主文 1 被控訴人らの附帯控訴に基づいて,原判決を次のとおり変更する。 (1) 被控訴人A及び被控訴人Bは,控訴人に対し,それぞれ44万2362円及びこれに対する平成5年10月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 被控訴人東京海上は,控訴人と被控訴人A及び被控訴人Bとの間の本件判決が確定したときは,控訴人に対し,88万4724円及びこれに対する平成5年10月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 控訴人のその余の請求を棄却する。 2 控訴人の控訴をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,第1,2審を通じて,これを10分し,その7を控訴人の負担とし,その余を被控訴人らの負担とする。 4 この判決は,第1項(1)及び同(2)に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 控訴事件(平成12年(ネ)第298号)について(1) 控訴人ア原判決を次のとおり変更する。 (ア) 被控訴人A及び被控訴人B(以下,併せて「被控訴人AB両名」という。)は,控訴人に対し,それぞれ144万1310円及びこれに対する平成5年10月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (イ) 被控訴人東京海上は,控訴人に対し,288万2620円及びこれに対する平成5年10月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (ウ) 訴訟費用は,第1,2審を通じて,被控訴人らの負担とする。 (エ) 仮執行の宣言(2) 被控訴人らア控訴人の控訴を棄却する。 イ控訴費用は控訴人の負担とする。 2 平成12年(ネ)第739号附帯控訴事件について(1) 被控訴人東京海上ア原判決中,被控訴人東京海上の敗訴部分を取り消す。 イ控訴人の被控訴人東京海 。 イ控訴費用は控訴人の負担とする。 2 平成12年(ネ)第739号附帯控訴事件について(1) 被控訴人東京海上ア原判決中,被控訴人東京海上の敗訴部分を取り消す。 イ控訴人の被控訴人東京海上に対する請求を棄却する。 ウ被控訴人東京海上と控訴人との間の訴訟費用は,第1,2審を通じて,控訴人の負担とする。 (2) 控訴人ア被控訴人東京海上の附帯控訴を棄却する。 イ附帯控訴費用は被控訴人東京海上の負担とする。 3 平成12年(ネ)第740号附帯控訴事件について(1) 被控訴人AB両名ア原判決中,被控訴人AB両名の敗訴部分を取り消す。 イ控訴人の被控訴人AB両名に対する請求をいずれも棄却する。 ウ被控訴人AB両名と控訴人との間の訴訟費用は,第1,2審を通じて,控訴人の負担とする。 (2) 控訴人ア被控訴人AB両名の附帯控訴をいずれも棄却する。 イ附帯控訴費用は被控訴人AB両名の負担とする。 第2 事実関係次のとおり補正するほか,原判決の「事実及び理由」欄の「第二」記載のとおりであるから,これを引用する。 1 原判決6頁9行目から11行目にかけての「被告A(以下「被告A」という。)及び被告B(以下「被告B」という。)」を「被控訴人AB両名」と,7頁1行目から2行目にかけての「被告東京海上火災保険株式会社(以下「被告東京海上」という。)」を「被控訴人東京海上」と各訂正する。 2 同10頁8行目と9行目との間に次のとおり付加する。 「5 控訴人は,本件事故後まもない平成5年10月31日,被害車両と同車種(ホンダプレリュード)の販売店である株式会社ホンダベルノ愛知(以下「ホンダベルノ」という。)から,ホンダプレリュードの新車を購入し,被害車両を下取り(下取代金45万円)に出した(甲10,甲125,弁論の全趣旨)。」 3 同10頁9 る株式会社ホンダベルノ愛知(以下「ホンダベルノ」という。)から,ホンダプレリュードの新車を購入し,被害車両を下取り(下取代金45万円)に出した(甲10,甲125,弁論の全趣旨)。」 3 同10頁9行目の「5」を「6」と,11頁3行目の「6」を「7」と各訂正する。 4 同11頁5行目と6行目との間に次のとおり付加する。 「8(1) ホンダベルノは,控訴人から被害車両を下取りした後,これを修理しないままの状態で,有限会社パブリック自動車販売に売り渡した。 (2) 有限会社パブリック自動車販売は,平成5年12月,CことDに被害車両の修理を依頼して,これを修理させ,同修理後の平成6年1月,日昇自動車株式会社に対し被害車両を売り渡した。 (3) 日昇自動車株式会社は,平成6年2月,E(静岡県浜名郡在住)に対し,被害車両を売り渡した。被害車両の使用者は,Eの子であるF(同所在住)であったが,平成6年7月ころ,被害車両を電柱に衝突させる事故を起こし,被害車両はいったん抹消登録されて廃車となった。 (4) 被害車両は,平成6年12月,再び新規登録されて,有限会社ガジョウ産業(鹿児島県曽於郡所在)の所有となり,同社からG(宮崎県都城市在住)に譲渡された。 (5) Gは,平成7年7月,H(鹿児島県鹿屋市在住)に対して,被害車両を譲渡した。被害車両の使用者は,Hの子であるIであった。 (6) 控訴人は,当審係属後である平成12年9月30日,当時被害車両を所有していたHから,証拠確保のため被害車両を譲り受け,再び被害車両の所有者となった。 (甲54,甲57の1,2,甲125,126,乙47,弁論の全趣旨)」 5 同12頁11行目の「本件事故に際しては被害車両の買替えが相当であった。」を「本件事故の結果,被害車両を買い替えることが相当となった。」と訂正する。 6 同13頁 126,乙47,弁論の全趣旨)」 5 同12頁11行目の「本件事故に際しては被害車両の買替えが相当であった。」を「本件事故の結果,被害車両を買い替えることが相当となった。」と訂正する。 6 同13頁3行目の「いわゆるバナナ状損傷」を「いわゆるバナナ状損傷又はバナナ型損傷(以下「バナナ損傷」という。)」と訂正する。 7 同15頁3行目の「必要」を「相当」と訂正する。 8 同17頁9行目の「認める」の次に「方向へ」を付加する。 9 同26頁11行目から27頁1行目にかけての「被告東京海上作成の見積書(乙一)」を「東京海上火災保険(株)名古屋支店損害2部自動車3課J作成名義の見積書(以下「被控訴人東京海上の見積り」若しくは「被控訴人東京海上作成の見積書」又は「J見積書」という。乙1)」と訂正する。 10 同32頁1行目の「ホイールアライメント」及び10行目の「トータルホイールアライメント」の次にそれぞれ「テスト」を付加する。 11 同33頁1行目の「本件事故車両」を「被害車両」と訂正する。 12 同33頁4行目及び9行目の各「本件車両」をそれぞれ「被害車両」と訂正する。 13 同40頁5行目の「被告らの見積上」を「被控訴人東京海上の見積り」と訂正する。 14 同40頁7行目の「株式会社ホンダベルノ愛知」を「ホンダベルノ」と訂正する。 15 同41頁4行目と5行目との間に次のとおり付加する。 「(3) また,被害車両には,運転者がハンドルから手を離すと車両が左方向に斜行してしまう現象(以下「左流れ」という。)及びシミーモーション(車体やハンドルの小刻みな振動)の発生という後遺症が残った。 これは,被害車両を日常的に運転していたI(Hの子)及びその友人らが経験したことであり,また,Hから被害車両を購入して引渡しを受けた直後,控訴人本人及びその同行者が自ら経験し いう後遺症が残った。 これは,被害車両を日常的に運転していたI(Hの子)及びその友人らが経験したことであり,また,Hから被害車両を購入して引渡しを受けた直後,控訴人本人及びその同行者が自ら経験したことである。 さらに,控訴人は,平成12年10月7日,知多半島道路の大府東海インターチェンジから武豊インターチェンジまでの区間において,被害車両の走行テストを実施したが,同様に左流れ及びシミーモーションの発生がみられた。 (4) そして,控訴人は,Kの立会の下,被害車両について各種検査を行ったところ,被害車両には,Dによる修理の後も,①右リヤ・ストラッドタワー取付位置のずれ,②フロントフロアの右シート取付ボルト穴のずれ,③右Aピラーのドアヒンジ取付位置のずれ,④リヤフロアの残存損傷,⑤車体全体(車体の本質的構造部分)のねじれという損傷(本件事故による損傷)が残存していたことが判明した。 走行テストで左流れやシミーモーションが発生したのは,直接的には右リヤ・ストラッドタワーの上部の倒れ込みにより,右リヤホイールのキャンバーが狂っていることに起因する。」 16 同41頁5行目の「(3)」を「(5)」と訂正する。 17 同41頁6行目と7行目との間に次のとおり付加する。 「(三) 被害車両の前記残存損傷を修理するためには,甲131,132のとおり,200万円を大きく超える費用を要する。したがって,最高裁判所昭和49年4月15日判決に示された社会通念上買替え相当の基準に照らし,被害車両には,フレーム等車体の本質的構造部分に重大な損傷の生じたことが客観的に認められるので,社会通念上,買替えが相当であったというべきである。」第3 当裁判所の判断当裁判所の判断は,一部につき加除訂正した以外,原判決の「事実及び理由」欄の「第三」の記載のとおりであるか められるので,社会通念上,買替えが相当であったというべきである。」第3 当裁判所の判断当裁判所の判断は,一部につき加除訂正した以外,原判決の「事実及び理由」欄の「第三」の記載のとおりであるから,その全文を掲げて当裁判所の判断を示し,主要な加除訂正部分には下線を付してこれを示すこととする。 1 争点1(買替え損害額)について(1) 前記争いのない事実等(前記第二の一)並びに証拠(甲6,甲10ないし13,甲54ないし56,甲57の1,2,甲58,59,甲62,甲68,甲125,126,甲130,乙1,乙18,乙28,乙33ないし38,乙40,41,乙44の1,2,乙45の1,乙46,47,乙57,58,証人J)及び弁論の全趣旨によると,以下の事実が認められる。 ア被害車両は,平成4年6月23日,初度登録され,本件事故まで1万1828キロメートル走行したもので,本件事故当時の時価は172万円であった。 イ本件事故による被害車両の損傷は,右側面が主要であり,被害車両の右フロントフェンダーから右ドア,右リヤアウトサイドパネルセットにかけて加害車両と接触した痕跡が残った。被害車両の右ドア下の樹脂製のサイドシルガーニッシュには,擦過した跡はあるものの大きな変形はなく,リヤアウトサイドパネル部分(リヤウインドガラスの右上方部)に2箇所窪みができた。また,クウォーターガラスの内側のライニングがはがれた。被害車両のルーフ部分は,モールを境に,内側にあるルーフパネルには目立った歪みはなかった。 被害車両後部の左テールランプとトランクリッド(トランクのふた)の隙間は広くなっており,右テールランプとトランクリッドの隙間は狭くなっていた。 被害車両の左のリヤホイールトリムには,本件事故によるものとみられる新しい損傷があったが,その他被害車両の左側面に )の隙間は広くなっており,右テールランプとトランクリッドの隙間は狭くなっていた。 被害車両の左のリヤホイールトリムには,本件事故によるものとみられる新しい損傷があったが,その他被害車両の左側面には歪みはなく,左側のフロントフェンダーとドア,ドアとリヤアウトサイドパネルの隙間が広くなっていたり,左側への湾曲の膨らみ,ドア,フェンダー等のチリに狂いが生じているという状態はなかった。 被害車両はモノコックボディー車(フロア,ピラー,ルーフ等各構成体を溶接し,一体化したボディー構造を有する車両)であるが,その骨格というべき右フロントピラー,右サイドシルパネル,右フロントインサイドシル,右リヤインナパネル,ルーフパネル,フロントフロア,リヤフロアパネル,右リヤアウトサイドパネルに損傷があり,右リヤサイドメンバーにも損傷が及び,曲がった状態となった。 ウ上記のような状態となった被害車両の修理代につき,事故直後,被害車両と同種の車両を販売しているホンダベルノの担当者のLは,レッカー代金を含め92万3400円(レッカー代金5万円を差し引き消費税を加えると89万9602円)であると見積もり,これに基づいて見積書(甲13)を作成した。 また,被控訴人東京海上から指示を受けた被控訴人東京海上の関連会社である東京海上損害調査株式会社の従業員(アジャスター)であるJは,平成5年10月26日,ホンダベルノのL立会の下,被害車両を調査,見分し,同修理代(消費税を含む。)を84万0367円であるとし,Lもこれを了解した。Jは,同調査に基づいて,被害車両の修理についての見積書(前掲の「被控訴人東京海上の見積り」若しくは「被控訴人東京海上作成の見積書」又は「J見積書」,乙1)を作成した。 なお,L及びJの調査,査定は,上記のとおり金額に多少の差異はあったもの の見積書(前掲の「被控訴人東京海上の見積り」若しくは「被控訴人東京海上作成の見積書」又は「J見積書」,乙1)を作成した。 なお,L及びJの調査,査定は,上記のとおり金額に多少の差異はあったものの,修理項目等はほぼ同一であり,いずれも右リヤサイドメンバーの損傷に気が付かず,したがって,上記部分の修理を計上しなかった。また,Jは,リヤタイヤを交換する必要を感じたが,価格が未定であったため,これを除いて合計額を算出した。 エ控訴人は,本件事故後である平成5年10月31日,ホンダベルノから被害車両と同型式であるホンダプレリュード(車両本体価格199万3000円)を,値引きその他手数料,各種税等の負担を含め合計価格218万円で買い受けた。 ホンダベルノは,その際,被害車両の価値は未修理の状態で45万円相当であると査定し,上記価格で下取りをし,控訴人は差額173万円を支払った。 オ被害車両は,ホンダベルノに下取りされた後,代金45万円で有限会社パブリック自動車販売に売り渡され,同社から修理を依頼されたDによって修理された。 Dは,オートポールシステムと称するフレーム修正機を使用して被害車両を修理した。上記修正機は床固定をするもので,普通は4点を固定するものであった。Dは当時,修理作業に伴う計測作業には,フレームセンタリングゲージ,トラムゲージ,コンベックスルールを使用していた。そして,Dは,被害車両の修理に際し,右リヤサイドインナーパネルは取り付いた状態で板金し,右リヤサイドメンバー(リヤサイドフレーム),サイドシルインナ,サイドシルアウタ,フロントフロアはいずれも粗出しと呼ばれる板金修理の方法で修理をした。 Dが有限会社パブリック自動車販売から支払を受けた修理代金は,同社から現物で提供を受けた部品代相当額も含め,31万7570円で フロントフロアはいずれも粗出しと呼ばれる板金修理の方法で修理をした。 Dが有限会社パブリック自動車販売から支払を受けた修理代金は,同社から現物で提供を受けた部品代相当額も含め,31万7570円であった。 カところで,被害車両は,Dによって修理された後,有限会社パブリック自動車販売から日昇自動車株式会社に売り渡され,さらに,平成6年2月,日昇自動車株式会社からEに対し,本体価格139万8000円で売り渡された。Eが被害車両を所有していた間,主として被害車両を使用していたのは,同人の子であるFであった。 Fは,平成6年3月に運転免許を取得し,同月ころ,被害車両を運転中,交通事故に遭った(Fは右運転席ドアをこすられる事故であったと供述しているが,具体的な事故態様や衝突部位,これによる被害車両の損傷,修理内容等は明らかでない。)。また,Fは,同年7月ころ,居眠り運転のため電柱に被害車両を衝突させる事故(それ以上に具体的な事故態様や衝突部位,これによる被害車両の損傷,修理内容等は明らかでない。)を起こした。そのため,その所有者であるEは,修理を諦めて被害車両を廃車にした。 被害車両は,平成6年12月,再び新規登録されて,有限会社ガジョウ産業の所有となり,同社からG(宮崎県都城市で「M」の商号で中古車販売業を営む。)に譲渡された。Gは,平成7年7月,H(鹿児島県鹿屋市在住)に対して,被害車両を譲渡した(支払総額140万円)。Hの所有中,被害車両の主な使用者は,Hの子であるIであったが,Iの知合いの女性が被害車両を運転中(時期は不明),交通事故に遭っている(Iは左のドアを少しぶつけられ,10万円くらいの修理をした旨供述するが,これについても,具体的な事故態様や衝突部位,これによる被害車両の損傷,修理内容等は明らかでない。)。 控訴人は, っている(Iは左のドアを少しぶつけられ,10万円くらいの修理をした旨供述するが,これについても,具体的な事故態様や衝突部位,これによる被害車両の損傷,修理内容等は明らかでない。)。 控訴人は,当審係属後である平成12年9月30日,当時被害車両を所有していたHから,証拠確保のためこれを譲り受け,再び被害車両の所有者となった。 (2) 前記(1)の各事実によると,被害車両については,被控訴人東京海上側のアジャスターが調査をする前に販売店であるホンダベルノが修理代金の見積り(甲13)をし,その結果がレッカー代金を除くと89万9602円であったこと,その後,被控訴人東京海上側のアジャスターであるJが調査し,84万0367円と査定し,これについてホンダベルノの担当者のLも上記金額を了解したこと,上記両者の調査,査定において,その金額には多少の差異はあったものの,修理項目等はほぼ同一であったこと等の事実が認められるのであるから,これによると,被害車両の修理代金は上記のように了解された84万0367円と認めるのが相当である。 もっとも,前記のとおり,LもJも,被害車両の右リヤサイドメンバー部分の損傷を発見することなく,したがって前記修理価格の見積りにもこれが計上されていないこと,被害車両を現実に修理したDは上記部分の損傷に気が付き,粗出しと呼ばれる板金修理の方法で修理をしたことが認められ,これによると,被害車両の修理代金は右リヤサイドメンバー部分の修理料を含まなくてはいけないものと考えられる。そして証拠(甲13,甲68,乙1,乙40)によると,Dは「クォーターインナーパネルB(板金),タイヤハウスステップB(板金)」という修理項目で上記周辺の板金修理につき合計2万4000円を請求したこと,もっとも,ホンダベルノやJの見積りにおいても,右リヤフ クォーターインナーパネルB(板金),タイヤハウスステップB(板金)」という修理項目で上記周辺の板金修理につき合計2万4000円を請求したこと,もっとも,ホンダベルノやJの見積りにおいても,右リヤフロアパネル付近についての修理の必要性を認め,修理項目を計上していたことが認められる。そうすると,Dの前記修理代金中2万円相当(消費税を含む。)が前記右リヤサイドメンバー部分の修理に当てられたものと認めるのが相当である。また,前記のとおり,被害車両はリヤタイヤを交換する必要があったところ,証拠(乙45の1)によると,具体的には左のリヤタイヤを交換する必要があり,要する価格は工賃を含み2万8000円であることが認められ,消費税を考慮すると2万8840円となる。したがって,修理代金総計は88万9207円となり,当事者間に争いのないレッカー等代金5万5620円を加えると94万4827円となる。 (3)アところで,控訴人は,被害車両には,Dによる修理の後も,①右リヤ・ストラッドタワー取付位置のずれ,②フロントフロアの右シート取付ボルト穴のずれ,③右Aピラーのドアヒンジ取付位置のずれ,④リヤフロアの残存損傷,⑤車体全体(車体の本質的構造部分)のねじれという損傷(本件事故による損傷)が残存しており,その結果,被害車両には,左流れやシミーモーションが発生している(Iが運転していた当時から発生していた。)と主張し,甲125ないし127,甲128の1,2,甲129等を提出する。 イしかし,Iが運転していた当時,被害車両に上記①ないし⑤の損傷がみられたとしても,前記のとおり,被害車両は,Fの運転中に2回,Iの知人の運転中に1回の交通事故(Hの購入後ではあるが,具体的時期は不明)に遭っており,しかも,それら事故の具体的な事故態様や衝突部位,これによる被害車両の とおり,被害車両は,Fの運転中に2回,Iの知人の運転中に1回の交通事故(Hの購入後ではあるが,具体的時期は不明)に遭っており,しかも,それら事故の具体的な事故態様や衝突部位,これによる被害車両の損傷,修理内容等が明らかでないことに照らせば,上記各損傷がこれら事故の結果である可能性を否定することはできないから,現在において上記各損傷があることから,直ちにこれらが本件事故による損傷であると推認することはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 また,Iが運転していた当時から,被害車両に前記の左流れやシミーモーションがみられたとしても,上記同様,被害車両が本件事故後少なくとも3回の交通事故に遭い,これによる損傷や修理の内容を始めとする詳細が明らかでないことに照らせば,現在,左流れやシミーモーションがみられることから,直ちにこれらが本件事故による損傷の結果であると推認することはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 ウところで,Fは,同人が被害車両を運転していた平成6年当時,同車両は頻繁にハイドロプレーニング現象を起こし,また,わだちによる凹凸の多い路面でハンドルを取られ易かった等供述している(甲54,55)。 しかし,有限会社ガジョウ産業(鹿児島市所在)が所有していた間は,被害車両の運転中,ハイドロプレーニング現象を起こしたり,ハンドルを取られたりしたことはなく(乙48),また,Iが運転していた間や控訴人が被害車両を買い戻した後,そのような現象がみられた形跡はない上(甲125,126,弁論の全趣旨),Fは,平成6年3月に運転免許を取得したばかりであり,被害車両は同人にとっていわば最初の車であり,これと対比すべき他の自動車の運転経験,少なくとも日常的な運転経験がなかったことに照らせば,仮に,Fが被害車両を運転していた平成6年3 したばかりであり,被害車両は同人にとっていわば最初の車であり,これと対比すべき他の自動車の運転経験,少なくとも日常的な運転経験がなかったことに照らせば,仮に,Fが被害車両を運転していた平成6年3月ころないし7月ころ当時,被害車両が頻繁にハイドロプレーニング現象を起こし,また,わだちによる凹凸の多い路面ではハンドルを取られ易かった等の事実があったとしても,そのことから直ちに,それが本件事故による損傷の結果であるということはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 エそして,前記認定のとおり,Dによる修理の代金額が31万7570円であったことからすると,同修理の内容は,J見積書(見積額84万0367円)が予定した修理内容に比して相当程度劣るものであったと推認されるから,仮に,Dによる修理の後,被害車両に本件事故による損傷が残ったとしても,そのことから直ちに,J見積書の内容の修理が実施されたとしても同様の損傷が残ったということはできない。 オしたがって,Iが被害車両を運転していた当時から,被害車両に上記ア①ないし⑤の損傷がみられ,左流れやシミーモーションが発生していたとしても,上記アの証拠のみから,これらが本件事故による損傷の結果であると認めることはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 (4) ところで,控訴人は,原審以来,被害車両には本件事故によりバナナ損傷が生じたと主張しているが,下記のとおり,同主張事実を認めることはできない。 ア控訴人は,被害車両が,別途独立のフレームを有しないモノコックボディー車の構造を有していたこと,本件事故により,被害車両後部の左テールランプとトランクリッドの隙間が広く,右テールランプとトランクリッドの隙間が狭くなっていたのは,右側面からの入力がパーセルシェルフ(リヤスピーカーの取り付けられ 件事故により,被害車両後部の左テールランプとトランクリッドの隙間が広く,右テールランプとトランクリッドの隙間が狭くなっていたのは,右側面からの入力がパーセルシェルフ(リヤスピーカーの取り付けられているパネル)を伝わり,左のクウォーターパネルにまで波及したためと考えられること,被害車両を修理したDが,センタリングゲージで調べたところ,被害車両は右からのぶつかりの力で6ミリメートルくらい左へずれており,いわゆるジャックナイフ現象(バナナ損傷)を起こし,車体が曲がっていた旨供述していること(甲68),前記のとおり,被害車両の右リヤサイドメンバーに損傷が及んでいたが,高張力鋼板でできた箱形の部材でフロアの下部にスポット溶接されているリヤサイドメンバーに損傷を受けていたのであれば,当然リヤフロアにもかなりの損傷があったはずであること,被控訴人東京海上側のアジャスターであるJが被害車両の修理費の見積りとして,右サイドパネル取替え,右フロントインサイドシル取替え,フロントフロア及びリヤフロアの修理,ルーフパネルの修理,ルーフサイドレールの取替えを計上し,ルーフパネルの修正に1万円,フロントフロアに1万5000円,リヤフロアに6000円の工賃を計上していること(乙1),ホンダベルノのLが,被害車両がバナナ損傷の状態となった可能性が高い旨述べた記録があること(甲58,甲62),本件事故後,被害車両を下取りしたホンダベルノは自らこれを修理の上転売することなく,事故車のままの状態で控訴人からの下取価格で第三者に転売していること,修理後の被害車両を運転したFが運転中異常を感じたこと等を理由に,本件事故による被害車両の損傷はバナナ損傷であり,重度のサイド損傷であった旨を主張する。 イしかし,被害車両後部の左テールランプとトランクリッドの隙間が広く,右テ 転中異常を感じたこと等を理由に,本件事故による被害車両の損傷はバナナ損傷であり,重度のサイド損傷であった旨を主張する。 イしかし,被害車両後部の左テールランプとトランクリッドの隙間が広く,右テールランプとトランクリッドの隙間が狭くなっていた原因については,右リヤアウトサイドパネル後端の下部は,リヤフロアやリヤパネルと剛接されており,パネル自体が移動する余地はないが,その上部はリヤパネルの形状がU字形をしているため,左右方向の剛性が弱く,前方からの波及衝撃が作用し,左方向(内側)に若干移動した,又はトランクリッドは,前上部2箇所をヒンジでパーセルシェルフパネルに,後ろ下部1箇所をリヤパネルに,それぞれ固定しているが,その固定は強固なものではなく,横方向の衝撃を受けた場合には,慣性力で比較的簡単に取付位置が変化し右方向へ多少移動したとも考えられるから,トランクリッドの隙間の左右差をもって被害車両の損傷がバナナ損傷であったということはできない。 また,被害車両がリヤサイドメンバーに損傷を受けていたことや,Jがサイドシル,ルーフ,フロア等に控訴人主張のような修理内容,費用を計上していたことも,それらの部位に損傷を受けたにせよ,その損傷態様には様々な態様が考えられ得るのであり,上記各事情から直ちに本件事故による損傷がバナナ損傷であったということはできない。かえって,前記のとおり,被害車両の左側面には歪みは見られず,左側のフロントフェンダーとドア,ドアとリヤアウトサイドパネルの隙間が広くなっていたり,左側への湾曲の膨らみ,ドア,フェンダー等のチリに狂いが生じているという状態が認められなかったことは,被害車両がバナナ損傷を受けた旨の控訴人主張を否定するものといえる(控訴人は,リヤサイドメンバーに損傷が及んでいたということは,当然にリヤフロア 狂いが生じているという状態が認められなかったことは,被害車両がバナナ損傷を受けた旨の控訴人主張を否定するものといえる(控訴人は,リヤサイドメンバーに損傷が及んでいたということは,当然にリヤフロアー,リヤホイールハウスに損傷が及んでいたことの証左であると主張するが,被害車両について上記のように認めるに足りる証拠はなく,ホイールアライメントに影響が出たと認めることはできない。)。 さらに,前記認定の事実及び証拠(乙44の1)によると,加害車両のフロントバンパの強度部材により強化された部分が地上から約45センチメートルから55センチメートルの位置にあったこと,加害車両の上記部分が被害車両の床付近の補強材的な部分に衝突したときには,双方が剛性を有していることから被害車両にバナナ損傷を招くことが危惧されたこと,そして,本件事故に際し加害車両の上記強化された部分と衝突する可能性のあった被害車両の床付近の補強材的な部分は被害車両のサイドシル部分であったこと,しかし,被害車両の上記部分は地上から約20センチメートルから25センチメートルの位置にあり,加害車両の上記強化された部分との衝突を免れ,前記のとおり右サイドシルを覆うサイドシルガーニッシュ部分には加害車両の擦過した痕跡はあるものの,大きな変形はなかったことが認められる。したがって,上記のような両車両の剛性部分の衝突は免れたのであるから(控訴人は,被害車両のBピラーが内部に相当程度押し込まれていることから,上記剛性部分の衝突があったと主張するが,上記認定の事実に照らせば,控訴人主張の事実から上記衝突があったと認めることはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。),このことも,被害車両がバナナ損傷を受けたことを否定する1つの事情であると判断される。 なお,D,Lがバナナ損傷等の存在を認 があったと認めることはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。),このことも,被害車両がバナナ損傷を受けたことを否定する1つの事情であると判断される。 なお,D,Lがバナナ損傷等の存在を認める趣旨の供述をしたとの点については,証拠(乙35,乙54)によると,同人らがこれを否定する趣旨を述べたことも認められ,前記判断を直ちに覆すものとはいえない。 ウ以上のとおりであるから,本件事故により,被害車両にバナナ損傷が生じた事実を認めることはできない。 他に,本件事故により被害車両に車体の本質的構造部分の重大な損傷が生じ,これが現在なお残存していると認めるに足りる証拠はない。 (5)ア前記(3),(4)のとおり,本件事故により被害車両に車体の本質的構造部分の重大な損傷が生じ,同損傷がDの修理を経ても現在なお残存しているという控訴人主張の事実を認めることはできないから,その余の点について判断するまでもなく,被害車両が,本件事故により,最高裁判所昭和49年4月15日判決(民集第28巻第3号385頁)にいう社会通念上買替え相当の状態になったということはできない。 控訴人は,被害車両のような大規模破損車両の修理には,3次元計測機を用いた正確なボディーアライメントの回復と4輪トータルアライメントテスターを用いた正確なホイールアライメントの回復が必要であると主張し,J見積書(乙1)やLの見積り(甲13)の程度の修理費用では,ボディーアライメントやホイールアライメントの回復は期待できず,走行安定性,安全性も回復できない旨主張し,これに沿う証拠として甲70,甲113,甲122,123,甲124の1,2,甲127,甲130等を提出するほか,控訴人提出の甲69,甲131,132(いずれも修理見積書)は,いずれも控訴人主張の上記修理を前提とするものであ ,甲113,甲122,123,甲124の1,2,甲127,甲130等を提出するほか,控訴人提出の甲69,甲131,132(いずれも修理見積書)は,いずれも控訴人主張の上記修理を前提とするものである。しかし,乙44の1,2,乙45の1は,3次元計測機による計測等を予定しておらず,J見積書の修理内容を不足とするものではないこと(なお,平成5年当時,3次元計測機や4輪トータルアライメントテスターが自動車修理業者に普及していたと認めるに足りる証拠はない。),前記認定のとおり,ホンダベルノのLが,J見積書(乙1)に先立って,これとほぼ同様の修理内容,金額の見積もり(甲13)を出していることに照らせば,控訴人提出の上記証拠のみから,控訴人の上記主張を認めることはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 ところで,控訴人は,財団法人日本自動車査定協会の中古自動車査定基準を参照すると,被害車両には同基準のDランクに該当する損傷が認められるから,本件事故により被害車両が社会通念上買替え相当とされる重大な損傷を被ったといえる旨主張するが,仮に被害車両に上記Dランク該当の損傷が認められるとしても,上記基準の性格に照らせば,そのことのみから直ちに,被害車両が社会通念上買替え相当の状態になったと認めることはできない。 イまた,前記(3),(4)によれば,本件事故の結果,被害車両をもとの走行安定性,安全性を持つ状態に修理することは不能となったという物理的全損の控訴人主張が認められないことは明らかである。 ウさらに,控訴人は,被害車両の修理をすると,修理費用のみでも,少なくとも修理費用,評価損及び代車料等の合計額においては,本件事故当時の被害車両の時価172万円を超えるから,被害車両は経済的全損にあたる旨主張する。しかし,被害車両につき,本件事故により でも,少なくとも修理費用,評価損及び代車料等の合計額においては,本件事故当時の被害車両の時価172万円を超えるから,被害車両は経済的全損にあたる旨主張する。しかし,被害車両につき,本件事故により評価損が発生したことを認めるべき証拠はない。そして,本件事故による修理費用(レッカー等代金及び消費税を含む。)は94万4827円であること(前記(2)),控訴人主張の代車料は本件事故による損害として認められないこと(後記2),本件事故後,被害車両は修理されて転々流通したこと(前記(1)カ)に照らせば,同主張は到底認められない。 ところで,控訴人は,上記修理により代車が必要な期間は60日で,同代車の1日当たりの単価が2万円であるから,合計120万円の代車料を要する旨主張するが,仮に控訴人が現実に代車を使用してその代車料を請求し得るとしても,証拠(証人J)及び弁論の全趣旨によれば,代車を要する期間は14日間程度であることが認められるから(控訴人提出の甲14は,上記証拠等に照らせば修理に60日間を要するとの趣旨が必ずしも明らかでなく,容易に信用することはできない。),控訴人提出の甲8記載の単価によっても,代車料は合計30万円程度にとどまり,上記修理代(前記(2)の94万4827円)に上記代車料を加えても,本件事故当時の被害車両の時価172万円を超えない。 (6) 以上のとおりであるから,控訴人が被害車両を買い替えたことによる損害のうち本件事故と相当因果関係のあるものは,前記の修理費88万9207円及びレッカー等代金5万5620円の合計94万4827円となる。 2 争点2(自動車を使用できなかったことによる損害)について控訴人は,本件事故により買替えまでの14日間自動車を使用することができなかったとして,そのことによる損害を主張する。 しかし る。 2 争点2(自動車を使用できなかったことによる損害)について控訴人は,本件事故により買替えまでの14日間自動車を使用することができなかったとして,そのことによる損害を主張する。 しかし,控訴人が上記期間中,現実に代車等を必要とし,これを借り受ける手続をした等の事実は,本件全証拠によっても認めることができない。控訴人は,抽象的な可能性としての代車料を損害として主張するものと考えられるが,そのようなものを本件事故による損害として認定することはできない。したがって,控訴人が主張する争点2の損害は認められない。 3 争点3(無形の損害)について控訴人は,本件事故により慰謝料を含む無形の損害を被った旨を主張するが,本件のようないわゆる物損の事案においては,その性質上,財産的損害につき適正な価格の損害賠償がされ,控訴人が有していたその財産的な価値が適正に回復されることにより,特段の事情がない限り,控訴人に財産的損害とは別途の精神的苦痛を残すことはないものと解される。 したがって,控訴人の上記主張は失当といわねばならない。 4 争点5(過失相殺)について(1) 前記当事者間に争いのない事実等及び証拠(甲1,2,甲5,6,甲34,35,甲37,乙33,丙1,2,丙3の1ないし14,証人N,承継前1審被告O本人)によると,以下の事実が認められる。 ア本件交差点は,ほぼ南北方向の道路(以下「本件南北道路」という。)とほぼ東西方向の道路(以下「本件東西道路」という。)との交差点で,本件南北道路には本件交差点内も含め黄色の中央線が連続して引かれ,片側1車線であった。また,本件東西道路の少なくとも西側から本件交差点に進入する位置は一時停止の規制がされ,一時停止の停止線が引かれていた。 イ亡Oは,本件事故当時,加害車両を運転し,本件東西道路 側1車線であった。また,本件東西道路の少なくとも西側から本件交差点に進入する位置は一時停止の規制がされ,一時停止の停止線が引かれていた。 イ亡Oは,本件事故当時,加害車両を運転し,本件東西道路を西から走行し,本件交差点を東方に直進しようと,進行中であった。ところで,本件事故直前,加害車両に先行して本件東西道路を西から東に走行していた車両があったが,上記車両は本件交差点で左折北進をした。 亡Oは,本件交差点手前の一時停止の停止線付近で一時停止をしたが,同所での左右の見通しが悪いことから,さらに加害車両を前進させた後停止し,本件南北道路上の安全を確認した(控訴人は一時停止及び安全確認の事実を争うが,前記証拠によれば同事実を認めることができ,これを覆すに足りる証拠はない。)。しかし,亡Oには,前記の左折した加害車両の先行車両以外に車両は見えなかった。そこで,亡Oは,本件交差点を東に直進しようと発進した。そして亡Oは,加害車両の前部が本件交差点の本件南北道路の中央線を越えた場所付近で初めて本件南北道路北側から本件交差点に進入して加害車両の直前を通過しようとしている被害車両に気付き,ほぼ同時に加害車両の前部を被害車両の右側面に衝突させた。亡Oは衝突と同時にブレーキをかけ,衝突地点とほぼ同地点に停止した。 ウ Nは,被害車両を毎時約20ないし30キロメートルの速度で運転し,本件南北道路を北から南に進行していた。Nは,本件交差点付近に至ったとき,進行方向前方の本件交差点の右側(西側)付近も確認したが,加害車両の存在を認めなかった。 Nは,本件交差点付近に至ったとき,本件交差点のさらに前方(南側)の信号のある交差点に設置された信号機が赤色を表示しており,既に停止している車両があり,さらにその後ろに停止しようとしている車両もあることを認めた 点付近に至ったとき,本件交差点のさらに前方(南側)の信号のある交差点に設置された信号機が赤色を表示しており,既に停止している車両があり,さらにその後ろに停止しようとしている車両もあることを認めた。そこでNは,上記の信号のある交差点で停止することを想定し,少し減速して本件交差点に向かって南進した。 被害車両が本件交差点に差し掛かったとき,本件南北道路の反対車線を北進する車両と対向した。そして,その直後に,加害車両が,本件交差点西側から本件交差点に進入した。そして,加害車両が被害車両の右側面に衝突し,その結果,被害車両は,本件交差点の南東方向に進行して,停止した。 (2) 上記認定の事実によると,本件は,加害車両の先行車両が本件交差点を左折北進をし,上記車両が加害車両と被害車両の各運転者の視界の間に入ってしまい,双方の運転者が相手方車両にすぐには気が付かず,衝突に至ったというものと認められる。 そうすると,本件事故における過失相殺は,被害車両が走行していたのは中央線の引かれた優先道路であり,加害車両が走行していたのは交差点直前に一時停止標識のある道路で,本件事故は信号機が設置されていない本件交差点内において直進車同士が衝突したものであること,そして前記認定の事故発生の経緯を考慮すると,加害車両の過失が九割,被害車両の過失が1割であると認めるのが相当であり,したがって,控訴人の前記損害についても上記割合の過失相殺がされるべきである。 (3) 以上によると,前記1の控訴人の損害94万4827円に前記割合の過失相殺をすると,その損害額は85万0344円(1円未満切捨て)となる。 94万4827円×(1-0.1)=85万0344円(1円未満切捨て) 5 争点4(弁護士費用)について控訴人は弁護士を職とするものであるが,本件事案の内 4円(1円未満切捨て)となる。 94万4827円×(1-0.1)=85万0344円(1円未満切捨て) 5 争点4(弁護士費用)について控訴人は弁護士を職とするものであるが,本件事案の内容に照らすと弁護士を委任することが相当であると認められ,訴訟の経緯,認容額等を考慮すると,本訴提起に伴う弁護士費用中本件事故と因果関係を有する分は9万円をもって相当とする。 6 前記4(3)の過失相殺後の損害額85万0344円に前記5の弁護士費用9万円を加算した合計額94万0344円から,被控訴人東京海上の弁済済みのレッカー等代金5万5620円(前記第二の一5)を控除すると,残額は88万4724円となり,これが本件事故による控訴人の損害である。 7 以上のとおりであるから,控訴人の請求は,(1) 被控訴人AB両名に対して,それぞれ損害金44万2362円及びこれに対する本件事故の日である平成5年10月25日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払を求める限度で理由があるから,これを認容し,その余は理由がないから,これを棄却し,(2) 被控訴人東京海上に対して,控訴人と被控訴人AB両名との間の本件判決が確定したとき(被控訴人東京海上に対する請求は,その性質上,条件付で認容されるべきものである。),被控訴人AB両名の控訴人に対する損害金合計額88万4724円及びこれに対する本件事故の日である平成5年10月25日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから,これを認容し,その余は理由がないから,これを棄却すべきである。 第4 以上のとおりであるから,被控訴人らの附帯控訴に基づいて,原判決を上記第3の7のとおりに変更し,控訴人の控訴は理由がないからこれを棄却し,訴訟費用の負担について民 ,これを棄却すべきである。 第4 以上のとおりであるから,被控訴人らの附帯控訴に基づいて,原判決を上記第3の7のとおりに変更し,控訴人の控訴は理由がないからこれを棄却し,訴訟費用の負担について民事訴訟法67条,61条,64条,65条を適用して,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第2部裁判長裁判官大内捷司裁判官加 藤 美枝子裁判官長門栄吉は転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官大内捷司
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