令和3(行コ)111 法人税更正処分取消請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和3年11月24日 東京高等裁判所
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判決文本文10,869 文字)

- 1 - 令和3年11月24日判決言渡令和3年(行コ)第111号法人税更正処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成30年(行ウ)第278号) 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 A税務署長が平成29年2月27日付けで控訴人に対してした平成26年6月1日から平成27年5月31日までの事業年度に係る法人税の更正処分のうち,所得金額4億6631万7664円,納付すべき税額1億0139万9300円を超える部分を取り消す。 第2 事案の概要(以下,略語は,特に定めない限り,原判決の表記による。) 1 本件は,化粧品及び医薬部外品(化粧品等)の製造販売等を目的とする株式会社である控訴人が,中古のチューブ充填機を取得して改良を施し,また,中古の包装機を取得して,これらを事業の用に供し,平成26年6月1日から平成27年5月31日までの事業年度(本件事業年度)に係る法人税の確定申告(本件確定申告)において,前記充填機及び包装機(本件充填機等)並びに前 記改良のために支出した費用(本件資本的支出)に係る減価償却費を損金の額に算入したところ,A税務署長(処分行政庁)から,償却限度額の計算に誤りがあるとして更正処分(本件処分)を受けたことから,本件処分のうち当該申告額を超える部分の取消しを求める事案である。 原審は,本件処分は適法であるとして,控訴人の請求を棄却した。 控訴人が,これを不服として控訴した。 - 2 - 2 関係法令等,前提事実及び被控訴人の主張する税額等次のとおり補正す は適法であるとして,控訴人の請求を棄却した。 控訴人が,これを不服として控訴した。 - 2 - 2 関係法令等,前提事実及び被控訴人の主張する税額等次のとおり補正するほか,原判決の「第2 事案の概要等」の2から4まで記載のとおりであるから,これを引用する。 2頁18行目の「別紙」を「原判決別紙(以下「別紙」という。)」に改める。 4頁18行目の「別表1」を「原判決別表1」に改める。 5頁20行目の「別紙3」の次に「(ただし,29頁7行目の「別表2」を「原判決別表2(以下「別表2」という。)」に改める。)」を加える。 3 争点及び当事者の主張次のとおり補正し,当審における当事者の補充主張の要旨を付加するほか, 原判決の「第2 事案の概要等」の5記載のとおりであるから,これを引用する。 原判決の補正5頁26行目の「別紙4」の次に「(ただし,32頁18行目の「本件耐用年数省表」を「本件耐用年数表」に改める。)」を加える。 当審における当事者の補充主張の要旨ア争点(設備の一部を構成する中古資産を取得した場合における耐用年数省令3条1項2号の適用)について 控訴人a 減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法を定めた法人税法 31条及び法人税法施行令48条,48条の2,56条は,財務省令に対し,政令が定める減価償却資産について,定額法や定率法の計算を行う上で必要な「耐用年数」,「償却率」,「改定償却率」等の具体的数値を定めるよう再委任しているにすぎない。他方,減価償却資産の意義,範囲に関する法人税法2条23号及び法人税施行令13条は, 「機械及び装置」について,更に細目を定 「改定償却率」等の具体的数値を定めるよう再委任しているにすぎない。他方,減価償却資産の意義,範囲に関する法人税法2条23号及び法人税施行令13条は, 「機械及び装置」について,更に細目を定めて分類するような再委任- 3 - 規定を置いていない。したがって,減価償却資産の範囲を画する上で,「機械及び装置」という文言を離れ,法令の委任に基づかない耐用年数省令上の「設備」という文言を根拠にして解釈を行うことは許されない。 b 「機械及び装置」について,耐用年数省令において,設備を構成す る各資産を一体のものとして共通の耐用年数(総合耐用年数)により償却するという総合償却法を採用していることを示しているものと解することは,「機械及び装置」につき,総合償却資産であるとして,通常の文言とは異なり,また,取引上の社会通念とも異なる概念を採用していることになるから,明文の定めがないまま,解釈によりそのよ うな結論を導くことは許されない。 c 「機械及び装置」である減価償却資産について,複数の資産により構成される設備の稼働によって初めて,本来の機能を発揮し法人の収益に寄与するものとなるとすることは,本件耐用年数表の「機械及び装置」の「7 印刷業又は印刷関連業用設備」の細目の「デジタル印 刷システム設備」のように,資産としては単数であるが,一連の印刷機の部品の集合体を意味する場合が存在していることと完全に矛盾しており,また,国税庁のタックスアンサー(甲22)では,中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除に関し,減価償却資産である「機械及び装置」について,「一台又は一基」という単位 を前提として,特別償却や税額控除を行うものとしていることとも完全に矛盾している。のみならず,後者 又は税額控除に関し,減価償却資産である「機械及び装置」について,「一台又は一基」という単位 を前提として,特別償却や税額控除を行うものとしていることとも完全に矛盾している。のみならず,後者については,総合償却法自体とも矛盾している。 d 税制改正の経緯からみても,旧耐用年数省令において「総合償却法」や「総合償却資産」という文言が定められていたわけではないから (乙15),この点から,「機械及び装置」につき,耐用年数省令にお- 4 - いて,総合償却法を採用していることを示すものと解されるとすることはできない。 e 前記aにおいて主張したところなどからすると,耐用年数省令は,総合償却法を採用する限度において,法人税法31条及び法人税法施行令48条,48条の2を踏まえた同令56条の趣旨に適合するもの ではなく,法人税法及び法人税法施行令の委任の範囲を逸脱したものとして,無効というべきである。 被控訴人a 設備という集合体として集団的に生産手段として用いられる点に特徴がある「機械及び装置」については,その資産の集合体ごとに耐用 年数を定めることが,減価償却制度の目的に沿うものと解される。そうすると,法人税法31条1項,6項が減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法を政令に委任し,これを受けた法人税法施行令48条の2第1項2号及び56条が減価償却資産の償却の方法について財務省令(耐用年数省令)に再委任しているところ,「機械及び装置」 について償却の方法を定めるに当たっては,その前提として,いかなる資産の集合体を一の設備として減価償却を行うかを定める必要があることは明らかである。このようなことからすると,法人税法及び法人税法施行令は,「機械及び装置」が に当たっては,その前提として,いかなる資産の集合体を一の設備として減価償却を行うかを定める必要があることは明らかである。このようなことからすると,法人税法及び法人税法施行令は,「機械及び装置」が総合償却資産であることを前提として,償却の方法を耐用年数省令に再委任したものであり,これを受 けて,本件耐用年数表は,「機械及び装置」について,「設備の種類」ごとに「細目」を定め,その各「細目」別に耐用年数を定めているものと解するのが相当である。 以上を前提とすれば,減価償却資産の範囲の解釈に当たって,法人税法及び法人税法施行令のみならず,耐用年数省令をも考慮して,こ れらの規定から総合的に解釈を行うことは,当然に許容されるべきも- 5 - のである。 したがって,控訴人の前記a及びbの各主張はいずれも理由がない。 b デジタル印刷システム設備は,単体の資産であることもあれば,複数の資産の集合体であることもあると解され,同設備が単体の減価償 却資産である場合があることは,「機械及び装置」が,複数の資産により構成される設備の稼働によって初めて,本来の機能を発揮し法人の収益に寄与するものとなるという特質を有することと何ら矛盾するものではない。 また,中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控 除に関し,減価償却資産である「機械及び装置」について,一台及び一基という単位を基準としているのは,中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除について定めた租税特別措置法(令和3年法律第11号による改正前のもの。以下「措置法」という。)の適用範囲を画するためのものであり,中小企業の設備投資 の促進という政策的観点から,減価償却資 について定めた租税特別措置法(令和3年法律第11号による改正前のもの。以下「措置法」という。)の適用範囲を画するためのものであり,中小企業の設備投資 の促進という政策的観点から,減価償却資産の評価の単位を設定したものであって,「機械及び装置」の償却方法(総合償却法を採用するか否か)とは無関係であるから,前記の一台及び一基という単位を基準としていることと,本件耐用年数表が総合償却法を採用していることとは矛盾するものではない。 したがって,控訴人の前記cの主張は理由がない。 c 総合償却法の考え方は,平成20年改正前の旧耐用年数省令にも表れており,平成20年改正後もそのような考え方が引き継がれていることは明らかであり,旧耐用年数省令において,「総合償却法」や「総合償却資産」という文言が定められていないことをもって,平成20 年改正前から総合償却資産の考え方が採用されていたことを否定する- 6 - 理由とはならない。 したがって,控訴人の前記dの主張は理由がない。 d 耐用年数省令は,前記aのとおり,法人税法施行令56条から委任を受けたものであり,その委任に基づき,減価償却の目的に鑑みて「機械及び装置」につき総合償却法を採用することも含めて,減価償 却の具体的な方法を規定したものである。 したがって,耐用年数省令は,法令等からの委任の範囲を超えるものではないから,控訴人の前記eの主張は理由がない。 イ争点(本件各資産の耐用年数)について 控訴人 a 仮に「機械及び装置」の解釈について,総合償却法が採用されるとしても,最高裁平成20年9月16日判決・民集62巻8号2089頁(以下「最高裁平成20 て 控訴人 a 仮に「機械及び装置」の解釈について,総合償却法が採用されるとしても,最高裁平成20年9月16日判決・民集62巻8号2089頁(以下「最高裁平成20年判決」という。)の判示内容からすると,「本件充填機(本件資本的支出を含む。)」が,それ自体として1個の取引単位であり,また,資産として「充填」工程という用途に応じた 本来の機能を発揮する状態にあり,さらに,「本件包装機」がそれ自体として1個の取引単位であり,また,資産として「包装」工程という用途に応じた本来の機能を発揮する状態にある以上,それぞれが減価償却資産の単位になるというべきである。 b 本件充填機(本件資本的支出を含む。)及び本件包装機が単独で総合 償却資産の範囲を画するものとはならないとしても,総合償却資産の範囲を画する概念としては,一の工程やラインとなって一体の設備を構成している場合をいうと解することができるから,本件充填機(本件資本的支出を含む。)については,製品化部門における製品化ライン(ただし,包装工程を除く)ごとに総合償却資産の単位を画するべき であり,それ単独で一体の設備として機能する本件包装機については,- 7 - それ単独で総合償却資産の単位を画するべきである。本件耐用年数表にいう「設備」の単位を判断するに当たり,各資産が連動し,あるいは連携して集団的に生産手段として用いられているといえるか否かを考慮して判断すべきであるとした上で,本件工場における製造部門及び製品化部門に属する各資産の総体が,同表にいう「設備」の単位と なるとすることは,「機械及び装置」の文言,あるいは,少なくとも取引上の社会通念からは明らかに逸脱しているのであり,解釈による限界を超えるものであって,法人 総体が,同表にいう「設備」の単位と なるとすることは,「機械及び装置」の文言,あるいは,少なくとも取引上の社会通念からは明らかに逸脱しているのであり,解釈による限界を超えるものであって,法人税法の趣旨に反し,違法である。 また,本件包装機が単独で総合償却資産の範囲を画するものとはならないとしても,製品化部門のライン(包装工程を含む)ごとに総合 償却資産の単位を画するべきである。 被控訴人控訴人の前記の各主張はいずれも理由がない第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,本件処分は適法であり,控訴人の請求は理由がないものと判断 する。その理由は,次のとおり補正し,当審における当事者の補充主張に対する判断を付加するほか,原判決の「第3 当裁判所の判断」記載のとおりであるから,これを引用する。 原判決の補正ア 13頁13行目の「」を「」に改める。 イ 14頁14行目の「4階」の次に「まで」を加える。 ウ 19頁21行目の「別表3」を「原判決別表3」に改める。 当審における当事者の補充主張についてア争点(設備の一部を構成する中古資産を取得した場合における耐用年数省令3条1項2号の適用)について 前記引用に係る原判決の「第3 当裁判所の判断」の1ア及びイ- 8 - (6頁13行目から8頁3行目まで)における説示のとおり,法人税法施行令の委任を受けた耐用年数省令が,減価償却資産の耐用年数について同令各別表に定めるところによると規定している趣旨については,企業において長期間にわたって収益を生み出す源泉である減価償却資産につき,費用収益対応の原則に従い,その取得に要した金額を使用又は時 の経 別表に定めるところによると規定している趣旨については,企業において長期間にわたって収益を生み出す源泉である減価償却資産につき,費用収益対応の原則に従い,その取得に要した金額を使用又は時 の経過による減価に応じて徐々に費用化するという減価償却の制度において,その取得費用を適正に配分するために,当該資産の内容や用途等によって将来の収益に対する寄与の度合いや態様等が異なることを勘案し,減価償却資産を類型化するとともに,その類型ごとに耐用年数を定めることとしたものと解すべきであり,減価償却資産のうち「機械及び 装置」について耐用年数を定める本件耐用年数表が,業用区分ごとに定められた「細目」別に,設備を単位とした耐用年数(総合耐用年数)を定めていることは,法人税法施行令の委任を受けた耐用年数省令において,「機械及び装置」については,設備を構成する各資産を個別の耐用年数により償却するのではなく,それらを一体のものとして共通の耐用年 数(総合耐用年数)により償却するという総合償却法を採用していることを示すものと解するのが相当である。 この点について,控訴人は,減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法を定めた法人税法31条及び法人税法施行令48条,48条の2,56条は財務省令に対して「耐用年数」,「償却率」等の具体的数値 を定めるよう再委任しているにすぎず,他方,減価償却資産の意義,範囲に関する法人税法2条23号及び法人税法施行令13条は「機械及び装置」について更に細目を定めて分類するような再委任規定を置いていないから,減価償却資産の範囲を画する上で,「機械及び装置」という文言を離れ,法令の委任に基づかない耐用年数省令上の「設備」という文 言を根拠にして解釈を行うことは許されない旨,「機械及び装置」に から,減価償却資産の範囲を画する上で,「機械及び装置」という文言を離れ,法令の委任に基づかない耐用年数省令上の「設備」という文 言を根拠にして解釈を行うことは許されない旨,「機械及び装置」につい- 9 - て,耐用年数省令において総合償却法を採用しているものと解することは,「機械及び装置」につき,通常の文言とは異なり,また,取引上の社会通念とも異なる概念を採用していることになるから,明文の定めもないまま解釈によりこのような結論を導くことは許されない旨を主張する。 しかしながら,設備という集合体として集団的に生産手段として用い られる点に特徴がある「機械及び装置」については,その資産の集合体ごとに耐用年数を定めることが,減価償却制度の目的に沿うものと解されるところ,「機械及び装置」について償却の方法を定めるに当たっては,その前提として,いかなる資産の集合体を一の設備として減価償却を行うかを定める必要があることは明らかであり,法人税法及び法人税法施 行令は「機械及び装置」が総合償却資産であることを前提として,その償却の方法を耐用年数省令に再委任し,これを受けて本件耐用年数省令は,「機械及び装置」について,「設備の種類」ごとに「細目」を定め,その各「細目」別に耐用年数を定めているものと解するのが相当であって,そうであれば,減価償却資産の範囲の解釈に当たっては,法人税法 及び法人税法施行令のみならず,耐用年数省令をも関係法令として考慮することができ,これらの規定から総合的に解釈を行うことは許容されるべきであるということができるから,控訴人の上記各主張は,上記説示に照らし,いずれも理由がなく,採用することができない。 控訴人は,「機械及び装置」である減価償却資産について,複数の資産 るということができるから,控訴人の上記各主張は,上記説示に照らし,いずれも理由がなく,採用することができない。 控訴人は,「機械及び装置」である減価償却資産について,複数の資産 により構成される設備の稼働によって初めて,本来の機能を発揮し法人の収益に寄与するものとなるとすることは,①本件耐用年数表の「機械及び装置」の「7 印刷業又は印刷関連業用設備」の細目の「デジタル印刷システム設備」のように,資産としては単数であるが一連の印刷機の部品の集合体を意味する場合が存在していることと完全に矛盾し,ま た,②国税庁のタックスアンサーでは,中小企業等が機械等を取得した- 10 - 場合の特別償却等に関し,減価償却資産である「機械及び装置」について,「一台又は一基」という単位を前提として,特別償却等を行うものとしていることとも完全に矛盾しているとともに,後者については,総合償却法自体とも矛盾する旨主張する。 しかしながら,①の点ついては,デジタル印刷システム設備について は,単体の資産である場合に限られず,複数の資産の集合体である場合もあることを否定することはできない(甲18,19号証によっても,同設備が単体の資産に限られると認めることはできない。)から,同設備に単体の減価償却資産である場合が存在することは,減価償却資産である「機械及び装置」が,複数の資産により構成される設備の稼働によっ て初めて,本来の機能を発揮し法人の収益に寄与するものとなるという特質を有することと矛盾するものとはいえず,また,②の点については,中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除に関し,減価償却資産である「機械及び装置」について,一台及び一基という単位が基準とされているところ(措置法42条の6,同 ②の点については,中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除に関し,減価償却資産である「機械及び装置」について,一台及び一基という単位が基準とされているところ(措置法42条の6,同法施行令27条の 6第4項。なお,国税庁のタックスアンサー(甲22)も,この点に関するものである。),これは,中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除について定めた措置法の適用範囲を画するためのものであり,あくまで中小企業の設備投資の促進という政策的観点から減価償却資産の評価の単位を設定したものであって,「機械及び 装置」の償却方法(総合償却法を採用するか否か)とは関係せず,前記の一台及び一基という単位が基準とされていることは,本件耐用年数表が総合償却法を採用していることとは矛盾するものとはいえない。 以上によれば,控訴人の上記各主張はいずれも理由がなく,採用することができない。 控訴人は,税制改正の経緯からみても,旧耐用年数省令において「総- 11 - 合償却法」や「総合償却資産」という文言が定められていたわけではないことからすると,「機械及び装置」につき,耐用年数省令において,総合償却法を採用していると解することはできない旨主張するが,「機械及び装置」に関する減価償却制度についての各税制改正の経緯に照らしても,本件処分時における耐用年数省令が,「機械及び装置」について総合 償却法が採用されていることを前提に,業用区分の各細目別に総合耐用年数を定めているものと解することが相当であることは,前記引用に係る原判決の「第3 当裁判所の判断」の1イ(8頁12行目から25行目まで)において認定説示したとおりであって,旧耐用年数省令において「総合償却法」や「総合償却 ことが相当であることは,前記引用に係る原判決の「第3 当裁判所の判断」の1イ(8頁12行目から25行目まで)において認定説示したとおりであって,旧耐用年数省令において「総合償却法」や「総合償却資産」という文言が定められていなか ったことは,上記認定説示を左右するものではなく,控訴人の上記主張は採用することができない。 控訴人は,耐用年数省令について,総合償却法を採用する限度において,法人税法施行令56条の趣旨に適合するものではなく,法人税法及び法人税法施行令の委任の範囲を逸脱したものであって,無効というべ きである旨主張するが,同主張に理由がないことは,前記説示に照らして明らかである。 イ争点(本件各資産の耐用年数)について 控訴人は,仮に「機械及び装置」の解釈について総合償却法が採用されるとしても,最高裁平成20年判決の判示内容からすると,本件充填 機(本件資本的支出を含む。)及び本件包装機のそれぞれが減価償却資産の単位になるというべきである旨主張するが,最高裁平成20年判決は,簡易型携帯電話(PHS)事業者が事業の用に供したエントラス回線利用権について,1回線に係る権利ごとにそれぞれ一つの減価償却資産とみることができるかどうかについて判示したものであって,本件とは事 案を異にするものである。そして,当該判示を踏まえても,前記認定説- 12 - 示は左右されるものではなく,控訴人の上記主張は採用することができない。 控訴人は,本件充填機(本件資本的支出を含む。)及び本件包装機が単独で総合償却資産の範囲を画するものとはならないとしても,本件充填機(本件資本的支出を含む。)については製品化ライン(ただし,包装工 程を除く)ごとに,本件包装機につい む。)及び本件包装機が単独で総合償却資産の範囲を画するものとはならないとしても,本件充填機(本件資本的支出を含む。)については製品化ライン(ただし,包装工 程を除く)ごとに,本件包装機についてはそれ単独で総合償却資産の単位を画するべきであり,本件耐用年数表にいう「設備」の単位を判断するに当たっては,各資産が連動し,あるいは連携して集団的に生産手段として用いられているといえるか否かを考慮して判断すべきであるとした上で,本件工場における製造部門及び製品化部門に属する各資産の総 体が,同表にいう「設備」の単位となるとすることは,「機械及び装置」の文言,あるいは,少なくとも取引上の社会通念からは明らかに逸脱しており,解釈による限界を超えるもので,法人税法の趣旨に反し違法である旨,本件包装機が単独で総合償却資産の範囲を画するものとはならないとしても,製品化部門のライン(包装工程を含む)ごとに総合償却 資産の単位を画するべきである旨を主張する。 しかしながら,耐用年数省令において「機械及び装置」の減価償却につき総合償却法を採用した趣旨が,複数の資産により構成される設備の稼働によって法人の収益の獲得に寄与するという「機械及び装置」の特質等にあることに照らせば,「設備」の単位を判断するに当たっては,法 人における生産の目的・方法,各資産の内容・用途,各資産相互の関係等を踏まえた上で,収益を生み出す源泉となる個々の資産が生産手段として用いられている具体的な態様を踏まえた上で,当該各資産が連動し,あるいは連携して集団的に生産手段として用いられているといえるか否かを考慮して判断すべきであり,前記引用に係る原判決の「第3 当裁 判所の判断」の2(12頁25行目から16頁11行目まで。当審に- 13 - 産手段として用いられているといえるか否かを考慮して判断すべきであり,前記引用に係る原判決の「第3 当裁 判所の判断」の2(12頁25行目から16頁11行目まで。当審に- 13 - おける補正部分を含む。)の認定事実を踏まえれば,本件工場における製造部門及び製品化部門に属する各資産は,連動し,あるいは連携して集団的に生産手段として用いられているものということができ,これらの各資産の総体が本件耐用年数表にいう「設備」の単位となるというべきであることは,前記引用に係る原判決の「第3 当裁判所の判断」の2 ⑵アからウまで(16頁14行目から18頁20行目まで)において認定説示したとおりであって,控訴人の上記各主張はいずれも採用することができない。 ウその他,控訴人が種々主張するところは,いずれも前記認定説示を左右するものではなく,採用することができない。 2 よって,原判決は相当であって,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第22民事部 裁判長裁判官相澤哲 裁判官伊藤一夫 裁判官寺本昌広は,転補のため,署名押印することができない。 裁判長裁判官相澤哲

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