- 1 -平成23年9月15日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成22年(ワ)第3490号商標権に基づく差止請求権不存在確認等請求本訴事件,同年(ワ)第10157号商標権侵害行為差止請求反訴事件口頭弁論終結日平成23年6月16日判決本訴原告・反訴被告株式会社七尾製菓(以下「反訴被告」という。)同訴訟代理人弁護士武末昌秀同長沢幸男同笹本 摂同補佐人弁理士平野一幸本訴被告・反訴原告株式会社フジバンビ(以下「反訴原告」という。)同訴訟代理人弁護士田中裕司同松岡智之同小松陽一郎同辻 淳子同山崎道雄 主文 1 反訴原告は,自ら又は役員,従業員若しくは代理人をして,反訴被告による別紙1反訴被告商品目録(1)記載の各商品の製造,販売及び販売の申出が,登録番号5076547号の商標権を侵害する旨,又は不正競争防止法2条1項1号の不正競争に該当する旨の告知若しくは流布をし,又はさせてはならない。 2 反訴被告のその余の請求を棄却する。 3 反訴原告の請求をいずれも棄却する。 - 2 - 4 訴訟費用は,本訴反訴を通じて反訴原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 本訴事件反訴原告は,自ら又は役員,従業員若しくは代理人をして,反訴被告による別紙1反訴被告商品目録(1)記載の各商品の製造,販売及び販売の申出が,登録番号第5076547号の商標権及び登録番号第1250872号の意匠権を侵害する旨,又は不正競争防 人をして,反訴被告による別紙1反訴被告商品目録(1)記載の各商品の製造,販売及び販売の申出が,登録番号第5076547号の商標権及び登録番号第1250872号の意匠権を侵害する旨,又は不正競争防止法2条1項1号及び同項2号に該当する旨の告知若しくは流布をし,又はさせてはならない。 2 反訴事件(1) 反訴被告は,別紙2反訴被告商品目録(2)記載の各商品を製造し,販売し,又は販売のために展示してはならない。 (2) 反訴被告は,前項記載の各商品を廃棄せよ。 (3) 反訴被告は,別紙3反訴被告小包装目録記載1の包装を製造し,同包装を別紙2反訴被告商品目録(2)記載1の商品に使用し,又は同包装を使用した同商品を製造し,販売し,若しくは販売のために展示してはならない。 (4) 反訴被告は,前項記載の包装を廃棄せよ。 (5) 反訴被告は,別紙3反訴被告小包装目録記載2の包装を製造し,同包装を別紙2反訴被告商品目録(2)記載2の商品に使用し,又は同包装を使用した同商品を製造し,販売し,若しくは販売のために展示してはならない。 (6) 反訴被告は,前項記載の包装を廃棄せよ。 (7) 反訴被告は,別紙2反訴被告商品目録(2)記載1の商品の包装に別紙4反訴被告標章目録記載1-1,1-2の各標章を付し,又は同包装に別紙4反訴被告標章目録記載1-1,1-2の各標章を付した別紙2反訴被告商品目録(2)記載1の商品を製造し,販売し,若しくは販売のために展示してはならない。 - 3 -(8) 反訴被告は,前項記載の各標章を付した包装を廃棄せよ。 (9) 反訴被告は,別紙2反訴被告商品目録(2)記載2の商品の包装に別紙4反訴被告標章目録記載2-1,2-2の各標章を付し,又は同包装に別紙4反訴被告標章目録記載2-1,2-2の各標章を付した包装を用い 反訴被告は,別紙2反訴被告商品目録(2)記載2の商品の包装に別紙4反訴被告標章目録記載2-1,2-2の各標章を付し,又は同包装に別紙4反訴被告標章目録記載2-1,2-2の各標章を付した包装を用いて,別紙2反訴被告商品目録(2)記載2の商品を製造し,販売し,若しくは販売のために展示してはならない。 (10) 反訴被告は,前項記載の各標章を付した包装を廃棄せよ。 (11) 反訴被告は,反訴原告に対し,1600万円及びこれに対する平成22年7月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要【本訴事件】本訴事件は,反訴被告が,反訴原告に対し,反訴原告による別紙1反訴被告商品目録(1)記載1,2の各商品(別紙2反訴被告商品目録(2)記載1,2の各商品と同一の商品である。以下,各目録中の番号に従って「反訴被告商品1」などといい,反訴被告商品1,2を総称して「反訴被告商品」という。)の製造販売等の行為が,反訴原告の有する後記本件商標権及び後記本件意匠権を侵害する旨,又は不正競争防止法2条1項1号及び同項2号に該当する旨を告知又は流布する行為が,同項14号の不正競争に該当することを理由とする同法3条1項に基づく差止めを求める事案である。 【反訴事件】反訴事件は,後記本件商標権の商標権者である反訴原告が,別紙4反訴被告標章目録記載1-1,1-2,2-1,2-2の各標章(以下,同目録中の番号に従って「反訴被告標章1-1」などといい,反訴被告標章1-1,1-2を総称して「反訴被告標章1」,反訴被告標章2-1,2-2を総称して「反訴被告標章2」といい,反訴被告標章1,2を総称して「反訴被告標章」という。)を使用して反訴被告商品を製造販売する反訴被告に対し,下記請求をした事案 - 4 -である。 記 を総称して「反訴被告標章2」といい,反訴被告標章1,2を総称して「反訴被告標章」という。)を使用して反訴被告商品を製造販売する反訴被告に対し,下記請求をした事案 - 4 -である。 記(1) 商標権侵害に基づく差止・廃棄請求ア後記本件商標権の侵害を理由とする商標法36条1項に基づく,反訴被告標章1の使用,反訴被告商品1の製造販売等の差止請求イ後記本件商標権の侵害を理由とする商標法36条2項に基づく,反訴被告標章1を付した包装,反訴被告商品1等の廃棄請求(2) 不正競争防止法に基づく差止・廃棄請求ア上記反訴被告の行為が不正競争防止法2条1項1号の不正競争に該当することを理由とする同法3条1項に基づく,反訴被告標章の使用,反訴被告商品の製造販売等の差止請求イ上記反訴被告の行為が不正競争防止法2条1項1号の不正競争に該当することを理由とする同法3条2項に基づく,反訴被告標章を付した包装,反訴被告商品等の廃棄請求(3) 損害賠償請求主位的に民法709条(商標権侵害)又は不正競争防止法4条(両者は,選択的請求),予備的に民法709条(一般不法行為)に基づく損害賠償請求 1 判断の基礎となる事実以下の各事実は,当事者間に争いがないか,又は掲記の各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定することができる。 (1) 当事者反訴原告は,昭和51年に設立された,熊本市に主たる営業所を置く菓子の製造及び販売等を業とする株式会社である。 反訴被告は,昭和32年に設立された,北九州市に主たる営業所を置く菓子の製造及び販売等を業とする株式会社である。 (2) 反訴原告の商標権 - 5 -反訴原告は,以下の商標権(以下「本件商標権」といい,その登録商標を「本件商標」という。)を有している(甲 製造及び販売等を業とする株式会社である。 (2) 反訴原告の商標権 - 5 -反訴原告は,以下の商標権(以下「本件商標権」といい,その登録商標を「本件商標」という。)を有している(甲5)。 ① 登録番号第5076547号② 出願日平成17年1月6日③ 登録日平成19年9月14日④ 商品及び役務の区分第30類⑤ 指定商品黒糖を使用した棒状形のドーナツ菓子⑥ 登録商標別紙5商標目録のとおり(3) 反訴原告の意匠権反訴原告は,以下の意匠権(以下「本件意匠権」という。)を有している(甲6)。 ① 登録番号第1250872号② 出願日平成16年10月26日③ 登録日平成17年8月5日④ 意匠に係る物品包装用袋⑤ 登録意匠別紙6意匠目録のとおり(4) 反訴原告による反訴原告商品の販売ア反訴原告は,昭和60年頃,別紙7反訴原告商品目録記載1の商品(以下「反訴原告商品1」という。)の販売を開始した。また,反訴原告は,平成9年頃,別紙7反訴原告商品目録記載2の商品(以下「反訴原告商品2」といい,反訴原告商品1,2を総称して「反訴原告商品」という。)の販売を開始した。 イ反訴原告商品1の外側包装には,別紙8反訴原告標章目録記載1-1の標章(以下「反訴原告標章1-1」という。)が付されている。また,商品である菓子は,別紙8反訴原告標章目録記載1-2の標章(以下「反訴原告標章1-2」という。)が付された別紙9反訴原告小包装目録記載1 - 6 -の小包装(以下「反訴原告小包装1」という。)により個別に包装されている(なお,反訴原告標章1-1,1-2を総称して「反訴原告標章1」という。)。 反訴原告商品2の外側包装には,別紙8反訴原告標章 以下「反訴原告小包装1」という。)により個別に包装されている(なお,反訴原告標章1-1,1-2を総称して「反訴原告標章1」という。)。 反訴原告商品2の外側包装には,別紙8反訴原告標章目録記載2-1の標章(以下「反訴原告標章2-1」という。)が付されている。また,商品である菓子は,別紙8反訴原告標章目録記載2-2の標章(以下「反訴原告標章2-2」という。)が付された別紙9反訴原告小包装目録記載2の小包装(以下「反訴原告小包装2」といい,反訴原告小包装1,2を総称して「反訴原告小包装」という。)により個別に包装されている(なお,反訴原告標章2-1,2-2を総称して「反訴原告標章2」といい,反訴原告標章1,2を総称して「反訴原告標章」という。)。 (5) 反訴被告の行為ア反訴被告は,遅くとも平成21年10月頃から,反訴被告商品を製造販売している。 イ反訴被告商品1の外側包装は,別紙1反訴被告商品目録(1)添付写真1のとおりであり,反訴被告標章1-1はその構成の一部である。また,商品である菓子は反訴被告標章1-2が付された別紙3反訴被告小包装目録記載1の小包装(以下「反訴被告小包装1」という。)により個別に包装されており,これが10本ずつ外側包装に入って販売されている。 反訴被告商品2の外側包装は,別紙1反訴被告商品目録(1)添付写真2のとおりであり,反訴被告標章2-1はその構成の一部である。また,商品である菓子は反訴被告標章2-2が付された別紙3反訴被告小包装目録記載2の小包装(以下「反訴被告小包装2」といい,反訴被告小包装1,2を総称して「反訴被告小包装」という。)により個別に包装されており,これが10本ずつ外側包装に入って販売されている。 (6) 反訴原告の告知・流布行為等 - 7 - ,反訴被告小包装1,2を総称して「反訴被告小包装」という。)により個別に包装されており,これが10本ずつ外側包装に入って販売されている。 (6) 反訴原告の告知・流布行為等 - 7 -反訴原告は,平成21年11月4日,福岡地方裁判所小倉支部に対し,反訴被告を債務者として,反訴被告商品の販売等の行為が本件商標権を侵害し,不正競争防止法2条1項1号及び同項2号に該当する旨主張して,反訴被告商品の販売差止め等を求める仮処分命令を申し立て(福岡地方裁判所小倉支部平成21年(ヨ)第101号。甲12の1),同月5日頃,反訴被告の取引先に対し,上記仮処分命令を申し立てたこと及び同申立てにおける主張内容を告知するとともに,反訴被告商品の販売中止等を求める警告書を送付するなどした(甲15の1~3)。 2 争点(1) 商標権侵害の成否(反訴請求)ア反訴被告標章1が本件商標と類似するか。 イ反訴被告標章1は商標法26条1項2号所定の商標に該当するか。 ウ本件商標は商標登録無効審判により無効とされるべきものと認められるか。 (2) 不正競争防止法2条1項1号該当性の有無(反訴請求)ア反訴原告商品の商品自体の形態,小包装の商品形態,標章が,それぞれ周知商品等表示(不正競争防止法2条1項1号)に該当するか。 イ反訴被告商品の商品自体の形態,小包装の商品形態,標章が,それぞれ反訴原告商品のものと類似するか。 (3) 一般不法行為の成否(反訴請求)反訴被告による反訴被告商品の製造販売が,反訴原告との関係で不法行為を構成するか。 (4) 反訴原告の損害額(反訴請求)(5) 不正競争防止法2条1項14号の不正競争該当性の有無(本訴請求)反訴原告による上記1( ,反訴原告との関係で不法行為を構成するか。 (4) 反訴原告の損害額(反訴請求)(5) 不正競争防止法2条1項14号の不正競争該当性の有無(本訴請求)反訴原告による上記1(6)の告知・流布行為が,「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し,又は流布する行為」(不正競争防止 - 8 -法2条1項14号)に該当するか。 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)ア(反訴被告標章1が本件商標と類似するか)について【反訴原告の主張】ア本件商標と反訴被告標章1との類似性本件商標と反訴被告標章1の外観,称呼,観念を対比すると(下記(ア)ないし(ウ)),特に外観,観念において紛らわしい関係にあり,取引の実情(下記(エ))をも考慮すると,需要者が両者を見誤る可能性は大きく,商品ないし出所について混同のおそれがあることから,両者は類似している。 なお,反訴被告は,反訴被告商品1に付されている標章は,その外側包装の正面全体であり,これを本件商標との類否判断の対象とすべき旨主張するが,外側包装の正面の一部である反訴被告標章1は,それ自体独立した標章であるから,他の部分と分離して類否判断の対象となるものである。 また,そうでなく反訴被告の主張する外側包装の正面全体を一つの標章として捉えるべきとしても,反訴被告標章1の部分は,本件商標との類否判断において,その要部となるものである。 (ア) 外観について本件商標の「黒糖ドーナツ棒」は手書き風の字体,反訴被告標章1の「棒でドーナツ黒糖」は丸ゴチック風の字体で書かれており,異なる字体が用いられているものの,いずれもありふれており,その違いが需要者に格別のインパクトを与えるものではない。 また,本件商標の主要部分は「ドーナツ棒」,反訴被告標 ク風の字体で書かれており,異なる字体が用いられているものの,いずれもありふれており,その違いが需要者に格別のインパクトを与えるものではない。 また,本件商標の主要部分は「ドーナツ棒」,反訴被告標章1の主要部分は「棒でドーナツ」であるところ,いずれも漢字の「棒」,カタカナの「ドーナツ」を有する点で一致している。さらに,本件商標の「ドーナツ棒」について視覚的に強い印象を残すのは,画数が多く複雑な構成 - 9 -を持つ「棒」という漢字部分であるところ,反訴被告標章1の「棒でドーナツ」についても,「棒」の文字が強い印象を与えるようになっており,これに対し,「で」の文字は反訴被告標章1のみに用いられているが,小さく表記されていることから視覚的印象が薄く,この点の違いは微差にすぎない。 本件商標と反訴被告標章1とでは,「棒」と「ドーナツ」の単語の順序が異なるが,上記のとおり,「棒」が強調されて印象に残る態様での表記である点は共通しており,両者を離隔的に観察した場合,全体的に相紛らわしい外観を呈しているといえる。また,両者は「黒糖」の文字の位置についても異なるが,同文字は,上記各主要部分との一体性が低く付加的なものであることが明らかであって,需要者がその文字の位置をさして気にとめないことが自明である。 よって,本件商標と反訴被告標章1の外観は類似している。 (イ) 称呼について本件商標と反訴被告標章1の称呼は,「コクトー」,「ドーナツ」,「ボー」の部分を有する点で一致し,異なるのは「デ」の有無だけであることから,離隔的,全体的に観察した場合,両者は類似している。 (ウ) 観念について本件商標と反訴被告標章1は,いずれも黒糖を原材料として使用したドーナツ菓子で棒状形であるとの特徴を有する旨の観念が生じることから,両者の した場合,両者は類似している。 (ウ) 観念について本件商標と反訴被告標章1は,いずれも黒糖を原材料として使用したドーナツ菓子で棒状形であるとの特徴を有する旨の観念が生じることから,両者の観念は同一である。 (エ) 取引の実情本件商標の指定商品である「黒糖を使用した棒状形のドーナツ菓子」は,反訴原告が開発し,本件商標を付した上で,反訴原告商品1として現在に至るまでほぼ独占して販売している。反訴原告商品1は,棒状形という従前にはなかった形状と,黒糖を使用すること等による味や食感 - 10 -が一般に受け入れられて,爆発的な売上げを記録していることから(乙7の1~5),需要者にとって,同商品に付された本件商標と反訴原告との結びつきが強いといえる。 また,反訴原告商品1の主な需要者層は,注意力や記憶力が必ずしも高いとは期待できない子供や年配者であり(需要者の特性),さらに,反訴原告商品1は,精密機械や化粧品のような細かな性能や種類の違いが重視される高価格な商品と異なり,個人の嗜好にまかせて比較的気軽に買い求められるドーナツ菓子である(商品の特性)。このような事情にも照らすと,需要者としては,本件商標と反訴被告標章1との離隔的な識別にあたり,必ずしもその細部や共通する言葉の順序の異同を吟味することなく,時には短絡的ともいえる全体的直観に頼るのが通常と考えられる。 イ反訴被告の包袋禁反言の主張について商標権は,商標権者の私益保護のみならず混同防止という公益が関わることから,商標の類否の判断において,包袋禁反言の法理の適用は否定されるべきである。また,仮に,包袋禁反言の法理が適用されるとしても,本件商標は,反訴原告の記述的表示に該当しない旨の意見(甲18)が採用されて登録となったものではないことから,この点について包 定されるべきである。また,仮に,包袋禁反言の法理が適用されるとしても,本件商標は,反訴原告の記述的表示に該当しない旨の意見(甲18)が採用されて登録となったものではないことから,この点について包袋禁反言の法理を適用する余地はない。 【反訴被告の主張】ア反訴被告商品1に付されている商標について反訴被告商品1は,その外側包装の正面全体(別紙1反訴被告商品目録(1)添付写真1「正面」参照)に一体の標章が付されているから,本件商標との類否判断は,外側包装の正面全体を一体として観察してされるべきであり,これらが類似していないことは明らかである。 反訴被告標章1-1は,反訴被告商品1の外装に付されている標章の一 - 11 -部を取り出したものにすぎず,類否判断の対象として適切ではない。 イ本件商標と反訴被告標章1との類似性仮に,本件商標と反訴被告標章1-1を比較したとしても,両者が類似しないことは,次のとおりである。 (ア) 外観,称呼,観念について本件商標と反訴被告標章1の外観,称呼はいずれも類似しない。 反訴被告標章1からは,本件商標の指定商品の観念を想起するのみであって,それ以外の特定の観念は生じないことから,観念類似に当たらない。 (イ) 取引の実情反訴被告商品は,反訴被告固有のブランドと信頼により消費者の支持を得ており,全国的販売業者や卸業者は,反訴被告の商品をあえて選んで取引をし,一般の需要者たる消費者においても,双方の商品の味,食感に対する需要者の好みの違いはあれ,反訴被告の商品の商品表示がされている反訴被告の商品を,安心し評価して,購入している。したがって,取引業者や消費者等の需要者はその選択により反訴被告の商品の商品表示がされている商品を購入することはあっても,反訴原告の商品と れている反訴被告の商品を,安心し評価して,購入している。したがって,取引業者や消費者等の需要者はその選択により反訴被告の商品の商品表示がされている商品を購入することはあっても,反訴原告の商品と混同して反訴被告の商品を購入することはあり得ない。 反訴原告は,独自の創意工夫により,反訴原告商品1を開発したと主張するが,同商品は,昔から製造,販売されてきた黒糖蜜ないし蜂蜜を絡めた焼油菓子であって,国産小麦,沖縄県産黒糖の使用,かりんとうの技術を加えた製法,棒状にしたことなどは,すべて当業者が通常採用する製法にすぎない。 ウ包袋禁反言の主張包袋禁反言は,民事法分野における他の禁反言と同様,商標法の分野において適用されるべき法理である。 - 12 -反訴原告は,本件商標に係る出願経過において,審査官が拒絶理由通知で「本件商標をその指定商品中,『黒糖を使用したドーナツ』に使用するときは,その商品が,黒糖を材料として使用している棒状のドーナツであるということ,すなわち商品の品質,原材料,形状を表示するにすぎない」との見解を示したのに対し,「『棒状のドーナツ』をあえて『ドーナツ棒』として反転表示したところに識別力を具備する根拠があります」(甲30)と主張した。しかるに,反訴被告標章1は,「棒状のドーナツ」を反転表示させたものではないことから,反訴原告は,本件商標との類似を主張できない。 (2) 争点(1)イ(反訴被告標章1は商標法26条1項2号所定の商標に該当するか)について【反訴被告の主張】反訴被告標章1は,黒糖を使った棒状のドーナツ菓子という商品についての普通名称,あるいはその品質,原材料,形状を,普通の方法で表示するものであることから,商標法26条1項2号所定の商標に該当し,本件商標権の効力 は,黒糖を使った棒状のドーナツ菓子という商品についての普通名称,あるいはその品質,原材料,形状を,普通の方法で表示するものであることから,商標法26条1項2号所定の商標に該当し,本件商標権の効力は及ばない。 【反訴原告の主張】反訴被告標章1は,反訴被告が反訴被告商品1に使用するのみであり,この名称を,他の業者がドーナツ菓子に使用したり,あるいは,需要者が「黒糖を使った棒状のドーナツ菓子」一般を指すものとして使用したりする事実はないことから,普通名称ではない。また,反訴被告標章1は,「棒のドーナツ」,「棒形状ドーナツ」などの名称と異なる上,助詞の「で」を通常とは異なる用法で用いた点に特徴があり,品質,原材料,形状を普通に用いられる方法で表示したものではない。 したがって,反訴被告標章1は,商標法26条1項2号所定の商標に該当しない。 - 13 -(3) 争点(1)ウ(本件商標は商標登録無効審判により無効とされるべきものと認められるか)について【反訴被告の主張】ア本件商標は,指定商品を単に文字表記したものであることから,普通名称を普通に用いられる方法で表示したものであり,商標法3条1項1号所定の商標に該当する。よって,同法46条1項1号により商標登録無効審判で無効にされるべきものと認められるから,同法39条,特許法104条の3により反訴原告は本件商標権を行使することができない。 イ仮に,本件商標が商標法3条1項1号所定の商標に該当しないとしても,本件商標は,指定商品の品質,原材料,形状を普通に用いられる方法で表示したものであり,同項3号所定の商標に該当する。よって,同法46条1項1号により商標登録無効審判で無効にされるべきものと認められるから,同法39条,特許法104条の3により反訴原告は本件商標権を行使 たものであり,同項3号所定の商標に該当する。よって,同法46条1項1号により商標登録無効審判で無効にされるべきものと認められるから,同法39条,特許法104条の3により反訴原告は本件商標権を行使することができない。 ウ反訴原告は,商標法3条2項の要件が肯定されることから本件商標には同条1項3号所定の商標に該当することを理由とする無効原因はない旨主張するが,同条項の要件が満たされるためには,当該商標から,商品の出所と特定の事業者との関連を認識することができることを要するところ,本件商標を付した反訴原告商品1の宣伝,広告は,九州地方に限定されていて他の地域の需要者には普及し得ない程度のものであり,そのほか,上記要件を肯定し得るほどの大規模な宣伝活動がされたといった旨の立証もない。 したがって,本件商標には商標法3条2項の要件は認められない。 【反訴原告の主張】ア 「普通名称」(商標法3条1項1号)とは,取引界において,その商品又は役務の一般的な名称と認識されるに至っているものをいい,ある名称が - 14 -「普通名称」(同上)に該当するか否かは,取引市場において,その名称が特定の商品の一般名称として世俗一般に使用されているか否かによって判断されるべきである。 本件商標については,取引市場において,指定商品を示す一般的名称となっているとの客観的資料は存在せず,「普通名称」(同上)には該当しない。 イ本件商標は,棒状形のドーナツを暗示するものとはいえても,これを正確に表示するものではないから,取引当事者や需要者は一種の造語と認識するはずであって,商標法3条1項3号所定の商標に該当するとはいえない。 ウ仮に,本件商標が商標法3条1項3号所定の商標に該当するとしても,本件商標には特別顕著性(同条2項)が認められ 語と認識するはずであって,商標法3条1項3号所定の商標に該当するとはいえない。 ウ仮に,本件商標が商標法3条1項3号所定の商標に該当するとしても,本件商標には特別顕著性(同条2項)が認められるから,無効とされるべき瑕疵はない。 すなわち,反訴原告商品1は,国産小麦粉,100%沖縄県産黒糖,独自ブレンドの揚げ油を使用するなど原材料を厳選し,高品質かつ健康にもよく,食感も優れており,小型の棒状という他のドーナツとは異なった独創的な形態であるという特性を有している。これらの特性が一般消費者の支持を得るものであったことに加え,長年にわたる宣伝活動(下記(ア))により,反訴原告商品は爆発的な人気を博しており(下記(イ)),高い評価も受けている(下記(ウ))。したがって,本件商標には特別顕著性(商標法3条2項)が認められる。 (ア) 宣伝活動反訴原告は,昭和60年頃に反訴原告商品1を販売開始して以降,反訴原告商品1の宣伝広告に毎年多大な費用と労力を注いでいる。具体的には,百貨店における催事販売,菓子博覧会への出店,通信販売カタログの発行,新聞や雑誌への掲載,テレビでの番組やコマーシャルの放映, - 15 -看板の設置等を行っている(乙1,乙7の1~5,乙15の1~215,乙16の1~11,乙17,乙18の1~3)。 (イ) 販売実績反訴原告商品1は,直営店,フランチャイズ店における販売のほか,百貨店,一般店舗,空港での店頭販売(全国1350店舗以上),通信販売等で販売されており,その売上げは,平成20年8月からの1年間でみても,売上金額約15億円,売上本数約5360万本に及ぶ(乙1,乙7の1・2)。 (ウ) 受賞歴反訴原告商品1は,平成14年に開催された「第24回全国菓子大博覧会」において の1年間でみても,売上金額約15億円,売上本数約5360万本に及ぶ(乙1,乙7の1・2)。 (ウ) 受賞歴反訴原告商品1は,平成14年に開催された「第24回全国菓子大博覧会」において,特別賞である「リッチモンドクラブ賞」を受賞し(乙2,乙11),また,平成20年に開催された「第25回全国菓子大博覧会」において,一般菓子の最高賞である「名誉総裁賞」を受賞した(乙2,乙19の1~3)。 (4) 争点(2)ア(反訴原告商品の商品自体の形態,小包装の商品形態,標章が,それぞれ周知商品等表示(不正競争防止法2条1項1号)に該当するか)について【反訴原告の主張】ア商品自体の形態について反訴原告商品1の菓子は黒色で,反訴原告商品2の菓子は黄土色である(乙13の1・2)が,その形態は,いずれも長さ約8センチメートル,幅約2.5センチメートル,厚さ約2センチメートルの上面視楕円形の棒状で,上面の中心部に横長手方向に割れ目があるというもので,「輪形・円形などに作って油で揚げた洋菓子」であることが通常のドーナツとしては珍しく,需要者の目につくものであって,特別顕著性を有する。 反訴原告は,反訴原告商品1を昭和60年頃から,反訴原告商品2を平 - 16 -成9年からいずれも独占的に製造販売しており,精力的な宣伝活動を行い,めざましい販売実績を収めてきたのであるから,反訴原告商品の商品自体の形態は,自他識別機能を有する商品等表示となっている。 イ小包装の商品形態について反訴原告小包装は,いずれも菓子の斬新な形状が目立つような大きさにカットされた上,透明のポリプロピレンが使用されており,また,菓子を取り出しやすくなるように両側がキザキザ状に加工されているところ(乙14),これらの小 ずれも菓子の斬新な形状が目立つような大きさにカットされた上,透明のポリプロピレンが使用されており,また,菓子を取り出しやすくなるように両側がキザキザ状に加工されているところ(乙14),これらの小包装は,需要者に特に印象を与える顕著な形態的特徴である。 反訴原告は,上記アのとおり,反訴原告商品について,独占的に製造販売しており,精力的な宣伝活動を行い,めざましい販売実績を収めてきた。 よって,反訴原告小包装の商品形態は,反訴原告商品について,自他識別機能を有する商品等表示となっている。 また,反訴原告商品においては,菓子が個別の小包装に包まれているという点も商品形態となり,これも同様に自他識別機能を有する商品等表示となっている。 ウ標章について反訴原告商品1の外側包装等に付された反訴原告標章1-1は,朱赤色で小さく書かれた「黒糖」の文字と,茶金色で書かれた「ドーナツ棒」の文字が縦に2列に並べて表記されている。また,同商品の小包装(反訴原告小包装1)に付された反訴原告標章1-2は,白色で小さく書かれた「黒糖」の文字と,大きく書かれた「ドーナツ棒」の文字が横書きで1列に表記されている。 また,反訴原告商品2の外側包装等に付された反訴原告標章2-1は,黄緑色で小さく書かれた「ひとくち」の文字と赤色で書かれた「蜂蜜」の文字が1列に表記され,焦げ茶色で大きく書かれた「ドーナツ棒」の文字 - 17 -と横に2列に並べて表記されている。また,同商品の小包装(反訴原告小包装2)に付された反訴原告標章2-2は,緑色で書かれた「ひとくち蜂蜜ドーナツ棒」の文字が,「ドーナツ棒」の部分を相対的に大きくして1列に表記されている。 これらの反訴原告標章は,いずれも反訴原告商品を他の商品と識別するた 2-2は,緑色で書かれた「ひとくち蜂蜜ドーナツ棒」の文字が,「ドーナツ棒」の部分を相対的に大きくして1列に表記されている。 これらの反訴原告標章は,いずれも反訴原告商品を他の商品と識別するための商品等表示である。 エ周知性について上記(3)【反訴原告の主張】ウのとおり,反訴被告が反訴被告商品の販売を開始した平成21年10月頃,反訴原告商品1は,広く全国の消費者の間で知られていた。また,反訴原告商品2についても,その売上げは,平成20年8月からの1年間でみても,売上金額約2億1500万円に及んでいる(乙1,乙7の1)。 したがって,反訴原告商品の商品自体の形態,小包装の商品形態及び標章は,九州及び沖縄地方を中心に,広く全国の需要者の間で,商品等表示としての周知性を獲得していたといえる。 【反訴被告の主張】ア商品自体の形態について反訴原告商品の菓子の形状等(棒状であること,黒糖や蜂蜜入りであること)は,菓子としてありふれたものであり(甲16の1~27,甲22の1~7,甲23の1~8),これを他の商品と識別し得る独特の特徴とすることはできない。また,反訴原告商品の各菓子の形状は,販売される際に認識できるように表示されておらず,これらによって商品が識別される販売形態にはなっていない。 よって,反訴原告商品の商品自体の形態が,商品等表示であるとは認められない。 イ小包装の商品形態について - 18 -菓子業界において,小包装により個別包装した商品を詰めて販売する形態はありふれたものである。また,反訴原告小包装の素材に透明のポリプロピレンを使用することもありふれたものであるし(甲16の1・3・8・9・21~24・26,甲23の1~3,甲25の1~8,甲28の1~31), ものである。また,反訴原告小包装の素材に透明のポリプロピレンを使用することもありふれたものであるし(甲16の1・3・8・9・21~24・26,甲23の1~3,甲25の1~8,甲28の1~31),そのサイズについても,袋メーカーないし製造機械の規格に従ったもので,独特の創造性が認められる余地はない。 さらに,反訴原告小包装は,販売される際に認識できるように表示されておらず,これらによって商品が識別される販売形態にはなっておらず,一般需要者からみて,出所表示機能,自他商品識別機能を有する態様で使用されているものとはいえない。 よって,反訴原告小包装の商品形態や反訴原告商品の菓子が小包装に包まれた商品形態が商品等表示であるとは認められない。 ウ標章について「黒糖ドーナツ棒」(反訴原告標章1)や「ひとくち蜂蜜ドーナツ棒」(反訴原告標章2)等の各商品名は,いずれも菓子や材料の内容や形状等を普通に用いられる方法で表示したものにすぎず,一般需要者からみて,出所表示機能,自他商品識別機能を有する態様で使用されているとはいえず,商品等表示であるとは認められない。 エ周知性について反訴原告商品の商品自体の形態,小包装の商品形態,標章は,いずれもありふれたもので商品等表示には該当せず,これらが周知性を取得することもない。 なお,反訴原告商品の宣伝活動は,主に平成17年以降にされているところ,同年以降でみても,多数の類似商品が全国で販売されており(甲16の1~27,甲22の1~7,甲23の1~8),反訴原告商品が,日本全国の取引者及び需要者に広く認識されているとは認められない。 - 19 -(5) 争点(2)ウ(反訴被告商品の商品自体の形態,小包装の商品形態,標章が,それぞれ反訴原告商品のものと類似する 国の取引者及び需要者に広く認識されているとは認められない。 - 19 -(5) 争点(2)ウ(反訴被告商品の商品自体の形態,小包装の商品形態,標章が,それぞれ反訴原告商品のものと類似するか)について【反訴原告の主張】ア商品自体の形態について反訴原告商品1と反訴被告商品1の各菓子の形状を比較すると,大きさ,上面視楕円形かつ棒状であること,黒ないし濃茶褐色であること,上部の中心部横長手方向に割れ目があること,ごつごつした質感であること等が全く同じであり,実質的に同一である。 また,反訴原告商品2と反訴被告商品2の各菓子の形状を比較すると,上面視楕円形かつ棒状であること,黄土色であること,上部の中心部横長手方向に割れ目があること,ごつごつした質感であること等が全く同じであり,大きさについては,反訴原告商品2の方が一回り小さいものの,いずれも一口サイズであり,このような差異は,ドーナツ菓子を購入する一般消費者が通常期待される注意力をもって,全体的な印象を離隔的に観察したときに意識しない程度のものである。 よって,反訴原告商品2と反訴被告商品2の商品自体の形態は,極めて似ている。 イ小包装の商品形態について反訴原告小包装1と反訴被告小包装1を比較すると,菓子の形状にあわせた大きさであること,両側がギザギザ状になっていること,菓子が鮮明に認識できる透明のポリプロピレン製であることにおいて一致する。 また,反訴原告小包装2と反訴被告小包装2についても同様の点において一致する。 よって,反訴被告小包装の商品形態は,需要者がその印象,記憶,連想をより所として離隔的に観察した場合に混同を惹起するかという観点からみて,反訴原告小包装の商品 ついても同様の点において一致する。 よって,反訴被告小包装の商品形態は,需要者がその印象,記憶,連想をより所として離隔的に観察した場合に混同を惹起するかという観点からみて,反訴原告小包装の商品形態と十分に類似している。 - 20 -ウ標章について反訴原告標章1-1と反訴被告標章1-1を比較すると,両者は,①外観について,採用されている文字,縦に2列の配列であること,主要な部分(「ドーナツ棒」,「棒でドーナツ」)と付加的な部分(「黒糖」)の文字の大きさの違い,文字の色調において類似しており,②称呼については,それぞれに固有の意味を有することから称呼の要部を構成する「コクトー」,「ボー」,「ドーナツ」という音声を生じる点において類似しており,③観念については,「黒糖」を原材料として使用した「ドーナツ」菓子で「棒」状形であることが特徴であるとの共通の観念を生じるものといえる。 反訴原告標章1-2と反訴被告標章1-2を比較すると,両者は,①外観は極めて類似しており(なお,「黒糖」の文字について,反訴原告標章1-2では透明な小包装上に白字で記載されているところ,反訴被告標章1-2では焦げ茶色に白抜きで記載されているが,焦げ茶色は菓子の色に紛れることから,その違いは両者を並べて詳細に検討しなければ覚知し難い。),②称呼及び③観念の類似性は,上記と同様である。 反訴原告標章2-1と反訴被告標章2-1を比較すると,両者は,①外観について,「蜂蜜/はちみつ」,「ドーナツ」,「棒」という文字を有する点で類似し,2列の配列であること,文字の大きさの構成,文字の色調(黄色,黄緑色,黒色又はこげ茶色が使用されている点)において,印象が似通っており,②称呼については,「ハチミツ」,「ドーナツ」, る点で類似し,2列の配列であること,文字の大きさの構成,文字の色調(黄色,黄緑色,黒色又はこげ茶色が使用されている点)において,印象が似通っており,②称呼については,「ハチミツ」,「ドーナツ」,「ボー」という共通の要素を有しており,③観念については,「蜂蜜」を原材料として使用した「ドーナツ」菓子で「棒」状形であることが特徴であるとの共通の観念を生じるものといえる。 反訴原告標章2-2と反訴被告標章2-2を比較すると,両者は,①外観については,「蜂蜜/はちみつ」,「ドーナツ」,「棒」という文字を有する点,横書きで2列である点で類似しており,②称呼及び③観念の類似性 - 21 -は,上記と同様である。 よって,反訴被告標章は,需要者による離隔的観察において,反訴原告標章と十分に類似している。 【反訴被告の主張】ア商品自体の形態について反訴被告商品の菓子の形状は,焼き(揚げ)菓子としてありふれた形状の一つであって,他の同類商品の場合と比較して,反訴原告商品と明確に類似するとは認められない。 イ小包装の商品形態について反訴被告小包装と反訴原告小包装について,表示してあるデザインや文字配列は類似するとは認められない。また,菓子の大きさに合わせたポリプロピレン製の袋であること,両端がギザギザ状であることは,機能,素材,製造機械の仕様に伴う必然的な形態であって,特別に独創性,創作性があるとは認められない(甲24の1~4,甲25の1~8,甲26の1・2,甲28の1~31)。 ウ標章について反訴被告標章は,いずれも反訴被告商品の商品等表示の一部に過ぎない。 仮に,反訴被告標章を反訴被告商品の商品等表示とみるとしても,反訴被告標章と反訴原告標章に ウ標章について反訴被告標章は,いずれも反訴被告商品の商品等表示の一部に過ぎない。 仮に,反訴被告標章を反訴被告商品の商品等表示とみるとしても,反訴被告標章と反訴原告標章については,同一文字等が用いられているものの,文字の形(デザイン),配列,色彩等は同一でなく類似もしていない。また,用いられている文字は,商品の内容を普通の方法で表示するものに過ぎず,自他商品識別力を有する商品等表示としての機能を有するものでもなく,厳密な意味での商品名たる標章ではない。 なお,反訴被告標章1の「棒でドーナツ黒糖」は,普通名称を普通に用いられる方法で使用するものであることから,いずれにしてもこれを使用することは不正競争に該当しない(不正競争防止法19条1項1号)。 - 22 -(6) 争点(3)(一般不法行為の成否)について【反訴原告の主張】ある者が,費用や労力をかけて特定の成果を得て,当該成果を用いて営業活動を行っている場合に,フリーライドして,当該成果をその者の販売地域と競合する地域において営業活動に供する行為は,公正かつ自由な競争原理によって成り立つ取引社会において,著しく不公正な手段を用いて他人の法律上保護される営業活動上の利益を侵害するものとして,不法行為を構成する。 本件において,反訴被告は,反訴原告商品が爆発的な売上げを記録する中,平成21年10月頃になって,反訴原告商品の販売地域において,これと商品自体の形態,小包装の商品形態が全く一致し,商品名が極めて類似する反訴被告商品の販売を開始したものであるところ,このような反訴被告の行為は,反訴原告が長年にわたって築いてきた信用にフリーライドするものであって,不法行為を構成する。 【反訴被告の主張】反訴原告の主張は争 したものであるところ,このような反訴被告の行為は,反訴原告が長年にわたって築いてきた信用にフリーライドするものであって,不法行為を構成する。 【反訴被告の主張】反訴原告の主張は争う。 (7) 争点(4)(反訴原告の損害額)について【反訴原告の主張】反訴被告は,遅くとも平成21年10月頃,反訴被告商品の販売を開始しており,反訴被告の営業規模に照らすと,同月頃以降の反訴被告商品の売上金額は8000万円を下らない。また,反訴被告商品の利益率は,約20パーセントである。 よって,反訴被告が得た利益の額は1600万円であり,反訴原告は,同額の損害を被った。 【反訴被告の主張】反訴原告の主張は争う。 - 23 -(8) 争点(5)(不正競争防止法2条1項14号の不正競争該当性の有無)について【反訴被告の主張】反訴原告は,反訴被告の取引先に対し,反訴被告による反訴被告商品の製造販売等の行為が,反訴原告の有する本件商標権及び本件意匠権を侵害し,不正競争防止法2条1項1号及び2号に該当する旨の反訴被告の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し,かつ流布した。 このような反訴原告の行為は,不正競争防止法2条1項14号の不正競争に該当する。 【反訴原告の主張】反訴被告の主張は争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(商標権侵害の成否)について(1) 争点(1)ア(反訴被告標章1が本件商標と類似するか)についてア反訴原告は,反訴被告が反訴被告商品1の外側包装に付している標章は反訴被告標章1-1であるとした上で本件商標権の侵害を主張するところ,これに対し,反訴被告は,反訴被告商品1の外側包装に付している標章は反訴被告標章1-1をその一部に含む外側包装 に付している標章は反訴被告標章1-1であるとした上で本件商標権の侵害を主張するところ,これに対し,反訴被告は,反訴被告商品1の外側包装に付している標章は反訴被告標章1-1をその一部に含む外側包装の正面全体であると反論している。 この点,反訴被告商品1の外側包装の正面(別紙1反訴被告商品目録(1)添付写真1「正面」参照)には,ほぼ中央に反訴被告標章1-1が付され,その右横上に沖縄県産黒糖使用という赤地に白抜きの文字及びハイビスカス様の花の絵,右横下に数個の黒糖の塊の写真,左斜め下に反訴被告商品1の菓子そのものの写真及びこれに肘をついた格好の子供(棒状形のドーナツを烏帽子の様にかぶっている。)の絵が,この順番に大きくなる形で付加されていることが認められ,これらの写真等は,反訴被告標章1-1と - 24 -一体となるようにバランスを考慮して配置されており,一体となって一つの絵柄を構成していると見ることも可能である。 しかしながら,「棒でドーナツ黒糖」の文字の周囲に配置された写真等については,外側包装の左下隅に「※写真はイメージです。」との注意書きがされていることからも明らかなように,菓子そのものの写真は商品のサンプルを,黒糖の塊の写真は原材料のイメージをそれぞれ独立して示しており,沖縄県産黒糖使用という文字及びハイビスカス様の花の絵についても,原材料ないしその産地のイメージを独立して示すものであって,これに接した者も当然そのように理解するといえることから,これらの写真等が反訴被告標章1-1と結合し,その全体が一体となっているとまでは認められない。 また,反訴被告商品1の外側包装の正面上欄には「N」のマークと「七尾の」の文字が付されているが,これらは,独立して製造販売元を表示するものであることは明らかであるから,反訴被告標章 認められない。 また,反訴被告商品1の外側包装の正面上欄には「N」のマークと「七尾の」の文字が付されているが,これらは,独立して製造販売元を表示するものであることは明らかであるから,反訴被告標章1-1との一体性は認められない。さらに,反訴被告商品1の外側包装の正面右下には「10本入」との文字が付されているが,これも独立して内容量を表示するものであることは一見して明らかであるから,やはり反訴被告標章1-1との一体性は認められない。 よって,反訴被告商品1においては,その商品名を表示した反訴被告標章1-1がそれ自体独立した標章であると認められるから,本件商標と類否判断すべき対象は,反訴被告標章1-1とするのが相当であって,これに反する反訴被告の主張は採用できない。 イそこで,本件商標と反訴被告標章1の類否を検討すると,次のとおりである。 (ア) 外観について本件商標の外観は,別紙5商標目録のとおりであり,手書き風の力強 - 25 -い印象を与える字体で縦書きに「ドーナツ棒」と記載され,その右横上に「ドーナツ棒」と同じ調子であるが,比較するとやや細い字体で,「黒糖」の文字が添えられている。 他方,反訴被告標章1の外観は,別紙4反訴被告標章目録記載1-1,1-2のとおりであり,外側包装に付された反訴被告標章1-1は縦書きで,小包装に付された反訴被告標章1-2は横書きで書かれている。 反訴被告標章1-1は,丸ゴチック調の字体で「棒でドーナツ」と記載され,その左横下に二つの赤色の丸が添えられ,それぞれ白抜きの文字(「棒でドーナツ」とは異なる字体である。)で「黒」,「糖」と記載され,また,「棒」の文字の右横下には,「ぼう」というひらがなが読み仮名として添えられている。「棒でドーナツ」の文字は,「棒」の旁部 (「棒でドーナツ」とは異なる字体である。)で「黒」,「糖」と記載され,また,「棒」の文字の右横下には,「ぼう」というひらがなが読み仮名として添えられている。「棒でドーナツ」の文字は,「棒」の旁部分と「でドーナツ」が縦方向に一直線で並んでおり,「棒」の木偏は,「木」の二画目の縦棒が下方向に長く伸ばされて,「ド」の文字の左肩付近まで及んでいる。また,反訴被告標章1-2は,同1-1と同じ丸ゴチック調の字体で「棒でドーナツ」と記載され,その右下側に二つの茶色の丸が添えられ,それぞれ白抜きの文字(「棒でドーナツ」とは異なる字体である。)で「黒」,「糖」と記載されている。「棒でドーナツ」の文字は,横方向に一直線に並んでおり,「棒」の木偏は,外側包装のそれと同様に「木」の二画目の縦棒が長く伸ばされており,旁部分は,「奉」の七画目の横棒が,右方向に長く伸ばされて,「ツ」の文字の右下付近まで伸びている。 そこで検討するに,本件商標及び反訴被告標章1は,いずれも「黒糖」,「ドーナツ」,「棒」の文字が,その外観を構成する要素となっている点で共通しており,また,「黒糖」の文字がやや小さく付加的な印象を与える点でも共通しているが,「黒糖」の文字の位置は本件商標では最初にあり,反訴被告標章1では最後にあるという点で逆である。また,「ド - 26 -ーナツ」と「棒」の組合せも全く逆であるから,字体等の文字の特徴が相当異なった印象を与えることも相まって,これらを離隔的に観察しても,相紛らわしい外観を呈しているとはおよそ認められない。 よって,本件商標と反訴被告標章1は,外観において異なっているというべきである。 (イ) 称呼について本件商標からは,「コクトウドーナツボウ」との称呼が,反訴被告標章1からは,「ボウデドーナツコ 反訴被告標章1は,外観において異なっているというべきである。 (イ) 称呼について本件商標からは,「コクトウドーナツボウ」との称呼が,反訴被告標章1からは,「ボウデドーナツコクトウ」との称呼が,それぞれ生じるものと認められる。 各称呼は,いずれも「コクトウ」,「ドーナツ」,「ボウ」の組合せである点に共通項はあるが,これらの配列順序は全く異なるとともに,反訴被告標章1には,「ボウ」と「ドーナツ」が「デ」という特徴のある音で連結され,むしろ「デ」という音を挟むことによって称呼の流れが妨げられているのであるから,構成要素となる単語自体の称呼は共通するものの,全体としては,本件商標の称呼と反訴被告標章1の称呼は異なっているというべきである。 (ウ) 観念について本件商標と反訴被告標章1は,いずれも「黒糖」,「棒」,「ドーナツ」の三つの単語を構成要素とするところ,「黒糖」が菓子の原料を,「棒」が菓子の形状を,「ドーナツ」が菓子の種類を想起させることは明らかであることから,「黒糖を使用した棒状形のドーナツ菓子」という同一の観念を生じるものといえる。 (エ) 検討上記のとおり,本件商標と反訴被告標章1は,いずれも「黒糖を使用した棒状形のドーナツ菓子」との観念を生じる点で,観念において同一と認められるが,その観念は「黒糖を使用した棒状形のドーナツ菓子」 - 27 -で指定商品ないし反訴被告商品1そのものを想起させるものであり,それ以上の何らかの意味を有するものでもないことから,これをもって本件商標と反訴被告標章1の類似性を根拠づける事由とするのは相当ではなく,それよりも本件商標と反訴被告標章1は,その外観及び称呼によって明確に区別できることからすると,本件商標と反訴被告標章1は,類似しな と反訴被告標章1の類似性を根拠づける事由とするのは相当ではなく,それよりも本件商標と反訴被告標章1は,その外観及び称呼によって明確に区別できることからすると,本件商標と反訴被告標章1は,類似しないものと判断するのが相当であるといわなければならない。 なお,本件商標及び反訴被告標章1の付される商品の取引の実情につき,反訴原告は,需要者が子供や年配者であることや,商品が嗜好品であることなどを指摘した上で,その細部や共通する言葉の順序の異同を吟味することなく,時には短絡的ともいえる全体的直観に頼るのが通常と考えられるなどとして,そのことが本件商標と反訴被告標章1の類似性を根拠づけるように主張する。 しかしながら,需要者が子供や年配者である旨の立証はなく,仮に,需要者に子供や年配者が多いとしても,本件商標と反訴被告標章1の外観及び称呼の違いが,これらの需要者にとって理解が困難なものであるとは考えられないし,また,嗜好品ゆえに誤認混同が生じる旨についても特段の立証はなく,逆に菓子類という嗜好品であるからこそ,子供や年配者であっても商品を正しく選択する場合もあり得るところである。 したがって,仮に子供や年配者が需要者であるとするのが取引の実情であるとしても,外観及び称呼によって明確に区別され得る本件商標と反訴被告標章1のそれぞれ付された商品の出所について誤認混同のおそれがあるとは認められない。 したがって,以上判断したところを総合すると,本件商標と反訴被告標章1は類似するということはできないというべきである。 (2) 小括以上のとおり,本件商標と反訴被告標章1は類似するとはいえないことか - 28 -ら,反訴原告の商標権侵害を理由とする請求は,その余について判断するまでもなく,理由がない。 2 争点(2)(不正競争防止 り,本件商標と反訴被告標章1は類似するとはいえないことか - 28 -ら,反訴原告の商標権侵害を理由とする請求は,その余について判断するまでもなく,理由がない。 2 争点(2)(不正競争防止法2条1項1号該当性の有無)について(1) 争点(2)ア(反訴原告商品の商品自体の形態,小包装の商品形態,標章が,それぞれ周知商品等表示(不正競争防止法2条1項1号)に該当するか)についてア商品自体の形態について反訴原告は,反訴原告商品の商品自体の形態が商品等表示性を取得している旨主張するが,証拠(甲16の1~27,甲22の1~7,甲23の1~8)及び弁論の全趣旨によれば,ドーナツに限ってみても,反訴原告商品のように,上面視楕円形の棒状形で横長手方向に割れ目がある菓子は多数販売されていたことが認められ,また,その色についても反訴原告商品1のように黒色のもの,反訴原告商品2のように黄土色のものは多数販売されていることが認められる。 したがって,反訴原告商品の商品自体の形態が特別顕著なものであるとはおよそいえない上,反訴原告商品は日常生活において食される安価な菓子であって(例えば,平成22年6月頃の自社通信販売においては,反訴原告商品1は10本入り20袋が6300円,反訴原告商品2は125グラム入り20袋が6300円でそれぞれ販売されている。乙7の5,乙15の214),需要者がその商品の形態に着目して選択する商品とも認められないから,これがいかに大量に販売されようとも,需要者がその形態だけによって,反訴原告の出所を連想するに至るとまでは認められない。 よって,反訴原告商品の商品自体の形態が,周知商品等表示に該当することを前提とする反訴原告の主張は,その余の判断に及ぶまでもなく理由がない。 イ小包装の商 るとまでは認められない。 よって,反訴原告商品の商品自体の形態が,周知商品等表示に該当することを前提とする反訴原告の主張は,その余の判断に及ぶまでもなく理由がない。 イ小包装の商品形態について - 29 -反訴原告は,反訴原告商品の菓子が包装されている小包装の商品形態が商品等表示性を取得している旨主張するが,証拠(甲16の1・3・8・9・21~24・26,甲23の1~3,甲25の1~8,甲28の1~31)及び弁論の全趣旨によれば,ドーナツに限ってみても,反訴原告小包装のように,透明で,菓子に合わせた大きさで,縁がギザギザに加工されている小包装は,多くの商品で使用されているありふれたものにすぎないことが認められるから,その形態が特別顕著なものであるとはおよそいえない。 したがって,反訴原告商品の小包装の商品形態が,周知商品等表示に該当することを前提とする反訴原告の主張は,その余の判断に及ぶまでもなく理由がない。 また,反訴原告商品において,菓子が一個ずつ小包装に包まれているという点を商品形態と捉えるとしても,このように菓子類を取り分けやすいように一個ずつ包装する手法は周知慣用されていることからすると,これをもって周知商品等表示に該当するということはできず,これを前提とする反訴原告の主張は,その余の判断に及ぶまでもなく理由がない。 ウ標章について(ア) 反訴原告商品に使用されている反訴原告標章は,いずれも当該商品の商品名を表すものであって,独立した商品等表示であると認められる。 (イ) そして,反訴原告標章の使用実績等については以下の事実関係が認められる。 a 使用開始時期について反訴原告は,昭和60年頃,反訴原告商品1の販売を開始しているところ,反訴原告 (イ) そして,反訴原告標章の使用実績等については以下の事実関係が認められる。 a 使用開始時期について反訴原告は,昭和60年頃,反訴原告商品1の販売を開始しているところ,反訴原告標章1-1は,平成6年秋頃の日本生活協同組合連合会・学校生活協同組合の通信販売のカタログ(乙7の5)に掲載された同商品の写真において使用されており(乙15の1),また,反 - 30 -訴原告標章1-2は,平成7年頃の自社通信カタログ(乙7の5)に掲載された同商品の写真において使用されており(乙15の2),いずれも現在まで使用されている。 また,反訴原告は,平成9年頃,反訴原告商品2の販売を開始しているところ,反訴原告標章2-1は,平成9年3月頃の日本生活協同組合連合会の食品共同購入用カタログ(乙7の5)に掲載された同商品の写真において使用されており(乙15の16),また,反訴原告標章2-2は,平成12年11月頃の,自社通信カタログ(乙7の5)に掲載された同商品の写真において使用されており(乙15の21),いずれも現在まで使用されている。 b 反訴原告商品の販売について反訴原告は,自社商品を,直営店及びフランチャイズ店で販売するほか,百貨店,一般店舗,空港や高速道路のサービスエリア,JR九州の駅等で販売しており,これらを含む反訴原告商品を常時販売している店舗は,平成22年7月2日時点で,日本全国に862店舗ある(乙1,7の2・5)。このほか,反訴原告商品については,百貨店での催事販売等も行われている(乙7の2・5)。 また,反訴原告は,自社商品が掲載された自社の通信カタログを,平成7年頃に発刊し,平成10年以降はおおむね年3回(3月,6月,11月)の頻度で刊行しているところ,同カタログを送付する顧客は,平成22 た,反訴原告は,自社商品が掲載された自社の通信カタログを,平成7年頃に発刊し,平成10年以降はおおむね年3回(3月,6月,11月)の頻度で刊行しているところ,同カタログを送付する顧客は,平成22年7月8日時点で日本全国に12万5472人いる(乙7の3)。カタログの発行部数はおおむね増加傾向で,平成21年通算の発行部数は約24万5000部である(乙7の5)。 さらに,反訴原告は,平成7年4月,日本生活協同組合連合会を通じて全国150の単位生活協同組合に反訴原告商品1の供給を開始し(乙1),その後,反訴原告商品2についても供給を開始し,いずれも - 31 -日本生活協同組合連合会食品共同購入用のチラシに掲載されている(乙7の5)。 そのほか,特に反訴原告商品1については,ふるさと小包全国版にも掲載されたほか,平成8年頃,日本直販による全国テレビショッピングを通じた販売を開始し(平成10年頃まで),平成13年頃,QVCテレビショッピング,TBSテレビショッピング(関東エリア)によっても販売されている(乙1,乙7の5)。 c 反訴原告商品の広告宣伝等について反訴原告商品1については,平成21年10月までの期間でみても,新聞に広告又は紹介記事が掲載され(乙15の46・47・55・88・124・136・145・150・170・173・182),雑誌(市販の雑誌のほか,パンフレット,会員向け情報誌,乗り物の車内誌等も含む。)にも,広告又は紹介記事が掲載された(乙15の38~40・49・50・51・54・58・65・66・70~73・84・85・87・92~94・96~103・105・106~109~114・117・120~123・125~132・134・137~141・143,144,146~149,151,153~ 3・84・85・87・92~94・96~103・105・106~109~114・117・120~123・125~132・134・137~141・143,144,146~149,151,153~160,162~169・171・172・174~181・183~185)。そのほか,テレビ番組で,反訴原告商品1を紹介する番組が放映され(乙16の1~10),平成18年4月以降は,熊本において,テレビ広告も放映された(乙17)。また,熊本空港等に,反訴原告商品1の宣伝用の看板も設置されている(乙7の1,乙18の1~3)。さらに,反訴原告商品1については,平成14年11月,第24回全国菓子大博覧会において「リッチモンドクラブ賞」を受賞し(乙2,乙11),平成20年5月,第25回全国菓子大博覧会において「名誉総裁賞」を受賞している(乙19の1~3)。 - 32 -また,反訴原告商品2についても,平成21年10月までの期間でみても,新聞に広告又は紹介記事が掲載され(乙15の47・55・170),雑誌にも,広告又は紹介記事が掲載された(乙15の39・49・50・70・72・85・94・103・105・106・108・113・117・122・123・129~131・137・138・153・166・177)。 d 反訴原告商品の売上げ等について反訴原告における売上総額は,平成16年8月ないし平成17年7月が5億6672万7717円,同年8月ないし平成18年7月が7億5122万0682円,同年8月ないし平成19年7月が10億8919万9297円,同年8月ないし平成20年7月が14億2562万2408円,同年8月ないし平成21年7月が21億4783万4402円であるところ,反訴原告商品1の売上高は上記金額の約7割,反訴原告商品2の売上高は上記 8月ないし平成20年7月が14億2562万2408円,同年8月ないし平成21年7月が21億4783万4402円であるところ,反訴原告商品1の売上高は上記金額の約7割,反訴原告商品2の売上高は上記金額の約1割である(乙7の1)。 なお,反訴原告の販売する商品の広告宣伝費としては,平成17年8月ないし平成18年7月が4405万4024円,同年8月ないし平成19年7月が8923万6193円,同年8月ないし平成20年7月が1億1094万8788円,同年8月ないし平成21年7月が1億7628万9547円であった(乙7の1)。 e 反訴原告標章1に類似した他の標章の存否原材料に黒糖を使用したと思われる棒状のドーナツ菓子は,我が国に少なからず存在するが,これらに用いられている標章には,「黒棒」(甲16の1),「黒棒名門」(甲16の9),「黒糖ケーキドーナツ」(甲16の10),「ミニ黒糖ドーナツ」(甲16の12),「豆乳ドーナツ(黒糖)」(甲16の15),「黒糖豆乳ドーナツ」(甲16の16・18),「可愛いくろぼう」(甲16の25),「黒糖みつ手づくりスティックド - 33 -ーナツ」(甲16の26)及び「かりんとうドーナツ黒糖味」(甲23の1)などがある。 (イ) 検討上記(ア)の事実関係,とりわけ,反訴原告標章1は遅くとも平成6,7年以降,反訴原告標章2は遅くとも平成9年以降,継続的に使用されており,反訴原告商品は,店舗販売や通信販売によって,日本各地に多くの顧客を獲得し,その結果,多額の売上額が認められること,反訴原告商品は,新聞,雑誌等により幅広く宣伝されていること等に鑑みると,反訴原告標章は,いずれも反訴被告商品が販売された平成21年10月までには,「需要者の間に広く認識されているもの」として,周知性を獲得したもの 聞,雑誌等により幅広く宣伝されていること等に鑑みると,反訴原告標章は,いずれも反訴被告商品が販売された平成21年10月までには,「需要者の間に広く認識されているもの」として,周知性を獲得したものと認められる。 なお,反訴被告は,反訴原告商品の宣伝活動が盛んになった平成17年以降でみても,多数の類似商品が全国で販売されており,反訴原告商品が,日本全国の取引者及び需要者に広く認識されているとは認められないと主張するが,上記(ア)eのとおり,類似商品の標章はいずれも「黒糖ドーナツ棒(コクトウドーナツボウ)」との外観及び称呼を有するものではなく,上記認定の妨げになるものではない。 (2) 争点(2)イ(反訴被告商品の標章が,反訴原告商品のものと類似するか)について上記(1)のとおり,反訴原告商品の商品自体の形態及び小包装の商品形態については,いずれも周知商品等表示と認められないものの,反訴原告標章は,周知商品等表示と認める。 しかしながら,反訴原告標章1が,反訴被告標章1と類似しないことは上記1(1)と同様であって,この点は反訴原告標章1に上記周知性が認められることを踏まえても変わらない。 また,反訴原告標章2は,反訴原告標章1と異なり,菓子の原材料(「蜂蜜」), - 34 -形状(「棒」)及び種類(「ドーナツ」)を想起させる単語のほかに,菓子の大きさを想起させる単語(「ひとくち」)が加わるものであるところ,反訴被告標章2は,反訴原告標章2と比較して,「ドーナツ」,「棒」が外観を構成する要素となっている点で共通するものの,反訴被告標章2の「はちみつ」に対し,反訴原告標章2は「蜂蜜」と漢字で表記されており,また,反訴被告標章2には,反訴原告標章2の「ひとくち」に対応する部分はないこと等からすれば,その外観,称呼,観念が類似してい の「はちみつ」に対し,反訴原告標章2は「蜂蜜」と漢字で表記されており,また,反訴被告標章2には,反訴原告標章2の「ひとくち」に対応する部分はないこと等からすれば,その外観,称呼,観念が類似していないことは,反訴被告標章1と反訴原告標章1を比較した場合よりも一層明らかであり,両者は類似するとは認められない。 (3) 小括以上のとおりであって,反訴原告の不正競争防止法2条1項1号に基づく請求は,その余の点について判断するまでもなく理由がない。 3 争点(3)(一般不法行為の成否)について反訴原告は,反訴被告が,平成21年10月頃から,反訴原告商品の販売地域において,これと商品形態,小包装の商品形態が全く一致し,商品名が極めて類似する商品を販売したことについて,反訴原告が長年にわたって築いてきた信用にフリーライドするものであって,不法行為が成立すると主張する。 確かに,反訴被告は,反訴原告と同様,九州に営業の拠点を置く会社であること,反訴原告商品1は昭和60年頃,反訴原告商品2は平成9年頃にそれぞれ販売開始され,広く広告宣伝されて,売上げも高額であったこと,そして何より反訴原告商品と反訴被告商品は,商品自体の形態,小包装の商品形態において類似し,また商品名も観念において同一といえるものであることからすれば,反訴被告が,反訴被告商品の製造販売を開始するに当たり,反訴原告商品を参考にしたであろうことは優に認められる。 しかしながら,反訴被告の行為が不正競争防止法2条1項1号の不正競争に該当しないことは既に判示したとおりであるから,反訴被告は,取引者,需要 - 35 -者にとって反訴原告商品とは識別し得る反訴被告商品をもって反訴原告と競業しているということができるし,また反訴原告が黒糖を原材料に用いた棒状形のドーナツ ,反訴被告は,取引者,需要 - 35 -者にとって反訴原告商品とは識別し得る反訴被告商品をもって反訴原告と競業しているということができるし,また反訴原告が黒糖を原材料に用いた棒状形のドーナツを新規に開発した者であったとしても,反訴原告に,そのような商品の種類そのものを独占する法的地位ないし利益が当然に与えられるわけではないから,反訴被告が,反訴原告商品を参考にして同種商品を製造販売して競業することが,フリーライドであるなどとして非難されるべき理由はない。 そもそも反訴被告が反訴原告と同種の商品をもって同じ地域の市場に参入することによって反訴原告の売上げが減少する結果が生じていたとしても,それが市場において許された自由競争の結果であるなら,その結果をもって反訴被告の行為を違法ということはできない。 以上のとおり,市場において許される自由競争の枠内においてされた競業行為に及んでいるにすぎない反訴被告の行為をもって不法行為上,違法であるということはできないから,反訴原告の不法行為に基づく請求は,その余の点について判断するまでもなく理由がないというべきである。 4 争点(5)(不正競争防止法2条1項14号の不正競争該当性の有無)について(1) 上記第2,1(6)のとおり,反訴原告は,反訴被告の取引先に対し,反訴被告商品の販売が,本件商標権を侵害し,不正競争防止法2条1項1号及び同項2号に該当する旨記載した警告書を送付しているところ,反訴被告商品の製造販売行為が本件商標権を侵害するものではなく,同項1号にも該当しないことは既に認定判断したとおりであり,また,反訴原告と反訴被告が競争関係にあることからすると,上記警告書の送付行為のうち,本件商標権を侵害し,同号に該当する旨記載した部分に関するものは,同項14号の,「競争関係にある他人 おりであり,また,反訴原告と反訴被告が競争関係にあることからすると,上記警告書の送付行為のうち,本件商標権を侵害し,同号に該当する旨記載した部分に関するものは,同項14号の,「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し,又は流布する行為」に該当する。また,弁論の全趣旨に照らし,反訴原告が,今後上記行為に及ぶおそれが認められる。 (2) 他方,反訴原告は,反訴において,当初,反訴被告による反訴被告商品の - 36 -製造販売行為が本件意匠権を侵害する旨の主張をしていたものの,第8回弁論準備手続期日において当該主張に基づく訴えを取り下げ,反訴被告はこれに同意している。また,そもそも本件意匠権侵害の主張は,反訴被告の取引先に送付した上記警告書には何ら記載されていない。 また,上記警告書には,反訴被告商品の販売が,不正競争防止法2条1項2号に該当する旨の記載もあるが,反訴原告は,反訴において,反訴被告商品の製造販売行為が同号に該当する旨の主張は一切していない。 そうすると,反訴原告が,反訴被告商品の製造販売行為が本件意匠権を侵害し,不正競争防止法2条1項2号に該当する旨の告知又は流布に及ぶおそれが今後もあるとは認められない。 (3) したがって,反訴被告の不正競争防止法3条,2条1項14号に基づく差止請求は,反訴原告に対し,本件商標権を侵害し,不正競争防止法2条1項1号に該当する旨の告知又は流布の差止めを求める部分については理由があるが,その余の部分(本件意匠権を侵害し,不正競争防止法2条1項2号に該当する旨の告知又は流布の差止めを求める部分)については,理由がない。 第4 結論以上によれば,本訴のうち,本件商標権を侵害する旨,又は不正競争防止法2条1項1号に該当する旨の告知又は流布の差止請求については,い 差止めを求める部分)については,理由がない。 第4 結論以上によれば,本訴のうち,本件商標権を侵害する旨,又は不正競争防止法2条1項1号に該当する旨の告知又は流布の差止請求については,いずれも理由があるからこれらを認容し,その余の本訴請求及び反訴請求については,いずれも理由がないからこれらを棄却することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第21民事部 裁判長裁判官森崎英二 - 37 - 裁判官達野ゆき 裁判官網田圭亮
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