主文 1 1審原告の本件控訴に基づき,原判決を次のとおり変更する。 (1) 1審被告は,1審原告に対し,金3億6960万1255円及び内金1億0847万9793円に対する平成8年11月14日から,内金2億6112万1462円に対する平成9年11月11日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 1審原告のその余の請求を棄却する。 2 1審被告の本件控訴を棄却する。 3 訴訟費用は,第1,2審を通じ,これを5分し,その4を1審原告の,その余を1審被告の各負担とする。 4 この判決は,第1項(1)に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 当事者が求めた裁判 1 1審原告(1) 原判決を次のとおり変更する。 1審被告は,1審原告に対し,19億1509万7394円及び内金13億0697万1134円に対する平成8年11月14日から,内金2億6165万4722円に対する平成9年11月11日から,内金3億4647万1538円に対する平成15年10月1日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 1審被告の本件控訴を棄却する。 2 1審被告(1) 原判決中1審被告敗訴部分を取り消す。 (2) 1審原告の請求を棄却する。 (3) 1審原告の本件控訴を棄却する。 第2 事案の概要 1 本件は,1審原告と1審被告(ただし,本件訴訟の提起当時の被告はa町のみであったが,平成15年4月1日付けでb町及びc町と合併して現在の1審被告となった。)とが1審被告所有地(d干拓地。以下「本件干拓地」という。)への土砂の搬入に関する契約を締結したところ,1審被告の債務不履行によって土砂の搬入ができず,損害を被ったと主張する1審原告が, となった。)とが1審被告所有地(d干拓地。以下「本件干拓地」という。)への土砂の搬入に関する契約を締結したところ,1審被告の債務不履行によって土砂の搬入ができず,損害を被ったと主張する1審原告が,1審被告に対し,損害賠償請求をした事案である(なお,1審原告は,原審において,総損害額を21億3017万9134円と主張し,その一部である18億6453万5133円の支払を求めていたが,当審において,総損害額を19億1509万7394円と主張し,同額の支払を求めてその請求を拡張した。)。 その余の事案の概要は,原判決「事実及び理由」の「第2 事案の概要」欄に記載のとおりであるから,これを引用する(ただし,原判決15頁3行目の「主張が」を「主張するが」に,16頁7行目の「⑳損益相殺に主張について」を「⑳損益相殺の主張について」に,18頁末行の「である」を「である。」にそれぞれ改める。また,1審原告は,当審において請求を拡張しており,損害額に関する主張で,当審において変更された部分は引用しない。)。 原審は,1審被告の債務不履行を認め,1審原告の請求の一部(請求額18億6453万5133円,認容額1億0951万9912円)を認容した。 これを不服として双方から提起されたのが,本件控訴事件である。 2 当審における争点は,原審とほぼ同様であって,次のとおりである。 (1) 1審被告の債務不履行の有無ア本件契約の成立時期イ本件契約における1審被告の義務ウ搬入開始時期の遅延の有無エ搬入開始時期遅延についての1審被告の帰責性の有無(2) 1審原告の損害の有無及びその額 3 当審における当事者の主張(1審原告)(1) 争点(1)についてア 1審被告に,その不履行により損害賠償義務を 審被告の帰責性の有無(2) 1審原告の損害の有無及びその額 3 当審における当事者の主張(1審原告)(1) 争点(1)についてア 1審被告に,その不履行により損害賠償義務を発生させる法的な搬入土砂の受入義務があることは明らかである。 すなわち,本件契約の履行のためには,①膨大な量の公共残土の確保,②土質の適合性を確保するための中間処理事業の免許取得とリサイクル・プラントの設置,③土質の適合性チェックのための視察の受入れ,④1審被告の要請による1審原告の結成,⑤ポンツーン(陸揚施設)整備費,保証金及び追加工事費など多額の出費,⑥ポンツーンの設置,⑦1審被告に対する土地利用料の支払約束,などの準備が必要であり,1審原告は,相当な時間と費用を費やさなければならないのである。このような契約において,1審被告に本件干拓地への土砂搬入受入れの履行を強制できないとすれば,1審原告に極めて過酷な負担を課すことになるのは明白であり,1審被告もこれを承知していたものである。 イ搬入開始時期について,1審原告と1審被告とは平成4年度と合意しており,したがって,1審被告の債務不履行は平成5年4月1日に始まったことになる。 すなわち,搬入開始時期について,1審原告と1審被告は,すでに平成4年11月時点で,平成4年度とすることに合意していた。本件契約書(甲1)が作成されたのは平成6年6月15日であるが,同書面の作成日付が平成4年12月25日とされているのも,その時点で本件契約の主要部分が成立していたからである。本件契約書の作成が遅れたのは,1審被告が本件契約書の草案作成に手間取ったこととポンツーンの所有権の帰属をめぐって争いがあったことによる。1審被告は,他の搬入業者との契約について平成4年12月25日に成立した の作成が遅れたのは,1審被告が本件契約書の草案作成に手間取ったこととポンツーンの所有権の帰属をめぐって争いがあったことによる。1審被告は,他の搬入業者との契約について平成4年12月25日に成立したことを認めているが,その契約書も実際には平成5年9月28日と契約成立よりのちに作成されている。そして,1審原告は,搬入開始時期が平成4年度であることを前提として,保証金等1億円もの支払をし,その使途の変更にも応じているのである。また,1審被告は,書面をもって,度々1審原告に土砂搬入の延期を要請しているが,それも,搬入開始時期が平成4年度と合意されていたからこそされたものである。このように搬入開始時期を平成4年度とすることは,平成4年12月25日に合意が成立していたのであるから,本件契約書の記載の意思解釈も平成4年12月25日を基準にされるべきであって,本件契約書が実際に作成された平成6年6月15日を基準にすべきではない。 1審被告は,本件契約書記載の搬入開始時期(平成4年度)は一応の目安にすぎないと主張する。 しかし,1審原告は,平成4年度の搬入開始に向けて,公共残土の確保,保証金,ポンツーン設置のための費用の納入等の準備を行い,実際にも平成4年11月には1審被告から1審原告ら搬入業者に対し土砂受入れが受諾され,平成5年3月にはポンツーンが建造され,同年6月には完成するなど,平成5年3月ころの土砂搬入開始に向けて準備が整えられていたのである。このようなことからすれば,平成4年度という搬入開始時期は一応の目安などであるはずがなく,一般の契約同様,当事者を拘束する法的効力を有するものであるといわざるを得ない。 ウ 1審原告は,1審被告に対し,搬入土砂受入義務の履行を猶予したことはない。 本件契約書(甲1),1審被告と他の搬 様,当事者を拘束する法的効力を有するものであるといわざるを得ない。 ウ 1審原告は,1審被告に対し,搬入土砂受入義務の履行を猶予したことはない。 本件契約書(甲1),1審被告と他の搬入業者との契約書のいずれも,Aの撤退表明後に作成されているが,いずれも搬入開始時期は平成4年度とされている。すなわち,Aの撤退によって,搬入開始時期の変更合意をしたことはないし,実際にもAの撤退は,搬入開始時期に影響を与えるものではなかったから,搬入開始時期延期の理由にはならない。 1審被告は,1審原告に対し,平成5年9月28日付け文書をもって,搬入時期の延期の要請をしているが,同文書は,無期限に延期を求めるものではないし,また,1審原告がこれを承諾したことはない。1審原告は,当時いつでも土砂搬入を開始できるよう準備していたが,搬入開始が多少遅れても土砂の搬入が実現できるのであれば,1審被告に対して法的責任を追及するまでのことはないと考えて,事実上土砂の搬入を差し控えることにしたにすぎないのであって,搬入開始時期延期の合意などはしていない。 1審原告は,平成6年3月26日に開催された土砂搬入会議においても,地元住民の同意が得られるまで搬入開始時期を延期することに同意などしていない。同会議において「土砂の搬入は,防塵対策等周辺の対策完了後とする」とされているのは,土砂搬入前に防塵対策等の周辺対策が立案されていなければならないことを確認した趣旨にすぎない。 エ 1審被告の債務不履行(ア) 1審被告は,本件契約に定める搬入開始時期に搬入土砂受入義務を履行しなかったのであるから,1審被告の債務不履行は明らかである。 (イ) 1審被告は,本件干拓地への土砂搬入について,地元住民らの同意取付け義務が1審原告に課され 始時期に搬入土砂受入義務を履行しなかったのであるから,1審被告の債務不履行は明らかである。 (イ) 1審被告は,本件干拓地への土砂搬入について,地元住民らの同意取付け義務が1審原告に課されており,これが履行されない限り,本件干拓地への土砂搬入を受け入れることはできないから,履行遅滞の責を負わないと主張する。 しかし,本件契約上,地元住民らの同意取付け義務については何らの規定もなく,したがって,1審原告,1審被告のいずれにも課されていない。1審被告は,地元住民らの同意について,法律上の義務はなく,行政の立場として,地元住民らを尊重する意味において,同意が必要であるとしている。実際にも,1審被告は,平成6年7月27日,地元住民らの同意のないまま,1審原告ら搬入業者に搬入開始を指示し,同年8月1日,B,Cの共同体に土砂搬入を行わせている。このように1審被告の行政責任はともかく,本件契約上は同意取付け義務は規定されておらず,1審被告は,地元住民らの同意の有無にかかわらず,平成4年度に履行する義務があったというべきである。 (ウ) 仮に本件契約上同意取付け義務が認められるとしても,同義務は1審被告に課されていたものである。 aマリンリゾート構想,A撤退後のジョイフルアイランド構想を通じて,1審被告は,これらの事業主体であった。また,本件干拓地への埋立事業については,Aの撤退の前後を通じて内容に変更はなく,その事業主体は継続して1審被告であった。このように1審被告が事業主体である以上,地元住民らの同意取付け義務が1審被告に課されるのは当然である。 1審被告は,本件契約9条をもって,1審原告に地元住民らの同意取付け義務があると主張するが,同条は,土砂の搬入業者としての1審原告に,土質や搬入作業等 審被告に課されるのは当然である。 1審被告は,本件契約9条をもって,1審原告に地元住民らの同意取付け義務があると主張するが,同条は,土砂の搬入業者としての1審原告に,土質や搬入作業等の安全対策等を説明して1審被告に協力することを規定しているにすぎず,事業内容を始め工事の施工に至るまでの説明は1審被告がすべきものである。 (エ) 1審被告は,地元住民らの同意が得られなかったのは,Aの撤退という予想外の事態により事業内容が急変したこと,地元住民らの搬入土砂の安全性に対する根強い不安に対し1審原告が説明義務を尽くさなかったことが原因であるとして,1審被告には帰責性がないと主張するが,次のとおりいずれも理由がない。 少なくとも,本件干拓地への埋立事業に限れば,事業主体は一貫して1審被告であり,事業内容にも変更はなかった。また,地元住民らは,ジョイフルアイランド構想についての事業説明を強く希望していた。ところが,平成6年4月30日,同年5月1日に開催された地元住民に対する説明会において,1審被告が,地元住民らにジョイフルアイランド構想の事業説明を行うことなく,1審原告ら搬入業者に工事説明を行わせようとしたため,地元住民らから「事業内容も分からないまま,搬入業者が工事説明に出てくるような段階ではない」と追い返され,また,地元住民の1審被告に対する反発は強まった。同年7月26日に開催された説明会においても,1審被告の前町長が土砂搬入には地元住民の同意は不要であるなどと強弁した。さらに,1審被告は,同年8月1日,地元住民の同意がないまま,土砂の搬入を強行した。こうしたことから地元住民らの1審被告に対する反発は高まるばかりで,1審被告に対する信頼も失われていった。そのため,平成7年2月16日,18日,19日に開催され 意がないまま,土砂の搬入を強行した。こうしたことから地元住民らの1審被告に対する反発は高まるばかりで,1審被告に対する信頼も失われていった。そのため,平成7年2月16日,18日,19日に開催された説明会においても,事業主体である1審被告からの事業説明もないのに,工事説明を受ける段階ではないと,集まった地元住民は1審原告ら搬入業者の説明を聞くまでもなく帰ってしまった。このような地元説明会の経過からすれば,1審被告の帰責性は明らかである。 (オ) 1審被告は,本件契約が継続的取引契約であると主張する。 しかし,本件契約は,1回的な契約であり,1回的な債権債務が分割して給付されるというにすぎず,基本契約と個別契約とに規律される継続的取引契約とは性質を異にしている。したがって,本件契約には,継続的取引契約をめぐる法理論は妥当せず,本件契約が継続的取引契約であることを前提とする1審被告の主張はいずれも失当である。 (2) 争点(2)についてア 1審原告が1審被告の債務不履行により被った損害額の内訳は次のとおりであり,その根拠は次項以下のとおりである。 ① 逸失利益 11億0200万0000円② 支払済み契約保証金等 1億0951万9912円③ 土砂移転費用 4545万1222円④ 搬入土砂整地費用等 6億0812万6260円⑤ 一般経費 5000万円イ逸失利益本件契約上,1審原告の土砂の搬入量は「概ね350万立方メートルの3分の1」とされている。本件契約は,本件干拓地の埋立てを目的とするものであるから,1審原告の土砂の搬入量が350万立方メートルの3分の1に達するか否かにかかわらず,本件干拓地の埋 万立方メートルの3分の1」とされている。本件契約は,本件干拓地の埋立てを目的とするものであるから,1審原告の土砂の搬入量が350万立方メートルの3分の1に達するか否かにかかわらず,本件干拓地の埋立てが完了した時点で,土砂の搬入は終了することになり,土砂の搬入量は厳格に特定されていたわけではない。しかし,「概ね」という表現は,本件契約の性質上不可避であったし,また,350万立方メートルは本件埋立て完了に必要な土砂の量として認識されていたのであって,1審原告もその3分の1を目途に準備をし,土砂を搬入することになっていたのであるから,原審のように土砂の搬入量が確定していないからといって,搬入量がゼロの場合と同様に損害を認めないというのは,あまりに過酷で非常識である。本件においては,1審被告の債務不履行により1審原告に損害が発生したことは明らかであるが,本件契約の性質上,損害額を確定することが困難であり,民事訴訟法248条が適用されるべき事案である。同条は,損害の性質によっては,損害が発生したことが確実であるのに,損害額算定の根拠となる具体的事実を立証することが困難である場合に,被害者が損害の填補を受けられないとすれば,衡平の理念に著しく反することから,裁判所が相当な損害額を認定できる旨規定している。同条の趣旨に従えば,350万立方メートルの3分の1である116万立方メートルを基礎にして損害額が認定されるのが相当というべきである。 そして,1審原告は,公共残土1立方メートルを処分するにつき,Dから2400円を受け取る一方,運送費用等で合計1450円(De町保管場所からe港運送費用250円,e港からa町港海運費用800円,a町港から本件干拓地荷役費用300円,土地使用料100円)の費用を要するため,1審原告の公共残土1立方メートル当 450円(De町保管場所からe港運送費用250円,e港からa町港海運費用800円,a町港から本件干拓地荷役費用300円,土地使用料100円)の費用を要するため,1審原告の公共残土1立方メートル当たりの純利益は950円となるから,逸失利益は11億0200万円(950円×116万立方メートル)となる。 ウ支払済み契約保証金等1審原告は,平成4年12月15日,本件契約の保証金として,1審被告に対して1億円を支払い,その他施設工事費等として,平成5年10月19日以降E株式会社に対して663万6633円,平成7年11月28日F株式会社に対して288万3279円をそれぞれ支払い,合計1億0951万9912円を支出した。 エ土砂移転費用1審被告は,1審原告に対し,平成4年4月ころから公共残土の収集を依頼していたため,1審原告は,Dに対し,公共残土の収集を依頼し,Dは,兵庫県加古川土木事務所の発注により公共残土を収集し,高砂市の所有するe町の仮置場を無償で借り受け,同仮置場に平成4年度は4万1400立方メートル,平成5年度は2万5890立方メートルの合計6万7290立方メートルの公共残土を保管していた。ところが,1審被告は1審原告が本件干拓地への土砂の搬入を認めなかったため,高砂市は,Dに対し,同仮置場で保管していた土砂を移転し,同仮置場を明け渡すよう求めた。このため,Dは,平成5年8月,上記土砂の移転作業を行い,移転及び整地などの費用として,4545万1222円を支出したが,この費用を1審原告が負担することになっているため,1審原告は同額の損失を被った。 オ搬入土砂整地費用等(ア) 1審原告から公共残土の収集を依頼されたDは,公共残土を収集し,自社の残土保管所に搬入して保管していたところ,1審 ため,1審原告は同額の損失を被った。 オ搬入土砂整地費用等(ア) 1審原告から公共残土の収集を依頼されたDは,公共残土を収集し,自社の残土保管所に搬入して保管していたところ,1審被告が本件契約を履行しないため,公共残土を搬出することができず,堆積していったため,残土保管所のある高砂市から整地等を行うよう法令に基づいた行政指導があり,Dは,堆積する公共残土の整地等を余儀なくされた。 (イ) Dは,兵庫県の自治体から公共残土を受け入れ始めた平成元年3月から平成5年6月30日の1審被告によるポンツーン(陸揚施設)の完成日までの52か月間に18万2532立方メートル,平成5年7月1日から平成9年3月31日(1審原告は,平成8年11月に本件契約を解除したが,その時点で同年度末である平成9年3月31日までの公共残土受入れを兵庫県の自治体と合意していたため,この期間内に収集した残土は本件契約の期間内に収集されたものとみなす。)までの45か月間に60万1120立方メートルの合計78万3652立方メートル(以下「本件契約残土」という。)を収集した。Dは,平成7年2月から平成14年5月末日までの88か月間をかけて本件契約残土を搬出処分した。 (ウ) Dが,これらの公共残土の整地等,本件契約残土の搬出処分等に要した費用は,別紙損害計算書のとおり24億8889万1060円であるところ,Dは,公共残土の処分費用として自治体から1立方メートル当たり2700円,すなわち本件契約残土を受け入れたことにより21億1586万0400円を受領したから,前記費用等の損害額は,この差額である3億7303万0660円となる。 また,Dは,1審原告との間で,本件契約残土の処分費として1立方メートル当たり2400円を1審原告に対して支払 ら,前記費用等の損害額は,この差額である3億7303万0660円となる。 また,Dは,1審原告との間で,本件契約残土の処分費として1立方メートル当たり2400円を1審原告に対して支払う旨の合意をしていたから,本件契約残土の処分により1立方メートル当たり300円(2700円-2400円)の利益を得ることができたにも関わらず,1審被告の債務不履行により,これを得ることができなくなった。その額は,2億3509万5600円である(300円×78万3652立方メートル)。なお,Dが残土収集のためにすべき作業は,計量とふるいであるが,これに要する費用は極めて微々たるもので算定不可能で,経済的合理性からすれば無視されるものである。 Dが被った前記合計6億0812万6260円は,1審原告がDに対して賠償すべき義務のあるものであり,最終的に1審原告の損害となる。 (エ) 1審被告は,Dに生じた損害は,特別損害であると主張する。 しかし,当初,本件土砂搬入は,Dが単独で行う予定であり,1審被告の要請に応じて平成元年3月から本件干拓地用の公共残土の収集を開始し,1審被告町長,助役,町議会議長らは,平成2年以降平成5年ころまで,1審原告設立後も多数回にわたってDのリサイクル・プラント,土砂置場及び搬入土砂調達先の視察に訪れた。これらの事情から,Dが本件干拓地用の公共残土を収集していた事実を1審被告が認識していたことは明らかであるから,1審原告がDから逸失利益の損害賠償請求を受けていることは,1審被告と1審原告との間においても,債務不履行により通常発生する損害に当たる。仮に特別損害であるとしても,前記のとおり1審被告に予見可能性があったことは明らかであるから,1審被告には賠償する義務がある。 (オ) 1審被 も,債務不履行により通常発生する損害に当たる。仮に特別損害であるとしても,前記のとおり1審被告に予見可能性があったことは明らかであるから,1審被告には賠償する義務がある。 (オ) 1審被告は,前記18万2532立方メートルの搬入土砂の整地費用は債務不履行がなくとも発生したと主張する。 しかし,1審被告が本件契約どおり土砂搬入を受け入れていれば,本件干拓地へは,1か月平均10万立方メートルの搬入が可能であったのであるから,前記搬入土砂であれば,1か月もあればすべて搬入可能であった。この間に追加で土砂が収集されたとしても,その土砂はDの中間処理場に仮置きされることなしに順次e港から直接搬出されることになっていたから,中間処理場に土砂が堆積することはなかった。すなわち,1審被告の債務不履行がなければ,整地費用は不要であったことは明らかである。 (カ) 1審被告は,1審原告には,適宜残土を処分し,また,Dに残土の収集を中止させるなどして,損害の発生をくい止める義務(損害軽減義務)があると主張する。 しかし,1審原告は,1審被告から,繰り返し熱心に早期に搬入が実現できることを通知され,あわせて土砂の確保を求められたために,土砂の搬入に備え,土砂を処分することもできなかったし,Dに土砂の収集の中止を求めることもできなかったのであるから,1審被告の主張は認められない。 (キ) 1審被告は,Dが収集した公共残土の土質について,本件契約の受入基準を満たしているかどうか,すなわち,本件干拓地への搬入が可能かどうかが不明であると主張する。 しかし,1審原告は,1審被告による土質の視察を何度も受け入れ,また,自主的にサンプル検査して,その結果に問題のないことを1審被告に報告したこともある。さらに 不明であると主張する。 しかし,1審原告は,1審被告による土質の視察を何度も受け入れ,また,自主的にサンプル検査して,その結果に問題のないことを1審被告に報告したこともある。さらに1審被告の職員が高砂市の仮置場から搬入土砂のサンプルを持ち帰り土質検査をしている。こうした過程で1審被告から土質に問題がある旨の指摘を受けたことはなく,1審原告が収集した土砂の土質は搬入可能なものであって,このことは1審被告の議会も認めていた。 また,そもそも,本件契約上,土質のサンプル検査は,積出港(具体的には,土砂の仮置場のあった高砂市のe港である。)において,土砂搬入のため積み出す際と定められていたところ,1審被告の債務不履行により,土砂の搬入ができず,したがって積出しもできなかったことから,本件契約に基づくサンプル検査は実施されなかったが,それは1審被告の債務不履行の結果であるから,1審被告は,土質のサンプル検査が実施されていないとの理由で土砂搬入ができないと主張することは信義則上許されないというべきである。 カ一般経費1審原告は,本件契約の履行のため5000万円の経費を支出した。 キ 1審被告は,1審原告が本件干拓地に土砂を搬入するのに,1450円/m3のほか,392円/m3の経費を要するとして1審原告の逸失利益の主張を否認するが,これに対する認否・反論は次のとおりである。 (ア) 管理業者への管理業務委託料58円/m3,縦排水井戸管理費用7. 04円/m3(別紙内訳表⑦),周辺建物現況調査費用1.40円/m3(同⑬),周辺井戸調査費用0.14円/m3(同⑭)の経費が必要であることは認める。 (イ) 土質管理(同③),品質管理(同④),盛土管理(同⑤),動態観測(同⑥),f谷補償(同⑪) 円/m3(同⑬),周辺井戸調査費用0.14円/m3(同⑭)の経費が必要であることは認める。 (イ) 土質管理(同③),品質管理(同④),盛土管理(同⑤),動態観測(同⑥),f谷補償(同⑪),G氏への補償(同⑫),現場事務所費(同ア),周辺建物事後調査(同イ),周辺井戸事後調査(同ウ),法面管理(同カ),雑草・木・竹除去費(同ク),海面使用料(同セ)は否認する。その理由は次のとおりである。 ① 土質管理について搬入土砂については,官々の協定に基づき土砂を引き渡す側の自治体が土質試験や化学分析を行うのであって,1審原告が土質管理について行うのは,同結果について確認するだけのためであり,その費用は無視できる程度のわずかなものにすぎず,Dが手元に残す300円/m3に含まれているというべきである。 ② 品質管理,盛土管理,動態観測についてこれらは,管理業務委託料58円/m3に含まれるものであって,それ以外には発生しない。 ③ f谷補償についてf谷地区は,aマリンリゾート構想の対象地区内であったが,ジョイフルアイランド構想への変更後対象地区でなくなり,地元住民自ら埋立てを完了し,1審被告は住民に何ら補償を行っていない。 ④ G氏への補償についてG氏への補償は,1審原告が了解しないまま1審被告より支払われたものである以上,1審被告が負担すべきである。 ⑤ 現場事務所費について1審原告は,1審被告との間で共同事業体が現場事務所を設置することに合意したことはなく,搬入業者が個々に必要に応じて設置すべきものである。1審原告についていえば,有限会社H(以下「H」という。)にa町港から本件干拓地荷役の作業を依頼していたから,同社が することに合意したことはなく,搬入業者が個々に必要に応じて設置すべきものである。1審原告についていえば,有限会社H(以下「H」という。)にa町港から本件干拓地荷役の作業を依頼していたから,同社が現場事務所を設置すれば十分であり,その費用は1審原告がHに仮設事務所費として支払う300円/m3に含まれている。 搬入業者3社が円滑適正に土砂搬入を実施するために現場事務所の設置が必要であったとしても,それは管理業者が行うべきことであるから,その費用は管理業務委託料に含まれている。 ⑥ 周辺建物事後調査,周辺井戸事後調査についてこれらの調査は,地元住民らから被害の訴えがあった場合に実施されるものであって,周辺建物影響補償(別紙内訳表⑮),周辺井戸影響補償(同⑯)に含まれ,「万一,影響が発生したらば業者が負担する」というものにすぎないもので,周辺建物影響補償,周辺井戸影響補償と同様費用に含まれないものとして扱われるべきである。 ⑦ 法面管理について本件干拓地の埋立ては,窪地に行うもので,盛土の高さが西側(外浜)が高く,東側(干拓g港線)に向けて3段階に低くなるように施工するもので,窪地との境に1.5メートル程度のわずかな高低差しかないから,法面として管理する必要はなく,したがって費用も発生しない。 また,1審被告は,費用を1立方メートル当たりで算定して3969万円と主張するが,法面管理の性格上,土砂の体積ではなく法面の面積単位で算定されるべきであり,それを前提として,前記わずかな斜面を法面として管理するとすれば,その費用は合計71万2000円(法面の幅8メートル×法面の長さ500メートル×178円/㎡)となり,1審原告の負担分はその3分の1である23万7333円にすぎな 斜面を法面として管理するとすれば,その費用は合計71万2000円(法面の幅8メートル×法面の長さ500メートル×178円/㎡)となり,1審原告の負担分はその3分の1である23万7333円にすぎない。 ⑧ 雑草,木,竹除去費について本件干拓地の立木については,基本的にはすべて伐採されている。 その後に生じた雑草,竹木などがあれば,その除去費は,Hが行うa町港から本件干拓地荷役の作業に伴う共通仮設費(経費)に含める旨の合意があるのであって,1審原告が別途負担すべきものではない。 ⑨ 海面使用料海面使用料については,その金額が確定しておらず,1審原告との間でも合意がなかったものを,1審被告が一方的に500万円と決めて漁協に支払ったのであるから,1審被告が負担すべきである。 また,そもそも,海面使用料は保証金から支払われるものであり,逸失利益から控除されるべきものではない。 (ウ) 共通仮設費(同コ)について前記の縦排水井戸管理,周辺建物現況調査,周辺井戸現況調査は,役割分担表(乙14)上,1審被告が実施し,費用負担すべき「地盤対策工事」,「沈下対策工事」という直接工事に関連して必要不可欠な作業であり,その費用は前記直接工事の「共通仮設費」に該当するものである。そして,「共通仮設費」という費用項目は,個別に算定することができないため,本体工事に一定割合を乗じて算出されるもので,性質上,直接工事費,間接工事費のすべてを含んだ金額であるから,縦排水井戸管理,周辺建物現況調査,周辺井戸現況調査の作業にさらに間接工事費たる「共通仮設費」(同コ)を加算することは誤りである。 (エ) 現場管理費(同サ),一般管理費(同シ)について1審被告の主張する経費 ,周辺井戸現況調査の作業にさらに間接工事費たる「共通仮設費」(同コ)を加算することは誤りである。 (エ) 現場管理費(同サ),一般管理費(同シ)について1審被告の主張する経費率は不当に高く,およそ適用されるものではない(因みに,1審原告は,損害を請求するにあたって経費率を10%としている。)。 ク損益相殺について損益相殺とは,債務不履行により債権者に損害を与えると同時に利益を与えた(又は出費を免れさせた)場合,その利益が債務不履行と相当因果関係に立つものである限り,これを総損害額から控除することをいうのであって,本件において,損益相殺の対象になるのは,1審被告の残土受入義務の不履行により1審原告が利益を得,又は出費を免れたものである。1審被告が主張するDの残土受入れに伴い発生する収益は,1審被告の債務不履行の有無とは関係なく発生するものであって,損益相殺の対象とはならない。また,Dは,1審原告とは全く別の法人格であり,同一視されるような関係にもない。 なお,Dに莫大な利益が発生したという事実自体もない。前記オのとおり,Dは,本件干拓地の埋立てのために公共残土を収集し,自治体から処分費を受領したが,すでにそれを超えて残土処分費用,搬入土砂整地費用等,土砂移転費用を出捐しており,損害が発生していることは明らかである。 (1審被告)(1) 争点(1)についてア本件契約において,1審被告には土砂の受入義務はない。 本件契約は,1審被告が土砂搬入を求める権利を有し,1審原告において土砂を搬入する債務を負担する契約であり,1審被告に土砂の受入義務はないから,同債務の不履行ということはない。 すなわち,本件契約においては,1審被告に埋立地に事業計画があり土砂を一定 て土砂を搬入する債務を負担する契約であり,1審被告に土砂の受入義務はないから,同債務の不履行ということはない。 すなわち,本件契約においては,1審被告に埋立地に事業計画があり土砂を一定量確保することが必要であったことから,土地利用料を1立方メートル当たり100円と極めて低額に設定している。このような事情からすれば,1審被告は土砂搬入を求める権利を有し,1審原告は土砂を搬入する債務を負担しているというべきである。 1審原告は,土地利用料の納付,契約保証金等として多額の負担をしたことを根拠として,1審被告に土砂の受入義務が課されていると主張するが,本件契約に基づく公共残土搬入事業により1審原告には莫大な利益が見込まれていた一方,前記のような1審原告の負担は折り込み済みのリスクであるというべきであるから,これをもって1審被告に土砂受入義務があるということはできない。 また,本件契約において,役割分担表(乙14)に明らかなとおり,1審被告も本件契約上種々の義務を負っているのであって,原審認定のように本件契約は1審原告に一方的に義務を負わせるようなものではない。 さらに,1審原告は,公共残土を本件干拓地に搬入できなかったとしても,他に処分することが可能であったから,1審被告には逸失利益の賠償義務を発生させるような土砂搬入義務はないというべきである。 イ搬入開始時期の遅延はない。 すなわち,本件契約2条では搬入期間として平成4年度から平成10年度までとされているが,本件のように公共機関が関わる埋立ては,計画から実現まで紆余曲折をたどるのが通常であり,このような実情に照らせば,契約上の搬入期間の定めも確定的なものではなく一応の目安にすぎないというべきである。しかも,本件干拓地に搬入する土砂は,搬 計画から実現まで紆余曲折をたどるのが通常であり,このような実情に照らせば,契約上の搬入期間の定めも確定的なものではなく一応の目安にすぎないというべきである。しかも,本件干拓地に搬入する土砂は,搬入条件に適合した公共残土に限定されていることから,搬入業者は土砂を安定的に確保できるとは限らない。実際,本件契約が交わされた当時,陸揚施設の完成は平成5年度になることが予想されており,1審原告にも平成4年度からの搬入は不可能であることが分かっていたが,搬入期間は一応の目安にすぎないことから,契約書上の記載は平成4年6月16日の土砂搬入会議の説明にあわせて平成4年度と記載された。このように本件契約2条の搬入期間は,法的拘束力のない一応の目安にすぎないというべきである。 そして,土砂搬入開始には,地元住民の同意が前提条件であるから,地元住民の同意が得られるまで(地元住民の同意は平成9年11月4日付けで得られている。),搬入開始時期は到来していないというべきである。 1審被告は,1審原告ら搬入業者との間でも,平成6年3月26日に開催された土砂搬入会議おいて,地元住民らの同意が得られてから土砂搬入を開始することを確認しており,その際,土砂の搬入開始時期を地元住民らの同意が得られるまで延期する旨合意した。 仮に,そうでないとしても,本件契約書9条には,「乙(1審原告)は,この契約に基づく土砂の搬入に伴う安全対策等については,適切な措置を講ずるとともに,甲(1審被告)立会のもとに地元g区民に対して十分な説明を行い,甲に迷惑を及ぼさないものとする。」と規定されており,その時点で同意が得られていないことを前提に地元g区民の同意を得るための説明義務が1審原告にあることは明らかである。したがって,地元住民らの同意が得られないままでは土砂 のとする。」と規定されており,その時点で同意が得られていないことを前提に地元g区民の同意を得るための説明義務が1審原告にあることは明らかである。したがって,地元住民らの同意が得られないままでは土砂の搬入ができないことは,当事者双方の共通認識であったから,1審被告と1審原告は,平成6年6月15日の本件契約書(甲1。契約書の作成日付は平成4年12月25日であるが,実際に作成されたのは平成6年6月15日である。)の調印に際し,土砂の搬入開始時期を地元住民らの同意が得られるまで延期する旨合意したというべきである。 1審被告は,平成9年11月4日,地元住民らの同意が得られたことから,1審原告に対し,本件干拓地への土砂搬入が可能となった旨を伝えたが,1審原告は土砂搬入を拒絶した。 以上のとおり,仮に1審被告に土砂の受入義務があるとしても,搬入開始時期の遅延はない。 ウ仮に搬入開始時期の遅延があったとしても,1審被告に帰責性はない。 土砂搬入が遅延したのは,地元住民らからの同意取付けに難航したからであるところ,前記のとおり,本件契約によれば,地元住民らの同意を得るために,土砂搬入に関わるすべての事項(土砂の土質や安全性を含む。)についての説明義務が1審原告にあることは明らかである。当初計画されていた「瀬戸内中央aマリンリゾート構想」(以下「aマリンリゾート構想」という。)がAの撤退により変更を余儀なくされたのちについても,1審原告ら搬入業者に説明義務があることに変わりはない。 1審被告は,Aの撤退後,本件干拓地の開発について事業主体となることを表明した。そこで,1審被告に,その事業内容について,説明義務が発生するとしても,1審被告は,次のとおり説明義務を怠ったことはない。 1審被告が事業主体とな 開発について事業主体となることを表明した。そこで,1審被告に,その事業内容について,説明義務が発生するとしても,1審被告は,次のとおり説明義務を怠ったことはない。 1審被告が事業主体となったのはAの撤退という不測の事態による。また,1審被告が主体となる事業実施は町民全体の利益に関わる事項であり,事業実施や予算措置についての議会承認の問題を含めて慎重な対応が求められることからすれば,早急に確定的な事業計画の策定を求めることは不可能であって,1審被告としては,このような諸事情を勘案し,相当な期間内に一応の事業計画を策定し,これをもとに地元住民等への説明を行えば足りるというべきである。1審被告は,A撤退後,「健康と福祉とゆとりのジョイフルアイランド構想」(以下「ジョイフルアイランド構想」という。)を計画し,平成5年12月19日以降合計50回近く地元説明会を開催して地元住民に説明をしており,1審被告に説明義務があるとしても,1審被告がこれを怠ったことはない。 実際にも,地元住民らの同意の取付けが難航したのは,変更後の事業内容について地元住民らの理解を得られなかったからではなく,搬入土砂の土質,環境への影響,土砂搬入に伴う粉塵,騒音及び振動等に対する強い不安があったからである。このことは,平成8年8月から開始された中国電力の土砂(地元の土砂)搬入に対する同意がスムースに得られたことからも明らかである。 また,前記のとおり,本件契約上,地元住民らへの説明は1審原告ら搬入業者が行うものとされているところ,当初1審原告ら搬入業者は共同事業体協定書を締結し,当該共同事業体において管理業者と管理業務に関する協定書を締結し,管理業者に地元住民らへの説明を委託する予定であったが,1審原告が意見を二転三転させたことから協定の締結に至 同事業体協定書を締結し,当該共同事業体において管理業者と管理業務に関する協定書を締結し,管理業者に地元住民らへの説明を委託する予定であったが,1審原告が意見を二転三転させたことから協定の締結に至らず,搬入業者側は,地元住民らへの説明を実施できなかった。 このように,地元住民らは搬入土砂の安全性等について強い不安があっったにも関わらず,説明義務のある1審原告ら搬入業者が十分な説明をしなかったために,同意の取付けが困難だったのであり,また,1審被告としては,事業内容について十分説明し,地元住民らの理解を得られていたのであるから,地元住民らの同意の取付けが難航したことについて1審被告に帰責性はない。 エところで,本件契約は,契約関係が相当長期間にわたって継続することが予定されている継続的取引契約の範疇に属する契約である。このような契約においては,一定期間契約関係が継続されるとする当事者の信頼を保護するとともに,契約当事者が信義に従い,契約目的実現に向けて互いに協力しあう必要がある。また,契約の安定性を確保する趣旨から,契約を解除するためには,契約の継続を期待し難いような重大な債務不履行があること(やむを得ない事由の存在)を要すると解すべきところ,1審被告には,仮に何らかの帰責事由があるとしても,土砂搬入開始の遅延について,契約の継続を期待し難いような重大な債務不履行はない。 前記のとおり,1審被告は,平成5年12月19日以降50回近く説明会を開催している。土砂搬入開始が遅延したのは,地元住民らの同意の取付けが遅れたためであるが,1審被告が的確な見通しのもとで地元住民らに対して適切な対応を行っていれば期限どおりに搬入を開始することができた,ということはできない。 すなわち,地元住民らの同意の取付けが困難であ るが,1審被告が的確な見通しのもとで地元住民らに対して適切な対応を行っていれば期限どおりに搬入を開始することができた,ということはできない。 すなわち,地元住民らの同意の取付けが困難であったのは,地元住民らとしては,地元外の業者が地元外の土砂を搬入するということで,土砂の安全性や工事に伴う騒音,粉塵等の被害への対策に強い不信や不安があったからであるにもかかわらず,1審原告が,土砂搬入会議等において,意見を二転三転させたり自己の利益だけを追求する態度に終始したため,地元説明会の開催等の準備作業が搬入業者間で進まなかったこと,1審原告ら搬入業者が,1審被告からの要請にもかかわらず1審被告に頼るばかりでなかなか説明会に出席せず,また,町内に現場事務所を設置し地元住民らにより積極的に対応するよう要請しても何らの対応もしなかったことなども大きな要因であった。 本件契約は,契約当事者が信義に従い,契約目的実現に向けて互いに協力することが要請されているところ,前記のような1審原告の態度はこれに違反しており,土砂搬入開始の遅延について,仮に1審被告に何らかの帰責事由があるとしても,それはごく軽微なもので,かえって,本件契約上地元住民らに対して説明義務を負担している1審原告の帰責性の方が重大であるというべきである。 また,前記のとおり,本件のような公共機関が関わる埋立ては,計画から実現まで紆余曲折をたどるのが通常であり,そのような埋立てに関わることの多い1審原告のような業者においては係る実情を承知し,実現までに相当の時間と費用を要するものであることを認識した上で営業活動を行っているというべきであり,本件搬入開始時期の遅延は,折り込み済みのリスクといえる。しかも,1審原告(公共残土を収集したのはDであるが,両者は実質的には同一 るものであることを認識した上で営業活動を行っているというべきであり,本件搬入開始時期の遅延は,折り込み済みのリスクといえる。しかも,1審原告(公共残土を収集したのはDであるが,両者は実質的には同一とみるべきである。)は,公共残土の収集により多額の利益を上げており,損害もない。さらに,1審原告と同一の契約上の地位にあるIらは,1審被告との契約を継続し,土砂搬入を行っている。 オ 1審原告は,1審被告が中国電力に本件干拓地の一部につき埋立てを認めたことが債務不履行(一部履行不能)を構成すると主張するが,本件干拓地には,当初から中国電力との契約による土砂,1審被告が別に実施する公共工事により発生する土砂の搬入も予想されていたことから,本件契約でも,搬入土量について概ね350万立方メートルの3分の1とされているのであって,本件契約と中国電力との契約とは何ら矛盾するものではない。中国電力の土砂搬入によっても,1審原告が本件干拓地に概ね350万立方メートルの3分の1の土砂を搬入することは可能であるし,1審原告は,任意に本件土砂の搬入場所を選択することができるわけではないから,中国電力の土砂搬入によって,土砂搬入場所が制限され,その結果コストが増加するとしても,1審原告の一方的な思惑どおりにならなかったというだけのことで,1審被告の債務不履行とはならない。 また,中国電力が陸揚施設を利用して本件干拓地に土砂を搬入することについては,平成8年4月10日,1審原告を含む搬入業者全員がこれを了承しており,その意味においても1審被告に債務不履行はない。 カ 1審原告は,1審被告の履行遅滞により公共残土の確保が不可能となったと主張するが,前記のとおり1審被告には履行遅滞はなく,仮に1審原告が主張するように川崎市等からの信用を失ったとしても 。 カ 1審原告は,1審被告の履行遅滞により公共残土の確保が不可能となったと主張するが,前記のとおり1審被告には履行遅滞はなく,仮に1審原告が主張するように川崎市等からの信用を失ったとしても,公共残土の処分を必要としている自治体は多数存在し,現に平成11年7月から搬入業者により本件干拓地への土砂搬入が実施されている事実に照らしても,1審原告が自治体等から公共残土を引き受けることは困難でなかったはずであって,公共残土の確保が不可能になったとの主張は理由がない。 (2) 争点(2)についてア損害全般について本件契約において,1審原告の搬入土量は,概ね350万立方メートルの3分の1とされていることから,1審原告は116万立方メートルの土砂搬入を前提として逸失利益を算定して損害額を主張する。本件においては,そもそも本件干拓地の埋立て完了までに必要な土量が確定できない上,搬入する残土は受入基準に適合していなければならないことからすれば,1審原告が116万立方メートルの土砂を搬入できる蓋然性があるかどうかについては多大な疑問がある。 また,民訴法248条の趣旨は,損害賠償制度の理念である損失の公平な分担にあるところ,搬入できる土砂の量が不確定なこと,1審原告と同視すべきDが公共残土の収集により多大な利益を上げており損害を生じていないこと,一方,1審原告請求に係る損害賠償額は,合併前のa町の平成14年度一般会計予算約36億円の半分にも匹敵するものであることなどからすると,1審原告主張のような逸失利益を認めることは損失の公平な分担という損害賠償制度の理念に照らし失当であることは明白である。 前記のとおり,本件契約は継続的取引契約であるから,仮に債務不履行による解除が認められるとしても,全損害の賠償を原則 公平な分担という損害賠償制度の理念に照らし失当であることは明白である。 前記のとおり,本件契約は継続的取引契約であるから,仮に債務不履行による解除が認められるとしても,全損害の賠償を原則とすることは妥当性を欠く。解除に至るまでの契約当事者双方の有責性や程度等を総合的に勘案し,相当な賠償額に減額されるべきである。そして,本件においては,それまでさしたる売上げのなかったDが,1審被告の協力により大量の公共残土の収集が可能となり急激に売上げを増大させていること,前記のとおり,土砂の搬入開始が遅れたことについては,1審原告の帰責性が大きいこと,現在本件土地に残土を搬入している業者は,採算ラインぎりぎりのところで搬入を継続していること,1審原告は,本件干拓地に搬入できなかったとしても,公共残土を他に処分することで,損害の発生をくい止めることができ,また,そのようにすべきであったこと(信義則上の損害軽減義務)などが考慮されるべきである。 イ逸失利益について(ア) 1審原告は,処理費用の単価を,それぞれ自治体からDに対し2700円,Dから1審原告に対し2400円,運送費等の経費を1450円とし,継続的に1立方メートル当たり950円の利益を上げ得ることを前提として逸失利益を算定するが,そのような蓋然性はない。実際,現在,本件干拓地に土砂を搬入している業者は,公共残土の排出量の減少から,残土の確保自体に苦慮している上,処理費用の単価も2000円を割り込むような状況になっていることから,採算ラインぎりぎりでの搬入を余儀なくされている。 そもそも,1審原告は,本件干拓地に残土を搬入できないとしても,他に処分することによって損害の発生をくい止めることが可能であったから,1審原告が主張する逸失利益は,通常発生する損害とは そもそも,1審原告は,本件干拓地に残土を搬入できないとしても,他に処分することによって損害の発生をくい止めることが可能であったから,1審原告が主張する逸失利益は,通常発生する損害とはいえず,特別損害というべきであるが,損害の発生及びその額に対する予見可能性はない。 (イ) 土砂搬入に要する経費は,1立方メートル当たり1450円にとどまらない。1立方メートル当たりの経費として,1審原告主張のほか,管理業者への管理業務委託料58円/m3及び別紙内訳表のとおり334円/m3の合計392円/m3が必要となる。 なお,1審原告は,同経費について争うが,争いのある項目等に関する根拠は次のとおりである。 ① 土質管理(別紙内訳表③)搬入業者は,搬入土の土質試験や化学分析を1発生地ごとに1回以上実施すること等を義務づけられており,管理業者はその結果に対し是正の指示や指導助言を行うもので,土質管理そのものに要する費用は管理業者に支払われる管理業務委託料には含まれない。 ② 品質管理(同④)搬入土の試験盛土や盛土の土質試験の実施等に要する費用であり,管理業者はその結果に対し是正の指示や指導助言を行うもので,品質管理そのものに要する費用は管理業務委託料には含まれない。 ③ 盛土管理(同⑤)盛土計画の作成や盛土実施状況の把握,盛土管理測量の実施等に要する経費であり,管理業者はその結果に基づいて盛土の場所や厚さ(撒出し高さ)の指示等を行うことである。 ④ 動態観測(同⑥)動態観測機器(沈下板,基準杭,変位杭等)の設置,日常的な動態観測や観測データの解析・検討等に要する経費である。管理業者が分担する業務は,搬入業者から提出された解析 動態観測(同⑥)動態観測機器(沈下板,基準杭,変位杭等)の設置,日常的な動態観測や観測データの解析・検討等に要する経費である。管理業者が分担する業務は,搬入業者から提出された解析検討結果に基づいて,円弧滑り等が発生しないよう,盛土の場所や厚さ(撒出し高さ)の指示等を行うことである。したがって,管理業務委託料には含まれない。 なお,前記①ないし④は,当初管理業者の管理業務の中に含まれていたが,これらを搬入業者が行うこととして,管理業務委託料を当初の見積額から減額して58円/m3とした経緯がある。 ⑤ f谷補償(同⑪)f谷はジョイフルアイランド構想の下では埋立ての範囲外であるとしても,同地区の排水が本件干拓地に流入しているため,干拓地の埋立てにより,同地区は低地となって排水ができなくなるので埋立てが必要になり,住民への家屋や農作物の移転補償費が必要となる。 ⑥ G氏への補償(同⑫)G氏は,本件陸揚施設を設置した岸壁に隣接して柑橘を耕作している住民であり,海上から自船の接岸ができなくなり,陸上から通わざるを得なくなるため,補償が必要となった。 ⑦ 現場事務所費(同ア)土砂搬入にあたっては,その期間中,現場に事務所を設置し,同事務所に,動態観測等を実施する技術者や管理業務に関わる技術者以外に,現場の安全衛生管理や派遣職員の統括などを担当する所長,所長を補佐する主任,一般事務を処理する事務職員を配置する必要がある。同事務所は,共同事業体が事業を遂行するため設置するものであって,Hが行う作業に係る従業員等が一時的に休息する事務所とは別物であるから,Hに支払われる荷役費用等には含まれない。 ⑧ 周辺建物事後調査(同イ),周辺井戸事後調査( るため設置するものであって,Hが行う作業に係る従業員等が一時的に休息する事務所とは別物であるから,Hに支払われる荷役費用等には含まれない。 ⑧ 周辺建物事後調査(同イ),周辺井戸事後調査(同ウ)これらは,土砂搬入完了後,土砂搬入による影響の有無を調査し,事前の調査と比較して影響があった場合に補償額決定の判断資料とするために,必要な調査であり,役割分担表(乙14)には記載されていないが,事前調査(同⑬,⑭)に関連した業務として搬入業者の負担で実施することを黙示的に合意したというべきである。 ⑨ 法面管理費(同カ)本件埋立ては,窪地に埋立てを行うものであるとしても,造成施工範囲は干拓地の一部であり窪地が残ることになるから,窪地との境の段差部分に法面が生じることになる。 ⑩ 雑草・木・竹除去費(同ク)1審被告は,平成3年に立木をブルドーザー等で踏み倒したが,倒した立木は現地に残したままで干拓地から撤去しなかった。その後も立木は生え,雑草や竹等については伐採していない。埋立てをするに際して土砂の底に雑草等が埋没すると造成後の地盤が不安定となるため,事前に撤去しておく必要がある。 ⑪ 共通仮設費(同コ)運搬費,準備費,事業損失防止施設費等々の現場管理費に当たらない間接工事費であり,直接工事費に対し所定の共通仮設比率(平成15年度の土木積算基準〔乙71〕によれば,本件工事は公園費用に該当し,その共通仮設費率を算定すると6.75%になる。)を乗じて算定したものである。 ⑫ 現場管理費(同サ)現場管理費は,現場労働者に係る労務管理費,安全訓練等に要する等の間接工事費であり,純工事費の額に対し所定の現場管理比率(本件工事は公園費用に該 る。 ⑫ 現場管理費(同サ)現場管理費は,現場労働者に係る労務管理費,安全訓練等に要する等の間接工事費であり,純工事費の額に対し所定の現場管理比率(本件工事は公園費用に該当し,工事原価の額に対して所定の現場管理費率を算定すると,18.19%になる。)を乗じて求めたものである。 ⑬ 一般管理費(同シ)一般管理費は,工事施工に当たる企業が,その経営を継続していくために必要な費用であり,工事原価の額に対して所定の一般管理費率(本件工事費用は公園費用に該当し,その一般管理費率を算定すると,9.02%になる。)を乗じて求めたものである。 ⑭ 海面使用料(同セ)1審原告は,本件契約に基づき,1審被告に対し,施設整備費として6666万7000円を納入しているが,これは陸揚施設の設置及び維持管理に充てられる費用であり,漁業補償費を含んでいるところ,漁協への海面使用料は,漁業補償費により賄われること,すなわち1審原告が負担することが合意されていた。 ウ土砂移転費用について(ア) 1審原告は,土砂転費用を主張するが,原審認定によっても,搬入開始時期は,平成6年4月1日であるところ,1審原告が残土を移転したのはそれ以前であるから,債務不履行による損害に当たらないことは明らかである。また,そもそもDは,自社で残土保管場所を有していたのであるから,必ずしも高砂市の有するe町の仮置場に土砂を保管する必要はなかったはずである。たまたま同仮置場に保管していた土砂を1審原告が高砂市の求めに応じて移転せざるを得なくなったとしても,そのリスクはDにおいて負担すべきものである。 (イ) また,1審原告主張の費用には次のとおり問題がある。 ① 転圧に要する費用が含まれてい に応じて移転せざるを得なくなったとしても,そのリスクはDにおいて負担すべきものである。 (イ) また,1審原告主張の費用には次のとおり問題がある。 ① 転圧に要する費用が含まれているが,暫定的に残土を置いておくだけであるから転圧の必要はない。 ② 移転の際にガードマンを配置する必要はなく,交通整理員で十分であり,その単価は広島県の場合8900円である。 ③ H作成の見積書(甲47)によれば,「積込み,整地,転圧,散水費用」の単価は225円であるのに照らし,1審原告の主張(1立方メートル当たり540円である。)は過大である。 ④ 仮置場整地費用としてリサイクル材を使用することを前提としているが,整地にリサイクル材を使用する必要はない。1審原告は,植樹を700本行った等として芝の吹きつけ及び植樹費用を主張するが,植樹は実際には50本程度しか行われていない。 エ搬入土砂整地費用等について(ア) 1審原告は,Dが平成元年3月から平成5年6月30日までの間に18万2532立方メートルの残土を収集したとして,同年7月以降の整地費用等を主張する。しかし,1審原告が作成した土砂搬入計画書(甲20)を前提とすると,年間最大土砂搬入量は70万立方メートル,年間作業可能日は280日とされているから,1日に搬入可能な土砂は最大2500立方メートルとなるところ,残土搬入は1審原告を含め3業者で行うことになっていたから,1審原告が搬入可能な日数は年間93日,月間7.77日であり,1審原告が1か月間に搬入可能な土砂は1万9425立方メートルとなる。そうすると,Dの収集した前記残土18万2532立方メートルを搬入するのに9.4か月を要することになる上,平成5年7月以降も月間約1万ないし3万立方メートルの残土 は1万9425立方メートルとなる。そうすると,Dの収集した前記残土18万2532立方メートルを搬入するのに9.4か月を要することになる上,平成5年7月以降も月間約1万ないし3万立方メートルの残土を受け入れていたというのであるから,仮に平成5年7月以降残土搬入が可能となったとしても,その後も残土の保管が必要であり,そのための費用を出捐しなければならなかったというべきであるから,これらは債務不履行による損害ということはできない。しかも,残土搬入の開始時期は,原審認定よっても平成6年4月1日であり,1審原告の平成5年7月以降とする主張は失当である。 (イ) 1審原告の主張によれば,Dは,Aの撤退や地元住民らの同意の取付けが難航し,土砂搬入開始時期の見通しがたたない状況下であるにも関わらず,平成5年7月1日から平成9年3月末までの45か月もの間,残土の収集を続けていたというのであるが,1審原告としても,損害発生をくい止め,又は最小限にする義務(損害軽減義務)を信義則上負っているというべきであるから,前記の状況を前提とすれば,1審原告は,地元住民らの同意取付けの目途が立つまで残土の収集を中止すべきであったというべきであり,それをせずに発生させた損害を1審被告に請求することは信義則上許されない。 (ウ) なお,Dが保管していた残土については,本件契約に規定された残土受入基準を満たしているかどうか証拠上明らかでなく,これらを搬入できるかどうかは未定であって,これらに関する移転費用や整地費用が賠償すべき損害に該当しないことは明らかである。 (エ) 1審原告の具体的な金額の主張についても次のとおり疑問がある。 ① 1審原告は,残土を積み上げるためにパワーショベル2台とブルドーザー1台を常用することを前提に整地費用を算定す (エ) 1審原告の具体的な金額の主張についても次のとおり疑問がある。 ① 1審原告は,残土を積み上げるためにパワーショベル2台とブルドーザー1台を常用することを前提に整地費用を算定するが,工事費用は,取扱数量の実績に基づいて積算するのが合理的かつ原則であり,1審原告の構成員であるHも,見積書(甲47)に「積込み,運搬,整地費用」として200円/m3を記載している。そして,同見積金額に照らすと,1審原告主張の整地費用(1立方メートル当たりに換算すると476円となる。)は過大である。そもそも整地には,ブルドーザーだけで足り,パワーショベルを使用する必要はない。 ② 1審原告は,Dから逸失利益の賠償請求を受けていることをもって,これを損害として主張するが,これは契約当事者ではないDに発生した,しかも逸失利益にすぎず,社会一般の通念に従って1審原告に通常発生すると考えられる範囲の損害とは到底いえず,特別損害であるというべきであるところ,1審被告には予見可能性がなかったから賠償すべき義務はない。 オ損益相殺(ア) Dは,公共残土の処理費用として,1立方メートル2700円を受領しているところ,1審原告の主張によれば公共残土受入数量は120万4990.45立方メートルであるから,公共残土の処理費用として総額約32億5300万円もの収入を得ていることになる。そうすると,Dは,仮に一方で搬入土砂整地費用や残土移転費用等の損害を受けたとしても,他方で莫大な利益を得ているから,損益相殺により1審原告が1審被告に請求できる損害はないというべきである(1審原告の主張によれば,Dは搬入土砂整地費用や残土移転費用等を負担していることになるが,これらは同社において経費として計上されているはずであるところ,Dには追徴課税されるほ ないというべきである(1審原告の主張によれば,Dは搬入土砂整地費用や残土移転費用等を負担していることになるが,これらは同社において経費として計上されているはずであるところ,Dには追徴課税されるほどの所得〔利益〕があったことからすれば,経費を超える利益を得ていたことになる。)。 (イ) 1審原告は,本件において損益相殺の対象になりうる利益とは,理論上本件残土を処分することにより得られた利益であると主張する。 しかしながら,損益相殺は,損害賠償法が被害者を利得させることを目的とするものではないとの趣旨から同一事件により得られた利益の控除を認めるものであり,どのような利益を控除すべきかは公平原理によって決定されるべきであって,1審原告の主張のように限定的に解しなければならない理由はない。 そして,Dは,1審原告の主張のとおり本件干拓地用に残土を収集したものとすれば,本件契約があったからこそ莫大な収入を得ることができたものであるから,これを利益として控除するのは公平の観点から当然である。 また,1審原告は,Dと1審原告とは全く別の法人であると主張するが,両法人は,実質的には同一の法人であるから,損益相殺の判断にあたっては,損益相殺の制度趣旨である公平の観点から,Dの利益は1審原告の利益と同一視されるべきである。仮に,Dと1審原告とを別に取り扱うとしても,1審原告の1審被告に対する請求は,Dから1審原告に対する請求権を前提とするものであるから,Dの損害額が前記のとおり損益相殺によりゼロであるとすれば,1審原告から1審被告に対する請求もできないはずである。 第3 当裁判所の判断当裁判所は,原審と同様,①本件契約は平成4年12月25日に成立した,②1審被告が,中国電力と土砂搬入契約を締結し,本件干 から1審被告に対する請求もできないはずである。 第3 当裁判所の判断当裁判所は,原審と同様,①本件契約は平成4年12月25日に成立した,②1審被告が,中国電力と土砂搬入契約を締結し,本件干拓地に土砂を搬入させた行為は,本件契約に違反するものとはいえない,③本件契約において1審被告には土砂搬入の受入義務がある,④搬入開始時期については,当初平成5年6月30日ころから搬入を開始するとの合意があったが,1審被告の要請により平成6年3月ころまで延期された,と判断するが,⑤搬入開始時期の遅延については,1審被告には債務不履行責任を負わせるだけの帰責性を認めることはできないが,1審被告は,本件契約の締結に際し,信義則上,土砂搬入を開始するには地元住民の同意が必要であることを明らかにし,1審原告に損害を生じさせないようにする義務を負っていたにもかかわらず,これを怠ったというべきであるから,その限度で1審原告に生じた損害を賠償すべき義務がある,⑥1審被告が賠償義務を負う範囲は,いわゆる信頼利益にとどまるところ,1審原告としても,本件のように地方公共団体が行う工事にあっては,地元住民の同意が必要であることを知っていた,あるいは容易に知り得たというべきであるから,これを考慮して,損害額の3割を控除した額について1審被告に支払義務を認めるべきものと判断する。その理由は,前記①ないし④については,後記に付加するほかは,原判決「事実及び理由」の「第3争点に対する判断」欄説示(原判決29頁下から3行目から44頁6行目まで)のとおりであるから,これを引用する(ただし,原判決38頁下から10行目の「チャック体制」を「チェック体制」に,44頁6行目に「あったいうべきである。」を「あったというべきである。」にそれぞれ改める。)。また,前記⑤,⑥については,後 だし,原判決38頁下から10行目の「チャック体制」を「チェック体制」に,44頁6行目に「あったいうべきである。」を「あったというべきである。」にそれぞれ改める。)。また,前記⑤,⑥については,後記のとおりである。 1 搬入土砂受入義務について1審被告は,本件契約上1審被告に搬入土砂受入義務はないと主張する。 確かに,本件契約は,工事等から発生した残土を処分する必要のある業者が一方的に土砂を捨てるというような契約とは性質を異にしており,1審被告に直ちに搬入土砂の受入義務があるとはいい難い面がある。すなわち,本件契約は,1審被告に,事業主体となって行う事業計画があり,そのために本件干拓地に土砂を搬入する必要があるという状況を背景に,土砂の搬入量,搬入期間,土質の受入基準が定められており,また,1審原告が支払うべき土地の利用料は,1立方メートル当たり100円と通常の場合よりもかなり低額に設定されている。この契約においては,1審原告は,本件干拓地へ搬入するための公共残土を収集することで公共団体から処分費用を取得し,原審認定のとおり,本件契約が円滑に履行されれば,大きな利益を得ることができる。しかし,1審原告は,そのために,一定の期間内に受入基準に適合する公共残土を必要量収集しなければならず,土砂の確保,土質の適合性の確保,収集した土砂の保管場所の確保,陸揚施設設置費用の負担,保証金等の事前納入など費やさねばならない時間と費用は膨大なものである。したがって,土砂の搬入開始が長期にわたって遅延するなど本件契約が円滑に履行されない事態に陥れば,1審原告は重大な損害を被ることにもなる。一方,1審被告は,土砂搬入会議で合意された役割分担表(乙14)によれば,本件契約に関し,地盤対策工事,造成計画書作成など,負担すべき役割や費用がないわけで ,1審原告は重大な損害を被ることにもなる。一方,1審被告は,土砂搬入会議で合意された役割分担表(乙14)によれば,本件契約に関し,地盤対策工事,造成計画書作成など,負担すべき役割や費用がないわけではないが,原審認定のとおり,山土等を購入して本件干拓地の埋め立てを行うとすれば,莫大な費用を要することになるが,本件契約によりそれを免れるばかりか,1審原告ら搬入業者が土砂を搬入すること自体から1立方メートル当たり100円(350万立方メートルであれば,3億5000万円)を1審原告ら搬入業者から受領することになるのであって,1審被告の得る利益は極めて大きい。また,1審原告ら搬入業者が1審被告に支払う土地利用料は低額であるにせよ,公共工事から発生した残土を捨てさせるという側面が本件契約から完全に失われているわけではない。この点は,1審被告が公共残土を受け入れるについては,残土が発生し,これを処分する公共団体との間で直接協定を締結することになっていたり,Dの考えとしては,残土を処分したい公共団体と残土を求めている公共団体とを引き合わせる,あるいは仲介するようなことで,利益を上げようとしたものであったこと(甲328,乙41)からも認められる。さらに,本件契約が1審原告にこのような負担を負わせるものであることは,1審被告も知っていたことは明らかである(保証金等の納入やその一部を陸揚施設設置費用に充てること,追加工事費用の負担は,1審被告が1審原告に求めたものであるし,土砂の収集に関しても,1審被告は,残土を出す地方公共団体を1審原告ら関係者とともに訪れてもいる。)。 こうした本件契約の内容や実態(特に,本件契約の準備に要する費用,本件契約が実現しない場合に被る双方の不利益,双方に課されている義務など)を考慮すれば,本件契約においても,他の双務契 る。)。 こうした本件契約の内容や実態(特に,本件契約の準備に要する費用,本件契約が実現しない場合に被る双方の不利益,双方に課されている義務など)を考慮すれば,本件契約においても,他の双務契約同様,双方が利害得失を検討した上,合意に至ったものというべきである以上,公平の観点から,本件契約は,1審被告に土砂搬入受入義務を課したものと解するのが,当事者の意思に合致するものというべきである。 2 搬入開始時期について(1) 1審原告は,搬入開始時期は平成4年度であると主張し,他方,1審被告は,本件契約の搬入期間は一応の目安にすぎないと主張する。 まず,本件契約については,平成6年6月15日,平成4年12月25日付け本件契約書が作成されているところ,原審認定のとおり,本件契約の主要部分については,平成4年12月25日時点で合意に至っており,主として陸揚施設の帰属等をめぐって見解の相違があったため契約書の作成が後になったといういきさつがある。そして,本件契約書作成の時点において,平成4年12月25日時点の合意から変更されたのは,同日以降の事情の変化に従い搬入期間が従前平成9年までとされていたのが平成10年までとされたこと,搬入土量が概ね400万立方メートルとされていたのが概ね350万立方メートルとされたこと,契約保証金が1億円であったものが,契約保証金3333万3000円,施設整備費6666万7000円とされたことである。こうしたことからして,本件契約は平成4年12月25日に成立したものというべきである。 そうすると,搬入開始時期について,本件契約成立の時点では「平成4年度から平成9年度まで」とされ,実際に契約書が作成された当時は事情の変化を受けて「平成4年度から平成10年度まで」とされ,また,本件契約書上,搬入時期 時期について,本件契約成立の時点では「平成4年度から平成9年度まで」とされ,実際に契約書が作成された当時は事情の変化を受けて「平成4年度から平成10年度まで」とされ,また,本件契約書上,搬入時期,搬入数量を変更しようとするときは,契約当事者間の協議が必要であるとされている(本件契約書第2条2)ように,本件契約締結に際し,1審被告と1審原告との間で期間は明確に意識されていたということができるのであって,一応の目安にすぎないとみるのは困難である。さらに,実際にも,平成4年12月5日には,県道付け替え部分の限定つきながら,地元住民等からの同意は得られており,1審被告は,本件干拓地への土砂搬入についての地元住民らからの同意を得られるものと見込んで,平成5年から土砂搬入を開始する予定で,陸揚施設発注のための準備をし,同施設は平成5年6月に完成している。これらのことからすれば,原審の認定判断のとおり,1審原告と1審被告は,当初,平成5年3月まで(平成4年度)に搬入を開始する予定で本件契約を締結したが,陸揚施設の完成が遅れたため,陸揚施設の完成を待って搬入を開始することに合意した,すなわち,平成5年6月30日ころから搬入を開始することで合意したと解するのが相当であり,同合意は法的な効力を持つものというべきである。 (2) その後搬入開始時期が延期されたかどうかについて,1審原告は,1審被告の平成5年9月28日付け書面による搬入開始時期の延期要請を承諾していないと主張する。 しかしながら,原審認定のとおり,1審被告は,Aの撤退によって事業計画の変更を余儀なくされ,1審原告ら搬入業者に対し,同年12月までの土砂搬入延期を求めたのに対し,1審原告は,同年10月,1審被告に対し,今後の方針を明らかにするよう求めたところ,1審被告は,目途として平 更を余儀なくされ,1審原告ら搬入業者に対し,同年12月までの土砂搬入延期を求めたのに対し,1審原告は,同年10月,1審被告に対し,今後の方針を明らかにするよう求めたところ,1審被告は,目途として平成6年3月ころという回答をしている。1審原告は,これに対して,何らの回答もしていないが,特段異議をとどめることもなく,そのまま搬入開始に向けての準備を進めている。原審認定のとおり,1審被告も平成6年2月ころ,川崎市等に同年4月から本件干拓地へ公共残土が搬入できるよう依頼している。そして,平成6年6月15日に本件契約書を作成し,その際には,平成4年12月25日の本件契約成立時点では搬入期間を「平成4年度から平成9年度まで」としていたものを,「平成4年度から平成10年度まで」とした。こうしたことからすると,1審原告も1審被告からの延期要請について約1年程度,すなわち平成6年3月ころまで延期する限度で,これを承諾したものと認めるのが相当である。 (3) 1審被告は,平成6年3月26日に開催された土砂搬入会議において,「土砂搬入開始は,防塵対策等周辺の対策完了後とする」旨確認されたことをもって,1審原告ら搬入業者との間で,地元住民らの同意が得られるまで搬入開始を延期する旨の合意が成立したと主張する。 しかしながら,原審認定のとおり,本件契約成立時点(平成4年12月25日)では,1審原告,1審被告とも地元住民らの同意は得られるものと考えており,本件契約書にも明確に地元住民の同意の取付けについて触れるところはない。 後記3(1)のとおり,同契約書の9条には1審原告が土砂搬入に伴う安全対策として適切な措置を講じ,地元住民に対して説明をすべきことが定められているものの,同規定は,もっぱら本件干拓地への土砂搬入の具体的な工事に関しての説明義務と解され は1審原告が土砂搬入に伴う安全対策として適切な措置を講じ,地元住民に対して説明をすべきことが定められているものの,同規定は,もっぱら本件干拓地への土砂搬入の具体的な工事に関しての説明義務と解されるのであって,本件埋立てを含めたジョイフルアイランド構想に基づく事業の遂行について地元住民の同意を取り付ける義務を1審原告に課したものと解することは,同事業の主体が1審被告であることに照らしても,到底できない。そして,前記搬入会議における確認事項に関しても,地元住民らの同意については明確にされておらず,文言からみても,もっぱら土砂搬入工事についての安全対策等に関するものと解するのが自然である。すなわち,1審原告,1審被告とも,本件契約成立当時から前記搬入会議のころにおいても,地元住民の同意は近く得られるものと考えていたことから,搬入開始時期が平成6年4月1日よりさらに大きく遅れる可能性が高いことを懸念して,搬入開始時期を決めたり,また,確定的な期限を定めず,延期したりする考えはなかったというべきであり,したがって,地元住民らの同意が得られるまで搬入開始を延期する旨の合意もなかったものというほかはない。 (4) したがって,1審原告との関係において,1審被告において,遅くとも平成6年4月1日以降は搬入開始の遅延があったというべきである。 3 搬入開始時期遅延についての1審被告の帰責性の有無について(1) 前記のとおり,1審被告は,1審原告との関係において,平成6年4月1日以降,搬入開始の遅延があったというべきであるが,搬入開始が遅延したのは,地元住民らの同意の取付けが困難を極めていたことにある(なお,原審〔第2回〕及び当審証人Jによれば,最終的に地元住民らの同意を得たのは平成9年11月4日であり,平成11年になって,IとCとの共同事業体 元住民らの同意の取付けが困難を極めていたことにある(なお,原審〔第2回〕及び当審証人Jによれば,最終的に地元住民らの同意を得たのは平成9年11月4日であり,平成11年になって,IとCとの共同事業体によって土砂の搬入が開始されたことが認められる。)。 この点に関し,1審被告は,本件契約書第9条(1審原告は,本件契約に基づく土砂の搬入に伴う安全対策等については,適切な措置を講ずるとともに,1審被告の立会のもとに地元g区民に対して十分な説明を行う,1審被告に迷惑を及ぼさないものとする旨の規定)に基づき,1審原告に地元住民らの同意を取り付ける義務があり,1審被告にはそのような義務はなく,また,事業内容についての説明義務はないし,仮にそのような説明義務があったとしても,説明義務を怠ったということはないから帰責性はないと主張する。 しかしながら,まず,本件契約書第9条の規定は,文言上,1審原告が地元住民の同意を取り付けることを明示していない。そもそも,本件干拓地への土砂搬入は,1審被告が事業主体となっているジョイフルアイランド構想においては,その準備段階,あるいは最初の段階ともいうべきものであって,地元住民らにしても,土砂搬入に同意するについては,ジョイフルアイランド構想を進めることに同意することが前提であり,そのことは,地元住民らの説明会において土砂の搬入について説明しようとした1審原告に対し,1審被告からの事業についての説明がない段階で,工事業者が説明するというのは時期尚早であるとして地元住民らが反発したことがあった事実(原審証人J〔第1回〕,同K〔第1回〕)からも明らかである。そして,1審被告がジョイフルアイランド構想の事業主体である以上,法律上の義務はなかったとしても,事業計画を地方公共団体の事業として円滑に推進し,行政上 1回〕,同K〔第1回〕)からも明らかである。そして,1審被告がジョイフルアイランド構想の事業主体である以上,法律上の義務はなかったとしても,事業計画を地方公共団体の事業として円滑に推進し,行政上の責任を尽くすために住民の同意を得ることは必要であると考えていたこと(原審証人J〔第1回〕)などからすれば,具体的な事業計画全般について,1審被告に説明義務があるものというべきであり,同規定は,その文言からしても,1審原告は,その関与すべき具体的な搬入工事に伴う安全対策等について措置を講じ,1審被告に協力して,具体的な工事内容や安全対策等について住民に説明することを義務づけたものと解するのが自然であって,土砂搬入について地元住民らの同意を取り付けることまでも含んでいると解するのは困難である。 (2) そこで,1審被告がこうした地元住民らに対する説明義務を尽くしたがどうか検討する。 ア証拠(甲30,31の1ないし3,甲83,89,105,乙17,51,53,54,77,原審証人J〔第1,2回〕,同K〔第1回〕,同L及び当審証人M)並びに弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (ア) Aが,平成5年4月ころaマリンリゾート構想から撤退する意思を表明した上,同年9月ころ正式に撤退した後,1審被告は,事業計画を変更することとし,同年10月ころ,ジョイフルアイランド構想について,検討・協議を開始した。1審被告は,当初,財団法人Nに依頼して構想の策定をさせ,平成6年3月に報告書が完成したのを受けて,基礎地盤コンサルタントに実施計画の作成を依頼した。詳細な実施計画に結びつく報告書は平成7年3月に完成して1審被告に提出された。 (イ) 1審被告は,Aの撤退とジョイフルアイランド構想については,平成5年12月から地元住民らに対する した。詳細な実施計画に結びつく報告書は平成7年3月に完成して1審被告に提出された。 (イ) 1審被告は,Aの撤退とジョイフルアイランド構想については,平成5年12月から地元住民らに対する説明会を開始し,平成6年5月ころまでに十数回の説明会を実施した。しかし,平成6年4月30日に開催された地元住民らに対する説明会において,搬入工事について説明しようとした1審原告に対して,ジョイフルアイランド構想の事業内容について具体的な説明がない状態で業者が説明する段階ではないとして地元住民らが反発したこともあった。 (ウ) 平成6年5月になっても,地元住民らからは,ジョイフルアイランド構想に基づく施設整備の内容が明らかでないなどとして,事業計画ができるまでの間の工事の中止を求められたり,また,県外から搬入する土砂の安全性に対する不安も強く,1審原告ら土砂搬入業者が地元住民に対して搬入土砂の安全性や搬入作業の手順等についての説明をするということができないような状況であった。 (エ) 1審被告は,その後も地元説明会を開催しているが,地元住民らの同意を得ることは困難であり,平成6年7月26日に開催された地元説明会では,当時の1審被告のM町長が,土砂搬入にg区住民の同意は必要ない旨の発言を行う場面もあった。また,同月27日には,完全には同意が得られないまま,1審原告ら搬入業者に対し,本件干拓地への土砂搬入を受入れる旨通知した。 (オ) これを受けて,I及びB・Cの共同事業体は,平成6年8月1日,川崎市からの公共残土の陸揚作業を行ったが,その中にコンクリート片等が混入していたこと(ただし,同土砂は,産業廃棄物が含まれていたわけではなく,実際には適合基準を充たすものではあった。)から地元住民らから抗議の声があがり,本件干拓地への土砂 の中にコンクリート片等が混入していたこと(ただし,同土砂は,産業廃棄物が含まれていたわけではなく,実際には適合基準を充たすものではあった。)から地元住民らから抗議の声があがり,本件干拓地への土砂搬入について,これに反対するという状況となった。 (カ) 1審被告は,平成6年6月以降も十数回にわたり地元説明会を開催したが,平成7年2月ころになっても,地元住民の理解は得られず,打開の糸口すら見いだせない状況であった。 また,同年8月1日には,広島県から1審被告に対し,漁協の同意が得られない場合には,陸揚施設を撤去するようにとの通知がされる事態ともなった。 (キ) こうした状況の中で,1審被告は,中国電力からの残土を(県内で発生したもの)受け入れることにし,地元住民も,平成8年3月26日,これに同意し,中国電力は,同年8月19日,本件干拓地への土砂の搬入を開始した。 (ク) その後,1審被告は,平成9年11月4日,地元住民らの同意を得て,g区住民との間で,本件干拓地への土砂搬入についての協定書を締結し,平成10年7月22日,Iに対し,本件干拓地への土砂搬入を許可した。そして,I,Cの共同事業体は,平成11年に入り,本件干拓地への土砂の搬入を開始した。 イ以上の事実によれば,Aの撤退後,ジョイフルアイランド構想の具体化に時間を要し,1審被告は,地元住民らに対し,同構想の具体的な説明を早期に行うことができず,地元住民の理解を得ることが困難になっていった状況下で土砂の搬入を強行し,さらに住民の反発を強めたことや地元住民らの県外からの搬入土砂の安全性に強い不安があったことなどから,地元住民らの同意の取付けが困難を極め,搬入開始が遅延したということができる。このことからすると,1審被告の地元住民らに対する説明に 民らの県外からの搬入土砂の安全性に強い不安があったことなどから,地元住民らの同意の取付けが困難を極め,搬入開始が遅延したということができる。このことからすると,1審被告の地元住民らに対する説明に関し,不十分な点があったことは否定できないが,Aの撤退に伴う事業計画の変更や県外からの搬入土砂の安全性に対する不安など,1審被告の落ち度とは言い難い事情もまた地元住民らの同意の取付けが困難であった原因といえる(県外の土砂を搬入することについて地元住民らの不安が強かったことは,前記のとおり,地元の土砂を搬入する計画であった中国電力の土砂搬入については,地元住民らは,平成8年3月26日に同意していることからも明らかである。)。また,1審被告は,不十分な点があったにせよ,前記のとおり,相当な回数にわたって地元住民らに対して説明会を開催して,事業説明等を行っている。さらに,地元住民らの同意を得られるかどうかは,本件がそうであるように,説明が不十分,不適切かどうかといった要因のみによるものでもない。このようなことからすると,1審被告としては,地元住民らに対し,不十分ではあったにせよ,一応の説明義務を尽くしていたというべきであり,債務不履行責任を根拠づけるだけの帰責性を認めることはできないものといわざるをえない。 (3) 本件において,土砂搬入についての地元住民らの同意は法律上必要ではなかったにしろ,1審被告が,行政上の責任を尽くす上で地元住民らの同意を得るまで,土砂搬入は開始できないと考えていたことは前記のとおりである。地方公共団体が主体となって行う事業にあっては,これらの事業をめぐる不祥事や環境への影響等が報道などを通じて広く世間に知られるようになったこと,これに伴い環境や権利に対する地元住民の意識が高まってきたことなどから,近年は,地元住民らの っては,これらの事業をめぐる不祥事や環境への影響等が報道などを通じて広く世間に知られるようになったこと,これに伴い環境や権利に対する地元住民の意識が高まってきたことなどから,近年は,地元住民らの支持ないし同意なしには,事業を円滑に進めることは事実上極めて困難であり,また,公共団体やその長が行政上の責任等を追及される可能性も高くなっていることから,法律上の義務がなくとも事業を行おうとする地方公共団体が地元住民の同意を得た上で事業計画を進めようとすることは珍しいことではなく,地元住民の同意は,事業計画を進める上で重要な,あるいは必要不可欠ともいえる事項となってきている。こうしたことからすれば,1審被告が,行政上の責任を尽くす上で,法律上の義務はなくとも,土砂の搬入に地元住民らの同意が必要と考えていた以上,1審被告は,本件契約締結時点において,地元住民らの同意がない限りは土砂の搬入は開始できないこと,地元住民らの同意が得られる時期が確定していないことは熟知していたというべきである。したがって,地元住民らの同意が搬入開始時期に極めて重大な影響を及ぼすことは明らかなのであるから,1審被告としては,本件契約の締結に際しては,地元住民らの同意を誰が取り付けるのか,その義務と責任の所在を明らかにするとともに,地元住民らの同意が搬入開始の条件であることを明らかにし,1審原告ら搬入業者が,損害を被ることなく,適切に搬入開始準備を行うことができるようにする信義則上の義務があったというべきである。しかしながら,本件契約上,地元住民らの同意取付けについては,何ら触れるところはなく,地元住民らの同意と搬入開始の関係についても同様に何ら触れるところはない上,本件契約成立(平成4年12月25日)の前後を通じて,1審被告と1審原告ら搬入業者間で地元住民らの同意に関し ところはなく,地元住民らの同意と搬入開始の関係についても同様に何ら触れるところはない上,本件契約成立(平成4年12月25日)の前後を通じて,1審被告と1審原告ら搬入業者間で地元住民らの同意に関して協議された形跡もない(前記のとおり,1審被告は,安易に地元住民らの同意を得ることができると見込んでいたことがうかがわれ,このため,契約当事者間での協議が不十分であったものと推認できる。)のであって,1審被告は,前記義務を怠ったものといわざるをえない。 もっとも,前記のように,公共団体が主体となって行う事業を進めるについて住民の同意が重要な要件といえるほどの状況になっていることは,公知の事実であるともいうべき上,1審原告ないしDのように公共団体と取引を行う企業等であれば容易に知り得たというべきであり,また,本件契約書が作成された平成6年6月15日ころには,地元住民らの同意を取り付けることが容易でないことは,1審原告も知っていたというべきである(前記のとおり,同年4月30日,5月1日に開催された地元住民らに対する説明会においては,地元住民らの反発が強く,1審原告が土砂搬入工事に関して説明することすらできなかった。)。 4 1審原告の損害の有無及びその金額について(1) 前記のとおり,1審被告に本件契約について説明義務違反の債務不履行責任を認めることはできないものの,1審被告は,本件契約締結に際して,信義則上負うべき義務を怠ったもので,これにより1審原告に生じた損害を賠償すべき義務がある。そして,1審被告が賠償すべき損害の範囲は,前記の債務不履行責任を負う場合と異なり,本件契約が円滑に実現できるものと信じたことによって1審原告が被った損害(信頼利益)の賠償に限られるのであって,いわゆる履行利益は含まれないものと解するのが相当である(な 行責任を負う場合と異なり,本件契約が円滑に実現できるものと信じたことによって1審原告が被った損害(信頼利益)の賠償に限られるのであって,いわゆる履行利益は含まれないものと解するのが相当である(なお,1審原告は,1審被告の債務不履行に基づく損害賠償を求めるところ,具体的には,本件干拓地への土砂搬入ができなかったことについての1審被告の帰責性,すなわち,本件契約の性質はもとより,土砂搬入についての1審被告の地元住民らに対する同意取付け義務の有無及び説明の実態を主張し,信頼利益にとどまらず,逸失利益を含む履行利益をも請求しており,本件契約締結に際して信義則上負うべき義務を怠ったことについての主張を含むものと解することができるのであって,これを認めることは弁論主義に違背しない。)。したがって,少なくとも1審原告が主張する損害のうち,逸失利益については,1審被告に賠償義務を認めることはできない(この点,1審原告の請求する損害項目中,Dが1審原告に賠償請求している損害があり,同損害にはにはDの逸失利益が含まれているが,これについても同様に1審被告の損害賠償義務を認めることはできない。)。 (2) これを踏まえ,1審原告の損害の有無及びその額について検討する。 まず,原審認定のとおり,1審原告は,本件契約についての保証金,陸揚施設設置費,追加工事費など合計1億0951万9912円を支出している。 また,証拠(甲37ないし44,49,50,73,250,275,276の1ないし14,278の1ないし3,282ないし289,290の1ないし3,291,317の1ないし11,323ないし326,328ないし330及び原審証人K〔第2回〕)並びに弁論の全趣旨によれば,1審原告は,平成6年4月1日以降も本件干拓地へ土砂を搬入することができな ,291,317の1ないし11,323ないし326,328ないし330及び原審証人K〔第2回〕)並びに弁論の全趣旨によれば,1審原告は,平成6年4月1日以降も本件干拓地へ土砂を搬入することができなかったため,次のような支出をしたことが認められる。 ア土砂移転費用Dは,1審原告から依頼を受け,兵庫県加古川土木事務所の発注に係る公共残土を収集し,高砂市の所有するe町所在の仮置場を無償で借り受けて,同仮置場に平成4年度は4万1400立方メートル,平成5年度は2万5890立方メートルの合計6万7290立方メートルの公共残土を保管していたが,これらの土砂を本件干拓地に搬入できない間に高砂市から土砂を移転して同仮置場を明け渡すよう求められた。このため,Dは,平成5年8月,前記土砂の移転作業,同市との契約に従って移転後の整地作業をそれぞれ行い,それらの費用として4545万1222円を支出した。同費用については,1審原告とDとの間で1審原告が負担する旨の合意があるため,1審原告は,同額の損害を被った。 1審被告は,これに対し,①Dは自社で保管場所を確保していたから,高砂市の仮置場を借り受ける必要はなかった,②不必要な作業や材料が含まれていること,実際に行っていない作業が含まれていることなどから過大な請求となっている,などと主張する。 しかしながら,①については,高砂市の仮置場に保管した土砂は,平成5年1月から3月,平成6年1月から3月までのh掘削工事から発生した土砂であるところ,当時,Dの保管場所には,18万立方メートル以上の土砂が保管され山のように堆積している状況であったが,h掘削工事から発生した土砂は,川底の土砂で,水分を含んだ軟弱な土砂であったため,これをDの保管場所に搬入しようとすると,土砂の崩落の危険が 上の土砂が保管され山のように堆積している状況であったが,h掘削工事から発生した土砂は,川底の土砂で,水分を含んだ軟弱な土砂であったため,これをDの保管場所に搬入しようとすると,土砂の崩落の危険があったことから,高砂市の仮置場を借り受けることになったこと(甲37ないし39,原審証人K〔第1回〕,弁論の全趣旨)などからすれば,高砂市の仮置場を借り受ける必要がなかったとはいえず,1審被告の主張は採用できない。②については,1審原告が整地にリサイクル材を使用したのは,むしろ真砂土を使用するよりも費用が半分から3分の1ですむためであったこと(原審証人K〔第2回〕)からすれば,リサイクル材を使用する必要がなかったということはできず,また,土砂の移転作業の中で,植樹はその都度に行い,また埋め立てるということをしていたため,地上に見える樹木は50本程度であったが,植樹は合計700本に及んだこと(原審証人K〔第2回〕)からすれば,1審被告の主張は採用できない。さらに,1審被告主張に係るガードマンの設置が不要であること,積算が高額にすぎることなどについても,これを認めるに足りる的確な証拠はなく,前記認定を覆すことはできない。 イ土砂整地費用等(なお,1審原告は,原審においては,土砂整地費用として,すでに金額の確定していた整地等に要した費用3億1270万8000円を請求したが,当審において,その後に全額が確定した本件契約残土処分費用及び土砂整地費用の合計からDが地方公共団体から受領した処分費用を控除したものに内容を変更した。)1審原告から依頼されて公共残土を収集していたDは,収集した残土を自社の残土保管所に搬入して保管していたが,これを搬出することができないまま,堆積していったことから,住民の間で土砂災害のおそれや景観の悪化などが問題 れて公共残土を収集していたDは,収集した残土を自社の残土保管所に搬入して保管していたが,これを搬出することができないまま,堆積していったことから,住民の間で土砂災害のおそれや景観の悪化などが問題とされ,残土保管所の所在する高砂市から堆積した残土の整地等を行うよう法令に基づいて行政指導がされるに至り,Dは,堆積する公共残土の整地等をした。また,Dは,兵庫県の自治体から公共残土を受け入れ始めた平成元年3月から平成9年3月31日(1審原告は,平成8年11月に本件契約を解除したが,その時点で,兵庫県の自治体との間で,平成9年3月までの公共残土受入れを合意していた。)までの合計97か月間に合計78万3652立方メートルの公共残土(本件契約残土)を収集し,平成7年2月から平成14年5月31日までの88か月間にわたってこれを処分した。Dが,前記整地のために要した費用及び本件契約残土の処分費用の合計は,別紙損害計算書のとおり24億8889万1060円であるところ,Dは,自治体から公共残土の処分費用として1立方メートル当たり2700円を受領したため,本件契約残土の処分費用として合計21億1586万0400円を受領した。そして,前記24億8889万1060円と21億1586万0400円の差額である3億7303万0660円は,Dの損害であるが,1審原告は,その賠償を求められているから,同額は1審原告の損害というべきである。 1審被告は,これに対し,①1審原告は,土砂搬入開始の見通しが立たないにもかかわらず,平成5年7月1日から平成9年3月31日までの45か月もの間残土の収集を続け,損害発生をくい止め,又は最小限にする義務を怠ったから,損害賠償は信義則上許されない,②本件契約残土は,本件契約に規定された受入基準に適合しているかどうか明らかではなく, 月もの間残土の収集を続け,損害発生をくい止め,又は最小限にする義務を怠ったから,損害賠償は信義則上許されない,②本件契約残土は,本件契約に規定された受入基準に適合しているかどうか明らかではなく,本件干拓地に搬入できるかどうか未定であるから,これに関する整地費用等は1審被告が賠償すべき損害には当たらない,③1審原告請求に係る費用自体も不要なパワーショベルの使用を前提とするなどしているため過大である,などと主張する。 しかしながら,①については,1審被告は,平成5年9月28日には,1審原告に対し,搬入延期を要請し,その後平成6年4月を目途に土砂搬入を開始する予定であることを通知し,平成6年2月ころ,川崎市やOに対しても同年4月1日が搬入開始予定であることを文書で通知し,同年7月27日には,1審原告ら搬入業者に対して,搬入開始の通知をしている(前記2(2),甲3ないし7)ことなどからすれば,1審原告としても,搬入開始が数年も遅れる可能性を考慮して,直ちに土砂の収集を中止するのは困難な状況にあったというべきであるから,1審被告の主張は採用できない。また,②については,本件については,実際に搬入が開始されなかったことから,土質の検査はされておらず,厳格には,公共残土が適合基準を充たしていたかどうかは判然としない点もあるが,1審原告は,1審被告による土質の視察を受け入れ,また,独自にサンプル検査をしており,1審被告も独自に土質検査を行ったりしていたところ,これまで,土質が問題となったことはないこと,さらに土砂の処分を求める公共団体側も処分土砂の内容については一定の基準を定め,これを充たした土砂のみ搬出することになっていたこと(甲82,83,105,224,225の1ないし4,226ないし228,229の1ないし3,230,231の1, 内容については一定の基準を定め,これを充たした土砂のみ搬出することになっていたこと(甲82,83,105,224,225の1ないし4,226ないし228,229の1ないし3,230,231の1,2,原審証人L,同J〔第2回〕,弁論の全趣旨),などからすれば,1審原告が本件契約に定める適合基準を充たさない残土を収集したことを示す証拠がない以上,1審原告の収集した残土は適合基準を充たし,搬入が可能であったものと推認するのが相当であり,1審被告の主張は採用できない。 ③については,1審被告の主張するように1審原告による費用の積算方法が不適切であること,実際の作業方法としてパワーショベルの使用が不要であったことなどを認めるに足りる的確な証拠はない。 ウそうすると,1審原告の損害は,前記1億0951万9912円,4545万1222円及び3億7303万0660円の合計5億2800万1794円となる。 なお,1審原告はこの他に支出した費用として,一般経費5000万円を主張するが,これを認めるに足りる的確な証拠はない。 (3) ところで,前記3(3),4(1)のとおり,1審被告は,1審原告に対して,土砂の搬入開始について地元住民らの同意を取り付ける義務のあることや地元住民らの同意を得ることが土砂の搬入開始の条件であることなどを明らかにしないまま,本件契約を締結し,1審原告が土砂の搬入を開始する準備をするに任せていた結果,1審原告に前記損害を被らせたのであるから,1審被告には,これを賠償すべき義務があるというべきであるが,他方,1審原告としても,公共団体が主体となって行う事業については,地元住民らの同意を得ることが必要であることを知っていた,あるいは容易に知り得たというべきであるから,この点を看過した1審原告にも落ち度のあることは否 も,公共団体が主体となって行う事業については,地元住民らの同意を得ることが必要であることを知っていた,あるいは容易に知り得たというべきであるから,この点を看過した1審原告にも落ち度のあることは否定できないというべきである。これらの事情に照らすと,1審被告が賠償すべき額としては,民法418条を類推し,1審原告に生じた損害のうち,その3割を控除した3億6960万1255円(円未満切り捨て)であると認めるのが相当である。 なお,遅延損害金の発生時期について,遅くとも1審原告が本件契約解除の意思表示をした時点(平成8年11月13日)においては,具体的な金額は特定していなかったものの,搬入開始時期が遅延したことによる損害は1審原告に発生していたものというべきところ,1審原告は,請求の趣旨において,合計19億1509万7394円のうち13億0697万1134円(1審原告の主張によれば,1審原告の逸失利益のほか,支払済み契約保証金等1億0951万9912円,土砂移転費用4545万1222円及び一般経費5000万円が含まれていることが明らかである。)については平成8年11月14日から,うち2億6165万4722円については平成9年11月11日から,うち3億4647万1538円については平成15年10月1日から,それぞれ遅延損害金の支払を求めている。そこで,少なくとも,1審原告が,支払済み契約保証金等及び土砂移転費用については,平成8年11月14日からの遅延損害金の支払を求めていることは明らかであり,これを認めることはできるものの,残りの当審において主張された搬入土砂整地費用等(本件契約残土の処分費用と搬入土砂整地費用の合計額からDが地方公共団体から受領した残土処分費用を控除したもの)については,いつから遅延損害金の支払を求めたものかは必ずし 張された搬入土砂整地費用等(本件契約残土の処分費用と搬入土砂整地費用の合計額からDが地方公共団体から受領した残土処分費用を控除したもの)については,いつから遅延損害金の支払を求めたものかは必ずしも明確ではない。しかし,前記のとおり,本件契約解除当時すでに損害が発生していたこと,平成8年11月14日からの遅延損害金の支払を求めるものではないことが明らかであることなどからすれば,請求拡張後の搬入土砂整地費用等3億7303万0660円のうち1審被告が賠償すべき2億6112万1462円(1審原告に生じた損害からその3割を控除したもの)について発生する遅延損害金については,平成15年10月1日ではなく,損害発生の時により近い平成9年11月11日からその支払を求めるのが1審原告の意思であると推測するのが相当である。 したがって,1審被告は,1審原告に対して3億6960万1255円及びうち1億0847万9793円(円未満切り捨て。支払済み契約保証金等1億0951万9912円と土砂移転費用4545万1222円の合計1億5497万1134円からその3割を控除したもの)に対する本件契約解除の意思表示の日の翌日である平成8年11月14日から,うち2億6112万1462円に対する平成9年11月11日から,各支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金を支払う義務があるというべきである。 第4 結論以上によれば,1審原告の本件請求は,1審被告に対して前記第3の4(3)の額の支払を求める限度で理由があるから,これを認容すべきであり,1審原告の本件控訴に基づき,これと異なる原判決を変更し,1審被告の本件控訴は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 広島高等裁判所第2部裁判長裁判官鈴 に基づき,これと異なる原判決を変更し,1審被告の本件控訴は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 広島高等裁判所第2部裁判長裁判官鈴木敏之裁判官松井千鶴子裁判官工藤涼二
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