1主 文1 被告会社は、原告Aに対し、328万6302円並びにうち292万2905円に対する令和2年12月11日から、うち22万1458円に対する令和2年12月26日から、及びうち6万8102円に対する令和3年1月26日から各支払済みまで年14.6%5の割合による金員を支払え。 2 被告会社は、原告Aに対し、238万5774円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 3 被告会社は、原告Aに対し、5912万9601円及びこれに対10する令和▲年▲月▲日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 4 被告会社は、原告Dに対し、33万円及びこれに対する令和4年10月25日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 5 原告A及び原告Dのその余の請求並びに原告B及び原告Cの請15求をいずれも棄却する。 6 訴訟費用は、①原告らに生じた費用の10分の6と被告らに生じた費用の20分の12との合計について、その5を原告A及び原告Bの、その余を被告会社の負担とし、②原告らに生じた費用の10分の2と被告らに生じた費用の20分4との合計について、その全20部を原告Cの負担とし、③原告らに生じた費用の10分の2と被告らに生じた費用の20分の4との合計について、その9を原告Dの負担とし、その余を被告会社の負担とする。 7 この判決は、第1項、第3項及び第4項に限り、仮に執行することができる。 25事実及び理由2第1 請求の趣旨1 第1事件⑴ 被告会社は、原告Aに対し、520万5843円並びにうち466万6806円に対する令和2年12月11日から、うち30万8906円に対する令和2年12月26日から、及びうち11万2703円に対する令和3年1 社は、原告Aに対し、520万5843円並びにうち466万6806円に対する令和2年12月11日から、うち30万8906円に対する令和2年12月26日から、及びうち11万2703円に対する令和3年15月26日から各支払済みまで年14.6%の割合による金員を支払え。 ⑵ 被告会社は、原告Aに対し、403万8533円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 2 第2事件⑴ 原告A及び原告Bの各請求10ア 被告らは、原告Aに対し、連帯して9422万8745円及びこれに対する令和▲年▲月▲日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 イ 被告らは、原告Bに対し、連帯して440万円及びこれに対する令和▲年▲月▲日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 ⑵ 原告Cの請求15被告らは、原告Cに対し、連帯して3467万4550円及びこれに対する平成24年10月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑶ 原告Dの請求ア 主位的請求20被告らは、原告Dに対し、連帯して1997万9940円及びこれに対する平成29年12月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 イ 予備的請求被告会社は、原告Dに対し、211万5166円及びこれに対する平成2529年12月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3第2 事案の概要1 本件は、次のような事案である。 ⑴ 第1事件被告会社の従業員であった亡E(以下「亡E」という。)の相続人である亡Eの母である原告Aが、被告会社に対し、亡Eの割増賃金等の支払を求める5事案⑵ 第2事件ア 原告A及び原告B関係亡Eの母である原告A及び亡Eの姉である原 」という。)の相続人である亡Eの母である原告Aが、被告会社に対し、亡Eの割増賃金等の支払を求める5事案⑵ 第2事件ア 原告A及び原告B関係亡Eの母である原告A及び亡Eの姉である原告Bが、亡Eは、被告会社における加重な業務や亡Eの上司であった被告Fのパワハラが原因で自殺10したと主張して、被告らに対し、損害賠償等を求める事案イ 原告C及び原告D関係被告会社の従業員であった原告C及び原告Dの両名が、いずれも被告Fによるパワハラ等が原因で被告会社から退職を余儀なくされたと主張して、被告らに対し、損害賠償等を求める事案152 請求の法的根拠⑴ 第1事件ア 主たる請求労働基準法(以下「労基法」という。)37条に基づく割増賃金イ 附帯請求等20(ア) 遅延損害金(起算日は、各支払期日の翌日であり、利率は、亡E死亡日(退職日)である令和▲年▲月▲日までは民法所定の年3%の割合であるが、翌11日からは、賃金の支払の確保等に関する法律6条、同法施行令1条所定の年14.6%の割合である。)(イ) 労基法114条に基づく付加金25⑵ 第2事件4ア 主たる請求(ア) 債務不履行(安全配慮義務違反)又は不法行為(イ) 雇用契約に基づく退職金支払請求権(ただし、原告Dの予備的請求に係る訴訟物である。)イ 附帯請求等5遅延損害金(起算日は不法行為後の日である退職日であり、利率は民法所定の年3%(原告A及び原告Bの各請求)又は平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合(原告C及び原告Dの各請求)である。)3 前提事実10⑴ 当事者等ア 亡Eは、被告会社と雇用契約を締結して平成10年1月に被告会社に入社した従業員であったが、令和▲年▲月▲日に 割合(原告C及び原告Dの各請求)である。)3 前提事実10⑴ 当事者等ア 亡Eは、被告会社と雇用契約を締結して平成10年1月に被告会社に入社した従業員であったが、令和▲年▲月▲日に死去(自殺)した。 原告Aは、亡Eの母(唯一の相続人)であり、原告Bは、亡Eの姉である。 15イ 原告Cは、被告会社と雇用契約を締結して平成6年4月に被告会社に入社した従業員であったが、平成24年10月20日付けで被告会社を退職した。 ウ 原告Dは、被告会社と雇用契約を締結して平成9年4月に被告会社に入社した従業員であったが、平成29年12月18日付けで被告会社を退職20した。 エ 被告会社は、食品・化粧品等の卸売・小売業を営む株式会社であり、生菌ヤクルトの販売会社である。 オ 被告Fは、被告会社の会長であるG(以下「G会長」という。)の子であり、大学卒業後、株式会社三菱総合研究所を経て、平成24年、取締役と25して被告会社に入社した後、令和4年5月からは被告会社の代表取締役を5務めている。 ⑵ 本件訴えの提起ア 第1事件原告Aは、令和3年4月8日、同月7日付け通知書をもって被告会社に対し亡Eの割増賃金の支払を催告した後、同年6月24日、当庁に第1事5件を訴え提起した。 (以上、甲10(枝番があるものは枝番を含む。以下同じ))イ 第2事件原告らは、令和4年10月14日、当庁に第2事件を訴え提起したところ、第2事件に係る訴状は、同月24日に被告らに送達された。 10⑶ 被告らによる時効援用の意思表示ア 第1事件関係原告Aは、当初、平成30年12月分からの割増賃金(同月分の割増賃金の支払日は平成31年1月25日)を請求していたが、被告らが消滅時効を援用したことから、未だ消滅時効が完成 ア 第1事件関係原告Aは、当初、平成30年12月分からの割増賃金(同月分の割増賃金の支払日は平成31年1月25日)を請求していたが、被告らが消滅時効を援用したことから、未だ消滅時効が完成していない平成31年3月115日以降分の割増賃金(同月分の割増賃金の支払日は平成31年4月25日)に請求を減縮した。 イ 第2事件関係被告らは、令和5年2月16日付け準備書面(9)をもって、原告らに対し、原告らが主張する不法行為のうち、第2事件の訴え提訴日である令20和4年10月14日から3年以上前のものに基づく請求、及び債務不履行のうち、同日から10年以上前の事実に基づく請求について消滅時効を援用する旨の意思表示をした。 4 争点⑴ 第1事件25ア 時間外労働の有無及び時間6イ 管理監督者該当性の有無ウ 割増賃金の基礎となる賃金エ 付加金請求の当否⑵ 第2事件ア 亡E関係5(ア) 業務等と精神障害(自死)との間の因果関係の有無(イ) 安全配慮義務違反(債務不履行)又は過失(不法行為)の有無(ウ) 損害の有無及び損害額イ 原告C関係(ア) 安全配慮義務違反(債務不履行)又は過失(不法行為)の有無10(イ) 損害の有無及び損害額ウ 原告D関係(ア) 損害賠償請求関係a 安全配慮義務違反(債務不履行)又は過失(不法行為)の有無b 損害の有無及び損害額15(イ) 未払退職金請求関係被告Fによるパワハラの有無及び原告Dの退職との因果関係5 争点に関する当事者の主張⑴ 第1事件ア 時間外労働の有無及び時間20【原告Aの主張】(ア) 始業・終業時刻a 令和2年9月28日~同年12月9日この期間は、亡Eが使用していたパソコンのログ記 主張⑴ 第1事件ア 時間外労働の有無及び時間20【原告Aの主張】(ア) 始業・終業時刻a 令和2年9月28日~同年12月9日この期間は、亡Eが使用していたパソコンのログ記録(甲4。以下「本件ログ記録」という。)が残っていたから、本件ログ記録の時刻を25もって始業・終業時刻とすべきである。 7b 令和2年9月27日以前この期間は、ログ記録が残っていなかったので、亡Eの出勤簿(甲3。以下「本件出勤簿」という。)の記載に従う。 c 警備記録からの特定被告会社の本社(以下「本社」という。)の警備記録(甲20、乙550及び長崎綜合警備株式会社に対する調査嘱託の結果。以下、一括して「本件警備記録」という。)によると、亡Eは、本件出勤簿に記載又は本件ログ記録に記録がある日以外の日にも出社していることが判明した。当該日は、次のとおりであるところ、これらの日も出勤日と認めるべきである。なお、退館時間しか分からない日の始業時刻は、被10告会社の就業規則(以下「本件就業規則」という。)上の始業時刻(午前8時30分)とする。 (a) 令和元年6月8日(土)、6月15日(土)、7月20日(土)、7月27日(土)、7月28日(日)、8月3日(土)、11月9日(土)、1115月17日(日)(b) 令和2年2月15日(土)、3月28日(土)、4月11日(土)、4月18日(土)、4月25日(土)、5月16日(土)、6月6日(土)、6月7日(日)、6月20日(土)、6月27日(土)、6月28日(日)、208月2日(日)、8月15日(土)、9月12日(土)、11月29日(日)、12月6日(日)d 以上によれば、亡Eの出勤日及び始業・終業時刻は、別紙1のとおりとなる。 (イ) 休憩時間 208月2日(日)、8月15日(土)、9月12日(土)、11月29日(日)、12月6日(日)d 以上によれば、亡Eの出勤日及び始業・終業時刻は、別紙1のとおりとなる。 (イ) 休憩時間25亡Eは、土曜日も含め毎日、昼食はG会長に同行しており、気が休ま8ることがなかったものと思われる。 このことから休憩時間も労働時間とすべきである。 【被告会社の主張】否認ないし争う。その理由は、次のとおりである。 (ア) 被告会社において亡Eに対し時間外労働を行うよう命令した事実はな5い。亡Eは、そもそも残業しなければ自らの職務を消化できないような状況にはなかった。亡Eは、午後5時を過ぎて職場に滞留しているときは、自身のスマートフォンをいじったり、インターネットを閲覧したりするなど、およそ業務とは無関係の活動をしていることが多かった。亡Eは、「どうせ家に帰っても一人」「休みの日もゴルフしかすることがな10い」などと社内で愚痴を述べており、自宅で孤独に過ごすことを嫌い、職場に滞留しながら私的な時間を過ごしていたものと考えられる。 また、亡Eは、午後5時を過ぎると、近隣のコナミの駐車場に停めていた自身の乗用車を被告会社の駐車場に移動させるため毎日20分程度外出していたほか、月に1回程度は、歯科診療のため席を外したりして15いた。亡Eが、毎日、G会長の昼食に同行していたことなど、あり得ないことであるし、G会長が昼食を亡Eと一緒に取ることはあったが、二人は極めて親密な関係にあったものであり、亡Eが同行を強要されていたものでもない。 (イ) 亡Eが使用していたパソコンのインターネット閲覧履歴を調査した結20果、亡Eが、業務用のパソコンを使ってYouTube動画の視聴やショッピング・漫画のサイトの閲覧に興じてお でもない。 (イ) 亡Eが使用していたパソコンのインターネット閲覧履歴を調査した結20果、亡Eが、業務用のパソコンを使ってYouTube動画の視聴やショッピング・漫画のサイトの閲覧に興じており、いわゆる「ダラダラ残業」をしていたことが分かる。その時間たるや、長い日には2時間近くに及ぶなど、業務の合間の気分転換というレベルではない。亡Eは、動画閲覧やネットサーフィン自体を目的に、終業時刻以降も会社内に滞留25していたとみる方が自然である。 9この点、少なくとも、調査の結果判明した次のとおりのインターネット閲覧時間合計分は、労働時間から除外すべきである。 a 令和2年1月:11時間28分b 同年2月:14時間56分c 同年3月:7時間59分5d 同年4月:2時間11分e 同年5月:4時間30分f 同年6月:9時間51分g 同年7月:20時間38分h 同年8月:12時間41分10i 同年9月:16時間16分j 同年10月:7時間8分k 同年11月:4時間7分(ウ) 原告Aは、本件ログ記録をもって始業・終業時刻を特定しているが、本件出勤簿の記載よりもパソコンのログ記録を優位に扱う根拠が不明で15ある上、本件出勤簿の記載についても、次のとおり信用性が乏しいものが散見され、総じて信用性に乏しいものである。 a 令和2年8月4日(火)及び翌5日(水)これらの日は、被告会社のαサービスセンター(以下「αSC」という。)のヤクルトレディに新型コロナウイルス感染症の陽性者が発生20したため、αSCにおいて消毒作業が行われた日である。亡Eも、αSCに出向いて終日これに従事した。本件出勤簿上、亡Eの退社時刻は、令和2年8月4日が午後7時15分となっており、翌5日が午後7時5分となっ め、αSCにおいて消毒作業が行われた日である。亡Eも、αSCに出向いて終日これに従事した。本件出勤簿上、亡Eの退社時刻は、令和2年8月4日が午後7時15分となっており、翌5日が午後7時5分となっているが、αSCの消毒作業は、それより前に終了していたから、本件出勤簿の記載は誤りである。 25なお、本件警備記録によれば、亡Eが、①令和2年8月4日は、午10後8時37分に本社に入館した後、午後8時56分に退館したこと、②翌5日は、入館時刻は不明であるが、午後8時39分に本社を退館したことが分かる。しかし、亡Eのパソコンのインターネット閲覧履歴によれば、亡Eは、その間、パソコンでYouTubeを視聴していたものであるから、亡Eが時間外労働をしたものではない。 5b 令和2年8月22日(土)本件出勤簿上、亡Eの退社時刻は午後4時30分と記載されているが、本件警備記録(乙50の1)によると、本社3~5階の警備は、午後3時6分に開始されている。この日は、パソコンによるインターネット閲覧履歴もなく、亡Eが社外で仕事をしていたとも考えられな10いことからすると、本件出勤簿の記載は誤記入であると思われる。 c 令和2年9月3日(木)亡Eは、前日に令和2年9月3日は有給休暇を取得する旨申請しており(乙51)、同日には、パソコンによるインターネット閲覧履歴もない。 15d 令和2年9月7日(月)この日は、長崎に非常に強い勢力の台風10号が最接近した日である。被告会社は、令和2年9月4日金曜日の時点で、週明け7日の月曜日を出勤停止日としていた(乙52)。 (エ) 本件警備記録によると、確かに、亡Eが本件出勤簿に記載又は本件ロ20グ記録に記録のある日以外にも、本社に入館した日があることは事実である。しかし、①亡 出勤停止日としていた(乙52)。 (エ) 本件警備記録によると、確かに、亡Eが本件出勤簿に記載又は本件ロ20グ記録に記録のある日以外にも、本社に入館した日があることは事実である。しかし、①亡Eの正確な出社時刻(入館時刻)が分からなかったり、②亡Eの入館・退館時刻は分かっても、亡Eがどれだけ社内に滞在していたのか不明である日が多々あったりすること等から、本件警備記録をもって亡Eの労働時間を推定することは、不可能というべきである。 25イ 管理監督者該当性の有無について11【被告会社の主張】(ア) 総務課長であった亡Eの職務内容は、別紙2の職務要件書(乙7。以下「本件職務要件書」という。)の黄色マーカー部分のとおりであった。 本件職務要件書からも明らかなとおり、亡Eは、総務課長として、部下の人事考課等を行ったり、課内の予算計画を立てたりして、課内の管理5監督業務を行っていたものである。 (イ) 亡Eは、被告会社の採用活動において、応募者の面接に社長や部長とともに同席していたほか、採用決定をする会議にも参加するなど、被告会社の人事採用に深く関与していた。また、亡Eは、被告会社に労働基準監督署による調査が入った際には、総務課長として、労働基準監督署10との折衝に当たっていたほか、被告会社の各部署に対して、時間外労働に関する啓発を行うとともに、残業時間削減に向けた文書を発出するなど、従業員の勤務時間管理において主導的な役割を果たしていた。 以上のとおり、亡Eは、総務課長として課内の管理監督業務を行うこと(前記(ア))にとどまらず、被告会社の人事及び労務管理に関しても15主要な役割を果たしていたものであるが、総務部を統括する部長職が存在しなかったことから、総務課の所管する人事管理や労務管理等の業務は、亡Eがト どまらず、被告会社の人事及び労務管理に関しても15主要な役割を果たしていたものであるが、総務部を統括する部長職が存在しなかったことから、総務課の所管する人事管理や労務管理等の業務は、亡Eがトップの統括責任者であった。 (ウ) 亡Eは、次のとおりの重要な会議に出席し、社長や取締役らと席を並べて協議する立場にあり、被告会社の経営方針の策定にも深く参画して20いたものである。 a 人事労務委員会被告の人事政策について広く協議をする委員会である。 b 人事労務ミーティング具体的な人事労務上の課題について情報共有や検討を行うミーティ25ングである。 12c 管理部門会議各部署の長が年度目標や行動計画の到達・進捗度を相互に報告・確認し合う会議である。 (エ) その他、①亡Eが、被告会社において出退勤について厳格な制限を受けていなかったこと(亡Eを含む管理職も出勤簿を使用していたが、そ5の目的は、適正な労働時間を把握して従業員の健康確保を図ることであった。)、②課長職には月額4万円の役付手当が支給されていたこと、③亡Eは、ヤクルト関連会社の幹部の懇親を目的として行われるゴルフコンペにG会長とともに定期的に参加していたほか、G会長からゴルフ会員権の使用を委ねられ、ゴルフ場を自由に利用していたこと等の事情か10らすれば、亡Eは、名実ともに労基法41条2号の管理監督者であったというべきである。 【原告Aの主張】(ア) 労基法41条2号の管理監督者に該当するか否かは、①事業主の経営に関する決定に参画し、労働管理に関する指揮監督権限を認められてい15るかどうか、②自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有しているかどうか、③一般の従業員に比してその地位と権限にふさわしい賃金上の処遇を与えら に関する指揮監督権限を認められてい15るかどうか、②自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有しているかどうか、③一般の従業員に比してその地位と権限にふさわしい賃金上の処遇を与えられているかどうか、以上の3点から判断されるべきである。 (イ) これを亡Eについてみると、亡Eの被告会社における地位(総務課長)20は、部下が2名のみの、雑用もこなさなければならない立場の中間管理職に過ぎなかったものである。本件職務要件書をみても、総務課長は、経営に関する決定に参画するための具体的職務権限を一切与えられていなかったことが明らかである。本件職務要件書には、人事管理業務が記載されているが、その枢要部分は、被告Fが処理する業務として再分類25され、総務課長は、その補助を行うにとどまっていた。人事の採用計画13についても、総務課長には採用権限等一切なかった。労務管理業務についても、亡Eは、昇給や賞与額・賃金額の決定に関し何ら具体的権限を与えられておらず、その意思決定にも関与していなかった。課内管理業務についても、亡Eは、社員・ヤクルトスタッフ合計約350名を抱える被告会社において、たった2名の部下の労務管理すら被告Fの補助と5して行っていたものに過ぎない。 (ウ) 被告会社は、亡Eが重要な会議に参加していたと主張するが、いずれも否認する。人事労務委員会については、その議事録を見る限り、被告Fが独裁的に決定権を有しているに過ぎない。人事労務ミーティング及び管理部門会議については、議事録すら存在せず、亡Eがどのように関10与していたか及び関与の程度は不明といわざるを得ない。 (エ) 被告会社は、課長職を含む管理職は、出退勤について厳格な制限を受けていなかったと主張する。しかし、その根拠が明らかにされているとはい 与していたか及び関与の程度は不明といわざるを得ない。 (エ) 被告会社は、課長職を含む管理職は、出退勤について厳格な制限を受けていなかったと主張する。しかし、その根拠が明らかにされているとはいえない上、かえって、本件出勤簿をみる限り、亡Eの始業・終業時刻は、本件就業規則上のそれらと完全に一致している。 15(オ) 亡Eの年収は、400万円にも満たないものであった上、被告会社内部では、かねてより、課長以上と係長以下で収入の差がなくなっていることが人事労務委員会で指摘されていた。課長と係長との間で収入差がない状況では、課長の地位と権限に見合った待遇がなされていたとは到底いえない。 20ウ 割増賃金の基礎となる賃金について【原告Aの主張】割増賃金の基礎から除外される住宅手当とは、「住宅に要する費用に応じて算定される手当」をいい、住宅以外の要素に応じて定率又は定額で支給することとされている手当は、割増賃金の基礎から除外される住宅25手当には該当しない。 14被告会社の住宅手当(以下「本件住宅手当」という。)は、その給与規定の運用内規によれば、世帯主に月額1万4000円が支給され、独身者に月額5500円が支給されるものであり(ただし、社宅入居者には支給されない。)、賃料額やローン返済月額に応じて支給額されるものではないから、割増賃金の基礎となる賃金から除外されるべき手当とはい5えない。 【被告会社の主張】本件住宅手当は、割増賃金の基礎から除外されるべき手当というべきである。 エ 付加金請求の当否10【原告Aの主張】(ア) 被告会社は、平成29年4月頃、労働基準監督署から労働時間管理が不適切である旨の指摘を受けた。その当時、被告会社においては、日付の横に自身の印鑑を押すだけの出勤簿しかなく 【原告Aの主張】(ア) 被告会社は、平成29年4月頃、労働基準監督署から労働時間管理が不適切である旨の指摘を受けた。その当時、被告会社においては、日付の横に自身の印鑑を押すだけの出勤簿しかなく、原告D(当時の総務課長)が、改善案としてタイムカードの導入を提案したところ、被告Fは、15正確な労務時間管理をしようものならどれだけ残業代を支払わないといけないものかと言い、その導入を拒否したものである。被告会社は、そもそも従業員に正当に時間外手当を支給するという常識を持ち合わせておらず、法遵守の意識が欠如している。 (イ) また、第1事件の訴え提起に先立ち、原告Aが割増賃金の任意支払を20求めても、被告会社はこれに応じなかった。 【被告会社の主張】被告会社に労働基準監督署の調査が入ったことは事実であるが、指摘事項については、総務課長(当初は原告Dであったが、平成29年10月1日付け配置転換後は亡Eである。)を中心に対応策を検討し、改善策を施行25済みである。 15具体的には、新たな様式の出勤簿の使用を平成30年5月に開始するとともに、超過勤務手当の申請手続について改訂し、事前の申告と上長の許可とを原則とした。 ⑵ 第2事件ア 亡E関係5【原告A及び原告Bの主張】(ア) 業務等と精神障害(自死)との間の因果関係の有無亡Eは、令和2年10月頃にうつを発症し、同年▲月▲日にうつが原因で自殺したものであるが、次のとおりの業務による強い心理的負荷を受けていたものであるから、亡Eの精神障害の発症及び自殺については、10業務起因性が認められる。 a 長時間労働及び質量ともに加重な業務負担亡Eは、パソコンのログ記録が確認できる令和2年9月28日以降に限ってみても、恒常的に月100時間を超える長時間 、10業務起因性が認められる。 a 長時間労働及び質量ともに加重な業務負担亡Eは、パソコンのログ記録が確認できる令和2年9月28日以降に限ってみても、恒常的に月100時間を超える長時間労働に従事していたものである。 15また、亡Eは、令和2年7月以降、相応に心理的負荷が掛かる業務に従事していた(その具体的内容は、①従業員に新型コロナウイルス陽性者が出たことによる各種対応、②IP-FAXの交換等の全社的なシステム更新業務、③改正食品衛生法に基づくHACCPの考え方に沿った衛生管理を行うための内部監査体制の構築等である。)。 20b 上司である被告Fからの叱責(パワハラ)等加えて、亡Eが原告Cに送ったLINEトークの内容からすれば、亡Eが被告Fからパワハラを受けていたことが推認される。 また、亡Eは、部下であるH係長(以下「H係長」という。)からも、いじめを受けていることをLINEトークで原告Cに訴えており、心25療内科の問診時にも「部内のベテラン女性がきつい!!」と訴えてい16る。 (イ) 安全配慮義務違反(債務不履行)又は過失(不法行為)の有無被告F及び被告会社は、安全配慮義務(業務軽減義務及び職場環境配慮義務違反)に違反したものであるから、債務不履行責任を負うとともに、同義務違反は不法行為を構成するから、被告F及び被告会社は、不5法行為責任も負うものである。 (ウ) 損害の有無及び損害額別紙3「損害額一覧表(原告A関係)」及び別紙4「損害額一覧表(原告B関係)」記載のとおり。 【被告らの主張】10(ア) 被告Fが原告Cにパワハラを行った事実は存しない。原告A及び原告Bは、被告Fが亡Eにパワハラを行ったと主張し、亡Eの原告CとのLINEトークを多数引用しているが、具体 告らの主張】10(ア) 被告Fが原告Cにパワハラを行った事実は存しない。原告A及び原告Bは、被告Fが亡Eにパワハラを行ったと主張し、亡Eの原告CとのLINEトークを多数引用しているが、具体的に被告Fからどのような言動がなされ、なぜそれがパワハラに該当するのかの明確な主張はされていない。 15(イ) 亡Eのうつ病罹患及び自殺につき、業務起因性を認めた労災認定(以下「本件労災認定」という。)は誤りである。本件労災認定は、亡Eがうつを発症したのが令和2年10月であるとした上で、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事」として、亡Eが、「令和2年7月以降、①ヤクルトレディに新型コロナウイルス感染症陽性者が発生した20ことに伴う対応(令和2年8月2日から同月18日)、②FAX機、複合機、電話交換機、ビジネスフォンの老朽化に伴う入替・全社内ネットワークの光回線への一本化に伴う対応(令和2年7月以降)、③台風10号の被害に伴う対応(令和2年9月12日)、④HACCPの考え方に沿った衛生管理に伴う対応(令和2年9月14日以降)を行っており、発病25前1か月の時間外労働時間が前月と比し20時間以上増加し、45時間17以上となったことが認められる。」とする一方、業務以外の心理的負荷に顕著なものは認められないと判断して、亡Eの自死につき業務起因性を認定した。 しかしながら、本件労災認定では、亡Eがうつを発症したのが令和2年10月頃と認定されているものの、同じ10月であっても、同月195日以前に亡Eがうつを発症していたのであれば、直前1か月の時間外労働が前月比で20時間を超過することがなく、10月のいつ発症したかによって結論が異なるはずである。また、当時の亡Eの様子について、関係者が「改めてEさんの当時の様子 のであれば、直前1か月の時間外労働が前月比で20時間を超過することがなく、10月のいつ発症したかによって結論が異なるはずである。また、当時の亡Eの様子について、関係者が「改めてEさんの当時の様子を思い出すと、令和2年6月ころには、特に異変はかんじませんでしたが、同年9月以降から、私が冗談10を言った際の笑顔が以前と異なるようになりました。」と陳述していることに照らすと(甲26の3、17頁)、亡Eが令和2年9月の時点でうつを発症していた可能性すら否定できないはずである。 (ウ) また、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事」についても、本件労災認定では、「(令和2年)8月1日に発生したヤクルト15レディの新型コロナウイルス感染症陽性者発生を受け、対応にかかる打合せのため、所定休日である8月2日(日)出勤したことにより、令和2年7月27日(月)から同年8月7日(金)までの間において、12日間の連続勤務となったことが認められる。」とされているが、亡Eがヤクルトレディのコロナ感染に関し実質的に稼働していたのは、令和2年208月2日から同月5日までの4日間のみである。亡Eは、同年8月1日(土)に出社しているものの、ほとんどの時間をインターネットの私的閲覧に費やしていたから、たとえ翌2日(日)の所定休日に出勤したとはいえ、取り立てて連続勤務と言い立てるほどのものではない。また、αSCの消毒作業は、令和2年8月4日及び5日に行われ、亡Eも作業25に従事したものの、他の社員数名と作業を分担して行ったものに過ぎな18い。亡Eは、保健所とのやり取りも担当したが、感染者とのやり取り、顧客及びヤクルトレディへの説明、顧客と社内向けの文書や電話対応マニュアルの作成は、いずれも他の社員・役員にて行ったものであり、亡Eはい 亡Eは、保健所とのやり取りも担当したが、感染者とのやり取り、顧客及びヤクルトレディへの説明、顧客と社内向けの文書や電話対応マニュアルの作成は、いずれも他の社員・役員にて行ったものであり、亡Eはいずれにも携わっていないため、肉体的にも精神的にも亡Eに大きな負担が掛かっていたとはいえない。 5(エ) FAX機、複合機、電話交換機、ビジネスフォンの老朽化に伴う入替え・全社内ネットワークの光回線への一本化に伴う対応についても、亡Eの業務は、内部資料や契約書の作成が中心であった。専門性が高い業務は、全て業務課が担っていたのであって、亡Eが交換業務を主体的に行っていたわけではなかった。HACCPに沿った衛生管理に伴う対応10についても、被告会社に求められていたのは、HACCPの認証取得ではなく、飽くまでHACCPに沿った衛生管理の実施に過ぎなかったものであるから、そもそも大きなプレッシャーがあったものではない。これに関連して作成が必要となった作業手順書についても、本社提供のひな形(乙67)と実際に作成されたもの(乙68)とを比べれば、本社15提供のひな形をそのまま書き写した箇所が多いことは明らかであるから、その作成は、それほど困難性が高い作業であるとはいえない。しかも、作業手順書の作成は、「倉庫・冷蔵庫」「宅配」「直販ルート」それぞれに作成・構築する必要があったところ、令和2年2月の時点では、既に前二者の作業手順書は、ほぼ完成しており、あとは「直販ルート」の作業20手順書の作成を残すのみであったから、亡Eにおいて業務量のしわ寄せが来るという状況ではなかった。 (オ) 亡Eのうつ病罹患と自死は、被告会社における業務による心理的負荷に起因するものではなく、業務以外の私生活上の心理的負荷に起因するものであるものと考えられ、これを るという状況ではなかった。 (オ) 亡Eのうつ病罹患と自死は、被告会社における業務による心理的負荷に起因するものではなく、業務以外の私生活上の心理的負荷に起因するものであるものと考えられ、これを看過した本件労災認定の誤りは著し25い。 19すなわち、亡Eは、平成22年3月にI(以下「I」という。)と婚姻したが、子どもをもうけることなく平成29年3月に離婚した。Iは、平成31年3月に再婚した後、再婚相手との間で、2回にわたって妊娠している(ただし、いずれも流産に終わった。)。 亡Eにとって、Iとの離婚は不本意なものであり、社内で愚痴をこぼ5していた上、平成31年3月にIが再婚した事実を知ると、このことについても愚痴をこぼしており、相当ショックを受けていたように見受けられた。 その後、亡Eは、Iが妊娠したことも把握した。亡Eは、自分との間にはできなかった子どもが、Iの再婚相手との間にできたことに痛烈な10ショックを受けたようであり、令和2年春頃には、勤務態度が目立って粗暴となり、社内で社員に当たり散らすことが多かった。亡Eが自死前の令和2年11月28日に受診した諏訪ノ森クリニックのカルテには、Iとの離婚や子どもが出来なかったことが記載されている。このことは、令和2年11月28日時点においても、亡Eが、Iとの離婚に強い精神15的ストレスを感じており、それを精神科医に打ち明けたことを示している。 (カ) また、亡Eが自殺したのは令和▲年▲月▲日であるが、亡Eは、その2日後の同月12日(土)に行きつけの美容室に予約を入れていたから、予約を入れた時点では自殺を考えていなかったはずである。亡Eは、諏20訪ノ森クリニックを令和2年11月28日に初めて受診し、抗うつ剤セルトラリンの処方を受けて服用するようになっ 入れていたから、予約を入れた時点では自殺を考えていなかったはずである。亡Eは、諏20訪ノ森クリニックを令和2年11月28日に初めて受診し、抗うつ剤セルトラリンの処方を受けて服用するようになったところ、セルトラリンについては、同年11月28日の処方では1日25mgの処方であったが、2回目の同年12月5日の受診時に1日75mgに増量された。セルトラリンは、躁うつ病患者に躁転、自殺企画があわわれることがある25ものであり、亡Eの死亡の直接の原因は、セルトラリンの過剰服用によ20り自殺企図に陥ったことであると思われる。 (キ) 損害の発生及び損害額についても否認ないし争う。 特に、原告Bについては、亡Eと長年にわたり同居しておらず、同人との関係性も希薄であるため、固有慰謝料を認めるべき間柄とはいえない。 5イ 原告C関係【原告Cの主張】(ア) 事実経過原告Cは、被告会社の業務課において長年、IT関係の仕事に従事していたところ、平成24年に取締役として入社した被告Fから、本来は10原告Cの業務範囲には含まれないはずの新しい業務を担当するよう命じられた。 すなわち、被告Fが原告Cに命じた新業務は、「WBS(Work Breakdown Structure)」という抽象的なものであった。 これは、原告Cにとって初めて見聞きするものであったが、被告Fは「W15BS」の概念について抽象的に答えるにとどまり、その後は具体的な指示を行わず、原告Cが自ら調べてゼロから組み立てることを命じたことから、原告Cは、一から専門書を購入して一人で勉強しながら行わざるを得なかった。 その結果、原告Cは、本来の業務時間内に業務を完遂することができ20ず、残業をすることが多くなり、また自宅に専門書や資料を持ち帰って読 書を購入して一人で勉強しながら行わざるを得なかった。 その結果、原告Cは、本来の業務時間内に業務を完遂することができ20ず、残業をすることが多くなり、また自宅に専門書や資料を持ち帰って読み込んで資料の作成をするなど、業務時間が被告F入社前に比べて格段に増えていった。 そうしたところ、被告Fからは、重箱の隅をつつくような細かい記載漏れの指摘などの終わりのない修正指示が行われたり、原告Cが作成し25て提出した資料について、「Yahoo!知恵袋から盗んで作った資料で21はないか」と嫌みを言われたり、資料中に「長崎ヤクルト実績管理の背景について」という見出しを付けたところ、「「背景」は専門家が使う言葉です。あんたみたいな高卒が使うな。」と怒鳴られたり、報告の最中に突然机を握りこぶしで強く叩いて威嚇されるなど威迫的な態度を取られたりしたことから、原告Cは、段々と精神的に追い込まれ、平成24年58月13日に心療内科を受診した結果、神経症及び不眠症と診断され、同年10月20日付けで被告会社を退職することを余儀なくされるに至ったものである。 (イ) 安全配慮義務違反の存在被告F及び被告会社は、安全配慮義務(業務軽減義務)に違反したも10のであるから、債務不履行責任を負うとともに、同義務違反は不法行為を構成するから、被告F及び被告会社は、不法行為責任も負うものである。 (ウ) 損害の有無及び損害額別紙5「損害額一覧表(原告C関係)」記載のとおり。 15【被告らの主張】(ア) 否認ないし争う。WBSとは工程表のことであり、ある対象のプロジェクトや取組を工程に分解して管理しようというものであるから、WBSそのものが業務となり得るものではない。被告Fは、原告Cに対し、同人がやりたい取組がないかを尋ね、そ のことであり、ある対象のプロジェクトや取組を工程に分解して管理しようというものであるから、WBSそのものが業務となり得るものではない。被告Fは、原告Cに対し、同人がやりたい取組がないかを尋ね、その際、WBSの手法を紹介した20ものに過ぎない。 (イ) 被告Fは、原告Cから資料の提出を受けておらず、当然、修正指示も行っていない。被告Fが、原告Cと初めて接したのは、早くとも平成24年6月半ばのことであり、原告Cが退職届を提出した同年9月25日(乙A1)以降は、原告Cとの間では、やり取りそのものがなかった。 25その間は、約3か月間に過ぎなかったところ、被告Fが原告Cに会うの22も二週間に一度程度であり、被告Fが資料の修正・追加の指示を執拗に繰り返すだけの機会はなかった。 (ウ) 原告Cは、被告Fが退職の原因であると主張するが、被告F入社前から退職意向を複数回示しており、かねてより退職を検討していたものである。 5ウ 原告D関係(ア) 損害賠償請求関係【原告Dの主張】a 安全配慮義務違反(債務不履行)又は過失(不法行為)の有無(a) 被告Fによるパワハラ行為10原告Dは、平成9年に被告会社入社後、総務畑一筋で働き、平成21年からは総務課長を務めていた。平成24年に被告Fが入社してからは、被告Fが上司となった。 被告Fは、原告Dの仕事ぶりで気に食わないことがあれば、原告Dを自室に呼び出し、一、二時間にわたって説教することが頻繁に15あり、その際、被告Fが怒鳴り散らしたり、物を叩いて大きい音を出して威迫するなどのパワハラ行為も繰り返していた。 その詳細は、次のとおりである。 ① ToDoリスト・行動日報の作成原告Dは、被告Fの指示に基づき、出社後すぐにエクセルでT20oDoリスト 迫するなどのパワハラ行為も繰り返していた。 その詳細は、次のとおりである。 ① ToDoリスト・行動日報の作成原告Dは、被告Fの指示に基づき、出社後すぐにエクセルでT20oDoリスト(甲B4)を作成し、被告Fにメール送信するとともに、退勤前には、当日の業務内容を報告する「行動日報」(甲B6)を作成し、被告Fにメール送信していた。 そして、翌日、被告Fからは、行動日報の内容につき種々のダメ出しを赤ペンで書き加えられたものが返却されていたところ、25被告Fは、原告Dの仕事のやり方について事細かにダメ出しを行23い、原告Dを精神的に追い込んでいった。 ② 採用面接における質問事項の説明時の被告Fとのやり取り(平成28年2月3日)原告Dは、被告Fから、採用面接における質問事項を考えておくよう指示されたことから、平成28年2月3日、被告Fに対し、5原告Dが考えておいた複数の質問事項についての報告を行った。 その際、被告Fは、意味不明としか言いようがないダメ出し、揚げ足取りをひたすら繰り返して原告Dを侮辱した上、「お前は歯並びが悪いから、「失礼します」の最後の「す」が「すー」となっているから改善しろ。」などと差別的な発言をした。 10③ 職務要件書の作成に関する打合せ時の被告Fとのやり取り(平成29年1月24日)原告Dは、被告Fから、被告会社の全部署のポジションにおける業務内容、必要なスキル、経験等を記載する職務要件書の作成を指示されていたところ、作成をしては被告Fから修正が入り、15修正をしては被告Fからダメ出しを受けることが続いていた。 平成29年1月24日の打合せ時、被告Fは、原告Dに対し、「(このような細かいことを確認・指摘することが)パワハラなの?指摘したくねえんだけど」と嫌味を Fからダメ出しを受けることが続いていた。 平成29年1月24日の打合せ時、被告Fは、原告Dに対し、「(このような細かいことを確認・指摘することが)パワハラなの?指摘したくねえんだけど」と嫌味を述べた上、次第にヒートアップしていき、最終的に「一度けんかでもしてみるか」などと20述べて原告Dを威嚇した。 ④ 一般社団法人ヤクルト同仁協会(以下「同仁協会」という。)の稟議に関する被告Fとのやり取り(平成29年4月3日)同仁協会は、全国のヤクルトの職員が強制加入となる福利厚生のための組織である。職員が退職する時、同仁協会からは離職金25が支給されるが、被告会社においては、当該離職金が被告会社か24ら職員へ支払われる退職金の一部に充当されていた。 これに対し、当時、被告会社の職員から苦情申出がなされ、原告Dが改善方向での社内稟議を検討していたところ、平成29年4月3日、被告Fは、被告会社の退職金の支払が増えることに腹が立っていたのか、「どうしてそのような稟議を出すんだ」という5横やりを入れるとともにヒートアップしていき、原告Dに対し、理不尽ともいえる単なる言いがかりを散々繰り返した。その挙げ句、原告Dが「はい」と答えるのに対し、被告Fは、「何だその悪態は?そもそも、人を混乱させといて、謝れ」などと言いがかりを付けた上、「おい、お前喧嘩したいんだったら表出ようか。まじ10で。なんでそんな挑発してくると?」などと言いながら原告Dの左肩を小突いた上、自分の椅子の肘掛けを右手で殴り原告Dを威圧した。 (b) 長時間労働原告Dは、被告Fから降ってくる無理難題を処理するために業務15量が膨れ上がり、残業をしなければ業務を処理し切れない状況に陥った。 それでも、原告Dは、できるだけ他の職員から総務課長が残 原告Dは、被告Fから降ってくる無理難題を処理するために業務15量が膨れ上がり、残業をしなければ業務を処理し切れない状況に陥った。 それでも、原告Dは、できるだけ他の職員から総務課長が残業をしているところを見られないようにするため(自身が模範となるべく、なるべく残業をしないように心掛けていた。)、始業時刻より120時間以上早い午前7時20分頃には出社して仕事をして、帰りは午後6時30分頃に退社していた(すなわち、毎日2時間以上の残業をしていた。)。 (c) 被告会社及び被告Fの責任被告F及び被告会社は、安全配慮義務に違反したものであるから、25債務不履行責任を負うとともに、同義務違反は違法行為であること25から、被告F及び被告会社は、不法行為責任も負うものである。 b 損害の有無及び損害額別紙6「損害額一覧表(原告D関係)」記載のとおり。 【被告会社の主張】a 原告Dがパワハラ行為として列挙している被告Fの言動は、いずれ5も否認する。ToDoリストについては、被告Fが原告Dにタスク管理の方法として提案したことがあるにすぎず、作成を指示していない。 行動日報については、提出を受けてコメントを付したことはあるが、それは、原告Dから、被告Fとは対面したくないという申出・要望があったことから、直接のやり取りを減らす趣旨で行っていたものであ10って、双方合意の上でのやり取りであった。 b 平成29年1月24日の職務要件書の作成に関する打合せの様子、及び同年4月3日の同仁協会の稟議に関する被告Fとのやり取りの様子については、録音テープが証拠提出されているところ、一部に穏当でない被告Fの言動もみられるが、これは、原告Dが被告Fを憮然と15睨みつけたり、挑発的な発言をしたりすることにより生じたもの の様子については、録音テープが証拠提出されているところ、一部に穏当でない被告Fの言動もみられるが、これは、原告Dが被告Fを憮然と15睨みつけたり、挑発的な発言をしたりすることにより生じたもので、いわば原告Dが誘発したものというべきである。 (イ) 未払退職金請求関係【原告Dの主張】原告Dが、被告Fのパワハラ等により退職を余儀なくされたことに照20らすと、原告Dの退職は、実質的には自己都合退職ではなく会社都合退職であったというべきである。 よって、原告Dは、被告会社に対し、会社都合を前提とした退職金の額(711万5166円)と、実際に支給された退職金の額(500万円)との差額である211万5166円の退職金債権を有する。 25【被告会社の主張】26否認ないし争う。原告Dが退職するに至った経緯は、次のとおりであって、原告Dの退職は、被告Fの言動等とは無関係である。 すなわち、原告Dは、平成29年10月1日付けで総務課長から営業部化粧品課長に異動となり、同日付けで、亡Eが、営業部化粧品課長から総務課長に異動となったところ、①その頃、原告Dは、亡Eから、引5継ぎをめぐり、耐え難い暴言や罵声を執拗に浴びせられていたことに加え、②原告Dは、従前から部下職員のJ社員(以下「J社員」という。)にパワハラを行っていたところ、その頃、J社員の両親が被告会社を訪れ、息子が原告Dからのパワハラで精神を病み出社できないのだと亡Eらに訴えたことから(その後、J社員は復帰することなく被告会社を退10職した。)、原告Dが行っていたパワハラの詳細が社内において明るみとなったものである。 これらのことから、原告Dは、当時、感情的に対立していた亡Eや被告Fに自らの弱みを握られたことで、もはや被告会社内での立場がないと ていたパワハラの詳細が社内において明るみとなったものである。 これらのことから、原告Dは、当時、感情的に対立していた亡Eや被告Fに自らの弱みを握られたことで、もはや被告会社内での立場がないと考え、自ら退職したに過ぎない。 15第3 当裁判所の判断1 第1事件⑴ 時間外労働の有無及び時間ア 労基法32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の20指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではないと解するのが相当である(最高裁平成12年3月9日第一小法廷判決・民集54巻3号801頁)。 イ 始業・終業時刻について25(ア) 原告Aは、亡Eのパソコンのログ記録が残っていた令和2年9月2827日から同年12月9日までの期間について、本件ログ記録をもとに始業・終業時刻を特定しているところ、通常、亡Eのようなデスクワークをする労働者が、パソコンの立ち上げ(スリープ解除)と立ち下げ(スリープ)をするのは、出社時と退社時であることを経験的に推認できるので、本件において、本件ログ記録をもとに始業・終業時刻を特定することは5合理的である。被告会社は、本件出勤簿の記載よりパソコンのログ記録を優位に扱う根拠が不明であると主張するが、採用できない。 また、原告Aは、パソコンのログ記録が残っていなかった令和2年9月27日以前については、本件出勤簿(甲3)をもとに始業・終業時刻を特定するところ、出勤簿の性質からすれば、本件出勤簿をもとに始業・10終業時刻を特定することも合理的といえる。 (イ) ただし、始業時刻については、次の考 出勤簿(甲3)をもとに始業・終業時刻を特定するところ、出勤簿の性質からすれば、本件出勤簿をもとに始業・10終業時刻を特定することも合理的といえる。 (イ) ただし、始業時刻については、次の考慮が必要である。すなわち、原告Aは、本件ログ記録の記録及び本件出勤簿の記載時刻そのものを始業時刻であると主張するが、労働者が、出勤時、自らの朝の都合や遅刻等を避けるため、多少早めに出社することも一般的であることからすると、15所定の就業時刻前の時間を始業時刻として主張する場合(早出残業)には、使用者が明示的には労務の提供を義務付けていない始業時刻前の時間が、使用者から労働を義務付けられ、又はこれを余儀なくされ、使用者の指揮命令下にある労働時間に該当することについての具体的な主張立証が必要であると解するのが相当である。しかるに、本件においてこ20の具体的立証はないから、始業時刻は、本件就業規則のとおり午前8時30分と認めるのが相当である。 (ウ) なお、本件ログ記録の記録又は本件出勤簿の記載により始業・終業時刻を特定するものとしても、①原告Aの主張には、次のとおりの誤記があるので、これを補正するとともに、②本件出勤簿の記載についても、25その記載が誤記であると認められる次のとおりの日があることから、こ28れを修正すると、亡Eの始業・終業時刻は、別紙7のとおりと認められる。 a 誤記の補正(いずれも甲3による)(a) 令和元年5月23日(木)終業時刻21:15は、20:15の誤りである。 5(b) 令和元年9月3日(火)終業時刻18:50は、18:45の誤りである。 (c) 令和元年10月8日(火)始業時刻18:15は、8:15の誤りである。 b 本件出勤簿の修正10(a) 令和2年8月22日 終業時刻18:50は、18:45の誤りである。 (c) 令和元年10月8日(火)始業時刻18:15は、8:15の誤りである。 b 本件出勤簿の修正10(a) 令和2年8月22日(土)本件出勤簿上、退社時刻は午後4時30分と記載されているが、本件警備記録(甲20の2)によると、総務課のある本社3~5階の警備は、午後3時6分に開始されていることが認められる。同時刻以降、総務課内は無人であったことからすると、本件出勤簿にお15ける上記記載は、誤記であると認めるのが相当である。 したがって、同日の終業時間は、本件就業規則どおり午後0時(甲1)と認めるのが相当である。 (b) 令和2年9月3日(木)亡Eは、前日に令和2年9月3日は有給休暇を取得する旨申請し20ていたことが認められる(乙51)から、亡Eが同日出勤したものとは認められない。 (c) 令和2年9月7日(月)長崎に非常に強い勢力の台風10号が最接近した日であり、被告会社は、令和2年9月4日金曜日の時点で、週明け7日の月曜日を25出勤停止日としていたものと認められる(乙52)。 29したがって、亡Eが出勤したものとは認められない。 (d) なお、被告会社は、αSCにおいて消毒作業等が行われた令和2年8月4日(火)及び翌5日(水)についても本件出勤簿の記載が誤りであり、作業はそれより早く終わっていたと主張するが、その裏付けはない上、αSCから本社への移動時間も考慮すると、被告5会社の上記主張は採用できない。 (エ) ところで、原告Aは、本件警備記録によると、亡Eは、本件出勤簿に記載又は本件ログ記録に記録がある日以外の日にも出社していることが判明したことから、これらの日も出勤日と認めるべきである旨主張する。 しかしながら Aは、本件警備記録によると、亡Eは、本件出勤簿に記載又は本件ログ記録に記録がある日以外の日にも出社していることが判明したことから、これらの日も出勤日と認めるべきである旨主張する。 しかしながら、これらの日は、いずれも土曜日又は日曜日であるとこ10ろ、本件警備記録上、これらの日に亡Eが本社に出社したこと自体は明らかであるが、その多くは正確な滞在時刻が不明である(多くは、退館時間しか分からないため、原告Aは、本件就業規則上の始業時刻(午前8時30分)を始業時刻として主張している。)。 また、土曜日に関していえば、亡Eは、本件出勤簿において「土曜休15み」と記載していることが認められるところ(甲3)、原告Aの主張は、本件出勤簿の記載とも矛盾する。 更に、日曜日に関していえば、そもそも所定労働日に含まれていない日である上、土曜日も含め、亡Eが、社内においてどのような活動をしていたのか全く不明であることからすれば、総じて、原告Aの上記主張20は採用できず、本件警備記録のみをもって亡Eが残業、休日出勤等していたものと認めることはできない。 (オ) これに対し、被告会社は、亡Eは、業務用パソコンを使ってYouTubeの動画の視聴やショッピング・漫画のサイトの閲覧に興じ、いわゆる「ダラダラ残業」をしていたものである旨主張する。しかし、亡E25が、YouTube動画の視聴をしながら、いわゆる「ながら仕事」を30していた可能性や、仕事の合間合間にインターネットのサイト閲覧をしていた可能性も否定できない(よって、調査の結果判明したインターネットの閲覧時間の合計時間を労働時間から除外すべきである旨の被告らの主張は、採用できない。)。したがって、仮に、亡Eが「ダラダラ残業」を行っていたものとしても、上記認定を直ちに左右するもの ンターネットの閲覧時間の合計時間を労働時間から除外すべきである旨の被告らの主張は、採用できない。)。したがって、仮に、亡Eが「ダラダラ残業」を行っていたものとしても、上記認定を直ちに左右するものとはいえな5い。 ウ 休憩時間について(ア) 原告Aは、亡Eは、土曜日も含め毎日、昼食はG会長に同行しており、気が休まることがなかったものと思われることから、休憩時間も労働時間とすべきである旨主張する。 10しかし、本件全証拠によっても、亡Eが毎日、昼食をG会長と共に取っていたものとは認められない。仮に、亡EがG会長と共に昼食を取っていた日があったとしても、G会長から同行を強要されていた等の事情は全く認められないから、労働時間に該当するものとはいえない。 (イ) 他方、被告会社は、亡Eは、午後5時を過ぎると、近隣のコナミの駐15車場に停めていた自身の乗用車を被告会社の駐車場に移動させるため毎日20分程度外出していたほか、月に1回程度は、歯科診療のため席を外したりしていた旨主張するが、その裏付け立証はないから、証拠上認めるには足りない。 (ウ) なお、本件終業規則上、土曜日の所定労働時間は、午前8時30分~20午後0時の3時間30分であり、休憩時間は「なし」とされている(甲1)。しかし、亡Eが午後1時30分以降も勤務したと認められる土曜日については、月曜日から金曜日までと同様、亡Eは1時間の休憩を取得したものと認めるのが相当である。 (エ) 以上によれば、亡Eの出勤日における休憩時間は、別紙7記載のとお25りとなる。 31⑵ 管理監督者該当性の有無ア 被告会社は、亡Eは労基法41条2号の管理監督者に該当するところ、亡Eは、部下の人事考課等を行ったり、課内の予算計画を立てたりして、総務課内の管理監督業務 31⑵ 管理監督者該当性の有無ア 被告会社は、亡Eは労基法41条2号の管理監督者に該当するところ、亡Eは、部下の人事考課等を行ったり、課内の予算計画を立てたりして、総務課内の管理監督業務を行っていたと主張する。 この点、証拠(乙8、9、10~16)及び弁論の全趣旨によれば、①5亡Eが、部下2名と面談するなどして育成計画の策定をしていたこと、②当該面談に先立ち、上長として能力評価を行い部下2名と共有していたこと、③部下の定期昇給に際して成績評価を行っていたこと、④部下の昇進又は昇格推薦をしたこと、⑤部下の残業許可申請の拒否を判断していたこと、⑥部下が申請した休暇等について承認を行っていたこと等の各事実は10認められる。しかし、亡Eが一定範囲にせよ被告会社の人事について自らの裁量で決することができたことまでは認められない。また、証拠(乙18)及び弁論の全趣旨によれば、亡Eが総務課長として同課の予算策定を行った事実は認められるが、亡Eが経理権限を一手に掌握していたとか、一定範囲の出費について自らの判断で行う権限を与え得られていた等の事15情までは認められない。 かえって、後記のとおり、令和2年8月当時、亡Eは、自らでは処理仕切れない質・量の仕事を抱えており、同月29日、人事労務委員会において、「自分自身の業務が煩雑で、センターや託児の困りごと、修繕対応など、スピーディーに対応できない部分があるので、動きが取れる男性社員の増20員をお願いしたい。」と総務課への増員要求をしたが、当該要求は、棚卸が先であるなどして受け入れられなかったことが認められる。 イ 被告会社は、総務部を統括する部長職は存在せず、総務課の所管する人事管理や労務管理等の業務は、亡Eがトップの統括責任者であったと主張する。しかし、前任の総務 入れられなかったことが認められる。 イ 被告会社は、総務部を統括する部長職は存在せず、総務課の所管する人事管理や労務管理等の業務は、亡Eがトップの統括責任者であったと主張する。しかし、前任の総務課長(原告D)時代まで遡れば、後記のとおり、25取締役の被告Fが、原告Dの日々の仕事を相当細かく終始監督していたも32のであるから、被告Fが実質的には上司であったと認められ、これによれば、亡Eがトップの統括責任者であったとはいえない。 ウ 被告会社は、亡Eは、採用応募者の面接に社長や部長とともに同席し、採用決定をする会議にも参加するなど、被告会社の人事採用に深く関与していたほか、労働基準監督署との折衝にも当たり、各部署に対し、時間外5労働についての啓発と残業時間削減に向けた文書を発出するなど、従業員の勤務時間管理において主導的な役割を果たしており、総務課長として課内の管理監督業務を行うにとどまらず、被告会社全体の人事及び労務管理に関しても主要な役割を果たしていたと主張する。 しかし、上記は、いずれも総務課の掌握事務であるのであるから、亡E10が上記に携わっていることが、直ちに亡Eが管理監督者であることを裏付けるものとはいえない。また、本件全証拠によっても、亡Eが一定の人事権を与えられていたものとまでは認められないし、労務管理等の実質的権限が与えられていたものとも認められない。 エ 被告会社は、亡Eは、人事労務委員会、人事労務ミーティング及び管理15部門会議という重要な会議に出席し、社長や取締役らと席を並べて協議する立場にあり、被告会社の経営方針の策定にも深く参画していた旨主張する。 しかし、本件全証拠によっても、上記各会議において被告会社の重要事項が決定されていたものとまでは認められない。また、被告会社の経営上、 、被告会社の経営方針の策定にも深く参画していた旨主張する。 しかし、本件全証拠によっても、上記各会議において被告会社の重要事項が決定されていたものとまでは認められない。また、被告会社の経営上、20人事労務委員会、人事労務ミーティング及び管理部門会議が枢要を占めるものであると判断するに足りる事情も認められないことからすると、亡Eが上記各会議に出席していたことが管理監督者であることの裏付けとはいえない。 オ 被告会社は、亡Eが、被告会社において出退勤について厳格な制限を受25けていなかったと主張するが、その裏付けはない。被告会社は、課長職に33対しては、月額4万円の役付手当が支給されていることを指摘するが、証拠(乙29の5)及び弁論の全趣旨によれば、令和2年8月29日の人事労務委員会において、出席者から「K顧問が以前私案で言われていたことだが、正確な残業手当が支給されるようになってから、課長以上と係長以下、または係長・主任と一般社員との収入の差が無くなり、それぞれの仕5事に対するモチベーションの低下に繋がりかねないという事で、役職手当の見直しを検討されていた。自分もそう思うので役職手当の見直しをお願いしたい。」との発言があった事実が認められる。これによれば、被告会社においては、従前、従業員に対し適正な残業代を支払っておらず(このことは、乙2からも推認される。)、職員に適正な残業代を支払うと、課長以10上と係長以下で収入の差がなくなる実態にあったことが推認される。そうすると、上記役付手当の支給をもって管理監督者としてふさわしい待遇であるとはいえない。 カ 被告会社は、亡Eが、ヤクルト関連会社の幹部の懇親を目的として行われるゴルフコンペにG会長とともに定期的に参加していたほか、G会長か15らはゴルフ場の会員 わしい待遇であるとはいえない。 カ 被告会社は、亡Eが、ヤクルト関連会社の幹部の懇親を目的として行われるゴルフコンペにG会長とともに定期的に参加していたほか、G会長か15らはゴルフ場の会員権の使用を委ねられ、自由にゴルフ場を利用していたこと等の事情も指摘する。しかし、かねてより亡EがG会長と極めて親密な関係にあったことは、原告ら自らが自認するところであるから、これらは管理監督者であることの根拠事実とはなり得ない。 キ 以上によれば、亡Eが労基法41条2号の管理監督者に該当するものと20はいえない。 ⑶ 割増賃金の基礎となる賃金被告会社は、本件住宅手当は割増賃金の基礎から除外されるべきであると主張するが、被告会社の給与規定運用内規(甲11)第8条(4)によると、本件住宅手当は、世帯主に月額1万4000円が、独身者に月額5500円25が支給されるもの(ただし、社宅入居者を除く。)であり、賃料額等に応じて34支給されるものではない。 したがって、本件住宅手当は、割増賃金の基礎となる賃金から除外されるものではない。 ⑷ 以上を前提に、原告の賃金単価を計算すると、別紙8「裁判所 単価シート」記載のとおりとなるところ(甲2、弁論の全趣旨)、これをもとに割増賃5金を計算すると、別紙9「裁判所 金額シート」記載のとおりとなる。 ⑸ 付加金請求の当否ア 労基法114条において、裁判所が、労働者の請求により、労基法37条等の規定に違反した使用者に対し、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の10支払を命ずることができるものと定められているのは、労働者の保護の観点から、上記の割増賃金等の支払義務を履行しない使用者に対し、一種の制裁として経済的な不利益を課 か、これと同一額の付加金の10支払を命ずることができるものと定められているのは、労働者の保護の観点から、上記の割増賃金等の支払義務を履行しない使用者に対し、一種の制裁として経済的な不利益を課すこととし、その支払義務の履行を促すことにより上記各規定の実効性を高めるとともに、使用者による上記の休業手当等の支払い義務の不履行によって労働者に生ずる損害を填補する趣旨15に基づくものであるものと解される(最高裁平成27年5月19日第三小法廷決定・民集69巻4号635頁参照)。そして、付加金の支払を命ずるべきか否か、及び命ずるとした場合の金額を決定するに当たっては、使用者による労基法違反に至る経緯、その違反の内容や程度、労働者の不利益の内容や程度等の諸般の事情を総合的に考慮すべきであると解される。 20イ これを本件につきみると、被告会社は、課長職が管理監督者であるという認識の下、亡Eに対し割増賃金を支払っていなかったところ、亡Eが管理監督者に該当するといえないことは前記のとおりであるから、被告会社の取扱いは、労基法に違反するものである。証拠(乙2)及び弁論の全趣旨によれば、被告会社は、平成30年2月、長崎労働基準監督署から労基25法37条1項違反等により是正勧告を受けていたことも認められるところ、35被告会社が上記取扱いを精査して見直す契機もあったというべきである。 被告会社における労基法違反の態様は、決して軽微なものとはいえない。 その他、裁判所の裁量によって付加金を減額するのが相当というまでの事情は認められないことからすると、被告会社に対しては、亡Eの割増賃金と同額(ただし、除斥期間経過分を除くほか、法内残業部分を除く。)の付5加金の支払を命ずることが相当である。 2 第2事件⑴ 亡E関係ア 認定事実 告会社に対しては、亡Eの割増賃金と同額(ただし、除斥期間経過分を除くほか、法内残業部分を除く。)の付5加金の支払を命ずることが相当である。 2 第2事件⑴ 亡E関係ア 認定事実前提事実に後掲の各証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば、次の事実が認10められる。 (ア) 経歴亡Eは、平成6年に大学を卒業した後、大分県の会社に就職したが、長崎に帰郷して平成10年に被告会社に入社した。 亡Eは、平成12年6月1日付けで営業部化粧品課に配属となり、主15任、係長を経て、平成19年4月1日付けで同課の課長に昇任した。平成18年には同課の売上げが全国トップクラスになることがあり、被告会社が株式会社ヤクルト本社(以下「ヤクルト本社」という。)から表彰されたこともあった。営業部化粧品課時代の亡Eの業績には優れたものがあった。 20その後、亡Eは、平成29年10月1日付けで総務部総務課長に異動となり、稟議書作成、人事管理、労務管理、安全衛生、商品の衛生管理、資産保全等の業務に従事していた。 (以上、甲8、26、乙80、証人H)(イ) Iとの離婚25亡Eは、平成22年3月にIと結婚したが、亡E側の肉体的要因から36子どもをもうけられず、平成29年3月に離婚した。亡Eは、離婚半年前頃から、Iに交際相手がいるのではないかと疑い、このことを社内の同僚に相談したり、家庭内の不和を話したりすることもあった。また、亡Eは、子供ができないことにも悩んでいた。 (以上、証人L)5(ウ) 総務部総務課長への異動亡Eは、平成29年10月1日付けで総務部総務課長(事務職)に異動した。当該異動は、長年営業畑を歩んできた亡Eには畑違いの分野への異動であり、同僚等に愚痴をこぼすことはあったが、異動そのものは前 亡Eは、平成29年10月1日付けで総務部総務課長(事務職)に異動した。当該異動は、長年営業畑を歩んできた亡Eには畑違いの分野への異動であり、同僚等に愚痴をこぼすことはあったが、異動そのものは前向きに受け止めていた。 10なお、当該異動は、総務課長であった原告Dと入れ替わる形の異動であり、亡Eは、その頃、原告Dとの間で各種引継ぎを行った。亡Eと原告Dは、従前から折り合いが悪かったところ、上記引継ぎの際には、原告Dが引継ぎをうまく理解できないこと等に不満を有した亡Eが、原告Dに高圧的な態度で接したり、椅子を蹴り上げて怒鳴ったりすることが15あった。原告Dは、平成29年11月10日に退職届を提出し、同年12月18日付けで被告会社を退職した(ただし、原告Dの退職原因については、原告D関係において当事者間に争いがある。)(以上、乙78、79、証人L、証人H、原告D本人)(エ) 総務課長としての亡Eの仕事の様子20a その後、亡Eは、慣れない総務の仕事に悪戦苦闘しており、もと同僚であった原告Cに対しては、「潰れそうです」(平成29年12月19日)、「俺ももう限界です。精神的におかしくなってます。パソコンを見て分かるレベルではありませんね。20年も総務をやって来た人がパッといなくなるってとんでもない事でした。俺もなめてた訳では25ないですが、無理ですね。続ける気力も自信も無いです。」「出勤する37のが怖く、朝からハアハア言ってます。過呼吸と言うのかどうかわかりませんが。毎日仕事が出来ない夢を見て4時頃目が覚めて、それから朝まで眠れない日々を続けています。」(以上、平成30年3月19日)、「ほぼ引き続き0での総務課長の仕事の地獄さを誰もわかっていないと思います。」「ほんと、地獄です・・・」(以上、平成30年3月 ら朝まで眠れない日々を続けています。」(以上、平成30年3月19日)、「ほぼ引き続き0での総務課長の仕事の地獄さを誰もわかっていないと思います。」「ほんと、地獄です・・・」(以上、平成30年3月522日)等とのLINEトークを送信した。 (以上、甲8、13)b また、亡Eは、部下であるH係長から突き上げられていると認識しており、令和元年6月4日、原告Cに対し、「異動当初から俺に対する当たりがキツイんです。まぁ、それ以前からもキツかったんですけど10拍車がかかったみたいに・・・引継ぎもろくにされてない俺に対して、常にそんなこともわからないのか!っていうスタンスです」「俺が旦那(なお、H係長の夫は被告会社の取締役であった。)と折り合いが悪いから嫌ら(ママ)いなんじゃないですかね」などと愚痴をこぼすLINEトークを送信していた。 15(以上、甲8、13)c 亡Eが総務課長に就任した後、原告Dが総務課長であった時代に他部署に一時移管されていた総務課の掌握事務を総務課に戻す折衝が行われることがあり、一部の事務については総務課に戻されたところ、亡Eは、このことに強い拒否反応を示しており、その姿勢が高じて他20部署の職員と諍いを生じさせることもあった。亡Eは、自らが憤慨した際には、持っていた封筒を床に投げつけたり、ごみ箱を蹴ったり、激怒して相手に「外に出ろ」などと言うことがあった。 他方で、被告Fが総務課長の仕事の一部を亡Eから引き取ることもあった。 25(以上、乙79、証人L、証人H)38(オ) Iの再婚平成31年3月にIが再婚したが、亡Eは、Iの再婚が早すぎるのではないかと同僚に愚痴をこぼしたことがあった。 亡Eは、令和2年頃にはIが妊娠したことを聞き及び、周囲に「吹っ切れた」などと話して 平成31年3月にIが再婚したが、亡Eは、Iの再婚が早すぎるのではないかと同僚に愚痴をこぼしたことがあった。 亡Eは、令和2年頃にはIが妊娠したことを聞き及び、周囲に「吹っ切れた」などと話していたが、その話を聞いたLは、亡Eの本心ではな5いと思っていた。 (以上、証人L)(カ) うつ病発症前6か月の間の顕著な業務上の出来事後記のとおり、亡Eが受診した諏訪ノ森クリニックの医師は、亡Eのうつ症状の発現時期を令和2年10月と診断しているところ、うつ発症10前の6か月の間の顕著な業務上の出来事して、次のとおりのものがあった。 a 新型コロナウイルス感染症の陽性者発生への対応令和2年8月1日、αSCのヤクルトレディが新型コロナウイルス感染症に罹患したことが判明し、同月3日から5日までの3日間、急15きょαSCが休業することとなった。 そのため、亡Eは、同年8月2日(日曜日)の所定休日に出勤し、打合せに出席するなどして対応策を検討した。 亡Eは、保健所とのやり取り、αサービスセンターの消毒、アクリル板・体温計の購入手配、食事・喫煙時の注意喚起等の作業に従事し20たところ、前記のとおり所定休日に出勤したことから、その前後を通じて12日間の連続勤務となった。 (以上、甲26、乙79、被告F本人)b 社内インフラの更新作業への従事従前からの経緯として、被告会社の各拠点に導入されていたIP-25FAXは、老朽化が著しく機器の交換が急務であった。平成30年頃39には、NTT西日本から社内ネットワークのデジタル回線(光回線)への一本化も提案されていた。 そうしたところ、令和2年6月下旬に一部拠点のFAX機が相次いで故障したことから、デジタル回線(光回線)への一本化を前提とした各拠点の機器更新の タル回線(光回線)への一本化も提案されていた。 そうしたところ、令和2年6月下旬に一部拠点のFAX機が相次いで故障したことから、デジタル回線(光回線)への一本化を前提とした各拠点の機器更新の動きとなったところ、この検討には亡Eも加わ5った。 亡Eは、令和2年7月以降、複数の業者から見積書を徴求するなどし、同年9月16日には、亡Eが作成した資料をもとに社長説明が行われ、受注業者が決定された。 その後、令和2年9月に複合機が導入され、10月にFAX機が導10入され、11月には全拠点に納入が完了したところ、いずれも亡Eが主体的に関与していた。 (以上、甲26、乙79、証人H、証人P)c 改正食品衛生法に基づく衛生管理手法の構築令和元年にヤクルト本社により実施された食品品質監査の結果、被15告会社は「改善活動」を要することとなった。 具体的には、改正食品衛生法に基づくHACCPの考え方に沿った衛生管理を行うために、ヤクルト本社から提供される各種ひな形をもとに作業手順書を作成して内部監査体制を構築する必要があったものである。 20作業手順書の作成及び内部監査体制の構築は、「倉庫・冷蔵庫」「宅配」「直販ルート」それぞれに作成・構築する必要があったところ、亡Eが中心となってこれに従事した。 この作業は、令和2年3月、新型コロナウイルス感染症対策に当面注力することとなったために一時中断されたが、令和2年9月から再25開された。 40亡Eは、作業中断前の令和2年2月の時点で、「倉庫・冷蔵庫」及び「宅配」の作業手順書は、ほぼ完成させていた。しかし「直販ルート」については、後記の令和2年12月9日の社内会議の時点においても、なお全く手つかずの状態であった。 (以上、甲26、乙79、証人H) 配」の作業手順書は、ほぼ完成させていた。しかし「直販ルート」については、後記の令和2年12月9日の社内会議の時点においても、なお全く手つかずの状態であった。 (以上、甲26、乙79、証人H)5(キ) 亡Eによる増員要求亡Eは、令和2年8月29日、人事労務委員会において、「自分自身の業務が煩雑で、センターや託児の困りごと、修繕対応など、スピーディーに対応できない部分があるので、動きが取れる男性社員の増員をお願いしたい」と総務課への増員を要求した。しかし、業務内容の棚卸しが10先であるなどとして、当該要求は受け入れられなかった。 (以上、乙29の5)(ク) 令和2年11月16日のLINEトーク亡Eは、令和2年11月16日、Mに対し、次の内容のLINEトークを送信した。 15「原因は仕事だけです。 私生活はもう吹っ切れて、前を向こうと思ってますし、親を恨むのも違うかなって少しは思えるようになってきました。 ただ、仕事も離婚も大いに関係してる、なので、ソコだけは思いは消せないですね。 20Dくんもこんな感じでおかしくなったと思います。 今になって引き継ぎもろくにしないで逃げた理由も納得できます。 彼を責められないです。 あと、会長のお世話も最近凄くストレスです。 ただ、ひとつ言えるのは、自分は育成されていない、引き継ぎもろく25に受けてないので、仕事自体に自信もないし、勿論、やりがいもいまだ41に感じられません。内情を知るにつれ、単なる犠牲者だと。 前にも言いましたが、奥様(H)は結局、旦那の仇を取ってるんだと思います。まさか旦那が無能だとは知るよしもなく、優秀だとしか思ってないのでしょうから。そんな旦那に楯突いた俺が許せないんでしょう。 少しのミスも全て社長の前で突っ込んでき 、旦那の仇を取ってるんだと思います。まさか旦那が無能だとは知るよしもなく、優秀だとしか思ってないのでしょうから。そんな旦那に楯突いた俺が許せないんでしょう。 少しのミスも全て社長の前で突っ込んできます。社長と会長の関係こそ5増悪です。仲が悪すぎです。自分が一番会長に可愛がられているので気にくわないのかな?とも思ってます。K派が一掃され、次はG派の番なのかなと。自分はN派なんですが。」(以上、甲26)(ケ) 心療内科の受診10亡Eは、令和2年11月28日、諏訪ノ杜クリニックを受診したところ、うつ病と診断され、抗うつ剤セルトラリン等の処方を受けた。 なお、同クリニック医師は、亡Eのうつ症状の発現時期を令和2年10月頃と診断している。 (以上、甲22)15(コ) 原告B及び原告Cに対するLINEトークの内容a 亡Eは、令和2年11月24日、姉である原告Bに対し、「死のうかと思ったんで、回り(ママ)から勧められて病院に行ってきます。」「離婚の件に関しては、ある程度は気持ちの整理はついています。離婚の件は全く関係なくはないけど、原因は主に仕事の事です。」とのLIN20Eトークを送信した。また、亡Eは、その頃、実家を訪れた原告Bに対し、「総務に異動してから、引継ぎも全く受けない状態で頑張っているのに、社長がネチネチと自分のミスをつつき、それが耐え難い」という趣旨の話をした。 b 亡Eは、令和2年12月4日、原告Cに対し、「今日は薬が良く効い25てます。仕事量はどうにもならないですね。先が目に見えています」42(令和2年12月4日)とのLINEをトーク送信し、同月9日には、「薬のおかげで気持ちはもってますが、仕事はどうにもなりません」とのLINEトークを送信した。 (以上、甲8、13、32)( (令和2年12月4日)とのLINEをトーク送信し、同月9日には、「薬のおかげで気持ちはもってますが、仕事はどうにもなりません」とのLINEトークを送信した。 (以上、甲8、13、32)(サ) 自殺前日の社内会議5令和▲年▲月▲日、被告会社において会議(以下「本件社内会議」という。)が行われたが、これには亡Eも参加した。議題は、改正食品衛生法に基づくHACCPの考え方に沿った衛生管理、特に「直販ルート」の作業手順書についてであったが、前記のとおり、「直販ルート」の作業手順書の作成は、ほぼ手つかずの状態であった。亡Eは、会議の際、普10段とは異なる様相で、しきりに「すみません、すみません」と謝っていた。 (以上、証人H)(シ) 亡Eの自殺と発見経緯亡Eは、令和▲年▲月▲日、自宅2階のリビングにおいて、包丁で胸15を多数回刺して死亡(自死)した。 発見経緯は、次のとおりである。 すなわち、同日、亡Eが連絡もなく出勤していないことを知ったG会長は、これを不審に思い、もと亡Eの上司であり、当時、αSCにおいて会議中であったO(以下「O」という。)に連絡して急きょ同人を呼び20寄せた。 そして、G会長が、Oの案内のもと、Oともども亡Eの自宅に赴いたところ、1階で応対した亡Eの母である原告Aに対し、亡Eが無断欠勤していることを伝えたところ、午後2時過ぎ、原告Aが、2階の亡Eの自室において、仰臥の姿勢で倒れている亡Eを発見したものである。 25(以上、甲21、証人H、原告A本人)43イ 業務等と精神障害(自死)との間の因果関係の有無について(ア) 証拠(甲22の2)及び弁論の全趣旨によれば、亡Eにうつ症状が発現した時期は、令和2年10月頃であると認められるところ(もっとも、厳密なうつ 精神障害(自死)との間の因果関係の有無について(ア) 証拠(甲22の2)及び弁論の全趣旨によれば、亡Eにうつ症状が発現した時期は、令和2年10月頃であると認められるところ(もっとも、厳密なうつ発症時期の特定は、そもそも困難である。)、次の各事情を総合考慮すれば、亡Eは、精神障害の発病前おおむね6か月の間に業務に5よる強い心理的負荷を受けていたものと認められ、亡Eのうつ病の発症及び自殺の主たる原因は、業務上の負荷にあったものと認められる。 a 前記認定のとおり、亡Eが送信した各種LINEトークの内容からすれば、亡Eは、平成29年10月1日付けで総務課長に異動した後、慣れない仕事に悪戦苦闘していたことが明らかである。また、令和210年11月から12月にかけて亡Eが原告Bや原告Cに送信した前記認定のとおりのLINEトークの内容に加え、亡Eが令和2年11月28日受診した諏訪ノ森クリニックにおける亡Eの主訴(甲22)からすれば、総務課長に着任後、慣れない仕事に悪戦苦闘する状態は、亡Eが自殺する時点まで継続していたことが認められる。前記のとおり、15亡Eが令和2年8月29日に増員要求を行った事実も併せ考えれば、当時、亡Eが自ら処理仕切れない質・量の仕事を抱えていたことは優に推認されるところである。 b これを、亡Eのうつ発症前6か月間の業務につき具体的にみると、次のとおりである。 20すなわち、前記認定のとおり、亡Eは、通常の業務のほかに、①αSCにおいて職員(ヤクルトレディ)に新型コロナウイルス感染症の陽性者が発生したことへの対応(令和2年8月2日以降。なお、これに伴い、亡Eにおいては前後12日間(令和2年7月27日~同年8月7日)の連続勤務となった。)、②社内インフラの更新作業への従事25(令和2年7月以降) の対応(令和2年8月2日以降。なお、これに伴い、亡Eにおいては前後12日間(令和2年7月27日~同年8月7日)の連続勤務となった。)、②社内インフラの更新作業への従事25(令和2年7月以降)、③改正食品衛生法に基づく衛生管理手法の構築44(令和2年9月以降)等、当該内容からして相応の負荷が掛かるものと認められる複数の業務に従事していたことが認められる。そして、これに前記認定のとおりの亡Eの労働時間の状況(時間外労働時間数及びその推移。具体的には、別紙7及び9のとおり、令和2年8月の時間外労働時間数が50時間35分、同年9月が62時間7分、同年510月が85時間53分、同年11月が82時間52分である。)も併せ考えれば、客観的にみて、亡Eは、精神障害の発病前おおむね6か月の間に業務による強い心理的負荷を受けていたものと認めるのが相当である。 c 特に、改正食品衛生法に基づく衛生管理手法の構築は、同法に基づ10くHACCPの考え方に沿った衛生管理を行うために、ヤクルト本社から提供される各種ひな形をもとに、「倉庫・冷蔵庫」「宅配」「直販ルート」それぞれにつき作業手順書を作成して内部監査体制を構築する必要があるものであり、亡Eが担当していた。この作業は、新型コロナウイルス感染症対策に当面注力するため令和2年3月に一時中断さ15れたが、同年9月に作業が再開されたものである。亡Eは、作業中断前の令和2年2月の時点で、「倉庫・冷蔵庫」「宅配」の手順書は、ほぼ完成させていたが、「直販ルート」については手つかずの状態であった。ここで、亡Eが令和2年8月29日に正式に増員要求を行った事実によれば、当時、亡Eが自らでは処理仕切れない質・量の仕事を抱20えていたことが推認されることは前記のとおりであるところ、令和2年9月以降 、亡Eが令和2年8月29日に正式に増員要求を行った事実によれば、当時、亡Eが自らでは処理仕切れない質・量の仕事を抱20えていたことが推認されることは前記のとおりであるところ、令和2年9月以降は、これに「直販ルート」の作業手順書の作成及び内部監査体制の構築が加わったものである。客観的にみて、令和2年9月の作業再開により、亡Eにおける仕事内容及び仕事量には大きな変化があったものと認められる。また、「直販ルート」の作業手順書の作成に25関していえば、前記認定のとおり、作業再開後も、ほぼ手つかずの状45態が継続していたことに加え、亡Eが、令和2年11月16日、Mに対し「仕事自体に自信がない」などと訴えていることも加味すると、当該業務は、亡Eの経験や能力に照らし、相応の困難性を有する仕事であったことも推認される。 また、亡Eの自殺前日に行われた本件社内会議は、その議題が改正5食品衛生法に基づくHACCPの考え方に沿った衛生管理、特に「直販ルート」の作業手順書についてであった。このとき、当該作業手順書の作成は、ほぼ手つかずの状態であり、亡Eは、会議の際、普段とは異なる様相で、しきりに「すみません、すみません」と謝っていたものであるところ、このことからすれば、当時、「直販ルート」の作業10手順書の作成が、被告会社において重要な課題であったことも推認されるところである。 (これに対し、証人Hは、本件社内会議において亡Eが何に対して「すみません、すみません」と謝っていたのか、本件社内会議の参加者にも事情聴取したが分からないと証言しているが、不自然であるから採15用できない。むしろ、その翌日、G会長が亡Eの無断欠勤を知るや否や、αSCにおいて会議中であったOを急きょ呼び戻し、G会長自ら亡Eの自宅を訪問したことからすれば ているが、不自然であるから採15用できない。むしろ、その翌日、G会長が亡Eの無断欠勤を知るや否や、αSCにおいて会議中であったOを急きょ呼び戻し、G会長自ら亡Eの自宅を訪問したことからすれば、本件社内会議において亡Eに相当の心理的負荷が掛かる出来事があったのではないかとさえ考えられるところである。)20d これに対し、被告会社は、HACCPに沿った衛生管理については、令和2年2月の時点で、既に「倉庫・冷蔵庫」「宅配」の作業手順書は完成しており、あとは「直販ルート」の作業手順書の作成を残すのみであったから、亡Eにおいて業務量のしわ寄せが来るという状況ではなかった旨主張し、被告F本人及び証人Hも、これに沿う供述及び証25言をする。しかし、その主張内容は、前記認定のとおりの亡Eの各種46LINEトークの内容や、亡Eが令和2年8月29日に増員要求をしたこと、「直販ルート」の作業手順書の作成が、令和2年9月の作業再開後も、同年12月9日の本件社内会議の時点までほぼ手つかずの状態であったことと整合しないので、採用できない。 e なお、原告A及び原告Bは、亡Eが被告Fからパワハラを受けてい5たと主張する。 しかし、亡Eが被告Fからパワハラを受けていたことを認めるに足りる的確な証拠は存在しない。原告Cは、亡Eが心身に不調を来した理由として被告Fのパワハラを挙げるが、原告Cの供述は具体性に乏しく、原告Cの供述をもって亡Eが被告Fからパワハラを受けていた10ものとは認められない。 亡Eが原告Cに送ったLINEトークの中には、「とうとう自分にパワハラ始まりましたよー」「理不尽に突然キレられますね」との内容のものもみられるが(甲13の3)、被告Fの言動の具体的内容等の詳細は一切不明であるから、上記LINEトークの内 、「とうとう自分にパワハラ始まりましたよー」「理不尽に突然キレられますね」との内容のものもみられるが(甲13の3)、被告Fの言動の具体的内容等の詳細は一切不明であるから、上記LINEトークの内容から亡Eが被告F15からパワハラを受けていたと認めることはできない。 原告Bに対し、亡Eが「社長がネチネチと自分のミスをつつき、それが耐え難い」という趣旨の話をした事実も認められる。しかし、被告Fの言動の具体的内容等の詳細が一切不明であることは前同様であるから、上記話の内容から亡Eが被告Fからパワハラを受けていたと20も認められない。 f 被告らは、亡Eのうつ病罹患と自死は、被告会社における業務による心理的負荷に起因するものではなく、業務以外の私生活上の心理的負荷に起因するものであると主張するところ、具体的には、Iとの離婚や、Iの再婚・妊娠を、亡Eの私生活上の心理的負荷として指摘す25るものである。 47そこで検討すると、前記認定事実によれば、①亡EにとってIとの離婚は不本意なものであったこと、②亡EがIの再婚について大きなショックを受けていたこと、③亡Eが「仕事も離婚も大いに関係してる、なので、ソコだけは思いは消せないですね」とのLINEトークをMに送信していることは認められる。しかし、Iとの離婚は、そも5そも平成29年3月の出来事であり、Iの再婚も、平成31年3月の出来事であるから、これらは、うつ発症前から相当前の出来事であるというべきものである上、令和2年頃、亡EがIの妊娠を知ったとしても、もと妻が、再婚後に再婚相手との子どもをもうけることは通常容易に想定され得るところであるし、妻が再婚した以上、もと妻とや10り直すことも既に期待できないところであるから、もと妻の妊娠自体に亡Eが改めて大きな心理的 婚相手との子どもをもうけることは通常容易に想定され得るところであるし、妻が再婚した以上、もと妻とや10り直すことも既に期待できないところであるから、もと妻の妊娠自体に亡Eが改めて大きな心理的負荷を受けたものとも評価し難い。被告らは、亡Eは、自分との間にはできなかった子どもが、Iの再婚相手との間にできたことに痛烈なショックを受けたようであり、令和2年春頃には、勤務態度が目立って粗暴となり、社内で社員に当たり散ら15すことが多かったと主張するが、前記認定事実のとおり、亡Eには、普段から粗暴な言動がみられており、令和2年春以降、勤務態度が目立って粗暴となったとまで認めるに足りる証拠はない。仮に、そのような事実があったとしても、その理由がIの妊娠にあると断定する根拠も乏しいというべきである(むしろ、前記一連の事実経過等によれ20ば、亡Eが処理仕切れない業務量ゆえに過敏になっていたとも考え得るところである。)。 加えて、証拠(甲22)及び弁論の全趣旨によれば、亡Eは、令和2年11月28日、諏訪ノ森クリニック受診時、医師に対し、前任者から引継ぎを受けておらず、仕事の内容が分からないことや、部内の25ベテラン女性の対応がきついこと、仕事量が多く仕事が回らなくなっ48ており、どうしていいか分からないことをもっぱら訴えていたことは認められるが、Iとの離婚に伴う心理的負担を取り立てて訴えていたものとまでは認められない。そして、令和2年11月24日、原告Bに対し、亡Eが「離婚の件に関しては、ある程度は気持ちの整理はついています。離婚の件は全く関係なくはないけど、原因は主に仕事の5事です」とのLINEトークを送信していることも併せ考えれば、亡Eのうつ病罹患が業務以外の私生活上の心理的負荷に起因するものとは認められず、被告ら 件は全く関係なくはないけど、原因は主に仕事の5事です」とのLINEトークを送信していることも併せ考えれば、亡Eのうつ病罹患が業務以外の私生活上の心理的負荷に起因するものとは認められず、被告らの上記主張は採用できない。 g なお、被告会社は、亡Eの自殺が抗うつ剤セルトラリンの過剰服用によるものである旨主張する(その趣意は、必ずしも判然としないが、10亡Eの自殺について業務起因性を否定する趣旨の主張であるものと解される。)。 しかし、仮に、亡Eの自殺にセルトラリンの効用が関与したものとしても、前記のとおり、亡Eには診療内科受診前から自殺企図がみられているから、亡Eが精神障害を発症し自殺したとの認定は揺るがな15いし、前記のとおり、亡Eの自殺前日の本件社内会議において、亡Eが「すみません、すみません」と謝って普段と異なる様子であったことからすると、亡Eは、業務起因により発症したうつにより自殺したものと認められる。 ウ 安全配慮義務違反(債務不履行)又は過失(不法行為)の有無20(ア) 被告会社a 労働者が労働日に長時間にわたり業務に従事する状況が継続するなどして、疲労や心理的負荷等が過度に蓄積すると、労働者の心身の健康を損なう危険のあることは、周知のところである。労基法は、労働時間に関する制限を定め、労働安全衛生法65条の3は、作業の内容25等を特に限定することなく、同法所定の事業者は労働者の健康に配慮49して労働者の従事する作業を適切に管理するように努めるべき旨を定めているが、それは、上記のような危険が発生するのを防止することをも目的とするものと解される。これらのことからすれば、使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積 するのを防止することをも目的とするものと解される。これらのことからすれば、使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身5の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うと解するのが相当であり、使用者に代わって労働者に対し業務上の指揮監督を行う権限を有する者は、使用者の上記注意義務の内容に従って、その権限を行使すべきである(最高裁平成12年3月24日第二小法廷判決・民集54巻3号1155頁参照)。 10b これを本件につきみると、亡Eは、業務起因によりうつ病を発症して自殺したものであることは前記のとおりである。しかし、亡Eの状況が前記のようなものであったにもかかわらず、上司の立場にあり、亡Eに対し業務上の指揮監督を行う立場にあった被告Fは、亡Eは業務過多の状況ではないと見ていたのであるから(乙79、被告F本人)、15被告会社が上記注意義務を果たしていたものとはいえない。 そして、業務上強い心理的負荷を受ければ、心身共に疲労してうつ病に陥り、時には自殺に至ることは通常人にとって予見可能である上、仮に、被告会社において上記注意義務が果たされていれば、業務の量等を適切に調整するなどの措置が採られるなどして亡Eがうつ病に罹20患することを防止できたというべきであるから、被告会社の過失も認められる。 よって、被告会社は不法行為責任を負うものである。 (イ) 被告F原告A及び原告Bは、上司である被告Fとしても安全配慮義務を負う25と主張する。しかし、上司である被告F自身が安全配慮義務(債務不履50行)を負うことはないものと解するのが相当である。 また、被告Fが亡Eにパワハラ行為を行っていたとも認められないから、被 と主張する。しかし、上司である被告F自身が安全配慮義務(債務不履50行)を負うことはないものと解するのが相当である。 また、被告Fが亡Eにパワハラ行為を行っていたとも認められないから、被告Fが不法行為責任を負うこともない。 エ 損害について(ア) 原告A5別紙3「損害額一覧表(原告A関係)」記載のとおり。 (イ) 原告B原告Bは、亡Eの姉であるところ、証拠(原告B本人)及び弁論の全趣旨によれば、亡Eが大学に進学してからは同人と居を共にしたことはなく、亡Eとの関係性は希薄であり、亡Eとはごくまれに顔を合わせる10程度であったことが認められる。これによれば、原告Bと亡Eとの間に、民法711条所定の者と実質的に同視し得るような身分関係があったものとは認められない。 したがって、原告Bに固有慰謝料を認めることはできない。 ⑵ 原告C関係15ア 認定事実前提事実に後掲各証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば、次の事実が認められる。 (ア) 経歴原告Cは、平成6年4月1日に被告会社に入社し、同日付けで営業開20発部に配属となり、その後、業務課、情報処理課等を経て、平成21年4月から企画業務課の係長を務めていた。直属の上司は、当時、業務課長を務めていたP(以下「P課長」という。)であった。原告Cは、ネットワーク体系等の知識を有していたことから、被告会社内のシステム全般に明るかった。 25(以上、乙82、原告C本人、被告F本人)51(イ) 被告Fとの関わり被告Fは、平成24年4月に取締役として被告会社に入社したが、G会長の子息であり、社内においては、当時から被告会社の社長候補と目されていた。 被告Fは、入社後、被告会社の業務の全容を把握すべく、業務課関係5では、当時、 役として被告会社に入社したが、G会長の子息であり、社内においては、当時から被告会社の社長候補と目されていた。 被告Fは、入社後、被告会社の業務の全容を把握すべく、業務課関係5では、当時、業務課に所属していたP課長、原告C及びQから、被告会社の業務全般についてレクチャーを受けるなどしていた。被告Fは、こうして原告Cとの接点を有したものである。被告Fは、当時、専務であったK(同人は、その後社長に昇任したが、以下、平成24年当時の役職を冠して「K専務」という。)から、原告Cと一緒に何か新しいことを10してもらいたいとの提案を受けた。原告Cとしても、将来の社長候補と目される被告Fに認めてもらえるチャンスと考え、被告Fと一緒に仕事ができることに乗り気であった。 (以上、乙79、証人P、原告C本人、被告F本人)(ウ) その後のやり取り15このような経緯から、業務課による全般のレクチャーが一段落した平成24年6月25日以降、被告Fは、原告Cと一対一で打合せ等を行うようになったところ、原告Cに対しては、社内のシステム及びネットワークの構造を「見える化」したいと伝えるとともに、これに加えて何かやりたいことがあれば提案するように指示し、その後、2週間に1回程20度の頻度で打合せが行われた。 原告Cは、IT関連の検討課題を自ら提案し、当初、意気揚々、意欲的に被告Fとの打合せにのぞんでいた。しかし、次第に原告Cの様子に変化がみられるようになり、被告Fとの打合せ後、原告Cが落ち込んだり、被告Fの姿を見て敏感に反応するようになった。原告Cは、P課長25に対し、被告Fの資料添削が厳しく、一言一句細かく添削されており、52細かすぎて先に進むことが出来ずに対応に困っているとか、被告Fから質問されても答えることができない、回 告Cは、P課長25に対し、被告Fの資料添削が厳しく、一言一句細かく添削されており、52細かすぎて先に進むことが出来ずに対応に困っているとか、被告Fから質問されても答えることができない、回答に困って答え切れないと「何も考えていないのか」と叱責されるため、お手上げ状態であるなどの愚痴をこぼすようになり、次第に被告Fを避けるようになっていった。 (以上、甲29証人P、原告C本人、被告F本人)5(エ) 心療内科の受診原告Cは、平成24年8月、心療内科を受診したところ、不安神経症と診断された。 (以上、甲Aの1、原告C本人)(オ) 退職10原告Cは、その頃、被告会社を退職する意向を示し、平成24年10月20日付けで被告会社を退職した。 なお、原告Cは、被告F入社前から、K専務に対し退職意向を示すことが複数回あった。 (以上、乙79、乙A1、原告C本人、被告F本人)15イ 安全配慮義務違反(債務不履行)又は過失(不法行為)の有無(ア) 原告Cは、被告Fから本来の業務範囲外の新業務について終わりのない修正指示を受けていたところ、被告Fが原告Cに命じた新業務は「WBS(Work Breakdown Structure)」という抽象的なものであり、原告Cにとって初めて見聞きするものであったが、20被告Fは「WBS」の概念について抽象的に答えるにとどまり、その後は営業サポート業務についてのWBSについて検討するのみで具体的な指示をせず、原告Cが自ら調べてゼロから組み立てることを命じた上、「概念がダブっている」といった抽象的な指摘であったり、重箱の隅をつつくような細かい記載漏れの指摘などの終わりのない修正指示を行わ25れたことで、精神的に追い込まれていった旨主張する。 53しかし、WBSと 」といった抽象的な指摘であったり、重箱の隅をつつくような細かい記載漏れの指摘などの終わりのない修正指示を行わ25れたことで、精神的に追い込まれていった旨主張する。 53しかし、WBSとは、プロジェクト管理で用いられる手法に過ぎず、プロジェクトを細かな作業に分解、構造化することで、スケジュール管理やリソースの割当てを効率的に行えるようにするものであるから、被告FがWBSそのものを業務として命じたという原告Cの供述には疑問がある。また、WBSの仕組み自体は、上記のとおりであるところ、原5告Cは、数万円を自費で費やし書籍を沢山購入して勉強したと供述する一方で、WBSがどのようなものかを理解しておらず、このことからしても、被告Fが原告Cに対しWBSを新業務として命じたという原告Cの供述には疑問がある。 そして、原告Cの本人尋問の結果によっても、WBS関連で原告Cが10命じられたと主張する業務の内容が全く判然としないこと等からすると、被告Fは、その供述のとおり、原告に対しプロジェクト管理の方法としてWBSのフォーマットを見せるなどしたものに過ぎないものと認めるのが相当である。 原告Cは、被告Fから「概念がダブっている」といった抽象的な指摘15であったり、重箱の隅をつつくような細かい記載漏れの指摘などの終わりのない修正指示を行われた旨主張し、これに沿う供述をするところ、前記認定によれば、原告Cは、IT関連の検討課題を自ら被告Fに提案したことが認められる。しかし、原告Cの本人尋問の結果によっても、被告Fからの修正指示の具体的内容は全く判然としないのであるから、20仮に、被告Fによる何らかの修正指示があったとしても、それが業務上必要かつ相当な範囲を超えた指示であったものとは認めるには足りない。 証人Pも、原告Cが 的内容は全く判然としないのであるから、20仮に、被告Fによる何らかの修正指示があったとしても、それが業務上必要かつ相当な範囲を超えた指示であったものとは認めるには足りない。 証人Pも、原告Cが被告Fからパワハラを受けていたと証言するが、その具体的内容として述べる内容は、被告Fの資料の添削が厳しいことや、原告Cが考えたことについて、なぜそのように考えるのか被告Fから尋25ねられるというものに過ぎないから、これらがパワハラであるとは認め54られない。 (イ) 原告Cは、同人が作成して提出した資料について、被告Fから「Yahoo!知恵袋から盗んで作った資料ではないか」と嫌みを言われたり、資料中に「長崎ヤクルト実績管理の背景について」という見出しを付けたところ、「「背景」は専門家が使う言葉です。あんたみたいな高卒が使5うな」と怒鳴られたと主張し、原告C本人もこれに沿う供述をするところ、その内容は相当具体的かつ特異的なものであるから、被告Fは否認するが、被告Fがそのような趣旨の発言をしたこと自体は認められる。 しかし、原告Cの本人尋問の結果によるも、上記発言がなされた具体的状況、経緯等は全く判然としないから、当該趣旨の被告Fの発言をも10って直ちに原告Cの人格を否定する違法な発言とは認められない。 (ウ) 原告Cは、被告Fから、報告の最中に突然机を握りこぶしで強く叩いて威嚇されるなど威迫的な態度を取られたりすることがあったと主張するが、その裏付けはないから、直ちに採用できない。原告Cは、原告Dも同様の態様を受けていることから、原告Cの供述には信憑性がある旨15主張するが、後記のとおり、被告Fと原告Dは、直接の上司と部下の関係にあり、その関係性は、原告Cとのそれとは全く異なる上、被告Fと原告Dとの間には、被告Fから 原告Cの供述には信憑性がある旨15主張するが、後記のとおり、被告Fと原告Dは、直接の上司と部下の関係にあり、その関係性は、原告Cとのそれとは全く異なる上、被告Fと原告Dとの間には、被告Fからみて特有の確執もあったとみるべきである。また、後記のとおりの平成29年1月24日の職務要件書に関する原告Dとのやり取り、及び同年4月3日の同仁協会離職金の稟議に関す20る原告Dとのやり取りをみても、被告Fが、やり取りの最中、見境なく常に激高しているものでもないから(甲B1、B2の1)、原告Dに対する被告Fの言動等をもって、原告Cの供述の裏付けということはできない。 (エ) 以上によれば、原告Cは、被告Fと打合せを重ねる中で精神的に落ち25込み、心療内科を受診して不安神経症と診断されたものであるが、被告55Fからパワハラを受けていたものとまでは認められない。 また、被告Fが、業務により強い心理的負荷を受けていたものとも認められないことから、不安神経症の発症につき業務起因性があるものとも認められない。 (オ) 以上によれば、被告会社に安全配慮義務違反は認められず、被告Fも5不法行為責任を負わない。 ⑶ 原告D関係ア 認定事実前提事実に後掲の各証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば、次の事実が認められる。 10(ア) 経歴原告Dは、平成9年4月被告会社に入社後、同年10月1日付けで総務課に配属され、主任、係長を経て、平成24年4月1日付けで同課の課長に昇任した。すなわち、原告Dは、もっぱら総務畑を歩んできたものであった。 15(以上、甲16、乙81、原告D本人)(イ) 被告Fとの関わり平成24年に被告Fが取締役として被告に入社した当時、原告Dは、総務課長の職にあった。当時、総務部長は空席であった た。 15(以上、甲16、乙81、原告D本人)(イ) 被告Fとの関わり平成24年に被告Fが取締役として被告に入社した当時、原告Dは、総務課長の職にあった。当時、総務部長は空席であったから、取締役である被告Fが原告Dの上司であった。 20株式会社三菱総合研究所勤務を経て被告会社に入社した被告Fは、被告会社入社後、取締役として、社内の業務を整理・円滑化すべく各部門に対し色々なアイデアを出して合理化を進めようとしていた。被告Fは、総務部関係では、原告Dに対し、社内の人材育成につき総務課が先導することを求め、職務分掌を定めた職務要件書を作成するよう指示した。 25この取組に関し、被告Fとしては、第一段階として、各部門長に対する56ヒアリングを実施するなどして、職務分掌の大枠を確定させた上、第二段階として、業務ごとに求められる知識・技能をまとめたスキルシートを作成し、第三段階として、職務要件書とスキルシートを合体させて職務能力対応表を作成する算段を有しており、原告Dに対しては、第一段階における各部門長に対するヒアリングと総務課の大枠作り、第2段階5における総務課分のスキルシートの作成を指示した。 (以上、乙79、被告F本人)(ウ) 原告Dと被告Fとの関係性原告Dは、被告Fとの日々の業務のやり取りの中で、被告Fから、仕事のやり直しを指示されることが多々あった。また、被告Fに対する報10告においても、原告Dは、中途半端な説明では被告Fを納得させられず、理詰めで問い返されるが、被告Fを納得させられるだけの説明ができないことも多々あった。原告Dの仕事は、被告F入社後、必ずしもはかどっていなかったところ、原告Dは、このことにつき、被告Fから仕事のやり直し等を指示されることで完成できない仕事が溜まってしまい、 きないことも多々あった。原告Dの仕事は、被告F入社後、必ずしもはかどっていなかったところ、原告Dは、このことにつき、被告Fから仕事のやり直し等を指示されることで完成できない仕事が溜まってしまい、仕15事に余裕が無くなり追い詰められていると感じていた。また、原告Dは、被告Fによる修正指示等を事細かなダメ出しであるとも考えていた。そうして、原告Dは、次第に被告Fの上記態度等がパワハラであると考えるようになり、平成27年頃以降、親しかったK専務に対し、被告Fからパワハラを受けているなどと相談し、ときにはK専務が介入したこと20もあった。 これに対し、被告Fは、原告Dに対する被告Fの指示、態度等がパワハラであるとは全く考えておらず、K専務の介入にも憤慨した。かえって、被告Fは、原告Dの業務が一向にはかどらないため、原告Dの仕事を一部引き取るなどして鋭意フォローして来たのに、原告Dがこのこと25を理解せず、かえって被告Fの上司であるK専務に対し、被告Fのこと57を悪く言ったものであると認識し、原告Dのそのような態度を快く思っていなかった。また、被告Fは、原告Dが、被告Fに対して反抗的であるとも考えていた上、年下で新参者の被告Fに嫌がらせをしているとも感じていた(ただし、原告Dが被告Fに嫌がらせをしていたものと評価し得る根拠事実は認められない。)。 5(以上、甲15、16、乙79、原告D本人、被告F本人)(エ) 平成29年1月24日の職務要件書に関するやり取り原告Dは、平成29年1月24日、被告Fから作成を指示されていたスキルシートの作成状況について報告した。その際、被告Fは、これまで被告Fがスキルシートに種々の修正を行ってきたこと等を指摘しつつ、10どうせ取締役である被告Fが見る(点検する)からという甘 たスキルシートの作成状況について報告した。その際、被告Fは、これまで被告Fがスキルシートに種々の修正を行ってきたこと等を指摘しつつ、10どうせ取締役である被告Fが見る(点検する)からという甘えの姿勢があるのではないかと原告Dを追及した。原告Dが、被告Fから原告D自身では気付かないような指摘をされたことに言及すると、被告Fは、原告Dに対し「(そのような細かいことを確認・指摘することが)パワハラなの?指摘したくねえんだけど」と発言した上、原告Dがそのような態15度であれば、もう事務的な関わりしかできないと言いつつ次第に激高し、「一度けんかでもしてみるか・・・してやるよ、それだけすっきりすればすっきりするほど・・・、やってみる?」と言し、「いいです。」と答える原告Dに対し、「だって理由もなく、はぶてるんだろう。それって男らしくねえよ。俺もすっきりしない・・・。だってどういうつもりで・・・20赤入れをしてほしいの?俺の何日間を使わせて、赤入れをしてほしい?」などと発言した。 (以上、甲B1、B2の1、原告D本人、被告F本人)(オ) 平成29年4月3日の同仁協会離職金の稟議に関するやり取り同仁協会は、全国のヤクルトの職員が強制加入となる福利厚生のため25の組織である。職員退職時には、同仁協会から離職金が支給されるが、58被告会社においては、当該離職金が被告会社から職員へ支払われる退職金の一部に充当されていた。 上記のような離職金の取扱いに関し、被告会社の職員から苦情申出がされたため、原告Dは、これを改善する方向で社内稟議に掛けようと考えた。平成29年4月3日、原告Dが被告Fにその旨報告したところ、5被告Fは、「充当をやめるということはここに書かないでくれる」などと言いながら、原告Dに対し、稟議の内容を問 稟議に掛けようと考えた。平成29年4月3日、原告Dが被告Fにその旨報告したところ、5被告Fは、「充当をやめるということはここに書かないでくれる」などと言いながら、原告Dに対し、稟議の内容を問い質した。被告Fは、その際、端的かつ簡潔に稟議内容を論理的に説明できなかった原告Dに対し、「しっかり説明しろよ」と言い、被告Fの面前で無言となった原告Dに対し、「何だその態度は、そもそも人を混乱させといて、謝れ。」と言い、10「今の悪態も・・・表出るか・・・おい、おい、何だその反抗は、何なんだよ。はあとか、はいとか・・・しっかり説明しなかったのはおまえだろう。間違ったことを言ったのはおまえだろう。で、何だその態度は」と言った。被告Fは、「立ってるだけです」と答える原告Dに対し、「何や、立ってるだけって。何や。反抗して俺に言ってきたよ・・・反抗し15てきた・・・」「おまえが間違った説明したよ、理解せずに何を稟議しようとかもう書いてない、説明せずにさ、どうしようとしたの?そうでした、こう指摘した、はあ、はあ?ってか。それで、その後のその態度、何挑発してる・・・行こうか、暴力的に・・・挑発されて、・・・けんか売ってきて・・・何その挑発する・・・」「いいですって思いっきりおま20えが売ってきたやろ、けんか、どうしてくれんだよ、この俺の怒りは。 おまえが挑発するから、反抗するから、ごねるから・・・」などと言いつつ、ひじかけを殴り、原告Dの左肩を小突いた(しかし、その後、被告Fは、すぐに落ち着きを取り戻し、「今すごいこづいたこと後悔してるよ」などと言った。)。 25(以上、甲B1、B2の2、原告D本人、被告F本人)59(カ) 行動日報の添削等被告Fは、原告Dに日々行動日報を提出させていたが、原告Dがパワハラ申告をしていたた 言った。)。 25(以上、甲B1、B2の2、原告D本人、被告F本人)59(カ) 行動日報の添削等被告Fは、原告Dに日々行動日報を提出させていたが、原告Dがパワハラ申告をしていたため、原告Dと直接会ってやり取りを行うことを可及的に避けるため、提出された行動日報については、赤字でコメントや指示を書き入れて原告Dに返していた。 5そのコメント等の中には、「テンプレがあって単なる作業の仕事はなるべく時間をかけずに済ましたい 単なる作業仕事はスピードが質と知れ」「サボっても良い事は一つもない」(以上、平成29年7月18日。以下の日付に関し、年は平成29年である。)、「朝からお茶を濁すような作業をしてはいけません。改めてください。」(以上、7月19日)、「意味不10明」「?」(以上、7月21日)、「多様な採用って何すか?」「で?」「主語、述語、目的語を明確に。文章意味通じず。。何買ったんすか?ビジネス文書を勉強したほうが良さそうだ。今後自身の文章を見直す際は、ビジネスに相応しい文章となっているかを確認して欲しい。」(以上、7月29日)、「考えって何すか?20分なんだから書き出すのだけで終えて15るのでは?意欲の問題では?この程度(20分)やったぐらいで「一生懸命やってます。」とは言えない(以上、8月4日)、「何故ToDoに出てこないの?ToDoに出てこないような職務に3hもかけてはいけません」「時間かかるか事前に分かりそうなもんだが。。。」「一カ月も前から、長期的ToDoとしてなら1年前からの作業であって、数日前まであま20り作業せず、直前にあいまいな言い訳をしてはいけません。勉強するなり、リサーチするなり、相談するなりやれることはたくさんあった。直前まで手をつけないのだから「頑張ったけどできませんで であま20り作業せず、直前にあいまいな言い訳をしてはいけません。勉強するなり、リサーチするなり、相談するなりやれることはたくさんあった。直前まで手をつけないのだから「頑張ったけどできませんでした」は通じません。」(以上、8月7日)、「内容の報告がないぞ。このような大事なことを報告せずして何を報告するのか?」(以上、8月24日)、「何故T25oDoになかったのか?そんなに優先順位が高いのか?答えよ。」(以上、608月25日)、「早く、早く」(以上、8月28日)、「無駄に悪態ついたことを反省して」「これの報告あった?中身何?説明せよ」「意味不明、説明せよ」「メールでやり取りではなく?そして何故夕方に報告が来るのか?」「報告前に着手してるのは何故?順番おかしくないか?意図を説明せよ。」「早よ、早よ」(以上、8月29日)、「早よ、早よ、早よ」(以上、58月31日、9月1日、同月4日)、「意味わからんので説明求む」(以上、9月8日)などのコメントが含まれていた。 (以上、甲B4、B6、原告D本人、被告F本人)(キ) 平成29年10月1日付けでの異動原告Dは、平成29年10月1日付けで、亡Eと交代する形で営業部10化粧品課長への異動を命じられたが、これは、長年、総務畑を歩んできた原告Dには不本意な人事であった。 その後、亡E及び原告D間で引継ぎ等が行われたが、もともと亡Eと原告Dとの関係性は悪かった上、当該引継ぎにおける原告Dの対応に不満を有した亡Eが、原告Dに高圧的な態度で接したり、椅子を蹴り上げ15て怒鳴ったりすることがあった。 (以上、乙78、79、証人L、証人H、原告D本人、被告F本人)(ク) 部下からのパワハラ申告及び同部下の退社平成29年10月中旬頃、総務課時代に原告Dの部下であ 鳴ったりすることがあった。 (以上、乙78、79、証人L、証人H、原告D本人、被告F本人)(ク) 部下からのパワハラ申告及び同部下の退社平成29年10月中旬頃、総務課時代に原告Dの部下であったJ社員が出社しなくなった。その頃、J社員の親が被告会社を訪れ、亡Eらに20対し、J社員が上司である原告Dから種々のパワハラを受けたことにより、これに耐えられずに出社できなくなったことを訴え、J社員が原告Dから受けたパワハラの内容を記したメモを手渡した。原告Dとしても、J社員に対する指導に厳しいときがあったことは自覚していた。その後、J社員からは、原告Dが異動になることを前提としても、原告Dと一緒25の会社では仕事ができないため退職したい旨の意向が示され、J社員は、61そのまま復帰することなく退社した。 (以上、乙79、乙B7、原告D)(ケ) 退職原告Dは、平成29年11月10日に自己都合退職の退職届を提出し、同年12月18日付けで退職した。 5(以上、乙B1)イ 主位的請求について(ア) 安全配慮義務違反(債務不履行)又は過失(不法行為)の有無a 平成29年1月24日の職務要件書に関するやり取りについて被告Fは、かねてより原告DがK専務に被告Fの指示、態度等がパ10ワハラであると相談していることを暗に指摘しつつ、原告Dが被告Fの指示等をパワハラだと受け取る態度であれば、被告Fとしては、事務的な関りしかできないと言いつつ次第に激高し、「一度けんかでもしてみるか・・・してやるよ、それだけすっきりすればすっきりするほど・・・、やってみる?」などと発言したものである。この点、「一度15けんかでもしてみるか・・・してやるよ」などの暴力を示唆する発言は、業務上明らかに必要性のない言動で、かつ、相手 っきりするほど・・・、やってみる?」などと発言したものである。この点、「一度15けんかでもしてみるか・・・してやるよ」などの暴力を示唆する発言は、業務上明らかに必要性のない言動で、かつ、相手方に精神的苦痛を与える言動であるから、被告Fの上記言動は、原告Dに対するパワハラに該当するものと判断すべきである。 b 平成29年4月3日の同仁協会離職金の稟議に関するやり取り20原告Dとしても、上司である被告Fに対し、稟議の内容を端的かつ簡潔に説明できなかったことは認められる。しかし、上司である被告Fが、部下である原告Dに対し、「何だその態度は、そもそも人を混乱させといて、謝れ。」などと、説明が的確でなかったことにつき謝罪を要求することが指導とはいえず、原告Dが稟議の内容を端的かつ簡潔25に説明できなかった等の経緯を踏まえても、被告Fの上記言動は、業62務の目的を大きく逸脱した言動であると認められる。 また、被告Fは、原告Dの態度が反抗的であると思い、「表出るか」などと暴力を示唆する発言を行った上、現実に原告Dの左肩を小突くなどしているところ、証拠(甲B1及び2)及び弁論の全趣旨によれば、当時、原告Dは黙りがちで、全く激高などしていなかったことが5認められる。そうすると、当時、被告Fが一方的に激高したもので、これらも業務の目的を大きく逸脱した不法な有形力の行使と認められる。 以上によれば、被告Fの上記言動は、原告Dに対するパワハラに該当するものと判断される。 10c これらに対し、被告らは、上記a及びbのような被告Fの不穏当な言動等は、このとき原告Dが被告Fを憮然と睨みつけたり、挑発的な発言をしたりすることにより生じたものであり、原告Dが誘発したものである旨主張する。しかし、証拠(甲B1及び2)及び弁論 告Fの不穏当な言動等は、このとき原告Dが被告Fを憮然と睨みつけたり、挑発的な発言をしたりすることにより生じたものであり、原告Dが誘発したものである旨主張する。しかし、証拠(甲B1及び2)及び弁論の全趣旨によれば、前記やり取りの際、原告Dが被告Fを挑発等した事実は15認められないから、被告らの上記主張は採用できない。 d 行動日報の添削について被告Fは、原告Dに対し、日々行動日報を提出させていたものであるが、前記のとおり、原告Dの仕事が必ずしもはかどっていなかったことからすれば、上司である被告Fが、部下である原告Dに対し、行20動日報の提出を求めること自体がパワハラとはいえない。また、被告Fが原告Dに対し、優先順位を考えて仕事をすべきことや、自分の仕事をマネジメントすることの必要性、上司に対する報告の必要性等を教示すること自体は、業務上必要な指示というべきである。 しかしながら、被告Fが行動日報に付していた前記認定のとおりの25コメントは、仮に、その一部につき内容自体は正当とみる余地がある63ものが含まれていたとしても、極めてぞんざいな文調のものや、原告Dが仕事をサボっているとか、悪態をついているなどと決めつけ原告Dを侮辱するもの等が多数含まれている。前記のとおり、原告Dの仕事が必ずしもはかどっていなかったことや、被告Fがコメントを付して返すようになったのは、原告Dがパワハラ申告をしていたため、原5告Dとの対面でのやり取りを避けようとする被告Fの意図があったこと等を踏まえても、上記コメントの内容、文調に加え、その頻度等を併せ考えれば、被告Fによるコメントバックは、総じて、被告会社における20年近い原告Dのキャリアを全否定し、その人格を攻撃する叱責のための叱責等の域に達するものと評価すべきものであり、社 の頻度等を併せ考えれば、被告Fによるコメントバックは、総じて、被告会社における20年近い原告Dのキャリアを全否定し、その人格を攻撃する叱責のための叱責等の域に達するものと評価すべきものであり、社会10通念に照らし許容される範囲を超える言動と認めるのが相当である。 上司である被告Fから上記のとおりのコメントを頻繁に受けとることにより原告Dが被った精神的苦痛には相応のものがあったであろうことも容易に推認されるところであるから、被告Fによる前記認定のとおりのコメントバックは、総じて、原告Dに対するパワハラに該当す15ると判断すべきである。 e 責任原因等(a) 被告F以上によれば、被告Fは、原告Dに対しパワハラ行為を行ったものであるから、これについて不法行為に基づく損害賠償義務を負う20ものの、上記各パワハラ行為後、第2事件の訴え提訴日である令和4年10月14日までには既に3年以上が経過している。したがって、被告Fのこの債務については、消滅時効が完成しており(平成29年法律第44号による改正前の民法724条前段)、時効援用の意思表示が行われたことも前記のとおりであるから、確定的に消滅25した。 64なお、被告F自身が原告Dに対し安全配慮義務(債務不履行)を負うことはないと解するのが相当である。 (b) 被告会社使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をする義務を負う5が(労働契約法5条)、さらに、労働遂行に関連して労働者の人格的尊厳を侵しその労務提供に重大な支障を来す事由が発生することを防ぎ、又はこれに適切に対処して、職場が労働者にとって働きやすい環境を保つよう配慮する注意義務を負うものと解される。 しかるに、原告Dに対しては その労務提供に重大な支障を来す事由が発生することを防ぎ、又はこれに適切に対処して、職場が労働者にとって働きやすい環境を保つよう配慮する注意義務を負うものと解される。 しかるに、原告Dに対しては、取締役である被告F自らがパワハ10ラを行ったものである上、前記認定事実によれば、K専務においても、従前から原告Dからパワハラ申告を受けており(ただし、その時点において被告Fがパワハラを行っていたものとは認められない。)、上司である被告Fと部下である原告Dの確執等を認識していたものと認められることからすれば、被告会社は、上記義務に違反15したものといえ、原告Dに対し債務不履行責任を負う。 なお、被告会社のこの債務は、債権者から履行の請求を受けたときに初めて遅滞に陥ることから、遅延損害金の起算日は、被告会社に対する第2事件の訴状送達日の翌日とすべきである。 f その他の原告Dの主張について20(a) 原告Dは、被告Fは、原告Dの仕事振りで気に食わないことがあれば、原告Dを自室に呼び出し、一、二時間にわたって説教することが頻繁にあり、その際、被告Fが怒鳴り散らしたり、物を叩いて大きい音を出して威迫するなどのパワハラ行為を繰り返していたと主張し、原告D本人もこれに沿う供述をする。しかし、前記認定以25外に、被告Fが、怒鳴り散らしたり、物を叩いて大きい音を出して65威迫するなどしていたことの裏付けはなく、直ちには採用し難い。 また、原告Dは、長時間説教されることが頻繁にあったと主張するが、その具体的内容は判然としないから、被告Fの言動がパワハラであったと認めるには足りない。原告D自身、説明力がないゆえに取締役を説得できる自信がないことを自認しているのであるから、5仮に、打合せ等が長時間に及んだことがあったとしても Fの言動がパワハラであったと認めるには足りない。原告D自身、説明力がないゆえに取締役を説得できる自信がないことを自認しているのであるから、5仮に、打合せ等が長時間に及んだことがあったとしても、そのことをもって直ちにパワハラとはいえない。 原告Dは、被告Fから「40歳のおっさんが仕事のモラトリアムが欲しいのか?」「健忘症か認知症じゃないの?」などと侮辱されたと主張するが、裏付けはない。仮に、そのような言動が一部認めら10れたとしても、その前後の文脈は明らかでないから、その一片の言葉のみをとらえてパワハラと認めるには足りない。 (b) 原告Dは、平成28年2月3日に被告Fに対し採用面接における質問事項を説明した際、被告Fから意味不明としか言いようがないダメ出し、揚げ足取りをひらすら繰り返されたと主張するが、その15具体的発言の内容、状況等の詳細は判然としないから、パワハラと認めるには足りない。 また、原告Dは、その際、被告Fから、「お前は歯並びが悪いから、「失礼します」の最後の「す」が「すー」となっているから改善しろ。」などと差別的な発言をしたと主張するところ、被告F本人は否20定する供述をするものの、原告Dの上記主張は、相当具体的かつ特異的なものであるから、被告Fがそのような趣旨の発言をしたこと自体は認められる。しかし、当該発現の具体的内容、それがなされた状況等の詳細は全く不明であるから、当該発言の一片を取りあげて、差別的な発言と直ちに評価することはできず、原告Dの上記主25張は採用できない。 66(c) 原告Dは、被告Fから降ってくる無理難題を処理するために業務量が膨れ上がり、残業をしなければ処理仕切れない状況に陥ったと主張する。しかし、被告Fの修正指示が業務上明らかに必要な範囲を超えた指示 ) 原告Dは、被告Fから降ってくる無理難題を処理するために業務量が膨れ上がり、残業をしなければ処理仕切れない状況に陥ったと主張する。しかし、被告Fの修正指示が業務上明らかに必要な範囲を超えた指示であったと認めるに足りる的確な証拠は存在しないから、原告Dの上記主張も採用できない。 5(d) その他、原告Dは、被告Fから被告会社の機器導入時に複数の業者から相見積りを取得させられたことを含め、るる主張するが、いずれもパワハラとは認められない。 (イ) 損害の有無及び損害額a 逸失利益及び差額退職金について10原告Dは、被告Fのパワハラが原因で退職を余儀なくされた旨主張する。しかし、被告Fが、原告Dの平成29年10月1日付け異動により直属の上司から外れたにもかかわらず、原告Dがその後に退職したというのは不自然であることに加え、原告D自身、その陳述書や原告本人尋問において、被告会社を退職した決定的な理由として、平成1529年10月1日付け異動による総務課長から営業部化粧品課長への配置転換及び賞与査定の切り下げを挙げていること(甲16)からすれば、原告Dの、被告Fのパワハラが原因で退職を余儀なくされた旨の主張には大きな疑問がある。 加えて、前記のとおりの平成29年10月1日付けの営業部化粧品20課長への異動は、長年総務畑を歩んできた原告Dには畑違いの分野への異動で、そもそも不本意な異動であったことや、原告Dが平成29年11月10日に退職届を提出する直前には、従前から確執のあった亡Eから、引継ぎをめぐって罵倒されるなどしていたこと、これらに加えて、その頃、原告Dによる部下職員のJ社員に対するパワハラの25詳細が明るみとなり、J社員が退職することとなったこと等の出来事67があったことからすれば、原告Dが、被 いたこと、これらに加えて、その頃、原告Dによる部下職員のJ社員に対するパワハラの25詳細が明るみとなり、J社員が退職することとなったこと等の出来事67があったことからすれば、原告Dが、被告Fによるパワハラとは別に、将来を悲観して退職の決意を固めたとみる余地も十分あるのであるから、原告Dが被告Fのパワハラが理由で退職したと認めるには足りない。 原告Dの不本意な人事異動につき、原告Cは、被告Fのパワハラが5原因の異動であると見ており(甲22の診療録上の主訴参照)、被告F自身も、当該異動には原告Dとの人間関係も関係していたのではないかと推察しているが(被告F本人)、前記のとおり、原告Dの総務課長としての仕事がはかどっていなかったこと等の事情によれば、もっぱら被告Fのパワハラが理由で当該人事異動が行われたものとまでは認10められない。 b 慰謝料について別紙6「損害額一覧表(原告D関係)」記載のとおり認めるのが相当である。 ウ 予備的請求について15原告Dは、被告Fのパワハラ等により退職を余儀なくされたことに照らすと、原告Dの退職は、実質的には自己都合退職ではなく会社都合退職であったというべきである旨主張するが、原告Dが被告Fのパワハラが理由で退職したとは認められないことは、前記のとおりである。 よって、原告Dの上記主張は理由がない。 20第4 結論よって、第1事件につき、原告Aの請求は、主文の限度で理由があるからその限度で認容し、その余は棄却することとし、第2事件につき、①原告Aの請求は、被告会社に対する請求のみ主文の限度で理由があるからその限度で認容し、その余は棄却することとし、②原告B及び原告Cの請求は、いずれも理由25がないから全部棄却することとし、③原告Dの請求は、被告会社 会社に対する請求のみ主文の限度で理由があるからその限度で認容し、その余は棄却することとし、②原告B及び原告Cの請求は、いずれも理由25がないから全部棄却することとし、③原告Dの請求は、被告会社に対する請求68のみ主文の限度で理由があるからその限度で認容し、その余の主位的請求及び予備的請求は棄却することとして、主文のとおり判決する。 なお、仮執行免脱宣言は相当でないから、これを付さないこととする。 長崎地方裁判所民事部 5 裁判官 松 永 晋 介項目原告主張額原告の主張の要旨認定額認定判断の理由逸失利益¥45,204,277①基礎収入:\6,866,768※令和元年の年収は395万0174円であったが、基礎収入には残業代も含めるべきであるから、上記のとおりとすべき。 ②生活費控除率:0.5※亡Eは、死亡時単身であった。 ③就労可能年数:17年※死亡時50歳④中間利息控除:13.1661※17年に対応するライプニッツ係数¥36,206,775①基礎収入:\5,500,000※甲2によれば、亡Eの死亡前年の総支給額は、395万0174円であったが、当時、被告会社においては、残業代を支払っていなかった。 本文記載のとおり、亡Eが管理監督者であったとは認められないから、亡Eの基礎収入を上記金額の限度とみることは相当でない。他方、被告会社においては、当時、総務課長であった亡Eを中心に、社を挙げて時間外労働の抑制に動いてきたところ(乙4の5)、課長職が管理監督者でないとなれば、より一層時間外労働の抑制が図られるものと考えられることから、実績ベースでの残業代そのものを基礎収入とするのも相当でないことから、基礎収入としては、上記金額とするのが相当である。 ② 生活費控除 より一層時間外労働の抑制が図られるものと考えられることから、実績ベースでの残業代そのものを基礎収入とするのも相当でないことから、基礎収入としては、上記金額とするのが相当である。 ② 生活費控除率:0.5※亡Eは、死亡時単身であったから、生活費控除率は、上記のとおりとすべきである。 ③ 就労可能年数:17年④ 中間利息控除:13.1661※17年に対応する年3%のライプニッツ係数差額退職金¥2,473,056被告Fによるパワハラがなければ亡Eは被告会社に定年まで勤務し、退職金全額を受領できたはずであるから、次の①と②の差額も逸失利益と認めるべきである。 ①会社都合・定年退職を前提とした退職金額算定基礎額:\265,770支給率:45.050退職金額:\11,973,000(千円未満切り上げ。被告会社の退職金規程別表第2条④)②実際に受領した退職金額\8,649,000③差額退職金について、定年までの10年間に対応する現価率\3,324,000×0.744(定年までの10年間に対応する年3%の複利現価率)=\2,473,056¥2,473,056被告会社においては退職金規程が存在し(甲11)、亡Eの勤務歴等からすると、自死がなければ、亡Eが定年退職時まで被告会社における勤務を継続する蓋然性もあると認められるから、差額退職金についても損害と認めるべきである。 死亡慰謝料¥30,000,000パワハラ及び長時間労働により無念のうちに亡くなった亡Eの精神的損害を金銭評価すれば左記を下らない。 ¥20,000,000本件に顕れた一切の事情に加え、固有慰謝料の請求があることからすると、亡Eの死亡慰謝料としては、左記のとおりとするのが相当である。 固有慰謝料¥6,000,000愛する息子を失った原 ,000本件に顕れた一切の事情に加え、固有慰謝料の請求があることからすると、亡Eの死亡慰謝料としては、左記のとおりとするのが相当である。 固有慰謝料¥6,000,000愛する息子を失った原告Aの無念さ、悲しみは深遠である上、特に、亡Eの自殺の方法は、包丁で自身の左胸を数か所突き刺すという壮絶なものであり、その惨状を目の当たりにした遺族の精神的ショックは計り知れない。 ¥5,000,000 本件に顕れた一切の事情に照らすと、左記のとおり認めるのが相当である。 葬儀費用¥1,981,412¥1,500,000 左記の限度で、本件の不法行為と相当因果関係のある損害と認める。 小計¥85,658,745¥65,179,831損害の填補¥11,425,648 労災保険給付等(乙102の1、4、6、7、9)※被告ら準備書面(17)参照充当後¥85,658,745¥53,754,183弁護士費用¥8,570,000¥5,375,418合計(損害額元本)¥94,228,745¥59,129,601損害額一覧表(原告A関係)令和4年(ワ)第247号項目原告主張額原告の主張の要旨認定額認定判断の理由固有慰謝料¥4,000,000愛する弟を失った原告Bの無念さ、悲しみは、原告Aと同様に、深遠であり、その精神的ショックは計り知れないので、遺族固有の慰謝料が認められるべきである。 ¥0亡Eとの間に、民法711条所定の者と実質的に同視し得るような身分関係があったものとは認められない。 小計¥4,000,000¥0損害の填補充当後¥4,000,000¥0弁護士費用¥400,000¥0合計(損害額元本)¥4,400,000¥0令和4年(ワ)第247号損害額一覧表(原告B関係)項目原告主張 損害の填補充当後¥4,000,000¥0弁護士費用¥400,000¥0合計(損害額元本)¥4,400,000¥0令和4年(ワ)第247号損害額一覧表(原告B関係)項目原告主張額原告の主張の要旨認定額認定判断の理由逸失利益¥23,379,200原告Cの被告会社における得べかりし収入と、転職後の実収入との差額(減収分)が逸失利益となるところ、控えめにみて、原告Cは、被告会社において55歳まで勤務できたことを前提に請求する。 ①1年当たりの差額:¥2,000,000(概算)※被告会社における平成23年の年収は397万6628円であったが、転職後の平成25年の年収は189万2276円であったから、1年当たりの差額は、上記のとおりとなる。 ②中間利息控除:11.6896※原告Cが被告会社を退職した37歳以降、55歳に達するまでの18年間に対応するライプニッツ係数¥0差額退職金¥3,145,350被告Fによるパワハラがなければ原告Cは被告会社に定年まで勤務し、退職金全額を受領できたはずであるから、次の①と②の差額も逸失利益と認めるべきである。 ①会社都合・定年退職を前提とした退職金額算定基礎額:\250,000※少なくとも原告Dと同程度の昇給が見込まれることから、算定基礎額は上記のとおりとすべきである。 支給率:51.408※定年時の勤続年数は47年7か月となるから、支給率は上記のとおり算定される。 退職金額:\12,582,000(千円未満切り上げ。被告会社の退職金規程別表第2条④)②実際に受領した退職金額\3,174,000¥0精神的損害¥5,000,000 被告Fの執拗なパワハラ行為によって、原告Cが被った精神的損害は左記を下らない。 ¥0小計¥31,524,55 際に受領した退職金額\3,174,000¥0精神的損害¥5,000,000 被告Fの執拗なパワハラ行為によって、原告Cが被った精神的損害は左記を下らない。 ¥0小計¥31,524,550¥0損害の填補充当後¥31,524,550¥0弁護士費用¥3,150,000合計(損害額元本)¥34,674,550令和4年(ワ)第247号損害額一覧表(原告C関係)項目原告主張額原告の主張の要旨認定額認定判断の理由逸失利益¥9,967,680原告Dの被告会社における得べかりし収入と、転職後の実収入との差額(減収分)が逸失利益となるところ、控えめにみて、原告Dは、被告会社において55歳まで勤務できたことを前提に請求する。 ①1年当たりの差額:¥1,200,000(概算)※被告会社における平成29年の年収は471万2489円であったが、転職後の現在の年収は354万4800円であったから、1年当たりの差額は、上記のとおりとなる。 ②中間利息控除:8.3064※原告Dが被告会社を退職した44歳以降、55歳に達するまでの11年間に対応するライプニッツ係数¥0差額退職金¥3,192,260被告Fによるパワハラがなければ原告Dは被告会社に定年まで勤務し、退職金全額を受領できたはずであるから、次の①と②の差額も逸失利益と認めるべきである。 ①会社都合・定年退職を前提とした退職金額算定基礎額:\248,930支給率:48.083※定年時の勤続年数は36年10か月となるから、支給率は上記のとおり算定される。 退職金額:\11,970,000(千円未満切り上げ。被告会社の退職金規程別表第2条④)②実際に受領した退職金額\5,000,000¥0精神的損害¥5,000,000原告Dは、心療内科を 退職金額:\11,970,000(千円未満切り上げ。被告会社の退職金規程別表第2条④)②実際に受領した退職金額\5,000,000¥0精神的損害¥5,000,000原告Dは、心療内科を受診していないものの、被告Fからパワハラを受け、夜も眠れずに、毎日、胃が痛くなったり動悸に見舞われたりしていたほか、追い詰められた心境に至っていたものであるから、少なくとも軽度のうつ病を発症していたものといえる。被告Fの執拗なパワハラ行為によって、原告Dが被った精神的損害は左記を下らない。 ¥300,000本件全証拠によっても、原告Dがうつ病を発症していたものとは認められず、被告Fによるパワハラが原因で被告会社を退職したものとも認められないが、被告Fによるパワハラの内容、程度等に加え、本件に顕れた一切の事情を考慮すれば、原告Dの精神的苦痛を慰謝する慰謝料としては、左記のとおり認めるのが相当である。 小計¥18,159,940¥300,000損害の填補充当後¥18,159,940¥300,000弁護士費用¥1,820,000¥30,000労働者が、使用者の安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償を請求するため訴えを提起することを余儀なくされ、訴訟追行を弁護士に委任した場合には、その弁護士費用は、事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のものに限り、上記安全配慮義務違反と相当因果関係に立つ損害というべきであるところ(最高裁平成24年2月24日第2小法廷判決・集民240号111頁参照)、本件事案にかんがみ、相当と認められる弁護士費用は、左記のとおりと認められる。 合計(損害額元本)¥19,979,940¥330,000令和4年(ワ)第247号損害額 240号111頁参照)、本件事案にかんがみ、相当と認められる弁護士費用は、左記のとおりと認められる。 合計(損害額元本)¥19,979,940¥330,000令和4年(ワ)第247号損害額一覧表(原告D関係)
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