令和5(わ)814 入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反、公契約関係競売入札妨害、加重収賄

裁判年月日・裁判所
令和6年2月8日 京都地方裁判所
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判決文本文2,958 文字)

主文 被告人を懲役1年に処する。 この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。 被告人から10万円を追徴する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、令和2年7月27日から同年11月30日までの間、宇治田原町建設事業担当理事として、同町建設環境課が所管する工事の発注業務等を統括する職務に従事していたものであるが、第1 1 同町が同年9月3日に執行した「宇治田原中央公園造成工事(その3)」の一般競争入札に関し、前記職務に従事する者として適正に入札等に関する職務を行う義務があるのに、その職務に反し、土木工事の設計、施工、監理及び請負等を目的とするA株式会社の実質的経営者として、その業務全般を統括していた分離前の相被告人Bと共謀の上、同年8月中旬頃、京都府綴喜郡(住所省略)所在のC駅ロータリーに停車中の自動車内において、Bに対し、上記入札における秘密事項である最低制限価格を算出する基準となる予定価格と同額の設計金額(税抜き)が約6,170万円である旨教示し、Bに最低制限価格を推知させた上、同年9月2日、京都府木津川市(住所省略)所在のA建物内において、同社従業員Dをして、電子入札システムにより、最低制限価格5,180万円(税抜き)に近接する5,186万円(税抜き)で入札させ、よって同月3日、上記工事を同社に落札させ、もって入札等に関する秘密を教示するとともに、偽計を用いて、公の入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為を行い、 2 宇治田原町が同日に執行した「贄田立川線道路工事(その4)宇治田原中央公園造成工事(その2)」の一般競争入札に関し、前記職務に従事する者として適正に入札等に関する職務を行う義務があるのに、その職務に反し、同年8月中旬頃、 前記停車中の自動車内 )宇治田原中央公園造成工事(その2)」の一般競争入札に関し、前記職務に従事する者として適正に入札等に関する職務を行う義務があるのに、その職務に反し、同年8月中旬頃、 前記停車中の自動車内において、Bに対し、上記入札における秘密事項である最低制限価格を算出する基準となる予定価格と同額の設計金額(税抜き)が約1億7,540万円である旨教示し、Bに最低制限価格を推知させた上、同年9月2日、A建物内において、Dをして、電子入札システムにより、最低制限価格1億4,735万円(税抜き)に近接する1億4,740万円(税抜き)で入札させ、もって入札等に関する秘密を教示することにより入札等の公正を害すべき行為を行い、第2 同年8月中旬頃、前記停車中の自動車内において、Bに対し、第1の1及び2記載のとおり各設計金額をそれぞれ教示する職務上不正な行為をし、これらに対する謝礼であることを知りながら、即時、上記自動車内において、Bから現金10万円の供与を受け、もって職務上不正な行為をしたことに関し、賄賂を収受した。 (確定裁判)被告人は、令和3年6月10日京都地方裁判所で入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律(以下「官製談合防止法」という。)違反、加重収賄の罪により懲役2年(3年間執行猶予)に処せられ、その裁判は同月25日確定したものであって、この事実は検察事務官作成の前科調書(乙7)及び判決書謄本(乙8)によって認める。 (法令の適用) 1 構成要件及び法定刑を示す規定、科刑上の一罪の処理被告人の判示第1の所為のうち、1及び2の各入札等に関する秘密教示の点は1と2とを包括して官製談合防止法8条に、1の公契約関係競売入札妨害の点は刑法60条、96条の6第1項にそれぞれ該当するところ、 被告人の判示第1の所為のうち、1及び2の各入札等に関する秘密教示の点は1と2とを包括して官製談合防止法8条に、1の公契約関係競売入札妨害の点は刑法60条、96条の6第1項にそれぞれ該当するところ、判示第1の1は1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるから、刑法54条1項前段、10条により、結局以上を1罪として重い入札等に関する秘密教示の罪の刑で処断する(ただし、罰金刑の任意的併科については公契約関係競売入札妨害罪の刑のそれによる。)。 判示第2の所為は刑法197条の3第2項、1項に該当する。 2 刑種の選択 判示第1の罪について懲役刑を選択する。 3 併合罪の処理各罪と前記確定裁判があった罪とは刑法45条後段により併合罪の関係にあるから、刑法50条によりまだ確定裁判を経ていない判示各罪について更に処断することとし、なお、判示各罪もまた刑法45条前段により併合罪の関係にあるから、刑法47条本文、10条により重い判示第2の罪の刑に刑法47条ただし書の制限内で法定の加重をする。 4 宣告刑の決定以上の刑期の範囲内で被告人を懲役1年に処する。 5 刑の執行猶予情状により刑法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。 6 追徴被告人が判示第2の犯行により収受した賄賂は没収することができないので、刑法197条の5後段によりその価額10万円を被告人から追徴する。 (量刑の理由)被告人は、当時、宇治田原町建設事業担当理事として、所掌する工事の入札等を適正に行うべき管理職の立場にありながら、秘密性の高い本件各工事の設計金額を、落札を希望していた会社の実質的経営者に教示したのであって、現に、本件各工事のうち1件については同社が落札していることにも照らし、入札の公正が大きく にありながら、秘密性の高い本件各工事の設計金額を、落札を希望していた会社の実質的経営者に教示したのであって、現に、本件各工事のうち1件については同社が落札していることにも照らし、入札の公正が大きく損なわれたというべきである。加えて、これらに対する謝礼として上記経営者から現金10万円を受け取っており、その金額は高額ではないが、公務の公正に対する信頼も大きく失わせた。 被告人は、かねて仕事上の付き合いがあった上記経営者の働き掛けに応じて、本件各工事の入札不成立を避けるためや、入札業者に恩を売るためなどの考えから、上記経営者に入札に関する秘密を教示するとともに、上記経営者からの賄賂をその謝礼と認識しながら断り切れずに受領している。自ら持ち掛けたものではなく、賄 賂の要望や約束はなかったものの、上記経営者の依頼や謝礼の申出に応じて安易に本件各犯行に及んでいる。いずれも公正な公務遂行の重要性を軽視する発想による犯行であって、その動機に特段酌むべき点はなく、相応の責任非難は免れない。 以上からすれば、被告人の刑事責任は決して軽いものではないが、本件が前記確定裁判の余罪であること、被告人が事実を認めて反省の態度を示していること、長女や妻らからの支援が見込まれること等の被告人のために酌むべき事情も考慮し、被告人を主文の刑に処した上、その執行を猶予するのが相当であると判断した。 (求刑・懲役1年、主文同旨の追徴)令和6年2月9日京都地方裁判所第1刑事部裁判長裁判官増田啓祐裁判官國分進裁判官尾 﨑 晴菜 判官 國分進裁判官 尾崎晴菜

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