【DRY-RUN】主 文 本件各控訴を棄却する。 理 由 本件各控訴の趣意は被告人Aほか一二名連名作成名義の控訴趣意書(但し被告人 B、同Cの関係部分を除く)、被告人Dの弁護人
主文本件各控訴を棄却する。 理由本件各控訴の趣意は被告人Aほか一二名連名作成名義の控訴趣意書(但し被告人B、同Cの関係部分を除く)、被告人Dの弁護人後藤昌次郎作成名義の控訴趣意書に記載されたとおりであり、これに対する答弁は東京高等検察庁検察官検事松本卓矣作成名義の答弁書に記載されたとおりであるからいずれもここに引用する(なお、弁護人らは当裁判所の度重なる勧告をも聞き入れず、ついに控訴趣意書―弁護人後藤昌次郎提出のものを除くーに基づく弁論をしなかつたが、これを撤回もしないので、控訴趣意書提出期間内に提出された前記Aほか一二名連名の控訴趣意書についてはこれを判断の対象としたが、弁護人らの提出した控訴趣意補充書は、いずれも控訴趣意提出期限を約五か月ないし八か月経過した後提出されたものであり、かつ弁護人らがこれに基づく弁論をしなかつたこと、および後藤弁護人提出の控訴趣意書中第九点については、同弁護人がこれを撤回したのでこれらについては判断を示さない。)。 第一、被告人らの控訴趣意について。 論旨は多岐に亘つているが、要するに原審訴訟手続の法令(憲法を含む)違反を主張するものであり、当裁判所はこれらをいずれも理由がないと認めるものであるが、その主な論点につき以下のように論旨を整理して判断を示す。 一、本件グループ別審理方式の違法(憲法三七条一項、刑訴法三一三条違反)を主張する点(第一章第一節ないし第三節、第二章ないし第四章)について。 しかし、個々の被告事件をどの範囲まで併合して審理するかは受訴裁判所の裁量によつて決すべき事項である(最高裁判所第一小法廷昭和四九年七月一八日決定、判例時報七四七号四五頁)ところ、たとえE大関係事件が一個の共通の目的をもつた集団行動としての特質をもつものである 所の裁量によつて決すべき事項である(最高裁判所第一小法廷昭和四九年七月一八日決定、判例時報七四七号四五頁)ところ、たとえE大関係事件が一個の共通の目的をもつた集団行動としての特質をもつものであるにせよ、その特質はE大関係事件の全てを併合して審理しなければ明らかにならないものではなく、いわゆるグループ別審理方式によつてもその特質を明らかにしうるものであること、各行為者の刑事責任の確定を目的とする裁判手続において、共犯者らとの併合審理は絶対の要請ではなく、人的・物的能力等諸般の要素を考慮して判断すべきものであることにもかんがみると、原審裁判所が本件につき被告人らを含む十六名のみの被告事件を併合審理しいわゆるグループ別審理をしたことには刑訴法三一三条の裁量の範囲を逸脱したものとは認められないし、所論の憲法違反もない。論旨は理由がない。 二、原審が弁護人の主張、発言を許容せず、また傍聴人を不当に退廷させた(憲法三七条二項、三項、同法八二条二項違反)と主張する点(第一章第四節、第五節、第四章)について。 記録によれば、被告人・弁護人らは、いわゆる統一公判以外の審理方式を拒否し、公判期日に出頭しても原審裁判長の訴訟指揮に従わず、いたずらに非難攻撃をくりかえすのみで、審理に応ずる意思がなく、傍聴人らもこのような被告人・弁護人らの態度に同調して発言する等法廷の秩序をみだしたことが明らかであるから、原審裁判長がこれらの発言を制限・禁止し、訴訟指揮に従わない者を退廷させる等の措置を講じたのは法廷の秩序維持の見地に出たやむを得ないものと認められるのであり、なんら違憲・違法の点はない。論旨は理由がない。 三、原審の公判期日が他のE大事件公判期日と同一日時に指定されたことの違法(憲法三七条三項違反)を主張する点(第一章第六節、第四章)について。 記録 んら違憲・違法の点はない。論旨は理由がない。 三、原審の公判期日が他のE大事件公判期日と同一日時に指定されたことの違法(憲法三七条三項違反)を主張する点(第一章第六節、第四章)について。 記録によれば、被告人らには多数の弁護人が選任されており、弁護人らにおいて、真実公判手続に応ずる意思があれば、手分けして各法廷に出頭し、弁護権を行使することも不可能ではなかつたことが認められる。 かりに、弁護人の全員が一公判期日に出頭して弁護権を行使しなければならないような特段の事情がある場合にはその事由を疎明して差支えある公判期日の変更を請求すべきであるのに、被告人・弁護人らはあらかじめ統一公判以外の裁判には応ずる意思がないとの態度を固執し、原審各公判期日にも出頭した一部の弁護人が裁判所の期日指定を非難するのみで、具体的に防禦上支障となるべき事由を示して公判期日の変更ないし延期を請求したことは全くないことが明らかであり、本件において、弁護人の全員が原審公判期日において弁護権を行使しなければならなかつた特段の事由は認められない。原審の期日指定にはなんら所論の違憲、違法はない。 論旨は理由がない。 四、原審に予断排除の原則ないし起訴状一本主義に対する違反(憲法三七条一項、刑訴法二五六条六項違反等)があると主張する点(第一章第三節、第七節、第二章、第四章)について。 記録によれば、原審裁判所が被告人らの事件を併合審理するにあたり、あらかじめ個々の被告人についてその派閥・地位・逮捕歴等を調査した事実はなく、かりに裁定合議委員会がE大関係事件の処理方針案を作成するにあたり所論の調査をなし、その結果が裁判官会議等を通じ、たまたま原審を構成する各裁判官の了知するところとなつたとしても、なんら事件に関して予断を抱いたことにならないものであることは前掲最高裁判 るにあたり所論の調査をなし、その結果が裁判官会議等を通じ、たまたま原審を構成する各裁判官の了知するところとなつたとしても、なんら事件に関して予断を抱いたことにならないものであることは前掲最高裁判所の判例の示すとおりである。また、本件の公判調書を東京地方裁判所刑事第一二部の裁判官が閲覧したからといつて、直ちに原審裁判所が裁判の独立を放棄したとか公平な裁判所の理念に反するとかいうことはできない。 論旨は理由がない。 五、その他所論にかんがみ記録を精査しても原審の訴訟手続には所論の違憲、違法は認められない。 第二、弁護人後藤昌次郎の控訴趣意について。 一、控訴趣意第一点について。 所論は要するに、原判示第二、第三の各事実について、原判決が被告人らの共謀および各共犯者らの実行行為の内容を日時・場所・方法・態様等をもつて具体的に判示していないのは刑訴法三三五条一項に違反し、理由が不備であるというのである。 しかし、罪となるべき事実としての共謀を判示するにあたり、謀議の行われた日時・場所またはその内容の詳細、すなわち実行の方法、各人の行為の分担役割等についてまでいちいち具体的に判示することを要しないものであることは所論の引用する最高裁判所の判例(昭和三三年五月二八日大法廷判決、刑集一二巻八号一七一八頁)の示すとおりであり、原判決挙示の各対応証拠により原判示第二、第三の各共謀の存在が明らかに認定できる以上、原判決の共謀の判示には欠けるところがない。また、原判示第二の不退去罪に関する被告人らおよび各共犯者らの実行行為は原判示第二の事実摘示中の昭和四四年一月一八日午前八時すぎころから同月一九日午後に至るまでE大学F講堂内にとどまり、同講堂内から要求を受けて退去しなかつた旨の判示によつて、具体性に欠けるところはなく、また原判示第三の事実摘示 四四年一月一八日午前八時すぎころから同月一九日午後に至るまでE大学F講堂内にとどまり、同講堂内から要求を受けて退去しなかつた旨の判示によつて、具体性に欠けるところはなく、また原判示第三の事実摘示によれば、被告人らと共謀した多数の学生らが、右日時ころ、前記講堂において、警視庁第四、第五機動隊所属の警察官らに対し、多数の石塊、コンクリート破片、火炎びん等を投げつけるなどの暴行を加えた旨判示しており、共謀者による公務執行妨害の実行行為が全体として具体的に判示され被告人らの刑事責任の範囲が明確にされている以上、右実行行為者の氏名を明示しなかつたからといつて罪となるべき事実の判示として不備であるということはできない。論旨は理由がない。 二、控訴趣意第二点について。 所論は要するに、被告人Dに対する本件起訴状記載の公訴事実は、共謀および実行行為の内容の具体的特定に欠ける点で刑訴法二五六条三項に違反するものであるのにこれを看過して同被告人を有罪とした原判決には不法に公訴を受理した違法がある、というのである。 しかし、訴因は犯罪構成要件に該当する事実が全体として日時・場所・方法によつて特定されれば足りるのであつて、共謀の具体的内容や共犯者らの実行行為の詳細を逐一明示しなければ訴因として特定しないものということはできない。記録上明らかな被告人Dに対する本件起訴状記載の公訴事実をみても訴因の特定に欠けるところはないから原判決には所論の違法はなく、論旨は理由がない。 三、控訴趣意第三点について。 所論は要するに、原審は、勾留中の各被告人について出頭拒否の理由を調査することなく、監獄の長の作成した報告書のみによつて出頭拒否につき正当な理由がある各被告人らに対し、違憲の規定である刑訴法二八六条の二を適用して審理を強行した点において判決に影響を及ぼすこ 由を調査することなく、監獄の長の作成した報告書のみによつて出頭拒否につき正当な理由がある各被告人らに対し、違憲の規定である刑訴法二八六条の二を適用して審理を強行した点において判決に影響を及ぼすこと明らかな訴訟手続の法令違反を犯した、というのである。 しかし、記録によると、被告人Dは昭和四四年二月一九日保釈許可決定により原審各公判期日当時保釈中であつたもので、しかも原審各公判期日(第一〇回を除く)には召喚を受けて出頭しており、したがつて原審が同被告人に対し、刑訴法二八六条の二を適用して審理したことは全くないのであるから論旨は前提を欠くのみならず、原審は各公判期日毎に出頭を拒否した勾留中の相被告人について、東京拘置所保安課長や中野刑務所看守長らの作成した「出廷拒否に関する報告書」により各被告人らの出頭拒否の理由についても調査したうえで刑訴法二八六条の二により審理を進めたものであり、その判断はいずれも正当と認められるから原審の手続には所論の違法はなく、論旨は理由がない。 四、控訴趣意第四、六、七点について。 所論は要するに、原審の訴訟手続には、(一)被告人Dを不当に退廷させたうえ、刑訴法三四一条により同被告人不在のまま審理を強行した点、(二)分離裁判の違法不当を主張する弁護人に対し、法廷警察権を濫用して身柄を拘束し被告人の弁護人依頼権を侵害した点、(三)法廷警察権の濫用によつて傍聴人を退廷させ、傍聴人不在の法廷で裁判を進め、裁判公開の原則に違反した点、において審法および刑訴法に違反し、その違法が判決に影響を及ぼすことが明らかである、というのである。 しかし記録によれば、被告人Dは原審各公判期日(不出頭の第一〇回を除く)において、裁判長の訴訟指揮に従わず、実質審理に入る以前においてそのつど退廷命令により退廷させられたもので、刑訴法三 である。 しかし記録によれば、被告人Dは原審各公判期日(不出頭の第一〇回を除く)において、裁判長の訴訟指揮に従わず、実質審理に入る以前においてそのつど退廷命令により退廷させられたもので、刑訴法三四一条が法廷の秩序維持のため裁判長から退廷を命ぜられた被告人の陳述を聴かないでも判決をすることができると定めている趣旨は、判決の前提となる審理についても当然に推し及ぼされるものであるから、原審が同被告人に対し右条項により予定された各公判期日における審理をしたことにはなんら違法な点はなく、また原審第四回公判期日において弁護人五名が拘束のうえ退廷を命じられたこと、原審各公判期日において傍聴人らが法廷の秩序を乱したとして退廷命令を執行されたことはいずれも所論のとおりであるが、右はいずれも裁判所法七一条、法廷等の秩序維持に関する法律二条、三条、刑訴法二八八条二項等に基づく当然の措置であつて、所論にかんがみ記録を精査しても原審裁判長が法廷警察権を濫用した事実は窺うことができないから原審の訴訟手続には所論の違法はなく、違憲の主張はすべてその前提を欠くものであり論旨は理由がない。 五、控訴趣意第五点について。 所論は要するに、原判決が被告人Dに関する罪となるべき事実の証拠として挙示するものの中には原審が刑訴法三二六条二項により証拠能力を認めたものが多数あるところ、同法二八六条の二により被告人不出頭のまま公判手続を行う場合、又は被告人が法廷の秩序維持のため裁判長から退廷を命ぜられたため、同法三四一条により被告人の陳述を聴かないで審理を進める場合でも検察官申請の各書証につき被告人が証拠とすることまで同意したと擬制するのは行き過ぎであるから、原判決には証拠能力のない証拠によつて事実を認定した訴訟手続の法令違反があり、判決に影響を及ぼすことが明らかである、とい 証につき被告人が証拠とすることまで同意したと擬制するのは行き過ぎであるから、原判決には証拠能力のない証拠によつて事実を認定した訴訟手続の法令違反があり、判決に影響を及ぼすことが明らかである、というのである。 よつて検討してみるのに、記録によれば、被告人Dとの関係で原判決が挙示する証拠のうち相当多数の書証(被告人の検察官に対する供述調書、共犯者らの司法警察員ならびに検察官に対する供述調書、司法警察員等作成の検証調書、実況見分調書、写真撮影報告書、捜査報告書など)は、原審第八回および第九回公判期日において刑訴法三二六条二項により証拠として採用されたものであるところ、原審がこれらの書証を証拠として採用するに至つた経緯として概ね次の事実が認められる。 すなわち、(一)、検察官は原審第二回公判期日において、被告人Dの関係で合計三二五点にのぼる書証および証拠物(被告人らの供述調書、身上関係書類等いわゆる乙号証を除く)と一九名にのぼる証人(逮捕警察官・共犯者等)の取調を申請したが、原審はこのうち証人のみを採用し、書証については全部の採否を留保した。 (二)原審第三回以降第六回公判期日までは右検察官申請の証人尋問が行われたが、被告人らは、あるいは正当な理由がなく出頭を拒否し、監獄官吏による引致を著しく困難にしたとして刑訴法二八六条の二により、(―被告人Dは原審各公判期日当時保釈出所中であり同条の適用はされていないこと前記のとおりである―)あるいは公判期日に出頭しても裁判長の訴訟指揮に従わず、法廷の秩序維持のため退廷させられ刑訴法三四一条により、それぞれ審理が進められ、また弁護人らも各公判期日の冒頭において、いわゆる統一公判を要求し、他の審理形態による裁判には応じられないとして退廷したり、又は法廷の秩序維持のため裁判長から退廷を命ぜられたりしており、各 められ、また弁護人らも各公判期日の冒頭において、いわゆる統一公判を要求し、他の審理形態による裁判には応じられないとして退廷したり、又は法廷の秩序維持のため裁判長から退廷を命ぜられたりしており、各証人尋問には全く立ち会わなかつたこと、(三)その間、検察官は第四回公判期日において、証拠調に関する意見と題する書面を提出し、前記の各書証について刑訴法三二六条二項により証拠として採用して欲しい旨陳述した。(四)、第七回公判期日において、原審は留保中の各書証につき検察官から刑訴規則一九二条により提示を求めたうえ、第八、第九の両公判期日において、右のうち相当数の書証を刑訴法三二六条二項により採用し取り調べた(一部は検察官において撤回)。(五)また、被告人らの供述調書等いわゆる乙号証については原審第八回公判期日において検察官から取調の請求があつたが、原審は同期日においてはその採否を留保し、第九回公判期日に至つて刑訴法三二六条二項により採用した。(六)原審の全審理を通じて被告人・弁護人らが原審のした前記証拠調に関し、具体的に異議を申立てたことは全くなかつた。 <要旨>以上の事実が認められる。そこで、右の事実関係によつて原審の各証拠決定の適否について考えると、</要旨>本件においては、被告人・弁護人らは原審第三回ないし第六回の各公判期日において、被告人らの本件各公訴事実の存否を決するうえで最も重要な証人である逮捕警察官、共犯者などが取り調べられていることを知りながら、各公判期日において、出頭拒否ないし法廷の秩序を乱すなどの不当な言動により当該公判期日における証人審問権を喪失し(最高裁判所昭和二九年二月二五日判決、刑集八巻二号一八九頁参照)、検察官申請の各書証についてもなんら意見を述べないまま公判期日を重ねていたもので、かような状態が爾後の公判期日にお 人審問権を喪失し(最高裁判所昭和二九年二月二五日判決、刑集八巻二号一八九頁参照)、検察官申請の各書証についてもなんら意見を述べないまま公判期日を重ねていたもので、かような状態が爾後の公判期日においても継続するであろうことがかなり高度の蓋然性をもつて予想されており、したがつて、原審が検察官申請の前記各書証に対する被告人・弁護人らの意見が不同意であることを予想し、その作成者ないし供述者を証人として尋問しても、被告人・弁護人らによる反対尋問が行われる可能性はなく、実質的な証人尋問は期待できない状況にあつたこと、他方前記各証人尋問の結果、被告人らの各公訴事実に対する罪責がほぼ明らかとなつており、それまでの被告人・弁護人らの態度からすると本件各公訴事実の存否そのものについては敢て争わないもののようにも考えられたこと、そして原審は被告人・弁護・人らの在廷しない法廷で検察官の請求した書証について当該公判期日において直ちにこれを採用することなくこれを留保し、さらに検察官から右書証を刑訴法三二六条二項により採用せられたい旨の意見をも書面で提出させたうえで、これに対する被告人・弁護人らの意見陳述の機会を与えており、被告人・弁護人らは公判調書の閲覧等によりこれらの訴訟経過を知り得たのに、何ら具体的な意見を述べることなく推移したこと等の事情があり、このような事情のもとでは、原審が前記各書証を刑訴法三二六条二項により証拠として採用したことは違法ではないものと解すべく論旨は理由がない。 六、控訴趣意第八点について。 所論は要するに、原審裁判長は第二回公判期日において、弁護人全員が退廷したのちにおいて第三回以後の公判期日を指定しながら、これを主任弁護人に通知していない点で刑訴法二七三条三項に違反したものであり、判決に影響を及ぼすことか明らがである、というので 、弁護人全員が退廷したのちにおいて第三回以後の公判期日を指定しながら、これを主任弁護人に通知していない点で刑訴法二七三条三項に違反したものであり、判決に影響を及ぼすことか明らがである、というのである。 よつて検討してみるのに、原審第二回公判期日は当初弁護人山根二郎ほか十数名にのぼる弁護人が出頭して開かれたが、弁護人らは同日の公判に関与する意思はなく、中途退出したこと、そこで原審は弁護人不在の法廷で主任弁護人として平賀睦夫を指定し、同日の審理を行なつた後、第三回以降七回にのぼる公判期日を指定し、公判廷においてこれを告知したこと、が公判調書により明らかである。ところで本件のようないわゆる任意的弁護事件においては弁護人が正当な理由なく公判廷を退出したからといつて当該公判期日進行の障害となるものでないことはもちろんであり、その後の公判手続において前記の如く続行期日が指定され、これが公開の法廷で告知されている以上、適法な公判期日の通知があつたものであり、不在の弁護人に対しあらためて期日の通知をしなくとも違法とはいえない(大審院大正一三年一〇月一六日判決、刑集三巻七〇二頁参照)のみならず、原審第二回公判期日において指定された各続行期日(但し昭和四四年一〇月三一日の公判期日は取消)にはいずれも十名内外の弁護人が現実に出頭しており、弁護人らにおいて右各公判期日の存在を知つていたことが明らかである以上、かりに公判期日の通知の欠缺の違法があるとしてもそれは判決に影響を及ぼすこと明らかな法令違反ではないといわなければならない。論旨は理由がない。 よつて、刑訴法三九六条により本件各控訴を棄却することとして主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官田原義衛裁判官吉澤潤三裁判官小泉祐康) 三九六条により本件各控訴を棄却することとして主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官田原義衛裁判官吉澤潤三裁判官小泉祐康)
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