- 1 -平成25年9月4日判決言渡平成23年(行ウ)第139号懲戒免職処分取消等請求事件 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求 1 法務大臣が原告に対して平成22年10月21日付けで行なった懲戒免職処分を取り消す。 2 法務大臣が原告に対して平成22年10月21日付けで行なった一般の退職手当等の全部を支給しないこととする処分を取り消す。 第2 事案の概要原告は,平成元年4月に検事任官し,平成21年4月1日から平成22年3月31日までの間,大阪地方検察庁(以下「大阪地検」という。)特別捜査部(以下,大阪地検特別捜査部を「特捜部」という。)副部長の地位にあった者であるが,同部所属検事Z1(平成8年4月任官。以下「Z1」という。)が大阪地方裁判所に係属中である虚偽有印公文書作成等被告事件の証拠であるフロッピーディスク(以下「FD」という。)に記録された文書データを変造するという証拠隠滅の罪を犯した者であることを知りながら,特捜部長Z2(昭和59年4月任官。以下「Z2部長」という。)と共謀の上,Z1による証拠隠滅の犯行を知った同庁検事らに他言を禁じた上,上記文書データの改変は過誤によるものとして説明するよう指示するなどして,上記文書データが過誤によって改変された可能性はあるが改変の有無を確定できず,改変されていたとしても過誤にすぎない旨事実をすり替えて自ら又は同部所属の検察官らを指揮して捜査を行わず,また,同庁次席検事Z3(以下「Z3次席」という。)及び同庁検事正Z4(以下「Z4検事正」という。)に対し,Z1が上記FDの文書データを書き換えたと公判担当検事が騒いでいるが,言いがかりである旨虚偽の報告をし, 席検事Z3(以下「Z3次席」という。)及び同庁検事正Z4(以下「Z4検事正」という。)に対し,Z1が上記FDの文書データを書き換えたと公判担当検事が騒いでいるが,言いがかりである旨虚偽の報告をし,Z3次席及びZ4検事正をし- 2 -て,捜査は不要と誤信させて自ら又は同庁所属の検察官らを指揮して捜査を行わないようにさせ,もって証拠隠滅罪の犯人であるZ1を隠避させたとして,平成22年10月21日付けで,国家公務員法(以下「国公法」という。)82条1号ないし3号に基づき懲戒免職処分(以下「本件懲戒免職処分」という。)を受け,更に同日付けで,本件懲戒免職処分を受けたことを理由として国家公務員退職手当法(以下「退職手当法」という。)12条1項に基づき一般の退職手当等の全部を支給しないこととする処分(以下「本件退職手当支給制限処分」といい,本件懲戒免職処分と併せて「本件各処分」という。)を受けた。 本件は,原告が,被告に対し,本件各処分の取消しを求める事案である。 被告は,原告がZ1から平成22年1月30日に電話で上記FDに記録された文書データのプロパティ情報の更新日時を書き換えたことを告白されたことにより,Z1が証拠隠滅の罪を犯した者であることを認識したにもかかわらず,Z2部長と共謀の上,前述のような隠避を行ったと主張しているのに対し,原告は,同日にZ1から更新日時を書き換えたことを告白されたことはなく,Z1が故意により更新日時を改変したとは認識していなかった,したがって,原告は,Z1を隠避していないから,本件各処分は処分理由を欠き,また,本件各処分には手続上の瑕疵があるなどとして,本件各処分はいずれも違法であると主張している。 (以下,月日に年を付さないときは,平成22年の月日を指す。) 1 前提事実争いのない事実,括弧内掲記 各処分には手続上の瑕疵があるなどとして,本件各処分はいずれも違法であると主張している。 (以下,月日に年を付さないときは,平成22年の月日を指す。) 1 前提事実争いのない事実,括弧内掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実を認めることができる。 (1)原告原告は,平成元年4月に検事に任官し,平成21年4月1日から平成22年3月31日までの間,大阪地検検事として,自ら捜査を行うべき職務に従事するとともに,特捜部副部長として,特捜部長の命を受けて同部所属の検察官らを指揮して捜査を行う職務に従事していた。 - 3 -(2)厚生労働省事件の捜査経過ア捜査の着手(ア)特捜部は,Z5という団体に係る第三種郵便割引制度を利用した郵便法違反の事件を捜査している過程で,Z5が郵便局に提出した厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課長名義の平成16年5月28日付け証明書(以下「本件公的証明書」という。)を押収し,本件公的証明書について厚生労働省(以下「厚労省」という。)に問い合わせたところ,本件公的証明書は,厚労省が正式に発行した書面ではないことが判明した。そこで,Z5会長Z6(以下「Z6」という。)を文書偽造の疑いで取り調べたところ,Z6から,本件公的証明書は国会議員の口添えにより厚労省企画課長であったZ7から交付されたものであるとの供述を得た。 (乙C19・124,125頁)(イ)そこで,特捜部は,平成21年5月11日頃,Z1を主任検事として,Z7及び本件公的証明書発行当時の担当係長であったZ8ほか担当職員らによる有印公文書偽造又は虚偽有印公文書作成・同行使事件(以下,本件公的証明書の偽造ないし虚偽作成等に係る厚労省関係者らに関する事件をまとめて「厚労省事件」という。)の捜査に着手するとともに,その頃,さ 有印公文書偽造又は虚偽有印公文書作成・同行使事件(以下,本件公的証明書の偽造ないし虚偽作成等に係る厚労省関係者らに関する事件をまとめて「厚労省事件」という。)の捜査に着手するとともに,その頃,さいたま地方検察庁から大阪地検刑事部に異動してきたZ9検事(平成12年4月任官。以下「Z9」という。)を応援のため同事件の捜査に当たらせることにした。 (ウ)なお,Z2部長と原告との協議により,厚労省事件についてはZ2部長が直接主任検事の指導・決裁に当たることとなった。 イ Z8の逮捕及びFDの押収(ア)特捜部は,平成21年5月26日,本件公的証明書に係る虚偽の稟議書を作成したことなどを被疑事実としてZ8を逮捕するとともに,同人方からZ8が使用していたFD(以下「本件FD」という。)を押収した。(乙C6・79頁)(イ)Z9が,本件FDの内容検索を実施したところ,本件FD内には「通知案」及- 4 -び「コピー~通知案」と題する文書ファイル2個が存在した(以下,各文書ファイルをそれぞれ「通知案」,「コピー通知案」といい,通知案とコピー通知案とを合わせて「本件データ」という。)。 (ウ)通知案は,1ページ目に本件公的証明書の文書番号・発行日付が空欄の文書,2ページ目に平成16年5月中旬にZ8がZ5にファクシミリ送信した文書と同内容とされる文書(以下「本件ファックス文書」という。),3ページ目に事件とは無関係の通知文書の各データで構成されており,プロパティ情報は,作成日時が「2004年5月18日,12:43:23」,更新日時が「2004年11月30日,18:41:20」であった。 (エ)コピー通知案は,1ページ目に本件公的証明書の完成後原本と同内容の文書,2ページ目に本件ファックス文書の各データで構成されており,プロパティ情報は,作成日時 日,18:41:20」であった。 (エ)コピー通知案は,1ページ目に本件公的証明書の完成後原本と同内容の文書,2ページ目に本件ファックス文書の各データで構成されており,プロパティ情報は,作成日時が「2004年6月1日,1:14:32」,更新日時が「2004年6月1日,1:20:06」であった。 ウプロパティ問題(ア)Z5関係者及び日本郵政公社(以下「郵政」という。)関係者の供述等によれば,Z5は,平成21年6月4日に郵政から第三者郵便物の承認書を受領した後に,低料第三種郵便物の認可申請をしたところ,同月8日,郵政職員であるZ10から公的証明書の提出が必要である旨連絡を受けため,公的証明書の発行を厚労省に催促して本件公的証明書を受領し,同月10日にこれを提出したという事実関係となっていた。 したがって,Z1は,Z7がZ8に指示して本件公的証明書を作成させたのは同月8日から同月10日までの間であると想定していた。 (乙C5・2,3頁,乙C6・77~87頁,乙C10・19,20頁)(イ)もっとも,Z9は,平成21年6月8日にZ5関係者に対して公的証明書の提出を求めた旨のZ10の供述を失念していたため,Z7がZ8に本件公的証明書の作成を指示したのは6月4日から同月10日までの間であると想定していた。 - 5 -(乙C5・2,3頁,乙C6・78頁)(ウ)ところが,コピー通知案のプロパティ情報の更新日時によれば,Z8は,本件公的証明書と同一内容の文書ファイルを遅くとも平成16年(2004年)6月1日未明までには完成させていたことになるため,コピー通知案のプロパティ情報は関係者の供述内容と整合しなかった(以下,関係者の供述とプロパティ情報とが整合しないという問題を「プロパティ問題」という。)。(乙C5・2,3頁)(エ)Z1 ため,コピー通知案のプロパティ情報は関係者の供述内容と整合しなかった(以下,関係者の供述とプロパティ情報とが整合しないという問題を「プロパティ問題」という。)。(乙C5・2,3頁)(エ)Z1は,Z9から本件データの内容及びプロパティ情報等の報告を受けて,プロパティ問題の存在を認識し,Z9に対し,Z8から詳しく事情を聴取するよう指示した。(乙C10・20頁)(オ)Z9は,立会のZ11事務官に対し,プロパティ問題についてZ8を取り調べる際に示すための資料の作成を指示し,同事務官は,平成21年6月29日付けで,コピー通知案のプロパティ画面を添付した捜査報告書を作成した(以下「Z11報告書」という。)。 (カ)その後の捜査によってもプロパティ問題は解明されなかったため,Z9は,Z1と相談の上,「平成16年6月上旬ころ,Z7から指示を受け,早速その日のうちに公的証明書の作成にとりかかった」旨のZ8の供述調書を作成した。 (キ)なお,Z1及びZ9は,原告あるいはZ2部長に対し,プロパティ問題を報告していなかった。 (3)Z7らの起訴ア Z1は,Z8やZ5関係者らの供述から,Z7が全面否認する虚偽公文書作成罪の立証は可能であると考え,平成21年7月4日,Z7及びZ8を本件公的証明書に係る虚偽有印公文書作成・同行使の事実で大阪地方裁判所に起訴した(以下,Z7に係る厚労省事件を「Z7事件」という。)。 イ Z7らの起訴に伴い,Z11報告書を含む厚労省事件の一件記録が特捜部から公判部に引き継がれた。なお,Z7事件の公判は,公判部のZ12検事(平成8- 6 -年4月任官。以下「Z12」という。)が主任として担当することになった。 (4)Z1によるプロパティ情報の改ざんア Z1は,公判においてプロパティ問題の存在を指摘されることを回避す - 6 -年4月任官。以下「Z12」という。)が主任として担当することになった。 (4)Z1によるプロパティ情報の改ざんア Z1は,公判においてプロパティ問題の存在を指摘されることを回避するため,平成21年7月13日午後,大阪市α×番60号所在の大阪中之島合同庁舎(以下「合同庁舎」という。)17階の自己の執務室において,本件FD内のコピー通知案の1ページ目(公的証明書の原本と同内容のもの)と2ページ目(本件ファックス文書)とを入れ替え,○というソフトウェアを用いて,プロパティ情報の更新日時を「2004年6月1日,1:20:06」から「2004年6月8日,21:10:56」に変更し,本件FD内に自動作成されたバックアップファイルを全て削除し,また,通知案の1頁目(公的証明書の文書番号・発行日付が空欄のもの)と2ページ目(ファックス文書)とを入れ替え,この作業に伴いプロパティ情報の更新日時が「2004年11月30日,18:41:20」であったのが「2009年7月13日,17:33:58」と自動的に更新されたのを更に変更して,元の「2004年11月30日,18:41:20」に戻した(以下「本件改ざん」という。)。 イなお,Z1は,本件改ざんを行った当時,Z11報告書が存在していることを失念していた。(乙C9・4頁)ウ Z1は,本件FDをZ8に還付するため,平成21年7月16日,これをZ8の親族に宛てて送付し,同月21日に受領された。 エ Z1は,本件FD還付後の同月中旬頃,Z1の執務室を訪れたZ9に対し,コピー通知案のプロパティ情報の更新日時を改ざんした上で,本件FDを還付したことを告白し,私物のパソコンを用いてプロパティの書き換え方法を実演した。 (乙C5・12~14頁,乙C9・4,5頁)(5)Z7事件公判前整理手続の状 の更新日時を改ざんした上で,本件FDを還付したことを告白し,私物のパソコンを用いてプロパティの書き換え方法を実演した。 (乙C5・12~14頁,乙C9・4,5頁)(5)Z7事件公判前整理手続の状況ア Z12は,Z7事件の公判前整理手続において,刑事訴訟法316条の15に基づき,Z11報告書を含む類型証拠を,Z7事件の弁護人に開示した。 - 7 -イ Z7事件の弁護人は,平成21年11月30日付け予定主張記載書面及び証拠調べ請求書を裁判所に提出し,Z8が本件公的証明書を作成した日時は,「平成16年6月1日未明(午前1時20分06秒)以前である」と記載して,プロパティ問題の存在を指摘するとともに,それを立証する証拠としてZ11報告書を挙げた。 (6)Z13事件捜査への応援派遣ア東京地方検察庁(以下「東京地検」という。)特捜部は,特捜部に対し,いわゆるZ13事件の捜査のため,Z1及び特捜部所属のZ14検事(以下「Z14」という。)の応援派遣を要請し,特捜部は,1月20日付けでZ1及びZ14を東京地検特捜部に派遣した。Z1は,以後2月4日までの間,東京拘置所で勾留中のZ13関係者の取調べに従事した。 イ Z14は,平成21年6月頃から主任として弁護士法違反事件(以下「Z14主任事件」という。)の内偵を行っており,1月25日に着手決裁を予定していたが,Z13事件の応援に出ることになったため,Z14主任事件の捜査を不本意にも中断することとなった。 (7)プロパティ問題の顕在化及び1月29日までの経緯ア Z7事件の弁護人は,1月27日に行われた,Z7事件第1回公判期日において,冒頭陳述を行い,その中で,Z11報告書の内容を念頭において,プロパティ問題を指摘した上,検察官主張は破綻している旨主張し,その内容は報道各社でも大きく取 行われた,Z7事件第1回公判期日において,冒頭陳述を行い,その中で,Z11報告書の内容を念頭において,プロパティ問題を指摘した上,検察官主張は破綻している旨主張し,その内容は報道各社でも大きく取り上げられた。Z2部長は,同日の夕刻,Z4検事正からプロパティ問題が報道されていることを聞き,初めてプロパティ問題を認識した(乙C19・16頁)。 イ同日,大阪高等検察庁(以下「高検」という。)からの指示により,特捜部所属のZ15検事(平成12年4月任官。以下「Z15」という)を厚労省事件の公判の応援に出すことになり,Z2部長は,Z15に対し,Z7事件の公判の応援に入るよう指示した。(乙C3・2頁,乙C19・158,159頁)- 8 -ウその際,Z15は,Z2部長からプロパティ問題について詳しい話を聞きたいのでZ9を呼ぶよう依頼されたため,Z9の執務室へ赴き,Z9にその旨を伝えた。Z9は大阪地検特捜部長室(以下「部長室」という。)に行き,Z2部長に対し,プロパティ問題を説明した。 (乙C3・2頁,乙C5・18頁,乙C19・19頁)エ Z9は,Z7事件の弁護人冒頭陳述の内容が大きく報道されたことから,本件改ざんが発覚するのではないかと不安になり,Z2部長のところへプロパティ問題の説明に行くよう伝えに来たZ15に対し,Z1がコピー通知案のプロパティ情報を書き換えたことを打ち明けた。 (乙C3・3,35~39頁,乙C5・21頁,乙C8・138,139頁)オまた,同日,Z9は,Z14にもZ1がコピー通知案のプロパティ情報の更新日時を改ざんしたことを打ち明けて相談した。 (乙7・1頁,乙C3・42頁,乙C5・21頁,乙C8・140頁)カ同月28日,Z2部長は,部長室で会議を開き,原告,Z9,Z15及び特捜部所属のZ16検事(以 したことを打ち明けて相談した。 (乙7・1頁,乙C3・42頁,乙C5・21頁,乙C8・140頁)カ同月28日,Z2部長は,部長室で会議を開き,原告,Z9,Z15及び特捜部所属のZ16検事(以下「Z16」という。)とプロパティ問題への対応を協議し,その際,Z2部長及び原告は,Z11報告書の内容を認識した。 Z9は,Z11報告書の検察官の主張を前提にすると,本件公的証明書の作成日は平成16年6月4日以降と想定されるのに,Z11報告書記載のデータでは,更新日時が同月1日となっていることに矛盾があるが,これはあくまでもデータであって,実際の文書作成とは結びつかない旨の説明をし,Z16は,検察官の主張を前提にすると,本件公的証明書の作成日は,正確には同月8日以降となるはずであると指摘した。なお,Z2部長は,原告らに対し,東京での仕事に専念させたいのでZ1には電話連絡をしないよう指示した。 (乙C3・5頁,乙C5・19頁,乙C13・42~48頁,乙C19・19~21頁,乙D1,乙D3)キ Z15は,1月28日,Z16にもZ1がコピー通知案のプロパティ情報の更- 9 -新日時を改ざんしたことを打ち明けた。(乙C3・45頁)ク Z9,Z15及びZ14は,同月27日から同月30日午前11時頃までの間,別紙1「Z15ら通信履歴一覧表」記載のとおり,携帯メール等のやり取りをして,本件改ざんにつき,どのように対処すべきかを話し合っているところ,Z9は,Z15及びZ14と相談した上で,1月29日夜から同月30日の未明にかけて,Z1に電話を掛け,Z1が改ざんを行ったことをZ15及びZ14に話したことなどを伝えるとともに,今後どうするのかを確認し,Z9は,Z15に対し,携帯メールで別紙1「Z15ら通信履歴一覧表」番号26記載のとおり,「すみませ 改ざんを行ったことをZ15及びZ14に話したことなどを伝えるとともに,今後どうするのかを確認し,Z9は,Z15に対し,携帯メールで別紙1「Z15ら通信履歴一覧表」番号26記載のとおり,「すみません Z1さんと話しました Z1さんからの伝言ですが,とりあえず今はZ1さんが動けないので待ってほしいとのことです Z1さんを信じて待ちましょう少なくとも,Z1さんご自身も真剣に考えているのが伝わりましたので」と報告した。(乙C5・23~25,乙C9・10頁)ケ Z14は,同月30日午前1時頃,Z1と会って一緒に飲食し,同日午前5時,別紙1「Z15ら通信履歴一覧表」番号36記載のとおり,「予想通りでしたが最後は俺が首くくるから公判状況をみるまで今は騒がないでくれとのことでした」などとその内容をZ9やZ15に携帯メールで伝えた。しかし,Z9,Z15及びZ14においては,本件改ざんへの対処方法について結論を得るには至らず,Z1が東京出張から帰阪するまでは,態度を保留することとなった。 (8)Z12への相談Z15は,同月30日昼頃,Z12の執務室に行き,Z12に対し,Z9からZ1がコピー通知案のプロパティ情報の更新日時を改ざんしたという話を聞いたことを告げた。Z12は,Z15に指示してZ9を呼び出し,Z12の執務室の向かいにある証人テスト室で,Z9からZ1が改ざんを行ったことを聞き出し,一刻も早く上司に報告するように言った。 (9)Z15の執務室でのやり取りなどア Z15は,平成22年1月30日午後3時40分,Z14に,別紙1「Z15- 10 -ら通信履歴一覧表」番号41記載のとおり,これから原告に会って話をする旨伝えるとともに,その頃,携帯電話で原告に電話をして大阪地検まで呼び出した。 原告は,「○」という懇親会に出席する予定であ -ら通信履歴一覧表」番号41記載のとおり,これから原告に会って話をする旨伝えるとともに,その頃,携帯電話で原告に電話をして大阪地検まで呼び出した。 原告は,「○」という懇親会に出席する予定であったが,同日午後4時40分頃,呼び出しに応じて大阪地検に登庁し,同日午後5時頃,Z15の執務室に赴いた。 イ Z15は,原告に対し,Z1がコピー通知案のプロパティの更新日時を改ざんした旨報告し,その後,Z15の執務室に呼び出されたZ9が,原告に対し,Z1からコピー通知案のプロパティ情報の更新日時を専用ソフトウェアを用いて改ざんしたことを打ち明けられたこと,Z9がZ1から改ざんを打ち明けられた時点で本件FDはZ8に還付されていたことなどを報告した。 ウ原告は,Z15に対し,改ざん前のプロパティ画面を印刷したものが添付されているZ11報告書が弁護人に開示された理由を質問したところ,Z15は,Z1が同報告書の存在を知らなかったようであると答えた。また,Z15は,原告に対し,Z14も1月30日未明に東京で,Z1本人から改ざんの事実を確認している旨伝えた。 エ原告は,報告に対し,「本当なのか」などと驚くとともに,「フロッピーの現物を見たのか」,「現物自体は書き換わっていない可能性もあるということか」などと述べたところ,Z15が,「副部長はこの件をもみ消すおつもりですか」などと怒り出し,原告との間で怒鳴り合いの口論となった。その過程で,Z15は,「Z1さんがこんなことをするのなら,Z7さんは無実です」,「もみ消すのなら検事を辞めます」などと述べた。 オその後,少し落ち着いたところで,原告は,「物(ブツ)を変えるなんて俺だって聞いたことはない」などと言った上,原告からZ2部長に報告する旨述べ,同日午後7時頃,Z15の執務室を退去し,大阪地検特捜部 その後,少し落ち着いたところで,原告は,「物(ブツ)を変えるなんて俺だって聞いたことはない」などと言った上,原告からZ2部長に報告する旨述べ,同日午後7時頃,Z15の執務室を退去し,大阪地検特捜部副部長室(以下「副部長室」という。)に戻った。 (乙C3・18頁,乙C5・37,38頁,乙C13・71頁)カ Z15は,同日午後7時24分,別紙1「Z15ら通信履歴一覧表」番号42- 11 -記載のとおり,携帯電話でZ14に電話をし,本件改ざんについて原告に報告したところ,原告と怒鳴り合いになったが,原告がZ2部長に報告することになったことなどを伝えた。(乙A8・16頁,乙C3・24頁)(10)副部長隣室でのやり取りなどアその後,原告は,Z9が副部長室に来たので,副部長室の隣にある予備調室(以下「副部長隣室」という。)に移動し,そこで缶ビールを飲むなどして話し合っていたところ,Z15から原告とのやり取りを聞いたZ12が来室し,それ以降に,Z9の携帯電話に電話があり(このときの電話を,以下「本件電話」という。),原告がこれに出て会話をして涙を流すなどし,本件電話を終えた後,Z8の弁護人であるZ17弁護士の名前を口に出すなどした。 イその後,原告,Z9,Z12及びZ15は,それぞれ退庁した。同日午後11時54分にZ9の執務室の鍵が返納され,同月31日午前零時20分に原告が副部長室の鍵を返納し,同日午前零時20分に休日出勤者調べにZ9の名前で退庁の記載がなされ,同日午前零時58分にZ12が自己の執務室の鍵を返納し,同日午前1時2分にZ15が自家用車を出庫している。 ウなお,Z9の執務室の固定電話から,①同日午後8時19分にZ9の携帯電話に発信(通話時間36秒)され,②同日午後8時22分に東京に出張中であった検察事務官宛に発信 5が自家用車を出庫している。 ウなお,Z9の執務室の固定電話から,①同日午後8時19分にZ9の携帯電話に発信(通話時間36秒)され,②同日午後8時22分に東京に出張中であった検察事務官宛に発信(通話時間41秒)され,③同日午後9時30分に金融庁の捜査関係者の公用電話に発信(通話時間703秒)されている。 エまた,Z14は,同月30日,原告と電話で会話をしたことがある。 (11) 1月30日におけるZ1の行動Z1は,1月30日午前9時33分,東京拘置所に入所し,Z13関係者に対し,以下のとおり,取調べを行った後,同日午後10時58分にZ13関係者が取調室を退出し,翌31日午前零時15分に自らも東京拘置所を退所した。 ア午前10時54分から午前11時21分までイ午後1時53分から午後4時15分まで- 12 -ウ午後6時19分から午後8時51分までエ午後9時35分から午後10時57分まで(乙A25,乙A39,乙A40)(12)上層部への報告までの動きア 2月1日午前中の出来事(ア)原告が,2月1日午前9時15分頃に登庁すると,Z12が副部長室の外に立っており,その後,同日午前9時40分過ぎ頃までに,Z2部長から公判部の併任辞令を受け取ったZ15が来室したほか,Z9及びZ16も副部長室に来た。 (イ)Z12及びZ9が,原告に対し,Z17弁護士に連絡を取るのかどうかを尋ねると,原告は,連絡しないことにした旨答えた。 (乙C1・17,18頁,乙C6・1頁,乙C13・142頁)(ウ)その後,原告は,一人で部長室に入室し,Z2部長に本件改ざんの件を報告したが,Z2部長は,同日午前10時から催される司法修習生の修習開始式に出席しなければならなかったため,午前9時50分頃には報告を中断した。 (エ)原告は 室に入室し,Z2部長に本件改ざんの件を報告したが,Z2部長は,同日午前10時から催される司法修習生の修習開始式に出席しなければならなかったため,午前9時50分頃には報告を中断した。 (エ)原告は,副部長室に戻り,同室で待機していたZ12,Z9,Z15及びZ16に対し,Z1による改ざんの件について口外しないよう告げた上で散会させた。(乙C1・24,25頁,乙C3・27頁,乙C13・145頁)(オ)Z2部長は,修習開始式に出席した後,引き続き同日午前11時頃まで検事正室での会議に出席した後,部長室に戻り,原告を部長室に呼び出し,二人で話し合った後,原告に命じてZ9とZ12を部長室に呼び,同人らも交えて部長室で話し合うなどし,同日正午から別の会議があるため,同日午前11時50分頃,同人らとの話合いを終えた。 (カ)上記(オ)の話合いの際,Z12は,Z2部長に対し,Z3次席及びZ4検事正に報告するよう強く求めた。Z2部長は,「まだよく分からないじゃないか」などと述べて,報告を上げることを渋っていたが,Z12が上に報告しな- 13 -いのであれば自分の方から報告をするなどと述べたため,Z2部長は,最終的にはZ3次席及びZ4検事正に自ら報告することを了承した。(乙C1・19,20,23頁,乙C6・3頁,乙C13・150,151頁,乙C19・31,32頁,乙20・29頁,乙D1・5-1,5-2)(キ)同日,Z2部長は,Z9に対し,本件データの書き換えに関し,「もうこれからは誰にも言うな。かん口令だ」と命じるとともに,原告に対し,他の者に対してもかん口令を徹底することを指示した。(乙C6・3,4頁,乙C13・151頁,乙C19・36,37頁,乙C20・18~20,27,28頁,乙D1・5-1,5-2)(ク)同日夕方,Z12は,Z18公 かん口令を徹底することを指示した。(乙C6・3,4頁,乙C13・151頁,乙C19・36,37頁,乙C20・18~20,27,28頁,乙D1・5-1,5-2)(ク)同日夕方,Z12は,Z18公判部長に,Z1が本件データを書き換えたという話があることなどを報告した。Z18公判部長は,翌2日にZ2部長と面談し,その際,Z2部長はZ18公判部長に対し,この件は特捜部から上に報告するので預からせてほしい旨述べ,Z18公判部長はその旨Z12に伝えた。 (乙C1・27,28頁,乙C20・93頁,乙D2・3頁)イ 2月1日午後の出来事(ア)Z2部長は,同日午後1時30分頃,会議を終えると直ちに部長室に戻り,原告を呼んで,二人だけで話合い,途中からZ9も呼び出して話し合うなどしたが,同日午後3時頃までには原告との話合いを終え,同日午後4時頃に副部長室を訪れた後,同日午後4時30分頃退庁した。 (イ)原告は,同日午後3時頃,副部長隣室でZ15と話し合った後,Z2部長の指示に従い,同日午後4時20分頃,Z1に電話をして会話を交わした。 (ウ)Z2部長は,翌2日午前零時11分,二男に対し,「父は部下の責任をとって辞めることになるかも知れない」との携帯メールを送信した。 (13)上層部への報告ア Z2部長は,2月2日午前9時過ぎに登庁し,同日午前9時20分頃,部長室に来た原告から前日のZ1との電話内容に関する報告を受けた。その後,Z2部- 14 -長は,Z9を部長室に呼んで,Z9も交えて話し合ったが,そのような話合いの中で,原告に対し,Z1から追加聴取をするように指示した後,同日午前10時51分,妻に対し,「Z1のけんなんとか切り抜けれそうだ」との携帯メールを送信した。 イ原告は,同日正午頃,Z1に電話をして,会話を交わした後,同日午 加聴取をするように指示した後,同日午前10時51分,妻に対し,「Z1のけんなんとか切り抜けれそうだ」との携帯メールを送信した。 イ原告は,同日正午頃,Z1に電話をして,会話を交わした後,同日午後1時頃,部長室に行き,Z1から聴取した内容等をZ2部長に報告した。Z2部長及び原告は,この時点でZ3次席に報告を上げることにし,その説明方法について協議したが,その協議には,途中からZ9も加わった。 ウ Z2部長は,同日夕方頃,改めて原告及びZ9と打ち合わせをした後,午後5時頃,次席検事室に行き,Z3次席に本件FDに関する報告をした(以下「次席検事への報告」という。)。 エ Z2部長は,2月3日午前11時頃,原告及びZ9と共に,検事正室に行き,Z4検事正に本件FDに関する報告をした(以下「検事正への報告」という。)。 その後,原告は,同日夜,Z1に電話をして会話を交わした。 (14) 2月4日から同月10日までの出来事ア Z2部長は,2月4日午前9時50分頃,部長室で,原告及びZ9と話し合ったほか,原告に対し,Z1に指導しておくべきことなどを指示した。 イ Z1は,同月5日午後5時頃,東京出張を終えて帰阪し,大阪地検に登庁し,Z14らとともにZ2部長と原告にそれぞれ挨拶をした後,再度一人で副部長室及び部長室に行き,同人らにそれぞれ謝罪したが,その際,原告から叱責を受けた。 ウ Z1は,同月8日,改めてZ2部長と原告にそれぞれ謝罪し,Z4検事正及びZ3次席らに帰阪の挨拶をした後,再びZ2部長と原告に個別に検事正らに対する挨拶を終えた旨報告に行った。 エこの頃,Z2部長は,原告に対し,本件データが過誤により改変された可能性があるにとどまる旨説明した書面をZ1に作成させるよう指示し,原告は,Z1- 15 -に対し,上記書面を作成す った。 エこの頃,Z2部長は,原告に対し,本件データが過誤により改変された可能性があるにとどまる旨説明した書面をZ1に作成させるよう指示し,原告は,Z1- 15 -に対し,上記書面を作成するよう指示した。 (乙C9・51頁,乙C15・73頁,乙C9・51頁)オ Z1は,本件データについて,過誤により,その更新日時などを改変してしまっている可能性がある旨説明した上申書(以下「本件上申書」という。)を作成し,同月10日,これを原告に提出して了承を得た後,Z2部長に提出した。 (乙C9・52,53頁,乙C15・72~76頁,乙C19・85頁)カ Z1は,原告に本件上申書を提出するために副部長室を訪れた後,私物パソコンを持って副部長室に行き,原告に対し,更新日時の改変方法を実演して見せた。 (乙C9・60頁,乙C15・78~80頁)(15)本件各処分に至る経緯ア 9月10日,Z7事件において,Z7に対し,無罪判決が出された。 イ Z1が本件データを改ざんしたのではないかとの情報に接した報道機関の取材を契機として,最高検察庁(以下「最高検」という。)は,内部調査を実施するとともに,Z1に対する証拠隠滅被擬事件の捜査を開始し,9月21日午後8時45分頃,Z1を証拠隠滅の被疑事実により逮捕した。 ウなお,Z1は,逮捕されるまでに,Z9と電話又は直接会って話をしているほか,Z2部長,原告,Z9及びZ1の間で電話によるやり取りがあった。 エ最高検検事は,その後の捜査により,原告及びZ2部長の犯人隠避の事実が判明したとして,10月1日,両名を逮捕した。 オ Z1は,10月11日に起訴され,その後,懲役1年6月の実刑判決を受けた。 (乙C9・1頁)(16)本件各処分等ア本件懲戒免職処分(ア)法務大臣は,平成22年10月21 を逮捕した。 オ Z1は,10月11日に起訴され,その後,懲役1年6月の実刑判決を受けた。 (乙C9・1頁)(16)本件各処分等ア本件懲戒免職処分(ア)法務大臣は,平成22年10月21日付けで,国公法82条1項1号ないし3号に基づき,原告を懲戒免職処分とした(本件懲戒免職処分)。(甲1)(イ)本件懲戒免職処分の処分事由を記載した説明書(以下「本件処分説明書」と- 16 -いう)には,以下のとおりの記載がある。(甲1)[根拠法令]国家公務員法第82条第1項第1号,第2号及び第3号[処分の理由]別紙2記載のとおり(以下「本件非違行為」という。)イ本件退職手当支給制限処分(ア)法務大臣は,退職手当法12条1項に基づき,処分前の一般の退職手当等2714万5500円の全部を支払わないこととする処分をした(本件退職手当支給制限処分)。(甲2)(イ)本件退職手当支給制限処分の処分書(以下「本件処分書」という)には,以下のとおりの記載がある。(甲2)[支給制限処分の理由]平成22年10月21日付けで懲戒免職処分を受けたため。 [国家公務員退職手当法施行令第17条で定める事情に関し勘案した内容についての説明] 1 被処分者が占めていた職の職務及び責任被処分者は,別紙記載の非違行為を行った当時,大阪地方検察庁検事として自ら捜査を行うべき職務に従事するとともに,同庁特別捜査部副部長を命ぜられ,幹部検察官の職を占めていたものである。検察官は,犯罪を捜査し,起訴・不起訴の処分を決定するとともに,公訴を維持・遂行するという広範かつ強力な権限を付託されており,その職務上,厳正な服務規律と高い職業倫理が求められているところ,幹部検察官にあっては,部下職員に対し,服務規律の遵守を指導する立場にあるものである。 するという広範かつ強力な権限を付託されており,その職務上,厳正な服務規律と高い職業倫理が求められているところ,幹部検察官にあっては,部下職員に対し,服務規律の遵守を指導する立場にあるものである。 2 被処分者が行った非違の内容及び程度別紙2記載のとおり。 3 被処分者が当該非違に至った経緯,当該非違が公務の遂行に及ぼす支障の- 17 -程度及び公務に対する国民の信頼に及ぼす影響被処分者は,真相を究明すべき立場にある大阪地方検察庁特別捜査部副部長の職にあり,部下職員に対し,服務規律の遵守を指導する立場にありながら,部下検察官による証拠隠滅という犯罪行為を覚知しつつ,その隠蔽を図るという,幹部検察官としてあるまじき行為に及んだものであり,その経緯に酌むべき事情はない。また,本件は,厳正な服務規律と高い職業倫理が求められる検察官による極めて悪質かつ重大な事案であり,検察の職務遂行に及ぼす支障の程度は甚大である。さらに,被処分者の行為は,検察権の適正な行使に対する国民の信頼を損ない,検察の信用を著しく失墜させたものである。 ウ最高検は,同日,原告及びZ2部長につき,犯人隠避の罪で大阪地方裁判所に起訴した。 (17)不服申立てア原告は,11月15日付けで,人事院に対し,本件懲戒免職処分に対する審査請求を行い,また,同日付けで,法務大臣に対し,本件退職手当支給制限処分に対する異議申立てを行った。 イ法務大臣は,平成23年2月7日付けで,本件退職手当支給制限処分に対する異議申立てを棄却するとの決定を行なった。(甲3) 2 争点(1)本件非違行為の存否(2)本件処分説明書の処分事由の記載が十分か否か(3)本件各処分が無罪推定原則に違反するか(4)本件各処分が検察庁法25条に違反するか(5)本件 2 争点(1)本件非違行為の存否(2)本件処分説明書の処分事由の記載が十分か否か(3)本件各処分が無罪推定原則に違反するか(4)本件各処分が検察庁法25条に違反するか(5)本件各処分が国公法85条を潜脱するものであるか(6)起訴直前に行われた本件各処分が懲戒権行使に関する手続上の裁量を逸脱ないし濫用した違法な処分か- 18 -(7)本件退職手当支給制限処分における所定事情の勘案が十分であったか否か 3 当事者の主張(1)本件非違行為の存否(被告の主張)ア原告及びZ2部長が本件改ざんを認識したこと(ア)1月30日,原告がZ15の執務室から退去して副部長室に戻った後,Z9は,Z15の執務室では原告とZ15とが怒鳴り合いとなったため,改めて原告に事実関係を説明するために副部長室に赴いた。そして,副部長室にいた原告に対し,改めてZ1が確実に改ざんしている旨を伝えたところ,原告において,その日の東京拘置所でのZ1の取調べ終了後,Z1と直接話をして事実確認をするということになった。 (イ)これを受けて,Z9は,Z1の携帯電話にメールを送信して折り返しの電話連絡を求めた。Z1は,午後8時51分の取調べ中断後,主任検事への所要の報告をした上で,東京拘置所から,Z9の携帯電話に電話をかけた。Z9は,この電話を自己の執務室で受け,Z1に対し,Z1が改ざんを行ったことをZ15がZ12に話したこと,Z12の意見により原告にも報告するに至ったこと,原告が電話がほしいと言っているので,この日に実施予定の取調べ終了後に改めて電話をしてほしいこと,原告は信頼できるから正直に話した方がよいことなどを伝えた。 (ウ)Z1は,1月30日午後10時57分の取調べ終了後に,東京拘置所の取調べ室から,携帯電話を用いてZ9の携帯電 電話をしてほしいこと,原告は信頼できるから正直に話した方がよいことなどを伝えた。 (ウ)Z1は,1月30日午後10時57分の取調べ終了後に,東京拘置所の取調べ室から,携帯電話を用いてZ9の携帯電話に電話をかけた(本件電話)。Z9は,Z1から電話を受けたとき,原告及びZ12とともに,副部長隣室におり,原告に電話を代わった。原告は,Z9及びZ12の面前で,Z1と直接電話で話し,本件改ざんの真偽等を訪ねたところ,Z1は「6月1日から6月8日に変えました」などと述べて,本件データを故意に改ざんしたことを認めた。 原告は,Z9らの報告及びZ1本人の報告により,Z1が故意に本件データを- 19 -改ざんした事実を認識し,懲戒免職や刑事処分が避けられないものと考え,「ちくしょう,何でZ1はこんなことしちまったんや」などと言って涙を流した。 (エ)原告は,2月1日頃,部長室において,Z2部長に対し,Z1が故意に本件データを改ざんした事実を報告し,Z2部長も本件改ざんを認識した。 イ原告及びZ2部長による隠避行為(ア)原告及びZ2部長がZ1による証拠隠滅の犯行を知る検事らに対して他言を禁じた状況Z2部長は,原告から本件改ざんの報告を受け,この事実が表沙汰となった場合,Z1が懲戒免職となり刑事責任を追及されて逮捕されることとなるのみならず,特捜部ひいては検察全体に悪影響が及ぶことを危惧し,これを避けるため,Z1による本件改ざんの事実をもみ消すことができないかと考え,まずはその事実を知る者らに他言を禁じるかん口令を敷くこととし,原告にその旨を伝え,原告もこれを了解した。 原告は,Z2部長への報告を終えて副部長室に戻り,同所で待機していたZ12,Z9,Z15及びZ16に対し,「今後外で話すなよ」などと述べて,Z1による本件改ざんの事実を知らな 告もこれを了解した。 原告は,Z2部長への報告を終えて副部長室に戻り,同所で待機していたZ12,Z9,Z15及びZ16に対し,「今後外で話すなよ」などと述べて,Z1による本件改ざんの事実を知らない者にその事実を告げることを禁じた。 その後,Z2部長は,同日,Z12及びZ9を部長室に呼び,原告同席の下,Z1から本件改ざんの事実を告げられながら自分にそれまで報告しなかったことについてZ9を厳しく叱責した。Z12は,大阪地検上層部への報告が先決と考え,Z2部長に対し,Z1によるデータ改ざんの事実について早急に検事正及び次席検事に報告するよう求めた。しかし,原告及びZ2部長が上層部への報告を渋るような言動をとったことから,Z12は,原告及びZ2部長に対し,特捜部から報告しないのであれば公判部の方から検事正等に報告する旨を強い口調で述べた。Z2部長は,Z12がZ7事件の公判でZ1による本件改ざんを暴露するのではないかと懸念し,Z12に対し,Z1による本件改ざんの事実を知らない者にその事実を告げることを禁じた。 - 20 -Z2部長は,同日,Z9を部長室に呼び,原告同席の下,Z9がZ1による本件改ざんの事実をZ15らに告げたことについてZ9を厳しく叱責するとともに,Z9に対し,「君は全く危機管理が分かっていない。こんなことが表沙汰になったら間違いなくZ1はクビだ。クビだけじゃない,逮捕されるぞ。大阪特捜もなくなるぞ」などと強い口調で述べた上,「かん口令だ」などと述べて,その改ざんの事実を知らない者にその事実を告げることを禁じた。 (イ)原告及びZ2部長がZ1に対して本件データの改ざんが過失によるものと説明するよう指示した状況等原告及びZ2部長は,2月1日頃,Z1による本件改ざんをもみ消すための方策を協議し,その改ざんについて意図的なも 2部長がZ1に対して本件データの改ざんが過失によるものと説明するよう指示した状況等原告及びZ2部長は,2月1日頃,Z1による本件改ざんをもみ消すための方策を協議し,その改ざんについて意図的なものではなく「ミステイク」すなわち過失によりデータを改変したという虚偽の事実にすり替えることを考えついた。原告は,同日の夕刻,Z1に電話をかけ,「過誤ということで説明をつけられないのか」と尋ね,これに対しZ1は,それが可能である旨答えるとともに,そのための説明の骨子を述べた上で,改ざんの具体的内容等を話した。 同月2日の朝,Z2部長は,部長室で,原告から,同人が昨日にZ1から電話で直接確認した結果の報告を受け,原告と協議の上,Z1が本件データを故意に改ざんした事実につき,故意ではなく過失によるデータ改変の可能性のある事案にすぎず,犯罪を構成するものではない旨事実をすり替えて説明する方法によりもみ消すこととした。 Z2部長は,その頃,Z9を部長室に呼び出し,原告同席の下,Z9に対し,「これから話すことはもみ消しじゃないぞ,危機管理だからな。今回の件はZ1君のミステイクということで行くから」などと述べてその方針を伝えた上,Z1に連絡を取り,Z1から原告に対して電話をするように伝えることを指示した。これを受け,Z9は,同日午前頃,Z1に携帯電話で連絡を取り,Z2部長が今回の件はミステイクということで行くと言っていることや,原告に電話をしてほしい旨を伝えた。 - 21 -Z1は,Z9からの前記連絡を受け,同日昼頃,原告に対して電話をかけたところ,原告は,Z1に対し「Z1の件は過誤で行くことになったから」と述べ,真実を,過失によるデータ改変の可能性のある事案にすり替えてもみ消す方針を伝えるとともに,この方針に沿って説明するよう指示した。その際,原 ,Z1に対し「Z1の件は過誤で行くことになったから」と述べ,真実を,過失によるデータ改変の可能性のある事案にすり替えてもみ消す方針を伝えるとともに,この方針に沿って説明するよう指示した。その際,原告は,改めてすり替えのための「過失」ストーリーをZ1から確認した。Z1は,前日の2月1日に原告に伝えた「過失」ストーリーの骨子をいくらか膨らませた内容を説明した。 原告は,電話を終えた後,Z9にも,Z1から「過失」ストーリーの内容を確認させることとし,内線電話でZ9に連絡を取り,Z9に対し,Z1に「過失」ストーリーの内容について確認し,その結果を報告するよう指示した。Z9は,同日昼頃,Z1に対して携帯電話で連絡を取り,すり替えのための「過失」ストーリーを確認したところ,Z1は,「Z8が本件データを改ざんしていないかを検証するために,そのデータのコピーを作って作業していたところ,誤ってマスターのフロッピーのデータを書き換えた可能性があるものの,本件FDはZ8に還付されているため,書き換わっているかどうか確かめようがない」旨の内容虚偽の説明方法を伝え,Z9は,電話を終えた後,副部長室及び部長室に行き,原告及びZ2部長にそれぞれ,Z1から確認した説明内容を報告した。 (ウ)原告及びZ2部長が大阪地検検事正及び同次席検事に対して内容虚偽の報告を行った状況等a 次席検事への報告原告及びZ2部長は,Z12から大阪地検上層部への報告を強く要求されるなどしたため,特捜部から検事正及び次席検事へ何らかの報告をすることが不可避であると考え,平成22年2月2日頃,Z1の考えた前記の説明方法に基づき虚偽の報告をすることとし,まずZ3次席に対して報告することとした。 その報告に先立ち,Z9は,原告及びZ2部長に対し,Z3次席にはZ1によ- 22 -る 日頃,Z1の考えた前記の説明方法に基づき虚偽の報告をすることとし,まずZ3次席に対して報告することとした。 その報告に先立ち,Z9は,原告及びZ2部長に対し,Z3次席にはZ1によ- 22 -る本件改ざんを報告した方がよい旨進言したが,原告及びZ2部長は,そのようにするとZ3次席が上級庁に報告してしまうとして,その進言を受け入れなかった。 原告及びZ2部長は,同日夕刻頃,Z9を伴い,次席検事室に赴き,Z2部長において,Z3次席に対し,「Z15が,Z1が厚労省事件の証拠物であるフロッピーを改ざんしたなどと言って騒いでいるが,原告が調査した結果,それは事実ではなく,Z1はZ8がフロッピーのデータを改ざんしたかどうか検証しただけである。その検証作業の際にデータが書き換わったかもしれないが,仮にそうであったとしても証拠管理上のミスにすぎない程度の話であり,Z7事件の公判にはプロパティを添付した捜査報告書が出ているので,何ら問題はない」旨の虚偽の報告をした。 b 検事正への報告原告及びZ2部長は,同月3日の午前中,Z9を伴い,検事正室に赴き,Z2部長において,Z4検事正に対し,「Z8がフロッピーディスクの日付を改ざんしたかどうかをZ1が検証しただけであったのに,Z15は,Z1が日付を改ざんしたと言って騒いでトラブルになった。しかし,原告が調査したところ,そのような事実はなく,Z15の言い掛かりである。フロッピーの証拠も法廷に出ており,Z1が改ざんするはずがない」旨,虚偽の報告をした。 cZ3次席及びZ4検事正いずれも,Z2部長の報告を聞き,本件データの改ざんにつき犯罪の嫌疑があるとは気付かず,捜査の必要を認めなかったため,自ら又は大阪地検所属の検察官らを指揮して捜査を行うことはなかった。 (エ)原告及びZ2部長がZ1に対して本件デ 本件データの改ざんにつき犯罪の嫌疑があるとは気付かず,捜査の必要を認めなかったため,自ら又は大阪地検所属の検察官らを指揮して捜査を行うことはなかった。 (エ)原告及びZ2部長がZ1に対して本件データの改ざんが過失である旨の虚偽の説明方法を考えておくよう重ねて指示するなどした状況等原告は,平成22年2月8日頃,大阪地検において,Z1に対し,本件データの改ざんが過誤であると説明できるような虚偽の具体的な筋書きを考えておくよう重ねて指示した。 - 23 -また,原告及びZ2部長は,同月10日頃,大阪地検において,上記指示に基づきZ1から提出された「本件データ確認作業中,コピー通知案のプロパティ情報の更新日時が過誤によって改変された可能性はあるが,本件FDが還付されていて改変の有無は確定できない」との趣旨の上申書案につき,Z1に対し,その内容を基本的に了承するとともに,更に工夫するよう指示するなどした。 (オ)原告及びZ2部長がZ1による本件改ざんの犯行について捜査を行わなかったこと原告及びZ2は,前記(ア)ないし(エ)のとおり,過失によるデータ改変の可能性があるなどとの虚偽の事実にすり替えて,Z1による本件改ざんの犯行につき,自ら又は特捜部所属の検察官らを指揮して捜査を行わなかった。 その後,原告は平成22年4月1日付けで神戸地方検察庁特別刑事部長に,Z2は同月5日付けで京都地方検察庁次席検事に,それぞれ異動したが,両名は,それまでの間,同様に自ら又は特捜部所属の検察官らを指揮して捜査を行わなかった。 ウ懲戒事由に該当すること原告は,大阪地検検察官検事として自ら捜査を行うべき職務に従事するとともに,特捜部副部長を命ぜられ,特捜部長の命を受けて同部所属の検察官らを指揮して捜査を行う職務に従事していたものであるが, 原告は,大阪地検検察官検事として自ら捜査を行うべき職務に従事するとともに,特捜部副部長を命ぜられ,特捜部長の命を受けて同部所属の検察官らを指揮して捜査を行う職務に従事していたものであるが,部下検察官であるZ1による証拠隠滅という犯罪行為を覚知しつつ,自ら又は同部所属の検察官らを指揮して捜査を行わず,また,同地検次席検事及び検事正をして,捜査は不要と誤信させて自ら又は同地検所属の検察官らを指揮して捜査を行わないようにさせたという幹部検察官として到底許されない行為に及んだものである。真相を究明すべき捜査機関の幹部であった原告が,不利な証拠を故意に改ざんした部下職員である検事を隠避させた責任は極めて重大であり,原告らが行った隠避行為により,国民の検察に対する信頼は損なわれ,検察の信用は失墜するに至った。原告が犯人隠- 24 -避の罪という刑法犯に該当する行為をし,法令に基づく検察官としての捜査権限の行使を怠り,検察の信用を失墜させたことは,①国公法に違反し(同法98条1項,99条),②職務上の義務に違反し,職務を怠り(検察庁法4条,5条,6条,刑事訴訟法191条,193条1項ないし3項,195条),③国民全体の奉仕者(国公法96条1項)たるにふさわしくない非行のあった場合に該当することは明らかであり,したがって,国公法82条1項1号,2号及び3号のいずれにも該当する。 (原告の主張)ア原告及びZ2部長が,Z1による本件改ざんを認識していなかったことについて(ア)被告は,原告が,1月30日に副部長隣室において,Z9とZ12の面前でZ1と本件電話で話をした際に,Z1が本件データを故意に改ざんしたことを認め,原告はこれにより本件改ざんを認識したと主張するが,否認する。 原告は,同日,Z1と話はしていない。原告が,1月 前でZ1と本件電話で話をした際に,Z1が本件データを故意に改ざんしたことを認め,原告はこれにより本件改ざんを認識したと主張するが,否認する。 原告は,同日,Z1と話はしていない。原告が,1月30日に副部長隣室において,Z9とZ12の面前で本件電話により話をした相手はZ14であって,Z1ではない。 (イ)1月30日,原告がZ15の執務室から副部長室に戻って,しばらくすると,Z9が来たため,副部長隣室において二人でビールを飲みながら話をしていた。 その後,Z12もやってきて飲み会に加わった。原告が,副部長隣室において,Z9及びZ12と雑談をしている最中,Z9の携帯電話に着信があり,Z9が電話に出た後,原告に代わった。本件電話の相手はZ14であり,Z14は,涙声で(酒に酔っている雰囲気もあった)「副部長・・・,副部長・・・」「すいませんでした」などと切り出した上,「Z1さんが悪いんじゃないんです。 僕が悪いんです」などと述べた。原告は,Z14がZ1の改ざんの件について述べていることは分かったが,原告にはZ14が謝罪する意味が理解できなかった。そこで原告は,「フロッピーのデータなんか変えられるのか」「何時の- 25 -日付に変わってるか聞いているか」などと聞いたが,Z14の答えは「変えられると思う」「知らない」旨の曖昧なものにとどまった。また,Z14は,「僕が,Z1さんの応援で,いつも先を走る様なことをしたから,Z1さんに無理をさせたんだと思います」と述べ,原告は,「Z1がZ14の録取した調書に合わせるために改ざんをした」という意味に受け止めたが,厚労省事件の捜査時のZ14の担当とプロパティ問題との関連を思い起こすことができず,Z14の言葉の意味は理解できなかった。 むしろ,原告は,Z14が不本意な応援派遣を指示され,着手決裁直前に たが,厚労省事件の捜査時のZ14の担当とプロパティ問題との関連を思い起こすことができず,Z14の言葉の意味は理解できなかった。 むしろ,原告は,Z14が不本意な応援派遣を指示され,着手決裁直前に至ったZ14主任事件の捜査中止を余儀なくされ悔しい思いを我慢しているはずであるのに,自分のことをさておき,Z1の身を案じるとともに,泣きながら謝罪しその責任の一端を引き取ろうとする姿に接し,Z14に,「ちゃんと対応するから心配するな」「余計な心配を掛けさせてすまなかったな」などとねぎらい,「お前は,大阪の代表で応援に行っているんだ。恥ずかしくない仕事をしてこい」などと述べて励まし,本件電話を切った。原告は,本件電話を切る前後,Z14が泣きながら訴えてきた様子とその心情を思い,もらい泣きをしてしまった。 Z9及びZ12は,原告の様子に,「どうしたんですか」などと聞いたが,原告は,部外のZ9,Z12の面前で不覚にも涙を流したことを恥ずかしく感じるとともに,内偵中のZ14主任事件の話をするわけにもいかず,「いや,何でもない」などと答えるに留めた。 その後,原告は,還付された本件データを確認しないことには,Z1による改ざんの有無を確認することはできないので,本件FDの提出をZ8の主任弁護人であるZ17弁護士に依頼しようと考え,Z9とZ12に,Z17弁護士に交渉するつもりである旨を話したところ,Z12らは,本件FDの返還を申し出ることにより,Z17弁護士らが,プロパティ情報の数字が書き換えられた可能性,更には意図的な改ざんが疑われることを知り,それがZ7事件の弁- 26 -護人に伝わることとなれば,たちまちZ7事件の公判審理に影響を与えると考え,消極意見を述べた。 結局,この飲み会における雑談の結論としては,原告からZ2部長に報告を上げ,Z 件の弁- 26 -護人に伝わることとなれば,たちまちZ7事件の公判審理に影響を与えると考え,消極意見を述べた。 結局,この飲み会における雑談の結論としては,原告からZ2部長に報告を上げ,Z2部長から次席,検事正に報告をしてもらうこと,Z12からも公判部長に報告をすること,Z1が帰阪したら事実確認を行うということになり,午後11時ころに散会した。 (ウ)原告は,2月1日午前9時50分ころ,部長室に入り,1月30日に聞いた情報をZ2部長に伝えた。Z2部長は,そのような重要な問題を1月31日に連絡しなかったことを責するとともに,原告の報告を聞いて大層驚いていたが,Z2部長は,午前10時から司法修習生の修習開始式があったため,いったん報告は中断し,原告は,午前11時頃,再度,Z2部長に,より詳細に報告した。 (エ)その後,Z2部長は,原告に対し,東京にいるZ1に電話をして事実を確認するように指示をした。原告は,Z1への確認事項を整理してZ2部長の了解を得た上で,2月1日午後4時20分,東京のZ1の携帯に電話を掛け,Z1が本件データを改ざんしたという話の真偽を確認すると,Z1は,本件データをパソコンにコピーし,更新日時の数字に適当な数字を入れて検証しようとしたときに,間違って,本件データの更新日時をいじってしまった可能性があるが,わざと書き換えたということはないと答えた。更に原告が,Z1がプロパティ情報を書き換えた上で本件FDを還付したと述べていたとZ9から報告を受けている旨告げると,Z1は,Z9から本件FDをなぜ還付したのか尋ねられたため,冗談のつもりで,プロパティ情報の日付を書き換えて返しておいたと言った旨答えた。 (オ)原告は,Z1の説明を聞いてあきれ,騒動の起こりは,Z1の冗談にあるものと理解した。原告としては,Z1の説 め,冗談のつもりで,プロパティ情報の日付を書き換えて返しておいたと言った旨答えた。 (オ)原告は,Z1の説明を聞いてあきれ,騒動の起こりは,Z1の冗談にあるものと理解した。原告としては,Z1の説明を鵜呑みにするつもりはなかったが,Z1が改ざんをしたとすれば相容れない事情が存在していたため,現時点では- 27 -Z1の説明を虚偽と断じる理由はないと判断した。相容れない事情とは,①本件FDのプロパティ情報を証拠化したZ11報告書が存在し,公判部に引き継がれているのに,プロパティ情報のみを改変しても仕方がないこと,②本件FDをZ8に還付したのでは,改ざん後のデータを検察の立証に利用することができず,改ざんの動機が理解できないこと,③更新日時だけを変更しても,併せて作成日時,アクセス日時も変更しなければ,Z8らの供述と整合させることはできず,あるいは改ざんの発覚を防ぐ上で意味がないこと,④Z9は,Z8の取調べで,Z8に本件FDのプロパティ情報の日時(平成16年6月1日未明)を示しており,その日時を書き換えて還付することは,Z8から,改ざんを指摘されるおそれがあること,というものである。さらに,原告は,Z1が変更後の日付はわからないと述べたことについて,故意を否定する理由の一つであるとともに,他方,改変の有無は還付した本件FDのプロパティ情報の現況を確認しないことには,最終的な判断はできないとの思いを強くした。 (カ)原告は,2月2日午前9時15分頃に登庁し,すぐに部長室に行き,Z2部長に対し,昨日電話でZ1に確認したところ,Z1は意図的に書き換えたのではないと答えた旨報告した。Z2部長は,「そうかミステイクということか」と述べた。 Z2部長は,すぐにZ9を呼び,同人に対し「副部長に確認をしてもらったところ,Z1はミステイクと言ってい えたのではないと答えた旨報告した。Z2部長は,「そうかミステイクということか」と述べた。 Z2部長は,すぐにZ9を呼び,同人に対し「副部長に確認をしてもらったところ,Z1はミステイクと言っている」と告げて,再度,原告に説明をさせた。Z9は,意外だと感じた様子もなく,「Z1さんがそう言っているのなら,そうだったんだと思います」と述べた。Z2部長は,「Z1と電話で話したとき,冗談で言っているように聞こえたか」と尋ね,Z9は,「冗談と言われれば,そうかもしれません。短い電話でしたから」と返答した。 (キ)原告は,Z2部長から,なぜ本件データのプロパティ情報が書き換わっていると言えるのか等を確認するよう指示されたため,同日正午頃にZ1に電話をして確認した。原告は,まず,プロパティ情報を書き換えたソフトウェアの入- 28 -手時期や入手方法を聞いた。入手時期が改変時期と接着しておれば,故意が疑われると考えたためである。Z1は,厚労省事件の前から持っていて,インターネットでダウンロードしたものだと答えた。また,原告は,Z9が「家人に持ち出させていた」と述べたことの真偽を確認したところ,Z1は「そのようにZ9から報告を受けていました」と答えた。さらに,原告は,プロパティ情報の日時はどうなってるかわからないのかと念を押して聞いたが,Z1は「はい」と前日と同様の答えを繰り返した。さらに,原告は,「どうして,フロッピーディスクのデータが書き換わっている可能性があると言えるんだ」とZ2部長から確認をするように言われた点を聞いた。Z1は,「私物のパソコンを使って読んでいたとき,Z8がプロパティに細工したかもしれないと思い,フロッピーディスクからパソコンのハードディスクにコピーをし,コピーのほうのデータをいじっていたつもりであった」ことを述べ,「とこ 使って読んでいたとき,Z8がプロパティに細工したかもしれないと思い,フロッピーディスクからパソコンのハードディスクにコピーをし,コピーのほうのデータをいじっていたつもりであった」ことを述べ,「ところが,還付をした後,パソコンに,プロパティが元のままの証明書のデータが残っているのに気付きました。それで,フロッピーデスクのほうのプロパティをいじってしまったと思ったんです」と説明した。 (ク)同日午後1時頃,原告は部長室に行き,上記(キ)のZ1との電話の内容を報告し,Z2部長とZ1の説明の真偽や合理性を検討した。原告は,上記(オ)の①ないし④の理由から「現時点では,Z1の説明を嘘だと決めつける根拠はありません」と述べ,Z2部長は「確かにそうだな」と答えた。 (ケ)以上のとおり,原告及びZ2部長は,Z1が本件データを改ざんするという証拠隠滅の罪を犯した者であることを知らなかった。したがって,原告がZ2部長と共謀して,証拠隠滅の罪を犯した者であるZ1を隠避したとの事実はない。 イ原告及びZ2部長による犯人隠避について(ア)原告及びZ2部長がZ1による証拠隠滅の犯行を知る検事らに対して他言を禁じたとの主張について- 29 -2月1日午前9時50分ころ,原告は,部長室において,1月30日に聞いた情報をZ2部長に伝えた後,副部長室に戻り,同室で待機していたZ9,Z12,Z15及びZ16に対して他言無用を告げて散会させているが,原告はZ1による本件改ざんを認識しておらず,「改ざんの噂話」をこれ以上口外しないよう申し向けたにすぎない。また,これがZ2部長の指示によるものであったことは否認する。原告は,独自の判断で,誤った噂等が流出する可能性を危惧し,Z1の改ざん疑惑については口外しないように指示したものである。 また,同日午前11時以降 Z2部長の指示によるものであったことは否認する。原告は,独自の判断で,誤った噂等が流出する可能性を危惧し,Z1の改ざん疑惑については口外しないように指示したものである。 また,同日午前11時以降に,原告,Z2部長,Z9,Z12の4名で話をしたとき,Z12が,「次席や検事正にも報告して下さい。公判部長にも報告したい」と述べたのに対し,Z2部長は,「調査をした上で,次席や検事正に報告する」と述べ,特捜部から報告して判断を仰ぐので「軽々に行動しないように」と指示するとともに,「部員全員にかん口令を敷こう」と述べ,その旨を部員に徹底することを原告に命じたが,本件改ざんを隠ぺいしようとしたものではない。 (イ)原告及びZ2部長がZ1に対して本件データの改ざんが過失によるものと説明するよう指示したとの主張について原告及びZ2部長が,2月1日頃,本件データの改ざんを,意図的なものではなく過失によるデータの改変にすり替えることを考えつき,原告が同日の夕方にZ1に電話をかけ,「過誤ということで説明をつけられないか」と尋ねたこと,説明可能であるとのZ1の返答を受けて,原告とZ2部長が協議の上,故意ではなく過失によるデータ改変の可能性のある事案にすぎず,犯罪を構成するものではない旨事実をすり替えて説明する方法によりもみ消すこととしたこと,同月2日,原告がZ1に電話をして上記方針を伝えた上で,改めてすり替えのための説明方法を聴取したことなどは否認する。 前記ア(エ)ないし(キ)のとおり,原告は,Z2部長の指示を受けて,Z1が本件データを改ざんしたという話の真偽を確認するために,Z1に電話を- 30 -掛けて,事情を聴取したにすぎない。 (ウ)原告及びZ2部長が大阪地検検事正及び同次席検事に対して内容虚偽の報告を行ったとの主張についてa の真偽を確認するために,Z1に電話を- 30 -掛けて,事情を聴取したにすぎない。 (ウ)原告及びZ2部長が大阪地検検事正及び同次席検事に対して内容虚偽の報告を行ったとの主張についてa 次席検事への報告2月2日午後5時,Z2部長,原告及びZ9は,次席検事室へ行き,Z3次席への報告を行った。原告は事実関係を報告した上で,前記ア(オ)①ないし④の理由を述べて,原告の判断としてはZ1の説明を虚偽と判断することはできず,意図的に改ざんしたとは考えにくい旨を述べた。また,還付済みの本件FDのプロパティ情報の現況を確認しなければ,現実に書き換えがあったのか,それが意図的な改ざんによるものかは判断できないと述べ,本件FDを回収する必要があるが,その場合,Z7事件の公判審理に与える影響も懸念されることを述べた。さらに,Z15が騒いでいる状況についても説明し,Z15からこの問題が外部に漏れる可能性があることを報告した。 Z2部長は,原告の判断について,「私も副部長と同意見です」,「Z15の言動は意外でした」などと口を挟んだ。 Z3次席への報告の結論としては,Z1が帰阪したら改めて報告をさせる旨述べ,本件FDの回収については,「そこまでしなくていいだろう」との指示を受けた。 b 検事正への報告2月3日午前11時頃,原告,Z2部長及びZ9は,検事正室へ行き,Z4検事正に報告を行った。Z2部長が来訪の要旨を告げ,原告が次席検事への報告と同様の報告をした。ただ,過誤の態様を説明しているときに,Z9が口を挟み,左右の手振りで2つの画面を作りながら,「Z1さんが言うには,フロッピーディスクのプロパティ画面と,パソコンにコピーしたプロパティ画面の二つを開いたままにしてしまい,誤ってフロッピーディスク(原本)のほうの画面をいじってしまったとの ,「Z1さんが言うには,フロッピーディスクのプロパティ画面と,パソコンにコピーしたプロパティ画面の二つを開いたままにしてしまい,誤ってフロッピーディスク(原本)のほうの画面をいじってしまったとのことです」と説明した。 - 31 -原告が,「プロパティがどのように改変されているかが不明な現時点では,過誤発生報告書は作成せず,事実関係の整理をさせるにとどめることとしたいが,それでよろしいでしょうか」と打診したところ,Z4検事正は,「わかった。それでいいよ」と言って了承した。原告は,「Z1が応援を解除され,帰阪したなら,改めて顛末を確認し,報告書を作成させます」と述べた。 原告は,「過誤発生報告」を作成しないということは,少なくとも現時点では本件FDの回収を指示しない意味と解釈した。 c 原告及びZ2部長は,以上のとおり報告を行っているが,Z1の説明が虚偽であることは知らず,諸般の事実関係から虚偽とは決めつけられないとの認識に基づいて報告を行ったものであって,Z1を隠避するために虚偽の報告を行ったものではない。 (エ)原告及びZ2部長がZ1に対して本件データの改ざんが過失である旨の虚偽の説明方法を考えておくよう重ねて指示するなどしたとの主張について原告が,2月8日頃,大阪地検において,Z1に対し,本件データの改ざんが過誤であると説明できるような虚偽の具体的な筋書きを考えておくよう重ねて指示したとの事実は,否認する。 2月10日午後2時頃,Z1が,プロパティ問題の顛末を整理した上申書を持参し,原告がその内容を了承したことは認めるが,かかる行為が犯人隠避であるとの主張は争う。 (オ)原告及びZ2部長がZ1による本件改ざんの犯行について捜査を行わなかったとの主張について原告及びZ2部長は,前記アで述べたとおり,Z1によ かる行為が犯人隠避であるとの主張は争う。 (オ)原告及びZ2部長がZ1による本件改ざんの犯行について捜査を行わなかったとの主張について原告及びZ2部長は,前記アで述べたとおり,Z1によるデータ改ざんの疑惑について調査を行っており,その後,捜査を行っていないのは,Z1による改ざん行為を認識していなかったため,それ以上の捜査をしようがなかったからである。 ウ懲戒事由に該当するとの主張について- 32 -争う。既に述べたとおり,原告が本件処分説明書に記載されている行為を行った事実はない。 (2)本件処分説明書の処分事由の記載が十分か否か(原告の主張)国公法89条は,職員に対し,懲戒処分を行おうとするときは,処分の事由を記載した説明書(以下「処分説明書」という)を交付しなければならないことを定めている。 本件処分説明書では,①別紙2記載の事実が,いかなる点で国公法もしくは国家公務員倫理法又はこれらの法律に基づく命令に違反しているのか(国公法82条1項1号),いかなる点で職務上の義務に違反し,又は職務を怠った場合にあたるのか(同項2号),いかなる点で国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合に当たるのか(同項3号)について,各号ごとに明示されていないから,国公法81条1項各号所定の処分要件該当性を判断することができない。また,②原告とZ2部長との間において,いつ,どこで,どのような共謀がなされたのかの特定明示が一切されていない,③原告自ら又は他の検察官らをして,Z1について捜査をしなければならない作為義務が発生していたことの説明はなく,またその作為義務発生の法令上の根拠も明示されていない。 このように,本件処分説明書における処分理由の記載は不十分であるから,本件処分説明書は国公法89条1項にいう「 発生していたことの説明はなく,またその作為義務発生の法令上の根拠も明示されていない。 このように,本件処分説明書における処分理由の記載は不十分であるから,本件処分説明書は国公法89条1項にいう「処分の事由を記載した説明書」には当たらず,したがって,処分説明書が交付されていない。 (被告の主張)国公法82条1項各号に基づく懲戒免職処分は,懲戒権者が被処分者に対し,一定の義務違反を理由として公務秩序維持の観点からその責任を問うために科する制裁としての処分であり,当該職員の具体的な行為(事実)について責任を問うものである。そして,国公法89条1項及び3項が,懲戒免職処分に当たり,処分説明書を交付することとしている趣旨・目的は,処分された職員に対し,いかなる非違- 33 -行為について当該処分がされたかという処分の理由を知らしめるとともに,その処分について不服がある場合,人事院に対し,不服申立てをすることができる旨及び不服申立ての期間を教示することにより,職員の身分保障を図ることとし,併せて処分者による処分が公正,慎重にされることを担保したものである。そうである以上,国公法82条1項各号に基づく懲戒処分において必要とされる処分理由の記載の程度としては,処分理由となった具体的事実と適用される特定の条項さえ示されていれば,懲戒処分を受けた職員において,いかなる具体的な行為(事実)について責任を問われることになるのかを十分に認識することが可能となり,これと不服申立先及び不服申立期間に関する教示があることと相まって,当該処分に不服がある場合に不服申立てをすることが十分に可能となるとともに,懲戒権者においても,懲戒事由の有無の判断等を公正,慎重にさせることを担保できるのであるから,処分理由となった具体的事実と適用される特定の条項を摘示するこ 申立てをすることが十分に可能となるとともに,懲戒権者においても,懲戒事由の有無の判断等を公正,慎重にさせることを担保できるのであるから,処分理由となった具体的事実と適用される特定の条項を摘示することで処分理由の記載としては足りるというべきである。それ以上に,懲戒事由に該当する具体的事実がどのように国公法82条1項各号に当てはまるのかについての詳細な法律上の主張を記載する必要があるとは解されない。 また,国公法89条1項及び3項は,処分された職員に処分の理由を知らしめ,不服申立ての機会を与えることにより職員の身分保障を図るとともに,処分者による処分が公正,慎重にされることを担保するために,処分説明書の交付を求めていることからすれば,懲戒処分の基本事由たる事実の記載は要するが,その記載は事実関係の同一性を識別できる程度をもって足りるというべきである。これを本件に則してみれば,懲戒事由たる本件懲戒免職処分の基本事由たる事実は,正に原告が犯人隠避をした行為であるところ,その犯人隠避行為の内容は,行為の時期や場所を含めて本件処分説明書別紙に具体的に記載されており,事実関係の同一性を識別できることは明らかである上,これらがZ2部長との共謀に基づく犯行であることや,不作為による犯人隠避における作為義務の内容(自ら捜査を行うべき職務及び大阪地検特捜部所属の検察官らを指揮して捜査を行う職務)についても記載されて- 34 -いるのであるから,処分理由の摘示としては十分であるというべきである。 したがって,Z2との間の共謀に関して,具体的な謀議の日時,場所及び内容まで本件処分説明書に記載されていないことや,不作為による犯人隠避行為に関して,その作為義務の発生根拠まで本件処分説明書に記載されていないことは,本件処分説明書における理由摘示の違法をもたらす 内容まで本件処分説明書に記載されていないことや,不作為による犯人隠避行為に関して,その作為義務の発生根拠まで本件処分説明書に記載されていないことは,本件処分説明書における理由摘示の違法をもたらすものでないことは明らかである。 (3)本件各処分が無罪推定原則に違反するか(原告の主張)刑事裁判の大原則として,原告は「無罪の推定」を受け,有罪判決が確定するまでは何人も犯罪者として取り扱われない権利を有するのである。このことは,日本も批准している国際人権B規約14条2項にも「刑事上の罪に問われているすべての者は,法律に基づいて有罪とされるまでは,無罪と推定される権利を有する」と明記されている。原告が公訴事実,そして処分事由のいずれについても一貫して否認しているにもかかわらず,単に最高検によって起訴されただけの,証拠すら明らかにされていない本件各処分時点で,法務大臣が処分要件該当事実が認められるものとして本件各処分を行ったのは,明らかに無罪推定原則及び国際人権B規約14条2項に違反する。 (被告の主張)無罪推定の原則は,刑事裁判において妥当する原則であるところ(刑事訴訟法317条,336条),懲戒処分は,公務の信頼の確保及び公務秩序維持という刑事手続とは別の観点から行われる行政処分であって,懲戒処分と無罪推定の原則とは直接関係がない。国際人権B規約14条2項も同様である。したがって,本件各処分が無罪推定の原則及び国際人権B規約14条2項に違反する違法な処分であるとの原告の主張は失当である。 (4)本件各処分が検察庁法25条に違反するか(原告の主張)国公法79条2号は起訴休職制度を定めている。一般職国家公務員であれば,本- 35 -人が自白しているなど処分事由が明らかである場合には刑事判決の確定を待つま 条に違反するか(原告の主張)国公法79条2号は起訴休職制度を定めている。一般職国家公務員であれば,本- 35 -人が自白しているなど処分事由が明らかである場合には刑事判決の確定を待つまでもなく懲戒処分が行われることがあるものの,そうでなければ無罪推定原則及び身分保障の観点から起訴休職にとどめておくというのが国公法が予定する取扱いであると考えられる。 検察庁法25条は,国公法79条の休職規定の適用を排除し,検察官が休職を命じられることはないとしているが,それは,一般の国家公務員より厚く身分保障するためである。懲戒処分事由が存在することは起訴時点で明らかだったとは到底言えないから,一般職国家公務員の事案であれば,刑事判決が確定するまでは起訴休職とされるであろう事案であることに疑問の余地はない。そうすると,仮に一般職国家公務員であれば起訴休職とされるべきところを,検察庁法25条は検察官の身分保障を厚くするために起訴休職制度を排除しているのに,処分行政庁は,かえって起訴休職制度がないからといって,そのままにしておくわけにはいかないとして,いきなり最大の不利益処分である懲戒免職処分にしたとしか考えられない。 一般の国家公務員と検察官とが同等の立場で共同して犯人隠避罪を犯したとして逮捕勾留され起訴されたが,犯罪立証の証拠としては供述証拠のみで物証の直接証拠はなく,共犯者両名とも完全に否認していることから,懲戒権者の主観においてはともかく客観的に見れば,犯人隠避罪の成立が明らかとは言えないという場合,一般の国家公務員については,「刑事休職の原因となる事実が明らかである場合には,刑事休職に付すことなく懲戒処分を行うことも可能である。」(乙1・5丁)という場合には当たらないから,国公法79条に基づく起訴休職になるはずである。 ところが被告 因となる事実が明らかである場合には,刑事休職に付すことなく懲戒処分を行うことも可能である。」(乙1・5丁)という場合には当たらないから,国公法79条に基づく起訴休職になるはずである。 ところが被告の論理によれば,共犯者の検察官については,懲戒免職が可能となり,身分保障がより厚い検察官の方が,刑事裁判の結果を待たずに懲戒免職されてしまうという結果が不合理であることは明らかである。 本件各処分が,同条の身分保障を無にし,その趣旨に反する違法な処分であることは明らかである。 (被告の主張)- 36 -検察官の身分保障を定めた検察庁法25条が,そのただし書で,「但し,懲戒処分による場合は,この限りでない。」としていることからしても,懲戒権者により適法に行われた懲戒免職処分が検察庁法25条又はその趣旨に違反することはあり得ない。また,刑事事件の結果を待たずに懲戒処分をすることにつき,国公法又はその他の法令上何ら制限はないところ,本件懲戒免職処分も,原告に対する公訴提起の前に行われたものであるから,本件において,国公法79条2号のいわゆる起訴休職制度(職員が刑事事件に関し起訴された場合に,その意に反して休職することができる制度)について論ずる実益は全くない。 そもそも,いわゆる起訴休職制度は,職員が刑事事件に関し起訴された場合において,公務能率維持及び公務の信用の維持の観点から,任命権者がその裁量において当該職員につき休職とすることを可能とさせた制度であり,懲戒とは異なり非難あるいは制裁の趣旨を含むものではなく,もとより休職にしなければならない義務があるわけではないし,起訴後の懲戒処分を制約するものでもない(乙1・2丁,5丁)。しかも,検察官の場合にはそのいわゆる起訴休職制度自体が法律上認められていないから,なおさら本件において同制度 義務があるわけではないし,起訴後の懲戒処分を制約するものでもない(乙1・2丁,5丁)。しかも,検察官の場合にはそのいわゆる起訴休職制度自体が法律上認められていないから,なおさら本件において同制度について論ずる意味はない。すなわち,検察庁法25条は,検察官の職務と責任の特殊性に基づいた国公法79条2号の特例であり(検察庁法32条の2),検察官については,懲戒処分の場合を除き,休職を含めて職務を停止されることはなく,いわゆる起訴休職制度が法律上認められていないのである。したがって,一般の国家公務員につきいわゆる起訴休職制度があることを理由に,検察官に対する起訴前の懲戒免職処分の適法性を争うこと自体,失当というほかない。 (5)本件各処分が国公法85条を潜脱するものであるか(原告の主張)国公法85条は,刑事裁判中でも,人事院又は人事院の承認を経て任命権者は,同一事件について懲戒手続を進めることができると定めている。人事院の承認を経ることとされているのは,裁判の結果いかんが懲戒処分を決定する上で重大な影響- 37 -があると認められる場合には刑事裁判の終結まで懲戒手続の進行を停止する必要があるため,その判断を人事院に委ねる趣旨である,と説明されている。ところで,本件各処分は10月21日の起訴直前に行われており,遅くともその前日である同月20日には原告を起訴することは決定されていたはずであり,処分行政庁がそのことを知らなかったことはあり得ない。そうすると,処分行政庁が起訴直前に本件懲戒免職処分を行ったのは,間もなく起訴されることを認識しつつ,本件懲戒免職処分が起訴後になると国公法85条の適用を受け人事院の承認を経ないと処分できなくなることを嫌って,あえてそのタイミングで処分したものと考えられる。これは,まさに本件のように裁判の結 つ,本件懲戒免職処分が起訴後になると国公法85条の適用を受け人事院の承認を経ないと処分できなくなることを嫌って,あえてそのタイミングで処分したものと考えられる。これは,まさに本件のように裁判の結果いかんが懲戒処分を決定する上に重大な影響があると認められる場合には刑事裁判の終結まで懲戒手続の進行を停止する必要があるため,その判断を人事院に委ねた同条を潜脱した,実質的に見て違法な抜け駆け処分に他ならない。 (被告の主張)国公法その他の法令は,懲戒処分を行うべき時期について何ら制限をしておらず,懲戒処分は懲戒権者において懲戒事由の存在及び処分内容を判断できる適時の時期に行うことができるところ,本件懲戒免職処分も,原告に係る公訴提起が行われる前の時点で,懲戒権者たる法務大臣において,関係各証拠により本件処分事実が認められ,かつ,懲戒免職処分を行うことが可能かつ適切と判断されたことから,同公訴提起前に行われたものであり,その手続に何ら違法な点はない。 国公法85条は,懲戒処分が,本来,公務の信頼の確保及び公務秩序維持の観点から時宜に即して行われる必要があり,刑事裁判とはその目的,性質,権限等を異にするものであることを前提とした上で,ただ懲戒に付せられるべき事件が現に刑事裁判所に係属する間においては,当該刑事裁判の結果いかんが懲戒処分を決する上で重大な影響をもつ場合があり得るため,その間に行われる懲戒処分については,刑事裁判の終結まで懲戒手続の進行を停止させる必要があるか否かの判断を人事院に委ねることとしたものであり,現に「刑事裁判所に係属する間」における懲戒処- 38 -分についてのみ適用がある規定であることはその趣旨及び文言上から明らかである。 したがって,同条による規制を公訴提起前の懲戒処分が問題となっている本件にも及ぼそうと 間」における懲戒処- 38 -分についてのみ適用がある規定であることはその趣旨及び文言上から明らかである。 したがって,同条による規制を公訴提起前の懲戒処分が問題となっている本件にも及ぼそうとする原告の主張は法的根拠がなく,明らかに失当である。 (6)起訴直前に行われた本件各処分が懲戒権行使に関する手続上の裁量を逸脱ないし濫用した違法な処分か(原告の主張)一般職国家公務員の場合,犯罪行為について確たる物証がなく全面否認しているために事実認定が微妙であるという場合には,起訴休職とされて刑事判決の確定を待って懲戒処分の有無,内容が判断されているのが,これまでの実務上の運用であり,前提として,懲戒権行使に関する手続としてそのような解釈が採られていたものと考えられる。 確かに検察官には起訴休職はないが,それは一般職国家公務員よりも手厚い身分保障をして検察官の独立を担保するためであるから,起訴休職制度がないがゆえに,一般職国家公務員よりも保護を弱めた性急な懲戒権行使を行うことは本末転倒であり,手続的にその裁量を逸脱ないし濫用したものと評価されるべきである。 被告が一般職国家公務員に対する懲戒処分手続の実務上の上記運用を十分認識していたにもかかわらず,起訴直前に本件各処分を敢行した真相は,被告が弁解するように,その時点に懲戒権者が本件非違行為の真実性を十分確信できたというようなことでは全くない。そうではなく,検察官である原告には起訴休職制度がないことから,そのままでは原告の検察官としての職務遂行を止める法的根拠がなく,また給料の支払いを止める法的根拠もない,つまり,原告が検察官として職務を続け給料支払を受け続けるという当時の被告にとっての不都合を防ぐ方法がないので,刑事裁判で無罪になるリスクを承知しつつ,その不都合を回避す 払いを止める法的根拠もない,つまり,原告が検察官として職務を続け給料支払を受け続けるという当時の被告にとっての不都合を防ぐ方法がないので,刑事裁判で無罪になるリスクを承知しつつ,その不都合を回避する唯一の方法として本件懲戒免職処分を敢行したものと考えられる。このような懲戒権行使は,その手続上の裁量を逸脱ないし濫用したものと評価されなければならない。 (被告の主張)- 39 -争う。 (7)本件退職手当支給制限処分における所定事情の勘案が十分であったか否か(原告の主張)退職手当法12条1項は,「当該退職をした者が占めていた職の職務及び責任,当該退職をした者が行った非違の内容及び程度,当該非違が公務に対する国民の信頼に及ぼす影響その他の政令で定める事情を勘案して,当該一般の退職手当等の全部又は一部を支給しないこととする処分を行うことができる。」と定め,さらに同施行令17条は,「法第12条第1項に規定する政令で定める事情は,当該退職をした者が占めていた職の職務及び責任,当該退職をした者の勤務の状況,当該退職をした者が行つた非違の内容及び程度,当該非違に至った経緯,当該非違後における当該退職をした者の言動,当該非違が公務の遂行に及ぼす支障の程度並びに当該非違が公務に対する国民の信頼に及ぼす影響とする。」と定めている。したがって,それら所定の勘案すべき事情は有利不利を問わず全てを勘案の対象とした上で,退職手当の支給制限に関する処分を決すべきは当然である。 しかるに本件処分書の記載によれば,本件処分において勘案した事情は,「被処分者が占めていた職の職務及び責任」,「被処分者が行った非違の内容及び程度」,「被処分者が当該非違に至った経緯」,「当該非違が公務の遂行に及ぼす支障の程度」,「公務に対する国民の信頼に及ぼす影響 処分者が占めていた職の職務及び責任」,「被処分者が行った非違の内容及び程度」,「被処分者が当該非違に至った経緯」,「当該非違が公務の遂行に及ぼす支障の程度」,「公務に対する国民の信頼に及ぼす影響」であり,上記施行令17条所定の勘案すべき事情のうち,「当該退職をした者の勤務の状況」及び「当該非違後における当該退職をした者の言動」については全く勘案されていない。 したがって本件退職手当支給制限処分は,退職手当法12条1項所定の勘案すべき事情を漏れなく勘案した公正な処分とは言うことができず,違法である。 (被告の主張)本件退職手当支給制限処分をするに当たり,原告が挙げる「当該退職をした者の勤務の状況」及び「当該非違後における当該退職をした者の言動」に該当する事情として,例えば,原告が勤務中に本件非違行為に及んだこと以外にも,原告が本件- 40 -非違行為に及ぶまでの間,各配属先において,検察官の職務に精励するとともに,本件非違行為後も,神戸地方検察庁特別刑事部長として,部下職員に対する指導監督に努めてきたことなども十分に勘案したものである。ただし,これらの事情を踏まえつつ,他方で,特に重視されるべき勘案事情である「当該退職をした者が占めていた職の職務及び責任」,「非違の内容及び程度」及び「公務に対する国民の信頼に及ぼす影響」として,本件非違行為に及んだ際,原告が大阪地検検察官検事として自ら捜査を行うべき職務に従事するとともに,同庁特捜部副部長を命ぜられ,幹部検察官の職を占めていたものであること,本件非違行為の内容が,部下検察官による証拠隠滅という犯罪行為を覚知しながら,Z2部長と共謀の上,その隠避を図るため,その犯行を知った同庁検事に他言を禁じ,Z1には過誤だと説明できるよう話を考えておくよう重ねて指示するなどして,自 による証拠隠滅という犯罪行為を覚知しながら,Z2部長と共謀の上,その隠避を図るため,その犯行を知った同庁検事に他言を禁じ,Z1には過誤だと説明できるよう話を考えておくよう重ねて指示するなどして,自ら又は部下検察官を指揮して捜査を行わなかったばかりか,上司である同庁次席検事及び検事正に虚偽の報告をして同様に捜査を行わせないようにさせたという,検察官としてあるまじき行為であること,その非違行為が検察の職務遂行に及ぼす支障の程度は甚大である上,検察権の適正な行使に対する国民の信頼を損ない,検察の信用を著しく失墜させたものであることなどの事情に照らし,原告に対し,一般の退職手当等の全部を支給しないこととしたものである。 以上のように,原告に対する本件退職手当支給制限処分は,勘案すべき事情を全て勘案した上で行われたものであり,しかも,その勘案事情の主たる内容は,本件処分書2枚目及び3枚目に明確に記載されている。したがって,原告の上記主張は失当である。 第3 当裁判所の判断 1 本件非違行為の存否(1)はじめに被告は,原告が1月30日にZ1との電話で同人から本件データを改ざんしたことを告白され,この事実を認識したことを前提に,原告がZ2部長と共謀して,証- 41 -拠隠滅罪の犯人であるZ1を隠避したと主張しており,かかる事実に沿う証拠として,Z12,Z9及びZ1の各供述がある。他方,原告は,1月30日にZ1から改ざんの事実を告白されたことはないと主張し,この主張に沿う供述をしている。 そこで,以下,Z12,Z9及びZ1の各供述の信用性を検討した上で,原告本人の供述の信用性を検討することとする。 (2)Z12供述ア Z12供述の概要(ア)1月30日(土曜日),出勤して自分の執務室で公判の準備をしていると,Z15が部屋に来て, した上で,原告本人の供述の信用性を検討することとする。 (2)Z12供述ア Z12供述の概要(ア)1月30日(土曜日),出勤して自分の執務室で公判の準備をしていると,Z15が部屋に来て,実はZ1が本件データを書き換えたという話をZ9から聞いたと述べた。Z9を呼び出して尋ねたところ,Z9は,平成21年夏頃にZ1から証拠に手を加えたという話を聞き,まさかとは思っていたが,つい最近,Z7事件の公判があった際に,Z1と電話で話をしたときにも,本件データを改ざんしたと言われたため,そのことをZ15などに話した旨述べた。これは大変な事態だと思い,Z15とZ9に早急に上司に報告したほうがいいと言ったところ,Z15が原告に連絡をとって報告をすることになった。 (乙C1・2~6頁)(イ)遅い時間に,そろそろ原告との話が終わったのではないかと思い,Z15の執務室に行った。Z15が部屋におり,Z15から,原告にZ1が改ざんを行ったとの話をしたが,聞く耳をもってもらえず,お前はZ1のことを信用できないのかと言われたとの話を聞き,自分からも原告に話をしようと思い,副部長室に行った。(乙C1・6,7頁,乙C2・18頁)(ウ)同日午後9時か10時頃,副部長室に行くと,原告とZ9が副部長隣室で酒を飲んでおり,「ちょっといいですか」と声をかけて入ろうとしたところ,原告から,「おう,お前も飲んでいくか」と言われたので,「じゃあ頂きます」と言って,その場に加わった。いろんな話をしながら,原告に「今回の件どうするつもりなんですか」と尋ねたところ,原告は,はっきりしない回答であっ- 42 -た。(乙C1・8,9頁)(エ)そのような中で,Z9の携帯電話にZ1から電話が掛かってきて,Z9が一言二言話し,「副部長に代わります」と言って,携帯電話を原告に渡した い回答であっ- 42 -た。(乙C1・8,9頁)(エ)そのような中で,Z9の携帯電話にZ1から電話が掛かってきて,Z9が一言二言話し,「副部長に代わります」と言って,携帯電話を原告に渡した。 (乙C1・9,10頁)原告は,「そっちの様子はどうや,頑張っとるんか,どんな感じや」などと言い,それから少しして,「ところで,ちょっと耳に挟んだんやけど,Z8のフロッピーが書き換えられとるっちゅう話があるんやけどな」,「そんなことができるんか」,「どうやってやるんや」,「結局どうなっとるっちゅうことや」などと質問し,改ざんの話をひとしきりした後で,最後に,「苦労させたな」,「すまなかったな」,「そっちの事件も大変な事件やから,大阪の代表で行っとるんやから頑張ってくれ」,「夜遅くに悪かったな」「今大変だろうけど頑張れよ」などとZ1をねぎらうような言葉をかけて会話を終えた。 (乙C1・10,11,60頁)(オ)原告は,電話中,ショックを受け,それを押し殺して平静を保とうという感じだったが,電話が終わった後は,がっくりとうなだれて,涙を流していた。 (乙C1・11,12頁)電話でのやり取りを見ていて,Z1が本件改ざんを認めたんだろうなとは思ったが,念のため,「認めたんですよね」と原告に確認をしたところ,原告が,うなずいて,認めたという趣旨のことを言った。原告が電話で書き換えた内容についても質問していたので,「どういうふうに変わってるってことなんですか」と聞いたところ,原告は日付が6月8日の何時何分という時間帯になっていると答えた。供述調書の内容と概ね符合する内容だったので,話に合う形で書き換えたんだなと思い,がっくりときて,本当に重い気持ちになった。 (乙C1・12,13頁,乙C2・15頁)原告は,「俺の責任や,俺があいつを育てた 容と概ね符合する内容だったので,話に合う形で書き換えたんだなと思い,がっくりときて,本当に重い気持ちになった。 (乙C1・12,13頁,乙C2・15頁)原告は,「俺の責任や,俺があいつを育てたんや,あいつが辞めるんやったら俺も考えんといかん」などとしきりに自分を責めるようなことも言っていた。 - 43 -(乙C1・13頁)原告が,「今回のフロッピーはZ8のところに返っとるんやろう,Z8の弁護人の連絡先は分かるんか」と言ったので,「分かりますけど,聞いてどうするんですか。聞いて話ができるような相手じゃないですよ」と言ったが,原告は「俺にも考えがあるんだ」と言い,どうするのかについては,「今は言えない,お前らには言えない」などと言ったため,改ざんがなかったことにしたいのではないかと不安になり,早く上に報告した方がいいですよと言った。原告が,「考える時間が欲しい」と言ったので,「今は週末なんで,取りあえず月曜日まで待ちますけれど,月曜日には何とかしないといけないんじゃないですか」と言うと,原告が,「分かった」と言って話が終わった。自分の終電がなくなる時間だったので,午前零時近く,あるいは過ぎていたかもしれない。 (乙C1・13,14頁)(カ)副部長隣室を出た後,Z15の執務室に立ち寄り,Z1と原告とが電話をし,原告も分かってくれたことを伝えた。6月8日の日時になっているということも言った記憶があるが,これは言ったかどうか自信はない。Z15と話をした後,もう夜も遅かったので帰宅した。(乙C1・14,15頁)(キ)2月1日(月曜日)の朝,Z9と副部長室の前の廊下で原告が登庁するのを待っていると,原告が登庁し,吹っ切れたような感じで,「おう,こんなとこで何しとんや」と比較的明るい声で声を掛けてくれた。副部長室に入り,原告に「どう ,Z9と副部長室の前の廊下で原告が登庁するのを待っていると,原告が登庁し,吹っ切れたような感じで,「おう,こんなとこで何しとんや」と比較的明るい声で声を掛けてくれた。副部長室に入り,原告に「どうされますか。報告してくれるんですよね」と聞くと,原告は何か考えているような感じだったので,「早く行ってくださいよ」と言うと,原告は「じゃあ今から行ってくる」と言って,一人で部長室に入っていった。 (乙C1・15,16頁)また,副部長室で,原告に,「弁護人に連絡すると言ってましたけど,それ,どうされたんですか」とも聞いたところ,原告は「いや,あれはやめた。さすがにまずいと思った,問題があると思った」と言っていた。 - 44 -(乙C1・17,18頁)原告が部長室に入って少しして,ドーンという机を激しく叩く音が1回聞こえ,それからZ2部長の非常に大きいどなり声が聞こえたので,原告がZ2部長に報告をしてくれたんだなと思った。その後,原告に呼ばれて,自分とZ9だけが部長室に入ったが,少しして,Z2部長が司法修習生の行事に出なければならないので中断した。(乙C1・17,18頁)(ク)中断後,改めてZ2部長,原告,Z9と自分の4人で,部長室で話をした。 初めに,Z2部長がZ9に対し,「お前何で黙ってたんだ」と責した。 (乙C1・18頁)本件改ざんは,特捜部限りで終わるような話ではないので,Z2部長に対し,「上に上げてくれるんですよね」と聞いたところ,Z2部長は「まだよく分からないじゃないか」,「Z1が大阪に戻ってきてから,Z1からもっとよく話を聞こう」と言った。(乙C1・19頁)先送りのようなことを言われたので,このままうやむやになってしまうのではないかと不安になり,「このまま黙っていたら,みんな処分されるんじゃないんですか。下の者 聞こう」と言った。(乙C1・19頁)先送りのようなことを言われたので,このままうやむやになってしまうのではないかと不安になり,「このまま黙っていたら,みんな処分されるんじゃないんですか。下の者も含めて,みんな処分されることになりますよ」と言ったところ,原告が「いや,そんなことにはならん。お前たちみたいな下の人間に責任が行くはずがないんだ」と言い,Z2部長も同調していた。 (乙C1・20頁)改ざんの問題が,次席や検事正にも上がらない状況で公判なんかやっていられないと思い,かちんときて,「大体この事件何なんですか,証人テストをやったら,みんな引っくり返ってますよ。本当に大丈夫なんですか」となどと言った。(乙C1・20,21頁)「もし特捜部でこのまま上に上げないということであれば,私の方から上に話をすることになりますよ。そういう覚悟もしてますよ」と言ったところ,Z2部長が分かったと返事をし,話が終わった。(乙C1・23頁)- 45 -特捜部長室での話が終わった後,自分の執務室に帰るために廊下を歩いていると,Z2部長が慌てて追い掛けてきて,私を呼び止め,「Z12君,早まったことするなよ。明日の公判で言うつもりじゃないよな」と言った。そのつもりはもともと全くなかったので,Z2部長に対し,「そういうことを言ってるんじゃないんですよ。ただ,きちんと上に報告をしてくださいっていう話ですよ」と答え,「ただ,私は公判部長には報告をしますから」と付け加えた。 (乙C1・25~27頁)(ケ)2月1日のどの時点であったかは思い出せないが,副部長室に,原告,自分,Z9,Z15,Z16がいたときに,原告が,「今回の件についてはこちらでやるから,これで終わりにするから,これ以上騒ぎ立てるなよ。終わりだからもう帰ってくれ」などと言った。他の検事は ,原告,自分,Z9,Z15,Z16がいたときに,原告が,「今回の件についてはこちらでやるから,これで終わりにするから,これ以上騒ぎ立てるなよ。終わりだからもう帰ってくれ」などと言った。他の検事は出て行ったが,このまま誤魔化されて,うやむやに終わるんじゃないかなと非常に不安に思い,出て行く前に,「私は特捜部の人間じゃないですから,公判部の人間ですから,私は私の判断で動くことがありますよ」と言った。(乙C1・24,25頁)(コ)同日の夕方,Z18公判部長に,Z1がFDのデータを書き換えたという話があります,この件については私の目の前で原告がZ1に電話をして確認をしているので間違いない話ですと報告し,特捜部で上にあげるということになっているが不安がある旨に伝えたところ,Z18公判部長は,私の方から特捜部長に一言話をしておくと言ってくれた。その後,Z18公判部長から,特捜部長が上には上げた又は上にきちんと上げるという話を聞いた。 (乙C1・27,28頁)イ検討(ア)供述の内容についてaZ12は,原告がZ1との本件電話で本件データを書き換えたのかどうか,改ざんの方法や内容について質問をし,Z1が改ざんを行ったことを認めたため,電話が終わった後,がっくりとうなだれて,涙を流していた旨述べて- 46 -いるが,原告は,1月30日にZ15及びZ9から,Z1が本件データを改ざんしたとの報告を受けていたのであるから,本件電話においてZ1に対し,改ざんの有無,方法及び内容について確認することは必然であり,会話の内容にも不自然なところはなく,また,Z1が改ざんを行ったことを認めたことにより,自分の部下であるZ1が重大な犯罪を行ったことが確定的となったのであるから,本件電話でZ1が原告に本件改ざんを行ったことを認めたので原告が落胆し涙 また,Z1が改ざんを行ったことを認めたことにより,自分の部下であるZ1が重大な犯罪を行ったことが確定的となったのであるから,本件電話でZ1が原告に本件改ざんを行ったことを認めたので原告が落胆し涙を流したという話の流れも自然である。 次に,Z12は,本件電話後の原告の言動に関し,原告がZ17弁護士に連絡を取ろうとしたと述べているが,本件電話においてZ1が原告に本件改ざんを行ったことを認め,Z1が証拠物の改ざんという重大な犯罪を行ったことが確定的となったため,これを何とかもみ消そうと画策して,Z8の弁護人であるZ17弁護士に連絡を取り,既に還付した本件FDを取り戻そうとすることはあり得るところである。また,Z12は,原告がZ2部長に報告を上げることを躊躇していたため,Z2部長への報告が2月1日になったことを述べているが,問題となっているのが検察官による証拠物の改ざんという前代未聞の事態であり,このことが公になると場合によっては特捜部が廃止されることも予想されるなど検察組織に甚大な悪影響を及ぼすことは確実であること,原告がZ15及びZ9からその報告を受けて躊躇,狼狽していたことは,Z15との間で怒鳴り合いのけんかをしていることからも推認できることからすると,原告が躊躇していたためZ2部長への報告が2月1日になったとの供述にも不自然なところはない。 さらに,Z12は,2月1日に原告がZ2部長にZ1が改ざんを行ったことを認めたことを報告したが,Z2部長はまだ分からないじゃないかなどと述べていた旨述べているが,この点についても,問題の大きさに鑑みると,あり得る反応である。 以上のとおり,Z12の供述は合理的であって,その内容に特段不自然な- 47 -ところはない。 b これに対し,原告は,本件電話でZ1が改ざんを行ったことを認めたので ,あり得る反応である。 以上のとおり,Z12の供述は合理的であって,その内容に特段不自然な- 47 -ところはない。 b これに対し,原告は,本件電話でZ1が改ざんを行ったことを認めたのであれば,原告は,改ざんの動機,Z11報告書との関係,なぜ本件FDを還付したのか,今後の対処方法などについて話をした上で,Z1を叱責するはずであるが,そのような会話は全くなく,かえって労いの言葉を掛けていたというのであるから,Z12が述べる原告とZ1との電話の会話は不自然であると主張している。 しかしながら,Z9等からZ1が本件データを改ざんしたことを聞いた原告にとって,一番重要なことはZ1が本当に本件データを改ざんしたかどうかであり,Z11報告書との関係や,本件FDを還付した理由などはZ1が改ざんの事実を否定しているのであれば,本当に改ざんを行ったのかどうかを確認するために聴取すべき重要な事実であるが,Z1本人が積極的に改ざんの事実を認めているのであれば,Z1が改ざんを行ったことはほぼ否定し難いこと,Z11報告書との関係については,既にZ15からZ1はZ11報告書の存在を知らなかったようだと聞いていたことからすると,Z11報告書との関係や,本件FDを還付した理由を尋ねなかったとしても,不自然ではない。 また,改ざんの動機については,1月30日にZ9から聴取した話を記載した原告作成のメモ(乙D1・4-1,4-2)に「Z8・フロッピープロパティと捜報とくい違いありーのはず 6/4以降の日付か」と記載され,同じく1月30日にZ9から聴取した話を記載した執務記録(乙D2・3頁)には「Z9PがZ1Pから起訴後に聞いたところ「6/8」に改ざんした上,フロッピーは還付済み~~とのこと」と記載されていることに加え,前提事実(9)イを併せ考慮すると, した執務記録(乙D2・3頁)には「Z9PがZ1Pから起訴後に聞いたところ「6/8」に改ざんした上,フロッピーは還付済み~~とのこと」と記載されていることに加え,前提事実(9)イを併せ考慮すると,原告は,Z1がコピー通知案のプロパティ情報の更新日時を6月8日に改ざんしたという話を本件電話の前にZ9から予め聞いていたことが認められる上,また,Z12の供述(前記ア(エ),(オ))- 48 -によっても,原告は,本件電話において,Z1に対し,改ざんについて質問をした結果,その後,それを傍で聞いていたZ12から「どういうふうに変わってるってことなんですか」と尋ねられると,6月8日の何時何分という時間帯になっていると答えたというのであるから,原告もZ1に改ざん後の更新日を確認しているのである。そうすると,厚労省事件では,関係者の供述によれば,Z8がコピー通知案を作成したのは6月8日以降でなければならないはずであるが,コピー通知案のプロパティ情報の更新日時が6月1日になっており関係者の供述と整合しないことが問題(プロパティ問題)となっているところ,改ざん後の更新日時が6月8日になっているのであれば,Z1がプロパティ問題を解消するために本件改ざんを行ったことは明らかであるから,敢えて動機を尋ねる必要はない。 したがって,原告が,改ざんの動機やZ11報告書が公判部に引き継がれていることとの関係等の周辺事情についての聴取を本件電話の際に行わなかったことが不自然であるとは言い難い。 また,原告が,Z1を叱責するのではなく,労いの言葉を掛けていたとの点についても,事実関係を聴取する際にどのような話し方で聴取をするのかは個々人によって異なる上,そもそも,原告は,Z15の執務室にてZ9らからZ1の改ざんしたとの報告を初めて受けた後,副部長隣室において, いても,事実関係を聴取する際にどのような話し方で聴取をするのかは個々人によって異なる上,そもそも,原告は,Z15の執務室にてZ9らからZ1の改ざんしたとの報告を初めて受けた後,副部長隣室において,原告の供述によっても,Z9からさらに事情を聞いている際にビールを飲んでいること(前提事実(9)イ,(10)ア,後記(5)ア。まして,Z9の供述によれば,Z1が改ざんをしたか否かを確認すべく同人からの電話を待っている際に,ビールを飲んでいたことになる(後記(3)ア)。)に照らしても,原告がその時点でZ1の改ざん問題をどれほど深刻に受け止めていたのかについては疑問を禁じ得ない上に,原告にはZ1を守りたいという気持ちがあったことは執務記録(乙D2・5頁)に「Z1Pは救いたい。何とかならないか」と記載されていることからも認められるから,Z12供述の信- 49 -用性を否定する事情とは言い難い。 c 原告は,本件電話の後,原告,Z9及びZ12との間で,改ざんの方法,動機,改ざんの内容,今後どう対処するのか,Z1は反省しているのか開き直っているのか,今後Z1がどうなるのかなどについて会話が交わされておらず,また,終電に間に合わないかもしれないとの理由で散会しているのは不自然であると主張している。 しかしながら,本件電話においてZ1が改ざんの事実を認めた以上,改ざんの事実は疑いようがなく,かつ,検察官が証拠物を改ざんするという前代未聞の事態であって副部長である原告限りで対応を決めることができる事柄ではないから,原告らが取るべき対応は,犯行の動機やZ1がどのように反省しているのかなどを検討することではなく,早急に上司に報告することであることは明らかである。加えて,本件改ざんに関する概要は既にZ9が原告やZ12に話していたこと,本件電話が終了したの のように反省しているのかなどを検討することではなく,早急に上司に報告することであることは明らかである。加えて,本件改ざんに関する概要は既にZ9が原告やZ12に話していたこと,本件電話が終了したのは既に遅い時間であったことに加えて,上記bで指摘した原告の姿勢をも併せ考慮すると,原告が指摘するような事項について会話をするのではなく,Z12が原告に対して上層部に報告するよう求め,原告が月曜日まで待ってほしい旨答えたので散会したとしても,そのことが不自然であるとはいえない。 d また,原告は1月30日から2月3日まで,Z17弁護士から還付済みである本件FDの回収交渉をするかどうか悩んでいるが,データを元に戻して返すということは重大な罪証隠滅行為であって,あり得ない話であるから,Z1が本件改ざんを認めたのであれば,本件FDを回収する必要性は低くなる。したがって,原告が2月3日まで本件FDの回収交渉をするかどうかを悩んでいた事実は,1月30日の電話でZ1が原告に本件改ざんを行ったことを認めたとの事実が存在しなかったことを示すものであるなどとも主張している。 しかしながら,本件改ざんは検察官が証拠物を改ざんするという前代未聞- 50 -の大問題であり,これが露見すれば検察組織全体に与える影響は重大なものであるから,多少のリスクを冒してでも本件FDを回収して本件改ざんを隠ぺいしようとする考えが浮かぶこと自体はあり得ない話ではない。そして,原告が主張するようにZ1が改ざんを行ったのかどうかを確認するためであれば,まずはZ1に事実確認を行うのが先決であり,また,証拠(乙D2・3頁)によれば,Z9からZ1の私物のパソコンに改ざん前後のデータが残っていると言われていることが認められるから,そのデータの内容を確認することができる。これらの事実確認や り,また,証拠(乙D2・3頁)によれば,Z9からZ1の私物のパソコンに改ざん前後のデータが残っていると言われていることが認められるから,そのデータの内容を確認することができる。これらの事実確認や調査を行わずに,本件FDの回収を図ろうとしたのは,事実確認のためであるとは考え難く,むしろ,本件改ざんを隠蔽するためであると考えるのが合理的である。 したがって,原告が本件FDの回収交渉をするかどうか悩んでいるとの事実が,1月30日の本件電話でZ1が原告に本件改ざんを行ったことを認めたとの事実が存在しなかったことを示すものであるとの原告の主張は失当である。 e もっとも,Z12は,本件電話の際のやり取りに関し,Z9が原告に携帯電話を渡すときに,Z1からの電話であると告げて渡したのかどうか,Z9が電話を掛けたのか,掛かってきたのかについて記憶が曖昧であると述べており,また,本件電話の後で原告に「認めたんですよね」と確認したときに原告が述べた言葉を正確には覚えていないと述べているなど,時間の経過により記憶が減退している部分があることは認められる。 しかしながら,Z12は,記憶が明確な部分とそうでない部分とが明確になるよう区別して供述しており,自己の記憶が明確でないにもかかわらず,断定的に述べている様子も窺われない。そして,Z12は,原告が本件電話の相手方との間で「ところで,ちょっと耳に挟んだんやけど,Z8のフロッピーが書き換えられとるちゅう話があるんやけどな」「そんなことができるんか」「どうやってやるんや」「結局どうなっとるっちゅうことや」などと- 51 -改ざんの方法や内容について質問していたことは明確に述べており,また,本件電話が終了した後に「認めたんですよね」と確認したときに原告が認める趣旨の発言をしたことは一貫して供述しているの 51 -改ざんの方法や内容について質問していたことは明確に述べており,また,本件電話が終了した後に「認めたんですよね」と確認したときに原告が認める趣旨の発言をしたことは一貫して供述しているのであるから,本件電話の際のやり取りに関しZ12の記憶に減退している部分があることは,本件電話でZ1が原告に対し改ざんを行ったことを認めたとの供述部分の信用性を否定するものではない。 (イ)客観証拠との整合性についてaZ12は,1月30日午後9時か10時頃に副部長隣室へ行き,原告及びZ12とお酒を飲んでいたところにZ1から本件電話が掛ってきて,Z1が原告に本件改ざんを行ったことを告白し,その後,自分の終電がなくなる午前零時近く,あるいは午前零時過ぎに散会し,その後,Z15の執務室に立ち寄ってZ15に経緯を伝えた上で帰宅した旨述べているところ,これらの供述は,同日Z1の取調べが終了したのが午後10時57分であること,原告が副部長室の鍵を返納し,Z9が休日出勤者調べに退庁の記載をしたのがいずれも1月31日午前零時20分であること,及びZ12が自己の執務室の鍵を返納したのが同日午前零時58分であることと整合している。 b 原告が使用していた執務記録(乙D2・5頁)には,「2/5 Z1Pへ指示・指導すべき事項として」との表題の下「客観証拠の作為を加えたことについて」「これを安易に変更して乗り切ろうとすることは思い上がりもはなはだしい!」「D・SDとも一度は辞職を覚悟した but 『Z1Pは救いたい。何とかならないか?』とない知恵をしぼった」「当面,証拠物の管理におけるミスという主張を貫く」などと記載されている。これらの記載は,原告及びZ2部長が,Z1が客観証拠に作為を加えたことを認識した上で,Z1をかばうために証拠物の管理ミスと主張を貫いた 拠物の管理におけるミスという主張を貫く」などと記載されている。これらの記載は,原告及びZ2部長が,Z1が客観証拠に作為を加えたことを認識した上で,Z1をかばうために証拠物の管理ミスと主張を貫いたとの趣旨であると理解するのが素直な解釈であるが,Z1が本件電話で本件改ざんを行ったことを認め,原告が改ざんの事実を認識した旨のZ12供述と整合している。 - 52 -この点,原告は,「客観的証拠に作為を加えたことについて」との記載は,客観的証拠から読み取れる客観的事実を前提にしてストーリーを考えるべきであり,Z1がZ8の供述をもって,この客観的な事実を書き換えた,それは客観証拠を軽視することも甚だしいという趣旨であり,「これを安易に変更」とは,変え難い事実を署名さえすればどうにでもなる供述調書でねじ曲げるという趣旨であって,Z1が改ざんを行ったことを前提とする記載ではない旨述べているが(乙C15・57~59頁),一般の用語法からおよそかけ離れており,到底信用することはできない。 c 本件電話の後,原告がZ8の弁護人であるZ17弁護士に連絡を取ろうとしたが,Z12が「聞いてどうするんですか。聞いて話ができるような相手じゃないですよ」などと述べて反対し,2月1日も「弁護人に連絡すると言ってましたけど,それ,どうされたんですか」と聞いたところ,原告が連絡を取るのは止めた旨述べたとの供述は,原告の執務記録(乙D2・3頁)に「AZ8,Z17Bへフロッピーの提出要請を検討。butAZ7~公判スタート前に当方から証拠物の管理に疑問を抱かせる動きはマイナスと考え差し控えた~Z12P,Z9Pにおいても同様の意見であった。2/1AM」,との記載があることと整合している。 d また,Z12が原告に対し早く上に報告するよう進言したが,原告は「考える時間が 考え差し控えた~Z12P,Z9Pにおいても同様の意見であった。2/1AM」,との記載があることと整合している。 d また,Z12が原告に対し早く上に報告するよう進言したが,原告は「考える時間が欲しい」と述べたため,Z2部長への報告が2月1日になったとの点は,原告の執務記録(乙D2・3頁)に,原告が2月1日にZ15と面談した際のZ15の発言として,「より上位者に報告しようと考えたが,部員である以上SDに話したbutDへの報告が今日になるとは遅すぎる」,「SDは逃げようとしている~部を守ろうとしている」と記載されていることを整合している。 e 原告は,1月30日にZ1から改ざんの告白を受けたことが原告の執務記録等に記載されていないだけでなく,原告の執務記録(乙D2・3頁)には,- 53 -Z15の態度につき「Z15の態度には驚く」「Pが伝聞で物事を判断してよいのか?」と非難する感情をあらわにしているが,仮に原告が1月30日にZ1から告白を受けているのであれば,真実が分かっているのであるから,このようなことが記載されるわけがないと主張している。 しかしながら,1月30日にZ1が原告に改ざんの事実を告白したか否かにかかわらず,Z15がZ9等からの伝聞に基づいて断定的な意見を述べていることは事実であるから,上記執務記録の記載は,それに対する原告の不快感を記載したものであって,1月30日にZ1が本件電話で改ざんを告白したことと矛盾するものではない。 また,原告の執務記録及び手帳には本件電話があったことは記載されておらず,その内容を書き取ったメモも残されていないが,何を執務記録等に記載し,保存するかは原告の判断次第である上,検察官が証拠物を改ざんしたということは前代未聞の大問題であるから,執務記録やメモは,他人に見せることは予定してい モも残されていないが,何を執務記録等に記載し,保存するかは原告の判断次第である上,検察官が証拠物を改ざんしたということは前代未聞の大問題であるから,執務記録やメモは,他人に見せることは予定していないとしても,万が一のことを考えて,Z1が改ざんを行った,あるいはZ1が改ざんの事実を認めたというような犯罪事実が直接分かるような記載をすることを避けるということは十分考えられるところである。そうすると,本件電話でZ1が原告に対して本件改ざんの事実を認めたとのZ12の供述は,そのことが執務記録等に記載されていないことと矛盾するものではない。 (ウ)他の証言との整合性についてaZ12の供述は,本件電話での会話の内容について,Z9及びZ1の供述と大筋において一致しており,1月30日の本件電話後の状況及び2月1日の原告,Z2部長及びZ9との話の内容等についてはZ9の供述と整合的である。また,2月1日のZ2部長とのやり取りについては,Z2部長自身,Z12の供述は,自分の認識とほとんど食い違いはなかったと述べている(乙C19・141頁)。加えて,Z15は,1月30日の夜遅くにZ12がZ- 54 -15の執務室に来て,Z1が原告との電話で改ざんを行ったことを認めたことを告げた旨述べており,Z12の供述はZ15の供述とも整合している。 b この点,原告は,1月30日にZ1が原告との電話で改ざんの事実を認めたとの話をZ15が聞いたのであれば,このことをZ14に言わないということはあり得ないが,1月31日以降Z15,Z9及びZ14との間でZ1が改ざんの事実を認めたことに関する携帯メールのやり取りは一切ないから,Z15の供述は信用できない旨主張している。 しかし,Z15は1月31日午前3時19分及び同日午前3時21分に電話で話をしているのであるか を認めたことに関する携帯メールのやり取りは一切ないから,Z15の供述は信用できない旨主張している。 しかし,Z15は1月31日午前3時19分及び同日午前3時21分に電話で話をしているのであるから,携帯メールでZ1が原告に告白したことに関するやり取りをしていないからといって,Z15がZ14に対しZ1が原告に告白したことを告げていないことにはならない。したがって,上記原告の主張は失当である。 c なお,Z15は,1月30日午後7時24分にZ14に電話で,Z1が本件改ざんを行ったことを原告に報告したところ,原告と怒鳴り合いになったが,原告がZ2部長に報告することになったことなどを伝えており,その後にZ14は,Z9の携帯電話に電話を掛け,Z9と一緒にいた原告とも話をしているが (乙C5・43,44頁,乙C7・142頁,乙A8・16,17頁),Z14は平成22年10月1日付け検察官調書において原告と電話で話をしたのはZ15からの電話の直後ころだったと思うと述べている(乙A8・16頁)。他方,Z12は,副部長隣室を訪れたのは午後9時から10時頃であったと述べているのであるから,Z12がZ14と原告との電話について認識していないとしても何ら矛盾するものではない。 この点,原告は,Z12がZ15の執務室を訪ねて原告に対する報告状況を聞いたのは午後8時頃から午後8時30分頃の間であると考えるのが合理的であると主張し,かつ,Z14が原告と電話で話をしたのは午後8時19分以降であると考えるべきであると主張しているが,そのように認定するこ- 55 -とのできる証拠はなく,また,原告が主張するとおりであるとしてもZ12が副部長隣室において見聞した本件電話がZ14からの電話であるということになるものでもない。 (エ)虚偽供述の可能性についてa できる証拠はなく,また,原告が主張するとおりであるとしてもZ12が副部長隣室において見聞した本件電話がZ14からの電話であるということになるものでもない。 (エ)虚偽供述の可能性についてaZ12は,1月30日にZ15から,Z1が本件データを改ざんしたとの話をZ9から聞いた旨告げられたときから,一貫して上司に報告すべきであると進言しており,本件改ざんを行ったZ1及びこれを知りつつ上司に報告をしていなかったZ9が責任を問われることを慮って虚偽の事実を述べている様子は窺われない。 また,Z12には敢えて原告及びZ2部長に不利益な供述をする動機や利害関係は認められず,むしろ,Z12は,直属の部下ではないが,それぞれ特捜部副部長及び特捜部長である原告及びZ2部長から特捜部が捜査を行った事件について指導を受ける立場にあった者であるから,自己の認識に反してまで原告及びZ2部長に不利益な供述をするとは考えにくい関係にあり,しかも,原告は,Z12から恨まれるような心当たりはないと述べ(乙C15・143頁),Z2部長も,Z12の供述は自己の認識と大きく食い違っていないと述べている(乙C19・141頁)。そうすると,Z12が,原告及びZ2部長を貶めるために虚偽の供述をしているとも考え難い。 b 原告は,Z12は威信をかけて原告及びZ2部長を逮捕した最高検のストーリーに反する供述をすることができず,あるいは,場合によってはZ12自らも犯人隠避に問われかねない状況にあったのであるから,保身を考えて最高検に迎合した旨主張している。 しかし,Z1が本件改ざんを行っただけでなく,原告及びZ2部長が証拠隠滅を行ったZ1を隠避していたということになれば,特捜部が組織的に犯罪を行っていたということになり,検察組織に与えるダメージは更に重大なものとなるのであ を行っただけでなく,原告及びZ2部長が証拠隠滅を行ったZ1を隠避していたということになれば,特捜部が組織的に犯罪を行っていたということになり,検察組織に与えるダメージは更に重大なものとなるのであるから,最高検があえて事実に反して原告及びZ2部長が- 56 -犯人隠避を行ったとのストーリーを作出し,これをZ12に押し付ける理由はないし,実際にも,最高検がZ12に対し,最高検が作出したストーリーに沿う供述をするよう働きかけたことを窺わせる事情はなく,原告もそのように認定すべき具体的な根拠を示していない。 よって,前記原告の主張を採用することはできない。 (オ)本件電話の相手方を混同している可能性について原告は,日常的に無数の電話を経験するZ12が,たった1本のZ14からの電話を他の電話(Z1からの電話)と混同していても不思議ではないと主張しているが,1月30日の本件電話はZ1が原告に対して改ざんの事実を認めたという内容の電話であり,日常業務で行う電話とは明らかに異質なものであるから,他の電話と混同するようなものではない。 また,原告は,Z12が述べる本件電話の内容はZ14との電話であっても矛盾するものではないから,Z12はZ14からの電話をZ1からの電話と勘違いをしているとも主張しているが,そもそもZ14は,1月30日の原告との電話でZ12が述べるような会話をしたとは供述していない上(乙7・2頁),原告がZ14との間で本件改ざんの内容について話をするのであれば,まずは,Z1からどのような話を聞いているのかを聴取するのが先決であり,Z14がどのような話を聞いているのか確認しないままに,改ざんの方法や内容について質問をするのは話の流れとして不自然である。また,仮に本件電話の相手がZ1ではなく,Z14であれば,「認めたんですか Z14がどのような話を聞いているのか確認しないままに,改ざんの方法や内容について質問をするのは話の流れとして不自然である。また,仮に本件電話の相手がZ1ではなく,Z14であれば,「認めたんですか」とのZ12の質問に対して原告がこれを肯定する趣旨の発言をする意味がなく,1月30日の本件電話後の原告及びZ9との話や2月1日の部長室における話の中で,Z12が本件電話の相手方を勘違いしていることが判明しないままに話が進むとも到底考えられない。 したがって,Z12がZ14との電話をZ1との電話と混同しているとの原告の主張は採用することができない。 - 57 -(カ)本件電話後のZ12の言動との整合性についてaZ12は,本件電話でZ1が原告に対し改ざんの事実を認めた旨供述しているが,原告は,以下の①ないし④のZ12の言動は,本件電話でZ1が原告に改ざんの事実を認めたことと整合しない旨主張している。 ①2月1日にZ2部長,原告,Z9及びZ12が話合いをしたときに,Z2部長が,まだZ1が改ざんをしたか否か真相が不明である旨述べたにもかかわらず,Z12は,Z1が前日の原告との本件電話で本件改ざんの事実を認めた旨主張していない,②Z12は,2月上旬頃,Z3次席から「Z1のフロッピーのこと聞いとるか」などと聞かれたときに「改ざんの確度が高い話だと思います」と答えただけで,Z1が改ざんの事実を認めたことを伝えていない,③Z1は平成22年2月16日からZ7事件の公判に立会しているが,Z12は,Z1が公判に立ち会うことに抗議していない,④Z12は,同月10日に高検あてに「厚労省案件公判状況メモ」という書面を作成して提出し,その前日にも,御前会議と称されるZ4検事正が出席している会議で同様の報告をしているが,Z1による改ざんの事実に全く触れていな 10日に高検あてに「厚労省案件公判状況メモ」という書面を作成して提出し,その前日にも,御前会議と称されるZ4検事正が出席している会議で同様の報告をしているが,Z1による改ざんの事実に全く触れていないなど,Z1の改ざんを話題にすべきところで話題にしていない。 b ①については,仮にZ12が,Z1が改ざんの事実を認めたことを原告がZ2部長に伝えていないと認識したのであれば,なぜZ12はZ2部長に対し,本件電話でZ1が改ざんの事実を認めたことを伝えなかったのかという疑問が生じることは確かであるが,Z12は,Z1が本件改ざんを行ったことをZ2部長に報告するために原告が部長室に入って少しして,部長室からドーンと机を激しく叩く音が聞こえ,それからZ2部長の非常に大きい怒鳴り声が聞こえたため原告がZ2部長に報告してくれたと思った旨供述しており,かかる状況からそのように理解することは特段不自然ではない。また,Z2部長は「まだよく分からないじゃないか」と述べる一方で,「Z1が大阪に戻ってきてから,Z1からもっとよく話を聞こう」とも述べていた旨供- 58 -述しており,このZ2部長の発言は,原告から原告とZ1との電話の内容について報告を受けたことを前提に,帰阪後に更に詳しく事情を聴取しようとの趣旨の発言であると解されるから,Z1が改ざんの事実を認めたことを原告がZ2部長に伝えていないのではないかとの疑問を抱くのではなく,Z12が述べているとおり,先送りにするのではないかと思ったとしても不自然ではない。したがって,Z12は,原告がZ2部長に対してZ1が本件電話において改ざんの事実を認めたことを既に伝えていたと認識していたと述べており,かつ,かかる供述に不自然なところはないのであるから,Z2部長に対し,Z1が本件電話において改ざんの事実を認めたことを 話において改ざんの事実を認めたことを既に伝えていたと認識していたと述べており,かつ,かかる供述に不自然なところはないのであるから,Z2部長に対し,Z1が本件電話において改ざんの事実を認めたことを言わなかったとしても,Z1が本件電話において改ざんの事実を認めたことと何ら矛盾するものではない。 c ②については,Z12自身はZ1が改ざんしたところを確認したり,Z1から直接話を聞いたわけでもないから,「改ざんの確度が高い」との表現に留めたとしても,そのことが,1月30日に本件電話でZ1が原告に本件改ざんを認め,Z12がその場面を見聞していたことと矛盾するとまでは評価できない。 d ③については,証拠(乙D3・8頁)によれば,Z1がZ7事件の公判に立ち会うことは,最高検及び高検からZ7事件の指示を受けてZ3次席と特捜部が協議して決めたことが認められ,そもそもZ1がZ7事件の公判に立ち会うのかについてZ12が意見を言う機会があったのか疑問である。 また,Z12は,不安には思いつつも,特捜部からZ3次席及びZ4検事正に報告が上がり,対処についてはZ4検事正の判断に委ねられていると信じていた旨述べているところ(乙C1・27~29頁),2月1日にZ2部長はZ12に対し,Z3次席及びZ4検事正に報告を上げることを了承していること,Z12は,Z2部長と面談したZ18公判部長から,Z2部長がこの件は特捜部から上に報告するので預からせて欲しいと述べていたこと聞- 59 -いていたことからすると,上記Z12の供述は信用することができる。加えて,Z12は一貫して本件改ざんの事実を上層部に報告すべきであると進言していたことからすると,本件改ざんについての対応は上層部に委ねるべきであると考えていたことが推認できる。そうすると,Z1の処遇は上層部に委ねら して本件改ざんの事実を上層部に報告すべきであると進言していたことからすると,本件改ざんについての対応は上層部に委ねるべきであると考えていたことが推認できる。そうすると,Z1の処遇は上層部に委ねられているというのがZ12の認識であり,かつ,Z1をZ7事件の公判に立ち会わせるというのが上層部の判断であるから,その判断にZ12が異議を述べなかったとしても,本件電話においてZ1が原告に改ざんの事実を告白していたことと矛盾するものではない。 e ④については,そもそも高検宛ての書面及びZ4検事正が出席した会議での報告は,Z7事件の公判の状況を報告するものであり,Z7事件では本件FDは証拠として提出されておらず,改ざん前のプロパティ画面を印刷したものが添付されたZ11報告書が証拠として提出されているのであるから,Z1が本件改ざんを行ったか否かは公判での証拠関係に直接影響を与えるものではない。また,Z12は,原告及びZ2部長に対し,上層部に改ざんの事実を報告するよう求め,これを渋るZ2部長に対し,特捜部が報告しないのであれば公判部から上層部に報告を上げることもあり得ると述べてはいるが,かかる言動からも特捜部から上層部に対して報告を上げるのが本筋であると考えていることは明らかであり,また,前述のとおり,Z1の処遇についてはZ4検事正の判断に委ねられていると思っていたのであり,加えて,この問題については2月1日にZ2部長が口外しないよう命じているのであるから,Z4検事正が出席している会議の場や,高検への報告書でZ1による改ざんの事実に触れなかったとしても,そのことが不自然であるとは言えない。 (キ)その余の原告の主張についてZ12は,原告が,本件電話の際,「大阪の代表で行っとるんやから頑張ってくれ」などと述べて相手を励ましていた旨述べていると そのことが不自然であるとは言えない。 (キ)その余の原告の主張についてZ12は,原告が,本件電話の際,「大阪の代表で行っとるんやから頑張ってくれ」などと述べて相手を励ましていた旨述べているところ(乙C1・11- 60 -頁),Z1及びZ9は,原告がZ1に対して「大阪の代表」という趣旨の発言をしたとは供述しておらず,「大阪の代表」という言葉は,原告とZ14との電話の中でしか表われていないから,Z12がZ1との電話として供述しているものは,Z14との電話以外に考えられないと主張している。 しかしながら,Z1及びZ9は,Z1との電話で原告が「大阪の代表」という言葉を用いたことを否定しているわけではなく,Z14と同様にZ1も東京地方検察庁特別捜査部からの指名を受けて東京地方検察庁に応援に行っているのであるから,Z1に対しても「大阪の代表」という言葉が使われたとしても何ら不自然ではない。他に「大阪の代表」という発言がZ14との電話の中でしか使われなかったという証拠もない。したがって,Z12が見聞した本件電話がZ14との電話以外に考えられないとの原告の主張は失当である。 (ク)小括その他,原告ら縷々指摘するところを考慮しても,Z12供述の信用性を否定すべき事情は見当たらない。したがって,Z12供述の信用性は高いというべきである。 (3)Z9供述ア Z9供述の概要(ア)1月30日,原告がZ15の執務室から退出した後,原告に改めて事実関係を説明しようと考え,副部長室に行き,原告にZ1は確実に改ざんしている,もう間違いない旨を伝えると,原告は「やっぱりそうか」などと言って,非常にがっかりしていた。(乙C5・40頁)(イ)その後,Z1本人に事実関係を確認しなければならないということになり,Z1に電話か携帯メールで取調べが終わっ 原告は「やっぱりそうか」などと言って,非常にがっかりしていた。(乙C5・40頁)(イ)その後,Z1本人に事実関係を確認しなければならないということになり,Z1に電話か携帯メールで取調べが終わったら電話をしてほしい旨を伝え,原告と二人で副部長隣室に移動し,缶ビールを飲みながらZ1の取調べが終わるのを待つことにした。(乙C5・41頁)午後8時19分39秒に自分の執務室から自分の携帯電話に着信があるが,- 61 -その電話を受けたときには,副部長隣室で原告と缶ビールを飲みながら原告からの電話を待っていた。午後8時19分39秒の電話は,当時自分が主任をしていた事件の関係で東京に詰めているメンバーを解散させてもいいかと尋ねられて,適宜解散で構わないと答えた電話であり,午後8時22分29秒の自分の執務室からZ19宛ての電話は,東京にいる検察事務官であるZ19に適宜解散するよう伝えた電話と思う。(乙C8・116頁)トイレに立ったり,自分の執務室に戻ったりしたこともあったので,終始副部長隣室にいたわけではないが,そのような機会を除けば,副部長隣室で,原告と一緒にZ1からの連絡を待っていた。(乙C5・42頁)午後9時30分41秒の金融庁への携帯電話は,副部長隣室から自分の執務室に荷物を取りに帰ったときに事件の関係で金融庁に電話をしたものであり,電話の後,コートと鞄を持って副部長隣室に戻った。(乙C8・147頁)(ウ)副部長隣室で原告とZ1からの連絡を待っていたとき,Z12が来て同席した。何してるんですかとのZ12の問いかけに対し,原告がZ1の連絡を待ってるんだというようなことを答えていたと思う。(乙C5・43頁)(エ)また,Z12が来る前か後かは,はっきりしないが,副部長隣室でZ1からの連絡を待っているときに,Z14から自分の携 の連絡を待ってるんだというようなことを答えていたと思う。(乙C5・43頁)(エ)また,Z12が来る前か後かは,はっきりしないが,副部長隣室でZ1からの連絡を待っているときに,Z14から自分の携帯電話に電話が掛ってきた。 電話に出て,原告と一緒に話をしている旨伝え,原告に電話を替わった。原告は,Z14との電話で,「心配するな,Z1のことは俺に任せろ」,「お前は大阪を代表して東京に応援に行っているんだから,東京でがんばれ。大阪に恥をかかせるようなことをするな」,「あとのことは俺に任せろ」などと言っていた。Z14との電話では,Z14主任事件の話は一切出ていなかった。 (乙C5・43,44頁)(オ)Z12が同席しているときに,Z1から自分の携帯電話に電話が掛かってきた。「Z1さんからです。じゃあ,出ますね」と言って電話に出た後,Z1に「Z20さんに替わります」と伝えて原告に携帯電話を渡した。原告は,非常- 62 -に優しい口調で,「おおZ1か,ちゃんと飯食えてるか,元気にやってるか」などと,Z1の体を気遣うような挨拶から入って,「Z9から聞いたんだけどな,プロパティなんて変えられるんか」,「はあ,そんなことができるんか,俺,知らなかったぞ」などと言い,「いつに変えたんだ」ということも聞いていた。その後,「お前にも迷惑掛けたな」,「平成丸々年の丸々の事件がお前との出会いやったな,あのときにお前に頑張ってもらった,お前には本当に一番辛い役目ばかりさせてしまって,申し訳なかったな」などと,Z1との出会いについて目に涙を浮かべるようにして話をしており,自分もその様子を見て,思わずもらい泣きをしてしまった。原告とZ1のとの話が終わり,原告から電話を返され,Z1に,Z1を尊敬している,検事を辞めないでほしいなどと言ったが,胸が詰まる思いがして り,自分もその様子を見て,思わずもらい泣きをしてしまった。原告とZ1のとの話が終わり,原告から電話を返され,Z1に,Z1を尊敬している,検事を辞めないでほしいなどと言ったが,胸が詰まる思いがして,Z1に上手い言葉も掛けられないまま,電話を切った。 (乙C5・45~47頁,乙C7・136頁)(カ)電話を終えたとき,Z12が,原告に対し,「Z1さんは認めたんですか」と尋ねたところ,原告は,悔しそうに「ああ」というような肯定する趣旨の答えを言った。原告は,涙を流しながら,非常に悔しそうな様子で「ちくしょう」と怒鳴り,「何でZ1はこんなことをしちまったんだ」などと言って,感情を爆発させていた。(乙C5・47~49頁)(キ)その後,原告が興奮した状態で,「これからZ17に連絡を取る,Z17とは知らない仲じゃないんだ,俺には考えがある」などと言い出したので,Z12が,「何をなさるおつもりですか」などと尋ねたところ,原告は,「うるさい」,「お前には関係ない」,「俺はZ1と一緒にもう辞めるんだ,責任を取って辞めるんだ,最後くらいは好きにさせろ」などと言ったので,Z12と一緒に制止した。(乙C5・49,50頁)(ク)この頃には,終電の時間も迫っていたので,Z12は自分の執務室に戻った。 自分は既に荷物を持ってきていたので,原告と一緒に帰ることになった。原告- 63 -と二人になったときに,原告にZ17弁護士に連絡を取ってどうするのか尋ねたところ,原告が,還付済みの本件FDを再度任意提出してもらうなどして押収し,データを元に戻して返すという趣旨のことを言ったので,「それ,やめましょう,危ないです」などと言って止めた。原告も,「分かった,分かった」などと言って話は終わった。二人でエレベーターで地下1階に下り,自分は退庁簿に「24 20 Z9 とを言ったので,「それ,やめましょう,危ないです」などと言って止めた。原告も,「分かった,分かった」などと言って話は終わった。二人でエレベーターで地下1階に下り,自分は退庁簿に「24 20 Z9」と名前及び時間を記載し,原告は執務室の鍵をキーボックスに入れ,地下1階からスロープを上がって,そこで別れた。 (乙C5・50~52頁)(ケ)2月1日,登庁して直ぐに副部長室に行くと,原告,Z12,Z16が副部長室にいた。原告に,Z17弁護士に連絡をするのはやめた方がいいと思う旨言うと,原告は「ああ分かってるよ」などと言い,既に連絡はしないことに決めたような口ぶりであった。原告が部長室に入り,3人は副部長室で待っていたところ,部長室からZ2部長のどなり声が聞こえてきた。(乙C6・1,2頁)(コ)同日,午前から午後にかけて数回部長室に呼ばれている。部長室で,Z2部長,原告,自分の3人で話をした場面,3人にZ12が同席している場面があったことは覚えている。(乙C6・2頁)部長室で,初めに,Z2部長から,「君は本当に以前から知っていたのか。 どうして僕に報告しなかったんだ」と激しく叱責をされた。そのときZ12が同席していたかどうかは覚えていないが,Z12がその場面を知っているのであれば,同席していたのだと思う。(乙C5・2,3頁,乙C7・157頁)Z12は「早く改ざんのことを上に報告してください。私も公判部長に上げます」と述べ,厚労省事件の公判については「証人テストをしてみると,翻る証人が出てきて,なかなか心証が取れない」と言っていた。(乙C6・3頁)(サ)2月1日,Z2部長,原告と3人で特捜部長室で話をしているときに,Z2部長から「お前はいったい,この改ざんの件を誰に話したんだ」と言われ,Z- 64 -15,Z14,Z12の 6・3頁)(サ)2月1日,Z2部長,原告と3人で特捜部長室で話をしているときに,Z2部長から「お前はいったい,この改ざんの件を誰に話したんだ」と言われ,Z- 64 -15,Z14,Z12の名前を挙げたところ,Z2部長が「何でそんなしゃべるんだ。特にZ15に話したことは万死に値する。君もZ15がどういう女だか知ってるだろう」などと言い,「もうこれからは誰にも言うな。かん口令だ」と指示した。また,Z2部長は,このことが公になったら大変なことになるぞ,Z1が首になるだけでなく,逮捕されるぞ,そうなったら大阪特捜がなくなってしまう,僕が部長をしている間にこの大阪特捜を潰すわけにはいかないんだなどと言っていた。また,Z2部長は,私に対し,「君は改ざんの事実を前から知っていたのに私に言わなかった,それは君に責任がある。Z15に話したのも君に責任がある。だから,これからは僕の指示に従え。それが君のミッションだ」と言った。(乙C6・3~5頁)(シ)2月2日,Z2部長から内線電話で呼出しを受けて部長室に行くと,Z2部長と原告がいた。前日は,Z2部長は非常に狼狽していたが,この日は非常に落ち着いていた。(乙C6・6,7頁)Z2部長は,「いいかZ9君,これから話すことはもみ消しじゃないぞ,危機管理だからな」,「今回の件はZ1君のミステイクということで行くから」と言い,「どうだZ9君,ミステイクということで行けるか」と聞いてきた。 本件改ざんを過失あるいは不注意による改変行為にすり替えた場合,他の事実と矛盾を来すようなことはないかという趣旨の質問だと思い,「Z1さんに聞いてみないと分かりません」と答えた。(乙C6・7,8頁)Z2部長は,「これからZ20君がZ1君とちょっと話をする,だから,君は東京にいるZ1君に連絡を取って,Z20君に連絡をす ,「Z1さんに聞いてみないと分かりません」と答えた。(乙C6・7,8頁)Z2部長は,「これからZ20君がZ1君とちょっと話をする,だから,君は東京にいるZ1君に連絡を取って,Z20君に連絡をするように言ってくれ」と言った後,「君は僕に改ざん行為を言わなかった責任がある,Z15にも話した責任があるんだ,だから,僕の指示に従え」などと言ったので,返す言葉もなく,「分かりました」と答えた。Z2部長からの指示には従うほかないと思い,また,これでZ1が助かるのであれば助かってほしいとの気持ちもあったので,故意の改ざんをミステイクによる変更にすり替えるという方針に従う- 65 -ことにした。(乙C6・9,10頁)(ス)同日の昼休みに,Z1の携帯電話に電話を掛け,Z2部長から今回の件はミステイクで行くという方針となったことを伝え,原告の執務室の固定電話に電話を掛けるよう伝えた。(乙C6・9~11頁)(セ)しばらくして,原告から電話があり,「Z1と話をした,これからミステイクというストーリーで行くに当たって,俺はフロッピーディスクとか,そういうコンピュータのことに詳しくないから,Z1から,どういうふうに説明すればいいのかをお前の方で聞き取ってくれ,聞き取った内容をまた報告してくれ」などと言われた。(乙C6・11頁)(ソ)そこで,昼休みに,再度Z1に電話を掛け,過誤として説明する場合の説明内容を聞き取った。「Z8が本件FDを自宅内に隠していたという事実があったことから,Z8がそのデータを改ざんしているかもしれないと思い,私物のパソコンを使って,改ざんの形跡がないかを検証した。その際,本件データをそのまま検証すると,それが書き換わってしまうようなミスが生じかねないので,私物のパソコンのハードディスクにコピーしたデータを検証していたが, ,改ざんの形跡がないかを検証した。その際,本件データをそのまま検証すると,それが書き換わってしまうようなミスが生じかねないので,私物のパソコンのハードディスクにコピーしたデータを検証していたが,手違いで原データの方をいじっていたかもしれない。なぜそれが分かったかというと,検証作業を終えてFDをZ8に還付した後,私物のパソコンを確認したところ,保存されているデータの更新日付が変わっていなかった」旨の説明であった。(乙C6・12頁)Z1に「それで大丈夫ですか。」と聞くと,Z1は,「取りあえずそれでZ20さんとZ2さんに報告しといて。あとは大阪に帰った後,そこは詰めるから」などと言った。(乙C6・14頁)また,この電話を掛けたときに,Z1に改ざんの内容を確認すると,Z1は,更新日付の他に,データの1ページ目と2ページ目を入れ替え,自動的に作成されたバックアップデータを消去した,文書のデータの大きさが変わったなどと答えた。(乙C6・13頁)- 66 -(タ)その後,原告に,Z1から聞いた説明を報告し,原告と一緒に部長室に行って,Z2部長に報告した。Z2部長が「それで大丈夫なのか」などと言い,「取りあえず大丈夫だと思います。詳しいことはZ1さんが戻ってから直接聞いて下さい」と答えた。なお,データの1頁目と2頁目を入れ替えたこと,自動的に作成されたバックアップデータを消去したことなどは,原告及びZ2部長に報告していない。(乙C6・14頁,乙C8・13,14頁)(チ)2月2日,特捜部長室で,Z2部長からZ3次席への報告に同行し,プロパティ問題について説明するよう指示を受けた。その際,Z3次席には本当のことを言った方がいいのではないかと進言したが,Z2部長が「Z9君,甘いぞ。 Z3さんはもう特捜部長じゃない,次席だ。報告すれば必ず上に 問題について説明するよう指示を受けた。その際,Z3次席には本当のことを言った方がいいのではないかと進言したが,Z2部長が「Z9君,甘いぞ。 Z3さんはもう特捜部長じゃない,次席だ。報告すれば必ず上に上げる」と言い,続けて原告も「部長のおっしゃるとおりだ」と言い,自分の進言は一蹴されてしまった。(乙C6・18~20頁)(ツ)2月2日の夕方,Z2部長,原告,自分の3人で次席検事室に行き,まず,Z2部長がプロパティ問題についてZ9から説明させる旨述べ,私の方から説明した。続けて,Z2部長が,Z8が本件データを改ざんしているのではないかとの疑いがあったので,Z1が検証を行ったところ,Z15が,Z1がデータの改ざんをしたと騒ぎ立てた,そこで原告が調査を行ったが,Z1が改ざんをしたということではなく,データが書き換わってしまったかもしれない,つまり証拠管理上のミスがあったかもしれないという程度の話でした,Z7事件の公判にはプロパティ画面を添付した報告書が出ているから何ら問題はないなどと報告した。(乙C6・20,21頁)Z3次席が,「Z15は優秀だと思ってたんだけどな,何でそんなことを言うんだ」などと言ったので,Z2部長は,「いや,そうなんですよ。彼女はこういう共同捜査,特別部には向かないかもしれませんね」などと答えていた。 (乙C6・22頁)(テ)2月3日の午前,Z2部長,原告,自分の3人でZ4検事正のところに報告- 67 -に行き,Z2部長が「ちょっと特捜部内の内輪もめのような話で大変お恥ずかしいんですが,当部のZ15君が,Z1君が証拠品を改ざんしたとか,ごちゃごちゃ騒いでまして,その点についてZ20君が調査に当たったところ,何ら問題はありませんでした。要するに,Z15君の言い掛かりでした。もしかしたら今後,Z15君が検事正のと を改ざんしたとか,ごちゃごちゃ騒いでまして,その点についてZ20君が調査に当たったところ,何ら問題はありませんでした。要するに,Z15君の言い掛かりでした。もしかしたら今後,Z15君が検事正のところにZ1が故意に改ざんしたといったことを言いに来るかもしれませんが,既に調査済みで結論が出ていることなので何ら御心配なく」などと前日にも増して非常に内容の薄い報告をした。Z4検事正は「あ,そうか」と,きょとんとした感じであった。過誤により本件データが変わったかもしれないとの説明もしなかった。 (乙C6・23~25頁,乙C7・167頁)イ検討(ア)供述内容についてZ9は,1月30日の電話でZ1が原告に改ざんの事実を告白したときの状況や,同日のその後の原告とのやり取り,原告及びZ2部長が,Z1が改ざんの事実を認めたにもかかわらず,過誤によるデータ改変の可能性があるにとどまるとの報告をすることになった経緯等について詳細かつ具体的に供述しており,その内容に不自然なところはない。 (イ)客観証拠との整合性aZ9は,Z1に取調べが終わったら電話をしてほしいと伝え,原告と副部長隣室で待っていたところ,Z1から電話が掛ってきて,Z1が原告に本件改ざんを行ったことを告白し,その後,終電の時間が迫っていたので散会し,原告と一緒に退庁した旨供述しているところ,これらの供述は,同日Z1の取調べが終了したのが午後10時57分であること,原告が副部長室の鍵を返納し,Z9が休日出勤者調べに退庁の記載をしたのがいずれも1月31日午前零時20分であることと整合している。 bZ9は,2月1日にZ1が本件改ざんを行ったことを原告がZ2部長に報- 68 -告し,翌2日午前中にZ2部長から「今回の件はZ1君のミステイクということで行くから」と告げられた旨 ている。 bZ9は,2月1日にZ1が本件改ざんを行ったことを原告がZ2部長に報- 68 -告し,翌2日午前中にZ2部長から「今回の件はZ1君のミステイクということで行くから」と告げられた旨述べている。Z2部長は,2月2日午前零時11分,二男に対し,「父は部下の責任をとって辞めることになるかも知れない。」との携帯メールを送信し,同月2日午前10時51分,妻に対し,「Z1のけんなんとか切り抜けれそうだ」との携帯メールを送信しており,これらの携帯メールは2月1日にZ2部長がZ1が本件改ざんを行ったことを聞いて辞職を覚悟したため二男に「父は部下の責任をとってやめることになるかもしれない」との携帯メールを送ったが,翌2月2日の午前中にZ1の過誤ということで上層部に報告して切り抜ける方策に活路を見出し,妻に「Z1のけんなんとか切り抜けられそうだ」との携帯メールを送ったと合理的に理解することができるから,Z9の供述は,Z2部長の携帯メールの内容とも整合している。 この点,原告は,過誤であるとの説明が可能であるとの報告を受けたからといってベテラン検事であるZ2部長が安堵するはずがなく,故意による改ざんの疑いがあったため二男に対する携帯メールを送ったが,その後,過誤であることが分かったために安堵して,妻に対する上記携帯メールを送ったとしか考えられないと主張している。 しかしながら,Z2部長が,自分も辞任しなければならないと考えていたが,Z1の犯行を隠蔽して自らの管理責任も免れる可能性が出てきたため2月1日よりも希望が見えてきたとの趣旨で「なんとか切り抜けられそうだ」との携帯メールを送ったということは十分あり得る話である。また,原告が主張するように過誤であることが判明したために安堵したのであれば,切り抜けられるかどうかではなく,実は大し か切り抜けられそうだ」との携帯メールを送ったということは十分あり得る話である。また,原告が主張するように過誤であることが判明したために安堵したのであれば,切り抜けられるかどうかではなく,実は大した問題ではなかったことを伝えてしかるべきであると考えられるから,やはり,Z9の供述する事実経過の方が上記各携帯メールに整合的である。 c 原告の執務記録には,「2/2 次席への報告に備えて~2/1 2/2- 69 -Z1PTELで聴取した結果を踏まえて」との記載に続き,「1.説明方法」と記載されており,その説明方法として,証拠物の取扱上の過誤であり意図的な改ざんではないことの理由が記載されており(乙D2・4頁),2月2日欄の記載にも「12:00 Z1pTEL プロパティ問題聴取~説明方法の合理性について確認(再度)」,「1:00 部長室プロパティ問題―説明方法 Z1p聴取内容報告~検討」などと記載されている(乙D3・7頁)。これらの記載は,2月1日の朝にZ2部長から更新日時の改変は証拠物の管理上の過誤であると説明するとの方針が出たことを受けて,同日及び翌2日に原告及びZ9がZ1から過誤ということで説明する場合の説明方法を聴取した上で,Z3次席への報告内容を検討した旨のZ9の供述と整合している。 d また,前述のとおり,原告が使用していた執務記録には,「2/5 Z1Pへ指示・指導すべき事項として」との表題の下「客観証拠の作為を加えたことについて」「これを安易に変更して乗り切ろうとすることは思い上がりもはなはだしい!」「D・SDとも一度は辞職を覚悟した but 『Z1Pは救いたい。何とかならないか?』とない知恵をしぼった」「当面,証拠物の管理におけるミスという主張を貫く」などと記載されているが(乙D2・5頁),これらの記載は, は辞職を覚悟した but 『Z1Pは救いたい。何とかならないか?』とない知恵をしぼった」「当面,証拠物の管理におけるミスという主張を貫く」などと記載されているが(乙D2・5頁),これらの記載は,原告及びZ2部長がZ1による改ざんの事実を認識した上で,Z1を救うために証拠物の管理上の過誤であるとの説明をするとの方針を決め,この方針に基づいてZ3次席及びZ4検事正に過誤である旨の報告を行ったとのZ9の供述と整合している。 (ウ)他の証言との整合性についてa 1月30日に副部長隣室において原告及びZ12と一緒にいたときに,原告がZ1と電話で話をしたこと,原告はZ1に近況を尋ねてから改ざんの方法や改ざんの内容について質問し,その後,これまで苦労を掛けたことを謝っていたこと,電話を終えた後,Z12が原告に対し,Z1が認めたかどう- 70 -かを確認し,原告が認めた旨答えたこと,原告がZ8の弁護人であるZ17弁護士に連絡を取ろうとし,Z12がこれを止めたことなど,本件電話に関する主要な部分について,Z9の供述は,信用性の高いZ12の供述と一致している。 bZ9が述べるZ3次席やZ4検事正への報告内容は,それぞれZ3次席の供述(乙10,乙A11)及びZ4検事正の供述(乙11,乙C4)と概ね一致している。Z9は,原告やZ2部長とともに報告を行った者であるから,報告を受けたZ3次席及びZ4検事正とは,利害が対立する関係にあるにもかかわらず,Z3次席及びZ4検事正の供述と整合していることは,Z9供述の信用性を担保しているということができる。 (エ)虚偽供述の可能性Z9は,平成21年7月中旬頃にZ1から本件改ざんを行ったことを告白されて同人が証拠隠滅を行ったことを認識したにもかかわらず(乙C12~15),原告及びZ2部長がZ3次席及びZ )虚偽供述の可能性Z9は,平成21年7月中旬頃にZ1から本件改ざんを行ったことを告白されて同人が証拠隠滅を行ったことを認識したにもかかわらず(乙C12~15),原告及びZ2部長がZ3次席及びZ4検事正に対して故意に改ざんしたものではない旨報告を行った際に,これに同行するなどしており,Z9自身も犯人隠避の刑責に問われる可能性がある立場にあったのであるから,Z9供述の信用性を検討するに当たっては,Z9が自己の責任の軽減を図るために,原告及びZ2部長に責任を転嫁している可能性の有無を検討しなければならないことは,原告が指摘するとおりである。 しかしながら,Z9が自己の責任の軽減を図るのであれば,原告及びZ2部長らと同様に過誤であると認識していたと供述するのが端的であり,敢えて本件電話でZ1が原告に対して改ざんの事実を認めたとの虚偽の事実を作出した上でその後の犯人隠避に関与したこととする実益に乏しい。責任を免れる可能性という観点からみても,Z9が過誤であると認識していたどうかはZ9の主観の問題であるのに対し,本件電話でZ1が原告に対し改ざんの事実を認めたとの事実がないにもかかわらずこの事実を作出するためには,その場に同席し- 71 -ていたZ12が同様に虚偽の供述をすることが必要不可欠であるから,後者の方が遥かに困難であり,責任を免れるために,敢えてZ12が同席していたときの電話でZ1が原告に告白したと供述するとは考え難い。 この点,原告は,Z12が,Z14からの電話をZ1からの電話と勘違いしているのをZ9が利用して,Z14からの電話をZ1が原告に改ざんの事実を認めた電話にすり替えたと主張しているが,Z12が,Z14からの電話をZ1からの電話であると勘違いしているとの前提自体採用し難いことは前述のとおりである。 また,Z9 Z1が原告に改ざんの事実を認めた電話にすり替えたと主張しているが,Z12が,Z14からの電話をZ1からの電話であると勘違いしているとの前提自体採用し難いことは前述のとおりである。 また,Z9は,平成21年7月にZ1から改ざんの事実を告げられたときに,改ざん方法を実演してもらったので,絶対やっていると思ったこと(乙C5・15頁),証拠物の管理上の過誤という方針に従ったのは,単にZ2部長に従うよう指示されたからだけではなく,この方針に従うことでZ1が助かるのであれば助かってほしいという気持ちがあったこと(乙C5・9,10頁),2月2日に原告から依頼されてZ1に対し過誤で説明する場合の説明内容を確認したこと,その際,Z1の説明方法ではなぜZ1が本件FDの検証をしていたのか動機の説明が十分でないと思い,説明方法を考えたこと(乙C8・91,92頁)など,自己の責任の軽減を図るつもりであれば言及する必要のない自己に不利益な供述をしている。また,前述のとおり,Z9の供述は,その根幹部分において他の信用性の高い証拠と整合していることからも,Z9が自己の責任の軽減を図るために,原告及びZ2部長に責任を転嫁しているとは考え難い。 (オ)その他の原告の主張についてa 原告は,Z9供述に関し,1月30日の夜,原告らはZ1からの電話を待つために飲み会をしていたことになるが,重要な事情聴取を行うときに酒を飲んで待つとは考えられないし,Z12も前記飲み会が上記電話を待つためのものであった旨の証言もしていないと主張している。 しかしながら,先に述べたとおり,原告の供述によっても,原告が副部長- 72 -隣室において飲酒をしていたのは,Z1が改ざんしたとの報告を初めて受けたZ9からさらに事情を聞いていたときであったというのであり,Z1の改ざん問題をどれ 供述によっても,原告が副部長- 72 -隣室において飲酒をしていたのは,Z1が改ざんしたとの報告を初めて受けたZ9からさらに事情を聞いていたときであったというのであり,Z1の改ざん問題をどれほど深刻に受けていたか疑問を禁じ得ない態度をとっていることからすると,Z9が供述する原告の上記行動は,原告が認めている内容とは程度の違いにすぎず,不自然とはいえない。 しかも,1月30日は土曜日であり,原告は元々仕事をするつもりで登庁したわけではないこと,Z1の東京での取調べがいつ終わるのかは不明であったこと,副部長隣室でビールを飲んで連絡を待っていたのはZ1の改ざん疑惑を知っている原告,Z9,Z12の3人のみであり,話の内容も,部下が不祥事をしたときの上司の責任など極めて真面目な話をしていたというのであり(乙C5・43頁),Z12も,副部長隣室に行ったとき,楽しく飲んでいるという状況ではなく,どうしようかというような重たい雰囲気であったと述べており(乙C1・8頁),缶ビールを飲んでいるとは言っても,いわゆる宴会を行っていたのでないことは明らかであることからすると,缶ビールを飲みながらZ1からの連絡を待っていたとのZ9の供述が不自然であると評価することはできない。 また,後から部屋を訪れたZ12に上記電話を待っていた趣旨を明確に告げなかったからといって,直ちに不自然とはいえない。 b また,原告は,本件電話に関する供述のうち,「平成丸々年の丸々の事件がお前との出会いやったな」などと過去の事件を回想する部分,本件電話終了後,原告が「ちくしょう」「何でZ1はこんなことをしちまったんだ。」などと感情を爆発させていたという部分,原告がZ17弁護士に連絡を取ると言い,Z12が何をするつもりなのかを尋ねると原告が「うるさい」,「お前には関係ない」, でZ1はこんなことをしちまったんだ。」などと感情を爆発させていたという部分,原告がZ17弁護士に連絡を取ると言い,Z12が何をするつもりなのかを尋ねると原告が「うるさい」,「お前には関係ない」,「俺はZ1と一緒にもう辞めるんだ,責任を取って辞めるんだ,最後くらいは好きにさせろ」などと述べた部分については,Z12供述には出てこない事実であるからZ9の作り話であると主張している。 - 73 -しかしながら,Z9が述べる過去の事件の回想部分は,「平成丸々年の丸々の事件がお前との出会いやったな,あのときにお前に頑張ってもらった,お前には本当に一番辛い役目ばかりさせてしまって,申し訳なかったな」などといったものであるが,Z12も原告がZ1と改ざんの話をした後に,「苦労させたな」「すまなかったな」などと述べていたと供述しているのであるから,供述の具体性に違いはあるものの供述の内容に食い違いがあるわけではなく,また,本件電話終了後に原告がZ17弁護士に連絡を取ろうとして,Z12がこれに反対したことはZ12も供述しているところである。そうすると,Z12及びZ9の供述は大筋においてむしろ一致しているのであり,Z9の方が話が詳細になってはいるが記憶の減退の程度による違いと考えられるから,Z9の作り話であるとの原告の主張は失当である。 (カ)以上,検討したところによれば,Z9供述の信用性は高いというべきである。 (4)Z1供述ア Z1供述の概要(ア)1月30日,東京拘置所で午後6時19分から取調べを行っていたが,Z9から電話がほしいとの携帯メールが来たので午後8時51分に取調べを中断し,主任検事に報告を行うなどしてからZ9の携帯電話に電話を掛けた。その後,午後9時35分から取調べを再開している。 (乙C9・13,16頁)Z9から,Z たので午後8時51分に取調べを中断し,主任検事に報告を行うなどしてからZ9の携帯電話に電話を掛けた。その後,午後9時35分から取調べを再開している。 (乙C9・13,16頁)Z9から,Z15がZ12に本件改ざんの事実を伝えたところ,Z12が大変な事態であり,直ちに上層部に報告すべきであると言ったので,Z15が原告を電話で呼び出して,Z15とZ9の二人から,原告に本件改ざんの事実を伝え,Z15が上に上げるべきだと主張したのに対し,原告がそれを押さえようとして,かなり言い合いになったと聞いた。その上で,Z9から,「Z20さんが,今日,調べが終わってからでいいので,何時まででも待ってるから,電話をほしいとおっしゃってます」「Z20さんは,信頼できる方だと思います,Z1さんのやったことをそのまま言った方がいいと思います」と言われた。 - 74 -大阪に帰ってから直接上司に私の口から告白すべきと思っていたが,上司の知るところになった以上は,きちんと自分のやったことを告白すべきと思った。 刑事罰を受けることは仕方がないとしても,できることならば,いきなりすぐに逮捕,自宅の捜索,官舎の立ち退きといったことではなく,若干の時間的猶予をもらいたい,そして検察に対する影響も極力小さい形で進めてほしいとは思っていたが,首を差し出した上で,処遇等は上司に決めていただくしかないという気持ちであった。(乙C9・13,14,16,17頁)この電話のときであったかは記憶が明確ではないが,その頃,Z9から,改ざんしたデータの日時を尋ねられ,USBメモリーに入っていたデータを確認して,Z9に6月1日の何時何分何秒から6月8日の何時何分何秒に変えていると伝えた。(乙C9・14頁)(イ)同日午後10時57分に全ての取調べを終え,その後,大阪の状況がどうなっ たデータを確認して,Z9に6月1日の何時何分何秒から6月8日の何時何分何秒に変えていると伝えた。(乙C9・14頁)(イ)同日午後10時57分に全ての取調べを終え,その後,大阪の状況がどうなっているのか聞きたかったので,Z9の携帯電話に電話を掛けると,Z9は,目の前に原告がいますと言って,すぐに原告に電話を替わった。 (乙C9・18頁)原告は,「Z1元気か」,「頑張ってるか」,「ご苦労さん」などと私をねぎらう言葉を優しい柔らかい口調で言い,その口調のままで,「Z9から聞いたけど,Z8のところに還付したフロッピーのデータを変えたというのは本当か」と聞かれた。私が「本当です」と言うと,原告が「どういうふうに変えたんだ」と言ったので,「6月1日を6月8日に変えました」と言った。原告が「そんなの変えられるのか」と確認してきたので「変えられます」と答えると,原告は「そんなの変えられるの俺知らなかったけどなあ」と言った。 (乙C9・19頁)一通り告白をした後に,私から「検事を辞めなければならなくなりました。 応援を解除して戻してください」と言うと,原告は,この辺りから涙声になって,「お前,ばかな考えを起こすなよ,お前は今,東京で重要な仕事をしてる,- 75 -今はそれに専念してくれ,責任は俺が取る」などと言い,また,「Z1には,奈良医大のときに世話になった,何とかZ1を守りたい,でも,これはえらい問題や,上にも相談してみないとあかん」などと言った。 (乙C9・20,21頁)原告がZ9に電話を替わると,Z9が泣きながら「Z1さん,絶対辞めないでください,Z1さんが辞めるんだったら僕も辞めます」などと言い,もう一度原告に電話を替わり,原告が「とにかくばかな考えを起こすなよ,まあ,Z1なら大丈夫だと思うけどなあ」と泣き笑う感じで言った いでください,Z1さんが辞めるんだったら僕も辞めます」などと言い,もう一度原告に電話を替わり,原告が「とにかくばかな考えを起こすなよ,まあ,Z1なら大丈夫だと思うけどなあ」と泣き笑う感じで言った。(乙C9・22頁)(ウ)2月1日の夕方頃,東京拘置所の取調室にいるときに原告と電話で話をした。 原告が,「Z1の件を部長に上げた。部長も大変驚いておられる。Z1の件を次席,検事正に上げることになった。Z1,この件は過誤ということで説明を付けられないのか」と言ったので,「それは,説明つけられますけど」と答え,Z11報告書があるのにデータを改ざんするはずがなく,改ざんしたデータの入っている本件FDを持ち主であるZ8に返すはずがない,データのコピーを見て,いろいろ検証していたときに,間違えて本件FDに入っている元のデータを変えた可能性がある,という説明の付け方を原告に話した。原告に上記説明を伝えたところ,原告は,「分かった,それで行こう,それが真実だ,真実は一つだ」と言った。(乙C9・24~26頁)その後,原告から本件改ざんの内容等について質問を受けた。原告から,Z11報告書を知らなかったのかと聞かれ「何となくは」と答え,同報告書が公判部に引き継がれている点についてはどうかと聞かれ「私がやったことじゃないんで暖昧です。よく分かりません」と答え,本件データのうち通知案とコピー通知案のどちらをどうしたのかと聞かれ「コピー通知案の方は最終更新日時を変えているが,通知案のところは変わってないですよ」と答え,コピー通知案のデータの作成日時はどうしたと聞かれ,自分が当時使っていたソフトウェアでは作成日時を変える機能がないので「これは変えられません」と答え,ア- 76 -クセス日時をどうしたのかと聞かれ「分かりません」と答え,最終更新日時はどうなって 分が当時使っていたソフトウェアでは作成日時を変える機能がないので「これは変えられません」と答え,ア- 76 -クセス日時をどうしたのかと聞かれ「分かりません」と答え,最終更新日時はどうなっているのかを改めて確認され,「6月8日にしている」と答え,なぜかと聞かれ「6月上旬という他の証拠関係に合うので,8日を選んだ」と答え,どういうふうに変えたのかと聞かれ「私物のパソコンに入っている,○みたいなソフトを使った」,「そのデータにマウスを置いて,右クリックしたら,そのソフトで,日付と属性の変更というのが出ますんで,そこをクリックしたら数字を入力する画面が出る,そこで,「1」を「8」に入力したりすると変えられます」などと答えた。 (乙C9・26,27頁,乙C11・11~13頁)原告に聞かれたことだけを答えたため,通知案のページを入れ替えて上書きしたときに最終更新日時が変わったので,それを元に戻したこと,バックアップファイルを削除したことは原告に説明していない。 (乙C11・13~15頁)(エ)2月2日午前中,Z9から電話があり,Z2部長がこの件はミステイクで行くと言っており,また,原告が,手の空いているときでいいので電話が欲しいと言っていると言われた。(乙C9・29頁)昼休みに,東京拘置所から原告に電話をしたところ,原告から「Z1の件は過誤で行くことになったから,これは決定事項だ」,「どういう説明がつけられるのか,もう一回聞かせてほしい」と言われた。そこで,原告に,2月1日に電話で話した説明方法をもう少し膨らませて,ある程度詳しく話した。 (乙C9・30,31頁)(オ)原告との電話の後,まだ昼休みの時間に,Z9から電話があり,どのように変えたのか,どういう説明が付けられるのか,Z9からもよく聞くようにとの指示が原告からあっ 。 (乙C9・30,31頁)(オ)原告との電話の後,まだ昼休みの時間に,Z9から電話があり,どのように変えたのか,どういう説明が付けられるのか,Z9からもよく聞くようにとの指示が原告からあったので,一通り教えてほしいと言われた。そこで,2月1日と2月2日に原告に電話で話した説明方法を伝え,併せて,Z8に本件FDが還付されているため,書き換わっているのかどうか確かめようがないから,- 77 -過誤の事案ではなく,過誤の可能性のある事案という説明ができるのではないかと話した。(乙C9・31,32頁)また,通知案の1ページ目と2ページ目を入れ替えて,一旦,上書き保存したため,最終更新日時が本件改ざんを行った平成21年7月中旬になったので,もう一度,それを平成16年の6月8日に変えたことなどを説明した。 (乙C9・32頁)(カ)2月2日の夜,Z9から電話があり,Z3次席には,本件データが書き換わったという話があるが,これは勘違いで問題ありません,公判でも問題になっていません,Z15が一人で騒いでいるだけですなどといった説明をして,問題ないんだなということで報告が終わったということを聞いた。 (乙C9・40頁)(キ)2月3日の夜,Z9から電話があり,Z4検事正に対しては,Z3次席に対するよりも説明内容がごく簡単なものになっていて,Z3次席も問題ないとおっしゃっていますと伝えたところ,Z4検事正は「あ,そう,問題ないのだね」ということで終わった,とのことであった。(乙C9・40頁)(ク)2月3日の夜,原告からも電話でZ3次席とZ4検事正に対する報告が問題なく終わったと聞いた。Z4検事正には,書面は作りませんのでと言って終わったということであった。(乙C9・39頁)(ケ)2月5日夕方頃,大阪地検に戻り,同じく東京に出張して 事正に対する報告が問題なく終わったと聞いた。Z4検事正には,書面は作りませんのでと言って終わったということであった。(乙C9・39頁)(ケ)2月5日夕方頃,大阪地検に戻り,同じく東京に出張していたZ14らと一緒に原告及びZ2部長に帰庁の挨拶をし,その後,一人で副部長室に行って,原告に謝罪した。その際,原告から「捜査段階で消極証拠があったのに,それを俺たちに上げなかったのはお前のミスだ」,「ブツに手を加えるなんて,もってのほかだ」などと,捜査段階でプロパティ問題を上司に報告しなかったことと本件改ざんを行ったことについて責を受けた。また,「俺も部長も,今回だけは辞職を覚悟した。今,首の皮1枚つながってるだけだ」,「とにかく身を慎め,東京の成果を自慢げに回りの人間に言うな」,「お前はもう雑巾掛- 78 -けからやらせる」などといった話があり,本件改ざんの件については,周りの人間から聞かれても,今調査中だからと言っておけばいい,と言われた。 (乙C9・47,48頁)このとき,原告から,Z3次席とZ4検事正に対して直接説明をするよう指示されたことはない。(乙C9・49頁)(コ)原告と話をした後,部長室へ行き,Z2部長に謝罪をした。ものすごく怒鳴り上げられると思っていたが,優しい口調で,「僕が言いたいことはZ20君に全部言っといたから,Z20君から聞いたか」と言われ,私が「聞きました」と言うと,もういいからと言われたので,改めてすみませんでしたと謝罪し,部屋を後にした。(乙C9・49頁)(サ)2月8日の月曜日,朝一番に原告とZ2部長のところに行って謝罪をすると,両名とも,もういいから上に帰庁の挨拶に行ってこいという口ぶりであった。 Z3次席,Z4検事正,高検の次席及び検事長のところに挨拶に行ったが,本件改ざんのことについ 部長のところに行って謝罪をすると,両名とも,もういいから上に帰庁の挨拶に行ってこいという口ぶりであった。 Z3次席,Z4検事正,高検の次席及び検事長のところに挨拶に行ったが,本件改ざんのことについては全く聞かれなかった。念のために,原告とZ2部長に,特に何も言われなかったことを報告に行ったが,その際,原告から,何か聞かれたときに,過誤だという説明がつくような書面を作っておくよう指示された。(乙C9・50,51頁)(シ)2日ほど掛けて,過誤によりデータが変わった可能性がある旨の嘘の筋書きを記載した上申書を作成し,2月10日,まず原告に,次にZ2部長に見せた。 (乙C9・52頁)副部長室に入り,原告に上申書のドラフトを見せたところ,原告はこれを読み,読み終わったところで私の方を見ながら,「分かった,これが真実だ,真実は一つだ」と言った。(乙C9・52,53頁)次に,部長室に行き,Z2部長に上申書のドラフトを見せたところ,検証を行った動機を記載した部分について,「これだと何で君がこんなことをやったのか,後で記者連中にものすごい突っ込まれるぞ」,「この辺りを少し練り直- 79 -してこい」などと言われた。(乙C9・53,54頁)Z2部長から上申書を練り直すよう言われたことを原告に報告し,その後,私物のパソコンを副部長室に持って行き,○を使って最終更新日時をどのようにして変えるか実演した。(乙C9・60頁)イ検討(ア)供述内容についてZ1は,1月30日に本件電話を掛けることとなった経緯,本件電話における原告とのやり取り,本件改ざんを原告に告白してから,原告,Z2部長及びZ9らとともにデータの改変があり得るにすぎないという過誤ストーリーを作り上げていった経緯,帰阪してから原告から叱責を受けたときの内容,上申書を作成する ざんを原告に告白してから,原告,Z2部長及びZ9らとともにデータの改変があり得るにすぎないという過誤ストーリーを作り上げていった経緯,帰阪してから原告から叱責を受けたときの内容,上申書を作成することになった経緯等をそのときの心情も交えて具体的に説明しており,話の流れとしても,1月30日にZ1が原告に本件改ざんを告白したにもかかわらず,過誤によるデータの改変の可能性があるにすぎないとの報告が行われたことの説明として,特段不合理なところはない。 (イ)客観証拠等との整合性Z1供述は,以下のとおり,前記前提事実や他の信用性の高い証拠と整合している。 aZ1が述べる同人の1月30日の行動は,同日のZ1の取調べ状況,原告及びZ9の退庁の時間と整合し,また,本件電話で原告に本件改ざんを行ったことを告白したこと及びその際の会話の内容は,信用性の高いZ12供述及びZ9供述と概ね一致している。 原告は,Z1の供述によれば,本件電話の際,原告がZ1に対し,「馬鹿な考えを起こすなよ」,「何とかZ1を守りたい」,「上にも相談してみないとあかん」などと述べているのに対し(乙C9・20,21頁),Z12は原告がこのような発言をしたとの記憶はないと述べているのであるから(乙C1・65頁),本件電話でZ1が原告に本件改ざんを告白したとのZ- 80 -1の供述は虚偽である旨主張しているが,Z12は原告が上記のような発言をしたことを否定しているわけではないから,Z1の供述はZ12の供述と矛盾するものではない。そして,Z1とZ12の供述は大筋においては一致していること,Z12は本件電話のやり取りを傍らで聞いていたのであって電話の相手方の話を聞くことはできないのであるから,記憶に残る部分が断片的なものとなってもやむを得ないこと,Z12が原告及びZ2部長を被 ること,Z12は本件電話のやり取りを傍らで聞いていたのであって電話の相手方の話を聞くことはできないのであるから,記憶に残る部分が断片的なものとなってもやむを得ないこと,Z12が原告及びZ2部長を被告人とする刑事事件において証言をした時点で,本件電話から約1年8か月が経過していることからすると,Z1が供述している原告の発言の一部をZ12が記憶していないということが,特段不自然であるということはできないから,上記のような供述の違いがあることをもって,Z1供述の信用性を否定すべき事情とは言い難い。 また,原告は,Z1の供述がZ9の供述と一致しているのは,Z1がZ9の供述調書等を読んで自己の供述を変遷させているからであると主張し,その根拠として,Z1の9月29日付け検察官調書では,本件電話の内容に関し,原告がZ1を労う会話及びどういうふうに変えたのか,そんなの変えられるんかなどと尋ねる会話部分が記載されていないが,Z1の10月6日付けの検察官調書や公判廷では,上記のような会話があった旨供述しているのは,Z1がZ9の供述に話を合わせていることの証左であるなどと主張している。しかしながら,捜査段階でZ1が供述していたすべてのことが検察官調書に記載されるわけではなく,また,段階的に詳しい事実関係を聴取してこれに合わせて調書も詳しい内容のものを作成するのが通常であるから,Z1の9月29日付け検察官調書に上記の内容が記載されていないことから,Z1がZ9の供述に話を合わせているということは困難である。その他,原告は,Z1がZ9の供述に合わせて自らの供述を変遷させていると見るべき具体的な根拠を何ら示すことができていないのであるから,上記原告の主張は採用することはできない。 - 81 -bZ1は,2月1日夕方頃の電話で,原告から過誤ということで説 させていると見るべき具体的な根拠を何ら示すことができていないのであるから,上記原告の主張は採用することはできない。 - 81 -bZ1は,2月1日夕方頃の電話で,原告から過誤ということで説明が着けられないのかと尋ねられたため,Z11報告書があるのにデータを改ざんするはずがなく,改ざんしたデータの入っている本件FDをZ8に返すはずがない,データのコピーを見て,いろいろ検証していたときに,間違えて本件データを変えた可能性があるという説明方法を伝え,その後,原告からZ11報告書を知らなかったのか,同報告書が公判部に引き継がれたことは認識していたのか,改ざんの内容及び方法などを尋ねられ,Z11報告書については何となくしか認識しておらず,同報告書が公判部に引き継がれたかについても曖昧であったこと,他の証拠関係に合うのでコピー通知案の更新日時を6月8日にしたこと,改ざんの具体的な方法を伝えた旨述べている。原告が作成したメモ(乙D1・12-1,12-2)には,「フロッピー→HDドライブへ転写-検証-ソフト閉-フロッピーデータをいじってしまった」,「H21.6.29付Z11G捜報-プロパティ印刷-添付の存在 - なんとなく」,「公判部への引継ぎ - あいまい」,「改変の有無-何をコピー通知案-○」,「更新日時 6月8日上旬に合致するから」,「プロパティ-変更の手順 - 私物-○ ファイル表示ソフト入力右クリック-日付と属性の変更-数字入力可能」などと記載されており,Z1は説明方法として本件FDからデータをUSBメモリーに移したと述べたはずであり,HDドライブにコピーしたとは述べていないとしている点は異なっているが(乙C11・24頁),その余の点は,上記Z1の各供述と整合している。 この点,原告は,上記メモの下7行部分は,Z1が考え り,HDドライブにコピーしたとは述べていないとしている点は異なっているが(乙C11・24頁),その余の点は,上記Z1の各供述と整合している。 この点,原告は,上記メモの下7行部分は,Z1が考えた過誤による改変の可能性があるにすぎないとの虚偽の説明方法を記載したものではなく,Z1による過誤であるとの説明を書き取った文章であるから,Z1が原告に対し本件電話で本件改ざんを告白したとのZ1の供述と明らかに矛盾すると主張しているが,同部分は断片的なメモにすぎず,原告が主張するように解釈するしかないとは到底いえず,虚偽の説明方法を原告がまとめて記載したも- 82 -のであるとしても,何ら矛盾するところはないから,上記原告の主張は失当である。 cZ1は,2月5日に原告から,捜査段階でプロパティ問題を上司に報告しなかったこと及び本件改ざんを行ったことについて責を受け,「俺も部長も,今回だけは辞職を覚悟した。今,首の皮1枚つながってるだけだ」などと言われた旨述べているところ,原告の執務記録(乙D2・5頁)に,「2/5 Z1Pへ指示・指導すべき事項として 1.叱る!」,「② 客観証拠に作為を加えたことについて~客観証拠は変え難い事実を語るものであり,主観証拠=供述とは扱い方を異にするーこれを安易に変更して乗り切ろうとすることは思い上がりもはなはだしい!」,「2.自覚させる!自分の置かれている立場について」,「① D・SDとも一度は辞職を覚悟した but 「Z1Pは救いたい。何とかならないか?」とない知恵をしぼった」,「② 当面,証拠物の管理におけるミスという主張を貫く」,「③危険水域は脱していない」などと記載されており,上記Z1の供述と整合している。 しかも,これらの記載は,原告及びZ2部長が,Z1による本件改ざんを認識しつつ,証拠物の けるミスという主張を貫く」,「③危険水域は脱していない」などと記載されており,上記Z1の供述と整合している。 しかも,これらの記載は,原告及びZ2部長が,Z1による本件改ざんを認識しつつ,証拠物の管理ミスにすぎないと主張してZ1をかばったことを推認させるものであるから,原告及びZ2部長が,Z1による本件改ざんを認識しつつ,Z1をかばうために過誤による改変の可能性があるにすぎないとの説明をZ3次席及びZ4検事正に行ったとのZ1供述全体の骨子に極めて整合している。 (ウ)虚偽供述の可能性についてZ1は,証拠物である本件データを改ざんするという重大な犯罪を行った者であるから,一般論としては,自己の刑責を軽くするために他の者に責任を押し付ける危険性があるが,勾留初日の9月22日から一貫して本件改ざんを行ったことを認め(乙C10・72頁),原告及びZ2部長を被告人とする刑事事件の公判においても自己の行った犯行を具体的に述べるとともに,自己の責- 83 -任の重さを率直に認めており,責任を回避しようとする姿勢は窺われない。また,Z1の供述は話の内容に不自然なところはなく,他の信用性の高い証拠とも極めて整合していることなどからすると,Z1が自己の刑責を軽くするために虚偽の事実を述べているとは考え難い。 この点,原告は,Z1がZ9をかばうために虚偽の供述をしているとも主張しているが,Z1が自らの改ざん行為を認めつつ,Z9をかばうのであれば,平成21年7月にZ9に対して本件改ざんを行ったことを告白したとの事実を否定するか,Z9が冗談と受け取るような話し方で述べた旨供述する方が端的であり,他方で,Z1は,Z9が,この件はミステイクで行くとのZ2部長の方針をZ1に伝えたこと,原告からの指示を受けて過誤による改変があるにすぎないとの説明をする場 話し方で述べた旨供述する方が端的であり,他方で,Z1は,Z9が,この件はミステイクで行くとのZ2部長の方針をZ1に伝えたこと,原告からの指示を受けて過誤による改変があるにすぎないとの説明をする場合の説明方法を聴取したこと,Z9がZ1の作成した上申書について「遊び半分」という部分は「ちょっと苦しいんじゃないですか」などとアドバイスをしたことなど(乙C11・89頁),Z9の犯人隠避への関与についても明確に述べているのであるから,Z1の供述がZ9をかばうために虚偽の供述をしている様子は窺われない。 (エ)小括以上によれば,Z1供述の信用性は高いというべきである。 (5)原告の供述ア原告の供述の概要(ア)1月30日午後7時頃,Z15の執務室から副部長室に戻り,厚労省事件の捜査資料を探していると,午後7時15分頃,Z9が副部長室に来た。Z9から色々話を聞こうと思い,会議用ノートと筆記用具をもって,副部長隣室に移動した。(乙C13・72,73頁)Z9に,Z1からどういう話を聞いたのかを改めて尋ねると,Z9は「Z1さんが,Z8の自宅から押収したフロッピーディスクを還付したと聞いたので,どうして還付したのか理由を聞こうと思い電話で話した。Z1さんが,フロッ- 84 -ピーディスクは返したが,その際,その更新日時を書き換えておいたというふうに言っていた」と答えた。「プロパティなんて変えられるのか」と聞くと,Z9は「何か特殊なソフトがあればできる」答えた。(乙C13・77頁)いつに変わっているのかを尋ねると,Z9は「聞いてません,分かりません」と答え,「変えているとしたら平成16年6月4日以降の日付ではないか」,「Z8ら関係者の供述にある6月上旬に合うから,6月8日にしている可能性が高いと思います」などと答えた。(乙C1 分かりません」と答え,「変えているとしたら平成16年6月4日以降の日付ではないか」,「Z8ら関係者の供述にある6月上旬に合うから,6月8日にしている可能性が高いと思います」などと答えた。(乙C13・78,79頁)Z9に,「お前はZ1が本当に改ざんをしたと思うか」と尋ねると,Z9は「僕は半信半疑です」,「Z1さんは,やったとも,やらないとも,どちらとも取れる言い方をしてましたから」と言っていた。Z1が改ざんをしたのなら,なぜZ11報告書がそのままになっているのかを尋ねると,Z9は,「Z1が知らない間に捜査報告書が公判部に引き継がれたのかもしれませんよ」などと言っていた。これを聞き,Z1が自分の目で確認しないまま記録を公判部に引き継ぐということがあるのかなと疑問に思った。(乙C13・80,81頁)また,検察に有利になるように改ざんをしたのであれば,手元に置いておくはずなのに,本件FDを還付してどういう意味があるのかと尋ねたところ,Z9は「分かりません」と答えた。(乙C13・81頁)Z9は,「私物のパソコンでブツ読みをしていたので,もしかすると,改ざん前後のデータをパソコンに残しているかもしれません。部屋に入って確認してみましょうか」と言ったが,部屋に入るマスターキーがどこにあるか分からないし,私物のパソコンを勝手に開くのは問題があると思い,Z9には「私物のパソコンをいじって,パソコン本体はもとより,中のデータを破損したら,それは問題だ,やめとこう」と言った。(乙C13・82頁)(イ)午後8時頃,Z12が副部長隣室に来たので,Z12も含めて,公判前整理や公判の状況などについて話をし,Z12は,この件を公判部長に報告したいと言っており,自分もZ2部長を通じてZ3次席及びZ4検事正に報告しよう- 85 -と思うと述べた。(乙C めて,公判前整理や公判の状況などについて話をし,Z12は,この件を公判部長に報告したいと言っており,自分もZ2部長を通じてZ3次席及びZ4検事正に報告しよう- 85 -と思うと述べた。(乙C13・88~93頁)Z1が東京の応援を終えて大阪に戻れば,Z1からも事実確認をしようという話をしていたが,電話でZ1に確認をしようとは思わなかった。1月28日の会議で初めてプロパティ問題を認識し,詳細がよく分からず,Z11報告書も持っていなかったので,改ざんの有無を確認するための周辺事実を把握していなかったのと,1月28日の会議でZ2部長も言っていたとおり,Z1が当時担当していた任務が非常に重いものであり,夜遅くまで取調べに集中しているであろうから,確認のための電話を掛ける気にならなかったからである。 (乙C13・97,129,130頁)(ウ)早くとも午後9時頃,Z9の携帯電話に電話が掛ってきて,私に電話を回してきたので,誰かなと思い電話に出ると,電話の相手はZ14だった。Z14が「副部長すいませんでした,Z1さんが,Z1さんが」と言ったので,Z1の改ざんの件で電話をしてきたんだなと理解した。(乙C13・98頁)Z14は,泣きながら,酒でも飲んでいるのかなという感じで,「Z1さんが悪いんじゃないんです,僕が悪いんです」などと言い,意味は分からなかったが,改ざんのことを言っているのかなと思ったので,「Z9から聞いてるぞ,フロッピーディスクのプロパティなんて変えられるのか」と尋ねた。Z14は,「多分変えられるんだろうと思います」などと言い,「知ってるなら,いつに変えてるんだ」と尋ねると,Z14は「いや,知りません」と言っていた。 (乙C13・99頁)やり取りの中で,どうしてZ1が改ざんしたと思うのか根拠を確認したと思うが,Z14か ってるなら,いつに変えてるんだ」と尋ねると,Z14は「いや,知りません」と言っていた。 (乙C13・99頁)やり取りの中で,どうしてZ1が改ざんしたと思うのか根拠を確認したと思うが,Z14からは説明はなく,Z1がキーボードをたたく仕草をしたなどといった話はなかった。(乙C13・100頁)Z14に「俺とZ1とは平成12年以来の付き合いなんだ,ちゃんと対応するから心配するな」「自分のやりかけた事件をペンディングにさせているのに,余計な心配を掛けさせてすまないな」「引き続き応援を頑張れ。電話を夜遅く- 86 -にありがとうな」などと言った。大阪を代表して行っているなどと言った可能性はあるが,言ったとしたら,請われて行くというのは名誉であり誇りだというふうに言ったんじゃないかと思う。(乙C13・100~102頁)Z14は,泣きながらZ1をかばっており,Z14自身,Z14主任事件の捜査が中断となって悔しい気持ちを我慢しているにもかかわらず,何でZ1のことを心配してやれるんだろうと思うと,私自身泣けてきた。 (乙C13・102~111頁)Z12とZ9は,私が泣いているのを見て,「どうしたんですか,相手が何と言ってきたんですか」と尋ねてきたが,大の大人が他人の前で泣いているのが恥ずかしく,Z14の事件について特捜部の人間ではないZ12やZ9に話をすべきでもないので,説明しなかった。(乙C13・111頁)(エ)その後,Z1が書き換えたのかどうか,書き換えたとして故意に改ざんしたのかどうかを判断するには,本件FDを見るのが一番早いと考え,「何とかフロッピーディスクの中身を確認する方法はないか」「鈴木先生に言ってみる」などとZ9及びZ12に言ったが,公判にどういう影響を与えるか分からないので,部長,Z3次席,Z4検事正に報告して判断 何とかフロッピーディスクの中身を確認する方法はないか」「鈴木先生に言ってみる」などとZ9及びZ12に言ったが,公判にどういう影響を与えるか分からないので,部長,Z3次席,Z4検事正に報告して判断を仰ぐべきであると考え,私が独断でZ17弁護士に働きかけるのはやめた。 (乙C13・119~122頁,乙C17・24頁)(オ)副部長隣室での飲み会は,午後11時前,遅くとも午後11時過ぎには散会した。JR神戸線を使って大阪駅から新快速電車で西へ帰るが,新快速電車の最終出発時刻が午後11時40分であり,大阪地検があるαから大阪駅まで約20分かかる。Z9やZ12も午後11時を超えると帰宅するのが厳しくなるので,午後11時過ぎ頃には散会した。(乙C13・125頁)二人が退室するときに,いつ部長に報告するのかを尋ねられたので,月曜日に報告すると答えた。報告を月曜日にしたのは,Z2部長がプライベートの用事で,30日及び31日は大阪を離れていると認識していたからである。 - 87 -(乙C13・125,126頁)(カ)二人が退出した後,ごみを片付け,帰り仕度を始めたが,Z9の説明の中にあった,6月8日に変えている可能性が一番高いということの理由が気になっており,Z9にその理由を尋ねればよかったのだが,聞きそびれたというか,沽券に関わるというところもあったので,聞かなかった。月曜日にZ2部長に報告するに当たり,当然,どういう内容に書き換えられているだと聞かれることが予想されるので,調書で確かめようと思い,調書を探し出して確認したが,どの調書にも6月上旬としか記載されていなかったので,6月8日に変えている可能性が高い理由は分からなかった。午前零時頃までは調書を読んでいたので,結局,終電には間に合わず,タクシーで帰宅した。 (乙C13・126, 旬としか記載されていなかったので,6月8日に変えている可能性が高い理由は分からなかった。午前零時頃までは調書を読んでいたので,結局,終電には間に合わず,タクシーで帰宅した。 (乙C13・126,128頁)1月30日の時点の印象は,Z9がZ1との電話でたまたま聞いたというような雰囲気であったこと,Z1が改ざんしたのであれば,Z11報告書が公判部に引き継がれて開示されているのは疑問であり,本件FDを還付する意味も分からないこと,Z12からZ9が取調べの際にZ11報告書をZ8に示していたと聞いており,そうであれば,プロパティ情報を変更すれば相手に気付かれること,Z8らの供述に合わせるのであれば,作成日時も6月4日以降にしなければならないのに,更新日時だけを変えても合わせたことにはならないことなどの点から,Z1を100%信じていたわけではないにしても,本当にそんなことをするのかなというものであった。(乙C15・16~19頁)(キ)2月1日,午前9時15分ころまでには大阪地検に登庁し,副部長室に行くと,Z12が副部長室のドアの前に立っており,午前9時40分頃までには,Z12の他に,Z15,Z16,Z9が副部長室に集まってきた。 (乙C13・140~142頁)私がZ17弁護士から本件FDを回収しようとしたという理解の下だと思うが,Z12が,鈴木先生に交渉するのは待って下さい。Z7の弁護人に伝わる- 88 -のは,今はタイミングが悪いからと言ったので,「分かった。俺も同じ意見だ」と言った。Z9が「副部長の携帯に昨日電話を掛けました」と言っていたので,Z9もZ12と同じ意見だなと理解した。執務記録に二人の名前を挙げているのはそのためである。(乙C13・142頁)(ク)部長室に入り,Z2部長に対し,「Z1が,本件データを改ざんしている たので,Z9もZ12と同じ意見だなと理解した。執務記録に二人の名前を挙げているのはそのためである。(乙C13・142頁)(ク)部長室に入り,Z2部長に対し,「Z1が,本件データを改ざんしている疑いがあります。1月30日に,Z15,Z9,Z12に呼ばれて登庁し,Z9がZ1に電話で,フロッピーディスクを返した理由を聞いたところ,Z1が更新日時を書き換えたと聞いたと言ってます。Z15は興奮して,公表すると言っていた。私が,Z8の主任弁護人を知っているので,フロッピーディスクを確かめようと思いましたが,やめました。Z12も同意見でした。今,Z12たちが来ています」などと報告した。(乙C13・143,144頁)報告している最中に,Z2部長から「何で昨日のうちに報告してくれないんだ」と怒られたが,すぐに「子どものことがあったから遠慮してくれたんだな」と言っていた。Z2部長が,何か行事があるので戻ってから話を聞くということだったので,報告を中断し,副部長室に戻った。(乙C13・144頁)(ケ)Z12らに対し,Z2部長は用事があるということだったので,私の方から報告をしておくから,一旦みんな戻るように指示した上で,「ただし,部外者には口外しないでくれ。特に立会事務官には,軽率に言うな」と告げた。 (乙C13・145頁)(コ)午前11時にZ2部長が戻ってきたので,先ほどと同様の報告をした。Z2部長から,何を変えたのかを尋ねられ,更新日時であると答えたところ,いつになっているのかと尋ねられ,「フロッピーディスクを確認しなければ分かりません,ただ,Z9から聞いたところでは,6月8日にしている可能性が高いということです」,「Z8の供述に合うようにということのようですが,私にはその理由が分かりません」などと答えた記憶がある。Z2部長は,もし改ざ 9から聞いたところでは,6月8日にしている可能性が高いということです」,「Z8の供述に合うようにということのようですが,私にはその理由が分かりません」などと答えた記憶がある。Z2部長は,もし改ざんをしているということになれば,辞職せざるを得ない問題だという趣旨のこ- 89 -とを言っていたが,事実関係を確認できていないのにまだ早いと思った。 (乙C13・145~147頁)このとき,Z2部長に対し,「Z9は半信半疑と言っています」とZ9の心証を伝えたかもしれない。(乙C13・148頁)(サ)Z2部長が,Z12とZ9を呼ぶように言ったので,内線電話で二人を呼び出した。Z2部長がZ9に対し,Z1からどう聞いたのかと尋ねたところ,Z9は「Z1さんが,Z8のところから押収したフロッピーディスクを還付したと聞いたので,還付の理由を電話で確認した。そのときに,返すに当たって,更新日時を書き換えておいたとZ1さんから聞いた」旨報告していた。 (乙C13・147,148頁)次にZ2部長がZ12に意見を求めたところ,Z12は,Z1は改ざんをしていると思うと答え,その理由として,これまで証人テストで証人が捜査段階の供述を撤回しており,心証が取れないこと,Z7を逮捕起訴したのは事案の読み違えではないかということを挙げていた。Z2部長は,Z12に対し,なぜそういえるのか,取調官に供述の出方を聞いたのかと問い返したところ,Z12は,いや,していませんと答えていた。その後,Z12は,Z2部長に対し,Z1が帰庁したら事実を確認してくださいと言っていた。 (乙C13・148~150頁)(シ)Z12は,Z2部長に対し,「検事正及び次席に報告してください,自分も公判部長に報告をしたい」と言い,これに対し,Z2部長は,「まだ事実関係を確認していないじゃな C13・148~150頁)(シ)Z12は,Z2部長に対し,「検事正及び次席に報告してください,自分も公判部長に報告をしたい」と言い,これに対し,Z2部長は,「まだ事実関係を確認していないじゃないか。報告をするといって,いったい何を報告するんだ。うわさが出てますということか。それじゃあ,子どもの使い,子どもの報告じゃないか」と言ったが,Z12は,多少興奮ぎみに,「報告をしておかないと,みんな処分を受けます」と言っていた。(乙C13・150頁)最終的には,Z2部長がZ12に,Z4検事正,Z3次席に報告することを了承し,報告のために調査をするが,この情報が外に漏れれば大変なことにな- 90 -るから部員にはかん口令を敷くと言い,私に対し,Z15にも部外者に話をしないように言っておくよう指示をした。(乙C13・151頁)Z1とZ14は東京にいるので,Z9が携帯メールで伝達することになり,Z16は私が直接言いに行ったが,改ざんの件を知っているかと尋ねると,知らないと答えたので,Z16にはかん口令を伝えていない。(乙C13・155頁)(ス)Z2部長から,Z1に電話をして事実関係を聞くよう指示されたので,Z12からZ11報告書等の事件資料を入手し,Z1が改ざんをしたのであれば,どういった事実関係に立つかということを念頭に置いて事実関係をメモに書き出した。(乙C13・158~163頁)(セ)2月1日午後1時30分,部長室へ行き,Z2部長にメモに沿って,Z1から聞く必要がある事項を説明し,Z2部長の了承を得た。 (乙C14・11,12頁)その後,Z2部長が「ちょっとZ9君を呼んでくれ」と言ったので,Z9を内線電話で呼び出した。Z2部長は,Z9に対し,「これは危機管理の問題だ,過去の失策は問うつもりはないが,Z1君から聞いた話を その後,Z2部長が「ちょっとZ9君を呼んでくれ」と言ったので,Z9を内線電話で呼び出した。Z2部長は,Z9に対し,「これは危機管理の問題だ,過去の失策は問うつもりはないが,Z1君から聞いた話をZ15やZ12に話した。何で最初に自分に報告してくれなかったんだ。君たちは,庁内で決定権を持つ立場ではない,そういう子供達が集まって,子供会議を開いて,何が決まるんだ」と叱るように言っていた。(乙C14・13頁)また,Z2部長が,Z9に,Z15は,なぜZ1が改ざんしたということにこだわるんだ,Z1との間に何があったんだと聞いたところ,Z9は,Z15はかねてからZ1の強引な指揮に不満があったと述べていた。Z2部長は,いずれにしても,今は公表するタイミングではないなどと言い,私に対し,Z2部長の責任で調査をするので周囲に軽々に話をしないようZ15を納得させることを再度,指示した。(乙C14・14頁)(ソ)2月1日午後3時,Z15を副部長室に呼び出し,副部長隣室でZ15に対- 91 -し,既に部長には報告をし,次席に報告することになったことを伝え,Z1には私の方で確認をするので,部外者には,改ざんの話はしないように言った。 (乙C14・16,17頁)Z15は,部長への報告が今日になるのは遅すぎる,副部長は部長を守ろうとしているなどと言い,公判の立会については,Z12の指示には従うが,副部長の指示には従わないと言った。僕は副部長なんだから,部と部員を守るのは当たり前だろう,特捜部の部員にもかかわらず,部長,副部長の指示には従わないという言い方は何だと言うと,Z15は「副部長に,お前なんか検事を辞めちまえって言われたことは一生忘れません」と捨てぜりふを残して部屋から出て行った。(乙C14・17,18頁)(タ)2月1日午後4時20分,Z 何だと言うと,Z15は「副部長に,お前なんか検事を辞めちまえって言われたことは一生忘れません」と捨てぜりふを残して部屋から出て行った。(乙C14・17,18頁)(タ)2月1日午後4時20分,Z1に電話をし,改ざん問題について事情を聴取した。初めに,Z1に対し,予め用意していたメモにしたがって,改ざんしたかどうかを確かめるための周辺事項を確認するため「Z11報告書の中身を覚えているか」「プロパティ問題を公判部に引きついているのか」「Z11捜査報告書は公判部にいつ引き継いだのか」「証拠分けは自分でしたのか」「自分でブツ読みをしたのか」「フロッピーディスクを還付したのはなぜか」などと質問し,それぞれ「細かい日時は覚えていないが中身は何となく覚えている」「起訴時には伝えていない」「いつ公判部にZ11報告書を引き継いだかは,記憶では曖昧です」「自分で証拠分けはしました」「自分で確認した」「捜査報告書を作っているので,内容は証拠化しているから要らなかった」などと答えた。 (乙C14・26~31頁)周辺事項を確認した後,「Z1が,Z8の自宅から押収したフロッピーディスクのプロパティ,更新日時を書き換えたという話があるんだけど,本当のところはどうだ」と聞いた。Z1は,「御心配をお掛けしてすみませんでした。 フロッピーディスクのプロパティをいじったことは間違いありません。ただ,- 92 -わざと書き換えたということはありません。書き換わっている可能性があります。ただ,それはミスです」と言った。(乙C14・31頁)「いじった」というはどういう意味なのかを確認すると,Z1は「フロッピーディスクのデータを確認しようとして,パソコンにコピーし,プロパティの更新日時の数字に適当な数字を入れて検証しようとした。それで,間違ってフロッピーディスクの方 のかを確認すると,Z1は「フロッピーディスクのデータを確認しようとして,パソコンにコピーし,プロパティの更新日時の数字に適当な数字を入れて検証しようとした。それで,間違ってフロッピーディスクの方のプロパティをいじってしまった可能性があります」と答えた。Z1によれば,データの表示ソフトウェアのようなものを私物のパソコンに入れていて,更新日時の数字を入れ替えることができ,ソフトウェアを起動してマウスの右クリックを押すと,日付と属性の変更という表示が選べるようになり,それを選択すると,パソコンの画面上,更新日時の数字を入れ替えられるようになるということだった。(乙C14・32,33頁)「書き換わったとしていつに変わってるんだ」と聞くと,Z1は,「分かりません,いろいろな数字を入れてみたので」と言っていた。書き換えた後の内容がわかるようなデータや印刷物は残っていないのかを確認すると,ないということであった。(乙C14・36頁)なぜプロパティ情報を検証しようとしたのかを尋ねると,Z8は本件FDを自宅に隠していたこと,Z8の供述は本件FDのプロパティ情報と合わないことから,Z8がプロパティ情報に何か工作をしているのではないか,プロパティ情報の更新日時が正しく作動しているのかなどと疑問に思ったため,厚労省事件の起訴後,証拠物の還付作業中に,本件FDを借り出して,検証をしていたということであった。(乙C14・38頁,乙C15・20頁)Z1から本件FDの更新日時を書き換えたと聞いた旨Z9から報告を受けているがどうなんだと尋ねると,Z1は,捜査段階でプロパティ問題は大きな問題となっており,Z9に,Z8の取調べで詰めてもらったので,冗談で書き換えたと言った旨答えた。事の起こりはこの言葉だなと思い,「冗談にしても,そんなことをなぜ言ったんだ,Z9 ロパティ問題は大きな問題となっており,Z9に,Z8の取調べで詰めてもらったので,冗談で書き換えたと言った旨答えた。事の起こりはこの言葉だなと思い,「冗談にしても,そんなことをなぜ言ったんだ,Z9だって本気にするだろう」というと,Z1- 93 -は「Z9に散々苦労を掛けさせたテーマだったので,ふざけて言ってしまいました」などと言った。(乙C14・41,42頁)Z1に「話の内容は部長に報告する,また聞くことがあるかもしれないから電話する」などと言って,電話を終わった。(乙C14・45頁)(チ)2月2日,9時20分から25分頃に部長室に入り,Z2部長に対し,昨日,Z1と電話をしたところ,Z1は,わざと書き換えたのではないと言っていることを伝え,Z1から聞きとった内容の要旨を報告した。Z2部長は,「分かった,そういうことならミステイクということなのか」と言い,Z9を部屋に呼んだ。(乙C14・57~59頁)Z2部長が,Z9に対し,「Z20君からZ1に確認してもらったところミステイクと言っているが,どう思うか」などと尋ねたところ,Z9は,「Z1さんがそう言うならば,そういうことだったんだと思います」,「冗談と言われれば,そうかもしれません。短い電話でしたから」などと言った。 (乙C14・59頁,乙C15・1頁)その後,用事があったので,Z2部長に断りを入れて,一旦部長室から出て,再び部長室に戻ったときには,Z9はいなかった。部長室に戻った後,Z2部長から,なぜ還付した本件データが書き換わっていると考えられるのかZ1に理由を確認するよう指示を受けた。(乙C15・5~8頁)(ツ)2月2日正午頃,Z1に電話を掛け,Z1がプロパティの確認に使ったソフトウェアの入手時期によっては改ざんを疑う余地もあるのではないかと思い,その時期を確認 示を受けた。(乙C15・5~8頁)(ツ)2月2日正午頃,Z1に電話を掛け,Z1がプロパティの確認に使ったソフトウェアの入手時期によっては改ざんを疑う余地もあるのではないかと思い,その時期を確認したところ,Z1は,厚労省事件の捜査以前から持っていたものであると答えた。また,Z8が,任意同行のときにFDを家人に持ち出させていたのかを尋ねると,Z1は,そのとおりであると答えた。そして,本件FDのプロパティ情報とZ11報告書のプロパティ情報とが異なっているとすれば,それは過誤で書き換えたということでいいのか,書き換わった後の更新日時の日付がどうなっているのか分からないということでいいのかを再確認し,- 94 -わざと書き換えたのではなく,だから,捜査報告書も公判部に引き継いだし,本件FDも還付したと説明していいのかを確認した。それぞれについて,Z1は,はい,そうですとの趣旨の答えだった。(乙C15・12,13頁)それから,なぜ本件データが書き換わっていると言えるのかをZ1に聞くと,Z1は,本件データを私物のパソコンにコピーして保存してプロパティ情報をいじっていたが,本件FDを還付した後にプロパティ情報の更新日時が変更されていないデータが自分のパソコンに保存されていた。それで,自分がいじったのは本件データではないかと思ったと答えた。それで,Z9にプロパティ情報を書き換えたと言ったのかと聞くと,Z1は,「そうです」と答えた。 (乙C15・14,15頁)Z1からの説明を受けて,Z1がプロパティ情報を検証した動機については,本当にそんなことが分かるんだろうかとの疑問はあったが,Z11報告書が公判部に引き継がれていること,本件FDがZ8に還付されていること,Z9がZ11報告書をZ8に示しており還付された本件データのプロパティ情報がZ とが分かるんだろうかとの疑問はあったが,Z11報告書が公判部に引き継がれていること,本件FDがZ8に還付されていること,Z9がZ11報告書をZ8に示しており還付された本件データのプロパティ情報がZ11報告書と異なっていれば改ざんを行ったことをZ8に気付かれてしまうことなど,少なくとも改ざんを故意でしたということとは相容れない事実がある以上,その時点では,Z1の説明を虚偽と断ずることはできないとの心証であった。 (乙C15・17~23頁)(テ)2月2日午後1時頃,部長室へ行き,Z2部長と二人で,Z3次席に報告する説明の方法について協議をし,その際,Z1の説明を虚偽であり,故意の改ざんと断ずることはできないと報告した。ただし,Z1の説明を前提としても,本件データを直接触り,それを書き換えた可能性があること,プロパティを変更することができるようなソフトウェアは検察庁の官用パソコンにはないことから,上に報告はせざるを得ないということになった。また,本件FDの現況を確認するためには鈴木弁護人と交渉する必要があるが,公判への影響を考え- 95 -ると,特捜部限りで判断できるものではないので,Z3次席及びZ4検事正の判断に委ねるしかないということになった。 (乙C15・26~28頁)(ト)同日午後5時頃にZ2部長及びZ9とZ3次席のところに報告へ上がった。 (乙C15・33頁)Z2部長が,Z3次席に報告に来た旨告げた後,私が,1月30日にZ15から,Z1が本件データの更新日時をZ8らの供述に合うように書き換えたという疑いがあるとの報告を受けた旨説明し,Z9が,本件FDが還付されている理由を尋ねるためにZ1に電話をした際,Z1が「フロッピーディスクは返した,更新日時を書き換えておいた」と言ったのでZ15に相談した旨述べた。 (乙C1 た旨説明し,Z9が,本件FDが還付されている理由を尋ねるためにZ1に電話をした際,Z1が「フロッピーディスクは返した,更新日時を書き換えておいた」と言ったのでZ15に相談した旨述べた。 (乙C15・35,36頁)さらに,私が,Z1から聴取した内容を報告した。すなわち,「Z1から聞いたところによると,Z1がフロッピーディスクのプロパティの更新日時の数字をいじったことは間違いないが,意図的に書き換えて還付したということはなく,ただ,返したフロッピーディスクのプロパティが書き換わっている可能性があります」と伝えた上で,「Z8はこのフロッピーディスクを自宅に隠しており,任意同行時に家人をして持ち出させていたので,フロッピーディスクのプロパティがZ8の供述と合わないことから,Z8が工作をしているのではないか,あるいはフロッピーディスクのプロパティそのものが正しく動かないではないかということを確認しようとした」,「私物のパソコンにはデータの表示ソフトがあり,これによってプロパティの部分の数字を変えることができる」,「データをパソコンにコピーして調べてみたが異常がなかったということです」,「還付した後に,パソコンに更新日時の変わっていないデータが残っているので,フロッピーディスクのデータのプロパティを誤っていじってしまったのではないかと思った」,「それでZ9には,Z9から電話をもらったときに冗談でプロパティは変えておいたと言ってしまった」などとZ1が述べ- 96 -ていることをZ3次席に報告した。(乙C15・37,38頁)このとき,Z9が「Z1さんから,更新日時を変えたと聞いたので驚いてしまった,それで,ひょっとすると改ざんしているのではないかと思い,Z15さんに相談した」,「私が大げさに言ったのでZ15さんの誤解を生んでしまったよう さんから,更新日時を変えたと聞いたので驚いてしまった,それで,ひょっとすると改ざんしているのではないかと思い,Z15さんに相談した」,「私が大げさに言ったのでZ15さんの誤解を生んでしまったようです」などと言った。(乙C15・38,39頁)そして,Z1が改ざんをしたとすれば,Z11報告書が元の証拠物のままであるということが説明できないこと,故意に改ざんをしたのであれば本件FDは還付せずに手元に残しておくと考えられることからすると,Z1の説明には検証の動機などにまだ疑問の余地はあるが,現時点では,その説明をうそと断じるだけの根拠はないと報告した。(乙C15・39頁)また,本件データのプロパティ情報とZ11報告書のプロパティ情報との間に不一致があるのであれば,証拠物の管理上,過誤が生じた可能性があるが,本件FDは既に還付されているので中身を確認するためにはZ8の主任弁護人を通じて提供してもらう必要があること,提供を求めるとZ7事件の公判に悪影響を及ぼす可能性があること,他方,Z7事件では本件FDの証拠請求はなく,Z8事件では証拠請求されるかどうかは未確定であることを説明した。 (乙C15・39,40頁)また,Z15が,Z1が改ざんをした疑いがあることを公表しろ,Z7は無実であり,Z7の起訴の経緯を調査しろと言っており,その様子は告訴狂と同じです,Z15には有罪無罪を判断できるような担当職務は捜査時に与えていません,Z15はZ7事件の有罪無罪と証拠物の事後的な管理の問題を区別して考えることができなくなっている様子であると説明した。(乙C15・41頁)Z2部長は,私がZ1の説明等を報告している間,私も副部長と同じ意見ですとか,Z15の言動は意外でしたなどと言っていた。(乙C15・41頁)Z3次席は,「フロッピーディスクを返し 5・41頁)Z2部長は,私がZ1の説明等を報告している間,私も副部長と同じ意見ですとか,Z15の言動は意外でしたなどと言っていた。(乙C15・41頁)Z3次席は,「フロッピーディスクを返しているのに改ざんなんかするわけ- 97 -ねえだろう」,「Z15ってそんなやつだったのか」,「東京で検事総長が特捜部の事件にピリピリしているときに何てこと言うんだ」などと言い,本件FDの提出をZ8の弁護人に求めるかどうかについては,そこまでする必要はないだろうと言っていた。(乙C15・42頁)Z3次席には,Z1が帰阪すれば,改めて報告させますと伝えた。 (乙C15・48頁)(ナ)2月3日午前10時50分に部長室に行き,Z4検事正の時間が空いたとの連絡が来るのをZ2部長と一緒に待っていた。連絡が来てZ9と合流し,午前11時頃,検事正室に報告へ行った。(乙C15・43頁)Z4検事正に対し,私からZ3次席にしたのと同じ説明をし,Z2部長は,副部長が言っているとおりだと私も思いますなどと言う程度であった。 (乙C15・44頁)私がZ1の検証の態様を説明したところ,Z9は「いや,それはちょっと違います。Z1さんが言うにはフロッピーディスクのデータの画面と,パソコンにコピーしたデータの画面の二つを開けており,それでフロッピーディスクのデータの画面を間違っていじってしまったということです」と補足をしたことがあった。このとき,Z9は,私の知らないところでZ1と連絡をして,対応について話合いをしているのだなと思った。(乙C15・46頁)私が,本件FDを弁護人に交渉して提供を求めるかどうかの判断を尋ねると,Z4検事正は,黙り込んで天井を見上げ,判断を突きかねているようであった。 また,Z4検事正は調査をするよう指示しなかったので,過誤発生報告書 Dを弁護人に交渉して提供を求めるかどうかの判断を尋ねると,Z4検事正は,黙り込んで天井を見上げ,判断を突きかねているようであった。 また,Z4検事正は調査をするよう指示しなかったので,過誤発生報告書は作成せずに情報の整理にとどめるということでいいか了解を求めると,Z4検事正は「それでいいよ」と言った。ただ,Z1が帰阪したときに,改めてZ1の方から報告書等を作成させますと言った。(乙C15・48頁)(ニ)2月4日の朝,Z2部長及びZ9と情報の保秘及びZ7事件の公判の立会の在り方について協議をした。(乙C15・50頁)- 98 -Z2部長は,「不平分子対策」として,Z15がZ1の改ざん問題をリークをして外部に情報を流せば,最高検が大阪地検に対して調査を指示するかもしれない,あるいは,この情報がマスコミの知るところとなれば,報道されるかもしれない,そうなれば大阪地検としては最悪だから,この情報を厳に秘密にしなければならないと言った。また,Z2部長は,Z1が帰阪すれば,Z15からすると,Z1へのヒアリングが行われていると思うのではないか,やっているんだということをポーズとして示す,それから,Z15を仲間外れにしてはいけないということも言っていた。結局,Z9が公判の慰労ということでZ15と二人で話をし,現時点では,過誤の可能性があるにとどまるということを話してみるということになった。(乙C15・51~55頁)(ヌ)2月4日,Z2部長から,Z1が帰阪したら厳しく指導するように,改ざんの問題については大げさに言って,こちらがどんなに心配したのかを分かるようにしてやったらどうかとの指示を受けた。(乙C15・55,56頁)Z2部長から指示を受けて,Z1に対して何を言うかを思いつくままに執務記録のトピック欄に書いたのが,弁2・5頁「AZ7 分かるようにしてやったらどうかとの指示を受けた。(乙C15・55,56頁)Z2部長から指示を受けて,Z1に対して何を言うかを思いつくままに執務記録のトピック欄に書いたのが,弁2・5頁「AZ7公判その4 プロパティ問題対応 2/5 Z1Pへ指示・指導すべき事項として」以下の記載である。(乙C15・56頁)(ネ)2月5日午後5時10分頃,Z1,Z14と二人の立会事務官が帰阪して副部長室に挨拶に来た。同日午後5時40分頃に庁内挨拶をすませたZ1が再び副部長室へ来て,直立したまま,「御心配をお掛けして申し訳ありませんでした」と言って頭を下げた。(乙C15・68頁)その後,概ね執務記録に記載していた内容に沿って,Z1を叱り,また,Z1に対し,パソコンにコピーした元のデータは残っているのかを尋ねると,残してますと言ったので,それはそのまま残しておくように言った。 (乙C15・68~70頁)Z3次席及びZ4検事正に対して,Z1が帰阪すれば報告書を作成して報告- 99 -させますと言っていたので,Z1に報告書の作成も指示した。 (乙C15・73頁)(ノ)2月10日,Z1から上申書と題する書面の提出を受けた。上申書に目を通し,USBメモリに移したとの記載,データを丸ごとコピーしたとの記載,バックアップデータを削除したとの記載については,聞いていなかった話であり,違和感を持ったが,特に指摘はせず,Z2部長の決裁を仰ぎ,Z2部長の決裁が通ったら,Z4検事正とZ3次席にも1部ずつ提出するよう指示した。Z2部長がZ1に書き直しを指示したということは聞いていないので,Z3次席及びZ4検事正にも提出されたものと思っていた。(乙C15・72~76頁)イ検討(ア)他の証言との関係原告は,概要,1月30日に副部長隣室においてZ1 うことは聞いていないので,Z3次席及びZ4検事正にも提出されたものと思っていた。(乙C15・72~76頁)イ検討(ア)他の証言との関係原告は,概要,1月30日に副部長隣室においてZ12及びZ9の面前で話をした本件電話の相手方はZ1ではなくZ14であり,同日にZ1から電話で本件改ざんを行った事実を告白されたことはなく,2月1日午後4時20分及び翌2日正午頃のZ1と電話で話をしたところ,Z1は,本件データを私物のパソコンにコピーし,プロパティ情報の更新日時の数字を入れ替えることのできるソフトウェアを用いて更新日時に適当な数字を入れて検証を行ったことがあり,その際に更新日時が書き換わった可能性はあるが,故意に更新日時を書き換えたことはない旨の説明を受け,Z1の説明が虚偽であって故意による改ざんであると断ずることはできないと判断したため,その旨をZ3次席及びZ4検事正に報告するなどと供述している。 Z2部長は,2月1日に原告から報告を受けた際,Z1が本件改ざんの事実を認めたとの報告を受けたことはなく,Z1に対する事実確認を行うよう原告に指示し,原告から,Z1に事実確認をしたところ,誤って本件データを変えてしまった可能性はあるが,意図的に改ざんをしたものではないとの報告を受けたため,Z1は故意にデータを改ざんしたのではないと判断し,その旨をZ- 100 -3次席及びZ4検事正に報告した旨供述しており(乙C19,乙C20),原告の供述は,Z2部長の供述と大筋において整合しているということができる。 しかしながら,Z2部長は,原告と共謀して,証拠隠滅という犯罪行為を行ったZ1を隠避したとの被疑事実により起訴されている立場にあるのであるから,原告とともに自己の刑責を免れるために虚偽の供述を行う動機が存在し,その供述の信用性を担保 して,証拠隠滅という犯罪行為を行ったZ1を隠避したとの被疑事実により起訴されている立場にあるのであるから,原告とともに自己の刑責を免れるために虚偽の供述を行う動機が存在し,その供述の信用性を担保するに足りる客観的な証拠等もない。かえって,Z2部長は,2月2日に妻に対し「Z1のけんなんとか切り抜けられそうだ」との携帯メールを送信しているが,同携帯メールの内容は,Z1が故意に改ざんを行ったのではないとの事実を前提とするものであるというよりは,Z1が故意に改ざんを行ったことを前提にかかる問題を表面化させずに処理する見通しが立ったとの趣旨であると理解するのが自然であること,本件FDが還付され,改変後の本件データの最終更新日時を確認できないため,Z1が本件改ざんを行っていないと断定できない状態にあったのであるから,同人がそれを否定しているのであれば,Z1が帰阪した後に直接事情を聴取するのはもちろん,関係者であるZ9,Z12,Z14からも聴取を行うなどして事実関係の調査を行ってしかるべきであるが,Z2部長はこのような調査を全く実施しておらず(乙C20・51,52,62,68頁),実施しなかったことについての合理的な説明もないこと,Z15が本件改ざんの問題を公表する危険性があると認識していたにもかかわらず,Z1が本件改ざんを行ったと思っているZ15に対し,Z1は故意に改ざんを行ったものではなく,過誤による改変の可能性があったにすぎず,その旨をZ3次席及びZ4検事正にも報告をして了承を得たことを納得するまで説明するどころか,その件について何らの事実も判断も伝えておらず(乙C20・41~44,50頁),そのことについても合理的な説明はなされていないなど,Z2部長の供述には不合理なところがあり,容易に信用することはできない。したがって,原告の供述が, 伝えておらず(乙C20・41~44,50頁),そのことについても合理的な説明はなされていないなど,Z2部長の供述には不合理なところがあり,容易に信用することはできない。したがって,原告の供述が,概ね,Z2部長の供述と整合することをもって,原告の供述の信用性が高いと評価することはで- 101 -きない。 むしろ,原告の供述は,全体として,信用性の高いZ12,Z9及びZ1の供述と大きく食い違っている上,以下の点において,不合理・不自然な点が認められる。 (イ)1月30日の出来事に関する原告の供述についてa 原告は,本件電話の相手方がZ1ではなくZ14であり,Z14が泣きながら,「Z1さんが悪いんじゃないんです,僕が悪いんです」などと言い,意味は分からなかったが,改ざんのことを言っているのかなと思ったので,「Z9から聞いているぞ,フロッピーディスクのプロパティなんて変えられるのか」,「知っているなら,いつに変えてるんだ」などと質問した旨供述しているが,いきなり電話をかけてきた上,泣きながら「Z1さんが悪いんじゃないんです,僕が悪いんです」などと唐突な発言をしているZ14に対し,なぜそんな電話をかけてきたのか,その発言の趣旨を確認することもなく,また,Z14が改ざんに関与しているのか否か,また関与していないのであれば,どこまでの事実をどのような方法で知ったのかなどについて確認せずに,いきなり,本来改ざんを行った行為者本人に尋ねるべき改ざんに関する核心的事実である,プロパティ情報を変えることができるのかどうか,更新日時をいつに変えているのかをZ14に尋ねたというのは話の流れが極めて不自然である。 しかも,Z14は,1月30日の原告との電話においては,原告から「Z15達から事情を聞いた。Z1からも事情を聞いてちゃんと対応するから かをZ14に尋ねたというのは話の流れが極めて不自然である。 しかも,Z14は,1月30日の原告との電話においては,原告から「Z15達から事情を聞いた。Z1からも事情を聞いてちゃんと対応するから,お前たちはこの件で気を病むな」などと言われてた旨述べているのであるから(乙7・2頁),原告の供述はZ14の供述とも明らかに食い違っている。 したがって,原告の供述は,Z12及びZ9が述べている本件電話における原告の会話の内容を無理矢理Z14との会話に仕立てようとしている疑いが強い。 - 102 -b 原告は,本件電話の直後,原告が泣いているのを見て,Z12及びZ9が「どうしたんですか,相手が何と言ってきたんですか」と尋ねてきた旨述べているが,原告の供述によっても,Z14はZ9の携帯電話に電話を掛けてきたのであるから,少なくともZ9はZ14からの電話であることが分かっているはずであり,Z14の名前を出さずに「相手はなんと言ってきたんですか」と尋ねるのは不自然である。 c 原告は,本件電話終了後,故意にZ1が書き換えたのかどうかを確認するためには本件FDを確認するのが一番早いと考え,Z9及びZ12にZ8の弁護人であるZ17弁護士の連絡先を尋ねたと述べているが,そのようなことをすればZ7事件の公判に影響が出ることは明らかである。原告の執務記録(乙D2・3頁),「A(注被告人),B(注弁護人)が問題にしていないのに公表すれば,AZ7公判はもとよりZ1P応援中の東京の事件にも影響し,ひいては特捜組織が崩壊する」,「部・部員を守ることは当然のこと」などと記載されていることからも明らかなように,検察組織への信頼を重視している原告が,原告の供述を前提とすれば,その時点では,Z1に対して直接事実確認をしておらず,また,Z1の私物パソコンに残って などと記載されていることからも明らかなように,検察組織への信頼を重視している原告が,原告の供述を前提とすれば,その時点では,Z1に対して直接事実確認をしておらず,また,Z1の私物パソコンに残っているデータの内容も確認していない段階で,Z1が故意に書き換えたかどうかを確認するためにZ17弁護士に連絡を取ろうとするとは考えにくい。 d 原告は,本件電話の時間について早くとも午後9時頃であると述べているが,前述のとおり,Z14は原告と電話で話をしたのはZ15からの電話の直後ころだったと思うと述べており(乙A8・16頁),Z15がZ14に電話を掛けたのが午後7時24分であるから,Z14が正確な時間を認識していない可能性があることを考慮しても,Z14の供述と整合するのか疑問が残る。 また,原告は,副部長隣室での集まりは,原告が通勤に利用しているJRの新快速電車の最終出発時刻が午後11時40分であったことから,遅くと- 103 -も午後11時過ぎには散会した旨述べているが,原告が退庁したのは1月31日午前零時20分であり,Z9も全く同じ時刻に退庁し,しかも,電車ではなくタクシーで帰宅しているのであるから(乙D3・6頁),午後11時過ぎに散会したとの供述も疑わしい。原告は,散会後直ぐに退庁しなかった理由につき,Z9がZ1は更新日時を6月8日に変えている可能性が一番高いと述べていたことの根拠が気になり,Z2部長に報告するときに質問を受けることも予想されるので調書を探し出して確認していたと説明しているが,仮にZ9の発言の根拠が気になったとしても,Z9に尋ねれば直ぐに分かることであり,尋ねることができなかったことについて合理的な説明もない。 また,原告はその根拠が分からないまま,Z2部長への報告を行ったというのであるから,論旨が一貫していない。 に尋ねれば直ぐに分かることであり,尋ねることができなかったことについて合理的な説明もない。 また,原告はその根拠が分からないまま,Z2部長への報告を行ったというのであるから,論旨が一貫していない。 (ウ)2月1日のZ1との電話についてa 原告は,2月1日午後4時20分にZ1に電話を掛け,改ざんの事実の有無を確認したところ,Z1は故意にデータを改ざんしたことを否定し,過誤によるデータの改変の可能性があるにすぎないと説明していた旨供述している。 しかしながら,原告は,本件データの最終更新日時が6月1日から6月8日に変わっていることを平成22年1月や2月の時点で知っていれば,Z1が故意に改ざんした疑いを強く抱いたことを認めており(乙C15・122頁),1月30日の時点で,Z9から,Z1がZ9に対し本件データを書き換えておいたと断定的な言い方で告白しており,関係者の供述に合わせるため最終更新日時を6月8日にしている可能性が高いとも聞いていた上,原告の供述によっても,本件電話の相手方であるZ14がZ1が本件改ざんを行ったことを前提とするような電話を突然かけてきて,泣きながらZ1をかばっていたというのであるから,月曜日に上司のZ2部長に本件データの改変について報告するにあたって,現在Z1がどのように供述しているのか,確- 104 -認するのは必須であるにもかかわらず,それを行わないままZ2部長に報告したというのであるから,そのことは,本件電話がZ1からのものであることを裏付けるというべきであり,原告の供述は到底信用できない。 その点を措くとして,仮に原告が供述するように,Z2部長から指示されて初めて2月1日に直接電話でZ1に対し本件改ざんを行ったか否かを確認したとしても,原告が述べるようにZ1が改ざんの事実を否定したのであれば,遅くと ,仮に原告が供述するように,Z2部長から指示されて初めて2月1日に直接電話でZ1に対し本件改ざんを行ったか否かを確認したとしても,原告が述べるようにZ1が改ざんの事実を否定したのであれば,遅くともZ1が帰阪した後にZ1の説明の真偽を明らかにするために事実関係の調査を行ってしかるべきであるが,原告及びZ2部長が,Z1の帰阪後に同人に対する事情聴取を全く行っていない。Z9及びZ14がZ1から本件改ざんを行った旨告げられたという話が出てきているのであるから,Z9及びZ14に対する事情聴取も必要不可欠であるが,Z14がZ1から本件改ざんについてどのような話を聞いたのかを詳しく聴取していない(乙C15・137,144頁)のは不自然というほかない。Z9に関しても,原告の供述によれば,Z9は,1月30日に副部長隣室において「僕は半信半疑です」,「Z1さんは,やったとも,やらないとも,どちらとも取れる言い方をしてましたから」と述べていたというのであり,Z1がZ9に対してどのような発言をしたかはZ1の説明の真偽を判断するための重要な事実であるから,当然確認すべきである。この点,原告は,Z1がZ9に対して実際に何と言ったかを確認したがその内容は忘れたと述べているが(乙C15・132,133頁),実際に発言内容を確認したのであれば,発言の概要も覚えていないというのは疑問であり,措信することができない。 また,原告の供述によっても,1月30日にZ9が原告に対し,Z1の私物のパソコンに改ざん前後のデータが残っているかもしれないというと述べたというのであるから,Z1の説明の真偽を確かめるために,Z1のパソコンに改ざん前後のデータが残っているのかどうかは当然調査してしかるべきであるが,原告及びZ2部長は,Z1の私物のパソコンを調査していない。 - 105 - の説明の真偽を確かめるために,Z1のパソコンに改ざん前後のデータが残っているのかどうかは当然調査してしかるべきであるが,原告及びZ2部長は,Z1の私物のパソコンを調査していない。 - 105 -さらに,原告は,Z8が本件データのプロパティ情報を書き換えているのではないかと思い検証をしていたとのZ1の説明に対し,本件FDを調べてZ8がプロパティ情報を書き換えたのかどうかが分かるのかとの疑問はあったと述べているにもかかわらず,Z1の使用したソフトウェアにプロパティ情報を書き換える機能があるのかどうかも確かめていない(乙C16・48頁)。 このように,Z1が改ざんを行ったことを否定しているのであれば,犯罪事実の調査を専門的に行っている検察官であれば当然に思い当たるべき調査すら行っていないのは不自然というほかない。 b 原告は,2月1日のZ1との電話について,予め用意していたメモ(乙D1・12-1,12-2)に従って,Z1が改ざんをしたのかどうかを確かめるための周辺事情を確認するため「Z11報告書の中身を覚えているか」,「プロパティ問題を公判部に引きついでいるのか」,「Z11報告書は公判部にいつ引き継いだのか」などと質問し,これに対しZ1がそれぞれ「細かい日時は覚えていないが中身は何となく覚えている」「起訴時には伝えていない」「いつ公判部にZ11報告書を引き継いだかは,記憶では曖昧です」などと答えたため,予め記載していた「H21.6.29付Z11G捜報-プロパティ印刷-添付の存在」「公判部への引継ぎ」との記載の横に,それぞれ「なんとなく」,「あいまい」などと記載した旨述べているが,Z1が改ざんをしたのかどうかを確かめるために重要であるのは,Z1が本件FDをZ8に還付するときにZ11報告書の存在や同報告書が公判部に引き継がれていたこと あいまい」などと記載した旨述べているが,Z1が改ざんをしたのかどうかを確かめるために重要であるのは,Z1が本件FDをZ8に還付するときにZ11報告書の存在や同報告書が公判部に引き継がれていたことを認識していたのかどうかであって,上記電話の時点でZ1がZ11報告書の細かい内容を覚えているかどうか,あるいは公判部にZ11報告書を引き継いだのがいつであるかを記憶しているかどうかは,Z1が改ざんを行ったかどうかを判断するためには有益な情報ではないのであるから,そのような事実を書きとったとは信じ難い。そうすると,上記原告の供述は,- 106 -合理的に読み取ることのできる上記メモの各記載の内容と整合しないというほかない。 (エ)2月2日朝の部長室でのやり取りについて原告は,2月2日の朝,部長室において,Z2部長に対し,Z1は故意に改ざんをしたのではない旨述べていることを報告し,Z9も「Z1さんがそう言うなら,そういうことだったんだと思います」などと述べ,その後,Z2部長からZ1に対し,還付した本件データがなぜ書き換わっていると考えられるのかZ1に確認するよう指示を受けた旨供述している。しかしながら,原告の執務記録の2月2日の欄には,「部長室プロパティ問題~対応協議 Z9p~説明方法についてOKを得る」と記載されているが(乙D3・7頁),原告の述べるとおりのやり取りが行われたのであれば,何故に「説明方法についてOKを得る」と記載されているのか説明がつかず,原告の供述は執務記録の記載と整合しない。 (オ)過誤の可能性があるにすぎないと判断した旨の供述についてa 原告は,Z1から電話で聴取した内容も踏まえてZ2部長と協議を行い,過誤による改変の可能性があるにすぎないとの判断をした旨述べている。 しかし,前述したとおり,原告は,Z9 旨の供述についてa 原告は,Z1から電話で聴取した内容も踏まえてZ2部長と協議を行い,過誤による改変の可能性があるにすぎないとの判断をした旨述べている。 しかし,前述したとおり,原告は,Z9等から,Z1が本件改ざんを行っており,しかも,関係者の供述に合わせるため最終更新日時を6月8日にしている可能性が高いとも聞いていたにもかかわらず,2月1日の前記電話でZ1に対し上記最終更新日時が何時に変わったのか確認しても不明との回答を得たにすぎず,Z1が故意に改ざんをした疑いは依然解消されていなかったのであるから,前述のとおり,Z1の説明の真偽を判断するために必要な調査が色々考えられ,それを行ってしかるべきであるにもかかわらず,これをほとんど行わずに,過誤の可能性があるにすぎないとの判断を下したというのは極めて不自然である。 b また,原告が使用していた執務記録(乙D2・5頁)には,「2/5 Z1P- 107 -へ指示・指導すべき事項として」との表題の下,「客観証拠の作為を加えたことについて」「これを安易に変更して乗り切ろうとすることは思い上がりもはなはだしい!」「D・SDとも一度は辞職を覚悟した but 『Z1Pは救いたい。何とかならないか?』とない知恵をしぼった」「当面,証拠物の管理におけるミスという主張を貫く」などと記載されている(乙D2・5頁)。 これらの記載は,原告及びZ2部長が,Z1が客観証拠に作為を加えたことを認識した上で,Z1をかばうために証拠物の管理ミスと主張を貫いたとの趣旨であると認められ,Z1は故意に改ざんを行ったのではなく,過誤による改変の可能性があったにすぎないと判断した旨の原告の供述は,これらの記載と整合しない。 この点,原告は,「客観的証拠に作為を加えたことについて」との記載は,客観的証拠から読み取れる く,過誤による改変の可能性があったにすぎないと判断した旨の原告の供述は,これらの記載と整合しない。 この点,原告は,「客観的証拠に作為を加えたことについて」との記載は,客観的証拠から読み取れる客観的事実を前提にしてストーリーを考えるべきであり,Z1がZ8の供述をもって,この客観的な事実を書き換えた,それは客観証拠を軽視することも甚だしいという趣旨であり,「これを安易に変更」とは,変え難い事実を署名さえすればどうにでもなる供述調書で捻じ曲げるという趣旨であって,Z1が改ざんを行ったことを前提とする記載ではない旨述べているが(乙C15・57~59頁),一般の用語法からおよそかけ離れており,到底信用することはできない。また,「当面,証拠物の管理におけるミスという主張を貫く」との記載は,過誤の可能性があるにすぎないとのZ1の説明が嘘であるとは言えない以上,他人に説明する場合には証拠物の管理におけるミスであると説明する,そうしないと噂が噂を呼ぶことになるということを自戒のために記載したものであると原告は述べているが(乙C15・62,63頁),原告の説明によれば,Z1に対する指導の内容をまとめた記述に自戒の言葉が混在していることになり,不自然であって措信することができない。 c さらに,原告は,Z12及びZ15はZ1が故意により改ざんをしたもの- 108 -と疑っていると思っていたというのであるから(乙C16・30頁),原告及びZ2部長が,真実,過誤による改変の可能性があるにすぎないと判断したのであれば,Z12及びZ15に対し,その旨を説明してしかるべきであるが,Z12及びZ15に対し,判断結果を伝えたことはなく,誤解を解こうとしたこともない(乙C16・30~35頁)というのも不自然である。 (カ)小括以上のとおり,原告の供述 かるべきであるが,Z12及びZ15に対し,判断結果を伝えたことはなく,誤解を解こうとしたこともない(乙C16・30~35頁)というのも不自然である。 (カ)小括以上のとおり,原告の供述は,その供述内容に不合理又は不自然なところがある上,執務記録の記載や他の信用性の高い証言等とも整合していないから,信用性に乏しいというべきである。 (6)懲戒事由の存否ア前記前提事実及び信用性の高い,Z12,Z9及びZ1の各供述に加え,括弧内掲記の証拠を総合すると,以下の各事実を認めることができる。 (ア)1月30日午後11時過ぎ頃,Z1は,本件電話において,原告に対し,本件データのプロパティ情報の更新日時を6月1日から6月8日に改ざんしたことを告白し,これにより原告は,Z1が本件改ざんを行ったことを認識した。 (イ)原告は,2月1日午前9時40分過ぎ頃,部長室においてZ2部長に対し,Z1が本件改ざんを行ったことを報告し,これによりZ2部長も,Z1が本件改ざんを行ったことを認識した。 (ウ)同日午前9時50分頃,原告は,部長室から退室し,副部長室で待機していたZ12,Z9,Z15及びZ16に対し,本件改ざんについて口外しないよう告げた上で散会させた。 (エ)原告及びZ2部長は,同日午後1時30分頃から二人だけで話し合い,途中からZ9も呼び出して話し合うなどしたが,同日午後3時頃までには原告との話合いを終えた。Z2部長は,原告及びZ9と部長室で話をしていた際,Z9に対し,「もうこれからは誰にも言うな。かん口令だ」と命じるとともに,原告に対し,本件改ざんの事実を知っているZ12,Z15,Z16に対しても- 109 -かん口令を徹底することを指示し,また,Z2部長は,このことが公になったら大変なことになるぞ,Z1が首になるだけでなく,逮 本件改ざんの事実を知っているZ12,Z15,Z16に対しても- 109 -かん口令を徹底することを指示し,また,Z2部長は,このことが公になったら大変なことになるぞ,Z1が首になるだけでなく,逮捕されるぞ,そうなったら大阪特捜がなくなってしまう,僕が部長をしている間にこの大阪特捜を潰すわけにはいかないんだなどと述べた。(乙D1・5-2)(オ)原告は,同日午後4時20分頃,Z1に電話をし,Z1に対し,「過誤ということで説明を付けられないのか」と尋ねたところ,Z1は説明を付けることは可能であるとして,Z11報告書があるのに本件データを改ざんするはずがなく,改ざんしたデータの入っている本件FDを持ち主であるZ8に返すはずがない,本件データのコピーを見て,いろいろ検証していたときに,間違えて本件FDに入っている元のデータを変えた可能性がある,との説明が考えられることを伝えたところ,原告は,「分かった,それで行こう,それが真実だ,真実は一つだ」と述べた。 (カ)2月2日午前9時30分頃,原告はZ2部長に対し,前日にZ1から聴取した説明方法を報告した。その後,Z2部長は,Z9を呼び出し,Z9に対し,「今回の件はZ1君のミステイクということで行くから」などと述べて,本件改ざんを過誤による改変であると説明する旨の方針を伝えた。 (キ)同日正午頃,原告は電話でZ1に対し,本件改ざんは過誤によるものであると説明することになったとの方針を伝えた上で,故意による改ざんではなく過誤であるとした場合にどのような説明が付けられるのかを改めて聴取し,更にZ9に指示して再度Z1から説明方法を聴取した。 (乙D3・7頁)(ク)原告及びZ2部長は,同日午後5時頃,Z9と共に次席検事室に行き,Z3次席に対し,Z8が本件データを改ざんしているのではないかとの疑いが て再度Z1から説明方法を聴取した。 (乙D3・7頁)(ク)原告及びZ2部長は,同日午後5時頃,Z9と共に次席検事室に行き,Z3次席に対し,Z8が本件データを改ざんしているのではないかとの疑いがあったので,Z1が検証を行ったところ,Z15が,Z1がデータの改ざんをしたと騒ぎ立てた,そこで原告が調査を行ったが,Z1が改ざんをしたということではなく,データが書き換わってしまったかもしれない,つまり証拠管理上の- 110 -ミスがあったかもしれないという程度の話でしたなどと虚偽の報告をした。 (ケ)原告,Z2部長は,2月3日午前11時頃,Z9とともに,大阪地検検事正室に行き,Z4検事正に対し,「当部のZ15君が,Z1君が証拠品を改ざんしたとか,ごちゃごちゃ騒いでまして,その点についてZ20君が調査に当たったところ,何ら問題はありませんでした。要するに,Z15君の言い掛かりでした」などと虚偽の報告をした。 (コ)原告は,Z2部長の指示により,2月8日,Z1に対し,何か聞かれたときに過誤だと説明が付けられるようにするため,本件FDのデータが過誤により改変された可能性があるにとどまる旨説明した書面を作成するよう指示した。 これを受けて,Z1は,「本件データ確認作業中,本件データが過誤によって改変された可能性はあるが,本件FDが還付されていて改変の有無は確定できない」との上申書案を作成し,同月10日,上申書案の提出を受けた原告はこれを了承し,同じく提出を受けたZ2部長は,これを基本的に了承するとともに,その一部についてより合理的な説明方法を考えるよう指示した。 イ検討(ア)2月1日午前9時40分過ぎ頃に,原告がZ2部長に対してZ1が本件改ざんを行ったことを報告したことにより,原告及びZ2部長の両名が本件改ざんの事実を認識するに至っており 示した。 イ検討(ア)2月1日午前9時40分過ぎ頃に,原告がZ2部長に対してZ1が本件改ざんを行ったことを報告したことにより,原告及びZ2部長の両名が本件改ざんの事実を認識するに至っており,その後,原告及びZ2部長は,本件改ざんの事実を知っているZ9らに対し,上記ア(ウ)(エ)のとおり,本件改ざんを口外しないよう指示しているが,口外を禁止すること自体は,Z1を隠避する意図がない場合でも,情報管理の一環として行われることがあり得るから,直ちに犯人を隠避する意図で行われたものと認めることはできない。Z2部長は,Z9に対しかん口令を出した際に,このことが公になったら大変なことになるぞ,Z1が首になるだけでなく,逮捕されるぞ,そうなったら大阪特捜がなくなってしまう,僕が部長をしている間にこの大阪特捜を潰すわけにはいかないんだなどと述べていることからすると,Z2部長に関しては,既にこの時点で- 111 -Z1を隠避する意思があったことが窺われ,また,原告が同日午後4時20分頃にZ1に対し電話で「過誤ということで説明を付けられないか」と尋ねていることからすると,原告とZ2部長との間で,本件改ざんを過誤による改変との説明によりもみ消すことが検討されていたことは推認することができるが,他方でZ2部長は,翌2日午前零時11分に二男に対し辞職をほのめかす携帯メールを送っていることからすると,本件改ざんを過誤による改変であるとして説明をすることが可能であるか否かが分からないこの段階で,犯人隠避を行うことを決断していたとまで断ずることはできず,2月1日の時点で原告及びZ2部長との間で,犯人隠避の共謀が成立していたとの事実を認めるに足りる証拠はない。したがって,原告が,Z1から聴取した説明方法を報告した2月2日午前中に原告とZ2部長との間で犯人隠避 点で原告及びZ2部長との間で,犯人隠避の共謀が成立していたとの事実を認めるに足りる証拠はない。したがって,原告が,Z1から聴取した説明方法を報告した2月2日午前中に原告とZ2部長との間で犯人隠避の共謀が成立し,その方針をZ9に伝えたと認めるのが相当である。 (イ)そうすると,原告は,1月30日午後11時過ぎ頃に,Z1が大阪地方裁判所に係属中であったZ8らに対する虚偽有印公文書作成等被告事件の証拠である本件データを変造したという罰金以上の刑に当たる証拠隠滅の罪を犯した者であることを認識し,Z2部長と共謀の上,①2月2日頃,大阪地検において,東京都内にいたZ1に対し,電話で,本件データの改変は過誤によるものとして説明するよう指示するとともに,同月8日頃,同庁において,Z1に対し,上記文書データの改変が過誤だと説明できるような書面を作成するよう指示し,同月10日頃,同庁において,同指示に基づきZ1から提出された「本件データ確認作業中,本件データが過誤によって改変された可能性はあるが,本件FDが還付されていて改変の有無は確定できない」との趣旨の上申書案につき,Z1に対し,その内容を基本的に了承するとともに,より合理的な説明内容とするよう指示するなどし,上記文書データが過誤によって改変された可能性はあるが改変の有無を確定できず,改変されていたとしても過誤にすぎない旨事実をすり替えて自ら又は特捜部所属の検察官らを指示して捜査を行わず,②同- 112 -月2日頃,同庁において,Z3次席に対し,「Z8が本件データを改ざんしているのではないかとの疑いがあったので,Z1が検証を行ったところ,Z15が,Z1がデータの改ざんをしたと騒ぎ立てた,そこで原告が調査を行ったが,Z1が改ざんをしたということではなく,データが書き換わってしまったかもしれない, ったので,Z1が検証を行ったところ,Z15が,Z1がデータの改ざんをしたと騒ぎ立てた,そこで原告が調査を行ったが,Z1が改ざんをしたということではなく,データが書き換わってしまったかもしれない,つまり証拠管理上のミスがあったかもしれないという程度の話でした」旨虚偽の報告し,同月3日頃,同庁において,Z4検事正に対し,「当部のZ15君が,Z1君が証拠品を改ざんしたとか,ごちゃごちゃ騒いでまして,その点についてZ20君が調査に当たったところ,何ら問題はありませんでした。要するに,Z15君の言い掛かりでした」旨虚偽の報告をし,よって,同次席検事及び同検事正をして,捜査は不要と誤信させて自ら又は同庁所属の検察官らを指揮して捜査を行わないようにさせ,もって罰金以上の罪に当たる証拠隠滅罪の犯人であるZ1を隠避させた,との事実を認めることができる。 (ウ)国公法82条1項は,①この法律若しくは国家公務員倫理法又はこれらの法律に基づく命令に違反した場合(1号),②職務上の義務に違反し,又は職務を怠った場合(2号)及び③国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合(3号)に,職員を懲戒免職等の処分をすることができると定めている。 原告は,上記(イ)の事実があった当時,大阪地検検事として,自ら捜査を行うべき職務に従事するとともに,特捜部副部長として同部部長の命を受けて同部職員を指揮して捜査を行う職務に従事していたにもかかわらず,刑法103条に違反して犯人を隠避したのであるから,その職務を遂行するについて,法令に従わなかったものであって,国公法98条1項に違反し,また,原告の行為は,その官職の信用を傷つけ,又は官職全体の不名誉となる行為でもあるから,同法99条に違反する。したがって,上記(イ)の事実は,同法82条1項1号に該当する。 条1項に違反し,また,原告の行為は,その官職の信用を傷つけ,又は官職全体の不名誉となる行為でもあるから,同法99条に違反する。したがって,上記(イ)の事実は,同法82条1項1号に該当する。 また,原告は,国公法98条1項に違反して,その職務を遂行するについて- 113 -法令に従わなかったものであるから,上記(イ)の事実は,国公法82条1項2号にも該当する。 さらに,原告は,刑法犯に該当する行為を犯したものであり,国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあったということができるから,上記(イ)の事実は,国公法82条1項3号にも該当する。 (エ)なお,国家公務員に対する懲戒処分について,懲戒権者は,懲戒事由に該当する事実が認められる場合であっても,懲戒処分をすべきかどうか,また懲戒処分をする場合にいかなる処分を選択すべきかを決定する裁量権を有しており,その判断は,それが社会通念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したと認められる場合には,違法となるものと解されるが,原告は,部下検事であるZ1が証拠物を改ざんするという重大な犯罪行為を行ったことを覚知しながら,Z1が刑事責任を問われることを回避するとともに組織防衛を図るため,Z2部長と共謀の上,上司に対し虚偽の報告を行うなどの犯人隠避行為を行ったものであり,本来,社会の治安維持のために犯罪を行った者の刑事責任を追及することを使命とする検察官が,自ら犯罪を行って捜査を妨害したのであるから,非違行為の内容及び程度が悪質であることは言うまでもなく,また,本件非違行為が検察官の公務に対する国民の信頼を著しく毀損し,今後の公務遂行に及ぼす支障の程度も大きいことなどに照らすと,本件懲戒免職処分が,裁量権の範囲を超え又はこれを濫用するものとして違法であるとも言えない。 察官の公務に対する国民の信頼を著しく毀損し,今後の公務遂行に及ぼす支障の程度も大きいことなどに照らすと,本件懲戒免職処分が,裁量権の範囲を超え又はこれを濫用するものとして違法であるとも言えない。 2 本件処分説明書の処分事由の記載が十分か否か(1)国公法89条1項は,職員に対し,懲戒処分を行おうとするときは,その処分の際,処分の事由を記載した説明書を交付しなければならないと定めている。 同項が処分者に対し処分説明書の交付を義務付けているのは,処分された職員に対して,いかなる非違行為について当該処分がなされたのかを知らしめることにより,これに不服がある場合には人事院に対する不服の申立て等の機会を与えることによって,その職員の身分を保障し,併せて処分が公正,慎重になされることを担- 114 -保しようとしたものであると解されることからすると,処分説明書には,処分の根拠となる法条と,これに該当する非違の基本的な事実が事実関係の同一性を識別することができる程度に具体的に記載されていることを要し,かつ,それで足りると解される。 (2)これを本件についてみると,本件処分説明書には,処分の根拠となる法条が国公法82条1項1ないし3号であることが明記されており,また,これに該当する非違事実として,Z1が本件データを変造したという証拠隠滅の罪を犯した者であることを知りながら,Z2部長と共謀の上,Z1を隠避させたことが,隠避行為の日時,場所及び行為の内容等を具体的に摘示して記載されているから,被処分者がいかなる行為を理由として処分されたのかを知り得るに十分な事実が記載されている。 原告は,別紙記載の事実には,何故国公法82条1項1号ないし3号に当たるのかについて各号ごとに明示されていないから,本件処分説明書の処分事由の記載は不十分であると主張 分な事実が記載されている。 原告は,別紙記載の事実には,何故国公法82条1項1号ないし3号に当たるのかについて各号ごとに明示されていないから,本件処分説明書の処分事由の記載は不十分であると主張しているが,懲戒処分の根拠となる法条とこれに該当する基本的な事実関係が記載されているのであれば,当該事実が懲戒処分の根拠となる法条に当てはまるのか否かは被処分者が自ら検討することが可能であることから,国公法82条1項各号についての当てはめの説明が記載されていなくとも違法ではない。 また,原告は,原告がZ1の犯罪行為について捜査を行うべき作為義務が発生していたことの説明及び作為義務発生の法令上の根拠が明示されていないから,本件処分説明書の処分事由の記載が不十分であるとも主張しているが,本件処分説明書には作為義務の発生根拠となる原告の地位が具体的に記載されていること,原告は検察官であり犯罪行為について捜査を行うべき義務があるか否かは当然熟知していることに照らし,十分な記載がされているというべきである。 さらに,原告は,原告とZ2部長との間において,いつ,どこで,どのような共謀がなされたのか特定・明示がされていないから,処分事由の記載として不十分である旨主張しているが,処分行政庁が,2月1日にZ1による証拠隠滅の犯行を知- 115 -った検事に対して他言を禁じた時点までに,本件処分説明書記載の各行為を行うことについて共謀が成立していることを前提として本件懲戒免職処分を行ったことは本件処分説明書の記載から明らかである。原告の主張は,これだけでは足りず,2月1日以前のいつの時点で共謀が成立したのか,共謀が成立したときの具体的な原告とZ2部長とのやり取り,共謀がどこで行われたのかなどの事実を記載しなければ違法であるとの趣旨であると解されるが,このよう 月1日以前のいつの時点で共謀が成立したのか,共謀が成立したときの具体的な原告とZ2部長とのやり取り,共謀がどこで行われたのかなどの事実を記載しなければ違法であるとの趣旨であると解されるが,このような細かい事実の認定判断如何によって,被処分者が不服を申し立てるか否かを判断するとは通常考えられないから,これらの事実が記載されていないからといって,違法となるものではない。 (3)したがって,本件処分説明書の処分理由の記載が不十分であるから本件各処分は違法であるとの原告の主張は採用することができない。 3 本件各処分が無罪推定原則に違反するか原告は,原告が刑事事件で犯人隠避を行ったことを否認し,かつ,本件各処分の処分事由についても一貫して否認しているのであるから,本件各処分は無罪推定の原則及びこれを定めた国際人権B規約14条2項に反すると主張しているが,無罪推定の原則及びこれを定めた国際人権B規約14条2項は,国の刑罰権の発動を前提とする刑事手続において妥当するものであり,公務の信頼の確保及び公務秩序維持という刑事手続とは別の観点から行われる懲戒処分について妥当するものではない。 したがって,本件各処分が無罪推定の原則及び国際人権B規約14条2項に反するとの原告の主張は失当である。 4 本件各処分が検察庁法25条に違反するか原告は,本件では本件各処分の時点において懲戒免職処分事由が存在することが明らかな事案ではないから,仮に検察官ではなく一般職の国家公務員が本件と同様の犯人隠避罪を行ったとすれば国公法79条に基づき起訴休職とされる事案であることに疑問の余地はなく,そのような事案で懲戒免職処分とすることは,国公法79条の休職規定の適用を排除して,一般の国家公務員よりも検察官の身分を厚く保障している検察庁法25条の趣旨に反すると主張 ることに疑問の余地はなく,そのような事案で懲戒免職処分とすることは,国公法79条の休職規定の適用を排除して,一般の国家公務員よりも検察官の身分を厚く保障している検察庁法25条の趣旨に反すると主張している。 - 116 -しかしながら,本件各処分は原告が刑事事件で起訴される前に行われているところ,仮に検察官ではなく一般職の国家公務員が同様の犯行を行った場合であっても起訴休職にせず,起訴前に懲戒処分を行うことができるのであるから,それが直ちに検察庁法25条の趣旨に反するとはいえない。加えて,国公法は休職処分についての具体的な基準を設けていないから,公務員が刑事事件につき起訴された場合に,休職処分を行うか否かは,任命権者の裁量に任されていると解されているところ(最高裁昭和63年6月16日第一小法廷判決・最高裁判所裁判集民事154号133頁),原告は処分事由を否認しているが,前述のとおり,Z12,Z9及びZ1の各供述など処分事由を認定するための十分な証拠が存在していること,本件各処分の対象とされている事由は,検察官である原告が犯人隠避という犯罪行為を行ったというものであり,刑事事件について,捜査及び起訴・不起訴の処分を行い,裁判所に法の正当な適用を請求し,裁判の執行を指揮監督することなどを職責とする検察官の公務に与える影響は甚大であることなどからすると,仮に検察官に起訴休職の制度が設けられており,かつ,起訴休職の適用が問題となる事案であったとしても,原告が主張するように当然に起訴休職となるような事案とは到底言い難い。 そうすると,本件各処分が検察庁法25条の趣旨に反するとの原告の主張は,およそ前提を欠くものであるから,採用することができない。 5 本件各処分が国公法85条を潜脱するものであるか国公法85条は,懲戒に付せられるべき事件が 庁法25条の趣旨に反するとの原告の主張は,およそ前提を欠くものであるから,採用することができない。 5 本件各処分が国公法85条を潜脱するものであるか国公法85条は,懲戒に付せられるべき事件が,刑事裁判所に係属する間においても,人事院又は人事院の承認を経て任命権者は,同一事件について,適宜に,懲戒手続を進めることができることを定めているが,本件懲戒免職処分は原告に対する刑事事件が起訴されるよりも前に行われているから,本件各処分は国公法85条に違反しない。 原告は,国公法85条が,人事院の承諾を経ることとしているのは,裁判の結果いかんが懲戒処分を決定する上で重大な影響があると認められる場合には,刑事裁判の終結まで懲戒手続の進行を停止するため,その判断を人事院に委ねる趣旨であるとこ- 117 -ろ,処分行政庁が起訴直前に本件懲戒免職処分を行ったのは,起訴後に懲戒免職処分を行うには人事院の承認を経る必要があるのでこれを避けるためであり,本件のように刑事裁判の結果如何が懲戒処分を決定する上に重大な影響があると認められる事案について起訴直前に懲戒処分を行うのは国公法85条の潜脱である旨主張している。 確かに,国公法85条が,懲戒に付せられるべき事件が刑事裁判所に係属する場合に任命権者が懲戒手続を進めるには人事院の承認を経ることとしているのは,裁判の結果の如何が懲戒処分を決定する上に重大な影響がある場合には刑事裁判の終結まで懲戒手続の進行を停止する必要があり,その判断を人事院に委ねる趣旨であると解される。しかしながら,他方,懲戒処分の対象となる行為が犯罪行為にも該当するのであれば,当該行為につき刑事事件が起訴されていない場合であっても,将来刑事事件が起訴されることはあり得るから,刑事裁判の結果如何が懲戒処分を決定する上で重大な影響を及ぼ 為が犯罪行為にも該当するのであれば,当該行為につき刑事事件が起訴されていない場合であっても,将来刑事事件が起訴されることはあり得るから,刑事裁判の結果如何が懲戒処分を決定する上で重大な影響を及ぼす可能性は否定できないが,そうであるにもかかわらず,国公法85条は,懲戒に付せられるべき事件が刑事裁判所に係属する場合に限り,人事院の承認を要するとしているのは,懲戒処分は公務の信頼の確保及び公務秩序の維持の観点から時宜に即して行うことが望ましいこと,未だ刑事事件が起訴されていない場合には,懲戒に付せられるべき事件に関して刑事事件が起訴されるのか否かも明確でないのが通常であること,刑事事件が起訴される可能性の程度によって人事院の承認の要否を区別するのは基準が不明確であって懲戒手続の安定性を害することから,各事案の個別事情にかかわらず,刑事事件が起訴されているか否かによって一律に人事院の承諾の要否を区別する趣旨であると解される。そうすると,懲戒処分が行われた時期が刑事事件の起訴される直前であったかどうか,あるいは刑事事件が起訴される見込みがどの程度であったかなどの事情は,国公法85条が考慮することを予定していないのであるから,起訴直前に行われた本件懲戒免職処分が国公法85条を潜脱するものであるとの原告の主張は失当である。 6 起訴直前に行われた本件各処分が懲戒権行使に関する手続上の裁量を逸脱ないし- 118 -濫用した違法な処分か原告は,検察官に起訴休職の制度がないのは一般職公務員よりも手厚い身分保障を与える趣旨であるから,一般職国家公務員よりも保護を弱めた性急な懲戒権行使を行うことは本末転倒であり,手続的にその裁量を逸脱ないし濫用したものと評価されるべきと主張している。 しかし,そもそも起訴休職制度は,主として公務に対する国民の信 も保護を弱めた性急な懲戒権行使を行うことは本末転倒であり,手続的にその裁量を逸脱ないし濫用したものと評価されるべきと主張している。 しかし,そもそも起訴休職制度は,主として公務に対する国民の信頼確保と職場秩序の保持を目的とする制度であって(前記最高裁昭和63年6月16日判決参照),同制度が犯罪を犯し起訴された公務員に有罪判決確定までは休職とされ懲戒処分を受けないことを保障したことを前提とするかのような主張は失当である。結局,その実質は上記4の主張の繰り返しであり,かかる主張を採用することができないことは前述のとおりである。 また,処分行政庁は,原告が検察官として職務を行うことを止める法的根拠がないため,原告が刑事裁判で無罪となるリスクを承知しつつ,本件懲戒免職処分を行ったものであって,その手続の裁量を逸脱濫用したものであるとも主張しているが,かかる主張もいかなる手続規定に違反するのが明確でなく,また,本件懲戒免職処分の処分事由を認定することができることは前述のとおりであるから,処分庁が,原告が刑事裁判で無罪となるリスクを承知しつつ敢えて本件懲戒免職処分を行ったとも認めることができない。 したがって,本件各処分が手続上の裁量を逸脱濫用したとの原告の主張も採用することができない。 7 本件退職手当支給制限処分における所定事情の勘案は十分か退職手当法12条1項は,退職をした者が,懲戒免職等処分を受けて退職をした者,又は国公法76条の規定による失職又はこれに準ずる退職をした者のいずれかに該当するときは,当該職員の退職の日において当該職員に対し懲戒免職等処分を行う権限を有していた機関である退職手当管理機関は,「当該退職をした者が占めていた職の職務及び責任,当該退職をした者が行つた非違の内容及び程度,当該非違が公務に- 119 職員に対し懲戒免職等処分を行う権限を有していた機関である退職手当管理機関は,「当該退職をした者が占めていた職の職務及び責任,当該退職をした者が行つた非違の内容及び程度,当該非違が公務に- 119 -対する国民の信頼に及ぼす影響その他の政令で定める事情を勘案して,当該一般の退職手当等の全部又は一部を支給しないこととする処分を行うことができる」と定め,これを受けて同法施行令17条は,「法第12条第1項に規定する政令で定める事情は,当該退職をした者が占めていた職の職務及び責任,当該退職をした者の勤務の状況,当該退職をした者が行つた非違の内容及び程度,当該非違に至つた経緯,当該非違後における当該退職をした者の言動,当該非違が公務の遂行に及ぼす支障の程度並びに当該非違が公務に対する国民の信頼に及ぼす影響とする」と定めている。したがって,退職手当管理機関は,退職手当支給制限処分を行うに当たり,同法12条1項及び同法施行令17条所定の各事情を勘案して処分を行う必要がある。 そして,上記のように退職手当支給制限処分を行うに当たっては,広範な事情について総合的に考慮することが求められていることからすると,当該一般の退職手当等の支給を制限するか否か及び制限する額をいくらにするかの判断は,平素から内部事情に通じ,職員の指揮監督に当たる退職手当管理機関の裁量に委ねられているが,その判断が社会通念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したと認められる場合には違法となるものと解するのが相当であるから,退職手当管理機関が,同法12条1項及び同法施行令17条所定の各事情の一部を勘案しなかった結果,その判断が社会通念上著しく妥当を欠く場合には,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして,当該退職手当支給制限処分は違法となると解される。 これ 7条所定の各事情の一部を勘案しなかった結果,その判断が社会通念上著しく妥当を欠く場合には,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして,当該退職手当支給制限処分は違法となると解される。 これを本件についてみると,原告は,特捜部副部長の要職にあり,自ら犯罪捜査を行うべき職務に従事しているだけでなく,他の検事を指導監督する立場にあったのであるから,原告が占めていた職の職務及び責任は重大であり,そうであるにもかかわらず,原告は,部下検事であるZ1が証拠物を改ざんするという重大な犯罪行為を行ったことを覚知しながら,Z1が刑事責任を問われることを回避するとともに組織防衛を図るため,Z2部長と共同の上,Z1に対し故意による改ざんではなく過誤による改変であると説明する方法を考えるよう指示するなどした上で上司に対し虚偽の報告を行ったものであり,本来,社会の治安維持のために犯罪を行った者の刑事責任- 120 -を追及することを使命とする検察官が,自ら犯人隠避という犯罪を行って捜査を妨害したのであるから,本件非違行為の内容及び程度が悪質であることは言うまでもなく,前記非違行為に至った経緯についても酌むべき事情はない。また,本件非違行為の内容は検察官の職責に著しく反するものであるから,同行為が,公務の遂行に著しい支障を及ぼすとともに,公務に対する国民の信頼を著しく毀損するものであることも明らかである。しかるに,原告は本件非違行為が発覚した後もZ1を隠避した事実を否認し,反省の態度を示していないだけでなく,当時の部下や上司にその責任を押し付けようとしているのであるから,本件非違行為後の言動も悪質である。そうすると,原告が長年検察官としての職務に精励してきたことなど原告の勤務の状況をいかに考慮しても,一般の退職手当等の全部を支給しないこととした判断は妥当 あるから,本件非違行為後の言動も悪質である。そうすると,原告が長年検察官としての職務に精励してきたことなど原告の勤務の状況をいかに考慮しても,一般の退職手当等の全部を支給しないこととした判断は妥当であるというほかない。以上によれば,原告に対し退職手当等の全部を支給しないこととした本件退職手当支給制限処分は,社会通念上著しく妥当を欠くものとはいえず,裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものとして違法であるとはいえない。 これに対し,原告は,本件処分書には,退職手当法施行令17条所定の勘案すべき事情のうち,「当該退職をした者の勤務の状況」及び「当該非違後における当該退職をした者の言動」についての記載がないことから,処分行政庁はこれらの事情を勘案せずに本件退職手当支給制限処分を行ったものであり,したがって,同処分は違法であると主張している。しかしながら,退職手当法12条1項及び同法施行令17条が退職手当支給制限処分を行うに当たり退職手当管理機関が勘案すべき事情を列挙しているのは,処分の適正を担保するためであるから,退職手当法12条1項及び同法施行令17条所定の事情を適切に勘案しなかったことにより退職手当支給制限処分が適正を欠く場合に限り,これを違法として取り消せば足りると解されるところ,原告の本件非違行為後における言動はむしろ悪情状であること及び原告の勤務状況を考慮しても当該一般の退職手当等を全部支給しないこととする判断が妥当であることは前述のとおりであり,したがって,本件においては適正な処分が行われているのであるから,本件退職手当支給制限処分を違法として取り消すべき理由はない。 - 121 - 8 結論以上の次第で,原告の請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第5民事部 を違法として取り消すべき理由はない。 - 121 - 8 結論以上の次第で,原告の請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第5民事部 裁判長裁判官中垣内健治 裁判官中島崇 裁判官別所卓郎- 122 -別紙2被処分者は,平成20年4月1日から平成22年3月31日までの間,大阪地検検事として,自ら捜査を行うべき職務に従事するとともに,特捜部副部長を命ぜられ,特捜部長の命を受けて同部所属の検察官らを指揮して捜査を行う職務に従事していたものであるが,同部所属検事Z1が大阪地方裁判所に係属中であったZ8らに対する虚偽有印公文書作成等被告事件の証拠である本件データを変造したという罰金以上の刑に当たる証拠隠滅の罪を犯した者であることを知りながら,Z2部長と共謀の上 1 平成22年2月1日ころ,大阪市α×番60号所在の大阪地検において,Z1による証拠隠滅の犯行を知った大阪地検検事らに他言を禁じた上,同月2日ころ,同所において,東京都内にいたZ1に対し,電話で,本件データの改変は過誤によるものとして説明するよう指示するとともに,同月8日ころ,大阪地検において,Z1に対し,本件データの改変が過誤だと説明できるような話を考えておくよう重ねて指示し,同月10日ころ,同所において,同指示に基づきZ1から提出された「本件データ確認作業中,本件データが過誤によって改変された可能性はあるが,本件FDが還付されていて改変の有無は確定できない」との趣旨の上申書案につき,Z1に対し,その内容を基本的に了承するとともに,より合 タ確認作業中,本件データが過誤によって改変された可能性はあるが,本件FDが還付されていて改変の有無は確定できない」との趣旨の上申書案につき,Z1に対し,その内容を基本的に了承するとともに,より合理的な説明内容とするよう指示するなどし,本件データが過誤によって改変された可能性はあるが改変の有無を確定できず,改変されていたとしても過誤にすぎない旨事実をすり替えて自ら又は同部所属の検察官らを指示して捜査を行わず 2 同月2日ころ,同所において,Z3次席に対し,「Z1が本件データ確認作業を行ったことを本件データの書き換えであると公判担当の検事が問題としたがそれは言いがかりにすぎず,本件データについては本件FDが還付されていて改変の有無を確認できない上,本件データが変わった可能性があっても確認作業中の過誤にすぎない」旨虚偽の報告し,同月3日ころ,同所において,Z4検事正に対し,「Z1が本件データ確認作業を行ったことを本件データの書き換えであると公判担当の検事が騒いでいるが,言いがかりであり問題はない」旨虚偽の報告をし,よって,Z3次席及びZ- 123 -4検事正をして,捜査は不要と誤信させて自ら又は大阪地検所属の検察官らを指揮して捜査を行わないようにさせもって罰金以上の罪に当たる証拠隠滅罪の犯人であるZ1を隠避させた。
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