【DRY-RUN】主 文 一 甲事件について 第一審原告の控訴を棄却する。 二 乙事件について 原判決を次のとおり変更する。 第一審原告を所有者、第一審被告を地上
主文 一甲事件について第一審原告の控訴を棄却する。 二乙事件について原判決を次のとおり変更する。 第一審原告を所有者、第一審被告を地上権者とする別紙物件目録記載(一)、(二)の各土地に対する月額地代を昭和六一年三月二〇日から同年四月一日まで金四万四〇〇〇円、同月二日から昭和六三年四月一日まで金四万八四〇〇円、同月二日から金五万三二四〇円と各定める。 第一審被告は、第一審原告に対し、金二一三万八三七一円及びこれに対する平成元年一一月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 第一審原告のその余の請求を棄却する。 三訴訟費用は、第一、二審を通じて二分し、その一を第一審原告の、その余を第一審被告の各負担とする。 事実 第一申立て一甲事件 1 第一審原告(一) 原判決を次のとおり変更する。 (二) 第一審原告を所有者、第一審被告を地上権者とする別紙物件目録記載(一)、(二)の各土地に対する地代を、昭和五九年四月二日から昭和六一年四月一日まで一か月金五万九一〇〇円、同月二日から昭和六三年四月一日まで一か月金六万七〇〇〇円、同月二日から一か月金七万三七〇〇円と各定める。 (三) 第一審被告は、第一審原告に対し、金四三五万三〇〇〇円及びこれに対する平成元年一一月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 (四) 訴訟費用は、第一、二審とも第一審被告の負担とする。 (五) (三)について仮執行の宣言 2 第一審被告主文一項同旨控訴費用は、第一審原告の負担とする。 二乙事件 1 第一審被告(一) 原判決の主文一、二項を次のとおり変更する。 (1) 第一審原告を所有者、第一審被告を地上権者 審被告主文一項同旨控訴費用は、第一審原告の負担とする。 二乙事件 1 第一審被告(一) 原判決の主文一、二項を次のとおり変更する。 (1) 第一審原告を所有者、第一審被告を地上権者とする別紙物件目録記載(一)、(二)の各土地に対する地代を、昭和六一年六月一一日から昭和六三年四月一日まで一か月金一万一九四〇円、同月二日から一か月金一万三一三五円と各定める。 (2) 第一審被告は、第一審原告に対し、金五四万二六四九円及びこれに対する平成元年一一月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 (二) 第一審原告のその余の請求を棄却する。 (三) 訴訟費用は、第一、二審を通じてこれを二分し、その一を第一審原告の、その余を第一審被告の各負担とする。 2 第一審原告本件控訴を棄却する。 控訴費用は、第一審被告の負担とする。 第二主張及び証拠関係一原判決の事実摘示と同一であるから、ここに引用する。但し、次の訂正、挿入、削除を加える。 1 原判決三枚目表一行目の「なされ、」を「がなされ、」と改める。 2 同四枚目表三行目の「一、一倍」を「一・一倍」と改める。 3 同五枚目表三行目の「乗する」を「乗ずる」と、同表七行目の「昭和六一年六月一二日」を「日の前日である昭和六一年六月一一日」と各改め、同表一二行目の次に行を改めて、次項を挿入する。 「第一審被告は、法定地上権の地代は、継続地代をもって論ずべきである旨主張する。 しかしながら、法定地上権の設定は、実質的に、同一所有者に属する土地又は同地上建物の一方を任意に売却した場合に、その当事者間で土地の使用権を設定するのと差異がないから、継続地代をもって論ずるのは相当でない。」 4 同枚目裏二行目の「新地益権者に旧地代」を「新地上権者に旧地上権者の未払地代」と改 した場合に、その当事者間で土地の使用権を設定するのと差異がないから、継続地代をもって論ずるのは相当でない。」 4 同枚目裏二行目の「新地益権者に旧地代」を「新地上権者に旧地上権者の未払地代」と改め、同裏三行目の「旧地益権者」から同裏四行目の「また、」までを削り、そこに次項を挿入する。 「新地上権者に対するのとは別に、旧地上権者に対する訴訟を提起しなければならない点で煩雑に過ぎ、両訴訟間で解決に矛盾が生じるおそれがあるから相当であるとはいえない。そして、民法(以下、法という。)二六六条一項によって準用される法二七六条の「引続キ二年以上地代ノ支払ヲ怠リタルトキ」について、旧地上権者の不払期間を通算するものと解されている(大審院大正三年五月九日判決・民録二〇輯三七三頁参照)から、本件でも同様に旧地上権者の未払地代を新地上権者の負担によって処理するのが正当であり、そのうえ、」 5 同裏八行目から九行目にかけて「新地益権者において、旧地代」とあるのを削り、そこに「新地上権者が旧地上権者の未払地代」を挿入し、同裏一〇行目を削り、そこに「である(大審院明治三九年七月五日判決・民録一二輯一〇七四頁参照)。」を挿入する。 二当審での証拠関係目録(省略) 理由 一本件法定地上権の設定及び移転について(1) 次の事実は、当事者間に争いがない。 (一) Aは、もと別紙物件目録記載(一)(二)の土地(以下、本件土地という。)及びその地上に同目録記載(三)の建物(以下、本件建物という。)を所有していた。 (二) 本件土地につき、関西相互銀行が設定していた抵当権に基づき、昭和五八年一一月一六日、大阪地方裁判所の任意競売手続(昭和五三年(ケ)第四一二号事件)がなされ、第一審原告は、右競売手続により本件土地を競落し、昭和五九年 西相互銀行が設定していた抵当権に基づき、昭和五八年一一月一六日、大阪地方裁判所の任意競売手続(昭和五三年(ケ)第四一二号事件)がなされ、第一審原告は、右競売手続により本件土地を競落し、昭和五九年四月二日、競売代金全額を納付し、本件土地の所有権を取得した。したがって、本件土地上に同日法定地上権(以下、本件法定地上権という。)が成立した。 (三) 第一審被告は、昭和六一年三月二〇日、同裁判所の強制競売手続(昭和五三年(ヌ)第八〇号事件)により本件建物を競落し、その所有権を取得するとともに本件法定地上権をも取得した。 (四) ところが、第一審原告と第一審被告との間において、本件法定地上権の地代の協議が成立しない。 (2) まとめ(一) 第一審原告は、昭和五九年四月二日、競落によって本件土地の所有権を取得したが、そのとき、法三八八条に基づく法定地上権が設定され、Aは、本件法定地上権の地上権者となった。 (二) 第一審被告は、昭和六一年三月二〇日、本件建物を競落することによってその所有権を取得したとき、本件建物に付着していた本件法定地上権を取得して地上権者になった。 二本件法定地上権の地代確定請求について(1) 法定地上権は、法三八八条の規定によって「設定シタルモノト看做」されるほかは、当事者間の設定契約によって成立する法二六五条以下の地上権と内容的に異なるところはない。したがって、その地代の額は、当事者の協議が成立しないため、裁判所が、法三八八条但書の規定によってこれを定める場合も、設定契約による場合と同様、新規地代として創設的に算定すべきであって、継続地代ないしは継続地代的性格のものを考慮する余地はない。 (2) 当裁判所は、本件地代を積算方式によって求め、その後の増額地代は、スライド方式によって求めるのが至当であると判断し べきであって、継続地代ないしは継続地代的性格のものを考慮する余地はない。 (2) 当裁判所は、本件地代を積算方式によって求め、その後の増額地代は、スライド方式によって求めるのが至当であると判断し、その算定の資料を、原審での各鑑定の結果から得て別紙計算書(一)記載の試算をした。なお、原審での各鑑定の結果では、供された資料や算定方式に相違する点が多く見られるが、右試算は、可能なかぎり合理的な修正を施してしたものである。 そして、このようにして試算された額をもって、当裁判所が、創設的に定める本件法定地上権の地代の額とすることにする。 (3) まとめ本件法定地上権の月額の地代額は、昭和六一年三月二〇日(第一審被告が本件法定地上権の移転を受けた日以降について地代の額を定めれば足り、その日の前日以前の地代はAに関するものである。なお、この点は、次項で詳述する。)から同年四月一日まで金四万四〇〇〇円、同月二日から昭和六三年四月一日まで金四万八四〇〇円、同月二日から金五万三二四〇円と各定める。 三本件未払地代請求について<要旨>(1) 第一審原告は、本件法定地上権がAに帰属していた期間(昭和五九年四月二日から昭和六一年三月一</要旨>九日までの間)の未払地代も、第一審被告がその支払義務を承継して負担していると主張しているから、この点について判断する。 当裁判所は、右既発生の未払地代の支払義務者は旧地上権者であって、本件法定地上権の移転を受けた新地上権者は、その支払義務を承継しないと解するものであるが、以下にその理由を詳述する。 (一) 地上権は、地代支払義務を当然含むものではない。そのことは、地上権に関する法二六五条と永小作権に関する法二七〇条の各規定を文言上対比したとき明らかである。すなわち、地代の約定があって、はじめて地代支払義務 は、地代支払義務を当然含むものではない。そのことは、地上権に関する法二六五条と永小作権に関する法二七〇条の各規定を文言上対比したとき明らかである。すなわち、地代の約定があって、はじめて地代支払義務が発生する。 ところで、本件では、第一審原告は、Aに対し地代を請求すべく、Aの住居所を捜したが判明せず、その請求ができたのは、別訴(平成二年四月一八日受け付けられた大阪地裁平成二年(ワ)第二八六六号地代確定等請求事件)によってである(いずれも原本の存在と成立に争いがない甲第三、四号証、乙第一五号証によって認める)。 そうすると、第一審被告が本件法定地上権の移転を受けた昭和六一年三月当時、第一審原告とAとの間で地代の約定があったわけではないから、第一審被告が、Aの未払地代の支払義務を引き継ぐことは、法律上不可能である。 (二) 右に延べたように、特に地代の約定をしないときは、無償で設定したものと認められる(大審院大正六年九月一九日判決・民録二三輯一三五二頁参照)。 しかし、実際には、地代を支払うのが通常であって無償は例外であるから、本件法定地上権が設定されたとき、第一審原告とAとの間には、黙示的に地代支払の合意があったと、当事者の意思解釈上推定するのが、却って取引の実情に合致するといえなくもない。そして、この場合、地代額を明確に約定する必要はなく、法三八八条によって裁判所がその額を定めれば足りる。 そこで、以下、第一審原告とAとの間で地代を支払う旨の合意があったことを前提に論を進める。 (三) 民法の体系上、地上権は物権として構成されているが、地代請求権は債権として、地代支払義務は債務としての性格が与えられている。 そうすると、地上権移転の前に既に発生していた地代支払義務は、地上権の移転に伴って当然には承継されないのが、債権法上の原則であ 請求権は債権として、地代支払義務は債務としての性格が与えられている。 そうすると、地上権移転の前に既に発生していた地代支払義務は、地上権の移転に伴って当然には承継されないのが、債権法上の原則である。 この視点に立って本件を観たとき、Aの負担すべき既発生の未払地代債務が、第一審被告への本件法定地上権の移転に伴なって法律上当然引き継がれるものではない。 (四) もっとも、この原則には、次の例外がある。 前地上権者について既に発生していた地代支払義務が不履行のまま、地上権が移転し、新地上権者もまた自己の負担する地代支払義務の履行を怠り、新、旧地上権者の地代の滞納をあわせると、法二六六条によって準用される法二七六条の規定する「引続キ二年以上」になったとき、土地所有者は、新地上権者に対して、地上権の消滅請求ができる(大審院大正三年五月九日判決・民録二〇輯三七三頁、大審院昭和一二年一月二三日判決・評論二六巻民法二九七頁参照)。 この判例理論は、地代の滞納が継続しても、地上権者が二年以内に交替するかぎり、法二七六条の消滅請求ができないという不合理を防遏するためのものであり、その限りでは、その正当性が是認できるのである(但し、地代の登記を必要とするかどうかについては、争いがある)。 そうすると、本件は、法二七六条の消滅請求の事案ではないから、この判例理論を根拠に、Aの負担すべき既発生の未払地代債務も、第一審被告が本件法定地上権の移転を受けるのに伴って承継したとするわけにはいかない。 (五) 第一審原告の引用する判例(大審院明治三九年七月五日判決・民録一二輯一〇七四頁)は、「地代ハ地上権ヲ有スル者ノ当然ノ負担タルヘキニ因リ……既ニ一定セラレタル上ハ該地代ノ支払ハ地上権者ノ義務之レカ収受ハ土地所有者ノ権利タルモノナレハ特ニ之ヲ変更セサル限りハ地上 二輯一〇七四頁)は、「地代ハ地上権ヲ有スル者ノ当然ノ負担タルヘキニ因リ……既ニ一定セラレタル上ハ該地代ノ支払ハ地上権者ノ義務之レカ収受ハ土地所有者ノ権利タルモノナレハ特ニ之ヲ変更セサル限りハ地上権ニ従属シ之レト運命ヲ共ニスヘキ性質ノモノナリ」と説示している。 この判例は、地上権の移転があれば、特別の事情のない限り地代の約定も引き継がれる一個の法律関係にあることを明らかにしたにすぎない。したがって、この判例から、旧地上権者の負担すべき既発生の未払地代債務も、地上権の移転に伴ない、新地上権者に当然承継されたとするのは、無理である。 (六) (三)の例外として、未払地代債務が新地上権者に移転する場合として、新地上権者が、既発生の未払地代のあることを考慮して地上権の買受価格をきめた場合がある。この場合には、旧地上権者の既発生の未払地代債務を新地上権者に引き継がせても格別の不都合は生じない。 しかし、本件に顕われた証拠を仔細に検討しても、本件がこのような例外的な場合に該ることが認められる証拠は見当たらない。 (七) 第一審原告は、Aの既発生の未払地代債務を第一審被告に承継させないと、第一審原告は、旧地上権者であるAに対しても別訴を提起しなければならず、別訴を提起した場合、確定される地代の額が区々になる虞があると主張している。 しかし、第一審原告のいう不都合は、新、旧の両地上権者を相手どって一個の訴訟を提起することによって、その煩雑さや地代の額が区々になることを回避することが可能である。第一審原告は、ただそうしなかったにすぎない。 第一審原告は、また、法定地上権の地代の決定には長期間を要することが多く、その間に地上権者の変更も十分ありうるから、前者の未払地代債務を新地上権者に承継させないと無用の混乱を招くことになると主張している。 しかし た、法定地上権の地代の決定には長期間を要することが多く、その間に地上権者の変更も十分ありうるから、前者の未払地代債務を新地上権者に承継させないと無用の混乱を招くことになると主張している。 しかし、第一審原告が主張する事情は、まだ「地上権移転前に既に発生した地代支払義務は、地上権移転に伴って法律上当然承継されない」とする(三)の原則を変更しなければならない程の実質上の事由には該らない。 (2) 第一審被告は、自らの地代の支払義務の始期が、本件建物の所有権移転登記が受け付けられた昭和六一年六月一二日であると主張している。 しかし、民事執行法七九条は、競買人が競売不動産を取得する時期を「代金を納付した時」と明言しており、この点では、登記の有無と無関係である。 第一審被告は、本件建物を競落し、昭和六一年三月二〇日その代金を納付して所有権を確定的に取得した以上、そのときから、本件建物に付着した本件法定地上権の新地上権者になったとしなければならない。 そうすると、第一審被告のこの主張は、採用できない。 (まとめ)(3) 第一審被告の同日から第一審原告が請求している平成元年一〇月一日までの未払地代を計算すると、別紙計算書(二)のとおりであり、その合計は、金二一三万八三七一円になる。 四むすび(1) 当裁判所は、本件法定地上権の月額地代を、昭和六一年三月二〇日から同年四月一日まで金四万四〇〇〇円同年四月二日から昭和六三年四月一日まで金四万八四〇〇円同年四月二日から金五万三二四〇円と定める。 (2) 第一審被告は、第一審原告に対し未払地代合計金二一三万八三七一円と、これに対する本件訴状送達の日の翌日である平成元年一一月一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払わ (2) 第一審被告は、第一審原告に対し未払地代合計金二一三万八三七一円と、これに対する本件訴状送達の日の翌日である平成元年一一月一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払わなければならない。 (3) そうすると、第一審原告の控訴は理由がないから棄却を免れない。 (4) 第一審被告の控訴に基づき、当裁判所の判断と異なる原判決を主文二項のように変更する。 (5) 訴訟費用の負担について、民訴法九六条、八九条、九二条に従う。 (裁判長裁判官古嵜慶長裁判官上野利隆裁判官瀬木比呂志)別紙物件目録(一) 八尾市a町b丁目c番d宅地九五・二六平方メートル(二) 同所b丁目c番e宅地九八・八八平方メートル(三) 八尾市a町b丁目f番地家屋番号 g番のh木造瓦葺平屋建居宅床面積九〇・六七平方メートル別紙<記載内容は末尾1添付>
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