- 1 -主文 1審原告の控訴を棄却する。 1審被告の控訴に基づき,原判決中,1審被告敗訴部分を取り消す。 1審原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,第1,2審とも1審原告の負担とする。 事実 及び理由第1控訴の趣旨(1審原告) 原判決を次のとおり変更する。 1審被告が1審原告に対し,平成13年6月1日にした,外務省在外公館である在フランス日本国大使館の報償費(機密費)支出に関する一切の資料(平成11年度)を開示しないとの決定(ただし,平成16年4月20日付け決定により一部変更された後のもの)を取り消す。 1審被告が1審原告に対し,平成13年6月1日にした,外務省在外公館である在イタリア日本国大使館の報償費(機密費)支出に関する一切の資料(平成11年度)を開示しないとの決定(ただし,平成16年4月20日付け決定により一部変更された後のもの)を取り消す。 1審被告が1審原告に対し,平成13年6月1日にした,在ホノルル日本国総領事館の報償費(機密費)支出に関する一切の資料(平成11年度)を開示しないとの決定(ただし,平成16年4月20日付け決定により一部変更された後のもの)を取り消す。 (1審被告) 原判決中,1審被告敗訴部分を取り消す。 1審原告の請求をいずれも棄却する。 第2事案の概要 本件は,1審原告が,1審被告に対し,行政機関の保有する情報の公開に関- 2 -(。 「」する法律平成13年法律第140号による改正前のもの以下情報公開法という)に基づき,外務省在外公館である在フランス日本国大使館,在イタ。 リア日本国大使館及び在ホノルル日本国総領事館における平成11年度の報償費の支出に関する一切の行政文書原判決別表1記載の各文書であり以下本(,「件各行政文書」 フランス日本国大使館,在イタ。 リア日本国大使館及び在ホノルル日本国総領事館における平成11年度の報償費の支出に関する一切の行政文書原判決別表1記載の各文書であり以下本(,「件各行政文書」という)等の開示を請求(以下「本件開示請求」という)。 。 したところ,1審被告が,平成13年6月1日付けで,情報公開法5条3号及び6号の情報に該当するとして,本件各行政文書の全部について不開示とする決定(以下「本件不開示決定」という)をしたことから,1審原告が,その。 取消しを求めた事案である(なお,本訴提起後,1審被告は,本件不開示決定を一部変更する決定(以下「本件変更決定」という)をし,本件各行政文書。 の一部を部分開示したことから,1審原告は,原審において,当該開示部分に対応する訴えを取り下げ,本件変更決定による変更後の本件不開示決定の取消しを求めた。 。)原判決は,開示を求められた本件各行政文書(合計1401通)のうち,交渉の準備あるいは交渉結果を踏まえた対応の検討のための会合の経費に係る文書(以下「間接接触に係る文書」という(合計175通)について,請求。)書,支払先又は支払予定先関係者が独自に作成した領収書,並びに,これらの書面以外の書面の支払予定先及び支払先の記録部分を除く部分には,情報公開,,法5条3号及び6号所定の不開示情報は記録されていないとしてその範囲で本件不開示決定を一部取り消し,その余の範囲については,同各号に該当する情報が記載されているとして,1審原告の請求を棄却したことから,1審原告及び1審被告が,それぞれ敗訴部分を不服として控訴した。 本件の前提事実,争点及び争点についての当事者双方の主張は,以下のとおり訂正し,後記3のとおり当審における当事者双方の補充の主張を付加するほ,「」「」「 敗訴部分を不服として控訴した。 本件の前提事実,争点及び争点についての当事者双方の主張は,以下のとおり訂正し,後記3のとおり当審における当事者双方の補充の主張を付加するほ,「」「」「」,かは原判決 事実及び理由 欄の第2事案の概要の 前提事実「3争点」及び「4争点に対する当事者の主張」のとおりであるから,こ- 3 -れを引用する。 ( )原判決5頁2行目の「全趣旨)ついて」を「全趣旨)について」に改め, 同7頁12行目の「行わない」の後に「こと」を加え,同10頁25行目及び同11頁9行目の各「外務省」の後に「及び各在外公館」をそれぞれ加える。 ( )原判決15頁23行目から24行目にかけての「である」から同16頁 。 2行目末尾までを「であり,原判決別表1の「外形的事実等」欄において,,。」だ円を付した部分を開示し三角を付した部分を一部開示したものであるに改める。 ( )原判決23頁13行目の「,④在外公館長」から同頁14行目の「日本画 等購入経費」までを削除し,その次の括弧書きを「なお「定例的に必要(,とされた物品の購入や役務の経費として使用されたもの」としては,以上の①から③までのほかに,本件各行政文書中には存在しないが,④在外公館長赴任の際等の贈呈品購入経費,⑤文化啓発用の日本画等購入経費があり,上,「」。 ,記①から⑤までの経費の類型を以下五類型という原判決別表1には五類型に属する情報を記載した文書について,同表の「類型」欄に①から③までのいずれに該当するものであるかが示されている」に改める。 。)( )原判決35頁8行目の「③在外公館長」から同頁9行目の「日本画等購入 経費」までを削除し,その次の「⑤」を「③」に改める。 ,( )原判決53頁19 かが示されている」に改める。 。)( )原判決35頁8行目の「③在外公館長」から同頁9行目の「日本画等購入 経費」までを削除し,その次の「⑤」を「③」に改める。 ,( )原判決53頁19行目,同頁20行目及び同頁26行目から同54頁1行 目にかけての各「自動車借料経費」を「自動車借料経費等の事務経費」にそれぞれ改め同頁4行目の自動車の調達はを削除し同頁6行目の自,「,」,「動車借料経費」を「自動車借料経費等の事務経費」に改める。 ( )原判決65頁1行目の「・3」と同70頁2行目の「3型」をそれぞ ()れ削除し,同74頁14行目の「3型(定例的物品購入・役務費)に使用される」を「定例的に必要とされる物品購入や役務のための経費(かつて1審- 4 -被告が使用目的分類を「3型」として主張していた経費)として使用されていた」に改める。 ( )原判決別表1の通番1197についての「外形的事実等」欄4行目の「♯ REF!」を「目的・内容,支払手続日,取扱者名,支払額」に改める。 当審における当事者双方の補充の主張(1審原告)( )ア本件訴訟は行政文書の不開示処分取消訴訟であり,各行政文書の個別具 体的な記載内容を離れて各行政文書の開示による支障を論ずることはできず,個々の行政文書の外形的な記載事項を丁寧に認定しなければ,本件不開示決定の当否の判断はできない。ある情報収集その他の外交工作活動に保秘性があったとしても,その際に支出した報償費の支出関連文書の記載内容によっては,情報公開法5条各号所定の不開示情報に当たるとは限らない。 1審被告は,本件各行政文書の記載内容について,その外観・外形的記載状況その他の外形的事実を主張立証する必要があるが,その主張立証を尽くしていない。 イ本件各行政文書 情報に当たるとは限らない。 1審被告は,本件各行政文書の記載内容について,その外観・外形的記載状況その他の外形的事実を主張立証する必要があるが,その主張立証を尽くしていない。 イ本件各行政文書の分類は,1審被告が主張する事務別分類と使用目的分類によって分類する方法ではなく,本件各行政文書の外形的記載状況等に応じて,決裁書(狭義,見積書,請求書,領収書及び支払証拠台紙に分)類し,これらについて更に「文書作成者名「決裁者」等の記載事項が」,,。 ,同一のものを分類する方法により15通りに分類すべきであるそしてこれに,報償費の使途分類である,情報収集費,情報物品費,政治経済関係工作費,外交活動支援費,国際会議関係工作費,要人外交推進工作費,啓蒙宣伝工作費の7分類を組み合わせて,審理すべきである。 ( )本件各行政文書の記載事項の認定に関し,原判決は,情報公開審査会は, ,,インカメラ審理を実施し本件各行政文書を含む文書の内容を見分した上で- 5 -五類型に係る文書以外の文書は不開示とするのが相当と判断しているとするが,本件各行政文書は,広義の決裁書で1401通,個別文書数で約7千数百通あるのであり,十分な事前準備もなくインカメラ審理を実施したところで,どのような成果があったのか,疑問がある。 ( )ア1審被告は,独立した一体的な情報を更に細分化することを求めること はできないなどと主張し,間接接触に係る文書は,各書面ごとにその全体が独立した一体的情報であるから,支払先及び支払予定先以外も含めたその全体について,開示すべきとはいえない旨の主張をする。 しかし,いわゆる独立した一体的情報論については,様々な問題点が指摘されている。最高裁判所平成19年4月17日第三小法廷判決(集民224号97頁)は,重層的な情報を不開示 はいえない旨の主張をする。 しかし,いわゆる独立した一体的情報論については,様々な問題点が指摘されている。最高裁判所平成19年4月17日第三小法廷判決(集民224号97頁)は,重層的な情報を不開示事由との関連で切り取って考えることによって,結果的に,文書の中の一部分のみを開示したり,不開示としたりする手法を採用しており,独立した一体的情報論から決別したものである。 イまた,いわゆる独立した一体的情報論を無批判に採用し,情報の重畳的構造に配慮せず,あらゆる要素を一体的なものとして取り込むと,不当に部分開示を阻害するという弊害が大きい。そこで,仮に,いわゆる独立した一体的情報論を採用するとしても,情報の重畳的構造に配慮し,部分開示を認めるべきである。 すなわち「報償費の支出であること」は「報償費に関する情報公開請,求である」ということから自ずと特定されており,このことと,①誰が,②いつ,③誰に対して,④いくら,⑤どこで,⑥何の目的で,支出したかということが,それぞれ結び付けられている,重畳的構造であるものというべきでありそうすると例えば⑥何の目的でを明らかにする目,,,「」「的・内容」部分の一部開示も別途検討されて然るべきであり,それが不開示事由に該当すれば不開示決定がされるだけのことである。 - 6 -( )1審被告の主張に従えば,日本の外交官の会談相手はおよそ情報提供者で あり,報償費は,このような情報提供者に支払われ,また,これらの者との会合等のために用いられており,したがって,五類型に係る文書以外の本件各行政文書は,このような支出に関して作成,取得された文書である。 しかるに,原判決は,情報提供者を,他国政府等に近い筋の情報提供者並,,びに二国間及び多国間の外交交渉等の相手方の関係者と狭く捉えそのた 文書は,このような支出に関して作成,取得された文書である。 しかるに,原判決は,情報提供者を,他国政府等に近い筋の情報提供者並,,びに二国間及び多国間の外交交渉等の相手方の関係者と狭く捉えそのため報償費の支出に関して作成されたという五類型に係る文書以外の本件各行政文書について,このような狭く捉えた情報提供者に関する事項が記載されているものとして,その相当部分について,記載内容を誤って捉え,これを前提にして,不開示情報が記録されているかの判断をしているのであり,五類型に係る文書以外の本件各行政文書についての原判決の判断は,その前提において,誤認に基づくものである。 ( )ア五類型に係る文書のうちの大規模レセプション経費に係る文書につい て,専門業者やホテルを厳選し,特定・少数の専門業者やホテルを利用しているのであれば,かえって,在外公館がどこの専門業者やホテルを利用しているのか,現地では,いわば公知の事実となっているはずである。 また,調達先や調達の金額等の具体的内容が公になっても,同じレセプションに参加すればもてなしの内容は同じのはずであり,相手国ないしその関係者が,他国関係者が出席した同種のレセプションとの比較等を通じ,,て我が国が相手国ないしその関係者に対してどのようなもてなしを行いどのように評価しているかを推知することが可能になるなどということはないし,そもそも,調達金額や支払予定額等により招待者はもてなしを評価して比較するとは考えられず,仮に,それによってもてなしを評価して比較できるとしても,それをもって,自国や自己に対する格付けなどと考えるのが一般的とも考えられない。 イ五類型に係る文書のうちの酒類購入経費に係る文書について,これを開- 7 -示しても,相手方に対する評価や見方を推測できるなどということはでき 格付けなどと考えるのが一般的とも考えられない。 イ五類型に係る文書のうちの酒類購入経費に係る文書について,これを開- 7 -示しても,相手方に対する評価や見方を推測できるなどということはできない。 ウ五類型に係る文書のうちの本邦関係者が外国訪問した際の車両の借上げ等の事務経費について,これを開示しても,在外公館や本邦関係者の安全確保を困難にするなどの事態が生じるおそれがあるということはできない。 ( )外務省職員の氏名について,公表の慣行がないということはできない。 (1審被告)( )原判決は,間接接触に係る文書(交渉の準備あるいは交渉結果を踏まえた 対応の検討のための会合の経費に係る文書)について,請求書,支払先又は支払予定先関係者が独自に作成した領収書,並びに,これらの書面以外の書面の支払予定先及び支払先の記録部分を除く部分には,情報公開法5条3号及び6号所定の不開示情報は記録されていないとする。 しかし,間接接触に係る文書についても,これを開示することにより,秘密裏に行わなければならない会合の存在自体を明らかにするおそれがあるのであり,間接接触に係る文書の開示が命じられた場合,政府が他国において行う様々な外交交渉・外交工作等に大きな支障を来すことは明らかであって,間接接触に係る文書は,情報公開法5条3号及び6号所定の不開示情報を記録した文書に当たる。 ( )最高裁判所平成13年3月27日第三小法廷判決(民集55巻2号530 頁)は,大阪府公文書公開等条例に関する事案であるが,非公開事由に該当する独立した一体的な情報を更に細分化し,その一部を非公開とし,その余の部分にはもはや非公開事由に該当する情報は記録されていないものとみなして,これを公開することまでをも実施機関に義務付けているものと解することはできないと 更に細分化し,その一部を非公開とし,その余の部分にはもはや非公開事由に該当する情報は記録されていないものとみなして,これを公開することまでをも実施機関に義務付けているものと解することはできないと判示しており,情報公開法についても,その5条及び6条,,,の規定によれば行政機関の長は独立した一体的な情報を更に細分化して- 8 -その一部を不開示とし,その余の部分には不開示事由に該当する情報は記録されていないものとしてこれを開示することまでを一般的に義務付けられて,,,,おらず特に同法6条2項の規定により個人識別情報に限って例外的に独立した一体的な情報を更に細分化し個人識別部分のみを不開示とする態様の部分開示を行政機関の長に義務付けるという立法政策を採用したものと解するのが相当である。 そして,1類型に係る文書及び2類型のうち直接接触に係る文書のほか,間接接触に係る文書についても,その存在自体を秘匿しなければならない会合のための経費の支出につき作成された決裁書(広義)であることを考慮すると,決裁書(狭義,請求書,領収書,支払証拠台紙等の記載事項は,社)会通念に照らし,それぞれ,特定の会合に関する細分化されない独立した一,。 体的な情報として1個の情報の単位を構成しているものというべきであるしたがって,上記の決裁書(狭義,請求書,領収書,支払証拠台紙等の)各1通の記載事項ごとに,1個の情報の単位として把握すべきであるから,1審被告は,それを更に細分化して開示する義務を負わない。 ( )原判決は,間接接触に係る文書のうち,決裁書(狭義)や支払証拠台紙等 については,支払先及び支払予定先以外の記述は不開示情報に該当しないとし,外務省職員の氏名が表記されている,文書作成者名,決裁者名及び取扱者名についても,開示義務 決裁書(狭義)や支払証拠台紙等 については,支払先及び支払予定先以外の記述は不開示情報に該当しないとし,外務省職員の氏名が表記されている,文書作成者名,決裁者名及び取扱者名についても,開示義務があるとした。 しかし,間接接触に係る文書については,文書作成者名,決裁者名及び取扱者名についても,上記( )のとおり,秘匿性は高いし,また,上記( )のと おり,1審被告は,独立した一体的な情報を更に細分化して開示すべき義務は負わないのであり,その記載事項の全体が,情報公開法5条3号及び6号所定の不開示情報に当たる。 加えて,情報公開法5条1号は,個人識別情報については「法令の規定,により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報」- 9 -(同号イ)などの除外事由に該当する場合を除き,開示義務を否定しているところ,行政職俸給表(一)における職務の級が6級未満の職員の氏名は,独立行政法人国立印刷局編集の職員録に掲載しておらず,公表慣行はないのであるから,これらの職員の氏名は,情報公開法5条1号所定の不開示情報である個人識別情報に当たる。 第3当裁判所の判断 外務省の報償費の性質と本件開示請求に関する経緯等一部訂正して引用した原判決の前提事実並びに証拠(甲1から4まで,8から118まで,乙18の2,45,50,54)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ( )外務省の所掌事務等 ア外務省は,国家行政組織法3条2項の規定に基づいて設置された国の行政機関であり(外務省設置法2条1項,1審被告である外務大臣がその)長である(同条2項。 )イ外務省の任務は,平和で安全な国際社会の維持に寄与するとともに主体的かつ積極的な取組みを通じて良好な国際環境の整備を図ること並びに調和ある対外関係を維持し発 がその)長である(同条2項。 )イ外務省の任務は,平和で安全な国際社会の維持に寄与するとともに主体的かつ積極的な取組みを通じて良好な国際環境の整備を図ること並びに調和ある対外関係を維持し発展させつつ,国際社会における日本国及び日本国民の利益の増進を図ることであり(同法3条,その任務を達成するた)め,外務省は,日本国の安全保障,対外経済関係,経済協力,文化その他の分野における国際交流,その他の事項に係る外交政策に関すること(同法4条1号,日本国政府を代表して行う外国政府との交渉及び協力その)他外国に関する政務の処理に関すること(同条2号,日本国政府を代表)して行う国際連合その他の国際機関及び国際会議その他国際協調の枠組みへの参加並びに国際機関等との協力に関すること(同条3号,国際情勢)に関する情報の収集及び分析並びに外国及び国際機関等に関する調査に関すること(同条7号)などを所掌事務としている(同法4条。 )- 10 -ウ在フランス日本国大使館,在イタリア日本国大使館及び在ホノルル日本国総領事館等の在外公館は,外務省に置かれた特別の機関であり(同法6条1項,在外公館は,外国において,上記イの外務省の所掌事務を行う)(同法7条1項。 )( )報償費の意義 報償費とは,国が,国の事務又は事業を円滑かつ効果的に遂行するため,当面の任務と状況に応じその都度の判断で最も適当と認められる方法により機動的に使用する経費であり,外務省では,情報収集及び諸外国との外交交渉ないし外交関係を有利に展開するために使用する経費に充てるものとされている。 ( )本件開示請求に関する経緯等 ア1審原告は,平成13年4月2日,情報公開法に基づき,在フランス日本国大使館,在イタリア日本国大使館及び在ホノルル日本国総領事館における平 されている。 ( )本件開示請求に関する経緯等 ア1審原告は,平成13年4月2日,情報公開法に基づき,在フランス日本国大使館,在イタリア日本国大使館及び在ホノルル日本国総領事館における平成11年度の報償費の支出に関する一切の行政文書(本件各行政文書。なお,本件各行政文書は,決裁書(狭義,請求書,見積書,領収書)及び支払証拠台紙により構成されている)等の開示を請求(本件開示請。 求)したが,1審被告は,本件各行政文書について,情報公開法5条3号及び6号所定の情報が記録されているとして,平成13年6月1日付けで本件各行政文書の全部について不開示とする決定(本件不開示決定)をした。 イ会計検査院は,平成12年度における外務省の報償費の執行に関し,平成13年9月27日付けで,外務大臣に宛てて,会計検査院法34条及び36条の規定に基づき,報償費に関する会計手続等を職員に対して周知徹底し,これを遵守させること,実効ある内部監査を実現するための具体的方策を早急に検討・確立すること,報償費の使途について見直しを行い,今後は報償費として真に支出する必要があるものに使用していくことなど- 11 -の是正改善の処置を要求した。 ウ外務省の報償費の支出に関する行政文書については,本件開示請求以外にも情報公開法に基づく開示請求が行われており,1審被告は,本件各行政文書と同一の文書を含む文書について不開示決定をし,これに対し,行政不服審査法による不服申立てがなされ,1審被告は,情報公開法18条に基づき,情報公開審査会に諮問した。 情報公開審査会は,上記諮問を受けて,不服申立人からの意見書の収受を2度,不服申立人代理人からの口頭での意見陳述の聴取を1度,外務省大臣官房会計課長ら外務省職員からの口頭説明の聴取を4度行ったほか,諮問の対象となった文 諮問を受けて,不服申立人からの意見書の収受を2度,不服申立人代理人からの口頭での意見陳述の聴取を1度,外務省大臣官房会計課長ら外務省職員からの口頭説明の聴取を4度行ったほか,諮問の対象となった文書の見分を行い,また,委員による審議を複数回行うなどの調査審議を行った。 情報公開審査会は,上記の調査審議を経て,諮問の対象となった文書の記載事項等について,在外公館で起案される決裁書(狭義)は,概ね,文書の起案者及び起案・決済日,支払の要旨・目的,執行の日時・場所・様式,関係者の氏名・肩書,所要額及び支払方法の記載があり,業者から提出される請求書は,様式は多様で,日付,宛先,業者名,品名,数量,単,,,,,,価合計額等の事項の記載があり領収書は様式は多様で日付宛先業者名,合計金額等の事項の記載があるなどと認定した。 その上で,情報公開審査会は,諮問の対象となった文書について,案件ごとに個々具体的に作成されるもの及びそれに基づき個別具体的な件名を列記して取りまとめられるものから成っていると認められ,そのため,対象文書には,外務省の報償費の使途に関し個別具体的かつ詳細な記載がなされており,これらが容易に区分し難い状態で随所に記載されていることが認められるとして,このような対象文書に記載されている情報は,これらを公にすることにより,情報収集活動等が困難となり,外交事務の円滑かつ効果的な遂行に支障を来すおそれがあり,ひいては,国の安全が害さ- 12 -れるおそれ,他国等との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国等との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由があるものであると認められることから,情報公開法5条6号柱書及び3号に該当するとした。 ,,,,他方で情報公開審査会は対象文書のうち大 それがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由があるものであると認められることから,情報公開法5条6号柱書及び3号に該当するとした。 ,,,,他方で情報公開審査会は対象文書のうち大規模レセプション経費酒類購入経費,在外公館長赴任の際等の贈呈品購入経費,文化啓発用の日本画等購入経費,本邦関係者が外国訪問した際の車両の借上げ等の事務経費については,情報公開法5条6号及び3号に該当しない部分があり,その範囲で一部開示すべきとした。 エ1審被告は,情報公開審査会の上記答申を受けて,平成16年4月20日付けで,本件各行政文書のうち,原判決別表2「部分開示目録」の「対象となる行政文書」欄に記載された文書(文書の番号は,原判決別表1の通番に対応する)について「開示する部分」欄記載の部分を開示する。 ,旨の本件不開示決定を一部変更する決定(本件変更決定)を行った(本件変更決定により開示された部分は,原判決別表1の「外形的事実等」欄のだ円を付した部分と三角を付した部分(三角を付した部分は一部開示)である。 。)( )外務省の報償費の分類 ア情報収集及び諸外国との外交交渉ないし外交関係を有利に展開するために使用する経費に充てるものとされている外務省の報償費は,これをその具体的な使途に応じて分類する場合,報償費が使用される事務に応じた事務別分類として,A「有償の情報収集等の事務,B「非公式の二国間の」」,「」外交交渉等の事務C国際会議等における非公式の多国間交渉の事務の分類に分けることができ,これらは更に使用目的に応じた使用目的分類として,1「対価として使用されたもの,2「会合の経費として使用さ」れたもの」の分類に分けることができる。 - 13 -すなわち,報償費をその具体的な使途に応じて分類する場合,1つの分 用目的分類として,1「対価として使用されたもの,2「会合の経費として使用さ」れたもの」の分類に分けることができる。 - 13 -すなわち,報償費をその具体的な使途に応じて分類する場合,1つの分類方法として,次のとおり分類することができる。 A:有償の情報収集等の事務A1:情報提供の対価として使用されたもの(,,)A2:情報収集のための会合の経費会食場所代会議への参加として使用されたものB:非公式の二国間の外交交渉等の事務B1:非公式の二国間の外交交渉等を進めるに当たり,協力の対価として使用されたものB2:非公式の二国間の外交交渉等を進めるに当たり,会合の経費(会食,場所代,会議への参加)として使用されたものC:国際会議等における非公式の多国間交渉の事務C1:国際会議等において非公式の多国間交渉を進めるに当たり,協力の対価として使用されたものC2:国際会議等において非公式の多国間交渉を進めるに当たり,会合の経費(会食,場所代,会議への参加)として使用されたものなお,本件各行政文書には,C1に該当するものは存在しない。 イまた,報償費の使途を,上記A2,B2又はC2の類型(以下,これらの類型を総称して「2類型」といい,A1,B1又はC1の類型を総称して「1類型」という)とするもの,すなわち,会合の経費として使用さ。 れたものは,情報収集等又は二国間若しくは多国間の交渉の相手方と直接接触した会合の経費として使用されたもの(この経費についての情報を記録した文書が,直接接触に係る文書である)と,情報収集等又は二国間。 若しくは多国間の交渉そのものではなく,その交渉の準備あるいはその交渉結果を踏まえた対応の検討のための会合の経費として使用されたもの- 14 -(,。)この経費についての情報を記録した文書が間 しくは多国間の交渉そのものではなく,その交渉の準備あるいはその交渉結果を踏まえた対応の検討のための会合の経費として使用されたもの- 14 -(,。)この経費についての情報を記録した文書が間接接触に係る文書であるとに分けることができる。 ウなお,本件各行政文書には,1類型又は2類型に係る文書以外に,定例的に必要とされた物品の購入や役務の経費として使用されたもの,すなわち,五類型に係る文書のうち,①大規模レセプション経費,②酒類購入に係る経費,③本邦関係者が外国訪問した際の車両借上げ等の事務経費に係る文書が含まれている。これら五類型は,平成11年度においては報償費から支出されていたが,上記( )イの会計検査院による是正改善の処置要 求や,同ウの情報公開審査会による答申を踏まえ,1審被告は,報償費から支出すべき経費ではなかったとして,国の予算上の他の目から支出することと変更された。 ( )本件各行政文書を構成する書面とその記載事項等 本件各行政文書は,報償費の使用に係る意思決定過程において作成された決裁書(広義)である。 (),,(),決裁書広義を構成する書面は案件によって異なるが決裁書狭義請求書,領収書及び支払証拠台紙等であり,これらの書面には,概ね,以下の事項が記載されていると考えられる。 ア決裁書(狭義)決裁書は,各案件ごとに,在外公館の当該案件を担当する各部署において起案され,当該在外公館長により決裁されるものである。 決裁書には,書面によって記載内容に異同はあるが,文書作成者名,決裁者名,起案・決裁日,支払予定先(役務提供者等も含む,支払予定。)額(経費の総額も含む,支払の目的・内容,取扱者名等が記載されて。)いると考えられる。 イ請求書請求書には,書面によって異同はあるが,日付,あて 払予定先(役務提供者等も含む,支払予定。)額(経費の総額も含む,支払の目的・内容,取扱者名等が記載されて。)いると考えられる。 イ請求書請求書には,書面によって異同はあるが,日付,あて先(当該案件の取- 15 -扱者名等を含む,支払先,支払額,支払の目的・内容等が記載されて。)いると考えられる。 ウ領収書領収書には,書面によって異同はあるが,日付(支払手続日,あて先)(当該案件の取扱者名等を含む,支払先,支払額,支払の目的・内容。)等が記載されていると考えられる(なお,担当部局の職員が立替払いを行った場合に立替金請求・領収書なる書面をもって精算手続が行われることがあるが,同書面を含む。 。)エ支払証拠台紙支払証拠台紙は,請求書や領収書等を貼付する書面である。 支払証拠台紙には,書面によって異同はあるが,貼付された請求書や領収書等とは別に,支払手続日,支払の目的・内容,取扱者名,支払額等が記載されていると考えられる。 行政機関の保有する行政文書の開示請求権(以下「行政文書開示請求権」という)の性質と1審被告の裁量の範囲等。 1審原告の請求について判断する前提として,まず,行政文書開示請求権の性質と,1審被告が,本件各行政文書には主として情報公開法5条3号所定の不開示情報が記録されていると主張することにかんがみ,行政文書の記載内容が同号所定の不開示情報に該当するか否かについての判断手法等について検討する。 ,,( )行政文書開示請求権を規定する情報公開法は国民主権の理念にのっとり 民主主義国家における政府の責務として,政府の諸活動を国民に説明するという観点から制定された法律であるが,憲法上,行政機関の保有する行政文書の開示に関する具体的な規定はなく,憲法の諸規定や情報公開法1条の文言等にかん 政府の責務として,政府の諸活動を国民に説明するという観点から制定された法律であるが,憲法上,行政機関の保有する行政文書の開示に関する具体的な規定はなく,憲法の諸規定や情報公開法1条の文言等にかんがみれば,行政文書開示請求権は,上記の趣旨により制定された情報公開法によって具体的な内容が定められた権利であり,したがって,不- 16 -開示情報の内容,さらに,事後的な司法審査の在り方についても,このような行政文書開示請求権の性質に沿った解釈をすることが求められる。 ( )そして,情報公開法5条3号は「公にすることにより,国の安全が害さ ,れるおそれ,他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」を不開示情報としているが,これは,情報公開によって政府の諸活動を国民に説明することとする一方で,国の安全や我が国の外交上の利益にも十分に配慮する必要性があることから,公にすることが,これらの利益等を損なうことに繋がるおそれがある情報を不開示としたものであるが,その開示・不開示の判断に当たっては,一般の行政運営に関する情報とは異なり,その性質上,諸外国の政治的,経済的,社会的諸情勢や特質等係る事実についての正確な知識に基づく高度な政策的判断(なお,かかる政策的判断の基礎としては,これらの利益が実際に損なわれた場合の影響の重大性や回復困難性等と損なわれる可能性との比較考量の結果等も当然に含まれるものである)を伴うとともに,我が国の安全保。 障上又は対外関係上の将来予測についての専門的・技術的判断が必要とされる特殊性があり,そのため,情報公開法5条3号においては,同条4号とともに,他の号の不開示情報と区別して「行政機関の長が認めるこ 障上又は対外関係上の将来予測についての専門的・技術的判断が必要とされる特殊性があり,そのため,情報公開法5条3号においては,同条4号とともに,他の号の不開示情報と区別して「行政機関の長が認めることにつき,相当の理由がある情報」を不開示とする旨規定されたものであって,このことにかんがみれば,司法審査の場において,同条3号所定の不開示情報に該当するか否かの判断をするに当たっては,裁判所は,行政機関の長による第一次的な判断と並行して,当該行政文書に記録された情報が,公にすることにより国の安全を害するなどのおそれがある情報に当たるか否かについて,直接,実体的な判断を行うのではなく,行政機関の長による第一次的な判断を尊重し,その判断が合理性のある判断として許容されるものであるかどうか,すなわち,行政機関の長による判断の基礎とされた事実に誤認があるな- 17 -どのためにその判断が根拠を欠くか否か,あるいは,事実に対する評価が合理性を欠くことなどによりその判断が妥当性を欠くことが明らかであるか否かといった,裁量権の逸脱又は濫用があると認められる点があるかどうかについて,審理判断することが求められるというべきである。 ( )そして,訴訟において,行政文書に情報公開法5条各号所定の不開示情報 が記録されているかが争点となった場合,その該当性判断のために当該行政文書の内容を具体的に明らかにすべきものとすると,その過程を通じて本来不開示とすべき情報が公となり,そのため,一定の情報を不開示情報として規定した情報公開法の趣旨が没却されることとなるから,このような判断対象の性質上,行政機関の長に,当該行政文書に記載されている個別具体的な文言を明らかにして不開示情報が記録されていることを主張立証すべきということはできないが,更に,1審被告が主として本 ような判断対象の性質上,行政機関の長に,当該行政文書に記載されている個別具体的な文言を明らかにして不開示情報が記録されていることを主張立証すべきということはできないが,更に,1審被告が主として本件各行政文書に記録されていると主張する情報公開法5条3号所定の不開示情報については上記( ), において説示した審理判断の手法にかんがみれば,1審被告は,情報公開法5条3号所定の不開示情報が記録されていると主張する行政文書の外形的事実等から判断される一般的類型的な文書の性格を主張立証することによって,その判断の合理性を基礎付け,他方,1審原告は,事実に対する評価が合理性を欠くことなどにより1審被告の判断が妥当性を欠くことが明らかであることを基礎付ける事実の主張立証により,上記( )で説示した裁量権の 逸脱又は濫用があることについて主張立証することを要するものというべきである。 本件各行政文書の分類( )以上のとおりであるから,個別具体的な文言を明らかにして不開示情報が 記録されているとの主張立証をなし得ない本件各行政文書に記録されている情報についての主張として1審被告が行った,原判決別表1の「外形的事実等」欄のとおり外形的事項を明らかにするとともに,上記1( )のように分 - 18 -類して主張することは,行政文書の外形的事項と,その行政文書に記録されている情報の性質・種類を明らかにすることにより,行政文書の外形的事実等から判断される一般的類型的な文書の性格を主張立証するものとして,適切であると評価し得るものである。 この点に関し,1審原告は,各行政文書の個別具体的な記載内容を離れて各行政文書の開示による支障を論ずることはできないとして,1審被告は,本件各行政文書の記載内容について,その外観・外形的記載状況その他の外形的 ,1審原告は,各行政文書の個別具体的な記載内容を離れて各行政文書の開示による支障を論ずることはできないとして,1審被告は,本件各行政文書の記載内容について,その外観・外形的記載状況その他の外形的事実を主張立証する必要があるが,その主張立証を尽くしていないと主張し,本件各行政文書を,外形的記載状況等に応じて15通りに分類した上で更に報償費の使途分類により7分類に組み合わせるべきであると主張する。 しかし,1審原告が主張するような,結果として105通りに分類する必要性は必ずしも明らかではない(例えば,1審原告は,決裁書(狭義)であれば,外形的記載状況等に応じた分類として,支払予定額の有無で分類を分けるようであるが,後記4で説示の一部開示の可否についての判断を踏まえて考慮すれば,そのように分類する必要性は認められないというべきである。むしろ,明らかとすべきは,情報公開法5条3号所定の「国の安全。)が害されるおそれ,他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ」に直接関連する情報なのか,間接的に関連する情報なのか,開示することによっていかなる影響を与える情報なのかなど,当該行政文書に記録されている情報の性質や種類であり,これが明らかとなり,記録されている情報の性質や種類が同じであれば,不開示情報に当たるか否かの判断も共通するものとなるから,このような情報の性質や種類を把握し,それに応じた分類をして不開示情報に当たるか否かの審理判断を行うことには,十分に合理性があるというべきである。 - 19 -( )その上で,本件各行政文書が,原判決別表1の「外形的事実等」欄のとお りの外形的事項を有するものと認定できるものであるか,また,上記1( ) の分類に当てはまるものであるのか 19 -( )その上で,本件各行政文書が,原判決別表1の「外形的事実等」欄のとお りの外形的事項を有するものと認定できるものであるか,また,上記1( ) の分類に当てはまるものであるのか(具体的には,本件各行政文書それぞれが原判決別表1の「使用目的」欄及び「類型」欄並びに原判決別表4(直接接触に係る文書と間接接触に係る文書に分類したもの)記載のとおりの分類に属するものと認定できるものであるのか)について検討するに,①五類型に係る文書については,定例的に必要とされた物品の購入や役務の経費として使用されたものであるが,それ以外の本件各行政文書については,上記1( )ウで認定のとおり,意見聴取や実際に文書の見分等を行った情報公開審 査会による答申においても,五類型に係る文書以外の本件各行政文書に記録されている情報の性質について,情報収集及び諸外国との外交交渉ないし外交関係を有利に展開するために使用する経費である外務省の報償費としての保秘性が肯定される性質のものであると説示されていること,②1審被告の主張内容をみても,2類型に係る文書よりは1類型に係る文書の方がより不開示情報が記録されていると認定されやすいように考えられるのに,全1333通のうち,1審被告が,1類型に係る文書と主張するのは47通のみであり,1類型に係る文書を殊更に多く主張している様子はなく,また,直接接触に係る文書は50通について,間接接触に係る文書は全1111通につ,,,いて個別的説明に関する主張をしサンプルも提出していることをみれば1審被告が本件各行政文書の内容や分類に関して殊更に虚偽の主張をしているとも考え難いこと,③原判決別表1の「外形的事実等」欄に記載されている事項は,上記1( )において,決裁書(狭義,請求書,領収書及び支払 )証拠台紙等 容や分類に関して殊更に虚偽の主張をしているとも考え難いこと,③原判決別表1の「外形的事実等」欄に記載されている事項は,上記1( )において,決裁書(狭義,請求書,領収書及び支払 )証拠台紙等の本件各行政文書に実際に記載されている事項として認定した外形的事項とも整合していること,これらの諸事情に照らせば,本件各行政文書には,原判決別表1の「外形的事実等」欄のとおりの外形的事項が記載されており,また,原判決別表1の「使用目的」欄及び「類型」欄並びに原判- 20 -決別表4記載のとおりの分類に属するものが記録されていると認定することができる。 なお,1審原告は,本件各行政文書は,広義の決裁書で1401通,個別文書数で約7千数百通あるから,情報公開審査会が,インカメラ審理を実施していたとしても,どのような成果があったのか,疑問がある旨の主張をするが,情報公開審査会は,上記1( )ウで認定したとおり,不服申立人から の意見書の収受を2度,不服申立人代理人からの口頭での意見陳述の聴取を1度,外務省大臣官房会計課長ら外務省職員からの口頭説明の聴取を4度行ったほか,諮問の対象となった文書の見分を行い,また,委員による審議を複数回行うなどの調査審議を行った上で,その答申において,五類型に係る文書以外の本件各行政文書に記録されている情報の性質について,報償費と,,しての保秘性が肯定されるものであると説示しているのであり少なくとも同答申の本件各行政文書に記録されている情報の性質についての説示には,相応の信用性があることは十分に首肯でき,その余の事情も含めて考慮すれば,上記のとおり認定することができる。 一部開示の可否等( )次に,一部開示を命じることの可否について検討する。 情報公開法6条2項の規定に係る「当該情報のうち,氏名,生年 含めて考慮すれば,上記のとおり認定することができる。 一部開示の可否等( )次に,一部開示を命じることの可否について検討する。 情報公開法6条2項の規定に係る「当該情報のうち,氏名,生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより」との文言によれば,同法は「情報」と,その一部である「記述等,の部分」とを区別して定めていることが明らかである。そして,同法は,6条1項において,開示請求に係る行政文書の一部に不開示情報が記録されている場合,一定の条件の下に,当該部分を除いた部分を開示しなければならないとして,情報については,他の情報との区分を認めて,部分開示の義務を定めているものの,情報のうちの特定の記述等の部分(又は,特定の記述等の部分を除いた残りの記述等の部分)につき,その部分だけでの開示を義- 21 -務づける規定は,上記6条2項のほかには設けられていない。そうすると,同法は,6条2項により,5条1号所定の個人に関する情報のうちの特定の個人を識別することができる情報についてのみ,特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を切り離して不開示とし,その余の記述等の部分のみにつき開示すべきものとして,情報を細分化した記述等の部分のみの部分開示を義務付けているものの,6条2項に当たる場合以外は,情報公開法5条各号所定の不開示情報に該当する独立した一体的な情報を更に細分化し,その一部である記述等の部分のみを不開示とし,その余の記述等の部分のみを部分開示することを義務付けているということはできないというべきである(大阪府公文書公開等条例に関する最高裁判所平成13年3月27日第三小法廷判決・民集55巻2号530頁参照。 )この点に関し,1審原告は,独立した一体的情報論については,様 できないというべきである(大阪府公文書公開等条例に関する最高裁判所平成13年3月27日第三小法廷判決・民集55巻2号530頁参照。 )この点に関し,1審原告は,独立した一体的情報論については,様々な問題点が指摘されているとし,最高裁判所平成19年4月17日第三小法廷判決(集民224号97頁)では,結果的に,文書の中の一部分のみを開示したり,不開示としたりする手法を採用している旨の主張をする。 しかし,上記判決は,愛知県公文書公開条例に基づき公文書の開示が請求された事案において,複数の情報についての記述等の部分に重なり合いがある場合に,その共通部分自体には何ら非公開とすべき部分が含まれていないのに,非公開情報の一部をなすとの理由により,上記共通部分を有する他の公開すべき情報のすべてが非公開情報とされるべき理由はないことから,この場合において,結果的に,非公開情報のうちの上記共通部分が開示されることになったとしても,上記条例に反するものではないとする趣旨のものであり,情報公開法も含め,行政機関の長に開示義務があるのは,記述等の部分のみではなく,それが複合された1つの情報であることを何ら改めるものではない。 ( )そして,独立した一体的な情報に当たるか否かについては,社会通念に従 - 22 -うべきことになるが,特定の個人等の氏名・名称のみであったり,また,金額のみのような,各記述等の部分だけでは,それが何を意味しているのかは正確には把握し得ず,社会通念上,有意な内容をもったものということはできないし,情報公開法6条2項が「当該情報のうち,氏名,生年月日その,他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより」と規定して,氏名,生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる部分を「記述等の部分 氏名,生年月日その,他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより」と規定して,氏名,生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる部分を「記述等の部分」とし,それだけでは,独立した情報とはしていないことに照らせば,情報公開法5条各号所定の情報とは,上記記述等の部分が複合した一定のまとまりのある概念というべきである。 この点につき,1審原告は,いわゆる独立した一体的情報論を無批判に採用し,情報の重畳的構造に配慮せず,あらゆる要素を一体的なものとして取り込むと,不当に部分開示を阻害するという弊害が大きいとして,仮に,いわゆる独立した一体的情報論を採用するとしても,情報の重畳的構造に配慮し,部分開示を認めるべきである旨主張する。 しかし,上記のとおり,特定の個人等の氏名・名称のみや,金額のみのような,各記述等の部分だけを開示したところで,それが何を意味しているのかは正確には把握し得ず,有意な内容をもった,社会通念上「情報」といい得るものに当たるということはできず,情報公開法6条2項の規定からも,その主張のような内容の部分開示は導き得ないところである。さらに,実際にも,このような記述等の部分のみを開示する有益性の程度に比して,その開示のために行政機関に必要とされる事務作業の程度等を比較勘案した場合,開示を義務付けられることによる弊害の方がむしろ大きいという場合も少なくないと考えられるものである。 上記2( )で説示したとおり,行政文書開示請求権は,情報公開法によっ ,,,て具体的な内容が定められた権利でありまた上記( )で説示したとおり その情報公開法では,独立した情報の開示のみならず,6条2項の場合を除- 23 -いては,情報の一部である記述等の部分のみを開示することまで,行政機関 利でありまた上記( )で説示したとおり その情報公開法では,独立した情報の開示のみならず,6条2項の場合を除- 23 -いては,情報の一部である記述等の部分のみを開示することまで,行政機関の長の義務として規定していない以上,1審原告の主張は採用の限りではない。 ( )本件各行政文書(決裁書,見積書,請求書,領収書,支払証拠台紙)に記 録されている情報の内容等そこで,本件各行政文書に記録されている情報が,一体のものと理解されるべきものか,それとも,複数の情報が記録されているものと理解されるべきものかについて検討する。 ア決裁書(狭義)決裁書(狭義)に記載されている外形的事項は上記3( )で認定したよ うに原判決別表1の「外形的事実等」欄記載のとおりであり,本件における決裁書(狭義)は,概ね,ある目的で誰にいくらの金員を支払うということについて,決裁書(狭義)の起案者が起案日に決裁者に対して了解を求め,決済日にその了解がなされたことを明らかにするもので,これらが一体となって,社会的に有意な1つの情報を形成しているということができる。 イ見積書見積書に記載されている外形的事項は上記3( )で認定したように原判 決別表1の「外形的事実等」欄記載のとおりであり,見積書は,概ね,誰が,誰に対し,いつ,何について,いくらの対価であれば提供等をするのかを明らかにするもので,これらが一体となって,社会的に有意な1つの情報を形成しているということができる。 ウ請求書請求書に記載されている外形的事項は上記3( )で認定したように原判 決別表1の「外形的事実等」欄記載のとおりであり,請求書は,概ね,誰が,誰に対し,いつ,何について,いくらの金員の支払を求めるのかを明- 24 -らかにするもので,これらが一体となって,社会的に 決別表1の「外形的事実等」欄記載のとおりであり,請求書は,概ね,誰が,誰に対し,いつ,何について,いくらの金員の支払を求めるのかを明- 24 -らかにするもので,これらが一体となって,社会的に有意な1つの情報を形成しているということができる。 エ領収書領収書に記載されている外形的事項は上記3( )で認定したように原判 決別表1の「外形的事実等」欄記載のとおりであり,領収書は,概ね,誰が,誰から,いつ,いかなる目的で,いくらの金員を受領したのかを明らかにするもので,これらが一体となって,社会的に有意な1つの情報を形成しているということができる。 なお,本件では,立替えの目的と内容の部分も含めて立替者による立替金の請求と領収の事実を記録する「立替金請求・領収書」と題する書面も上記領収書に含めて分類されており,この場合には,2つの情報を記録しているとみることができる。 オ支払証拠台紙支払証拠台紙に記載されている外形的事項は上記3( )で認定したよう に原判決別表1の「外形的事実等」欄記載のとおりであり,支払証拠台紙は,そこに貼付されている証拠書類を除けば,概ね,誰に,いつ,何について,いくらの金員を支払ったのかを明らかにするもので,これらが一体,。 となって社会的に有意な1つの情報を形成しているということができるカなお,上記本件各行政文書,とりわけ領収書や請求書には,時として,目的・内容や日付等の記載がない場合もあると考えられ,そのような場合には,当該文書そのものの記載自体としては有意な1つの情報を形成していないこともあり得るが,そのような文書であるからといって,その記載をさらに細分化して,特定の記述等の部分のみの(又は,特定の記述等の部分を除くその余の記述等の部分の)部分開示をすることが,行政機関の長に義務付けられて ,そのような文書であるからといって,その記載をさらに細分化して,特定の記述等の部分のみの(又は,特定の記述等の部分を除くその余の記述等の部分の)部分開示をすることが,行政機関の長に義務付けられているものでないことは,上記( )及び( )で説示したと ころにより明らかというべきである。また,そのような文書であっても,- 25 -公にすることにより,他国等との信頼関係が損なわれ,あるいは他国等との交渉上の不利益を被るなどのおそれがあると行政機関の長が認めること,,につき相当の理由がある情報となり得ることは本件各行政文書について後に検討するとおりである。 情報公開法5条3号及び6号所定の不開示情報該当性そこで,本件各行政文書について,上記3( )で認定した,原判決別表1の 「使用目的」欄及び「類型」欄並びに原判決別表4記載のとおりの分類に応じて,情報公開法5条3号及び6号所定の情報が記録されているか否かについて検討する(なお,1審被告は,主として情報公開法5条3号所定の不開示情報が記録されていると主張するものと理解されることから,情報公開法5条3号所定の情報が記録されているか否かから先に検討する。 。)( )1類型に係る文書 ア1類型に係る文書は,情報収集の対価(A1,非公式の二国間の外交)交渉等を進めるに当たっての協力の対価(B1)又は国際会議等において非公式の多国間交渉を進めるに当たっての協力の対価(C1)に係る文書であるが,上記1( )アで認定したとおり,本件では,国際会議等におい て非公式の多国間交渉を進めるに当たっての協力の対価(C1)に分類される性質の情報を記録した行政文書は存しないから,ここでは,情報収集の対価(A1)又は非公式の二国間の外交交渉等を進めるに当たっての協力の対価(B1)に係る るに当たっての協力の対価(C1)に分類される性質の情報を記録した行政文書は存しないから,ここでは,情報収集の対価(A1)又は非公式の二国間の外交交渉等を進めるに当たっての協力の対価(B1)に係る文書が問題となる。 そして,1審被告は,これらの文書は保秘性が高いとし,情報公開法5条3号所定の不開示情報に当たる理由として,次の例を示して主張する。 すなわち,情報収集の対価(A1)に係る文書に関し,これに該当する原判決別表1の通番26の文書について,当該文書が外務省職員がフランスに所在する特定の組織・機関の内部事情等に関する情報提供の対価を支払ったことを示す文書であり,その目的・内容の欄には,フランスに所在- 26 -する特定の組織・機関に所属する幹部に対し,我が国が関心を有する当該組織・機関の内部事情等に関する情報提供に係る対価を支出したことが記載され,当該個人名,支払額が明記されているとして,この文書を開示して,我が国政府がどの組織・機関のいかなる立場の幹部から情報提供を受けているかを明らかにすること自体,我が国がいかなる分野の情報を収集しているかを公にすることとなり,我が国の国益を損ねるものであるなどとする。また,非公式の二国間の外交交渉等を進めるに当たっての協力の対価(B1)に係る文書に関し,これに該当する原判決別表1の通番3の文書について,当該文書が我が国の安全保障分野に関連する協力活動の対価を現地所在の関係団体に支払ったことを示す文書であり,その目的・内容の欄には,我が国の安全保障分野に関連して,ホノルルにおける関係機関等との交渉等に係る協力活動への対価として,現地所在の関係団体に支出することが記載され,受取人の団体名,代表者名,支払額等が明記されているとして,この支出に係る活動は,現地における我が国の活動促進のため,我が に係る協力活動への対価として,現地所在の関係団体に支出することが記載され,受取人の団体名,代表者名,支払額等が明記されているとして,この支出に係る活動は,現地における我が国の活動促進のため,我が国政府が当該団体の現地における立場にも配慮し,公にしないことを前提として,当該団体による現地における我が国の安全保障分野に関連する協力活動への対価を支払ったものであるため,どの団体に対し,いかなる協力活動につき対価を支出したかは,我が国の国益や当該地域における当該団体との良好な関係を維持するためにも秘匿されるべき事柄であり,公にすることが許されない性質のものであるとする。 イそこで検討するに,上記1( )で認定のとおり,外務省の任務は,平和 で安全な国際社会の維持に寄与するとともに主体的かつ積極的な取組みを通じて良好な国際環境の整備を図ること並びに調和ある対外関係を維持し発展させつつ,国際社会における日本国及び日本国民の利益の増進を図ることであり(外務省設置法3条,その任務を達成するため,国際情勢に)関する情報の収集及び分析並びに外国及び国際機関等に関する調査に関す- 27 -ること(同法4条7号)などが外務省の所掌事務とされている。 このような外務省が収集,分析すべき情報は,政治家,行政機関の職員,,,等民間の有識者報道関係者等様々な者から得られる種々の情報でありその中には,公開されている情報もあれば,公開されていない情報もある。 ,,,と考えられるこのように情報の提供者は1審原告が主張するとおり他国政府等に近い筋の関係者や,二国間及び多国間の外交交渉等の相手方の関係者に限られると狭く捉えることはできず,上記のようにより広範囲の者であることを前提として判断すべきであるが,それでも,ある特定人が某日情報提供等の対価と 国間及び多国間の外交交渉等の相手方の関係者に限られると狭く捉えることはできず,上記のようにより広範囲の者であることを前提として判断すべきであるが,それでも,ある特定人が某日情報提供等の対価として金員を受領したことを示す領収書立,,(「替金請求・領収書」と題する書面の場合もある,同じく,金員を請求。)したことを示す請求書,ある特定人に,某日,情報提供等の対価として金員を支払ったことを示す支払証拠台紙が開示され,そのため,情報提供者が情報提供等の対価の支払を受けたことに関する情報が明らかとなると,一般的には,1審被告が主張するとおり,情報提供者の我が国の秘密保持に対する信頼が低下し,今後,当該情報提供者のみならず,他の情報提供者も含めて,内々の情報提供,率直な意見交換,他国政府等に対する働きかけなどの協力に応じなくなり,あるいはこれを躊躇し,そのために情報収集等が困難となる可能性があって,ひいて他国や国際機関との交渉の際における我が国の立場が不利となることがあると考えることは自然であり,また,場合によっては,1審被告が主張するとおり,情報提供等を受けていた事実が明らかとなれば,関係する他国等との関係が損なわれる事態も想定し得るところである。 上記領収書等の中には,目的・内容に関する記載のないもの(原判決別表1の通番528の領収書)などもあるが,いかなる目的・内容で受領したか明らかとならなくても,金銭の受領を受けたとの事実等が明らかとなった場合,情報提供者等による我が国の秘密保持に対する信頼の低下と,- 28 -それに伴う情報収集等の困難を招来する可能性があることは上記説示したところと同様であり,また,他の情報をつき合わせるなどの方法で,情報提供者等が情報提供等の対価として金員を受領したものであることが明らかとなるお 収集等の困難を招来する可能性があることは上記説示したところと同様であり,また,他の情報をつき合わせるなどの方法で,情報提供者等が情報提供等の対価として金員を受領したものであることが明らかとなるおそれも考えられ,その結果,上記のとおりの事態が生じる可能性も否定はできない。 このようにみてくれば,1類型に係る文書につき,その内容が明らかになることにより情報収集等が困難となる可能性があり,また,関係する他国等との関係が損なわれる可能性があるなどと主張し,公にすることにより,他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると評価する1審被告の判断には,合理性が首肯できるのであり,したがって,1類型に係る文書について,情報公開法5条3号所定の情報が記録されているとする1審被告の判断が裁量権を逸脱又は濫用したものということはできない。 ( )2類型に係る文書のうちの直接接触に係る文書 ア2類型に係る文書は,情報収集のための会合の経費(A2,非公式の)二国間の外交交渉等を進めるに当たっての会合の経費(B2)又は国際会()議等において非公式の多国間交渉を進めるに当たっての会合の経費C2に係る文書であるが,2類型に係る文書は,更に直接接触に係る文書(情報収集等又は二国間若しくは多国間の交渉の相手方と直接接触した会合の経費に係る文書)と,間接接触に係る文書(交渉の準備あるいは交渉結果を踏まえた対応の検討のための会合の経費に係る文書)に分類される。 そして,1審被告は,2類型に係る文書のうちの直接接触に係る文書は保秘性が高いとし,情報公開法5条3号所定の不開示情報に当たる理由として,次のとおり主張する。 すなわち,①情報提供者等の協力を得るため,会合を持って情報収集や,,働きかけ 直接接触に係る文書は保秘性が高いとし,情報公開法5条3号所定の不開示情報に当たる理由として,次のとおり主張する。 すなわち,①情報提供者等の協力を得るため,会合を持って情報収集や,,働きかけを行うことがあるがこの直接接触に係る文書が開示された場合- 29 -当該情報提供者等の特定に繋がる情報が明らかになり,情報提供者等の立場を損ね,これらの者との信頼関係を失うこととなって,以後,我が国において,これら情報提供者等から,内々の情報提供,率直な意見交換,他国政府等に対する働きかけなどで積極的な協力を得ることができなくなるおそれが生じる,②情報提供者等の特定につながる情報が開示されれば,我が国の秘密保持に対する信頼が著しく低下し,そのため,以後,他国等から我が国への協力的な対応はもとより,我が国との接触・交渉すら得ることができない事態に繋がることが想定されるし,同様に,他の情報提供者,協力者一般にも影響し,これらの者の協力も得られなくなるおそれが生じる,③情報提供者等の特定に繋がる情報が明らかとなった場合,他国等が,各種の情報の分析を通じて,我が国の情報収集等の目的,外交政策の意図,関心,懸念の程度,情報収集や外交工作の方法等も知り得ること,,,,になりその結果他国等が我が国についてのこのような事実を踏まえその情報提供者等に対して我が国在外公館職員との接触を制限したりするなどの外交政策上の対抗措置を講じるおそれもあり,そうなると,我が国が適切な外交上の政策決定をする上で,その基礎となる正確で十分な情報,,,が収集できなくなり他国への外交的な働きかけが不調となったり又は他国が我が国に対してより強硬な立場をとるなどの事態が生じるおそれがある,④情報提供者等の特定に繋がる情報が明らかになる可能性があるということになれ なり他国への外交的な働きかけが不調となったり又は他国が我が国に対してより強硬な立場をとるなどの事態が生じるおそれがある,④情報提供者等の特定に繋がる情報が明らかになる可能性があるということになれば,外務省本省や在外公館の担当者は,情報提供者等との関係や外交関係への不利益の波及等を懸念して,外務省の報償費を用いた情報収集等の活動の実施そのものについて慎重になり,あるいは実施するとしても最も効果的な手段の使用を躊躇するといった萎縮効果が生じ,我が国の情報収集等の事務の遂行に著しい支障を生じるとする。 イそこで検討するに,1審被告の主張は,それが明らかとなることによって,情報提供者等の特定に繋がることがあり得ることを前提とするもので- 30 -あるが,在外公館職員が,ある特定人と,某日,某所で会合したことを示す決裁書(狭義,支払証拠台紙,領収書(立替金請求・領収書」と題)「する書面の場合もある,請求書が開示されると,これらの文書に会合。)の相手方である特定人の氏名等が記載されていなかったとしても,他の情報等とつき合わせて分析することにより特定の情報提供者等との会合であることが明らかとなる可能性も確かに考えられないではなく,それによって,そのような可能性がある情報を開示すること自体,①情報提供者等の立場を損ね,これらの者との信頼関係を失うこととなって,以後,我が国において,これら情報提供者等から,内々の情報提供,率直な意見交換,他国政府等に対する働きかけなどで積極的な協力を得ることができなくなるおそれがあるとの1審被告の主張,また,②我が国の秘密保持に対する信頼が著しく低下し,そのため,以後,他国等から我が国への協力的な対応はもとより,我が国との接触・交渉すら得ることができない事態に繋が,,,,ることが想定されるし同様 が国の秘密保持に対する信頼が著しく低下し,そのため,以後,他国等から我が国への協力的な対応はもとより,我が国との接触・交渉すら得ることができない事態に繋が,,,,ることが想定されるし同様に他の情報提供者協力者一般にも影響しこれらの者の協力も得られなくなるおそれがあるとの1審被告の主張,さらに,③他国等が,各種の情報の分析を通じて,我が国の情報収集等の目的,外交政策の意図,関心,懸念の程度,情報収集や外交工作の方法等も知り得ることになり,その結果,他国等が,我が国のこのような事実を踏まえ,その情報提供者等に対して我が国在外公館職員との接触を制限したりするなどの外交政策上の対抗措置を講じるおそれもあり,そうなると,我が国が適切な外交上の政策決定をする上で,その基礎となる正確で十分,,な情報が収集できなくなり他国への外交的な働きかけが不調となったり又は,他国が我が国に対してより強硬な立場をとるなどの事態が生じるおそれがあるとの1審被告の主張は,上記1( )で認定の所掌事務等を掌理 する者の判断として,理解することができ,2類型に係る文書のうちの直接接触に係る文書に記録されている情報について,公にすることにより,- 31 -他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると評価する1審被告の判断には,合理性が首肯できるのであり,したがって,2類型に係る文書のうちの直接接触に係る文書について,情報公開法5条3号所定の情報が記録されているとする1審被告の判断が裁量権を逸脱又は濫用したものということはできない。 ,,,なお領収書の中には目的・内容の記載のないものも含まれているが在外公館職員が某日某所で会合をもったことを示す領収書が開示されると,他の情報等とあわせ 濫用したものということはできない。 ,,,なお領収書の中には目的・内容の記載のないものも含まれているが在外公館職員が某日某所で会合をもったことを示す領収書が開示されると,他の情報等とあわせて特定の情報提供者等との会合であることが明らかとなる可能性も考えられないではなく,この場合についても上記説示したところと同様である。 ( )2類型に係る文書のうちの間接接触に係る文書 ア間接接触に係る文書の中の別表4の会合経費に係る文書のうち,国会議(「」。)員等との会合に係る文書以下国会議員等との会合に係る文書という(ア)1審被告は,国会議員等との会合に係る文書は保秘性があるとし,情報公開法5条3号所定の不開示情報に当たる理由として,次のとおり主張する。 すなわち,国会議員や我が国政府とは異なる公的団体の関係者及び自治体関係者の場合には,相手国関係者からは,日本政府とは一線を画した見地から行動することができる者であるとの見方をされる場合があるため,これらの者による他国への働きかけは,我が国外交当局による働きかけと異なる影響力を有し,それが功を奏することが多く,このような国会議員等の影響力を利用して,その働きかけの効果を最大限のものにし,その後の外交交渉を有利に展開するために,このような国会議員等と相手国関係者等との接触や働きかけの前後において,当該国会議員等と外務当局との間で,公にしないことを前提として,秘密裏に長時間- 32 -にわたって綿密な打合せがしばしば行われるが,相手国関係者が,特定のこのような打合せの事実を知ることになれば,①当該我が国国会議員等の言動が自らの立場に基づく見解ではなく,所詮我が国外交当局のい,,わば差し金で述べたにすぎないとの心証を有することとなりその結果当該打合せに係る我が国国会議員等 なれば,①当該我が国国会議員等の言動が自らの立場に基づく見解ではなく,所詮我が国外交当局のい,,わば差し金で述べたにすぎないとの心証を有することとなりその結果当該打合せに係る我が国国会議員等を通じた働きかけの効果が減殺されることになり,②その後,当該我が国国会議員等に関しては,同様の働きかけが功を奏しなくなるという外交交渉上深刻な事態に陥るおそれがあり,③我が国が行おうとする外交上の意図,動向,方針も相当程度明らかになる結果,他国が,あらかじめ対策を講じたり,我が国の情報収,,集活動に対する妨害又は対抗措置を講じるおそれもあり④外交活動は継続性のあるものであり,1つの交渉が終わった後であっても,上記のような事情が明らかになれば,当該相手国関係者が当該我が国国会議員等に対する評価を改め,さらには,信頼を損なうおそれがあり,その結果,今後,同様の案件を処理する際に,同様の働きかけが功を奏しなくなるという外交交渉上深刻な事態に陥るおそれがあるとする。 (イ)そこで検討するに,国会議員や我が国政府とは異なる公的団体の関係者及び自治体関係者による他国に対する働きかけが,我が国外交当局に,,よる働きかけと異なる影響力を有しそれが功を奏することがあるためこのような国会議員等と相手国関係者等との接触や働きかけの前後において,当該国会議員等と外務省職員との間で,公にしないことを前提として,秘密裏に長時間にわたって綿密な打合せを行うこともあると認め(,),,,られる乙50 ところ在外公館職員が特定の国会議員等と某日,某所で会合したことを示す決裁書(狭義,支払証拠台紙,領収)書(立替金請求・領収書」と題する書面の場合もある,請求書が開「。),,示されると当該国会議員等の氏名が直接明らかになる場合のみなら で会合したことを示す決裁書(狭義,支払証拠台紙,領収)書(立替金請求・領収書」と題する書面の場合もある,請求書が開「。),,示されると当該国会議員等の氏名が直接明らかになる場合のみならず国会議員等の氏名が記載されていない場合であっても,他の情報等とあ- 33 -わせて当該国会議員等との会合であることが明らかとなる可能性も確かに考えられないではなく,それによって,相手国関係者が,特定の国会議員等とのこのような打合せの事実を知ることになれば,当該我が国国会議員等の言動が自らの独自の立場に基づく見解等ではなく,我が国外交当局の意を受けて,いわばその代弁をするにすぎないものではないかとの疑念を抱くこととなる可能性は考えられないではなく,その結果,①当該打合せに係る我が国国会議員等を通じた働きかけの効果が減殺されることになるとの1審被告の主張,②その後,当該我が国国会議員等に関しては,同様の働きかけが功を奏しなくなり,外交交渉上の不利益が生じるおそれがある旨の1審被告の主張,③我が国が行おうとする外交上の意図,動向,方針も明らかとなり,他国が,あらかじめ対策を講じたり,我が国の情報収集活動に対する妨害又は対抗措置を講じるおそれもあるとの1審被告の主張,④今後,同様の案件を処理する際に,同様の働きかけが功を奏しなくなるという外交交渉上の不利益が生じるおそれがある旨の1審被告の主張は,上記1( )で認定の所掌事務等を掌 理する者の判断として,理解できないものではなく,国会議員等との会合に係る文書に記録されている情報について,公にすることにより,他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると評価する1審被告の判断には,合理性が首肯できるのであり,したがって,国会議員等との会合に係る文書について,情報公開法5条3号所定の により,他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると評価する1審被告の判断には,合理性が首肯できるのであり,したがって,国会議員等との会合に係る文書について,情報公開法5条3号所定の情報が記録されているとする1審被告の判断が裁量権を逸脱又は濫用したものということはできない。 なお,領収書の中には,目的・内容の記載のないものも含まれているが,在外公館職員が某日某所で会合をもったことを示す領収書が開示されると,他の情報等とあわせて国会議員等との会合であることが明らかとなる可能性も考えられないではなく,この場合についても上記説示し- 34 -たところと同様である。 イ間接接触に係る文書の中の別表4の会合経費に係る文書のうち,政府関係者,総理大臣,外務大臣等との会合に係る文書(以下「政府関係者等との会合に係る文書」という)。 (ア)1審被告は,政府関係者等との会合に係る文書は保秘性があるとし,情報公開法5条3号所定の不開示情報に当たる理由として,次のとおり主張する。 すなわち,外交当局とそれ以外の政府部門の関係部局とが連携しながら外交交渉を行う場合もあるところ,外交当局と当該関係部局の思惑が完全には一致しないこともあり得るが,相手国政府等がそうした認識の不一致を察知した場合には,我が国の外交当局と当該関係部局との間の分断が図られ,我が国にとって不利益な結果をもたらすような働きかけが行われるおそれがあるため,相手国政府等との協議前に,我が国関係者相互における利害・関心の不一致などの我が国側の手の内を推察されないようにすることを目的として,率直に意見を交換し合い,問題の所在を明確化させるために,長時間,人目に触れない形で議論を行ってすり合わせを図ることが行われるが,相手国政府等が上記のようなすり合わせを知るところとなれば 的として,率直に意見を交換し合い,問題の所在を明確化させるために,長時間,人目に触れない形で議論を行ってすり合わせを図ることが行われるが,相手国政府等が上記のようなすり合わせを知るところとなれば,①その後の当該外交交渉に支障を来すことはいうに及ばず,②事後的にであっても,上記のようなすり合わせが明らかになれば,我が国政府部門間の内情や協議の際の準備のパターンを外国政府に読まれることになり,今後,関連分野や同態様の案件を処理する場合に,手の内を明かしたまま協議に臨むのと同様の結果をもたらすおそれがある。 また,総理大臣,外務大臣,当該在外公館職員以外の外務省職員が,外交交渉の準備のため,在外公館職員と会合を行う場合もあるが,こうした外交交渉の準備等のための会合を行ったことは,いわば我が国政府- 35 -内部の情報であって秘匿性が高く,このような会合が行われた場合に,常にその場所等が明示された文書が開示されることになれば,協議を行うために相手国を訪問した総理大臣や外務大臣,外務省職員が,在外公館職員の誰とどこで準備又は検討を行っているかが明らかになり,そうした個々の準備等の傾向を分析することにより,こうした形での我が国の外交活動に関する情報を収集することが可能となり,事後,この種の活動を円滑に遂行することが困難になる事態も懸念されるし,その傾向が分析され,盗聴等のおそれが生ずることも十分に考えられるとする。 (イ)そこで検討するに,特定の政策課題を巡って外交当局と政府の関係部局の間で意見が一致せず,会合をもって意見のすり合わせが行われることもあるところ,相手国政府等がそうした意見の不一致を察知した場合に,外交当局と政府の関係部局間の分断が図られ,我が国が交渉上不利な立場となることも考えられるが,在外公館職員が,特定の政府部局関係 ともあるところ,相手国政府等がそうした意見の不一致を察知した場合に,外交当局と政府の関係部局間の分断が図られ,我が国が交渉上不利な立場となることも考えられるが,在外公館職員が,特定の政府部局関係者等と,某日,某所で会合したことを示す決裁書(狭義,支払証拠)台紙,領収書(立替金請求・領収書」と題する書面の場合もある,「。)請求書が開示されると,在外公館職員と政府部局関係者等との会合がもたれた事実が直接明らかになる場合のみならず,そのような事実が直接記載されていなくても,他の情報等とあわせて在外公館職員と政府部局関係者等との会合がもたれた事実が明らかとなる可能性も確かに考えられないではなく,それによって,相手国政府等が,外交当局と政府の関係部局の間での意見の不一致(少なくとも,在外公館職員と政府部局関係者とが,相当程度の時間,会合をもって意見の調整を行わなければならないような,外交当局を含めた我が国政府部門内部における問題の存在)を察知した場合に,①その後の当該外交交渉に支障を来すおそれがある旨の1審被告の主張,②事後的に明らかとなった場合であっても,我が国政府部門の内情や協議の際の準備のパターンを外国政府に読まれ- 36 -ることになり,今後,関連分野や同態様の案件を処理する場合に不利となるおそれがある旨の1審被告の主張は,上記1( )で認定の所掌事務 等を掌理する者の判断として,理解できないものではなく,また,総理大臣が,外交交渉の準備のため,在外公館職員と会合を行う場合においても,上記①及び②の1審被告の主張は,理解できないものではなく,したがって総理大臣及び政府部局関係者等との会合に係る文書に記録されている情報について,公にすることにより,他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると評価する1審被告の ものではなく,したがって総理大臣及び政府部局関係者等との会合に係る文書に記録されている情報について,公にすることにより,他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると評価する1審被告の判断には,合理性が首肯できるのであり,これらの者との会合に係る文書について,情報公開法5条3号所定の情報が記録されているとする1審被告の判断が裁量権を逸脱又は濫用したものということはできない。 なお,領収書の中には,目的・内容の記載のないものも含まれているが,これについても既に説示したところと同様である。 しかしながら,在外公館職員が外務大臣及び当該在外公館職員以外の外務省職員と会合を行った場合における,当該会合をしたことを示す文書については,以上と同様に考えることはできない。すなわち,それぞれ独自の所掌事務を有し,原則的には対等の関係にある外交当局とその他の政府部局との関係とは異なり,外交当局内部の関係であれば,仮に意見の不一致が生じたとしても,外務大臣を頂点とする職制に従った指揮命令によって解消されるはずのものであり,外務大臣及び当該在外公館職員以外の外務省職員が在外公館職員と相当程度の時間をかけて会合をもったとしても,それは業務上の指揮命令その他の業務に係る諸事項の伝達や,復命報告等のためであったと見られるのが通常であると考えられ,在外公館職員と外務大臣及び当該在外公館職員以外の外務省職員との会合がもたれたことの一事をもって,相手国政府関係者から,外交当局内部の意見の不一致を解消するためのものであると勘ぐられるとす- 37 -るのは,いかにも不自然不合理である。したがって,外務大臣及び当該在外公館職員以外の外務省職員との会合に係る文書に記録されている情報について,公にすることにより,他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ も不自然不合理である。したがって,外務大臣及び当該在外公館職員以外の外務省職員との会合に係る文書に記録されている情報について,公にすることにより,他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると評価する1審被告の判断は明らかに妥当性を欠くものであって,当該文書に情報公開法5条3号所定の情報が記録されているとする1審被告の判断はその裁量権を逸脱したものというべきである。 そこで,進んで,外務大臣及び当該在外公館職員以外の外務省職員との会合に係る文書に同条6号所定の情報が記録されているか否かについて検討するに,このような会合が在外公館以外の場所でもたれる場合のその会合場所や,このような会合が在外公館内でもたれる場合にその会合に供するための料理等の調達先等は,いずれも信頼し得る場所や業者を選定しているものと考えられるが,そのような場所や業者が数多くあるとは考え難いから,必然的に他の会合においても同じ場所や業者を反復して用いることになることは自然であり,そうであれば,外務大臣及び当該在外公館職員以外の外務省職員との会合に係る文書が開示されることにより,上記会合場所や調達先の業者に関する情報が明らかになれば,その後,我が国に関する情報を不正に入手しようとする者,我が国への情報提供者や我が国関係者に危害を加えようとする者等が,それらの業者やその従業員等に働きかけて不正な工作をし,あるいは当該会合場所を襲撃等の標的とするなどの行為に及ぶ可能性が考えられ,そうすると,外交事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるというべきであるから,外務大臣及び当該在外公館職員以外の外務省職員との会合に係る文書に記録されている情報は,情報公開法5条6号柱書所定の不開示情報に当たると認められる。 なお,外務大臣及び当該在外公館職員以外の外務省職員と在外公 び当該在外公館職員以外の外務省職員との会合に係る文書に記録されている情報は,情報公開法5条6号柱書所定の不開示情報に当たると認められる。 なお,外務大臣及び当該在外公館職員以外の外務省職員と在外公館職- 38 -員との会合について,これを報償費その他の予算支出を伴うような会合場所で行ったり,同様の予算支出を伴うような料理等の調達が必要であったか(換言すれば,在外公館以外の場所で会合をもったり,在外公館内での会合に料理等を調達したとしても,その費用を報償費その他の予算支出で賄う必要があったか)という問題があるが,この点は,本件の審理判断の対象ではない。このことは,総理大臣や政府部局関係者との会合についても同様である。 ウ間接接触に係る文書の中の原判決別表4の事務経費に係る文書である自動車借料経費等の事務経費の支出に係る文書(以下「自動車借料経費等の事務経費の支出に係る文書」という)。 (ア)1審被告は,自動車借料経費等の事務経費の支出に係る文書は保秘性,,があるとし情報公開法5条3号所定の不開示情報に当たる理由として次のとおり主張する。 すなわち,自動車借料経費等の事務経費の支出に関しては,保安上の問題から,我が国関係者の安全を確保できる信頼のおける専門業者に対し,公としないことを前提として発注しているのであり,仮にこのような自動車借料経費等に係る文書が開示され,上記専門業者に関する情報が公になると,関係国や,本邦関係者に危害を加えようとする者,あるいは我が国政府の内部情報を不正に入手しようとする者などが,当該調達先に接触し,我が国の内部情報を入手してそれらを悪用し,あるいは当該調達先に働きかけて我が国の外交事務を妨害するなどして,我が国の利益を損ない,あるいは我が国の在外関係者の安全確保を困難にするなどの事態が生じるお 国の内部情報を入手してそれらを悪用し,あるいは当該調達先に働きかけて我が国の外交事務を妨害するなどして,我が国の利益を損ない,あるいは我が国の在外関係者の安全確保を困難にするなどの事態が生じるおそれがあるとする。 (イ)そこで検討するに「国の安全(情報公開法5条3号)とは,国と,」しての基本的な秩序が平穏に維持されている状態をいうと解されるが,1審被告の主張する事態は,いずれも「国の安全」そのものとは別の事- 39 -態であるし,また,1審被告は,調達先を明らかにすると,当該調達先に接触し,我が国の内部情報を入手してそれらを悪用される可能性があるとするが,上記調達先は,自動車借料経費等の事務に関する調達先であり,上記調達先が「他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれ,るおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ同」(号)が生じるいかなる内部情報を有しているのか判然とせず,上記調達先に働きかけることによって,どのような「他国若しくは国際機関と,の信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不」,利益を被るおそれが生じる可能性があるのかも判然としないのであり結局,1審被告の上記主張によっては,1審被告が情報公開法5条3号所定の情報に当たるとしたその判断の合理性は到底肯定できず,その判断が妥当性を欠くことは明らかであって,情報公開法5条3号所定の情報が記録されているとする1審被告の判断はその裁量権を逸脱したものというべきである。 (ウ)もっとも,自動車の借上げ等は,保安上の問題から我が国関係者の安全を確保できる信頼のおける一定の業者から調達をしているものと考えられるが,このような自動車借料経費等の事務経費の支出に係る文書が開示され,その調達先が明らかとなると,調達に係る自動車等が 係者の安全を確保できる信頼のおける一定の業者から調達をしているものと考えられるが,このような自動車借料経費等の事務経費の支出に係る文書が開示され,その調達先が明らかとなると,調達に係る自動車等が関係国や本邦関係者に危害を加えようとする者によるテロ行為等の標的となる可能性があり,1審被告が主張するとおり,我が国の在外関係者の安全確保を困難にするなどの外交事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるというべきであるから,自動車借料経費等の事務経費の支出に係る文書に記録されている情報は,情報公開法5条6号柱書所定の不開示情報に当たると認められる。 ( )五類型に係る文書 ア五類型に係る文書のうち,大規模レセプション経費に係る文書- 40 -,,(ア)1審被告は大規模レセプション経費に係る文書は保秘性があるとし情報公開法5条3号所定の不開示情報に当たる理由として,次のとおり主張する。 すなわち,①大規模レセプション経費に係る文書を開示することにより,大規模レセプションに要する料理等の調達先や調達の具体的内容,招待者氏名・肩書等が公になった場合,他の同種のレセプションとの比較等を通じて,我が国が,当該国・招待者等に対し,どのような評価をもって,どのような基準で招待者を選定し,どの程度のもてなしを行ったかを判断することが可能となるが,本来,どのような評価をもって,どのように招待者を選定するかは,外交儀礼上,公にしないものであるから,仮に招待者の基準が明らかになるようなことがあれば,外交儀礼に反することになるし,また,大規模レセプションに関する上記情報が公にされ,我が国の当該相手方に対する評価・見方が相手方の予想よりも低い評価と受け止められた場合には,相手方が,我が国に対し,不満・不快感を抱き,あるいは信頼や好意を損なうおそれが 関する上記情報が公にされ,我が国の当該相手方に対する評価・見方が相手方の予想よりも低い評価と受け止められた場合には,相手方が,我が国に対し,不満・不快感を抱き,あるいは信頼や好意を損なうおそれがあって,ひいては相手方の所属する他国との信頼関係を損なうおそれがあり,②大規模レセプションに係る調達先である専門業者は,保安上の問題から厳重に警備をしている在外公館への出入りが認められるため,在外公館は,そのような取扱いを認めても在外公館の安全を確保できる,信頼できる業者から調達を行っているが,このような業者に関する情報が開示されると,本邦関係者に危害を加えようとする者,あるいは我が国に関する在外公館内の情報を不正に入手しようとする者などが,当該専門業者を悪用し,不法に在外公館へ侵入するなどして,在外公館の安全確保を困難にするなど国の安全が害される事態が生じるおそれがあるとする。 (イ)そこで検討するに,大規模レセプションについては,大規模レセプション経費に係る文書を開示せずとも,その開催自体によって,もてなし- 41 -の内容や招待者の氏名等は自ずから明らかとなり,それによって,相手方等はもてなしの程度等を理解し得るのであるから,大規模レセプショ,,ン経費に係る文書を開示することによって初めて1審被告が主張するどのような評価をもって,どのような基準で招待者を選定し,どの程度のもてなしを行ったかを判断することが可能になるとか,また,我が国の当該相手方に対する評価・見方が相手方の予想よりも低い評価と受け止められることが生じうるとは考え難いところであり,1審被告の上記主張によっては,大規模レセプション経費に係る文書を開示することによって「公にすることにより,他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ(情報公開法5条3号)がある ろであり,1審被告の上記主張によっては,大規模レセプション経費に係る文書を開示することによって「公にすることにより,他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ(情報公開法5条3号)があるとしたその判断の合理」性は到底肯定できない。また,1審被告は,大規模レセプションに係る調達先である専門業者に関する情報が開示されると,在外公館の安全確保を困難にするなど国の安全が害される事態が生じるおそれがあるとも主張するが,既に( )ウ(イ)で説示したところと同様に,そのような事態 は,いずれも「国の安全(同号)そのものとは別の事態であり,その」判断の合理性は到底肯定できない。 したがって,1審被告が情報公開法5条3号所定の情報に当たるとしたその判断が妥当性を欠くことは明らかであって,大規模レセプション経費に係る文書に情報公開法5条3号所定の情報が記録されているとする1審被告の判断はその裁量権を逸脱したものというべきである。 (ウ)もっとも,大規模レセプションに提供する料理その他の物品やサービスは,保安上の問題から在外公館への出入りを認めても在外公館の安全を確保することができる信頼のおける一定の業者から調達をしているものと考えられるが,このような業者に関する情報が公にされると,本邦関係者等に危害を加えようとする者が,テロ行為等の標的としたり,当該業者を悪用して不法に在外公館に侵入するなどの可能性があり,1審- 42 -被告が主張するとおり,在外公館の安全確保を困難にするなどの外交事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるというべきであるから,大規模レセプション経費に係る文書に記録されている情報は,情報公開法5条6号柱書所定の不開示情報に当たると認められる。 イ五類型に係る文書のうち,酒類購入経費に係る文書(ア)1審被告は,酒 ら,大規模レセプション経費に係る文書に記録されている情報は,情報公開法5条6号柱書所定の不開示情報に当たると認められる。 イ五類型に係る文書のうち,酒類購入経費に係る文書(ア)1審被告は,酒類購入経費に係る文書は保秘性があるとし,情報公開,。 法5条3号所定の不開示情報に当たる理由として次のとおり主張するすなわち,①ワイン等の酒類は,銘柄によってその価値が大きく異なることが広く知られているのであるから,在外公館への来訪者等へ酒類を提供する際には,その銘柄によって相手方が不満・不快感を抱くことがないよう,いかに相手方に対し最高のもてなしをしているかという印象を与えるべく,細心の配慮の下に,提供するワイン等の酒類の銘柄を決めているが,酒類購入経費に係る文書を開示することにより,当該在外公館が保有するワイン等の酒類の銘柄や単価が公にされ,来訪者らがその内容を把握していた場合,提供したワイン等の酒類の銘柄を見て,それが当該在外公館で保有するワイン等の酒類の中でどの程度のランクにあるものかが容易に判別できることになり,そうなると,相手方は,そのワイン等の酒類のランクから,我が国の当該相手方に対する評価・見方を推測し,それが相手方自身の予想よりも低いと受け止めた場合には,我が国に対し,不満・不快感を抱き,あるいは信頼や好意を損なうおそれがあって,ひいては相手方の所属する他国との信頼関係を損なうおそれがあり,②ワイン等の酒類の調達先である専門業者は,保安上の問題から厳重に警備をしている在外公館への出入りが認められるため,在外公館は,そのような取扱いを認めても在外公館の安全を確保できる信頼のおける専門業者へ酒類の発注をしているが,このような業者に関する情報が公にされると,本邦関係者に危害を加えようとする者,ある- 43 -いは我が国に 扱いを認めても在外公館の安全を確保できる信頼のおける専門業者へ酒類の発注をしているが,このような業者に関する情報が公にされると,本邦関係者に危害を加えようとする者,ある- 43 -いは我が国に関する在外公館内の情報を不正に入手しようとする者などが,当該専門業者を悪用し,不法に在外公館へ侵入するなどして,在外公館の安全確保を困難にするなど,国の安全が害される事態が生じるおそれがあるとする。 (イ)そこで検討するに,ワイン等の酒類の銘柄や価格は,酒類購入経費に係る文書に記録された情報に頼らずとも,当該酒類の提供を受けた者には自ずから明らかになるものであり(仮に,その者がその価格を知らなかったとしても,これを知る方法は何通りもある,提供された酒類。)の銘柄や価格によって,もてなしの程度を把握しようとする者がいたとすれば,提供された酒類の銘柄や価格自体によって,不満・不快感を抱くときは抱くものと考えられ,それが当該在外公館で保有するワイン等の酒類の中でどの程度のランクにあるかを知った上で,その相対ランクによって,不満・不快感を抱いたり,抱かなかったりするものとは考え難い。したがって,酒類購入経費に係る文書を開示することによって初めて,1審被告が主張するような,我が国の当該相手方に対する評価・見方が相手方の予想よりも低いと受け止められる事態が生じるものとはいい難く,1審被告の上記主張によっては,酒類購入経費に係る文書に記録された情報が「公にすることにより,他国若しくは国際機関との,信頼関係が損なわれるおそれ(情報公開法5条3号)のあるものであ」るとしたその判断の合理性は到底肯定できない。また,1審被告は,ワイン等の酒類の調達先である専門業者に関する情報が開示されると,在外公館の安全確保を困難にするなど,国の安全が害される事態が であ」るとしたその判断の合理性は到底肯定できない。また,1審被告は,ワイン等の酒類の調達先である専門業者に関する情報が開示されると,在外公館の安全確保を困難にするなど,国の安全が害される事態が生じるおそれがあるともするが,既に( )ウ(イ)で説示したところと同様,1審 被告の主張する事態は,いずれも「国の安全(同号)そのものが害さ」れる事態とは別の事態であり,その判断の合理性は肯定できない。 したがって,1審被告が情報公開法5条3号所定の情報に当たるとし- 44 -たその判断が妥当性を欠くことは明らかであって,酒類購入経費に係る文書に情報公開法5条3号所定の情報が記録されているとする1審被告の判断はその裁量権を逸脱したものというべきである。 (ウ)もっとも,酒類は,保安上の問題から在外公館への出入りを認めても在外公館の安全を確保することができる信頼のおける一定の業者から調達をしているものと考えられるが,そのような業者に関する情報が公にされると,本邦関係者に危害を加えようとする者が,テロ行為等の標的としたり,当該業者を悪用して不法に在外公館に侵入するなどの可能性があり,1審被告が主張するとおり,在外公館の安全確保を困難にするなどの外交事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるというべきであるから,酒類購入経費に係る文書に記録されている情報は,情報公開法5条6号柱書所定の不開示情報に当たると認められる。 ウ五類型に係る文書のうち,本邦関係者が外国訪問した際の車両借上げ等の事務経費(ア)1審被告は,本邦関係者が外国訪問した際の車両借上げ等の事務経費に係る文書は保秘性があるとし,情報公開法5条3号所定の不開示情報に当たる理由として,次のとおり主張する。 すなわち,本邦関係者が外国訪問した際の車両借上げ等の調達先である専門業者 上げ等の事務経費に係る文書は保秘性があるとし,情報公開法5条3号所定の不開示情報に当たる理由として,次のとおり主張する。 すなわち,本邦関係者が外国訪問した際の車両借上げ等の調達先である専門業者は,保安上の問題から厳重に警備をしている在外公館や本邦関係者が宿泊するホテル等に設置する事務連絡室等への出入りが認められたりするため,在外公館は,そのような取扱いを認めても在外公館や事務連絡室等の安全を確保できる信頼のおける業者から調達を行っているが,このような業者に関する情報が公にされると,本邦関係者に危害を加えようとする者,あるいは我が国に関する在外公館内の情報を不正に入手しようとする者などが,当該専門業者を悪用し,不法に在外公館や事務連絡室等へ侵入するなどして,在外公館や本邦関係者の安全確保- 45 -を困難にするなど国の安全が害される事態が生じるおそれがある。 (イ)そこで検討するに,既に( )ウ(イ)で説示したところと同様,1審被告 の主張する事態は,いずれも「国の安全(情報公開法5条3号)その」ものが害される事態とは別の事態であり,その判断の合理性は到底肯定できない。 したがって,1審被告が情報公開法5条3号所定の情報に当たるとしたその判断が妥当性を欠くことは明らかであって,本邦関係者が外国訪問した際の車両借上げ等の事務経費に係る文書に情報公開法5条3号所定の情報が記録されているとする1審被告の判断はその裁量権を逸脱したものというべきである。 (ウ)もっとも,本邦関係者が外国訪問した際の借上げ車両等は,保安上の問題から在外公館や本邦関係者が宿泊するホテル等に設置する事務連絡室等への出入りを認めても在外公館や上記事務連絡室等の安全を確保することができる信頼のおける一定の業者から調達をしているものと考えられるが,このような 本邦関係者が宿泊するホテル等に設置する事務連絡室等への出入りを認めても在外公館や上記事務連絡室等の安全を確保することができる信頼のおける一定の業者から調達をしているものと考えられるが,このような業者に関する情報が公にされると,本邦関係者に危害を加えようとする者が,テロ行為等の標的としたり,当該業者を悪用して不法に在外公館等に侵入するなどの可能性があり,1審被告が主張するとおり,在外公館や本邦関係者の安全確保を困難にするなどの外交事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるというべきであり,本邦関係者が外国訪問した際の車両借上げ等の事務経費に係る文書に記録されている情報は,情報公開法5条6号柱書所定の不開示情報に当たると認められる。 結論 よって,1審原告の請求はいずれも理由がないから,1審被告の控訴に基づき,原判決中1審被告敗訴部分を取り消した上,1審原告の請求をいずれも棄却し,また,1審原告の控訴は理由がないからこれを棄却することとして,主- 46 -文のとおり判決する。 仙台高等裁判所第3民事部裁判長裁判官石原直樹裁判官谷村武則裁判官小林直樹は転補につき署名押印することができない。 裁判長裁判官石原直樹
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