平成29年8月30日判決言渡平成29年(行コ)第116号相続税更正処分等取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成28年(行ウ)第252号) 主文 1 本件各控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は,控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 処分行政庁が,平成26年10月30日付けで控訴人Aに対してした,平成21年▲月▲日相続開始に係る相続税の更正処分のうち納付すべき税額3億5201万1400円を超える部分及び重加算税賦課決定を取り消す。 3 裁決行政庁が平成27年12月16日付けでした控訴人Aの審査請求を却下する旨の裁決を取り消す。 4 処分行政庁が,平成26年10月30日付けで控訴人Bに対してした,平成21年▲月▲日相続開始に係る相続税の更正処分のうち納付すべき税額1086万8500円を超える部分及び重加算税賦課決定を取り消す。 5 裁決行政庁が平成27年12月16日付けでした控訴人Bの審査請求を却下する旨の裁決を取り消す。 6 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要 1 本件は,平成21年▲月▲日に死亡したC(以下「亡C」という。)の子で相続人である控訴人A及び孫で相続人である控訴人Bが,亡Cの相続(以下「本件相続」という。)の開始に係る各相続税(以下「本件各相続税」という。)の申告をしたところ,処分行政庁からそれぞれ更正処分及び重加算税賦課決定を受け,さらに,裁決行政庁からこれらに対する審査請求を却下する旨の各裁 決を受けたことから,被控訴人に対し,①上記各更正処分のうち控訴人らがそれぞれ主張する納付すべき税額を超える部分及び上記各重加算税賦課決定の取消しをそれぞれ求めるとともに,②上記各裁決の取消し 決を受けたことから,被控訴人に対し,①上記各更正処分のうち控訴人らがそれぞれ主張する納付すべき税額を超える部分及び上記各重加算税賦課決定の取消しをそれぞれ求めるとともに,②上記各裁決の取消しをそれぞれ求めた事案である。 原審が控訴人らの各請求について,いずれも,取消しを求める利益は失われており,不適法であるとして,当該請求に係る訴えをいずれも却下したので,控訴人らが各控訴した。前提事実,国税通則法の定め,争点及び争点に関する当事者の主張は,下記2のとおり控訴人らの当審における主張を加えるほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の1ないし4に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 控訴人らの当審における主張控訴人らは,偽りその他不正の行為により税額を免れたことはないから,国税通則法70条4項1号が適用されないにもかかわらず,本件各再更正処分等は,5年間の除斥期間経過後にされたものである。また,そもそも減額更正において,申告額と同一の金額にまで減額をすることは,更正処分の範疇を超えるものであって,もはや更正処分とはいえない。このように,本件各再更正処分等には重大かつ明白な瑕疵があり,更正処分としての効力を有しない法的に無効な行為であることは明らかである。そうすると,本件各更正処分等は,未だ取り消されておらず,有効なものとして存在しているから,その取消しを求める法律上の利益があることは明らかである。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,控訴人らの各請求に係る訴えをいずれも却下すべきものと判断する。その理由は,下記2のとおり控訴人らの当審における主張に対する判断を加えるほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 控訴人らの当審におけ 由は,下記2のとおり控訴人らの当審における主張に対する判断を加えるほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 控訴人らの当審における主張に対する判断 (1) 控訴人らは,本件各再更正処分等は更正処分としての効力を有しない法的に無効な行為であるから,原処分である本件各更正処分等が取り消されたことにならない旨主張する。 (2) 前提事実及び前記認定事実並びに証拠及び弁論の全趣旨によると,亡Cが平成21年▲月▲日に死亡し,その相続人は控訴人ら2名であること,控訴人らは,平成22年4月12日,処分行政庁に対し,本件各相続税の申告(本件各申告)をしたこと,これに対し,処分行政庁は,平成26年10月30日付けで,控訴人らに対し,控訴人A名義の預金等が相続財産に含まれることなどを理由に本件各更正処分等をしたこと(甲4,5),そこで,控訴人らは,同年12月18日,仙台国税局長に対し,本件各更正処分等について異議申立てをしたものの,3か月を経過しても異議決定がされなかったため,平成27年4月9日,裁決行政庁に対し,本件各更正処分等について審査請求をしたこと,他方,処分行政庁は,本件各更正処分等における理由附記に不備があったことを理由として,同年11月24日付けで,控訴人らに対し,課税価格及び納付すべき相続税額を本件各申告の額と同額とする本件各相続税の各再更正処分及び重加算税の額を零円とする各変更決定処分(本件各再更正処分等)をしたこと(甲24,25),上記理由附記の不備とは,控訴人ら宛ての本件各更正処分等に係る相続税の更正通知書及び重加算税賦課決定通知書(甲4,5)において,「控訴人Aにおいて,本件相続に係る相続財産の一部について,これらが相続財産であることを知りながら隠蔽 ら宛ての本件各更正処分等に係る相続税の更正通知書及び重加算税賦課決定通知書(甲4,5)において,「控訴人Aにおいて,本件相続に係る相続財産の一部について,これらが相続財産であることを知りながら隠蔽し,相続財産として申告していなかったと認められることから,これらの行為は国税通則法70条4項に規定する『偽りその他不正の行為により税額を免れた場合』に該当する。」旨の記載を欠いていたこと並びに相続財産に係る物件所在地,金融機関名及び口座番号の各記載の一部がそれぞれ誤っていたことであること(甲4,5,24ないし27),処分行政庁は,同日付けで,控訴人らに対し,課税価格及び納付すべき相続税額並びに重加算税の額を本件 各更正処分等の額と同額とする本件各再々更正処分等をしたこと(甲26,27),控訴人らは,平成28年12月19日,東京地方裁判所に対し,本件各再々更正処分等の取消しを求める別件訴訟(同裁判所平成28年(行ウ)第583号)を提起したこと(甲59,60)等の事実が認められる。 以上によると,本件各再更正処分等がされたことにより,本件各更正処分等は取り消されたものと認められる。なお,いったん更正した課税価格及び納付すべき相続税額を確定申告の額と同額まで減額する再更正処分をすることが違法とはいえないし,当該再更正処分をする目的が,更正の理由附記に不備があったことから,これをいったん取り消した上,改めてその理由を補完した再々更正処分をすることであったとしても,更正権を濫用したものということはできない。また,控訴人らのした本件各申告等は,国税通則法70条4項に規定する『偽りその他不正の行為により税額を免れた場合』に該当するから,本件各相続税の法定申告期限から7年を経過する日までにされた本件再更正処分等について,除斥期間を経過した後に 通則法70条4項に規定する『偽りその他不正の行為により税額を免れた場合』に該当するから,本件各相続税の法定申告期限から7年を経過する日までにされた本件再更正処分等について,除斥期間を経過した後にされた瑕疵は認められない。そうすると,控訴人らが指摘するような重大明白な瑕疵は認められないから,本件再更正処分等が更正処分としての効力を有しない法的に無効な行為とはいえない。 したがって,本件各更正処分等の取消しの訴えの利益は失われたものというべきである(昭和42年最判参照)。 (3) よって,控訴人らの前記(1)の主張は採用できない。 3 以上のとおりであるから,当裁判所の上記判断と同旨の原判決は正当であって,本件各控訴はいずれも理由がない。 よって,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第12民事部 裁判長裁判官杉原則彦 裁判官山口均 裁判官渡邊和義
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