主文 1 差戻し前第1審判決中、差戻しに係る部分を次のとおり変更する。 2 控訴人は、被控訴人に対し、22万1825円及びこれに対する平成30年11月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被控訴人のその余の請求を棄却する。 4 差戻しに係る部分の訴訟費用は、差戻し前の第1審、控訴審及び上告審並びに差戻し後の控訴審を通じてこれを10分し、その3を控訴人の負担とし、その余は被控訴人の負担とする。 5 この判決は、第2項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 差戻し前第1審(以下「1審」という。)判決中、差戻しに係る部分を取り消す。 2 前項の部分につき、被控訴人の請求を棄却する。 第2 事案の概要等(以下、特に断らない限り、略称は1審判決の例による。) 1 請求当審で審理の対象となっている本件本訴請求は、控訴人に雇用されていた被控訴人が、控訴人に対し、労働契約に基づき、時間外労働、休日労働及び深夜労働に対する賃金として82万7948円及びこれに対する退職日の翌日である平成30年 11月1日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。 以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるなどするものである(以下、本件本訴請求中、賃金の支払を求める部分について記載する。)。 控訴人は、被控訴人が事業場外でした業務の一部(具体的には、被控訴人が1日8時間を超える労働があったと主張する日の中で、本判決別紙「裁判所時間シー ト」の「備考」欄に「指示あり」、「同行」又は「内勤」と記載がある日を除いた 日に従事した業務。以下「本件業務」という。)については、労働基準法38条の2第1項(以下「本 時間シー ト」の「備考」欄に「指示あり」、「同行」又は「内勤」と記載がある日を除いた 日に従事した業務。以下「本件業務」という。)については、労働基準法38条の2第1項(以下「本件規定」という。)にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるため、被控訴人は所定労働時間労働したものとみなされるなどと主張している。 2 差戻し前の審理の経過1審は、本件本訴請求中、賃金の支払を求める部分につき、29万6080円及 びこれに対する平成30年11月1日から支払済みまでの遅延損害金の支払を命じる限度で認容した。 控訴人及び被控訴人は、これを不服としてそれぞれ控訴を提起したが、差戻し前控訴審(福岡高等裁判所令和4年(ネ)第595号)は、賃金の支払を求める部分に関する上記各控訴をいずれも棄却した。同控訴審は、本件規定の適用の可否につ いて、要旨、被控訴人の業務の性質、内容等からみると、控訴人が被控訴人の労働時間を把握することは容易でなかったものの、控訴人は、被控訴人が作成する業務日報(以下「本件業務日報」という。)を通じ、業務の遂行の状況等について報告を受けており、①その記載内容につき実習実施者等への確認が可能であること、②控訴人自身が本件業務日報の正確性を前提に時間外労働の時間を算定して残業手当 を支払う場合もあったことを指摘した上で、その正確性が担保されていたなどと評価し、もって本件規定の適用を否定した。 そこで、控訴人がこれを不服として上告及び上告受理の申立てをしたところ、上告審(最高裁令和5年(受)第365号)は、差戻し前控訴審が、本件業務日報の正確性の担保に関する具体的な事情を十分に検討することなく、本件業務日報によ る報告のみを重視して、本件業務につき本件規定にいう「労働時間を算定し難いとき」に 差戻し前控訴審が、本件業務日報の正確性の担保に関する具体的な事情を十分に検討することなく、本件業務日報によ る報告のみを重視して、本件業務につき本件規定にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるとはいえないとしたものであり、このような差戻し前控訴審の判断には、本件規定の解釈適用を誤った違法があるとして、差戻し前控訴審判決中、賃金の支払を求める部分に関する控訴人敗訴部分を破棄し、同部分につき、これを当審に差し戻した。 したがって、差戻しに係る当審の審理の対象は、本件本訴請求中、賃金の支払を 求める部分に関する控訴人敗訴部分である。 3 前提事実、争点及びこれに対する当事者の主張次のとおり補正し、後記4のとおり当審における当事者の補充主張を付加するほかは、1審判決「事実及び理由」欄の「第2章事案の概要」の第1から第3の1まで(1審判決3頁16行目から16頁9行目まで。ただし7頁5行目から11行 目までを除く。)に記載のとおりであるから、これを引用する。 (1審判決の補正)(1) 1審判決4頁10行目の「被告A」を「A」に、13行目の「被告B」を「B」にそれぞれ改める。以下、引用する1審判決中の「被告A」は「A」と、「被告B」は「B」とそれぞれ読み替える。 (2) 1審判決6頁11行目の「休日」を「休日出勤」に改める。 4 当審における当事者の補充主張(1) 控訴人の主張ア実習実施者等への業務内容の確認の可否本件業務日報は、簡易な記載を毎月末に求めるものにすぎず、その記載内容自体 から、被控訴人の具体的な業務内容を把握するのはおよそ困難である。仮に、所属長が本件業務日報の月末提出後にその記載内容の虚偽を疑っても、実習実施者等が、特定日に控訴人の職員がいつ何をしていたかを書面に残 、被控訴人の具体的な業務内容を把握するのはおよそ困難である。仮に、所属長が本件業務日報の月末提出後にその記載内容の虚偽を疑っても、実習実施者等が、特定日に控訴人の職員がいつ何をしていたかを書面に残すことはないから、実効的な確認は期待し難い。よって、実習実施者等に確認する方法につき、現実的な可能性や実効性等があるとは認められない。なお、訪問指導記録は、本件業務日報の内 容とほぼ整合しておらず、その正確性を担保しているものではない。 イ本件業務日報の正確性を前提にした残業手当の支払の有無控訴人は、本判決別紙「裁判所時間シート」の「備考」欄に「指示あり」と記載がある日の業務(以下「指示あり業務」という。)については上司が業務前に行う指示内容等により、同「同行」と記載がある日の業務(以下「同行業務」とい う。)については上司等が業務に同行したことにより、それぞれ、当該業務部分の み業務内容を把握できるから、その部分に限って、本件規定を適用せず、実労働時間に応じた賃金を支払った。なお、上記「備考」欄に「内勤」と記載がある日の業務(以下「内勤業務」という。)については、そもそも本件規定にいう「事業場外で業務に従事した場合」に当たらず、また、上司等が事業場内において被控訴人の業務内容を把握できるから、本件規定を適用せず、実労働時間に応じた賃金を支払 った。いずれについても、本件業務日報の正確性を前提に、これに基づいて残業手当を支払っていたものではない。 ウ以上によれば、本件業務日報の正確性が担保されていたとはいえず、これによって被控訴人の労働時間を把握することは困難である。そうすると、本件業務につき本件規定の「労働時間を算定し難いとき」の要件は肯定される。 (2) 被控訴人の主張ア本件業務日報の正確性 よって被控訴人の労働時間を把握することは困難である。そうすると、本件業務につき本件規定の「労働時間を算定し難いとき」の要件は肯定される。 (2) 被控訴人の主張ア本件業務日報の正確性の存在控訴人は、本件業務日報について、提出後に誤りがあれば逐一訂正したり、「指示あり」、「直行」、「直帰」等の書き込みをしたりするなど事細かにチェックしていた。また、控訴人は、法律に定める訪問指導を実施する際には、被控訴人に対 して訪問指導記録の提出を義務付けており、これも同様にチェックしていた。これらを考慮すると、本件業務日報の正確性は十分担保されていたといえる。 イ本件業務日報の正確性を前提にした残業手当の支払の存在控訴人のいう指示あり、同行及び内勤の各業務がある日に、被控訴人の労働時間(始業・終業時間、残業時間)を把握した根拠となるものは明らかにされていない。 同行業務があるとされている日の多くは、1日中同行しているわけではないので、同行した時間帯は把握できても、それ以外の労働時間は本件業務日報以外では把握しようがない。指示あり業務及び内勤業務があるとされている日についても同様のことがいえる。また、指示あり業務については、本件業務日報に指示があったことを裏付ける記載がない日があり、仮に指示があったとしても、細かく労働時間を計 算できるような指示ではなかった。そうすると、結局は、本件業務日報記載の労働 時間を基にしないと、これら各業務がある日の労働時間を正しく算定できないといえ、それに基づいた残業手当の支払がされている。控訴人の主張は、控訴人が管理したり把握したりしていた実態と食い違っており、到底認められない。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は、被控訴人の本件本訴請求中、賃金の支払を求める部分につき、 いる。控訴人の主張は、控訴人が管理したり把握したりしていた実態と食い違っており、到底認められない。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は、被控訴人の本件本訴請求中、賃金の支払を求める部分につき、 控訴人に対し、22万1825円及びこれに対する退職日の翌日である平成30年11月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を命じる限度で理由があると判断する。その理由は、次のとおりである。 2 認定事実1審判決「事実及び理由」欄の「第3章当裁判所の判断」の第1の1(1審判 決25頁2行目から31頁9行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、1審判決30頁の25行目から31頁2行目までを次のとおり改める。 「カ訪問指導記録キャリア職員は、実習実施者を訪問、巡回した際に、訪問日及び訪問時間等を記載した訪問指導記録を作成し、実習実施者又は実習生に署名してもらった上で、控 訴人に提出していた(乙380〔枝番を含む。〕、1審被告A17頁・18頁・35頁)。」 3 争点(1)に先立ち、まず、争点(2)以下から判断する。 4 争点(2)(事業場外労働のみなし制の適用)について(1) 前記2で補正後引用した認定事実(以下「認定事実」という。)によれば、 本件業務は、実習実施者に対する訪問指導のほか、合理的に要する時間がケースバイケースとなる実習生の送迎、生活指導や急なトラブルの際の通訳等、多岐にわたるものであった。また、被控訴人は、本件業務に関し、訪問の予約を行うなどして自ら具体的なスケジュールを管理しており、所定の休憩時間とは異なる時間に休憩をとることや自らの判断により直行直帰することも許されていたものといえ、随時 具体的に指示を受けたり報告をしたりすることもなかったもの ジュールを管理しており、所定の休憩時間とは異なる時間に休憩をとることや自らの判断により直行直帰することも許されていたものといえ、随時 具体的に指示を受けたり報告をしたりすることもなかったものである。 このような事情の下で、業務の性質、内容やその遂行の態様、状況等、業務に関する指示及び報告の方法、内容やその実施の態様、状況等を考慮すれば、被控訴人が担当する実習実施者や1か月当たりの訪問指導の頻度等が定まっていたとしても、控訴人において、被控訴人の事業場外における勤務の状況を具体的に把握することが容易であったとはいえない。 (2)アこの点について、被控訴人は、本件業務日報の正確性が担保されており、控訴人がその正確性を前提に残業手当を支払う場合もあったことなどから、控訴人は、キャリア職員の勤務状況を把握し、監督していたのであり、本件規定にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるとはいえないと主張する。 イそこで検討するに、本件業務日報は、被控訴人自身が、始業時間、終業時間、 休憩時間のほか、行き先、面談者及び内容と共にそれぞれの業務時間を記載した上で、毎月月末までに控訴人に提出することを求められていたものであり、いわば自己申告としての意味を有するものである。 控訴人においてその記載の正確性を確認可能かどうかについてみると、前記のとおり、被控訴人は、本件業務に関し、自ら具体的なスケジュールを管理し、控訴人 から随時具体的に指示を受けたり報告をしたりすることもなかったものであるから、控訴人が本件業務日報による申告の内容の真実性を確認するために事前に得られる情報は限られており、そもそも申告された内容につき疑義のある点を抽出することが困難である。そして、証拠(乙2~331、335~341)によれば、本件業務 の内容の真実性を確認するために事前に得られる情報は限られており、そもそも申告された内容につき疑義のある点を抽出することが困難である。そして、証拠(乙2~331、335~341)によれば、本件業務日報に記載された訪問先は、多数の実習実施者・実習生の所在場所、医療機関、 役所等多岐にわたっており、これらの訪問先が被控訴人の訪問日、時間等を子細に記録し、保管しているとは通常うかがわれないから、控訴人において実習実施者等に確認するという方法の現実的な可能性や実効性等は乏しいものといわざるを得ないし、控訴人が、本件業務日報の正確性について、現に実習実施者等に確認していたことをうかがわせる具体的な事情もない。 なお、認定事実(5)カのとおり、本件業務日報のほかに、控訴人の職員は、実習 実施者を訪問等した際に、訪問指導記録を作成していたことが認められる。しかし、これは、法律上の義務である訪問指導を履行していることを記録するにとどまり、職員の勤務の状況を具体的に把握できるようなものとは認められない上、証拠(乙68~88、380〔枝番を含む。〕)によれば、本件業務日報と訪問指導記録は、訪問先の実習実施者や訪問時間等の記載に多々食い違いがあり、また、本件業務日 報に記載された訪問先全てについて訪問指導記録が作成されていたともうかがわれないから、訪問指導記録をもって本件業務日報の正確性が客観的に担保されるものとはいえない。 ウ他方で、支給明細書上の残業時間(前記前提事実4)のほか、1審判決別紙「被告労働時間算定表」における控訴人の支払済み手当の残業時間等の計算を併 せて見ると、控訴人は、本件業務日報に基づいて残業時間を算出して残業手当を支払う場合もあったと認められる。 この点について、控訴人は、指示あり業務については 払済み手当の残業時間等の計算を併 せて見ると、控訴人は、本件業務日報に基づいて残業時間を算出して残業手当を支払う場合もあったと認められる。 この点について、控訴人は、指示あり業務については、上司が業務前に行う指示内容等により、同行業務については、上司等が業務に同行したことにより、当該業務部分のみ業務内容を把握でき、また、内勤業務については、そもそも本件規定に いう「事業場外で業務に従事した場合」に当たらず、上司等が事業場内において被控訴人の業務内容を把握できるから、本件規定を適用せず、実労働時間に応じた賃金を支払ったものであると主張する。なお、控訴人は、その主張に係る指示あり業務及び同行業務に従事した時間が1日の一部にとどまる場合であっても、その余の事業場外で従事した業務の時間も併せて1日当たりの残業時間を算出していること がうかがわれるほか、本件において、本件業務日報以外に被控訴人の労働時間を把握し得る資料が存在するとは認められず、控訴人は、指示あり、同行及び内勤業務がある日については、結局のところ、本件業務日報に基づいて1日の労働時間を算定していたものと認められる。 しかしながら、控訴人が上記の限度で本件業務日報に基づいて残業時間を算定し ていたことのみをもって、本件業務日報全体の正確性が客観的に担保されていたと 評価することはできない。前記イで説示したところに照らせば、被控訴人が事業場外で従事した本件業務については、控訴人が、被控訴人の勤務の状況全般を、本件業務日報により具体的に把握することがなお困難であったことには変わりがないものと認められる。 エ以上に対し、被控訴人は、本件業務日報について、控訴人が、提出後に誤り があれば逐一訂正したり、「指示あり」、「直行」、「直帰」等の書き込みを あったことには変わりがないものと認められる。 エ以上に対し、被控訴人は、本件業務日報について、控訴人が、提出後に誤り があれば逐一訂正したり、「指示あり」、「直行」、「直帰」等の書き込みをしたりするなど事細かにチェックしていたことからすると、本件業務日報の正確性は十分担保されていたと主張する。しかし、被控訴人が指摘する訂正部分は、単なる誤記の訂正であるとうかがわれ、控訴人が本件業務日報以外の客観的資料を基にしたり、実習実施者等に確認したりするなどして、これらの訂正をしたものとは認めら れない。また、「指示あり」の記載については、前記ウで説示したところからすれば、これらの書き込みがされた日があることをもって、当該日は別として、本件業務日報全体の正確性が客観的に担保されているとはいえない。さらに、「直行」、「直帰」の書き込みについては、被控訴人の直行直帰の有無自体については、被控訴人が事業所に立ち寄ったか否かによって容易に把握できるものであるが、そのこ とをもって、被控訴人がその当日に事業所外で従事した業務の状況を、控訴人において具体的に把握できたことと直ちに結び付くものではない。したがって、被控訴人の上記主張は採用できない。 (3) 以上によれば、本件業務に関し、控訴人において、被控訴人の事業場外における勤務の状況を具体的に把握することが容易であったとはいえず、本件業務日報 による報告によって、これを把握することが可能になるものともいえない。そうすると、本件業務については、控訴人において被控訴人が労働に従事した時間を把握することが困難であったというべきであり、本件規定にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるものと認めるのが相当である。 5 争点(3)(移動時間の労働時間該当性等)について 1審判決 握することが困難であったというべきであり、本件規定にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるものと認めるのが相当である。 5 争点(3)(移動時間の労働時間該当性等)について 1審判決「事実及び理由」欄の「第3章当裁判所の判断」の第1の4(1審判 決38頁8行目から41頁末尾まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 ただし、38頁25行目から26行目にかけて、39頁2行目、11行目、21行目、40頁21行目、41頁8行目、11行目の各「前記1」を「認定事実」に改め、41頁5行目の「前記1の」を削除する。 6 争点(4)(時間外労働の有無)について (1) 控訴人の労働時間を認定する資料としては、本件業務日報以外には存在せず、控訴人から特段の反証もないことからすると、基本的には、本件業務日報を基礎として労働時間を認定するのが相当である。他方で、前記4で認定説示したとおり、本件業務については本件規定が適用される。 (2) そして、これまでの判示に加え、証拠(甲21の6頁、甲22の6頁、乙2 ~331、342)及び弁論の全趣旨によれば、被控訴人の労働時間は、1審判決が認定した1審判決別紙「裁判所時間シート」記載のうち、1日8時間を超える労働がある日の中で、本判決別紙「裁判所時間シート」の「備考」欄に「指示あり」、「同行」又は「内勤」と記載がある日を除いた日(本件業務に従事した日)につき、本件規定の適用により所定労働時間である午前9時から午後6時まで(休 憩1時間)の8時間労働したものとみなされることによる補正を加えるのが相当である。ただし、平成30年8月19日については、控訴人が深夜手当を支払っていることから、深夜手当分が算出されるよう始業、終業時刻の記載を修正している。 補正を加えた日は による補正を加えるのが相当である。ただし、平成30年8月19日については、控訴人が深夜手当を支払っていることから、深夜手当分が算出されるよう始業、終業時刻の記載を修正している。 補正を加えた日は、次のとおりである。 ① 平成29年 8月19日、同月25日、9月22日、11月30日② 平成30年1月10日、同月15日、同月30日、2月15日、3月9日、同月26日、5月12日、同月13日、同月17日、6月19日、7月5日、同月17日、同月19日、同月20日、同月24日、同月26日、同月27日、8月1日、同月9日、 同月16日、同月19日、同月20日、同月28日、同月30日、9月12日、同 月14日、同月18日、同月19日、同月20日、同月25日以上によれば、平成29年7月から平成30年9月までの被控訴人の労働時間は、本判決別紙「裁判所時間シート」記載のとおり認めるのが相当である。 なお、平成29年10月3日の本件業務日報(乙75)の終業時刻欄には「17:15」と記載されているが、同日は直行ではなく事務所に立ち寄って帰宅して おり、終業時刻は18時15分と認められる。また、平成30年4月4日の始業時刻は12時10分、終業時刻は19時35分と認められる(甲21の6頁、甲22の6頁)。さらに、同月8日の始業時刻は11時00分(弁論の全趣旨)と認められる一方、終業時刻については、本件業務日報(乙6)記載の14時45分から14時55分までの時間帯に、被控訴人はレストランにいたものであり(乙342)、 同時間帯に業務をしていたとは認められないことから、終業時刻を13時45分と認めるのが相当である。 また、控訴人は、1審判決別紙「被告労働時間算定表」備考欄に「非労働時間」とある日は、本件業務日報に具体 に業務をしていたとは認められないことから、終業時刻を13時45分と認めるのが相当である。 また、控訴人は、1審判決別紙「被告労働時間算定表」備考欄に「非労働時間」とある日は、本件業務日報に具体的に記載された各時間の間に何をしていたか全く不明の時間がある日である旨主張するが、多数にわたる「非労働時間」があるとい うのに、被控訴人に対して特段の注意や指摘などをした形跡はなく、前記のとおり控訴人からこの点に関する特段の反証もないことなどからすれば、控訴人の主張を採用することはできない。 7 争点(5)(固定残業代の支払)について次のとおり補正するほかは、1審判決「事実及び理由」欄の「第3章当裁判所 の判断」の第1の6(1審判決42頁25行目から45頁3行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 (1審判決の補正)(1) 1審判決43頁3行目から4行目にかけての「最高裁」の後に「昭和」を加える。 (2) 1審判決44頁8行目冒頭から同45頁3行目末尾までを次のとおり改める。 「(2) 本件についてみると、前記前提事実のとおり、被控訴人の入社時に控訴人が交付した労働条件通知書(甲4)には、基本給として月給16万円、相談対応手当として2万円が賃金として支給される旨が記載されており、相談対応手当が割増賃金の趣旨で支払われる旨の記載はなく、被控訴人に対し、相談対応手当が割増賃金の趣旨である旨の説明がされたこともうかがわれない。そうすると、被控訴人と 控訴人の労働契約において、相談対応手当が割増賃金の趣旨で支払われることが合意されていたと認めることはできない。また、平成28年12月1日改訂前の控訴人の就業規則にも、相談対応手当が割増賃金の趣旨である旨の定めはなかった(乙367)。 以上によ 趣旨で支払われることが合意されていたと認めることはできない。また、平成28年12月1日改訂前の控訴人の就業規則にも、相談対応手当が割増賃金の趣旨である旨の定めはなかった(乙367)。 以上によれば、被控訴人に対して相談対応手当が時間外労働等に対する対価とし て支払われたとは認められず、控訴人の固定残業代に係る主張は採用することができない。 なお、平成28年12月1日改訂後の本件就業規則56条3項においては、相談対応手当の全額を超過勤務手当として取り扱うものと規定されているものの、本件において、相談対応手当が超過勤務手当として取り扱われることになれば、被控訴 人に与える影響が大きいと考えられること、それにもかかわらず、控訴人から、被控訴人に対して、相談対応手当の性質が変わることや、相談対応手当が何時間分の時間外労働に対応するものであるかといった点について具体的な説明がされたことを認めるに足りる的確な証拠はないことなどに照らすと、本件就業規則の上記定めは、上記結論を左右するものとはいえない。」 8 争点(6)(管理監督者該当性)について1審判決「事実及び理由」欄の「第3章当裁判所の判断」の第1の7(1審判決45頁4行目から46頁10行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、45頁13行目から14行目にかけての「前記1」を「認定事実」に改める。 9 争点(7)(未払賃金額)について 次のとおり補正するほかは、1審判決「事実及び理由」欄の「第3章当裁判所の判断」の第1の8(1審判決46頁11行目から48頁8行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 (1審判決の補正)(1) 1審判決47頁13行目の「前記6」を「前記7」に改める。 (2) 1審判決4 決46頁11行目から48頁8行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 (1審判決の補正)(1) 1審判決47頁13行目の「前記6」を「前記7」に改める。 (2) 1審判決47頁26行目、48頁4行目及び6行目の各「別紙」をいずれも「本判決別紙」に改める。 (3) 1審判決48頁7行目の「29万6080円」を「22万1825円」に改める。 結論 よって、争点(1)について判断するまでもなく、被控訴人の本件本訴請求中、賃金の支払を求める部分については、前記1の限度で理由があり、その余の請求は理由がない。 したがって、控訴人の本件控訴は一部理由があるから、これに基づき1審判決中、差戻しに係る部分を主文のとおり変更することとする。 福岡高等裁判所第1民事部 裁判長裁判官高瀬順久 裁判官古川大吾 裁判官高山慎
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