平成14(わ)916 被告人Aに対するあっせん収賄被告,被告人B,同Cに対する贈賄各被告

裁判年月日・裁判所
平成15年2月25日 福岡地方裁判所 小倉支部
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判決文本文3,263 文字)

平成15年2月25日宣告平成14年(わ)第916号被告人Aに対するあっせん収賄被告事件,被告人B,同Cに対する贈賄各被告事件判決 主文 1 被告人Aを懲役1年6月に,被告人Bを懲役1年に,被告人Cを懲役10月にそれぞれ処する。 2 被告人Aに対し未決勾留日数中60日をその刑に算入する。 3 被告人3名に対し,この裁判が確定した日から3年間,それぞれその刑の執行を猶予する。 4 被告人Aから金50万円を追徴する。 理由 (罪となるべき事実)被告人Aは,福岡県の技術吏員として,平成10年4月6日から同13年3月31日までの間,同県D土木事務所建設課第1係の技術主査の職にあったもの,被告人Bは,土木一式・建築一式工事の設計・施工及び請負等を業とするE建設株式会社の代表取締役,被告人Cは,同社取締役営業部長の職に,上記のころそれぞれあったものであるが,第1 被告人Aは,同11年11月5日ころ,同県a市大字bc番地のd所在の同県D土木事務所内において,上記Bから,電話で,同県が指名競争入札の方法により発注予定の平成11年補助第e-f号11年災害土木工事に関し,同工事の入札予定価格算定の基礎となる設計金額算出等の職務を担当する同土木事務所維持課の職員から秘密事項である同工事の設計金額を漏示させて教示してもらいたい旨のあっせん方の請託を受けてこれを承諾し,そのころ,上記土木事務所内において,上記職務を担当する同土木事務所維持課第3係技師Fから上記設計金額の漏示を受けた上,同月8日ころ,上記土木事務所において,上記Cに上記設計金額を記載したメモを し,そのころ,上記土木事務所内において,上記職務を担当する同土木事務所維持課第3係技師Fから上記設計金額の漏示を受けた上,同月8日ころ,上記土木事務所において,上記Cに上記設計金額を記載したメモを手交して教示し,同月15日ころ,北九州市g区h町i番j号所在の有限会社G前に停車中の普通乗用自動車内において,上記Cから,上記あっせんをしたことの報酬として供与されるものであることを知りながら,現金50万円の供与を受け,もって,請託を受け,他の公務員に職務上不正の行為をさせるようにあっせんしたことの報酬として賄賂を収受し,第2 被告人B及び同Cは,共謀の上,同月5日ころから同月8日ころ,上記D土木事務所において,上記あっせん方を請託し,これを承諾して上記設計金額を漏示させてその教示をした上記Aに対し,同月15日ころ,上記普通乗用自動車内において,その報酬として現金50万円を供与し,もって,上記と同様の報酬として賄賂を供与したものである。 (証拠の標目)(省略)(法令の適用)罰条判示第1の所為は,刑法197条の4に,判示第2の被告人B,同Cの各所為は,いずれも刑法60条,198条に各該当刑種選択(判示第2)  被告人B,同Cにつき,いずれも懲役刑を選択未決勾留日数の算入被告人Aにつき刑法21条刑の執行猶予被告人3名につき,いずれも刑法25条1項追徴被告人Aにつき刑法197条の5後段訴訟費用の不負担被告人Aにつき刑事訴訟法181条1項ただし書(量刑の理由)本件は,当時,E建設株式会社(以下「E建設」という。)の代表取締役であった被告人B及び同社の取締役営業部長であった被告人Cが,福岡県の発注する同県k郡l町での災害土木工事の指名競争入札において,予定価格に近接したできるだけ高値での落札をし 」という。)の代表取締役であった被告人B及び同社の取締役営業部長であった被告人Cが,福岡県の発注する同県k郡l町での災害土木工事の指名競争入札において,予定価格に近接したできるだけ高値での落札をし,E建設がより多額な利益を得ることなどを企て,当時,同県D土木事務所建設課技術主査であった被告人Aに対し,上記工事の設計金額算出等の職務を担当する職員から設計金額を漏示させることのあっせんを依頼し,そのあっせんをしたことの報酬として現金50万円の賄賂を供与し,被告人Aがこれを収受したというあっせん贈収賄の事案である。 被告人B及び同Cは,同Aから工事等の技術や手続,情報等の教示を受けるなどの関係を同人と構築しようとして,かねてから同人に対し餞別や食事の接待等を行ってきていたという経緯を背景に,上記企ての下に本件贈賄の犯行に及び,被告人Aも,上記経緯から被告人Bらに恩義を感じるなどしていたことから,その不正な依頼に対し一旦は難色を示したものの,すぐにこれに応じることとし,後日被告人Cから差し出された封筒入りの現金を,上記不正な依頼に応じたことの謝礼であると十分気付きながら,断ることなくそのまま受け取ったものであり,被告人らの規範意識の鈍磨はいずれも顕著で,その利欲的かつ自己中心的な動機に何ら酌量の余地はない。被告人Aについては,公務員としての職責に対する自覚を,同Bについては,会社の最高責任者の地位にあることの自覚を,いずれも著しく欠いた点において,同Cも,同じく会社の取締役の重責にありながら,本件依頼や賄賂の提供の話を同Bに持ちかけるなど本件犯行のきっかけを作った点において,いずれも強く非難がされなければならない。そして,たとえE建設が工事の設計金額の算出につき予定価格に近い数値を得られるだけのノウハウを有しているとしても,本件犯行によりその誤 かけを作った点において,いずれも強く非難がされなければならない。そして,たとえE建設が工事の設計金額の算出につき予定価格に近い数値を得られるだけのノウハウを有しているとしても,本件犯行によりその誤差が解消されたであろうことは疑いがなく,税金で賄われている工事代金が被告人らの恣意により不当に高額となったとみられることは看過できない。賄賂の金額も,50万円と決して少ない額とはいえず,また,本件犯行が社会に与えた影響も看過し得ないところであって,以上の諸事情を総合すると,被告人らの刑事責任はいずれも軽視できるものではない。 しかし他方,被告人らは捜査・公判を通じていずれも本件犯行を素直に認め,反省の態度を示し,社会や職員ないし社員,家族等に対し謝罪の意を表している。そして,被告人Aにおいては,これまで十数年にわたり福岡県職員として主に土木関係の職に従事してきていたところ,本件により福岡県職員を懲戒免職になったほか,本件が発覚しマスコミに報道がされるなどの社会的制裁も受け,身柄拘束も4か月間以上に及んでいること,同被告人にはこれまで前科・前歴は全くないこと,母親が情状証人として出廷し,同被告人の監督を誓約していることなど,同被告人のために酌むことのできる事情も認められる。また,被告人Bにおいては,E建設有限会社(E建設の前身)を設立して以来,組織変更の前後を通じ二十数年にわたり代表取締役を務め,被告人Cも上記設立以来の社員であり,平成11年にはE建設の取締役に就任していたところ,いずれも本件を契機に退職金の受領を辞退した上でE建設を退社したほか,やはりマスコミ報道などの社会的制裁も受けていること,被告人Bにはこれまで前科・前歴は全くなく,被告人Cには昭和39年と平成12年に業務上過失傷害の罰金前科があるに止まること,被告人B,同Cとも,その妻 りマスコミ報道などの社会的制裁も受けていること,被告人Bにはこれまで前科・前歴は全くなく,被告人Cには昭和39年と平成12年に業務上過失傷害の罰金前科があるに止まること,被告人B,同Cとも,その妻が情状証人として出廷し,いずれも同被告人らの監督を誓約していることなど,同被告人らのために酌むことのできる事情も認められる。 当裁判所は,これら一切の事情を考慮し,被告人3名をそれぞれ主文のとおりの刑に処した上,いずれもその刑の執行を猶予するのを相当と判断した。 平成15年2月25日福岡地方裁判所小倉支部第1刑事部裁判官西森英司

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