主文 1 被告Aは,原告に対し,金60万円及びこれに対する平成14年2月21日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 2 原告及び被告株式会社大洋は,被告Aに対し,連帯して,金43万6750円及び内金38万6750円に対する原告は平成14年8月29日から,被告株式会社大洋は平成14年8月30日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告Aの原告及び被告株式会社大洋に対するその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は第1事件,第2事件を通じ,これを10分し,その1を原告及び被告株式会社大洋の負担とし,その余は被告Aの負担とする。 5 この判決の第1,第2項は仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 原告の第1事件請求主文第1項と同旨 2 被告Aの第2事件請求原告及び被告株式会社大洋は,被告Aに対し,連帯して,金313万2500円及び内金253万2500円に対する原告は平成14年8月29日から,被告株式会社大洋は平成14年8月30日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 争いのない事実(1) 原告は,兵庫県内でB株式会社(以下「B社」という。)の製品である自動車を中心に自動車の販売及び修理等を業とする株式会社である。 (2) 被告Aは,平成7年7月,原告(淡路営業所)から,B社製のステーションワゴン(以下「本件自動車」という。)を購入し,乗用していた者である。 (3) 被告株式会社大洋(以下「被告大洋」という。)は,株式会社Cとの間でフランチャイズ契約を締結して,兵庫県及び徳島県内でDの名称で合計 自動車」という。)を購入し,乗用していた者である。 (3) 被告株式会社大洋(以下「被告大洋」という。)は,株式会社Cとの間でフランチャイズ契約を締結して,兵庫県及び徳島県内でDの名称で合計4店舗を経営し,自動車のタイヤの販売,交換,その他自動車用品の販売を行っている株式会社である。 (4) 被告Aは,平成13年10月28日,被告大洋経営の「D徳島川内店」において,本件自動車の前輪2本のタイヤをE社製の新品のタイヤに交換した。 (5) 被告Aは,平成13年11月4日,本件自動車を運転して西名阪自動車道を走行していたところ,大阪府藤井寺市ab丁目同自動車道下り5KP付近で本件自動車のボンネット内で火災が発生する事故(以下「本件火災事故」という。)が生じた。 2 第1事件についての当事者の主張(原告の主張)(1) 原告は,平成13年11月5日,被告Aから本件火災事故で焼損した本件自動車の修理を依頼され,その修理を完了して,平成14年2月14日本件自動車を被告Aに引き渡した。 (2) 本件自動車の修理代等は,次のとおり合計60万円である。 ア部品代 25万5030円イ技術料 11万8000円ウレンタカー代金 20万円エ値引き △1601円オ以上差引合計 57万1429円カ消費税 2万8571円キ以上総合計 60万円(3) よって,原告は,被告Aに対し,本件自動車修理代金(レンタカー代及び消費税を含む)合計60万円及びこれに対する修理完了後であることが明らかな平成14年2月21日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害 被告Aに対し,本件自動車修理代金(レンタカー代及び消費税を含む)合計60万円及びこれに対する修理完了後であることが明らかな平成14年2月21日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。 (被告Aの主張)本件火災事故は,原告が被告Aに販売した本件自動車のミッションのシフト不良の欠陥に起因するものであり,原告が行った修理は,その欠陥を修理しただけのものである。したがって,被告Aには,その修理費用を負担すべき理由はない。 3 第2事件についての当事者の主張(被告Aの主張)(1) 本件火災事故発生に至る経緯被告Aは,平成13年11月4日,「日本犬保存会近畿連合展」参加のため,本件自動車を運転して出かけた。雨天であったため,被告Aは,北淡サービスエリアから明石大橋までの間スリップ防止のため4駆で走行し,その後,明石大橋で4駆を抜いて2駆にシフトしようとしたが,できなかったため,やむなく4駆のままで走行した。その後神戸垂水インターでも停車して2駆にシフトすることを試みたができなかった。その後,阪神高速大阪料金所で点検したが異常がなかったので,そのまま西名阪自動車道に入り,4駆のままで走行中,本件火災事故現場に至ったところ,本件火災事故が発生したもので,被告Aは,後続車のクラクションの合図で,出火を知り,直ちに,避難場所に避難して,消火活動を行った。 なお,本件自動車については,平成12年3月19日,雨天のため本件自動車を4駆で運転していたが,途中で2駆へのシフトを試みたところ,4駆のギアが抜けず,シフトができなくなったことがあった。そこで,本件自動車を購入した原告の淡路営業所に修理を依頼したが,4駆が抜けなくなる原因については不明ということで,納 シフトを試みたところ,4駆のギアが抜けず,シフトができなくなったことがあった。そこで,本件自動車を購入した原告の淡路営業所に修理を依頼したが,4駆が抜けなくなる原因については不明ということで,納得できる説明はなかった。その後も2~3回4駆が抜けないことがあったので,被告Aは,平成12年7月の本件自動車の車検をB社の協力店JAあわじ島農機自動車センターに依頼した際,担当者に本件自動車の4駆のギアが抜けないことがある旨を説明し,その点の点検も念のために依頼しておいた。その結果,JA担当者からは,「点検のため本件自動車を運転して原告の淡路営業所に向かったところ,途中4駆のギアが抜けないことがあった。同営業所到着前に抜けたので,この不具合を同営業所担当者に説明したところ,『原告が全責任を持つ。』との回答があったが,不具合についての説明はなかった。」との報告があった。 (2) 本件火災事故についての原告及び被告大洋の責任本件火災事故は,本件自動車の前輪と後輪に異径のタイヤが装着されていたため,トランスファシフト(ギア切替装置)のシフト不良(4駆から2駆へのシフト不能)が生じ,このシフト不良が原因となり,フロントデフが異常に過熱発火し,発生したものと推測されるが,これは,原告と被告大洋両名の下記の過失に基づく債務不履行又は不法行為が競合して発生したものであり,原告と被告大洋は,被告Aが本件火災事故によって被った後記損害を,連帯して賠償する責任がある。 ア原告の過失(ア) シフト不良の欠陥車の納入とその不修理本件自動車には,(1)で主張のとおり,もともとギアの不調があったもので,かつ,被告Aにおいて,その修理を依頼しても,原因は不明であるとして,その修理を行わなかったもの 修理本件自動車には,(1)で主張のとおり,もともとギアの不調があったもので,かつ,被告Aにおいて,その修理を依頼しても,原因は不明であるとして,その修理を行わなかったものであり,原告には,ミッションのシフト不良車を被告Aに販売・納入し,その後もその修理義務を履行せずにこれを放置した過失がある。 また,他の自動車メーカーの通常一般的な4輪駆動車は,フルタイム4駆(常時4駆で走行する)とパートタイム4駆(通常2駆で走行し,雪道等の場合のみ,前輪と後輪が同一回転するよう直結させて4駆を利用する)の2通りであるところ,本件自動車は,上記の4駆とは異なり,通常は2駆で走行するが,レバーの切替により,フルタイム4駆を選択したり,パートタイム4駆を選択することも可能なように,3つのシフト機構が組み込まれた特殊な機構となっており,機構そのものに微妙な無理があるものと考えられる。本件火災事故は,まさに,その無理なシフト機構そのものの欠陥に起因しているのではないかと考えられる。 (イ) 説明義務違反原告は,本件自動車のシフト機構が他の自動車メーカーの4駆とは異なる特殊なもので,そのことの故に,他の4駆ではほとんどみられない装着タイヤの外径差によるシフト不良やこれに起因する火災事故が発生する危険性があることを認識していたものであり,また,少なくとも,平成10年以降,本件火災事故と同様・同種の火災事故が数多く報告されており,平成12年12月には,国土交通省自体が容認できない事故として,メーカー,ディーラー,ユーザー等に注意を喚起しており,B社製では,当時,装着タイヤの摩耗差の許容範囲を1パーセント以内に設定していたと推測されることからすると,原告においても,そのころ,上記 して,メーカー,ディーラー,ユーザー等に注意を喚起しており,B社製では,当時,装着タイヤの摩耗差の許容範囲を1パーセント以内に設定していたと推測されることからすると,原告においても,そのころ,上記各事実を認識していたか,容易にこれを知り得る立場にあった。 したがって,原告としては,被告Aを始めとするそのユーザーらに対して,これらによる火災事故の発生の危険性及びその対処法につき,文書又は口頭で具体的,かつ詳しく説明して,タイヤの装着等につき誤りのないよう周知徹底を図る義務があったのに,これを怠って,放置した過失がある。 イ被告大洋の過失被告大洋及びその従業員は,タイヤの販売,交換を業務とするものであり,4輪駆動車にあっては,タイヤの外径差が火災事故等を引き起こすことがあることを容易に予見できる立場にあったものである。したがって,被告大洋には,被告Aから本件自動車のタイヤ交換を依頼された際,その外径差を生じさせないように,前輪後輪とも同メーカーの同径のタイヤを交換装着するよう説明し,そのように交換すべき義務があったのに,これを怠って,後輪のタイヤを従前のままとし,前輪のみにつき別のメーカーの異径のタイヤを装着することを勧め,そのため,前輪と後輪とで16㎜もの外径差を生じさせた過失がある。 (3) 被告Aの被った損害アレッカー代 2万3500円本件火災事故現場から,原告修理場所までの本件自動車の牽引料として2万3500円を要した。 イ本件自動車修理費用 40万円原告から本件自動車修理代金名下に原告から請求されている金額である。 ウ代車料 88万9000円 イ本件自動車修理費用 40万円原告から本件自動車修理代金名下に原告から請求されている金額である。 ウ代車料 88万9000円本件自動車を使用できないため,他の自動車を賃借した賃料である。 うち20万円は原告から提供のあった代車料であり,残余の68万9000円は他から賃借した自動車の賃料(53日×1万3000円)である。 エ本件自動車売却損 62万円被告Aは,本件自動車を平成14年3月に代金67万円で他に売却したが,本件火災事故がなければ,少なくとも129万円で売却できたはずである。 したがって,被告Aは,本件火災事故により,その差額62万円相当の損害を被ったものである。 オ慰謝料 60万円原告及び被告大洋は,その責任を他に転嫁する態度に終始した。とりわけ,原告は,被告Aに対し,本件自動車の修理代金を請求する不当な訴えを提起し,被告Aをしてこれに応訴せざるを得なくした。被告Aは,これら原告及び被告大洋の不当な主張と不誠実な対応によって,無用の心労と精神的苦痛を与えられたものであり,これに対する慰謝料は60万円が相当である。 カ弁護士費用 60万円原告の前記不当な訴えに対する応訴及び本件被告Aの訴え提起委任による弁護士費用(着手金20万円,報酬40万円。大阪弁護士会報酬規定標準額)である。 (4) よって,被告Aは,原告及び被告大洋に対し,債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償として,連帯して,上記損害合計313万2500円及び弁護士費用を除いた損害金合計253万 である。 (4) よって,被告Aは,原告及び被告大洋に対し,債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償として,連帯して,上記損害合計313万2500円及び弁護士費用を除いた損害金合計253万2500円に対する各訴状送達の日の翌日(原告については平成14年8月29日,被告大洋については平成14年8月30日)から各支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金を支払うことを求める。 (原告の主張)(1) 本件自動車に被告Aが主張するようなシフト不良の欠陥はない。 本件火災事故は,前輪に異径・異種類のタイヤを装着し,後輪は摩耗したタイヤを装着したままとし,外径差のあるタイヤのまま4輪駆動で走行したために,ギア内に大きな負荷がかかり,シフト不良(4駆から2駆へのシフト不能)が生じ,ギア内が異常加熱されて引火,発火に至ったものである。したがって,その責任は,異径・異種類のタイヤを前輪に装着し,後輪については摩耗したタイヤを交換せず,そのままとした被告A及び被告大洋がこれを負うべきものであり,原告が責任を負ういわれはない。 (2) 被告Aは,原告に説明義務違反があるとも主張するが,原告は,本件自動車引渡の際,4輪駆動車の取り扱いにつき取扱説明書を被告Aに交付し,タイヤ交換に際し,異径・異種類のタイヤを装着しないよう,また,外径差が生じないよう,タイヤのローテーションを定期的に行うようにといった指示及び注意を行っている。のみならず,原告の淡路営業所は,平成12年3月21日,本件自動車のシフト不良の故障の修理を行ったが,その際,同シフト不良が,摩耗によるタイヤの外径差によって生じたと推測されたことから,その旨を被告Aに伝えるとともに,4駆で走行を続けた場合には,また同じような状態(4駆から2駆へのギアシフトが ,その際,同シフト不良が,摩耗によるタイヤの外径差によって生じたと推測されたことから,その旨を被告Aに伝えるとともに,4駆で走行を続けた場合には,また同じような状態(4駆から2駆へのギアシフトができない状態)になるので,4駆で走行するのであれば,タイヤを同一サイズに交換してから走行するように注意を促しており,原告に何ら説明義務違反はない。 また,平成12年12月には,郵政省及び国土交通省が自動車メーカーが指定した以外の方法でタイヤを装着すると,最悪の場合走行中に火災を発生することをインターネット等を通じて警告しており,4輪駆動車のユーザーであれば,それら警告を了知していて然るべきである。 (被告大洋の主張)(1) 被告大洋には,何らの債務不履行も過失もない。 被告大洋は,平成13年10月28日,「D徳島川内店」において,被告Aから,本件自動車前輪左のタイヤの空気圧の確認を依頼され,確認したところ,空気圧が少ない上に,タイヤの溝も2分程度しか残っていなかったため,新しいタイヤに交換した方がよいと判断して,その旨被告Aにアドバイスした。これに対し,被告Aは,当該タイヤ1本だけの交換を希望したが,相当程度損傷している前輪のタイヤ1本だけを交換することは望ましくないので,被告大洋は,同一のタイヤ2本を購入して前輪2本ともを交換する方がよいとアドバイスした。その結果,被告Aは,被告大洋に対し,タイヤ2本の購入と取り付け(交換)作業を依頼し,また,購入するタイヤについては,被告AにおいてE社製のタイヤを選択した。 以上のとおりで,被告大洋は,被告Aが指定して購入することとしたタイヤ2本を売却し,その依頼に従って本件自動車の前輪2本と交換して取り付ける作業を行ったに過ぎず,そこに何ら債務不履行 以上のとおりで,被告大洋は,被告Aが指定して購入することとしたタイヤ2本を売却し,その依頼に従って本件自動車の前輪2本と交換して取り付ける作業を行ったに過ぎず,そこに何ら債務不履行や不法行為となるような行為は存在しない。そもそも,被告大洋としては,客である被告Aから注文を受けていないにもかかわらず,被告Aの意思を無視して被告大洋の独断で勝手に,「前輪後輪とも同メーカーの同径のタイヤ」を装着して,その料金を請求することなどできない。 (2) 被告大洋が本件自動車前輪に取り付けたタイヤは,後輪のタイヤと別のメーカーのタイヤであるが,後輪のタイヤと同種のタイヤで,本件自動車に適合した同一規格のタイヤである。 同一の規格であっても,メーカーによって「ミリ単位」の違いがあることが原因で本件火災事故が発生したというのであれば,それはタイヤに原因があるのではなく,車両そのものに欠陥があるというしかない。 また,タイヤ交換は4本を同時にしなければならないわけではない。B社においてもタイヤ4本を同時に交換しなければならないという明確な基準を示すものはない。したがって,被告大洋には,前輪のタイヤ2本のみを交換しようとする被告Aに対し,4本同時に交換しなければならないと説明する義務もない。 後輪については,溝の深さが1.6㎜以下であることを示すスリップサインも出ていなかったことから,被告大洋は,いまだ使用可能と判断したものであり,この判断についても何ら過失はない。B社の車両調査結果(甲7)は,後輪のタイヤは左右ともスリップサインが出ており,使用限界に近いとしているが,これは,スリップサインとプラットホームサインを見誤ったものであり,上記調査結果に信用性がないことは明らかである。 イヤは左右ともスリップサインが出ており,使用限界に近いとしているが,これは,スリップサインとプラットホームサインを見誤ったものであり,上記調査結果に信用性がないことは明らかである。 のみならず,そもそも,上記調査結果のいう約16㎜の外径差で4駆から2駆への切替シフトに不良が発生しただけでなく,フロントデフに大きな負荷がかかって火災事故にまで発展したというのであれば,それは4駆から2駆へ切り換えるシフトに不良があったか,もともとシフトの構造自体に問題があり,構造上相当の負荷のかかるフロントデフの強度に問題があったのであり,本件自動車自体に欠陥があったというほかない。 第3 当裁判所の判断 1 第1事件について(1) 原告の主張(1),(2)の事実は,前記争いのない事実,証拠(甲1,3,4,9,証人F)及び弁論の全趣旨によって,これが認められる。 (2) 被告Aは,本件火災事故は,原告が被告Aに販売した本件自動車のミッションのシフト不良の欠陥に起因するものであり,原告が行った修理は,その欠陥を修理しただけのものであるから,被告Aにはその修理代金を支払う義務がない旨を主張するが,後記被告Aの請求についての判断において認定のとおり,本件火災事故は,本件自動車の欠陥に起因するものとは認められないから,被告Aの上記主張はこれを採用することができない。 (3) 以上の事実によれば,被告Aに対し,本件自動車修理代金(レンタカー代及び消費税を含む)合計60万円及びこれに対する修理完了後であることが明らかな平成14年2月21日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める原告の第1事件請求は理由がある。 2 第2事件について(1) 本件火災事故発生に至る経緯等 21日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める原告の第1事件請求は理由がある。 2 第2事件について(1) 本件火災事故発生に至る経緯等前記争いのない事実,証拠(甲2,3,5の1~3,6の1・2,7~14,乙4の1・2,5の1・2,6,19,丙2の1~3,5,6,証人F,証人G,被告A本人)及び弁論の全趣旨を総合すると,次の事実が認められる。 ア被告Aは,平成7年7月ころ,原告(淡路営業所)から,B社製の本件自動車を購入した。 イ本件自動車は,坂道,山間,非舗装路,レジャー用に適する4輪駆動機能(4WD)と,平坦,高速走行,移動用に適する2輪駆動機能(2WD)との双方の機能を備えたフルタイム4WD車であり,原告が本件自動車引渡の際に被告Aに交付した本件自動車の取扱説明書には,「4WD車取り扱い上の注意」「タイヤ,ディスクホイールについて」として「4WD車は4つのタイヤに駆動力がかかるため,タイヤの状態が車の性能に大きく影響します。タイヤには細心の注意をしてください。」との記載があり,具体的な注意事項として・4輪とも指定のタイヤ,ディスクホイールを装着してください。 ・4輪とも同一サイズ,同一種類のタイヤ,ディスクホイールを装着してください。 タイヤ,ディスクホイールを交換するときは4輪とも交換してください。・タイヤのローテーションは10,000㎞ごとに行ってください。 タイヤ間に摩耗差があると車の性能が十分に発揮されません。 ・タイヤの空気圧は定期的に点検してください。 との記載がなされていた。 なお,その当時,他社から発売されていた4W 車の性能が十分に発揮されません。 ・タイヤの空気圧は定期的に点検してください。 との記載がなされていた。 なお,その当時,他社から発売されていた4WD車の取扱説明書にも,ほぼ同様のことが4WD車取り扱い上の注意として記載されていた。 ウ被告Aは,本件自動車購入以来これに乗用していたが,それまで特段の不具合はなかった。ところが,平成12年3月19日,被告Aが雨天のため本件自動車を4駆で運転していた際,被告Aにおいて2駆へのシフトを試みたにもかかわらず,4駆のギアが抜けず,2駆へのシフトができないというシフト不良が発生した。そこで,被告Aは,同月21日,本件自動車を購入した原告の淡路営業所にその修理を依頼した。 原告の淡路営業所では,本件自動車のトランスファーケース(エンジンの動力を前後車軸へ分配するギアのケース)内を点検し,その結果,スプリングの位置にずれが生じていたので,それを元に戻し,ギアを4駆から2駆に切り換えて修理を完了した。同修理を担当した淡路営業所の職員は,本件自動車の前後4本のタイヤに摩耗差があり,外径差が生じていたことから,これによってタイヤへの負担の比重に違いができ,シフト不良の故障を生じたものと考え,被告Aに対し,現在のタイヤの前後輪に外径差があること,この状態のままでは,2駆では走行できるが,4駆で走行を続けた場合には,また同じような状態(4駆から2駆へのギアシフトができない状態)になるので,4駆で走行するのであれば,タイヤを同一サイズに交換してから走行するように注意を促した。 エ被告Aは,上記修理後も,タイヤを交換することなく本件自動車を使用していたところ,その後も2~3回,走行中に4駆から2駆へのギアシフトがやりにくく てから走行するように注意を促した。 エ被告Aは,上記修理後も,タイヤを交換することなく本件自動車を使用していたところ,その後も2~3回,走行中に4駆から2駆へのギアシフトがやりにくくなったことがあった。被告Aは,上記シフト不良の原因は,本件自動車に原因があるものと考え,同年7月にJAあわじ島農機自動車センターに本件自動車の車検を依頼した際,担当者に本件自動車の4駆のギアが抜けないことがある旨を説明し,その点の点検も念のために依頼した。同依頼を受けたJAあわじ島農機自動車センターは,本件自動車を原告の淡路営業所に持ち込み,ギアシフト不良について説明し,点検を受けたが,その際には正常に作動し,異常は認められなかった。 オ運輸省自動車交通局は,平成12年12月25日,4輪駆動車(4WD)につき,自動車メーカーが指定した以外の方法でタイヤを装着すると,前・後輪の径が異なるために回転差が発生し,ギア内の過大な負荷により摩擦熱が増加して,走行中にギア内が加熱したままとなり,最悪の場合,発火又は走行不能となること,平成10年度及び11年度に各10件,今年度(平成12年4月~11月)においても8件の火災などが発生しているとして,タイヤ及びホイールの交換時の注意事項について,自動車ユーザーに対してホームページやポスターなどにより周知するとともに,自動車関連団体に対しても自動車ユーザー等への周知の協力依頼を行うこととした旨を発表し,これを受けた国土交通省は,同日,ホームページを開設して,その周知徹底を図った。 上記運輸省の発表及び国土交通省のホームページにおいて,タイヤ及びホイールの交換時の注意事項として掲げられたのは,次の6点であった。 ① 前・後輪それぞれに自動車メーカーが指定したサイズを使用 省の発表及び国土交通省のホームページにおいて,タイヤ及びホイールの交換時の注意事項として掲げられたのは,次の6点であった。 ① 前・後輪それぞれに自動車メーカーが指定したサイズを使用する。 ② タイヤのメーカー,銘柄,パターン(溝模様)を4輪とも同一にする。 ③ 摩耗差の著しいタイヤを混ぜて使用しない。 ④ タイヤの空気圧を指定空気圧に調整する。 ⑤ 応急用スペアタイヤは,自動車メーカーの指定した位置に装着する。 ⑥ 冬用タイヤを装着する時も①~④に注意する。 カ被告大洋とフランチャイズ契約を締結し,同被告を傘下におく株式会社Cは,上記運輸省の発表を受けて,4輪駆動車所有のユーザーからタイヤ交換を依頼された際には,4本を同時に交換する必要があるとの判断に達し,平成13年1月26日,その判断の当否をB社に対して照会したところ,同月31日,B社においても4本同時に交換していただくようお願いしているとの回答を得た。株式会社Cは,その際,併せて,摩耗差の著しいタイヤ(車両に影響を及ぼす摩耗差の基準)についてもB社に照会したところ,これについては,摩耗差の基準についての具体的数値は設定してないこと,取扱説明書では溝の深さが1.6㎜以下のウェアインジケーターが現れたらタイヤ交換を勧めているとの回答を得た。 また,被告大洋経営の「D徳島川内店」は,自動車整備の国土交通省四国陸運局認証工場の資格を有していることから,社団法人徳島県自動車整備振興会に加入しており,その上部団体である社団法人日本自動車整備振興会連絡会が毎月発行する「日整連ニュース」の配布を受けていたが,「日整連ニュース」平成13年3月号には,「4WDのタイヤの交換に気をつけましょう!」と り,その上部団体である社団法人日本自動車整備振興会連絡会が毎月発行する「日整連ニュース」の配布を受けていたが,「日整連ニュース」平成13年3月号には,「4WDのタイヤの交換に気をつけましょう!」との見出しのもとに,4WD車は,4つのタイヤに駆動力がかかるため,タイヤの状態が車の性能に大きく影響し,サイズ,種類,銘柄や摩耗度合の異なるタイヤを使用すると前後輪の駆動配分が不均等になり,ギア内のオイルが加熱するなどして,駆動系部品が故障するおそれがあることを指摘し,メーカー指定サイズ,同一種類,同一銘柄及び摩耗差のないタイヤを装着するよう,会員の業者らに対して注意喚起を促す記事が掲載されていた。 キ被告Aは,平成13年10月28日,被告大洋経営の「D徳島川内店」に立ち寄り,本件自動車の前輪のタイヤの交換を依頼した。これに応対した同店店員は,現在装着されているH社製のタイヤの在庫はないが,同種,同一サイズのE社製のタイヤの在庫があるとして,その装着を勧め,前輪2本のタイヤをE社製のタイヤに交換装着した。なお,その際,同店店員は,本件自動車のタイヤ4本全部の点検をしたが,後輪については,スリップ痕も出ておらず,まだ交換の必要はないとして,4本ともタイヤを交換することを被告Aに勧めるようなことはなかった。 ク被告Aは,平成13年11月4日,「日本犬保存会近畿連合展」に参加のため,本件自動車を運転して出かけた。途中,雨天であったため,被告Aは,北淡サービスエリアからスリップ防止のため,4駆で明石大橋を経て神戸料金所まで走行した。被告Aは,神戸料金所で4駆を抜いて2駆にシフトしようとしたが,できなかったため,4駆のままで阪神高速大阪料金所まで走行した。被告Aは,阪神高速大阪料金所において,本件自動車のボンネットを開け,点検 被告Aは,神戸料金所で4駆を抜いて2駆にシフトしようとしたが,できなかったため,4駆のままで阪神高速大阪料金所まで走行した。被告Aは,阪神高速大阪料金所において,本件自動車のボンネットを開け,点検したがシフト不良の原因はわからなかった。そのため,そのまま西名阪自動車道に入り,4駆のままで走行中,本件火災事故現場(大阪府藤井寺市ab丁目同自動車道下り5KP付近)に至った際,本件火災事故が発生したもので,被告Aは,後続車のクラクションの合図で,出火を知り,直ちに,避難場所に避難して,消火活動を行った。 ケ被告Aは,平成13年11月5日,原告の淡路営業所に対し,本件火災事故で焼損した本件自動車の修理を依頼するとともに,本件火災事故発生原因の調査を依頼した。 原告の淡路営業所では,本件火災事故発生原因の調査をB社に依頼し,これを受けたB社は,高槻テクニカルセンターにおいて,その調査を行った。その結果,B社は,本件火災事故は,本件自動車の前輪に指定外の異種・異径のタイヤが装着されていたこと(本件自動車の指定タイヤは215SR15のみであるのに,前輪には,E社製のタイヤが装着されていた。H社製の新品外径寸法は724㎜であるのに対し,E社製の新品外径寸法は728㎜であり,4㎜の外径差がある。)と後輪のタイヤの摩耗によりタイヤに大きな外径差が生じていたこと(B社の測定では,本件火災事故当時の本件自動車のタイヤの各外径は,前輪左725㎜,前輪右726㎜で前記新品寸法(728㎜)に比し,直径摩耗量は約2.5㎜にとどまるが,後輪は,スリップサインが出ており使用限界に近く,その外径は左710㎜,右709㎜で,前記新品寸法(724㎜)に比し,約14㎜もの直径摩耗量があり,そのため前輪と後輪との間には平均16㎜もの外径差があるとさ スリップサインが出ており使用限界に近く,その外径は左710㎜,右709㎜で,前記新品寸法(724㎜)に比し,約14㎜もの直径摩耗量があり,そのため前輪と後輪との間には平均16㎜もの外径差があるとされている。)及び前輪の高空気圧が原因となって,トランスファシフト(ギア切替装置)のシフト不良(4駆から2駆へのシフト不能)が生じ,このシフト不良が原因となり,フロントデフに大負荷がかかり,異常に発熱し,そのためエアベントプラグ(エアブリーザー)が欠損してオイルが飛散,引火して発生したものと結論した。 なお,B社においては,過去の同種火災発生事故例の統計及び実車による調査試験結果から,外径差の許容誤差範囲を1パーセント未満と設定しているとのことである。 コところで,B社の上記調査結果中の本件自動車の後輪の摩耗の程度に関しては,被告大洋で調査した結果(丙5)に照らすと,タイヤのトレッド(タイヤの接地面に刻まれた溝)の50パーセント深さの位置にあるプラットホームサインをスリップサインと見誤った可能性も否定できず,したがって,後輪については,スリップサインが出るまでに摩耗はしていなかった可能性もあり,また,そうとすると,後輪の外径についての測定値に関しても正確な測定であるのかにつき疑問なしとしない。しかし,仮にそうであったとしても,プラットホームサインは出ていたのであるから,少なくともトレッドの50パーセントは摩耗していたものであり,そうとすれば,上記調査結果において約14㎜とされる直径摩耗量の半分の7㎜を超える摩耗はあったと考えられるから,後輪の外径は左717㎜,右716㎜となり,前輪と後輪との間の外径差は左が8㎜,右が10㎜となり,いずれにしても,B社において外径差の許容誤差範囲として設定していた1パーセント未満 と考えられるから,後輪の外径は左717㎜,右716㎜となり,前輪と後輪との間の外径差は左が8㎜,右が10㎜となり,いずれにしても,B社において外径差の許容誤差範囲として設定していた1パーセント未満を超える外径差(前輪が後輪より大)があったものといえる。 (2) 本件火災事故についての原告及び被告大洋の責任ア原告の責任(ア) 被告Aは,本件自動車がシフト不良の欠陥を有していたか,あるいは本件自動車を含むB社製の同種の4輪駆動車一般がシフト不良の欠陥を有していたとして,本件火災事故は,そのような欠陥車を被告Aに納入し,その後の修理も行わずにこれを放置した原告の過失によって発生したものと主張する。 しかしながら,証拠(甲5の1~3,10,証人F)及び弁論の全趣旨によれば,4輪駆動車(4WD車)は,4つのタイヤに駆動力がかかるため,タイヤに摩耗差や異なる種類のタイヤを装着すること等によって,タイヤに外径差が生じ,タイヤに回転差が生じると,ギア内に過大な負荷がかかり,シフト不良が生じるといった故障が発生し,あるいは,ギア内が異常に加熱し,最悪の場合には発火に至ることが認められるところ,前記(1)で認定の事実によれば,本件火災事故発生日前及び本件火災事故発生当日に本件自動車にみられたシフト不良も,前記4輪駆動車の特性から,タイヤに外径差があったことによって生じた故障であったものと認めるのが相当であり,これらが,本件自動車の欠陥に起因するものであることを認めるに足りる確たる証拠はない。 また,被告Aは,B社製の本件自動車の4駆システムは他のメーカーと異なる独自の機構であり,これが,シフト不良の欠陥をもたらしているかのようにも主張するが,この点を具体的に裏付けるに足り また,被告Aは,B社製の本件自動車の4駆システムは他のメーカーと異なる独自の機構であり,これが,シフト不良の欠陥をもたらしているかのようにも主張するが,この点を具体的に裏付けるに足りる証拠はなく,採用することはできない。 したがって,本件自動車に欠陥(シフト不良)があることを前提に,欠陥のある本件自動車を納入し,その後の修理も行わずに放置した過失によって,本件火災事故が発生したとの被告Aの主張は,これを認めることができない。 (イ) 被告Aは,原告の説明義務違反を主張するのに対し,原告はこれを尽くしている旨反論するところ,確かに,本件自動車の取扱説明書にはタイヤの交換について具体的な指示,指定がなされていること,原告の淡路営業所は,平成12年3月21日,本件自動車のシフト不良の故障の修理を被告Aから依頼されて行ったが,その際,同シフト不良が,摩耗によるタイヤの外径差によって生じたと推測されたことから,その旨を被告Aに伝えるとともに,4駆で走行を続けた場合には,また同じような状態(4駆から2駆へのギアシフトができない状態)になるので,4駆で走行するのであれば,タイヤを同一サイズに交換してから走行するように注意を促したことは前記(1)のとおりである。 しかし,そのいずれについても,タイヤの状態が車の性能に大きく影響し,その性能が十分発揮されないとか,シフト不良の故障が生じるといった説明にとどまり,火災事故が発生するおそれがあるといった説明まではなされていないこと,最悪の場合には火災事故が発生することもあることに関しては,平成10年ころからその発生が報告されており,平成12年12月には,運輸省や国土交通省においても,これを重視し,自動車ユーザーに対しインターネットやポ には火災事故が発生することもあることに関しては,平成10年ころからその発生が報告されており,平成12年12月には,運輸省や国土交通省においても,これを重視し,自動車ユーザーに対しインターネットやポスターで周知を図るともに,自動車関連団体に対しても自動車ユーザー等への周知の協力を行うこととして,これを発表したことからすれば,B社製の自動車の販売及び修理等を業とする原告には,被告Aを始めとするユーザーに対し,メーカーの指定した以外の方法でタイヤを装着すると,単に車の性能が十分発揮されないとか,シフト不良の故障が発生するというだけではなく,最悪の場合には火災の発生に至ることもあることを伝え,メーカーの指定した方法でタイヤを装着する必要があることを周知徹底させる義務があったというべきである。そして,これが尽くされていれば,タイヤ交換の際,B社の指定どおりに交換がなされ,本件火災事故の発生が回避されていた可能性は高かったものと認められる。 そうとすれば,本件火災事故の発生と原告の上記説明義務違反との間には相当因果関係があるものと認められるから,原告は,民法709条あるいは民法715条に基づき,被告Aが本件火災事故によって被った損害を賠償する責任があるというべきである。 イ被告大洋の責任被告大洋は,自動車タイヤの販売,交換等を業務とする会社であるから,4輪駆動車の火災発生に関し,運輸省や国土交通省がホームページ等を通じてユーザーへの警告をすることとし,自動車関連団体へもユーザーへの周知のために協力依頼をすることとしたこと及びその内容は容易に知り得るところであったと認められるし,現に,株式会社Cは,これを受けて,平成13年1月ころには,4輪駆動車についてタイヤ交換を依頼された際には4本を同時 依頼をすることとしたこと及びその内容は容易に知り得るところであったと認められるし,現に,株式会社Cは,これを受けて,平成13年1月ころには,4輪駆動車についてタイヤ交換を依頼された際には4本を同時に交換する必要があるとの判断に達していたものであり,当然,フランチャイズ契約によりその傘下にある被告大洋に対しても,その旨の指示を行っていたものと推測される。また,被告大洋は,その配布を受けていた社団法人日本自動車整備振興会連絡会発行の「日整連ニュース」平成13年3月号によっても,4輪駆動車にあってはメーカーの指定に従ってタイヤを装着する必要があることを認識し得たはずであったものである。 そうとすれば,被告大洋の「D徳島川内店」にあっては,被告Aから,本件自動車のタイヤ交換を依頼された際,メーカーであるB社の指定する方法でタイヤ交換を行うべく,メーカーの指定外のタイヤの装着をすべきではないのに,指定外のタイヤを装着し,また,4本同時にその交換を行うべきで,少なくともその旨を説明すべき義務があったと認められるのに,その説明をまったく行わなかったばかりか,かえって,後輪はまだ摩耗しておらず,交換の必要はないとして,前輪2本のタイヤのみを交換したものである。そして,それら被告大洋「D徳島川内店」の過失がなく,タイヤ交換について適切な説明がなされていれば,前輪だけタイヤを交換し,しかも,それがメーカーの指定外のタイヤであったというような事態は回避され,したがってまた本件火災事故の発生もまた回避されていた可能性は高いものと認められる。そうとすれば,被告大洋の前記過失と本件火災事故の発生との間には相当因果関係が認められるから,被告大洋は,民法709条あるいは民法715条に基づき,被告Aが本件火災事故によって被った損害を賠償すべき責任が れば,被告大洋の前記過失と本件火災事故の発生との間には相当因果関係が認められるから,被告大洋は,民法709条あるいは民法715条に基づき,被告Aが本件火災事故によって被った損害を賠償すべき責任があるというべきである。 ウ以上のとおりで,本件火災事故は,原告及び被告大洋(もしくはそれぞれその従業員)の前記各過失が競合してこれが発生したものと認められるから,原告及び被告大洋は,被告Aに対し,連帯してその責任を負うものと認められる。 (3) 被告Aの損害について被告Aが本件火災事故によって被った損害につき,以下,検討する。 アレッカー代 2万3500円証拠(乙19,被告A本人)及び弁論の全趣旨によれば,被告Aは,本件火災事故後,本件自動車を移動させるため,レッカー車による牽引を依頼し,その費用として2万3500円を要したことが認められる。 イ本件自動車修理代金及び代車料 75万円(ア) 本件火災事故によって焼損した本件自動車につき,原告が行った修理の代金額(レンタカー代及び消費税を含む)が60万円であることは前記第1事件において認定したとおりである。 (イ) 被告Aは,原告以外の他からも自動車を賃借したと主張して,さらに68万9000円の代車料を損害と主張するところ,証拠(甲1,4,9,証人F)及び弁論の全趣旨によれば,上記60万円中に含まれるレンタカー代は,平成13年11月5日から同年12月17日までの43日間に被告Aが代車として借用したレンタカー代であるところ,本件自動車の修理に要した期間は,平成13年11月5日から平成14年1月11日までであったことが認められるから(修理後の本件自動車の の43日間に被告Aが代車として借用したレンタカー代であるところ,本件自動車の修理に要した期間は,平成13年11月5日から平成14年1月11日までであったことが認められるから(修理後の本件自動車の被告Aに対する引渡が平成14年2月14日になったのは,その間,被告Aがその引取を拒んでいたためであるから(甲9),その間の代車料は,本件火災事故と相当因果関係のある損害とは認められない。),上記以外の代車料としては,平成13年12月18日から平成14年1月11日までの25日間につき1日当たり6000円として15万円を認めるのが相当である。 (ウ) したがって,本件自動車修理代金及び代車料の合計額は75万円となる。 ウ本件自動車売却損被告Aは,本件自動車は,本件火災事故がなければ少なくとも129万円で売却できたはずであるのに,67万円でしか売却できなかったとして,差額62万円を売却損と主張し,これを裏付けるものとして乙18の1・2(中古車情報誌・グー 2002年2月10日号)を提出する。 しかし,本件自動車の財団法人日本自動車査定協会による査定額は50万9000円であること(甲15)に照らすと,その売却額67万円は妥当なものであったと認められる。また,被告A提出の乙17によっても,本件自動車の売却代金が本件火災事故によって特に減額させられたものとも認められない。 したがって,被告A主張のような売却損の発生はこれを認めることができない。 エ慰謝料被告Aは,本件火災事故に対する原告及び被告大洋の不当な主張と不誠実な対応によって,無用の心労と精神的苦痛を与えられたと主張するが,原告及び被告大洋の対応に特に不当・違法なものがあったとは 被告Aは,本件火災事故に対する原告及び被告大洋の不当な主張と不誠実な対応によって,無用の心労と精神的苦痛を与えられたと主張するが,原告及び被告大洋の対応に特に不当・違法なものがあったとは認められず,その他,慰謝料を認めなければならないほどの精神的苦痛が被告Aにあったものとは認められない。 オ過失相殺前記認定のとおり,本件火災事故は,原告及び被告大洋の過失が競合して発生したものと認められるが,他方,本件自動車の所有者である被告Aにおいても,取扱説明書に従ったタイヤの交換を行うべきであったのにこれを行わず,また,平成12年3月21日にシフト不良の修理を受けた際には,原告(淡路営業所)の職員から,前後輪のタイヤの摩耗差による外径差が生じていることがシフト不良の原因であること及び4駆で走行するには外径差のない同一サイズのタイヤに交換が必要であることを告げられていたにもかかわらず,これに従ったタイヤ交換を行わなかったものであり,かつ,それら被告Aの過失も本件火災事故発生の原因となっていることは明らかであるので,この点の被告Aの過失を斟酌すると,その賠償額の算定にあたっては,5割の過失相殺をするのが相当である。 そうすると,前記損害額合計77万3500円につき,5割の過失相殺をした後の損害額は,38万6750円となる。 カ弁護士費用 5万円本件火災事故と相当因果関係のある弁護士費用は,5万円と認めるのが相当である。 キ以上合計 43万6750円(4) 以上によれば,被告Aの原告及び被告大洋に対する第2事件請求は,43万6750円及び弁護士費用を除いた内金38万6750円に対す キ以上合計 43万6750円(4) 以上によれば,被告Aの原告及び被告大洋に対する第2事件請求は,43万6750円及び弁護士費用を除いた内金38万6750円に対する各訴状送達の日の翌日(原告については平成14年8月29日,被告大洋については同月30日)から各支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由がある。 3 結論よって,原告の第1事件請求はこれを認容し,被告Aの第2事件請求は前記の限度でこれを認容することとして,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所第4民事部裁判官上田昭典
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