しなかったと主張しているに等しく,そのような論法が誤りであることは明らかである。 ,本件において談合が行われたことは明らかである。ウ被告らは,刑事事件において談合罪で立件されなかったことを強調するが,競売入札妨害罪で立件された場合,これに重ねて談合罪についても立件する必要は必ずしもないのであるから,談合が行われなかったことの理由とはならないし,被告らの主張は,刑事事件にさえならなければ違法行為が存在しなかったと主張しているに等しく,そのような論法が誤りであることは明らかである。(被告会社・P3・P4の主張)ア本件工事の入札にかかる刑事裁判においては,談合罪ではなく,競売入札妨害罪の成立が認定されたに止まっており,刑事事件において,被告らの行為が談合と評価されたり,刑事事件として起訴されていない以上,違法な談合が存在したと考える余地はない。イまた,談合罪は,公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的の存在を要件とする目的犯であるところ,本件工事にかかる入札過程において,そのような事実は一切認定されておらず,また,刑事手続においてもそのような観点からの検討はなされていないのであるから,原告らの主張は失当である。ウ本件工事は,東大阪市において行政計画上必要不可欠なものとの判断によりその起工が決定され,建設局下水道部設計課職員の積算によって算出された6億2824万2000円という工事価格に は失当である。ウ本件工事は,東大阪市において行政計画上必要不可欠なものとの判断によりその起工が決定され,建設局下水道部設計課職員の積算によって算出された6億2824万2000円という工事価格に基づいて決定された入札書比較価格以下の6億1000万円で契約が締結されたのであり,金額的にも妥当である。したがって,本件工事契約締結自体にはこれを無効とすべき違法性はない。(被告P5・P1・P2の主張)否認する。(2) 責任(原告らの主張)ア被告P5の責任について(ア) 主位的請求被告P5は,ほかの被告らと共謀し,本件工事の入札に際して談合を行って,被告会社に不当な高額で落札させ,東大阪市に対して損害を与えた。したがって,被告P5は,他の被告らとともに東大阪市に対して共同不法行為を行った者として,損害賠償責任を負っている。(イ) 予備的主張被告P5は,当時,東大阪市長として,職員を監督し,違法行為があればこれを是正すべき職務上の義務を負っており,かつ,本件公金の支出権限を有していたところ,被告P5は,本件契約に関して違法行為が行われていることを知っていた場合はもちろん,違法行為が行われている疑いがある場合には,これを調査し,是正する義務があったにも拘わらず,ほかの被告らによる違法行為を知りながら,漫然と被告会社と契約を締結し,本件公金の支出を行ったものである。 として,職員を監督し,違法行為があればこれを是正すべき職務上の義務を負っており,かつ,本件公金の支出権限を有していたところ,被告P5は,本件契約に関して違法行為が行われていることを知っていた場合はもちろん,違法行為が行われている疑いがある場合には,これを調査し,是正する義務があったにも拘わらず,ほかの被告らによる違法行為を知りながら,漫然と被告会社と契約を締結し,本件公金の支出を行ったものである。被告P1が市を退職してからも,被告P5の側近の地位を利用して,市の職員に対し不法な影響力を行使し,談合などに関与し続けていたことは公共工事に関与する市の職員及び業者の間では広く知られていた。被告P5だけがこのことを全く知らなかったとは到底考えられないのであり,被告P5は,少なくとも本件工事において被告P1を中心として談合が行われていたことを知っていたことは明らかである。知られていた。被告P5だけがこのことを全く知らなかったとは到底考えられないのであり,被告P5は,少なくとも本件工事において被告P1を中心として談合が行われていたことを知っていたことは明らかである。仮に,被告P5が本件工事に関して談合が行われていることを知らなかったとしても,長期にわたって市の職員はすべて被告P1の違法行為を知りながらこれに関与していたというのであるから,被告P5としても,談合が行われていることを容易に知り得る状況であったのである。被告P5は,公共工事に関して違法行為が行われていることを容易に知り得る状況にありながら,注意義務を尽くさず,漫然と工事契約を締結し公金の支出を行っていたものであって,責任を免れることはできない。イ被告P5以外の各被告について被告P5以外の被告らはいずれも,共謀して,本件入札に際して談合を行い,その結果本件工事を被告会社に不当な高値で落札させ,東大阪市に損害を与えた。したがって,被告P5以外の被告らは,ほかの被告らとともに東大阪市に対して共同不法行為を行った者として,損害賠償責任を負っている。(被告らの主張)否認する。(被告P1・被告P2の主張)被告P1・被告P2は,東大阪市から損害賠償を請求されるような違法性を認識していなかった。(被告P5の主張)仮に本件工事の入札に関して違法行為が行われていたとしても,被告P5は,本件の入札において違法行為が行われていたことを知らなかったし,本件工事の入札に関して違法行為が行われることを予見することができなかったのであるから,被告P5には故意又は過失が存しない。 )否認する。(被告P1・被告P2の主張)被告P1・被告P2は,東大阪市から損害賠償を請求されるような違法性を認識していなかった。(被告P5の主張)仮に本件工事の入札に関して違法行為が行われていたとしても,被告P5は,本件の入札において違法行為が行われていたことを知らなかったし,本件工事の入札に関して違法行為が行われることを予見することができなかったのであるから,被告P5には故意又は過失が存しない。(被告P3の主張)被告P3は,被告会社の単なる従業員にすぎず,本件工事契約の当事者ではないから,被告P3個人に対して損害賠償請求をするのは不当である。(3) 損害(原 意又は過失が存しない。(被告P3の主張)被告P3は,被告会社の単なる従業員にすぎず,本件工事契約の当事者ではないから,被告P3個人に対して損害賠償請求をするのは不当である。(3) 損害(原告らの主張)ア主位的主張(契約代金全額が損害であること)(ア) 地方自治法施行令167条の6第2項は,一般競争入札の公告について,「普通地方公共団体の長は,前項の公告において,・・・入札に関する条件に違反した入札は無効とする旨を明らかにしておかなければならない」と規定しており,指名競争入札についても,同令167条の12第2項は,参加者の指名にあたって,「・・・普通地方公共団体の長は,入札の場所及び日時その他入札について必要な事項をその指名する者に通知しなければならない」と定め,同条3項で「167条の6第2項の規定は,前項の場合にこれを準用する」とされている。したがって,被告会社を含む入札に参加した業者らは,談合をすれば契約自体が無効とされることは十分に覚悟のうえで談合に及んだのであるから,本件契約は契約が公序良俗違反かどうかを検討するまでもなく無効であると解すべきである。また,本件工事契約は,被告らの犯罪行為を前提とする契約であって,公序良俗に著しく反するから,無効である。以上のとおり本件工事契約は無効であるから,本件契約に基づいて被告会社に対して支払われた6億1000万円全額に相当する損害を東大阪市が被ったというべきである。(イ) 本件においては,談合が行われたからこそ,東大阪市は被告会社と契約を締結し,その結果,本件契約金額全額が支払われたのであり,談合が行われなければ東大阪市は被告会社と契約を締結することはなく,したがって工事代金が支払われることもなかったのであるから,本件工事代金全額が損害となる。 ,本件契約に基づいて被告会社に対して支払われた6億1000万円全額に相当する損害を東大阪市が被ったというべきである。(イ) 本件においては,談合が行われたからこそ,東大阪市は被告会社と契約を締結し,その結果,本件契約金額全額が支払われたのであり,談合が行われなければ東大阪市は被告会社と契約を締結することはなく,したがって工事代金が支払われることもなかったのであるから,本件工事代金全額が損害となる。(ウ) 被告らは,東大阪市 れたのであり,談合が行われなければ東大阪市は被告会社と契約を締結することはなく,したがって工事代金が支払われることもなかったのであるから,本件工事代金全額が損害となる。(ウ) 被告らは,東大阪市が本件工事の成果物を受け取ったことを理由に損害がないと主張しているが,かかる主張は損益相殺の主張であり,被告らの側に対価物の価格について主張立証責任があるというべきであり,これについては被告らは一切主張立証していないのであるから,6億1000万円全額が損害として認定されるべきである。イ予備的主張(ア) 入札制度は,入札に参加する業者の間で価格を競わせることにより適正な契約価格を形成することを目的とする制度であるところ,被告らの談合行為によって適正な契約価格の形成が阻害されたことは明らかである。そして,適正な契約価格とは,公正な入札がなされた場合に形成される価格であるから,被告らの談合行為によって東大阪市が被った損害額は,本件契約における代金額と被告らの談合行為がなく,公正な入札がなされた場合に形成されていたであろう本件工事の代金額との差額であると解すべきである。東大阪市における平成7年度における入札価格5000万円以上の公共下水道工事の落札結果をみると,落札率が95パーセントを超えるものが圧倒的に多く,86パーセント台から94パーセント台のものは存在せず,85パーセント台以下のものは77パーセントを中心に存在する。このように統計結果によれば,落札率の分布に2つの山があり,落札率が2分している理由は談合の有無以外に考えられない。すなわち,落札率が95パーセントを超えるケースは談合が行われていた結果であり,85パーセント台以下のケースは談合が行われなかった結果である。そして,東大阪市の平成7年度の入札64件のうち,談合が行われていたと推認 が95パーセントを超えるケースは談合が行われていた結果であり,85パーセント台以下のケースは談合が行われなかった結果である。 あり,落札率が2分している理由は談合の有無以外に考えられない。すなわち,落札率が95パーセントを超えるケースは談合が行われていた結果であり,85パーセント台以下のケースは談合が行われなかった結果である。そして,東大阪市の平成7年度の入札64件のうち,談合が行われていたと推認 が95パーセントを超えるケースは談合が行われていた結果であり,85パーセント台以下のケースは談合が行われなかった結果である。そして,東大阪市の平成7年度の入札64件のうち,談合が行われていたと推認される落札率95パーセント以上の工事(51件)の平均落札率は98.3パーセントであり,談合がなかったと推認される残り13件の平均落札率は78.5パーセントである。そして,本件において,入札書比較価格6億1316万4000円の78.5パーセントは4億8133万3740円となり,限定価格入札書比較価格4億8907万1000円を下回ることになるので,このような場合は限定価格入札書比較価格(いわゆる最低制限価格)が予想落札価格となるものと考えるべきである。したがって,本件談合が行われたことにより東大阪市が被った損害額は,本件工事の契約金額(落札価格に消費税を加えた額)6億2830万円と限定価格5億0374万3130円との差額である1億2455万6870円であるというべきである。刑事摘発された長崎県及び広島県発注の土木工事をめぐる談合事件7件について捜査当局が算出した談合が存在しなかったと仮定した場合の平均落札率は81.4パーセントであり,座間市発注の土木工事をめぐる談合事件2件で算出した平均落札率は86.47パーセントである。これらの結果から談合の成否により落札率は概ね15パーセントから20パーセント変動する経験則があるとされており,また日弁連「入札・談合ホットライン」の結果によれば,地方自治体の発注する公共工事における談合による損害は予定価格の20パーセント以上であると報告されている。さらに,「第6回独占禁止法研究会」における報告では,三重県久居市においては,談合が刑事事件になったことにより,その後の落札率は75パーセント程度に落ちてい 0パーセント以上であると報告されている。さらに,「第6回独占禁止法研究会」における報告では,三重県久居市においては,談合が刑事事件になったことにより,その後の落札率は75パーセント程度に落ちているという実態が報告されている。 ると報告されている。さらに,「第6回独占禁止法研究会」における報告では,三重県久居市においては,談合が刑事事件になったことにより,その後の落札率は75パーセント程度に落ちてい 0パーセント以上であると報告されている。さらに,「第6回独占禁止法研究会」における報告では,三重県久居市においては,談合が刑事事件になったことにより,その後の落札率は75パーセント程度に落ちているという実態が報告されている。以上のような調査結果からすれば,地方自治体における談合による被害は,概ね予定価格の20パーセントであり,本件工事において談合がなかったと仮定した場合,限定価格入札書比較価格で落札されていたということができる。(イ) 原告らの予備的主張は,統計的データーに基づく立論であることから,証明の程度が問題となると思われるが,仮に,損害について立証できたとはいえないとしても,本件損害の立証の困難性から,民訴法248条を適用して,1億2455万6870円の損害を認めるべきである。(ウ) 被告会社は,モリタ建設,林建設工業と裏ジョイントを組み,それぞれに対して20パーセントずつ利益分配をする旨の合意をしている。モリタ建設及び林建設工業は本件工事に関して何の工事も分担していないからかかる金員は専ら談合に協力したことに対する見返りとして支払われた談合金である。このような談合金の提供は,これらの金員を支払っても利益があるから支払われるのであり,本件談合がなければ,少なくとも談合金の金額だけは低く落札されることになったことは明らかである。ウ原告らの主位的主張に対して(被告らの主張)本件工事の落札価格である6億1000万円という金額は,本件工事の種類や規模,難易度,地域の特性,当時の経済情勢その他一切の事情から判断すれば,決して不当な高額ではなく,適正な価格であったのである。そして,被告会社は,本件契約に基づいて,本件工事を完了し,東大阪市に引き渡しているのであるから,東大阪市は,本件契約を締結したことによって何らの損害も な高額ではなく,適正な価格であったのである。そして,被告会社は,本件契約に基づいて,本件工事を完了し,東大阪市に引き渡しているのであるから,東大阪市は,本件契約を締結したことによって何らの損害も被っていない。(被告会社・P3・P4の主張)原告らは,本件工事契約が無効であるから,契約代金全額が損害であると主張するが,一般的に,談合による入札に基づいて落札した場合であっても,契約自体は無効にはならないものとされており,本件のように談合による入札ではなく,刑事裁判上,競売入札妨害罪の成立が認定されたにとどまる場合においては,工事の契約が無効であるとの結論を導くことはできない。 よって何らの損害も被っていない。(被告会社・P3・P4の主張)原告らは,本件工事契約が無効であるから,契約代金全額が損害であると主張するが,一般的に,談合による入札に基づいて落札した場合であっても,契約自体は無効にはならないものとされており,本件のように談合による入札ではなく,刑事裁判上,競売入札妨害罪の成立が認定されたにとどまる場合においては,工事の契約が無効であるとの結論を導くことはできない。仮に,本件工事契約が私法上無効と評価されたとしても,東大阪市は本件行為の成果物の引渡を受けているのであるから,工事代金全額が損害であるとの結論を導くことはできない。すなわち,本件工事契約が私法上無効と評価されることと,不法行為により東大阪市が被った損害の有無・程度とは別問題である原告らは,東大阪市が本件工事の成果物を受け取っている点につき,損益相殺の主張としか考えられないとして,被告らが成果物の価格(自由競争に基づく入札がなされた場合に形成されたであろう価格)について主張立証責任を負担していると主張する。しかしながら,本件訴訟の訴訟物は,不法行為に基づく損害賠償請求権である以上,請求原因としての損害の発生の事実及び損害の具体的数額については,原告らが主張立証すべきことは当然である。エ原告らの予備的主張に対して(被告らの主張)最低制限価格というのは設計金額などからみてこれを下回る価格では落札を認めないとの趣旨で設定された価格にすぎないので,最低制限価格で落札されるのが通常であるとの原告らの主張は全く理由がなく,これをもって談合がなされなかった場合の落札価 みてこれを下回る価格では落札を認めないとの趣旨で設定された価格にすぎないので,最低制限価格で落札されるのが通常であるとの原告らの主張は全く理由がなく,これをもって談合がなされなかった場合の落札価格とみなすことはできない。また,指名競争入札における落札価格は,入札の対象となる工事の種類,内容及び規模,入札参加業者の数及び規模,発注者と入札参加業者との関係,入札当時における経済情勢,当該地域の特性,その他種々の要因が複雑に影響し合って形成されるものであるから,このような種々の落札価格の形成要因を捨象して,本件工事において談合がなかったとした場合の落札価格を予想することは不可能である。したがって,本件訴訟においては損害の具体的数額のみならず,損害の発生自体もいまだ立証されていないというほかない。 ,入札参加業者の数及び規模,発注者と入札参加業者との関係,入札当時における経済情勢,当該地域の特性,その他種々の要因が複雑に影響し合って形成されるものであるから,このような種々の落札価格の形成要因を捨象して,本件工事において談合がなかったとした場合の落札価格を予想することは不可能である。したがって,本件訴訟においては損害の具体的数額のみならず,損害の発生自体もいまだ立証されていないというほかない。第3 争点に対する判断 1 本案前の争点―適法な監査請求を経ているか(1) 法242条2項本文は,普通地方公共団体の執行機関,職員の財務会計上の行為は,たとえそれが違法・不当なものであったとしても,いつまでも監査請求ないし住民訴訟の対象となり得るとしておくことが法的安定性を損ない好ましくないとして,監査請求の期間を定める一方,当該行為が普通地方公共団体の住民に隠れて秘密裡にされ,1年を経過してからはじめて明らかになった場合等にもかかる趣旨を貫くことが相当でないことから,同項但書は,「正当な理由」があるときは,例外として,当該行為のあった日又は終わった日から1年を経過した後であっても,普通地方公共団体の住民が監査請求をすることができるとしたのである。したがって,当該行為が秘密裡にされた場合,同項但書にいう「正当な理由」の有無は,特段の事情のない限り,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査したときに客観的にみて当該行為を知ることができたか がって,当該行為が秘密裡にされた場合,同項但書にいう「正当な理由」の有無は,特段の事情のない限り,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査したときに客観的にみて当該行為を知ることができたかどうか,また,当該行為を知ることができたと解されるときから相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきである(最高裁昭和63年4月22日第二小法廷判決・裁判集民事154号57頁参照)。(2)アまず,法242条2項但書の「正当な理由」が認められるには,当該行為が秘密裡になされたことが要件となると解されるところ,当該行為自体は公然と行われた場合であっても,当該行為が違法であることを基礎付ける事実が隠蔽されている場合は,普通地方公共団体の住民が当該行為について監査請求をすることが期待できないから,当該行為が秘密裡になされた場合に該当すると評価すべきである。 集民事154号57頁参照)。(2)アまず,法242条2項但書の「正当な理由」が認められるには,当該行為が秘密裡になされたことが要件となると解されるところ,当該行為自体は公然と行われた場合であっても,当該行為が違法であることを基礎付ける事実が隠蔽されている場合は,普通地方公共団体の住民が当該行為について監査請求をすることが期待できないから,当該行為が秘密裡になされた場合に該当すると評価すべきである。イこの点,被告会社,被告P3,被告P4は,本件工事契約自体は公然と行われていたことから,本件工事契約は秘密裡に行われたものでないと主張するが,本件工事契約が締結されたこと自体は公然と行われていても,談合が行われたこと自体は行為の性質上隠蔽されており,かつ,かかる事実は,本件工事契約の違法性を基礎付ける事実であることから,当該行為が秘密裡になされた場合に該当すると解すべきである。(3)ア次に,監査請求期間を徒過したことにつき「正当な理由」が認められるためには,「住民が相当の注意力をもって調査したときに当該行為を知ることができなかったこと」が要件となるところ,前述のとおり当該行為自体は公然と行われていても当該行為の違法性を基礎付ける事実が隠蔽されている場合は当該行為が秘密裡に行われたと評価すべきであるから,住民が相当の注意力をもって調査したときに当該行為の存在及び当該行為が違法 と行われていても当該行為の違法性を基礎付ける事実が隠蔽されている場合は当該行為が秘密裡に行われたと評価すべきであるから,住民が相当の注意力をもって調査したときに当該行為の存在及び当該行為が違法であることを知ることができたのはいつの時点かということが問題となる。そして,当該行為又は当該行為の違法性を基礎付ける事実が隠蔽されている場合には,住民が監査請求をすることがおよそ期待できないということを理由に,監査期間を徒過したことについて「正当な理由」があるとされるのであるから,住民が相当の注意力をもって調査したときに客観的にみて住民監査請求をすることが期待できる程度に当該行為及び当該行為の違法性を基礎付ける事実を認識することができたのはいつかという観点から検討されるべきである。イ被告会社,同P3,同P4は,本件工事の入札結果調書が一般の閲覧に供されていること,入札結果調書には落札業者名,落札価格及び指名入札業者各社の入札状況が克明に記載されていることから,仮に本件工事が秘密裡に行われたものであるとしても,住民が入札結果調書を閲覧するなどの方法により,相当の注意をもって調査すれば,平成7年12月末ころまでには,本件工事契約の違法性及び不当性を疑わせるに足りる事実を知ることができたと主張する。 同P4は,本件工事の入札結果調書が一般の閲覧に供されていること,入札結果調書には落札業者名,落札価格及び指名入札業者各社の入札状況が克明に記載されていることから,仮に本件工事が秘密裡に行われたものであるとしても,住民が入札結果調書を閲覧するなどの方法により,相当の注意をもって調査すれば,平成7年12月末ころまでには,本件工事契約の違法性及び不当性を疑わせるに足りる事実を知ることができたと主張する。しかしながら,証拠(甲4の刑事記録甲22)によれば,指名業者・入札結果等調書には,工事名,入札日,指名業者名,各指名業者が幾らで入札したか,どの業者が落札したか,現場説明会の日,工期,工事場所が記載されているにすぎず,同調書には,入札書比較価格,限定価格入札書比較価格等は記載されていないのであるから,指名業者・入札結果等調書の記載から,当該契約について談合がなされた事実を,住民監査請求をすることが期待できる程度に認識することはおよそ不可能であるとい 書比較価格等は記載されていないのであるから,指名業者・入札結果等調書の記載から,当該契約について談合がなされた事実を,住民監査請求をすることが期待できる程度に認識することはおよそ不可能であるといわざるを得ない。したがって,平成7年12月末ころまでには,本件工事契約の違法性及び不当性を疑わせるに足りる事実を知ることができたとの被告会社,同P3,同P4の主張は採用することができない。ウ証拠(甲35)によれば,朝日新聞が,平成10年4月23日付の夕刊で,「下水道談合疑惑予定価格漏らす?」との見出しで・東大阪市が平成7年度に発注したα内の公共下水道工事の入札に絡み予定価格が事前に落札業者に漏れていた疑惑があること,同入札には中堅ゼネコン業者16社が指名され入札が行われたこと,岐阜市内にある中堅ゼネコンが6億1000万円で落札したこと,落札業者が事前に予定価格の情報を入手し,自社の落札価格を確実にするため,ほかの指名業者に入札金額の調整を持ちかけた疑いがあることが判明していることを報道した事実が認められる。以上の事実によれば,平成10年4月23日の時点で,住民が本件工事の入札に談合等の不正が行われたことについてのではないかという合理的な疑問を有することは可能であったというべきであるから,この時点において,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査したときに客観的にみて当該行為が違法であることを知ることができたというべきである。 ちかけた疑いがあることが判明していることを報道した事実が認められる。以上の事実によれば,平成10年4月23日の時点で,住民が本件工事の入札に談合等の不正が行われたことについてのではないかという合理的な疑問を有することは可能であったというべきであるから,この時点において,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査したときに客観的にみて当該行為が違法であることを知ることができたというべきである。そして,原告らは,平成10年7月3日に監査請求を行っており,本件工事契約が違法であることを知ることができたときから3か月以内に監査請求がなされているのであるから,当該行為が違法であることを知ることができたときから相当な期間内に監査請求をしたということができる。(4) 以上によれば,本件においては原告らの から3か月以内に監査請求がなされているのであるから,当該行為が違法であることを知ることができたときから相当な期間内に監査請求をしたということができる。(4) 以上によれば,本件においては原告らの行った監査請求は,監査請求期間を徒過したことにつき「正当な理由」があるから,本件訴えは適法である。2 談合が行われたかどうか(1) 証拠(甲5の刑事記録甲49,甲6の刑事記録甲50,甲7の刑事記録乙6,9及び13)によれば以下の事実が認められる。ア被告会社の大阪支店土木第1営業部長であったP13は,平成10年6月22日,取調べに当たった検察官に対し,自己の職務が,主として官公庁発注の土木工事に関して,その入札前に,同業者間の調整をすること,いわゆる談合をする役目であったこと,本件工事に関しても,ほかの指名業者が判明した時点で,被告P4から指示を受けて,他の指名業者の担当者に対し,被告会社が本件工事を落札することができるよう依頼していたこと,他の指名業者のうち,林建設工業及びモリタ建設は協力をしぶったので,共同企業体として本件事業を行い,林建設及びモリタ建設に本件工事の利益を分配するという条件で協力を取り付けたこと,被告会社が本件工事の入札に際し,6億1000万円で入札することを決めたのち被告P4に指示されて他の指名業者に対して具体的な入札金額を伝えて,その金額で入札してもらうよう依頼したこと,以上の事実を認める旨の供述をしている(甲6の刑事記録甲50)。イ被告P4は,平成10年6月20日,取調べに当たった司法警察員に対して,被告会社が6億1000万円で入札をすることを決まってから,被告P4がP13に対して,被告会社以外の指名業者に連絡をして被告会社より高い価格で入札してもらうように各社に依頼するように指示し,その後,P13から他の指 を伝えて,その金額で入札してもらうよう依頼したこと,以上の事実を認める旨の供述をしている(甲6の刑事記録甲50)。イ被告P4は,平成10年6月20日,取調べに当たった司法警察員に対して,被告会社が6億1000万円で入札をすることを決まってから,被告P4がP13に対して,被告会社以外の指名業者に連絡をして被告会社より高い価格で入札してもらうように各社に依頼するように指示し,その後,P13から他の指 00万円で入札をすることを決まってから,被告P4がP13に対して,被告会社以外の指名業者に連絡をして被告会社より高い価格で入札してもらうように各社に依頼するように指示し,その後,P13から他の指名業者との間で入札金額の調整が済んだことの報告を受けた事実,これにより被告P4は,被告会社が6億1000万円で落札することができると確信していたことを認める供述をしている(甲7の刑事記録乙13)。ウ被告P3は,平成10年6月21日,取調べに当たった検察官に対し,被告会社以外の指名業者については被告会社よりも高い金額で入札することで話がついていると思っていた旨を供述している(甲7の刑事記録乙9)。エ本件契約締結当時被告会社の専務取締役統括大阪支店長であったP14は,平成10年6月23日,取調べに当たった検察官に対し,P14は,被告P4から,被告会社が本件工事を単独受注をしたが,モリタ建設及び林建設工業と協業企業体で,いわゆる裏ジョイントで工事をすることになったとの報告を受けた事実を認める供述をしている(甲5の刑事記録甲49)。オ被告P3,被告P4及びP13は,被告P3が被告P2から入札できる金額として教えてもらった6億1000万円という金額は,被告会社ができるだけ利益を上げながら確実に落札できる価格,すなわち入札書比較価格に極めて近い金額であると認識していた(甲6の刑事記録甲50,甲7の刑事記録乙6,甲7の刑事記録乙9,甲7の刑事記録乙13)。(2) 以上の各事実及び前記前提事実を前提に検討すると,被告P3は,被告会社が本件工事を落札することのできる価格として入札書比較価格に極めて近い価格を聞き出しているところ,談合を行わずに自由競争のもとで入札を行う意思があるならば,たとえ被告会社が入札書比較価格よりも低い価格で入札しても,ほかの業 のできる価格として入札書比較価格に極めて近い価格を聞き出しているところ,談合を行わずに自由競争のもとで入札を行う意思があるならば,たとえ被告会社が入札書比較価格よりも低い価格で入札しても,ほかの業者が被告の入札価格以下の価格で入札すれば被告会社は本件工事を落札できないことになるのであるから,被告会社としては少なくとも限定価格入札書比較価格についても調査する必要があるのにもかかわらず,本件において入札書比較価格のみを念頭において入札価格を設定している被告会社の行動態度に徴すると,被告会社は,本件工事の入札において談合が行われることを当然の前提としていたと認めざるを得ない。 入札しても,ほかの業者が被告の入札価格以下の価格で入札すれば被告会社は本件工事を落札できないことになるのであるから,被告会社としては少なくとも限定価格入札書比較価格についても調査する必要があるのにもかかわらず,本件において入札書比較価格のみを念頭において入札価格を設定している被告会社の行動態度に徴すると,被告会社は,本件工事の入札において談合が行われることを当然の前提としていたと認めざるを得ない。のみならず,被告P3及び被告P4は,被告P2から,落札金額の3パーセントの報酬を支払う約束をしたうえで被告会社以外の指名業者を聞き出しているところ,かかる報酬を支払ってまであえて被告会社以外の指名業者を聞き出そうとしたのは,高額な報酬を支払ってもそれを上回る利益を獲得することができるからであったことにほかならず,この点も,被告会社が談合工作を行う前提として被告会社以外の指名入札業者を聞き出したとの疑いを強く推認させるものというべきである。他方,前記認定のとおり,被告P3,被告P4及びP13は,捜査段階においていずれも本件工事に関して談合が行われたことを認める趣旨の供述をしているところ,上記被告両名の刑事被告事件においてかかる供述の信用性について争われたなどの事情は一切主張されておらず,本件訴訟においても供述調書の信用性を疑わせる事情は何ら主張立証されていないことからすると,これらの供述は十分信用に値するということができる。以上に述べたところに,実際にも被告会社は落札することのできる上限の価格である入札書比較価格をわずかに下回る価格で落札し,ほかの指名業者はいずれ これらの供述は十分信用に値するということができる。以上に述べたところに,実際にも被告会社は落札することのできる上限の価格である入札書比較価格をわずかに下回る価格で落札し,ほかの指名業者はいずれも入札書比較価格を上回る価格で入札していることを総合考慮すれば,被告会社と他の指名業者との間で談合が行われた事実は優にこれを認定することができる。(3) これに対し,被告会社,同P3,同P4は,本件工事の入札にかかる刑事裁判においては,競売妨害罪の成立が認定されたにすぎず,談合罪としては起訴されていないと主張するが,刑事被告事件で,検察官が談合罪として起訴するか,競売妨害罪として起訴するかということと,実際に談合が行われたかどうかということは別問題であるから,かかる主張は採用することができない。 行われた事実は優にこれを認定することができる。(3) これに対し,被告会社,同P3,同P4は,本件工事の入札にかかる刑事裁判においては,競売妨害罪の成立が認定されたにすぎず,談合罪としては起訴されていないと主張するが,刑事被告事件で,検察官が談合罪として起訴するか,競売妨害罪として起訴するかということと,実際に談合が行われたかどうかということは別問題であるから,かかる主張は採用することができない。(4) よって,被告会社,被告P3,被告P4,被告P2,被告P1が本件工事の入札に関して談合を行った事実が認められ,他にかかる認定を覆すに足りる証拠はない。3 責任の有無(1) 被告P5の責任ア主位的主張原告らは,被告P5が,被告P1と共謀のうえ,被告P2と連絡を取りあって,自ら談合工作を行ったと主張する。しかしながら,証拠(甲5の刑事記録甲36)によれば,P7課長は,被告P1からある業者を指名業者に選定するようにとの依頼が来た場合は,清水市長の事実上の指示に基づくものと理解していたことが認められるものの,P7課長において,実際に被告P5が被告P1に対して指名業者の選定について指示していたことを確認していたわけではなく,あくまでもP7課長の推測にすぎないから,これをもって被告P5が本件工事について談合工作を行っていたことを推認することはできない。また,証拠(甲5の刑事記録甲38)によれば,被告P1は,P8に対し,被告P1が市長公室長 すぎないから,これをもって被告P5が本件工事について談合工作を行っていたことを推認することはできない。また,証拠(甲5の刑事記録甲38)によれば,被告P1は,P8に対し,被告P1が市長公室長の職を退いた時に,今までは被告P1が自ら調度課長に業者の指名について指示していたがこれからはP8に連絡を依頼する旨,そしてそのことは市長も承知の話である旨を述べた事実が認められるが,被告P5が実際にそのことを承知していたかどうかは不明であるし,被告P1が,P8に対して,本件工事の入札に関し指示を与える際に,被告P5から指示を受けたことをうかがわせるようなことは述べていないことからすると,被告P1のかかる言辞のみから,本件工事について被告P5が自ら談合工作を行っていたことを推認することはできない。その他,本件の全証拠を検討しても,未だ被告P5自身が本件工事の入札及び契約の締結にあたって行われた談合工作に関与していた事実について確信を抱かせるに足りず,被告P5が,他の被告らと共謀して,本件入札の談合工作を行ったとの原告らの主張は採用することができない。 とは述べていないことからすると,被告P1のかかる言辞のみから,本件工事について被告P5が自ら談合工作を行っていたことを推認することはできない。その他,本件の全証拠を検討しても,未だ被告P5自身が本件工事の入札及び契約の締結にあたって行われた談合工作に関与していた事実について確信を抱かせるに足りず,被告P5が,他の被告らと共謀して,本件入札の談合工作を行ったとの原告らの主張は採用することができない。イ予備的主張(ア) 原告らは,被告P5は,ほかの被告らが本件行為について違法な行為を行っていたことを知っていたか,容易に知り得たにもかかわらず,漫然と被告会社と本件工事契約を締結したのであるから,被告会社と本件工事契約を締結した過失があり,責任を免れることはできないと主張する。ところで,普通地方公共団体の長は,指名競争入札により,工事又は製造の請負の契約を締結しようとする場合において,予定価格の制限の範囲内で最低の価格をもって申込みをした者と契約を締結することが著しく不適当であると認めるときは,その者を落札者とせず,予定価格の制限の範囲内の価格をもって申込みをしたほかの者のうち,最低の価格 の範囲内で最低の価格をもって申込みをした者と契約を締結することが著しく不適当であると認めるときは,その者を落札者とせず,予定価格の制限の範囲内の価格をもって申込みをしたほかの者のうち,最低の価格をもって申込みをした者を落札者とすることができる(地方自治法施行令167条の10条1項,同条の13)と定められているところ,請負契約を締結しようとする工事の入札に際して談合が行われたのであれば,予定価格の制限の範囲内で最低の価格をもって申込みをした者と契約を締結することが著しく不適当であるのは明らかであるから,指名競争入札に関して,談合が行われた場合,普通地方公共団体の長には予定価格の制限の範囲内で最低の価格をもって申込みをした者と契約を締結してはならない義務があると解するのが相当である。したがって,市長が,本件工事の指名競争入札に関して,談合が行われたことを知っていたか,知り得たにもかかわらず,契約を締結して公金を支出した場合には,市長は,故意又は過失により違法に契約を締結したものというべきである。(イ) そこで,被告P5が,本件工事につき談合工作が行われていたことを知っていたか,又は知り得たのかどうかについて検討する。 と契約を締結してはならない義務があると解するのが相当である。したがって,市長が,本件工事の指名競争入札に関して,談合が行われたことを知っていたか,知り得たにもかかわらず,契約を締結して公金を支出した場合には,市長は,故意又は過失により違法に契約を締結したものというべきである。(イ) そこで,被告P5が,本件工事につき談合工作が行われていたことを知っていたか,又は知り得たのかどうかについて検討する。a 原告らは,被告P1が,被告P5の側近としての地位を利用して違法行為を行っていたことから,被告P1が本件工事に関して談合工作を行っていたことにつき,被告P5が知っていたあるいは容易に知り得たことは明らかであると主張する。しかしながら,談合はその性質上秘密裡に行われるものであるし,被告P1が被告P5の側近であったとしても,被告P1が,自己の行動について逐一被告P5に報告していたとは限らず,側近たる地位を利用し独断専行していたということは十分あり得るのであるから,単に被告P1が被告P5の側近であることのみをもって,被 告P1が,自己の行動について逐一被告P5に報告していたとは限らず,側近たる地位を利用し独断専行していたということは十分あり得るのであるから,単に被告P1が被告P5の側近であることのみをもって,被告P5が,自己の側近である被告P1の関与のもとに本件工事について談合工作が行われたことを知っていたあるいは容易に知り得たものとは即断できず,また,かかる事実を認め得る的確な証拠もない。b さらに,原告らは,被告P1が,東大阪市の発注する公共工事につき日常的に談合工作を行っていたこと,被告P1が東大阪市を退職してからも,被告P5の側近であったという地位を利用して談合などに関与し続けていたことは広く知られていた事実であって,このことはマスコミでも報道されていたのであるから,被告P5のみがこれを知らなかったとは考えられないと主張するところ,証拠(甲4の刑事記録甲3,甲5の刑事記録甲37及び38,甲6の刑事記録63及び64,甲17ないし19)によれば,以下の事実が認められる。(a) 東大阪市において,平成6年初めから,平成7年の工事のうち本件工事より前に締結された工事のうち,2億円以上の応札金額であった工事は平成6年5月18日に入札された2件と平成6年8月25日に入札された2件の合計4件があり,その落札率は,それぞれ99.16パーセント,98.71パーセント,98.20パーセント,98.21パーセント,応札額が入札書比較価格(証拠上は予定価格とされているが入札書比較価格の誤りであると解される。 平成6年初めから,平成7年の工事のうち本件工事より前に締結された工事のうち,2億円以上の応札金額であった工事は平成6年5月18日に入札された2件と平成6年8月25日に入札された2件の合計4件があり,その落札率は,それぞれ99.16パーセント,98.71パーセント,98.20パーセント,98.21パーセント,応札額が入札書比較価格(証拠上は予定価格とされているが入札書比較価格の誤りであると解される。)を下回る業者数はそれぞれ,1社が3件と2社が1件である(甲17)。(b) 東大阪市において,平成7年度の工事のうち本件工事より前に入札された工事のうち応札価格が5000万円以上の工事は28件あり,落札率が98パーセント以上の工事が17件ある(甲18,19)。。(b) 東大阪市において,平成7年度の工事のうち本件工事より前に入札された工事のうち応札価格が5000万円以上の工事は28件あり,落札率が98パーセント以上の工事が17件ある(甲18,19)。(c) 被告P7,被告P1及びP8は,いずれも取調べに当たった検察官に対し,被告P1が市長公室長であった当時は,被告P1が直接調度課課長に対し,被告P1が平成7年春ころ市長公室長を退いた後は,被告P1は,P8を通じて,調度課課長に対し,どの工事にどの業者を指名業者とするかということについて指示していた事実を認める供述をしている(甲5の刑事記録甲37及び38,甲6の刑事記録甲64)。(d) 被告P2は,取調べに当たった検察官に対し,同被告が,被告P1に対し,何度か工事の件で入札に参加できるように頼んだことがあった事実を認める供述をしている(甲6の刑事記録甲63)。以上の事実によれば,当時東大阪市においては,確かに本件工事以外に公共工事の受注に関して談合が行われていたことがあり,少なくとも,被告P1が,本件工事契約以前においても,東大阪市の発注する公共工事の入札に関して談合工作を行っていたことは十分推認し得るところである。しかしながら,そうであるからといって,被告P5が,東大阪市の公共事業の指名競争入札に関して,従前から被告P1の関与のもとに談合が行われていることを知っていたものとは断定できないし,実際に被告P5がかかる事実を知っていたことを認め得る的確な証拠もない。また,マスコミによる報道についても,甲35号証によれば,被告P1が継続的に談合工作にかかわっていたことがマスコミにより報道されたのはいずれも本件工事契約締結後のことであるから,この点に関する原告らの主張も理由がない。 業の指名競争入札に関して,従前から被告P1の関与のもとに談合が行われていることを知っていたものとは断定できないし,実際に被告P5がかかる事実を知っていたことを認め得る的確な証拠もない。また,マスコミによる報道についても,甲35号証によれば,被告P1が継続的に談合工作にかかわっていたことがマスコミにより報道されたのはいずれも本件工事契約締結後のことであるから,この点に関する原告らの主張も理由がない。c 以上によれば,被告P5は,被告P1が従前から談合工作 合工作にかかわっていたことがマスコミにより報道されたのはいずれも本件工事契約締結後のことであるから,この点に関する原告らの主張も理由がない。c 以上によれば,被告P5は,被告P1が従前から談合工作を行っていたことについて知っていたあるいは容易に知ることができたとまでは認められないというべきである。(ウ) そして,被告P5としては,被告P1が従前から談合工作を行っていたことについて知り得る状況であったのであればともかく,そのことを知らなかった以上,入札書比較価格と落札価格が近接していることから談合が行われているとの判断に至らなくても無理はないというべきであり,したがって,被告P5が,本件工事の入札において入札書比較価格と落札価格が近接していたことを契機に,談合が行われていなかったかどうかを調査しなかったとしても,その点に過失を認めることはできない。(エ) 以上検討したとおり,被告P5は,本件工事について談合が行われていたことを知っていた又は容易に知り得たにもかかわらず,漫然と被告会社と本件工事契約を締結したことが違法であり,責任を免れることはできないとの原告らの主張は採用することができない。(2) 被告P5以外の被告らの責任前提事実及び前記2で認定した事実によれば,被告会社,被告P3,被告P4については,談合並びにその前提として指名業者の選定についての違法な工作及び入札書比較価格の調査を行っており,被告P1,被告P2については,談合工作の前提となる指名業者の選定についての違法な介入及び入札書比較価格の漏えいを行っているのであるから,不法行為責任を負うことは明らかである。なお,被告P3は,同人は被告会社の従業員にすぎず,本件工事契約の当事者ではないから,被告P3個人に対して損害賠償請求をするのは不当であると主張するが,原告らは 者の選定についての違法な工作及び入札書比較価格の調査を行っており,被告P1,被告P2については,談合工作の前提となる指名業者の選定についての違法な介入及び入札書比較価格の漏えいを行っているのであるから,不法行為責任を負うことは明らかである。なお,被告P3は,同人は被告会社の従業員にすぎず,本件工事契約の当事者ではないから,被告P3個人に対して損害賠償請求をするのは不当であると主張するが,原告らは 行為責任を負うことは明らかである。なお,被告P3は,同人は被告会社の従業員にすぎず,本件工事契約の当事者ではないから,被告P3個人に対して損害賠償請求をするのは不当であると主張するが,原告らは,契約関係に基づいて損害賠償を請求しているのではなく,不法行為を原因として損害賠償を請求しているのであるから,被告P3が,本件契約の当事者であったかどうかは,被告P3が責任を負うかどうかとは無関係である。したがって,上記被告P3の主張は採用することができない。4 損害(1) 原告らは本件工事契約は無効であるから,本件契約に基づいて被告会社に対して支払われた6億1000万円全額が損害であると主張する。しかしながら,不法行為による損害とは,当該不法行為がなかったとしたならば現在あるべき仮定的な利益状況と,不法行為による現在の利益状態の差額であるから,本件における損害とは,本件工事契約に基づいて実際に支出された額(本件工事の落札価格に消費税相当額を加えた額)と,本件工事の入札において談合がなかったと仮定した場合に支出されることになる額(談合が行われなかったと仮定した場合の落札価格に消費税相当額を加えた額)との差額であると解するのが相当である。この点,原告らは,本件においては,談合が行われたからこそ,東大阪市は被告会社と契約を締結し,その結果,本件契約金額全額が支払われたのであって,談合が行われなければ東大阪市は被告会社と契約を締結することはなく,したがって工事代金が支払われることもなかったのであるから,本件工事代金全額が損害となると主張するが,談合が行われなかったとしても,東大阪市は本件工事を落札した業者に工事代金を支払うことになるのであるから,本件契約金額全額が東大阪市の被った損害になることはあり得ず,原告らの主張は失当である。また が行われなかったとしても,東大阪市は本件工事を落札した業者に工事代金を支払うことになるのであるから,本件契約金額全額が東大阪市の被った損害になることはあり得ず,原告らの主張は失当である。 なると主張するが,談合が行われなかったとしても,東大阪市は本件工事を落札した業者に工事代金を支払うことになるのであるから,本件契約金額全額が東大阪市の被った損害になることはあり得ず,原告らの主張は失当である。また が行われなかったとしても,東大阪市は本件工事を落札した業者に工事代金を支払うことになるのであるから,本件契約金額全額が東大阪市の被った損害になることはあり得ず,原告らの主張は失当である。また,原告らは,東大阪市は本件工事の成果物を受け取ったから損害がないとする被告らの主張は,損益相殺の主張であり,被告らの側に対価物の価格について主張立証責任があると主張する。しかしながら,東大阪市が成果物を受け取ったとの主張が損益相殺の主張であるとの見解は,談合が行われたことによって生じた損害が工事代金全額であることを前提にした見解であり,前述のとおり,談合が行われたことによって生じた損害とは,本件工事の落札価格に消費税を加算した額と,本件工事の入札において談合がなかったと仮定した場合に形成された落札価格に消費税を加えた額との差額であると解すべきであるから,原告らの主張は前提を欠き失当というほかはない。以上検討したところによれば,本件契約に基づいて被告会社に対して支払われた本件工事代金全額が損害であるとの原告らの主張は採用することができない。(2) 前述のとおり,本件工事契約につき談合が行われたことによる損害は,本件工事の落札価格と,本件工事の入札において談合がなかったと仮定した場合の落札価格との差額であると解するのが相当であるから,本件工事に関して談合が行われたことにより東大阪市が被った損害が幾らかということは,結局,本件工事が行われなかったと仮定した場合の落札価格が幾らであったかということに帰着する。そして,業者らが互いに工事を落札しようとして競争する結果,受注価格が下落して利益が減少することを避け,受注業者を話合いによって決めたうえで,できるだけ入札書比較価格に近い価格で落札することによってより多くの利益を得ることを目的として談合が行 争する結果,受注価格が下落して利益が減少することを避け,受注業者を話合いによって決めたうえで,できるだけ入札書比較価格に近い価格で落札することによってより多くの利益を得ることを目的として談合が行われるのであるから,本件工事に関して談合が行われた結果,落札価格が人為的に上昇せしめられ,東大阪市が損害を被ったことは明らかである。 い価格で落札することによってより多くの利益を得ることを目的として談合が行 争する結果,受注価格が下落して利益が減少することを避け,受注業者を話合いによって決めたうえで,できるだけ入札書比較価格に近い価格で落札することによってより多くの利益を得ることを目的として談合が行われるのであるから,本件工事に関して談合が行われた結果,落札価格が人為的に上昇せしめられ,東大阪市が損害を被ったことは明らかである。これに対し,被告らは,東大阪市において本件工事の入札書比較価格及び限定価格入札書比較価格を算出するにあたって基準となる本件工事価格を算出した東大阪市下水道部設計課のP17が,「今回の工事については,5億円を切ることがないというのは容易に推測できると思いますが,それ以上は6億円から7億円の間くらいになる」と述べていること(甲5の刑事記録甲43),本件工事の受注に向けて営業活動を展開していた森本組大阪支店の第一営業部長であるP15が,「長年の経験で,この工事が6億円ないし7億円くらいの工事だと判断し」たと述べていること(甲5の刑事記録甲46)からすると,6億1000万円という本件工事の落札価格は,本件工事の種類や規模,難易度,地域の特性,当時の社会情勢その他一切の事情から判断すれば,決して不当な価格ではなく,適正な金額であったと主張する。しかしながら,P17の供述は,合理的な根拠のある計算に基づくものではなく,P17自身も明確に断定しているのは5億を切ることはないということだけであって,6億から7億くらいになると述べているのは推測にすぎないというべきであるから,かかる供述をもって,本件工事の落札価格が適正な価格であったということはできない。また,P15の発言についても,同様に,具体的な計算に基づく発言ではなく,単に経験から判断した予測にすぎないのであるから,かかる発言を重視することはできない。他に,本 ということはできない。また,P15の発言についても,同様に,具体的な計算に基づく発言ではなく,単に経験から判断した予測にすぎないのであるから,かかる発言を重視することはできない。他に,本件工事の入札に際して談合が行われたことにより,落札価格が上昇し,東大阪市が損害を被ったとの前記認定を左右するに足りる証拠はない。(3) 以上のとおり,本件工事の入札に際して談合が行われたことにより東大阪市が損害を被ったこと自体は認められるものの,談合が行われなかったと仮定した場合の落札価格が幾らであったかということについての立証は,実際には行われなかった仮定的な事実についての立証であるから,極めて立証が困難であり,ひいては,本件工事に関して談合が行われたことにより東大阪市が被った損害額についても,損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるというべきである。 て談合が行われたことにより東大阪市が損害を被ったこと自体は認められるものの,談合が行われなかったと仮定した場合の落札価格が幾らであったかということについての立証は,実際には行われなかった仮定的な事実についての立証であるから,極めて立証が困難であり,ひいては,本件工事に関して談合が行われたことにより東大阪市が被った損害額についても,損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるというべきである。したがって,本件においては,民事訴訟法248条を適用し,相当な損害額を認定することをもって足りるというべきである。そして,同条は,損害額の立証が困難である場合に損害額についての証明度を軽減することによって救済を図ろうとした規定であると解されることから,相当な損害額であると認定するためには,証明の程度に至るまで立証されることを必要とするものではないが,損害額が当該金額になることの蓋然性が認められるに足りる程度の立証がなされていることが必要であると解するのが相当である。(4) そこで,以下,相当な損害額は幾らかということについて検討する。ア証拠(甲18,19)によれば,東大阪市に平成7年度に行われた予定価格が5000万円以上の公共下水道工事64件の入札結果は以下のとおりであったことが認められる。落札率が95パーセント以上のもの(51件)落札率が95パーセント未満85パーセント 行われた予定価格が5000万円以上の公共下水道工事64件の入札結果は以下のとおりであったことが認められる。落札率が95パーセント以上のもの(51件)落札率が95パーセント未満85パーセント以上のもの(1件)落札率が85パーセント未満80パーセント以上のもの(1件)落札率が80パーセント以下のもの(11件)原告らは,東大阪市において平成7年度に入札が行われた公共下水道工事64件の入札結果をみると,落札率が95パーセント以上の工事と77パーセントを中心とする2つの山に大きく分かれており,このように大きく分かれているのは,落札率が95パーセント以上の工事については談合が行われているからであるとしたうえで,落札率が95パーセント以上の工事の平均落札率は98.3パーセントであり,これに対して落札率95パーセント未満の工事の平均落札率は78.5パーセントであるところ,本件工事に関しても,談合が行われなかったと仮定すれば,落札率は78.5パーセントになると解され,本件工事の入札書比較価格6億1316万4000円の78.5パーセントは4億8133万3740円となり,本件工事の限定価格入札書比較価格4億8907万1000円を下回ることになるので,このような場合は限定価格入札書比較価格(いわゆる最低制限価格)が予想落札価格となるものと考えるべきであるとして,本件落札価格6億1000万円に消費税相当額を加算した6億2830万円と,談合がなかったと仮定した場合の落札価格であるところの限定比較価格4億8907万1000円に消費税相当額を加算した価格である5億0374万3130円(いわゆる限定価格)との差額1億2455万6870円が,本件工事の指名競争入札について談合が行われたことによる損害額であると主張する。 予想落札価格となるものと考えるべきであるとして,本件落札価格6億1000万円に消費税相当額を加算した6億2830万円と,談合がなかったと仮定した場合の落札価格であるところの限定比較価格4億8907万1000円に消費税相当額を加算した価格である5億0374万3130円(いわゆる限定価格)との差額1億2455万6870円が,本件工事の指名競争入札について談合が行われたことによる損害額であると主張する。たしかに,談合が行われる場合には る5億0374万3130円(いわゆる限定価格)との差額1億2455万6870円が,本件工事の指名競争入札について談合が行われたことによる損害額であると主張する。たしかに,談合が行われる場合には,できるだけ入札書比較価格に近接した価格で落札することによって利益を上げることを図るのが通常であるから,一般に落札率が高くなるということはいい得るが,入札書比較価格及び限定価格入札書比較価格は,前記第2,1(2)力のとおり一定のルールに従って決定されるものではあるが,指名業者の積算能力や予測能力は一様ではなく,談合が行われなかったとしても東大阪市の見積りが指名業者の見積りよりも低額になる場合があり得,落札率が高くなることはあり得る。また,各指名業者の落札意欲が低く,高い落札率での競争となる場合がないわけではなく,したがって,落札率が95パーセント以上の工事についてはすべて談合が行われていたとの原告らの主張はにわかに採用することができない。そして,落札率が95パーセント以上の工事について談合が行われていない工事が含まれているとすれば,談合が行われなかった場合の平均落札率は78・5パーセントであるとの原告らの主張は前提を欠くし,実際にも,原告らが主張するとおり落札率が78.5パーセントになったと仮定すると,本件工事の場合には,落札価格が限定価格入札書比較価格を下回ることになってしまい実際にはありえない結論になってしまうことになり,78.5パーセントという数値が果たして妥当な数値であるかどうか疑わしい。また,原告らは,長崎県及び広島県発注の土木工事をめぐる談合事件7件について,談合が存在しなかったと仮定した場合の平均落札率が81.4パーセントであること,座間市発注の土木工事をめぐる談合事件2件で算出した平均落札率は86.47パーセントであること る談合事件7件について,談合が存在しなかったと仮定した場合の平均落札率が81.4パーセントであること,座間市発注の土木工事をめぐる談合事件2件で算出した平均落札率は86.47パーセントであること,日弁連「入札・談合ホットライン」の結果によれば,地方自治体の発注する公共工事における損害は予定価格の20パーセント以上であると報告されていること,「第6回独占禁止法研究会」における報告では,三重県久居市において,談合が刑事事件となったことにより落札率が75パーセント程度に落ち着いていると報告されていることからも,本件工事において談合が行われなかったと仮定した落札価格は,限定価格入札書比較価格であると解すべきであると主張する。 ン」の結果によれば,地方自治体の発注する公共工事における損害は予定価格の20パーセント以上であると報告されていること,「第6回独占禁止法研究会」における報告では,三重県久居市において,談合が刑事事件となったことにより落札率が75パーセント程度に落ち着いていると報告されていることからも,本件工事において談合が行われなかったと仮定した落札価格は,限定価格入札書比較価格であると解すべきであると主張する。しかしながら,これらの数値が合理的な根拠に基づいて算出されたものであるのかということは明確でないし,当該公共事業を発注する地方公共団体がどのような算定方法によって入札書比較価格を算出しているのか,当該工事の種類・内容,入札に参加した指名業者の落札意欲及び価格競争力,経済状況等の多様な条件の変化によって落札率が異なってくるのであるから,かかる差違を考慮せずに,一律に談合が行われなかった場合の落札価格を算定することはできないというべきである。以上によれば,仮に本件工事の入札に関して談合が行われなかったと仮定した場合の落札価格が限定価格入札書比較価格になることの蓋然性が認められないから,本件工事の指名競争入札に関して談合が行われたことによる相当な損害額は,落札価格に消費税相当額を加算した価格6億2830万円と限定価格5億0374万3130円との差額1億2455万6870円であるとの原告らの主張は採用することができない。イ証拠(甲4の刑事記録甲22,甲6の刑事記録甲53)によれば,以下の事実が認められる。(ア) 被 万3130円との差額1億2455万6870円であるとの原告らの主張は採用することができない。イ証拠(甲4の刑事記録甲22,甲6の刑事記録甲53)によれば,以下の事実が認められる。(ア) 被告会社は,本件工事を開始するにあたって,本件工事の利益率を0.1パーセント,利益率努力目標を3パーセントとしていた。(イ) 東大阪市と被告会社は,平成7年10月26日,本件工事契約の設計を変更し,設計変更に伴う請負代金額の増額分は1584万9640円,うち取引に係る消費税相当額46万1640円とする旨の工事請負変更契約が締結された。その後,東大阪市と被告会社は,再び本件工事の設計を変更し,変更に伴う請負代金額の増額分は2920万4620円,うち取引に係る消費税相当額85万0620円とする旨の工事請負変更契約が締結された。 大阪市と被告会社は,平成7年10月26日,本件工事契約の設計を変更し,設計変更に伴う請負代金額の増額分は1584万9640円,うち取引に係る消費税相当額46万1640円とする旨の工事請負変更契約が締結された。その後,東大阪市と被告会社は,再び本件工事の設計を変更し,変更に伴う請負代金額の増額分は2920万4620円,うち取引に係る消費税相当額85万0620円とする旨の工事請負変更契約が締結された。(ウ) 最終的には,本件工事の請負金額は,税抜価格6億5374万2000円,消費税相当額1961万2260円,合計6億7335万4260円,工事原価は5億8109万7076円,工事利益は7264万4924円,利益率は約11.1パーセントであった。ウなお,被告会社,被告P3及び被告P2は,本件工事の最終的な利益率が11.1パーセントとなっているのは,本社・支店の役員,従業員等の人件費,交際費,出張旅費等の本社・支店等経費を控除する前の「現場限りの利益」であるからであると主張する。そして,被告会社,被告P3及び被告P3は,本社・支店等経費は工事完工高に対して約5パーセントであると主張する。しかしながら,証拠(甲6の刑事記録甲52)によれば,被告会社の従業員であるP16は,「当初目標の3パーセントの利益率を大きく上回る11.2パーセントの利益が出ております。」と述べていることが認められるところ,被告会社が主張するとおり,上記利 れば,被告会社の従業員であるP16は,「当初目標の3パーセントの利益率を大きく上回る11.2パーセントの利益が出ております。」と述べていることが認められるところ,被告会社が主張するとおり,上記利益率の算出においては,工事完工高に対して約5パーセントである本社・支店等経費が控除されていないとすると,被告会社は本社・支店等経費を控除するとおよそ利益のでない額を当初の目標にしていたことになり,不合理というほかはない。したがって,本件工事の利益率を算出するにあたっては,本社・支店等経費が控除されていないとの被告会社らの主張はたやすく信用することができない。エ利益率努力目標はもっとも利益が上がる場合を目標に置かれるのが通常であるところ,被告会社は利益率努力目標を3パーセントとしているのであるから,そもそも利益率努力目標の設定に誤りがあった,あるいは,当初の予定よりも工費が節減できたなど,利益率努力目標を上回る利益を上げることができたことについて合理的な説明が可能な特段の事情がない限り,利益率努力目標を上回る部分の利益については,談合によって得られた不正な利益である可能性が高いということができる。 標に置かれるのが通常であるところ,被告会社は利益率努力目標を3パーセントとしているのであるから,そもそも利益率努力目標の設定に誤りがあった,あるいは,当初の予定よりも工費が節減できたなど,利益率努力目標を上回る利益を上げることができたことについて合理的な説明が可能な特段の事情がない限り,利益率努力目標を上回る部分の利益については,談合によって得られた不正な利益である可能性が高いということができる。そして,そもそも3パーセントという利益率努力目標の設定に誤りがあることをうかがわせる事情を認めるに足りる証拠はなく,かえって,被告会社が,本件において被告会社が本件工事において受けた利益は高々3パーセントであって,本件工事価格は適正な価格であると主張していることをも考慮すると,3パーセントという利益率努力目標が妥当な設定であることが推認される。また,当初の予定より経費が節減できたなど,利益率努力目標を上回る利益を上げることができたことについて合理的な説明がなされているかどうかという点については,被告らは,工期の短縮によって当初の予定よりも利益 当初の予定より経費が節減できたなど,利益率努力目標を上回る利益を上げることができたことについて合理的な説明がなされているかどうかという点については,被告らは,工期の短縮によって当初の予定よりも利益を上げることができた旨主張し,被告会社の従業員P16も,「難工事でしたが,工期を短縮するなど,現場や下請の努力があったために,初期の目標を大きく上回ることができたのだと思います。」と述べている(甲6の刑事記録甲52)が,P16が述べるところは抽象的なものにとどまり,具体的にどのような工夫がなされたことによってどれだけ経費を節減することが可能となったのか明らかにしていないし,契約締結後の事後的な努力によって努力目標としていた利益率を8.1パーセントも上回るということはおよそ考え難く,被告らの主張及びP16の供述は信用することができない。かえって,証拠(甲6の刑事記録甲52)によれば,P16が,本件工事の工事現場は人家の密集地域で道路も狭く,現場泣かせの所で,当初の設計も変更してなんとか無事終了したという感じであった旨述べていること,当初工期が平成7年10月27日からであったにもかかわらず,本件工事の工事現場には,道路にガス管や水道管などの埋設物が多く,それらの移設工事などで着工までの準備に時間を要したと述べていることからすると,容易に経費の節減を図ることが可能であったとはとうてい認め難い。 工事の工事現場は人家の密集地域で道路も狭く,現場泣かせの所で,当初の設計も変更してなんとか無事終了したという感じであった旨述べていること,当初工期が平成7年10月27日からであったにもかかわらず,本件工事の工事現場には,道路にガス管や水道管などの埋設物が多く,それらの移設工事などで着工までの準備に時間を要したと述べていることからすると,容易に経費の節減を図ることが可能であったとはとうてい認め難い。また,被告会社,被告P3及び被告P2は,本件工事に先立って受注していた工事の仮設材を転用することによって,本件工事にかかる経費を2000万円程度圧縮することが可能であったと主張し,被告会社は,かかる主張を裏付ける証拠として仮設材転用リスト一覧表(乙5)を提出する。しかしながら,同リストは,被告会社自身が作成したリストにすぎず被告の主張を裏付ける客観的な 可能であったと主張し,被告会社は,かかる主張を裏付ける証拠として仮設材転用リスト一覧表(乙5)を提出する。しかしながら,同リストは,被告会社自身が作成したリストにすぎず被告の主張を裏付ける客観的な証拠であるとは言い難い。また,本件工事の竣工報告書(甲6の刑事記録甲52)には仮設材を転用することによって経費の節減が可能であった旨の記載は全くされておらず,またP16の前記供述にも本件工事の利益率が高くなったことの理由として仮設材を転用したことについて何ら触れるところはない。したがって,他の工事の仮設材を本件工事に転用することによって2000万円程度経費を圧縮することができたとの上記主張も,採用することができない。また,本件では本件契約締結後,2回の設計変更が行われ,それに伴って報酬額も変更されているところ,変更契約が締結されることが原因となって利益率が増大するのは,変更契約が談合によって契約された当初の契約よりも利益率の高い契約である場合であるが,変更契約についても不正が行われたことをうかがわせる事情を認めるに足りる証拠はないから,本件契約締結後に変更契約が締結されたからといって利益率が増大するとは考えにくい。以上によれば,そもそも利益率努力目標の設定に誤りがあった,あるいは,当初の予定よりも工費が節減できたなど,利益率努力目標を上回る利益を上げることができたことについて合理的な説明が可能な特段の事情が存在したとは認め難いというべきである。 変更契約についても不正が行われたことをうかがわせる事情を認めるに足りる証拠はないから,本件契約締結後に変更契約が締結されたからといって利益率が増大するとは考えにくい。以上によれば,そもそも利益率努力目標の設定に誤りがあった,あるいは,当初の予定よりも工費が節減できたなど,利益率努力目標を上回る利益を上げることができたことについて合理的な説明が可能な特段の事情が存在したとは認め難いというべきである。オもっとも,被告会社と他の指名業者とでは,競争力が違う場合には,被告会社が工事原価に通常の利益よりも利益を上乗せして入札価格を設定しても,被告会社が落札することができる可能性がある。しかしながら,証拠(甲5の刑事記録甲37,甲5の刑事記録甲39,甲5の刑事記録甲40,甲5の刑事記録甲42) も利益を上乗せして入札価格を設定しても,被告会社が落札することができる可能性がある。しかしながら,証拠(甲5の刑事記録甲37,甲5の刑事記録甲39,甲5の刑事記録甲40,甲5の刑事記録甲42)によれば本件工事においてはAランクの業者で,かつ経営事項審査の点数が1500点前後から2000点までの中堅ゼネコンから選出することになっていたところ,森本組は,かかる条件に合致していたこと,P11主査が,調度課において本件工事の指名業者を選定する際に作成した指名業者の素案には森本組が入っていたこと,本件工事はシールド工法で行われる予定であり,森本組はシールド工法に関する実績もあったこと,調度課において指名業者を選定するにあたって森本組が指名業者の選定から除外されたのは,P7課長が森本組には談合のうわさがあるから指名業者から外そうと述べたことが唯一の理由であることが認められ,被告会社が指名業者の選定から森本組を除外するよう依頼しなければ森本組が指名業者に選定されていたのは確実であったといってもさしつかえないというべきである。加えて,証拠(甲7の刑事記録乙13)によれば,当時の建設業界は,バブル経済が破綻した影響を受け,平成6年ころから民間工事の発注件数が減少しており,公共工事に期待する傾向が強くなっていたこと,森本組は本件工事を落札することについて強く希望していたこと,証拠(甲6の刑事記録63,甲7の刑事記録乙3及び乙4)によれば,被告P3は,被告P2に対して,「森本組が入札に参加したら,うちは負けます。 べきである。加えて,証拠(甲7の刑事記録乙13)によれば,当時の建設業界は,バブル経済が破綻した影響を受け,平成6年ころから民間工事の発注件数が減少しており,公共工事に期待する傾向が強くなっていたこと,森本組は本件工事を落札することについて強く希望していたこと,証拠(甲6の刑事記録63,甲7の刑事記録乙3及び乙4)によれば,被告P3は,被告P2に対して,「森本組が入札に参加したら,うちは負けます。どうにかならないですか。」と述べるなど,本件工事の指名入札業者に森本組が選定されて,森本組と被告会社とが競い合えば,被告会社は本件工事を落札することができない可能性があるとの認識を有していたことが認められ,以上の事実を総合すれば,森本組が入 事の指名入札業者に森本組が選定されて,森本組と被告会社とが競い合えば,被告会社は本件工事を落札することができない可能性があるとの認識を有していたことが認められ,以上の事実を総合すれば,森本組が入札に参加したうえで,公正な入札が行われたのであれば,被告会社としてはできるだけ入札価格を低く設定しても本件工事を落札できたかどうかわからないという状況にあったのであるから,少なくとも利益率が努力目標である3パーセントを上回るような落札価格で落札することができたとは考え難く,少なくとも,これを上回る8.1パーセント分については談合によってはじめて得ることができた利益である蓋然性が高いということができる。そして,前述のとおり,本件契約締結後に設計変更及びそれに伴う報酬の変更が行われたことによって被告会社の受ける利益率が増加するとは考え難いことからすると,本件工事工事契約の落札価格のうち少なくとも8.1パーセント分は談合が行われたことによって得ることができた利益であると解するのが相当である。したがって,本件工事につき談合が行われたことにより東大阪市が被った損害額は,本件工事の落札価格6億1000万円に消費税相当額を加えた6億2830万円と落札価格から8.1パーセントを減じた価格5億6059万円に消費税相当額を加算した5億7740万7700円との差額5089万2300円と算定するのが相当である。5 結論以上の次第で,原告らの被告P5に対する請求については理由がないからこれを棄却することとし,その余の被告らに対する請求については,その余の被告ら各自に対し,5089万2300円並びにこれに対する被告P1,被告P2,被告P3及び被告P4については不法行為後の平成10年10月20日から,被告会社については不法行為後の平成10年10月21日から,支 額5089万2300円と算定するのが相当である。5 結論以上の次第で,原告らの被告P5に対する請求については理由がないからこれを棄却することとし,その余の被告らに対する請求については,その余の被告ら各自に対し,5089万2300円並びにこれに対する被告P1,被告P2,被告P3及び被告P4については不法行為後の平成10年10月20日から,被告会社については不法行為後の平成10年10月21日から,支 に対し,5089万2300円並びにこれに対する被告P1,被告P2,被告P3及び被告P4については不法行為後の平成10年10月20日から,被告会社については不法行為後の平成10年10月21日から,支払済みに至るまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由があるからかかる限度で認容し,その余の請求はいずれも理由がないからこれを棄却し,訴訟費用の負担について行訴法7条,民訴法64条本文,61条を,仮執行の宣言につき行訴法7条,民訴法259条1項を適用して,主文のとおり判決する。大阪地方裁判所第二民事部裁判長裁判官三浦潤裁判官林俊之裁判官中島崇

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