昭和55(オ)379 未払賃金等支払

裁判年月日・裁判所
昭和58年11月25日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄差戻 東京高等裁判所 昭和51(ネ)2749
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【DRY-RUN】主    文      原判決中上告人の敗訴部分を破棄する。      前項の部分につき本件を東京高等裁判所に差し戻す。      上告人に対し、被上告人B1は金四万八一二九円及び内金四万一二八六 円

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判決文本文4,156 文字)

主    文      原判決中上告人の敗訴部分を破棄する。      前項の部分につき本件を東京高等裁判所に差し戻す。      上告人に対し、被上告人B1は金四万八一二九円及び内金四万一二八六 円に対する昭和五五年三月九日から、同B2は金九万二七五五円及び内金七万九五 六七円に対する右同日から、同B3は金五万三七六三円及び内金四万六一一九円に 対する右同日から、同B4は金五万七〇五二円及び内金四万八九四一円に対する右 同日から、同B5は金三万八七六一円及び内金三万三二五〇円に対する右同日から、 同B6は金一万六一九六円及び内金一万三八九四円に対する同月一四日から、同B 7は金三万二八四三円及び内金二万八一七四円に対する同月九日から、同B8は金 七万三六三三円及び内金六万三一六四円に対する右同日から、各支払済みに至るま で年五分の割合による金員をそれぞれ支払え。      前項の裁判に関する費用は被上告人らの負担とする。          理    由  上告代理人小澤浩の上告理由第一点について  所論の点に関する原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論 の違法はない。論旨は、原判決を正解しないか、又は独自の見解に立つて原判決を 論難するものであつて、採用することができない。  同第二点について  原審が確定した事実関係は、おおむね次のとおりである。被上告人らは、昭和四 九年一月二三日より前から上告人に雇用されている女子従業員であり、かつ、上告 人の従業員四六名のうち約三〇名で組織するD労働組合E地方本部F支部の組合員 である。上告人は、右同日、被上告人ら又はその所属する右労働組合の同意を得な いまま、就業規則二三条の「女子従業員は毎月生理休暇を必要日数だけとることが - 1 - できる。そのうち年間二四日を有給とする。」との規定(以下「旧規定」という。) その所属する右労働組合の同意を得な いまま、就業規則二三条の「女子従業員は毎月生理休暇を必要日数だけとることが - 1 - できる。そのうち年間二四日を有給とする。」との規定(以下「旧規定」という。) を「女子従業員は毎月生理休暇を必要日数だけとることができる。そのうち月二日 を限度とし、一日につき基本給一日分の六八パーセントを補償する。」との規定( 以下「新規定」という。)に変更し、右同月から新規定の適用を始めた。被上告人 らは、旧規定の下においては、年間二四日以内の生理休暇についてこれを取得して も基本給を減額されなかつたが、新規定の下においては、一か月につき二日以内の 生理休暇についても当日の基本給を三二パーセント減額され、二日を超える分の生 理休暇については当日の基本給を一〇〇パーセント減額されることになつた。原審 は、以上の事実を認定した上、就業規則は使用者が一方的に変更し得るものである が、労働者又はその所属する労働組合の同意がないのに、長期的に実質賃金の低下 を生ずるような不利益変更を一方的に行うことは許されないから、被上告人らの実 質賃金を長期的に低下させる本件就業規則の変更は被上告人らに対し効力を生じな いと判断し、被上告人らから上告人に対する、新規定の下で生理休暇の取得により 減額された賃金の支払請求を認容した。  しかしながら、新たな就業規則の作成又は変更によつて、労働者の既得の権利を 奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として、許されな いが、当該規則条項が合理的なものである限り、個々の労働者において、これに同 意しないことを理由として、その適用を拒むことは許されないと解すべきことは、 当裁判所の判例とするところであつて(最高裁昭和四〇年(オ)第一四五号同四三 年一二月二五日大法廷判決・民集二二巻一三号三四五九頁参照)、今これを して、その適用を拒むことは許されないと解すべきことは、 当裁判所の判例とするところであつて(最高裁昭和四〇年(オ)第一四五号同四三 年一二月二五日大法廷判決・民集二二巻一三号三四五九頁参照)、今これを変更す る必要を見ない。したがつて、本件就業規則の変更が被上告人らにとつて不利益な ものであるにしても、右変更が合理的なものであれば、被上告人らにおいて、これ に同意しないことを理由として、その適用を拒むことは許されないというべきであ る。そして、右変更が合理的なものであるか否かを判断するに当たつては、変更の - 2 - 内容及び必要性の両面からの考察が要求され、右変更により従業員の被る不利益の 程度、右変更との関連の下に行われた賃金の改善状況のほか、上告人主張のように、 旧規定の下において有給生理休暇の取得について濫用があり、社内規律の保持及び 従業員の公平な処遇のため右変更が必要であつたか否かを検討し、更には労働組合 との交渉の経過、他の従業員の対応、関連会社の取扱い、我が国社会における生理 休暇制度の一般的状況等の諸事情を総合勘案する必要がある。しかるに、原審が、 長期的に実質賃金の低下を生ずるような就業規則の変更を一方的に行うことはそも そも許されないとの見解の下に、本件就業規則の変更が合理的なものであるか否か について触れることなく、右変更は被上告人らに対し効力を生じないと速断したの は、就業規則に関する法令の解釈適用を誤つたものといわざるを得ず、その違法は 判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、論旨は理由があり、原判決中上告人 の敗訴部分は破棄を免れない。そして、叙上の点について更に審理を尽くさせる必 要があるから、右破棄部分につき、本件を原審に差し戻すこととする。  民訴法一九八条二項の裁判を求める申立てについて  上告人は、本判決末尾添付の申立書記載のとおり 上の点について更に審理を尽くさせる必 要があるから、右破棄部分につき、本件を原審に差し戻すこととする。  民訴法一九八条二項の裁判を求める申立てについて  上告人は、本判決末尾添付の申立書記載のとおり、民訴法一九八条二項の裁判を 申し立て、上告人がその主張の金員を主張の日時に被上告人らに支払つたことは、 被上告人らの争わないところである。右事実関係によれば、右金員は、原判決に付 された仮執行宣言に基づき給付したものに当たると解するのが相当である(最高裁 昭和四四年(オ)第九九三号同四七年六月一五日第一小法廷判決・民集二六巻五号 一〇〇〇頁参照)。そして、原判決中上告人の敗訴部分が破棄を免れないこと前記 説示のとおりであるから、原判決に付された仮執行宣言がその効力を失うことは論 をまたない。したがつて、右仮執行宣言に基づいて給付した金員及びその内金に対 する給付の翌日から支払済みに至るまで民法所定年五分の割合による損害金の支払 を求める上告人の申立ては、これを正当として認容しなければならない。 - 3 -  よつて、民訴法四〇七条一項、一九八条二項、八九条、九三条に従い、裁判官全 員一致の意見で、主文のとおり判決する。      最高裁判所第二小法廷          裁判長裁判官    木   下   忠   良             裁判官    鹽   野   宜   慶             裁判官    宮   崎   梧   一             裁判官    大   橋       進             裁判官    牧       圭   次       申   立   書  申立の趣旨  上告人に対し、被上告人B1は金四万一二八六円、同B2は金七万九五六七円、 同B3は金四万六一一九円、同B4は金四万八九四一円、同B5は金三万三二五〇 円、同     申   立   書  申立の趣旨  上告人に対し、被上告人B1は金四万一二八六円、同B2は金七万九五六七円、 同B3は金四万六一一九円、同B4は金四万八九四一円、同B5は金三万三二五〇 円、同B6は金一万三八九四円、同B7は金二万八一七四円、同B8は金六万三一 六四円及び右金員に対する昭和五一年一一月一三日から支払済みに至るまで年五分 の割合による金員を各々支払え との判決を求める。  申立の理由  一 上告人は昭和五四年一二月二〇日判決言渡のあつた原判決(東京高等裁判所 昭和五一年(ネ)第二七四九号)の仮執行宣言に基づく被上告人らの請求に対し昭 和五五年三月八日(B6のみ同年同月一三日)次のとおり被上告人らに支払つた。      氏   名     元   本     損 害 金     合    計     B1  金四万一二八六円    金六八四三円  金四万八一二九円 - 4 -     B2  金七万九五六七円  金一万三一八八円  金九万二七五五円     B3  金四万六一一九円    金七六四四円  金五万三七六三円     B4  金四万八九四一円    金八一一一円  金五万七〇五二円     B5  金三万三二五〇円    金五五一一円  金三万八七六一円     B6  金一万三八九四円    金二三〇二円  金一万六一九六円     B7  金二万八一七四円    金四六六九円  金三万二八四三円     B8  金六万三一六四円  金一万〇四六九円  金七万三六三三円  二 今回御庁が本案判決を変更される場合は、上告人が右のとおり被上告人らに 対し支払つた金額及びこれに支払日の翌日より元本に対し年五分の割合による損害 金を付加して(原判決のとおりの元本及びこれに対する支払済みに至るまでの年五 分の割合による損害金)返還を命ぜられたく民事訴 対し支払つた金額及びこれに支払日の翌日より元本に対し年五分の割合による損害 金を付加して(原判決のとおりの元本及びこれに対する支払済みに至るまでの年五 分の割合による損害金)返還を命ぜられたく民事訴訟法第三九六条、第三七八条、 第一九八条第二項に基づきここに申立てる次第である。 - 5 -

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