令和7(行ケ)10068 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和7年11月19日 知的財産高等裁判所 3部 判決 請求棄却
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判決文本文22,832 文字)

令和7年11月19日判決言渡令和7年(行ケ)第10068号審決取消請求事件口頭弁論終結日令和7年9月29日判決 原告ヤマネアンドカンパニー株式会社(審決の表示炎株式会社) 同訴訟代理人弁理士朝比一夫 被告特許庁長官同指定代理人吉田聡一同大橋良成同阿曾裕樹 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は、原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 特許庁が不服2024-4185号事件について令和7年6月3日にした審 決を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等⑴ 令和5年1月23日、原告(当時の商号「炎株式会社」)は、以下の構成か らなり、指定商品を第25類「ジーンズ製被服」とする商標について、商標 登録出願をした(商願2023-6111号。以下「本願」といい、その商標を「本願商標」という。)。 (本願商標)新世界ジーンズ 【標準文字】⑵ 原告は、令和5年6月19日付けで拒絶理由通知を受け、同年7月26日、 意見書を提出したが、同年12月19日付けで拒絶査定(以下「本件拒絶査定」という。)を受けた。 なお、この間の令和5年9月24日に、原告は、それまでの商号炎株式会社から、現在の商号であるヤマネアンドカンパニー株式会社に商号変更した(同月26日登記)。 原告は、令和6年3月8日、拒絶査定不服審判を請求した(不服2024-4185号)。 ⑶ 特許庁は、令和7年6月3日、「 ネアンドカンパニー株式会社に商号変更した(同月26日登記)。 原告は、令和6年3月8日、拒絶査定不服審判を請求した(不服2024-4185号)。 ⑶ 特許庁は、令和7年6月3日、「本件審判の請求は、成り立たない。」とする審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は、同月17日に原告に送達された。 ⑷ 原告は、令和7年7月11日、本件審決の取消しを求めて、本件訴えを提起した。 2 本件審決の理由の要旨本件審決の理由は、要するに、本願商標は、本件拒絶査定において拒絶の理由に引用した登録商標である登録第3097634号商標(以下「引用商標」 という。平成4年12月15日登録出願、平成7年11月30日設定登録)と類似し、その指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法4条1項11号に該当するというものである。 3 引用商標の内容⑴ 商標 ⑵ 商品の区分及び指定商品第25類「被服、履物」第3 当事者の主張 原告の主張に係る取消事由及びそれに関する両当事者の主張は以下のとおりである。 1 取消事由1(「新世界」の文字の解釈の誤り)〔原告の主張〕本件審決は、「新世界」の文字は、「新しい世界」ほどの意味合いを容易に想 起させるものと認定したが、本件拒絶査定においては、「新世界」の文字は、少なくとも以下の二通りの意味合いがあるとしていた。 ・「ヨーロッパ人によって新しく開拓された大陸。特に南北アメリカおよびオーストラリア。新大陸。」・「大阪市浪速区の東南部、恵美須東一帯の地域の呼称。天王寺公園の西に隣接 する。大衆的娯楽街。」本件審決の認定は、本件拒絶査定の理由と全く異なり、前提からして齟齬があり、取り消されるべきで 「大阪市浪速区の東南部、恵美須東一帯の地域の呼称。天王寺公園の西に隣接 する。大衆的娯楽街。」本件審決の認定は、本件拒絶査定の理由と全く異なり、前提からして齟齬があり、取り消されるべきである。 すなわち、上記、「新世界」の文字は「新しい世界」ほどの意味合いを容易に想起させるとの認定は、本件審決で初めてなされたものであり、要部の議論も この認定を前提としている。したがって、本件審決は前提に明らかな不備があり、取り消されるべきである。 〔被告の主張〕本件拒絶査定と本件審決では、拒絶理由(商標法4条1項11号)及び引用 商標(登録第3097634号商標)のほか、商標の類似や商品の類似などの主要な要件事実の認定内容は共通しており、審判段階において、新たな拒絶理由について審理判断したものではないから、請求人である原告に対して、商標法55条の2で準用する同法15条の2の規定に基づき、意見書を提出する機会を与える必要性は全くない。 また、原告が異なると主張する本件拒絶査定と本件審決の記載内容は、拒絶理由(商標法4条1項11号)やその該当性を判断するための主要な要件事実(商標の類似や商品の類似など)ですらなく、審決の結論に至るための判断過程や論理展開を示すための補足的な記述内容に過ぎないばかりか、辞書に掲載されていたり、字義から分かるような顕著な事実にすぎず、請求人にとって不 意打ちとなるような情報でもないから、審決前に請求人である原告に示して意見を求めるような事項ではない。 さらに、本件拒絶査定は、辞書に掲載されているような周知の事実として、「新世界」の文字について、「新しく生活したり活動したりする場所」を含む複数の意味を有することを示して、そのような観念が生じるとしたのに対して、 本件審決では、 ているような周知の事実として、「新世界」の文字について、「新しく生活したり活動したりする場所」を含む複数の意味を有することを示して、そのような観念が生じるとしたのに対して、 本件審決では、その意味に近く、より構成文字の字義に忠実で、直接的に想起できる「新しい世界」ほどの観念が生じるとしたものであるから、本件審決において本件拒絶査定とは全く異なる認定をしたものでもない。 したがって、審判手続に何ら違法や瑕疵はない。 2 取消事由2ないし6 〔原告の主張〕⑴ 取消事由2(「新世界ジーンズ」の特定の意味合い)「新世界」の文字について、上記1のとおりの本件拒絶査定のように解すると、本願商標「新世界ジーンズ」は、上記1記載の二通りの特定の意味合いを有する。 本件審決の認定は、以上のような「新世界」の語の特定の意味合いを無視 したものであり、「『新世界』の文字は、『新しい世界』ほどの意味合いを容易に想起させるものである。」とした本件審決は、取り消されるべきである。 ⑵ 取消事由3(本願の指定商品の記載)本件審決でも指摘されているように、本願の指定商品は、「ジーンズ製被服」である。しかしながら、この記載は、審査において商標法4条1項16号(品 質の誤認)の拒絶理由を回避するために、やむなく記載したものである。すなわち、指定商品を単に「被服」として出願すると、同号違反として拒絶されることが分かっている。例えば、商願2015-81188(「Sugar・Jeans/シュガー・ジーンズ」、後記甲2と同じ件)の拒絶理由通知でも、審査官により「指定商品をジーンズ地からなる商品」に限定するよう補正案 を示されており(甲1の1)、出願人は、意見書を提出するとともに手続補正書により、指定商品を「ジーンズ地の被 由通知でも、審査官により「指定商品をジーンズ地からなる商品」に限定するよう補正案 を示されており(甲1の1)、出願人は、意見書を提出するとともに手続補正書により、指定商品を「ジーンズ地の被服」他に限定する補正を行い、登録がされている(甲1の2)。 原告は、このような拒絶理由を経験していることから、出願時から指定商品を「ジーンズ製被服」などに限定して、本願の出願をせざるを得なかった のである。すなわち、原告は、本願商標からは、「シンセカイジーンズ」との一連の称呼が生じるとの理解のもとで、本願商標「新世界ジーンズ」を指定商品「ジーンズ製被服」などについて出願したのである。 これに対し、本件審決では、本願商標の「ジーンズ」の文字部分のみに着目し、「自他商品を識別する機能を果し得ないか、又は極めて弱いということ ができる。」と認定している。 これは、上述した商標法4条1項16号違反の拒絶理由を回避するための経緯を考慮すると、極めて独善的かつ形式的な認定である。 したがって、本願商標「新世界ジーンズ」はあくまで一連一体の一つの商標であり、「ジーンズ」の文字部分のみに着目した本件審決は、取り消される べきである。 ⑶ 取消事由4(「新世界」の文字についての認定)本件審決は、「『新世界』の文字は、その構成文字に照応して、『新しい世界』ほどの意味合いを想起させるところ、本願指定商品の属する被服の分野との関係において、例えば、商品の品質の産地、品質等との関連を直ちに想定できるものではない。」と認定している。 しかしながら、本願商標の「新世界」の文字には、取消事由1で述べたように、少なくとも二通りの特有の意味合いを有するので、単に「新しい世界」ほどの意味合いを想起させるものではない。また、取消事由2 しかしながら、本願商標の「新世界」の文字には、取消事由1で述べたように、少なくとも二通りの特有の意味合いを有するので、単に「新しい世界」ほどの意味合いを想起させるものではない。また、取消事由2で述べたように、本願商標「新世界ジーンズ」は、指定商品「ジーンズ製被服」との関係で当該商品の特有な産地や販売地の意味合いを想起する。 したがって、本件審決は、誤った認識を前提としたものであり、本件審決は取り消されるべきである。 ⑷ 取消事由5(「要部」の認定)本件審決は、「本願商標は、その構成中の前半に位置する『新世界』の文字部分を要部として抽出し、他人の商標と比較することが許されるものという べきである。」との理由で、本願商標「新世界ジーンズ」の要部は、「新世界」の文字部分にあると認定している。 しかし、取消事由1で述べたように、「新世界」の文字は、少なくとも二通りの特有な意味合いを有し、取消事由2で述べたように「ジーンズ」の語と結びついて一連の特有の意味合いを生ぜしめるものである。また、本願の指 定商品の「ジーンズ」の文字は、商標の構成上標準文字で「新世界」の文字と一連に記載されているので、「新世界」の文字だけを分離抽出する理由はない。 したがって、本願商標「新世界ジーンズ」を「新世界」と「ジーンズ」とに分離し、「新世界」の文字だけを抽出して「要部」となす認定に基づいた本 件審決は、取り消されるべきである。 この点に関連し、登録商標第5886451号の例がある(甲2)。この商標登録は、商標「Sugar・Jeans/シュガー・ジーンズ」について、第25類で指定商品「ジーンズ地の被服」などを指定商品として、平成27(2015)年8月25日に出願されたものである(商願2015-81188)。被告( ・Jeans/シュガー・ジーンズ」について、第25類で指定商品「ジーンズ地の被服」などを指定商品として、平成27(2015)年8月25日に出願されたものである(商願2015-81188)。被告(特許庁)の理論からすれば、この商標からは、外観構成上、中 点「・」で「Sugar」と「Jeans」が分離されており、しかも指定商品に「ジーンズ地の被服」を含んでいるので、当然「Sugar/シュガー」の部分を要部として認定することになるはずである。しかしながら、その後に出願された商願2018-54417は、商標「sugar/シュガー」について、第25類で指定商品「被服」などを指定して登録されている (商標登録第6181434号。甲3)。すなわち、先登録商標「Sugar・Jeans/シュガー・ジーンズ」からは、「Sugar/シュガー」の部分は要部ではなく「シュガージーンズ」との一連の称呼が生じると認定したとしか理解できない。この例を考慮すると、本件審決における本願商標「新世界ジーンズ」の要部を、「新世界」とする認定は妥当なものではない。 ⑸ 取消事由6(称呼と観念の認定)本件審決は、「本願商標は、その要部である『新世界』の文字部分より、『シンセカイ』の称呼を生じ、『新しい世界』ほどの観念を生じるものといえる。」と認定している。 しかしながら、取消事由5で述べたように、本件審決は、そもそも、本願 商標の要部の認定で誤りを犯しており、その要部の認定を前提とした上での「称呼」及び「観念」の認定に基づく本件審決は、取り消されるべきである。 すなわち、本願商標「新世界ジーンズ」からは、「シンセカイジーンズ」の一連の称呼のみが生じ、また取消事由2で述べたように、少なくとも二通りの特定の意味内容、すなわち観念が生じる。 ある。 すなわち、本願商標「新世界ジーンズ」からは、「シンセカイジーンズ」の一連の称呼のみが生じ、また取消事由2で述べたように、少なくとも二通りの特定の意味内容、すなわち観念が生じる。 したがって、本件審決は、この点でも誤りがあり、取り消されるべきであ る。 〔被告の主張〕⑴ 原告は、取消事由2から6として、①本件審決の認定は、新世界の語の特定の意味合いを無視したものであること、②本願商標の指定商品「ジーンズ製被服」は、商標法4条1項16号の拒絶理由を回避するためにやむなく記 載したもので、本願商標からは、「シンセカイジーンズ」との一連の称呼が生じるとの理解のもとで出願していることを指摘するほか、③「新世界」の文字、要部、称呼と観念の認定誤りから、本件審決は取り消されるべきである旨を主張する。 ⑵ しかしながら、本願商標の構成中、「新世界」の文字部分は、地名事典(乙 7)を参照すれば「大阪市中部、浪速区。天王寺公園の西に接する街区。」の意味を有する語として掲載されてはいるものの、本願商標の構成文字やその指定商品との関連性を考慮しても、直ちに産地又は販売地などとして当該地区との関連を想起させるものではない。そして、国語事典(乙6)を参照すれば「新しく発見された地。特に、南北アメリカやオーストラリアのことを 指した。」の意味を有する語として掲載されているものの、地域としては極めて漠然とした範囲を総称するものであり、産地又は販売地などとしては具体性を欠き、それら地域との関連を想起させるものではない。なにより、上記のとおり、これらいずれの意味で用いられているかは直ちに特定できないため、構成文字の字義から容易かつ直接的に想起できる「新しい世界」ほどの 漠然とした意味合いを理解させるにとどまるという 上記のとおり、これらいずれの意味で用いられているかは直ちに特定できないため、構成文字の字義から容易かつ直接的に想起できる「新しい世界」ほどの 漠然とした意味合いを理解させるにとどまるというべきである。 ⑶ 本願商標は、その出願経緯や原告の意図にかかわらず、その構成文字や指定商品、取引の実情を踏まえると、上記のとおり、その構成中「新世界」の文字部分が、その指定商品「ジーンズ製被服」に係る取引者、需要者に対して、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであり、各構 成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど 不可分的に結合しているものではないから、当該文字部分を要部として抽出し、それと引用商標とを比較して商標の類否を判断することも許される。 ⑷ そうすると、本願商標は、その要部である「新世界」の文字部分に相応して、「シンセカイ」の称呼を生じ、「新しい世界」ほどの観念を生じるから、本件審決の認定、判断の内容に誤りはなく、取り消すべき理由はない。 3 取消事由7(引用商標の観念についての認定)〔原告の主張〕本件審決は、引用商標からは「『新しい世界』ほどの観念を生じるものといえる。」と認定した。 しかし、取消事由1で述べたように、「新世界」の文字は、少なくとも二通り の特有な意味合いを有している。 したがって、引用商標の観念に関する誤った認定に基づく本件審決は、取り消されるべきである。 〔被告の主張〕「新世界」の文字は、辞書に複数の意味が掲載されているものの、直ちに産 地又は販売地などを表示したことを想起させるものではなく、また、地域としては極めて漠然とした範囲を総称するものであり、産地又は販売地などとしては具体性を欠くため、構成文字の字義から容易かつ 地又は販売地などを表示したことを想起させるものではなく、また、地域としては極めて漠然とした範囲を総称するものであり、産地又は販売地などとしては具体性を欠くため、構成文字の字義から容易かつ直接的に想起できる「新しい世界」ほどの漠然とした意味合いを理解させる。 そうすると、引用商標は、「新世界」の文字を、一部をやや簡略化した書体で 表してなるから、その構成文字に相応して、「シンセカイ」の称呼を生じ、「新しい世界」ほどの観念を生じる。 なお、仮に引用商標の構成中「新世界」の文字部分から、原告主張の意味合いに相応する観念が生じる場合であっても、本願商標の要部である「新世界」の文字部分からも同様の観念が生じるから、観念において共通することに変わ りはない。 4 取消事由8ないし11〔原告の主張〕⑴ 取消事由8(本願商標と引用商標との類否について)本件審決は、「両商標は、その全体の外観構成において相違するものの、本願商標の要部である『新世界』と、引用商標の『新世界』の文字部分とを比 較すると、両者はいずれも『新世界』の文字を共通にするから、外観上、近似した印象を与える。」と認定している。 しかし、本願商標の要部の認定は、取消事由5で述べたように、誤りを犯している。その誤った要部の認定を前提とした「外観」の認定に基づく本件審決は、取り消されるべきである。 そもそも、2以上の商標の外観の対比は、全体観察を原則とすべきであり、引用商標「新世界」と本願商標「新世界ジーンズ」とは外観が異なることは、明白である。また、本願商標「新世界ジーンズ」の要部の認定は明らかに誤りである以上、本件審決のように本願商標の要部の外観と引用商標の外観を比較することは、意味のないことである。 したがって、本 である。また、本願商標「新世界ジーンズ」の要部の認定は明らかに誤りである以上、本件審決のように本願商標の要部の外観と引用商標の外観を比較することは、意味のないことである。 したがって、本件審決におけるこの両商標の外観についての認定は、明らかに誤ったものであり、取り消されるべきである。 ⑵ 取消事由9(両商標の称呼についての認定)本件審決は、「称呼においては、本願商標の要部である『新世界』の文字から『シンセカイ』の称呼を生じ、引用商標の『新世界』の文字から『シンセ カイ』の称呼を生じることから、両者は、『シンセカイ』の称呼を共通にするものである。」と認定している。 しかしながら、本願商標の要部の認定は、取消事由5で述べたように、誤りを犯しており、その要部の認定を前提とした上での「称呼」の認定は、取り消しを免れない。すなわち、本願商標「新世界ジーンズ」は、標準文字で 一連の態様となっており、「シンセカイジーンズ」という一連の称呼のみが生 じる。したがって、本願商標の称呼は、引用商標「新世界」の称呼「シンセカイ」とは明確に区別される。 ⑶ 取消事由10(両商標の観念についての認定)本件審決は、「本願商標の要部と引用商標はいずれも『新しい世界』ほどの観念を生じるから、両者は、観念においても共通する。」と認定している。 しかし、本願商標の要部の認定は、取消事由5で述べたように、誤りを犯しており、そのような要部の認定を前提とした本件審決は、取り消されるべきである。 ⑷ 取消事由11(両商標は類似するとの認定について)本件審決は、「本願商標と引用商標は、その要部について、外観において近 似した印象を与え、『シンセカイ』の称呼及び『新しい世界』ほどの観念を共通にするものであるから、外観、観念、 について)本件審決は、「本願商標と引用商標は、その要部について、外観において近 似した印象を与え、『シンセカイ』の称呼及び『新しい世界』ほどの観念を共通にするものであるから、外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は、相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。」と認定している。 しかし、既に述べたように、本願商標「新世界ジーンズ」からは、「シンセ カイジーンズ」という一連の称呼のみが生じるものであり、「新世界」の部分だけを分離抽出して要部と認定することは許されず、本願商標「新世界ジーンズ」と引用商標「新世界」とは、外観、観念、称呼のいずれにおいても非類似であり、本件審決は取り消されるべきである。 〔被告の主張〕 原告は、取消事由8から11として、本願商標と引用商標の外観、称呼、観念、類似に関する本件審決の認定、判断は誤っているとして、本願商標「新世界ジーンズ」からは、「シンセカイジーンズ」という一連の称呼のみが生じるものであり、「新世界」の部分だけを分離抽出して要部と認定することは許されず、本願商標「新世界ジーンズ」と引用商標「新世界」とは、外観、称呼、観念の いずれにおいても非類似である旨を主張する。 しかし、本願商標は、その構成中「新世界」の文字部分が、その指定商品に係る取引者、需要者に対して、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであり、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではないから、当該文字部分を要部として抽出し、それと引用商標とを比較して商標の類否を判断するこ とも許される。したがって、本願商標は、その要部である「新世界」の文字部 不可分的に結合しているものではないから、当該文字部分を要部として抽出し、それと引用商標とを比較して商標の類否を判断するこ とも許される。したがって、本願商標は、その要部である「新世界」の文字部分に相応して、「シンセカイ」の称呼を生じ、「新しい世界」ほどの観念を生じる。 他方、引用商標「新世界」は、その構成文字に相応して、「シンセカイ」の称呼を生じ、「新しい世界」ほどの観念を生じる。 そうすると、本願商標と引用商標は、外観において相紛らわしく、要部に相応する称呼及び観念を共通にするから、それらによって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、同一又は類似の商品に使用された場合、商品の出所につき誤認混同を生じるおそれのある類似の商標である。 5 取消事由12ないし14〔原告の主張〕⑴ 取消事由12(商標法4条1項11号の該当性)本件審決は、「小括」において、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、かつ、その指定商品は引用商標の指定商品と同一又は類似する商品で あるから、商標法4条1項11号に該当する旨認定している。 しかし、既に述べたように、本願商標「新世界ジーンズ」は、引用商標の「新世界」とは異なる外観を有し、特有の意味内容を有するので観念も異なり、さらに「新世界」とは称呼も異なる。 したがって、本願商標「新世界ジーンズ」は、引用商標「新世界」とは、 非類似であり、指定商品が部分的に重複するといっても、商標法4条1項1 1号には該当しない。したがって、本件審決の認定は、取り消されるべきである。 ⑵ 取消事由13(「請求人の主張について」の認定への反論)本件審決は、「取引の実際においては、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自 審決の認定は、取り消されるべきである。 ⑵ 取消事由13(「請求人の主張について」の認定への反論)本件審決は、「取引の実際においては、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合している ものと認められない商標は、必ずしも常に構成全体によって称呼、観念されるとは限らず、その構成部分の一部だけによって称呼、観念されることがあることに鑑みると、『ジーンズ』の文字部分は、本願指定商品『ジーンズ製被服』との関係において商品の品質等として理解されるものであるから、自他商品を識別する機能を果たし得ないか、又は極めて弱いといえ、その構成中 の『新世界』の文字部分を要部として抽出し、引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきものであることは、上記(1)のとおりである。」と認定している。 しかしながら、本件審決では、本願商標「新世界ジーンズ」について、「取引の実際においては、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取 引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標」と認定しているが、本願商標「新世界ジーンズ」は、7文字から成る商標であり、横一列に間隔なく記載され、しかも標準文字として出願されている。この本願商標のどこが「商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと 認められない商標」というのであろうか。しかも、本願は、「ジーンズ製被服」を指定商品としているが、これは取消事由3で述べたように、商標法4条1項16号の拒絶理由を回避するためであり、本願商標「新世界ジーンズ」を「新世界」と「ジーンズ」とに分離して観察することを認める根拠にはならない。 した 消事由3で述べたように、商標法4条1項16号の拒絶理由を回避するためであり、本願商標「新世界ジーンズ」を「新世界」と「ジーンズ」とに分離して観察することを認める根拠にはならない。 したがって、以上の認定は誤っており、本件審決は取り消されるべきであ る。 また、本件審決は、本願商標「新世界ジーンズ」は、「本願指定商品『ジーンズ製被服』との関係において商品の品質等として理解されるものであるから、自他商品を識別する機能を果たし得ないか、又は極めて弱いといえ、その構成中の『新世界』の文字部分を要部として抽出し、引用商標と比較して 商標の類否を判断することも許されるというべきものである」と認定している。 しかし、取消事由3で述べたように、この指定商品の記載は商標法4条1項16号の拒絶理由を避けるためのものである。また、以上の本件審決の認定も、取消事由5で述べたように、「要部」の認定自体が誤っていることに起 因する。 したがって、以上の誤った要部の認定に基づく審決は、取り消されるべきである。 また、本件審決は、「請求人が挙げる登録例では、指定商品及び指定役務、商標の構成、各語の意味合いと各語の関連性等が異なり事案を異にするもの であるから当該登録例によって、直ちに本願商標に係る判断が左右されるものではない。特に、『飲食物の提供』の役務の分野において、商標の構成態様から、『新世界』が『大阪府大阪市浪速区恵美須東に位置する繁華街』ほどを表すものと理解され、役務の提供の場所等を示すものとして、自他役務の識別機能を果たさないか弱いことがあるとしても、本願商標及び引用商標の構 成態様及び指定商品において、同様に判断することはできない。一方、本願商標において『新世界』の文字部分を要部として抽出し、引用商標と たさないか弱いことがあるとしても、本願商標及び引用商標の構 成態様及び指定商品において、同様に判断することはできない。一方、本願商標において『新世界』の文字部分を要部として抽出し、引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきものであり、商標法第4条第1項第11号に該当する商標であることは、上記(1)のとおりである。 したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。」と認定してい る。 上記で請求人(原告)が挙げる登録例は、商願2011-080752/登録第5591800号であり(甲4)、本願の指定商品の分類との相違や商標の構成態様の相違については認める。しかしながら、標準文字で一連に記載された本願商標「新世界ジーンズ」からは「新世界」の文字が要部として抽出されると認定されているのに対し、甲4の図案化された商標からは「ク シカツシンセカイ」という一連の称呼のみが生じるとする上記出願の拒絶査定不服審判(不服2013-759号)の審決(甲5)の認定には到底承服することができない。すなわち、行政官庁である特許庁が同じ「新世界」の文字を含む商標について、ここまで異なる判断を下す点については、到底承服することができない。このような特許庁の実務の運用は、我々実務家がい つも苦しめられている問題であり、裁判所の客観的かつ合理的判断を希求する次第である。 ⑶ 取消事由14(「まとめ」について)本件審決は、「以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。」と結論付けている。 しかしながら、上述の取消事由で繰り返し述べているように、本願商標は、商標法4条1項11号に該当するものではなく、登録すべきものである。したがって、本件審決は取り消される 結論付けている。 しかしながら、上述の取消事由で繰り返し述べているように、本願商標は、商標法4条1項11号に該当するものではなく、登録すべきものである。したがって、本件審決は取り消されるべきである。 〔被告の主張〕原告は、取消事由12から14として、本願商標「新世界ジーンズ」は、引 用商標「新世界」とは、非類似であり、指定商品が部分的に重複するといっても、商標法4条1項11号には該当しない旨を、過去の登録例や審決例も挙げながら主張する。 しかしながら、商標の類否判断は、商標の構成、指定商品及び指定役務、取引の実情等を踏まえて、商標ごとに個別に判断すべきものであって、原告が指 摘するような他の商標登録例があるからといって、本願商標と引用商標の類否 判断が影響を受けるものではないから、本願商標が引用商標と類似することを否定する理由にはならない。 一方、本願商標は、その構成文字や指定商品、取引の実情等を踏まえると、その構成中「新世界」の文字部分が、その指定商品に係る取引者、需要者に対して、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであり、各構 成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではないから、当該文字部分を要部として抽出し、それと引用商標とを比較して商標の類否を判断することも許される。 そうすると、本願商標と引用商標は、要部において「新世界」の文字を表してなる点で共通するから、類似の商標である。 したがって、本願商標は、引用商標とは類似の商標であって、それら指定商品は同一又は類似するから、商標法4条1項11号に該当する。 第4 当裁判所の判断 1 本願商標と引用商標との類否判断について⑴ 商標の類否判断の基準 は類似の商標であって、それら指定商品は同一又は類似するから、商標法4条1項11号に該当する。 第4 当裁判所の判断 1 本願商標と引用商標との類否判断について⑴ 商標の類否判断の基準 商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品又は役務に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、かつ、その商品又は役 務の取引の実情を明らかにしうる限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当である(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。 そして、商標はその構成部分全体によって他人の商標と識別すべく考案されているものであるから、みだりに、商標構成部分の一部を抽出し、この部 分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判定することは許され ないが、簡易、迅速を尊ぶ取引の実際においては、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼、観念され、一個の商標から二個以上の称呼、観念の生ずることがあるのは、経験 則の教えるところである(最高裁昭和34年(オ)第856号同36年6月23日第二小法廷判決・民集15巻6号1689頁参照)。また、複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商 6年6月23日第二小法廷判決・民集15巻6号1689頁参照)。また、複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標 識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などを除き、許されないというべきである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7 号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・集民228号561頁参照)。 ⑵ 本願商標についてア本願商標は、前記第2の1⑴のとおり、標準文字で「新世界ジーンズ」と書してなるものであり、漢字の「新世界」の部分と片仮名の「ジーンズ」 を一連一体に書してなるものである。 この「新世界」の文字のうち、「新」は、「あたらしいこと」等を意味し(乙4、広辞苑第七版)、「世界」は、「地球上の人間社会のすべて」等を意味する(乙5、前掲書)ところ、「新世界」を一語とみた場合には、①「新しく発見された地。特に、南北アメリカやオーストラリアのことを指した。」 (乙6、前掲書)、②「大阪市中部、浪速区。天王寺公園の西に接する街区。」 (乙7、コンサイス日本地名事典第5版)、③「新しく生活したり活動したりする場所」(乙8、精選版日本国語大辞典)等の意味を有する成語となる。 また、「ジーンズ」の文字は、「デニムなど厚手の細綾織の綿布。また、それで作った衣服など。」の意 「新しく生活したり活動したりする場所」(乙8、精選版日本国語大辞典)等の意味を有する成語となる。 また、「ジーンズ」の文字は、「デニムなど厚手の細綾織の綿布。また、それで作った衣服など。」の意味を有する外来語「jeans」(乙9、広辞苑第七版)を片仮名表記したものであり、デニムパンツを指称する語と して極めて一般的に使用されている語である(乙10ないし13)。 これらを勘案すると、服飾に係る「ジーンズ」の語が、「新世界」の語のうちの「世界」のみと結合して「世界ジーンズ」となることは想定しにくく、これが「新」と結合して「新」「世界ジーンズ」となるものとも考えにくいから、本願商標中の「新世界」の語は、一語として、「ジーンズ」と結 語しているものと解され、本願商標は、「新世界」と「ジーンズ」の結合商標と解される。しかし、上記の意味に照らせば、両語に観念上のつながりはなく、それらが結合して具体的な意味を有する成語となるものではない。 そして、「新世界」の文字の上記①ないし③の意味するところによれば、本願商標の「新世界」の文字は、指定商品の生産地ないし販売地と関連す るものとみるには、余りに漠然としているか、地域としての関連に乏しい、離隔した広狭様々な土地や、観念的な場所を指すものということができ、本願商標の構成等からは、それら①ないし③のいずれの意味で用いられているかも特定することができないものであるから、本願商標の構成文字やその指定商品との関連性を考慮しても、「新世界」の文字部分は、その構成 文字の字義から容易かつ直接的に想起できる、「新しい世界」ほどの漠然とした意味合いを理解させるものと認められる。 なお、ジーンズが19世紀後半にアメリカ合衆国の西部で作業着として発祥したという歴史があったとしても(甲6)、「 に想起できる、「新しい世界」ほどの漠然とした意味合いを理解させるものと認められる。 なお、ジーンズが19世紀後半にアメリカ合衆国の西部で作業着として発祥したという歴史があったとしても(甲6)、「新世界」という語は、上記のとおり、アメリカ合衆国のみならず、それよりも広い地域を指す意味 を有しており、「新世界」という語と「ジーンズ」という語が特に密接な関 連を有する旨認識されていることを認めるに足りる証拠はなく、後記イ掲記の証拠からも、ジーンズは、世界各地でデザイン、製造及び販売されていることが認められるから、「新世界」という語は、ジーンズとの関係で、産地、品質等との関連を直ちに想起させるともみられず、上記の認定は左右されない。 イ 「ジーンズ」の文字は、前記のとおり、デニムパンツを指称する語として極めて一般的に使用されているところ(乙10ないし13)、ファッションの分野における取引の実情に関連し、以下の事実が認められる(頁の記載は、各項末尾の書証の頁を示す。)。 (ア) 「FukuDB」のウェブサイトの「ポール・スミス・ジーンズ/P aulSmithJEANS」(1頁)の項には、「ポール・スミス・ジーンズ(PaulSmithJEANS)とは、イギリスのファッションブランド『ポール・スミス』のジーンズライン。」(1頁)との記載がある(乙14)。 (イ) 「RINKAN」のウェブサイトには、「アルマーニジーンズ」(1 頁)の見出しの下、「アルマーニジーンズ(ARMANIJEANS)は、ジョルジオアルマーニ(GIORGIOARMANI)の新たなラインとして1981年に誕生しました。アルマーニジーンズは、ジョルジオアルマーニが持つラグジュアリー感を残しつつも、カジュアルでスタイリッ ジオアルマーニ(GIORGIOARMANI)の新たなラインとして1981年に誕生しました。アルマーニジーンズは、ジョルジオアルマーニが持つラグジュアリー感を残しつつも、カジュアルでスタイリッシュなアイテムが揃います。ブランド名にジーンズが付い ているように、デニムアイテムがメインです。また、デニムに合うトップスやアウターなどもラインナップし、トータルでアルマーニジーンズをコーディネートできるよう提案されています。」(1頁)との記載がある(乙15)。 (ウ) 「KOIZUMIGROUP」のウェブサイトには、「PERSON’ SJEANS」(1頁)の見出しの下、「1976年に誕生したカジュ アルライフスタイルブランド。パーソンズの『明るく、元気に、健康的に』をコンセプトにアートやグラフィックの『楽しさ』を加えたジーニングカジュアルブランドです。」(1頁)との記載がある(乙16)。 (エ) 「アニエスベージーンズ」のウェブサイトには、「アニエスベージーンズ」(1頁)の見出しの下、「2020年にアニエスベーのジーンズのラ インアップに新たに定番入りした『agnesb. JEANS』。岡山県児島に受け継がれる技術を用いたセルビッチデニムを使用し、パリのアニエスベーデザインと融合させたメイドインジャパンのジーンズです。」(「e」にはアクサン・グラーヴが付されている。)(9頁)との記載がある(乙17)。 (オ) 「ZOZOTOWN」のウェブサイトには、「CalvinKleinJeans」(1頁)の商品紹介の項に、「CalvinKleinJeans(カルバンクラインジーンズ)」(2頁)の見出しの下、「カルバン・クラインは、世界でも有数のデザイナーズ・ライフスタイル・ブランドのひとつで 品紹介の項に、「CalvinKleinJeans(カルバンクラインジーンズ)」(2頁)の見出しの下、「カルバン・クラインは、世界でも有数のデザイナーズ・ライフスタイル・ブランドのひとつであり、世界中で好まれるアイテムの数々を提 供しています。・・・そのブランドのひとつであるCalvinKleinJeansは、官能的で挑発的、若々しさを具現化したデザイナーズジーンズブランドの元祖になります。」(2頁)との記載がある(乙18)。 (カ) 「FASHIONPRESS」のウェブサイトには、「GUESS JEANS“アジア本土初”旗艦店が東京・表参道に、MASUコラボデニムなど限定販売」(1頁)の見出しの記事情報において、「GUESSJEANSは、GUESSが展開する、アメリカ西海岸発のライフスタイルブランド。伝統と現代的な視点を融合し、ブランドが持つタイムレスな魅力を凝縮したデニムを軸に、ベーシックで洗練されたウェア を展開している。」(1頁)との記載がある(乙19)。 (キ) 「ZOZOTOWN」のウェブサイトには、「NAUTICAJEANS」(1頁)の商品紹介記事に、「NAUTICAJEANSCO. /ノーティカジーンズ」(2頁)の見出しの下、「シンプルでクリーンなプロダクトが大人の休日の装いとして親しまれ、その人気はストリートシーンにも波及、支持を集めてきたNAUTICA。世界にも影響を与 える東京のストリートシーンから生まれる様々なアイデアやカルチャーに、NAUTICAらしさをMIXした、新しいジーニングカジュアルスタイル『NAUTICAJEANSCOMPANY』が始動。」(2頁)との記載がある(乙20)。 (ク) 「BAYCREW’SSTORE」のウェブサイ MIXした、新しいジーニングカジュアルスタイル『NAUTICAJEANSCOMPANY』が始動。」(2頁)との記載がある(乙20)。 (ク) 「BAYCREW’SSTORE」のウェブサイトには、「New brand|“CIMARRONJEANS”予約受付中!」(1頁)の記事情報に、「【CIMARRONJEANS/シマロンジーンズ】」(2頁)の見出しの下、「シマロンは1978年にスペインのSAEZMERINO社によって創立されたジーンズブランドです。」(2頁)との記載がある(乙21)。 (ケ) 「デニム研究所 byJAPANBLUE オンラインショップ」のウェブサイトには、「JAPANBLUEJEANSが大切にしているのは“ジーンズ作り=生地作り”という信念。・・・モノづくりの現場でしか発見できない課題を解決し、この取り組みが普通になることを目指すジーンズブランドです。」(1頁)との記載がある(乙22)。 ウ上記イによれば、「ポール・スミス・ジーンズ」(「ポール・スミス」のジーンズライン)、「アルマーニジーンズ」(「アルマーニ」のデニムアイテムがメインのライン)、「PERSON’SJEANS」(「パーソンズ」のカジュアルブランド)、「アニエスベージーンズ」(「アニエスベー」のジーンズラインナップ)、「カルバンクラインジーンズ」(「カルバン・ク ライン」のジーンズブランド)、「GUESSJEANS」(「GUESS」 のデニムを軸にしたブランド)、「ノーティカジーンズ」(「NAUTICA」のカジュアルスタイル)、「シマロンジーンズ」(「シマロン」とも略称されるジーンズブランド)、「JAPANBLUEJEANS」(株式会社ジャパンブルーによるジ ジーンズ」(「NAUTICA」のカジュアルスタイル)、「シマロンジーンズ」(「シマロン」とも略称されるジーンズブランド)、「JAPANBLUEJEANS」(株式会社ジャパンブルーによるジーンズブランド)などのように、「○○ジーンズ(JEANS)」と称する、ジーンズ(デニム)やそれに合うような商品ライン ナップを揃えるブランドが広く展開されているとの取引の実情があることが認められる。 エそうすると、ファッションの分野において被服等を指定商品とする商標において、「ジーンズ」の文字部分は、その指定商品との関係において、商品の種別や原材料を表示するものであり、「○○ジーンズ」のように表示さ れる場合は特に、「○○」に示されるブランドの商品ラインナップ(ジーンズ(デニム)やそれに合うような商品のラインナップ)を表示してなるものと認識、理解されるにすぎないから、「ジーンズ」の文字部分は自他商品の出所識別標識としての機能を果たし得ず、その機能は極めて弱く、印象や記憶に残りにくいということができる。 オ以上によれば、本願商標は、「新世界」と「ジーンズ」の語を組み合わせた結合商標であるところ、両語に観念上のつながりはなく、それらを結合して具体的な意味を有する成語となるものではないから、不可分的に結合しているものではないということができる。 そして、「ジーンズ」の文字部分は、その指定商品との関係において、商 品の種別や原材料を表示する語であり、ファッション分野における取引等において、主にデニムパンツを指称する語として極めて一般的に使用されており、また、「○○ジーンズ」と称するジーンズ(デニム)やそれに合うような商品ラインナップを揃える諸ブランドが広く展開されている実情があるから、自他商品の出所識別標識としての めて一般的に使用されており、また、「○○ジーンズ」と称するジーンズ(デニム)やそれに合うような商品ラインナップを揃える諸ブランドが広く展開されている実情があるから、自他商品の出所識別標識としての機能を果たし得ないか、そ の機能が極めて弱く、印象や記憶に残りにくいものと認められる。 他方、「新世界」の文字部分は、上記アのとおり、本願指定商品の属する被服の分野との関係において、商品の産地、品質等との関連を直ちに想定できるものではなく、「新しい世界」ほどの漠然とした意味合いを理解させるものである。 そうすると、本願商標は、その構成中「新世界」の文字部分が、その指 定商品に係る取引者、需要者に対して、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであり、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではないから、その構成中の前半に位置する「新世界」の文字部分を要部として抽出し、それと引用商標とを比較して商標の類否を判断することも許 されるというべきである。 したがって、本願商標は、その要部である「新世界」の文字部分に相応して、「シンセカイ」の称呼を生じ、「新しい世界」ほどの観念を生じるということができる。 ⑶ 引用商標について 引用商標は、やや図案化されているものの、普通に用いられる域を脱しない書体で表された「新世界」の文字を書してなるものであるから、その構成文字に相応して「シンセカイ」の称呼を生じ、上記⑵で検討したとおり、その文字から「新しい世界」ほどの観念を生じるということができる。 ⑷ 本願商標と引用商標の類否について 本願商標と引用商標は、その全体の外観構成において相違しており、構成全体としては書体の微差や語尾の「ジーンズ 」ほどの観念を生じるということができる。 ⑷ 本願商標と引用商標の類否について 本願商標と引用商標は、その全体の外観構成において相違しており、構成全体としては書体の微差や語尾の「ジーンズ」の文字部分の有無という差異はあるものの、要部において「新世界」の文字を表してなる点で共通するから、記憶に残る印象において似通ったものとなり、相紛らわしく、近似した印象を与える。 次に、称呼においては、本願商標は、その全体から「シンセカイジーンズ」 と称呼される場合もあると解されるが、その要部である「新世界」の文字から「シンセカイ」の称呼を生じる場合も多く、引用商標が「新世界」の文字より「シンセカイ」の称呼を生じることから、両者は、「シンセカイ」の称呼を共通にするものである。 そして、観念においては、本願商標の要部と引用商標はいずれも「新しい 世界」ほどの観念を生じるから、両者は、観念においても共通する。 以上からすると、本願商標と引用商標は、その要部について、外観において相紛らわしく、近似した印象を与え、「シンセカイ」の称呼及び「新しい世界」ほどの観念を共通にするものであるから、外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、 両者は、相紛れるおそれのある類似の商標ということができる。 ⑸ 本願商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否について本願の指定商品である第25類「ジーンズ製被服」は、引用商標の指定商品中の第25類「被服」に含まれる。したがって、これら商品は、同一又は類似の商品である。なお、原告は、本件審決の「本願商標の指定商品と引用 商標の指定商品の類否について」の判断(本件審決の理由4⑴エ)を認めている(訴状4頁19行目)。 ⑹ 結論以 一又は類似の商品である。なお、原告は、本件審決の「本願商標の指定商品と引用 商標の指定商品の類否について」の判断(本件審決の理由4⑴エ)を認めている(訴状4頁19行目)。 ⑹ 結論以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標 法4条1項11号に該当し、登録することができず、同旨の本件審決の判断に誤りはない。 2 原告の主張する取消事由に対する判断⑴ 原告は、前記第3の1のとおり、審決では「新世界」の文字は「新しい世界」ほどの意味合いと認定しているが、拒絶査定では、「ヨーロッパ人によっ て新しく開拓された大陸」、「大阪市浪速区の南東部、恵美須東一帯の地域の 呼称」などの意味合いを認定しており、本件審決の認定は拒絶査定と理由を異にし、本件審決には不備があるから取り消されるべきである旨を主張する。 しかし、本件審決が、「新世界」の文字の意味するところに関し、本件拒絶査定が挙げた意味合いとは異なる「新しい世界」ほどの観念を生じるものと認定し、これに基づき引用商標との類否判断をしたとしても、本件審決は、 本件拒絶査定と異なる拒絶の理由を発見し、それに基づき判断をしたものではなく、辞書等の記載も踏まえて字義に基づき観念について認定をしたものに過ぎず、商標法55条の2第1項が準用する同法15条の2の規定に違反したとはいえず、その他本件審決に手続違背はない。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 ⑵ 原告は、前記第3の2のとおり、取消事由2から6として、本件審決の認定は「新世界」の語の特定の意味合いを無視したものであり、本願商標の指定商品「ジーンズ製被服」は、商標法4条1項16号の拒絶理由を回 原告は、前記第3の2のとおり、取消事由2から6として、本件審決の認定は「新世界」の語の特定の意味合いを無視したものであり、本願商標の指定商品「ジーンズ製被服」は、商標法4条1項16号の拒絶理由を回避するためにやむなく記載したもので、本願商標からは、「シンセカイジーンズ」との一連の称呼が生じるとの理解のもとで出願していること、「新世界」の文字、 要部、称呼と観念の認定誤りから、本件審決は取り消されるべきである旨を主張する。 しかし、被服との関係で本願商標(「新世界ジーンズ」)を見るならば、「ジーンズ」の文字部分は、商品の種別や原材料を表示するものと認められ、自他商品の出所識別標識としての機能を果たし得ないと考えられ、本願商標か ら常に「シンセカイジーンズ」との一連の称呼が生じるものとは認められない。また、商標登録の可否は、商標の構成、指定商品又は指定役務、取引の実情等を踏まえて、具体的な実情に基づき商標ごとに個別に判断すべきものであるから、原告が指摘するような例があるとしても、前記の結論が左右されるものではなく、前記1⑵アのとおり、本願商標の「新世界」の文字部分 からは「新しい世界」ほどの漠然とした意味合いを理解させ、同オのとおり、 本願商標の「新世界」の部分を要部として他の商標と比較することが許されるというべきである。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 ⑶ 原告は、前記第3の3のとおり、取消事由7として、「新世界」の文字は、少なくとも二通りの特有な意味合いを有しており、本件審決は引用商標の観 念についての認定を誤っており、本件審決は取り消されるべきである旨を主張する。 しかし、前記1⑵アにおいて検討したとおり、「新世界」の語が有する複数の意味のうち、いずれの意味で用いられて 観 念についての認定を誤っており、本件審決は取り消されるべきである旨を主張する。 しかし、前記1⑵アにおいて検討したとおり、「新世界」の語が有する複数の意味のうち、いずれの意味で用いられているかを直ちに特定することはできず、「新世界」の文字部分は、その構成文字の字義から容易かつ直接的に想 起できる、「新しい世界」ほどの漠然とした意味合いを理解させるものということができる。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 ⑷ 原告は、前記第3の4のとおり、取消事由8から11として、本願商標と引用商標の外観、称呼、観念及び類似に関する本件審決の認定、判断は誤っ ているとして、本願商標からは、「シンセカイジーンズ」という一連の称呼のみが生じるものであり、「新世界」の部分だけを分離抽出して要部と認定することは許されないから、引用商標とは非類似である旨を主張する。 しかし、前記1⑵オにおいて検討したとおり、本願商標においては「新世界」の部分を要部として抽出し、これを引用商標と比較対比することができ るというべきである。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 ⑸ 原告は、前記第3の5のとおり、取消事由12から14として、本願商標は引用商標と非類似であり、指定商品が部分的に重複するとしても、商標法4条1項11号に該当しない旨を主張し、それに沿う証拠として過去の登録 例や審決例を提出する。 しかし、前記1において検討したとおり、本願商標と引用商標は類似するものということができ、また、その他商標の登録例等が、直ちに本願商標と引用商標の類否判断に影響するものでもない。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 3 結論 以上によれば、原告主張の取消事由はいずれも 他商標の登録例等が、直ちに本願商標と引用商標の類否判断に影響するものでもない。したがって、原告の上記主張は採用することができない。 3 結論 以上によれば、原告主張の取消事由はいずれも理由がなく、本件審決にこれを取り消すべき違法はない。よって、原告の請求を棄却することとし、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官中平健 裁判官今井弘晃 裁判官水野正則

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