令和6年8月29日判決言渡令和6年(ネ)第10018号不正競争行為差止請求控訴事件(原審東京地方裁判所令和5年(ワ)第70276号)口頭弁論終結日令和6年6月20日判決 控訴人株式会社三五館シンシャ 同訴訟代理人弁護士矢野領同森真信 被控訴人ワック株式会社 同訴訟代理人弁護士野中信敬同安田修 同辻美和 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴人が当審で追加した請求を棄却する。 3 当審における訴訟費用は、控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は、原判決別紙被告書籍目録記載の書籍を製造し、販売し、販売のために展示してはならない。 3 被控訴人は、前項記載の書籍を廃棄せよ。 4 被控訴人は、控訴人に対し、62万7000円及びこれに対する令和5年6月7日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 5 訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要 1 本件は、原審において、控訴人が、自らは原判決別紙原告書籍目録記載の書 籍を製造、販売する出版社であり、被控訴人は原判決別紙被告書籍目録記載の書籍(以下「被控訴人書籍」という。)を製造、販売等していると主張した上、被控訴人書籍は、控訴人の周知な商品等表示である原判決の「原告表示」(原判決別紙略語一覧表記載。そこに引用の要素①~ 録記載の書籍(以下「被控訴人書籍」という。)を製造、販売等していると主張した上、被控訴人書籍は、控訴人の周知な商品等表示である原判決の「原告表示」(原判決別紙略語一覧表記載。そこに引用の要素①~⑥は、原判決3頁8行目ないし18行目に記載。)を使用するものであり、これを製造、販売等する行為は、不 正競争防止法2条1項1号所定の不正競争に該当する旨を主張して、被控訴人に対し、被控訴人書籍の製造等の差止め及び廃棄並びに損害賠償を求めた事案である。 原審が、控訴人の請求をいずれも棄却したので、控訴人がその取消しを求めて本件控訴を提起した。 控訴人は、当審において、控訴人の周知な商品等表示は、別紙1控訴人表示目録記載のとおり(以下、別紙1控訴人表示目録を「当審控訴人表示目録」といい、そこに記載された表示を「当審控訴人表示」という。)であると主張を変更するとともに、控訴人の販売等する控訴人書籍は別紙2控訴人書籍目録記載のとおり(原判決別紙原告書籍目録に3冊を追加記載)であるとし、さらに、 不法行為(民法709条)に基づく予備的請求原因事実に係る主張を追加した。 (以下、引用する原判決中の「原告書籍」を「控訴人書籍」と、「被告書籍」を「被控訴人書籍」と読み替える。) 2 前提事実、争点及び争点に対する当事者の主張は、次のとおり補正し、後記3のとおり当審における控訴人の主な補充主張及びこれに対する被控訴人の反 論と、後記4のとおり当審における控訴人の予備的請求原因事実の追加に係る 当事者の主張を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」中、第3の1ないし3(原判決2頁1行目ないし12頁19行目)に記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決2頁17行目,18行目、19行目、25行目(2か所)、3頁1行目 事実及び理由」中、第3の1ないし3(原判決2頁1行目ないし12頁19行目)に記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決2頁17行目,18行目、19行目、25行目(2か所)、3頁1行目の「原告表示」をいずれも「当審控訴人表示」と改める。 ⑵ 原判決3頁2行目の「次の」を「当審控訴人表示目録記載の」と改め、6行目末尾の次に「なお、当審控訴人表示目録第1①の『オノマトぺ』とは、『擬音語・擬態語』を意味する(甲12の1)。」を加え、7行目から18行目までを削る。 ⑶ 原判決3頁22行目ないし23行目の「上記①~④の特徴」を「当審控訴 人表示目録第1①~④の特徴」と改める。 ⑷ 原判決4頁3行目、6行目、7行目の「原告表示」をいずれも「当審控訴人表示」と改める。 ⑸ 原判決4頁9行目の「14種類」を「17種類」に、11行目の「14冊」を「17冊」と、それぞれ改める。 ⑹ 原判決4頁18行目(2か所)、5頁11行目の「原告表示」をいずれも「当審控訴人表示」と改める。 ⑺ 原判決5頁22行目の「ではない。」の次に「なお、控訴人書籍の題号には、『メーター検針員テゲテゲ日記』の『テゲテゲ』(適当、中くらいを意味する鹿児島方言)、『コールセンターもしもし日記』の『もしもし』(『申し』に由 来する感動詞)など、オノマトペでないものも存する。」を加える。 ⑻ 原判決6頁2行目、10行目、12行目、22行目、24行目、25行目、26行目、7頁2行目、3行目、4行目、18行目、19行目、8頁5行目、21行目の「原告表示」をいずれも「当審控訴人表示」と改める。 3 当審における控訴人の主な補充主張及びこれに対する被控訴人の反論 〔控訴人の主な補充主張〕 ⑴ 争点⑴(当審控訴人表示の「商品等表示」該当 ずれも「当審控訴人表示」と改める。 3 当審における控訴人の主な補充主張及びこれに対する被控訴人の反論 〔控訴人の主な補充主張〕 ⑴ 争点⑴(当審控訴人表示の「商品等表示」該当性)についてア当審控訴人表示控訴人書籍は、別紙2控訴人書籍目録記載のとおり、現在までに合計17種類が発行されており、その外観は証拠(甲18)のとおりである。これらの書籍は、いずれも当審控訴人表示目録に記載した形式で共通してい る。 なお、原審では、控訴人書籍の表紙について、①題号、②表紙の色、③イラスト、④コメントの4点により、控訴人の商品等表示(原判決にいう「原告表示」)の内容として特定していたが、当審では、当審控訴人表示目録のとおり、これら4点の内容をさらに具体化して特定したものを、当審 控訴人表示として主張する(当審控訴人表示目録の下線部分は、原審において主張した「原告表示」との共通部分である。)。 イ当審控訴人表示の内容と特別顕著性(原判決第3の3⑴ア及びイの補充主張)(ア) 控訴人書籍現物の表示について 以下、当審控訴人表示目録第1記載の各要素(①~④)について、詳述する。 控訴人書籍は、特定の職業に従事する労働者(主に高齢者)に焦点を絞り、その職業特有の苦労や喜びといったテーマについて、ユーモア感を織り交ぜつつ取り上げた職業日記風ノンフィクション・エッセイのシ リーズである。 題号は、悲哀とユーモア感が伝わるような二文字を二度繰り返したオノマトペが記載され、職業日記の体裁であることが分かるように「日記」と明記されている。また、題号のフォントは鉛筆で手書きしたようなタッチのものが採用されることで、職業日記としての体裁を強めている。 表紙には、各所にその職業の苦労を悲哀とユーモア に「日記」と明記されている。また、題号のフォントは鉛筆で手書きしたようなタッチのものが採用されることで、職業日記としての体裁を強めている。 表紙には、各所にその職業の苦労を悲哀とユーモアを交えて端的に表 現したコメントが配置されているところ、その体裁、配置位置等からも統一感が感じられる。即ち、表紙左上には4行の縦書きでコメントが配置され、表紙の下段のうち右端から中央にかけては、カギ括弧付きのコメントが縦書きで2行ないし4行配置されている。また、その左隣には、2行ないし6行の縦書きで文書が記され、鉛筆で手書きしたようなタッ チの吹き出しと吹き出し内の横書きのコメントが記されている。各コメントのフォント、記載の向き(縦書きか横書きか)はいずれの控訴人書籍でも統一されている上に、その配置位置も統一感が感じられる(表紙左上のコメントは左上の配置で全て一致しており、表紙下段(帯)のコメントも一部吹き出しの位置が異なるものもあるが、全体として表紙下 段の範囲に収まっている)。そのため、各書籍を見比べると、一見してシリーズ物であることが分かる上に、コメントの内容からは、その職業の苦労・悲哀が伝わるものとなっている。 イラストの線は、敢えていびつに描かれ、色鉛筆で手書きしたかのようなタッチとなっている。また、人物絵の四肢は細く描かれ、反対に顔 は敢えて大きく描かれ、その表情は、いずれも疲労感やもの悲しさを帯びた表情で統一されている。 以上のとおり、当審控訴人表示は、書籍ごとの体裁に高い統一感をもたせており、①~④の各要素もそれぞれに特徴をもっている。特に、題号とイラストは、一度目にすれば記憶に残りやすい顕著な特徴を有して いる。そのため、複数種類の控訴人書籍を見比べれば、(時と場所とを異にした比較であっ 素もそれぞれに特徴をもっている。特に、題号とイラストは、一度目にすれば記憶に残りやすい顕著な特徴を有して いる。そのため、複数種類の控訴人書籍を見比べれば、(時と場所とを異にした比較であっても)その統一性の高さからシリーズ物の書籍であることは容易に分かる。 また、ノンフィクション・エッセイのジャンルにおいては、シリーズ化されること自体が稀であり、通常は、単発の書籍が発行されるか、好 評を受けて関連書籍を発行するとしても2、3種類の発行で終わること が多い。そうしたジャンルの中でも、控訴人書籍は現時点で累計17種類が出版され、しかも、ここまで外観の統一性が保たれたものは、ノンフィクション・エッセイの分野において他に例を見ない。 したがって、当審控訴人表示である書籍現物の表紙は、他の書籍などの同種商品とは異なる顕著な特徴を有している。 (イ) インターネット上における当審控訴人表示についてAmazonなどのインターネット上における当審控訴人表示は、当審控訴人表示目録第1記載のとおりの表紙画像に加え、試し読みできる範囲として、前書き、目次、本文数頁が表示される(当審控訴人表示目録第2)。インターネット上においては、表紙画像だけでなく、これらの 試し読みできる範囲も一体となって控訴人書籍の表示となる。 試し読みできる範囲の表示では、前書きの後に目次が配置され、目次中の小見出し冒頭には、「某月某日」が加えられている。かかる形式の目次は、職業日記の体裁で発行される控訴人書籍固有のものであり、前書き等とともにインターネット上における当審控訴人表示を構成する顕著 な特徴である。 (ウ) 小活以上のとおり、控訴人書籍は、その表紙(当審控訴人表示目録第1)及びインターネット上で試し読みできる範囲(当審 ーネット上における当審控訴人表示を構成する顕著 な特徴である。 (ウ) 小活以上のとおり、控訴人書籍は、その表紙(当審控訴人表示目録第1)及びインターネット上で試し読みできる範囲(当審控訴人表示目録第2)について、それぞれ他の同種書籍とは異なる顕著な特徴を有している。 したがって、当審控訴人表示は、書籍現物の表紙及びインターネット上の表示のいずれにおいても、特別顕著性を有しており、周知でもあるため、「商品等表示」に該当する。 ⑵ 争点⑵(当審控訴人表示の周知性)についてアアンケート調査の結果 控訴人において、20代から70代の男女合計1万人を対象に、当審控 訴人表示の認知度に関するアンケートを実施した。アンケートの質問には、「交通誘導員ヨレヨレ日記」(控訴人書籍1)を示しての質問(Q3)、Q3で「見たことがない」旨を回答した層に対して複数の控訴人書籍である日記シリーズを並べて示した質問(Q5)が含まれている。Q3では、10.2%(1020人)が「交通誘導員ヨレヨレ日記」を「見たことがある」 と回答し、同書籍を見たことのない者でも、Q5では、2.5%(226人)が、上記日記シリーズを「見たことある」と回答した。両回答を踏まえると、当審控訴人表示の認知度は、12.7%(1246人)に達する(甲19の1及び2・21頁以下)。母集団に限定や偏りがないことからすれば、当審控訴人表示を認知する割合としては極めて高いものである。 アンケート対象者について、年代毎の内訳は日本全体の年代別人口の分布と同程度の割合になるように設定し、地域別の内訳も概ね地域毎の人口分布に合わせた。また、対象者には、月平均の読書量が1冊以下(0冊を含む)の層、月平均の書店立ち寄り回数が1回以下(0回を含む)の層が含 程度の割合になるように設定し、地域別の内訳も概ね地域毎の人口分布に合わせた。また、対象者には、月平均の読書量が1冊以下(0冊を含む)の層、月平均の書店立ち寄り回数が1回以下(0回を含む)の層が含まれている上に、こうした層が全体の半分以上を占めている。そのため、 本アンケートは、対象者につき控訴人書籍を知っていそうな母集団(高齢者層、読書量の多い層など)に限定をかけるものではない。そうすると、単純計算で、日本全国20代~70代の総人口約1億弱のうち12.7%に相当する人数である約1200万人が認知していることになる。この事実だけでも、当審控訴人表示の周知性を基礎付けるのに十分である。 また、上記のとおり、1か月に読む冊子1冊以下、書店に行く回数も月1回以下の層が最も多いため、控訴人書籍の認知度調査としては不利な内容のはずであるが、認知度は10%以上にまで達する。これは、本になじみのない層でも、後述するとおり、新聞広告のほかにテレビ番組・インターネット等で当審控訴人表示が頻繁に取り上げられたことで(広告のほか 取材や特集も含む)、認知するに至ったためと考えられる。 上記アンケートの母集団から、1か月の読書量が1冊以下の層を除いた場合、母数3230人のうち、754人が「見たことある」と回答しており、かかる層における認知度は、約23%に達する(甲19の3)。 また、上記アンケートの母集団から、月平均の書店立ち寄り回数1回以下の層を除いた場合、母数2618人のうち、686人が「見たことある」 と回答しており、かかる層における認知度は、約26%に達する。 このように一定の限定をかけた層には、原判決が念頭におくノンフィクション・エッセイに関心を有する層を包含する。かかる需要者層に至っては、当審控訴人表示は20 層における認知度は、約26%に達する。 このように一定の限定をかけた層には、原判決が念頭におくノンフィクション・エッセイに関心を有する層を包含する。かかる需要者層に至っては、当審控訴人表示は20%を優に上回る高い認知度を誇っている。そのため、広く日本全国において当審控訴人表示が知られているのは上記のと おりであるが、殊に、混同が生じるおそれのある需要者層にあっては、周知性が認められることに疑いようがない。 イ控訴人書籍の販売実績(ア) 現時点での控訴人書籍の販売実績原判決は、控訴人書籍の販売実績について、甲10の1ないし3に、 その時点での累計発行部数がおおよそ40万部~45万部と紹介されていたことから、その販売実績も比較的これに近い数字であると推認している。 この点、本件訴え提起時点での控訴人書籍の販売実績は46万部以上であったが、現時点では新刊を複数冊発行し、各冊の売れ行きも好調で あることから、その累計販売実績は54万8500部となっている。 また、この販売実績は、書店に出荷した実書籍、Amazon等で販売した実書籍の実売数を表すものであるが、電子書籍の発売部数は含まれていない。 電子書籍は、部数ではなく売上金額で把握しているところ、売上金額 から売上部数を概算すると、少なく見積もっても3万6000部程度の 部数に達する。これも、控訴人書籍の販売実績に加わるものである。 (イ) 実店舗での販売における当審控訴人表示の認知について原判決は、控訴人書籍のシリーズ累計発行部数が46万部であったとしても、需要者がノンフィクション・エッセイに関心を有する者であることを踏まえると、控訴人書籍それ自体が周知とはいえないとする。 しかし、ノンフィクション・エッセイの分野においては、46万 としても、需要者がノンフィクション・エッセイに関心を有する者であることを踏まえると、控訴人書籍それ自体が周知とはいえないとする。 しかし、ノンフィクション・エッセイの分野においては、46万部の発行部数に達すること自体が希有であり、他のノンフィクション・エッセイであれば、せいぜい5万部に到達すれば、十分にこの分野におけるヒットと評価される。そのため、累計発行部数46万部(現在は約55万部)に達する日記シリーズは、この分野での大ヒットシリーズと評価 できることに疑いようがない。ノンフィクション・エッセイと極めて分野を限ってしまうと、むしろその需要者の殆どが知っている書籍である。 この点は、統計上からも明らかである。即ち、例えば、令和4年(2022年)のベストセラー書籍について、ノンフィクション・エッセイのジャンルに比較的近いと思われる新書ノンフィクションにおける年間 第1位の書籍は、累計53万5000部の発行とされ、同ジャンルの第2位の書籍は累計36万部の発行とされている(甲20)。この1位の書籍は、コミックを除いた総合分野でも年間ベストセラーである。 これとの比較においても、控訴人書籍の累計発行部数は、ベストセラー書籍の発行部数を凌駕しており、ノンフィクション・エッセイジャン ルにおいて際立った発行部数を誇ることは容易に分かる。 また、発行部数(ないし販売実績)が46万部であるからといって、控訴人書籍を知っている者が、それに近い人数に収まるとは限らない。 むしろ、販売実績の背後には、市場に流通する控訴人書籍を目にした無数の需要者層が存在する。控訴人書籍は、既にシリーズ化されて5年以 上が経過しているエッセイ分野の人気書籍であるため、新刊が出版され ると、本屋には平積みや表紙を前面に向けた形で 無数の需要者層が存在する。控訴人書籍は、既にシリーズ化されて5年以 上が経過しているエッセイ分野の人気書籍であるため、新刊が出版され ると、本屋には平積みや表紙を前面に向けた形で、直近の日記シリーズとともに並べて陳列されるのが通常である(甲7の1)。書店側も、他のエッセイ本に比べて、より積極的に販促活動を行い、日記シリーズの新刊が出版されたことを来店客にアピールする(シリーズ物であるため、書店側としても、リピート客に新刊が出たことを告知する狙いもあると 思われる)。そうすると、実際に日記シリーズを購入した者だけでなく、書店を訪れて書棚を眺めただけの者にも当審控訴人表示は認知されることになる。とりわけ、書店では、直近に出版された何種類かの控訴人書籍と併せて陳列されることも多々あるため、目にした者は、それが単発の書籍なのではなくシリーズ物の書籍であり、各書籍の表紙が統一性を 備えていることまで認知することになる。実際に、新刊発刊直後などに書店内を回れば、平積みにされた控訴人書籍を見る機会は多い。 書店という不特定多数人が出入りする施設で流通する書籍について周知性を判断するに当たっては、単に実売数だけでなく、それ以上に書籍を目にした需要者がいることを念頭に置く必要がある。 (ウ) 当審控訴人表示の認知について(インターネット販売)Amazonなどのインターネット上での販売実績でも、同様のことが当てはまる。即ち、Amazonでは、商品の販売ページに、「よく一緒に購入されている商品」、「この商品に関連する商品」、「この商品を見た後にお客様が購入した商品」といったレコメンドリストが表示され、 そこには、控訴人書籍が多数表示される。そのため、何かのきっかけで、控訴人書籍のうちの一冊を知り、それを購入 、「この商品を見た後にお客様が購入した商品」といったレコメンドリストが表示され、 そこには、控訴人書籍が多数表示される。そのため、何かのきっかけで、控訴人書籍のうちの一冊を知り、それを購入するためにAmazonの販売ページにアクセスした者は、自然と他の日記シリーズの表示も目にすることになる。そのため、Amazonでの購入者のうち多くの者は、単に控訴人書籍のうちの一冊を認知するにとどまらず、その体裁が共通 する他の控訴人書籍が複数販売されていること、即ち控訴人書籍がシリ ーズ物の書籍であり、各書籍が当審控訴人表示の特徴を有することを認識するに至る。 また、Amazonでは、刻々と変動するランキングも見られるようになっている。控訴人が自ら確認したものなので、より上位のときもあったかもしれないが、少なくとも控訴人書籍は、同ランキングにおいて 「ディズニーキャストざわざわ日記」が和書総合ランキング4位となったこともあるなど、恒常的に上位に入っている。最近のランキングは甲21のとおりであるところ、50位までの範囲でも、ある程度本に関心のある者であれば装丁を見たことがある書籍が相当程度含まれている。 ランキング上位に含まれている事実は、控訴人書籍のページが多くの者 に閲覧されている事実(表紙等が多くの者に知られた事実)を示している。 インターネット上での書籍の流通がより一般化した昨今においては、インターネット特有の表示形態(Amazonのレコメンドリストによる表示等)を考慮して、周知性を判断する必要がある。原判決は、こう した事情を何ら考慮していない。 以上で述べた事情からすれば、控訴人書籍は広く需要者に認知されており、その表示は周知といえる。 ウ宣伝・広告活動等について原判決は、控訴人書籍の こう した事情を何ら考慮していない。 以上で述べた事情からすれば、控訴人書籍は広く需要者に認知されており、その表示は周知といえる。 ウ宣伝・広告活動等について原判決は、控訴人書籍の新聞広告のうち、「全5段」、「5段2割」の広告 も少なからず見受けられるが、原審における原告表示の表紙における要素の全て(①ないし④)が表紙と同じ配置で掲載されているとまでは認められないとする。 しかし、控訴人書籍は、これまでに様々なテレビ番組(全国区のものも含む)において、実書籍や表紙画像を提示する形で繰り返し紹介された。 このうち、控訴人において放送画面を保存しているものだけでも複数ある (甲22の1ないし6)。これら控訴人書籍を取り上げたテレビ番組では、当審控訴人表示目録で記載した特徴を有する表紙実物が表示されている。 このうち、甲22の2及び6は帯まで示されており、当審控訴人表示目録第1記載の特徴が全て現れている。また、その他のものでは、帯がついていない状態の控訴人書籍を取り上げてはいるが、表紙実物であることに変 わりはなく、新聞広告(甲8)のように表紙実物とは異なる配置がなされたり、本来存在しないコメントが記載されたりするなどの相違点はない。 上記各番組の視聴率は明らかではないが、いずれの番組も10年以上にわたって全国で放送されるか、大多数の地域で放送されているものであり、安定的に多くの者が視聴する番組である。そのため、日本全国の多数の者 が、上記番組の視聴を通じて当審控訴人表示を認知したことになる。 また、甲22の3では、控訴人書籍の隣に「お仕事日記シリーズ」とのテロップが表示されており、視聴者には、当該控訴人書籍がシリーズ物であることまで分かる内容となっている。この件は、控訴人に取材等もなく、 、甲22の3では、控訴人書籍の隣に「お仕事日記シリーズ」とのテロップが表示されており、視聴者には、当該控訴人書籍がシリーズ物であることまで分かる内容となっている。この件は、控訴人に取材等もなく、このテロップは放送社側の判断で付したものであるが、何の前提もなく付 しても意味をなさない。そのため、この画面は、控訴人書籍の表紙と「お仕事日記シリーズ」とのテロップで視聴者には十分に意味が通じるという前提で構成されたもので、この段階で控訴人書籍が広く周知されていることを強く推認させる。 控訴人書籍がシリーズ物であるとの認識は、甲23にも現れている。ま た、毎日新聞で掲載されているこのコラムでも、帯の表示はないものの、控訴人書籍の表紙が取り上げられ、その認知度を広める一つの要因となっている。 エ被控訴人自身の認識とそれから明らかとなる事実令和5年2月3日、X(旧Twitter)の被控訴人運営アカウント である「ワック出版局」からは、被控訴人書籍の書き下ろしを告知すると ともに、「見たことのあるようなタイトルと装丁ですが、そこはあまりお気になさらずに。」との投稿がなされていた(甲24)。なお、削除時期は不明であるが、この投稿は既に削除されている。 「どこかで見たことのあるタイトルと装丁ですが」との短い一言の投稿がそれを読んだ者に伝わるには、それを見る者(被控訴人の書籍を購入す る可能性が高い者)においても、これだけで、「どこかで見たことがあるタイトルと装丁」の書籍が何であるか容易に理解できる、という前提がなければならない。この事実は、少なくとも、被控訴人のX(旧Twitter)を見る者(被控訴人の書籍を購入する可能性が高い者)には、この程度の投稿だけで認識できるほど、類似の題名と装丁の書籍(控訴人書籍) ならない。この事実は、少なくとも、被控訴人のX(旧Twitter)を見る者(被控訴人の書籍を購入する可能性が高い者)には、この程度の投稿だけで認識できるほど、類似の題名と装丁の書籍(控訴人書籍) の存在が広く知られていた、ということを示している。 オ小活以上のとおり、控訴人書籍は、ノンフィクション・エッセイ分野における際立った発行部数に加え、新聞、テレビ、ネットメディアなど各種の媒体で宣伝又は紹介され、それに伴い当審控訴人表示も極めて多数の者に認 知されるに至っている。このことは、高い認知度が出たアンケート結果からも裏付けられており、当審控訴人表示は各種媒体による極めて強力な宣伝・取材等により、日本全国において認知されている。 また、被控訴人のX(旧Twitter)を閲覧する者(被控訴人の書籍を購入する可能性が高い者)においても、当審控訴人表示は、同様に広 く知られていた。 したがって、当審控訴人表示は極めて強力な宣伝広告や爆発的な販売実績により、需要者であるノンフィクション・エッセイに関心を有する者において、広く周知されている。 なお、これまで述べた控訴人書籍の販売実績やテレビ放送は、被控訴人 書籍販売時点より後のものも含まれているが、差止請求における周知性の 判断時点は、事実審の口頭弁論終結時とされているため、差止めの判断をするに当たっては、かかる事情も考慮される。 ⑶ 争点⑶(当審控訴人表示と被控訴人表示との類似性)についてア被控訴人書籍との類似性控訴審では、控訴人の商品等表示の内容について、当審控訴人表示とし て原審よりさらに具体化して主張しているところ、以下では、それを前提に被控訴人書籍との類似性を補充する。 被控訴人書籍は、イラストのタッチ、コメントの配置やフォン について、当審控訴人表示とし て原審よりさらに具体化して主張しているところ、以下では、それを前提に被控訴人書籍との類似性を補充する。 被控訴人書籍は、イラストのタッチ、コメントの配置やフォントの種類等について、当審控訴人表示と一部異なる点は認められる。しかし、これらの相違点は細部に関することであり、需要者が最も目につく、あるいは 印象に残る箇所においては、当審控訴人表示との高い類似性が認められる。 即ち、需要者がまず着目すると思われる題号は、当審控訴人表示の題号と形式が全く一緒であり、この点だけでも、日記シリーズを想起させる。また、表紙の中央辺りにはAV監督が職務に従事する様子のイラストも記載されており、かかるイラストも需要者の印象に残りやすいところ、上記題 号と相まって当審控訴人表示を想起させるものである。表紙に記載されたコメントも、横書きであるなど当審控訴人表示と完全に一致するわけではないが、自虐的なコメントがされている点で相違はない。 そうすると、被控訴人書籍の全体を観察した際、当審控訴人表示を知る者は、当審控訴人表示の主要な部分において共通する被控訴人書籍を、日 記シリーズのうちの一冊であると受け取るおそれが極めて高い。 イ被控訴人の認識について前記⑵エのとおり、令和5年2月3日に被控訴人はX(旧Twitter)で被控訴人書籍の書き下ろしを告知するとともに、「見たことのあるようなタイトルと装丁ですが、そこはあまりお気になさらずに。」と投稿して いる(甲24)。「見たことのあるようなタイトルと装丁」は、題号と表紙 の体裁からして控訴人書籍を指すことは明らかである。なお、上記投稿から1か月も経たないうちに、被控訴人はX(旧Twitter)で、殊更に、日記シリーズと隣り合って表紙を前面 、題号と表紙 の体裁からして控訴人書籍を指すことは明らかである。なお、上記投稿から1か月も経たないうちに、被控訴人はX(旧Twitter)で、殊更に、日記シリーズと隣り合って表紙を前面に向ける形で陳列された被控訴人書籍の写真を投稿していた(甲25)。 被控訴人には、日記シリーズの売れ行きに便乗し、消費者に対して日記 シリーズのうちの一冊であるとの誤解を与えて売上げを得ようとする意図があったことは明白である。 以上のとおり、被控訴人が意図的に控訴人書籍に似せて出版している以上、類似性が認められることは明らかである。 〔被控訴人の反論〕 ⑴ 争点⑵(当審控訴人表示の周知性)の主張(〔控訴人の主な補充主張〕⑵)に対しアアンケート調査の結果控訴人は、アンケート調査の結果(甲19の1ないし3)から、当審控訴人表示の認知割合が極めて高く、総人口の12.7%に相当する約12 00万人が認知していることになり、さらに、月の読書量や書店立ち寄り回数で一定の限定をかけた層には、当審控訴人表示が20%を優に上回る高い認知度を誇っていることから、周知性が認められると主張する。 しかし、控訴人が行った上記アンケート調査結果の精度や信用性の程度自体、不明である。Q3では、「この書籍」を見たことがあるか尋ねている が、「この書籍」が「交通誘導員ヨレヨレ日記」であることを示す客観的資料は存しない。同様にQ4では、「この書籍シリーズ」を見たことがあるか尋ねているが、「この書籍シリーズ」が控訴人書籍シリーズを示すことを裏付ける客観的資料も存しない。 仮に、アンケート調査の結果、「交通誘導員ヨレヨレ日記」を「見たこと がある」回答者が10.2%いたとしても、書籍を「見たことがある」こ とと、当審控訴人 る客観的資料も存しない。 仮に、アンケート調査の結果、「交通誘導員ヨレヨレ日記」を「見たこと がある」回答者が10.2%いたとしても、書籍を「見たことがある」こ とと、当審控訴人表示を満たす商品が「特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっている」こととは全く別の事項である。「交通誘導員ヨレヨレ日記」自体は単独の書籍であり、「交通誘導員ヨレヨレ日記」を見たことがあるからといって、当該書籍を見たことがある者が、当審控訴人表示を満たす他の商品の出所について、「交通誘導員ヨレヨレ日記」と同一と 判別できるかは定かではない。また、控訴人は、当審控訴人表示につき、日記シリーズ(控訴人書籍)というシリーズ全体の商品等表示として主張している以上、「交通誘導員ヨレヨレ日記」1冊ではなく、シリーズ全体としての周知性を検討する必要がある。控訴人によれば、日記シリーズを「見たことがある」と回答した回答者は2.5%とのことであるから、仮に、 控訴人書籍をシリーズとしてとらえ、当審控訴人表示を満たす書籍の出所が特定の事業者のものと認識している者がいるとしても、2.5%に過ぎない。また、アンケート調査の内容を示すとする甲19の2の右側の写真には、当審控訴人表示を満たさない、黄色を基調とする表紙で、題号にオノマトペを含まない「出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記」の写真 も含まれており、読者が、当審控訴人表示を満たす書籍であるかどうかによって、日記シリーズと他の書籍を判別しているとも考え難い。 また、控訴人は、アンケートの母集団から月の読書量1冊以下の層や月平均書店立ち寄り回数1回以下の層を除いて周知性を検討しているが、これら限定後の母集団は、必ずしも控訴人書籍の需要者である「広くノンフ ィクション・エッセイに関 から月の読書量1冊以下の層や月平均書店立ち寄り回数1回以下の層を除いて周知性を検討しているが、これら限定後の母集団は、必ずしも控訴人書籍の需要者である「広くノンフ ィクション・エッセイに関心を有する者」の範囲と一致するものではなく、控訴人主張のアンケート結果は、需要者に関する周知性の程度を示すものではない。 イ控訴人書籍の販売実績について原判決は、甲10の1ないし3記載の控訴人書籍の発行部数から、販売 実績もこれに比較的近い数字であることが合理的に推認されると認定す る。しかし、甲10の1ないし3は、いずれも控訴人代表者に対するインタビュー記事等であり、発行部数に関する客観的証拠とはいえない以上、原判決には誤りがある。 また、控訴人は、現時点での控訴人書籍の販売実績は54万8500部であり、電子書籍の売上部数も少なく見積もって3万6000部に達する と主張するが、これを裏付ける証拠はない。 控訴人は、令和4年(2022年)のベストセラー書籍の新書ノンフィクション年間第1位の書籍の発行部数が累計53万5000部であり、これと比べて控訴人書籍の累計発行部数は、ベストセラー書籍の発行部数を凌駕していると主張する。しかし、控訴人指摘の同年第1位の書籍(80 歳の壁)は、1冊のみでの累計発行部数であり(甲20)、17冊の合計である控訴人書籍の累計発行部数とは、比較する前提が全く異なる。 加えて、控訴人は、日記シリーズの発行部数いかんにかかわらず、書店の陳列状況や、Amazonのレコメンドリスト等から、市場に流通する控訴人書籍を目にした無数の需要者層が存在し、控訴人書籍がシリーズ物 であり各書籍が当審控訴人表示の特徴を有することを認識すると主張するが、何ら裏付けはない。仮に、書籍の陳列状況等から 通する控訴人書籍を目にした無数の需要者層が存在し、控訴人書籍がシリーズ物 であり各書籍が当審控訴人表示の特徴を有することを認識すると主張するが、何ら裏付けはない。仮に、書籍の陳列状況等から、日記シリーズを見たことがある者がいたとしても、控訴人のアンケート調査によれば、2. 5%に過ぎない。 控訴人は、「ディズニーキャストざわざわ日記」が和書総合ランキング4 位になったことがあるとも主張するが、甲21のランキングには控訴人書籍は含まれておらず、控訴人主張の事実自体、確認できない。 ウ宣伝・広告活動等について控訴人は、当審控訴人表示が様々なテレビ番組で繰り返し紹介されたことから、周知性があると主張する。しかし、甲22はいずれも、控訴人書 籍のうち1冊のみを取り上げたものであり、控訴人書籍をシリーズ化され た一連の商品として認識できるものではない。 これに対し、控訴人は、甲22の3に「お仕事日記シリーズ」とのテロップがあることから、控訴人書籍がシリーズ物であることまで分かる内容となっていると主張する。しかし、本件で問題となっているのは、控訴人書籍がシリーズ物であることが分かるかどうかではなく、当審控訴人表示 が、これを伴う控訴人書籍の出所について、特定の事業者である控訴人を表示するものとして、周知になっていたかどうかであり、当審控訴人表示から作成されたものと認められないテロップの有無は関係がない。また、甲22の2ないし5の控訴人書籍は帯が無く、当審控訴人表示目録第1の④の一部が欠けており、当審控訴人表示の要素全部が掲載されていないの であって、当審控訴人表示自体が周知されたものとはいえない。 エ被控訴人の認識について控訴人は、被控訴人による令和5年2月3日の「どこかで見たことのあるよう 素全部が掲載されていないの であって、当審控訴人表示自体が周知されたものとはいえない。 エ被控訴人の認識について控訴人は、被控訴人による令和5年2月3日の「どこかで見たことのあるようなタイトルと装丁ですが」というXへの投稿から、控訴人書籍の存在が広く知られていたということが示されたと主張する。 しかし、特定の職業の日常について、日記形式で記した書籍は多数存在しており、当審控訴人表示を構成する特徴は他の同種商品一般に見られるものであることは、原審答弁書等で既述のとおりである。被控訴人が「どこかで見たことがあるようなタイトルと装丁」と述べたのは、職業の日常を描いた日記形式のノンフィクション書籍一般について言及したに過ぎ ず、控訴人書籍とは何ら関係がないのであって、控訴人書籍に関する投稿との認識自体、控訴人の思い込みである。 控訴人書籍自体に周知といえるほどの販売実績があるとはいい難く、販売期間も4年半程度で、当審控訴人表示が控訴人によって長期間独占的に使用されたものとはいえず、周知性が認められないことは、原判決が「原 告表示」について認定したとおりであり、当審控訴人表示は、商品等表示 に当たらず、需要者の間に広く認識されているともいえない。 ⑵ 争点⑴(当審控訴人表示の「商品等表示」該当性)(〔控訴人の主な補充主張〕⑴)及び争点⑶(当審控訴人表示と被控訴人表示との類似性)(〔控訴人の主な補充主張〕⑶)の各主張に対し控訴人が自らの商品等表示として原審において主張していた「原告表示」 が特別顕著性を有していないことは、原審において主張したとおりである。 しかるところ、控訴人は、これを覆すために、控訴人の商品等表示を示す当審控訴人表示目録を更に詳細化した模様である。 しかし、原審における控訴 を有していないことは、原審において主張したとおりである。 しかるところ、控訴人は、これを覆すために、控訴人の商品等表示を示す当審控訴人表示目録を更に詳細化した模様である。 しかし、原審における控訴人の主張は、被控訴人書籍の表示と類似する特徴を寄せ集めた結果、概括的な内容となっていたのに比べて、変更後の当審 控訴人表示目録記載の特徴は、具体化された分、被控訴人書籍と、イラストのタッチ、コメントの配置やフォントの種類等が大きく乖離する結果となっている。 すなわち、被控訴人書籍の表紙では、当審控訴人表示第1①のように、題号が、縦書きに黒字の文字で、鉛筆で手書きしたようなタッチで記されてい ない。また、同②のとおり、イラストの線が、やや歪んでいて、あたかも鉛筆で手書きしたかのようなタッチで、人物の四肢を敢えて細く描き、それに比べて頭部を大きく描くことで、哀愁のある表情が強調されてもいない。同④に関しては、各職業の苦労と悲哀をユーモアを交えて端的に表現したコメントが、暗い黄色の色調で、表紙左上に4行の縦書きで記されてもいないし、 表紙下段の右端から中央にかけて、書籍のテーマとなった職業について自虐的に表現したコメントが、カギ括弧付きの縦書き太字で記されてもいない。 カギ括弧付きのコメントの右隣に、2行ないし6行の文章が縦書きで記されていないし、題号と同じく、鉛筆で手書きしたようなタッチで吹き出しが書かれているものではないし、内部のコメントが横書きで記されているもので もない。 結局のところ、当審控訴人表示は、他の同種製品とは異なる顕著な特徴を有しているとまではいえないばかりか、かえって、当審控訴人表示を具体化することで、当審控訴人表示と被控訴人の書籍が類似していないことを露呈する結果となっており、控訴人の 種製品とは異なる顕著な特徴を有しているとまではいえないばかりか、かえって、当審控訴人表示を具体化することで、当審控訴人表示と被控訴人の書籍が類似していないことを露呈する結果となっており、控訴人の論理は破綻している。 4 当審における控訴人の予備的請求原因事実の追加に係る当事者の主張 〔控訴人〕⑴ 予備的請求原因事実の追加仮に被控訴人による被控訴人書籍の出版が不正競争防止法違反と認められない場合でも、被控訴人書籍を出版した行為は、不法行為(民法第709条)を構成するものである。なお、この主張は予備的請求原因を追加するも のであり、請求の趣旨に変更はない。 ⑵ 被控訴人による一般不法行為不正競争防止法による保護の及ばない形状、意匠等を利用する行為であっても、それが不正競争防止法の対象とする利益とは異なる法的に保護された利益を侵害したり、自由競争の範囲を逸脱し控訴人に損害を与えることを目 的として行われたりするなどの特段の事情が存在する場合には、一般不法行為を構成すると解されている(最高裁平成21年(受)第602号、第603号同23年12月8日第一小法廷判決)。 この点、被控訴人書籍が控訴人書籍と類似していることから、多数の購入者が、控訴人書籍と被控訴人書籍とを混同することになる。被控訴人書籍に は、表紙にも性的な表現が見られるが、目次等を見ると、本文においては、さらに直截的に性的表現が記載されていると思われる。控訴人書籍では、こうした風合いのテーマ・表現を取り上げたことはなかったが、被控訴人書籍との混同が生じることで、日記シリーズのイメージに変容を来たし、需要者層の減少も招きかねない。そのため、被控訴人書籍の出版は、控訴人の営業 上の利益を侵害するものとして、不法行為を構成する。 じることで、日記シリーズのイメージに変容を来たし、需要者層の減少も招きかねない。そのため、被控訴人書籍の出版は、控訴人の営業 上の利益を侵害するものとして、不法行為を構成する。 また、控訴人は、デザイナー・イラストレーターとともにイラストやその配置を考え、著者とともに題号や表紙に引用するコメントを考えて日記シリーズを作り上げてきたのであり、その過程では試行錯誤を重ね、多大の労力と費用をかけている。仮に類似性が否定されるとしても、被控訴人が、そのようにして作成された当審控訴人表示を模倣していることに変わりはない。 かかる模倣により被控訴人書籍の売上げを伸ばそうとする行為は、他人の投下資本にフリーライドする行為にほかならず、自由競争の範囲を逸脱した手段である。 以上のとおり、不正競争防止法により保護された利益とは異なる利益の侵害が認められるか、損害を加えることを目的として自由競争の範囲を逸脱し た手段に及んだ特段の事情が存するため、被控訴人書籍の出版は不法行為を構成する。 ⑶ 控訴人の損害被控訴人書籍の発行は、日記シリーズのイメージを毀損して営業上の利益を害するものであるとともに、模倣により日記シリーズの売上げに便乗する 行為でもあることから、控訴人の損害額は62万7000円を下ることはない(不正競争防止法4条に基づく請求額と同額)。 ⑷ 被控訴人の故意被控訴人の投稿(甲24、25)から明らかなとおり、被控訴人の行為は、単なる過失ではなく、明らかな故意行為であり、積極的な模倣行為として極 めて悪質である。特に大事業者が中小事業者の投資資本に故意にフリーライドする行為は、中小事業者の存続を困難にしかねず、適正な競争のある市場の形成を困難にする行為であり、到底容認されるものではない。 ⑸ 悪質である。特に大事業者が中小事業者の投資資本に故意にフリーライドする行為は、中小事業者の存続を困難にしかねず、適正な競争のある市場の形成を困難にする行為であり、到底容認されるものではない。 ⑸ 小括よって、控訴人は、被控訴人に対し、不法行為に基づく損害賠償請求とし て62万7000円及びこれに対する不法行為の後であり訴状送達の日の翌 日である令和5年6月7日から支払済みに至るまで年3%の割合による金員の支払を求める。 〔被控訴人〕否認ないし争う。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も、控訴人の請求についてはいずれも理由がなく、当審で追加した請求原因事実に係る請求についても理由がないものと判断する。その理由は、当審における控訴人の主な補充主張も踏まえ、次のとおり補正し、後記2のとおり当審における控訴人の主な補充主張に対する判断を付加し、後記3のとおり当審における控訴人の追加主張に対する判断を付加するほかは、原判決の「事 実及び理由」中、第4(原判決12頁20行目ないし15頁16行目)に記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決12頁21行目の「原告表示」(2か所)をいずれも「当審控訴人表示」と改める。 ⑵ 原判決12頁23行目の冒頭から25行目の「1号)。」までを、次のとお り改める。 「不正競争防止法2条1項1号が、『人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するもの』を『商品等表示』とし、他人の周知の商品等表示と同一又は類似の商品等表示を使用することを不正競争と定めた趣旨は、周知な商品等表示の主体である他人の商 品又は営業との混同を生じさせる具体的な危険性がある行為を禁止することにより、周知な商品等表示に化体された他人 示を使用することを不正競争と定めた趣旨は、周知な商品等表示の主体である他人の商 品又は営業との混同を生じさせる具体的な危険性がある行為を禁止することにより、周知な商品等表示に化体された他人の営業上の信用を自己のものと誤認混同させて顧客を獲得することを防止し、もって周知な商品等表示が有する営業上の信用を保護し、事業者間の公正な競争を確保することにある(最高裁昭和44年(オ)第912号同年11月13日第一小法廷判決・裁判集 民事97号273頁参照)。そして、」 ⑶ 原判決13頁6行目の末尾の次を改行し、次のとおり加える。 「控訴人は、表紙の題号、色、イラスト、コメント及びインターネット上で試し読みできる範囲での書籍本文の体裁の組合せからなる控訴人書籍の形態が出所表示機能を有し、商品等表示に該当する旨を主張する(補正の上で引用した原判決第3の3⑴ア。原判決3頁2行目ないし6行目)。 当審控訴人表示目録第1の記載によると、その組み合わせの元となる具体的な内容については、①題号は、『特定の職業・二文字を二度繰り返したオノマトペ・日記』の形式であり、縦書きに黒色の文字で、鉛筆で手書きしたようなタッチで記されているとされ、②色については、表紙は白色を基調とするとし、③イラストについては、表紙には、その書籍のテーマとなった職業 に従事する者のイラストがカラーで描かれており、イラストの線はやや歪んでいて、あたかも鉛筆で手書きしたかのようなタッチであり、人物の四肢は敢えて細く描き、それに比べて頭部を大きく描くことで、哀愁のある表情が強調されている、④コメント等については、各職業の苦労を悲哀とユーモアを交えて端的に表現したコメントが、暗い黄色の色調で、表紙左上に4行の 縦書きで記されているなどとする。 のある表情が強調されている、④コメント等については、各職業の苦労を悲哀とユーモアを交えて端的に表現したコメントが、暗い黄色の色調で、表紙左上に4行の 縦書きで記されているなどとする。 これら組み合わせの要素である題号やコメント等は、それ自体、書籍である商品の形態とは言い難いものであるところ、その具体的な主張内容をみても、『特定の職業・二文字を二度繰り返したオノマトペ』で題号が記載されているとか、イラストは『哀愁のある表情が強調されている』、コメントは『職 業の苦労を悲哀とユーモアを交えて端的に表現した』など、抽象的な思想や感情の表現を含むものであって、これらは書籍の中身や記載内容・方法を推認させるものではあっても、商品の形態をなすものとして、商品の出所を示し自他識別機能を果たすものとはいえず、控訴人の主張する当審控訴人表示は、不正競争防止法2条1項1号にいう商品等表示の要件を欠くものである。 これは、これら表紙の画像に加えて当審控訴人表示目録第2の内容が付加さ れるとするインターネット上における当審控訴人表示についても同様である。 なお、控訴人は、当審控訴人表示目録第1①のとおり、題号はオノマトペ・日記の形式であるとするが、被控訴人の指摘する『テゲテゲ』がオノマトペの趣旨であるのか不明であるほか、『もしもし』も感動詞(「品詞の一つで感動や応答・呼掛けを表す語。単独で文となり得、他の語に修飾されることも ない。」広辞苑第7版)であって、そのほか『ぎりぎり』(控訴人書籍15)も『最大または最小の限度で、それ以上に余地のないさま。極限。』(広辞苑第7版)を意味するものであるから、控訴人書籍の題号が、必ずしもオノマトペを含むものであるとも認め難いというべきである。」⑷ 原判決13頁7行目の「原告表示」 上に余地のないさま。極限。』(広辞苑第7版)を意味するものであるから、控訴人書籍の題号が、必ずしもオノマトペを含むものであるとも認め難いというべきである。」⑷ 原判決13頁7行目の「原告表示」を「当審控訴人表示」と改める。 ⑸ 原判決13頁17行目ないし18行目の「ないものの、」を「提出されていないところ、控訴人書籍を製造・販売し当審控訴人表示の主体であると主張する控訴人において、その販売数量を示す客観的な証拠を提出できない理由はない。」と、同頁25行目の「なお、」から26行目の「推認される。」までを「しかし、これら記事には客観的な裏付けが何ら示されておらず、直ちに そこに示された発行部数に係る販売実績があるものとすることはできない。 なお、控訴人は、当審において、控訴人書籍の累積販売実績は54万8500部であるとするが、これを裏付ける証拠も提出されていない。」とそれぞれ改める。 ⑹ 原判決14頁19行目の「原告書籍12については」を「控訴人書籍12 の新聞広告とするもの(甲8)については」と改める。 ⑺ 原判決14頁25行目の末尾の次を改行し、次のとおり加える。 「 また、控訴人書籍1、9及び10を取り上げたウェブサイトの掲載内容においても、それらには当審控訴人表示目録第1④記載の帯がなく、帯に記載されているとする内容に該当する記載もない(甲10の3)。控訴人書 籍8を取り上げた書評に掲載された写真も同様である(甲23)。控訴人書 籍1、10、11及び15がテレビで紹介されたとする映像においても、同様に、当審控訴人表示目録第1④記載の帯がなく、それに該当する記載もない(甲22の2ないし5)。 控訴人書籍についての報道についてみても、控訴人書籍1につき、『73歳のリアル体験ヨレヨレ交通誘 様に、当審控訴人表示目録第1④記載の帯がなく、それに該当する記載もない(甲22の2ないし5)。 控訴人書籍についての報道についてみても、控訴人書籍1につき、『73歳のリアル体験ヨレヨレ交通誘導員とは・・・』(甲22の1)、同じく 『年金だけでは・・・働き続ける高齢者』等とあるように、それぞれ単体の控訴人書籍(控訴人書籍10につき甲22の3、同11につき甲22の4、同15につき甲22の5、同17につき甲22の6)について、その内容を取り上げるものであり、『お仕事日記シリーズ』(甲22の3)として控訴人書籍10を取り上げたものはあるものの、その報道内容も明らか ではない。 エ商品等表示の主体について控訴人は、控訴人書籍は控訴人書籍目録記載のとおり現在まで17種類発行されているところ、これらの書籍はいずれも当審控訴人表示の形式を備える点で共通するから、当審控訴人表示は、不正競争防止法2条1項1 号に定める周知な商品等表示に該当する旨主張する。 しかし、そもそも控訴人が控訴人書籍又は当審控訴人表示の出所であることについて、当審控訴人表示と主張される控訴人書籍の表紙(甲3、18)には何ら記載がなく、書店における販売の状況においても表示がない(甲7の1、2)。控訴人書籍においては、控訴人について、背表紙の著者 名の下と裏表紙の定価の下に、いずれも小さな文字で、『発売:フォレスト出版』と並んで、『発行:三五館シンシャ』との表示がされているが、両者の関係は明らかではない。 控訴人が主張する控訴人書籍のインターネットの試し読み(Amazonの試し読み)についても、同様に、控訴人が出所であることに関する記 載は全くなく、『登録情報』に『出版社:フォレスト出版』として、控訴人 書籍の発売元であるフォレ 読み(Amazonの試し読み)についても、同様に、控訴人が出所であることに関する記 載は全くなく、『登録情報』に『出版社:フォレスト出版』として、控訴人 書籍の発売元であるフォレスト出版株式会社(甲14の2)の記載があるのみである(甲5の1)。 これらによれば、控訴人の主張する控訴人書籍の販売実績は、控訴人がその商品等表示の主体であるとすることと結び付くものではない。 また、控訴人は、アンケート調査の結果(甲19の1ないし3)によれ ば、控訴人書籍の認知度は12.7%に達するから当審控訴人表示は周知である旨などを主張する。しかし、控訴人によるアンケート調査(甲19の1、2)においては、控訴人書籍1の帯付きの表紙について、『この書籍を見たことがありますか?』、控訴人書籍1ないし10及び『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記』(その表紙は黄色を基調としている)の各帯 付きの表紙について、『この書籍シリーズを見たことがありますか?』との質問をしているとするところ、これら各表紙等は当審控訴人表示として主張するものと同一ではないのであるから、これらの質問に対する回答が、直ちに当審控訴人表示についての認知度を示すものとはいえない。加えて、控訴人によるアンケート調査においては、そもそも当審控訴人表示の主体 が控訴人であるか、すなわち、当審控訴人表示を見た需要者において、その主体を控訴人と認識するかについては、質問も回答もされておらず、たとえ上記控訴人書籍等を示して、これを知っている、あるいは見たことがある旨を回答する者があったとしても、これは、商品を知っている、あるいは見たことがあることを答えているにとどまり、当審控訴人表示の主体 が控訴人であることを知っていることを示すものではない。 周知商品等表示 者があったとしても、これは、商品を知っている、あるいは見たことがあることを答えているにとどまり、当審控訴人表示の主体 が控訴人であることを知っていることを示すものではない。 周知商品等表示といえるためには、商品や営業により表示される特定の事業者が誰であるかが明確に知られていることを要しないものの、当該表示が、特定の事業者の商品や営業を表示していることが知られていることを要するところ、上記に述べたところによれば、控訴人表示は、特定の事 業者である控訴人の商品や営業を示すものとして認識されているものと 認めることはできず、当審控訴人表示が控訴人の周知の商品等表示であると認めることはできない。」⑻ 原判決14頁26行目の「エ」を「オ」と改め、同行目の「仮に」から15頁3行目の「いい難い。」までを「前記イのとおり、その販売実績も不明であるところ、仮に」と改め、同頁11行目の「『商品等表示』に」から同頁1 2行目の「また、」までを削り、同行目の「いうことも」を「いうことは」と改める。 ⑼ 原判決15頁4行目、7行目、10行目の「原告表示」を「当審控訴人表示」と改める。 ⑽ 原判決15頁12行目の末尾の次を改行し、次のとおり加える。 「⑶ 争点⑶(当審控訴人表示と被控訴人表示との類似性)についての判断控訴人が周知な商品等表示であると主張する当審控訴人表示と、被控訴人書籍とを比較すると、被控訴人書籍の表紙は、甲4及び原判決別紙被告書籍目録記載のとおりであるところ、被控訴人書籍の表紙は、当審控訴人表示目録第1①の、『題号は・・・縦書きに黒字の文字で、鉛筆で 手書きしたようなタッチで記されている』ものではなく、題号の文字は茶色であり、手書き風ではなく活字様の文字である。同③の『イラストの線はやや歪ん 、『題号は・・・縦書きに黒字の文字で、鉛筆で 手書きしたようなタッチで記されている』ものではなく、題号の文字は茶色であり、手書き風ではなく活字様の文字である。同③の『イラストの線はやや歪んでいて、あたかも鉛筆で手書きしたかのようなタッチであり、人物の四肢は敢えて細く描き、それに比べて頭部を大きく描くことで、哀愁のある表情が強調されている』との点についても、イラスト の線が歪んでいるものもでもなく、人物についても笑顔であって、哀愁のある表情が強調されているものでもない。同④の『各職業の苦労と悲哀をユーモアを交えて端的に表現したコメントが、暗い黄色の色調で、表紙左上に4行の縦書きで記されている』との点に該当する記載はなく、『表紙下段(実書籍の場合は帯)の右端から中央にかけては、その書籍 のテーマとなった職業について自虐的に表現したコメントが、カギ括弧 付きの縦書き太字で記されている』とされる点についても、職業の置かれた現状を踏まえた著者の意志が横書きで記されており、職業について自虐的に表現したコメントではなく、記載の形式も異なる。『カギ括弧付きのコメントの右隣には、2行から6行の文章が縦書きで記されている。』及び『表紙下段(実書籍の場合は帯)には、題号と同じく、鉛筆で手書 きしたようなタッチで吹き出しが書かれ、内部のコメントは横書きで記されている』との点については、いずれも該当する記載はない。 これらによれば、控訴人の主張する当審控訴人表示目録記載の当審控訴人表示と、被控訴人書籍とは、当審控訴人表示目録第1の①、③及び④において明らかに異なり、控訴人において当審控訴人表示を構成する と主張する要素の多くにおいて相違するものであるから、両者は類似するものとは認められない。」⑾ 原判決15頁13 、③及び④において明らかに異なり、控訴人において当審控訴人表示を構成する と主張する要素の多くにおいて相違するものであるから、両者は類似するものとは認められない。」⑾ 原判決15頁13行目から16行目までを次のとおり改める。 「⑷ 小括以上の検討によれば、控訴人の主張する当審控訴人表示は、控訴人の 周知な商品等表示であるとは認められず、被控訴人書籍が控訴人の主張する当審控訴人表示と類似するものともいえないから、控訴人の不正競争防止法2条1項1号違反の主張には理由がない。」 2 当審における控訴人の主な補充主張に対する判断は、以下のとおりである。 ⑴ 控訴人は、前記第2の3〔控訴人の主な補充主張〕⑴及び⑵のとおり、当 審控訴人表示は周知な商品等表示に該当する旨主張する。 しかし、補正の上で引用した原判決第4の1⑴及び⑵のとおり、控訴人の主張する当審控訴人表示は、不正競争防止法2条1項1号にいう商品等表示に当たるものではなく、周知であるともいえないから、控訴人の当審における補充主張を勘案しても、控訴人の不正競争防止法2条1項1号違反の主張 には理由がない。 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 ⑵ 控訴人は、前記第2の3〔控訴人の主な補充主張〕⑶のとおり、当審控訴人表示と被控訴人書籍は類似する旨主張する。 しかし、控訴人の当審における補充主張を勘案しても、補正の上で引用した原判決第4の1⑶のとおり、被控訴人書籍が控訴人の主張する当審控訴人 表示と類似するものとは認められない。 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 3 当審における控訴人の追加主張に対する判断は、以下のとおりである。 ⑴ 控訴人は、当審において、被控訴人書籍の出版について、不正競争 。 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 3 当審における控訴人の追加主張に対する判断は、以下のとおりである。 ⑴ 控訴人は、当審において、被控訴人書籍の出版について、不正競争防止法違反に当たらないとしても、被控訴人書籍が控訴人書籍と類似することなど から、控訴人書籍との混同を招き、不正競争防止法の対象とする利益とは異なる法的に保護された利益を侵害し、自由競争の範囲を逸脱して控訴人に損害を与えたものとして、不法行為に該当する旨を主張する(前記第2の4)。 しかし、前記1⑺で原判決に付加したとおり、被控訴人書籍は、控訴人の主張する当審控訴人表示と類似するものではなく、控訴人の主張に係る要素 において明らかに相違することなどからすると、直ちに控訴人の日記シリーズを模倣したものとは認められない。また、前記1⑹及び⑺のとおり付加訂正の上引用した原判決第4の1⑵ウ及びエのとおり、当審控訴人表示が周知な商品等表示であることや、その主体が控訴人であると認識されていることを認めるに足りる証拠はないから、被控訴人書籍が控訴人書籍と出所の混同 を招くとの事実も認めらず、被控訴人書籍の出版が、控訴人の日記シリーズのイメージに変容を来すようなことは認められず、それが控訴人の投下資本にフリーライドする行為であるとも認められない。したがって、被控訴人書籍の出版は、控訴人の法益を侵害し損害を与えたものとはいえないから、不法行為が成立するものとは認められない。 控訴人の不法行為に係る予備的追加請求には理由がない。 ⑵ 控訴人は、被控訴人のX(旧Twitter)への投稿による告知によれば、被控訴人の悪質性は明らかであり、不法行為が成立する旨を主張する(前記第2の4⑷)。 令和5年2月3日のX(旧Twit ⑵ 控訴人は、被控訴人のX(旧Twitter)への投稿による告知によれば、被控訴人の悪質性は明らかであり、不法行為が成立する旨を主張する(前記第2の4⑷)。 令和5年2月3日のX(旧Twitter)の被控訴人運営アカウントである「ワック出版局」において、被控訴人書籍の書き下ろしの事実について 告知がされるとともに、「見たことのあるようなタイトルと装丁ですが、そこはあまりお気になさらずに。」との投稿がされ(甲24)、これとは別に、控訴人書籍12と被控訴人書籍とが並べて陳列された書店の書棚の写真が投稿された(甲25)事実が認められる。 しかし、上記投稿の記載の「タイトルと装丁」が、直ちに控訴人書籍のタ イトルや装丁を示すものとまでは認められない上に、被控訴人書籍において出所の混同を招くことについての立証がなく、不法行為が成立するものと認められないことについては、前記⑴のとおりであって、このことは、X(旧Twitter)への上記投稿を勘案しても左右されるものではない。 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 4 よって、控訴人の請求は、その余の点について判断するまでもなく、いずれも理由がないから棄却すべきである。原判決は相当であり、本件控訴は理由がなく、当審で追加した請求原因事実に係る請求についても理由がないから、いずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官中平 健 裁判官今井弘晃 裁判官 平 健 裁判官今井弘晃 裁判官水野正則 別紙1 控訴人表示目録第1 表紙① 題号 題号は「特定の職業・二文字を二度繰り返したオノマトペ・日記」の形式であり、縦書きに黒色の文字で、鉛筆で手書きしたようなタッチで記されている。 ② 色表紙は、白色を基調としている。 ③ イラスト表紙には、その書籍のテーマとなった職業に従事する者のイラストがカラーで描かれている。イラストの線はやや歪んでいて、あたかも鉛筆で手書きしたかのようなタッチであり、人物の四肢は敢えて細く描き、それに比べて頭部を大きく描くことで、哀愁のある表情が強調されている。 ④ コメント等各職業の苦労を悲哀とユーモアを交えて端的に表現したコメントが、暗い黄色の色調で、表紙左上に4行の縦書きで記されている。 表紙下段(実書籍の場合は帯)の右端から中央にかけては、その書籍のテーマとなった職業について自虐的に表現したコメントが、カギ括弧付きの縦 書き太字で記されている。 カギ括弧付きのコメントの右隣には、2行から6行の文章が縦書きで記されている。 表紙下段(実書籍の場合は帯)には、題号と同じく、鉛筆で手書きしたようなタッチで吹き出しが書かれ、内部のコメントは横書きで記されている。 第2 インターネット上で試し読みできる範囲での書籍本文の体裁① 目次の前に冒頭数頁にわたって著者の前書が記載されている。 ② 目次は、「まえがき-」とその題が先頭 る。 第2 インターネット上で試し読みできる範囲での書籍本文の体裁 ① 目次の前に冒頭数頁にわたって著者の前書が記載されている。 ② 目次は、「まえがき-」とその題が先頭に記載され、第●章として章の見出しが縦書きの太字で記載されている。各章の中には、「某月某日」で統一された小見出しが複数記載されている。 以上 別紙2 控訴人書籍目録 1 題号交通誘導員ヨレヨレ日記 著者柏耕一 発売日令和元年7月20日 2 題号派遣添乗員ヘトヘト日記 著者梅村達 発売日令和2年2月20日 3 題号メーター検針員テゲテゲ日記 著者川島徹 発売日令和2年6月24日 4 題号マンション管理員オロオロ日記 著者南野苑生 発売日令和2年9月23日 5 題号非正規介護職員ヨボヨボ日記 著者真山剛 発売日令和3年4月21日 6 題号ケアマネージャーはらはら日記 著者岸山真理子 発売日令和3年7月9日 7 題号タクシードライバーぐるぐる日記 著者内田正治 発売日令和3年9月17日 8 題号ディズニーキャストざわざわ日記 著者笠原一郎 発売日令和4年1月21日 9 題号コールセンターもしもし日記 著者吉川徹 発売日令和4年3月19日 題号住宅営業マンぺこぺこ日記 著者屋敷康蔵 発売日令和4年5月21日 11 題号メガバンク銀 センターもしもし日記 著者 吉川徹 発売日 令和4年3月19日 題号 住宅営業マンぺこぺこ日記 著者 屋敷康蔵 発売日 令和4年5月21日 題号 メガバンク銀行員ぐだぐだ日記 著者 目黒冬弥 発売日 令和4年9月17日 題号 障害者支援員もやもや日記 著者 松本孝夫 発売日 令和5年1月21日 題号 保育士よちよち日記 著者 大原綾希子 発売日 令和5年3月18日 題号 バスドライバーのろのろ日記 著者 須畑寅夫 発売日 令和5年5月22日 題号 コンビニオーナーぎりぎり日記 著者 仁科充乃 発売日 令和5年8月9日 題号 大学教授こそこそ日記 著者 多井学 発売日 令和5年12月6日 題号 電通マンぼろぼろ日記 著者 福永耕太郎 発売日 令和6年2月16日
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