【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人中平博文の上告理由(上告理由書に添付された上告人作成名義の陳述 書と
主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人中平博文の上告理由(上告理由書に添付された上告人作成名義の陳述 書と題する書面の記載事項を含む。)について。 夫婦関係が破綻に瀕している場合において、別居中の夫婦の一方から他方に対し、 人身保護法に基づきその共同親権に服する子の引渡の請求がなされたときは、子を 拘束する夫婦の一方が法律上監護権を有することのみを理由としてその請求を排斥 すべきものではなく、子に対する現在の拘束状態が実質的に不当であるか否かをも 考慮してその請求の当否を決すべきものであり、右拘束状態の当、不当を決するに ついては、その拘束がいかなる手段・方法により開始されたかということよりも、 夫婦のいずれに監護せしめるのが子の幸福に適するかを主眼として定めるべきもの であることは、すでに当裁判所の判例とするところである(昭和二三年(オ)第一 三〇号同二四年一月一八日第二小法廷判決・民集三巻一号一〇頁、同三二年(オ) 第二二七号同三三年五月二八日大法廷判決・民集一二巻八号一二二四頁、同四二年 (オ)第一四五五号同四三年七月四日第一小法廷判決・民集二二巻七号一四四一頁 参照)。そして、原審も右と同趣旨の見解に立ち、少なくとも離婚訴訟で親権者が 決定されるまでの間は被拘束者両名を母親である被上告人のものとで監護教育させ る方が本人らの福祉と幸福のためであることは明らかであるとの判断に基づいて、 被上告人の上告人に対する本件請求を認容したものであることは、原判文上明らか であつて、原審の適法に確定した事実関係のもとにおいては、右判断は正当という ことができる。 右のように、原審は上告人が被拘束者らを連れ戻した行為の不当のみをとらえて - 1 - その拘束を違法と断じているのではない 適法に確定した事実関係のもとにおいては、右判断は正当という ことができる。 右のように、原審は上告人が被拘束者らを連れ戻した行為の不当のみをとらえて - 1 - その拘束を違法と断じているのではないから、上告代理人上告理由(一)は、原判旨 を正解しない議論というほかはない。また、やがては離婚訴訟で親権者が決定され るべきものであることは、原審も前提とするところであるが、右決定が早急になさ れることを期待しうる特段の事情の認められない本件においては、それまでの間の 措置として、現に不当な拘束のもとにある被拘束者らの救済の目的を迅速かつ適切 に達するために、人身保護法による救済を得る必要の存したことは明らかであるか ら、人身保護規則四条但書の違反をいう同上告理由(二)も、理由がない。さらに、本 件被拘束者らの年令の程度では、自己の境遇を認識し、かつ将来を予測して適切な 判断をするにつき、いまだ十分な能力を有するものとはいえないから、同上告理由 (三)の指摘するように、同人らを被上告人に引き渡すことが被拘束者ら、とくにD の転校したくないという当面の希望にそわないことになるとしても、人身保護規則 五条に違反するものでないことはもとより、原審認定の諸事情を総合するときは、 被拘束者らに対する拘束の当、不当に関する原審の判断を違法とすべき理由になる ものともなしえない。そして、その余の所論は、原審の適法にした証拠の取捨判断 および事実の認定を非難するものか、その認定しない事実関係と独自の見解に立つ て原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の とおり判決する。 最高裁判所第三小法廷 裁判長裁判官 飯 村 義 美 裁判官 条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の とおり判決する。 最高裁判所第三小法廷 裁判長裁判官 飯 村 義 美 裁判官 田 中 二 郎 裁判官 下 村 三 郎 裁判官 松 本 正 雄 裁判官 関 根 小 郷 - 2 -
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