【DRY-RUN】主 文 本件各上告を棄却する。 理 由 弁護人美村貞夫上告趣意第一点について。 原判決の判示とその挙げている証拠就中G述の聴取書中「私は、七尾のH旅館に お
主文 本件各上告を棄却する。 理由 弁護人美村貞夫上告趣意第一点について。 原判決の判示とその挙げている証拠就中G述の聴取書中「私は、七尾のH旅館におるEに頼あば朝鮮に帰れると聞き本月(昭和二二年一二月)十七日七尾のH旅館に来てIと名乗つておるEに会い朝鮮に帰りたいがどんなものかときくと、この通り(海が)荒れてゐるから二、三日待てと云われたとの供述記載と対照すると、原判決の認定した本件犯罪事実は、要するに、被告人A、同Bは、原審相被告人C、同D及び第一審相被告人Eと共謀の上相共に物資を石川県a港から船積みして朝鮮に密輸出しようと企て、被告人Aにおいて、判示のごとく昭和二二年一一月中右目的に使用するため機帆船J丸を買い取り、その修理艤装を進め同年一二月中旬頃迄の間に燃料その他消耗品の調弁、船員の雇入れなど航海準備を遂行する一面同被告人又は前記被告人等が京阪神又は東京都で買入れ又は委託を受けた判示多数の物資を、同月半頃天候次第出航予定の右J丸に船積するためその頃までに七尾市に搬入の上同市内に保管し被告人等はその頃同市内において天候の回復する迄船積及び出航を待機していたというのである。されば、被告人等の所為は、輸出のための単なる準備行為の程度を超えて船積出航行為に接着近接する行為の段階にまで到達したものであるから、関税法の罰則等の特例に関する勅令第一条第二項にいわゆる「輸出しようとした者」に該当するものといわなければならない。論旨は、それ故に、採ることができない。 同第二点について。 昭和二三年七月七日法律第一〇七号第三八条によれば、所論関税法の罰則等の特例に関する件は、これを廃止すると規定されていることは、所論のとおりである。 - 1 -しかし、同法律第五八条には「この法律施行前になした昭和 日法律第一〇七号第三八条によれば、所論関税法の罰則等の特例に関する件は、これを廃止すると規定されていることは、所論のとおりである。 - 1 -しかし、同法律第五八条には「この法律施行前になした昭和二〇年勅令第五四二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く関税法の罰則等の特例に関する件違反行為に対する罰則の適用並びに同令の規定する処分手続その他の行為については、なお従前の例による。」と明定されている。されば、昭和二二年一二月中になされた本件違反行為について、従前の例により前示特例第一条第二項を適用した原判決は、適法であつて、所論は当らない。 同第三点について。 原判決が、その証拠理由において、所論司法警察官の検証、捜索押収調書中の記載を掲げたこと並びに原審公判廷において、該調書について証拠調の手続が行われたと認むべき形跡のないことは所論のとおりである。しかし、原判決の証拠説明中に掲げられた右調書中の記載は、その記載自体で明らかなように本件犯罪の構成事実を直接に証明すべき内容を有するものでなく、同証拠説明中の次に掲げられている証第一二七号の信書、証第一二八号の信書及び証第一三一号の信書がいずれも第一審の相被告人Eの居室から適法に発見押収されたことを証明すべき証拠たるに過ぎない。そして、本件では、該調書の記載を除外するも被告人等は勿論、右Eにおいても、密輸出の目的であつたと認むべきことは、原判決挙示の他の証拠上明らかなところである。従つて、右調書の記載は、本件では証拠として掲げる必要のないものといわねばならぬ。されば、かゝる証拠に対する証拠調の法令違反は、原判決に影響を及ぼさないこと明白である。所論は、結局採ることができない。 同第四点について。 原判決が証拠としてKに対する所論検事及び司法警察官の聴取書を採用したこと並び る証拠調の法令違反は、原判決に影響を及ぼさないこと明白である。所論は、結局採ることができない。 同第四点について。 原判決が証拠としてKに対する所論検事及び司法警察官の聴取書を採用したこと並びに所論弁護人が原審で同人を証人として訊問請求をしたが却下されたことは、いずれも所論のとおりである。しかし、右聴取書は、すべて本件第一審公判廷に証拠として提出され、その上、その供述者たるKが同審で証人として訊問されたこと- 2 -は記録上明白である。されば右聴取書については、被告人等に対し、既に第一審において刑訴応急措置法一二条所定の訊問の機会が与えられたものというべく、従つて、原審で重ねてその機会を与えなくともこれを証拠となしうることは当裁判所大法廷判決の趣旨とするところである。(昭和二三年(れ)第六〇三号同二四年四月六日大法廷判決参照)。所論は、それ故に、採ることができない。 同第五点について。 しかし、原審第一回公判調書並びにこれに引用されている第一審公判調書中の第五回公判調書によれば、所論鑑定書については、原審で適法な証拠調手続が行われたことを肯認することができる。 所論は採り得ない。 よつて旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。 この判決は裁判官全員の一致した意見である。 検察官長部謹吾関与昭和二五年一月一九日最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官斎藤悠輔裁判官沢田竹治郎裁判官真野毅裁判官岩松三郎- 3 - 毅裁判官 岩松三郎
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