令和2(行ケ)10141 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和3年10月14日 知的財産高等裁判所 4部 判決 請求棄却
ファイル
hanrei-pdf-90636.txt

キーワード

判決文本文28,854 文字)

1令和3年10月14日判決言渡令和2年(行ケ)第10141号 審決取消請求事件口頭弁論終結日 令和3年9月2日判 決 5原 告 株式会社つくし工房 同訴訟代理人弁理士 武 政 善 昭同 甲 斐 哲 平 10被 告 特許庁長官同指定代理人 村 山 達 也同 間 中 耕 治同 藤 原 直 欣同 小 島 寛 史15主文1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由第1 請求20特許庁が不服2019-15974号事件について令和2年10月20日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要1 特許庁における手続の経緯等(当事者間に争いがない。)⑴ 原告は,平成30年10月10日,発明の名称を「フルハーネス型墜落制25止用器具の上から着用できる反射標識帯を備えた安全チョッキ」とする発明2につき,特許出願(特願2018-191750。請求項の数4。以下「本願」という。)をした。 原告は,平成31年1月28日付けで拒絶理由通知を受けたため,その指定期間内の同年3月15日に,明細書,特許請求の範囲の請求項1及び4並びに図面について手続補正(以下「第1次補正」という。)をした。原告は, 平成31年1月28日付けで拒絶理由通知を受けたため,その指定期間内の同年3月15日に,明細書,特許請求の範囲の請求項1及び4並びに図面について手続補正(以下「第1次補正」という。)をした。原告は,5令和元年6月11日付けで拒絶理由通知を受け,同年8月1日に明細書及び特許請求の範囲の請求項1ないし4について手続補正(以下「第2次補正」という。)をしたが,同年10月29日付け(発送日:同月31日)で,拒絶査定を受けた。 ⑵ 原告は,令和元年11月27日,拒絶査定不服審判を請求するとともに,10同日付けで,明細書並びに特許請求の範囲の請求項1及び4について手続補正(以下「第3次補正」という。)をした。 特許庁は令和2年6月12日付けで,第3次補正を却下した上で,拒絶理由の通知をした。 原告は,同年8月11日,意見書を提出するとともに,明細書及び特許請15求の範囲の請求項1及び4について手続補正をした(以下「第4次補正」という。)。 特許庁は,同年10月20日,上記審判請求(不服2019-15974号事件)につき,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,同年11月5日,原告に送達された。 20⑶ 原告は,令和2年12月4日,本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。 2 特許請求の範囲の記載本願における第4次補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は,以下のとおりである(以下,第4次補正後の請求項1に係る発明を「本願発明1」とい25う。)。 3【請求項1】フルハーネス型墜落制止用器具(51)の上から,ランヤード(60)とD環(58)とを引き出した状態で着用できる,フルハーネス型墜落制止用器具の上から着用できる反射標識帯を備えた安全チョッキ(11 フルハーネス型墜落制止用器具(51)の上から,ランヤード(60)とD環(58)とを引き出した状態で着用できる,フルハーネス型墜落制止用器具の上から着用できる反射標識帯を備えた安全チョッキ(11)であって,袖がなく丈の短い,前身頃(14,15)と後身頃(16)で構成されるチ5ョッキ本体(13)と,前記チョッキ本体(13)の前身頃(14,15)と後身頃(16)の肩部から下端の裾部(14a,15a,16a)に掛けてそれぞれ備えられている反射標識帯(18)と,前記チョッキ本体(13)の後身頃(16)の襟に相当する位置から下方の10位置に,前記フルハーネス型墜落制止用器具(51)のランヤード(60)とD環(58)とを引き出すために上下方向に開けられた通し穴(12)と,前記通し穴(12)に取り付けられたファスナー(20)と,を備え,前記フルハーネス型墜落制止用器具(51)を既に装着している着用者が,前記安全チョッキ(11)を着用する際に,前記チョッキ本体(13)の両ア15ームホール(袖ぐり)に腕を通しながら羽織り,前記ファスナー(20)を開けて通し穴(12)を開放し,該通し穴(12)からフルハーネス型墜落制止用器具(51)のD環(58)とランヤード(60)を引き出せるように構成された,ことを特徴とするフルハーネス型墜落制止用器具の上から着用できる反射標識帯を備えた安全チョッキ。 203 本件審決の理由の要旨⑴ 本件審決の理由の要旨は,本願発明1は,本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2018-80412号公報(甲3。以下「引用文献1」といい,そこに記載された発明を「引用発明」という。)に記載された発明,特開2018-21289(甲4。以下「引用文献2」という。)に記載さ25れた事項及び周知技術に (甲3。以下「引用文献1」といい,そこに記載された発明を「引用発明」という。)に記載された発明,特開2018-21289(甲4。以下「引用文献2」という。)に記載さ25れた事項及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができた4ものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないというものである。 ⑵ 本件審決が認定した引用発明,本願発明1と引用発明の一致点及び相違点は,以下のとおりである。 ア 引用発明5安全帯を装着した上に着用する衣服であって,前記衣服の身頃に設けられた略V字状の第1スリット部と,前記第1スリット部を開閉可能とする開閉部材と,を有する通し部を備え,前記通し部は,前記第1スリット部の中央部から,該第1スリット部か10ら離れるように延びる第2スリット部を有し,前記第2スリット部を開閉可能とする開閉部材を備え,前記開閉部材は,ファスナー又は面ファスナーである,衣服。 イ 本願発明1と引用発明の一致点及び相違点(ア) 一致点15「フルハーネス型墜落制止用器具の上から,ランヤードを出した状態で着用できる,フルハーネス型墜落制止用器具の上から着用できるチョッキであって,袖がなく丈の短い,前身頃と後身頃で構成されるチョッキ本体と,前記チョッキ本体の後身頃の襟に相当する位置から下方の位置に,上20下方向に開けられた通し穴と,前記通し穴に取り付けられたファスナーと,を備え,前記フルハーネス型墜落制止用器具を既に装着している着用者が,前記チョッキを着用する際に,前記チョッキ本体の両アームホール(袖ぐり)に腕を通しながら羽織る,25フルハーネス型墜落制止用器具の上から着用できるチョッキ。」5(イ している着用者が,前記チョッキを着用する際に,前記チョッキ本体の両アームホール(袖ぐり)に腕を通しながら羽織る,25フルハーネス型墜落制止用器具の上から着用できるチョッキ。」5(イ) 相違点a 相違点1本願発明1は,「前記フルハーネス型墜落制止用器具(51)のランヤード(60)とD環(58)とを引き出すために上下方向に開けられた通し穴(12)」であり,「前記ファスナー(20)を開けて5通し穴(12)を開放し,該通し穴(12)からフルハーネス型墜落制止用器具(51)のD環(58)とランヤード(60)を引き出せるように構成された」ものであって,「ランヤード(60)とD環(58)とを引き出した状態で着用できる」のに対して,引用発明は,そのようなものではない点。 10b 相違点2本願発明1は,「前記チョッキ本体(13)の前身頃(14,15)と後身頃(16)の肩部から下端の裾部(14a,15a,16a)に掛けてそれぞれ備えられている反射標識帯(18)」を有する「安全チョッキ(11)」であるのに対して,引用発明は,ベスト型の上15着である点。 ⑶ 相違点の容易想到性についての本件審決の判断の要旨は,以下のとおりである。 ア 相違点1について相違点1に係る本願発明1の構成は,着用手順に関する機能的・作用的20なものであるから,「安全チョッキ」という物の構成を限定するものではなく,相違点1は実質的な相違点ではない。 引用発明において,引用文献2記載事項を適用し,その着用手順を,ベスト型の上着を着用した後に,ファスナーを開けて係止具102(D環など)とロープ部104を引き出すようにすることで,相違点1に係る本願25発明1の着用手順とすることは 適用し,その着用手順を,ベスト型の上着を着用した後に,ファスナーを開けて係止具102(D環など)とロープ部104を引き出すようにすることで,相違点1に係る本願25発明1の着用手順とすることは,単なる着用手順の変更にすぎない。 6そして,相違点1に係る本願発明1が奏する作用効果は,引用発明及び引用文献2記載事項から予測可能なものである。 よって,引用発明において,引用文献2記載事項を適用し,相違点1に係る本願発明1の構成とすることは,当業者が適宜なし得るものである。 イ 相違点2について5高所作業者が着用する衣服において,安全確認・注意喚起が重要な課題であること,また安全確認・注意喚起のため当該衣服に反射標識帯を設けることは,本願出願日前に周知であり,引用発明は,高所作業者が着用する衣服であるのだから,当該周知技術を適用する動機付けがある。 また,反射標識帯の配置について,前身頃と後身頃の肩部から下端の裾10部に掛けてそれぞれ備えられているような配置は,本願出願日前に周知である。 そして,相違点2に係る本願発明1が奏する作用効果は,引用発明及び周知技術から予測可能なものである。 よって,引用発明において,周知技術を適用し,相違点2に係る本願発15明1の構成とすることは,当業者が適宜なし得るものである。 ⑷ 結論本願発明1は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから,その余の請求項,その余の理由について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。 204 取消事由進歩性の判断の誤り第3 当事者の主張1 原告の主張⑴ 相違点1及び2の認定に誤りがあることについて25本 本願は拒絶されるべきものである。 204 取消事由進歩性の判断の誤り第3 当事者の主張1 原告の主張⑴ 相違点1及び2の認定に誤りがあることについて25本件審決は,「ベスト」と「チョッキ」が同義であることは,被服分野に7おける技術常識であることから,引用発明の「衣服」は,「フルハーネス型墜落制止用器具の上から着用できるチョッキ」の限りにおいて,本願発明1の「フルハーネス型墜落制止用器具の上から着用できる反射標識帯を備えた安全チョッキ(11)」と一致し,また,引用発明の「ベスト型の上着」は,本願発明1の「袖がなく丈の短い,前身頃(14,15)と後身頃(16)5で構成されるチョッキ本体(13)」に相当するとし,「ベスト」,「ベスト型の上着」と「チョッキ」が同義であることから,本願発明1の「安全チョッキ」を衣服の「チョッキ」と,認定した上で,相違点1及び2を認定している。 「ベスト」,「ベスト型の上着」と「チョッキ」が同義であることが,被10服分野における技術常識であることは認めるが,本願発明1の「安全チョッキ」は,着用している作業者を他者から認識してもらい,身の安全を守るための「作業衣」,「装備品」であり,ワイシャツの上に着用する短い胴衣とされる「ベスト型の上着」とは異なるものである。 したがって,本件審決における相違点1及び2の認定には誤りがある。 15⑵ 相違点1の容易想到性の判断に誤りがあることについてア 本件審決は,引用発明に引用文献2記載事項を適用し,本願発明1のフルハーネス型墜落制止用器具の着用手順とすることは,単なる着用手順の変更にすぎないと認定している。 しかし,本願発明1は,単なる「反射標識帯を備えた安全チョッキ」で20はなく,「フルハーネス型 ルハーネス型墜落制止用器具の着用手順とすることは,単なる着用手順の変更にすぎないと認定している。 しかし,本願発明1は,単なる「反射標識帯を備えた安全チョッキ」で20はなく,「フルハーネス型墜落制止用器具の上から着用できる反射標識帯を備えた安全チョッキ」に関するものであり,フルハーネス型墜落制止用器具は本件出願時周知技術ではなかったから,引用発明に引用文献2記載事項を適用しても,フルハーネス型墜落制止用器具の着用手順とすることはできない。 25すなわち,労働安全衛生法施行令の一部改正により,同令13条3項288号の「安全帯」の名称が「墜落制止用器具」に改められ,平成31年2月1日に施行された(以下「本件改正」という。)。この墜落制止用器具には,フルハーネス型と胴ベルト型の2種類があるが,墜落制止用器具の選定については,フルハーネス型を原則としている。厚生労働省が,同日,本件改正を受けて制定したガイドライン(甲12。以下「本件ガイドライ5ン」という。)において,墜落制止用器具について,高所作業の際に作業者が正しく,かつ確実に装着していることが重要であることが説明されており,本件ガイドラインの発出の前である平成30年10月10日に出願された本願発明1について,フルハーネス型の墜落制止用器具は,周知技術とはいえない。 10イ 本願発明1のように,フルハーネス型墜落制止用器具を着用すると共に,安全チョッキを着用する際には,ことさらにフルハーネス型墜落制止用器具では装着に細心の注意が必要で,適切に装着しないと生命の危機にかかわることに鑑みると,引用発明に引用文献2記載事項を適用し,本願発明1のフルハーネス型墜落制止用器具の着用手順とすることは,単なる着用15手順の変更にすぎないとはいえない。 ⑶ 相違点2の容易 わることに鑑みると,引用発明に引用文献2記載事項を適用し,本願発明1のフルハーネス型墜落制止用器具の着用手順とすることは,単なる着用15手順の変更にすぎないとはいえない。 ⑶ 相違点2の容易想到性の判断に誤りがあることについてア 引用発明は,空調服にフルハーネス型墜落制止用器具を通す穴に,いかに空気が漏れないようにするかということ,すなわち「密封性を高めること」に技術的な特徴を有するものである。なぜならば,引用文献1には,20この「密閉」という記載の他に,「空気の漏れを防ぐ」といった記載が【0035】,【0047】等に多数見られるし,さらに,この引用文献1の請求項1では,「安全帯を装着した上に着用する衣服であって,前記衣服の身頃に設けられた略V字状の第1スリット部と,前記第1スリット部を開閉可能とする開閉部材と,を有する通し部を備え,前記開閉部材を開い25て略三角形状の返し片を捲ることにより,前記身頃の一部を開口すること9ができるように構成した」とあるからである。 これに対し,特開2006-176893号公報(甲7。以下「引用文献5」という。)は,上述したような安全チョッキに関するものであり,袖ぐりが大きく開いた作業衣,装備品である。これには密封性という技術目的は必要ないものである。 5したがって,引用発明に,引用文献5に係る事項を適用することは考えられない。 イ 主引用例の「作業服,空調服」に,引用文献5に記載された「反射標識帯」を装着することも考え難い。 作業服,空調服は,作業者が着用して汚れたらひんぱんに洗濯する衣服10である。これに対し,引用文献5は,技術目的が「照明用の機能も具備した安全チョッキを提供すること」とあり,その請求項1には「チョッキ本体の前面 作業者が着用して汚れたらひんぱんに洗濯する衣服10である。これに対し,引用文献5は,技術目的が「照明用の機能も具備した安全チョッキを提供すること」とあり,その請求項1には「チョッキ本体の前面及び背面に,チョッキ本体の左右の肩部から裾部に掛けて設けた反射標識帯を備えた安全チョッキであって,前記チョッキ本体の前面側の前記反射標識帯の部位に位置させて設けた任意数の第1の発光ダイオー15ドを備え,前記第1の各発光ダイオードは,前記反射標識帯の表面から斜め下方向に向けて光を放射するように配置して設けて」とあるように,「発光ダイオード」は必須の構成要件になっている。発光ダイオードを埋め込んだ反射標識帯は点灯不良になりやすいので洗濯は不可能である。 このように,洗濯する(水に漬ける)ことができる「作業服,空調服」,20「ベスト型の上着」にフルハーネス型墜落制止用器具を通す通し部(通し穴)が開けられた技術が開示されているからといって,洗濯する(水に漬ける)ことが適さない,又は不可能な反射標識帯を有する安全チョッキに,フルハーネス型墜落制止用器具を通す穴が開けられた技術を容易に想到することには無理がある。特に反射標識帯に発光ダイオード(LED)を25用いた安全チョッキは洗濯することはできないから,当業者が容易に想到10し得ることは考えられない。このような技術目的が相違し,洗濯できる製品と洗濯できない製品といった特性が相反する技術を容易に組み合わせることにも無理がある。 したがって,引用発明と引用文献5に記載された事項と周知技術に基づいて行われた本願発明の進歩性の判断に誤りがある。 5⑷ 小括以上によれば,本件審決の進歩性の判断には誤りがあるから,これを取り消すべきである。 2 被告の主張 と周知技術に基づいて行われた本願発明の進歩性の判断に誤りがある。 5⑷ 小括以上によれば,本件審決の進歩性の判断には誤りがあるから,これを取り消すべきである。 2 被告の主張⑴ 相違点1及び2の認定に誤りがないことについて10原告は,前記1⑴のとおり,本願発明1の「安全チョッキ」は,着用している作業者を他者から認識してもらい,身の安全を守るための「作業衣」,「装備品」であり,ワイシャツの上に着用する短い胴衣とされる「ベスト型の上着」とは異なるから,本件審決の相違点1及び2の認定に誤りがあると主張する。 15しかし,本件審決は,衣服部分の形状及び類型として「引用発明の「前身頃11」と「後身頃12」を備えた「ベスト型の上着」は,本願発明1の「袖がなく丈の短い,前身頃(14,15)と後身頃(16)で構成されるチョッキ本体(13)」に相当する。」と認定している。すなわち,引用発明の「ベスト型の上着」は,衣服部分として,本願発明1の「チョッキ本体(1203)」に相当すると認定しているものである。 その上で,「引用発明の「衣服」は,「フルハーネス型墜落制止用器具の上から着用できるチョッキ」の限りにおいて,本願発明1の「フルハーネス型墜落制止用器具の上から着用できる反射標識帯を備えた安全チョッキ(11)」と一致する。」と認定している。つまり,引用発明の「衣服」すなわ25ち「『墜落の虞のある場所での作業や演技のためにハーネス型安全帯を装着11した場合でも,その上に着用することのできる』『ベスト型の上着』」が,本願発明1の「フルハーネス型墜落制止用器具の上から着用できる反射標識帯を備えた安全チョッキ(11)」のうちの「フルハーネス型墜落制止用器具の上から着用できる」「チョッキ」に一致(相当)すると認定 本願発明1の「フルハーネス型墜落制止用器具の上から着用できる反射標識帯を備えた安全チョッキ(11)」のうちの「フルハーネス型墜落制止用器具の上から着用できる」「チョッキ」に一致(相当)すると認定しているのである。 5そして,本件審決では,衣服部分の形状及び類型としての「チョッキ」という限りにおいては一致点として挙げる一方で,安全性の高い「安全チョッキ」という意味においては相違点2として挙げている。すなわち,本件審決では,引用発明との対比において,衣服部分の形状及び類型として限定的にチョッキであることを一致点としたにすぎず,本願発明1の「安全チョッキ」10と引用発明の「ベスト型の上着」は相違点としているから,原告の上記主張は理由がない。 ⑵ 相違点1の容易想到性の判断に誤りがないことについてア 本願発明1は,「フルハーネス型墜落制止用器具の上から着用できる反射標識帯を備えた安全チョッキ」の発明であって,物の発明であるから,15「前記ファスナー(20)を開けて通し穴(12)を開放し,該通し穴(12)からフルハーネス型墜落制止用器具(51)のD環(58)とランヤード(60)を引き出せるように構成された」との構成は,物の発明である本願発明1を特定する構成として,「通し穴」と「ファスナー」とが,D環とランヤードを引き出す当該着用手順を実現可能なように構成されて20いることを機能的に特定するにすぎない。 そして,引用発明の通し部は,「ベスト型の上着を着用した後に,ファスナーを開けて係止具102(D環など)の一部又は全部を露出させ,この係止具102にランヤードを取り付けるもの」であるが,引用発明は,「着用者が,ランヤード103が付いている状態のハーネス型安全帯を装着し25ている場合には,ランヤード通し部20, 露出させ,この係止具102にランヤードを取り付けるもの」であるが,引用発明は,「着用者が,ランヤード103が付いている状態のハーネス型安全帯を装着し25ている場合には,ランヤード通し部20,201,202やカバー部70を12用いて,予め後身頃12,62の内側(裏側)から外側(表側)にランヤード103の先端側のフック106(図9参照)を取り出すとともにロープ部104を通した状態としてから,作業服10や空調服60を着用す」る(【0054】)ことも想定されているものであるから,上着着用後,ファスナーを開けた状態では,D環の全部が当該通し部から露出し,その際5の通し部の開口の大きさは,「後身頃12,62の内側(裏側)から外側(表側)にランヤード103の先端側のフック106(図9参照)を取り出すとともにロープ部104を通した状態と」することも可能な程度に十分大きいといえる。 また,本願発明1の通し穴とファスナーが当該着用手順でしか使用でき10ないものである旨の説明は,明細書中に見いだせない。 そうすると,本件審決で認定した相違点1において,通し穴及びファスナーについての上記機能的な特定事項のうち,物の発明としての特定に係る通し穴及びファスナーが「前記ファスナー(20)を開けて通し穴(12)を開放し,該通し穴(12)からフルハーネス型墜落制止用器具(5151)のD環(58)とランヤード(60)を引き出せる」程度のものである点については,実質的に相違しない。 よって,相違点1は,実質的な相違点ではないとした本件審決の判断に誤りはない。 イ 原告は,前記1⑵アのとおり,本件ガイドラインの施行の前である平成2030年10月10日に出願された本願発明について,フルハーネス型の墜落制止用器具は,周知技術とはいえ 断に誤りはない。 イ 原告は,前記1⑵アのとおり,本件ガイドラインの施行の前である平成2030年10月10日に出願された本願発明について,フルハーネス型の墜落制止用器具は,周知技術とはいえないと主張する。 しかし,本願出願前の平成29年1月には,厚生労働省委託事業として建設業労働災害防止協会が「フルハーネス型安全帯」の使用方法をまとめたリーフレット(乙1)を発行していることから,本願出願時点において,25高所作業者が安全確保のためにフルハーネス型安全帯を装着していたこ13とは,明らかである。本願出願以前から,例えば登録実用新案第3069295号公報(乙2)の【0001】や,特開2004-321487号公報(乙3)の【0001】の記載から明らかなとおり,高所作業でフルハーネス型安全帯を使用することは,広く知られていたものである。したがって,「高所作業者が,安全確保のためにハーネス型安全帯を装着する5ことが技術常識」であるとの本件審決の認定に誤りはない。 ウ 原告は,前記1⑵イのとおり,引用発明に引用文献2記載事項を適用し,本願発明1のフルハーネス型墜落制止用器具の着用手順とすることは,単なる着用手順の変更にすぎないとはいえないと主張する。 しかしながら,引用文献1及び2もフルハーネス型墜落制止器具の着用10手順について着目した文献であるところ,その記載内容から,各着用手順が明らかに危険であるとはいえないし,本件ガイドラインにも,上記両引用文献に記載された着用手順の安全性の是非についての記述は見いだせない。 また,ランヤード等を通し穴から出すタイミング等の着用の途中経過に15かかわらず,着用完了後の高所使用時におけるフルハーネス型墜落制止用器具のランヤード等と係止具(D環)との接続関係や該器具 また,ランヤード等を通し穴から出すタイミング等の着用の途中経過に15かかわらず,着用完了後の高所使用時におけるフルハーネス型墜落制止用器具のランヤード等と係止具(D環)との接続関係や該器具と身体との係合形態に上記両引用文献間で変わりがないことが明らかであるから,着用の途中経過(着用順)いかんによって安全性に相違が生じると推察し得る根拠もない。 20⑶ 相違点2の容易想到性の判断に誤りがないことについてア 原告は,前記1⑶アのとおり,密封性を高めることに技術的特徴を有する引用発明に,密封性を高める技術的意味を有しない引用文献5に係る事項を適用することは考えられないと主張する。 しかし,引用文献1の【0035】には,ベスト型の上着,すなわち袖25ぐりが大きく開いた衣服でもよいことが明記されており,引用発明は,「密14封性を高めること」のみを技術的に追求するものではないから,「引用発明の「前身頃11」と「後身頃12」を備えた「ベスト型の上着」は,本願発明1の「袖がなく丈の短い,前身頃(14,15)と後身頃(16)で構成されるチョッキ本体(13)」に相当する。」とする本件審決に誤りはない。 5イ 原告は,前記1⑶イのとおり,引用発明と引用文献5に記載された事項は,技術目的が相違し,洗濯できる製品と洗濯できない製品といった特性が相反するので,これらを容易に組み合わせることにも無理があると主張する。 しかし,洗濯の可否は,本願発明が課題や作用効果とする事項ではなく,10引用文献1や引用文献5についても,洗濯不可であるとの記載はない。 なお,安全服でLEDを洗濯時に外せるように構成するものや,洗濯に耐える衣服実装用LEDテープは,例えば特開2011-84838号公報(乙4)の【0008】,登録実用 可であるとの記載はない。 なお,安全服でLEDを洗濯時に外せるように構成するものや,洗濯に耐える衣服実装用LEDテープは,例えば特開2011-84838号公報(乙4)の【0008】,登録実用新案第3193436号公報(乙5)の【0014】,【0015】にも記載されており,本願出願前に周知の15事項にすぎない。 したがって,洗濯の可否は,引用発明と引用文献3及び5に示される周知技術とを組み合わせる際に阻害要因とはならない。 ⑷ 小括よって,本件審決の進歩性の判断に誤りはない。 20第4 当裁判所の判断1 明細書の記載事項について⑴ 第4次補正後の明細書(甲1及び2。以下,図面を含めて「本願明細書等」という。)には,別紙1のような記載がある。 ⑵ 前記⑴の記載事項によれば,本願明細書等には,次のような開示があるこ25とが認められる。 15ア 本発明は,高所で作業する作業者がフルハーネス型墜落制止用器具(安全帯)を装着し,その上に安全チョッキを装着することができるフルハーネス型墜落制止用器具の上から着用できる反射標識帯を備えた安全チョッキに関する(【0001】)。 イ 工事作業現場,建設現場で作業する作業員等について,自身の存在を周5囲に知らせて安全性を確保するために安全チョッキの着用が義務化されつつあるが,従来の反射標識帯を備えた安全チョッキxとしては,チョッキ本体yの前面及び背面に,チョッキ本体yの左右の肩部から裾部に掛けて反射標識帯zをそれぞれ備えたものであり,反射標識帯zに複数の発光ダイオードLEDを取り付けた自発光式反射標識帯を備えたものも知ら10れている。 一方,高所で作業する作業者の墜落を阻止するために,フルハーネス型の墜落制止用器具(安全帯)51の 数の発光ダイオードLEDを取り付けた自発光式反射標識帯を備えたものも知ら10れている。 一方,高所で作業する作業者の墜落を阻止するために,フルハーネス型の墜落制止用器具(安全帯)51の着用が2020年1月から義務化される。 そうすると,高所での作業者は,反射標識帯を安全チョッキxとフルハ15ーネス型墜落制止用器具51の両方の装着が必要になる(【0002】,【0005】,【0010】)。 ウ 安全チョッキxは,反射標識帯z又は自発光式反射標識帯を反射又は発光させるため,フルハーネス型墜落制止用器具51の上に装着する必要がある。フルハーネス型墜落制止用器具51では,背面側に位置するD環5208又はショックアブソーバ59にランヤード(命綱)60の一端が掛け止められているところ,従来の安全チョッキの構造だとD環58又はショックアブソーバ59を背面から露出させることができない。また,安全チョッキの前面側と背面側を共に略V字形状にすると,安全チョッキの両上部が着用者の両肩から外れやすくなり,非常に着心地の悪いものになるとい25う問題があった(【0012】)。 16エ 「本発明」の目的は,上記のような問題を解決するため,反射標識帯を備えた安全チョッキの構造に工夫を施すことで,フルハーネス型墜落制止用器具を装着した状態でも,反射標識帯を備えた安全チョッキの背面からD環又はショックアブソーバを,ランヤードと共に容易に取り出すことができ,安全チョッキの反射能,発光能の機能を損なうことがないフルハー5ネス型墜落制止用器具の上から着用できる反射標識帯を備えた安全チョッキを提供することにある(【0014】)。 オ 第1の本発明の構成では,反射標識帯(18)が備えられている安全チョッキ(11)の通し穴(12)に取り付け 上から着用できる反射標識帯を備えた安全チョッキを提供することにある(【0014】)。 オ 第1の本発明の構成では,反射標識帯(18)が備えられている安全チョッキ(11)の通し穴(12)に取り付けたファスナー(20)を開けて,既に着用しているフルハーネス型墜落制止用器具(51)のD環(5108)を引き出す。その後,安全チョッキ(11)の両アームホール(袖ぐり)に腕を通して羽織る。この動作だけで,フルハーネス型墜落制止用器具(51)を装着した状態で,安全チョッキ(11)の背面からランヤード(60)を取り出すことができ,安全チョッキ(11)の反射標識帯(18)の反射能,発光能の機能を損なうことがない(【0018】)。 152 引用発明について⑴ 引用文献1の記載事項について引用文献1(甲3)には,別紙2のような記載がある。 ⑵ 前記⑴によれば,引用文献には,次のような開示があることが認められる。 ア 「本発明」は,体温調節や演出のために着用する衣服に関し,特に,墜20落の虞のある場所での作業や演技のためにハーネス型安全帯を装着した場合でも,その上に着用することのできる衣服に関する(【0001】)。 イ 高所など墜落の虞のある場所で作業をする際には,作業者を危険から守るために安全帯の装着が義務付けられ,近年は,墜落時の荷重を分散させることのできるハーネス型安全帯が用いられることが多くなっている。し25かし,ハーネス型安全帯は装着した際にランヤードが背中の中央上部に取17り付けられるので,上着等の防寒服を着用することができないという問題があった(【0002】)。 ウ 「本発明」は,上記問題点を解決するため,ランヤードなどの部材を容易に着脱又は挿通することができる開閉可能な開口部を有する衣服を提供すること とができないという問題があった(【0002】)。 ウ 「本発明」は,上記問題点を解決するため,ランヤードなどの部材を容易に着脱又は挿通することができる開閉可能な開口部を有する衣服を提供することを目的とする(【0007】)。 5エ 「本発明」の衣服によれば,略V字状の第1スリット部と,それを開閉可能とする開閉部材とを有する通し部を備えた構成とすることにより,身頃に上下幅を有する開口である開口部を作ることができるので,ハーネス型安全帯の本体部にランヤードを容易に着脱することができる(【0011】)。 10オ 「本発明」の一実施形態によれば,作業服10は,別紙2図1に示すように,前身頃11と後身頃12と両袖13と襟14とを備えたものであり,ランヤード通し部(通し部)20により,作業者がハーネス型安全帯を装着した際でもその上に着用することができる。 ハーネス型安全帯の係止具102(D環など)にランヤード103を取15り付ける手順は,別紙2図3のとおりであり,①左右ファスナー32a,33aを開け,②上返し片41を捲り上げて,ランヤード通し部20の開口部40の一部を開き,③さらに右下返し片42及び左下返し片43それぞれを斜め下方に捲って,ランヤード通し部20の開口部40の全部を開き,④ランヤード103を取り付けた後に左右ファスナー32a,33a20を閉めるというものである。 作業服10,101,102は,防寒を目的とした長袖の作業服に限らず,ハーネス型安全帯の上から着用する衣服であればよい。また,少なくとも,ハーネス型安全帯101の係止具102に対向するように,ランヤード通し部20,201,202を設けることのできる部分を有していればよく,25例えば,ベスト型の上着やつなぎなどでもよい。 18「本発明」の使用方 1の係止具102に対向するように,ランヤード通し部20,201,202を設けることのできる部分を有していればよく,25例えば,ベスト型の上着やつなぎなどでもよい。 18「本発明」の使用方法は,ハーネス型安全帯の本体部101を装着して作業服10や空調服60を着用した着用者に,後からランヤード103を着脱する場合に限らず,着用者がランヤード103が付いている状態のハーネス型安全帯を装着している場合には,ランヤード通し部20,201,202やカバー部70を用いて,予め後身頃12,62の内側(裏側)から5外側(表側)にランヤード103の先端側のフック106(別紙2図9参照)を取り出すとともにロープ部104を通した状態としてから,作業服10や空調服60を着用すればよい(【0015】,【0021】,【0035】,【0054】)。 3 取消事由(進歩性の判断の誤り)について10⑴ 相違点1及び2の認定の誤りについてア 原告は,前記第3の1⑴のとおり,本件審決は,本願発明1の「安全チョッキ」を衣服の「チョッキ」と認定した上で,相違点1及び2を認定しているところ,両者は異なるから,本件審決における相違点1及び2の認定には誤りがあると主張する。 15イ しかし,相違点1の認定に関しては,「安全チョッキ」が「ベスト型の上着」と一致するか否かで結論が左右される部分はないから,原告の主張は当を得ないものというほかない。 ウ そこで,相違点2について検討する。 引用発明における「衣服」は,ベスト型の上着でもよいと明記されてい20るものである(前記2⑵オ)ところ,「ベスト」と「チョッキ」が同義であり,袖がないことは,被服分野における技術常識である(広辞苑第7版の「チョッキ」の項では「洋服の上衣の下に着る袖なしの胴着。ベスト るものである(前記2⑵オ)ところ,「ベスト」と「チョッキ」が同義であり,袖がないことは,被服分野における技術常識である(広辞苑第7版の「チョッキ」の項では「洋服の上衣の下に着る袖なしの胴着。ベスト。 ジレー。」とされ,「ベスト」の項では「チョッキに同じ。」とされている。)。また,甲第11号証の服飾事典においても,「チョッキ」の欄に25続いて「チョッキたけ【チョッキ丈】」の欄があり,「チョッキのうしろ19えりみつの中央から,えり肩をとおって前見ごろ裾角(すそかど)の先端までの寸法のこと。」と記載されており,前見頃があることが前提となっており,また,「うしろえりみつ」,すなわち「後ろ見頃の襟付け部分」からの寸法を計るということは,後見頃があるといえる。 そして,本件審決は,引用発明の「衣服」について,「フルハーネス型5墜落制止用器具の上から着用できるチョッキ」の限りにおいて,との限定を付した上で,本願発明1の「フルハーネス型墜落制止用器具の上から着用できる反射標識帯を備えた安全チョッキ(11)」と一致するとしている。また,本件審決は,引用発明の「前身頃11」と「後身頃12」を備えた「ベスト型の上着」は,本願発明1の「袖がなく丈の短い,前身頃(1104,15)と後身頃(16)で構成されるチョッキ本体(13)」に相当するとした上で,本願発明1と引用発明の一致点の中に「フルハーネス型墜落制止用器具の上から着用できるチョッキ」との要素を挙げている。 他方,本件審決は,相違点2については,本願発明1が「安全チョッキ(11)」であるのに対して,引用発明は,ベスト型の上着である点を挙15げている。そうすると,結局,本件審決は,本願発明1と引用発明が,衣服の類型及び形状において「チョッキ」に分類できる点で一致するとしている一方,相 て,引用発明は,ベスト型の上着である点を挙15げている。そうすると,結局,本件審決は,本願発明1と引用発明が,衣服の類型及び形状において「チョッキ」に分類できる点で一致するとしている一方,相違点2の認定の中で,本願発明1が安全チョッキであり,引用発明がベスト型の上着である点を相違点として挙げているのであるから,相違点2の認定に誤りはない。 20原告は,前記甲第11号証により,「チョッキ」が「ワイシャツの上に着用する短い胴衣」であると主張しているが,前記広辞苑の記載に鑑みても「チョッキ」が「ワイシャツの上に着用する」ものに限定されるとはいえず(そのように限定されると解すると,本願発明1もワイシャツの上に着用されなければ安全「チョッキ」でなくなることになり,不合理である。),25本願発明1も引用発明も,その形状がチョッキ型(ベスト型)という点で20相違しないから,原告の主張は理由がない。 エ まとめ以上によれば,本件審決の相違点1及び2の認定に誤りがあるとの原告の主張は採用し得ない。 ⑵ 相違点1の容易想到性の判断の誤りについて5ア 相違点1が実質的なものであるか否かについて本件審決は,相違点1に係る本願発明1の構成は,着用手順に関する機能的・作用的なものであり,「安全チョッキ」という物の構成を限定するものではないことを理由に,相違点1は実質的な相違点ではないとしているが,本願発明1の構成は,単なる「通し穴」を有するのではなく,「前10記フルハーネス型墜落制止用器具(51)のランヤード(60)とD環(58)とを引き出すために上下方向に開けられた」「通し穴(12)」であり,「前記ファスナー(20)を開けて通し穴(12)を開放し,該通し穴(12)からフルハーネス型墜落制止用器具 ド(60)とD環(58)とを引き出すために上下方向に開けられた」「通し穴(12)」であり,「前記ファスナー(20)を開けて通し穴(12)を開放し,該通し穴(12)からフルハーネス型墜落制止用器具(51)のD環(58)とランヤード(60)を引き出せるように構成された」ものであるから,D15環とランヤードを共に引き出せる大きさであることを要し,大きさや形に特徴があるといえるのであり,そのような構造であることは,物の構成を限定するものであるといえる。 他方,引用発明の通し部は,ベスト型の上着を着用した後に,ファスナーを開けて係止具102(D環など)の一部又は全部を露出させることが20できるものであるが(【0034】,【0046】),「着用者が,ランヤード103が付いている状態のハーネス型安全帯を装着している場合には,ランヤード通し部20,201,202やカバー部70を用いて,予め後身頃12,62の内側(裏側)から外側(表側)にランヤード103の先端側のフック106(図9参照)を取り出すとともにロープ部10425を通した状態としてから,作業服10や空調服60を着用すればよい。」21(【0054】)との記載は,ランヤード通し部20の形状及び大きさは,着用者がランヤード103も含めてフルハーネス型安全帯を着用した後で,D環などの係止具を露出させ,フック106やロープ部104を引き出だすことのできる形状及び大きさであることを示すものである。そうすると,結局,相違点1が実質的なものでないとした本件審決の判断に誤り5はない。 イ なお念のため,相違点1が実質的なものとした場合に,相違点1に係る本願発明1の着用手順とすることの容易想到性についても検討しておく。 (ア) 前記アで引用した引用文献1の【0054】の記 イ なお念のため,相違点1が実質的なものとした場合に,相違点1に係る本願発明1の着用手順とすることの容易想到性についても検討しておく。 (ア) 前記アで引用した引用文献1の【0054】の記載は,着用者が,ランヤード103がついている状態のハーネス型安全帯を装着してい10る場合に,作業服10や空調服60を着用することを示唆するものである。 一方,引用文献2(特開2018-21289号公報)には,「装着体の一例として,安全帯を挙げることができる。・・・なお,安全帯としては,使用者の腰に着用するベルト型,使用者の上半身および下半身15に装着される所謂フルハーネス型などを使用することができる。ハンガーフックは,ロープ(安全綱)を介して安全帯と接続される。ハンガーフックとロープとを総称してランヤードと称することがある。」(【0008】),「(作業上着の動作)・・・特に,使用者が安全帯300を装着している状態であっても,図4に示す通り作業上着100Aの背側20開口部150からハンガーフック311を容易に取り出し,安全に作業を行うことができる。・・・」(【0053】)として,フルハーネス型安全帯の上から着用する衣服において,安全帯及び衣服を着用した後に,通し穴(背側開口部150)を通じてハンガーフックやロープを引き出すことが記載されている。 25そうすると,当業者において,引用発明に引用文献2に記載された事22項を適用し,その着用手順を,ベスト型の上着を着用した後に,ファスナーを開けて係止具102(D環など)とロープ部104を引き出すようにすることで,相違点1に係る本願発明1の着用手順とすることは,単なる着用手順の変更にすぎず,容易に想到することができたものである。 5(イ) 原告は,前記第3の1⑵アのと 4を引き出すようにすることで,相違点1に係る本願発明1の着用手順とすることは,単なる着用手順の変更にすぎず,容易に想到することができたものである。 5(イ) 原告は,前記第3の1⑵アのとおり,フルハーネス型墜落制止用器具は本件出願時周知技術ではなかったから,引用発明に引用文献2記載事項を適用しても,フルハーネス型墜落制止用器具の着用手順とすることはできないと主張する。 本件ガイドラインは,「墜落制止用器具は,フルハーネス型を原則と10すること。」(4頁)とした上で,器具の選定等を詳しく記載するものであるが,本件ガイドライン発出より前で,かつ,本件出願より前の文献である登録実用新案第3069295号公報(乙2)の【0001】,特開2004-321487号公報(乙3)の【0001】,引用文献1の【0002】には,フルハーネス型ないしハーネス型の安全帯につ15いての記載があり,平成29年1月には,平成28年度厚生労働省委託事業として建設業労働災害防止協会が「正しく使おうフルハーネス」と題するリーフレット(乙1)を発行していることに鑑みると,本件出願時に,高所作業でフルハーネス型安全帯を使用することは,広く知られていたものであり,フルハーネス型が普及してきたからこそ,本件ガイ20ドラインが制定されたと考えるのが合理的であるから,「高所作業者が,安全確保のためにハーネス型安全帯を装着することが技術常識」であるとした本件審決の認定に誤りはない。 (ウ) 原告は,前記第3の1⑵イのとおり,安全という観点に照らせば,引用発明に引用文献2記載事項を適用し,本願発明1のフルハーネス25型墜落制止用器具の着用手順とすることは,単なる着用手順の変更に23すぎないとはいえない旨主張する。 しかし,フルハーネス型墜落制止 引用文献2記載事項を適用し,本願発明1のフルハーネス25型墜落制止用器具の着用手順とすることは,単なる着用手順の変更に23すぎないとはいえない旨主張する。 しかし,フルハーネス型墜落制止用器具について,引用文献1には,上着を着てからランヤード等を装着し,又は,先に装着したランヤード等を上着に挿通した後に上着を着用する手順が記載され,引用文献2には,本願発明1と同様の,先に装着したランヤード等の上から上着を5着用し,その後上着の通し穴からランヤード等を引き出す手順が記載されているところ,いずれもフルハーネス型墜落制止用器具本体は装着済みであり,どの段階でランヤード等を装着するか,ランヤードを装着済みの場合はランヤード等を挿通してから上着を着用するか,上着を着用してからランヤード等を引き出すかの問題にすぎず,着用完了10後の高所使用時におけるフルハーネス型墜落制止用器具のランヤード等と係止具(D環)との接続関係や該器具と身体との係合形態にも差はなく,これらの手順が安全に関わるものであることを示す記載は,引用文献1及び引用文献2,更には本件ガイドラインにもない。 そうすると,引用文献1と引用文献2の装着手順は,ハーネス型墜落15制止用器具に関する点で共通し,いずれの装着手順も安全性等について問題点の記載を伴わないことから,引用発明の着用手順を引用文献2に記載された着用手順に置き換えることは,いずれも公知である装着手順の中から当業者が容易になし得る着用手順の選択にすぎない。 ウ まとめ20以上によれば,本件審決の相違点1の容易想到性の判断に誤りがあるとする原告の主張には理由がない。 ⑶ 相違点2の容易想到性の判断の誤りについてア 実開平4-120757(甲5。以下「引用文献3」と ,本件審決の相違点1の容易想到性の判断に誤りがあるとする原告の主張には理由がない。 ⑶ 相違点2の容易想到性の判断の誤りについてア 実開平4-120757(甲5。以下「引用文献3」という。)では,高所作業者の車輌等による衝突事故防止,地上の監督者による柱上作業25者の確認の必要性を背景に,高所作業用安全帯4とベスト5の下端部と24を連結し,ベスト5又は安全帯4,又は両方4,5に注意喚起機能6を設けること,注意喚起機能6として夜光,蛍光,反射のベルト7又はシートをベスト5又は安全帯4に設けることが開示されている。実用新案登録3063889号公報(甲6。以下「引用文献4」という。)には,高所作業者の落下事故時に,作業者の身体を衝撃から保護する衝撃緩和装置5に関連して,高所作業時に逆反射性テープを使用することが開示されている。引用文献5には,「左の前身頃11と右の前身頃12及び背面の左右,即ち,後身頃13の左右に,チョッキ本体1の左右の肩部(上端部)から裾部(下端部)に掛けて縫着等により添着して設けた反射標識帯2,3を備えている」(【0016】)安全チョッキが開示されている。 10そうすると,高所作業者が着用する衣服において,安全確認・注意喚起が重要な課題であること,また安全確認・注意喚起のため当該衣服に反射標識帯を設けることは引用文献3及び引用文献4にみられるように本願出願日前に周知であるといえることから,高所作業者が着用する衣服である引用発明に当該周知技術を適用する動機付けがある。 15また,反射標識帯を,前身頃と後身頃の肩部から下端の裾部に掛けてそれぞれ備えられているように配置することは,引用文献3及び引用文献5にみられるように本願出願日前に周知である。 以上によれば,引用発明において,周知技術 前身頃と後身頃の肩部から下端の裾部に掛けてそれぞれ備えられているように配置することは,引用文献3及び引用文献5にみられるように本願出願日前に周知である。 以上によれば,引用発明において,周知技術を適用し,相違点2に係る本願発明1の構成とすることは,当業者が適宜なし得るものといえる。 20イ 原告は,前記第3の1⑶アのとおり,密封性を高めることに技術的特徴を有する引用発明に,密封性を高める技術的意味を有しない引用文献5に係る事項を適用することは考えられないと主張する。 しかし,そもそも,本件審決は,引用発明に引用文献5記載事項を適用するとしているのではなく,反射標識帯の配置について,前身頃と後前身25頃の方部から下端の裾部にかけて備えられている配置が周知であること25の根拠として引用文献5を挙げているのであり,原告の主張は前提を欠くものである。 なお,引用文献1の【0035】や【0053】では,幅広い衣服が想定され,その中にはベスト型の上着やつなぎ服など,通常密封性が要求されることのないものも含まれ,空調服に設ける場合でも,【0004】に5は,ファンを駆動することにより,外気を空調服内に取り入れ,袖口あるいは首周りから排出するものとされ,密封が必須のものとは想定されていない。 ウ 原告は,前記第3の1⑶イのとおり,引用発明と引用文献5に記載された事項は,技術目的が相違し,洗濯の可否といった特性が相反するので,10これらを容易に組み合わせることにも無理がある旨主張する。 しかし,本件審決は,発光ダイオードを有する反射標識帯を引用発明に適用することが容易であるとしているのではなく,反射標識帯の配置について,前身頃と後前身頃の方部から下端の裾部にかけて備えられている配置が周知で 審決は,発光ダイオードを有する反射標識帯を引用発明に適用することが容易であるとしているのではなく,反射標識帯の配置について,前身頃と後前身頃の方部から下端の裾部にかけて備えられている配置が周知であることの根拠として引用文献5を挙げていることは前15記イのとおりであるし,洗濯の可否については,本願明細書にも,引用文献1や引用文献5にも記載がない事項であるから,ここで考慮する必要もないのであって,原告の主張は採用できない。 エ まとめ以上によれば,本件審決の相違点2の容易想到性の判断に誤りがある20との原告の主張には理由がない。 ⑷ 小括以上のとおりであって,本件審決の進歩性の判断に誤りはない。 4 結論以上によれば,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,本件審決につい25て取り消されるべき違法は認められない。 26よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部 5 裁判長裁判官菅 野 雅 之 10 裁判官本 吉 弘 行 15 裁判官岡 山 忠 広27(別紙1)【技術分野】【0001】本発明は,高所で作業する作業者がフルハーネス型墜落制止用器具(安全帯)を装着し,その上に安全チョッキを装着することができるフルハーネス型墜落制止用5器具の上から着用できる反射標識帯を備えた安全チョッキに関する。 【背景技術】【0002】工 器具(安全帯)を装着し,その上に安全チョッキを装着することができるフルハーネス型墜落制止用5器具の上から着用できる反射標識帯を備えた安全チョッキに関する。 【背景技術】【0002】工事作業現場,建設現場で作業する作業員等,または交通整理や交通事故の処理,或いは検問等を行なう警察官等は,自身の存在を周囲に知らせて安全性を確保する10ために安全チョッキの着用が義務化されつつある。図8に示すように,従来の反射標識帯を備えた安全チョッキxとしては,チョッキ本体yの前面及び背面に,チョッキ本体yの左右の肩部から裾部に掛けて反射標識帯zをそれぞれ備えたものが一般に知られている。更に,反射標識帯zに複数の発光ダイオードLED(light emitting diode)を取り付けた自発光式反射標識帯を備えたも15のも知られている。 【0005】一方,高所で作業する作業者の墜落を阻止するために,図9,図10に示すように,フルハーネス型の墜落制止用器具(安全帯)51の着用が2020年1月から義務化される。このフルハーネス型墜落制止用器具51は,これを装着している作20業者の身体がフルハーネス型墜落制止用器具51から抜け出さないように複数のベルトで構成されている。従来の,1本のベルトのみの墜落制止用器具とは異なり,着用している人の身体を保護しやすいようになっている。このフルハーネス型墜落制止用器具51は,厚生労働省により,落下のおそれのある高所又はそれに類する場所で作業する作業者は,これを身体に装着すると共に,その一部をロープ(ラン25ヤード)60を介して周囲の固定体に連結することが義務付けられている。このフ28ルハーネス型墜落制止用器具51により,高所作業の現場から落下しても作業者は安全に宙吊りとなるようにしている。 5ヤード)60を介して周囲の固定体に連結することが義務付けられている。このフ28ルハーネス型墜落制止用器具51により,高所作業の現場から落下しても作業者は安全に宙吊りとなるようにしている。 【発明が解決しようとする課題】【0010】上述したように,作業者は反射標識帯を備えた安全チョッキxを装着することが5義務付けられる。更に,地上から6.75m以上の高所での作業にはフルハーネス型墜落制止用器具51を装着することも義務付けられた。そこで,高所での作業者は,反射標識帯を備えた安全チョッキxとフルハーネス型墜落制止用器具51の両方の装着が必要になる。 【0012】10従来の図9に示す形態の安全チョッキxの構造では,フルハーネス型墜落制止用器具51には,その背面側に位置するD環58又はショックアブソーバ59にランヤード60の一端が掛け止められている。このD環58又はショックアブソーバ59が,この安全チョッキxの背面から露出させることができないという問題を有していた。 15【発明の目的】【0014】本発明は,かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち,本発明の目的は,反射標識帯を備えた安全チョッキの構造に工夫を施すことで,フルハーネス型墜落制止用器具を装着した状態でも,反射標識帯を備えた安全チョッキ20の背面からD環又はショックアブソーバを,ランヤードと共に容易に取り出すことができ,安全チョッキの反射能,発光能の機能を損なうことがないフルハーネス型墜落制止用器具の上から着用できる反射標識帯を備えた安全チョッキを提供することにある。 【課題を解決するための手段】25【0015】29第1の本発明は,フルハーネス型墜落制止用器具(51)の上から,ランヤード(60)とD環(5 えた安全チョッキを提供することにある。 【課題を解決するための手段】25【0015】29第1の本発明は,フルハーネス型墜落制止用器具(51)の上から,ランヤード(60)とD環(58)とを引き出した状態で着用できる,フルハーネス型墜落制止用器具の上から着用できる反射標識帯を備えた安全チョッキ(11)であって,袖がなく丈の短い,前身頃(14,15)と後身頃(16)で構成されるチョッキ本体(13)と,5前記チョッキ本体(13)の前身頃(14,15)と後身頃(16)の肩部から下端の裾部(14a,15a,16a)に掛けてそれぞれ備えられている反射標識帯(18)と,前記チョッキ本体(13)の後身頃(16)の襟に相当する位置から下方の位置に,前記フルハーネス型墜落制止用器具(51)のランヤード(60)とD環(5108)とを引き出すために上下方向に開けられた,該ランヤード(60)の先端に付けられたフック(61)を通すことができる程度の内径を有する通し穴(12)と,前記通し穴(12)に取り付けられたファスナー(20)と,を備え,前記フルハーネス型墜落制止用器具(51)を既に装着している着用者が,前記安全チョッキ(11)を着用する際に,前記チョッキ本体(13)の両アームホー15ル(袖ぐり)に腕を通しながら羽織り,前記ファスナー(20)を開けて通し穴(12)を開放し,該通し穴(12)からフルハーネス型墜落制止用器具(51)のD環(58)とランヤード(60)を引き出せるように構成された,ことを特徴とする。 【0017】20第2の本発明は,フルハーネス型墜落制止用器具(51)の上から,ランヤード(60)とD環(58)とを引き出した状態で着用できる,フルハーネス型墜落制止用器具の上から着用できる反射標識帯を備 20第2の本発明は,フルハーネス型墜落制止用器具(51)の上から,ランヤード(60)とD環(58)とを引き出した状態で着用できる,フルハーネス型墜落制止用器具の上から着用できる反射標識帯を備えた安全チョッキ(41)であって,袖がなく丈の短い,前身頃(14,15)と後身頃(16)で構成されるチョッキ本体(13)と,25前記チョッキ本体(13)の前身頃(14,15)と後身頃(16)の肩部から30下端の裾部(14a,15a,16a)に掛けてそれぞれ備えられている反射標識帯(18)と,前記チョッキ本体(13)の後身頃(16)の襟に相当する位置から下方の位置に,前記フルハーネス型墜落制止用器具(51)のランヤード(60)とD環(58)とを引き出すために上下方向に開けられた,該ランヤード(60)の先端に付5けられたフック(61)を通すことができる程度の内径を有する通し穴(42)と,を備え,前記フルハーネス型墜落制止用器具(51)を既に装着している着用者が,前記反射標識帯を備えた安全チョッキ(41)を着用する際に,前記通し穴(42)にその内側から外側に向けてランヤード(60)を差し込んだ状態で,前記チョッキ10本体の両アームホール(袖ぐり)に腕を通しながら羽織り,ランヤード(60)のフック(61)を引っ張り,該通し穴(42)からD環(58)を引き出せるように構成された,ことを特徴とする。 【0018】第1の本発明の構成では,反射標識帯(18)が備えられている安全チョッキ(1151)に,上下方向に開けられた通し穴(12)に取り付けたファスナー(20)を開けて,既に着用しているフルハーネス型墜落制止用器具(51)のD環(58)を引き出す。その後,安全チョッキ(11)の両アームホール(袖ぐり)に腕を通して羽 (12)に取り付けたファスナー(20)を開けて,既に着用しているフルハーネス型墜落制止用器具(51)のD環(58)を引き出す。その後,安全チョッキ(11)の両アームホール(袖ぐり)に腕を通して羽織る。この動作だけで,フルハーネス型墜落制止用器具(51)を装着した状態で,安全チョッキ(11)の背面からランヤード(60)を取り出すことがで20き,安全チョッキ(11)の反射標識帯(18)の反射能,発光能の機能を損なうことがない。 安全チョッキ(11)のみを装着する際には,ファスナー(20)を閉じれば通し穴(12)が開かないので,この通し穴(12)に他の物が引っ掛からず安全に作業することができる。 25【0019】31第2の本発明の構成では,上下方向に開けられた通し穴(42)にその内側から外側に向けてランヤード(60),フック(61)を差し込んだ状態にしてから,反射標識帯(18)が備えられている安全チョッキ(41)の両アームホール(袖ぐり)に腕を通し,両前身頃(14,15)を合わせるように羽織る。その後,ランヤード(60)を引っ張り,通し穴(42)からD環(58)を引き出す。フル5ハーネス型墜落制止用器具(51)を装着した状態で,安全チョッキ(41)の背面からランヤード(60)を容易に引き出すことができ,安全チョッキ(41)の反射標識帯(18)の反射能,発光能の機能を損なうことがない。 【0021】本発明は,着用者が既に装着しているフルハーネス型墜落制止用器具の上から反10射標識帯を備えた安全チョッキを着用できるものである。ランヤードとD環は反射標識帯を備えた安全チョッキの背面から引き出した状態で使用できるようになっている。 【実施例1】【0022】15<反射標識帯を備えた安全チョッキの構成>以 る。ランヤードとD環は反射標識帯を備えた安全チョッキの背面から引き出した状態で使用できるようになっている。 【実施例1】【0022】15<反射標識帯を備えた安全チョッキの構成>以下,本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。 図1は実施例1の反射標識帯を備えた安全チョッキを示し,(a)は正面図,(b)は背面図である。図2は実施例1の反射標識帯を備えた安全チョッキのファスナー部分を示す拡大正面図であり,(a)は通し穴を閉じた状態,(b)は通し穴を開20けた状態である。図3は実施例1の反射標識帯を備えた安全チョッキの通し穴からランヤードとD環を引き出した状態を示す斜視図である。 実施例1の反射標識帯を備えた安全チョッキ11は,身体に装着するように形成された,袖がなく丈の短い胴衣であり,これにフルハーネス型墜落制止用器具51の一部を通す通し穴12を開けたものである。 25【0023】32反射標識帯を備えた安全チョッキ11を構成するチョッキ本体13は,この前面の左右に,左前身頃14と右前身頃15及び背面に,後身頃16で構成される。チョッキ本体13は,通気性を考慮してメッシュ生地等で製造されたものが好ましい。 左右前身頃14,15の裾部14a,15aと後身頃16の裾部16aにより胴ベルト部17が形成される。胴ベルト部17は,図1に示すように止め具として,こ5の胴ベルト部17の両端に面状ファスナー(図示せず)を設けた構成を採用している。または,ホックなどの他の部材を用いることができる。 【0024】チョッキ本体13の左右前身頃14,15の肩部から下端の裾部14a,15aに掛けてそれぞれ反射標識帯18を備えている。各反射標識帯18は再帰反射性シ10ート材や反射クロス材等の反射材で適当な巾に構成されている 3の左右前身頃14,15の肩部から下端の裾部14a,15aに掛けてそれぞれ反射標識帯18を備えている。各反射標識帯18は再帰反射性シ10ート材や反射クロス材等の反射材で適当な巾に構成されている。図示例では反射標識帯18に複数の発光ダイオードLED19を取り付けた自発光式反射標識帯を示している。本発明は反射標識帯を備えた安全チョッキ11にフルハーネス型墜落制止用器具51用の通し穴12を開けた構成であれば,反射標識帯18と自発光式反射標識帯のいずれの安全チョッキ11にも実施することができる。 15【0025】また,図示していないが,反射標識帯18に代えて,あるいは反射標識帯18と共に,その反射標識帯を備えた安全チョッキ11を着用している作業者の担当名を表示する「担当名称」の中板(シート)を着脱自在に挿入する透明なポケットを備えたものでもよい。「担当名称」としては,例えば,「誘導員」,「監視員」,「合20図者」などがある。この「担当名称」のポケットは,反射標識帯を備えた安全チョッキ11の前面側,背面側の何れにも構成することができる。本発明では背面側には,後述するようにフルハーネス型墜落制止用器具51の金具を露出させる通し穴12が必要になるため,このポケットは前面側のみになる。 【0026】25<「通し穴」の構成>33実施例1の反射標識帯を備えた安全チョッキ11は,チョッキ本体13の背面側(後身頃16)の上部にフルハーネス型墜落制止用器具51用の通し穴12を開けたものである。フルハーネス型墜落制止用器具51のD環58とランヤード60をこの通し穴12から引き出した状態で,反射標識帯を備えた安全チョッキ11を装着できるようになる。 5【0027】この通し穴12は,図1,図2に示すように,チョッキ本体13の背 ンヤード60をこの通し穴12から引き出した状態で,反射標識帯を備えた安全チョッキ11を装着できるようになる。 5【0027】この通し穴12は,図1,図2に示すように,チョッキ本体13の背面側(後身頃16)に襟に相当する上端縁から5cm程度の下方(間隔a)に,上下方向に開けられている。この通し穴12は,所謂ジッパー,チャックと称されるファスナー20で開閉自在になっている。ファスナー20の全長が10cm程度の長さ(間隔10b)を有する。この通し穴12は,ランヤード60の先端に付けられているフック61を通すことができる程度の内径は必要である。 【0028】図2の拡大図に示すように,例えば,ファスナー20のスライダー21が上部にある,「上止」の状態を示している。この通し穴12は,図2(a)に示すように,15このファスナー20でスライダー21が上部にあるときは閉じた状態になる。スライダー21を下げるとエレメント(務歯)22の噛み合いが解けて通し穴12が開放される。図2(b)に示すように,この開放された通し穴12からフルハーネス型墜落制止用器具51のD環58とランヤード60を引き出すようになっている。 この図示例は,通し穴12から引き出したD環58の断面の状態を示している。 20【0029】実施例1の反射標識帯を備えた安全チョッキ11を着用する際は,例えば,着用者はフルハーネス型墜落制止用器具51を装着した後,この反射標識帯を備えた安全チョッキ11の通し穴12のファスナー20を開け,ここにランヤード60のフック61を差し込み,そのフルハーネス型墜落制止用器具51を装着した状態で,25反射標識帯を備えた安全チョッキ11の両アームホール(袖ぐり)部分に腕を通し34ながら,両前身頃14,15を合わせるように羽織る。そ そのフルハーネス型墜落制止用器具51を装着した状態で,25反射標識帯を備えた安全チョッキ11の両アームホール(袖ぐり)部分に腕を通し34ながら,両前身頃14,15を合わせるように羽織る。その後,通し穴12からランヤード60とD環58を引き出して,装着が完了する。反射標識帯を備えた安全チョッキ11の反射能,発光能の機能を損なうことがない。 なお,フルハーネス型墜落制止用器具51と反射標識帯を備えた安全チョッキ11を装着する前に,この反射標識帯を備えた安安全チョッキ11の通し穴12から5ランヤード60とD環58を通した状態で,フルハーネス型墜落制止用器具51と反射標識帯を備えた安全チョッキ11を共に着用する方法でもよい。 【0037】実施例2の反射標識帯を備えた安全チョッキ41を着用する際は,例えば,着用者はフルハーネス型墜落制止用器具51を装着した後,この反射標識帯を備えた安10全チョッキ41通し穴42にランヤード60のフック61を差し込み,そのフルハーネス型墜落制止用器具51を装着した状態で,反射標識帯を備えた安全チョッキ41の両アームホール(袖ぐり)部分に腕を通しながら,両前身頃14,15を合わせるように羽織る。その後,通し穴42からランヤード60とD環58を引き出して,装着が完了する。反射標識帯を備えた安全チョッキ41の反射能,発光能の15機能を損なうことがない。 なお,フルハーネス型墜落制止用器具51と反射標識帯を備えた安全チョッキ41を装着する前に,この反射標識帯を備えた安全チョッキ41の通し穴42からランヤード60とD環58を通した状態で,フルハーネス型墜落制止用器具51と反射標識帯を備えた安全チョッキ41を共に着用する方法でもよい。 20 25 35【図1】 ード60とD環58を通した状態で,フルハーネス型墜落制止用器具51と反射標識帯を備えた安全チョッキ41を共に着用する方法でもよい。 20 25 35【図1】 536【図2】(a) (b) 5 10 【図3】 37 【図7】(a) (b) 【図8】(a) (b) 38 【図9】 【図10】 (別紙2)394041424344454647484950515253

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る