昭和63(行ウ)2 所得税更正処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成6年6月28日 釧路地方裁判所 租税
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判決文本文30,325 文字)

○ 主文一原告の請求をいずれも棄却する。 二訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実第一当事者の求めた裁判一請求の趣旨 1 被告が昭和六一年七月七日付けで原告の昭和五八年ないし昭和六〇年分の所得税についてした各更正及び各過少申告加算税の賦課決定(ただし、昭和五八年及び昭和五九年分については異議決定及び裁決により一部取り消された後のもの)をいずれも取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 二請求の趣旨に対する答弁主文同旨第二当事者の主張一請求原因 1 原告は、肩書住所地において農業を営むものであるが、原告の昭和五八年分から昭和六〇年分までの所得税についての確定申告、更正、異議決定、裁決等の経緯は、別表1の1ないし3に記載のとおりである。 2 (一)しかし、原告の右各年の総所得金額は、同表1の1ないし3の確定申告欄に記載のとおりであり、被告がした各更正及び過少申告加算税の賦課決定(異議決定及び裁決で取り消された後のもの。以下「本件各更正等」という。)には、原告の所得を過大に認定した違法がある。 (二) また、本件各更正等には、何らの調査もしないで行われた手続上の違法がある。 (三) さらに、本件各更正等には、何らの理由が付されていない違法がある。 3 よって、原告は、被告に対し、本件各更正等の取消しを求める。 二請求原因に対する認否 1 請求原因1の事実は認める。 2 同2(一)ないし(三)の主張は争う。 三被告の主張 1 推計課税の必要性について(一) 原告は、畑作農業を営むいわゆる白色申告者であるが、被告が原告から提出された各確定申告書を審査したところ、申告所得金額が他の同業者のそれと比較して過少であると認められた上、原告から提出された各確定申告書には所得金額が記載されていたものの、収入金額及び必要経費の記載がなく、 各確定申告書を審査したところ、申告所得金額が他の同業者のそれと比較して過少であると認められた上、原告から提出された各確定申告書には所得金額が記載されていたものの、収入金額及び必要経費の記載がなく、所得金額の計算内容が不明確であったこと等から、被告は、原告の昭和五七年分ないし昭和五九年分の所得税に関する調査の必要性を認め、昭和六〇年三月末、その調査を帯広税務署係官であるa(以下「a係官」という。)に命じ、その後、同様の理由で、原告の昭和六〇年分の所得税に関する調査も併せ行うよう命じた。 (二) a係官は、最初に原告宅に調査に訪れた昭和六〇年四月一五日以降、再三にわたり電話又は直接原告宅を訪れて調査に応ずるよう求めたが、原告は、漫然と多忙を理由に調査面談を先延ばしにし、約一か月半後の同年五月二九日にようやく原告宅で調査を行うことになった。 (三) 昭和六〇年五月二九日、a係官は、原告宅を訪れたが、b農民組合北海道連合会(以下「b農」という。)の会員五名が同席し、同係官が原告以外の第三者の立会いは調査に支障を来すので認められない旨を告げて退席を求めても、原告らはこれに応じず、b農会員が同係官に調査理由の開示を要求するなどしたため、同係官は実質的な調査をすることができなかった。ただ、原告は、同係官が昭和五七年分ないし昭和五九年分の資料の提示を求めたのに対し、昭和五九年分のみの(1)損益計算書の各勘定科目別の金額の内容を記載した自主申告計算ノート(以下「自主計算ノート」という。)、(2)c農業協同組合(以下「c農協」という。)の組合員勘定報告書(以下、組合員勘定の口座も含めて「組勘」ということがある。)及び(3)暦の裏に原告本人が記入した計算書を提示したが、a係官は、自主計算ノートは科目別に分類されていない分があるなど記載内容が不完全であること 合員勘定の口座も含めて「組勘」ということがある。)及び(3)暦の裏に原告本人が記入した計算書を提示したが、a係官は、自主計算ノートは科目別に分類されていない分があるなど記載内容が不完全であることが一見して明らかで、組勘だけからはc農協以外の農産物集荷業者に対する売上げ(以下「系統外取引」という。)が把握できず、また、原告作成の計算書も調査の直前になって作成されたものであり、確定申告の基となったものではないと判断した。 (四) 昭和六〇年六月二六日、a係官は、原告宅で調査を行い、系統外取引の入金や機械の購入代金の出所調査に必要な原告やその母親の預金通帳等の提示を求めたが、原告はプライバシー等を理由としてその提示を拒絶した。さらに、同席したb農会員五名が前回同様調査理由の開示を求める発言を繰り返すなどして調査を妨害したため、同係官は、原告宅での調査を途中で打ち切らざるを得なかった。 (五) そのため、a係官は、以後、専ら原告の取引先に対する反面調査を行ったが、a係官が反面調査のためにc農協を訪れたことを知った原告がc農協に対して反面調査に応じないよう申し入れたため、c農協は、その後、反面調査に応じなくなった。 (六) 昭和六一年四月二一日、a係官が調査のため原告宅を訪れたところ、原告は不在であり、同月二四日の訪問の際も、原告は、多忙を理由に調査に応じようとはせず、昭和六〇年分の帳簿書類の提示にも応じなかった。原告は、その後の電話等による再三の調査協力要請に対し、自宅以外の場所での調査を申し出るなどしたが、ようやく同年六月二四日に原告宅での調査に応じることになった。 (七) 昭和六一年六月二四日、a係官が原告宅を訪れたところ、原告宅にはb農会員四名が待機しており、a係官が右会員らの退席を求めても原告がこれを拒否したので、やむなくb農会員ら同席 ることになった。 (七) 昭和六一年六月二四日、a係官が原告宅を訪れたところ、原告宅にはb農会員四名が待機しており、a係官が右会員らの退席を求めても原告がこれを拒否したので、やむなくb農会員ら同席のまま調査を開始した。a係官は、原告提示の資料のみでは本件各係争年分の所得金額の計算内容が確認できない旨を説明して更に資料提出の協力を求めたが、同席のb農会員らが「勝手な調査方法である。」、「収支計算に基づいていない調査は認められない。」などと調査の進行を妨げる発言をしたため、同係官は、調査の続行は困難であると判断して調査を打ち切った。 (八) 昭和六一年六月二七日、a係官は原告宅を訪問したが、やはりb農会員四名が同席し、同係官の退席要求にも応じず、かえって「何を生意気なことを言っているんだ。」と言って調査を妨害したことから、同係官は、調査の続行は不可能であると判断し、原告に対し推計課税による方法で原告の所得金額を算出して更正する旨を伝えた。 (九) 以上のとおり、原告は調査に非協力的であり、かつ、原告の事業所得の金額を実額で算定するに足りる帳簿書類を提示せず、また、反面調査によっても右金額を実額で算定する資料の把握ができなかったのであるから、被告が原告の本件各係争年分の事業所得の金額を算定するに当たり、推計課税の方法による必要性があった。 2 被告の推計による計算方法(一) 事業所得の計算方法の概要(1) ア原告の本件各係争年分に係る総収入金額のうち、畑作物収入金額については、同一地域内で畑作農業を営む者にあっては、特段の事情がない限り、同一作物については、単位面積当たりほぼ同程度の収入を得られるのが通例であるから、原告の取引先調査により把握した原告の作物別作付面積に、類似同業者の一〇アール当たりの平均収入金額を乗じて算出した。 イまた については、単位面積当たりほぼ同程度の収入を得られるのが通例であるから、原告の取引先調査により把握した原告の作物別作付面積に、類似同業者の一〇アール当たりの平均収入金額を乗じて算出した。 イまた、雑収入金額については、その営農形態に照らし、類似同業者の雑収入金額と類似する金額になるのが通例であるから、右畑作物収入金額に、類似同業者の平均雑収入率(畑作物収入金額に対する雑収入金額の割合をいう。)を乗じて算出した。 ウ次に、同業者は、同程度の収入を得るに当たっては、同程度の必要経費を要するのが通例であるから、畑作物収入金額と雑収入金額の合計額(総収入金額)に類似同業者の平均所得率を乗じて差引所得金額(事業専従者控除前の金額)を算出した。 (2) ア被告は、類似同業者の選定に当り、原告と同一地域内で畑作を専業としている農業従事者のうち次の(1)から(4)の条件のいずれにも該当する者を抽出した。 (1) 年間を通じて農業を営んでいる者で、かつ、青色申告書を提出する同業者(2) 作付作物の種類が原告と類似しており、かつ、作付面積が原告のそれの二分の一以上二倍以下の範囲内にある者(いわゆる倍半基準である。)(3) 国税通則法の規定に基づく不服申立てがなされ、現在審理中の者又は訴訟継続中である者以外の者(4) 災害等により経営状態が異常であると認められる者以外の者イ右基準により抽出された類似同業者数は、各年分とも六名(以下「本件類似同業者」という。)である。 (二) 畑作物別収入金額(1) ア被告による原告の取引先等の反面調査等により、原告が本件各係争年分に作付けした作物は、小麦、甜菜、スイートコーン、アスパラガス及び馬鈴薯であると認められた。 イ右の調査により、小麦、甜菜、スイートコーン及びアスパラガスについては昭和五八年分ないし昭 各係争年分に作付けした作物は、小麦、甜菜、スイートコーン、アスパラガス及び馬鈴薯であると認められた。 イ右の調査により、小麦、甜菜、スイートコーン及びアスパラガスについては昭和五八年分ないし昭和六〇年分の、馬鈴薯については昭和五九年分の、各作付面積が把握できた。 ウまた、右の調査により、原告の昭和五九年分の畑作物の作付面積の合計は二〇七五アールと認められた。 エ昭和五八年分及び昭和六〇年分については、総作付面積を反面調査で把握できなかったが、昭和五九年分と同じ総作付面積であったと認め、更に昭和五八年分及び昭和六〇年分の右総作付面積から馬鈴薯以外の作物の作付面積の合計額を差し引いた差額をもって、昭和五八年分及び昭和六〇年分の馬鈴薯の作付面積と認定した。 オ以上による原告の本件各係争年分の作物別作付面積は、別表2のアないしウ各(1)作付面積欄記載のとおりである。 (2) 本件類似同業者の作物別一〇アール当たりの収入金額は、別表3のとおりであり、その平均作物別一〇アール当たりの収入金額は、別表2のアないしウ各(2)一〇アール当たりの収入金額欄記載のとおりである。 (3) 原告の本件各係争年分における畑作物収入金額は、原告の各作物別作付面積に本件類似同業者の作物別一〇アール当たりの収入金額(平均)を乗じて算出し、別表2のアないしウ各(3)収入金額欄記載のとおりである。 (三) 雑収入金額(1) 本件類似同業者の雑収入率は、別表5の1ないし3の雑収入率欄記載のとおりであり、その平均雑収入率は、別表4の各(2)雑収入率欄記載のとおりである。 (2) 原告の本件各係争年分の雑収入金額は、原告の本件各係争年分の畑作物収入金額に本件類似同業者の平均雑収入率を乗じて算出し、別表4の各(3)雑収入金額欄記載のとおりである。 (四) 事業所得(農業所得 原告の本件各係争年分の雑収入金額は、原告の本件各係争年分の畑作物収入金額に本件類似同業者の平均雑収入率を乗じて算出し、別表4の各(3)雑収入金額欄記載のとおりである。 (四) 事業所得(農業所得)(1) 原告の本件各係争年分の総収入金額は、畑作物収入金額と雑収入金額を合計したもので、別表6の各(1)総収入金額欄記載のとおりである。 (2) 本件類似同業者の所得率は、別表5の1ないし3の所得率欄記載のとおりであり、その平均所得率は、別表6の各(2)所得率欄記載のとおりである。 (3) 原告の本件各係争年分の差引所得金額は、原告の本件各係争年分の総収入金額に本件類似同業者の平均所得率を乗じて算出したもので、別表6の各(3)差引所得金額欄記載のとおりである。 (4) 原告の本件各係争年分の事業所得金額は、右差引所得金額から事業専従者控除額(別表6の各(4)欄記載のとおり)を控除して算出したもので、別表6の各(5)事業所得金額欄記載のとおりである。 (五) 原告の本件各係争年分の総所得金額原告の本件各係争年分の総所得金額は、右(四)で算出した本件各係争年分の事業所得金額に本件各係争年分の配当所得金額(別表7の各(2)欄記載のとおり)及び譲渡所得金額(別表7の(3)欄記載のとおり)を加算して算出したもので、別表7の各(4)総所得金額欄記載のとおりである。 3 推計の合理性について(一) 原告と類似する同業者の選定にあたっては、前記2(一)(2)のとおり、本件各係争年分の青色申告者の中から営農地域及び営農形態、規模をも考慮した上、立地条件、作付作物の種類、作付総面積が原告と類似すると認められた者を機械的に抽出しており、被告の恣意が介在する余地は全くなく、極めて公平かつ妥当なものであり、それを前提とした右同業者の各比率についても正確性が担保されてい 作付総面積が原告と類似すると認められた者を機械的に抽出しており、被告の恣意が介在する余地は全くなく、極めて公平かつ妥当なものであり、それを前提とした右同業者の各比率についても正確性が担保されているから、被告の推計には合理性がある。 (二) 推計に用いる類似同業者は、個々的な差異のあることを前提として抽出されるものであり、原告が主張するような細部にわたるまでの営農実態の類似を求められるものではなく、一定の基準による類似性があれば足りるというべきであるから、馬鈴薯の品種の割合や必要経費の詳細等の営農形態の細部まで類似しなくとも推計の合理性に影響を及ぼすものではない。 (三) 本件類似同業者の小麦の一〇アール当たりの収入金額に差があるのは、小麦の収穫適期が水稲に比べて短期間であり、収穫時期の僅かなずれにより品質に格段の差が出るところ、収穫の際には高額農業機械等を農協などの管理の下に順番に使用して収穫するためであるが、この事情は、同業者率による推計の場合には平均値の中に捨象されるものである。 (四) アスパラガスの収入金額の差異も、同業者率による推計の場合には平均値の中に捨象される上、アスパラガス自体の収入の割合がごく僅少なため、その反収の差異は、被告の推計全体の合理性を否定するものではない。 (五) 雑収入については、本件類似同業者は、いずれも農業共済加入者であるところ、共済金をそれぞれの作物収入とみなした場合の本件類似同業者の一〇アール当たりの収入金額及び雑収入率は、別表8の1のとおりであり、これにより原告の収入金額を試算すると、別表8の2検討金額欄記載のとおりであり、被告の主張額と大差はない(なお、昭和六〇年は共済金の支払はなく、また、アスパラガスとスイートコーンは農業共済の対象とはなっていない。)。 四被告の主張に対する原告の認否及び主 記載のとおりであり、被告の主張額と大差はない(なお、昭和六〇年は共済金の支払はなく、また、アスパラガスとスイートコーンは農業共済の対象とはなっていない。)。 四被告の主張に対する原告の認否及び主張 1 被告の主張に対する認否(一) 被告の主張1(一)の事実のうち、原告が農業を営む白色申告者であることは認め、その余は知らない。 (二) 同1(二)の事実のうち、昭和六〇年四月一五日にa係官が原告宅に来たこと、その際原告が調査の延期を申し出たこと、その後a係官からの電話があったこと及び同年五月二九日に調査をすることとなったことは認め、その余は否認する。 四月から五月中旬までは春の繁忙期であるため、原告は、それが終わる時期まで調査の延期を申し出たもので、いたずらに調査の延期を求めたものではない。 (三) 同1(三)の事実のうち、昭和六〇年五月二九日にa係官の調査があったこと、b農会員が立ち会ったこと、被告主張の書類を提示したことは認め、その余は否認する。 b農会員に対する税務調査に当たり他の会員が立ち会うことは、半ば慣例化しており、この日の調査においても、当初一五分程度、立会いの問題や調査理由の開示の問題についてやり取りがあった程度で、その後はa係官は調査に専念しており、妨害の事実はなかった。 また、計算書は、自主申告計算ノートから罫紙に整理したもので、暦の裏に記載されたものではなかった。 (四) 同1(四)の事実のうち、昭和六〇年六月二六日に調査が行われ、その際b農会員が立ち会っていたこと、原告や母親の預金通帳の提示を求められたこと及び母親分の預金通帳の提示を拒否したことは認め、その余は否認する。 a係官が右会員の退席を求めたりしたことはあるが、それ以上のことはなく、調査の妨害の事実はなかった。 原告は、家族分の預金通帳は関係がないと考え、提 通帳の提示を拒否したことは認め、その余は否認する。 a係官が右会員の退席を求めたりしたことはあるが、それ以上のことはなく、調査の妨害の事実はなかった。 原告は、家族分の預金通帳は関係がないと考え、提示しなかったものである。 (五) 同1(五)の事実のうち、原告がc農協に対し調査に応じないように申し入れたことは否認し、その余は知らない。 (六) 同1(六)の事実は認める。 当時、春の繁忙期であることに加え、原告の妻が異常分娩のため昭和六一年三月下旬から芽室町立病院に入院し、誕生した子は未熟児のため帯広厚生病院に入院していたので、原告は農作業に加えて毎日妻の母乳を帯広市の帯広厚生病院まで届けなければならず、原告が調査に応じる時間の余裕がなかったのであり、自宅外での調査を申し出たのも、自宅には妻が病床に伏していたためであった。 (七) 同1(七)の事実のうち、昭和六一年六月二四日にa係官が原告宅を訪れたこと及びb農会員四名が待機していたことは認め、その余の事実は否認する。 a係官は、「署の調査内容を報告するだけ」と言い、調査をするような態度を全く示さなかった。 (八) 同1(八)の事実のうち、昭和六一年六月二七日a係官が原告宅を訪れたことは認め、その余は否認する。原告が六月二四日の不真面目な調査に抗議したため、a係官が再度原告宅を訪れたものであるが、a係官は、六月二七日も調査をしないで帰ってしまったものである。 (九) 同2(一)(1)アの事実のうち、同一地域内で畑作農業を営む者にあっては特段の事情がない限り同一作物については単位面積当たりほぼ同程度の収入を得るのが通例であるとの主張は争い、その余は知らない。 同2(一)(1)イの事実のうち、雑収入金額が類似同業者のそれと類似する金額になるのが通例であるとの主張は争い、その余は知らない。 同2(一)(1 得るのが通例であるとの主張は争い、その余は知らない。 同2(一)(1)イの事実のうち、雑収入金額が類似同業者のそれと類似する金額になるのが通例であるとの主張は争い、その余は知らない。 同2(一)(1)ウの事実のうち、同業者は同程度の収入を得るに当たっては同程度の必要経費を要するのが通例であるとの主張は争い、その余は知らない。 同2(一)(2)の事実は知らない。 (一〇) 同2(二)(1)の事実のうち、アは認め、イは知らず、ウは否認し、エは知らない。 オについての認否は別表9のとおりである。 (一一) 同2(二)(2)、(3)の事実は知らない。 (一二) 同2(三)の事実のうち、(1)は知らず、(2)は否認する。 同2(四)の事実のうち、(2)は知らず、その余は否認する。 同2(五)の事実のうち、配当所得金額及び譲渡所得金額は認め、その余は否認する。 (一三) 同3(一)ないし(四)の主張は争い、同3(五)の事実は知らない。 2 推計の合理性について(一) 類似同業者の類似性を検討するためには、各農家の所在地、各農家の経営面積、各作物の個別栽培面積、雑収入の内容を、経費を検討するためにその保有する機械器具類、事業専従者の人数等を検討しなければならないが、被告は類似業者の所在すら明らかにしていないから、類似業者の類似性が立証されたとはいえない。 (二) 農業は土壌、気候に左右されがちで、地域の同一性が類似性の判断に大きな影響を有するのであるが、芽室町でも土地の高低や土壌の関係から六ないし七の地域に分けられるのに、本件類似同業者が芽室町のどの地域にあるかは、何ら明らかにされていない。 (三) 馬鈴薯は澱粉用と食用で価格が異なるのであるから、これを無視して類似性を判断することはできない。 (四) 本件において主張されている本件類似業者六名の単位面積当たりの 明らかにされていない。 (三) 馬鈴薯は澱粉用と食用で価格が異なるのであるから、これを無視して類似性を判断することはできない。 (四) 本件において主張されている本件類似業者六名の単位面積当たりの収入を比較すると、特に小麦とアスパラガスで三倍以上の開きがあるから、同一作物については単位面積当たりほぼ同程度の収入を得るのが通例であるとはいえず、右の類似業者による推計には合理性があるとはいえない。 (五) 雑収人は、農業収入との対応関係はないばかりか、共済金を含むかどうかによっても異なり、平均値による算定は全く合理性がない。 (六) 原告は、肥料及び農薬を他の農家に比較して多く使うことにより冷害等に強い農業を目指しており、他の類似同業者が相当額の共済金の給付を受けた昭和五九年にも原告の受けた給付は四万円余りであるなどその成果を上げているのであるが、本件類似同業者については右のような事情の有無が不明で、原告と類似していることは立証されていない。 (七) したがって、本件推計に合理性があるとは到底いえない。 五実額についての原告の主張 1 実額の主張(一) 原告の本件各係争年分の総収入金額、事業所得の金額等は、別表10記載のとおりである。 (二) 総収入金額は、昭和五八年二〇一三万三八〇一円昭和五九年二一八二万九四三二円昭和六〇年二〇五八万六八一一円である。 (三) 必要経費は、昭和五八年一七〇五万〇四四八円昭和五九年一七四五万一八五九円昭和六〇年一八五〇万五二七八円である。 (四) 事業専従者控除を差し引いた事業所得額は、昭和五八年二二八万三三五三円昭和五九年三四七万七五七三円昭和六〇年一一八万一五三三円となる。 (五) なお、雑収入のうち、農業共済給付金から 除を差し引いた事業所得額は、昭和五八年二二八万三三五三円昭和五九年三四七万七五七三円昭和六〇年一一八万一五三三円となる。 (五) なお、雑収入のうち、農業共済給付金からの収入は昭和五八年農産物共済金一六九万二七二〇円畑作物共済金五三万五九二一円昭和五九年畑作物共済金四万三二三七円昭和六〇年 〇円である。 2 後記六実額についての被告の主張に対する反論(一) 実額についての被告の主張1の主張は争う。 (二) 同2の主張は争う。 所得税法は、被告主張のような会計帳簿の備付けを納税者に義務付けていないし、これらによらなければ立証できないというものでもない。 原告は、日々の現金出納について記録していないが、次のような方法で毎年の所得を計算している。 原告の収入の主なものは、農産物の販売代金であり、その取引先は、c農協、高橋商店、日本罐詰等に限られている。雑収入としては、北海道電力からの電柱敷地代、c農協からの還付金、農業共済給付金があるだけである。いずれも現金取引はない。したがって、年度末に農協及び銀行口座に振込入金されたものを計算すれば、全ての収入を把握することができる。 支出についても、大部分の支出は、c農協を通じて行っているから、組勘を基に計算し、それ以外のものは、手元に領収証のあるものはそれにより、領収証のないものについてはメモや記憶で計算している。 以上の方法により、原告が自らその所得計算を行うことは可能であり、日々の収支の記録がないというだけでこれを否定することは、白色申告の趣旨から見ても妥当ではない。 (三) 同3(一)の事実は否認する。 原告に系統外取引による売上げの除外がないことは、被告が反面調査の結果等により具体的に売 いうだけでこれを否定することは、白色申告の趣旨から見ても妥当ではない。 (三) 同3(一)の事実は否認する。 原告に系統外取引による売上げの除外がないことは、被告が反面調査の結果等により具体的に売上げの除外があったことを主張していないことからも明らかである。 同3(二)の事実のうち、アは、十勝太陽食品からの売上金として計上している(甲第五号証の一の四)。イは、原告が立て替えた種芋代金が入金されたものであったり、家計費の残りを入金したりしたものである。 (四) 同4の主張は争う。 原告は、前記四2(六)で述べたとおり、冷害等に強い農業を目指すため、肥料等を多く使っていたものである。 (五) 同5の事実は否認する。 仮に、馬鈴薯等の自家消費があったとしても、通常は、出荷できないようなものを消費したに過ぎず、馬鈴薯六〇キログラムとして二〇四〇円程度にすぎない。 (六) 同6の主張は争う。 農業収入及び経費について、現金主義的な処理をすることは、帯広税務署の実務の中で広く、かつ、長年にわたり認められてきた方式である。 (七) 同7の主張は争う。 前記(六)に述べたとおり、現金主義的な処理が認められてきたものである。 (八) 同8の主張は争う。 (九) 同9についての原告の主張は、次のとおりである。 (1) 同9(一)種苗費ないし(三)農薬費について現金主義的な処理が認められていたことについては、前記(六)のとおり。 過大計上については、前記(四)のとおり。 (2) 同9(四)租税公課について(1) 乗用車については、親戚の分は、経費に計上していない(例、甲第一号証の一一)。 乗用車は、七〇ないし八〇パーセントが事業用に使用されていたものである。 (2) 固定資産税については、住宅分の固定資産税全額を経費として計上したことは、誤りであった。 (3) 労災保険は、 一一)。 乗用車は、七〇ないし八〇パーセントが事業用に使用されていたものである。 (2) 固定資産税については、住宅分の固定資産税全額を経費として計上したことは、誤りであった。 (3) 労災保険は、雇人のために掛けたものであり、傷害掛金は、c農協の勧めにより、家族の農作業中の傷害事故に備えるために加入したものである。 (4) 麦奨励積立金は、小麦生産農家が運送業者に対しその経費の一部を補てんする目的で積み立てているもので、小麦関連の経費として支出されているものである。 (3) 同9(五)修繕費について原告は、組勘を収支計算のための一番の資料とする意図を持ち、引き出しに際しては、その使途をできるだけ明確にしていたものであるから、組勘の使途についての記載は信用されるべきである。 スノーモービルは、春早い時期に融雪剤を散布するために使用していたものであり、個人的趣味で使用していたものではない。原告が使用中に破損した箇所の修繕費だったため、原告が全額負担したものである。 乗用車については、前記(2)のとおり。 (4) 同9(六)動力燃料費について(1) ガソリン代乗用車については、前記(2)のとおり。 (2) 灯油、プロパンガスは三〇パーセントが、農業専用以外の電気は五〇パーセントが、業務用である。 (5) 同9(七)雇人費について支払状況に不自然な点はない。 おやつ代は、当時、原告方には子供もいないのであり、このためのおやつは必要なかった。 (6) 同9(八)利子割引料について組勘については八〇パーセントが、建物建築借入分については三〇パーセントが、事業に関連するものである。 (7) 同9(九)損害保険料について乗用車については、前記(2)のとおり。 (8) 同9(一〇)教育研修費について一般新聞代については、五〇パーセントが事業関連費となるも 業に関連するものである。 (7) 同9(九)損害保険料について乗用車については、前記(2)のとおり。 (8) 同9(一〇)教育研修費について一般新聞代については、五〇パーセントが事業関連費となるものである。 (9) 同9(一一)接待交際費について農作業の打合せや切上げの際に、近隣の農家の者との飲食に要する費用である。 (10) 同9(一二)通信費について電話料金の六〇パーセントが事業関連費となるものである。 (11) 同9(一三)減価償却費について甲第一〇号証のとおりであり、立証も十分である。 六実額についての被告の主張 1 立証責仔納税者が推計課税取消訴訟において実額と異なるとして推計課税の違法性を立証するためには、納税者においてその主張する実額が真実の所得額に合致することを立証する必要がある。 2 会計帳簿の必要性(一) 本来、総収入金額及び必要経費は、商法三二条、三六条等において、その作成、保存が義務付けられている会計帳簿及び貸借対照表等(以下「会計帳簿等」という。)によって証明されるべきものである。 これらの会計帳簿等は、公正妥当と認められる会計処理の基準に従い、記録漏れや記録の誤りの有無を確認しながら作成されるものであるから、実額の主張をする場合には、原則として、正規の簿記の原則に従って作成された帳簿類による立証が必要であり、原始記録のみを提出しても、総収入金額及び必要経費を証明する資料としては極めて不十分であって、実額の立証の要件を欠いているといわざるを得ない。 (二) 原告は、会計帳簿類等は備え付けておらず、本件において原告が提出した証拠は、組勘、購買品精算書、領収証等であって、これらは、正規の会計帳簿等に代わるものではなく、現金支出についても、原告のメモと日記により把握したといいながら、それらは提出されていないから、原 した証拠は、組勘、購買品精算書、領収証等であって、これらは、正規の会計帳簿等に代わるものではなく、現金支出についても、原告のメモと日記により把握したといいながら、それらは提出されていないから、原告の実額主張は根拠がない。 3 収入の除外(一) 系統外取引による収入は、組勘以外の預金口座に振り込まれる場合と、現金取引の場合がある。 系統外取引においては、農協に知られずに自由に使える金とするため、組勘への入金を希望せず、現金で決済されることが多く行われている。特に、昭和五八年のような不作の年には作物の値段が上がることから、経験則上系統外取引も著しく増加する。 本件において、現金取引についての収入金額は明らかにされていない。 (二) 以下の入金は、農業に係る収入金額であると考えられるのに、収入金額でないことにつき説明がない。 ア帯広信金(甲第一八号証)昭和五九年九月二七日五四万九八四八円イ c農協別段預金(甲第一九、第二〇号証)昭和五八年一月一〇日八万円一一月一四日六万円一二月一四日九万四五八〇円(d)一二月二三日三万円(e)一二月二八日三万三〇〇〇円(f)一二月二九日三三六〇円(g)昭和五九年三月七日二〇万円四月一一日三万円一二月一八日三万〇五〇〇円(e)一二月二一日一〇万三四六六円(eホカ)昭和六〇年七月八日一万五〇〇〇円(h)九月二日三万二五〇〇円一二月一〇日二万五六八三円(iホカ) 4 類似同業者の経費率との比較原告の主張する種苗費、肥料費及び農薬費の総収入金額に対する割合は、別表11の1、2に記載のとおりであり、本件類似同業者の平均を大幅に上回るものとなっている。このことから、収入金額の計上もれがあるか、種苗費等の過大計上((1)現金支出分の架空又は水増し計上、個人分支出の付け替え、 に記載のとおりであり、本件類似同業者の平均を大幅に上回るものとなっている。このことから、収入金額の計上もれがあるか、種苗費等の過大計上((1)現金支出分の架空又は水増し計上、個人分支出の付け替え、(2)他の同業者分の支払の計上)があることが想定される。 5 家事消費の収入の過少農業所得の収入金額の計算に当たり、家事消費収入も計上しなければならないところ、原告が主張する家事消費に係る収入は、昭和六〇年の大豆の二〇七〇円のみであるが、通常の農家における申告内容から見て不自然である。種苗費として昭和五八年五月二三日二七〇〇円、昭和五九年三月七日六三〇円、三月一三日一二二五円、昭和六〇年三月一一日五〇円、四月一九日九五〇円、農薬費として昭和五九年六月一日二〇〇円(トマトトーン)、諸材料費として昭和五九年五月七日四四〇円(豆サッフル)が計上されているが、このことは、自家そ菜に係る収入に計上もれがあることを示している。 6 収穫基準(棚卸しの必要)について農業を営む者の農業所得の計算に当たっては、その者が農産物を収穫した時にその価額により収入があったとみなされるいわゆる収穫基準により、その年分の事業所得の総収入金額を計算する(所得税法四一条一項)。また、収穫した農産物を他に売却したときの所得計算に当たっては、その収穫価額が所得価額とみなされることとなり(同条二項)、その年分の前年以前に収穫された農産物をその年に売却した場合は、その年における期首棚卸高を販売原価として総収入額から減算し、期末棚卸高を加算しなければならない。 原告は、棚卸しを実施していないから、適正な総収入金額の算定はできない。 なお、帯広税務署が現金主義的処理を認めてきた事実はない。 7 経費の棚卸し等(一) 必要経費の算定に当たっては、次の調整が必要である。 (1) 未払経費、前払 ら、適正な総収入金額の算定はできない。 なお、帯広税務署が現金主義的処理を認めてきた事実はない。 7 経費の棚卸し等(一) 必要経費の算定に当たっては、次の調整が必要である。 (1) 未払経費、前払経費その年に確定したが未払となっているものについては、その年の必要経費に算入する必要がある。また、既に支払済みの必要経費のうち、翌年以降の期間に相当する部分については、その年分の必要経費にならないから、減算する必要がある。 (2) 経費の棚卸し未使用の諸資材等、未収穫農産物に対する投下経費などは、その年に計上された経費の額から減算する必要がある。 (二) 原告は、いわゆる現金主義により計算しており、右(1)、(2)の処理は一切していない。 特に肥料代については、そのほとんどが前年に納品されたものであり、原告が主張する各年分の必要経費とはならない。 8 必要経費についての一般的問題点原告の必要経費の立証については、次の問題点がある。 (一) 必要経費についても、家計費の名目で払い出された現金が必要経費の支払に充てられることがあることは原告自身が認めるところであり、逆に必要経費の名目で払い出された現金が家計費に充てられることも否定できないことになり、組勘の記載からは現金が払い出されたことしか立証されていないというべきであるから、領収証等の裏付けがない限り必要経費として認めるには十分ではない。原告が必要経費として主張するものには、現金支払又は組勘からの支出だけで納品書、領収証がなく、収入を得るための必要経費であるか否か不明であるものが多数ある。 (二) 領収証があっても、その作成自体に疑義があるものが存在する。 (三) 領収証があるものであっても原告が他の事業者の経費を立て替えているものもある(甲第六号証の六の三には「取りまとめ分」との記載があり、c農協 があっても、その作成自体に疑義があるものが存在する。 (三) 領収証があるものであっても原告が他の事業者の経費を立て替えているものもある(甲第六号証の六の三には「取りまとめ分」との記載があり、c農協の原告の別段預金口座(昭和六一年三月三日入金五万円、甲第二〇号証)に「ヒリョウダイ」として入金がある。)ことからすると、全てが必要経費となるかについては疑義がある。 (四) 家事費と事業費の両方の性格を有する家事関連費につき、原告の主張する額が原告の業務の遂行上必要なものであることの立証のないものがある(所得税法四五条一項一号、同法施行令九六条参照)。 9 必要経費についての個別的問題点(一) 種苗費昭和五八年一〇月一〇日以降に支払われた合計五九万円、昭和五九年一二月一七日以降に支払われた合計三六万六〇〇〇円、昭和六〇年一二月一八日以降に支払われた合計三五万〇五〇〇円は、翌年に使用されるものと考えられるから、当該年分の必要経費とはならない。 種苗費の過大計上が疑われることは、前記4に指摘したとおりである。 (二) 肥料費昭和五八年二月一六日に支払われた三三一万七一六九円、昭和五九年二月一六日に支払われた一八八万六〇四八円、昭和六〇年二月一六日に支払われた合計三三七万五三七〇円は、前年に納入されたものであって、当該年分の必要経費とはならない。 肥料費の過大計上が疑われることは、前記4に指摘したとおりである。 各年分の肥料費が大きく変動していることは、適正な期間計算が行われていないことを疑わせる。 (三) 農薬費昭和五九年一二月二三日に支払われた二〇万七〇〇〇円、昭和六〇年一二月二四日に支払われた一六万二〇〇〇円は、翌年に使用されるものと考えられるから、当該年分の必要経費とはならない。 農薬費の過大計上が疑われることは、前記4に指摘したとおりであ 〇〇〇円、昭和六〇年一二月二四日に支払われた一六万二〇〇〇円は、翌年に使用されるものと考えられるから、当該年分の必要経費とはならない。 農薬費の過大計上が疑われることは、前記4に指摘したとおりである。 (四) 租税公課(1) 原告作成の減価償却資産表(甲第一〇号証)によると、原告は乗用車及びトラック二台(二トン及び四トン)を所有しており、親戚のものとみられる昭和五八年の一万二九五〇円、昭和五九年及び昭和六〇年の各一万四八〇〇円は、必要経費とはならないものである。 乗用車分については、主として事業に使用していたとは認められないばかりか、事業に使用していた割合を明らかに区分することはできないから、必要経費とは認められない。 (2) 固定資産税は、土地及び建物自体の家事用及び事業用の区分が明らかでなく、少なくとも、原告個人の居住用の住宅については家事費として必要経費とはならない。 (3) 労災保険及び傷害掛金は、その内容が明らかでないばかりか、原告の雇人の使用状況からみて雇人に対するものとは認められないから、必要経費とはならない。 (4) 麦奨励積立金についても、その内容が明らかでなく、積立金は使用された時にその使用の内容に従って処理されるものであるから、支払ったからといって直ちに必要経費となるものではない。 (五) 修繕費修繕内容が明らかでないものがある。 昭和五九年二月一日のスノーモービルの修理代は、スノーモービル自体が事業との関連性が明らかでない上、仮に事業に使用するものとしても共有であることは原告も認めるところであるから、右全額を必要経費とすることはできない。 また、昭和五九年一一月二〇日の乗用車車検費及び同年一二月二一日の乗用車修理代は、前記(四)(1)で述べたとおり必要経費とはならない。 (六) 動力光熱費(1) ガソリン代のうち ることはできない。 また、昭和五九年一一月二〇日の乗用車車検費及び同年一二月二一日の乗用車修理代は、前記(四)(1)で述べたとおり必要経費とはならない。 (六) 動力光熱費(1) ガソリン代のうち乗用車に使用する分については、前記(四)(1)のとおり必要経費とならない。 (2) 灯油、プロパンガス及び住宅用電気は、通常個人の生活に使用されるもので、事業との関連性は立証がないから、必要経費として認められない。 (七) 雇人費原告の労賃の主張にはその支払状況の不自然なものがある(甲第四号証の一〇の五及び八等)。 おやつ代は、原告が雇人を頼んでいない期間のものがあるなど、雇人のために購入したものとは認められないものがある。 (八) 利子割引料原告の主張する借入金に対する利子は、必要経費となる借入金に対して支払われたものであることの立証がなく、組勘の利息の八〇パーセントが必要経費となる根拠も明らかでない。 また、農家建物利息である昭和五八年六万一九一一円、昭和五九年五万六〇七〇円、昭和六〇年四万九七六七円は、住宅所得に係る資金の利息とみられるところ、前記(四)(2)のとおり、住宅に係る費用は必要経費とならない。 (九) 損害保険料乗用車についての保険料は、前記(四)(1)のとおり、必要経費とならない。 (一〇) 教育研修費一般紙の購読費用は、事業との関連性がなく、必要経費とはならない。 (一一) 接待交際費接待交際費については、支出の事実及びその内容が不明であり、必要経費と認めることはできない。 (一二) 通信費電話料についても、事業との関連性を有する割合が六〇パーセントである根拠は不明であるから、必要経費とはならない。 (一三) 減価償却費減価償却資産についての購入の事実、時期及び価格について、甲第一〇号証による以外の立証がされていないもの 割合が六〇パーセントである根拠は不明であるから、必要経費とはならない。 (一三) 減価償却費減価償却資産についての購入の事実、時期及び価格について、甲第一〇号証による以外の立証がされていないものは、別表12のとおりであり、それ以外についても、購入時期及び金額について、販売証明書及び借入証書が原告の主張と矛盾するものがあるから、原告の立証では減価償却費を認めることはできない。 第三証拠(省略)○ 理由一課税処分の経緯等について請求原因1の事実は、当事者間に争いがない。 二理由付記について原告は、本件各更正等には何らの理由が付されていない違法性があると主張するが、更正及び過少申告加算税の賦課決定につき理由を付記すべきことを定めた規定はないから、原告のこの点に関する主張は理由がない。 三推計の必要性及び手続上の違法について 1 被告の主張1中の争いのない事実に加え、成立に争いのない乙第一号証の一ないし三、証人j、同k及び同aの各証言並びに原告本人尋問の結果(第一回)によれば、以下の事実が認められる(この認定に反する証人j、同kの各証言、原告本人尋問の結果及び甲第一三号証の各一部は、証人aの証言等に照らし、採用できない。)。 (一) 被告は、原告の昭和五七年ないし昭和五九年分の確定申告書を審査したところ、他の同業者と比較して申告所得額が過少と認められ、収入金額や必要経費の記載もなかったことから、昭和六〇年三月ころ、当時帯広税務署に勤務していたa係官に原告の昭和五七年ないし昭和五九年分の所得税の調査を命じ、昭和六〇年分の原告の確定申告書の提出後は、昭和六〇年分についても同様に調査を命じた。 (二) 昭和六〇年四月一五日、a係官が原告方を訪問したところ、原告は、外出するところであるとして調査を拒否した。その後、a係官は、調査期日を定めるた 後は、昭和六〇年分についても同様に調査を命じた。 (二) 昭和六〇年四月一五日、a係官が原告方を訪問したところ、原告は、外出するところであるとして調査を拒否した。その後、a係官は、調査期日を定めるため数度にわたり電話連絡を取ったり、同年五月二〇日に原告宅を訪問したりしたが、原告は、春の繁忙期を理由に調査に応ぜず、同年五月二九日に至って調査に応じることになった。 (三) 昭和六〇年五月二九日、a係官は、原告宅を訪れたが、b農会員五名が調査へ立ち会ったため、原告及び会員らに会員らの退席を求めたが、右の者らはこれに応ぜず、かえって調査理由は何かと口々にその開示を求めた。そのため、一時間くらいの間、押し問答が続いた。a係官は、やむなくそのまま原告に対し、昭和五七年から昭和五九年までの帳簿等の資料の提示を求めたところ、原告は、昭和五九年分のみの(1)原告作成の損益計算書の勘定科目別の金額を記載した自主計算ノート、(2)c農協の原告の組合員勘定報告書(組勘)及び(3)原告作成の収支計算書を提示したので、a係官は、右の資料のうち組勘及び計算書を原告に質問をしながら書き写し、その日の調査を終了した。なお、自主計算ノートはまだ出来上がっていないものであったため、a係官はこれを写さなかった。 (四) 昭和六〇年六月二六日、a係官は、調査のため原告宅を訪れ、系統外取引による収入を調査するため、また、機械等の購入代金を母親の預金から出したとの原告の説明があったため、原告に対し、原告及び原告の家族の預金通帳の提示を求めたところ、原告は、計算書にすべて書いてあるとか、プライバシーを理由にこれを拒否した。原告は、昭和五七年及び昭和五八年分の資料の提示を求められたが、その辺に置いてあったのを燃やされてしまった等と述べて提示しなかった。 今回の調査にもb農会員数名が立ち会 バシーを理由にこれを拒否した。原告は、昭和五七年及び昭和五八年分の資料の提示を求められたが、その辺に置いてあったのを燃やされてしまった等と述べて提示しなかった。 今回の調査にもb農会員数名が立ち会い、調査理由の開示を前回に続いて求めたり、昭和五七年分及び昭和五八年分の資料の提示要求についても、昭和五九年分が先だなどと述べて、押し問答を続けた。そのため、a係官は、調査を継続することは困難であると判断し、調査を打ち切った。 (五) その後、a係官は、c農協に対していわゆる反面調査を行ったが、原告の申し入れ等によりc農協金融部からは協力を得られなかった。 (六) 昭和六一年四月二一日、a係官は、調査のため原告宅を訪れたが、原告は不在であった。a係官は、同月二四日に再び原告宅を訪れ、昭和六〇年分について帳簿等の資料の提示を求めたところ、原告は、原告の妻が入院中である上に農作業で忙しい時期であること等を理由として調査を拒否し、帳簿等を貸すことも拒否した。さらに、a係官は、電話等で再三調査に協力するように要請し、原告宅以外での調査の申出がされたりしたが、ようやく同年六月二四日に原告宅での調査の約束を取り付けた。 (七) 昭和六一年六月二四日、a係官が原告宅を訪れたところ、前年の経験から電話で日時を取り決めた際第三者の立会いがないよう伝えていたにもかかわらず、b農会員四名がいた。a係官は、右b農会員らの退席を求めたが、原告らはこれに応じなかった。a係官は、やむなくそのまま調査を始め、原告に対し、反面調査で把握した収入につき説明を求めたが、b農会員らから、勝手な調査方法であるとか、収支計算に基づかない調査は認めないと激しく抗議されるなどしたため、原告から説明を受けることもできず、帳簿等の提示を求めることもできずに原告宅を後にした。 (八) 昭和六一年六 調査方法であるとか、収支計算に基づかない調査は認めないと激しく抗議されるなどしたため、原告から説明を受けることもできず、帳簿等の提示を求めることもできずに原告宅を後にした。 (八) 昭和六一年六月二七日、a係官は、原告の求めにより原告宅に調査に訪れたが、b農会員の立会いのないことを条件にしたにもかかわらず、b農会員数名が立ち会い、前回にも増して激しい口調で調査に対して抗議するなどした。そのため、a係官は、調査を中止し、更正をする旨を告げて帰庁した。 2 以上の事実によれば、原告が春の繁忙期や妻の入院を理由として調査の延期や調査場所の変更を求めたことにはそれなりの根拠があったものと認められるが、原告は、繁忙期等の事情が消滅した後の調査においてもb農会員らの立会いを求め、右求めに応じて立ち会ったb農会員は、四、五名で、調査理由の開示を求めたり、反面調査に抗議するなどし、押し問答や抗議を繰り返していたものであり、その結果、担当係官の適切な裁量にゆだねられた税務調査の進行を著しく阻害したと認めざるを得ない。 したがって、a係官が当初から調査する意思がなく、推計課税を目的として単に調査の回数稼ぎをしていたにすぎない等の手続上の違法があったと解することはできないことはもちろん、推計課税を行うための要件である原告の税務調査への不協力があったと認めざるを得ない。 四被告の推計の方法及び合理性について 1 原告の収穫した作物が各係争年とも小麦、馬鈴薯、甜菜、スイートコーン及びアスパラガスであることは、当事者間に争いがない。 2 その方式及び趣旨により公務員がその職務上作成したものと認められるから真正な公文書と推定すべき乙第七号証、第八号証の一ないし六及び第一一号証並びに証人l及び同aの各証言によれば、次の事実が認められる。 (一) 被告は、c農協農産部等 職務上作成したものと認められるから真正な公文書と推定すべき乙第七号証、第八号証の一ないし六及び第一一号証並びに証人l及び同aの各証言によれば、次の事実が認められる。 (一) 被告は、c農協農産部等の反面調査により、原告の昭和五九年の馬鈴薯、小麦、甜菜、スイートコーン、アスパラガスの各作付面積が別表2、イ(1)欄記載のとおりであり、その総作付面積が二〇七五アールであること、共済組合の反面調査により、昭和五八年及び昭和六〇年における原告の小麦、甜菜、スイートコーン、アスパラガスの各作付面積が別表2、ア、ウの各(1)の該当欄記載とおりであることを把握したが、c農協からそれ以上の協力を得られなくなったので、昭和五八年及び昭和六〇年についても、総作付面積が二〇七五アールであるとみなし、それから反面調査により把握した小麦等の作付面積を差し引いたものを各年における馬鈴薯の作付面積とみなした。 (二) 被告は、原告と類似する同業者を抽出するため、昭和五八年ないし昭和六〇年において、帯広税務署管内で、河西郡<地名略>で農業を営む原告と同地域の畑作専業農家で、青色申告をしている者の中から、(1)主に、馬鈴薯、小麦、甜菜、スイートコーン、アスパラガスを生産する原告と作付作物が類似する者、(2)各年において耕作面積が一〇三七・五アール以上、四一五〇アール以下である者(耕作面積が原告の二倍以下、二分の一以上の者。いわゆる倍半基準である。)、(3)イ災害等により経営状態が異常と認められる者、ロ国税通則法の規定に基づく不服申立てがなされ、現在審理中の者又は訴訟継続中である者いずれにも該当しない者、との基準により類似同業者を抽出したところ、芽室町で農業を営む六名の同業者(本件類似同業者)が抽出された。その六名は、すべて小麦共済のみならず畑作共済にも加入していた。 被 いずれにも該当しない者、との基準により類似同業者を抽出したところ、芽室町で農業を営む六名の同業者(本件類似同業者)が抽出された。その六名は、すべて小麦共済のみならず畑作共済にも加入していた。 被告は、右の基準により、土壌、気候がなるべく同じであり、規模も類似しており、記帳の正確性も確保された者を抽出し、なおかつ、特別の事情を有する者を除外したものであるが、右の基準以上に、家族労働者の数、作物の種類(例、馬鈴薯の品種)及び作付割合、土壌の等級等による限定は行っていない。 (三) 昭和五八年ないし昭和六〇年における本件類似同業者の作物別一〇アール当たりの収入金額及びその平均は、別表3のとおりであり、本件類似同業者の畑作物収入金額、雑収入金額及び必要経費の額は、別表5の1ないし3の各該当欄記載のとおりである。 (四) 右(三)に基づき、本件類似同業者の総収入に対する所得の割合(所得率)及びその平均を算出すると、別表5の1ないし3の所得率欄記載のとおりとなり、本件類似同業者の畑作物収入金額に対する雑収入金額の比率(雑収入率)及びその平均は、同表の雑収入率欄記載のとおりとなる。 そして、前記認定の原告の各作物の作付面積(別表2アないしウの各(1)欄記載のもの)に右一〇アール当たりの平均収入金額(別表2アないしウの各(2)欄記載のもの)を乗じて原告の畑作物収入金額を算出すると、別表2アないしウの各(3)収入金額欄記載のとおりの金額となり、右金額に前記の平均雑収入率を乗じて原告の雑収入金額を算出すると、別表4各(3)欄記載のとおりとなる。 さらに、畑作物収入金額及び雑収入金額の合計金額(総収入金額)に前記の所得率を乗じ、当事者間に争いのない事業専従者控除額を減じて、当事者間に争いのない配当所得金額及び譲渡所得金額を加えると、原告の昭和五八年分ないし昭和 額及び雑収入金額の合計金額(総収入金額)に前記の所得率を乗じ、当事者間に争いのない事業専従者控除額を減じて、当事者間に争いのない配当所得金額及び譲渡所得金額を加えると、原告の昭和五八年分ないし昭和六〇年分の各年の総所得金額は、別表7の各(4)総所得金額欄記載のとおりとなる。 (五) 本件類似同業者の雑収入に含まれる馬鈴薯、小麦、甜菜の各共済金をそれぞれの作物の収入金額とみなし、一〇アール当たりのそれぞれの収入金額を算出し、共済金を除いた雑収入のみを雑収入と扱って雑収入率を算出した結果は、別表8の1のとおりであり、それらの平均値を用いて原告の総収入金額を検討した結果は、別表8の2各検討金額欄に記載のとおりである。 (六) 原告は、実際の作付面積は別表9のとおりであると主張するが、その主張自体、スイートコーンの作付面積は甲第四号証の六の九、甲第五号証の二、甲第六号証の二から認められる作付面積とも異なる上、原告の右主張を裏付けるに足りる証拠はないから、原告の右主張は採用することができない。 3 (一)推計課税は、税負担の公平の見地上、納税者の所得を認識することができる帳簿等の資料等がないからといって課税を放棄できないため、推計の必要性の存在を要件として、実額課税に代替する手段として認められたものと解する(所得税法一五六条)。そして、所得税法一五六条は、「税務署長は、・・・・・・その者の財産若しくは債務の増減の状況、収入若しくは支出の状況又は生産量、販売量その他の取扱量、従業員数その他事業の規模により・・・・・・推計」することができると規定し、どのような推計方法を採用するかを税務署長の裁量にゆだねているが、同条は、税務署長の恣意的な課税を許すものではないことはもちろん、税務署長が入手し又は容易に入手し得る推計のための基礎事実及び統計資料等を用い 推計方法を採用するかを税務署長の裁量にゆだねているが、同条は、税務署長の恣意的な課税を許すものではないことはもちろん、税務署長が入手し又は容易に入手し得る推計のための基礎事実及び統計資料等を用いて、納税者の実際の所得額に最も近づくことができる推計方法を採用することを期待していると考えられる。他方、推計課税は、それが認められたこと自体の中に近似値的なもので足りることを予定しているといわなければならない。すなわち、推計の基礎事実や統計資料等が得られにくい事例において、実額課税の場合と同程度の合理性又は立証の程度を要求することはできないし、仮に右の基礎事実や統計資料等を得ることができる事例についても、税務署長に多くの時間と労力をかけて推計の基礎事実や当該納税者に極めて類似する同業者等を探し出すよう要求することは、実額課税の代替手段として推計課税を認めた所得税法一五六条の法意に反することになる。したがって、税務署長が採用した推計方法が合理的であるためには、税務署長が入手し又は容易に入手し得る推計の基礎事実及び統計資料等に照らし、その推計方法が一応最良の方法と認められ、かつ、当該納税者の所得につき近似値を求め得ると認められる程度のものであれば足りるといわなければならない。 (二) このような観点から検討すると、右1、2に判示した被告の推計方法は、右(一)の要件を満たしていると認められる。 (三) 原告は、本件類似同業者につき、各農家の所在地、各作物の個別栽培面積、専従者の人数等が明らかでないから、本件類似同業者の類似性が立証されたとはいえないと主張し、その理由として、同じ芽室町でも土壌等の関係で六ないし七の地域に分けられていることや馬鈴薯でも食用と澱粉用では価格が異なること等を挙げる。 確かに、本件類似同業者の所在地の土質や同じ作物の中の品種や品 の理由として、同じ芽室町でも土壌等の関係で六ないし七の地域に分けられていることや馬鈴薯でも食用と澱粉用では価格が異なること等を挙げる。 確かに、本件類似同業者の所在地の土質や同じ作物の中の品種や品目の違いは、原告の所得の推計に当たり無関係な要素ではないが、それらのすべての点に類似性を求めていたのでは、類似同業者は得られないか、仮に得られても多くの時間と労力を要することになるから、原告主張の各作物の個別栽培面積等の類似性まで要求されないというべきである。しかも、本件類似同業者については、前記認定のとおり、各作物別一〇アール当たりの収入金額は、別表3のとおりであり、共済金をそれぞれの作物の収入金額とみなした場合のそれは別表8の1のとおりであるから、本件における推計方法が近似値を求め得ると認められる程度に達していないとする事情とはなり得ないといわなければならない。 (四) 次に、原告は、本件類似同業者につき、特に小麦とアスパラガスで三倍以上の開きがあることを推計の合理性を欠くことの理由として主張する。 前記認定のとおり、各作物別一〇アール当たりの収入金額は、別表3のとおりであり、共済金をそれぞれの作物の収入金額とみなした場合のそれは、別表8の1のとおりである。これによると、原告が特に指摘する小麦については、共済金を収入金額とみなせば、本件類似同業者に一〇アール当たりの収入金額に平均値での推計を不合理ならしめるほどの開きがあるとはいえないし、アスパラガスについても、原告が指摘する開きがあるが、他に適切な資料がない以上止むを得ない面がある上、前記認定のとおり、各年とも原告のアスパラガスの作付面積は二二アールにすぎないから、本件の推計を不合理ならしめる事情とはいえないと認められる(しかも、被告のアスパラガスによる収入金額の主張額は、原告の実額による おり、各年とも原告のアスパラガスの作付面積は二二アールにすぎないから、本件の推計を不合理ならしめる事情とはいえないと認められる(しかも、被告のアスパラガスによる収入金額の主張額は、原告の実額による主張額よりも低い。)。 (五) さらに、原告は、雑収入は、農業収入との対応関係がないばかりか、共済金を含むか否かによって大きく異なると主張する。 証人lの証言、原告本人尋問の結果(第一、第二回)及び弁論の全趣旨によれば、畑作農業を営む者は、それに付随してある程度の雑収入を得ていることが認められるし、前記認定のとおり、共済金を雑収入から除けば、本件類似同業者の雑収入率は、別表8の1(昭和六〇年分については、別表5の3)のとおりとなり、その平均値による推計の合理性は、原告の所得につき近似値を求め得る程度に達していると認められるから、原告の右主張は採用できない。 (六) 原告は、原告の特殊事情として、冷害等の克服のため肥料及び農薬を多く使用していたと主張するが、この点についての判断は、後記五4(三)のとおりである。 4 以上のとおり、被告が本件において採用した推計方法は合理性を有するものであり、原告の各年分の総所得金額は、別表7のとおりである。 五原告の実額の主張について 1 立証責任前記四3(一)で述べたとおり、推計課税は、税負担の公平の見地から実額課税に代替する手段として認められたものであり、その性質上実額そのものではなくその近似値的なものを把握すれば足りるものであるところ、現実の所得が明らかになれば実額によって課税するとの原則に戻り、推計による課税処分は取り消されることになると解すべきであるが、その場合の所得金額の主張立証責任は、納税者の側にあると解すべきである。したがって、本件においては、原告がその主張する収入金額が収入のすべてであること及 は取り消されることになると解すべきであるが、その場合の所得金額の主張立証責任は、納税者の側にあると解すべきである。したがって、本件においては、原告がその主張する収入金額が収入のすべてであること及びその主張する必要経費がその年に発生確定し、事業との関連性を有することを立証しなければならないというべきである。 2 会計帳簿の必要性被告は、正規の簿記の原則に従って作成された会計帳簿類によらない立証は、実額立証の要件を欠いていると主張する。 実額の立証を行うには右の意味での帳簿類を提出して行うことが最良であることは、被告の主張のとおりであるが、右帳簿類によらない立証がそもそも許されないと解する根拠はない。帳簿類が作成されていなかった等の事情は、個々の又は全体としての実額立証の信用性の中で考慮されるものと解する。 3 現金取引の存在の疑いについて(一) 被告は、現金取引による系統外取引があり、特に凶作であった昭和五八年においては、そのような取引が増加したはずであるところ、原告は、現金取引についての収入金額を明らかにしていない旨主張する(前記当事者の主張六3(一))。 (二) まず、原告が自ら主張する収入金額以外の現金取引があったことを示す反面調査の結果等はない。 (三) 次に、被告が農業収入であると主張する原告預金口座への入金(前記六3(二))についても、ア帯広信金分は、原告が売上として計上しており(昭和五九年度馬鈴薯九月二七日)、イc農協分も、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる甲第二号証の二六、原告本人尋問の結果(第二回)及び弁論の全趣旨によれば、一部共同作業の労賃が含まれているものの、大部分は種芋代立替金、電気代立替金、機械リース代金及び定額貯金の解約金が支払われたものであることが認められ、現金による系統外取引の存在を示すもの によれば、一部共同作業の労賃が含まれているものの、大部分は種芋代立替金、電気代立替金、機械リース代金及び定額貯金の解約金が支払われたものであることが認められ、現金による系統外取引の存在を示すものとは認められない。 4 収入金額と肥料費等の構成比(一) その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認められるから真正な公文書と推定すべき乙第一四号証並びに弁論の全趣旨によれば、本件類似同業者六名につき、各年の種苗費、肥料費及び農薬費の金額を調査した結果は、別表11の1、2のとおりであることが認められ、その各総収入金額に対する構成比も同表に記載のとおりとなる。 別表11の1により、原告主張の各年の総収入金額、種苗費等と本件類似同業者のそれとを比較すると、原告の種苗費、肥料費及び農薬費の合計の総収入金額に対する構成比は、昭和五八年分四二・五パーセント(類似同業者の平均は三二・二パーセント)、昭和五九年分三九・〇パーセント(同二八・八パーセント)、昭和六〇年分四二・五パーセント(同二九・四パーセント)となり、各年とも本件類似同業者の平均を一〇パーセント以上上回り、しかも、本件類似同業者六名のいずれよりも高い(経費率一〇パーセントは、本件における所得の算定に当たり、約二〇〇万円の影響をもつ。)。別表11の2により、各年別に、経費の項目ごとに対比しても、本件類似同業者の経費率が原告のそれを上回るのは、昭和五八年におけるBの農薬費及び昭和六〇年におけるDの農薬費があるにすぎない。 (二) 後記8に判示するとおり、原告が経費につき棚卸しをしておらず、このことが原告の経費率の高さの一因であるとも考えられるが、原告は、昭和五八年から昭和六〇年のいずれの年についても経費率が高いから、棚卸しだけでは原告の経費率の高さを説明できない。 (三) 原告は、その理 とが原告の経費率の高さの一因であるとも考えられるが、原告は、昭和五八年から昭和六〇年のいずれの年についても経費率が高いから、棚卸しだけでは原告の経費率の高さを説明できない。 (三) 原告は、その理由として冷害を克服するために多めに肥料等をかけていると主張する。 原告本人尋問の結果(第一回)によれば、原告は、中学校を卒業した昭和三四年ころから父親の農業を手伝い、昭和五〇年ころからは自分が責任者となって農業を営んでいたことが認められ、原告は、責任者としてだけでも昭和五八年までに一〇年近い農業経験を有していたものである。 また、昭和五九年分につき、別表3と別表8の1を対比すると、本件類似同業者六名中、馬鈴薯についても三名が、小麦についても三名が共済金を受給していないことが認められ、原告の主張する冷害克服の効果もいま一つ明確とはいえない。 (四) また、種苗費につき、原告は、原告のc農協の別段預金口座に振り込まれた種芋代立替金昭和五八年一二月二三日三万円(e)及び同年一二月二八日三万三〇〇〇円(f)につき、領収証は、自分の分のみもらい、他の人の立替分まで経費として計上していないと供述するが(原告本人尋問、第二回)、原告の主張する種芋代が三三万七五〇〇円(甲第四号証の六の八)と高額であることに照らすと、三三万七五〇〇円との領収証(甲第四号証の六の八)が原告の分のみの種芋代であるとの原告の右供述は疑義が残り、採用しがたいといわなければならない。右の点は、昭和五九年一二月一八日三万〇五〇〇円(e)についても同様である。 (五) 以上に判示した事情によれば、原告の総収入金額と種苗費、肥料費及び農薬費との関係については、重大な疑問点があるといわなければならないところ、原告が右疑問点を合理的に説明するに足りる立証を行ったとはいえないから、結局、原告の実額の主 総収入金額と種苗費、肥料費及び農薬費との関係については、重大な疑問点があるといわなければならないところ、原告が右疑問点を合理的に説明するに足りる立証を行ったとはいえないから、結局、原告の実額の主張については、各年分とも、収入の一部につき計上もれがあるか、必要経費の一部につき過大計上があるかいずれかの疑問が残るといわなければならない。 5 家事消費収入について原告が家事消費収入として計上したものは、昭和六〇年の大豆の二〇七〇円のみであるが、種苗費のうち昭和五八年二七〇〇円(甲第四号証の六の一)、昭和五九年一八五五円(甲第五号証の六の一、二)及び昭和六〇年一一〇〇円(甲第六号証の六の一、二)、農薬費のうち昭和五九年二〇〇円(トマトトーン、甲第五号証の五の一)、諸材料費のうち昭和五九年四四〇円(豆サッフル、甲第五号証の七の八)は、原告が主張する栽培品目に対応する経費と認めるに足りる立証はなく、かえってその大部分は原告の自家消費分の作物に対応する経費であることがうかがえる。 そうすると、額を確定できないものの、原告の収入金額の計算においては、家事消費収入の計上が完全に行われていないと認めざるをえない。 6 収穫基準について農業を営む者の農業所得の計算に当たり、いわゆる収穫基準(所得税法四一条一項)が適用されることは、被告の主張するとおりであり、原告が収穫した農産物につき棚卸しをしていないことは、原告の自認するところである。 原告は、これまで帯広税務署が現金主義的な処理を認めてきたと主張するが、それを認めるに足りる的確な証拠はない。 したがって、原告の総収入金額の計算は、この点においても問題があることになる。 7 領収証の不存在について(一) 修繕費次の支出については、組勘から現金で出金されたことは認められるが、その使途を裏付ける領収証等の提 収入金額の計算は、この点においても問題があることになる。 7 領収証の不存在について(一) 修繕費次の支出については、組勘から現金で出金されたことは認められるが、その使途を裏付ける領収証等の提出がなく、必要経費と認めることはできない。 原告は、組勘を収支計算のための一番の資料とする意図を持っていたのであり、引き出しに際しては、その使途をできるだけ明確にしていたものであるから、組勘の使途についての記載は信用されるべきであると主張し、本人尋問(第一回)においてその旨の供述をするが、一回の支出額が数万円に及ぶものが多いから、領収証をもらって保管しておくべきであるし、端数のつかない支出が多いのも不自然であるから、原告の右主張は採用できない。 昭和五八年六月三日一万五〇〇〇円(甲第四号証の八の一〇)同年八月三日一万五〇〇〇円(甲第四号証の八の一六)同年一二月二二日八〇〇〇円(甲第四号証の八の二九)昭和五九年二月二四日二万円(甲第五号証の八の二)同年五月二五日五〇〇〇円(甲第五号証の八の九)昭和六〇年五月二八日五万円(甲第六号証の八の一)同年三月三〇日五万二五〇〇円(甲第六号証の八の八)同年九月二六日六万円(甲第六号証の八の一二)同年一〇月二八日一五万円(甲第六号証の八の一四)同年一一月三〇日七万円(甲第六号証の八の一五)同年一二月一八日七二〇〇円(甲第六号証の一〇の二一)(二) 減価償却費原告が主張する減価償却費のうち、別表12に記載のものについては、原告本人尋問(第一、二回)において、その取得の事実、取得時期及び取得価格の立証が試みられ 第六号証の一〇の二一)(二) 減価償却費原告が主張する減価償却費のうち、別表12に記載のものについては、原告本人尋問(第一、二回)において、その取得の事実、取得時期及び取得価格の立証が試みられているが、右の各事実を的確に立証するに足りる納品書、契約書及び領収証の類は提出されていないから、原告本人尋問の結果(第一、二回)だけでは右の点の立証が十分とはいえない。 また、取得価格については、D型ハウスについての甲第二一号証は、原告が使途を農具庫として三八〇万円を借り入れたことを示すにとどまり、D型ハウスの取得価格四五〇万円全額を立証するには足りない。昭和五八年六月に取得したスプレイヤーについても、原告の主張する一八八万円と甲第二七号証の一八二万円との差額を説明するに足りる証拠はない。根ぎわスプレイヤーについても、原告の主張する六五万円と甲第一一号証の二の二五万円の差額を説明するに足りる証拠はない。 8 経費の棚卸しについて必要経費の算定に当たっては、その年に確定したが未払のもの等の調整が必要であり、また、少なくとも未使用の諸資材等の棚卸しを要する。 原告が経費の棚卸しをしていないことは、原告の自認するとおりである。 これまで、帯広税務署が現金主義的な処理を認めてきたことを認めるに足りる的確な証拠はない。 原告の主張によれば、肥料費は、昭和五八年五一二万七六四〇円、昭和五九年四四九万七二〇四円、昭和六〇年五三五万六六一六円と、最も多い年と最も少ない年で八五万円の差があり、農薬費は、昭和五八年一五一万四八〇四円、昭和五九年二四〇万五九五一円、昭和六〇年一七三万七一九〇円と、最も多い年と最も少ない年で九〇万円近い差がある。 証人kは、作付面積の変動や病虫害の出具合により肥料費や農薬費は毎年変動すると証言するが、原告の肥料費及び農薬費の年ごとに変動し 七三万七一九〇円と、最も多い年と最も少ない年で九〇万円近い差がある。 証人kは、作付面積の変動や病虫害の出具合により肥料費や農薬費は毎年変動すると証言するが、原告の肥料費及び農薬費の年ごとに変動していることが右の作付面積の変動等により説明し得るとまでは認められないところであり、経費の棚卸しの不実施が肥料費及び農薬費の変動の原因であることを否定することはできない。 9 まとめ当裁判所は、立証責任が原告にあるからといって、家族の分も含めた預金通帳をすべて提示することを求めたり、棚卸しの不実施が直ちに経費の立証の不成功につながるとか、どんなに細かな支出であっても領収証がなければ経費の立証がないと解するものではない。しかしながら、本件における原告の立証のうち重要な点を検討してみると、個々の農家に営農方針や栽培技術の相違があるであろうことを考慮しても、原告の肥料費等の割合は類似同業者のそれに比して高いといわざるを得ないのであり、それが原告の特殊事情として受け入れるべきであることを納得するには至らないものである。領収証の不十分さについても、原告は、経費の額が高額なものについてまで領収証の取得及び保管に十分配慮していなかったといわざるを得ないのであり、原告の供述や組勘からの現金支出のみを根拠に原告の主張を採用することはできない。そうすると、原告の実額立証は、その余の点について判断するまでもなく、失当であるといわなければならない。 六結論よって、原告の本訴請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官市川正巳牧真千子岡野典章)別表一の一~一の三(省略)別表5の1ないし3(省略) 八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官市川正巳牧真千子岡野典章)別表一の一~一の三(省略)別表5の1ないし3(省略)

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