- 1 -主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1請求 処分行政庁が原告に対し平成18年7月10日付けでした,別紙物件目録記載1の土地に係る平成14年度の固定資産税賦課処分のうち4万9497円を超える部分及び都市計画税賦課処分のうち1万0607円を超える部分を取り消す。 処分行政庁が原告に対し平成18年7月10日付けでした,別紙物件目録記載2の土地に係る平成14年度の固定資産税賦課処分のうち87万0024円を超える部分及び都市計画税賦課処分のうち18万6434円を超える部分を取り消す。 処分行政庁が原告に対し平成18年7月10日付けでした,別紙物件目録記載3の土地に係る平成14年度の固定資産税賦課処分及び都市計画税賦課処分を取り消す。 処分行政庁が原告に対し平成18年7月10日付けでした,別紙物件目録記載1の土地に係る平成15年度の固定資産税賦課処分のうち4万4751円を超える部分及び都市計画税賦課処分のうち9589円を超える部分を取り消す。 処分行政庁が原告に対し平成18年7月10日付けでした,別紙物件目録記載2の土地に係る平成15年度の固定資産税賦課処分のうち78万2827円を超える部分及び都市計画税賦課処分のうち16万7748円を超える部分を- 2 -取り消す。 処分行政庁が原告に対し平成18年7月10日付けでした,別紙物件目録記載3の土地に係る平成15年度の固定資産税賦課処分及び都市計画税賦課処分を取り消す。 第2事案の概要本件は,別紙物件目録記載1から3までの各土地(以下「本件各土地」という。)の所有者である原告が,本件各土地に係る平成14年度及び平成15年度の各固定資産税賦課処分及び各都市計画税賦課処分(以下,これらを併せて「本件各処分」 ら3までの各土地(以下「本件各土地」という。)の所有者である原告が,本件各土地に係る平成14年度及び平成15年度の各固定資産税賦課処分及び各都市計画税賦課処分(以下,これらを併せて「本件各処分」という。)につき,同目録記載1の土地(以下「本件土地1」という。)及び同目録記載2の土地(以下「本件土地2」という。)の各一部並びに同目録記載3の土地(以下「本件土地3」という。)の全部が地方税法348条2項3号所定の境内地であり非課税とされるべきであるにもかかわらず,固定資産税及び都市計画税が課されたのは違法であるとして,本件各処分のうち当該境内地部分に係る部分の取消しを求める事案である。 前提事実本件の前提となる事実は,次のとおりである。証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることができる事実等は,その旨付記した。その余の事実は,当事者間に争いがない。 ( )原告は,昭和28年3月3日,宗教法人法に基づき宗教法人となったもの である。 ( )原告は,平成14年1月1日及び同15年1月1日当時,本件各土地を所 有していた。 - 3 -( )処分行政庁は,原告に対し,平成18年7月10日付けで,次のとおり, 本件各処分をした。(甲1,2)ア平成14年度(ア)本件土地1a固定資産税60万1697円b都市計画税12万8935円(イ)本件土地2a固定資産税1057万0770円b都市計画税226万5165円(ウ)本件土地3a固定資産税514万6218円b都市計画税110万2761円イ平成15年度(ア)本件土地1a固定資産税60万1697円b都市計画税12万8935円(イ)本件土地2a固定資産税1051万9856円b都市計画税225万4254円(ウ)本件土地3 (ア)本件土地1a固定資産税60万1697円b都市計画税12万8935円(イ)本件土地2a固定資産税1051万9856円b都市計画税225万4254円(ウ)本件土地3a固定資産税514万6218円b都市計画税110万2761円- 4 -( )原告は,東京都知事に対し,平成18年9月6日付けで,本件各処分の一 部の取消しを求める審査請求をしたが,東京都知事は,同19年1月30日付けで,同審査請求を棄却する旨の裁決をし,同裁決は,同年2月7日に原告に送達された。(甲3)( )原告は,平成19年7月19日,本件訴えを提起した。(当裁判所に顕著 な事実) 争点 平成14年度及び平成15年度の賦課期日当時,本件土地1及び本件土地2の各一部並びに本件土地3の全部が境内地であったか。 当事者の主張の要旨(原告の主張)( )ア原告は,本件土地1上に「αビル」という名称の建物(以下「αビル」 という。)を所有して,αビルを第三者に賃貸していたところ,平成13年8月28日までにαビルの賃貸借契約をすべて解消し,それ以降同年11月21日まで,αビルの1階において,永代使用等の墓地の案内をして,自ら使用していた。 したがって,本件土地1は,遅くとも原告がαビルを自己使用することとなった平成13年8月28日には,境内地になったというべきである。 イ原告は,本件土地2を第三者に賃貸し,本件土地2上には別紙図面記載①から④までの建物が存在していたところ,本件土地2は,平成13年6月12日ころまでには,すべて更地に整備され,その後,同年7月21日に行われた行事などにより正面の駐車場が一杯になった場合には,寺院関- 5 -係者の駐車場として使用されていた。また,僧りょ等は,本件土地2が更地になった後 更地に整備され,その後,同年7月21日に行われた行事などにより正面の駐車場が一杯になった場合には,寺院関- 5 -係者の駐車場として使用されていた。また,僧りょ等は,本件土地2が更地になった後,本件土地2を通路として使用していた。 このように,本件土地2は,更地となった後は原告により他の境内地と一体として使用されていた。 したがって,本件土地2は,平成13年6月12日又は遅くとも同年7月21日には,境内地になったというべきである。 ウ原告は,本件土地3を第三者に賃貸し,本件土地3上には別紙図面記載⑤から⑧までの建物が存在していたところ,同図面記載⑤から⑦までの建物は,平成8年4月30日ころまでに解体され,同建物の跡地は,同日ころ以後,墓地移設改修工事のための事務所が設置された同年7月ころまで,他の境内地と一体として人の出入りが自由な状態となっていた。したがって,遅くとも同年4月30日ころには,同建物の跡地は境内地となった。 仮に,上記時点で境内地となっていなかったとしても,平成8年7月ころ,上記事務所が設置されたから,遅くともこの時点で,上記跡地は境内地となった。 また,別紙図面記載⑧の建物は,平成10年6月ころに解体され,その後,同建物の跡地は,他の境内地と一体として人の出入りが自由な状態になっていた。したがって,同月ころには,同建物の跡地は境内地となった。 以上のとおりであるから,本件土地3は,遅くとも平成10年6月ころには,全体が境内地となった。 ( )ア平成14年度及び平成15年度の賦課期日当時,本件土地1及び本件土 地2は,復興計画に基づき宗教施設を建築中の土地であり,本件土地3も,- 6 -同復興計画に基づき受付施設の敷地及び参道として整備中の土地であった。 したがって,本件各土地は,宗教法人である原告が宗教目的のため 計画に基づき宗教施設を建築中の土地であり,本件土地3も,- 6 -同復興計画に基づき受付施設の敷地及び参道として整備中の土地であった。 したがって,本件各土地は,宗教法人である原告が宗教目的のために必要な土地で,かつ,専らその本来の用に供する宗教団体固有の土地に該当することは明らかであって,いずれも地方税法348条2項3号所定の非課税要件を充足するものというべきである。 イ原告が建築した寺院棟及び住宅棟等(以下「寺院棟等」という。)とそれに隣接する事務所棟とは,施主及び建築工事の設計管理が異なっており,構造及び機能も独立しているから,両者の工事は一体の工事ではない。 宗教施設の敷地も宗教施設を建築中の土地も,宗教法人の布教活動の自由,関係する信者の信教の自由の侵害の危険という観点からみれば,課税関係において区別する必要はなく,土地を管理する施設の土地も土地移設改修工事事務所の敷地も同様に課税関係において区別する必要はないから,宗教施設建築中の土地及び墓地移設改修工事事務所の敷地にも,地方税法348条2項3号の適用があるというべきである。 地方税法348条2項3号の趣旨が,宗教法人の布教活動の自由,関係する信者の信教の自由を実質的に保障するという観点から非課税としたものであることを考慮すると,「専ら本来の用に供する」場合とは,将来の布教活動等のために供している場合も含まれるというべきであり,布教活動等が現実に開始されている場合に限定されるものではない。完成した宗教施設のために供されている土地も,建築中の宗教施設のために供されている土地も,宗教法人の布教活動の自由,関係する信者の信教の自由を実質的に保障するという観点から見れば大差はなく,両者は課税関係上同視- 7 -すべきである。原告は,本件各土地を含む土地全体を1個の境内地として 法人の布教活動の自由,関係する信者の信教の自由を実質的に保障するという観点から見れば大差はなく,両者は課税関係上同視- 7 -すべきである。原告は,本件各土地を含む土地全体を1個の境内地として使用する構想を有して宗教施設を建築しているのであり,そうである以上は,本件各土地を含む土地全体について非課税要件を充足するものと判断すべきである。 ( )処分行政庁も,平成16年度以降は,本件土地1及び本件土地2を建物の 課税非課税割合に応じて一部非課税としている。そうであれば,建物を建築中であった平成14年度及び平成15年度においても,平成16年度と同様に一部非課税とするのが妥当である。 ( )よって,本件土地1及び本件土地2については,次のとおりの税額とすべ きであり,本件土地3については,全面的に非課税とすべきである。 ア平成14年度(ア)本件土地1a固定資産税4万9497円b都市計画税1万0607円(イ)本件土地2a固定資産税87万0024円b都市計画税18万6434円(ウ)本件土地3a固定資産税0円b都市計画税0円イ平成15年度(ア)本件土地1- 8 -a固定資産税4万4751円b都市計画税9589円(イ)本件土地2a固定資産税78万2827円b都市計画税16万7748円(ウ)本件土地3a固定資産税0円b都市計画税0円(被告の主張)( )平成14年度及び平成15年度の賦課期日において,本件各土地は,寺院 棟等の建設予定地並びに同時期に工事が行われていた事務所棟の建設予定地と一体となり,建設工事中の土地の一部として使用されていた。 したがって,本件各土地が,宗教法人が専らその本来の用に供するものでなかったことは明らかであるから,地方税 行われていた事務所棟の建設予定地と一体となり,建設工事中の土地の一部として使用されていた。 したがって,本件各土地が,宗教法人が専らその本来の用に供するものでなかったことは明らかであるから,地方税法348条2項3号が適用されることはない。 ( )本件各土地は,従前,第三者に賃貸され,店舗,居宅等の敷地として使用 されていたのであり,建物完成後の実際の使用状況とは全く異なるものであって,建物建設中の期間を含め,全体として宗教法人が専らその本来の用に供していたと評価できるような状況にはなかった。 ( )アαビルが平成9年春から墓地分譲のために自己使用されていたとしても, その使用は7階建てビルのうちの1階部分に限られたものであり,同13年8月28日以降は,1階部分についても原告が墓地の案内のために使用- 9 -していたことを裏付ける証拠はない。また,仮に,そのような使用が事実であったとしても,それは,αビルの解体に着手するまでの3箇月程度にすぎない。そうすると,本件土地1は,平成14年度及び平成15年度の賦課期日当時,建物建築工事のための敷地であったのであり,地方税法348条2項3号所定の「宗教法人が専らその本来の用に供する境内地」には当たらない。 イ仮に,本件土地1が,この期間境内地に該当したとしても,従前課税地であった土地が,賦課期日以前に一時的に境内地として利用された事実が存在していたことによって,非課税となるものではない。 ウそもそも,原告が行っていたとする永代使用料などを得るための墓地の案内は,地方税法348条2項3号所定の「宗教法人の本来の用」に供するものということはできない。 ( )ア本件各土地で行われた建築工事は,平成13年9月13日に開始された のであるから,原告の主張を前提としても,原告が本件土地2を駐 「宗教法人の本来の用」に供するものということはできない。 ( )ア本件各土地で行われた建築工事は,平成13年9月13日に開始された のであるから,原告の主張を前提としても,原告が本件土地2を駐車場として使用した期間は,2,3箇月であり,一時的な使用にすぎない。 イまた,駐車場としての使用も,建築工事までの期間,本件土地2が未利用の状態となったため,一時的に転用されていたにすぎない。 ( )ア本件土地3が他の境内地と出入りが可能となったというだけで,実際に 「その本来の用に供する」ものでなければ,境内地であるということはできない。別紙図面記載⑤から⑦までの建物の跡地は,その解体後間もなく,工事事務所の敷地として使用されており,また,同図面記載⑧の建物の跡地は,工事事務所の敷地の一部として使用されているから,いずれも境内- 10 -地としての使用がなかったことは明らかである。 イ墓地移設改修工事のためとはいえ,工事業者の事務所の敷地としての使用状況にあった本件土地3が,「宗教法人の本来の用に供」されていなかったことは明らかである。 第3当裁判所の判断 認定事実前記前提事実に加え,証拠及び弁論の全趣旨(各事実の後に付記する。)によると,以下の事実を認めることができる。 ( )本件土地1について 原告は,平成2年1月20日ころ,本件土地1上にαビルを建築して所有し,αビルを第三者に賃貸していたところ,同13年8月28日までに,賃借人からαビルの明渡しを受け,同年11月22日ころ,αビルの解体工事を開始し,αビルを解体した。(甲10,乙9の1,弁論の全趣旨)( )本件土地2について 原告は,本件土地2を第三者に賃貸し,平成6年3月31日ころまでには本件土地2上には別紙図面記載①から④までの4棟の建物が存在していたと 0,乙9の1,弁論の全趣旨)( )本件土地2について 原告は,本件土地2を第三者に賃貸し,平成6年3月31日ころまでには本件土地2上には別紙図面記載①から④までの4棟の建物が存在していたところ,その後,賃借人との間の賃貸借契約をすべて解約し,同13年4月10日ころ同図面記載③の建物が,同年5月26日ころ同図面記載①の建物が,同年6月12日ころ同図面記載②及び④の建物が,それぞれ解体された。 (甲11から14まで,弁論の全趣旨)( )本件土地3について ア原告は,本件土地3を第三者に賃貸し,平成6年3月31日ころまでに- 11 -は本件土地3上には別紙図面記載⑤から⑧までの4棟の建物が存在していたところ,その後,賃借人との間の賃貸借契約をすべて解約し,同日ころ同図面記載⑦の建物が,同7年1月13日ころ同図面記載⑤の建物が,同8年4月30日ころ同図面記載⑥の建物が,同10年6月ころ同図面記載⑧の建物が,それぞれ解体された。(甲18,弁論の全趣旨)イ株式会社A(以下「A」という。)は,平成8年7月ころ,原告の墓地移設改修工事等のために,本件土地3上の別紙図面記載⑤から⑦までの建物の跡地に事務所を設置した。(甲15,17の1から17の4まで,乙9の1,弁論の全趣旨)( )建築工事等 ア原告は,本件各土地に近接する土地上(別紙図面記載⑨の部分)に本堂等の建物(以下「旧本堂等」という。)を所有していたところ,旧本堂等が老朽化したことなどから,旧本堂等を解体して,新たな本堂等を建築することとし,平成12年11月24日に宗教法人Bの承認を受け,同13年に旧本堂等を解体した。(甲5,弁論の全趣旨)イ原告は,旧本堂等が在った土地を含む原告所有の約5932.12㎡の土地のうち,約4割の部分に定期借地権を設定して第三者に賃貸し の承認を受け,同13年に旧本堂等を解体した。(甲5,弁論の全趣旨)イ原告は,旧本堂等が在った土地を含む原告所有の約5932.12㎡の土地のうち,約4割の部分に定期借地権を設定して第三者に賃貸し,その余の部分(本件土地2の一部分を含む。)に寺院棟等を建築することとした。そして,上記借地部分上には,株式会社Cを事業者とする事務所棟が建築されることとなったところ,寺院棟等及び事務所棟の建築工事の概要は,次のとおりである。(乙9の3,9の4,11)(ア)事務所棟- 12 -a事業者株式会社Cb設計及び監理株式会社Dc総合元請Ad施工E株式会社e工期平成13年9月から同15年6月まで(イ)寺院棟等a事業者原告b設計及び監理A及び株式会社Fc総合元請Ad施工E株式会社e工期平成13年9月から同15年6月までウ寺院棟等及び事務所棟の建築工事は,平成15年6月,完成した。(乙11,弁論の全趣旨) 争点について( )ア地方税法348条2項3号は,宗教法人が専らその本来の用に供する宗 教法人法3条に規定する境内地に対しては,固定資産税を課することができない旨規定し,また,地方税法702条の2第2項は,市町村は,同法348条2項の規定により固定資産税を課することができない土地に対しては,都市計画税を課することができない旨規定している。そして,宗教法人法3条は,境内地とは,同条2号から同条7号までに掲げるような,宗教の教義を広め,儀式行事を行い,及び信者を教化育成するという宗教法人の目的のために必要な当該宗教法人に固有の土地をいう旨規定し,同- 13 -条2号は,同条1号に掲げる本殿,拝殿,本堂,会堂,僧堂,僧院,信者修行所,社務所,庫裏,教職舎,宗務庁,教務院,教団事 人の目的のために必要な当該宗教法人に固有の土地をいう旨規定し,同- 13 -条2号は,同条1号に掲げる本殿,拝殿,本堂,会堂,僧堂,僧院,信者修行所,社務所,庫裏,教職舎,宗務庁,教務院,教団事務所その他宗教法人の上記目的のために供される建物及び工作物(附属の建物及び工作物を含む。)が存する一画の土地(立木竹その他建物及び工作物以外の定着物を含む。)を,同条3号は,参道として用いられる土地を,同条4号は,宗教上の儀式行事を行うために用いられる土地(神せん田,仏供田,修道耕牧地等を含む。)を,同条5号は,庭園,山林その他尊厳又は風致を保持するために用いられる土地を,同条6号は,歴史,古記等によって密接な縁故がある土地を,同条7号は,前各号に掲げる建物,工作物又は土地の災害を防止するために用いられる土地をそれぞれ掲げている。 上記各規定からすると,地方税法348条2項3号所定の境内地であるといい得るためには,宗教法人が専らその本来の用に供する土地であること,宗教の教義を広め,儀式行事を行い,及び信者を教化育成するという宗教法人の目的のために必要な土地であること,並びに当該宗教法人に固有の土地であることを要することとなる。そして,この「専らその本来の用に供する」とは,宗教法人の目的である宗教の教義を広め,儀式行事を行い,及び信者を教化育成することに専ら使用することをいうものと解するのが相当である。 イところで,地方税法348条2項3号の趣旨が,信教の自由の保障と課税の要請との調和にあると解すべきであることからすると,ある土地が境内地であるか否かは,賦課期日以前の実際の使用状況等を考慮した上で,賦課期日現在における当該土地の実際の使用状況が,社会通念に照らして,- 14 -「専らその本来の用に供」しているといい得るか否か,すなわち,宗 かは,賦課期日以前の実際の使用状況等を考慮した上で,賦課期日現在における当該土地の実際の使用状況が,社会通念に照らして,- 14 -「専らその本来の用に供」しているといい得るか否か,すなわち,宗教の教義を広め,儀式行事を行い,及び信者を教化育成することに専ら使用しているといい得るか否かという観点から判断するのが相当である。 ウ上記観点に基づいて,平成14年度及び平成15年度の賦課期日である平成14年1月1日及び同15年1月1日当時,本件各土地が境内地であったか否かについて検討する。 ( )本件各土地が賦課期日以前に境内地となったといい得るか 前示のとおり,ある土地が境内地であるか否かは,賦課期日以前の実際の使用状況等を考慮した上で,賦課期日現在における当該土地の実際の使用状況が,社会通念に照らして,「専らその本来の用に供」しているといい得るか否かという観点から判断するのが相当であると解されるところ,原告は,平成14年度及び平成15年度の賦課期日以前に本件各土地が境内地となっていた旨主張することから,まず,この点について検討することとする。 ア本件土地1が平成13年8月28日までに境内地となったといい得るか(ア)前記認定事実のとおり,原告は,平成13年8月28日までに,αビルの賃借人からαビルの明渡しを受けたことが認められるところ,原告は,同9年春ころからαビルの1階において墓地の永代使用等の案内をして,自ら使用していたことを理由に,同13年8月28日には本件土地1が境内地になったというべきである旨主張する。 (イ)しかし,前示のとおり,境内地であるといい得るためには,単に宗教法人が自ら使用していただけでは足りず,宗教法人の目的である宗教の教義を広め,儀式行事を行い,及び信者を教化育成することに専ら使- 15 -用してい おり,境内地であるといい得るためには,単に宗教法人が自ら使用していただけでは足りず,宗教法人の目的である宗教の教義を広め,儀式行事を行い,及び信者を教化育成することに専ら使- 15 -用していることを要するのであり,また,宗教法人法3条2号は,境内地として,本殿,拝殿,本堂,会堂,僧堂,僧院,信者修行所,社務所,庫裏,教職舎,宗務庁,教務院,教団事務所その他宗教法人の上記目的のために供される建物及び工作物が存する一画の土地を掲げているのである。 (ウ)これを本件についてみると,前記認定事実及び証拠(甲9,10,19,22)によれば,αビルは,その構造が鉄骨造陸屋根地下1階地上7階建であり,その種類が事務所及び店舗であったこと,原告は,平成2年ころから同13年8月28日ころまで,αビルを第三者に賃貸していたところ,その傍ら,同9年春ころから,原告が管理及び運営する「G」という墓地の販売をするための「インフォメーションギャラリー」をαビルの1階に設け,墓地の販売を複数の石材業者に担当させていたこと,仏教徒であれば,宗旨及び宗派を問わず墓地を販売し,販売に当たり檀家になることを要求しなかったことが認められる。 (エ)これらの事実からすると,原告がαビルの1階を墓地の販売のために使用していたことは,原告の行う公益事業に関係するものであるといえるとしても,そのことから直ちに,αビルが,本殿,拝殿,本堂,会堂,僧堂,僧院,信者修行所,社務所,庫裏,教職舎,宗務庁,教務院,教団事務所その他宗教の教義を広め,儀式行事を行い,及び信者を教化育成するために供されるような建物であったということはできず,ひいては,αビルが存する本件土地1が,宗教の教義を広め,儀式行事を行い,及び信者を教化育成することに専ら使用されていたということもで- 16 - めに供されるような建物であったということはできず,ひいては,αビルが存する本件土地1が,宗教の教義を広め,儀式行事を行い,及び信者を教化育成することに専ら使用されていたということもで- 16 -きないといわざるを得ない。そして,このことは,αビルから他の賃借人が退去したという事実をもって,にわかに変わるものではないというべきである。 (オ)したがって,αビルの賃借人から明渡しを受けた平成13年8月28日をもって,本件土地1が境内地となった旨の原告の前記主張を採用することはできない。 イ本件土地2が遅くとも平成13年7月21日までに境内地となったといい得るか(ア)前記認定事実のとおり,平成13年6月12日ころには本件土地2上に在った4棟の建物が解体されたことが認められるところ,原告は,本件土地2が更地となった同日又は遅くとも本件土地2が駐車場として使用された同年7月21日には,本件土地2が境内地になった旨主張する。 (イ)しかし,前示のとおり,境内地であるといい得るためには,単に宗教法人が自ら使用していただけでは足りず,宗教法人の目的である宗教の教義を広め,儀式行事を行い,及び信者を教化育成することに専ら使用していることを要すると解するのが相当であるところ,これを本件についてみると,原告の主張によっても,本件土地2が更地になった後,僧りょ等が本件土地2を事実上通行していたにすぎず(本件土地2が参道(宗教法人法3条3号参照)として用いられていたことをうかがわせる証拠はない。),また,原告における行事等により混雑した際に,寺院関係者が本件土地2に自動車を駐車していたというにすぎないのであ- 17 -るから,これらの事実をもってしても,本件土地2が宗教の教義を広め,儀式行事を行い,及び信者を教化育成することに専ら使用されてい が本件土地2に自動車を駐車していたというにすぎないのであ- 17 -るから,これらの事実をもってしても,本件土地2が宗教の教義を広め,儀式行事を行い,及び信者を教化育成することに専ら使用されていたということはできない。 (ウ)したがって,遅くとも平成13年7月21日までには本件土地2が境内地となった旨の原告の前記主張を採用することはできない。 ウ本件土地3が平成10年6月ころまでに境内地となったといい得るか(ア)前記認定事実のとおり,平成10年6月ころには本件土地3上に在った4棟の建物が解体され,また,同8年7月ころにはAが本件土地3上に事務所を設置したことが認められるところ,原告は,遅くとも,本件土地3上の建物がすべて解体された同10年6月ころまでには,本件土地3にはAが工事事務所を設置し,また,他の境内地と一体として人の出入りが自由な状態になっていたのであるから,本件土地3が境内地となった旨主張する。 (イ)しかし,前示のとおり,境内地であるといい得るためには,単に宗教法人が自ら使用していただけでは足りず,宗教法人の目的である宗教の教義を広め,儀式行事を行い,及び信者を教化育成することに専ら使用していることを要するところ,原告の主張によっても,本件土地3は,墓地移設改修工事のためとはいえ,Aの工事事務所が設置されていたにすぎず,また,その余の部分も他の境内地との出入りが自由にできるというだけであるから,これらの事実をもってしても,本件土地3が宗教の教義を広め,儀式行事を行い,及び信者を教化育成することに専ら使用されていたということはできない。 - 18 -(ウ)したがって,遅くとも平成10年6月ころまでには本件土地3が境内地となった旨の原告の前記主張を採用することはできない。 ( )本件各土地が賦課期日当時境内地で ことはできない。 - 18 -(ウ)したがって,遅くとも平成10年6月ころまでには本件土地3が境内地となった旨の原告の前記主張を採用することはできない。 ( )本件各土地が賦課期日当時境内地であったといい得るか ア前示のとおり,ある土地が境内地であるか否かは,賦課期日以前の実際の使用状況等を考慮した上で,賦課期日現在における当該土地の実際の使用状況が,社会通念に照らして,「専らその本来の用に供」しているといい得るか否か,すなわち,宗教の教義を広め,儀式行事を行い,及び信者を教化育成することに専ら使用しているといい得るか否かという観点から判断するのが相当である。 そして,前記( )のとおり,本件各土地が平成14年度及び平成15年 度の賦課期日以前に境内地となったということはできないところ,証拠(乙9の2,9の3)によれば,同14年1月3日及び同15年1月4日当時,本件土地1及び本件土地3については,寺院棟等及び事務所棟の建築工事に係る土地と一体となって使用されていることがうかがわれ,本件土地2については,その一部が建築途中の寺院棟等の敷地として使用され,その余の部分は寺院棟等及び事務所棟の建築工事に係る土地と一体となって使用されていることがうかがわれることからすると,本件各土地が,平成14年度及び平成15年度の賦課期日である同14年1月1日及び同15年1月1日当時,社会通念に照らして,宗教の教義を広め,儀式行事を行い,及び信者を教化育成することに専ら使用されていると認めることは困難であるといわざるを得ない。 イこの点につき,原告は,「専ら本来の用に供する」場合とは,将来の布- 19 -教活動等のために供している場合や宗教施設の建築のために供している場合も含まれるというべきであり,布教活動等が現実に開始されている場合に限 ,「専ら本来の用に供する」場合とは,将来の布- 19 -教活動等のために供している場合や宗教施設の建築のために供している場合も含まれるというべきであり,布教活動等が現実に開始されている場合に限定されるものではない旨主張する。 しかし,前示のとおり,ある土地が境内地であるか否かは,賦課期日以前の実際の使用状況等を考慮した上で,賦課期日現在における当該土地の実際の使用状況に基づき社会通念に従って判断されるべきところ,宗教法人が,その所有する従前非境内地であった土地において,賦課期日現在,将来布教活動等を予定しているというにすぎない場合や,宗教施設を建築中であるというにすぎない場合は,社会通念上,賦課期日現在において,いまだ宗教の教義を広め,儀式行事を行い,及び信者を教化育成することに専ら使用しているということはできないから,「専ら本来の用に供」している土地であるということは困難である。 したがって,原告の前記主張を採用することはできず,平成14年度及び平成15年度の賦課期日当時,本件土地が建築途中の寺院棟等の敷地として使用され,あるいは寺院棟等及び事務所棟の建築工事に係る土地と一体となって使用されていたとしても,そのことをもって直ちに本件各土地が境内地であるということはできない。 ( )小括 以上のとおり,平成14年度及び平成15年度の賦課期日当時,本件各土地が境内地であったということはできないから,本件各土地に固定資産税及び都市計画税を課した本件各処分は適法であるというべきである。 第4 結論 - 20 -よって,原告の請求はいずれも理由がないから,これらをいずれも棄却することとし,訴訟費用の負担につき,行政事件訴訟法7条,民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部杉原則彦裁判長裁判官 由がないから,これらをいずれも棄却することとし,訴訟費用の負担につき,行政事件訴訟法7条,民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部杉原則彦裁判長裁判官松下貴彦裁判官島田尚人裁判官
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