昭和56(行コ)10 損害賠償請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
昭和57年3月10日 福岡高等裁判所 住民訴訟
ファイル
hanrei-pdf-17151.txt
🤖 AI生成要約2026/3/13

【DRY-RUN】○ 主文 原判決を取り消す。 本件を福岡地方裁判所に差し戻す。 ○ 事実 一 控訴人は、「原判決を取り消す。被控訴人は福岡県に対し金二〇万四九一〇円 及びこれに対する昭和五五年六月一九日から支払ずみま

タグ

キーワード(AI生成)

判決文本文8,794 文字)

○ 主文原判決を取り消す。 本件を福岡地方裁判所に差し戻す。 ○ 事実一控訴人は、「原判決を取り消す。被控訴人は福岡県に対し金二〇万四九一〇円及びこれに対する昭和五五年六月一九日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は、「本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。」との判決を求めた。 二当事者双方の主張及び証拠の関係は、次のとおり補正・附加するほか、原判決事実摘示と同一であるからこれを引用する。 (一) 1 原判決三枚目裏四行目冒頭から同六行目末尾までを次のように改める。 「(四)同監査委員は、本件勧告等において、婉曲な表現ながら、福岡県東福岡財務事務所(以下「東福岡財務事務所」という。)関税課における昭和五四年一〇月分の時間外勤務手当及び旅費(以下「時間外手当等」という。)の支給が法令等に基づかない違法支出であることを認め、これに対する適切な措置を講ずべきこと、並びに将来の支給が法令等に基づく手続によつてなされるよう措置を講ずべきことを知事に勧告した。 しかるに、知事は、昭和五五年二月分からの時間外手当等については法令等に基づく手続により支給するよう措置を講じたが、法令等に基づく手続によらないで支給された昭和五四年一〇月分の時間外手当等についてはなんらの措置を講じなかつた。」 2 同三枚目裏七行目の「原告は」の次に「福岡県に代位して」を挿入し、同一〇行目の「の支払を求める」を「を同県に賠償するよう求める」と改める。 3 同九枚目表三行目の「同2」の次に「の(一)ないし(三)」を挿入し、同七行目の末尾を続けて「同2の(四)の事実中、監査委員が本件勧告等により、東福岡財務事務所間税課における昭和五四年一〇月分の時間外手当等の支給が違法支出である に「の(一)ないし(三)」を挿入し、同七行目の末尾を続けて「同2の(四)の事実中、監査委員が本件勧告等により、東福岡財務事務所間税課における昭和五四年一〇月分の時間外手当等の支給が違法支出であることを認め、これに対する適切な措置を講ずべきことを知事に勧告したとの点を除き、その余は認める。監査委員は、昭和五四年一〇月分の時間外手当等の支給については、従前から潜在的な実績を含め、間税課の運用により支給されていることを認めた旨監査の結果を述べたに過ぎない。」を加える。 (三) 控訴人の補足主張 1 控訴人は、昭和五五年四月四日付をもつて、本件監査結果として本件勧告等の内容について通知を受け、若干の不満はあつたが、ほぼ控訴人の監査請求は受け入れられたと判断した。若干の不満というのは、控訴人は過去及び将来にわたる是正を求めていたところ、監査結果は、過去の違法支出については「従来から潜在的な実績を含め間税課の運用により支給されていることを認めた。」と指摘したにとどまり、違法支出であると明言せず、是正措置も具体的に指示しなかつた点である。 しかしながら、控訴人は、右監査結果に対し、次のような理由から、ただちに住民訴訟は提起しなかつた。 (1) 監査結果は控訴人の請求をほぼ容認していたこと。 (2) 控訴人は、監査資料として東福岡財務事務所の割増の時間外手当等のカラクリ表をすでに提出していたので、監査委員がこれを見れば、一見して割増支給であることは見抜けたはずであり、ただ、監査委員も同一行政機関に属するものとして、身内である東福岡財務事務所の違法支出をあからさまに指摘することを避け、婉曲な表現にとどめているものと理解したこと。 (3) 現に監査委員は「しかし、今後は法令等に基づく手続により支給するよう措置を講じられたく云々」と直後に述べているのであるから、 指摘することを避け、婉曲な表現にとどめているものと理解したこと。 (3) 現に監査委員は「しかし、今後は法令等に基づく手続により支給するよう措置を講じられたく云々」と直後に述べているのであるから、過去の支出が法令等に基づかない違法支出であることを認めたものと控訴人は判断したこと。 (4) また、法二四二条三項により監査委員から控訴人に通知された勧告内容は、「監査請求に基づく監査結果について」と題する書面(乙第一七号証)に記載されているとおり、「勧告を別添写しのとおりしたので通知します」とあり、その別添写しに記載されていた勧告内容は、まさしく監査委員が知事に対し婉曲に違法支出を指摘するとともに、将来の是正措置を求める指示をしているものであつたから、控訴人は、前記のような婉曲な違法支出の指摘も当然勧告内容に含まれるものと理解し、右勧告に対して知事は適切な措置を講じてくれるものと期待したこと。 (5) 知事は、県全体を統轄し、これを代表する強力な権限を有し、県全体の事務を、自らの判断と責任において、誠実に管理執行する義務を負い、県職員が故意または重大な過失により法令に違反して支出負担行為をした場合は、監査委員に対し、その事実があるかどうかを監査し、賠償責任の有無及び賠償額を決定することを求め、その決定に基づき、賠償を求めなければならない。したがつて、知事は、本件勧告を受けた場合、将来の是正措置のみを講じるにとどまらず、過去の違法支出をも是正すべき義務があり、権限も有している。もし、知事において本件勧告内容のうち、過去の支出行為が監査委員の婉曲な表現のため理解しにくい場合には、再度監査委員に監査を請求するか、独自に調査することもできたはずである。これらの点を考慮して、控訴人は、知事に対し、過去の支出行為の是正を期待したこと。 2 本件において、 め理解しにくい場合には、再度監査委員に監査を請求するか、独自に調査することもできたはずである。これらの点を考慮して、控訴人は、知事に対し、過去の支出行為の是正を期待したこと。 2 本件において、訴状記載の請求原因やこれまでに主張した本件訴訟提起に至る経緯からも明らかなように、控訴人は、監査委員の勧告に若干の不満はあつたが、その内容からすれば、右勧告を受けた知事が、その権限と義務を行使して過去の違法支出金の返還手続をとるものと期待していたところ、意外にも、知事の措置が、不十分であつたので本訴を提起したものである。したがつて、控訴人は、本訴において、監査委員の勧告に不服があると主張したことは一度たりともない。 3 また、法二四二条の二、一項、一号及び二号の各住民訴訟はそれぞれ別個の訴訟であり、その出訴要件もそれぞれ別個独立に法定されている。しかし、両訴訟とも監査委員の監査の当否を直接争う訴訟ではなく、その目的は、自治体の財務会計に関する違法な状態の除去にある。したがつて、県の違法な財務会計上の行政措置を是正する手段として、いずれの時機に、いずれの訴訟を提起するかの選択は監査請求人の判断に委ねられている。地方自治の理念を尊重し、知事部局の自浄作用に強く期待していた控訴人が、その期待を裏切られた結果、二号請求訴訟を法定の出訴期間内に提起したのが本訴であり、その出訴要件等は一号請求訴訟とは別個に判断されるべきである。にもかかわらず、一号請求訴訟の出訴期間の徒過を理由に、二号請求訴訟をも拒否することは、徒らに住民訴訟の出訴要件を制限するものであつて不当である。 (三) 被控訴人の補足主張 1 控訴人は、監査委員の「婉曲な違法支出の指摘」も本件勧告に含まれるとし、それを受けた知事の自らの判断と責任による「違法支出金の県への返却」の措置を期待したとし ある。 (三) 被控訴人の補足主張 1 控訴人は、監査委員の「婉曲な違法支出の指摘」も本件勧告に含まれるとし、それを受けた知事の自らの判断と責任による「違法支出金の県への返却」の措置を期待したとして、本訴は知事の措置に対する不服として提起したものであると主張するが、右「違法支出の指摘」は到底本件勧告に含まれるものとは解し得ない。 2 また、監査委員は、執行機関に対し期間を示して必要な措置を講ずべきことを勧告し、当該勧告を受けた執行機関は、当該勧告に示された期間内に必要な措置を講じなければならない旨定められていて、執行機関は、当該勧告内容の措置を実現すべき義務を負うものであるが、住民訴訟は監査委員の監査または勧告が適正に行われるべきこと、また、当該勧告を受けた執行機関が勧告の内容どおりの措置を講ずべきことを担保するものであるから、本訴のように、執行機関が当該勧告に示された必要な措置をそのとおり講じた場合には、そのような措置を講ずべきことを訴求する必要はなく、したがつて本訴においては訴えの利益がない。 3 監査委員の監査結果または勧告に対する不服としての住民訴訟と、当該勧告を受けた執行機関の措置に対する不服としての住民訴訟とは、その手続の段階に対応して、各別の出訴期間が法定されている。したがつて、監査委員の監査結果等に対する不服の住民訴訟が提起されることなく、その出訴期間を経過したときは、当該勧告により執行機関の実現すべき義務の内容が確定する。そして、当該執行機関が講じた措置が勧告と相容れないとか、または不十分であるときに、勧告どおりの措置内容を実現するため損害賠償等を求める住民訴訟を提起することができるのであつて、本訴のように、執行機関が監査委員の勧告どおり(むしろそれを上廻る)措置を講じたのにもかかわらず、それ以上の措置を求めることは、と するため損害賠償等を求める住民訴訟を提起することができるのであつて、本訴のように、執行機関が監査委員の勧告どおり(むしろそれを上廻る)措置を講じたのにもかかわらず、それ以上の措置を求めることは、とりもなおさず、監査委員の勧告に対する不服にほかならない。 (四) 新たな証拠(省略)○ 理由一控訴人が、昭和五五年二月四日付をもつて、福岡県監査委員に対し、法二四二条に基づく住民監査請求を行い、東福岡財務事務所間税課職員に時間外手当等が違法に支給されていることを指摘して、過去の違法支給分を福岡県に返却するよう要求しあわせて将来の是正措置を強く要請したこと、右請求を受けた同監査委員が、同年四月四日付をもつて、知事に対し、「昭和五五年二月四日付で、福岡市中央区福浜二丁目二番四の四〇三無職長谷川喜博から地方自治法(以下「法」という。)第二四二条第一項の規定により提出された住民監査請求に基づいて、福岡県東福岡財務事務所間税課における昭和五四年一〇月分及び同年一一月分の時間外勤務手当並びに旅費の支給につき、福岡県東福岡財務事務所及び総務部関係各課の監査を実施した結果、そのいずれの経費についても従来から潜在的な実績を含め間税課の運用により支給されていることを認めた。 しかし、今後は法令等に基づく手続きにより支給するよう措置を講じられたく、法第二四二条第三項の規定により勧告します。」との本件勧告等を行つたこと、右勧告を受けた知事が、昭和五五年四月三〇日、同監査委員に対し、東福岡財務事務所間税課における時間外手当等の支給につき同年二月分から法令等に基づく手続により支給するよう措置(以下「本件措置」という。)を講じた旨を通知したこと、以上の事実はいずれも当事者間に争いがなく、さらに、成立に争いがない甲第一号証によれば、同監査委員は、法二四二条七項の規定にし り支給するよう措置(以下「本件措置」という。)を講じた旨を通知したこと、以上の事実はいずれも当事者間に争いがなく、さらに、成立に争いがない甲第一号証によれば、同監査委員は、法二四二条七項の規定にしたがい、同年五月一〇日、知事からなされた右通知にかかる本件措置事項を控訴人に通知したことが認められ、これに反する証拠はない。そして、控訴人が、同監査委員から右通知を受けた日から三〇日以内である同年六月五日に本訴を提起したことは、記録上明らかである。 二ところで、本訴は、控訴人が、本件監査請求の結果、普通地方公共団体である福岡県の職員であつた被控訴人に対し、同県に代位して提起した損害賠償の請求であるところ、被控訴人は、本件措置において知事は監査委員の勧告どおりかあるいはそれを上廻る措置を講じているのにかかわらず、本訴は、それ以上の措置を求めるものであるから、知事の措置に不服がある場合の訴訟提起としての要件を欠き不適法であると主張する。 (一) そこでまず、法が規定する住民監査請求及び訴訟制度について概観するに、法二四二条・二四二条の二の各規定に徴すれば、地方公共団体(地方自治体)の財務会計に関する違法な状態の発生を防止し、またはこれを是正するため、住民からの監査請求が認められ、右請求がなされた場合、監査委員は、監査を実施し、請求に理由があると認めるときは、執行機関等に対し必要な措置を講ずべきことを勧告し、右勧告を受けた執行機関等は、当該勧告に示された期間内に必要な措置を講ずべきものとされ、右請求人は、監査委員の監査結果または勧告に不服がある場合は当該監査の結果または勧告の内容の通知があつた日から三〇日以内に、監査委員の勧告を受けた執行機関等の措置に不服がある場合は当該措置について監査委員の通知があつた日から三〇日以内に、また、監査請求をした日か 査の結果または勧告の内容の通知があつた日から三〇日以内に、監査委員の勧告を受けた執行機関等の措置に不服がある場合は当該措置について監査委員の通知があつた日から三〇日以内に、また、監査請求をした日から六〇日を経過しても監査委員が監査または勧告を行わない場合は当該六〇日を経過した日から三〇日以内に、監査委員の勧告を受けた執行機関等が必要な措置を講じない場合は当該勧告に示された期間を経過した日から三〇日以内に、普通地方公共団体に代位して行う損害賠償の請求その他の住民訴訟を提起することが許されている。右のとおり、監査委員の監査の結果または勧告に不服があるときの訴訟(一号請求訴訟)提起と、勧告を受けた執行機関等の措置に不服があるときの訴訟(二号請求訴訟)提起とが段階的に定められ、しかも、各別にその出訴期間が法定されているのであるから、監査委員の勧告がなされた場合において、当該勧告を受けた執行機関等が講じた措置が勧告内容と全く同一であつたときには、たとえ、執行機関等が講じた措置に対する不服として住民訴訟を提起しても、それは監査委員の勧告に対する不服にほかならないから、既に、当該勧告に不服がある場合の訴訟提起としての出訴期間を徒過している場合には不適法な訴えとなることはいうまでもない。 (二) しかしながら、さきに見たように、住民監査請求手続は、(1)住民の監査請求、(2)監査委員による監査の実施と監査結果に基づく勧告、(3)勧告に基づく執行機関等の措置と、段階的に処理されるものではあるが、前記のような住民監査制度の目的及び性質に照らすと、監査請求に基づいて監査委員が行う勧告は、それ自体地方自治体内部における非強制的、任意的な手続であつて、監査請求の当否を判定して執行機関等の措置義務の内容を確定する手続ではないことが明らかである。したがつて、住民が 監査委員が行う勧告は、それ自体地方自治体内部における非強制的、任意的な手続であつて、監査請求の当否を判定して執行機関等の措置義務の内容を確定する手続ではないことが明らかである。したがつて、住民が行う監査請求は、執行機関に対し特定の措置を講ずべきことを求める特定の内容を有する請求であることを要せず、また、監査委員の勧告も住民が行う監査請求と厳密に対応する必要はなく、監査委員は監査請求の範囲に拘束されることなく、監査理由として主張される事由以外の点も審査して勧告をすることもできるのみならず、また、執行機関等は、監査委員の勧告を受けた場合においても、自己の責任と判断に基づいて必要な措置を講ずれば足り、かならずしも監査委員の勧告の内容に拘束されるものではないと解せられる。そうだとすれば、監査委員が法二四二条三項に基づいて行う勧告とは、執行機関等に対して特定の措置を講ずべきことを勧告するものに限られる旨限定的に解するのは、住民監査請求制度の目的及び性質に照らして相当ではなく、地方自治体の財務会計に関する違法な状態を指摘するにとどめ、その是正措置の選択を執行機関等に委ねる形式の勧告もまた法二四二条三項にいわゆる勧告に含まれると解するのが相当である。 (三) 以上に鑑み、本件勧告等が、被控訴人の主張するように、知事に対し将来の是正措置を講ずべきことを勧告したにとどまるものか否かについて検討する。 控訴人が東福岡財務事務所間税課職員に対する時間外手当等の支給につき違法な支給がなされていることを指摘し、過去の違法支給分の県への返却と将来の是正措置とを要求して、本件監査請求を行つたものであることは前叙のとおりであり、さらに、冒頭掲記の当事者間に争いがない事実に成立に争いがない乙第一七号証をあわせると、右監査請求を受けた福岡県監査委員は、請求人である控訴人が 件監査請求を行つたものであることは前叙のとおりであり、さらに、冒頭掲記の当事者間に争いがない事実に成立に争いがない乙第一七号証をあわせると、右監査請求を受けた福岡県監査委員は、請求人である控訴人が提出した証拠資料及び控訴人の陳述に基づき、東福岡財務事務所間税課職員二二名に支給された昭和五四年一〇月分及び同年一一月分の時間外手当等を対象とし、同財務事務所及び福岡県総務部関係各課を監査対象機関とし、前記各職員らの出勤簿・休暇等届・承認簿及び法令等によつて定められた諸帳簿並びにこれら以外に間税課で作成された時間外勤務命令伺簿・時間外手当明細表・旅行伺復命及び旅費割当表等諸帳簿のすべてについて調査し、かつ、各機関の責任者等からの詳細な事情聴取を重ね、その実態を精査した結果、知事に対し、昭和五五年四月四日、前記のとおりの本件勧告等を行い、あわせて請求人である控訴人に対して、同日、その通知をしたものであるが、右通知書には、法二四二条三項による勧告を別添写しのとおりした旨の記載があるところ、別添写しには、前記のとおりの本件勧告等の全文がそのまま記載されていることが認められ、これに反する証拠はない。 右認定の本件監査請求の対象、監査の経緯及び結果、監査結果に基づく本件勧告等の内容並びに控訴人に対する通知の形式などを勘案して本件勧告等の趣意とするところを読みとれば、第一に、東福岡財務事務所間税課における昭和五四年一〇月分及び同年一一月分の時間外手当等の支給については、これが法令等に基づかない手続によつてなされている事実を指摘するにとどめ、これに関してとるべき措置の選択を知事に委ね、第二に、今後の時間外手当等の支給については、法令等に基づく手続によつてなされるよう措置を講ずるよう勧告したものと認めるのが相当であつて、法二四二条三項の勧告に当るのは右の第二 の選択を知事に委ね、第二に、今後の時間外手当等の支給については、法令等に基づく手続によつてなされるよう措置を講ずるよう勧告したものと認めるのが相当であつて、法二四二条三項の勧告に当るのは右の第二の点のみに限られる旨の主張は採用しない。 (四) のみならず、前認定のように、本件勧告等が、東福岡財務事務所間税課における昭和五四年一〇月分及び同年一一月分の時間外手当等の支給が法令等に基づかない手続によつてなされたことを認め、監査請求人である控訴人の主張をほぼ全面的に認めているのであるから、これにより、控訴人が同月分の時間外手当等の支給についても知事から適切な措置がなされるものと期待したとしても、それはあながち無理からぬことである。したがつて、知事が、本件措置においてこれに全く触れなかつたのは、実質上、本件勧告等を下廻るものであり、これを目して勧告どおりないし勧告を上廻るものであるとは到底認め難い。そうだとすれば、仮に本件勧告等のうち前記第一の点が法二四二条三項の勧告に含まれないとしても、本訴はなお実質的に見て執行機関等の措置に不服がある場合の住民訴訟(二号請求訴訟)とみるのが相当である。 三以上のとおりであるから、本訴は、本件勧告等に基づいて福岡県知事が講じた措置に不服がある場合として、東福岡財務事務所間税課職員二二名に対し支給された昭和五四年一〇月分の時間外手当等に関し、同県に代位して同県職員であつた被控訴人に対し損害賠償を請求するものであり、したがつて、法定の出訴期間内に提起されたものというべきであるのみならず、訴えの利益にも欠けるところはないというべきである。したがつてこれらに関する被控訴人の主張はいずれも理由がない。 四そうすると、法定の出訴期間経過後に提起されたものであることを理由に、訴えを不適法として却下した原判決は失当で いというべきである。したがつてこれらに関する被控訴人の主張はいずれも理由がない。 四そうすると、法定の出訴期間経過後に提起されたものであることを理由に、訴えを不適法として却下した原判決は失当であり、本件控訴は理由があるから、民訴法三八八条に従い、原判決を取り消し、本件を第一審裁判所である福岡地方裁判所に差し戻すべきものとし、主文のとおり判決する。 (裁判官松村利智金澤英一早舩嘉一)

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る