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平成10(ワ)1276 損害賠償請求事件

裁判所

平成17年4月22日 名古屋地方裁判所

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13,539 文字

平成10年(ワ)第1276号損害賠償請求事件 主文 1 原告の請求を棄却する。2 訴訟費用は原告の負担とする。事実及び理由 第1 請求被告は原告に対し,5050万円及びこれに対する平成10年4月11日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。第2 事案の概要 1 本件は,平成4年3月31日,原告及び亡A(平成16年9月7日死亡。原告と併せて「原告ら」という。)を注文者,被告を請負人とする建物建築請負契約(以下「本件請負契約」という。)が締結され,被告はこれに基づき別紙物件目録記載2の建物(以下「本件建物」という。)を建築し,原告らに引き渡したが,原告らが,本件建物には名古屋高速度鉄道第1号線(以下「地下鉄東山線」という。)の騒音及び振動を伝搬する欠陥が存在すると主張して,被告に対し,債務不履行責任,不法行為責任及び瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求権として5050万円(内訳は①建替費用4400万円,②取壊費用120万円,③建替期間中の賃借建物賃料相当損害金90万円,④引越費用40万円,⑤慰謝料200万円,⑥弁護士費用200万円である。)並びにこれに対する訴状送達の日の翌日である平成10年4月11日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。なお,原告がAの死亡に伴い同人の本件原告たる地位を承継している。2 前提事実(1) 被告は,建築工事の請負を業とする株式会社である。原告らは,平成10年4月3日,本訴を提起したが,Aが平成16年9月7日に死亡したことに伴い,Aの相続人間の協議により,Aの子である原告がAの本件原告たる地位を承継した。(2) 本件請負契約の締結ア原告らと被告は,平成4年3月31日,以下の約定で,原告らの所有する別紙物件目録記載1の土地(以下「本件土地」という。)上に新 原告がAの本件原告たる地位を承継した。(2) 本件請負契約の締結ア原告らと被告は,平成4年3月31日,以下の約定で,原告らの所有する別紙物件目録記載1の土地(以下「本件土地」という。 の協議により,Aの子である原告がAの本件原告たる地位を承継した。(2) 本件請負契約の締結ア原告らと被告は,平成4年3月31日,以下の約定で,原告らの所有する別紙物件目録記載1の土地(以下「本件土地」という。)上に新 原告がAの本件原告たる地位を承継した。(2) 本件請負契約の締結ア原告らと被告は,平成4年3月31日,以下の約定で,原告らの所有する別紙物件目録記載1の土地(以下「本件土地」という。)上に新築建物を建築する建物建築請負契約を締結した。(ア) 請負代金4413万5000円(うち消費税128万5485円)(イ) 支払方法契約時 100万円中間時  2713万5000円引渡時 1600万円(ウ) 工期着工平成4年5月22日完成平成4年10月30日イ原告らは,被告に対し,本件請負契約に基づいて,平成4年3月末日に100万円を,同年9月28日に中間金3276万0676円を支払った。ウ原告らは,平成4年9月30日頃,本件建物が完成したとして,被告から本件建物の鍵を受領し,引渡しを受けた。(3) 本件建物と地下鉄騒音本件建物は,閑静な住宅街に位置し,地下鉄東山線から直線距離にして約200メートル離れたところにある。しかしながら,本件建物内においては,地下鉄東山線によると思われる騒音及び振動(以下「本件騒音等」という。)が発せられ,最大50デシベルに達した。名古屋市交通局が,平成4年11月末頃から同年12月初旬にかけて東山線1番線のレールを交換し,さらに平成5年6月頃に地下鉄東山線2番線のレールを交換したことによって,本件騒音等は減少し,現在に至っている。(4) 本訴提起に至る経緯原告らと被告は,本件騒音等への対策を協議したものの,合意には至らなかったため,原告らは名古屋簡易裁判所に調停を申し立てたが,平成8年10月4日,不調となった。そこで,原告らは,平成10年4月3日,本訴を提起した。(5) 本訴において,平成15年1月20日,当庁の民事一般調停に付されたが,平成16年9月28日,不調 ,平成8年10月4日,不調となった。そこで,原告らは,平成10年4月3日,本訴を提起した。(5) 本訴において,平成15年1月20日,当庁の民事一般調停に付されたが,平成16年9月28日,不調となった。3 争点(1) 被告の債務不履行責任及び不法行為責任の有無(2) 本件建物の瑕疵の有無(3) 損害額 本訴において,平成15年1月20日,当庁の民事一般調停に付されたが,平成16年9月28日,不調 ,平成8年10月4日,不調となった。そこで,原告らは,平成10年4月3日,本訴を提起した。(5) 本訴において,平成15年1月20日,当庁の民事一般調停に付されたが,平成16年9月28日,不調となった。3 争点(1) 被告の債務不履行責任及び不法行為責任の有無(2) 本件建物の瑕疵の有無(3) 損害額 4 争点に対する当事者の主張(1) 争点(1)(被告の債務不履行責任及び不法行為責任の有無)について(原告の主張)ア被告の故意,過失(ア) 施工前の故意,過失被告は,いわゆる大手の建築業者であり,数多くの専門スタッフを揃えている。また,建築業界では,現在,鉄骨系床構造の防振等に関する研究がされ,250メートル離れていても振動を受けるという研究発表がされている。したがって,本件建物が,付近を走行している地下鉄東山線の騒音等による影響を受ける可能性は十分にあったというべきであり,被告は事前にその可能性を察知し,その防御を施すべきであった。(イ) 施工中の故意,過失仮にそうでないとしても,被告は,工事施工途中から本件騒音等を容易に検知できたはずであるのに,これを安易に聞き逃し,またはこれを知っていたのに漫然と工事を続行し,建物として完成させてしまった。すなわち,地盤から伝搬されてきた振動と建築物内のどこかの振動系の特性が一致すると,その部分が共振現象を起こし,騒音等が発生することから,建築物の施工途中であっても,施工(特に面材の施工)が進み,地盤から伝搬されてくる振動の特性と一致する振動系が施工された段階で騒音等が発生するというべきである。そして,本件においては,面材であるALCパネルが貼られた時点で騒音等が発生するようになったものと考えるのが合理的であることから,遅くとも,ALCパネルが設置され,その検査がされた平成4 きである。そして,本件においては,面材であるALCパネルが貼られた時点で騒音等が発生するようになったものと考えるのが合理的であることから,遅くとも,ALCパネルが設置され,その検査がされた平成4年7月24日の時点で本件騒音等が発生していたというべきである。また,本件土地の周辺は閑静な住宅街であり,本件騒音等が最大で50デシベルに達していたことからすると,被告もしくはその下請業者は,平成4年7月24日の時点で本件騒音等を感知し,もしくは感知し得たはずである。 られた時点で騒音等が発生するようになったものと考えるのが合理的であることから,遅くとも,ALCパネルが設置され,その検査がされた平成4年7月24日の時点で本件騒音等が発生していたというべきである。また,本件土地の周辺は閑静な住宅街であり,本件騒音等が最大で50デシベルに達していたことからすると,被告もしくはその下請業者は,平成4年7月24日の時点で本件騒音等を感知し,もしくは感知し得たはずである。上記時点であれば,本件騒音等の原因を究明してそれを除去することは容易であったにもかかわらず,被告はこれを無視して工事を続行して本件建物を完成させ,その結果,原告らの平穏な生活を困難ならしめているのである。イ本件騒音等の程度名古屋市交通局の調査によれば,地下鉄東山線のレール交換前における本件騒音等は50デシベルに達するものであった。公害対策基本法9条に基づく環境基準によれば,本件建物の存する主として住居の用に供される地域において「昼間50ホン以下,朝夕45ホン以下,夜間40ホン以下」という基準が定められているところ,地下鉄東山線のレール交換前における本件騒音等は,この基準に反するものである。また,本件騒音等を騒音等級という観点からみると,本件建物の1階和室においては,地下鉄東山線のレール交換前においてはN-45であると推測され,「かなり気になる」程度であるとされ,生活環境としては明らかに望ましくないものである。ウ以上によると,被告は,原告に対し,本件請負契約上の債務不履行責任ないし不法行為責任を負うべきである。(被告の主張)ア(ア) 施工前の故意,過失について本件請負契約においては,原告の主張する本件騒音等についての一般的抽象的調査義務は契約の内容とはなっておらず いし不法行為責任を負うべきである。(被告の主張)ア(ア) 施工前の故意,過失について本件請負契約においては,原告の主張する本件騒音等についての一般的抽象的調査義務は契約の内容とはなっておらず,原告らから被告に対し,本件土地周辺での地下鉄東山線の騒音等に関する申し出は一切なく,また,本件土地が地下鉄東山線から直線で約200メートル以上も離れている状況からして,被告が事前に地下鉄東山線の騒音等の影響を予見することは不可能であり,それを調査すべき義務まではないというべきである。(イ) 施工中の故意,過失について本件建物の工事施工中において,地下鉄東山線の騒音は全く聞こえなかった。 っておらず,原告らから被告に対し,本件土地周辺での地下鉄東山線の騒音等に関する申し出は一切なく,また,本件土地が地下鉄東山線から直線で約200メートル以上も離れている状況からして,被告が事前に地下鉄東山線の騒音等の影響を予見することは不可能であり,それを調査すべき義務まではないというべきである。(イ) 施工中の故意,過失について本件建物の工事施工中において,地下鉄東山線の騒音は全く聞こえなかった。仮に,原告主張の騒音等があったとしても,その騒音は軽微なものであったと思われる上,作業に伴う音や振動もあることから,これに気づくことはできなかった。イ本件騒音等の程度現状の本件騒音等は生活に支障を生じるものではなく,極めて軽微なものであり,たとえ将来レールの摩耗によって多少騒音レベルが高くなったとしても生活に支障を生じる程度には至らないはずである。ウよって,被告が債務不履行責任ないし不法行為責任を負うべきいわれはない。(2) 争点(2)(本件建物の瑕疵の有無)について(原告の主張)仮に,被告の故意,過失がなかったとしても,本件建物は本件騒音等を発生させる欠陥があることから,被告には民法634条に基づき瑕疵修補に代わる損害賠償責任がある。(被告の主張)本件建物の構造及び資材等において規格上問題はなく,地下鉄東山線の走行による騒音等が地盤等の何らかの要因によって本件騒音等となって発生したとしても,それは地下鉄東山線の走行に起因するものであって,本件建物の瑕疵ではない。原告は,地盤から伝搬されてきた振動と建築物内のどこかの振動系の特性が一致す 因によって本件騒音等となって発生したとしても,それは地下鉄東山線の走行に起因するものであって,本件建物の瑕疵ではない。原告は,地盤から伝搬されてきた振動と建築物内のどこかの振動系の特性が一致すると,その部分が共振現象を起こすことによって騒音等が発生すると主張するが,建物を含むあらゆる物体には固有の振動系の特性があるはずであるから,仮に特定の振動と共振現象を起こすことを「瑕疵」というのであれば,あらゆる建物がこの種の欠陥を内在していることになるが,かかる結論が不当であることはいうまでもない。また,地下鉄東山線のレールが交換されたことによって,本件建物での騒音等は数値的に測定できない程度にまで沈静化している。(3) 争点(3)(損害額)について(原告の主張)ア建替費用 4400万円本件建物の欠陥を回復するには相当な基礎構造に取り替える必要があり,そのためには本件建物を建て替えるほかない。 ,あらゆる建物がこの種の欠陥を内在していることになるが,かかる結論が不当であることはいうまでもない。また,地下鉄東山線のレールが交換されたことによって,本件建物での騒音等は数値的に測定できない程度にまで沈静化している。(3) 争点(3)(損害額)について(原告の主張)ア建替費用 4400万円本件建物の欠陥を回復するには相当な基礎構造に取り替える必要があり,そのためには本件建物を建て替えるほかない。イ取壊費用 120万円本件建物を建て替えるには,本件建物を取り壊さなければならない。ウ建替期間中の賃借建物賃料相当損害金 90万円本件建物の建替期間中,原告とその家族は本件建物に居住できないため,本件建物と同等の建物を借り受けるほかないところ,その賃料は月額15万円で,建替期間として6か月間を要することから90万円必要となる。エ引越費用相当損害金 40万円原告が本件建物と同等建物を借り受けるにあたっての引越費用は,1回につき少なくとも20万円を要するところ,2回の引越しを要することから40万円必要となる。オ慰謝料 200万円原告らは,長年にわたり貯蓄した預貯金に長期の住宅ローンを加え 回の引越しを要することから40万円必要となる。オ慰謝料 200万円原告らは,長年にわたり貯蓄した預貯金に長期の住宅ローンを加えて待望の新築家屋を建築したものであるが,被告の欠陥工事に悩まされ,完成後何度も被告との間で交渉の継続を余儀なくされ,被告からは何ら具体的な補修方法の提示もされず心労を重ねてきた。「家」が家族の一家団らんの住まいであることに鑑みれば,欠陥住宅被害は同時に居住者の心を傷つける精神的被害でもある。原告らの被った精神的損害は一人あたり100万円を下らない。カ弁護士費用 200万円本件訴訟遂行には弁護士の依頼が必要不可欠であり,その費用は200万円を下らない。(被告の主張)原告の主張はすべて否認ないし争う。第3 争点に対する判断 1 前提事実に加えて後掲各証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められ,他にこの認定を覆すに足りる証拠はない。(1) 本件建物の構造は,鉄骨ALC造,3階建てである(甲1)。(2) 被告は,平成4年9月30日,本件建物を完成させ,これを原告に引き渡した上,本件建物の設備等について説明したところ,原告は,本件騒音等の存在に気づいた。原告は,数日経過後,本件騒音等は地下鉄東山線によるものであると考え,その旨を名古屋市交通局及び被告に伝えた(甲7,原告)。 の事実が認められ,他にこの認定を覆すに足りる証拠はない。(1) 本件建物の構造は,鉄骨ALC造,3階建てである(甲1)。(2) 被告は,平成4年9月30日,本件建物を完成させ,これを原告に引き渡した上,本件建物の設備等について説明したところ,原告は,本件騒音等の存在に気づいた。原告は,数日経過後,本件騒音等は地下鉄東山線によるものであると考え,その旨を名古屋市交通局及び被告に伝えた(甲7,原告)。(3) 名古屋市交通局の対応名古屋市交通局は,原告からの申し出により,以下のとおり,本件騒音等を測定し(測定方法は,連続20本の列車通過時の振動騒音値を,振動については本件建物玄関コンクリート床上にて,騒音については本件建物1階室内にてそれぞれ測定するというものである。),併せて地下鉄東山線のレールを交換した(甲5,12)。ア の振動騒音値を,振動については本件建物玄関コンクリート床上にて,騒音については本件建物1階室内にてそれぞれ測定するというものである。),併せて地下鉄東山線のレールを交換した(甲5,12)。ア第1回測定(平成4年11月7日)(ア) 地下鉄東山線1番線について騒音は,39.5デシベルから50.0デシベルであり(測定時刻は午前10時02分から午前10時38分),平均値は46.1デシベルであった。振動は,暗振動(約30デシベル)内であり,地下鉄東山線1番線による振動は特定できなかった。(イ) 地下鉄東山線2番線について騒音は,33.0デシベルから43.0デシベルであり(測定時刻は午前10時00分から午前10時37分),平均値は40.0デシベルであった。振動は,暗振動(約30デシベル)内であり,地下鉄東山線2番線による振動は特定できなかった。イ地下鉄東山線1番線のレール交換名古屋市交通局は,平成4年11月24日から同年12月4日にかけて,地下鉄東山線1番線のレールを交換した。ウ第2回測定(平成4年12月5日)(ア) 地下鉄東山線1番線騒音は,暗騒音(約30デシベル)内であり,地下鉄東山線1番線による騒音は特定できなかった。振動も,暗振動(約30デシベル)内であり,地下鉄東山線1番線による振動は特定できなかった。(イ) 地下鉄東山線2番線騒音は,37.0デシベルから42.0デシベルであり(測定時刻は午前10時01分から午前10時38分),平均値は39.9デシベルであった。 第2回測定(平成4年12月5日)(ア) 地下鉄東山線1番線騒音は,暗騒音(約30デシベル)内であり,地下鉄東山線1番線による騒音は特定できなかった。振動も,暗振動(約30デシベル)内であり,地下鉄東山線1番線による振動は特定できなかった。(イ) 地下鉄東山線2番線騒音は,37.0デシベルから42.0デシベルであり(測定時刻は午前10時01分から午前10時38分),平均値は39.9デシベルであった。振動は,暗振動(約30デシベル)内であり,地下鉄東山線2番線による振動は特定できなかった。エ第3回測定(平成5年6月3日)(ア) 地下鉄東山線1番線騒音は,暗騒音(約30デシベル)内であり,地下鉄東山線1番線による騒音は特定できなかった。振動も, による振動は特定できなかった。エ第3回測定(平成5年6月3日)(ア) 地下鉄東山線1番線騒音は,暗騒音(約30デシベル)内であり,地下鉄東山線1番線による騒音は特定できなかった。振動も,暗振動(約30デシベル)内であり,地下鉄東山線1番線による振動は特定できなかった。(イ) 地下鉄東山線2番線騒音は,34.2デシベルから38.5デシベルであり(測定時刻は午前10時01分から午前10時38分),平均値は36.4デシベルであった。振動は,暗振動(約30デシベル)内であり,地下鉄東山線2番線による振動は特定できなかった。オ地下鉄東山線2番線のレール交換名古屋市交通局は,平成5年6月10日から同月30日にかけて地下鉄東山線2番線のレールを交換した。カ第4回測定(平成5年12月20日)騒音は,暗騒音(約30デシベル)内であり,地下鉄東山線1番線及び同2番線による騒音は特定できなかった。振動も,暗振動(約30デシベル)内であり,地下鉄東山線1番線及び同2番線による振動は特定できなかった。(4) 被告の対応(甲7、乙1ないし3,5、原告)被告は,平成4年11月11日に騒音調査を行い,同年12月9日に騒音振動調査を行うとともに,本件騒音等の解消措置として,被告の費用負担で深さ1.2メートルの防振溝を設置することを提案し,平成4年12月初旬に上記防振溝を施工した。そして,被告は,同月21日に再度騒音振動調査を行ったが,上記防振溝の効果はあまりみられなかった(乙3)。なお,本件建物の1階洋室内における騒音等の測定結果は,地下鉄東山線走行時の最大値の騒音等級がN-35であり,本件騒音等が問題となる周波数(100~300ヘルツ)での最大振動加速度レベルは,床面で52デシベル,内壁面で71デシベルであった(乙1,2)。 し,平成4年12月初旬に上記防振溝を施工した。そして,被告は,同月21日に再度騒音振動調査を行ったが,上記防振溝の効果はあまりみられなかった(乙3)。なお,本件建物の1階洋室内における騒音等の測定結果は,地下鉄東山線走行時の最大値の騒音等級がN-35であり,本件騒音等が問題となる周波数(100~300ヘルツ)での最大振動加速度レベルは,床面で52デシベル,内壁面で71デシベルであった(乙1,2)。さらに,被告は 時の最大値の騒音等級がN-35であり,本件騒音等が問題となる周波数(100~300ヘルツ)での最大振動加速度レベルは,床面で52デシベル,内壁面で71デシベルであった(乙1,2)。さらに,被告は,平成8年2月5日,同様の調査を行ったところ,地下鉄東山線走行時の最大値の騒音等級はN-30であり,本件騒音等が問題となる周波数(100~300ヘルツ)での最大振動加速度レベルは,床面で34デシベル,内壁面で47デシベルであった(乙2)。その後,被告は,防音・防振対策として本件建物の1階和室の壁に鉛板を貼る工事の提案をする等,原告らと協議をしたが合意には至らなかった。(5) 本件騒音等の原因等ア本件騒音等の原因本件騒音等の原因は,外部騒音暴露に伴う屋内音圧の上昇ではなく,地下鉄東山線の車両走行時に発生する地盤振動が地盤中を伝搬し,本件建物近傍の地盤から本件建物へ入力されることによる建物内部の放射音であると考えられる(鑑定人成瀬治興の鑑定結果[以下「本件鑑定」という。])。イ本件騒音等の発生時期本件騒音等の発生時期は,木工工事(内装工事)の完了時,すなわち,壁及び天井が仕上がり,遮音性能が整った時点であると考えられる(本件鑑定)ところ、上記木工工事は,平成4年9月18日に完成している(乙4)。(6) 本件建物の遮音性能ア屋内壁面上の振動加速度の増幅地下鉄東山線の車両走行時における,屋外地盤上,屋内床面上及び屋内壁面上の振動加速度レベルを調査したところ,①屋内壁面上の振動加速度レベルは,ほぼすべての周波数域において屋外地盤上のそれを上回っていること,②屋内壁面上の振動加速度レベルは,概ね,屋内床面上のそれを上回っていること,③屋内床面上の振動加速度レベルは,屋外地盤上のそれに比べ,増幅している周波数域もあれば,減衰している周波数域 いること,②屋内壁面上の振動加速度レベルは,概ね,屋内床面上のそれを上回っていること,③屋内床面上の振動加速度レベルは,屋外地盤上のそれに比べ,増幅している周波数域もあれば,減衰している周波数域もあったことが判明し,これらのことから屋内壁面上の振動加速度の増幅が屋内音圧レベルの上昇を招いている可能性が考えられる。 レベルは,屋外地盤上のそれに比べ,増幅している周波数域もあれば,減衰している周波数域 いること,②屋内壁面上の振動加速度レベルは,概ね,屋内床面上のそれを上回っていること,③屋内床面上の振動加速度レベルは,屋外地盤上のそれに比べ,増幅している周波数域もあれば,減衰している周波数域もあったことが判明し,これらのことから屋内壁面上の振動加速度の増幅が屋内音圧レベルの上昇を招いている可能性が考えられる。もっとも,近在する他の建物での同様の実測を行っていないこと,既往の研究成果にも対応するデータがほとんど見当たらないため,本件建物の屋内壁面上の振動加速度の増幅が,建物の遮音性能上問題があるとの結論を出すには未だ検討を要するとされる(本件鑑定)。イ本件騒音等の程度平成14年1月12日当時の地下鉄東山線の車両走行時における室内音圧の最大値は,日本建築学会編「建築物の遮音性能基準と設計指針」によると,騒音等級はN-40,2級とされ,「遮音性能上標準的である(一般的な性能水準)」と評価される。また,同日当時の地下鉄東山線の車両走行時の室内音圧の平均値については,騒音等級は1級とされ,「遮音性能上すぐれている(建築学会が推奨する好ましい性能水準)」と評価される。ただし,本件騒音等が発生した当時の程度及びレールの摩耗等による本件騒音等の増大の程度については不明である(本件鑑定)。2 争点(1)(被告の債務不履行責任及び不法行為責任の有無)について(1) 施工前の故意,過失について原告は,本件建物が地下鉄東山線の騒音等による影響を受ける可能性は十分にあったというべきであり,被告は事前にその可能性を察知し,その防御を施すべきであったと主張する。そこで検討するに,本件請負契約においては,地下鉄東山線による騒音等を事前に調査し,これを防ぐべき措置を施すことについて,明示の合意があったことを認めるに足りる証拠はなく,むしろそのような明 する。そこで検討するに,本件請負契約においては,地下鉄東山線による騒音等を事前に調査し,これを防ぐべき措置を施すことについて,明示の合意があったことを認めるに足りる証拠はなく,むしろそのような明示の合意はなかったことが認められる(甲1,原告)。もっとも,請負人たる被告の規模,本件騒音等の発生原因及び関連する建築学上の水準等の諸般の事情に照らし,本件騒音等が,被告において予見可能であり,かつ,これを防止することが可能であると認められる場合においては,被告は,本件騒音等の発生原因を事前に調査し,これを防ぐ措置を施すべき義務を,黙示の契約上の債務ないし一般的な注意義務として負うものと解するのが相当である。 かったことが認められる(甲1,原告)。もっとも,請負人たる被告の規模,本件騒音等の発生原因及び関連する建築学上の水準等の諸般の事情に照らし,本件騒音等が,被告において予見可能であり,かつ,これを防止することが可能であると認められる場合においては,被告は,本件騒音等の発生原因を事前に調査し,これを防ぐ措置を施すべき義務を,黙示の契約上の債務ないし一般的な注意義務として負うものと解するのが相当である。これを本件についてみるに,前記認定事実によれば,本件騒音等が発生する機序は,地下鉄東山線の車両走行時に発生する地盤振動が地盤中を伝搬し,それが本件建物近傍の地盤から本件建物へ入力され,建物内部の放射音として発せられるというものであるが,その主たる原因が,車両,レール及びトンネルの状態等の地下鉄東山線の防音設備にあるのか,地下鉄東山線から本件土地までの地盤の状態にあるのか,あるいは本件建物の構造にあるのか等については本件各証拠を検討するも判然としないのであるから,一般に本件騒音等の発生を事前に予測することは困難であったというべきである。また,地盤から伝搬される振動に対する具体的な対処方法が存在したと認めるに足りる証拠もない。そうすると,被告が大手建築業者であること(弁論の全趣旨)を考慮しても,本件騒音等を事前に予見し,かつ,これを防止することが可能であったということはできない(なお,甲8,9によれば,コンサート会場における観客の動作によって発生した振動が250メートル離れた地盤及び建物に伝搬されたとの研究結果が存在することが窺われるが 可能であったということはできない(なお,甲8,9によれば,コンサート会場における観客の動作によって発生した振動が250メートル離れた地盤及び建物に伝搬されたとの研究結果が存在することが窺われるが,この研究結果が地下鉄による振動についても当てはまるのか,伝搬された振動によって住居としての機能に支障を来す程度の騒音が発せられるのか,どのようにしたら振動の伝搬を防ぐことができるのか等について不明であるといわざるを得ず,これをもって本件騒音等を事前に予見し,かつ,これを防止することが可能であったと評価することはできない。)。よって,被告は,本件騒音等の発生原因を事前に調査し,これを防ぐ措置を施すべき義務を負っているとはいいがたく,原告の上記主張を採用することはできない。 って住居としての機能に支障を来す程度の騒音が発せられるのか,どのようにしたら振動の伝搬を防ぐことができるのか等について不明であるといわざるを得ず,これをもって本件騒音等を事前に予見し,かつ,これを防止することが可能であったと評価することはできない。)。よって,被告は,本件騒音等の発生原因を事前に調査し,これを防ぐ措置を施すべき義務を負っているとはいいがたく,原告の上記主張を採用することはできない。(2) 施工中の故意,過失についてさらに,原告は,遅くとも,ALCパネルが設置され,その検査がされた平成4年7月24日の時点で本件騒音等が発生していたというべきであり,この時点で本件騒音等の原因を究明してそれを除去することは容易であったにもかかわらず,被告はこれを無視して工事を続行して本件建物を完成させたのであるから,故意,過失があると主張する。しかしながら,ALCパネルの設置及び検査がされた平成4年7月24日の時点で本件騒音等が発生していたことを認めるに足りる証拠はなく,本件騒音等の発生時期は,木工工事(内装工事)が完了時,すなわち,壁及び天井が仕上がり,遮音性能が整った時点(平成4年9月18日)であったと考えられることは前記認定のとおりであるところ,本件各証拠をもってしても,上記木工工事完了時において,本件騒音等を消滅ないし軽減できるかにつき具体的な対処方法が存在したと認めることはできない。このような事情に照らすと,被告が上記木工工事完了時以降,そのまま本件建物を 上記木工工事完了時において,本件騒音等を消滅ないし軽減できるかにつき具体的な対処方法が存在したと認めることはできない。このような事情に照らすと,被告が上記木工工事完了時以降,そのまま本件建物を完成させ,原告に引き渡したとしても,そのことをもって,被告に本件請負契約上の債務不履行ないし不法行為責任上の故意,過失を認めることはできないというべきである。(3) 以上検討したところによれば,被告の原告に対する債務不履行責任及び不法行為責任を認めることはできない。3 争点(2)(本件建物の瑕疵の有無)について(1) 一般に,「仕事の目的物に瑕疵あるとき」とは,請負契約で定められた内容に違反している場合,あるいは建築基準法等の一般的建築基準に違反している場合をいうものと解される。(2) そこで検討するに,被告が本件騒音等の発生原因を事前に調査し,これを防ぐ措置を施すべき契約上の義務を負っていたといえないことは前示のとおりであるから,本件請負契約で定められた内容に反する設計ないし施工があったということはできない。 一般に,「仕事の目的物に瑕疵あるとき」とは,請負契約で定められた内容に違反している場合,あるいは建築基準法等の一般的建築基準に違反している場合をいうものと解される。(2) そこで検討するに,被告が本件騒音等の発生原因を事前に調査し,これを防ぐ措置を施すべき契約上の義務を負っていたといえないことは前示のとおりであるから,本件請負契約で定められた内容に反する設計ないし施工があったということはできない。(3) また,前記認定事実によると,本件建物においては,屋内壁面上の振動加速度の増幅が認められるも,これが建物の遮音性能上問題があるとの結論を出すには未だ検討を要するとされ、結局これを肯定するには足りないというほかないのであるから,上記屋内壁面上の振動加速度の増幅が一般的建築基準に違反しているということはできない。さらに,前記2(1)で検討したところによれば,本件騒音等の発生原因を事前に調査し,これを防止することが一般的な建築基準となっていたとはいいがたく,被告が本件騒音等を防止できなかったことをもって一般的建築基準に違反したということもできない。(4) 以上検討したところによれば,本件建物に瑕疵があるということはできず,被告 いたとはいいがたく,被告が本件騒音等を防止できなかったことをもって一般的建築基準に違反したということもできない。(4) 以上検討したところによれば,本件建物に瑕疵があるということはできず,被告の原告に対する瑕疵担保責任を認めることはできない。4 結論以上の次第で,被告の原告に対する債務不履行責任,不法行為責任及び瑕疵担保責任は,いずれも認めることができず,その余の点について判断するまでもなく原告の請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。名古屋地方裁判所民事第8部裁判長裁判官黒岩巳敏裁判官河本寿一裁判官渡辺諭別紙物件目録 1 土地(1) 所在名古屋市a区a町b丁目地番 c番d地目宅地地積 78.80平方メートル(2) 所在名古屋市a区a町b丁目地番 c番e地目宅地地積 81.32平方メートル 2 建物所在名古屋市a区a町b丁目c番地d,c番地e家屋番号 c番d種類居宅構造軽量鉄骨造陸屋根3階建床面積 1階 70.38平方メートル2階 70.38平方メートル3階 55.48平方メートル以上

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