【DRY-RUN】主 文 本件控訴はこれを棄却する。 控訴費用は控訴人等の負担とする。 事 実 控訴人等代理人は、原判決を取消す。被控訴人の請求を棄却する。控訴費用は
主文 本件控訴はこれを棄却する。 控訴費用は控訴人等の負担とする。 事実 控訴人等代理人は、原判決を取消す。被控訴人の請求を棄却する。控訴費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。との判決を求め、被控訴代理人は、控訴棄却の判決を求めた。 当事者双方の事実上の主張は、控訴人等代理人において、(一) 被控訴会社は単に本件家屋を空家にして他に高価に売却するために控訴人等に明渡を求めるのである。それは被控訴会社が数十軒の家屋を所有しているが今までに朝鮮人などまで使用して家屋を空家にして高個に売却した事例から見てもわかる。仮に被控訴会社がその店員や復員者を居住させる必要上本件家屋の明渡を求めるのであるとしても、被控訴会社は他に四戸建一棟の空家を所有しているから、控訴人等に対して本件家屋の明渡を求める必要はない。故にいすれの点から見ても明渡を求める正当の事由がない。(二)控訴人AとBは被控訴会社の代理人である社員Cの承諾を得て本件家屋に居住したのである。仮に承諾がなかつたとしてもCは控訴人Dの所に家賃の取立に来て右控訴人がAやBを同居させていることを知りながら、何等異議をいわなかつたのであるから、同人はAやBの同居を暗黙に承認したのである。従つて控訴人AやBは本件家屋を不法に占有するものではない、と述べた外は原審判決事実摘示と同一であるから、ここにこれを引用する。 証拠として、被控訴代理人は甲第一号証の一、二、第二乃至第四号証を提出し、原審証人E、当審証人F、原審並びに当審における証人C及び被控訴会社代表者Gの各供述を援用し、乙号各証の成立を認め、控訴人等代理人は乙第一乃至第四号証を提出し、原審並びに当審証人H(当審は、第一、二回)当審における証人I、J及び控訴本人Aの各供述を援用し、甲号 社代表者Gの各供述を援用し、乙号各証の成立を認め、控訴人等代理人は乙第一乃至第四号証を提出し、原審並びに当審証人H(当審は、第一、二回)当審における証人I、J及び控訴本人Aの各供述を援用し、甲号各証の成立を認めた。 理由 被控訴人が控訴人Dに対し、いすれも期間の定めなく被控訴人主張のような賃料で、昭和十九年六月九日被控訴人主張の(イ)建物を、更に昭和二十年七月一日その主張の(ロ)の建物をそれぞれ賃貸したこと並びに被控訴人が昭和二十二年六月一日到達の内容証明郵便を以て、同控訴人に対し右(ロ)の建物の賃貸借契約を解約する旨の申入をしたことは右当事者間に争ないところである。依つて右解約申入が正当の事由に基くかどうかを審按するに、成立に争ない甲第三号証、原審証人E、当審証人J、原審並びに当審における証人C及び被控訴会社代表者Gの各供述と原審並びに当審における証人H、当審における控訴本<要旨>人Aの供述の各一部とを綜合すると、被控訴会社の店員であるK、L、M、N</要旨>等は昭和二十一年中復員又は外地より引揚げて来たが住宅がたくてLは妻子三人で東京都港区aの被控訴会社の事務所の二疊に住み、Nは妻と共に弟の所に同居し、Mは被控訴会社の物置に住み、Kは復員後結婚することになつたが家がなくて結婚できない始末で、被控訴人としてはどうしてもこれ等の店員のために住居を心配してやらなければならない切実な必要に迫られている事実、本件係争の、(ロ)の建物は控訴人Dの代理人である母Hから、Hの娘でOの妹である控訴人Aが結婚するのだからというので、控訴人Dに前記のように賃貸したのでおるが、昭和二十年暮頃になつても結婚して本件家屋を使用する様子もないので、被控訴人の代理人Cは、終戦により被控訴会社の店員が引揚げて来て本件家屋を使用する必要が 、控訴人Dに前記のように賃貸したのでおるが、昭和二十年暮頃になつても結婚して本件家屋を使用する様子もないので、被控訴人の代理人Cは、終戦により被控訴会社の店員が引揚げて来て本件家屋を使用する必要が生することを予想して、控訴人Dの代理人であるHに事情を話して本件家屋の返還を求めたところ、Hは承諾しないので、同人は他に転貸でもするときは必す返還されたいと申入れたところ、Hもこれを了承した事実、然るにHはその後被控訴人に無断で控訴人Bや、訴外P、Q等を本件家屋に居住させて居り、一方被控訴会社では前記のよう、に店員が引揚げで来たので、CはHに対し再三窮状を訴えて本件建物の返還を求めたが応じないので被控訴人はやむたく前記解約の申入をしたものである事実、ところがHはその申入を受けた後もF、R等に本件家屋を間貸しして、そのTの手から価格千円の物品をその都度収受した事実、控訴人Aは昭和二十三年暮にSと結婿して紳奈川縣三浦郡b町にある右S所有の家屋において同人と同棲するに至つた事実、控訴人Dの家族は他にHだけであり前記初めに借りた(イ)の建物の間数は、八疊、四疊半、三疊の三間ある事実を認めるととができ、これ等の事情と現時における甚だしい住宅難の欣況とを併せ考えると他に特段の事情がない限り、控訴人Dは、その賃借している前記(イ)の建物を住宅として確保することに甘んすべきであつて、被控訴人の前記解約申入は正当の事由あるものと認定するを相当とする。控訴人Dは、被控訴人は単に本件家屋を空家にして他に高価に売却するために控訴人等に明渡しを求めるである。仮に然らすとしても、被控訴人は他に四戸建一棟の空家を所有しているから控訴人等に対し本件家屋の明渡を求める必要はない。と主張するから審究するに、この点に関する前掲証人H、控訴本人A及び当審証人Hの各供逍は前掲C及び 、被控訴人は他に四戸建一棟の空家を所有しているから控訴人等に対し本件家屋の明渡を求める必要はない。と主張するから審究するに、この点に関する前掲証人H、控訴本人A及び当審証人Hの各供逍は前掲C及びGの各供述と対照して探用することができす、他に控訴人主張の右事実を認めるに足る証拠はなく、かえつて右Cの供述の一部とGの供述によると、被控訴会社は終戦当時二十九軒程の貸家を所有していたが、財産税の納付等に窮して十軒詐り処分したが右はなるべく居住者の買受希望者に売渡した上その買受希望のないものはTの手を経て売渡したものであり、控訴人主張のように朝鮮人を使用して明渡を強要して高価に売渡したような事実はなく、偶々Tの手を経て売つた訴外H居住の家屋の買主が朝鮮人であつたが被控訴人としては売買成立当時全くどれを知らたかつたものである事実、被控訴人所有の右売残つている家屋はいずれも借家人が居住も他に被控訴人主張のような店員を居住させる空家を所有していない事実、並びに被控訴人は前記のような事情によつて本件解約申入をしたので控訴人主張のような空家にして高価に売却するような目的で解約の申入をしたのでない事実を認めるに充分であるから、控訴人Dの前記主張は採用できない。 尚当審における証人Hの証言(第二回)と成立に争ない乙第四号証によれば控訴人Aの夫Sは東京都内U館の専属バンドマンとなり昭和二十四年十月四日に妻の控訴人Aと子供を連れて本件家屋に移転して来た事実を認めることができるが、右控訴人Aの当審における供述によると、Sは従前からb町に居住して東京都の進駐軍に務めて同町の自宅から通勤し夜分遅くなつたことが屡々であり、そのときは本件家屋に宿泊したりして勤務に支障がなかつたのでおるから、今度U館に勤めるようになつても遅いときは控訴人Dの所に宿泊するとともできるのであ の自宅から通勤し夜分遅くなつたことが屡々であり、そのときは本件家屋に宿泊したりして勤務に支障がなかつたのでおるから、今度U館に勤めるようになつても遅いときは控訴人Dの所に宿泊するとともできるのであるから、同人はb町の住居から本件室屋に移転しなければ勤務できない事情にあるとは認められないし、又現下の住宅難の際においては控訴人Dと同居してもあながち無理とはいえないのである。然るに本件家屋が目下被控訴人と明渡しの係争中であることを知りながら、今に至つて本件家屋に移転して来たからといつて、これを以て被控訴人の解約申入の正当性を否定する理由となすことは到底できないところである。 以上の次第で被控訴人の前記解約申入は正当の事由おるものというべきであるから、右申入後六ケ月を経過した昭和二十二年十二月一日限り本件(ロ)の建物の賃貸借契約は終了したものというべきである。従つて控訴人Dは被控訴人に対し右建物を明渡すべき義務があり、又被控訴人は同控訴人が右建物を明渡さないために右建物の賃料額に相当する損害を被つているものというべきであるから、同控訴人は被控訴人に対し昭和二十二年十二月二日から右建物明渡しずみに至るまで前記認定の賃料に相当する一ケ月金四十二円十銭の割合による損害金を支払うべき義務あるものというべきである。 次に控訴人A及び同Bに対する請求について審按するに、本件係争の(ロ)の建物が被控訴人の所有であること及び同控訴人等が右家屋に居住してこれを占有していることは与事者間に争ないところである。右控訴人等は被控訴会社の代理人Cの承諾を得て本件家屋に居住したのである。仮に承諾がなかつたとしても、Cは控訴人Dの所に家賃の取立に来て右控訴人が控訴人A同Bを同居させていることを知りながら何等異議をいわなかつたのであるから、同人は控訴人等の同居を暗黙に承諾 たのである。仮に承諾がなかつたとしても、Cは控訴人Dの所に家賃の取立に来て右控訴人が控訴人A同Bを同居させていることを知りながら何等異議をいわなかつたのであるから、同人は控訴人等の同居を暗黙に承諾したのである。と主張するけれども、右前段の主張事実についてはこれを認めるに足る証拠なく、後段主張の事実については仮に控訴人等主張のような事実であつたとしても、控訴人Dと被控訴人との間の本件建物の賃貸借契約は前記認定のように昭和二十二年十二月一日限り終了したのであるから、控訴人等は最早被控訴人に対して本件建物に居住する権原あることを主張できないものというべきである。而して控訴人等は他に本件建物を占有すべき権原あることを主張しないから、右建物の所有者たる被控訴人に対してこれを明渡すべき義務あるものといわざるを得ない。 以上の次第であるから、被控訴人の請求は全部正当として認容すべきであつて、これと同趣旨にいでた原判決は相当であるから本件控訴は棄却すべきである。 依つて民事訴訟法第三百八十四條、第九十五條、第八十九條、第九十三條を適用して主文の通り判決する。 (裁判長判事大野璋五判事柳川昌勝判事浜田宗四郎)
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