○ 主文一第一審被告Aの控訴に基づき、 1 原判決中第一審被告Aに関する部分を次のとおり変更する。 2 第一審被告Aは、和歌山県海草郡<地名略>に対し、三億四三七二万九八二九円及び内金二億九九七五万一九〇八円に対する昭和六一年一〇月八日から支払いずみまで年五分の割合による金員を支払え。 第一審原告らの第一審被告Aに対するその余の請求を棄却する。 二第一審原告らの本件控訴を棄却する。 三訴訟費用は、原審及び当審を通じて、第一審原告らと第一審被告B及び同Cとの間では全部第一審原告らの負担とし、第一審原告らと第一審被告Aとの間ではこれを三分し、その一を第一審被告Aの負担とし、その余を第一審原告らの負担とする。 ○ 事実第一当事者の求めた裁判一平成三年(行コ)第一七号事件について 1 第一審被告A(一) 原判決中第一審被告Aの敗訴部分を取消す。 (二) 第一審原告らの第一審被告Aに対する請求を棄却する。 (三) 訴訟費用は第一、二審とも第一審原告らの負担とする。 2 第一審原告ら(一) 第一審被告Aの本件控訴を棄却する。 (二) 右事件の控訴費用は第一審被告Aの負担とする。 二平成三年(行コ)第二二号事件について 1 第一審原告ら(一) 原判決を次のとおり変更する。 (二) 第一審被告らは、各自、和歌山県海草郡<地名略>に対し、一〇億〇八七二万八〇〇〇円及び内金五億円に対する昭和六〇年三月一四日から、内金五億〇八七二万八〇〇〇円に対する昭和六二年一一月一二日から、それぞれ支払いずみまで年五分の割合による金員を支払え。 (三) 訴訟費用は、第一、二審とも第一審被告らの負担とする。 2 第一審被告ら(一) 第一審原告らの本件控訴を棄却する。 (二) 右事件の控訴費用は第一審原告らの負担とする。 第二当事者の主張当事者双方の事実上及び法律上の 審とも第一審被告らの負担とする。 2 第一審被告ら(一) 第一審原告らの本件控訴を棄却する。 (二) 右事件の控訴費用は第一審原告らの負担とする。 第二当事者の主張当事者双方の事実上及び法律上の主張は、次のとおり訂正、付加するほかは、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。 一原判決六枚目表八行目の「支払調票」を「支出調票」と改める。 二同二〇枚目表二行目の「同4」から同五行目の「はない。」までを次のとおり改める。 「(一)同4の事実は否認する。 (二) 右についての主張は以下のとおりである。 (1) 会計監督に関する慣行について収入役は公金取扱事務報告書による報告は勿論のこと、日計票についてもすべてこれを決裁していた。出張等でその都度は決裁できない時があったにすぎない。預貯金通帳残高について全く確認しなかったわけではない。 指定金融機関からの月例報告は日々の公金取扱事務報告書の一か月の積算にすぎず、この事務報告書自体が納付書等不作成などのDの事前工作によって農協では正確に作成されていなかったのであるから、月例報告があっても結果は同じである。 月例検査、決算監査において、預貯金通帳は監査委員の前に何時でも見られるよう提供されていた。 (2) 議会報告等をしない会計の存在について「機密現金会計」なる名称の会計は存在しない。ただし、補助金の一部をプールして、情を知った第三者(イナバ商店等)に空の領収書を差し入れて貰い、これで町役場の備品を購入し、備品目録に登載していた事実はあるが、納入代金の一部をバックペイさせたことはない。なお、この口座の存在は、第一審被告B、同C、Dのほか、その資金捻出にあたった補助金による対象事業の担当者は当然知っていなければならない上、補助金による事業は町行政全般にわたるので、その担当者は結果として町役場 の存在は、第一審被告B、同C、Dのほか、その資金捻出にあたった補助金による対象事業の担当者は当然知っていなければならない上、補助金による事業は町行政全般にわたるので、その担当者は結果として町役場の吏員のほぼ全員ということになる。また同口座の資金を町長、助役のみが秘密裡に使用していた事実はまったくなく、町行政全般に使用されていたのである。 いわゆる預り金的性格を有する会計は、県民税、住民税の源泉徴収金など法律によって特に定められた預り金に限って、正規の会計と同じ扱いをするのであり、通常の預り金には規制はない。これは下津町に限られたことではなく、国、自治体のいずれにおいても同様である。 いわゆる富士興産関係の預り金は、私企業のため不必要な町費の支出をしないために同社から預ったものであり、またその収支についても帳簿を作成し、明確にされている。 この預り金は富士興産の増設が中止になった時点で全額返却しており、預り金口座も第一審被告CがDに閉鎖するよう指示している。 法定外の各種預り金は、従来、各担当課で担当していたものを、出納室で集中管理したものであり、本来、事故発生のより少ない方法として工夫されたものである。 第一審原告らは、各種預貯金口座の存在を本件事件発生の原因とするが、出納室長の権限で現金の出入金ができる預金口座は必要の都度設定され多数存在している上、もともとこれらの口座がなくてもDはその権限を利用して自由に口座を設定できる地位にあったのである。 (3) 町長及び収入役印の保管について収入役公印の保管は条例、規則によりDの専管に属する。むろん、第一審被告Aが決裁印たる私印をDに預けたことはない。町長公印の保管は条例、規則により総務課長の専管に属する。また、第一審被告B及び同Cが決裁印たる私印をD及び総務課長に預けたことはない。 (4) 一審被告Aが決裁印たる私印をDに預けたことはない。町長公印の保管は条例、規則により総務課長の専管に属する。また、第一審被告B及び同Cが決裁印たる私印をD及び総務課長に預けたことはない。 (4) 第一審被告Aの不適格及び病気休職について第一審被告Aは前職の消防司令、土木課長など、当然予算の立案、執行につき充分に会計に関与する機会があったのであり、会計関係の職務についたことがまったくなかったとは言えない。 第一審被告B及び同Cは収入役の任用につき、いわゆる町三役の一人として下津町内の和、職員の資質を充分に考えて任命したのであり、議会でも何ら異論はなかった。 また、他の市町村でも収入役の資質としてことさらに会計関係の職歴が要求されるものではない。また第一審被告Aの病気休職中の代理者は、当然にDが任命されたはずであり、その結果は同じである。」三第一審原告らの当審での主張は次のとおりである。 1 第一審被告Bの責任について第一審被告Bは、下津町の町長として、収入役であった第一審被告A及びその補助吏員であったDに対する会計上の指揮監督権を有し、この権限から、会計事務に関する報告の聴取、実施検査、書類帳簿の閲覧、監督上必要な命令等をなし得る権限を有していたところ、本件の場合は以下の右権限の発動が必要な会計事情にあったのに、第一審被告Bがこの任務を怠ったため、本件損害を招いたのである。 (一) 非正規会計の存在下津町においては、違法な非正規会計がいくつも存在していた。通常、地方公共団体の会計は、(1)収入役がその運用をなす、(2)会計監査において右運用の監査をなす、(3)議会においてチェックする、(4)長において会計に対する一般的な指揮監督をなす、というシステムで運用されるのが法の予想するところである。すなわち、地方公共団体のすべての会計が(2) 査をなす、(3)議会においてチェックする、(4)長において会計に対する一般的な指揮監督をなす、というシステムで運用されるのが法の予想するところである。すなわち、地方公共団体のすべての会計が(2)、(3)のチェックを受けることを前提にしてこそ、はじめて長による指揮監督が一般的な収入役を通じての事情掌握をもって足りるものとされるのである。しかるに、下津町においては、多数の非正規会計が存在し、これらはいずれも(2)、(3)の監査、監督を受けないのであり、このような異常な会計慣行ないし状態が永年にわたって継続していたのである。かかる場合、この状態を自ら積極的に作り出した当事者といえる第一審被告Bは、右(2)、(2)の監査、監督に代わるものとして、自らが直接の指揮、監督権限を行使して会計を監査、監督する必要性がある状態に至っていたのである。 (二) 収入役の関与しない会計の存在右非正規会計の中に、新しく収入役になった第一審被告Aがまったくその運用を任されない機密現金会計が存在していた。右会計は、町長の第一審被告B、第一審被告C、Dの三名しか知らず、しかもその運用一切はDに一任され、他から何らの監査、監督を受けなかった。 右会計の存在とその運用実態は、まさに町長としての第一審被告Bにおいて直接の指揮監督権限を発動すべき必要性が認められる状態が出現するに至っていたことを示すものである。Dの本件横領行為が右会計の現金よりの横領をもって開始されているので、右会計の存在を許し、これに対する何らの監督権限を行使しなかった第一審被告Bの義務懈怠と本件横領との因果関係は明らかである。 (三) 収入役の第一審被告Aの就任及びその病気休職第一審被告Aは、従前の経歴が会計に全く関係なく初任者であった。前記違法、不正常な会計が永年にわたり継続していたことを充分認識し 係は明らかである。 (三) 収入役の第一審被告Aの就任及びその病気休職第一審被告Aは、従前の経歴が会計に全く関係なく初任者であった。前記違法、不正常な会計が永年にわたり継続していたことを充分認識していた第一審被告Bとしては、未経験の収入役に全てを任すのでなく、少なくとも暫くは会計に関し直接の指揮監督をなす必要性があり、又は会計に関し永年の経験を有する第一審被告Cをして自らに代わって右直接の指揮、監督権限を行使させるべく職務を行う必要があった。 さらに第一審被告Aは、就任よりのわずか六か月余の後の昭和五八年一〇月二二日から同五九年二月二二日まで病気入院をなし、収入役としての職務を果たし得なくなった。 右事態は、地方自治法一七〇条第五項に定める吏員を置くべき事態であり、これを置かなかったこと自体、第一審被告Bの職務怠慢であり、自ら会計を直接に指揮、監督する必要性が生じた事態である。けだし、収入役を通じて会計状態を把握しようとしても、肝心の収入役が病気で入院しているのでは、その不可能なことは明らかであり、その間は、自ら直接の指揮監督権限を行使するか、又は第一審被告Cをして右直接の指揮監督権を行使させるべきであったのである。 2 第一審被告Cの責任について下津町の会計状態は、前記1に記載のとおり、収入役の上位にあってこれを指揮監督する立場にある者において、収入役に対する一般的な指揮、監督権限の発動では足らず、会計に対する直接的指揮監督権の発動が必要な事態に至っていたのである。その上、第一審被告Cは、第一審被告Aの前に長く収入役の地位にあり、かつ非正規会計を作出した張本人とも言える立場にある身で、前記機密現金会計については、新収入役選任後もその運用を自らなしていたのである。そうすると、第一審被告Cは、収入役の第一審被告Aに対し、具体的な指揮監督 会計を作出した張本人とも言える立場にある身で、前記機密現金会計については、新収入役選任後もその運用を自らなしていたのである。そうすると、第一審被告Cは、収入役の第一審被告Aに対し、具体的な指揮監督権の発動が必要とされる会計実態にあることを、第一審被告B以上に知る立場にあったのである。 しかるに、第一審被告Cは右任務を怠り、本件損害の発生を招いたのである。 3 第一審被告Aの責任について(一) 原判決は、第一審原告らの第一審被告Aに対する請求について、民法七〇九条、七一九条による責任を否定し、地方自治法二四三条の二第一項による責任を肯定したものの、その責任の範囲は賠償命令の確定によりそれに定められたとおりとなるものと判示し、賠償命令を超える代位請求部分については第一審原告らの請求を棄却しているが、右の判断は、地方自治法の解釈を明らかに誤っており、その理由は以下に記載のとおりである。 (1) 民法の適用(地方自治法の不適用)本件における第一審被告らの責任について地方自治法二四三条の二第一項が適用されないことは既に述べたとおりである。 第一審被告らは、いずれも町三役として町民の信託に応えて誠実に町政を進めていく高度な責務を負っていたので、その部下職員に対する指揮監督責任については民法七〇九条によってその責任が問われるべきである。 また第一審被告らは、いずれも下津町の三役としてDの職務について指揮監督責任を負うものであるから、客観的な関連共同性を有しており、その共同不法行為(民法七一九条)として連帯して責任を負うべきである。 (2) 住民訴訟と賠償命令の関係右に述べたところからすれば、本件については地方自治法二四三条の二第一項は適用されず、賠償命令制度の適用はない。しかし、原判決は、第一審被告Aについて同法条を適用し、しかも住民訴訟と賠償命令の関 係右に述べたところからすれば、本件については地方自治法二四三条の二第一項は適用されず、賠償命令制度の適用はない。しかし、原判決は、第一審被告Aについて同法条を適用し、しかも住民訴訟と賠償命令の関係について住民訴訟の意義を大幅に減殺してしまいかねない判示をしたが、これは法解釈を誤った不当なものである。 この問題を考察するについては、賠償命令と住民訴訟(ここでは地方自治法二四二条の二第一項四号の請求をいう。)との関係について判示した最高裁昭和六一年二月二七日第一小法廷判決が重要である。右の判決の論理からすれば、本件のように、長の賠償命令を待たずに住民訴訟を提起することができるし、住民訴訟提起後、長による賠償命令があったとしても、賠償命令は、地方公共団体内部における簡便な責任追求の方法を設けることによって損害の補填を容易にしようとした点に特殊性を有するところ、これに対し、住民訴訟は賠償命令による以外の責任追及であって、手続的には全く別個なものであるから、賠償命令は住民訴訟に何の影響も及ぼさず、住民訴訟の審理において職員の損害賠償義務の範囲が賠償命令によって拘束されることはない。 ところが、原判決は、職員の損害賠償義務の実体的範囲は賠償命令の確定によりそれに定められたとおりとなるとし、その理由として賠償命令の性質が行政処分であることを挙げている。 なお、原判決は、第一審被告Aの責任の範囲については、賠償命令のとおりとしながら、その責任(過失)の有無について賠償命令とは別に地方自治法二四三条の二第一項に該当するか否かについて検討した上、第一審被告Aの責任を肯定しているが、賠償命令について公定力が働くのであれば、責任の範囲のみでなく、責任の有無についても賠償命令のとおりとなるから、あらためて第一審被告Aの責任の有無について判断する必要はない。す 任を肯定しているが、賠償命令について公定力が働くのであれば、責任の範囲のみでなく、責任の有無についても賠償命令のとおりとなるから、あらためて第一審被告Aの責任の有無について判断する必要はない。すると、原判決には理由不備又は理由齟齬がある。 ところで、前記最高裁判決の論理によれば、賠償命令は行政処分ではなく、公定力も働かない。地方自治法二四三条の二第一項所定の職員の賠償責任は、同条第一項の要件に該当することにより当然発生し、賠償命令をよって初めて発生するものではないから、賠償命令は職員の賠償義務を具体的に発生させる行政処分ではない。 それに、公定力とは、取消訴訟の出訴期間を過ぎたら違法でも無効でもない限り争えなくなることをいい、処分の相手方が争うとき働くものであるところ、住民訴訟は、第三者である住民が賠償命令の取消を求めることなく提起するものであるから、ここに公定力の働く余地はない。 さらに原判決の前記論理に従えば、次のような数多くの問題点、疑問点が生じる。 すなわち、職員による財務会計上の違法な行為が発覚したにもかかわらず、地方公共団体の長が賠償命令等必要な措置をとらず、放置しているため、住民訴訟が提起された場合、職員が長に賠償命令を発するよう頼み、長がこれに応じると、住民訴訟を無意味にしてしまうことになり、住民の立場から財務会計上の違法行為を是正するという住民訴訟の意義が没却されてしまう。なお、地方自治法二四三条の二第三項によれば、右賠償命令は、監査委員が賠償の有無及び賠償額を決定し、長はその決定に基づき期限を定めて賠償を求めることになり、長自身が決めるのは期限のみとされているが、もともと監査委員は、同法一九六条により長が議会の同意を得て選任するものであり、したがって、監査委員が賠償額を決定する際、選任権者の長の意向に左右されることが充 が決めるのは期限のみとされているが、もともと監査委員は、同法一九六条により長が議会の同意を得て選任するものであり、したがって、監査委員が賠償額を決定する際、選任権者の長の意向に左右されることが充分予想され、過少な賠償額の決定をして、住民の判断と著しい齟齬を生じることはあり得るのである。 住民が原判決の論理による不都合を避けるためには、地方自治法二四二条の二第一項四号の代位請求のほかに賠償命令の取消を求める二号の訴訟を提起するよりほかない。しかし、住民が右取消訴訟を提起しなければならない、実質的理由はまったくない。右取消訴訟を提起しても、同法二四三条の二第二項の規定による職員の責任の範囲も、裁判所自身が判断するので、審理する範囲は右四号請求訴訟と変わらないのである。 また住民監査請求手続とは無関係に、長が同法二四三条の二第三項に基づき監査委員に対し監査を求めて賠償命令を発するときは、監査委員は従前住民から監査請求があったにもかかわらず、放置していたからといってあらためて請求人に対し通知することになっていない(通知をすべき規定はない。)。現に、本件においても、第一審被告Aに対し昭和六一年七月七日賠償命令が発せられ、同六二年一〇月一〇日の経過をもって確定したことなど監査委員から請求人である第一審原告らに対し通知はなかった。そうすると、賠償命令の確定の時期につき、第一審被告Aと同じく考えるとすれば、賠償命令について何らの通知も受けない住民に取消訴訟の機会さえ正当に保障しないこととなり、手続保障もせずに賠償命令に従えというのは極めて不当である。 長が住民監査請求の手続より前に賠償命令を発したが、住民の立場からみて損害額が過少な場合、住民に異議申立や審査請求をする方法はなく、確定を防止できる方法は保障されていない。したがって、住民が自らの手により 民監査請求の手続より前に賠償命令を発したが、住民の立場からみて損害額が過少な場合、住民に異議申立や審査請求をする方法はなく、確定を防止できる方法は保障されていない。したがって、住民が自らの手により違法の防止又は是正を図ることができないことになってしまう。 なお、賠償命令の確定により地方公共団体の当該職員に対する実体法上の請求権の範囲が確定し、住民訴訟において住民がそれを争えないとなれば、長がした賠償命令そのものを違法としてその損害補填のための住民訴訟を提起するほかはないことになるが、それは、当該違法行為をした職員に対する直接の違法是正方法ではなく、間接的なものにすぎず、それについて長の故意、過失を前提としなければならないことになって、住民の違法是正の権能が極めて制約され、住民訴訟制度の存在意義を大きく減殺させる結果となり、不当である。 前記最高裁判決に判示された、「執行機関又は職員の財務会計上の行為又は怠る事実の適否ないしその是正の要否について地方公共団体の判断と住民の判断とが相反し対立する場合に、住民が自らの手により違法の防止又は是正を図ることができる点に制度の本来の意義がある。」という住民訴訟制度の趣旨からすれば、地方公共団体内部の判断にすぎない賠償命令の存在に住民訴訟が影響を受けるはずがなく、地方自治法二四二条の二第一項の法文上も、監査請求を経た住民は四種類の訴訟を選択できるので、二号の取消訴訟の提起を住民に義務付け、四号請求に合わせて二号の取消訴訟をしなければならない場合の存することなど規定していない。したがって、住民は、賠償命令の存否、確定のいかんにかかわらず住民訴訟を提起できるのであり(二号の取消訴訟をすることなく)、その場合、裁判所は賠償命令にかかわらずその立場で職員の賠償責任の有無、範囲を判断できるものである。 以上の諸 、確定のいかんにかかわらず住民訴訟を提起できるのであり(二号の取消訴訟をすることなく)、その場合、裁判所は賠償命令にかかわらずその立場で職員の賠償責任の有無、範囲を判断できるものである。 以上の諸点を考慮すると、住民訴訟と賠償命令との関係は次のとおりとなるものである。 第一に、賠償命令に対する取消訴訟の出訴期間の経過により生じた効力は、職員がもはや原則として争訟手続によって賠償命令を争い得ないという不可争力であり、かかる不可争力は、処分庁における職権による取消、あるいは権限ある監督庁による取消を妨げるものではない。 第二に、住民訴訟は、地方公共団体における違法な財務会計処理の是正を目的とするものであるが、職員の違法行為によって損害が発生し、その損害の賠償額について行政処分により決定が行われているとしても、右決定を違法として、住民訴訟を提起することができることはいうまでもない。この場合、右決定自体を財務会計上の違法な処分として取消請求(二号請求)の対象とすることも勿論可能であるが、むしろ、直接、当該職員を被告として損害賠償請求(四号請求)をすることは妨げられない。むしろ、右損害賠償請求こそが無用の手続の繰り返しを防止する効果的な訴訟手続である。 第三に、この場合、賠償命令にかかる訴訟提起期間の経過により生じた不可争力は、もつぱら当該職員の訴訟提起を制限する意味を持つにすぎず、住民訴訟としてなされた裁判において裁判所、当事者を拘束する効力を有さず、裁判所は、損害賠償責任の存否、賠償額について全面的に審査すべきである。 (二) 第一審被告Aの監督義務公的機関であるか、私的団体であるかを問わず、会計処理の大原則として、会計実務担当者なかんずく現金取扱者の過失による現金等の紛失を防止するとともに、これらの者が現金等を着服することのないように制度と 公的機関であるか、私的団体であるかを問わず、会計処理の大原則として、会計実務担当者なかんずく現金取扱者の過失による現金等の紛失を防止するとともに、これらの者が現金等を着服することのないように制度として防止することが含まれているのが疑いのない事実であるから、会計実務担当者を監督する者の職務としては、過失による紛失の防止とともに横領行為の防止も含まれており、この防止が本来的な職務である。ところで、収入役は、市町村の会計事務の責任者として法律に定められた事務を厳正に実行することによって、会計処理上の故意又は過失による事故を未然に防止することを職務としているから、これを懈怠した場合にはそれ自体で会計処理上の故意又は過失による事故についての責任を問われるのであり、それ以外の要件は必要ない。 第一審被告Aは、(1)Dに対し銀行が本来そのやり方に反し、現金出金、他の口座への振替を許し、農協も本来の口座に入れないことを許したこと、(2)町金庫における入出金は必ず納付書等の調票の作成を要するのに、Dがこれらの作成をしないで入出金していたこと、(3)一時借入金の限度を農協ではチェックしていなかったことをもって、Dの本件不正を可能にした理由であるとして、これらが第一審被告Aの認識対象外である旨主張する。しかし、これらは単なる技術的な理由にすぎなく、仮にこれらの技術的理由がDの横領を可能にした一側面であるとしても、右(1)、(2)については、第一審被告AのDに対する指揮監督義務が適正に尽くされていれば、容易にこれを是正させ得ていたものであり、同被告を免責する理由になり得ない。すなわち、あってはならない現金出金をしていることや入金すべき口座に入金をしていないようなこと及び調票を作成せず入出金するようなことは、これが一度や二度というなら発見されないこともあり得よ り得ない。すなわち、あってはならない現金出金をしていることや入金すべき口座に入金をしていないようなこと及び調票を作成せず入出金するようなことは、これが一度や二度というなら発見されないこともあり得ようが、繰り返し行われていたので、あってはならない会計事務の運用として、当然に収入役がこれに気付き是正させるべきである。このような違反が何年にもわたって許されていたこと自体、第一審被告AがDに対する指揮監督義務をまったく尽くしていない証明である。 さらに、第一審被告Aは、「貯金残高確認による疑義が発見されたとしても、Dはこれを取り繕う方途を有する知識を持っていたから、預貯金残高の照合をしなかったことに第一審被告Aの義務違反はない旨主張する。右論法は、「事務精通者であるDに対しては、誰が何をしても駄目だった。」というものである。しかし、仮にDが預貯金の不合致につき巧みな弁明、言い逃れをなし得たとしても、そのような弁明、言い逃れは、一度や二度は成功するとしても、これが何回も重なれば、必ずDに対する不信となって現れ、ついには弁明、言い逃れそのものを許さないものに転じ、早期にDの不正をチェックすることに繋がっていた筈である。したがって、第一審被告Aの右論法は、制度としてのチェック機能、監督制度そのものを否定するものであり、不当である。 なお、原判決は、第一審被告Aの責任に関し、検査等は監査委員の職務であり、非正規の会計はDの横領と因果関係がないなど、個別的限定的に捉えて、第一審被告Aの責任を免責している。しかし、第一審原告らは、監督等が適正に行われるような資料の提出をなすよう、Dに対し収入役として監督義務を尽くすべきであるのにこれを尽くさなかったことを問題としているのであって、監査は監査委員の責任であるとの論法は問題のすりかえである。 また、右監督義務 の提出をなすよう、Dに対し収入役として監督義務を尽くすべきであるのにこれを尽くさなかったことを問題としているのであって、監査は監査委員の責任であるとの論法は問題のすりかえである。 また、右監督義務等の懈怠や違法会計の存在を許していた下津町会計のゆるみ等の総合的な背景こそがDの横領を許した原因であったこと、及び右のような背景に原因を与えたのは第一審被告Aの収入役としての基本的職務全般の懈怠にあって、同被告の責任はそこにこそ認められるべきである。預貯金通帳の照合をまったくしなかったことは、右被告の責任の重要原因事実ではあるが、その責任原因はここにだけに止まるものではない。 (三) 以上の次第で、第一審被告Aの責任は肯定されるべきであり、その責任額は一〇億〇八七二万八〇〇〇円になるものである。 4 第一審被告らの権利濫用の主張について右主張は争う。 四第一審被告らの当審での主張は次のとおりである。 1 第一審原告らの前記三1ないし3の各主張はいずれも争う。 2 第一審被告Aの責任について(一) 第一審被告Aの責任は、具体的な会計事務の執行そのものについてでなく、出納員たるD及びその他の会計職員に対する指揮監督上の責任が問題とされるべきであるところ、その責任の内容は、部下職員の違法な行為を阻止すべき義務があるのにこれを阻止しなかった義務違反が問われるべきものである。そこで、右の前提の下に、下津町における歳計、歳計外現金、各基金及び預り金などの収入、支出の具体的手順の中で、右義務違反の点があるかについて以下検討する。 (1) 収入、支出の具体的手順農協作成の公金取扱事務報告書及び出納室作成の日計票には、下津町の毎日の収支すべてが集計されていること、右報告書及び日計票は個々の収支の裏付けとなる調票が添付されていること、右収支はすべて町指定代行勘定 成の公金取扱事務報告書及び出納室作成の日計票には、下津町の毎日の収支すべてが集計されていること、右報告書及び日計票は個々の収支の裏付けとなる調票が添付されていること、右収支はすべて町指定代行勘定を通じて行われていること、右報告書及び日計票の作成のための集計、浄書は農協職員、出納室員多数が担当しており、Dだけで作成することはできないこと、の各事実があり、これらの事実によれば、収入役としては、右報告書、日計票を査閲することにより町の収支を把握することが可能であった。調票の作成、集計、証拠書類の作成を多数の人数で担当しているので、いくらDが上司としてこれらを指揮する立場にあったとしても同人一人の工作で本件のように長期間に多額の不正をすることは通常不可能もしくは著しく困難である。これらの作業のベテランである出納室、農協の関与者らの刑事事件の供述でも、同人らはDが不正行為をしていたことをまったく気付いていないのであって、収入役である第一審被告Aにおいてこれら不正を認識し、且つこれを阻止することは不可能もしくは著しく困難であった(2) 現実に不正が行われた事情等紀陽銀行における町口座と農協口座間の資金の移動は本来現金出金によらず一日のうちに全額振替手続により清算されるべきであるのに、右銀行は現金出金及び他の口座への振替をDに許し、農協も本来の口座へ入れないことを承諾したこと、町金庫における入出金については必ず納付書等一連の調査票の作成を要するのに、Dがこれらを作成しないで入出金したことにより、町指定代行勘定に表現されなかったこと、当座貯金である右代行勘定の過不足は、普通貯金や、定期貯金からの払戻、取崩、小切手の振出により機械的に調整し、すべての貯金残高は、日計票欄外の数字を調整することによって収入役及び出納室では認識可能であったが、前提とな 行勘定の過不足は、普通貯金や、定期貯金からの払戻、取崩、小切手の振出により機械的に調整し、すべての貯金残高は、日計票欄外の数字を調整することによって収入役及び出納室では認識可能であったが、前提となる調票をDがあえて作成しなかったために、実態とずれてしまったことに誰も気付かなかったこと、横領金の原資の多くは不正の一時借入金によったが、契約書、調票等関係書類一切をDが作成したために下津町では誰も不正借入をまったく知らなかったこと、一時借入限度額は、紀陽銀行などでは公務部の事務として貸付の当然の前提であり、チェックしていたが、農協ではこれを怠っていたこと、また金融機関の間での連絡が本来なされないものであるので限度超過が判明しなかったこと、などであり、いずれも収入役である第一審被告Aの認識対象外のことであって、このことについて同被告に、認識し、阻止すべき義務を認めることはできない。 (3) 預貯金残高確認については、第一審被告Aはまったくこれを行わなかったのではなく、請求原因4についての認否において主張したとおり、通帳残高を確認したこともある。初めからまったく確認しないことと、時として見ることがあることとは監督の効果がまったく異なり、常にチェックしなかった義務違反があるという認定は誤りである。 (4) Dは、不正行為中にも、月例監査、決算監査においても預貯金通帳を開示すべくあえて用意していたが、これは、同人が、関係者が残高を確認しないと予想していたか、仮に確認したとしても不正の発見ができないと確信していたからである。すなわち、残高に関する疑義については、繰越し、繰戻しなどの会計上の理由、入出金についての金融機関の時間的制限、銀行と農協との振替手続きの差異、繁忙などの技術的理由など、記帳未了であることとする弁明、要求された通帳は書換えのため金 は、繰越し、繰戻しなどの会計上の理由、入出金についての金融機関の時間的制限、銀行と農協との振替手続きの差異、繁忙などの技術的理由など、記帳未了であることとする弁明、要求された通帳は書換えのため金融機関に預けていることなどと弁明して都合の悪い通帳は開示しない、などをしてその場を凌ぎ、直後に預貯金間の移動、不正一時借入による穴埋めによって疑義のある通帳残高の補正が可能であると自信を持っていたためにほかならない。 出納室長の金銭取扱に関する町条例、規則による権限を最大限に生かし、町長公印取扱についての総務課のわずかな隙間を狙い、公会計に関する町役場での最高の知識を悪用し、金融機関の公務員に関する信頼と日頃の仕事上の付き合いを利用して規則に反する取扱をあえて金融機関に行わせ、出納を毎日の業務とする出納室吏員にすら誰一人、何の疑惑も抱かせず長期間行われたDの不正行為につき、収入役である第一審被告Aにおいて右不正行為を認識すべきであったのに、あえてこれを放置し、積極的に阻止しなかった責任があると認定するのは、不当である。 (二) 住民訴訟と賠償命令の関係について(1) 地方自治法二四二条の二と同二四三条の二の関係について同法二四二条の二(住民訴訟)は、いわゆる納税者訴訟を我国において実定法化したものであり、住民が選挙以外の方法で、自ら地方自治体の政治、行政に直接介入する途を開いたものであるのに対し、同法二四三条の二第三項の賠償命令は、国の会計職員等の責任に関する会計法との従来の齟齬を是正し、併せてその自己完結的手続の整備を図ったものである。また右賠償命令の制度は、住民訴訟の制度に後発して制定されたものであるが、その制度の目的を異にし、両制度間の関係について特段の調整がされた形跡がない。 (2) 第一審被告らに対する請求の競合第一審被告らに対し右 の制度は、住民訴訟の制度に後発して制定されたものであるが、その制度の目的を異にし、両制度間の関係について特段の調整がされた形跡がない。 (2) 第一審被告らに対する請求の競合第一審被告らに対し右両制度による請求がそれぞれなされ、本訴における住民訴訟と下津町長による賠償命令及びこれに基づく下津町による賠償命令金請求事件(和歌山地方裁判所平成二年(ワ)第一六一号)による民事訴訟事件とが併存しているが、これらは、いずれも第一審被告らに対し、その部下職員Dの横領による損害について監督責任を問うという、請求の基礎を同一にするものであり、その併存を認めることは二重の起訴の疑いが生じるものである。 (3) 住民訴訟の法的性質住民訴訟は、住民が地方公共団体の本来有すべき請求権をこれに代位して請求する基本的性格を有するものであるところ、これによれば、地方公共団体が有する請求権の限度において住民がこれを行使しうるという意味での付従性を有することはもとより、未だ地方公共団体がその請求権を行使していないという意味での補充性を有すると考えるべきである。 第一審被告らの、本件が憲法一四条に違反した権利の濫用であるとの後記主張は、右付従性に基づく制約を主張したものであり、また下津町が賠償命令をしたことは、右の補充性により、第一審原告らの請求がもはや許されないことになるのである。 第一審原告らは、地方公共団体とその職員が共謀して後発的に賠償命令をなすことにより住民訴訟を無力とすることができ、また監査委員は地方公共団体の長の任命するものであるから信を措くことができない旨主張するが、これは単なる憶測、感想に止まるものであり、賠償命令の制度並びに監査委員の制度自体を違法、無効なものとして否定するとの立証を尽くしたものならばともかく、この制度の存在の適法、有効性を前提に論 るが、これは単なる憶測、感想に止まるものであり、賠償命令の制度並びに監査委員の制度自体を違法、無効なものとして否定するとの立証を尽くしたものならばともかく、この制度の存在の適法、有効性を前提に論議する以上、妥当な主張とは言えない。 旧町三役である第一審被告らは、従前の町長選挙の対立候補者であった現町長から訴求されているのであり、また監査委員はすべて第一審被告らが任命したものでもないので、第一審原告らの主張はその前提事実すら机上の理論であるというべきである。 (4) 損害賠償責任の主観的要件民法においては故意、過失を要件とするが、監督責任についての賠償命令は、故意、重大過失を要件とするものである。第一審被告らは、第一審原告ら主張の昭和六一年二月二七日最高裁判決が判示する併存説に組するものではないが、仮に併存説が正しいとしても、右判示のうちの民法上の損害賠償の実体的要件は、賠償命令においては地方自治法が優先適用されるとの判断は妥当であり、本件においても適用されるべきである。第一審被告らは、本件においては既に主張のとおり過失そのものを争うものであり、また仮に過失があったとしても重過失はないと主張するものであるが、これは、右判断を根拠とするものである。 (5) 訴訟法の検討第一審原告らは、第一審被告らの責任を賠償命令に限定すると、下津町長の後発的賠償命令によって住民訴訟が封じられる旨主張するが、第一審原告らが賠償命令の当否を問題とするならば、下津町ないし下津町長に訴訟告知して本件訴訟に参加させて賠償命令を攻撃すればよいことであり、住民らの権利はわずかの訴訟上の手続を履践するだけで封殺されないのである。 (6) 訴訟遂行における実際的検討第一審被告らは、一方では住民訴訟、他方では下津町からの賠償命令を受けて狭撃され、どちらにも対応せざるを得な の訴訟上の手続を履践するだけで封殺されないのである。 (6) 訴訟遂行における実際的検討第一審被告らは、一方では住民訴訟、他方では下津町からの賠償命令を受けて狭撃され、どちらにも対応せざるを得ない立場にあり、請求の基礎が同一であるのに何故に双方に対応させられねばならないのか、極めて不当な不利益を強いられている。住民訴訟提起後、請求権行使の主体である下津町長が判断した以上、同一の地方自治法上の制度であるからにはこの賠償命令を何ら意味のないものとしてとらえるのでなく、これに積極的意味を与えて生かすべきである。 第一審被告Aに対する賠償命令は出訴期間経過で確定しているが、失職した第一審被告A個人の立場では数億円ないし一〇数億円余を訴額とする特殊な行政訴訟の訴訟費用及び弁護士費用等を自己資金で捻出できる筈がない。したがって、第一審被告Aは、唯々諾々として出訴期間を経過させたわけではなく資金的にやむをえず断念したのである。 (7) 以上の次第で、本訴は、本来の権利者である下津町ないし下津町長が権利を行使した以上、行使された賠償命令額が住民訴訟の訴求額を下回るか否かの如何にかかわらず、その存立の基礎を欠くに至った訴訟であり、下津町の権利行使が過少であって違法、不当とするならば、本訴に参加させて攻撃すべきであり、これをしない第一審原告らの請求方式をそのまま認めることは、判断の不一致、紛争解決の重複を招き、徒に訴訟経済及び第一審被告らの利益を害するものである。 4 権利の濫用について仮に、第一審被告らが、下津町に対し、第一審原告ら主張の損害賠償債務を負担していることが認められるとしても、以上記載したところによれば、第一審原告らは、下津町が本来行使すべき請求権を行使しないために、これに代えて本件請求をしているものであるから、下津町が本来有すべき権利の いることが認められるとしても、以上記載したところによれば、第一審原告らは、下津町が本来行使すべき請求権を行使しないために、これに代えて本件請求をしているものであるから、下津町が本来有すべき権利の範囲内でのみ本件請求をなすことができるところ、第一審被告らは下津町に対し次の抗弁を有するので、第一審原告らの本件請求は理由がない。 (一) 政府は、国家公務員の弁償責任について、公務員等の懲戒免除等に関する法律第二条(昭和二七年法律一一七号)に基づき平成元年二月一三日、昭和天皇崩御に伴う予算執行職員等の弁償責任に基づく債務の免除に関する政令(平成元年政令三〇号、同年二月二四日施行)をもって、昭和六四年一月七日以前に発生した弁償責任に基づく債務を将来に向かって免除した。同法三条は、地方公務員についても地方公共団体は同様の免除をすることができるとし、自治省はこの旨念のため各地方公共団体に対し平成元年二月一四日付自治公一第九号事務次官通知をもって通達した。 (二) 第一被告らは右法三条にまさに該当するのであるから、下津町において所要の条例を制足すべきであったにもかかわらず、下津町は今日に至るまで右条例制定について何らの手続をとっていない。 (三) 同じ公務員でありながら、たまたま下津町の地方公務員であるために、国家公務員及び他の地方公共団体の公務員が等しく享受している利益を第一審被告らから奪っている下津町の措置は、憲法一四条に違反するものであって許されない。 (四) 条例は、もとより地方自治の本旨に基づき各地方公共団体が自主的に制定するものであって、地方公務員の権利、義務、地位はこの条例によって初めて具体化するが、公務員等の懲戒免除等に関する法律は純粋に法技術的なものであって、地方自治の本旨を否定するものでなく、各地方公共団体はこの法律に覇束されるもの 権利、義務、地位はこの条例によって初めて具体化するが、公務員等の懲戒免除等に関する法律は純粋に法技術的なものであって、地方自治の本旨を否定するものでなく、各地方公共団体はこの法律に覇束されるものであり、条例不制定の不作為は憲法上許されない。 (五) 仮に右条例の不制定が憲法に違反するといえないとしても、下津町は自らなすべき義務を尽くしていないので、第一審被告らに対し本件請求権を行使することは権利の濫用である。 第三証拠関係(省略)○ 理由一当裁判所は、第一審原告らの第一審被告B及び同Cに対する各請求はいずれも理由がなく棄却すべきであり、第一審原告らの第一審被告Aに対する請求は、本判決主文一項の2記載の限度で認容し、その余は理由がないので棄却すべきであると判断するものであり、その理由は、次のとおり訂正、付加、削除するほかは、原判決理由記載(原判決二五枚目裏五行目の冒頭から同四四枚目表八行目の終わりまで)のとおりであるから、これを引用する。 1 原判決二六枚目表四行目の「地方自治体」から同裏七行目の終わりまでを「地方自治法二四三条の二第一項所定の地方公共団体の職員が同法条に基づき損害賠償責任を負う場合においては、その責任の有無及び範囲については民法の規定の適用が排除されるが(同法条第九項)、同法条は、同法条第一項所定の職員の行為について同法条第三項に規定する賠償命令以外にその責任を追及されることがないことまでをも保障した趣旨のものであると解することはできず、また普通地方公共団体の長の行為による賠償責任については同法条は適用されないと解するのが相当である(最高裁判所昭和六一年二月二七日第一小法廷判決、民集四〇巻一号八八頁参照)から、右地方公共団体の右の者らに対する右損害賠償責任については、民事訴訟法に基づく訴え(地方自治法二四二条の二 相当である(最高裁判所昭和六一年二月二七日第一小法廷判決、民集四〇巻一号八八頁参照)から、右地方公共団体の右の者らに対する右損害賠償責任については、民事訴訟法に基づく訴え(地方自治法二四二条の二に基づく住民訴訟等)によって解決することも許されるといわねばならない。なお、右賠償命令は執行力を有しないので、仮に右賠償命令が発せられ、これが確定したとしても、右賠償命令に執行力を付するためには民事訴訟法に基づく訴えによってその実現を図るよりほかないものであるから、この場合でもなお右訴えが許されるべきである。すると、右と見解を異にする第一審被告らの前記主張は採用できない。」と改める。 2 同二七枚目表九行目の「乙一」を「成立に争いがない乙一」と、同末行の「賠償命令」から同裏三行目の「明らかであり、」までを「後記判示のとおり、右賠償命令の確定によって、第一審被告Aの下津町に対する損害賠償責任の有無及び範囲が実体的に確定されるが、この場合でもなお民事訴訟法に基づく訴えを必要とする理由があることは前記1において説示のとおりであるから、」と、それぞれ改める。 3 同裏八行目の「甲七」を「成立に争いがない甲七」と改め、同行の「乙」の次に「一、」を付加する 4 同二九枚目表六行目の「D」から同七行目の「必要を認めていたことによる。」までを「前記特別会計下津町収入役等の口座に振り替えた上で払い戻すことにしたのは、DにおいてEに渡す不正払い戻し金を他から便宜上区別しようと考えたことにもよるものである。」と改める。 5 同三〇枚目裏一行目の「よれば、」の次に「前記賠償命令が発せられるについて、下津町の監査委員が同町の預金通帳等を精査(入金額は差引等)して推認した損害額もほぼ右金額に近いものであり、また」を付加し、同三行目から四行目にかけての「ことが認められる。」 が発せられるについて、下津町の監査委員が同町の預金通帳等を精査(入金額は差引等)して推認した損害額もほぼ右金額に近いものであり、また」を付加し、同三行目から四行目にかけての「ことが認められる。」までを「ことが認められ、これらの点を考え併すと、仮に第一審被告らの右主張を考慮に入れたとしても、Dの前記横領行為により下津町になお右損害額が生じていることが推認できるものである。」と改める。 6 同五行目の「町」から同七行目の「足りる証拠がない」までを「右借入れは無効であって、下津町において右借入れ金相当額を貸付け金融機関に返還すべき債務を負担していると認定できる余地があり、したがって、右借入金による填補によって確定的に損害の填補がなされたと認めることは困難である」と改める。 7 同九行目の「できない。」の次に行を改めて「 そうすると、Dの前記横領行為により、下津町に前記認定の損害金額が生じているといわねばならない。」を付加する。 8 同末行の「請求原因」から同三一枚目表一行目の「自白したものとみなす。」までを「前掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、請求原因4の(一)、(二)(1)、(3)、(4)、(三)記載の各事実があること、請求原因4(二)(1)記載の機密現金会計は、同(2)記載の財源によりプールされたものであるが、右会計の存在は、町三役(第一審被告ら)、D及び下津町の出納室の職員も知っており、第一審被告Cが主としてDに指示して、交際費等に使用させていたこと、第一審被告Aは、収入役に就任するまでは会計関係の職務についたことはなく、右就任後の昭和五八年一〇月二二日から同五九年二月二二日までの間病気(胃潰瘍等)で海南市内の病院に入院したが、その間、下津町において地方自治法一七〇条第五項に定める代理者の選任はされなかったことが認められる。」と改める。 〇月二二日から同五九年二月二二日までの間病気(胃潰瘍等)で海南市内の病院に入院したが、その間、下津町において地方自治法一七〇条第五項に定める代理者の選任はされなかったことが認められる。」と改める。 9 同三二枚目表一行目の「いうべきである。」の次に「そうすると、右亡失が第一審被告Aの責めに帰すべき事由(故意又は過失)によって生じたと認められる場合は、同被告は下津町に対しその損害を賠償すべき義務を負うものであるから、以下右責めに帰すべき事由があるかについて検討を加える。」を付加する。 10 同六行目の「右の権限行使自体」から同裏一行目の「いうべきである。」までを「第一審被告Aの右権限行使についてはDが右被告から指揮監督を受けてその実務を担当し遂行していたのであるから、Dの前記横領行為について第一審被告Aが責任を負うためには、同被告が収入役の前記職務ないしDに対する指揮監督を怠っていたこと及びそれが右横領行為の原因となったことを要するものであるといわねばならない。」と改める。 11 同三三枚目表二行目の「とおりであるが、」から同四行目の「ない。」までを「とおりであり、収入役の第一審被告Aとしては自ら又は部下をして農協に右送付がなされるよう勧告すべきであったが、右勧告を怠っていたことと、Dの前記横領行為ないしこれによる下津町の前記損害との間に相当因果関係があることを認めることは困難である。」と改める。 12 同一〇行目の「甲五三」を「前示甲五三」と改める。 13 同裏四行目の「しかしながら、」の次に、「前掲証拠によれば、Dは、几帳面かつ生真面目な人物で、これまで何らの非行もなく長年右預金等の管理運営に努め、出納室を円滑に取り仕切ってきていたものであり、前記横領行為がなされた期間中も別段従前と異なった勤務態度をしていたものでもないことが認められるか これまで何らの非行もなく長年右預金等の管理運営に努め、出納室を円滑に取り仕切ってきていたものであり、前記横領行為がなされた期間中も別段従前と異なった勤務態度をしていたものでもないことが認められるから、上司の第一審被告AにおいてDが右預金等を横領することを予見できたと認めることはできず、また」を付加し、同八行目の「関係はないものというべきである。」を「関係があると認めることは困難である。」と改め、同末行の「としても、」の次に「前掲証拠によれば、Dが右違法な会計に正規の会計の金を移し替えたのは、農協又は取引金融機関がDから懇請されて、下津町において定めた正規の手続きを取らずに便宜を与えたためであって、第一審被告Aにおいてこれはまったく予見できなかった事態であったことが認められ、また一般に」を付加し、同三四枚目表二行目から同三行目にかけての「そのことによる損害」を「そのこととDの前記横領ないし損害」と改める。 14 同三四枚目表六行目の「(一)」の次に「成立に争いがない乙二一及び弁論の全趣旨によれば、」を付加し、同八行目の「のであるから、」を「ことが認められるから、」と改め、同末行の「盗捺を」の次に「完全に」を、同裏二行目の「た、」の次に「前記認定のDの人柄や勤務状況等からすると、」を、それぞれ付加する。 15 同三五枚目表一行目の「甲七」を「前示甲七」と、同末行の「甲五一」を「前示甲五一」と、同裏一行目の「甲七」を「前示甲七」と、それぞれ改める。 16 同三六枚目裏六行目の「被告Aの」の次に「前記5(二)において認定の職務懈怠の」を付加する。 17 同三七枚目表五行目の「二九円としている。」を「二九円(その内訳は、損害額二億九九七五万一九〇八円、利息〔その実質は遅延損害金〕四三九七万七九二一円で、納入期限は昭和六一年一〇月七日、なお、右金額 同三七枚目表五行目の「二九円としている。」を「二九円(その内訳は、損害額二億九九七五万一九〇八円、利息〔その実質は遅延損害金〕四三九七万七九二一円で、納入期限は昭和六一年一〇月七日、なお、右金額は、下津町で認定した全損害額の三割相当額)としていることが認められる。」と改める。 18 同六行目の初めから同裏六行目の終わりまでを次のとおり改める。 「ところで、地方自治法二四三条の二第三項によれば、普通地方公共団体の長は、同法条第一項所定の職員が同項に定める行為をなして右公共団体に対し損害を与えた場合は、一定の手続を経て右職員に対し賠償命令を発することができる旨規定されているところ、右命令は、右地方公共団体内部における簡便な責任追及の方法を設けたものではあるが、その趣旨やこれに対する不服申立手続等を考慮すると、行政庁が優越的な意思の主体として命令する行政処分であると解するのが相当であり、したがって、その確定により、右職員の賠償責任の有無及び範囲が実体的に確定するものといわねばならない。そして、同法二四二条の二に基づく住民訴訟は、その実質は結局地方公共団体に代わって右職員等に対して右賠償義務等の責任を追及するものにほかならないから、右賠償命令の確定により地方公共団体と右職員との間の賠償義務の有無及び範囲が実体的に確定した限り、これに拘束されることになるものといわねばならない。第一審原告らは、右住民訴訟が提起されると、右地方公共団体はこれを妨げる行為をしてはならず、したがって右賠償命令を発することはできない旨主張する。しかし、地方自治法二四三条の二第二項によれば、同法条第一項の責任を負う職員が二人以上ある場合は、その職分及び損害発生の原因の程度に応じて損害賠償の責めに任じる(したがって、この場合右職員は必ずしも損害額の全額の賠償責任を負うもので によれば、同法条第一項の責任を負う職員が二人以上ある場合は、その職分及び損害発生の原因の程度に応じて損害賠償の責めに任じる(したがって、この場合右職員は必ずしも損害額の全額の賠償責任を負うものではない。)ものであるところ、簡便な賠償命令により早期に右応分の賠償責任を決定し確定させることは前記住民訴訟遂行の妨げになるものとも言い難い(なお、前記認定の第一審被告Aの職分及びその本件横領行為による損害発生の原因の程度等を考慮すると、前記賠償命令において命じられた右被告に対する賠償金額は、その損害額の認定及び賠償責任の程度が適正、相当なものであることが認められる。)こと、そして、そもそも、前記認定の賠償命令の制度の目的及び趣旨、また賠償命令の発布には期間の制限があることなどを考慮すると、右住民訴訟の提起されたことにより、右地方公共団体の賠償命令の発布が制限される事態に至ることは妥当でないこと(住民全体の意向等を斟酌して所定の厳格な内部的手続を経て、その長が賠償命令を発し、早期に損害賠償の確定及び実現を図ることは地方自治の本旨にも合致し望ましいところである。なお、第一審原告らは、監査委員の選任はその長によるものであるから、監査の内容が長の意向に沿うことになり、結局賠償命令は不当なものになりかねない旨主張するが、監査委員は長の指揮監督を受けず、これと独立して職務を遂行するものであるから、制度上第一審原告ら主張の右事態が生じる懸念はない。)などを考え併すと、第一審原告らの前記主張には左袒できない。もっとも、右賠償命令が違法な場合に、住民が直接これを争う行政訴訟を提起できるかについては断定し難いところであるが、この場合でも、右賠償命令を発した長やその前提の監査をなした監査委員の違法行為を追及する住民訴訟を提起する余地が残されているものであり、右住民 政訴訟を提起できるかについては断定し難いところであるが、この場合でも、右賠償命令を発した長やその前提の監査をなした監査委員の違法行為を追及する住民訴訟を提起する余地が残されているものであり、右住民訴訟の目的ないし趣旨等を考慮すると、この程度の追及手段で賠償命令の違法の是正を図るのも止むを得ないところである。 以上の次第で、第一審被告Aは、地方自治法二四三条の二第一項に基づき、Dとともに下津町に対し前記横領行為による損害を賠償すべき義務を負担しており、その範囲は同法条第二項に基づく責任限度であるところ、これについては前記賠償命令が発せられて確定し、これにより賠償義務の有無及び範囲が確定しているものであるから、結局、右賠償命令の範囲で下津町に対し損害賠償義務を負担しているものといわねばならない。 第一審被告Aは、下津町の右賠償金の支払い請求は権利の濫用である旨主張する。 成立に争いがない乙三〇、三一及び弁論の全趣旨によれば、右被告主張のとおり、弁償責任等の免除を定めた法津が公布され、国から自治省を通じて各地方公共団体に対し同様の条例を制定するよう示唆があったが、下津町において未だ右条例を制定していないことが認められる。しかし、下津町以外の地方公共団体において右条例を制定している実情を明らかにした証拠はなく(したがって、他の地方公共団体で右条例を制定しているか不明である。)、前記認定の事実によれば、本件横領行為は下津町にとっては近年未曾有の不詳事であって、これにより町財政に莫大な損害が生じ、未だ充分な回復を見ていない実情であることが推認できるので、これに係わった職員の責任をたやすく免除することは、町民感情が許せなく、非難の声が高く上がることが予想でき、したがって、下津町において右条例を制定しなかったのには合理的な事由があることが窺われ、これら に係わった職員の責任をたやすく免除することは、町民感情が許せなく、非難の声が高く上がることが予想でき、したがって、下津町において右条例を制定しなかったのには合理的な事由があることが窺われ、これらの点を斟酌すると、下津町の右措置をもって憲法一四条に違反し、ひいては本件損害金の支払い請求が権利の濫用にあたると認めることはできない。そうすると、第一審被告Aの前記主張は採用できない。 してみれば、第一審被告Aは、下津町に対し、前記賠償命令で示された損害金及び遅延損害金の合計三億四三七二万九八二九円並びに内損害金二億九九七五万一九〇八円に対する前記納入期限の翌日の昭和六一年一〇月八日から支払いずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払う義務があるものといわねばならない。 すると、第一審原告らの第一審被告Aに対する主位的請求は理由がないのでこれを棄却し、予備的請求は右金員の支払いを求める限度で理由があるから、この部分を認容し、その余を失当として棄却すべきである。」 19 同三九枚目表六行目から同七行目にかけての「主張立証はない」を「立証はない(なお、第一審原告ら主張の個々の是正措置については後記に判示のとおりである。)」と改める。 20 同裏八行目の「甲五二」を「前示甲五二」と改める。 21 同四〇枚目表七行目の「できず、」の次に「なお、本件横領行為が開始された相当以前に右公印の管理に問題があることが議会において論議されたので、当時の町長であった第一審被告Bにおいて早速総務課長にこの点につき注意を与えたことがあった(第一審被告B本人)が、その後、右公印の管理が前記のとおり杜撰であることを町長において予見し、また予見し得べき事情があったことを認めるに足りる証拠はなく、」を付加し、同一〇行目の「はないものというべきである。」を「があったと認 右公印の管理が前記のとおり杜撰であることを町長において予見し、また予見し得べき事情があったことを認めるに足りる証拠はなく、」を付加し、同一〇行目の「はないものというべきである。」を「があったと認めることはできない。」と改める。 22 同四一枚目表八行目の「主張立証はない。」を「立証はない(なお、非正規の会計の是正に関しては後記判示のとおりである。)。」と改める。 23 同四二枚目表一行目の「主張立証はない」の次に(なお、昭和五九年の夏ころ、第一審被告Bは、Dが暴力団員らしい人物と逢っているらしいとの噂を他から聞知したので、早速助役や収入役を通じてD本人に当たらせ、この点を質したところ、同人は私的な事柄で自分の方で解決する旨返答したので、それ以上の調査や追及をしていないことが認められる〔第一審被告ら本人〕が、Dから私的な事柄であると弁明された限り、プライバシーにかかる案件でもあって、それ以上積極的な調査をなすことは控えざるを得なかったこと、またその後このような風評が続いていることも窺えないから、右調査追及の程度をもって町長の右職員に対する指揮監督の懈怠であると断ずることはできない。)」を付加する。 24 同六行目の「また、」の次に「前示甲五四、乙一八によれば、」を付加し、同一〇行目の「甲九」を「前示甲九」と、同末行の「通常の」を「正規の」と、それぞれ改める。 25 同裏八行目の「被告B」から同一〇行目の「できない。」までを「また第一審被告Bが前記正規の一時借入れにおいて最高額の確認を怠っていたことをもって、Dの前記不正借入を誘発したこと、さらに右被告が右確認を実行していたとしても、Dの前記不正借入を防止し、またこれを発見できたと認めるに足りる証拠はない。」と改める。 26 同末行の初めから同四三枚目表四行目の終わりまでを削除する。 27 同 告が右確認を実行していたとしても、Dの前記不正借入を防止し、またこれを発見できたと認めるに足りる証拠はない。」と改める。 26 同末行の初めから同四三枚目表四行目の終わりまでを削除する。 27 同四三枚目表八行目の「D」から同一〇行目の「失当である。」までを「前記認定の、その管理の実情、Dの勤務態度、本件横領行為は前記正規な会計も利用して遂行されており、これらの横領行為は農協又は取引金融機関がDに便宜を与えて正規の手続きによらない会計操作等により遂行され、これにつき第一審被告らが予見し又は予見し得べき事情にはなかったことなどを考え併すと、右会計の存在がDの本件横領行為を誘発し、これを第一審被告らにおいて予見し又は予見し得べきであったと断ずることは困難であるから、右会計の存在と本件横領行為との間に相当因果関係があり、これにつき第一審被告らが責任を負うべきであると認めることはできない。」と改める。 28 同裏六行目の「考えられず」の次に「(なお、弁論の全趣旨により真正に成立したことが認められる乙二六によれば、当時、Dは地方自治法一七〇条第六項の代理者に任ぜられる地位にあったことが認められるから、仮に、下津町において同条第六項の吏員を置くことになったとしても、Dが右吏員に選任されていたことが予想できるので、その結果は事態に殆ど変化がないものというべきである。)」を付加する。 29 同四四枚目表四行目の「認めえず」から同六行目の「立証はないから、」までを「認めえないところ、第一審被告Cについても、第一審被告Bにつき説示したと同様の理由により、Dの本件横領行為の原因となる職務の懈怠を認めることはできないから、」と改める。 二よって、原判決中、当裁判所の前記判断と一部異にする第一審被告Aに関する部分は一部不当であって右被告の本件控訴は一部理由があ 領行為の原因となる職務の懈怠を認めることはできないから、」と改める。 二よって、原判決中、当裁判所の前記判断と一部異にする第一審被告Aに関する部分は一部不当であって右被告の本件控訴は一部理由があるから、その控訴に基づき、原判決中右被告に関する部分を本判決主文一項の2記載のとおり変更し、第一審原告らの本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、原審及び当審を通じての訴訟費用の負担につき、民訴法九六条、八九条、九二条、九三条に従い、主文のとおり判決する。 (裁判官宮地英雄山崎末記富田守勝)
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