令和5(わ)2459 詐欺

裁判年月日・裁判所
令和6年3月15日 大阪地方裁判所
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判決文本文3,427 文字)

主文 被告人3名をそれぞれ懲役3年に処する。 被告人3名に対し、この裁判が確定した日から5年間それぞれその刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人Aは、令和3年5月1日から、旅行業等を業とする株式会社B(同年10月1日にC株式会社に吸収合併)D支店支店長を務めるもの、被告人Eは、令和2年4月1日から令和4年3月31日までの間、同支店副支店長、同年4月1日から、同支店グループリーダーを務めるもの、被告人Fは、令和2年4月1日から令和4 年3月31日までの間、同支店営業課長、同年4月1日から、同支店チームリーダーを務めるものであるが、第1 被告人Fは、同支店が令和3年3月1日から令和4年3月31日までを委託期間として大阪府東大阪市から委託を受けていた「新型コロナウイルスワクチン接種に係るコールセンター業務」に関し、同業務委託契約は、同支店が同市 に提出した見積書記載のオペレーターの人員等に増減が生じた場合には契約金額の変更を行うこととされていたのであるから、実際に前記業務に従事したオペレーターの人員等が減少したのであれば、これを同市に正確に報告しなければならないにもかかわらず、同事実を秘し、同業務に従事したオペレーターの人員を水増しした内容虚偽の報告をし、同市から同業務委託費の支払名目で金 銭をだまし取ろうと考え、令和3年9月下旬頃から令和4年4月中旬頃までの間、大阪府東大阪市(住所省略)の同市健康部保健所新型コロナウイルスワクチン接種事業課(当時)に対し、別表1記載のとおり、前記委託期間中に従事したオペレーターの人員は別表1「実際に従事したオペレーター人員」及び「平日18時から20時まで従事したオペレーター人員」欄記載のとおりであった にもかかわらず、別表1「東大阪市に報告 に従事したオペレーターの人員は別表1「実際に従事したオペレーター人員」及び「平日18時から20時まで従事したオペレーター人員」欄記載のとおりであった にもかかわらず、別表1「東大阪市に報告したオペレーター人員」欄記載の人 員とした内容虚偽の「新型コロナウイルスワクチン接種事業内訳書」及び「東大阪市新型コロナウイルスワクチン接種関連業務報告書」を提出するなどし、被告人Eは令和3年9月頃に、被告人Aも令和4年1月下旬頃に、それぞれ、被告人Fから前記の過大計上等について報告を受けるなどして情を知りながら過大計上等の継続を容認したことから、被告人3名は、共謀の上、同年4月 18日頃、前記新型コロナウイルスワクチン接種事業課に対し、これらを前提とした前記コールセンター業務等に係る業務委託費として5億8901万5779円の支払を求める請求書を提出して同業務委託費を水増し請求し、同課職員らをして、同支店が前記内訳書等に記載されたとおりのオペレーターを同業務に従事させたので同請求書記載の業務委託費を支払う必要がある旨誤信さ せ、よって、同月28日、G銀行H支店に開設されたC株式会社名義の普通預金口座に、同業務委託費として5億8901万5779円(うち水増し分1億4941万6850円)を振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させた。 第2 被告人3名は、共謀の上、同支店が令和4年4月1日から令和5年3月31日までを委託期間として大阪府東大阪市から委託を受けていた「新型コロナウ イルスワクチン接種に係るコールセンター業務」に関し、同業務委託契約は、同支店が同市に提出した見積書記載のオペレーターの人員等に増減が生じた場合には契約金額の変更を行うこととされていたのであるから、実際に前記業務に従事したオペレーターの人員等が減少 同業務委託契約は、同支店が同市に提出した見積書記載のオペレーターの人員等に増減が生じた場合には契約金額の変更を行うこととされていたのであるから、実際に前記業務に従事したオペレーターの人員等が減少したのであれば、これを同市に正確に報告しなければならないにもかかわらず、同事実を秘し、同業務に従事したオ ペレーターの人員を水増しした内容虚偽の報告をし、同市から同業務委託費の支払名目で金銭をだまし取ろうと考え、令和4年5月下旬頃から同年10月中旬頃までの間、前記新型コロナウイルスワクチン接種事業課に対し、別表2記載のとおり、前記委託期間中に従事したオペレーターの人員は別表2「実際に従事したオペレーター人員」及び「平日18時から20時まで従事したオペレ ーター人員」欄記載のとおりであったにもかかわらず、別表2「東大阪市に報 告したオペレーター人員」欄記載の人員とした内容虚偽の「令和4年東大阪市新型コロナウイルスワクチン接種事業内訳書」及び「東大阪市新型コロナウイルスワクチン接種関連業務報告書」を提出するなどするとともに、同月8日頃、前記新型コロナウイルスワクチン接種事業課に対し、これらを前提とした前記コールセンター業務等に係る業務委託費として3億0532万2973円の支 払を求める請求書を提出して同業務委託費を水増し請求し、同課職員らをして、同支店が前記内訳書等に記載されたとおりのオペレーターを同業務に従事させたので同請求書記載の業務委託費を支払う必要がある旨誤信させ、よって、同月31日、前記C株式会社名義の普通預金口座に、同業務委託費として3億0532万2973円(うち水増し分7230万9600円)を振込入金させ、 もって人を欺いて財物を交付させた。 (証拠の標目)(省略)(法令の適用)(省略) 務委託費として3億0532万2973円(うち水増し分7230万9600円)を振込入金させ、 もって人を欺いて財物を交付させた。 (証拠の標目)(省略)(法令の適用)(省略) (量刑の理由)本件は、旅行会社に勤務する被告人3名が、共謀の上、同社が東大阪市から受託した新型コロナウイルスワクチン接種事業に関する業務について、2か年度にわたり、再委託先の稼働実績を過大に計上するなどして水増し請求をし、同市から約8億9000万円(うち水増し分約2億2000万円)を詐取した事案であり、その 結果は重大である。その犯行態様も、同市から稼働実態についての証憑類の提出を求められないことを見越して内容虚偽の報告書を繰り返し提出するなどしたもので、巧妙で悪質である。 被告人Fは、新型コロナウイルスの感染拡大の中で旅行業を営む自社が経営上の危機に陥る中、会社の売上げを確保するため、本件詐欺の実行を担ったものであり、 被告人A及び被告人Eは、被告人Fの上司という立場にありながら、被告人Fから 水増し請求の概要を知らされながらも、これを容認したことにより、本件詐欺が実行、継続されたのであって、3名の会社内での立場には違いがあるが、担った役割に照らすと、3名の刑責に大きな違いがあるといえるほどの差異は認められず、被告人らには同程度の非難が妥当するというべきである。また、本件犯行の背景として、不正請求を是認する会社の企業風土があったことが犯行に少なからず影響して いると認められ、被告人らが犯行によって直接的な利益を得ておらず、会社のための犯行という側面が強いことも考慮すると、被告人らの個人責任を厳しく追及することには躊躇を覚える。 以上に加え、被告人らの会社が被害金額の全額を弁償していること、被告人らが 得ておらず、会社のための犯行という側面が強いことも考慮すると、被告人らの個人責任を厳しく追及することには躊躇を覚える。 以上に加え、被告人らの会社が被害金額の全額を弁償していること、被告人らがいずれも公訴事実を認めて反省の態度を示していること、被告人らにはいずれも量 刑上考慮すべき前科前歴がないこと、被告人らが懲戒解雇処分を受けるなど一定の社会的制裁を受けていること、被告人らの妻がそれぞれ出廷して今後の監督を誓約していること等の事情も認められる。 そこで、以上の諸事情を総合考慮し、被告人3名をそれぞれ主文の刑に処した上、その刑の執行を猶予するのが相当であると判断した。 (求刑被告人3名につきいずれも懲役3年)令和6年3月15日大阪地方裁判所第12刑事部 裁判長裁判官渡部市郎 裁判官岩 﨑 貴彦 裁判官今泉颯太 別表1、2省略

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