令和4(行ウ)372

裁判年月日・裁判所
令和6年1月23日 東京地方裁判所
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判決文本文26,326 文字)

令和6年1月23日判決言渡令和4年(行ウ)第372号所得税更正処分等取消請求事件 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 D税務署長が令和3年2月9日付けで原告に対してした令和元年分所得税及び復興特別所得税に係る更正処分のうち、課税所得金額0円を超える部分、還付金の額に相当する税額62万7943円を下回る部分及び翌年へ繰り越す雑損 失の金額256万2460円を下回る部分を取り消す。 2 D税務署長が令和3年6月18日付けで原告に対してした令和元年分所得税及び復興特別所得税に係る過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。 第2 事案の概要本件は、マンションの一室を所有する原告が、令和元年10月の台風19号(以 下「本件台風」という。)により同マンションの価値が減少したことによる損失が生じたとして、雑損控除の規定を適用して同年分の所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」という。)に係る確定申告(以下「本件確定申告」という。)をしたところ、D税務署長から、雑損控除の規定の適用はないことを理由に更正処分(以下「本件更正処分」という。)を受けるとともに過少申告加算税の賦課 決定処分を受けたことから、本件更正処分の一部及び同賦課決定処分の取消しを求める事案である。 なお、以下、各別紙で定義した略称は、本文においても用いる。 1 関係法令等の定め別紙2のとおり 2 前提事実 以下の各事実については、当事者間に争いがないか、後掲各証拠及び弁論の全趣旨により、容易に認められる。 ⑴ 本件に係るマンションの概要等ア本件に係るマンションは、平成21年に新築された、川崎市(住所省 ては、当事者間に争いがないか、後掲各証拠及び弁論の全趣旨により、容易に認められる。 ⑴ 本件に係るマンションの概要等ア本件に係るマンションは、平成21年に新築された、川崎市(住所省略)に所在する、建物の名称をEとする鉄筋コンクリート造の建物(以下「本件 マンション」という。)である。本件マンションは、住戸部分188戸及び店舗部分2戸の専有部分(以下「本件専有部分」という。)並びに本件専有部分以外の区分所有者の共用とされている部分及び上記建物に係る附属設備(以下「本件共用部分」という。)に分かれている。 イ原告は、平成21年8月に本件マンションの〇号室を取得し、本件台風に より本件マンションに被害が生じた当時、同室を所有し、同室に居住していた。 原告は、本件マンションのうち、同室に係る専有部分(以下「原告専有部分」という。)を所有していたほか、本件専有部分全体の総床面積に対する原告専有部分の床面積の割合に応じて、本件共用部分に係る共有持分(以下、 原告専有部分と併せて「原告専有部分等」という。)を有していた。(甲1、8の1、乙2、5)⑵ 本件台風による被害本件マンションは、令和元年10月、本件台風により、り災場所を「地下発電設備」とし、住家等の被害を「非住家浸水」(住家以外の建築物に係る浸水) とする被害を受けた。これにより、本件共用部分の一部として地下1階又は地上1階に設置されていた電気、電話、通信及び給排水等の設備等(以下「本件被災設備等」という。)が修繕等の措置を要する状態になった。 他方、本件マンションのうち、本件専有部分である住戸部分等について、本件台風による被害に関する記録がなく、原告専有部分(〇号室)についても、 本件台風による物 を要する状態になった。 他方、本件マンションのうち、本件専有部分である住戸部分等について、本件台風による被害に関する記録がなく、原告専有部分(〇号室)についても、 本件台風による物理的な被害があったことは認められない。(甲5、乙3) ⑶ 本件更正処分の経緯等(別表参照)ア原告は、令和2年3月12日、D税務署長に対し、本件確定申告をした。 原告は、本件確定申告において、本件マンションのうち原告専有部分等及びその敷地の共有持分(以下「本件マンション原告所有部分」という。)の本件台風による被害について、雑損控除の規定が適用されるとして、「損害金額」 984万4270円及び「保険金などで補塡される金額」0円を基礎として、雑損控除の額を算出した。なお、原告は、本件確定申告時において、青色申告の承認を受けていなかった。(甲6、乙1)イ D税務署長は、令和3年2月9日付けで、原告に対し、雑損控除の規定の適用はないとして、本件更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をした (甲2)。 ウ原告は、令和3年4月15日、国税不服審判所長に対し、本件更正処分及び前記イの賦課決定処分に不服があるとして、審査請求をした(甲28)。 エ D税務署長は、令和3年6月18日付けで、前記イの賦課決定処分における加算税の額を0円とする変更決定処分をするとともに、前記イの加算税の 額と同額の過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」といい、本件更正処分と併せて「本件更正処分等」という。)をした(甲3の1・2)。 オ原告は、令和3年9月10日、国税不服審判所長に対し、本件賦課決定処分に不服があるとして、審査請求をし、同審査請求に係る審理は、前記ウの 審査請求に係る審理 た(甲3の1・2)。 オ原告は、令和3年9月10日、国税不服審判所長に対し、本件賦課決定処分に不服があるとして、審査請求をし、同審査請求に係る審理は、前記ウの 審査請求に係る審理と併合された。 国税不服審判所長は、令和4年4月7日付けで、前記イの賦課決定処分に対する審査請求を却下し、本件更正処分等に対する審査請求をいずれも棄却する旨の裁決をした。(甲4)⑷ 本件訴えの提起 原告は、令和4年7月30日、本件訴えを提起した。 3 本件更正処分等の根拠及び適法性に関する被告の主張本件更正処分等の根拠及び適法性に関する被告の主張は、後記5において述べるほか、別紙3「本件更正処分等の根拠及び適法性」に記載のとおりである。 4 争点⑴ 本件更正処分の適法性 ア本件更正処分における理由の提示に不備があるか否か(争点1)イ雑損控除対象損失金額の有無 所得税法72条1項の「損失」の意義(争点2) 雑損控除対象損失金額の算定(争点3)⑵ 本件賦課決定処分の適法性 通則法65条4項1号の「正当な理由」があるか否か(争点4) 5 争点に関する当事者の主張⑴ 争点1について(本件更正処分における理由の提示に不備があるか否か)(被告の主張)ア行政手続法14条1項本文に基づく理由の提示の程度については、処分の 相手方において、その提示の内容から処分行政庁の判断過程を了知し、それを検証することができる程度のものであれば足りる。 イ本件更正処分に係る通知書の記載から、D税務署長は、原告に雑損控除の規定が適用されるか否かについて、本件台風により被害を受けた原告専有部分等のうち、原告専有部分には損失が発 れば足りる。 イ本件更正処分に係る通知書の記載から、D税務署長は、原告に雑損控除の規定が適用されるか否かについて、本件台風により被害を受けた原告専有部分等のうち、原告専有部分には損失が発生していないこと、他の区分所有者 と共有する本件被災設備等の被害については、原告が原状回復費用を負担していないことから、原告に雑損控除対象損失金額は生じていないと結論付けたと理解することができる。 そうすると、本件更正処分の理由は、原告が、雑損控除の規定の適用がないとしたD税務署長の判断過程を了知し、検証することができる程度に記載 されているといえるから、行政手続法14条1項が求める程度に提示されて いるといえる。 (原告の主張)ア理由提示に必要な内容としては、①処分の原因事実及び②処分の根拠法条に加えて、③法令適用の解釈が問題となるものについては、その解釈の内容を法規に照らして明らかにすること、また、④事実の適用に関しては、課税 要件又は課税障害要件及び適用される具体的事実を明らかにすることが求められていると解すべきである。 イ本件更正処分の提示した理由は、次のとおり不備があり違法である。 本件更正処分は、その理由として、「あなたの所有する建物の専用部分には台風による損失は発生しておらず」とするが、ここにいう「専用部分」 とは建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)に記載のない文言であり、厳密にいえば特定することができないということができ、理由の提示として適法ではない。仮に区分所有法の専有部分を指しているものと善解すれば、雑損控除の規定の適用のためには専有部分についての損失が必要であり、共用部分の損失だけでは雑損控除の規定が適用さ れる損失とはい はない。仮に区分所有法の専有部分を指しているものと善解すれば、雑損控除の規定の適用のためには専有部分についての損失が必要であり、共用部分の損失だけでは雑損控除の規定が適用さ れる損失とはいえないと述べていることになるが、どのような法解釈からそのようにいえるかが明らかではない。 「令和1年中に共用部分の原状回復費用等についてはあなたが負担した金額はありません。」との理由について、「原状回復費用等」及び「負担」が何を指しているのか明らかではなく、それだけでも理由の提示として不 明瞭である。また、原告は、損失の金額自体を、F社作成の本件マンション原告所有部分に係る不動産鑑定評価書(甲7。以下「本件鑑定評価書」という。)に基づいて主張しているのであり、災害関連支出の一つである原状回復費用があるなどとは主張していないのであるから、理由として記載すること自体が不相当である。 ⑵ 争点2について(所得税法72条1項の「損失」の意義) (被告の主張)アある資産が災害により被害を受けた場合に生じる損害は、大別すると、①当該資産そのものに対する物理的な被害から直接生じた損害(以下「物理的損害」という。)と、②①以外の損害、つまり、当該資産そのものに対する物理的な被害から間接的に生じた損害(以下「物理的損害以外の損害」という。) に分けられる。 そして、所得税法72条1項は、資産について損失が「生じた場合」と規定していること、雑損控除の制度趣旨は、災害により異常な損失を被った場合、その原状回復のために相当の出費を要することに伴い、多分に担税力が減殺されることに着目して設けられたものであり、原状回復のための支出を 前提としない資産価値の減少といった未実現の損害まで含めるべきではな 復のために相当の出費を要することに伴い、多分に担税力が減殺されることに着目して設けられたものであり、原状回復のための支出を 前提としない資産価値の減少といった未実現の損害まで含めるべきではないこと、現行の所得税法は、通常の資産価値が減少した(又は増加した)ことによる未実現の損害(又は利益)については、年末に時価評価を行った上で所得として課税することとせずに、資産に係る未実現のキャピタルロス(又はキャピタルゲイン)としてその課税を繰り延べることとするなど、い わゆる実現主義を採用していることからすると、同項の「損失」とは、災害により実現した損害をいうものと解される。 そうすると、上記損害のうち、物理的損害については、災害により実現した損害であることは明らかである一方、物理的損害以外の損害については、当該資産を譲渡した際に実現する(当該資産の譲渡の際に収入金額が低いも のとなる)と考えられるから、災害により実現した損害であるとはいえない。 イこれによれば、本件において、原告が主張する物理的損害以外の損害による未実現の価値の減少は、雑損控除の対象となる「損失」には含まれない。 ウ原告の主張について 原告は、雑損控除の対象となる「損失」に物理的損害以外の損害による 未実現の価値の減少が含まれる旨主張し、その根拠として、所得税法施行 令206条1項1号及び2号、所得税法51条1項のほか、所得税基本通達72-8や仙台国税局が示した「雑損控除等の取扱いについて(令和元年11月)」と題する文書(甲18。以下「仙台局取扱文書」という。)等を挙げるが、いずれも原告の主張の根拠となるものではない。 原告は、被災直後に資産を譲渡した場合との比較から、災害により低下 )」と題する文書(甲18。以下「仙台局取扱文書」という。)等を挙げるが、いずれも原告の主張の根拠となるものではない。 原告は、被災直後に資産を譲渡した場合との比較から、災害により低下 した評価額が被災直後の時価額となる旨主張するところ、この場合、当該資産の譲渡時の時価評価に被災による評価損益の影響が及ぶことが想定されるが、これは譲渡所得の趣旨に基づき定められた計算方法によるものにすぎない。他方、雑損控除は、災害発生時点における所有資産の時価評価の下落を担税力の減殺とみて控除を認める制度ではないから、原告の主 張には理由がない。 (原告の主張)ア雑損控除対象損失金額は、原則として時価ベースで算定するものとされていることから(所得税法施行令206条3項)、被災直前の時価額と被災直後の時価額との差額が「損失」の金額となる。そして、次の理由から、被災 直後の時価額には、災害に基因する価値の減少が含まれる。 雑損控除における災害関連支出について、所得税法施行令206条1項は、「災害により法第72条第1項に規定する資産(中略)が、滅失し、損壊し、又はその価値が減少したことによる」(1号)、「災害により住宅家財等が損壊し、又はその価値が減少した場合」(2号)と規定しており、価値 の減少を含めるとともに、これについて何らの限定を付していない。 雑損控除は、所得税法上の資産損失制度の一環として論じられるべきであるところ、事業所得等を生ずべき事業の用に供される固定資産に係る資産損失において、同法51条1項は、損失の金額には「価値の減少」によるものが含まれることを明記している。 所得税基本通達72-8は、損失の生じた資産の取得費についての取扱 いに おいて、同法51条1項は、損失の金額には「価値の減少」によるものが含まれることを明記している。 所得税基本通達72-8は、損失の生じた資産の取得費についての取扱 いに係るものであるところ、「災害等により法第72条第1項に規定する資産が損壊し、又はその価値が減少した場合において」と規定し、価値の減少が含まれることを認めている。また、同通達72-1、72-3及び72-8の解説において、具体的な計算方法が説明されているところ、そこでは被災直前の時価及び被災直後の時価があることを前提に計算方法 を明示し、その時価について制限があることは記載されていない。 課税庁は、従前から、雑損控除における被災直後の時価額の算定について、売却又は査定した場合には売却価額(査定価額)を時価額として取り扱う旨周知している(仙台局取扱文書、甲18)。 そして、査定価額の算定方法について、どのような方法を採るべきかを 限定する記載はなく、売却した場合には売却価額としていることからすれば、査定価額においても取引事例法を採用することを認めているものと解されるところ、仮に、被災直後の時価額が物理的損害のみから算定される金額を意味するものとすると、物理的損害を超えた価値の減少を含む売却価額を被災直後の時価額と認めることと明らかに齟齬する(平成28年4 月に発生した熊本地震においても、被災直後の時価額として不動産鑑定評価書を提出したものについて、否定された事例はない。)。 イ被告は、雑損控除における「損失」とは災害により実現した物理的損害をいう旨主張し、その根拠として、所得税法72条1項が「損失が生じた場合」と規定していることを挙げるが、同項にいう「損失」とは何かを論じる場面 で同項の規定 」とは災害により実現した物理的損害をいう旨主張し、その根拠として、所得税法72条1項が「損失が生じた場合」と規定していることを挙げるが、同項にいう「損失」とは何かを論じる場面 で同項の規定を論拠とすることは同義語反復にすぎない。被告の主張は、法規に規定されていない「実現した」という文言を付加して価値の減少を制限的に解するもので、条文解釈の域を超えた解釈である。 また、昭和37年の雑損控除の制度改訂時に述べられているとおり、雑損控除の対象となる損失に災害等に伴う間接的損失を加えることについて、直 接的であると間接的であるとを問わず、担税力の減殺要因であることを考慮 して、原則的にはこれを認めることとされていることからすれば(甲15)、雑損控除の制度趣旨から、「損失」を物理的損害に限定することは困難である。さらに、被災直後に資産を譲渡した場合を想定すれば明らかなように、災害により譲渡価額が低額となった場合には被災者の担税力は明らかに減殺されることからしても、これが被災直後の評価額とならないのは不合理で ある。 また、被告は、未実現の利益又は損害において実現主義が採用されていることを主張するが、雑損控除における「損失」は、譲渡所得における未実現の利益又は損害を問題としているのではなく、災害による損失を所得控除の一つである雑損控除にどのように反映させるかを論じているのであって、譲 渡所得課税の場面とは問題状況が全く異なっており、被災直後の時価額を雑損控除対象損失金額の基礎とできないとする論拠にはならない。 ⑶ 争点3について(雑損控除対象損失金額の算定)(被告の主張)ア雑損控除対象損失金額の算定方法 「資産について受けた損失の金額」(所得税法施行 らない。 ⑶ 争点3について(雑損控除対象損失金額の算定)(被告の主張)ア雑損控除対象損失金額の算定方法 「資産について受けた損失の金額」(所得税法施行令206条3項)については、資産を災害前の状態に戻す(原状回復する)ために必要な支出に相当する金額を超えるものではないと解される。そうすると、災害による資産の損失を災害前の状態に戻す(原状回復する)ために必要な支出に相当する金額と災害関連支出の金額を明らかにすることができれば、これらの合計金額 (ただし、重複部分は除く。)は、「資産について受けた損失の金額」と災害関連支出(資産について受けた損失の金額に相当する部分の支出を除く。)の金額との合計額を超えることはないから、災害による物理的損害(「資産について受けた損失の金額」)を直接算定することができなくとも、雑損控除対象損失金額を算定することができる。 イ本件における雑損控除対象損失金額の算定 本件マンションのうち、本件台風により物理的な被害を受けた箇所は、本件被災設備等であるところ、その損失の金額と災害関連支出の金額との合計額は、最大でも3億2665万8244円である。 雑損控除対象損失金額の算定において控除すべき保険金の額は、本件被災設備等の復旧のための工事費用に充てるためのものとして、本件マンシ ョンの管理組合が認定を受けた保険金の額3億4685万1516円から、本件台風とは関係がない支出に対して認定された保険金の合計金額である1351万9648円を差し引いた3億3333万1868円となる。 雑損控除対象損失金額は、前記の3億2665万8244円から前記 の3億3333万1868円を差し引いた金額であ 351万9648円を差し引いた3億3333万1868円となる。 雑損控除対象損失金額は、前記の3億2665万8244円から前記 の3億3333万1868円を差し引いた金額であり、零円を下回る。 そして、本件台風により被害を受けた本件被災設備等は、本件共用部分に該当し、本件マンションの各区分所有者が所有する専有部分の床面積の割合に応じて共有持分が定められているから、本件共用部分について、原告の持分に係る雑損控除対象損失金額も零円を下回る。 そのほか、原告専有部分に所得税法72条1項の「損失」が生じた事実もなく、原告には、雑損控除対象損失金額はない。 ウ原告の主張について前記⑵(被告の主張)のとおり、所得税法72条1 項の「損失」は物理的損害に限られるところ、本件鑑定評価書に記載されている需要動向等に基づ く市場価格の下落といった資産価値の減少は物理的損害に当たらないし、本件鑑定評価書の鑑定評価額(以下「本件鑑定評価額」という。)を基礎として雑損控除対象損失金額を算定するという原告の手法は、本件台風により顕在化したにすぎない本件マンションの潜在的なリスクを本件台風による損失と評価するものであることからしても、本件鑑定評価額に基づき雑損控除対 象損失金額を算定することはできない。 また、東日本大震災のように被害が広範囲にわたる災害が発生した場合についてみるとより明らかなように、地震が発生した直後の住宅の時価として市場価格の下落を含んだ鑑定評価額に基づき雑損控除対象損失金額を計算できるとすれば、何らの原状回復のための出費を要しない、担税力の減殺を考慮する必要性の乏しい広範な地域の納税者に雑損控除の規定の適用を認 めることとなるが、このような 雑損控除対象損失金額を計算できるとすれば、何らの原状回復のための出費を要しない、担税力の減殺を考慮する必要性の乏しい広範な地域の納税者に雑損控除の規定の適用を認 めることとなるが、このような結論は、雑損控除の制度趣旨に反するものである。 (原告の主張)ア雑損控除対象損失金額は、本件マンション原告所有部分について、被災直前の時価額4044万4263円から本件鑑定評価額による被災直後の時 価額3060万円を差し引いた984万4263円である。 イ被告の主張について 被告は、原状回復をするために必要な支出に相当する金額及び災害関連支出の金額を明らかにすることができれば、雑損控除対象損失金額を算定することができる旨主張する。しかし、原状回復をするために必要な支出 に相当する金額には、「損失」に相当する部分と災害関連支出に該当する部分があり、法令上、どちらに当たるかによって取扱いに重要な差異が生じる上(所得税法72条1項参照)、原状回復をするために必要な支出に相当する金額は、雑損控除における広義の「損失」の金額の一要素に過ぎないから、これのみで「損失」の金額を理解すべきではない。また、被告 の主張する算定の手法は、前記⑵(原告の主張)アで述べたように所得税法施行令206条1項2号の規定と整合しないものであるし、被災直前の資産の価額を基礎として「損失」を計算する必要はないというもので、同条3項のほか、法令の基本的な考え方を逸脱したものであることからしても、誤っている。 被告は、雑損控除対象損失金額の算定に当たり、専有部分と共用部分を 分けることが相当である旨主張する。しかし、専有部分と共用部分が相まって一つの空間が形成されていること、区分所有法にお 被告は、雑損控除対象損失金額の算定に当たり、専有部分と共用部分を 分けることが相当である旨主張する。しかし、専有部分と共用部分が相まって一つの空間が形成されていること、区分所有法において、共用部分は専有部分とは別に処分が禁じられていること、経済的には専有部分と共用部分で一つの価値を生み出していること、所得税法の減価償却資産においても専有部分と共用部分が分けて取り扱われていないこと等から、区分所 有法が適用される建物部分については、専有部分と共用部分を併せて一つの資産と理解するのが相当である。 ⑷ 争点4について(通則法65条4項1号の「正当な理由」があるか否か)(原告の主張)ア原告は、被災直前の時価額と被災直後の時価額の差額を損失の金額として 申告したものであるが、この取扱いについて、課税庁は、従前から本件において被告が主張する見解を示したことはなく、鑑定評価書が提出された場合、被災直後の時価額としてそれを認めていた。それにもかかわらず、本件においては、原告には事前に十分な説明もなく本件更正処分が行われたのであり、これでは原告が自ら気付き、適正な申告をする機会は全く失われていたとい うべきであり、これは、原告の責めに帰することのできない客観的な事情といえる。 したがって、通則法65条4項1号の「正当な理由があると認められる」場合に当たるから、本件賦課決定処分は違法である。 イ被告は、平成23年4月7日付け「個人課税課情報(第3号)東日本大震 災により損害を受けた場合の所得税の取扱い(情報)」(乙17。以下「本件国税庁取扱文書」という。)において津波被害による宅地の評価が下落した事例が示されていることを主張するが、これは、本件のように物理的損害があり、併 場合の所得税の取扱い(情報)」(乙17。以下「本件国税庁取扱文書」という。)において津波被害による宅地の評価が下落した事例が示されていることを主張するが、これは、本件のように物理的損害があり、併せて価値の減少もある事例についての記載ではないから、当該事例の存在から正当な理由がないとすることはできない。 (被告の主張) ア課税庁は、本件国税庁取扱文書において、雑損控除の対象となる「損失」について、本件訴訟における被告の主張と整合する見解を公表していた一方で、本件訴訟における原告の主張と整合する見解を示した事実はないことからすると、本件確定申告に係る過少申告の原因は、原告の税法の不知や法令解釈の誤解によるものであり、真に納税者の責めに帰することができない客 観的な事情があったとはいえない。 イ原告は、課税庁から事前に十分な説明がなく本件賦課決定処分が行われ、原告が自ら気付いて適正な申告をする機会を失っている旨主張するが、申告納税制度の下で、納税者には、自己の判断と責任において所得を適正に把握して申告することが求められているのであり、課税庁から説明がなかったこ とは、納税者の主観的な事情にすぎないから、この点の原告の主張には理由がない。 第3 当裁判所の判断 1 争点1について(本件更正処分における理由の提示に不備があるか否か)⑴ 行政手続法14条1項本文が、不利益処分をする場合に同時にその理由を名 宛人に示さなければならないとしているのは、名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解される。そして、同 利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解される。そして、同項本文の規定に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは、上記のような同項本文の趣 旨に照らし、当該処分の根拠となる法令の規定内容、当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無、当該処分の性質及び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである(最高裁平成21年(行ヒ)第91号同23年6月7日第三小法廷判決・民集65巻4号2081頁参照)。 ⑵ これを本件についてみると、本件更正処分に係る通知書(甲2)には、本件 処分の理由として、本件確定申告において原告が雑損控除の規定を適用していることを挙げた上で、当該雑損控除の規定の適用の可否につき、「あなたの所有する建物の専用部分(「専有部分」の誤記と認められる。)には台風による損失は発生しておらず、また、共用部分の地下の電気設備施設に浸水による被害が生じた旨説明されていますが、令和1年中に共用部分の原状回復費用等につ いてはあなたが負担した金額はありません。」、「したがって、あなたの雑損控除の対象となる損害の金額はありません」と記載されている。 かかる記載から、D税務署長は、原告に雑損控除の規定が適用されるか否かについて、本件台風により被害を受けた本件マンション原告所有部分のうち、原告専有部分には損失が発生していないこと、他の区分所有者と共有する本件 被災設備等の被害については、原告が原状回復費用等を負担していないことから、原告に雑損控除対象損失金額が生じていないとして本件更正処分をしたと理解することができる。そうす 有者と共有する本件 被災設備等の被害については、原告が原状回復費用等を負担していないことから、原告に雑損控除対象損失金額が生じていないとして本件更正処分をしたと理解することができる。そうすると、本件更正処分の理由は、行政庁の恣意を抑制し、処分の名宛人に対して不服申立ての便宜を与えるという行政手続法14条1項本文の趣旨を満たす程度に提示されているということができる。 ⑶ これに対し、原告は、理由提示に必要な内容としては、①処分の原因事実及び②処分の根拠法条に加えて、③法令適用の解釈が問題となるものについては、その解釈の内容を法規に照らして明らかにすること並びに④事実の適用に関しては、課税要件又は課税障害要件及び適用される具体的な事実を明らかにすることが求められている旨主張するが、独自の見解をいうものであって、かか る主張は採用することができない。 その他、原告が理由提示の不備として主張する点は、結局、本件更正処分が違法又は不当であることをいうものにすぎず、上記⑵の判断を左右するものとは認められない。 2 争点2について(所得税法72条1項の「損失」の意義) ⑴ 所得税法72条1項の雑損控除は、災害により損失を被った場合には、その 原状回復のために相当の出費を要することに伴い、多分に担税力が減殺されることに着目して設けられた制度である。 そして、ある資産が災害により被害を受けた場合において、物理的損害(当該資産そのものに対する物理的な被害から直接生じた損害)については、通常、再取得又は修繕等を行うことにより原状回復が可能であり、これに雑損控除を 認めるのは上記制度趣旨にかなうが、再取得又は修繕等による原状回復をおよそ想定することができないものについてまで雑損控除を認 取得又は修繕等を行うことにより原状回復が可能であり、これに雑損控除を 認めるのは上記制度趣旨にかなうが、再取得又は修繕等による原状回復をおよそ想定することができないものについてまで雑損控除を認めることは、同制度趣旨に反するといわざるを得ない。 以上によれば、所得税法72条1項の「損失」とは、通常、再取得又は修繕等を行うことにより原状回復が可能である物理的損害をいい、物理的な被害か ら直接生じたものではない損害は「損失」に当たらないと解するのが相当である。 ⑵ これに対し、原告は、①所得税法施行令206条1項1号及び2号が、災害関連支出の前提として「価値が減少したこと(場合)」と規定していること、②所得税法51条1項が、資産に生じた損失の金額には「価値の減少」によるも のが含まれることを明記していること、③所得税基本通達72-8が価値の減少を含むことを認めていること、④従来から課税庁は雑損控除における被災直後の時価額の算定について、売却又は査定した場合には売却価額又は査定価額を時価額として取り扱う旨を周知していることを根拠として、被災直後の資産の時価額には物理的損害以外の損害としての価値の減少が含まれる旨主張す るが、次のとおり、原告の主張には理由がない。 ア前記①について、所得税法施行令206条1項1号は、「災害により法第72条第1項に規定する資産(中略)が滅失し、損壊し、又はその価値が減少したことによる当該住宅家財等の取壊し又は除去のための支出」と、同項2号は、「災害により住宅家財等が損壊し、又はその価値が減少した場合(中 略)において、その災害のやんだ日の翌日から1年を経過した日(中略)の 前日までにした次に掲げる支出」と規定する。これらは、その規定からも明らかなよう はその価値が減少した場合(中 略)において、その災害のやんだ日の翌日から1年を経過した日(中略)の 前日までにした次に掲げる支出」と規定する。これらは、その規定からも明らかなように、いずれも何らかの「支出」がされることを前提とするものであるところ、物理的な被害から直接生じたものではない損害については、およそ再取得又は修繕等による原状回復を想定することができず、原状回復のための支出も想定することができないことからすると、前記各規定をもって、 物理的損害以外の損害が「損失」に含まれることの根拠となるものではない。 イ前記②について、所得税法51条1項は、資産損失の必要経費算入につき、「事業の用に供される固定資産その他これに準ずる資産で政令で定めるものについて、取りこわし、除却、滅失(当該資産の損壊による価値の減少を含む。)その他の事由により生じた損失の金額」と規定する。ここにいう「損 壊による価値の減少」との文言によれば、「価値の減少」が、物理的な被害である「損壊」によって直接生じたものであることが必要であると解するのが自然であることからすると、物理的損害が「損失」に当たるとの前記⑴の考え方により整合するものということはできても、物理的損害以外の損害が「損失」に含まれることの根拠となるものではない。 ウ前記③について、所得税基本通達72-8は、「災害等により法第72条第1項に規定する資産が損壊し、又はその価値が減少した場合において」と規定するが、所得税法の解釈が上記⑴のとおりである以上、これに反して物理的損害以外の損害が「損失」に含まれることの根拠となるものではない。 また、原告は、同通達72-1、72-3及び72-8の解説(甲17) において、被災直前の時価と被災直後の時価を前提に計算方法 損害以外の損害が「損失」に含まれることの根拠となるものではない。 また、原告は、同通達72-1、72-3及び72-8の解説(甲17) において、被災直前の時価と被災直後の時価を前提に計算方法が明示されているところ、その時価について制限があることは記載されていないとも主張する。しかし、同解説の<計算例>等は、災害等により資産が損壊する等したという典型的な場合の計算方法を示したものにとどまり、明示的な記載はないものの、物理的な被害から直接生じたものではない損害が考慮された被 災直後の時価によって雑損控除対象損失金額を算定することまでを認めた ものとは解されないというべきであるから、これをもって、物理的損害以外の損害が「損失」に当たることの根拠とするのは相当ではない。 エ前記④について、原告が主張の根拠とする仙台局取扱文書(甲18)は、資産の被災直後の時価を算定する際の考え方として、当該資産のその後の処分等の態様に応じて、売却又は査定した場合には、売却価額又は査定価額を 用いることが適当であるとするが、いかなる査定価額等であってもよいとするものではなく、前記ウと同様、物理的な被害から直接生じたものではない損害が考慮された被災直後の時価をもって雑損控除対象損失金額を算定することを認めたものとは解されないというべきであるから、これをもって、物理的損害以外の損害が「損失」に当たることの根拠とするのは相当ではな い。 ⑶ また、原告は、昭和37年の税制改正時に、雑損控除の対象となる損失に災害等に伴う間接的損失を加えることについては、災害等に伴う損失である限り、それが直接的であると間接的であるとを問わず、担税力の減殺要因であることを考慮して、原則的には、これを認めるとされていること(甲15・553頁) ることについては、災害等に伴う損失である限り、それが直接的であると間接的であるとを問わず、担税力の減殺要因であることを考慮して、原則的には、これを認めるとされていること(甲15・553頁) を指摘する。しかし、ここにいう間接的損失の具体例としては、災害等に伴う不可避的な支出、「たとえば、被災物の除去費用、豪雪の除去費用等」が挙げられていることからすると(同551頁)、上記の指摘に係る部分は、災害等から直接生じた損失であれば、それが当該資産自体に生じたものでなくとも担税力の減殺要因となる旨をいうにすぎないものであり、間接的損失といっても、原 状回復のための支出を想定することができないものを雑損控除の対象となる損失として認めることをいうものとは解されず、上記の点は、原告の主張の根拠となるものではないというべきである。 さらに、原告は、被災直後の譲渡を想定すれば明らかなように、被災後の時価において価値の減少を被災によるものとして計上しなければ、所得税におい て担税力の減殺を無視することになるとも主張するが、実際に資産を譲渡した とすれば、それは当該資産価値の減少による損害が実現した場合にほかならず、そのような場合と損害が実現していない場合とを比較すること自体不適当であるし、そもそも物理的な被害から直接生じたものではない損害については、およそ再取得又は修繕等による原状回復は想定できず、原状回復のための出費によって担税力が減殺されるともいえないのであるから、原告の前記主張は、 前提を誤ったものである。 ⑷ 以上によれば、所得税法72条1項の「損失」に物理的損害以外の損害が含まれる旨の原告の主張は、いずれも採用することができない。 3 争点3について(雑損控除対象損失金額の算定)⑴ 雑損控 以上によれば、所得税法72条1項の「損失」に物理的損害以外の損害が含まれる旨の原告の主張は、いずれも採用することができない。 3 争点3について(雑損控除対象損失金額の算定)⑴ 雑損控除対象損失金額は、「資産について受けた損失の金額」(所得税法施行 令206条3項参照)(A)に、同条1項で定めるやむを得ない支出(災害関連支出。ただし、同項2号ロの住宅家財等の原状回復のための支出については、災害により生じた住宅家財等の同条3項に規定する資産について受けた損失の金額に相当する部分の支出を除く。以下同じ。)の金額(B)を加え、保険金等補塡金額(C)を差し引くことにより算定される(所得税法72条、同法施 行令206条)。 そして、前記2によれば、「資産について受けた損失の金額」(A)は、被災直前の時価から、災害による物理的損害のみを評価して算定された被災直後の時価を差し引いた金額となるが、通常、このように災害による物理的損害のみを評価して被災直後の時価を算定するのは困難であると思われるところ、「資 産について受けた損失の金額」(A)は、資産を災害前の状態に戻すために必要な支出に相当する金額(A’)を超えるものではないと考えられる。そうすると、資産を災害前の状態に戻すために必要な支出に相当する金額(A’)と災害関連支出の金額(B)を明らかにすることができれば、これらの合計額(ただし、重複部分を除く。)は、通常、「資産について受けた損失の金額」(A)と災 害関連支出の金額(B)との合計額を超えることはない。 ⑵ 証拠(乙3)及び弁論の全趣旨によれば、本件マンションについて、資産を本件台風前の状態に戻すために必要な支出の金額(A’)又は災害関連支出の金額(B)に該当するものは、下記アない ⑵ 証拠(乙3)及び弁論の全趣旨によれば、本件マンションについて、資産を本件台風前の状態に戻すために必要な支出の金額(A’)又は災害関連支出の金額(B)に該当するものは、下記アないしオのとおりであり、その合計額は、3億2665万8244円となる。他方、本件における保険金等補塡金額(C)は、下記カのとおり、3億3333万1868円と認められる。 ア本件被災設備等の緊急復旧工事費用 1億4231万7824円原告は、1億5067万7000円(6891万0920円+8176万6080円。乙3・別紙2・5頁参照)が工事費用となる旨主張するが、これには本件台風以外の台風等による被害に係る復旧工事費用も含まれており、証拠(乙3・2枚目及び別紙1・8頁)によれば、本件台風による被害 に係る復旧工事費用としては、上記金額1億4231万7824円を相当と認める。 イ電力設備等の原状回復工事費用 1億7050万円(1億5500万円(乙3・別紙4)+消費税1550万円)ウ避難ハッチの復旧工事費用 122万9800円 エガス感知器の交換工事費用 19万3600円オ給水タンクの修繕工事費用 1241万7020円カ保険金等補塡金額 3億3333万1868円キ原告は、上記アないしオの各工事費用や保険金等補塡金額について、本件マンションの管理組合の総会資料に基づくものにすぎず、十分な証明がある とはいえない、また、同各工事費用について、損失の金額に相当するものか災害関連支出に該当するものかを明らかにする必要があるなどと主張する。 しかしながら、乙第3号証は、東京国税局の職員が本件マンションの修繕工事等に要した金額及び本件台風に関して支払 ものか災害関連支出に該当するものかを明らかにする必要があるなどと主張する。 しかしながら、乙第3号証は、東京国税局の職員が本件マンションの修繕工事等に要した金額及び本件台風に関して支払を受けた保険金の金額等を調査して作成した調査報告書であるところ、その調査は、本件マンションの 管理会社の従業員に対し、同社が作成した本件マンションの管理組合の臨時 総会における資料等について、その内容を確認するというものであった。同臨時総会における資料は、上記各工事の実施前後にその承認決議をする臨時総会に係るものであるが、予定されていた修繕工事はその後全て完了しており、上記カ以外に保険金が支払われたことも認められないから、上記各工事費用及び保険金等補塡金額を認定するに足りるものというべきである。また、 後記のとおり、本件では雑損控除対象損失金額がないことからすると、上記各工事費用について、損失の金額に相当するものか災害関連支出に該当するものかを明らかにする必要があるともいえない。 したがって、上記原告の主張は、いずれも採用することができない。 ⑶ 以上によれば、本件マンションについて、「資産について受けた損失の金額」 (A)と災害関連支出の金額(B)の合計額は、最大でも3億2665万8244円であり、ここから保険金等補塡金額(C)である3億3333万1868円を差し引くと、その金額は零円を下回る。 そして、本件被災設備等は本件共用部分に該当し、本件マンションの各区分所有者が所有する専有部分の床面積の割合に応じて共有持分が定められてい ることからすると(乙2)、本件共用部分について、原告の持分に係る雑損控除対象損失金額も零円を下回る上、前記前提事実2⑵のとおり、原告専有部分には本件台風による物理 て共有持分が定められてい ることからすると(乙2)、本件共用部分について、原告の持分に係る雑損控除対象損失金額も零円を下回る上、前記前提事実2⑵のとおり、原告専有部分には本件台風による物理的な被害があったとは認められないから、原告専有部分についても、雑損控除対象損失金額はない。 したがって、原告に雑損控除対象損失金額が生じたとは認められない。 ⑷ その他の原告の主張についてア原告は、上記⑴に関し、資産を災害前の状態に戻すために必要な支出に相当する金額をもとに雑損控除対象損失金額を算定するのは不当であることを主張するが、上記⑴のとおり、通常、災害による物理的損害のみを評価して被災直後の時価を算定するのは困難であり、「資産について受けた損失の 金額」は、資産を災害前の状態に戻すために必要な支出に相当する金額を超 えるものではないことからすれば、上記のような算定をしたことをもって、直ちに本件更正処分の違法性が基礎付けられるものではない。 また、原告は、専有部分と共用部分に分けて雑損控除対象損失金額を算定するのは相当ではない旨主張するが、専有部分と共用部分を分けるかどうかは評価ないし算定における技術的な問題にすぎないというべきであり、前記 ⑴ないし⑶における雑損控除対象金額の算定を不当とするものとは認められない。 イ原告は、雑損控除対象損失金額の算定において、専有部分と共用部分を合わせて一つの資産と理解すべきであることを前提に、雑損控除対象損失金額は、本件マンション原告所有部分について、被災直前の時価額4044万4 263円から本件鑑定評価額による被災直後の時価額3060万円を差し引いた984万4263円である旨主張する。 しかしながら、本件鑑定 有部分について、被災直前の時価額4044万4 263円から本件鑑定評価額による被災直後の時価額3060万円を差し引いた984万4263円である旨主張する。 しかしながら、本件鑑定評価額の決定過程を見ると、本件鑑定評価書は、本件被災設備等に係る物理的な被害それ自体から直接生じた価値の減少を考慮したものではなく、「台風で被害を受けたマンションは影響がみられ、 需要は弱含みである」との市場の需給動向を指摘しており、取引事例比較法の比準価格も、「台風被害における市場の減退、需要者の心理的圧迫等を考慮して」決められていることなどが認められ(甲7)、これによれば、本件鑑定評価額は、物理的な被害から直接生じたものでない損害を要因とする価値の減少を評価して決定されたものというべきである。原告は、本件は、飽く まで物理的損害があることに基因した価値の減少がある場合である旨主張するようであるが、本件鑑定評価額は、本件マンションが本件台風によって物理的な被害を受けたこと自体によって価値が減少したとして評価額を決定したものではない。 そして、所得税法72条1項の「損失」は物理的損害をいい、物理的な被 害から直接生じたものではない損害がこれに当たらないのは前記2⑴のと おりであるから、本件鑑定評価額をもって雑損控除対象損失金額を算定すべきとの原告の主張は採用することができない。 4 争点4について(通則法65条4項1号の「正当な理由」があるか否か)⑴ 通則法65条4項1号にいう「正当な理由があると認められる」場合とは、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり、当初から適法 に申告し納税した納税者との間の客観的不公平の実質的な是正を図るとともに過少申告による納税義務違反の発生 れる」場合とは、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり、当初から適法 に申告し納税した納税者との間の客観的不公平の実質的な是正を図るとともに過少申告による納税義務違反の発生を防止して適正な申告納税の実現を図るという過少申告加算税の趣旨に照らしてもなお納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合をいうものと解するのが相当である(最高裁平成17年(行ヒ)第9号同18年4月20日第一小法廷判決・民集60 巻4号1611頁参照)。 ⑵ そこで検討すると、国税庁は、本件国税庁取扱文書(乙17)において、「雑損控除の対象となる損害の金額とは、物理的被害が生じその損失が実現している場合における損失の金額と解されています。したがって、例えば、災害により土地の立地条件が変化したことによりその土地の評価額が下落した場合の 評価額の損失については、その下落した時点では未実現の損失であることから、雑損控除の対象となる損失の金額には含まれません。」との取扱いを公表していたものであり、反対に、かかる評価額の損失が雑損控除の対象となる損失に含まれるとの解釈が示されていたことは認められない。 そうすると、原告の本件確定申告が過少申告であったことは、原告の税法の 不知や法令解釈の誤解が原因であって、真に原告の責めに帰することのできない客観的な事情があり、本件更正処分に対して過少申告加算税を賦課することが不当又は酷である場合に当たるとは認められず、通則法65条4項1号の「正当な理由」があると認めることはできない。 ⑶ これに対し、原告は、課税庁は、従前から、鑑定評価書が提出された場合に は、これを被災直後の時価額として認めていた旨主張するが、通常は災害によ り物理的損害が生じており、この ⑶ これに対し、原告は、課税庁は、従前から、鑑定評価書が提出された場合に は、これを被災直後の時価額として認めていた旨主張するが、通常は災害によ り物理的損害が生じており、この物理的損害を評価した鑑定評価書に基づいて雑損控除対象損失金額が算定されているにすぎず、このような取扱いが行われているとしても、これにより、上記のような評価額の損失が雑損控除の対象となる損失に含まれるとの解釈が示されたと認めるのは相当ではない。 また、原告は、課税庁から事前に十分な説明がなく本件賦課決定処分がされ たことを主張するが、真に原告の責めに帰することのできない客観的な事情に当たるとは認められず、その他原告の主張する事情も、前記⑵の認定を左右するものとは認められない。 5 本件更正処分等の適法性について⑴ 本件更正処分 以上によれば、別紙3「本件更正処分等の根拠及び適法性」1⑴のとおり、原告の令和元年分の所得税等の還付金の額に相当する税額は、4万7301円となり、これは、本件更正処分における還付金の額に相当する税額と同額であるから、本件更正処分は適法である。 ⑵ 本件賦課決定処分 前記⑴のとおり本件更正処分は適法であるところ、本件更正処分により新たに納付すべき税額の計算の基礎となった事実のうち、本件更正処分前における税額の計算の基礎とされていなかったことについて、通則法65条4項1号に規定する「正当な理由」が認められないのは前記4のとおりであるから、別紙3「本件更正処分等の根拠及び適法性」2⑴のとおり、令和元年分において原 告に課されるべき過少申告加算税の額は、6万2000円となり、これは、本件賦課決定処分における過少申告加算税の額と同額であるから、本件賦課決定処分は 法性」2⑴のとおり、令和元年分において原 告に課されるべき過少申告加算税の額は、6万2000円となり、これは、本件賦課決定処分における過少申告加算税の額と同額であるから、本件賦課決定処分は適法である。 第4 結論よって、原告の請求にはいずれも理由がないからこれらを棄却することとし、 主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官鎌野真敬 裁判官中畑啓輔 裁判官池田好英(別紙1、4、別表省略) (別紙2)関係法令等の定め 1 所得税法⑴ 所得税法2条(定義)所得税法2条1項26号は、雑損失の金額とは、同法72条1項に規定する損 失の金額の合計額が同項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう旨規定している。 ⑵ 所得税法72条(雑損控除)ア所得税法72条1項は、居住者又はその者と生計を一にする配偶者その他の親族が有する資産(同法62条1項及び同法70条3項に規定する資産を除 く。)について災害又は盗難若しくは横領による損失が生じた場合(その災害又は盗難若しくは横領に関連してその居住者が政令(同法施行令206条1項)で定めるやむを得ない支出をした場合を含む。)において、その年における当該損失の金額(当該支出をした金額を含むものとし、保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補塡される部分の金額(以下「保険金等補塡 金額」という。)を除く。以下「雑損控除対象損失金額」という。)の合計額が、同項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる金額を超えるときは、その超える部分の金額を、 (以下「保険金等補塡 金額」という。)を除く。以下「雑損控除対象損失金額」という。)の合計額が、同項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる金額を超えるときは、その超える部分の金額を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する旨規定している。 そして、上記各号に掲げる場合及び金額については、所得税法72条1項1 号が、その年における雑損控除対象損失金額に含まれる災害関連支出の金額(雑損控除対象損失金額のうち災害に直接関連して支出をした金額として政令(同法施行令206条2項)で定める金額をいう。以下同じ。)が5万円以下である場合(その年における災害関連支出の金額がない場合を含む。)は、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額 の10分の1に相当する金額とし、同項2号が、その年における雑損控除対象 損失金額に含まれる災害関連支出の金額が5万円を超える場合は、その年における雑損控除対象損失金額の合計額から災害関連支出の金額のうち5万円を超える部分の金額を控除した金額と前号に掲げる金額とのいずれか低い金額とし、同項3号が、その年における雑損控除対象損失金額が全て災害関連支出の金額である場合は、5万円と同項1号の金額とのいずれか低い金額と規定し ている。 イ所得税法72条2項は、雑損控除対象損失金額の計算に関し必要な事項は、政令(同法施行令206条3項)で定める旨規定している。 2 所得税法施行令所得税法施行令206条(雑損控除の対象となる雑損失の範囲等) ⑴ 所得税法施行令206条1項は、所得税法72条1項に規定する政令で定めるやむを得ない支出は、次に掲げる支出とする旨規定している。 ア災害により所得税 対象となる雑損失の範囲等) ⑴ 所得税法施行令206条1項は、所得税法72条1項に規定する政令で定めるやむを得ない支出は、次に掲げる支出とする旨規定している。 ア災害により所得税法72条1項に規定する資産(以下「住宅家財等」という。)が滅失し、損壊し、又はその価値が減少したことによる当該住宅家財等の取壊し又は除去のための支出その他の付随する支出(同法施行令206条1項1 号)イ災害により住宅家財等が損壊し、又はその価値が減少した場合その他災害により当該住宅家財等を使用することが困難となった場合において、その災害のやんだ日の翌日から1年を経過した日(大規模な災害の場合その他やむを得ない事情がある場合には、3年を経過した日)の前日までにした、①災害により 生じた土砂その他の障害物を除去するための支出、②当該住宅家財等の原状回復のための支出(当該災害により生じた当該住宅家財等の所得税法施行令206条3項に規定する損失の金額に相当する部分の支出を除く。後記エにおいて同じ。)及び③当該住宅家財等の損壊又はその価値の減少を防止するための支出その他これらに類する支出(同条1項2号) ウ災害により当該住宅家財等につき現に被害が生じ、又はまさに被害が生ずる おそれがあると見込まれる場合において、当該住宅家財等に係る被害の拡大又は発生を防止するため緊急に必要な措置を講ずるための支出(所得税法施行令206条1項3号)エ盗難又は横領による損失が生じた住宅家財等の原状回復のための支出その他これに類する支出(所得税法施行令206条1項4号) ⑵ 所得税法施行令206条2項は、所得税法72条1項1号に規定する政令で定める金額は、その年においてした前記⑴アないしウに掲げる支出の金額(保 類する支出(所得税法施行令206条1項4号) ⑵ 所得税法施行令206条2項は、所得税法72条1項1号に規定する政令で定める金額は、その年においてした前記⑴アないしウに掲げる支出の金額(保険金等補塡金額を除く。)とする旨規定している。 ⑶ 所得税法施行令206条3項(令和2年政令第111号による改正前のもの。 以下同じ。)は、所得税法72条2項に規定する政令で定める雑損控除対象損失 金額の計算について、同条1項の規定を適用する場合には、同項に規定する資産について受けた損失の金額は、当該損失を生じた時の直前におけるその資産の価額(その資産が同法38条2項に規定する資産である場合には、当該価額又は当該損失の生じた日にその資産の譲渡があったものとみなして同項の規定を適用した場合にその資産の取得費とされる金額に相当する金額)を基礎として計算す る旨規定している。 以上 (別紙3)本件更正処分等の根拠及び適法性 1 本件更正処分の根拠及び適法性について被告が本訴において主張する原告の令和元年分の所得税等の納付すべき税額等は、次のとおりである。 ⑴ 本件更正処分の根拠ア総所得金額(給与所得の金額) 661万9821円上記金額は、原告が本件確定申告に係る申告書(以下「本件確定申告書」という。)の第一表に記載した給与所得の金額と同額である(乙1・1枚目⑥欄)。 イ上場株式等に係る譲渡所得等の金額 0円(△16万5104円)上記括弧内の金額は、次のの損失の金額と次のの金額を損益通算(租税特別措置法37条の12の2第1項)した金額であり、原告が本件確定申告書に記載 (△16万5104円)上記括弧内の金額は、次のの損失の金額と次のの金額を損益通算(租税特別措置法37条の12の2第1項)した金額であり、原告が本件確定申告書に記載した損益通算後の上場株式等に係る譲渡所得等の金額と同額で ある(乙1・5枚目⑤欄)。そして、上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、同法37条の11第1項後段の規定により、その損失の金額は生じなかったものとみなされるため、上場株式等に係る譲渡所得等の金額は零円となる。 なお、金額の前の「△」は、損失の金額を表す。 上場株式等に係る譲渡損失の金額 25万7603円上記金額は、原告が本件確定申告書の付表に記載した損益通算前の上場株式等に係る譲渡損失の金額である(乙1・5枚目③欄)。 上場株式等に係る配当所得等の金額 9万2499円上記金額は、原告が本件確定申告書の付表に記載した損益通算前の上場 株式等に係る配当所得等の金額である(乙1・5枚目④欄)。 ウ所得控除の額の合計額 163万8460円上記金額は、次のないしの各金額の合計額である。 なお、原告に雑損控除対象損失金額が生じていないことについては、第2の5⑵及び⑶の(被告の主張)のとおりである。 社会保険料控除の金額 116万8460円 上記金額は、原告が本件確定申告書の第二表に記載した社会保険料控除の合計額と同額である(乙1・2枚目⑩欄の「支払保険料」欄)。 生命保険料控除の金額 9万円上記金額は、次のa及びbの各金額の合計額である。 a 旧生命保険料に係る控除額 「支払保険料」欄)。 生命保険料控除の金額 9万円上記金額は、次のa及びbの各金額の合計額である。 a 旧生命保険料に係る控除額 5万円 上記金額は、原告が令和元年中に支払った旧生命保険料の額として本件確定申告書の第二表に記載した12万8182円(乙1・2枚目⑫欄の「旧生命保険料の計」欄)につき、所得税法76条1項2号ニの規定により控除額とされる金額である。 b 介護医療保険料に係る控除額 4万円 上記金額は、原告が令和元年中に支払った介護医療保険料の額として本件確定申告書の第二表に記載した8万0032円(乙1・2枚目⑫欄の「介護医療保険の計」欄)につき、所得税法76条2項4号の規定により控除額とされる金額である。 基礎控除の金額 38万円 上記金額は、原告が本件確定申告書の第一表に記載した基礎控除の金額と同額である(乙1・1枚目⑳欄)。 エ課税総所得金額 498万1000円上記金額は、前記アの総所得金額661万9821円から前記ウの所得控除の額の合計額163万8460円を控除した後の金額(ただし、国税通則 法(以下「通則法」という。)118条1項の規定により1000円未満の 端数を切り捨てた後のもの)である。 オ納付すべき税額(還付金の額に相当する税額) △4万7301円上記金額は、次のの課税総所得金額に対する税額にの復興特別所得税の額を加算した後の金額から、の源泉徴収税額を控除した金額である。 なお、金額の前の「△」は、還付金の額に相当する税額を表す(以下同じ)。 課税総所得金額に対す の復興特別所得税の額を加算した後の金額から、の源泉徴収税額を控除した金額である。 なお、金額の前の「△」は、還付金の額に相当する税額を表す(以下同じ)。 課税総所得金額に対する税額 56万8700円上記金額は、前記エの課税総所得金額498万1000円に所得税法89条1項の規定により税率を乗じて算出した金額である。 復興特別所得税の額 1万1942円上記金額は、前記の課税総所得金額に対する税額56万8700円に 東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法13条の規定により100分の2.1の税率を乗じて算出した金額である。 源泉徴収税額 62万7943円上記金額は、原告が本件確定申告書の第一表に記載した源泉徴収税額と 同額である(乙1・1枚目㊹欄)。 ⑵ 本件更正処分の適法性被告が本訴において主張する原告の令和元年分の所得税等の還付金の額に相当する税額は、前記⑴オのとおり、4万7301円であるところ、当該金額は、本件更正処分における還付金の額に相当する税額(甲2・3頁「Ⓑ更正後 の額」欄の㊺欄)と同額であるから、本件更正処分は適法である。 2 本件賦課決定処分の根拠及び適法性について⑴ 本件賦課決定処分の根拠前記1⑵で述べたとおり、本件更正処分は適法であるところ、本件更正処分により新たに納付すべき税額の計算の基礎となった事実のうち、本件更正処分 前における税額の計算の基礎とされなかったことについて、通則法65条4項 1号に規定する「正当な理由」があるとは認められない。 したがって、令和元年分において原告に課されるべき過 前における税額の計算の基礎とされなかったことについて、通則法65条4項 1号に規定する「正当な理由」があるとは認められない。 したがって、令和元年分において原告に課されるべき過少申告加算税の額は、令和4年法律第4号による改正前の国税通則法65条1項及び2項の規定により、本件更正処分により原告が新たに納付すべきこととなった税額58万円(前記1⑴オの還付金の額に相当する税額4万7301円と令和元年分の確 定申告に係る還付金の額に相当する税額62万7943円(乙1・1枚目㊽欄))との差額。ただし、通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に100分の10の割合を乗じて算出した金額(5万8000円)と、本件更正処分により原告が新たに納付すべきこととなった税額58万円のうち50万円を超える部分に相当する税額である8万円に1 00分の5の割合を乗じて算出した金額(4000円)とを合計した金額である6万2000円となる。 ⑵ 本件賦課決定処分の適法性前記⑴で述べたとおり、本件更正処分に伴い原告に賦課されるべき過少申告加算税の額は6万2000円であるところ、これは、本件賦課決定処分におけ る過少申告加算税の額(甲3の2・1頁「③加算税の額」欄)と同額であるから、本件賦課決定処分は適法である。 以上

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