平成14(ネ)266 損害賠償請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成15年3月27日 福岡高等裁判所 佐賀地方裁判所 平成8(ワ)246
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判決文本文9,544 文字)

主文 1 本件控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 3 請求の減縮に基づき,原判決の主文第2項のx27の認容金額「¥3,269,000」は,「¥3,069,000」と変更された。 4 原判決の主文第1項のX6-1の認容金額欄を「¥1,005,500」と,X6-2及びX6-3の認容金額欄を「¥502,750」と,X14の認容金額欄を「¥880,000」と,同主文第2項のX29の認容金額欄を「¥851,000」とそれぞれ更正する。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決中,控訴人ら敗訴部分を取り消す。 2 被控訴人らの請求をいずれも棄却する。 第2 事案の概要本件は,「健康を守る会A」に入会した被控訴人らが,Aを構成する控訴人らに受講料,治療費等の名目で,金員を支払ったのは,法人格なき社団であるAの組織的な詐欺行為によるものであるとして,①Aを構成する控訴人ら全員に対し,民法719条の共同不法行為責任に基づき,②法人控訴人らに対しては,法人格否認の法理に基づき,③Aの地位を承継した控訴人Y25に対しては,Aの不法行為に基づく損害賠償債務の引受ないし民法715条の使用者責任に基づき,被控訴人らがAに支払った金員,弁護士費用,慰謝料の損害賠償を求めた事案の控訴審である。 第3 争いのない事実等,争点及び当事者の主張争いのない事実等(Aの概要,個人控訴人ら,法人控訴人ら,被控訴人らの概要)は,原判決の「第3 争いのない事実等」欄に,争点は,原判決の「第 4 争点」欄に,当事者の主張は,原判決の「第5 当事者の主張」欄に記載のとおりであるから,これを引用する。 第4 当審における控訴人らの補充主張(原判決に対する批判) 1 原判決が「生命の作用」のメカニズムが証明されていな 張は,原判決の「第5 当事者の主張」欄に記載のとおりであるから,これを引用する。 第4 当審における控訴人らの補充主張(原判決に対する批判) 1 原判決が「生命の作用」のメカニズムが証明されていないことを理由として,「生命の作用」の実在を認めていないことは不当である。そもそも「生命の作用」のメカニズムが現在の科学で解決されていないことは明らかであり,これを裁判上証明することは不可能である。仮に,このようなメカニズムの立証をしなければならないのであれば,気功を初めその他の代替医療や民間療法はその立証が不可能となるはずである。本件の立証命題は,「生命の作用」の効果が結果として存在することで十分である。気功と「生命の作用」の違いは,控訴人Y1により「記別」が与えられることによりその能力が付与されるというところにあるが,本件訴訟においては,「生命の作用」の効果の実在及び「記別」の授与と「生命の作用」の効果の実在との因果関係が証明されれば,「記別」の授与と「生命の作用」の効果の実在との間のメカニズムの証明までする必要はないというべきである。 本件訴訟においては,「生命の作用」により病気が治癒・軽減したという客観的事実を内容とする被控訴人ら自身が作成した体験談等が存在するのであり,これらにより「生命の作用」の実在は証明されている。 本件訴訟を提起した会員はわずか100名余りであり,他方,Aの会員は訴訟提起にもかかわらず増加している。このことは多くの会員が「生命の作用」の効果の実在を信じていることを示している。 また,乙第1号証には,「生命の作用」が存在することについての科学的証明として,これを否定し得ない部分が存在するのであり,これを全く無視ないし検討せずして,「生命の作用」の科学的証明がないと判断した原判決は極めて不当というほ の作用」が存在することについての科学的証明として,これを否定し得ない部分が存在するのであり,これを全く無視ないし検討せずして,「生命の作用」の科学的証明がないと判断した原判決は極めて不当というほかない。 2 原判決は,AやY25等の目的,活動状況,その結果など,組織体として包括的にその違法性を判断するのみで,個々の被控訴人との具体的関わりの認定を怠っている。 Aの勧誘に社会的相当でない方法は,全くないか,仮に存在したとしてもごく一部に断片的に存在したのみであり,これらを個別具体的かつ詳細に検討することなしに,Aの勧誘行為が総じて違法などという大雑把な判断は許されるべきでない。 まず,控訴人Y1は,現に「医学博士(深層心理学)」の称号をロスアンゼルス市立大学から授与されているから,博士号を詐称していないのであり,同控訴人に経歴詐称はない。 そして,被控訴人らは,社会的相当でない勧誘行為であるとの評価からはおよそかけ離れた勧誘を受けたのみであり,違法と評価を受ける行為はほとんどない。すなわち,被控訴人らがA入会に至るにあたって,被控訴人らを勧誘した直接のきっかけとなった者は,ほとんどの被控訴人にとって,その身内ないし知人といった近親者であり,全く見ず知らずの者から勧誘を受けて入会に至った者はごく一部である。そのように被控訴人らの近親者が行った個別具体的な勧誘行為自体が違法な態様のものとは考えられないし,被控訴人らの少なからずの者は,藁をも掴みたい一心でAを信じたという格別の動機があるのではなく,それらの近親者が被控訴人らの病に乗じて勧誘したとは考えられない。 また,被控訴人らのなかには,勧誘行為を多数回受けたことをしつこい勧誘を受けたと主張する者もあるが,荒唐無稽なものに何の考えもなしに多数の者が入会するなどということ 乗じて勧誘したとは考えられない。 また,被控訴人らのなかには,勧誘行為を多数回受けたことをしつこい勧誘を受けたと主張する者もあるが,荒唐無稽なものに何の考えもなしに多数の者が入会するなどということは,およそあり得ないことであり,勧誘行為を多数回受けたことは,A入会にあたっての熟慮の契機となったといえるのであり,勧誘を受けた者には入会しない自由があったのであるから,執拗な勧誘との評価は的はずれである。 3(1) 「生命学」,「生命の作用」の正しい使い方を教授して,人間の健康と幸福を目的とする団体であるAが,会員に対して「証行」,「覚生」を奨めていたのは当然であるが,これを会員に強要したり,あるいはその結果によって,ペナルティを科するなどしたことはない。また,A新聞において,新規会員につき年間目標を設定しこれを報道したことは事実であるが,これはA会員による新規会員を獲得するための行動やAの組織拡大を目的とする行動ではなく,Aがより多くの人を救いたいという人道的見地からこれを実行するために,また,このような行為に出やすいようにするために,一応の目標を設定してA会員の本来の活動を活性化させるという観点から行われたものであって,これが不当・不法な活動であるとは到底いえない。 (2) 被控訴人らの「証行」の状況についてみると,X18,X23,X31,X33,X39,X45,X47のような極めて熱心な「証行」実践者を除いて,それ以外の者は,Y20におけるいわゆる基礎講座あるいは練師講座での実習で実践した程度であり,極めてこれに消極的であったことが明らかである。Y20等での「証行」の重要性を教授されていながら,必要最小限度の実行にとどめていたのである。これに対しても,A側は,「証行」を数多く実践することが望ましいとの立場は変えなかったものの,具 である。Y20等での「証行」の重要性を教授されていながら,必要最小限度の実行にとどめていたのである。これに対しても,A側は,「証行」を数多く実践することが望ましいとの立場は変えなかったものの,具体的な会員の行動については,その自主性を尊重し,会員らが指導指示に従わないとしてペナルティを科したり,退会させるという手段にでることなく,会員の基礎講座終了を認めている。 次に,被控訴人らにおける「覚生」の状況をみると,X23は11名,X31は5名以上,X18は3名,X39は3名,X1は1名であり,その余の被控訴人の「覚生」数は零である。A側は,「証行」の場合と同様に,「覚生」の重要性については指導するものの,その具体的実行については,会員の意思,自主性に委ね,「覚生」数零の会員に対してペナルティを科することなく,通常の会員として取り扱ってきている。 これらのことは,Aが「証行」,「覚生」を連鎖的会員獲得の手段として用いたなどということとは全く無関係であることを示している。仮に,もしAにおいて会員獲得の手段とするならば,当然の事ながら,「証行」,「覚生」を強制し,あるいはノルマ化したであろうが,被控訴人らの「証行」,「覚生」の状況をみても,これらの強制やノルマ化がなかったことは明らかであり,Aが「証行」,「覚生」を会員獲得の手段としていなかったことは明白である。 また,被控訴人ら47名(亡X6-0を1名と数える。)のうち,専門講座を受講したのは9名に過ぎないこと,各種会合に全く参加せず,「記別」商品を購入しなかった者がX11,X21,X29,X41の4名いること,会合に出席した者が7名,「記別」商品を購入した者が2名と少数であることなどからみて,Aの活動を集金システムとして問題視することは誤りである。 第5 当裁判所の X21,X29,X41の4名いること,会合に出席した者が7名,「記別」商品を購入した者が2名と少数であることなどからみて,Aの活動を集金システムとして問題視することは誤りである。 第5 当裁判所の判断1(1) 当裁判所も,原判決と同様に,被控訴人らの請求は,原判決主文第1項及び第2項の限度(被控訴人X27に関しては,減縮された請求の限度)で理由があると判断する。その理由は,次の(2)のとおり訂正するほかは,原判決の「第6 証拠により認定される事実」及び「第7 争点に対する判断」欄記載のとおりであるから,これを引用する。当審で取り調べた証拠によっても,この認定判断は左右されない。 (2)ア主文第3項の請求の減縮関係(X27)a 原判決の58頁3行目の「125万円(同原告・長男・次男・長女の平成4年ないし平成6年分)」とあるのを,「105万円(同原告5万円・長男20万円・次男5万円・長女5万円の1年合計35万円の平成4年ないし平成6年分)」と改める。 b 原判決のX27の請求金額が「¥3,269,000」とあるのを「¥3,069,000」と,支払金総額が各「¥2,788,000」とあるのを各「¥2,588,000」と改める。 イ主文第4項の更正の関係a 原判決のX6-1の支払金総額下段が「¥895,000」とあるのを「¥818,000」と改める(原判決39頁15行目から19行目参照)。 b 原判決のX6-2及びX6-3の支払金総額下段が各「¥447,500」とあるのを各「¥409,000」と改める。 c 原判決の別紙一覧表参考(亡X6-0)の認容金額欄が「¥2,165,000」とあるのを「¥2,011,000」と,支払金総額下段が「¥1,790,000」とあるのを「¥1,636,00 c 原判決の別紙一覧表参考(亡X6-0)の認容金額欄が「¥2,165,000」とあるのを「¥2,011,000」と,支払金総額下段が「¥1,790,000」とあるのを「¥1,636,000」と改める。 d 原判決のX14の支払金総額下段が「¥748,000」とあるのを「¥722,000」と改める(原判決46頁11行目から12行目参照)。 e 原判決のX29の支払金総額下段が「¥715,000」とあるのを「¥700,000」と改める(原判決59頁下から2行目から1行目参照)。 ウ誤記の訂正原判決の62頁の8行目(X32及びX33関係)に「塾費70万円」とあるのを「塾費50万円」と,「合計140万円」とあるのを「合計120万円」と訂正する。 エ一覧表合計額の訂正a 原判決の別紙一覧表の請求額合計欄の請求金額が「¥67,222,000」とあるのを「¥67,022,000」と,支払金総額が「¥51,505,000」とあるのを「¥51,305,000」と改める。 b 原判決の別紙一覧表の認容額欄の合計金額が「¥60,427,000」とあるのを「¥60,032,000」と,支払金総額が「¥50,084,000」とあるのを「¥49,689,000」と改める。 2 控訴人らの当審における主張について(1) 「生命の作用」の実在について控訴人らは,乙第1号証には,「生命の作用」が存在することについての科学的証明として,これを否定し得ない部分が存在すると主張している。 乙第1号証は,B耳鼻咽喉科医院の院長であるB医師が作成した「「生命の作用」の実在についての医学的・科学的証明」と題する書面である(同医師の陳述書が乙第11号証)。そこで,乙第1号証の内容を検討するに, 1号証は,B耳鼻咽喉科医院の院長であるB医師が作成した「「生命の作用」の実在についての医学的・科学的証明」と題する書面である(同医師の陳述書が乙第11号証)。そこで,乙第1号証の内容を検討するに,そのなかの「「生命の作用」を及ぼされた側の肉体の変化」の根拠とされるデータは1名のみのものであり,「「生命の作用」による血圧と脈拍の変化」の根拠とされるデータは5名のみのものであり,その結果自体も有意な統一的傾向や結果を示しているとは到底いえない。また,「「生命の作用」で顔面の皮膚温度が上昇」の根拠とされるデータは1名のみのものであり,「生命の作用」で波動数値が上昇の根拠とされるデータは7名のみのものであり,数値の変化を来すにつき,どのような措置が施されたのかが客観的に不明確である。このように,乙第1号証の内容は,科学的な手法をもって実験が行われたことによるとも,その結果が客観的かつ科学的に分析されたことによるとも考えられないのであり,乙第1号証及び第11号証があるからといって,控訴人らが提唱するような無限・無量・無辺の効用を有するとされる「生命の作用」の実在が実証されたとは到底いえない。 控訴人らは,気功を初めとする代替医療や民間療法との対比をいうが,気功についていえば,気功は,現代医学の観点からも,最新の機器による効果の測定その他の様々な検査方法によりその効果の存在が客観的に検証されており,医学界においても,気功が神経や内分泌系あるいは筋肉に作用し,鎮痛効果,血圧の低下その他の効果をもたらすことが一般認識となっているのであり,前記のように科学的な手法による効果の測定さえもできない「生命の作用」と同列に考えることはできない。 さらに,被控訴人ら作成の体験談には,被控訴人ら自身も「生命の作用」の実在を認識した旨記載されている に科学的な手法による効果の測定さえもできない「生命の作用」と同列に考えることはできない。 さらに,被控訴人ら作成の体験談には,被控訴人ら自身も「生命の作用」の実在を認識した旨記載されているが,これらは「生命の作用」の実在を信じて疑わなかった,ないしは,その実在を願っていたA在籍当時に作成されたものである上,これらはAの指示に基づいて作成されたものであること,被控訴人らは,現在では,「生命の作用」の実在を信じていないことなどからすると,これら体験談の記載内容をそのまま採用することはできない。また,本件訴訟を提起した会員がAの会員の一部に過ぎないとしても,また,Aの会員が本件訴訟提起後増加しているとしても,そのことが,前記のように科学的な手法による効果の測定さえもできない「生命の作用」の実在の根拠となり得るものでもない。 以上によれば,原判決が説示するとおり,「生命の作用」のメカニズムに立ち入るまでもなく,控訴人らが主張するとおりの「生命の作用」なるものが実在するとは認められず,それが控訴人らの主張するような,その実在を前提として提唱される「生命学」の内容も真実であるとは認められないから,控訴人らの主張は採用することができない。 (2) 勧誘方法等について控訴人らは,個々の被控訴人との具体的関わりを認定することなく,Aの勧誘方法を総じて違法などとする大雑把な判断は許されるべきでない旨主張している。 しかしながら,前記のとおり,控訴人らが主張する「生命の作用」なるものが実在するとは認められず,その実在を前提として提唱される「生命学」の内容も真実であるとは認められないのである。したがって,「生命の作用」が実在することを前提として,病気や障害に悩んでいたり健康に不安を抱いている者に対し,「生命の作用」の効果によ される「生命学」の内容も真実であるとは認められないのである。したがって,「生命の作用」が実在することを前提として,病気や障害に悩んでいたり健康に不安を抱いている者に対し,「生命の作用」の効果によって病気や障害が直るなどと告知して,Aへの入会を勧誘して,金銭的負担の伴う「生命の作用」による治療を受けさせ,Y20の受講料や講座の受講料,明珠保険の保険料等,その他手かざしに要する指導相談料その他各種行事等の費用を支出させることは,それ自体で詐欺的な勧誘方法というべきであり,社会的相当性を欠き,違法性を帯びるというべきである。 また,控訴人らは,控訴人Y1は,「医学博士(深層心理学)」の称号をロスアンゼルス市立大学から授与されていると主張し,その根拠として,乙446の9を援用している。しかし,乙446の9の写真には,英文の学位授与状らしきものが撮影されているが,その原文は不明であり,その訳文(英文に記載されているのと同様のシールや署名の記載があるが,日本語の学位授与状の原本が存在するとは考えにくい。)と思われるものに「医学博士(深層心理学)」との記載があるに過ぎない(この訳文の作成者は記録上明確ではない。)。そして,乙446の9の写真をみるかぎり,この訳文の「医学博士」に対応する部分及びそれに続く括弧の表示に対応する部分が原文上に存在するとは窺えないのであり,訳文の「医学博士」の表記は,訳文作成の際に付加された疑いがあり,乙446の9をもってしても,控訴人Y1が「医学博士」の称号を授与されているとは認められない(控訴人Y1は,「医学博士」の称号を授与されていないことを別件訴訟において供述している。甲66の2の227項参照)。したがって,控訴人Y1に経歴詐称があることは明らかである。 このようにして,創始者の控訴人Y1は医学 の称号を授与されていないことを別件訴訟において供述している。甲66の2の227項参照)。したがって,控訴人Y1に経歴詐称があることは明らかである。 このようにして,創始者の控訴人Y1は医学博士であるなどと虚偽の肩書で控訴人Y1の権威付けを行い,実在しない「生命の作用」を実在すると虚偽の説明を行うことにより,被勧誘者に対してAへの入会を勧誘し,金銭的負担の伴う「生命の作用」による治療を受けさせ,Y20の受講料や講座の受講料,明珠保険の保険料等,その他手かざしに要する指導相談料その他各種行事等の費用を支出させているのであるから,この勧誘方法が社会的相当性を欠く行為であることは明らかである。 そして,被控訴人らを勧誘した者が被控訴人らの近親者であり,勧誘行為自体は穏やかな方法が取られたとしても,被控訴人らに対する勧誘が前記のような詐欺的な内容を基本とするものである以上,社会的相当性を欠く違法なものであるとの判断が左右されるものではない。また,勧誘を受けた者には入会しない自由があるのは当然ではあるが,詐欺的勧誘を受けたことを契機として,慎重かつ自由な判断をすることが妨げられて現に入会したものである以上,入会の動機が切実あるいは切迫したものでないとしても,それらがAの勧誘方法が社会的相当性を欠く違法なものであると判断することの妨げとなるものでもない。 そうすると,本件の被控訴人らについては,それぞれの勧誘の時期や勧誘の主体,勧誘文言,入会の動機等は異なるけれども,「生命の作用」の実在を前提とした勧誘を受け,これを信じて入会し,金員の出捐をしたとの基本的事実が認められるから,それ以上に控訴人らが主張するような細部の事情を解明するまでもなく,また,日本弁護士連合会の「宗教トラブルの予防・救済の手引」(乙494)の判断基準へ 員の出捐をしたとの基本的事実が認められるから,それ以上に控訴人らが主張するような細部の事情を解明するまでもなく,また,日本弁護士連合会の「宗教トラブルの予防・救済の手引」(乙494)の判断基準への当てはめを待つまでもなく,被控訴人らに対するAの勧誘行為が違法性を帯びることは明らかである。 (3) 控訴人らは,Aが,会員に対して「証行」,「覚生」を奨めていたのは当然であるが,これを会員に強要したり,あるいはその結果によって,ペナルティを科するなどしたことはないなどと主張している。 確かに,Aでは,会員に対し新規会員の獲得をノルマとしていたとまで認めるに足りる証拠はないし,ペナルティを科していたことを認めるに足りる証拠もない。 しかしながら,Aに入会した者は,いずれもAの提唱する「生命の作用」によって自己又は親族の病気・障害を治癒・軽減したいとか,「生命の作用」を身に付けたいと願っていたのであるから,Aにおいて,「証行」,「覚生」をせず,「生命のサイクル」を正しく回さなければ,健康や幸福になれないとか,専門講座に進級して「生命の作用」の能力を高めるためには,一定の「覚生」数が要求されていた以上,熱心なAの会員は,率先して「証行」,「覚生」に励むことになるし,さらに,A自体が,会員に対し,「証行」手帳を交付したり,「覚生」数の年間数値目標を設定したりして,積極的に新規会員の勧誘をするよう繰り返し強調していたことからすると,Aのシステムは,会員に対して,自発的に「証行」,「覚生」をするよう動機付けるものであったものと認められる。結局,Aの会員に要求される「証行」,「覚生」なるものは,結局,新入会員を獲得して金員を得ることを目的とされたものであったというべきである。 控訴人らが主張するように,Aにおいて会員獲得をノル 局,Aの会員に要求される「証行」,「覚生」なるものは,結局,新入会員を獲得して金員を得ることを目的とされたものであったというべきである。 控訴人らが主張するように,Aにおいて会員獲得をノルマとしたことはなく,ペナルティを科したことがないとしても,それは,会員に対するさらなる金員出捐の動機付けの方法としてはそのような方法を採用していなかったというにとどまり,そのような措置を採用していなかったからといって,前記のとおり詐欺的勧誘を行っているAのシステムが新入会員を獲得して金員を得ることが目的とされていなかった根拠になるものではない。 以上のとおり,控訴人らの主張は採用することができない。 3 よって,主文のとおり判決する。 福岡高等裁判所第1民事部裁判長裁判官宮良允通裁判官藤本久俊裁判官野島秀夫

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