主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人我妻正規,同足立修一の上告趣意のうち,判例違反をいう点は,本件と事案を異にする判例を引用するものであって,適切でなく,その余は,単なる法令違反,事実誤認の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,原判決が認定した過失は,被告人が「進路前方を注視せず,ハンドルを右方向に転把して進行した」というものであるが,これは,被告人が「進路前方を注視せず,進路の安全を確認しなかった」という検察官の当初の訴因における過失の態様を補充訂正したにとどまるものであって,これを認定するためには,必ずしも訴因変更の手続を経ることを要するものではないというべきである。したがって,上記の過失を認定するためには訴因変更の手続を要するとの前提に立って,第1審裁判所には,検察官に対し訴因変更を促し又はこれを命ずる義務があり,これをすることなく直ちに無罪の判決をしたことに,判決に影響を及ぼすべき審理不尽の違法があるとした原判決の判断は,法令の解釈を誤ったものといわざるを得ない。しかしながら,記録によれば,原判決は,第1審判決に事実誤認があると判断した限りにおいては正当であり,この事実誤認は判決に影響を及ぼすものと解するのが相当であって,いずれにせよ第1審判決は破棄を免れないものというべきである。したがって,原判決に法令違反はあるものの,原判決が第1審判決を破棄して有罪判決を言い渡した結論自体は正当であって,原判決を破棄しなければ著しく正義に反するとは認められない。 よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官亀山継夫裁判官福田博裁判官北川弘治裁判官梶谷- 1 -玄裁判官滝井繁男 刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官亀山継夫裁判官福田博裁判官北川弘治裁判官梶谷- 1 -玄裁判官滝井繁男)- 2 -
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