【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告人Aの上告理由書第一点原審ハDノ所有家屋ヲ取毀チ其材料ヲ以テ本件家屋 ヲ再
主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 上告人Aの上告理由書第一点原審ハDノ所有家屋ヲ取毀チ其材料ヲ以テ本件家屋ヲ再築スルニ際シ所有者ヲDノ債権者E「Eハ此家屋ヲ管理シ其收入ヲ以テ(一)管理費ヲ支払ヒ、(二)Fニ対スル債権者自己G及H、I間ニ分配シテFノ該債務弁済ヲ補フコトトシタルガ後日Eノ発病ト不便ノタメ右関係者四名協議シ合意ノ上該家屋管理事務ヲGヨリIニ委託シ之ヲ皆ガ承認シタ、之レハG等三名ノFニ対スル債権確保ノタメデアルカラ右関係者ノ一人ニ過ギナイEノ死亡ニヨリテハ受託者Iノ管理権喪失セズト認定シテ上告人ノ主張ヲ棄却シタガ然ラバ前提トシテDニ対スル三債権者殊ニH、Iノ債権ガ昭和四年甲第十二号証承認ノ如キ古キモノガ同十七年迄現存セシヤ之レガ調査判断ナクシテ該受託管理権ノミ過大ニ延長トスル速断ハ失当ナリ。原審ガ三債権者ノ債権確保ノタメナレバトシテ根底ヲココニ置ク以上、若シ債権ガ消失シ居タラバ確保ノ要ヲ見ズ、而モ被確保債権ガGノ債務金ニアラズシテFノ債務金ニ属スル点トソレガHノ二千八百円Iノ二千五百円計五千三百円ナルニ対シ本件ハ金七千七百七十六円九十八銭即チ超過ス、此超過ニモ尚確保ノ要アリトスルハ確保トスル前提ニソゴアル受託存続容認ハ理由ソゴ理由不備、ソハ畢竟釈明不尽審理不尽ノ結果法理違反ト信ズ。第二点家ノ所有権ハ所有者Dニ於テノミ之ヲ有効ニ処分シ得ベクDノ債権者H、I、GハFノ所有権移転ニ詐害取消権ヲ行ヒ得ンノミ、従テ甲第十二甲第十一号証ニ此三債権者ガF所有家屋ニ付FヨリGヘ移転スベキ契約ニ参与シ」合意スル所アレバトテ元来其権限外ナル所有権移転ノ部分ニ付テハ該参与、合意ハ単ニ只其権限内ナル詐害取消権ヲ行ハナイト云フ意味ノミサレバGガFノ承諾ニヨリ家屋所有 付FヨリGヘ移転スベキ契約ニ参与シ」合意スル所アレバトテ元来其権限外ナル所有権移転ノ部分ニ付テハ該参与、合意ハ単ニ只其権限内ナル詐害取消権ヲ行ハナイト云フ意味ノミサレバGガFノ承諾ニヨリ家屋所有権ヲ取得シ其收収得金ヲ以テH並ニIヘFノ- 1 -負債消却ヲ引受ケ仮リニモ此債務違反アレバトテ、Gノ該家屋所有権ナル物権ニ何等ノ掣肘ヲ及ボサズ原審モ甲十二甲十一モ該制限付取得トセズ、Gノ所有権物権ヨリ生ズル管理收益権之ニFヤ其債権者(Gニ対スル債権者ニモナツタ)HヤIガ合意スル所ガアツタトシテモ各自己ノ立場自己ノ権限以外ニ迄合意ノ意味ヲモタナイ即チGガ管理收益権ヲIニ委託ハ「Gノ委託デアツテFヤHヤIノ委託デハナイ」G以外ニ該委託管理権者ハナイ事体ニアツタカラデアル、HヤF、Iノ参与合意ハ各異議権アルナラバ異議権抛棄ノ意味ノミ原審引用ノ一審J、同I(第一回)及ヒ二審Fノ各証言モEカラIニ頼ンダトアリ然ラバEノ死ニヨリ該委託が消滅招来ハ委任ノ法理民六五三条明カナリ、然ルニ原判決が委託消滅セズト為シタルハEノ債権者I、K又Dノ委託権加入アリトスル錯覚ニシテ前示各立場各其権限以外ノ力ヲ認メタ根本的誤解デ法理ニ反スル失当デアル、殊ニEハHヤIト同列Fニ対スル債権者デアルカラ自己ノ債権ノ範囲内丈デモIヘノ委任ハ死亡ニヨリ消滅セザルヲ得又此復雑ヲ民六五一条ト異レル民六五三条ヲ誤解シタモノデアル。第三点原審ハIがG所有家屋ノ管理ヲGカラ委託セラレタ併シ自ラ管理事務ヲ行ハズニLニ再委託ヲシタ、従テLヤMが其管理ヲシテ收メタ家賃ハIノ委託又ハIノタメニシタ管理デアルカラGノタメノ管理デナイト認定シタガ、(一)Lヘノ再委託ハG等ノ許シテヰナイ復代理デ民一〇四条G等ハ再委託復代理権ヲ否定スル従テLノ管理ハGトシテIノタメト認メ得ヌ(法理上モ)(二)Mノ管理ハ原審 カラGノタメノ管理デナイト認定シタガ、(一)Lヘノ再委託ハG等ノ許シテヰナイ復代理デ民一〇四条G等ハ再委託復代理権ヲ否定スル従テLノ管理ハGトシテIノタメト認メ得ヌ(法理上モ)(二)Mノ管理ハ原審モIノ委託ニヨルモノト認メテヰナイ、(三)従テLヤMガIノ為メニ勝手ナ管理ヲ遂行シタト仮定スルモIノ所有家屋ニアラザル事ガ判ツテ居ル本件デハ「真ノ権利者デアリ所有者デアリ所有者デアル又I、委託シタ本人デアルG」ノタメデアル事、間接否直接ニモ予想シ得ル所デアル。(四)加之復代理ガ本人Gニ対抗シ得ヌ事前示ノ通リナルガIL間ニ於テ其委託ガ再人間ニ於テノミ有効トスレバ尚更復代理ニヨル管理行為ノ効力ハ本人Gニ帰属スベキ事民一〇七条当然ナレバGトシテハ右当然ノ帰属ヲ否定ス- 2 -ル所ナレドモLトシテハ本人Gノタメノ管理(民一〇七条)ト法律上断定セザルヲ得ヌ、(五)殊ニ事務管理ニ於ケル所謂本人トハ真ノ権利帰属本人デアル之ヲ客観的ニ定メル必要ガアル管理者ノ主観人物ヲ本人ト定メラレテハソレガ必ズシモ真ノ権利者デナイ場合ニ、真ノ権利者カラハ手モ足モ出ナイ、主観サレタ人物カラハ真ノ権利ナキタメ請求シ得ヌカラ管理者トシテハ大変ニ都合ノヨイ事ニナリ得ルト云フ欠陥ガアル、従テ原審ガIノタメノ管理ダカラGノ管理デナイカラGカラIニ計算ヲ求メルナラ格別被上告人ニ取立家賃請求ヲ認メヌトスル原審ノ御判断ハ、(六)自ラ一回モ受託管理ヲ行ハヌIニ計算ヲ求メタ処デ〇ハ〇デ其必要ノナイ愚ヲ求ムル利益ノナイ所デアリ、(七)又事務管理ノ本人ヲ管理者ノ主観ニ定メタ失当ノ法律違背デアル、(八)況ンヤ原審引用ノN、O、PヤMノ供述デハ事実家屋賃貸借契約ノ当事者ハL及MニシテIハ名実共ニ無関係デアリ而モ取立タ家賃ハ一文モIニ渡シテヰナイトアリテ法律上、事実上名実共ニIノタメデナイ事ヲ示シテヰル ヤ原審引用ノN、O、PヤMノ供述デハ事実家屋賃貸借契約ノ当事者ハL及MニシテIハ名実共ニ無関係デアリ而モ取立タ家賃ハ一文モIニ渡シテヰナイトアリテ法律上、事実上名実共ニIノタメデナイ事ヲ示シテヰルノニ原審ガ前示反対ニ認定ハ虚無ノ証拠判断ト云フヘク明カラ法令違背デアル。と云ふのであるが、原判決の認定するところによれば、本件契約というのは、訴外Dに対する債権者E、H、Iが債務者Dと協議の上、Fの所有に属する本件家屋を登記簿上Eの所有名義とし、I、Hはその上に抵当権の設定を受け、この家屋はGが管理して他に賃貸し、その取立てた家賃の中から、原判示のような分配の割合で、おのおのの債権の弁済に充当してゆくという契約である。その後Gの病気のため、また、以上四人の協議の上、家屋の管理をIに委託したということも原判決の認定するところである。 一、右の如く本件契約の趣旨は以上債権者等の債権確保の目的でなされたものであるから、右の各債権が完全に弁済を受けた上は、本件契約は、その存在の理由を失ふことは所論のとおりであるけれども、右の各債権が弁済によつて消滅したということは原審において、上告人のすこしも主張しなかつたところであるから、原審- 3 -がこの点について、判断しなかつたのは違法でない。 二、以上の如くはじめこの家屋の管理にGがあたり、後にIがこれを引き受けたのも、以上四人協議の上のことであつて、単純に、GからIにその管理を委任したという関係でないのであるから、Gが死亡したからといつて、直ちにIの管理権が消滅するものでないと判断した原判決は正当である。論旨はGがIに家屋の管理を委任したという原判決の認定せざる事実を前提とする立論であつて当を得ない。況んやGの死亡によつてGの債権の範囲だけでも委任は消滅するというのは本件契約の趣旨を正解せざる議論で はGがIに家屋の管理を委任したという原判決の認定せざる事実を前提とする立論であつて当を得ない。況んやGの死亡によつてGの債権の範囲だけでも委任は消滅するというのは本件契約の趣旨を正解せざる議論であつて、とるに足らないのである。 三、原判決の認定した「Iが妻Lに家賃の取立を委託した」というのは、Iがその家賃取立の事実行為を自己の補助者として妻Lに托したという趣旨であつて、もとより復代理の法律関係を生ずべき限りでない。右の関係をもつて復代理なりとする所論はまた理由がない。 四、原判決は、本件においては、前に述べたような契約の趣旨に従つて、Eは家屋の所有名義人ではあるけれども、所有権者の実はなく、家屋管理の権能は、あげてIに委任せられているのであるから、本件家屋の管理行為、従つてその家賃取立の事務はIの事務であつて、Eやその相続人の事務でないと判断したのである。なるほど、原判決は本件事務管理者はIのためにする意思を以て、家賃の取立をしたと認定したことは相違ないけれども、その意思を基準として、本件事務管理の事務はIの事務であると判断したわけでないことは、原判文の全体を通読すれば、極めて明白である。であるから、原判決に管理者の主観に従つて事務管理者の事務の帰属を定めた違法があると主張する論旨も採用することはできないのである。以上の理由により論旨はすべてその理由がないから、民事訴訟法第四百一条、第九十五条、第八十九条を適用して主文のように判決する。 右は裁判官全員の一致した意見である。 - 4 -最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官霜山精一裁判官小谷勝重裁判官藤田八郎- 5 - 長裁判官 霜山精一 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎
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