- 1 -平成18年(行ケ)第10534号審決取消請求事件平成19年9月13日判決言渡,平成19年7月19日口頭弁論終結判決X原告被告特許庁長官肥塚雅博指定代理人青木和夫,末政清滋,森内正明,森川元嗣,森山啓主文特許庁が不服2005-3120号事件について平成18年10月30日にした審決を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1原告の求めた裁判主文と同旨の判決。 第2事案の概要本件は,原告が,名称を「凸状の湾曲面鏡」とする発明につき特許出願をして拒絶査定を受け,これを不服として審判請求をしたところ,審判請求は成り立たないとの審決がなされたため,同審決の取消しを求めた事案である。 特許庁における手続の経緯( )本件出願(甲第1号証) 出願人:(原告)X発明の名称:凸状の湾曲面鏡」「- 2 -出願番号:特願2002-152898号出願日:平成14年5月27日( )本件手続 手続補正日:平成16年9月15日(甲第3号証)拒絶査定日:平成17年1月17日審判請求日:平成17年2月23日(不服2005-3120号)手続補正日:平成17年3月23日審決日:平成18年10月30日審決の結論:本件審判の請求は,成り立たない」「。 審決謄本送達日:平成18年11月20日 本願発明の要旨審決が対象とした発明(平成17年3月23日付け手続補正後の請求項2に記載された発明(請求項2自体は,平成16年9月15日付け手続補正により補正された)であり,以下「本願発明」という。なお,請求項の数は2個である)の要旨。 。 は,以下のとおりである。 「半径rの円弧湾曲で,上下・左右に全面に湾曲した凸状の合成湾曲面鏡又は360°方向に湾曲した凸面鏡を,垂直に立てて置いた場合で示すと, 項の数は2個である)の要旨。 。 は,以下のとおりである。 「半径rの円弧湾曲で,上下・左右に全面に湾曲した凸状の合成湾曲面鏡又は360°方向に湾曲した凸面鏡を,垂直に立てて置いた場合で示すと,それらの鏡面の中心を始点または中点とする,上下・左右に等長の単位長さβの第一円弧湾曲と,該第一円弧湾曲に繋がれ,該第一円弧湾曲の半径rの中心より水平方向に奥に中心を後退させ半径を所定長さαだけ大きくした単位長さβの第二円弧湾曲を含み,該第二円弧湾曲と同様に,複数個,半径を上記所定長さαずつ大きくした単位長さβずつの円弧湾曲で,上下・左右の端に向って順に繋ぎ,さらにその繋いだ円弧湾曲を滑らかに形成した非円弧湾曲を備え,上下及び左右の上記非円弧湾曲が互いに重なるように,360°方向に回転して得られる形の湾曲面の凸状面を鏡とする凸状の湾曲面鏡であって,- 3 -その凸状の湾曲面鏡のうち,前記所定長さα,単位長さβを後記のように設定された凸状の湾曲面鏡を使用して,三次元の斜めから見る目までの種々の距離のうちの,最長距離を,その上記所定長さα,単位長さβを設定する前の凸状の湾曲面鏡の鏡面の中心と前記複数個の半径の中心とを結ぶ直線の延長線上の,鏡面の中心から目までの距離とし,その位置から,又はその最長距離以上の距離の位置から,凸状の湾曲面鏡に平行な平面の像を,夫々,鏡面の中心から上下・左右の端に向って縮小して見る,夫々の比例の比率が,凸状の湾曲面鏡の鏡面の中心を通る垂直な平面鏡を,凸状の湾曲面鏡の代わりに設置した際に,その平面鏡で,上記と夫々同じ目の位置から,前記平面の像を,上記と同様に,上下・左右の端に向って夫々縮小して見る,夫々の比例の比率に,合わせたと感じ見られるように,夫々の場合の,上記所定長さα及び単位長さβが夫々設定されていることを特 ,前記平面の像を,上記と同様に,上下・左右の端に向って夫々縮小して見る,夫々の比例の比率に,合わせたと感じ見られるように,夫々の場合の,上記所定長さα及び単位長さβが夫々設定されていることを特徴とする凸状の湾曲面鏡」。 審決の理由の要点審決の理由は,要するに,本願発明は,実公昭44-15391号公報(乙第1号証。以下「引用例1」という)及び特開昭55-143507号公報(乙第2。 号証。以下「引用例2」という)に,それぞれ記載された発明(以下,引用例1。 に記載された発明を「引用例1発明」という)に基づいて当業者が容易に発明を。 することができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。 審決の理由中,引用例1,2の記載事項の認定,本願発明と引用例1発明との対比,審決の判断の部分は,以下のとおりである。 ( )引用例1の記載事項の認定 「引用例1には,- 4 -『現在の車輌等のほとんどが,他の車輌等の交通状況又は障害物を確認する為に,バックミラー,サイドミラー,アンダーミラー等と称される各種の反射鏡を使用して,運転者の直接の視野の不足を補なっている(1頁左欄30行~34行,。』)『本考案は,この様な危険の防止と,運転者の労力を最小限に留める為に,広い視野をもたせて死角を少なくし,しかも,見やすいように,反射鏡上のどの点に於ても一様な倍率の反射像を得ることの可能な,車輌等に使用する凸面反射鏡の,反射曲面の形状に関するものである。 次に,本考案の反射面の形状の理解を早める為に,第2図によって,中心がF’の点にある曲半径Rの球面鏡POP’を運転者の目の位置FからLの距離に取付た場合について,その各小反射面ΔS,ΔS・・・ΔSの倍率及び視野について述べる。 n,図 図によって,中心がF’の点にある曲半径Rの球面鏡POP’を運転者の目の位置FからLの距離に取付た場合について,その各小反射面ΔS,ΔS・・・ΔSの倍率及び視野について述べる。 n,図中ΔS,ΔS・・・ΔSは反射鏡POP’の反射曲面PO上の,中心F’より微小角 n,でn等分される各小反射面をあらわす。α ,α ・・・α は,目の位置Fから見た時,反射 n曲面POによる視野をαとした場合に,各小反射面のそれぞれ受持つ視野である。又,β , β ・・・β は,目の位置Fにおける,反射曲線OPの見開き角をβとした場合,各小反射面 n,,,のそれぞれの見開き角をあらわすが図によってもあきらかな様に反射面上の点Oすなわち反射鏡と目との最短距離の点に近い小反射面の見開き角は大きく遠くなるにしたがって小さくなる。今,反射鏡の倍率をβ/αとすれば各小反射面の倍率はそれぞれβ /α ,β /α ・・・β /α であるが,球面鏡においては nn(β -β(β -β・・・β-β ) n-1n),)(が,それぞれ微小角であればα ≒α ≒・・・≒α の関係があるから nβ /α >β /α >・・・>β /α となる。このことは,図の様な関係で使用する球 nn面鏡の反射像は,目と反射鏡との最短距離の点に近いほど大きく,遠くなるにしたがって小さくなることを意味し,広い視野の得られる球面鏡が,見難くなる原因である。なおこの場合,球面鏡上のどの点に於ても同じことが言えることは,球面院POP’が,半径Rの弧OPが反,’。 ,射曲線とし直線FOFを軸として回転して得られる回転体であることから当然である又広い視野を得る為にR又はLを小さく,あるいは が言えることは,球面院POP’が,半径Rの弧OPが反,’。 ,射曲線とし直線FOFを軸として回転して得られる回転体であることから当然である又広い視野を得る為にR又はLを小さく,あるいはR,Lを一定にして反射面を大きくしても,β ,β ・・・β の差を更に大きくする結果となり,球面鏡によって,広いしかも見やすい n- 5 -視野を得ることは困難なことがわかる。 しかし,今第2図に於て,α ,α ・・・α は常に等しく,β ,β ・・・β も常に等 n nしい反射曲線を得て,この曲線を,FとOを結ぶ直線を軸として回転して得られる回転体の一部分を反射曲面とすれば,この曲面鏡上のどの点に於ても常に等しい倍率の反射像を得ることが可能であり視野を広くしても見難くなることはないはずである。 本考案の反射鏡の反射面の形状は,上述のような原理のもとに考案されたものであって,以下第3図によって,その詳細を述べる。 今,基となる反射曲線をOPとし,最小曲半径をR,その中心をF’とし,目の位置をF,FよりO迄,すなわち,目から曲線OPに最も近い点迄の距離をLとする。又OPに要求する視野の角度を,F’を中心として,直線FOF’から測ってα,Fより見たOPの見開き角をβ,又,運転者が,身体又は顔を大きく動かさないで得られる視野の角度をθとして,図の様な関係にした場合について考える。 第1の目的は,反射鏡の倍率をβ/αとした場合に,反射曲線OP上のどの部分に於ても等しい倍率を得ることにあるのであるから,F’を通るαのn等分線と,Fを通るβのn等分線との対応する交点P,P・・・P=Pを含む曲線,すなわち,n→∞とした場合に,底辺 nをL+Rとし底角がそれぞれαとβの比をなす三角形の頂点Pの軌跡であることが望ましい。 但し本案に於て 分線との対応する交点P,P・・・P=Pを含む曲線,すなわち,n→∞とした場合に,底辺 nをL+Rとし底角がそれぞれαとβの比をなす三角形の頂点Pの軌跡であることが望ましい。 但し本案に於ては凸面鏡である為,α>βであり,α=βは平面鏡α<βは凹面鏡の場合に適用される。 今この曲線が必要な接線を持つ場合の各交点P0,P,P・・・P=Pに於ける,それ nぞれの曲半径を,見ると,目に最も近い点P0,すなわちOに於ては,最小曲半径Rを持ち,遠くなるにしたがって順次,R,R・・・Rと大きな曲半径を持つことがわかる。又,各 n,交点によって区切られる,OP上の各小部分を,ΔS,ΔS・・・ΔSとすれば,Oに近 n,いほど小さく,遠くなるようにしたがって大きくなることもわかる。 しかし,Fから見たΔS,ΔS・・・ΔSの見開き角β ,β ・・・β はすべて等し n n,くβ/n,視野の角度も,- 6 -α =α =・・・=α =α/n nであり,したがってこの曲線上のどの部分をとっても倍率は常に等しく,β/nα/n=β/α/であることが証明される。又この曲線OPを,直線FOF’を軸として回転して得られる反射曲面上のどの点に於ても同様な関係にあることも当然である。 ここで,見やすくする為に倍率β/αを大きくするには,反射鏡に要求する視野αを,ゆるされる範囲で小さくするか,見開き角βを大きくする為に,距離Lを小さくするか,又は最小曲半径Rを大きくして,反射鏡全体を大きくするかして設計すれば良く,いずれも球面鏡の様な見難くさを生ずる原因とはならない。 ・・・・・。 上述のように,本案は,反射曲面の各部分の曲半径を連続的に変化させ,大きな曲半径による大きな反射像は大きな反射面で,小さな曲半径 いずれも球面鏡の様な見難くさを生ずる原因とはならない。 ・・・・・。 上述のように,本案は,反射曲面の各部分の曲半径を連続的に変化させ,大きな曲半径による大きな反射像は大きな反射面で,小さな曲半径による小さな反射像は小さな反射面で反射させて見ることにより,常に一様な倍率の反射像が見られるようにしたものであって,この性質を利用すればこの曲面と同様の性質を持つ,放物面,双曲面,回転だ円面,その他の類似な曲,,,,,面の一部によっても焦点距離離心率目の位置等を適当に選択すれば実用上差閊えなく車輌等の反射鏡として使用出来るものである(1頁右欄38行~3頁右欄13行)。』が記載され,引用例1の2頁左欄39行~43行に,曲半径Rである球面鏡POP’が示される第2図について『なおこの場合,球面鏡上のどの点に於ても同じことが言えることは,球,面鏡(原文は『球面院』であるが明らかな誤記と認める)POP,半径Rの弧OPが反射,。 ’曲線とし,直線FOF’を軸として回転して得られる回転体であることから当然である』と。 の記載があることから,第3図に示される凸面反射鏡も直線FOF’を軸として回転して得られる回転体であることは自明であり,また第3図から,各曲半径R,R・・・Rは,最小 n,曲半径をRの中心がある直線FOF’上で目の位置Fと反対方向に中心を持つことは自明であるから,これらの記載及び第3図によれば,引用例1には,『反射曲線OPを,直線FOF’を軸として回転して得られる回転体である反射曲面を備えた- 7 -凸面反射鏡において,反射曲線OPに要求する視野の角度をF’を中心として,直線FOF’から測ってα,目の位置Fより見たOPの見開き角をβとし,反射曲線をOP上の,F’を通るαのn等分線と,Fを通るβのn等分線と いて,反射曲線OPに要求する視野の角度をF’を中心として,直線FOF’から測ってα,目の位置Fより見たOPの見開き角をβとし,反射曲線をOP上の,F’を通るαのn等分線と,Fを通るβのn等分線との交点P,P・・・Pとし,各交点によって区切られる,OP上 nの各小部分をΔS,ΔS・・・ΔSとし,Fから見たΔS,ΔS・・・ΔSの見開 n n,,き角β ,β ・・・β としたとき,前記反射曲線OPの各曲半径は,最小曲半径をRの中心 nがある直線FOF’上で目の位置Fと反対方向に中心を持ち,その中心をF’とし,目の位置をF,目から曲線OPに最も近い点までの距離をLとしたとき,最小曲半径をRおけるそれぞれの曲半径が,目に最も近い点P,すなわちOにおいては,最小曲半径Rを持ち,遠くなる にしたがって順次,R,R・・・Rと大きな曲半径を持ち,曲線上のどの部分をとっても n,倍率は常に等しくβ/αである,一様な倍率の反射像を得ることの可能な反射曲線を備えた凸面反射鏡』との発明(引用例1発明)が開示されていると認めることができる。 ( )引用例2の記載事項の認定 「引用例2には,『本発明は,映像の歪率を均一にし,もって正確な対象確認をなし得るとともに,有効視界を広くし,映像の大きさも均一化して視認性を良好にしたアンダーミラーを提供することを目的とする。 この目的を達成するため,本発明のアンダーミラーの鏡面の反射部分は回転曲面体に構成するとともに,該曲面体から成る反射部分は回転中心より外がわに向かって順次その曲率半径が大きくなる如く変化している曲面体をもって構成するものである。 即ち,従来の如く均一な曲率半径Rの鏡面にあっては,第2図に示すように,ミラー面に 遠い部分の長さa(AB)とミラーに近い の曲率半径が大きくなる如く変化している曲面体をもって構成するものである。 即ち,従来の如く均一な曲率半径Rの鏡面にあっては,第2図に示すように,ミラー面に 遠い部分の長さa(AB)とミラーに近い部分の長さa(CD)とは同寸法であっても,運転者の視点であるアイポイントEPから見るとミラー面上ではそれぞれ図示A’B,C’D’’の大きさとなり,A’B’<C’D’となって実長とは異なって視認される。これを実長に応じて視認できるようにするためには,ミラー面上のA’B’を長くする如くして,A’点が図- 8 -のA”点に来るようにすればよい。これには,ミラー面を曲率半径R2で示す図示破線のような曲面にすればよいわけであって,従って回転中心より外がわに順次曲率半径を大きくする如く構成すればよいのである(図中G.L.はグラウンドラインを示す。 。 )以下,本発明の実施例の内の若干について説明する。 第3図には本発明の第1の実施例を示す。 即ち,本例は,x軸を回転軸として回転曲面体を得るものである。まず,回転軸からある角 度θ °までをOを中心とする半径Rの曲率として次に線OPの延長上にO’P=R >Rとなる如くO’点をとり,O’点を中心にして半径Rで弧PP’を描く。次にP O’の延長上にO’P=R>RのようにO’点をとりO’点を中心に半径Rで弧PPを描く。このように順次必要な映像の曲率に応じてθ ,θ ・・・θ の角度を設定し, nR,R,R・・・Rの半径を決めた曲線lを選定するのである。かくして得た曲線をx n軸を中心として回転し,得た回転曲面体の凸面を反射被覆処理して,凸面鏡を得,これをアンダーミラーとして用いるのである(1頁右欄15行 た曲線lを選定するのである。かくして得た曲線をx n軸を中心として回転し,得た回転曲面体の凸面を反射被覆処理して,凸面鏡を得,これをアンダーミラーとして用いるのである(1頁右欄15行~2頁右上欄17行)。』が記載されている」。 ( )本願発明と引用例1発明との対比 本願発明と引用例1発明を対比すると引用例1の小部分をΔS小部分をΔS凸「,『』,『』,『 面反射鏡『反射曲線OP『直線FOF’を軸として回転して得られる回転体である反射曲』,』,面『目から曲線OPに最も近い点までの距離をL』は,本願発明の『第一円弧湾曲『第二』,』,』,『』,『』,『』,円弧湾曲凸状の湾曲面鏡非円弧湾曲360°方向に回転して得られる形の湾曲面『鏡面の中心から目までの距離』に相当し,さらに引用例1発明の凸面反射鏡を垂直に立てて置いた場合の態様である『最小曲半径をRで,直線FOF’を軸として回転して得られる回転,,体である凸面反射鏡を垂直に立てて置いた場合で示すとその凸面反射鏡の中心を始点とする小部分ΔS』は,本願発明の『半径rの円弧湾曲で,上下・左右に全面に湾曲した凸状の合 成湾曲面鏡又は360°方向に湾曲した凸面鏡を,垂直に立てて置いた場合で示すと,それらの鏡面の中心を始点または中点とする,上下・左右に等長の単位長さβの第一円弧湾曲』の選択的且つ上位概念の構成である『半径rの円弧湾曲で,360°方向に湾曲した凸面鏡を,垂- 9 -直に立てて置いた場合で示すと,その鏡面の中心を始点とする,単位長さβの第一円弧湾曲』に相当するから,両者は,『,,,半径rの円弧湾曲で360°方向に湾曲した凸面鏡を垂直に立てて置いた場合で示すとそれらの鏡面の中心を始点,上下・左右に等長 る,単位長さβの第一円弧湾曲』に相当するから,両者は,『,,,半径rの円弧湾曲で360°方向に湾曲した凸面鏡を垂直に立てて置いた場合で示すとそれらの鏡面の中心を始点,上下・左右に等長の単位長さβの第一円弧湾曲と,該第一円弧湾曲に繋がれ,該第一円弧湾曲の半径rの中心より水平方向に奥に中心を後退させ半径を大きくした第二円弧湾曲を含み,該第二円弧湾曲と同様に,複数個,半径を大きくした円弧湾曲で形成した非円弧湾曲を備え,上下及び左右の上記非円弧湾曲が互いに重なるように,360°方向に回転して得られる形の湾曲面の凸状面を鏡とする凸状の湾曲面鏡であることを特徴とする凸状の湾曲面鏡』であ。 る点で一致し,非円弧湾曲が,本願発明では『第一円弧湾曲に繋がれ,該第一円弧湾曲の半径rの中心より水平方向に奥に中心を後退させ半径を所定長さαだけ大きくした単位長さβの第二円弧湾曲を含み,該第二円弧湾曲と同様に,複数個,半径を上記所定長さαずつ大きくした単位長さβずつの円弧湾曲で,上下・左右の端に向って順に繋ぎ,さらにその繋いだ円弧湾曲を滑らかに形成した非円弧湾曲を備え』というものであるのに対して,引用例1発明では『反射曲線OP,に要求する視野の角度をF’を中心として,直線FOF’から測ってα,目の位置Fより見たOPの見開き角をβとし,反射曲線をOP上の,F’を通るαのn等分線と,Fを通るβのn等分線との交点P,P・・・Pとし,各交点によって区切られる,OP上の各小部分をΔ nS,ΔS・・・ΔSとし,Fから見たΔS,ΔS・・・ΔSの見開き角β ,β ・ n n ,,・・β としたとき,前記反射曲線OPの各曲半径は,最小曲半径をRの中心がある直線FOnF’上で目の位置Fと反対方向に中心を持ち,その中心をF’とし, β ・ n n ,,・・β としたとき,前記反射曲線OPの各曲半径は,最小曲半径をRの中心がある直線FOnF’上で目の位置Fと反対方向に中心を持ち,その中心をF’とし,目から曲線OPに最も近い点までの距離をLとしたとき,最小曲半径をRおけるそれぞれの曲半径が,目に最も近い点P,すなわちOにおいては,最小曲半径Rを持ち,遠くなるにしたがって順次,R,R・ 2,・・Rと大きな曲半径を持ち』というものである点(相違点1,n,)本願発明が『その凸状の湾曲面鏡のうち,前記所定長さα,単位長さβを後記のように設定された凸状の湾曲面鏡を使用して,三次元の斜めから見る目までの種々の距離のうちの,最長- 10 -距離を,その上記所定長さα,単位長さβを設定する前の凸状の湾曲面鏡の鏡面の中心と前記複数個の半径の中心とを結ぶ直線の延長線上の,鏡面の中心から目までの距離とし,その位置から,又はその最長距離以上の距離の位置から,凸状の湾曲面鏡に平行な平面の像を,夫々,鏡面の中心から上下・左右の端に向って縮小して見る,夫々の比例の比率が,凸状の湾曲面鏡,,,の鏡面の中心を通る垂直な平面鏡を凸状の湾曲面鏡の代わりに設置した際にその平面鏡で上記と夫々同じ目の位置から,前記平面の像を,上記と同様に,上下・左右の端に向って夫々縮小して見る,夫々の比例の比率に,合わせたと感じ見られるように,夫々の場合の,上記所定長さα及び単位長さβが夫々設定されている』という構成であるのに対して,引用例1発明はそのような構成を備えていない点(相違点2)の2点で相違する」。 ( )審決の判断 「上記相違点について検討する。 [相違点1について]引用例1発明では,本願発明の非円弧湾曲に相当する反射曲線OPを定義するにあたり,目の位置F 2)の2点で相違する」。 ( )審決の判断 「上記相違点について検討する。 [相違点1について]引用例1発明では,本願発明の非円弧湾曲に相当する反射曲線OPを定義するにあたり,目の位置Fより見た反射曲線OPの見開き角をβとし,目の位置Fを通るβのn等分線との交点P,P・・・Pとして,そのときの各交点における曲半径を定義しているのに対して,本 n願発明では,非円弧湾曲を定義するにあたり,前記円弧湾曲の非円弧上を単位長さβ毎に区切り,その時の円弧湾曲の半径の増分αを定めているが,本願発明のような非円弧湾曲の曲率半径を定義するにあたり,本願発明のように,先ず,円弧上の単位長さ毎の非円弧上の位置において定めるか,引用例1発明のように,先ず,所定の見開き角毎の反射曲線上の位置において定めるかは,当業者が適宜採用しうる設計上の微差というべきである。また,本願発明では,各円弧湾曲を,第一円弧湾曲の半径rの中心より上下・左右の端に向って順に繋ぎ,さらにその繋いだ円弧湾曲を滑らかに形成したというものであるが,引用例1発明も本願発明と同様にバックミラー等の用途に用いられるものであり,直線FOF’を軸として回転して得られる回転体である反射曲面を備えた凸面反射鏡であるから本願発明と同様に各円弧湾曲を繋ぎ,さらにその繋いだ円弧湾曲を滑らかに形成した構成を備えることは自明である。結局,この相違点- 11 -は格別なものとは認めることができない。 [相違点2について]引用例2の第2図には,本願発明の凸状の湾曲面鏡を使用して,三次元の斜めから見る場合が示されているから,引用例1発明の『距離をL』を『三次元の斜めから見る目までの種々の距離のうちの,最長距離を,凸状の湾曲面鏡の鏡面の中心と前記複数個の半径の中心とを結ぶ直線の延長線上の,鏡面の中心から目ま ているから,引用例1発明の『距離をL』を『三次元の斜めから見る目までの種々の距離のうちの,最長距離を,凸状の湾曲面鏡の鏡面の中心と前記複数個の半径の中心とを結ぶ直線の延長線上の,鏡面の中心から目までの距離』とすることは当業者が適宜設定しえたものと認められる。 次に,本願発明の『凸状の湾曲面鏡に平行な平面の像』の『凸状の湾曲面鏡に平行な平面』は,目の位置と湾曲面鏡を結ぶ直線に対する角度的な配置や距離が不明であるところ,引用例1発明の『反射像』と概ね一致していると認めて検討すると『夫々,鏡面の中心から上下・,左右の端に向って縮小して見る,夫々の比例の比率が,凸状の湾曲面鏡の鏡面の中心を通る垂直な平面鏡を,凸状の湾曲面鏡の代わりに設置した際に,その平面鏡で,上記と夫々同じ目の位置から,前記平面の像を,上記と同様に,上下・左右の端に向って夫々縮小して見る,夫々の比例の比率に,合わせたと感じ見られる』の『夫々,鏡面の中心から上下・左右の端に向って縮小して見る,夫々の比例の比率』は,実施例に示される,平板2上の等間隔である第1~第6区間の反射像の比率を表すことが明確ではないが,仮に明確であったとしても,凸状の湾曲面鏡の場合の中心と上下・左右の端の反射像の比率と平面鏡とした場合の中心と上下・左右の端の反射像の比率を一定にするということを表すにとどまり,引用例1には,反射鏡の倍率について,平面鏡である時は1(α=β)であり,凸面鏡である時は,β/α(α>β)であることが記載されていることを勘案すると,引用例1発明の曲線上のどの部分をとっても倍率は常に等しくβ/αである反射像を得ることの可能な反射曲線を備えた凸面反射鏡を用いれば,上記した本願発明の凸状の湾曲面鏡の場合の各反射像の比率と同様の結果が得られるものと認められる。そして『平面鏡で,上記と夫々同じ αである反射像を得ることの可能な反射曲線を備えた凸面反射鏡を用いれば,上記した本願発明の凸状の湾曲面鏡の場合の各反射像の比率と同様の結果が得られるものと認められる。そして『平面鏡で,上記と夫々同じ目の位置から,前記平面の像を,上記と,同様に,上下・左右の端に向って夫々縮小して見る,夫々の比例の比率に,合わせたと感じ見られるように』を満足するように,相違点1において定義された『所定長さα』及び『単位,長さβ』を夫々設定することは,当業者が容易に想到しえたものと認められる。 - 12 -結局,この相違点も格別なものではない。 また,前記各相違点を総合的に検討しても奏される効果は当業者が当然予測できる範囲内のものと認められる。 そして,本願発明の奏する効果も,引用例1,2に記載の各技術事項が奏する効果以上のものが期待できるとも認められない」。 ( )審決の「むすび」 「したがって,本願発明は,引用例1,2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない」。 第3原告の主張(審決取消事由)の要点審決は,本願発明と引用例1発明との相違点1,2についての判断を誤ったものであるから,取り消されるべきである。 取消事由1(相違点1についての判断の誤り)審決は,相違点1につき「非円弧湾曲の曲率半径を定義するにあたり,本願発,明のように,先ず,円弧上の単位長さ毎の非円弧上の位置において定めるか,引用例1発明のように,先ず,所定の見開き角毎の反射曲線上の位置において定めるかは,当業者が適宜採用しうる設計上の微差というべきである」と判断したが,誤。 りである。 すなわち,本願発明において,αとβとを決定することは必須であり,αとβとをどのように決定するかは て定めるかは,当業者が適宜採用しうる設計上の微差というべきである」と判断したが,誤。 りである。 すなわち,本願発明において,αとβとを決定することは必須であり,αとβとをどのように決定するかは,平成17年3月23日付け手続補正後の明細書(明細。 「」書自体は平成16年9月15日付け手続補正により補正された以下本願明細書という)の段落【】~【】に記載されているところである。相違点1は。 00370059「微差」ではなく「大差」である。 - 13 - 取消事由2(相違点2についての判断の誤り)審決は,相違点2についての判断に当たり,本願発明の要旨に係る「夫々,鏡『面の中心から上下・左右の端に向って縮小して見る,夫々の比例の比率』は・・,・凸状の湾曲面鏡の場合の中心と上下・左右の端の反射像の比率と平面鏡とした場合の中心と上下・左右の端の反射像の比率を一定にするということを表すにとどま,,,(),り引用例1には反射鏡の倍率について平面鏡である時は1α=βであり凸面鏡である時は,β/α(α>β)であることが記載されていることを勘案すると,引用例1発明の曲線上のどの部分をとっても倍率は常に等しくβ/αである反射像を得ることの可能な反射曲線を備えた凸面反射鏡を用いれば,上記した本願発明の凸状の湾曲面鏡の場合の各反射像の比率と同様の結果が得られるものと認められる」と認定した。 。 ,,,「,しかしながら本願発明の要旨に規定されるとおり本願発明の構成は夫々鏡面の中心から上下・左右の端に向って縮小して見る,夫々の比例の比率が,凸状の湾曲面鏡の鏡面の中心を通る垂直な平面鏡を,凸状の湾曲面鏡の代わりに設置した際に,その平面鏡で,上記と夫々同じ目の位置から,前記平面の像を,上記と同様に,上下・左右の端に 夫々の比例の比率が,凸状の湾曲面鏡の鏡面の中心を通る垂直な平面鏡を,凸状の湾曲面鏡の代わりに設置した際に,その平面鏡で,上記と夫々同じ目の位置から,前記平面の像を,上記と同様に,上下・左右の端に向って夫々縮小して見る,夫々の比例の比率に,合わせたと感じ見られる」というものであるから,審決が,本願発明の構成につき「中心,と上下・左右の端の反射像の比率と平面鏡とした場合の中心と上下・左右の端の反射像の比率を一定にするということを表すにとどまり」と認定したことは,誤り,である。 ,,本願発明と引用例1発明とは全く異なるものであり引用例1発明の反射曲線は本願発明の円弧曲面とは異なるから「引用例1発明の曲線上のどの部分をとって,も倍率は常に等しくβ/αである反射像を得ることの可能な反射曲線を備えた凸面反射鏡を用いれば,上記した本願発明の凸状の湾曲面鏡の場合の各反射像の比率と同様の結果が得られる」との判断も誤りである。 - 14 -第4被告の反論の要点 取消事由1(相違点1についての判断の誤り)に対し本願発明の要旨によれば,本願発明の非円弧湾曲は「鏡面の中心を始点または,中点とする,上下・左右に等長の単位長さβの第一円弧湾曲と,該第一円弧湾曲に繋がれ,該第一円弧湾曲の半径rの中心より水平方向に奥に中心を後退させ半径を所定長さαだけ大きくした単位長さβの第二円弧湾曲を含み,該第二円弧湾曲と同,,,様に複数個半径を上記所定長さαずつ大きくした単位長さβずつの円弧湾曲で上下・左右の端に向って順に繋ぎ,さらにその繋いだ円弧湾曲を滑らかに形成した」,,,非円弧湾曲と定義されるが例えばαとβとの関係をどのように決定するかは定められていないから,結局,図10表示のchr湾曲上の点0から点1,2,3・・・というように,端部に向か 成した」,,,非円弧湾曲と定義されるが例えばαとβとの関係をどのように決定するかは定められていないから,結局,図10表示のchr湾曲上の点0から点1,2,3・・・というように,端部に向かうほど曲半径が大きくなるものが定義されているにとどまる。 他方,審決の引用例1発明の認定のとおり「反射曲線OPに要求する視野の角,度をF’を中心として,直線FOF’から測ってα,目の位置Fより見たOPの見開き角をβとし,反射曲線をOP上の,F’を通るαのn等分線と,Fを通るβのn等分線との交点P,P・・・Pとし,各交点によって区切られる,OP上の n各小部分をΔS,ΔS・・・ΔSとし,Fから見たΔS,ΔS・・・ΔS n ,,の見開き角β ,β ・・・β としたとき,前記反射曲線OPの各曲半径は,最小n n曲半径をRの中心がある直線FOF’上で目の位置Fと反対方向に中心を持ち,その中心をF’とし,目の位置をF,目から曲線OPに最も近い点までの距離をLとしたとき,最小曲半径をRおけるそれぞれの曲半径が,目に最も近い点P,すな わちOにおいては,最小曲半径Rを持ち,遠くなるにしたがって順次,R,R, ・・・Rと大きな曲半径を持ち」と定義される引用例1発明の反射曲線(本願発n,明の「非円弧湾曲」に相当する)は,引用例1の第3図に表示されるとおり,見。 開き角をβのn等分線と曲線OPとの交点Pが,P,P,P・・・というようn に,端部に向かうほど曲半径が大きくなるものである。 - 15 -そうすると,本願発明の非円弧湾曲と引用例1発明の反射曲線とは,いずれも端部に向かうほど曲半径が大きくなる点で一致しており,単に曲線の定義の仕方が異なるのみで,実質的な相違はないのであるから,審決がした「設 と,本願発明の非円弧湾曲と引用例1発明の反射曲線とは,いずれも端部に向かうほど曲半径が大きくなる点で一致しており,単に曲線の定義の仕方が異なるのみで,実質的な相違はないのであるから,審決がした「設計上の微差」との認定に誤りはない。 取消事由2(相違点2についての判断の誤り)に対し( )本願発明の要旨の「凸状の湾曲面鏡に平行な平面の像」について,本願明細 書の発明の詳細な説明には,何らの記載もないが,審決は,これを,平板を凸面鏡。 ,や平面鏡に反射させた場合に得られる平板の虚像である反射像と認定したそしてその上で,審決は,これに続く「夫々,鏡面の中心から上下・左右の端に向って縮小して見る,夫々の比例の比率が,凸状の湾曲面鏡の鏡面の中心を通る垂直な平面鏡を,凸状の湾曲面鏡の代わりに設置した際に,その平面鏡で,上記と夫々同じ目の位置から,前記平面の像を,上記と同様に,上下・左右の端に向って夫々縮小して見る,夫々の比例の比率に,合わせたと感じ見られるように,夫々の場合の,上記所定長さα及び単位長さβが夫々設定されている」との規定につき「凸状の湾,曲面鏡の場合の中心と上下・左右の端の反射像の比率と平面鏡とした場合の中心と上下・左右の端の反射像の比率を一定にするということを表すにとどまり」と認,定したものであるが,これは「目の位置から凸状の湾曲面鏡や平面鏡を介して,,平板上に数区間の等間隔に区切った区切り線(例えば,図12では6区間に区切った例が示されている)を見た場合において,凸状の湾曲面鏡と平面鏡との各々に。 おける中心部の反射像と上下・左右の端の反射像の比率が一定になるように所定長さα及び単位長さβが設定されているということを表しているにとどまる」との趣旨である。 この点につき,原告は,本願発明の構成が「夫々,鏡面の中心から 下・左右の端の反射像の比率が一定になるように所定長さα及び単位長さβが設定されているということを表しているにとどまる」との趣旨である。 この点につき,原告は,本願発明の構成が「夫々,鏡面の中心から上下・左右,の端に向って縮小して見る,夫々の比例の比率が,凸状の湾曲面鏡の鏡面の中心を通る垂直な平面鏡を,凸状の湾曲面鏡の代わりに設置した際に,その平面鏡で,上- 16 -記と夫々同じ目の位置から,前記平面の像を,上記と同様に,上下・左右の端に向って夫々縮小して見る,夫々の比例の比率に,合わせたと感じ見られる」というものであるから,審決の上記認定は誤りであると主張するが,原告の主張する本願発明の構成は,単に本願発明の要旨を繰り返したものにすぎないところ,その規定に係る技術的意義は明瞭ではなく,審決を誤りとする具体的理由を欠くものである。 ( )そして,以下のとおり,平面鏡と引用例1発明の凸面反射鏡(凸状の湾曲面 鏡)とにおける,中心部の反射像と上下・左右の端の反射像の比率も一定となる。 すなわち,右参考図に表示するとおり,目の位置Fから,区切り線により等間隔に区切った区間1~4を有する物体を平面鏡に反射させて見ると,その反射像(虚像)は,平面鏡の反対側の等距離の位置に現れ,また,平面鏡はどの位置においても倍率が1であるから,反射像の各区間1~4の長さは,物体の各区間1~4の長さと等しくなる。そして,,,この場合区間1~4の各長さは等しいから平面鏡の中心部の反射像である区間1の長さと上下・左右の端の反射像である区間4の長さの比率は1となるが,反射像の各区間を見たときの見開き角β(本願明細書の「視角」に相当する)は,β が最大でβ が。 最小となる。 他方,引用例1発明の凸面反射鏡は,その反射曲線上のどの部分をとっても, なるが,反射像の各区間を見たときの見開き角β(本願明細書の「視角」に相当する)は,β が最大でβ が。 最小となる。 他方,引用例1発明の凸面反射鏡は,その反射曲線上のどの部分をとっても,反射像を見たときの倍率は常に等しい(ただし,その値は1よりも小さい)ものとされているから,参考図において,図示される平面鏡を,引用例1発明の凸面反射鏡に交換して,上記区間1~4を有する物体の反射像を見たときに,反射像の各区間1~4の長さは等しくなり,したがって,凸面反射鏡の中心部の反射像である区間- 17 -1の長さと上下・左右の端の反射像である区間4の長さの比率は1となるが,反射像の各区間を見たときの見開き角βは,β が最大でβ が最小となる。 したがって,平面鏡と引用例1発明の凸面反射鏡との各々における,中心部の反射像である区間1の長さと上下・左右の端の反射像である区間4の長さの比率は一定である。 そうであれば,引用例1発明の凸面反射鏡が,上記のとおり,本願発明の相違点1に係る構成として認定した「目の位置から凸状の湾曲面鏡や平面鏡を介して,,平板上に数区間の等間隔に区切った区切り線を見た場合において,凸状の湾曲面鏡と平面鏡との各々における中心部の反射像と上下・左右の端の反射像の比率が一定になるように所定長さα及び単位長さβが設定されている」構成と,同様の構成を備えているということができ,この相違が格別なものではないとした審決の判断に誤りはない。 第5当裁判所の判断 取消事由1(相違点1についての判断の誤り)について( )相違点1に係る本願発明の「非円弧湾曲」は「鏡面の中心を始点または中 ,点とする,上下・左右に等長の単位長さβの第一円弧湾曲と,該第一円弧湾曲に繋がれ,該第一円弧湾曲の半径rの中心より水平方向に奥に中心 に係る本願発明の「非円弧湾曲」は「鏡面の中心を始点または中 ,点とする,上下・左右に等長の単位長さβの第一円弧湾曲と,該第一円弧湾曲に繋がれ,該第一円弧湾曲の半径rの中心より水平方向に奥に中心を後退させ半径を所定長さαだけ大きくした単位長さβの第二円弧湾曲を含み,該第二円弧湾曲と同様に,複数個,半径を上記所定長さαずつ大きくした単位長さβずつの円弧湾曲で,上下・左右の端に向って順に繋ぎ,さらにその繋いだ円弧湾曲を滑らかに形成した非円弧湾曲」と規定されるものであって,要するに,単位長さβの円弧湾曲を,まず,その半径をrとして形成し,次に,その半径を所定長さαだけ大きくして形成したものをつなぎ,このようにして,半径を所定長さαずつ順次大きくした円弧湾曲を順次形成して,各円弧湾曲を順につないだ形状の非円弧湾曲を,滑らかに形成した非円弧湾曲を意味するものである。 - 18 -そして,本願発明の凸面鏡は,この非円弧湾曲を「上下及び左右の上記非円弧,湾曲が互いに重なるように,360°方向に回転して得られる形の湾曲面の凸状面を鏡とする」ものとして,特定されるものである。 ( )他方,引用例1には下記の記載がある。 「第2図によって,中心がF’の点にある曲半径Rの球面鏡POP’を運転者の目の位ア置FからLの距離に取付た場合について,その各小反射面ΔS,ΔS……ΔSの倍率及び n視野について述べる。 図中ΔS,ΔS……ΔSは反射鏡POP’の反射曲面PO上の,中心F’より微小角で nn等分される各小反射面をあらわす。α ,α ……α は,目の位置Fから見た時,反射曲面 nPOによる視野をαとした場合に,各小反射面のそれぞれ受持つ視野である。又,β ,β … …β は,目の位置Fにおける,反射曲線OPの見開き角をβと ,目の位置Fから見た時,反射曲面 nPOによる視野をαとした場合に,各小反射面のそれぞれ受持つ視野である。又,β ,β … …β は,目の位置Fにおける,反射曲線OPの見開き角をβとした場合,各小反射面のそれnぞれの見開き角をあらわすが,図によっても明らかな様に反射面上の点O,すなわち,反射鏡と目との最短距離の点に近い小反射面の見開き角は大きく遠くなるにしたがって小さくなる。 今,反射鏡の倍率をβ/αとすれば各小反射面の倍率はそれぞれ nnβ /α ,β /α ……β /αであるが,球面鏡においては(β -β(β -β )……(β-β ) n-1n),が,それぞれ微小角であればα ≒α ≒……≒α の関係があるから n nnβ /α >β /α >・・・>β /αとなる。このことは,図の様な関係で使用する球面鏡の反射像は,目と反射鏡との最短距離の点に近いほど大きく,遠くなるにしたがって小さくなることを意味し,広い視野の得られる球面鏡が,見難くなる原因である。なおこの場合,球面鏡上のどの点に於ても同じことが言えることは,球面院POP(判決注:球面鏡POP」の誤記)が,半径Rの弧OPが反射曲線’「’とし,直線FOF’を軸として回転して得られる回転体であることから当然である。又,広い,,,,視野を得る為にR又はLを小さくあるいはRLを一定にして反射面を大きくしてもβ1β ……β の差を更に大きくする結果となり,球面鏡によって,広いしかも見やすい視野を得 n- 19 -ることは困難なことがわかる。 しかし,今第2図に於て,α ,α ……α は常に等しく,β ,β ……β も常に等しい n n反射曲線を得て,この曲線を,Fと 得 n- 19 -ることは困難なことがわかる。 しかし,今第2図に於て,α ,α ……α は常に等しく,β ,β ……β も常に等しい n n反射曲線を得て,この曲線を,FとOを結ぶ直線を軸として回転して得られる回転体の一部分を反射曲面とすれば,この曲面鏡上のどの点に於ても常に等しい倍率の反射像を得ることが可能であり視野を広くしても見難くなることはないはずである(2頁左欄6行~右欄11行)。」「本考案の反射鏡の反射面の形状は,上述のような原理のもとに考案されたものであっイて,以下第3図によって,その詳細を述べる。 今,基となる反射曲線をOPとし,最小曲半径をR,その中心をF’とし,目の位置をF,FよりO迄,すなわち,目から曲線OPに最も近い点迄の距離をLとする。又OPに要求する視野の角度を,F’を中心として,直線FOF’から測ってα,Fより見たOPの見開き角をβ,又,運転者が,身体又は顔を大きく動かさないで得られる視野の角度をθとして,図の様な関係にした場合について考える。 第1の目的は,反射鏡の倍率をβ/αとした場合に,反射曲線OP上のどの部分に於ても等しい倍率を得ることにあるのであるから,F’を通るαのn等分線と,Fを通るβのn等分線との対応する交点P,P……P=Pを含む曲線,すなわち,n→∞とした場合に,底辺を nL+Rとし底角がそれぞれαとβの比をなす三角形の頂点Pの軌跡であることが望ましい。但し本案に於ては凸面鏡である為,α>βであり,α=βは平面鏡α<βは凹面鏡の場合に適用される。 今この曲線が必要な接線を持つ場合の各交点P,P,P……P=Pに於ける,それぞ nれの曲半径を,見ると,目に最も近い点P,すなわちOに於ては,最小曲半径Rを持ち,遠 くなるにしたがって順次,R,R,…… 接線を持つ場合の各交点P,P,P……P=Pに於ける,それぞ nれの曲半径を,見ると,目に最も近い点P,すなわちOに於ては,最小曲半径Rを持ち,遠 くなるにしたがって順次,R,R,……Rと大きな曲半径を持つことがわかる。又,各交 n点によって区切られる,OP上の各小部分を,ΔS,ΔS……ΔSとすれば,Oに近いほ nど小さく,遠くなるようにしたがって大きくなることもわかる。 しかし,Fから見たΔS,ΔS……ΔSの見開き角β ,β ……β はすべて等しくβ n n/n,視野の角度も,α =α =……=α =α/n n- 20 -であり,したがってこの曲線上のどの部分をとっても倍率は常に等しく,β/nα/n=β/α/であることが証明される。又この曲線OPを,直線FOF’を軸として回転して得られる反射曲面上のどの点に於ても同様な関係にあることも当然である(2頁右欄12行~3頁左欄。」13行)「ここで,見やすくする為に倍率β/αを大きくするには,反射鏡に要求する視野αを,ウゆるされる範囲で小さくするか,見開き角βを大きくする為に,距離Lを小さくするか,又は最小曲半径Rを大きくして,反射鏡全体を大きくするかして設計すれば良く,いずれも球面鏡の様な見難くさを生ずる原因とはならない(3頁左欄14~20行)。」「上述のように,本案は,反射曲面の各部分の曲半径を連続的に変化させ,大きな曲半エ径による大きな反射像は大きな反射面で,小さな曲半径による小さな反射像は小さな反射面で反射させて見ることにより,常に一様な倍率の反射像が見られるようにしたものであって,この性質を利用すればこの曲面と同様の性質を持つ,放物面,双曲面,回転だ円面,その他の類似な曲面の一部によっても,焦点距離,離心率,目の より,常に一様な倍率の反射像が見られるようにしたものであって,この性質を利用すればこの曲面と同様の性質を持つ,放物面,双曲面,回転だ円面,その他の類似な曲面の一部によっても,焦点距離,離心率,目の位置等を適当に選択すれば,実用上差閊えなく,車輌等の反射鏡として使用出来るものである(3頁右欄3~13行)。」引用例1の上記各記載及び第2,第3図によれば,引用例1発明(第3図)において,目の位置をFとし,FとO(反射曲線OPの目に最も近い点)とを結ぶ直線上の,Oから見てFの反対方向にあって,Oにおける曲半径の中心となる点をF’とし,OPの視野の角度(∠OF’P)をαとし,Fより見たOPの見開き角(∠OFP)をβとし,F’を通るαのn等分線とFを通るβのn等分線とが,αのn等分線については直線F’Oに近い方のものから,βのn等分線については直線FOに近い方のものから,順次互いに交わった交点をP,P・・・P(P=P) nnとしたときに,引用例1発明に係る「反射曲線(本願発明の「非円弧湾曲」に相」当する)は,O,P,P・・・Pを順次結ぶことによって形成される曲線OP。 として表されるものということができる。そして,この場合に,曲線OP上の各点- 21 -,,’,,,に係る曲半径は点OにおいてはOFであり点PP・・・Pにおいては ,,。 ,当該点がOから遠ざかるに連れ順次大きくなるRR・・・Rであるまた n曲線OP上の,点P,P・・・Pによって区切られる各小部分をΔS,ΔS n-1 ・・・ΔSとすると,ΔS,ΔS・・・ΔSは,Oに近いほど小さく,O n n,,から遠ざかるに連れ,順次大きくなるものと認められる。 なお,引用例1発明の凸面反射鏡は,この -1 ・・・ΔSとすると,ΔS,ΔS・・・ΔSは,Oに近いほど小さく,O n n,,から遠ざかるに連れ,順次大きくなるものと認められる。 なお,引用例1発明の凸面反射鏡は,この「反射曲線OP」を「直線FOF’,を軸として回転して得られる」ものとして,特定されるものである。 ( )しかるところ,本願発明の「非円弧湾曲」と引用例1発明の「反射曲線」と を比較すると,いずれも点O(回転して得られる凸面鏡の中心点)から端部に向かうほど曲半径が大きくなる点で共通することは,被告の主張のとおりである。 しかしながら,本願発明においては,そのα及びβをどのような値とした場合であっても,順次つなぎあわされて「非円弧湾曲」を形成する個々の円弧湾曲(第一円弧湾曲,第二円弧湾曲・・・)の各円弧の大きさは同一(単位長さβ)であり,かつ,各円弧湾曲の半径は一定の長さ(所定長さα)ずつ大きくなるのに対し,引用例1発明においては,本願発明の各円弧湾曲に相当する各小部分ΔS,ΔS, ・・・ΔSの大きさは同一ではなく(Oから端部(P)に向かうに連れて大きくnなる,かつ,点O,P,P・・・Pにおける半径が一定の長さずつ大きくなる。) ものともされていない。 したがって,本願発明の「非円弧湾曲」と引用例1発明の「反射曲線」とは,ともに端部に向かうほど曲半径が大きくなる点で共通するとはいえ,その形状が異なるものであることは明らかである。 この点につき,審決は「非円弧湾曲の曲率半径を定義するにあたり,本願発明,のように,先ず,円弧上の単位長さ毎の非円弧上の位置において定めるか,引用例,,,1発明のように先ず所定の見開き角毎の反射曲線上の位置において定めるかは当業者が適宜採用しうる設計上の微差というべきである」と判断するところ,本 の非円弧上の位置において定めるか,引用例,,,1発明のように先ず所定の見開き角毎の反射曲線上の位置において定めるかは当業者が適宜採用しうる設計上の微差というべきである」と判断するところ,本。 訴における被告の「本願発明の非円弧湾曲と引用例1発明の反射曲線とは,いずれ- 22 -も端部に向かうほど曲半径が大きくなる点で一致しており,単に曲線の定義の仕方が異なるのみで,実質的な相違はないのであるから,審決がした『設計上の微差』との認定に誤りはない」との主張にかんがみれば,審決の上記判断は,本願発明と引用例1発明とで,定義のしかたは異なっていても「非円弧湾曲の曲率半径,,」すなわち「非円弧湾曲(反射曲線」の形状に実質的な相違はないとの趣旨である,)と考えられるところ,上記のとおり,本願発明の「非円弧湾曲」と引用例1発明の「反射曲線」とは,その形状が異なるものであるから,審決の上記判断及び被告の主張は誤りであるといわざるを得ない。 そして,本願発明の「非円弧湾曲」と引用例1発明の「反射曲線」の形状が異なることは,審決が認定した相違点1から直接導かれるところであるから,審決は,相違点1についての判断において,上記形状が異なることを前提として,引用例1発明の「反射曲線」の形状を本願発明の「非円弧湾曲」の形状とすることの容易想到性を判断すべきであったのに,これをしていない誤りがあり,この誤りが,結論に影響を及ぼすことは明らかである。 よって,その余の点(取消事由2)について判断するまでもなく,審決は,取消しを免れない。 ( )なお,付言するに,平成16年9月15日付け意見書(甲第2号証)によれ ば,審査官は,拒絶査定をするに当たり,本件特許出願が,特許法36条4項,同条6項2号に規定する要件を満たしていないとの事由を含む拒絶理由通 に,平成16年9月15日付け意見書(甲第2号証)によれ ば,審査官は,拒絶査定をするに当たり,本件特許出願が,特許法36条4項,同条6項2号に規定する要件を満たしていないとの事由を含む拒絶理由通知をしたことが窺われるところ,本件審判請求に対しては,かかる事由を含め,再度審理がなされるべきものである。 結論 以上の次第で,審決を取り消すこととし,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部- 23 -裁判長裁判官田中信義裁判官石原直樹裁判官杜下弘記
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