平成25(た)1 再審請求事件

裁判年月日・裁判所
平成28年3月28日 札幌地方裁判所
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判決文本文32,857 文字)

- 1 -平成25年(た)第1号再審請求事件決定 主文 本件再審請求を棄却する。 理由 第1 本件再審請求の趣旨及び理由本件再審請求の趣旨及び理由は,弁護人ら作成の再審請求書及び再審請求補充書(一)から(四)までにそれぞれ記載のとおりであるから,これらを引用する。 論旨は,要するに,確定判決の有力な証拠である鑑定書及びネジ(以下「本件ネジ」という。)について,鑑定書の前提となった水溶液分析が存在しなかったこと及び本件ネジの発見がねつ造されたことをそれぞれ明らかにする証拠を新たに発見したから,確定判決に対し,刑事訴訟法435条6号により再審を請求するというものである。 (なお,以下に引用する証拠の番号は,提出された審級における番号であり,「検」は検察官提出であることを,「弁」は弁護人提出であることを,また「再弁」は当審に新証拠として提出されたものであることを,それぞれ示す。)第2 判決確定に至る経緯及び確定判決等の内容 1 判決確定に至る経緯請求人は,昭和51年9月23日,確定判決が認定した犯罪事実と同旨の爆発物取締罰則違反,殺人,殺人未遂の公訴事実により,札幌地方裁判所に起訴され,同裁判所は,昭和58年3月29日,同犯罪事実につき請求人に対し有罪(死刑)の言渡しをした(確定判決。以下,その審理を「確定第1審」という。)。札幌高等裁判所は,昭和63年1月21日,請求人の控訴を棄却し(以下,その審理を「確定控訴審」という。),最高裁判所は,平成6年7月15日,請求人の上告を棄却し(以下,その審理を「確定上告審」という。),同年9月5日,請求人の判決訂正申立てを棄却し,同年9月6日,第1審判決が確 確定控訴審」という。),最高裁判所は,平成6年7月15日,請求人の上告を棄却し(以下,その審理を「確定上告審」という。),同年9月5日,請求人の判決訂正申立てを棄却し,同年9月6日,第1審判決が確定し - 2 -た(以下,確定第1審から確定上告審の判決訂正申立て棄却までを総称して「確定審」という。)。 2 確定判決の有罪認定及び請求人と犯行との結び付きを認めた判断の概要(1) 確定判決が認定した罪となるべき事実の要旨は,請求人は,氏名不詳者と共謀の上,治安を妨げかつ人の身体財産を害する目的並びに爆発地点付近に現在する多数人に対する殺意をもって,昭和51年3月2日午前8時20分過ぎ頃,消火器(容量約5.2リットル)1本に塩素酸ナトリウム,硫黄,木炭粉の混合爆薬を詰め,これに旅行用時計,乾電池,電気雷管等からなる時限式起爆装置を接続させ,これらをスポーツバッグに収納した手製の時限式消火器爆弾1個(以下「本件爆発物」という。)を,北海道庁本庁舎(以下「道庁」という。)1階西側4号エレベーター昇降口北側の東方に面した壁際の磁器タイル張り床面に装置し,同日午前9時2分頃,これを爆発させ,もって,爆発物を使用するとともに,上記爆発により,死亡の可能性のある地域たる道庁1階エレベーターホールに居合わせた2名を殺害したが,同様死亡の可能性のある地域たる同エレベーターホール等に居合わせた81名に対しては傷害を負わせたにとどまり,殺害するに至らなかったというものである(以下「本件犯行」という。)。 (2) 確定判決は,①請求人には本件犯行を敢行する十分な動機があったこと,②請求人が本件犯行についての犯行声明文の作成に濃密に関与したこと,③請求人が本件爆発物を製造したこと,④請求人が本件爆発物を爆心地に装置したことの各事実を認定して, 行する十分な動機があったこと,②請求人が本件犯行についての犯行声明文の作成に濃密に関与したこと,③請求人が本件爆発物を製造したこと,④請求人が本件爆発物を爆心地に装置したことの各事実を認定して,請求人が本件爆発物を装置使用した犯人であることは明白であるとし,さらに,⑤請求人の言動等には請求人が本件犯行の犯人でなければ到底理解し難いものがあること,⑥請求人のアリバイに関する弁解を入れる余地が全くないこと,⑦請求人のその余の弁解にも理由がないことの各事実も総合して,請求人と本件犯行との結び付きを認めた。 そして,確定判決は,請求人が本件爆発物を製造したことという上記③の - 3 -事実を認定するに当たり,北海道警察(以下「道警」という。)本部刑事部犯罪科学研究所技術吏員A及び同B作成の昭和51年8月28日付け鑑定書(確定第1審検700,以下「本件鑑定書」という。)等の証拠により,本件爆発物の爆薬が塩素酸ナトリウム,硫黄及び木炭粉を混合した爆薬であること,請求人が投棄した花柄ビニールシート1枚(確定第1審検692,以下「本件ビニールシート」という。)及び花柄カーテン1枚(確定第1審検693,以下「本件カーテン」という。)には,硫黄,木炭粉及び白色粉末様のものが付着していたこと,この白色粉末様の付着物を脱脂綿で拭き取り,更に蒸留水の中でほぐしてフィルターでろ過し,水に可溶な部分(水溶液)と不溶な部分とに分離した上,この水溶液について各種の検査を行ったところ,カルシウムイオンの反応はなく,塩素イオンの反応も疑陽性で,ただ塩素酸イオンの反応のみが明らかに陽性を示し,しかも炎色反応からはナトリウムが検出され,カリウムは検出されなかったという検査結果から,上記付着物が塩素酸ナトリウムであることの各事実を認定し,これらの事実から請求人 応のみが明らかに陽性を示し,しかも炎色反応からはナトリウムが検出され,カリウムは検出されなかったという検査結果から,上記付着物が塩素酸ナトリウムであることの各事実を認定し,これらの事実から請求人が高濃度塩素酸塩系除草剤を入手して本件爆発物の爆薬と同一成分の混合爆薬を製造した事実を認定した。 また,確定判決は,請求人が本件爆発物を製造したことという上記③の事実を認定するに当たり,本件爆発物の時限装置にはCという旅行用時計が使用されたこと,Cには,ケース止めネジ2本,下板止めネジ3本(以上の5本ともプラスマイナス兼用ネジ)及びリン止めネジ2本(いずれもマイナスネジ)の計7本のネジが使用されているのに,本件爆破現場からは,リン止めとして使用された2本及び下板止めとして使用された2本の計4本のプラスマイナス兼用ネジが発見されただけで,残りのプラスマイナス兼用ネジ1本及びマイナスネジ2本については発見されていないこと,ケース止め又は下板止め用のプラスマイナス兼用ネジとリン止め用マイナスネジは,相互に転用が可能であり,本件爆発物の時限装置に使用されたC(以下「本件C」 - 4 -という。)のネジの装着状況,本件爆発物の時限装置の製造工程として考えられるネジの着脱過程等によれば,本件Cを本件爆発物の時限装置にするべく工作した者が本来のリン止め用のマイナスネジの代わりにケース止め用のプラスマイナス兼用ネジをリン止めとして使用したことの各事実を認定して,その者の手元にはリン止め用マイナスネジ2本が残されているはずであるとした。他方,証人Dの証言,ネジ1個(確定第1審検766,本件ネジ)等の証拠により,道警本部警備部外事課所属のD警部が,昭和51年8月10日午後4時18分から同日午後6時10分までの間,請求人居室において検証及び捜索差押 ,ネジ1個(確定第1審検766,本件ネジ)等の証拠により,道警本部警備部外事課所属のD警部が,昭和51年8月10日午後4時18分から同日午後6時10分までの間,請求人居室において検証及び捜索差押えを実施した際,遺留されていた請求人所有の布団袋(以下「本件布団袋」ともいう。)の中から本件ネジを発見し押収したこと,本件ネジがCのリン止めネジと同一規格のマイナスネジであること,請求人がCを入手可能であったことの各事実を認定し,これらの事実から本件ネジが本件Cのリン止めネジのうちの1本であるとの事実を認定した。 3 控訴審判決の判断の概要(1) 控訴審判決は,弁護人及び請求人の事実誤認の主張中,請求人と本件犯行との結び付きについて,控訴審での事実取調べの結果を併せて検討し,請求人を本件の犯人であると認定した確定判決の事実認定の結論に誤りはないとした。 (2) 控訴審判決は,①請求人が本件爆発物を製造したこと,②請求人が本件犯行の犯行声明文の作成に関与したこと,③本件犯行当日,本件爆発物が爆発する約半時間前,バッグを携えた2人連れの男が道庁西玄関に出入りするのを目撃し,そのうちの1人が請求人に非常によく似ている旨の目撃証言の根幹をなす部分の信用性が相当に高いこと,④請求人には,本件犯行の十分な動機があったこと,⑤本件爆発物が爆発した時間帯の請求人のアリバイが明らかとはいい難いのみならず,請求人の事件当日以来の行動等が本件事件自体に無関係な者のとる態度としては異常なものであることなどを認め又は指 - 5 -摘した上で,請求人と本件犯行との結び付きは証拠上疑いを入れない程度にまで明らかになったとした。 そして,控訴審判決は,請求人が本件爆発物を製造したことという上記①の事実を認定するに当たり,請求人の動静を監視してい 行との結び付きは証拠上疑いを入れない程度にまで明らかになったとした。 そして,控訴審判決は,請求人が本件爆発物を製造したことという上記①の事実を認定するに当たり,請求人の動静を監視していた警察官が,昭和51年8月7日,請求人が軍手(以下「本件軍手」という。),本件ビニールシート及び本件カーテン等の入った段ボール箱を投棄するのを現認して収集し,北海道庁庁舎内爆破事件特別捜査本部(以下「爆捜本部」という。)に持ち帰って領置し,爆捜本部が,道警本部刑事部犯罪科学研究所に,同段ボール箱及びその内容物の鑑定を嘱託し,Aが同月8日からその鑑定を行ったこと,その鑑定において,まず,外観検査からは,肉眼で観察して鑑定資料のほとんど全部に木炭の粉末が付着している状態が認められたこと,そのうち本件ビニールシート(大きさ83cm×70cm)及び本件カーテン(大きさ98cm×92cm)の表面には,木炭の粉末様のものが付着しているのが認められ,実体顕微鏡で観察すると,数mg以下と思われる程度の微量の粉末様のものの付着が認められたため,表面を払い落とし,水を含ませた脱脂綿をピンセットで挟んで拭き取り,水に浸すなどの方法で採取し,200ml入りビーカー1杯くらいの純水の中にほぐして入れ,ろ紙でこして可溶部分と不溶部分とに分けた上,それぞれ検査したところ,不溶部分からは硫黄と木炭末が検出され,他方,可溶部分の水溶液については,10ml位に濃縮した上,硝酸銀試液法により検査したところ,塩素イオンの反応が疑陽性,塩素酸イオンの反応が陽性であることがそれぞれ観察され,次いで,この水溶液を約1ml取り分け,これを漸次濃縮し,それぞれの濃度段階で炎色反応検査を試み,最終的には濃度約10倍まで濃縮して検査したところ,ナトリウムイオンの反応が陽性,カリウムイオンの反 次いで,この水溶液を約1ml取り分け,これを漸次濃縮し,それぞれの濃度段階で炎色反応検査を試み,最終的には濃度約10倍まで濃縮して検査したところ,ナトリウムイオンの反応が陽性,カリウムイオンの反応が陰性であることがそれぞれ観察されたこと,本件軍手についても,同様の検査を行ったところ,塩素イオン及び塩素酸イオンの反応がいずれも陽性であるほか,ナトリウムイオン,カ - 6 -リウムイオンともに陽性であることが観察されたこと,Aは,鑑定嘱託の内容から判断して,鑑定嘱託の重点は塩素酸イオンの検出の有無にあると考え,その相手となる陽イオンがナトリウムであるか,カリウムであるかについては,エックス線回析によって確定する方針のもとに,その点の結論をしばらく留保することとし,爆捜本部の正式の鑑定依頼とは別に,爆捜本部の警察官Eから口頭で上記各資料につき塩素酸イオンの付着の有無を知らせるよう依頼されていたため,同日午後,電話でEに本件ビニールシート,本件カーテン及び本件軍手に塩素酸イオンが付着していた旨連絡するとともに,上司へ翌日報告するのに備えて,電話通信用紙(確定控訴審検173,以下「本件電話通信用紙」という。)に当日行った検査結果を記載したこと,以上の検査結果を踏まえて,Aらが本件鑑定書を作成し,「鑑定結果」の項に,本件ビニールシート及び本件カーテンから塩素酸イオン,硫黄,木炭末が検出された旨記載したことなどの各事実を認定し,Aが上記鑑定結果を得たことは十分信用することができるとして,本件ビニールシート及び本件カーテンに塩素酸ナトリウムが付着していた事実,さらに,請求人が,本件犯行当時,高濃度塩素酸塩系除草剤を所持していた事実を認定した。 また,控訴審判決は,請求人が本件爆発物を製造したことという上記①の事実を認定するに当たり, いた事実,さらに,請求人が,本件犯行当時,高濃度塩素酸塩系除草剤を所持していた事実を認定した。 また,控訴審判決は,請求人が本件爆発物を製造したことという上記①の事実を認定するに当たり,本件ネジに関し,第1審判決が認定した事実とほぼ同様の事実のほか,本件ネジの頭部にはドライバーで付けたと思われる痕跡が残されていたこと,請求人が何らかの理由で本件ネジをドライバーでいじった際にこの傷をつけたことの各事実を認定した上,本件Cはリン止め用のマイナスネジが取り外され,これに代えてケース止めに用いられていたと推認されるプラスマイナスネジが取り付けられているという特異なネジの用い方がされていたのであるから,Cのリン止め用マイナスネジに適合する本件ネジが本件布団袋の中から発見されたことは,請求人が本件爆発物の時限装置の工作,ひいては本件爆発物の製造に関与したことを推認させる有力な - 7 -状況証拠であるとした。 4 上告審判決の判断の概要上告審判決は,弁護人及び請求人の上告趣意は,いずれも刑事訴訟法405条の上告理由には当たらないとした上,記録を調査しても,同法411条を適用すべきものとは認められないとし,括弧書きで,請求人が本件犯行の犯人の1人とした原判断は正当として是認できる,原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は当裁判所もこれを是認せざるを得ないと説示した。 第3 第1次再審請求 1 請求人は,本件鑑定書に係る鑑定(以下「本件鑑定」という。)中,鑑定資料である本件ビニールシート及び本件カーテンから塩素酸イオン及びナトリウムが検出されたとの記載部分の前提となるAによる水溶液分析(以下「A水溶液分析」という。)は実施されておらず,不存在であって,請求人が高濃度塩素酸塩系除草剤を入手した事実を認定することはできない ウムが検出されたとの記載部分の前提となるAによる水溶液分析(以下「A水溶液分析」という。)は実施されておらず,不存在であって,請求人が高濃度塩素酸塩系除草剤を入手した事実を認定することはできないから,刑事訴訟法435条6号の再審事由があるなどと主張して,平成14年7月30日,確定判決に対し,再審を請求した(以下「第1次再審」という。)。札幌地方裁判所は,平成19年3月19日,再審請求を棄却し,札幌高等裁判所は,平成20年5月28日,請求人の即時抗告を棄却し,最高裁判所は,平成23年12月19日,請求人の特別抗告を棄却した。 2 第1次再審第1審決定の判断の概要第1次再審第1審決定は,Aの確定審における証言は,「昭和51年8月8日午前9時頃,本件鑑定の鑑定作業を開始し,同日午後2時30分頃,道警本部警備課に対し,それまでに行った鑑定の結果として,本件ビニールシート,本件カーテン及び本件軍手から塩素酸イオンが検出されたことと,本件ビニールシート,本件カーテン等に木炭末の付着があったことを中間回答した」というものであるが,本件ビニールシート,本件カーテン及び本件軍手の付着物の水溶液の濃縮方法に関しては,これをビーカーに入れた状態で濃縮した趣旨を供 - 8 -述したものと理解することはできず,むしろ蒸発皿を使用した趣旨であった可能性の方が高いとした。その上で,弁護人提出の新証拠(200mlビーカーに入った水溶液をウォーターバスにより濃縮する際の経過時間と濃縮量との関係についての鑑定結果に関するもの)は,上記A証言から想定できる容器の一つではあるが,どちらかといえば可能性の低いビーカーを使った場合には,中間回答までにA水溶液分析が完了できないことを示唆するにとどまり,より可能性の高い蒸発皿を使った場合については,何も語るとこ 一つではあるが,どちらかといえば可能性の低いビーカーを使った場合には,中間回答までにA水溶液分析が完了できないことを示唆するにとどまり,より可能性の高い蒸発皿を使った場合については,何も語るところがなく,A水溶液分析が時間的に不可能であるという疑いが生じるものではないとした。また,検察官提出の意見書に添付された実験立会報告書謄本(蒸発皿に入った水溶液をウォーターバスにより濃縮した実験結果に関するもの)も,A水溶液分析の時間的可能性に合理的な疑いを抱かせる根拠にはならないとした。そして,A水溶液分析の不存在に関する弁護人提出の新証拠等には,証拠の明白性が認められないとした。 3 即時抗告審決定の判断の概要即時抗告審決定は,Aが濃縮作業に用いたのは蒸発皿であったことが合理的に推認され,Aが容量の大きな蒸発皿を使用したり,複数の蒸発皿を使用したりした可能性が高く,A水溶液分析は時間的に十分に可能であったとして,証拠の明白性を否定した第1審決定の判断に誤りはないとした。 4 特別抗告審決定の判断の概要特別抗告審決定は,請求人及び弁護人の抗告趣意は刑事訴訟法433条の抗告理由に当たらないとした。 第4 A水溶液分析が存在しなかったという主張について 1 弁護人の主張の要旨昭和51年8月8日午前9頃に本件鑑定の鑑定作業を開始したとして,所要時間を最大限短く見積もっても,実験準備及び鑑定資料37点の観察及び仕分けに30分,本件ビニールシート又は本件カーテンの一方について,外観検査 - 9 -に10分,付着物採取に1時間,採取物の顕微鏡検査に10分は必要であるから,その水溶液の濃縮開始は早くとも午前10時50分である。残る一方の外観検査,付着物採取,採取物の顕微鏡検査にも同様に合計1時間20分は要するから,その ,採取物の顕微鏡検査に10分は必要であるから,その水溶液の濃縮開始は早くとも午前10時50分である。残る一方の外観検査,付着物採取,採取物の顕微鏡検査にも同様に合計1時間20分は要するから,その水溶液の濃縮開始は早くとも午後零時10分である。さらに,本件軍手の外観検査及び水溶液採取に少なくとも15分は見込まれるので,本件軍手の水溶液の濃縮開始は早くとも午後零時25分である。その上で,濃縮した水溶液を試験管に小分けして複数のイオン検査を行っており,その作業に15分くらいは必要である。他方,中間回答の時刻から遡ると,最後に完成した水溶液の濃縮は,遅くとも午後2時15分には終わっていなければならない。 そうすると,各水溶液を10mlに濃縮するための時間は,それぞれ約3時間25分,約2時間5分,約1時間50分以内でなければならない。DVD「蒸発皿による水の濃縮」(再弁1)によれば,水溶液の濃縮に蒸発皿を使ったとしても,上記の時間内に濃縮することは時間的に不可能である。また,中間回答に関しAが作成した本件電話通信用紙は,中間回答を行った午後2時30分には,電話通信用紙添付の一覧表記載の資料全部について,塩素酸イオンの有無についての検査を終えたという趣旨であるが,それは時間的に不可能である。 したがって,A水溶液分析は存在しなかった。 2 新証拠の概要A水溶液分析が存在しなかったという主張に関する新証拠は,再弁1である。 これは,蒸発皿による水の濃縮実験の様子を撮影,録画したものであり,容量260mlの蒸発皿4枚にそれぞれ200mlの水道水を入れ,各蒸発皿をウォーターバスに載せて水道水を濃縮したところ,2時間5分濃縮した後の残量が36.0ml,33.7ml,29.0ml,28.1mlであり,2時間30分濃縮した後の残量が14.8ml,14.0m 皿をウォーターバスに載せて水道水を濃縮したところ,2時間5分濃縮した後の残量が36.0ml,33.7ml,29.0ml,28.1mlであり,2時間30分濃縮した後の残量が14.8ml,14.0ml,11.1ml,7. 0mlであったというものである。 3 証拠の新規性について - 10 -第1次再審第1審において提出された司法警察員F作成の平成14年12月2日付け実験立会報告書謄本(検察官作成の平成15年12月19日付け意見書添付資料8)には,蒸発皿を使った濃縮実験の結果が記載されているので,この証拠との関係で再弁1の証拠の新規性が問題となる。 しかし,上記実験立会報告書謄本は,塩素酸ナトリウム5mgを溶かした水溶液を蒸発皿に入れてウォーターバスで濃縮する実験をしたところ,容量100mlの蒸発皿に入れた60mlの水溶液が55分で9mlに,容量100mlの蒸発皿に入れた90mlの水溶液が77分で9.6mlに,容量200mlの蒸発皿に入れた175mlの水溶液が153分で7mlに,容量600mlの蒸発皿に入れた200mlの水溶液が83分で10.3mlにそれぞれ濃縮されたというものであり,溶液の量や容器の容量といった濃縮実験の条件が再弁1とは異なっている。そうすると,再弁1は,上記実験立会報告書謄本とは証拠資料としての意義が異なると考えられる。そして,再弁1の実験が行われたのは,第1次再審請求の請求棄却決定確定後である平成24年11月10日及び同年12月1日であるから,証拠の新規性は否定されないというべきである。 4 証拠の明白性について(1) A水溶液分析の存否に関連する主な旧証拠(確定審のほか,第1次再審で提出された証拠を含む。)ア道警本部刑事部犯罪科学研究所技術吏員A及び同B作成の昭和51年8月28日 いて(1) A水溶液分析の存否に関連する主な旧証拠(確定審のほか,第1次再審で提出された証拠を含む。)ア道警本部刑事部犯罪科学研究所技術吏員A及び同B作成の昭和51年8月28日付け鑑定書(本件鑑定書)昭和51年8月8日付けで道警本部警備部警備課長より鑑定嘱託を受けて,花柄ビニールシート1枚,軍手1双半,カーテン柄物1枚等37点の鑑定資料について,①塩素酸塩類など付着反応の有無,付着しているとすればその種類,②火薬類の成分付着の有無,付着しているとすれば火薬の種類,③木炭粉か炭素末の有無,④その他参考事項を鑑定事項とする鑑定 - 11 -を行った経過及び結果を記載した鑑定書であり,「鑑定経過資料の外観」の項において,花柄ビニールシートに肉眼的には木炭末様のもの,顕微鏡的には更に白色粉末様のものの付着が認められたこと,軍手が著しく汚染されていること,カーテン柄物に肉眼的には木炭末様のもの,顕微鏡的には更に白色粉末様のものの付着が認められること,鑑定資料全体が一様に木炭の微粉末様のもので汚染された状態であったことなどが,「鑑定経過付着物の検査」の項において,花柄ビニールシートの付着物について,水可溶の部分の塩素イオンの反応が疑陽性,塩素酸イオンの反応が陽性であり,炎色反応からナトリウムが検出されたこと,不溶部の抽出物から硫黄が検出されたこと,軍手の付着物について,水可溶の部分の塩素イオン,塩素酸イオン,アンモニウムイオンの各反応が陽性であり,炎色反応からナトリウム,カリウムが検出されたこと,カーテン柄物の付着物について,花柄ビニールシートの付着物と同様の結果が得られたことなどが,「鑑定結果」の項において,花柄ビニールシート及びカーテン柄物から塩素酸イオン,硫黄,木炭末が検出され,軍手から塩素酸 付着物について,花柄ビニールシートの付着物と同様の結果が得られたことなどが,「鑑定結果」の項において,花柄ビニールシート及びカーテン柄物から塩素酸イオン,硫黄,木炭末が検出され,軍手から塩素酸カリウム,硫黄,木炭末,ポリスチレンが検出されたことなどが,末尾において,昭和51年8月8日に鑑定に着手し,同月20日に鑑定を終了したことが記載されている。 イ A作成の本件電話通信用紙(確定控訴審検173)Aを発信取扱者,警備課長Eを受信取扱者とする電話通信用紙であり,「昭和51年8月8日後2時30分発」「鑑定結果回答について昭和51年8月8日付で道本部警備課より依頼のあった爆破事件捜査のための鑑定物件の検査結果は次のとおりであるから回答する。」「1.鑑定資料別紙」「2.鑑定結果 (1)敷物,カーテンの布,軍手から塩素酸イオンが検出された。(2)木炭末の付着あり(敷物,カーテン,ザル等)以上」と記載され,ポリバケツ,ヘラ,スプーン,敷物,布,軍手,コップ,ザル,青ビニール製ザルの各資料についての検査結果を記載した一覧表が添付され - 12 -ている。 ウ E作成の昭和51年8月8日付け電話通信用紙写し(第1次再審第1審弁28)Aを発信取扱者,Eを受信取扱者とする電話通信用紙であり,「8月8日午後3時0分」「鑑定結果回答について昭和51年8月8日付で道本部警備課より依頼のあった爆破事件捜査のため鑑定物件の検査結果は次のとおりであるから中間回答する」「一,鑑定資料別紙」「二,鑑定結果敷物・布・軍手から塩素酸イオンが検出された」と記載され,本件電話通信用紙添付の一覧表と同内容の一覧表が添付されている。 エ Aの確定第1審及び確定控訴審における証言(以下「A旧証言」という。) 軍手から塩素酸イオンが検出された」と記載され,本件電話通信用紙添付の一覧表と同内容の一覧表が添付されている。 エ Aの確定第1審及び確定控訴審における証言(以下「A旧証言」という。)A旧証言の要旨は,①本件鑑定の開始時刻,中間回答の時刻及び内容について,「昭和51年8月8日午前9時頃に鑑定を開始し,同日午後2時30分頃,警備課に対し,それまでに行った鑑定の結果として,本件ビニールシート,本件カーテン及び本件軍手から塩素酸イオンが検出されたこと,本件ビニールシート,本件カーテン,ザル等に木炭末の付着があったことを中間回答した。中間回答をした経過や回答結果の概略を事後に上司に報告するために,同月8日午後7時か8時頃に帰宅する前頃に本件電話通信用紙を作成した。これには,中間回答の内容に加え,中間回答後に行った同日中の検査の結果も記載した。」,②塩素酸イオン検出までの大まかな手順,付着物の採取時間について,「最初に全鑑定資料の外観検査をし,その後,汚れていた本件ビニールシート,本件カーテン及び本件軍手から付着物の検査に入った。本件ビニールシート及び本件カーテンについては,簡単に取れる付着物を手でたたくなどして採取し,顕微鏡検査を行ったところ,後に本件鑑定書に白色粉末様のものと記載した物質が認められた。簡単に取れない付着物を水を付けた脱脂綿で拭き取って採取し,その脱脂綿をビーカーに入れ,水を加えて全部水の中にほぐし出した。本件ビニール - 13 -シートの裏面から一部切り取ったものや本件カーテンの一部を水に浸して,ピンセット等の器具で突いたり,絞ったりもした。これらの付着物も集めて水溶液を作った。付着物の採取には1時間も2時間もかかる。その水溶液をろ過して,可溶物の水溶液をウォーターバスで約10mlに濃縮した。 濃縮 等の器具で突いたり,絞ったりもした。これらの付着物も集めて水溶液を作った。付着物の採取には1時間も2時間もかかる。その水溶液をろ過して,可溶物の水溶液をウォーターバスで約10mlに濃縮した。 濃縮した水溶液の一部につき,硝酸銀試液,亜硝酸ナトリウム,硝酸銀試液を順次加えるという方法で塩素酸イオンの検出を行った。本件軍手については,3つのうち1つの更にその一部分を200ml位のビーカーを使って水に浸して付着物の水溶液を作り,塩素酸イオンの検出を行った。」,③本件ビニールシート及び本件カーテンに係る水溶液を約10mlまで濃縮する方法について,「濃縮前の水溶液の量は,『200ml用のビーカーに大体1杯』,『200mlのビーカーに適当に入る程度』であり,濃縮にはウォーターバスを使った。」というものである。 オ Aの第1次再審第1審における証言(平成16年9月29日尋問実施,以下「A新証言」という。)A新証言の要旨は,鑑定開始及び中間回答の各時刻,全資料の外観検査の後,まず本件ビニールシート,本件カーテン及び本件軍手の検査を行ったこと,本件軍手1個の一部を200mlのビーカーに入れた水に浸して付着物を採取したことについては,旧証言とほぼ同様であるが,「中間回答をした事項及びそれまでに行った検査の範囲は,本件電話通信用紙添付の一覧表に記載されているもの全部である。自分が本件ビニールシートの裏面を切り取ったことはない。本件ビニールシート,本件カーテン及び本件軍手の各付着物の採取時間は1検体について約10分程度である。本件ビニールシート及び本件カーテンに係る濃縮前の水溶液の量はいずれも20cc以下であった。イオン検査前の濃縮時に水溶液を入れた容器はビーカーではなく,蒸発皿であった。本件軍手に係る水溶液は多くても50cc程度で, 及び本件カーテンに係る濃縮前の水溶液の量はいずれも20cc以下であった。イオン検査前の濃縮時に水溶液を入れた容器はビーカーではなく,蒸発皿であった。本件軍手に係る水溶液は多くても50cc程度で,それについても塩素酸イオンの検査の前に蒸発皿に入れてウォー - 14 -ターバスで濃縮した。当時,道警本部刑事部犯罪科学研究所にウォーターバスは2,3台あった。」などというものである。 (2) 新旧証拠の総合ア A新証言は,上記のとおり,少なからずA旧証言との食い違いが見られるが,本件鑑定から28年以上経過した後に尋問が実施されたことなどの事情に鑑みれば,時間経過によって生じた記憶の変容による変遷として理解できるところであり,A新証言がこのようなものである以上,A新証言には,A水溶液分析の存否の判断に当たって直接の根拠になり得るような証拠価値はないというべきである。そこで,A新証言を除く旧証拠を踏まえて,再弁1により,A水溶液分析が時間的に不可能である疑いが生じるか否かを検討する。 イ弁護人は,本件鑑定の各作業に要する時間に関し,第1次再審請求と同様に,①鑑定資料全体について,実験準備・観察・仕分けに30分,②本件ビニールシート又は本件カーテンの一方について,外観検査に10分,付着物採取に1時間,採取物の顕微鏡検査に10分,③本件軍手の外観検査・水溶液採取に15分,④本件ビニールシート,本件カーテン及び本件軍手について,濃縮後の水溶液のイオン検査に合計15分は少なくともかかり,水溶液濃縮の開始時刻が,本件ビニールシート又は本件カーテンの一方につき(午前9時から30分,10分,1時間及び10分が経過した)午前10時50分,他方につき(午前10時50分から10分,1時間及び10分が経過した)午後零時10分,軍手につ は本件カーテンの一方につき(午前9時から30分,10分,1時間及び10分が経過した)午前10時50分,他方につき(午前10時50分から10分,1時間及び10分が経過した)午後零時10分,軍手につき(午後零時10分から15分が経過した)午後零時25分となって,濃縮に費やし得る午後2時15分までの時間が,それぞれ約3時間25分,約2時間5分,約1時間50分であることを前提に,再弁1によれば,濃縮に蒸発皿を使ったとしても,これらの時間内に200mlの水溶液を全て10mlに濃縮することは不可能であると主張する。 - 15 -しかし,本件鑑定の各作業に要する時間や濃縮前の水溶液の量,濃縮の方法については,Aは,A旧証言において,そもそも証言していないか,証言していてもその内容の多くは大雑把なものであって,証拠上,これらの事項については必ずしも明確になっているとはいえない。弁護人が前提とする各作業に要する時間は,そのようなA旧証言を始めとする旧証拠から想定される一つの場合にすぎず,第1次再審第1審決定及び即時抗告審決定が想定する時間も,そのようなものであると解される。したがって,弁護人が前提とする時間よりも短時間で各作業を終えたことや,本件軍手はもとより本件ビニールシート及び本件カーテンについても,濃縮前の水溶液の量が200mlよりも少量であったり,濃縮に容量260mlよりも大型の蒸発皿を使ったり,水溶液を複数の蒸発皿に小分けして濃縮したりしたことも十分に想定されるというべきである。そうすると,再弁1によっても,中間回答までに本件ビニールシート,本件カーテン及び本件軍手に係る塩素酸イオンの検出を終えることが不可能であったとはいえない。 したがって,再弁1は,A水溶液分析が時間的に不可能である疑いを生じさせるものではない。 ビニールシート,本件カーテン及び本件軍手に係る塩素酸イオンの検出を終えることが不可能であったとはいえない。 したがって,再弁1は,A水溶液分析が時間的に不可能である疑いを生じさせるものではない。 ウなお,弁護人は,Aが,中間回答を行った午後2時30分までに,本件電話通信用紙添付の一覧表記載の資料全部について,塩素酸イオンの有無についての検査を終えることはできないから,A水溶液分析は時間的に不可能であると主張する。 しかし,前記のとおり,A旧証言は,本件電話通信用紙には,その体裁にもかかわらず,事後の上司への報告に備えて中間回答後の検査結果をも記載したというものであって,確定判決等もこのようなA旧証言を踏まえて,A水溶液分析の存在を認めている。したがって,Aが中間回答までに本件電話通信用紙添付の一覧表記載の資料全部について塩素酸イオンの有無についての検査を終えたという前提は採り得ない。 - 16 -エよって,再弁1は,関連する旧証拠を踏まえて検討しても,証拠の明白性がない。 第5 ネジの発見がねつ造されたという主張について 1 弁護人の主張の要旨確定判決等は,D警部が請求人居室に遺留されていた本件布団袋の中から本件ネジを発見した事実を認定したが,新証拠によれば,ネジの発見がねつ造され,そのネジ自体も捜査の過程で傷の付けられた本件ネジにすり替えられた疑いがある。 2 新証拠の概要(1) DVD「本件ネジの発見状況」(再弁2)本件布団袋と同一の寸法の布団袋等及び本件ネジと同一規格のネジを使用して,ネジの発見状況を再現し,撮影,録画したDVDである。 (2) 昭和50年7月22日付け北海道新聞抜粋写し(再弁3)道警が,昭和50年7月21日,道警本部庁舎爆破 格のネジを使用して,ネジの発見状況を再現し,撮影,録画したDVDである。 (2) 昭和50年7月22日付け北海道新聞抜粋写し(再弁3)道警が,昭和50年7月21日,道警本部庁舎爆破事件(以下「道警爆破事件」という。)で時限装置に使われた時計がG製「H」として市販されているトラベルウォッチであると断定した旨を報じる新聞記事である。 (3) 昭和50年7月23日付け北海道新聞抜粋写し(再弁4)道警が,昭和50年7月22日までに,道警爆破事件で爆弾に用いられた容器のカン,時限装置など爆弾の部品を全て発見し,その構造をほぼ解明した旨を報じる新聞記事である。 (4) Iの昭和51年9月11日付け検察官調書写し(再弁5。原本は確定第1審検207であり,弁護人が不同意意見を述べ,検察官が取調べ請求を撤回したもの)Hには合計7本のネジが使われており,ケースを外して時限装置に使うとすれば5本のネジが必要であること,道警爆破事件の爆破現場からハイオスネジ3本とマイナスネジ1本が出てきたとのことなので,1本が行方不明, - 17 -余りが2本あることになることなどを内容とするものである。 (5) 昭和51年3月3日付け北海道新聞抜粋写し(再弁6)道警が,道庁爆破事件の犯人が道警爆破事件の犯人と同一である疑いもあるとみている旨を報じる新聞記事である。 (6) 昭和51年7月17日付け北海道新聞抜粋写し(再弁7)道警本部長が,道警爆破事件と道庁爆破事件が,同一人でなくても,同一グループの犯行の可能性が非常に濃いと述べた旨を報じる新聞記事である。 (7) 道警本部警備部警備課司法警察員警視J作成の昭和51年4月15日付け鑑定嘱託書謄本写し(再弁8。謄本は確定第1審検235であ の犯行の可能性が非常に濃いと述べた旨を報じる新聞記事である。 (7) 道警本部警備部警備課司法警察員警視J作成の昭和51年4月15日付け鑑定嘱託書謄本写し(再弁8。謄本は確定第1審検235であり,弁護人が不同意意見を述べ,検察官が取調べ請求を撤回したもの)道庁爆破事件の現場等から採取した資料の中に,C文字盤色緑(昭和51年3月6日K時計店から道本部捜査第3課L警部補が購入したもの)等の一部と思われる破片等があるか否かなどについての鑑定嘱託書である。 (8) D警部作成の昭和51年8月10日付け捜索差押調書写し(再弁9。原本は確定第1審検765であり,弁護人が不同意意見を述べ,裁判所が取調べ請求を却下したもの)昭和51年8月10日午後4時18分から同日午後6時10分まで,請求人居室等において実施された捜索差押えについての捜索差押調書であり,押収品目録に5点の品名が記載されており,その冒頭に「ビス(金メッキ製)1個」と記載されている。 (9) Iの昭和51年9月10日及び11日付け検察官調書写し(再弁10。原本は確定第1審検206であり,弁護人が不同意意見を述べ,検察官が取調べ請求を撤回したもの)本件爆破現場から押収された時計の文字盤がCに間違いないこと,示されたネジ(本件ネジと同一の領番号が付されたもの)がG株式会社製旅行用時計に使用されているリン止めネジであり,ドライバー溝にドライバーによる - 18 -ものと思われる傷跡があり,現実にネジとして使用されたものであることなどを内容とするものである。 (10) 道警本部刑事部犯罪科学研究所技術吏員M及び同B作成の昭和51年8月21日付け鑑定書写し(再弁11,以下「M鑑定書」という。)昭和51年8月13日付けで道警本部警備 である。 (10) 道警本部刑事部犯罪科学研究所技術吏員M及び同B作成の昭和51年8月21日付け鑑定書写し(再弁11,以下「M鑑定書」という。)昭和51年8月13日付けで道警本部警備部警備課長から鑑定嘱託を受けて,ビス(金メッキ製)1個について,製品名,用途等,道警爆破事件及び道庁爆破事件の各爆破現場から採取した遺留品に類似した物件がなかったか等を鑑定事項とする鑑定を行った経過及び結果を記載した鑑定書であり,「鑑定経過」の項において,上記ビスの寸法が下記のとおりであること,「鑑定結果」の項において,上記ビスがG株式会社製N・トラベルウォッチ各機種のリン止めネジと形状,寸法が一致すること,末尾において,昭和51年8月16日から同月18日までの間に鑑定を行ったことなどが記載されている。 なお,上記ビスに傷がある旨の記載はない。 記ネジ頭直径 3.85mmネジ溝幅 0.55mmネジ足直径 1.88mmネジ頭長さ記載はないが,ネジ全体長さからネジ足長さを減じると0.9mmとなる。 ネジ足長さ 2.4 mmネジ全体長さ 3.3 mm(11) G株式会社O工場工場長I作成の昭和51年8月26日付け「捜査関係事項照会書に対する回答書」写し(再弁12,以下「I回答書」という。)昭和51年8月24日付けで道警本部警備部から照会を受けて,提示されたビス1個を測定した結果を報告した回答書であり,上記ビスがG株式会社製旅行用時計のリン止めネジと規格,寸法,材質が一致しているため,同社 - 19 -製品と思われること,上記ビスの寸法が下記のとおりであること(括弧内に測定器を示す。),上記ビスのネジ頭ドーム部 旅行用時計のリン止めネジと規格,寸法,材質が一致しているため,同社 - 19 -製品と思われること,上記ビスの寸法が下記のとおりであること(括弧内に測定器を示す。),上記ビスのネジ頭ドーム部に「ドライバキズ」があることが記載されている。 記ネジ頭直径 3.890mm(マイクロメーター)ネジ溝幅 0.60 mm(ノギス)ネジ足直径 1.95 mm(ノギス)ネジ頭長さ記載はないが,ネジ頭ドーム部の長さ0.359mm(工具顕微鏡)・ネジ頭円柱部の長さ0.410mm(工具顕微鏡)との記載があり,これらを合計すると0.769mmとなる。 ネジ足長さ 2.408mm(工具顕微鏡)ネジ全体長さ記載はないが,ネジ頭長さとネジ足長さを合計すると3. 177mmとなる。 (12) 道警本部警備課応援派遣同本部外事課司法警察員警部補P作成の昭和51年8月28日付け捜査報告書写し(再弁13)請求人に係る押収物件の金メッキ製ネジがG株式会社製造の旅行用時計の部品であるか否かを追跡捜査した結果を報告するものであり,昭和51年8月25日にG株式会社販売部長を,同月26日に同社O工場工場長らを順次訪ねて,上記ネジが同工場製造のリン止めネジであると判明したこと,同月27日に製造委託先のQ株式会社を訪ねて,同一品を他に転売していない旨の回答を得たことなどが記載されている。 (13) 道警本部警備部警備課応援派遣同部外事課司法警察員警部R作成の昭和51年8月15日付け捜査報告書写し(再弁14)D警部が請求人居室で差し押さえたビス(金メッキ製)の用途を追跡確認した結果を報告するものであり,昭和51年8月15日に札幌市内のS 成の昭和51年8月15日付け捜査報告書写し(再弁14)D警部が請求人居室で差し押さえたビス(金メッキ製)の用途を追跡確認した結果を報告するものであり,昭和51年8月15日に札幌市内のS時計 - 20 -店に聞き込みをしたところ,上記ビスがG株式会社製造のトラベルウォッチの裏蓋止め金のネジに一致する旨判明したことなどが記載されている。 (14) 道警本部警備課応援派遣同本部外事課司法警察員警部補Pら作成の昭和51年8月17日付け捜査報告書写し(再弁15)D警部が請求人居室で差し押さえたビス(金メッキ製)の用途を捜査した結果を報告するものであり,昭和51年8月17日にG株式会社T支店に聞き込みをして,S時計店から一時借用した押収品と同一のビスを示して用途について質問したところ,同社O工場で製造販売しているトラベルウォッチのリン止めネジであり,現物を拡大して同工場保管の図面と照合すれば間違いないかどうかが判定できるとの回答を得たことなどが記載されている。 3 証拠の新規性について(1) 再弁2弁護人及び請求人は,確定上告審において,D警部が中身を取り出した本件布団袋の中をのぞき込まなかったこと,本件布団袋の底をたたいた時にネジを発見しなかったこと,中央部に集まったゴミを一見しただけですぐにネジを発見できなかったことといった本件ネジの発見状況が奇妙であり,D警部が本件ネジを本件布団袋の中に紛れ込ませて証拠をねつ造した旨を主張していた(弁護人弁論要旨第四の五の6,請求人上告趣意書補充書四の3(五))。 再弁2は,確定上告審における上記主張を映像に置き換えたものであり,上告審判決も,その説示に照らし,上記主張を踏まえて上告を棄却したものと解される。もっとも,確定上告審においては,上記主張はネジの発見状 2は,確定上告審における上記主張を映像に置き換えたものであり,上告審判決も,その説示に照らし,上記主張を踏まえて上告を棄却したものと解される。もっとも,確定上告審においては,上記主張はネジの発見状況の再現という形では証拠化されておらず,再弁2は,その限度では裁判所による実質的な証拠価値の判断を経ていないと解する余地も全くないではないから,以下においては,新規性が否定されないものとして検討を進める。 (2) 再弁5及び8から10まで再弁5及び8から10までは,確定第1審において,検察官が原本又は謄 - 21 -本の取調べを請求した後,弁護人の不同意意見を受けて,取調べ請求を撤回し又は取調べ請求が却下された証拠の写しであり,弁護人及び請求人は,確定上告審において,再弁5,8及び10の内容を引用して,D警部が本件ネジを本件布団袋の中に紛れ込ませて証拠をねつ造した旨を主張していたものである。さらに,再弁10に記載された本件ネジの用途等については,Iが確定第1審において同趣旨を証言している。そうすると,再弁5及び8から10までは,証拠の新規性に疑問があるというべきである。 (3) 再弁3,4,6及び7再弁3,4,6及び7は,請求人の逮捕前に発行された新聞記事の写しであり,弁護人が,確定審において多数の新聞記事の写しの取調べを請求していたことに加え,確定上告審において,再弁3及び4の内容を引用し,再弁6及び7と実質的に同内容の事実を主張して,本件ネジの発見がねつ造された旨主張していたことに照らすと,いずれも確定審において取調べを請求することができたといえる。そうすると,再弁3,4,6及び7は,証拠の新規性に疑問があるというべきである。 (4) 再弁14及び15再弁14及び15に記載された本件 いて取調べを請求することができたといえる。そうすると,再弁3,4,6及び7は,証拠の新規性に疑問があるというべきである。 (4) 再弁14及び15再弁14及び15に記載された本件ネジの用途の捜査については,Pが確定第1審において同趣旨を証言している。そうすると,再弁14及び15は,証拠の新規性に疑問があるというべきである。 (5) 以上のとおり,本件ネジの発見がねつ造されたという主張に関する弁護人提出の新証拠の多くは,証拠の新規性に疑問があるが,事案に鑑み,新規性に疑問がある証拠についても,明白性を検討する。 4 証拠の明白性について(1) 本件ネジの発見状況に関連する主な旧証拠ア道警本部警備部警備課応援派遣同部外事課司法警察員警部D作成の昭和51年8月10日付け検証調書(確定第1審検764) - 22 -昭和51年8月10日午後4時18分から同日午後6時10分までの間,Uを立会人として,V方2階の請求人居室等において行われた検証の検証調書であり,検証の経過として,「(2階東側和室にあった)布団袋について見分するに緑色ビニール製のもので紐などによる梱包の状況はなく内部を開けたところ掛け布団二枚,敷き布団,毛布各一枚が入っているがいづれも汚れが著しく綿がはみ出している状況であった。その他にロープ,細引きが入っていたがいづれも異状は認められなかった。これら内容物をすべて取り出したあと同布団袋を詳細に見分するに少量のゴミとともに金色メッキのビス一個が認められた」と記載されており,番号26の添付写真には,布団を取り出した後の本件布団袋の内側に多数のしわが入っている状況が撮影されている。また,検証の経過として,請求人居室前の廊下に,一見して台所用品などの不要物を投棄するために箱詰めに 添付写真には,布団を取り出した後の本件布団袋の内側に多数のしわが入っている状況が撮影されている。また,検証の経過として,請求人居室前の廊下に,一見して台所用品などの不要物を投棄するために箱詰めにしたものと認められる段ボール箱,計23本の空きビン等,東側和室に,内容物が全く存在しない整理ダンス,テーブル,引き出しに硬貨201枚が入ったサイドボード等が置かれていることなどが記載されているほか,差し押さえた物の冒頭に「ビス(金メッキ製)一個」と記載されている。 イ道警本部警備部警備課司法警察員巡査部長W作成の昭和51年8月28日付け「捜索差押ならびに検証状況写真撮影報告書」(確定第1審検994)昭和51年8月10日に請求人居室において実施された捜索差押え及び検証の状況についての写真撮影報告書であり,撮影日時として,昭和51年8月10日午後4時30分頃から同日午後6時10分頃までと記載されているほか,番号8及び9の各添付写真には,立会人札の上に載せられたビスを何者かが指差ししている状況及び手袋を着けた手の平の上にビスが載せられている状況が撮影されている。 ウ道警本部警備課司法警察員警部補X作成の昭和51年8月12日付け実況見分調書(確定第1審検768) - 23 -昭和51年8月12日午前9時から同日午前11時までの間,Vを立会人として,請求人居室において実施された実況見分の実況見分調書であり,実況見分の経過として,請求人居室前の廊下に,8月10日の検証時に置いたままの状態で段ボール箱があり,その上にまな板,きゅうす,調味料の空ビン,ガスライター等の入った青色ポリ袋が置かれていることなどが記載されている。 エ道警本部警備部警備課派遣同本部刑事部鑑識課司法警察員警部Y作成の昭和51年8月16日付け きゅうす,調味料の空ビン,ガスライター等の入った青色ポリ袋が置かれていることなどが記載されている。 エ道警本部警備部警備課派遣同本部刑事部鑑識課司法警察員警部Y作成の昭和51年8月16日付け検証調書(確定第1審検774)昭和51年8月16日午前9時から同日午後3時30分までの間,Uを立会人として,請求人居室において実施された検証の検証調書であり,検証の経過として,東側和室床の間に木製戸棚が置かれており,その引き出しに硬貨201枚,針金片1本,釘1本等が入っていること,同室床の間に大型マッチ箱が置かれていること,同室床の間北側にレザー張り布団袋が置かれており,その寸法が縦65cm,横95cm,高さ80cmであること,西側和室の畳を上げて見分したところ,東側和室との境にある敷居下からビス1本を発見したこと,被疑者が遺留したと認められる46点の物件を領置したことなどが記載されているほか,番号58の添付写真には布団袋が撮影されている。 オ道警本部警備部警備課に応援派遣を命ぜられた同部外事課司法警察員警部D作成の昭和51年8月20日付け実況見分調書(確定第1審検838)昭和51年8月19日午後4時20分から同日午後6時45分までの間,V及びUを立会人として,請求人居室等において実施された実況見分の実況見分調書であり,実況見分の経過として,Vから任意提出を受けた請求人の残置物件30種,237点を領置したことなどが記載されている。 カ道警本部刑事部犯罪科学研究所技術吏員M作成の昭和51年8月29日付け鑑定書(確定第1審検201) - 24 -昭和51年8月28日付けで鑑定嘱託を受けて,請求人居室内から差し押さえたビス1個が本件爆破現場から採取したトラベルウォッチ部品等のどの部分に使用されるものであるか等を鑑定 - 24 -昭和51年8月28日付けで鑑定嘱託を受けて,請求人居室内から差し押さえたビス1個が本件爆破現場から採取したトラベルウォッチ部品等のどの部分に使用されるものであるか等を鑑定事項とする鑑定を行った経過及び結果を記載した鑑定書であり,上記ビスがCのリン止めネジと形状,寸法が一致すること,鑑定着手日と鑑定終了日がいずれも昭和51年8月28日であることなどが記載されているが,上記ビスに傷がある旨の記載はない。 キ G株式会社O工場工場長I作成の昭和51年9月13日付け鑑定書(確定第1審検204,以下「I鑑定書」という。)昭和51年9月8日付けで鑑定嘱託を受けて,鑑定資料のネジ(黄銅色のビス)1個が同社製のものであるか否か等について鑑定を行った結果を記載した鑑定書であり,上記ネジが同社製小型置目覚時計に使用されているリン止めネジと同一規格品であること,同規格のネジが他社では作られておらず,他社及び他の製品にも使用されていないこと,上記ネジのドライバー溝にネジ締めされた際のドライバー傷が付いていることのほか,マイクロメーター及び工具顕微鏡を使って上記ネジ各部の寸法を測定した結果が下記のとおりである旨の記載がある(括弧内に測定器を示す。)。 記ネジ頭直径 3.905mm(マイクロメーター)ネジ溝幅 0.564mm(工具顕微鏡)ネジ足直径 1.920mm(マイクロメーター)ネジ頭長さ 0.866mm(工具顕微鏡)ネジ足長さ 2.384mm(工具顕微鏡)ネジ全体長さ 3.250mm(マイクロメーター)ク札幌簡易裁判所裁判官Z作成の昭和51年8月10日付逮捕状(確定第1審弁29) - 25 -爆発物取締罰則違反の被疑 ネジ全体長さ 3.250mm(マイクロメーター)ク札幌簡易裁判所裁判官Z作成の昭和51年8月10日付逮捕状(確定第1審弁29) - 25 -爆発物取締罰則違反の被疑事実により請求人を逮捕することを許可する旨の逮捕状であり,逮捕の年月日時及び場所として,「昭和五一年八月一〇日午後三時二一分a市b町一丁目a署c派出所内で逮捕」と記載されている。 ケ道警本部警備部警備課司法警察員警部d作成の昭和51年8月11日付け検証調書(確定第1審検757)請求人使用の普通乗用自動車(e)に対して行われた検証の検証調書であり,検証の日時が昭和51年8月10日午後5時28分から同日午後6時45分までの間であること,検証の実施場所がa市内のフェリーターミナルの駐車場であること,自動車内から懐中電灯等多数の証拠物件を発見し,これを差し押さえたことなどが記載されている。 コ Dの確定第1審における証言(以下「D証言」という。)D証言の要旨は,「昭和51年8月10日午後1時過ぎに,警備課のE警部からV方の請求人居室の検証及び捜索差押えを命じられ,自分以下7名でこれを実施した。午後3時頃に道警本部庁舎を出発し,午後3時半頃に現地に到着した。V方では,同人の妻Uが一人で留守番をしており,驚いた状態の同人に種々の説明をし,同人は出勤中のVに電話を掛けるなどしていた。V方の電話を使って道警本部庁舎にいたE警部に電話を掛け,請求人を逮捕したことを午後4時近くに聞き,午後4時18分に落ち着いた状態になったUに令状を示して検証及び捜索差押えに着手した。請求人居室の東側和室に布団袋が置かれており,その上の口はひもで結わえられ,布団袋の上に畳まれた状態のマットレスが載せられていた。この布団袋を西側和室に運 令状を示して検証及び捜索差押えに着手した。請求人居室の東側和室に布団袋が置かれており,その上の口はひもで結わえられ,布団袋の上に畳まれた状態のマットレスが載せられていた。この布団袋を西側和室に運んで畳の上に置き,布団袋の上の口を開けて,上から順に中の物を取り出した。布団袋の中には,上から順に掛布団2枚(綿がむき出しになった状態のもの1枚及び所々破れて綿がはみ出した状態のもの1枚),敷布団,毛布,一番下に細引きやロープが一塊になって入っていた。 - 26 -最後の細引きやロープ等を取り出して空になった時,完全に布団袋の中が見えるような状態ではなく,脇の方は見えなかったが,布団袋の中をのぞき込むようなことはしなかった。空になった布団袋を2名の捜査員に両方から持たせて,自分が中に手を入れて,布団袋の底の中心部をトントンと手でたたいて,布団袋の周囲に付着しているゴミなどを底の真ん中に集めた。底には,杯に1杯くらいの量の,綿ぼこり,髪の毛やあかのような物,ロープや細引きの切れ端といったゴミがたまった。そのゴミを一見しただけではビスを発見できなかった。畳の上に置かれた布団袋の中で,ゴミを手で丹念により分けて見分すると,ゴミの中に金色のビスが1個入っているのを発見した。時計などに使われている部品のビスだろうと,一見して分かった。発見した時刻は午後5時少し前であり,部屋の電気をつけていなくても明るかった。ビスを発見した時,立会人のUが自分のすぐそばにいた。その場でUにビスとその発見状況を確認してもらい,手袋をはめた自分の手の平の上にビスを載せた状況,布団袋の中に立会人札を置き,その上にビスを載せて,これをUが指差ししている状況をそれぞれカラー写真で撮影させた。押収したビス自体に固有の特徴はないと思う。」というものである。 サ Wの確定第 ,布団袋の中に立会人札を置き,その上にビスを載せて,これをUが指差ししている状況をそれぞれカラー写真で撮影させた。押収したビス自体に固有の特徴はないと思う。」というものである。 サ Wの確定第1審における証言(以下「W証言」という。)W証言の要旨は,「昭和51年8月10日に実施された請求人居室における検証及び捜索差押えに同行して,その状況を写真撮影した。検証調書(確定第1審検764)及び捜索差押調書(同検765(再弁9))各添付の白黒写真並びに捜索差押ならびに検証状況写真撮影報告書(確定第1審検994)添付のカラー写真は自分が撮影したものに間違いない。検証及び捜索差押えの間,同行した他の班員6名が自分の視野からまるっきり消えてしまうということはなかった。班員の検証や捜索差押えの状況を写すのが自分の役目であったが,人の動きそのものは撮影の対象ではなく,建物や - 27 -部屋の状態を主に撮った。西側の部屋で布団袋が解かれるのを見た。布団袋から布団を全部出した状態を写真撮影した。布団袋に残っていたひもを出した状態は撮影しなかった。直接目を近づけたわけではなかったが,ひもを出した後の布団袋の中にはゴミ程度のものしか入ってなかったように思った。布団袋の内側は白色のような感じだった。その後,D警部からカラーで撮ってくれと言われて,同人の手の平の上に載ったネジの写真を撮った。布団袋から布団を全部出した状態を写真に撮ってからネジの写真を撮るまでの間,大体同じ近所にいた。ネジが同人の手の平の上に載るまでの状態はよく分からない。」というものである。 シ Mの確定第1審における証言(以下「M証言」という。)M証言の要旨は,「道庁爆破事件の発生後間もない頃には,Nの旅行用時計のリン止めネジの規格等について,一応のデータがそろって である。 シ Mの確定第1審における証言(以下「M証言」という。)M証言の要旨は,「道庁爆破事件の発生後間もない頃には,Nの旅行用時計のリン止めネジの規格等について,一応のデータがそろっていた。昭和51年5月頃以前に現場遺留物がNの旅行用時計の部品であることを,同年6月頃以前に現場遺留物のリン柱にリン止めネジではないネジがはめ込まれていたことをそれぞれ爆捜本部に伝えた。昭和51年8月中旪頃に本件ネジの形状及び寸法を計測した。計測には,ネジがねじ込まれたままで測定器が入らない所については拡大投影機を,測定器が入る所についてはマイクロメーター又はノギスを使った。その後,同月28日に鑑定嘱託を受け,あらかじめ計測していた計測値に基づいて同月29日に確定第1審検201の鑑定書を作成した。証言時(昭和54年2月9日)に示された本件ネジは,自分が鑑定したネジと同じ規格であると思うが,特に印でも付けない限り全く同じであるとはいえない。」というものである。 ス dの確定第1審における証言(以下「d証言」という。)d証言の要旨は,「昭和51年8月10日午後1時30分頃に道警本部警備部警備課のf警視から請求人所有の自動車に対する検証及び捜索差押えを命じられ,午後2時半頃に札幌を出発し,午後5時頃にaのg派出所に - 28 -到着した後,午後5時28分から午後6時45分までの間,自分を含め6名の捜査員でその検証及び捜索差押えを実施し,車内から懐中電灯等多数の証拠物件を発見し,これを差し押さえた。」というものである。 セ fの確定第1審における証言(以下「f証言」という。)f証言の要旨は,「道庁爆破事件発生当日の昭和51年3月2日から昭和53年4月1日までの間,爆捜本部において,幕僚として総括的な業務を担当していた。本件爆 ける証言(以下「f証言」という。)f証言の要旨は,「道庁爆破事件発生当日の昭和51年3月2日から昭和53年4月1日までの間,爆捜本部において,幕僚として総括的な業務を担当していた。本件爆発物の時限装置にNの時計の部品が使われたこと,時限装置のビスが特異な使われ方をしたこと,本来あるべきビスが足りないことは,捜査の早い段階(昭和51年5月中旪頃よりも前)から分かっていた。昭和51年8月10日午後零時15分頃,請求人に対する逮捕状,請求人居室における検証許可状及び捜索差押許可状並びに請求人所有自動車における検証許可状及び捜索差押許可状が発付された。請求人居室の検証及び捜索差押えの指示は,午後1時頃にE警部に対し適当な幹部をして執行させるよう命じて行い,請求人逮捕の指示は,不審人物と接触する可能性を考慮して午後3時過ぎにh警部を通じて派出所から電話で連絡を取るよう指示した上,その電話で逮捕者に対し電話で行った。爆捜本部としては,請求人居室から押収したネジが時計のネジではないかと考えていたが,道庁爆破事件の時限装置との結び付きがあるというところまでは考えていなかった。同月15日頃,捜査員に時計屋の関係の捜査をさせ,さらに,Cの製造工場に捜査員を派遣した結果,押収したネジがCのマイナスネジであるということが判明した。」というものである。 ソ Pの確定第1審における証言(以下「P証言」という。)P証言の要旨は,「昭和51年8月当時,道警本部警備部外事課所属の警部補であった。同月15日,直属の上司のR警部からネジを見せられて,これが同月10日に請求人の部屋から発見,押収されたものであり,このネジが何に使われるものかを捜査するよう指示され,R警部及び同僚のi - 29 -警部補と3人で捜査に当たった。一見してネジが小さかった 10日に請求人の部屋から発見,押収されたものであり,このネジが何に使われるものかを捜査するよう指示され,R警部及び同僚のi - 29 -警部補と3人で捜査に当たった。一見してネジが小さかったので,時計か眼鏡の部品ではないかと考え,まずは時計店又は眼鏡店,次いで小型の器械類を扱う業者に聞き込みをするという方針で捜査に従事した。同月15日に最初にjにあるS時計店に行き,同店の専務kに上記ネジを見せたところ,Nの旅行用時計の裏金を止めるネジと一致することが判明し,kからその一致したネジを預かった。次にN時計のl支店に行き,留守番の男に尋ねたところ,その旅行用時計がGで作っている時計なのでGT支店に行った方がよいと言われ,同支店の休業日明けの同月17日,GT支店に行き,S時計店から預かったネジを見せて,そのネジが栃木県内にあるGO工場で製造している旅行用時計のリン止めネジであることが判明した。 同月23日に爆捜本部のf警視らからの指示を受けて,押収されたネジを持って同月26日にO工場に行き,同日のうちにそのネジがGの旅行用時計のリン止めネジである旨の工場長I作成の回答書を受け取った。この時に,Iからネジのドライバー溝に傷があることを指摘され,拡大鏡で見せられてその傷を初めて認識した。証言時に示された本件ネジにも同じ傷があるので,本件ネジは自分がO工場に持って行ったネジに間違いない。同年9月9日に再度GO工場へ行き,鑑定嘱託書及び本件ネジを含む鑑定資料を渡して,同月13日にIが作成した鑑定書を受け取った。」というものである。 タ Iの確定第1審における証言(以下「I証言」という。)I証言の要旨は,「証言時に示された本件ネジは,ドライバー溝の傷(溝の片側に1か所,反対側に2か所)に見覚えがあり,I鑑定書(確定第1審検204)で鑑 審における証言(以下「I証言」という。)I証言の要旨は,「証言時に示された本件ネジは,ドライバー溝の傷(溝の片側に1か所,反対側に2か所)に見覚えがあり,I鑑定書(確定第1審検204)で鑑定したネジである。この傷は素人の作った傷と判断される。」というものである。 (2) 新旧証拠の総合アネジの発見状況について - 30 - 再弁2は,ネジの発見状況を再現したところ,本件布団袋と同じ寸法の特注布団袋を2人に持たせてもう1人が布団袋の中に手を入れると,手が布団袋の底に届かないこと,2人に持たせた布団袋の中を見ると脇の方まで見えること,布団袋の中に手を入れると,自然にその中をのぞき込む体勢になること,本件ネジと同一規格のネジと杯1杯程度の綿ゴミ,毛髪等を市販の布団袋(縦65cm,横102cm,高さ50cm)に入れて,ネジが底の中央にある状態で底の中央を手でたたくと,ネジが布団袋の底を跳ねることなどが明らかになったというものである。 弁護人は,再弁2によれば,①本件布団袋の中に手を入れて底を手でたたくことが困難である,②最後の細引きやロープ等を取り出した時,本件布団袋内の脇の方が見えたはずである,③本件布団袋の中に手を入れると自然に中をのぞき込む体勢になる,④本件布団袋の底を手でたたいた時点又はたたいて本件布団袋を下に置いた時点でネジを発見できたはずであるとして,D警部は本件布団袋の中からネジを発見しておらず,ネジの発見をねつ造した旨主張する。 そこで,まず,弁護人が主張する①の点について検討すると,上記再現において,特注布団袋を持つ2人は,その底面を床から浮かせるに当たり,特注布団袋の側面(高さ80cm)が上下に伸び,かつ,上面の四辺も伸びた状態にして,側面の上端を持っている。しか すると,上記再現において,特注布団袋を持つ2人は,その底面を床から浮かせるに当たり,特注布団袋の側面(高さ80cm)が上下に伸び,かつ,上面の四辺も伸びた状態にして,側面の上端を持っている。しかし,本件布団袋は,自然に置いた状態ではほぼ平らになるような柔らかい素材であり(確定第1審検764番号26の添付写真),その状態で容易に布団袋の底に手が届く状態であるのに,D警部が布団袋の底を手でたたこうとする際に,布団袋を持つ捜査員がわざわざ布団袋の側面がまっすぐになるように伸ばし,底面が側面上端から遠くなり,かつ,D警部の腕や脇が布団袋の側面上端に当たるような持ち方をすることはおよそ考え難い。 したがって,本件ネジの発見時においても,布団袋の側面が上下に伸び, - 31 -かつ,布団袋の上面の四辺も伸びた状態であったという前提は採り得ないから,D警部が布団袋の底を手でたたくことが困難であったとはいえない。 次に,②の点について検討すると,再弁2の映像においても,市販の布団袋の隅の方はしわの陰になっている部分が認められ,本件布団袋においても,最後の細引きやロープ等を取り出した直後の布団袋の状態によっては,布団袋の脇の方が見えなかったということも十分に考えられる。また,明るさについても,本件ネジを発見した時はまだ電気をつけなくても明るかったとはいえ,布団袋内の脇の方まで十分な光が届いていたとは限らない。そうすると,本件布団袋から細引きやロープ等を取り出した時に布団袋の脇の方が見えたはずであるとはいえない。 また,③の点について検討すると,D証言は,前記のとおり,本件布団袋の中から最後の細引きやロープ等を取り出して空になった時に改めて布団袋の中をのぞき込むようなことはしなかったという趣旨であることが明らかであるから,布団袋の中に手 D証言は,前記のとおり,本件布団袋の中から最後の細引きやロープ等を取り出して空になった時に改めて布団袋の中をのぞき込むようなことはしなかったという趣旨であることが明らかであるから,布団袋の中に手を入れる際の体勢を問題とする弁護人の主張はD証言を正解しないものであって,失当である。なお,布団袋の側面が上下に伸びていない,又はその上面の四辺が伸びていない状態であれば,本件布団袋の中に手を入れても,中をのぞき込むような姿勢になるとは限らない。 最後に,④の点について検討すると,前記再現においては,ネジがゴミと絡まずに市販の布団袋底面(請求人居室にあった布団袋より狭いもの)の中央にある状態で,その中央をたたいている。しかし,D警部が本件布団袋の底をたたく時に,本件ネジがゴミと絡まずに布団袋底面の中央にあったという前提はない。仮に,そのような前提があったとしても,上記再現に使われた市販の布団袋は使い古された様子がないのに対し,本件布団袋は一定程度使い古されたものである上(確定第1審検7 - 32 -74番号58の添付写真),内側の素材が毛羽立っていたから(確定第1審検994番号9の添付写真),本件ネジが上記再現時と同様に布団袋の底で跳ねたとは限らない。さらに,本件ネジが本件布団袋の底で跳ねたとしても,D警部の意識等の主観的条件や本件布団袋内の明るさ等の客観的条件によっては,本件ネジが布団袋の底で跳ねた時点又は布団袋を下に置いた時点で,直ちに本件ネジを発見できたとは限らない。 したがって,再弁2は,本件布団袋の中から本件ネジを発見した旨のD証言の信用性を何ら減殺するものではない。 イネジのすり替えについて弁護人は,再弁10から12まで並びに確定第1審検201及び204等の関連する旧証拠に基づいて,①本件ネ 見した旨のD証言の信用性を何ら減殺するものではない。 イネジのすり替えについて弁護人は,再弁10から12まで並びに確定第1審検201及び204等の関連する旧証拠に基づいて,①本件ネジの傷に関し,Dがネジに固有の特徴はないと証言して傷の存在に言及していないこと,PがIから指摘されるまで傷の存在に気付かなかったこと,MがM証言,M鑑定書及び昭和51年8月29日付け鑑定書(確定第1審検201)で傷の存在に言及していないことは,請求人の布団袋から発見されたというネジとその後Iが鑑定したネジとが別物であるという疑いを生じさせ,②ネジの寸法について,M鑑定書とI回答書及びI鑑定書との間には測定誤差の範囲内に収まらない違いがあることは,双方のネジが別物であることを意味しているとして,「発見」をねつ造されたネジが,捜査の過程で傷の付けられた本件ネジにすり替えられた旨主張する。 そこで,まず,弁護人が主張する①の点について検討すると,そもそもD及びMは確定審の公判において本件ネジの傷の有無について質問されておらず,傷がないと証言したわけではない。また,仮に両名が傷の存在に気付かなかったとしても,傷がドライバー溝に付いた極めて小さいものであることに鑑みれば,そのことが不自然であるとはいえない。 さらに,M鑑定書及び昭和51年8月29日付け鑑定書(確定第1審検 - 33 -201)の各鑑定事項は,本件ネジの製品名,用途,爆破現場の遺留品との関係等であり,傷の有無に着目したものではなかったことに照らせば,上記各鑑定書が傷の存在に言及していないことが不自然であるとはいえない。 次に,②の点について検討すると,弁護人は,ネジの寸法の測定に用いられた各測定器の測定誤差が,最大で測定器の1目盛以内,すなわちノギスは最大0.05mm,マ いことが不自然であるとはいえない。 次に,②の点について検討すると,弁護人は,ネジの寸法の測定に用いられた各測定器の測定誤差が,最大で測定器の1目盛以内,すなわちノギスは最大0.05mm,マイクロメーターは最大0.01mm,工具顕微鏡は最大0.001mmであることを前提として,測定値が測定誤差の範囲内に収まっているか否かを論じている。しかし,M鑑定書,I回答書及びI鑑定書でネジの寸法の測定に用いられた測定器は,必ずしも同一のものではない上,各測定に用いられたノギス,マイクロメーター及び工具顕微鏡は,いずれも手作業で測定物を測定器に合わせ,それを目視で測定するものであるから,測定者の技能等により,弁護人の前提を超える測定誤差を生じることがあり得ると考えられる。また,ネジ頭直径及びネジ足直径はその形状に照らし,ネジ溝幅,ネジ頭長さ及びネジ足長さはその部位に照らし,いずれも測定する部位の取り方により測定誤差を生じやすいと考えられる。現に弁護人が同一であることを認めているI回答書の対象ネジとI鑑定書の対象ネジとの間においても,例えば工具顕微鏡で計測したネジ足長さの各寸法の間に弁護人の主張する測定誤差の範囲内に収まらない0.024mmの誤差が生じている。 そうすると,M鑑定書の対象ネジとI回答書及びI鑑定書の対象ネジが別物であるとの弁護人の主張は,前提を欠くものといわざるを得ない。 したがって,再弁10から12までは,D警部が本件ネジを発見し,その頭部に傷が付いていた旨の確定判決等の事実認定に何ら合理的な疑いを生じさせるものではなく,もとより請求人居室から押収されたネジが捜査の過程で傷の付けられた本件ネジにすり替えられたという合理的 - 34 -な疑いを生じさせるものでもない。 ウネジの発見がねつ造されたとするその余の 請求人居室から押収されたネジが捜査の過程で傷の付けられた本件ネジにすり替えられたという合理的 - 34 -な疑いを生じさせるものでもない。 ウネジの発見がねつ造されたとするその余の主張について 弁護人は,再弁3から15まで及びこれに関連する旧証拠に基づいて,①警察は本件発生直後に本件爆発物の時限装置を割り出し,犯人の手元にマイナスネジが残っていると想定しており,請求人の手元から時限装置に使われた時計と同種のマイナスネジが発見される必要があった,②請求人の居室の検証等は数回にわたって実施され,数百点もの物品が押収されているのに,本件ネジが1回目の検証及び捜索差押え時に発見されたのは不自然である,③D警部が現場到着後50分近く経過してから1回目の検証及び捜索差押えに着手したことが不自然であり,警察はマイナスネジが重複して発見される危険を避けるため,請求人を逮捕して同人がマイナスネジを所持していないのを確認してから,本件ネジの「発見」をねつ造すべく,検証及び捜索差押えに着手したと考えられる,④警察は本件発生直後に本件爆発物の時限装置に使用された時計を特定し,同種の時計を入手していたのであるから,ネジの発見後直ちに入手済みの時計のネジとの対照が可能であったにもかかわらず,わざわざ時計店を回るなどの遠回りな捜査をしたことが不自然である,⑤Wが,D警部のそばにいながら,ネジがその手の平の上に載るまでの状態をよく分からないと証言したのは不可解であるなどと主張し,これらの事情によれば,本件ネジの「発見」はねつ造されたものであると主張する。 そこで,まず,弁護人が主張する①の点についてみると,警察が本件犯人の手元にマイナスネジが残っていると想定していたからといって,警察が本件ネジの発見をねつ造したことに結び と主張する。 そこで,まず,弁護人が主張する①の点についてみると,警察が本件犯人の手元にマイナスネジが残っていると想定していたからといって,警察が本件ネジの発見をねつ造したことに結び付くわけではない。 次に,②の点について検討すると,本件布団袋は請求人居室である2階東側和室のほぼ中央に,布団等が入れられた状態で置かれていたのであり(確定第1審検764),その場所及び大きさからすれば否応なく目 - 35 -につくものであるから,D警部が1回目の検証及び捜索差押え時に本件布団袋を見分し,本件ネジを発見したことが不自然であるとはいえない。 また,③の点について検討すると,D警部は,確定第1審第45回公判において,現場到着から検証及び捜索差押え着手まで時間を要したのは,主として,立会人となるべきUに用件を伝えたところ,同人がかなり驚き,夫に電話を掛けたり,D警部が事情を説明したりしていたためである旨合理的に供述しており,上記Uが驚いていたことについては同人自身がその旨証言していて(確定第1審第77回公判),裏付けられている。そうすると,現場到着から検証及び捜索差押えの着手まで時間を要したことが不自然であるとはいえない。 なお,仮に警察が請求人の逮捕後に検証及び捜索差押えを着手することを意図していたとしても,請求人の着衣や自動車からマイナスネジが発見されないことが請求人の逮捕直後に判明するとは限らず(現に請求人の自動車の検証には1時間17分の時間を要しており,しかも同検証開始日時は請求人居室等の検証及び捜索差押え着手後の昭和51年8月10日午後5時28分である。),旧証拠からうかがえる請求人に対する逮捕状,請求人居室における検証許可状及び捜索差押許可状並びに請求人の自動車における検証許可状及び捜索差押許可状の発付後 51年8月10日午後5時28分である。),旧証拠からうかがえる請求人に対する逮捕状,請求人居室における検証許可状及び捜索差押許可状並びに請求人の自動車における検証許可状及び捜索差押許可状の発付後の捜査状況に徴しても,ネジの発見のねつ造を意図したD警部がマイナスネジが重複して発見されるという危険を避けるためにあえて検証及び捜索差押えの着手を遅らせたなどという疑いが生じる余地もない。 さらに,④の点について検討すると,本件ネジがC独自の規格であるか否かは,その証拠価値に関わる重要な事項であるから,捜査機関がこの点について慎重に捜査を遂げるのは当然のことであって,不自然であるとはいえない。そして,爆捜本部が本件発生後早い段階で時限装置に使われた時計の機種やネジの使われ方を把握していたことは,前記のと - 36 -おり確定審におけるM証言やf証言に現れており,確定判決等もこれらの証言を前提として,D警部が布団袋の中から本件ネジを発見した事実を認定している。 最後に,⑤の点について検討すると,昭和51年8月10日に請求人居室において実施された検証及び捜索差押えの状況を撮影したWは,人の動きそのものは撮影の対象ではなかったと証言している上,請求人居室へはWの他に6名の班員が同行していたことからすると,Wが,D警部のそばにいながら,その手の平の上に載るまでのネジの状態を把握していなかったことが不可解であるとはいえない。 したがって,再弁3から15までは,D警部が本件ネジを発見した旨の確定判決の事実認定に何ら合理的な疑いを生じさせるものではない。 (3) 以上の次第で,再弁2から15までは,関連する旧証拠を検討しても,証拠の明白性がない。 第6 結論弁護人が提出した証拠は,いずれも証拠の明白性を欠き,刑事 させるものではない。 (3) 以上の次第で,再弁2から15までは,関連する旧証拠を検討しても,証拠の明白性がない。 第6 結論弁護人が提出した証拠は,いずれも証拠の明白性を欠き,刑事訴訟法435条6号の証拠には当たらない。よって,本件再審請求は理由がないから,同法447条1項によりこれを棄却することとし,主文のとおり決定する。 平成28年3月28日札幌地方裁判所刑事第1部裁判長裁判官田㞍克已 裁判官今井理 裁判官貝阿彌健

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