令和7年3月12日宣告令和6年(わ)第455号、同第523号出入国管理及び難民認定法違反、大麻取締法違反、建造物侵入、窃盗被告事件判決 主文 被告人を懲役6年及び罰金50万円に処する。 未決勾留日数中100日をその懲役刑に算入する。 その罰金を完納することができないときは、5000円を1日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。 熊本地方検察庁で保管中の大麻草121株(令和6年領第1495号符号2ないし82の各1及び各2、同号符号90ないし129の各1及び各2)を没収する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、第1 ベトナム社会主義共和国の国籍を有する外国人であり、平成31年4月4日、同国政府発行の旅券を所持し、大阪府所在のA空港から在留資格「技能実習1号ロ」及び在留期間「1年」の許可を受けて上陸して本邦に入り、その後、在留資格の変更及び在留期間の更新をしたことにより、最終の在留期間は令和4年4月12日となっていたところ、同年3月4日、法務大臣に対し在留資格の変更を申請した者であるが、同申請に対する処分が前記在留期間の満了の日から2か月以内になされなかったことにより、本邦に在留することができる時は、令和4年6月12日が終了する時までとなったのに、その時までに在留期間の更新又は在留資格の変更を受けないで本邦から出国せず、令和6年9月23日まで三重県伊賀市内に居住するなどし、もって在留期間を経過して不法に本邦に残留し、 第2 B及び氏名不詳者と共謀の上、窃盗の目的で、令和6年5月8日午前1時35分頃から同日午前2時9分頃までの間に、有限会社C経営者Dが看守する熊本県上益城郡a町大字bc番地所在の同社敷地内 第2 B及び氏名不詳者と共謀の上、窃盗の目的で、令和6年5月8日午前1時35分頃から同日午前2時9分頃までの間に、有限会社C経営者Dが看守する熊本県上益城郡a町大字bc番地所在の同社敷地内に外壁を乗り越えて侵入し、その頃、同所において、同人管理の盆栽33点(販売価格合計約1880万円相当)を窃取し、第3 氏名不詳者と共謀の上、営利の目的で、みだりに、令和6年6月下旬頃から同年9月24日までの間、三重県伊賀市de番地f所在の家屋において、水や肥料を与え、照明器具で照射するなどして、大麻草121株(令和6年領第1495号符号2ないし82の各1及び各2、同号符号90ないし129の各1及び各2。ただし、同号符号2ないし82の各2、同号符号90ないし129の各2はその鑑定残量)を育成し、もって大麻を栽培した。 (量刑の理由)量刑判断の中心となる建造物侵入、窃盗の犯行について見るに、被告人らは、夜間、盆栽を窃取するため、塀を登って敷地内に侵入して盆栽を持ち出す者、敷地外の塀の下で盆栽を受け取る者、盆栽を車に積み込む者など役割を分担した上で、相当な数の盆栽を約30分という短時間で窃取したものであり、大胆かつ組織的背景もうかがわれる犯行である。被害額は約1880万円と高額で、これまで被害弁償はなされておらず、その見込みもない。被告人は、報酬目的で安易に本件犯行に加担し、指示役からの指示に基づき、実行役3人のうちの1人として、塀の下で盆栽を受け取ってこれを車に積み込む者に渡すなど、短時間で本件犯行を完遂するのに重要な役割を果たしている。 加えて、大麻の営利目的栽培について見るに、被告人が栽培した大麻は大麻草121株と多数に上り、販売のための顧客を探していたことも踏まえると、相当量の大麻の害悪を拡散し得る悪質な犯行である。被告人は、 加えて、大麻の営利目的栽培について見るに、被告人が栽培した大麻は大麻草121株と多数に上り、販売のための顧客を探していたことも踏まえると、相当量の大麻の害悪を拡散し得る悪質な犯行である。被告人は、報酬目的で、氏名不詳者らが準備した栽培に必要な設備が整えられた家屋に住み込み、氏名不詳者から栽培方 法の指南を受けたり、水やり等に際して手伝いを得たりしつつも、主として1人で大麻を栽培しており、犯行に不可欠な役割を果たしたもので、強い非難を免れない。 さらに、約2年3か月にもわたり、収入を得る目的で我が国の出入国管理行政を害した不法残留についても見過ごせない。 これらの犯情に照らすと、被告人は、建造物侵入、窃盗及び営利目的大麻栽培の各犯行において、指示役の指示を受けて実行する立場にあったに過ぎないこと、建造物侵入、窃盗で得た報酬は被害額に比して少額であり、営利目的大麻栽培の犯行で報酬は得ていないことを踏まえても、本件は、弁護人が主張するように、執行猶予付きの懲役刑とすることが相当な事案であるとは到底いえず、被告人は相当長期間の懲役刑の実刑を免れない。また、懲役刑に加えて罰金刑も科すことができる営利目的大麻栽培については、この種犯行が経済的に割に合わないことを示す必要があることから、罰金刑も科すのが相当である。 その他、被告人には本邦における前科がないことなどの事情も踏まえて、主文の刑を量定した。 よって、主文のとおり判決する。 (求刑懲役8年、罰金70万円、主文同旨の没収)令和7年3月12日 熊本地方裁判所刑事部 裁判官賀嶋敦 裁判官賀嶋敦
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