主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人の負担とする。理由 上告理由第一点について。取得時効を援用する者に対し時効完成前の権利の帰属を明らかにするよう求めることは、取得時効の制度を無意義ならしめるものであり、また、時効により取得された所有権であつても、本来の権利者に対してのみならず何人に対してもこれを主張することができるものであるから、取得時効を訴訟上援用する場合に、その物が本来訴訟の相手方の所有に属したことを主張立証する必要がないことはいうまでもない。したがつてさらに、互いに土地所有権の帰属を争う訴訟の当事者の一方が取得時効を援用した場合には、本来の所有権が当事者以外の第三者に属していたと認められるときであつても、右援用をした当事者の時効による所有権の取得を認めて、これを判決の基礎とすることは妨げられないものというべきである。もとより、このように解しても、判決の効力は本来の権利者には及ばないから、その権利を害するものではなく、時効取得者が、所有権取得登記を経るためにはさらに本来の権利者に対して請求をする必要があり、あるいは本来の権利者から譲り受けた第三者に対しては所有権取得を対抗しえないという事情は、まつたく別個の問題であつて、そのために訴訟当事者間の紛争解決が無意味となるものでもない(なお、本件において、上告人が被上告人先代の時効による所有権取得につき登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者にあたらないことも明らかである)。そして、この理は、当該土地が公共用物である場合でも、公共用物に取得時効の成立を認めうる後記のような要件が充たされているときには、何ら異なるものではない。したがつて、論旨は採用することができない。第二点(一)について。<要旨>公共用物であつ 、公共用物に取得時効の成立を認めうる後記のような要件が充たされているときには、何ら異なるものではない。したがつて、論旨は採用することができない。 明らかである)。そして、この理は、当該土地が公共用物である場合でも、公共用物に取得時効の成立を認めうる後記のような要件が充たされているときには、何ら異なるものではない。したがつて、論旨は採用することができない。第二点(一)について。<要旨>公共用物であつ 、公共用物に取得時効の成立を認めうる後記のような要件が充たされているときには、何ら異なるものではない。したがつて、論旨は採用することができない。第二点(一)について。<要旨>公共用物であつても、長年の間事実上公共の目的に供用されず、公共用物としての形態をまつたく失い、他</要旨>人の平穏かつ公然の占有が継続している場合には、もはやこれを公共用物として維持すべき理由はなく、すでに黙示の公用廃止の処分があつたものと見なければならない。してみると、昭和四四年五月二二日の最高裁判所判例(民集二三巻九九三頁)が、予定公物について本件と同様の事実関係が長期間継続した事案に対し、現に公共用財産としての使命をはたているものではなく、依然として私人の占有状態が継続されてきたとして、取得時効の完成を是認した趣旨は、本件にも適用すべきものと解するのが相当である。原判決の認定によれば、本件土地は、本来水路敷に含まれ公共用地に属したものであるが、明治三四年五月四日当時、すでにその形状、規模において現在とほとんど差異がなく、水路敷としての形態を具備していなかつたものであり、その後二〇年間被上告人先代において平穏かつ公然に占有を継続しえたというのであつて、この認定は原判決挙示の証拠に照らして是認することができる。したがつて、本件土地につき被上告人先代の時効取得を認めた原判決には右の法理に照らして所論の違法はなく、論旨は採用することができない。同第二点(二)について。原判決は、所論の井戸水の利用おび柿の実の採取を例示として掲げて、被上告人先代が本件土地全部を使用占有していた事実を認定した趣旨に解され、右認定は挙示の証拠に照らして肯認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。同第二点(三)について。原判決が被上告人 用占有していた事実を認定した趣旨に解され、右認定は挙示の証拠に照らして肯認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。同第二点(三)について。原判決が被上告人の所有権を確認した土地は、原判決別紙図面に表示のとおり、道路、淵および水路によつて囲まれた範囲として特定されているものと解されるから、その実測地積が被上告人主張のとおりであるか否かを確定しなかつたからといつて、何ら違法とはいえない。 認定した趣旨に解され、右認定は挙示の証拠に照らして肯認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。同第二点(三)について。原判決が被上告人の所有権を確認した土地は、原判決別紙図面に表示のとおり、道路、淵および水路によつて囲まれた範囲として特定されているものと解されるから、その実測地積が被上告人主張のとおりであるか否かを確定しなかつたからといつて、何ら違法とはいえない。論旨は採用することがでない。よつて、民訴法三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い、主文のとおり判決する。(裁判長裁判官沢井種雄裁判官常安政夫裁判官野田宏)
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