平成20(む)29 勾留請求却下の裁判に対する準抗告申立て事件

裁判年月日・裁判所
平成20年6月26日 名古屋地方裁判所
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判決文本文2,445 文字)

平成20年(当む)第29号勾留請求却下の裁判に対する準抗告申立事件決定主文原裁判を取り消す。 理由 本件準抗告申立ての趣旨及び理由は,要するに,被疑者について,勾留の理由と必要性があり,また,勾留請求が逮捕前置主義に違反していないにもかかわらず,逮捕前置主義に違反するとして勾留請求を却下した原裁判は,判断を誤ったものであるから,原裁判を取り消し勾留状の発付を求めるというものである。 一件記録から認められる事実は,以下のとおりである。 1 被疑者は,平成20年6月25日(以下「平成20年」を省略する。),( )「被疑者は,Aと共謀の上,みだりに,6月16日午前6時34分ころ,名古屋市a区内のA方において,覚せい剤0.16グラムを所持したものである。」との被疑事実(以下「本件逮捕事実」という。)により,通常逮捕された。 2 被疑者は,警察官からの弁解録取手続において,逮捕事実の要旨を告げられ( )た上,「Aと一緒に使った残りであるならば,事実に間違いがない」と供述した。また,検察官からの弁解録取手続においては,逮捕事実と同旨の内容を告げられた上,「6月14日午後10時10分ころ,名古屋市b区内の路上に停車した自動車内において,Aと覚せい剤を共同所持していた。その後,Aと覚せい剤を使用した。Aが自分の部屋に覚せい剤を持っていたというのであれば,それは間違いがない。」と供述した。 3 6月26日,検察官は,「被疑者は,Aと共謀の上,みだりに,6月14日( )午後10時10分ころ,名古屋市b区内の路上に停車した自動車内において,覚せい剤0.3グラムを所持したものである。」との被疑事実(以下「本件勾留請求事実」という。)により,裁判官に対して,勾留請求をなした。しかし, 勾留請求を受けた裁判官は,逮捕事実と勾留請求事実 覚せい剤0.3グラムを所持したものである。」との被疑事実(以下「本件勾留請求事実」という。)により,裁判官に対して,勾留請求をなした。しかし, 勾留請求を受けた裁判官は,逮捕事実と勾留請求事実に同一性がないとして,勾留請求を却下した。 本件勾留請求事実は,被疑者とAが共同して覚せい剤を所持したというもの( )である。その後,その覚せい剤の一部を被疑者とAが共同して使用したが,本件逮捕事実は,その残りの覚せい剤をAが自宅に保管していたというものである。 ところで,刑事訴訟法が,逮捕前置主義を採用し,逮捕事実と勾留請求事実に同一性が認められない限り,勾留請求を却下すべきとしているのは,逮捕状請求と勾留請求の二段階において,司法審査を行うことにより,勾留という被疑者にとって長期間に及ぶ身柄拘束について,慎重な審査を行うためであると解される。 そうすると,被疑事実の同一性を判断するには,単に事実同士の日時や場所といった形式的な点を重視し,被疑事実が両立するかどうかを判断するのではなく,もう一度,逮捕手続から司法審査をする必要があるのか,あるいは,同一の手続内で処理することが可能であるのかといった観点から,被疑事実の背景となる事情,被疑者の弁解の状況などを総合的に考慮し,基本的事実の同一性があるのかどうかを判断する必要がある。 これを本件についてみると,本件逮捕事実と本件勾留請求事実は,所持の日時,場所,態様において,差異が認められるものの,本件勾留請求事実において所持の対象となった覚せい剤の一部が,被疑者らによって使用され,その残りが本件逮捕事実において所持の対象となった覚せい剤にあたるという関係にある。そうすると,社会的にみれば,本件逮捕事実と本件勾留請求事実は,両立する関係にあり,同一性に欠けるとの評価もできなくはないが,法律 逮捕事実において所持の対象となった覚せい剤にあたるという関係にある。そうすると,社会的にみれば,本件逮捕事実と本件勾留請求事実は,両立する関係にあり,同一性に欠けるとの評価もできなくはないが,法律的に評価すると,本件勾留請求事実における覚せい剤の所持が継続し,その一連の行為の中に,本件逮捕事実における覚せい剤の所持は評価し尽くされるものとみるべきである。そうすると,両事実は,法的には同一の事実と評価するべきものであり,基本的事実の同一性が認められる。 なお,本件においては,検察官の面前でなされた被疑者の弁解録取の内容に沿った事実が,本件勾留請求事実として構成されている。警察官の面前における弁解録取においては,被疑者は,本件勾留請求事実についての弁解はしていないものの,検察官の面前における弁解録取においては,実質的にみて,本件勾留請求事実についての弁解がなされており,新たに逮捕手続を行う必要性は乏しいものがある。また,本件逮捕事実と本件勾留請求事実が同一性に欠けると解すると,特段の事情のない限り,本件逮捕事実によって逮捕勾留を行った後,本件勾留請求事実によっても逮捕勾留を行うことが可能となってしまい,被疑者に極めて不利な事態になりかねない。 以上からすれば,本件逮捕事実と本件勾留請求事実に同一性がないとした原裁判の判断は,誤っていると言わざるを得ない。 そして,一件記録によれば,被疑者が本件勾留請求事実を犯したと疑うに足りる相当な理由,被疑者が罪証隠滅すると疑うに足りる相当な理由,被疑者が逃亡すると疑うに足りる相当な理由及び勾留の必要性が認められる。 以上のとおり,本件準抗告は理由があるから,刑事訴訟法432条,426条2項により主文のとおり決定し,別に勾留状を発付する。 平成20年6月26日名古屋地方裁判所刑事第2部裁判長裁判 られる。 以上のとおり,本件準抗告は理由があるから,刑事訴訟法432条,426条2項により主文のとおり決定し,別に勾留状を発付する。 平成20年6月26日名古屋地方裁判所刑事第2部裁判長裁判官伊藤納裁判官大村泰平裁判官棚村治邦

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