【DRY-RUN】主 文 一 被告池本興業株式会社は、原告A、同B、同C、同D、同E及び同F(この六 名を以下「原告Aら六名」という。)に対し、別紙賃金目録四の同原告らに対応す る②欄記載の各金員をそれぞれ支払え。
主文 一被告池本興業株式会社は、原告A、同B、同C、同D、同E及び同F(この六名を以下「原告Aら六名」という。)に対し、別紙賃金目録四の同原告らに対応する②欄記載の各金員をそれぞれ支払え。 二被告中央生コンクリート株式会社、同G、同Hは、各自、原告Aら六名に対し、別紙賃金目録四の同原告らに対応する③欄記載の各金員及びこれに対する昭和五九年二月二日から完済に至るまで年五分の割合による金員をそれぞれ支払え。 三原告Aら六名のその余の各請求及び原告Iの各請求をいずれも棄却する。 四訴訟費用は、原告Aら六名と被告らとの間では、これを三分し、その一を被告ら、その余を原告Aら六名の負担とし、原告Iと被告らとの間では、全部同原告の負担とする。 五この判決の第一・二項は仮に執行することができる。 事実 第一当事者の申立て一原告ら 1 原告らが被告中央生コンクリート株式会社(以下「被告生コン」という。)に対し雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 2 主文第一項と同旨 3 主文第二項と同旨 4 被告生コン、同G(以下「被告G」という。)、同H(以下「被告H」という。)は、各自、原告らに対し、別紙賃金目録(以下「目録」という。)五及び六の原告らに対応する金額欄記載の各金員及び同五記載の各金員に対する昭和五九年二月二日から、同六記載の各金員に対する昭和六二年九月四日から各完済に至るまで年五分の割合による金員並びに昭和六二年九月から被告生コンが原告らを就労させるに至るまで毎月五日限り目録一の原告らに対応する金額欄記載の各金員をそれぞれ支払え。 5 訴訟費用は被告らの負担とする。 6 2ないし4につき仮執行の宣言。 二被告ら 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 第二当事者の主張 をそれぞれ支払え。 5 訴訟費用は被告らの負担とする。 6 2ないし4につき仮執行の宣言。 二被告ら 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 第二当事者の主張(原告らの請求原因)一当事者関係 1 被告池本興業株式会社(以下「被告興業」という。)は、建設材料の販売等を目的として昭和四五年八月三一日に設立された会社であり、主として砂利販売業を営んでいた。被告生コンは、生コンクリートの製造販売運搬等を目的として昭和五〇年九月二九日に設立された会社である。被告興業と被告生コン(以下「被告両社」という。)は、被告生コンにおいてコンクリートミキサー車(以下「ミキサー」という。)の運転手を必要とする場合に、被告興業が、自社の雇用している運転手を被告生コンに派遣する、との契約(以下「派遣契約」という。)を締結していた。 2 被告Gは、被告興業の代表取締役(社長)を務めていたものであり、被告生コンの取締役でもある。被告Hは、被告興業の専務取締役を務めていたものであり、被告生コンの代表取締役(社長)でもある。 3 原告らは、昭和五五年以前から被告興業に雇用され、ダンプカーあるいはミキサーの運転手として稼働してきた。 二派遣契約の解除、解散解雇等 1 被告生コンは、昭和五六年七月一八日、被告興業に対し、同月三一日をもって派遣契約を解除する旨通告し、同年八月一日以降、ミキサー運転に従事していた原告Aら六名の就労を拒否した。そして、被告興業は、右解除通告を承諾した上、原告Aら六名に対し、解除により当面従事させるべき業務がなくなったとして、同年八月一日以降業務命令があるまで休職とする旨の自宅待機(就業規則に基づき平均賃金の六割を支給)を命じ、その後、ダンプカー乗務を命じたのに原告Aら六名がこれに従わなかったことを理由に、六 として、同年八月一日以降業務命令があるまで休職とする旨の自宅待機(就業規則に基づき平均賃金の六割を支給)を命じ、その後、ダンプカー乗務を命じたのに原告Aら六名がこれに従わなかったことを理由に、六日間の出勤停止処分をした。 2 原告Aら六名は、昭和五六年九月二一日、被告両社に対し従業員として取り扱うべきこと及び未払賃金の仮払い等を求める仮処分申請をし(高知地方裁判所同年ヨ第一七四号)、昭和五八年五月二三日、被告両社は原告Aら六名を被告興業から被告生コンに派遣されているミキサーの運転手(派遣従業員)として取り扱うべき旨及び被告興業は原告Aら六名に対し未払賃金を仮に支払うべき旨の判決が言い渡された。そこで、原告らの所属する高知一般労働組合香長支部(以下「香長支部」という。)が、同月二六日、被告興業と団体交渉をし、右判決に従うよう求めたところ、被告Gからすぐには応じられないとの意向が示されたため、原告Aら六名は、右判決に基づき、被告興業の取引先四社に対する売掛金債権を差し押さえた。 ところが、被告興業は、同年六月四日開催の株主総会において、右差押えのため取引先から今後の取引を拒否され事業の継続が不可能となったことを理由に解散の決議をし、原告らに対し、解雇する旨の意思表示をして、営業を廃止した。そして、被告生コン(被告H)は、右判決に従わず、引き続き原告らの就労を拒否している。 三法人格否認による雇用関係の承継 1 被告Gと被告H(以下「被告GH両名」という。)は、兄弟であり、昭和三〇年ころから共同して砂利販売業を始め、約三年後に被告Hが転職したが、昭和四三年ころから再び共同で営むようになり、これを会社組織で継続することとして、被告興業を設立した。被告興業は、生コンクリート会社二社に砂利を販売していたが、昭和四八年九月ころから、その二社と取引が 四三年ころから再び共同で営むようになり、これを会社組織で継続することとして、被告興業を設立した。被告興業は、生コンクリート会社二社に砂利を販売していたが、昭和四八年九月ころから、その二社と取引ができなくなったため、被告GH両名は、被告興業の砂利の販売先を確保すべく、被告生コンを設立した。そして、被告興業の被告生コンに対する砂利の販売量は、被告生コン設立当初には全販売量の約六割であり、昭和五六年度には同じく八割ないし八割五分に上っていた。 2 被告興業の株主及び出資割合は、被告Gが六割、被告Hが二割、被告Gの妻Jが一割、同人の弟Kが一割であり、役員は、被告Gが代表取締役、被告Hが専務取締役、被告Gの妻子三名が取締役であった。そして、被告興業の主たる日常業務は、これを被告Gから任せられた被告Hが行っていた。 3 被告生コンの株主及び出資額(総額二〇五〇万円)は、被告H、その妻L、被告G、その妻Jが各三〇〇万円、被告GH両名のいとこMが二〇〇万円、Lの父Nが五〇万円、Oが三〇〇万円、P、Q及びRが各一〇〇万円であって、被告GH両名及びその親族で七割以上を占めており、役員は、被告Hが代表取締役、被告G、J、L、M、O、P、R及びQが取締役、Nが監査役である。そして、被告H以外の取締役はすべて非常勤であって、被告生コンの経営は被告Hが単独で行っている。 4 被告両社は、同じ場所(被告G所有の建物内)に本店を置いている上、その周辺の土地(被告GH両名所有)を社用地としており、被告GH両名に対し、その土地建物の賃借料として、収益の一部を分配している。 5 被告興業の従業員は、事務員とダンプカーの運転手であったが、被告生コン設立後は派遣用ミキサー運転手が加わり、他方、被告生コンの従業員は、事務員と生コンクリート製造技術者であり、ミキサー運転手については 告興業の従業員は、事務員とダンプカーの運転手であったが、被告生コン設立後は派遣用ミキサー運転手が加わり、他方、被告生コンの従業員は、事務員と生コンクリート製造技術者であり、ミキサー運転手については、派遣契約により、被告興業から派遣を受けていた。そして、ミキサーの運転手は、被告興業に雇用されているものであるが、現実には被告生コンのミキサー運転に従事するため、これに対する指揮監督は、被告Hが被告生コンの工場長(前記M)及び配車係を介して行い、その採用面接等も、被告H又はMが行っていた。また、ダンプカーの運転手に対する指揮監督は、被告Hが直接行っていた。 6 以上の事実によれば、被告両社は、社会的にみて単一体であると評価できる実質を有するものであり、その経営は、被告Gから任されて被告Hが行ってきたもので、被告GH両名の意向により自由に操作できる状態にあるから、被告GH両名が被告両社の完全な支配者であることが明らかであるところ、被告GH両名は、後述のように、不当労働行為意思をもって、前記の派遣契約解除から被告興業の解散及び原告らの解雇に至る一連の違法行為を行っているので、被告興業と被告生コンに法形式上個別に与えられた法人格を違法目的のために濫用したものというべきである。したがって、原告らとの雇用契約関係については、不当労働行為が開始された昭和五六年八月一日の時点で、被告興業の法人格を否認し、これと社会的単一体である被告生コンを被告興業と法律上同一人格とみなし、原告らと被告生コンとの間にも、被告興業との間に存する雇用契約関係を認めるべきであり、また、被告興業が解散し原告らを解雇した昭和五八年六月四日以降、被告生コンが右雇用契約関係を承継したものというべきである。 四賃金請求権 1 原告らの賃金は、月払いの日給制で、毎月五日に前月分を支払う約定で 興業が解散し原告らを解雇した昭和五八年六月四日以降、被告生コンが右雇用契約関係を承継したものというべきである。 四賃金請求権 1 原告らの賃金は、月払いの日給制で、毎月五日に前月分を支払う約定であった。 2 原告Aら六名の昭和五六年五月から同年七月まで三か月間、原告Iの昭和五八年三月から同年五月まで三か月間の各平均賃金の日額はそれぞれ目録二記載のとおりであるから、月額については、一か月を三〇日とし、そのうち四日を休日とみて、右日額に二六日を乗じて算出するのが相当であり、その額は目録一記載のとおりである。 3 目録三の1ないし4記載の金額は、原告Aら六名の昭和五六年八月一日から同年一一月三〇日までの賃金で、各①欄は既に被告興業から支払われた金額、②欄は未払額である。この未払額と昭和五六年一二月一日から昭和五八年六月四日までの賃金との合計額が目録四の①欄記載の金額であり、同②及び③欄記載の金額は右合計額の内金である。 4 目録五記載の金額は、原告らの昭和五八年六月五日から同月三〇日までの賃金であり、目録六記載の金額は、同年七月一日から昭和六二年七月三一日までの賃金の合計額である。 五不当労働行為(不法行為) 1 被告興業の賃金・一時金は低額であり、また、被告両社における労働時間は長く、法定積載量違反を強要されるなど、原告らの労働条件は劣悪であった。そのため、原告らを含む被告興業の従業員ら(ダンプカー運転手及びミキサー運転手)らは、代表者を選出して、被告Hと労働条件の改善について交渉を重ねたが、力が弱く被告Hの思うがままになっていたので、労働組合を結成して労働条件の改善を図るしかないと考え、昭和五六年六月二八日、香長支部を結成し、原告Aを支部長、同Bを書記長に選任した。 2 香長支部は、結成後直ちに、被告Hに対し、夏季一時金の支給及び労働 を結成して労働条件の改善を図るしかないと考え、昭和五六年六月二八日、香長支部を結成し、原告Aを支部長、同Bを書記長に選任した。 2 香長支部は、結成後直ちに、被告Hに対し、夏季一時金の支給及び労働協約の締結について団体交渉を申し入れたところ、被告Hは、それまでは右従業員との交渉に当たってきたのに、「自分は被告生コンの代表者であって、被告興業の代表者ではないから、被告興業から派遣されているミキサー運転手との団体交渉には応じられない。従前は、被告興業の代表者である被告Gが多忙であったため、専務取締役である自分が被告Gに代わって交渉に当たってきたにすぎない。」と述べ、交渉に応じなかった。そこで、香長支部は、被告Gに申し入れ、昭和五六年七月九日及び同月一四日に団体交渉をもったが、物別れとなったので、同月一六日から時間外労働拒否の組合活動を行い、同月二〇日、三回目の団体交渉で夏季一時金につき妥結をみたことから、時間外労働の拒否闘争をやめた。 3 ところが、突然、前記のとおり、被告生コンは、派遣契約を解除して、昭和五六年八月一日以降、原告Aら六名の就労を拒否し、被告興業も、右解除を承諾して、原告Aら六名に対し、自宅待機を命じた。 被告生コンは、派遣契約解除の理由を、「ミキサー運転手が、再三にわたる制止にもかかわらず、休憩時間中等に被告生コンの電話を利用して競輪競馬のノミ行為に関与したり、自家用車で出勤しながら、終業時に近くの店から酒類を買い入れて被告生コンの休憩室で飲酒した上、車を運転して帰宅するなどしたため、被告生コンの信用の失墜はもとより防火上の危険をも考慮せざるをえなくなった。」としているが、これは口実にすぎない。 すなわち、休憩室での飲酒は、被告Hが被告生コンでの稼働者に酒を振舞うことがしばしばあって、稼働者全員がしていたことである。飲 をも考慮せざるをえなくなった。」としているが、これは口実にすぎない。 すなわち、休憩室での飲酒は、被告Hが被告生コンでの稼働者に酒を振舞うことがしばしばあって、稼働者全員がしていたことである。飲酒運転も、被告興業からの派遣従業員だけがしていたわけではなく、M工場長が二回検挙されているほか、被告Hも二日酔いの状態で検挙されたことがある。また、ノミ行為は、派遣従業員の一部の者も関与していたが、他の従業員も行っており、特に中心となっていたのは、S、T及び被告Hの女婿Uであって、同人らが胴元に電話して申し込み、他の者は同人らに依頼してノミ行為に関与していたにすぎない。さらに、被告生コンでは、オイチョカブと称する賭博が広く行われており、一般従業員やM工場長、Uのほか、被告H及びその妻Lまでもこれに加わっていた。このように、飲酒や賭博は被告生コンで全社的に行われていたことであるから、派遣従業員のみが非難されるいわれはなく、右解除の理由は単なる口実にすぎない。 4 香長支部は、被告興業に対し、派遣契約解除、自宅待機命令等の撤回を要求したが、全く聞き入れられず、かえって、昭和五六年八月二一日ころ、派遣従業員に対し、被告生コンが立入禁止を命じ、被告興業がダンプカーへの乗務を命じた。この乗務命令は、一台のダンプカーに原告Aら六名を含む一〇名が交替で乗務し、賃金はその乗務日分しか支払わない、というものであったから、派遣従業員は、到底従えるようなものではないとして、これを拒否した。ところが、被告興業は、前記のとおり、出勤停止処分に及んだ。そして、その間において、派遣従業員二名、ダンプカー運転手三名が香長支部を脱退し、さらに、派遣従業員四名が、賃金が六割しか支給されないことによる生活困窮のため、被告興業を退職し、他方、被告生コンは、香長支部を脱退した者二名を 従業員二名、ダンプカー運転手三名が香長支部を脱退し、さらに、派遣従業員四名が、賃金が六割しか支給されないことによる生活困窮のため、被告興業を退職し、他方、被告生コンは、香長支部を脱退した者二名を、脱退後間もなく雇用して、ミキサーに乗務させている。 5 原告Aら六名は、前記のとおり、仮処分判決に基づき被告興業の売掛金債権を差し押さえたが、これは、団体交渉において、被告興業(被告G)が誠実に同判決に従う意思のないことを表明し、団体交渉の続行日程も決めようとしなかった上、月末を控え被告興業の売掛金債権の支払期が迫っていて、未払賃金の仮払いが実現しないおそれがあったからである。 そして、被告興業は、前記のとおり、右差押えのため取引先から以後の取引を拒絶され事業の継続が不可能になったとして、差押え後直ちに解散しているが、永年の取引先が相手の従業員において差押えをしたということだけで即刻取引を断るなど通常考えられないことであり、仮に取引を断られたとしても、前記のとおり、被告生コンは被告興業の砂利の販売先とするため設立されたものであり、被告興業の被告生コンに対する販売量は全販売量の八割以上に上っていたから、被告生コンとの取引により事業の継続が十分可能であり、しかも、右差押えは、労使紛争に起因するものであって、一般の取引において信用が悪化したわけではないので、そのことを説明すれば、他の取引先が取引を継続する可能性も十分あった。 また、被告興業は、右判決に基づく仮払いを実行すべく、銀行に融資を申し込んであったのに、右差押えのため、これを拒否されたことをも解散の理由としているが、そういう事実があったこと自体が疑わしいし、仮に融資が受けられなかったとしても、事業を継続すれば、その収益で分割払をすることは可能であった(原告Aら六名は、団体交渉において、一 の理由としているが、そういう事実があったこと自体が疑わしいし、仮に融資が受けられなかったとしても、事業を継続すれば、その収益で分割払をすることは可能であった(原告Aら六名は、団体交渉において、一括払に固執していたわけではなく、分割払についても言及した。)。 結局、被告興業の解散が不可避であったなどという事情は存在せず、解散は、被告GH両名が、香長支部の組合員である原告らを就労させないようにし、あわせて未払賃金の支払を事実上免れるために行ったものである。 6 以上の事実及び前記のとおり被告両社が社会的単一体であることからすれば、前記の派遣契約解除、自宅待機命令、乗務命令とこれに伴う出勤停止処分及び解散解雇は、被告生コンの代表取締役兼被告興業の専務取締役である被告Hが、香長支部の結成及びその組合活動を嫌悪して、組合員である原告らに対し就労の機会を奪い給料を支給しないという損害を加えることにより組合を潰そうとする不当労働行為意思のもとに発案し、被告興業の代表取締役兼被告生コンの取締役である被告Gと共謀の上行ったものであって、いずれも、組合を結成し組合活動をしたことによる不利益取扱であると同時に、組合の弱体化を狙った支配介入であるから、不当労働行為として無効である。そして、被告GH両名の右行為は、被告両社の行為でもあって、原告らの被告興業に対する賃金請求権を違法に侵害し、その賃金の支払を受けられないという結果を招き、原告らに対し前記賃金請求権と同額の損害を被らせたものであるから、被告生コンは民法四四条一項、七〇九条、七一九条一項に基づき、被告GH両名は民法七〇九条、七一九条一項又は商法二六六条の三に基づきそれぞれ右損害を賠償すべき責任がある。 六請求 1 原告らの被告生コンに対する請求原告らが被告生コンに対し雇用契約上の権利を有する地位 名は民法七〇九条、七一九条一項又は商法二六六条の三に基づきそれぞれ右損害を賠償すべき責任がある。 六請求 1 原告らの被告生コンに対する請求原告らが被告生コンに対し雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認。 2 原告Aら六名の被告興業に対する請求雇用契約による賃金請求権に基づき、昭和五六年八月一日から昭和五八年六月四日までの賃金の未払額の内金(前記仮処分判決により仮払いを受けたもの)である目録四の原告Aら六名に対応する②欄記載の金員の各支払。 3 原告Aら六名の被告生コン及び被告GH両名各自に対する請求被告生コンに対しては主位的に雇用契約による賃金請求権、予備的に不法行為による損害賠償請求権に基づき、被告GH両名に対しては不法行為による損害賠償請求権に基づき、昭和五六年八月一日から昭和五八年六月四日までの賃金の未払額の内金(賃金相当損害金)である目録四の原告Aら六名に対応する③欄記載の金員及びこれに対する最終支払期後(不法行為後)である昭和五九年二月二日から完済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の各支払。 4 原告らの被告生コン及び被告GH両名各自に対する請求3と同じそれぞれの請求権に基づき、昭和五八年六月五日から同月三〇日までの賃金(賃金相当損害金)である目録五の原告らに対応する金額欄記載の金員、同年七月一日から昭和六二年七月三一日までの賃金(賃金相当損害金)である目録六の原告らに対応する金額欄記載の金員、目録五記載の金員に対する最終支払期後(不法行為後)である昭和五九年二月二日から完済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金、目録六記載の金員に対する同じく昭和六二年九月四日から同様の遅延損害金、昭和六二年八月一日以降の賃金(賃金相当損害金)として同年九月から被告生コンが原告らを就労させるに至るまで 合による遅延損害金、目録六記載の金員に対する同じく昭和六二年九月四日から同様の遅延損害金、昭和六二年八月一日以降の賃金(賃金相当損害金)として同年九月から被告生コンが原告らを就労させるに至るまで毎月五日限り目録一の原告らに対応する金額欄記載の金員の各支払。 (被告らの認否及び主張)一1 請求原因一の事実は認める。 2 同二の事実は認める。 3 同三について1の事実のうち、被告GH両名が兄弟であること、被告Gが被告興業の設立前に個人営業の砂利販売業を営みこれに被告Hが関与していたこと、被告興業が被告生コンに対し砂利を販売していたことは認め、その余は争う。2の事実は認める(ただし、被告興業における重要事項は、被告Gが最終決定していた。)。3の事実のうち、被告生コンの株主及び出資額、役員は認め、その余は争う。4の事実のうち、被告両社が同じ場所に本店を置き被告G所有の建物を使用していること、同建物の敷地及びその周辺の土地が被告GH両名の所有であることは認め、その余は争う。5の事実のうち、被告両社の従業員構成、派遣契約による派遣、ミキサー及びダンプカーの運転手に対する指揮監督を主として被告Hが行っていたことは認め、その余は争う(なお、被告興業の従業員には重機運転手もいた。)。6の主張は争う。 4 同四の事実のうち、原告らの賃金が月払いの日給制で毎月五日に前月分を支払う約定であったことは認め、その余は争う。 5 同五について1の事実は争う。2の事実のうち、団体交渉の申入者が香長支部であったことは争い(申入者は原告らである。)、その余は認める。3の事実のうち、派遣契約解除、就労拒否、自宅待機命令及び解除理由は認め、その余は争う。4の事実のうち、原告らが派遣契約解除等の撤回を要求し被告興業がこれを拒否したこと、被告両社がそれぞれ立入禁止命令及 実のうち、派遣契約解除、就労拒否、自宅待機命令及び解除理由は認め、その余は争う。4の事実のうち、原告らが派遣契約解除等の撤回を要求し被告興業がこれを拒否したこと、被告両社がそれぞれ立入禁止命令及び乗務命令をしたこと、原告らが乗務命令を拒否したこと、出勤停止処分をしたことは認め、その余は争う。5の事実のうち、債権差押え、解散理由は認め、その余は争う。6の事実ないし主張は争う。 二1 被告生コンは、原告ら主張のとおり、派遣契約により被告興業からミキサー運転手の派遣を受けていたが、原告Aら六名を含む派遣従業員は、昭和五四年ころから、休憩時間中のみならず業務時間中にも、被告生コンの電話を使用して、競輪競馬のノミ行為に関与したり、花札賭博(オイチョカブ)を行い、さらに、自家用車で出勤しながら、終業時に近くの店から酒類を買い入れ、被告生コンの休憩室で大量に飲酒した上、車で帰宅する始末となり、これらを現認した被告Hから厳重な注意を受けたのに、一向に態度を改めなかった。昭和五六年になって、派遣従業員の賭博熱はますます高じ、被告Hの見回りに備えて見張りを立てながらオイチョカブに興じるまでになった。そのため、被告Hは、賭博の現場を認めた際、これを厳禁することを命じると共に、賭博行為等が継続する場合は派遣契約を解除せざるをえない旨警告した。 しかし、派遣従業員の賭博行為と飲酒運転は止まるところを知らず、ノミ行為については、所轄警察署が内偵するまでになったため、被告生コンは、他の従業員に対する悪影響を懸念し、また、自社にとって極度のマイナスイメージとなり、企業としての存立が脅かされることを慮って、これ以上派遣契約を継続することはできないと判断するに至った。 そこで、被告生コンは、原告ら主張のとおり、派遣契約解除を通告し、被告興業も、やむなくこれを承諾した ての存立が脅かされることを慮って、これ以上派遣契約を継続することはできないと判断するに至った。 そこで、被告生コンは、原告ら主張のとおり、派遣契約解除を通告し、被告興業も、やむなくこれを承諾した上、当面派遣従業員であった者に従事させる業務がなかったことから、自宅待機を命じた。 2 被告興業は、派遣従業員であった者の従事する業務を確保すべく、企業努力を重ね、苦心の末ダンプカーへの乗車業務を確保し、昭和五六年八月二二日、原告Aら六名に対しダンプカー乗務を命じたが、原告Aら六名がこれを拒否したため、原告ら主張のとおり出勤停止処分をした。 3 被告両社は、原告ら主張の仮処分判決について控訴を検討していたが、被告興業は、とりあえず同判決が命じた原告Aら六名への賃金仮払いを履行するため、取引銀行に緊急融資を申し込み、昭和五八年五月二六日の団体交渉において、その旨及び融資は受けられる見込みである旨を説明し、原告Aら六名はこれを了承した。 ところが、原告Aら六名は、同月二八日から、被告興業の大口取引先である被告生コン、四国ヒューム管株式会社、高東建設事業協同組合及び大和工業株式会社に対する売掛金債権を差し押さえる手続を進めた。 そのため、被告興業は、右各取引先から今後の取引を拒絶され、右銀行からも融資を断られて、事業の継続が不可能となったので、やむなく、原告ら主張のとおり、解散して原告らを解雇した。 第三証拠関係(省略) 理由 一請求原因一(当事者関係)及び二(派遣契約の解除、解散解雇等)の事実は、当事者間に争いがない。 二法人格否認の主張について 1 原本の存在成立に争いのない乙第八一号証、証人Oの証言、被告GH両名各本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨を総合すると、次の事実(争いのないものを含む。)が認められる。 ア被告GH の主張について 1 原本の存在成立に争いのない乙第八一号証、証人Oの証言、被告GH両名各本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨を総合すると、次の事実(争いのないものを含む。)が認められる。 ア被告GH両名は、兄弟であって、被告Gが主体となり被告Hが補助する形で営んていた個人営業の砂利販売業を会社組織で継続するため、被告興業を設立した。 被告興業の株主及び出資割合は、被告Gが六割、被告Hが二割、被告Gの妻J及びその弟Kが各一割であり、役員は、被告Gが代表取締役、被告Hが専務取締役、被告Gの妻子三名が取締役であった。そして、被告興業の経営は被告Gが統括していたが、その主たる日常業務は被告Gから被告Hに委ねられていた。 イ被告興業は、生コンクリート会社二社に砂利を販売していたが、昭和四八年九月ころから、右二社と取引ができなくなったため、営業が停滞するようになった。 一方、そのころ、被告興業の本店所在地である南国市及びその周辺では、かなりの土木建設工事が行われることが予定されており、これに伴う生コンクリートの需要が見込まれていたことから、被告興業に砂利を販売していた有限会社丸山砂利の社長であるOと被告Hとの間で、生コンクリート製造販売会社を設立することが話し合われた。そして、その設立によって被告興業の砂利の販売先が確保できることになるので、被告Gも設立を望み、O及び被告GH両名が中心となって準備を進め、経営上有益なことから、関連業者であるセメント販売業者、土木業者らの参画を得て、被告生コンが設立された。なお、被告興業の被告生コンに対する砂利の販売量は、被告生コン設立当初には全販売量の六割であり、昭和五六年度には同じく八割ないし八割五分に上っていた。 ウ被告生コンの株主及び出資額(総額二○五○万円)は、被告H、その妻L、被告G、その妻Jが各三○○万円 コン設立当初には全販売量の六割であり、昭和五六年度には同じく八割ないし八割五分に上っていた。 ウ被告生コンの株主及び出資額(総額二○五○万円)は、被告H、その妻L、被告G、その妻Jが各三○○万円、被告GH両名のいとこMが二○○万円、Lの父Nが五○万円、前記Oが三〇○万円、P、Q(土木業者)及びR(セメント販売業者)が各一○○万円、役員は、被告Hが代表取締役、被告G、J、L、M(工場長)、O、P、R及びQが取締役、Nが監査役である。そして、被告生コンの経営は被告Hが統括し、その日常業務も同被告がM工場長らの捕佐のもとに自ら行っている。なお、生コンクリートの需要は、建設工事の都合等で、一○月ころから翌年三月ころまでに集中し、その余の期間中には大幅に滅少する傾向があることから、被告生コンは、設立当初の取締役会の決議により、経費(賃金)を節約するためミキサーの運転手は自社で雇用せず他社から派遣を受ける方針を決め、被告興業と派遣契約を締結した。 エ被告両社は、同じ場所に本店を置き、被告GH両名所有の土地建物を賃借している。 オ被告興業の従業員は、事務員、ダンプカー及び重機の運転手であったが、被告生コン設立後は派遣用ミキサー運転手が加わり、他方、被告生コンの従業員は、事務員と生コンクリート製造技術者であり、ミキサーの運転手はすべて被告興業からの派遣によっていた。そして、ミキサーの運転手は、被告興業に雇用されているものであるが、現実には被告生コンの業務に従事するため、これに対する指揮監督は、被告生コンの代表取締役である被告Hが直接又はM工場及び配車係を介して行い、その採用についても、被告H及びM工場長が関与していた。また、ダンプカーの運転手に対する指揮監督は、被告Hが直接行っていた。 2 右認定の事実(原告らが法人格を否認すべき事情として主張す 介して行い、その採用についても、被告H及びM工場長が関与していた。また、ダンプカーの運転手に対する指揮監督は、被告Hが直接行っていた。 2 右認定の事実(原告らが法人格を否認すべき事情として主張する請求原因三、1ないし5の事実のほぼ全部)に基づき判断するに、被告GH両名は、被告興業の支配者であり、また、被告生コンの経営にかなりの影響を及ぼすことのできる立場にあると認められる。 しかし、右認定の事実からしても、被告両社は、営業内容、株主構成、役員構成、従業員構成を異にしているといわざるをえない上、原本の存在成立に争いのない乙第八一ないし第八六号証、証人Oの証言により成立の認められる乙第八七及び第八八号証、被告GH両名各本人尋問の結果と右乙第八一、第八三及び第八五号証によって原本の存在成立の認められる乙第一三、第六九、第九九及び第一〇〇号証、右証言及び各尋問の結果によれば、被告両社は、それぞれ別個独自に株主総会及び取締役会を開催していたし、派遣契約による派遣料を被告生コンから被告興業へ支払うなど会計も独立していたことが認められるから、被告両社が社会的にみて単一体であるとは到底いえない。 そして、法人格(会社)の濫用を理由としてこれを否認する場合には、その前提として、会社の背後の実体が、会社を自己の意のままに道具として用いることができる支配的地位にあり、かつ、会社形態を利用するにつき違法又は不当な目的を有していることを要すると解されるところ、被告生コン設立、被告両社間の派遣契約及び砂利販売取引等は、被告両社の経営上の手段であって格別とがめられるべきものではなく、被告両社間に人的物的な関連はあるにしても、被告生コンあるいは被告GH両名が、被告興業の背後にあって、違法又は不当な目的の下に、これを意のままに道具として用いていたとは認め難い。 きものではなく、被告両社間に人的物的な関連はあるにしても、被告生コンあるいは被告GH両名が、被告興業の背後にあって、違法又は不当な目的の下に、これを意のままに道具として用いていたとは認め難い。 もっとも、後記認定のとおり、被告生コンないしは被告GH両名には、派遣契約の解除から被告興業の解散に至るまでの間、不当労働行為の意図があったが、その意図の発生は被告両社の設立後のことであり、しかも、被告興業は被告生コンより約五年も前に設立されてたものであるから、右意図があったからといって、もともと被告生コンあるいは被告GH両名が被告興業の法人格を違法又は不当な目的のために利用していたということはできない。 3 したがって、被告興業の法人格が濫用されていたとはいえないから、これを否認することはできないので、原告らと被告生コンとの間に雇用契約関係が存在するとは認められない。 三不当労働行為(不法行為) 1 成立に争いのない甲第四二、第四三、第四五号証、乙第九〇ないし第九四、第一〇三号証、原本の存在成立に争いのない甲第三三ないし第三八、第四一号証、第四四号証の一及び二、乙第一六号証の二の二、第三四号証の一ないし四、第六二号証の一及び二、第七八ないし第八六号証、右甲第三三号証によって原本の存在成立の認められる甲第二二号証、右乙第八二号証によって原本の存在成立の認められる乙第一四号証、右乙第八三号証によって原本の存在成立の認められる乙第一六号証の二の一、第二九、第三〇号証、第三一、第三二号証の各一及び二、右乙第八六号証によって原本の存在成立の認められる乙第三六、第五三号証、右乙第七八、第八〇号証によって原本の存在成立の認められる乙第一七号証の一及び二、被告G本人尋問の結果と右乙第八二、第八三号証によって原本の存在成立の認められる乙第一八号証、証人Oの証 第五三号証、右乙第七八、第八〇号証によって原本の存在成立の認められる乙第一七号証の一及び二、被告G本人尋問の結果と右乙第八二、第八三号証によって原本の存在成立の認められる乙第一八号証、証人Oの証言によって成立の認められる乙第八七、第八八号証、弁論の全趣旨によって原本の存在成立の認められる甲第五、第六号証の各一及び二、第七ないし第一一号証、第一四、第二三、第二五号証、乙第一六号証の三、原告B本人尋問の結果によって成立の認められる甲第三九、第四〇号証の各一及び二、第四九、第五〇号証、被告G本人尋問の結果によって成立の認められる乙第九五ないし第九七号証、右証言及び本人尋問の結果、証人Vの証言、被告H本人尋問の結果、株式会社高知相互銀行に対する調査嘱託の結果並びに前記一の争いのない事実を総合すると、次の事実(争いのないものを含む。)が認められ、甲第七、第一四、第二三、第二五、第三六、第三七号証、乙第一六号証の二の一、同号証の三、第一七号証の一及び二、第三六、第五三、第八二、第八三、第八六、第一〇三号証、被告GH両名各本人の供述のうち、この認定に反する部分は、他の証拠に照らして採用できず、他にこの認定を覆すに足りる証拠はない。 ア被告興業の従業員(ダンプカー運転手及び被告生コンに派遣されているミキサーの運転手)には、かねてより被告興業及び被告生コンでの労働条件について不満があった。そして、昭和五六年六月ころ、被告興業が、派遣従業員二名を削減する目的で希望退職者を募集したことを契機に、原告らを含む派遣従業員一二名とダンプカー運転手六名が、解雇を防ぎ労働条件の向上を図るべく、同月二五日ころ、香長支部を結成し、原告Aを支部長、同Bを書記長、同F及びWを副支部長に選任した。 イ原告Bは、従来、被告興業の専務取締役である被告Hが派遣従業員及びダンプ 条件の向上を図るべく、同月二五日ころ、香長支部を結成し、原告Aを支部長、同Bを書記長、同F及びWを副支部長に選任した。 イ原告Bは、従来、被告興業の専務取締役である被告Hが派遣従業員及びダンプカー運転手の労働条件について交渉相手となっていたので、香長支部を結成してから一週間後の昭和五六年七月三日、被告Hに対し、香長支部との団体交渉を申し入れたところ、同被告は、自分は被告生コンの代表者であって被告興業の代表者ではないから、被告興業の代表者である被告Gに申し入れるべきであるなどと述べ、交渉に応じなかった。そのため、香長支部は、被告Gに申し入れて、同月九日、夏季一時金の支給及び労働協約の締結について交渉をもったが、物別れとなり、同月一四日、交渉を続行したけれども、妥結しなかった。そのため、原告らを含む香長支部の組合員は、被告興業に対し、ミキサー及びダンプカーの運転業務につき時間外労働を拒否する旨通告し、同月一六日からこれを実行して闘争状態に入った。そして、同月二〇日、三回目の交渉が行われ、夏季一時金につき組合側が会社側から昨年並みで押し切られて一応妥結し、組合側は、労働協約の締結について今後も要求を続けていくことを表明して、翌二一日から時間外労働の拒否闘争をやめた。 派遣従業員は、それまで、被告生コンから法定積載量超過の状態でのミキサー運転を強いられていたので、右交渉において、その点を指摘し、被告Gから、被告生コンの代表者である被告Hに超過積載をさせないよう申し入れる旨約束を得た。 ウ他方、これより前の昭和五六年七月一三日、被告Hは、香長支部の幹部である原告A及び同Bに対し、「この場所は中央生コンクリート(株)の休憩室である。 この場所において飲酒、競輪競馬のノミ行為その他のバクチ行為を禁止する。この場所において中央生コンクリート(株)の 部である原告A及び同Bに対し、「この場所は中央生コンクリート(株)の休憩室である。 この場所において飲酒、競輪競馬のノミ行為その他のバクチ行為を禁止する。この場所において中央生コンクリート(株)の業務上関係のない目的に使用することを禁する。」と記載した自己(社長)名義の警告書を手交し、これを休憩室に掲示するよう命じた。 また、香長支部は、あらかじめ被告Hの了解を得た上、同月一四日、前記二回目の団体交渉後、右休憩室(二階)の階下土間で組合結成の祝宴を開いたところ、翌一五日、被告Hは、派遣従業員の悪行状が改まらないとして緊急に被告生コンの取締役会を招集し、同月一六日開催の同会において、「従業員の勤務態度(トバク行為等)の件」として提案し、社長から再三注意をし、警告まで出したが、一向に反省する様子がないので、派遣契約を同月三一日をもって解除する、と決議し、同月一八日付けの通告書をもって、被告興業に対し解除の意思表示をした。そして、被告Gは、被告興業の代表者として、右解除を承諾した上、同月三一日、原告Aら六名を含む派遣従業員に対し、翌八月一日以降業務命令があるまで自宅待機とする(その間平均賃金の六割を支給)旨を命じた。 これについて、香長支部は、被告興業に申し入れて同年八月三日に団体交渉をもち、抗議して派遣契約解除、自宅待機命令等の撤回を求めたが、全く聞き入れられなかった。 エ原告Aら六名を含む派遣従業員の大部分は、被告ら主張のように、競輪競馬のノミ行為に関与し、花札賭博(オイチョカブ)に興じ、終業後飲酒して車で帰るなどのことがあったが、派遣従業員以外の従業員も同様のことをしていたし、被告H自身も、時折、慰労の意味で従業員に酒肴を提供し、社内で従業員と一緒に飲酒することがあった。右賭博はミキサーの配車待ちの時間を利用して行われ、飲酒も終 員以外の従業員も同様のことをしていたし、被告H自身も、時折、慰労の意味で従業員に酒肴を提供し、社内で従業員と一緒に飲酒することがあった。右賭博はミキサーの配車待ちの時間を利用して行われ、飲酒も終業時間以降に休憩室で行われていたもので、派遣従業員中飲酒運転で検挙された者は一名に過ぎず、また、派遣従業員が賭博等をしたため取引先等から非難されたことはなく、被告生コンの業務自体に著しい支障を来すこともなかった。現に、被告両社ないし被告GH両名は、前記のとおり、派遣契約解除の直前に警告書を手交するまでは、賭博行為等につき口頭で注意した程度で、派遣従業員の賭博行為等を派遣契約の存続にかかわる重大な事由として問題にしたことはなかった。なお、原告らは、昭和五六年七月一〇日過ぎころ、被告生コンの敷地内で香長支部の結成式を行い飲酒したが、そのことを事前に被告Hに申し出た際、同被告は、火の始末に責任をもつよう注意したのみであった。 オ被告興業は、昭和五六年八月二一日ころ、自宅待機としていた派遣従業員に対し、ダンプカーへの乗務を命じたが、派遣従業員は、賃金面で不利であるなどとしてこれを拒否し、そのことを理由に、被告興業が前記のとおり出勤停止処分をした。そして、派遣契約解除、自宅待機命令、出勤停止処分と続く中で、香長支部を脱退する者が相次ぎ、当初一八名いた組合員が、右解除の二か月後には原告らほか一名に減少した。 他方、被告生コンは、同年九月一日、香長支部を脱退し同年八月三一日被告興業を退職したSを、同人が前記ノミ行為の中心的人物の一人であったにもかかわらず、臨時従業員として雇用し、ミキサー運転の業務に従事させ、また、同年一〇月一日には、同様に脱退退職したXを雇用した。 カ被告Hは、昭和五六年七月一一日、高知県交通安全協会南国支部の理事会に参加した帰りに、 業員として雇用し、ミキサー運転の業務に従事させ、また、同年一〇月一日には、同様に脱退退職したXを雇用した。 カ被告Hは、昭和五六年七月一一日、高知県交通安全協会南国支部の理事会に参加した帰りに、顔見知りの南国警察署の警察官から、ノミ行為について何か知らないかと情報提供を求められた。しかし、同警察官は、派遣従業員の賭博を内偵していたわけではなく、被告Hに対し、その内偵を臭わす素振りもみせなかった。そして、被告Hも、派遣従業員に対し、警察が内偵している旨の警告をしたことはなかった。 キ前記のとおり、原告Aら六名が被告両社を相手に地位保全及び賃金仮払いの仮処分を申請し、その判決が言い渡されたが、同判決によれば、被告興業が原告Aら六名に対し仮払いすべき金額は、言渡しの時点で一九〇〇万円余であった。そして、当時、被告興業は倒産を免れないなどという状態ではなかった。 ク香長支部は、判決言渡しの三日後の昭和五八年五月二六日、被告興業との間で、判決で命じられた賃金の仮払い、派遣従業員としての原告Aら六名の取扱い等について団体交渉をした。その際、被告Gは、前日に取引銀行である高知相互銀行へ仮払資金の融資を申し込んでいたのに、そのことは表明せず、これから銀行に融資を申し込んでみるが、銀行が応じてくれるかどうかわからない、断られたら支払はできない、原告Aら六名の被告生コンでの稼働については自分に関係がないからどうなるかわからない、などと不誠実な回答に終始した。そして、被告Gは、銀行には同月末日までに結論を出すよう頼むこと、次回の交渉は、被告Gの都合等で、翌六月早々に香長支部から申し入れて行うことが、両者間で確認された。 また、原告Bは、同年五月二七日、被告Hに対し、仮処分判決についての考えを聞いたところ、同被告は、自分としては原告Aら六名を稼働させるつ 早々に香長支部から申し入れて行うことが、両者間で確認された。 また、原告Bは、同年五月二七日、被告Hに対し、仮処分判決についての考えを聞いたところ、同被告は、自分としては原告Aら六名を稼働させるつもりはないが、被告生コンとしてどうするかは取締役会を開かないとわからない、などと述べ、多忙であるからとして、取締役会がいつになるかも答えず、誠意を示さなかった。 ケ原告Aら六名は、被告GH両名が右のとおり不誠実な態度に出たため、仮払いが任意かつ早期に履行されないおそれがあると考え、月末を控え被告興業の売掛金債権の支払期が迫っていたので、仮払いを確保すべく、昭和五八年五月二八日、被告興業の被告生コン、四国ヒューム管株式会社、高東建設事業協同組合及び大和工業株式会社に対する売掛金債権を差し押さえる手続をした。 コ右四国ヒューム管、高東建設事業及び大和工業は、昭和五八年五月二九日までに、被告興業に対し、売掛金を差し押さえられるようではいつ納入が止まるかわからず、そのような不安定要素をもつ会社とは取引できないとして、今後の取引を停止する旨通知した。また、被告興業への納入業者である有限会社丸山砂利も同様の理由で取引停止を告知し、高知相互銀行も融資しないこととした。 サ被告Gは、昭和五八年六月一日、香長支部の申し入れにより、同月六日に団体交渉をすることを約したが、同月四日、右のとおり取引を停止され融資も受けられないため事業の継続が不可能になったとして、株主総会で被告興業の解散を決議し、原告らに対し、その旨及び解雇を告知した。そして、被告生コンは、同月一三日取締役会を開き、派遣元の被告興業が解散したので派遣従業員を被告生コンが受け入れるわけにはいかない旨決議し、これを香長支部に伝えた。なお、前記のとおり、被告興業の被告生コンに対する砂利の販売量は昭和五 締役会を開き、派遣元の被告興業が解散したので派遣従業員を被告生コンが受け入れるわけにはいかない旨決議し、これを香長支部に伝えた。なお、前記のとおり、被告興業の被告生コンに対する砂利の販売量は昭和五六年度において全販売量の八割以上に上っていたから、右のとおり取引を停止されても、被告生コンとの取引を続行すれば、被告興業の経営は可能であると思われるのに、被告Hは、そうする意思は全くなく、被告Gもこれに同調しており、また、被告GH両名は、被告興業の事業を継続するための手段を尽くしていない。 シ以上のような経過で、原告らは、債権差押えにより原告Aら六名が目録四の②欄記載の金額の仮払いを受けたほか、被告興業から賃金の支払を受けることができなくなった。 2 右認定の事実を総合して考察すれば、被告生コンの代表取締役兼被告興業の専務取締役である被告Hは、原告Aら六名を含む派遣従業員が労働組合を結成し組合活動をしたことを嫌悪し、その故をもって、従来さほど問題にしていなかった派遣従業員のノミ行為関与等の行状に藉口して、取締役会で派遣契約の解除を決議した上、被告興業の代表取締役である被告Gに対しその解除を申し込み、被告Gにおいても、被告Hの右意図を十分了解して、その申込みを承諾し、派遣従業員に自宅待機命令をしたものであり、その後解散に至ったことも、被告GH両名が意思を相通じて右同様の意図のもとにもたらしたものと認めるのが相当である。 したがって、前記の派遣契約解除、自宅待機命令は不当労働行為として無効であり、これを前提とする出勤停止処分もまた無効であるというべきであるから、被告興業は原告Aら六名に対し昭和五六年八月一日以降の賃金を支払うべき義務があり、また、被告GH両名の派遣契約解除から解散に至る一連の行為は、違法に原告Aら六名の就労の機会を奪い被告興業に るから、被告興業は原告Aら六名に対し昭和五六年八月一日以降の賃金を支払うべき義務があり、また、被告GH両名の派遣契約解除から解散に至る一連の行為は、違法に原告Aら六名の就労の機会を奪い被告興業に対する賃金請求権を侵害し、その賃金の支払を受けられなくしたものであるから、被告生コンは民法四四条一項、七〇九条、七一九条一項に基づき、被告GH両名は民法七〇九条、七一九条一項に基づき、各自、原告Aら六名に対し、賃金相当の損害を賠償する責任があるというべきである。 3 もっとも、企業主には職業選択の自由(憲法二二条)の一環としてその企業を廃止する自由が認められているものであり、その自由は労働組合の存続に影響を及ぼす場合であっても原則として制約されるものではないと解されるところ、前掲の関係証拠によれば、被告興業は、従業員の立場を軽視したとの批判は免れないけれども、解散を偽装したわけではなく、真実解散したものと認められるので、それに伴う原告らの解雇自体はやむをえないことというほかないから、原告Aら六名の右損害は、被告興業が解散した昭和五八年六月四日までの賃金の範囲に止まるというべきである。 四賃金(損害)成立に争いのない甲第一二号証の一ないし六、乙第一〇号証の七並びに弁論の全趣旨によれば、原告Aら六名の昭和五六年五月から同年七月までの三か月間の平均賃金の日額は目録二記載のとおりであることが認められる。そして、その月額については、原告Aら六名主張のように、一か月を三〇日とし、そのうち四日を休日とみて、右日額に二六日を乗じた金額とするのが相当であり、その額は目録一記載のとおりである。目録三の1ないし4の①、②欄はそれぞれ右月額を割り振ったものであり、その②欄の各金員と昭和五六年一二月一日から昭和五八年六月四日までの賃金(昭和五八年六月一日から同月 は目録一記載のとおりである。目録三の1ないし4の①、②欄はそれぞれ右月額を割り振ったものであり、その②欄の各金員と昭和五六年一二月一日から昭和五八年六月四日までの賃金(昭和五八年六月一日から同月四日までの分は右月額の三〇分の四で端数切り捨て)の合計は目録四の①欄記載のとおりである。原告Aら六名は、右合計額のうち、目録四の②欄記載の金額の支払を被告興業に求め、同③欄記載の金額の支払を被告生コン及び被告GH両名に求めている。 五結論以上によれば、原告Aら六名の請求は、被告興業に対し目録四の②欄記載の各金員の支払、被告生コン及び被告GH両名に対し同③欄記載の金員及びこれに対する昭和五九年二月二日から完済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払をそれぞれ求める限度で理由があるからこれを認容し、原告Aら六名のその余の各請求及び原告Iの各請求はいずれも失当であるからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条、九三条、仮執行の宣言につき同法一九六条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官山脇正道前田博之政岡克俊)賃金目録一<02920-001><02920-002>賃金目録二<02920-003>賃金目録三 1 昭和五六年八月分<02920-004> 2 昭和五六年九月分<02920-005> 3 昭和五六年一〇月分<02920-006> 4 昭和五六年一一月分<02920-007>賃金目録四<02920-008>賃金目録五<02920-009>賃金目録六<02920-010>
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