令和6年(わ)第10号不正競争防止法違反被告事件 主文 被告人を懲役3年及び罰金100万円に処する。 その罰金を完納することができないときは、金5000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。 この裁判が確定した日から4年間その懲役刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、情報システム、ネットワークサービスの企画、設計、開発、販売、賃貸、工事、保守及びコンサルティング等を目的とするB株式会社の派遣社員として、テレマーケティングシステムのPDSサーバコンピュータに関わる運用保守業務に従事し、同社が管理する営業秘密が蔵置された同サーバコンピュータへのアクセス権を付与されるなどして、同社の営業秘密であるA社の顧客情報等の情報を示されていた者であるが、不正の利益を得る目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き 1 令和5年1月17日午前10時35分頃から同日午前11時56分頃までの間に、大阪市a区に所在する前記テレマーケティングシステムの運用保守拠点において、B株式会社から貸与されていた業務用パーソナルコンピュータを操作して、前記サーバコンピュータにアクセスし、同社の営業秘密であるA社の顧客の氏名、住所、電話番号等の個人情報が記録されている「ASR92_6500.csv」等34個のファイルデータを前記サーバコンピュータからダウンロードして前記業務用パーソナルコンピュータに保存して複製を作成する方法により、B株式会社の営業秘密を領得し 2 同日午後0時2分頃、前記運用保守拠点において、前記業務用パーソナルコンピュータから、1のとおり領得したB株式会社の営業秘密である前記ファイルデータを含む圧縮ファイルデータを添付した電子 得し 2 同日午後0時2分頃、前記運用保守拠点において、前記業務用パーソナルコンピュータから、1のとおり領得したB株式会社の営業秘密である前記ファイルデータを含む圧縮ファイルデータを添付した電子メールを東京都渋谷区に所在する 株式会社Cの取締役であるDに対して送信し、B株式会社の営業秘密を開示したものである。 (証拠の標目)省略(法令の適用)罰条営業秘密不正領得の点不正競争防止法21条2項1号ロ、令和5年法律第51号附則2条5項前段営業秘密不正開示の点不正競争防止法21条2項2号、令和5年法律第51号附則2条5項前段(営業秘密不正領得の点は、行為時においては令和5年法律第51号による改正前の不正競争防止法21条1項3号ロに、裁判時においては同改正後の不正競争防止法21条2項1号ロに、営業秘密不正開示の点は、行為時においては令和5年法律第51号による改正前の不正競争防止法21条1項4号に、裁判時においては同改正後の不正競争防止法21条2項2号にそれぞれ該当するところ、いずれも、同改正において、罰則の適用について従前の例による旨の経過規定は存せず、かつ、各所定刑中「拘禁刑」とあるのは、令和5年法律第51号附則2条5項前段により「懲役」と読み替えるので刑法6条の「刑の変更があったとき」に該当しないから、裁判時法による)科刑上一罪の処理刑法54条1項後段、10条(手段結果の関係があるので一罪として犯情の重い営業秘密不正開示の罪の刑で処断) 刑種の選択懲役刑及び罰金刑を併科労役場留置刑法18条刑の執行猶予刑法25条第1項(懲役刑につき)(量刑の理由)本件で領得・開 の罪の刑で処断) 刑種の選択懲役刑及び罰金刑を併科労役場留置刑法18条刑の執行猶予刑法25条第1項(懲役刑につき)(量刑の理由)本件で領得・開示された営業秘密は、被害会社であるB株式会社が運用するシステムを利用していた企業が獲得した顧客の個人情報であって、部外者が容易に入手できないものであって、これらが外部に漏洩すれば、そのこと自体で、被害会社の信用性を根幹から失わせ、その経営基盤に大きな打撃を与えかねず、また、利用方法如何によっては、上記システムを利用していた企業の経営やその顧客らの生活にも大きな影響を及ぼしうる重要性の高いものである。 被告人は、本件犯行の動機として、派遣先であった被害会社での扱いに不満があったなどと述べるが、結局は利得目的であって、その動機に酌量の余地は乏しい。 そして、被告人は、これまでも本件と同様の手口で領得した個人情報を売却することを長期間にわたって繰り返していたことを自認しており、犯行の悪質性は一層高いのであって、そうすると、本件で起訴された秘密情報の開示によって被告人が得た利益が5万円程度にとどまるという弁護人が指摘する事情を考慮したとしても、なお、被告人の罪責は重いというべきである。 そこで、被告人に対しては、主文のとおりの懲役刑及び罰金刑の併科をもって臨むこととし、ただし、被告人にはこれまで交通前科以外に前科前歴がないこと、本件犯行を認めて公判廷においても反省の弁を述べていること、被告人の妻が公判廷に出廷して被告人の監督を誓っていることなどの諸事情も考慮して、その懲役刑について執行を猶予するのが相当であると判断した。 (検察官大本寛之、弁護人(私選)桐岡勇各出席)(求刑-懲役3年及び罰金100万円)令和6年7月11日岡山地方 て、その懲役刑について執行を猶予するのが相当であると判断した。 (検察官大本寛之、弁護人(私選)桐岡勇各出席)(求刑-懲役3年及び罰金100万円)令和6年7月11日岡山地方裁判所津山支部 裁判官玉田雅義
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