- 1 -判 決 主 文 被告人を懲役16年に処する。 未決勾留日数中350日をその刑に算入する。 理 由 (罪となるべき事実)第1 被告人は,Aと共謀の上,平成30年8月16日午前5時8分頃,愛知県あま市ab番地B(以下「本件マンション」という。)北側駐車場において,C(当時44歳。以下「被害者」という。)に対し,ひも様のもので縛られた同人の両手首付近をつかんで引っ張り,同人を前記駐車場から本件マンション1階通路内に連行し,もって不法に人を逮捕した。 第2 被告人は,Aと共謀の上,平成30年8月16日,岐阜県揖斐郡c町de 番地のf「D」g棟h号室において,被害者に対し,殺意をもって,その頸部をベルト様のもので絞め,よって,即時同所において,同人を頸部圧迫による窒息により死亡させて殺害した。 (事実認定の補足説明)第1 本件の争点本件の争点は,①被告人が被害者を不法に逮捕したといえるか(争点1),②被害者が生きているときに,被告人が,殺意をもって,Aと共に被害者の首をベルト様のもので絞めたといえるか(争点2)である。 第2 逮捕罪の成否(争点1) 1 認定事実⑴ 被告人の使用する日産ジューク(以下「被告人車両」という。)のドライブレコーダー映像(甲31)等関係証拠によれば,被告人が,本件犯行当日の午前5時8分頃,本件マンション北側駐車場から同マンション1階通路まで,被害者の手首付近をつかんで引っ張ったこと,その際,被害者の両手の手首 - 2 -付近がひも様のもので縛られていたこと,被害者が失禁していたこと,Aが被告人と被害者の後を追随していたことが認 被害者の手首付近をつかんで引っ張ったこと,その際,被害者の両手の手首 - 2 -付近がひも様のもので縛られていたこと,被害者が失禁していたこと,Aが被告人と被害者の後を追随していたことが認められる。 以上の事実によれば,被告人は,Aと共に被害者を不法に逮捕したものと認められる。 ⑵ この点について,弁護人は,被害者の手には単に何かが掛かっていただけであった可能性があると主張する。 しかし,上記ドライブレコーダー映像を精査すると,被害者の手に単に何かが掛かっているのではなく,両手の手首付近がひも様のもので縛られていることが間違いなく認められる。したがって,弁護人の主張は採用することができない。 2 被告人の公判供述これに対し,被告人は,当公判廷において,被害者の両手がひも様のもので縛られていたことに気付いていなかったと供述する。 しかし,被告人が本件マンション駐車場で降車した被害者の手首付近をつかんで引っ張ったことなどからすると,被害者の両手がひも様のもので縛られていたことに気付かなかったというのは不自然である。被告人の上記供述は信用することができない。 3 弁護人の主張弁護人は,被告人が被害者に対して穏やかな口調で声掛けをしていることなどを指摘して,被害者が被告人から書類を返してもらったり,着替えをしたりする目的で自ら進んで本件マンションに来たといえ,被告人が被害者をその意思に反して連行したとはいえないと主張する。 しかし,被害者がひそかに睡眠導入剤を飲まされた上,その両手を縛られ,失禁した状態で,被告人に引っ張られて歩いていることなどからすると,被害者が自ら進んで本件マンションに来たとはおよそ考えられない。被害者が特に抵抗しなかったのであるから,被告人において被害者に対して厳しい口調で命 - 3 張られて歩いていることなどからすると,被害者が自ら進んで本件マンションに来たとはおよそ考えられない。被害者が特に抵抗しなかったのであるから,被告人において被害者に対して厳しい口調で命 - 3 -令等する必要はなく,弁護人指摘の点は,逮捕罪の成立を否定する事情にはならない。弁護人の主張は採用することができない。 4 結論以上によれば,被告人は,判示第1記載のとおり,Aと共に被害者を不法に逮捕したものと認められる。 第3 殺人罪の成否(争点2) 1 被告人の捜査段階における自白⑴ 被告人は,捜査段階において,①Aが被害者の首をベルトで絞めていることに気付いた後,Aのところに近寄ってAの肩か腕を触った,②そのとき,被害者からヒューとかグーといった音がしたのを聞いて,被害者が生きていると判断した,③その後,Aは,再度被害者の首をベルトで絞めた,④その様子を眺めていると,Aから,「Gさん,Gさん。」,「お願いします,持ってください。」と言われ,ベルトの片端を差し出されたため,それを両手で握り,そのまま躊躇せずAと綱引きのようにベルトを引っ張り合って,あぐらをかいたような状態で上体を起こして座っていた被害者の首を絞めた,⑤Aの力が強く,ベルトが自分の手から引き抜かれるようにずれていき,ベルトを握る両手の痛みに耐えかねて手を放すと,Aは尻もちをつき,被害者もAの方に向かって倒れたなどと供述する。 ⑵ 被告人の捜査段階における上記供述部分(以下「被告人の自白」という。)は,以下の理由により信用することができる。 まず,被告人の自白の内容は,本件殺人により被告人の右手中指第二関節部にけがが生じたことと良く整合する。すなわち,救急医療等が専門のF医師は,①本件殺人事件の10日後(平成30年8月26日)に撮影された被告人の手の の内容は,本件殺人により被告人の右手中指第二関節部にけがが生じたことと良く整合する。すなわち,救急医療等が専門のF医師は,①本件殺人事件の10日後(平成30年8月26日)に撮影された被告人の手の写真(甲39)について,右手中指第二関節部に表皮剥離,皮下出血が生じたような損傷が確認できる,②被告人の自白のように,Aと共に被害者の首に巻かれたベルトを綱引きのように引っ張り合って絞めた場合, - 4 -利き手である右手中指の第二関節に外力が加わり,傷が生じやすいから,上記損傷状況と一致するなどと証言するところ,その証言内容は,専門知識に基づいた説得的な内容であるので,十分信用することができる。 また,被告人は,捜査段階(平成31年3月18日)において,前記Dg棟h号室(以下「本件現場」という。)で,犯行再現を行った上で,後日(同月20日),その再現に基づいて,犯行態様に関する供述をして,その供述内容が録取されており(乙15),自白の内容はそれなりに迫真性に富むものであるといえる。上記供述調書(乙15)には,被告人が内容の読み聞かせを受けた際,追加して供述したAとの会話内容について,きちんと録取されており,同調書は,被告人の当時の言い分をきちんと録取したものといえる。 さらに,被告人は,捜査段階において,自白をした理由として,手のけがを警察に写真撮影されていたことで言い逃れができないと考えたからであると供述していたところ,その理由は説得的である。 そして,被告人は,遅くとも本件殺人事件で勾留請求された平成31年3月15日から同事件で起訴される前日である同年4月2日まで,一貫して自白をしていた。 以上によれば,被告人の自白は信用することができる。 ⑶ この点について,被告人は,当公判廷において,①捜査段階では,自分の 件で起訴される前日である同年4月2日まで,一貫して自白をしていた。 以上によれば,被告人の自白は信用することができる。 ⑶ この点について,被告人は,当公判廷において,①捜査段階では,自分の頭の中で考えたストーリーを話して,虚偽の自白をした,②虚偽の自白をしたのは,どうせ全部自分の責任にされると思ったので,殺人を認めて死刑になればいいという気持ちがあったこと,内妻にマスコミの取材が殺到するのを防ぎたいと考えたこと,逮捕罪で逮捕された日(平成31年2月13日),初めは黙秘するつもりにしていたが,担当警察官に対して,金融機関から50万円の融資を受けて,それを内妻に渡すことができれば,すべて認めて話すと持ちかけたところ,それを認めてもらえ,担当警察官に対して恩義を感じたことなどからであるなどと供述する。 - 5 -しかし,被告人は,捜査段階において,逮捕罪については,記憶がないなどとして,被疑事実を否認していたこと,被告人の自白はAが最初に被害者の首を絞め始めたといった内容のものであり,本件殺人事件について自分一人が責任を負う内容になっていないこと,自分がAも殺したと供述していたわけでもないことなどからすると,死刑になればいいと考えて虚偽の自白をしたとの供述は説得力がない。 また,被告人の内妻は,本件への関与が疑われていたわけでもないので,被告人が,やってもいない殺人を自供した場合,内妻への取材が増えることはあっても,減るとは考えられないので,内妻への取材を防ぎたいと考えて虚偽の自白をしたとの供述も説得力がない。 確かに,被告人は,逮捕罪による逮捕当日,金融機関から50万円の融資を受け,後日,そのうち40万円を内妻に渡したことが認められるが,定職に就いていて収入がある内妻に,その程度の金額の現金を渡すために, かに,被告人は,逮捕罪による逮捕当日,金融機関から50万円の融資を受け,後日,そのうち40万円を内妻に渡したことが認められるが,定職に就いていて収入がある内妻に,その程度の金額の現金を渡すために,有罪となれば重い刑が科されることが容易に想像できる殺人をやってもいないのに自白し,本件殺人で起訴されるまで,自白を覆さなかったというのは,不自然である。 被告人の上記公判供述は,信用することができず,被告人の自白の信用性に疑問を生じさせるものではない。 ⑷ 弁護人は,被告人の自白を録取した供述調書(乙11,15)に被害者の体勢について記載されていない点を指摘し,被告人の自白が信用できないと主張する。しかし,被告人は,当公判廷において,捜査段階では,被害者があぐらをかいたような状態で起きて座っていたと供述したことを認めている。また,被告人は,本件現場において,被害者があぐらをかいたような状態で起きて座っていることを前提に犯行再現を行っていて,その2日後に犯行状況に関する供述調書を録取された際も,その点について,訂正を申し入れていない(乙15)のであるから,弁護人の上記主張は,被告人の自白の - 6 -信用性に疑問を生じさせるものではない。 また,弁護人は,被告人による犯行再現の内容は,被害者の遺体があった場所と整合しないので,被告人の自白は信用することができないと主張する。 しかし,被告人の公判供述によれば,被害者が死亡した後,Aにおいて,被害者の衣服を脱がせるために被害者の遺体を動かした,というのであるから,被害者の遺体があった場所は,前記犯行再現の信用性に影響を与えない。 弁護人は,被告人がAと共に綱引きをするように引っ張り合い,被害者の首を絞めて殺したのであれば,被害者が死亡した時点で,その姿勢が崩れ,被告人とAも体 ,前記犯行再現の信用性に影響を与えない。 弁護人は,被告人がAと共に綱引きをするように引っ張り合い,被害者の首を絞めて殺したのであれば,被害者が死亡した時点で,その姿勢が崩れ,被告人とAも体勢を崩してしまうことになり,犯行再現のようにはならないはずであると主張する。しかし,F医師の証言によれば,呼吸停止や心臓停止の状態になっても,一定時間,脳の活動は保たれるというのであるから,被告人とAが被害者の首を絞めている最中に,被害者が完全に死亡したと断言することはできないし,被告人とAは,被害者が倒れた後,救命措置を特に施さなかったのであるから,被告人がベルトを握る手を放し,被害者が倒れた後に死亡した可能性もある。弁護人の指摘は,被告人の自白の信用性に疑問を生じさせるものではない。 その他,弁護人が主張する点は,いずれも被告人の自白の信用性に疑問を生じさせるものではない。 2 被告人の公判供述⑴ これに対し,被告人は,当公判廷において,①被害者の首をベルトで絞めていたAから,ベルトを持った手を上下に振る感じで,「Gさん,Gさん,お願いします,お願いします。」などと声を掛けられ,思わずベルトの片端を片手で握ってしまった,②Aがベルトを強く引っ張ったので,両手で握り直したが,Aが更に強くベルトを引っ張ったので,ベルトが手からすっと抜けてしまった,③ベルトを握ってから抜けるまで,数秒から十数秒間であったなどと,捜査段階における自白と相反する内容の供述をしている。 - 7 -⑵ しかし,被告人の公判供述のうち,捜査段階における自白と相反する部分は,以下の理由により到底信用することができない。 まず,被告人は,殺害状況に関する部分だけでなく,本件犯行当日の他の出来事についても,合理的な理由がなく,自分の責任を否定する方向で 反する部分は,以下の理由により到底信用することができない。 まず,被告人は,殺害状況に関する部分だけでなく,本件犯行当日の他の出来事についても,合理的な理由がなく,自分の責任を否定する方向で供述内容を大きく変遷させている。例えば,被告人は,本件犯行当日の午前11時5分頃,「炭火一酸化炭素中毒」とインターネットで検索した理由について,捜査段階においては,被害者を一酸化炭素中毒で殺してやろうと思って検索したと供述していたのに,当公判廷においては,それを否定し,このタイミングで検索した理由について,合理的な説明をしていない。 また,被告人は,捜査段階の自白を覆した理由について,内妻から,被告人が死んだら生きていけない,何年でも待つと言われたので,本当のことを話すことにしたなどと供述している。しかし,内妻は,被告人と接見した際,被告人と重い刑になるといった話をしたことを否定しており,この点に関する被告人の供述内容は,内妻の証言内容とも整合しない。被告人と内妻との接見等禁止は,本件殺人による逮捕前の平成31年2月25日に解除されており,被告人が本件殺人で起訴されるまで,自白を維持した理由として,説得的ではない。 ⑶ 被告人の上記公判供述は,信用することができないので,被告人の自白が信用できるという結論は揺るがない。 3 認定事実⑴ 信用できる被告人の自白等関係証拠によれば,被告人は,被害者の首に巻かれたベルトの一端を両手で握り,他方を握ったAと綱引きをするように引っ張り合って,被害者の首を絞めたことが認められ,被告人の行為が人の死の結果を生じさせる危険性の高い行為であることは明らかである。そして,この犯行態様からすれば,被告人に殺意があったと認められる。 ⑵ また,以下の理由から,被告人がAと共に被害者の首をベルトで絞め始 の結果を生じさせる危険性の高い行為であることは明らかである。そして,この犯行態様からすれば,被告人に殺意があったと認められる。 ⑵ また,以下の理由から,被告人がAと共に被害者の首をベルトで絞め始め - 8 -た際,被害者が生きていたと認められる。 すなわち,信用性の高い被告人の自白によれば,被告人が,Aと共に被害者の首を絞め始めた際,被害者があぐらをかいたような状態で上体を起こしていたこと,その直前に被害者がヒューとかグーといった音を出したことが認められる。 この点について,F医師は,①人が死亡すると,死後一,二時間程度が経過して死後硬直が始まるまでは体の筋肉が弛緩するので,被害者が座った姿勢を保つことができなくなる,②被害者が出した音は呼吸音であると考えられると証言しているところ,その証言内容は,医学的な知見に基づく説得的なもので,十分信用することができる。 また,被害者の遺体を解剖したE医師の証言等関係証拠によれば,被害者の顔面には強いうっ血が生じていたこと,頸椎に骨折等の損傷が見られなかったことが認められる。 E医師とF医師の各証言によれば,これらの事実は,被害者が迷走神経反射等により短時間のうちに心臓が停止して死亡したのではなく,気管が圧迫されて呼吸停止となり,頸静脈が圧迫されて顔面にうっ血が生じ,その後心臓が停止し,更に一定時間が経過して死亡したことを示すものと理解することができる。 ⑶ これに対し,被告人は,当公判廷において,ベルトを握った際,被害者の上体は丸くなっていて,左右どちらかに体が傾いていたなどと供述する。しかし,被告人の公判供述は前記のとおり,少なくとも捜査段階の供述と相反する部分は信用性が低い上,被害者の体勢が既に崩れていたというのであれば,Aが被告人に加勢を求める必要もない たなどと供述する。しかし,被告人の公判供述は前記のとおり,少なくとも捜査段階の供述と相反する部分は信用性が低い上,被害者の体勢が既に崩れていたというのであれば,Aが被告人に加勢を求める必要もないと考えられることなどからすると,この点に関する被告人の公判供述も信用することができない。被告人の公判供述は,上記事実認定を左右しない。 ⑷ この点について,弁護人は,睡眠導入剤を服用した影響等により,被害者 - 9 -の死期が通常よりも早まり,被告人が被害者の首を絞め始めた時点では,被害者が既に死亡していた可能性があると主張する。 確かに,F医師は,睡眠導入剤を服用することによって,個人差はあるものの,呼吸が弱まる可能性があると証言する。しかし,F医師が,被害者の遺体の血中濃度から推定される睡眠導入剤の摂取量では,呼吸に影響がない者もかなりいると証言していること,被告人が被害者の首を絞め始める直前に被害者が呼吸をしたと認められることなどからすると,弁護人指摘の点を踏まえて検討しても,被告人がAと共に被害者の首を絞め始めた時点で,被害者は生きていたとの判断は揺るがない。 ⑸ なお,検察官は,被告人が捜査段階で供述するようなAが一人で被害者の首を絞めた場面はなかったし,仮に,そういう場面があったとしても,Aが被告人と意思を通じてした行為であると主張する。 しかし,被告人が,捜査段階において,Aが最初に被害者の首を絞め始め,その後,それに気付いて加勢したと一貫して供述していたこと,Aが本件当時,借金返済に窮しており,それなりに積極的に一連の計画に関与し,本件前日に被害者と会ってから,被害者と2人だけでやり取りをする場面もあったことなどからすると,被告人の捜査段階供述のうち,上記部分に限り信用することができないとする決め手があると の計画に関与し,本件前日に被害者と会ってから,被害者と2人だけでやり取りをする場面もあったことなどからすると,被告人の捜査段階供述のうち,上記部分に限り信用することができないとする決め手があるとまではいえない。この点に関する検察官の主張は採用することができない。 4 結論以上によれば,被告人は,判示第2記載のとおり,殺意をもって,Aと共に被害者の首をベルト様のもので絞めて被害者を殺害したものと認められる。 (法令の適用)罰条判示第1の所為刑法60条,220条判示第2の所為刑法60条,199条 - 10 -刑種の選択判示第2の罪について有期懲役刑を選択併合罪の処理刑法45条前段,47条本文,10条(重い判示第2の罪の刑に同法47条ただし書の制限内で法定の加重)未決勾留日数の算入刑法21条訴訟費用の処理刑事訴訟法181条1項ただし書(不負担)(量刑の理由)本件は,かつて介護事業を営んでいた被告人が,顧問社会保険労務士であった被害者との間で同事業を巡りトラブルが生じたことなどから,被害者に恨みを募らせ,被害者に報復しようと考え,インターネットサイトを通じて誘い込んだ共犯者と共に報復計画を実行する中で本件逮捕に及んだ挙げ句,それをエスカレートさせて被害者を殺害したという事案である。 被告人は,借金返済に窮していた共犯者を報復計画に誘い込み,自ら,あるいは,共犯者に指示するなどして,本件現場を賃借したり,自動車を購入したり,睡眠導入剤を入手したりするなど,相当大掛かりな準備を行い,本件各犯行の前日に,被害者を本件現場におびき出し,共犯者と共に報復計画を実行する中で計画をエスカレートさせて,被 り,自動車を購入したり,睡眠導入剤を入手したりするなど,相当大掛かりな準備を行い,本件各犯行の前日に,被害者を本件現場におびき出し,共犯者と共に報復計画を実行する中で計画をエスカレートさせて,被害者を殺害している。検察官も本件殺人に計画性があると主張するものではなく,捜査段階の自白のとおり,共犯者が先に被害者の首を絞め始めたことを前提としても,被告人は,躊躇することなく共犯者と共に被害者の首を絞めて被害者を殺害しており,その犯意は強く,本件殺人において被告人の果たした役割は相当大きい。被害者とのトラブルについては,民事裁判等合法的な方法により解決すればよかったのであり,本件各犯行を正当化する事情にはなり得ない。このように本件各犯行の経緯に特段酌むべき事情は見当たらない。 また,尊い人命を奪った結果は重大であり,被害者の無念さは察するに余りある。 突然息子を失った被害者の両親らの悲しみは深く,被告人から慰謝の措置を受けていない被害者の母親が,遺族を代表して被告人を極刑にするよう求めるのも当然で - 11 -ある。 さらに,被告人には,強姦,強盗強姦,監禁等により2度服役した前科があるところ,前刑執行終了後,10年以上が経過しているとはいえ,前刑の服役に懲りることなく,被害者に対する報復計画を立て,特に躊躇することもなく本件殺人にまで及んだことは,このような前科がない者と比較すると,相応に強い非難に値する。 以上の事情に加え,被告人が捜査段階では本件殺人について自白していたものの,当公判廷において,不合理な弁解に終始し,反省の態度が見られないことなどを踏まえると,被告人の帰りを待つ内妻がいることなどの事情を被告人にとって有利に最大限考慮したとしても,被告人の刑事責任は相当重いというほかなく,同種事案(殺人1件,共犯,凶器ひも られないことなどを踏まえると,被告人の帰りを待つ内妻がいることなどの事情を被告人にとって有利に最大限考慮したとしても,被告人の刑事責任は相当重いというほかなく,同種事案(殺人1件,共犯,凶器ひも・ロープ類,被害者との関係知人等,示談等なし)の量刑傾向を踏まえると,検察官の求刑するとおり,主文の刑に処するのが相当であると判断した。 (検察官唐木智規,同倉地えりか,国選弁護人金井正成(主任),同磯貝隆博各出席)(求刑懲役16年)令和2年7月21日名古屋地方裁判所刑事第5部 裁判長裁判官板津正道 裁判官西脇真由子 裁判官梁川将成
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