主文 1 被告は,原告Aに対し,1540万0825円及び内1400万0825円に対する平成18年10月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告は,原告Bに対し,2856万1465円及び内2596万1465円に対する平成18年10月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,これを5分し,その3を被告の負担とし,その余を原告らの負担とする。 5 この判決は第1,2項に限り,仮に執行することができる。事実及び理由第1 請求 1 被告は,原告Aに対し,3479万2834円及び内3163万2834円に対する平成18年10月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告は,原告Bに対し,4139万2834円及び内3763万2834円に対する平成18年10月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。第2 事案の概要 1 本件は,被告の従業員,下請業者の従業員又は下請業者として,被告の電気工事に従事していた故C(昭和21年10月23日生まれ。以下「故C」という。)の相続人である原告らが,故Cは,被告の故Cに対する安全配慮義務違反により石綿(アスベスト)粉じんに曝露した結果悪性胸膜中皮腫(以下「悪性中皮腫」という。)に罹患し平成18年10月18日に死亡したことによって8001万0483円の損害が発生したとして,被告に対し,労災保険による損害填補後の損害額について,債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求として,原告Aに対し3479万2834円及び内3163万2834円に対する不法行為の日である平成18年10月18日から支払済みまで民法所定の年5分の割合に 務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求として,原告Aに対し3479万2834円及び内3163万2834円に対する不法行為の日である平成18年10月18日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金,原告Bに対し4139万2834円及び内3763万2834円に対する不法行為の日である平成18年10月18日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払を求める事案である。 2 前提事実 当事者ア原告 故Cは,昭和21年10月23日夕張市a番地で出生し,平成18年10月18日に悪性中皮腫により死亡した(甲C1の1・4,9の2)。 故Cは,昭和37年に被告に入社し,昭和41年頃に被告の経営が苦しくなった後,昭和43年に被告を退職し,被告の下請業者であるD商会と雇用契約を締結した。その後,昭和49頃にD商会から独立して屋号をE電気商会とし,昭和58年6月29日には株式会社Eを設立して,代表取締役に就任し(甲C11)(以下,E電気商会及び株式会社Eを単に「E」という。),平成18年まで被告から電気工事を請け負っていた。 原告Aは故Cの妻であり,両名の間には,原告B,訴外F(以下「F」という。)及び訴外G(以下「G」という。)の3名の子供がいる(甲C1の1ないし9)。F及びGは故Cの相続に関し相続放棄をしたため,故Cの相続人は原告A及び原告Bのみである(甲C2の1・2)。 故Cは,被告を退社した後昭和54年9月9日に至るまで,被告の厚生年金の被保険者であった(甲A12)。 原告Aについては,平成19年1月15日に,故Cの死亡につき業務災害と認定され,遺族補償年金,遺族特別支給金,遺族特別年金,葬祭料の支給決定がなされている(甲A1,甲C3の1・2)。イ被告被告は は,平成19年1月15日に,故Cの死亡につき業務災害と認定され,遺族補償年金,遺族特別支給金,遺族特別年金,葬祭料の支給決定がなされている(甲A1,甲C3の1・2)。イ被告被告は,電気設備工事などを目的とする株式会社であり,平成8年7月までの旧商号は「H工業株式会社」であった。 我が国における石綿粉じん曝露防止に関する法規制及び通達等ア昭和4年6月20日に制定,同年9月1日に施行された「工場危害予防及び衛生規則」においては,26条において,「瓦斯,蒸気又は粉塵を発散し衛生上有害なる場所又は爆発の虞ある場所には之が危害を予防する為其の排出密閉其の他適当なる設備を為すべし」とされ,これを受けて,同法施行標準は「瓦斯,蒸気又は粉塵は先ず発生を防止するか又は発生の局所を密閉する努め其の不可能なるときは成るべく発生の局所に於いて吸引排出する装置を設くること」と規定された。さらに,工場危害予防及び衛生規則27条は,必要ある者以外の立入ることを禁止し其の旨掲示すべき場所として,瓦斯,蒸気又は粉じんを発散し衛生上有害なる場所を挙げ,同法28条においては「研磨機による金属研磨,炭酸含有清涼飲料水の瓶詰其の他物体の飛来の虞ある作業高熱物体又は毒劇薬,毒劇物の製造又は取り扱いを為す作業,有害光線に曝露する作業,多量の粉塵又は有害の瓦斯,蒸気若は粉塵を発散する場所に於ける作業其の他危害の虞あり又は衛生上有害なる作業に於いては之に従事する職工に使用せしむる為適当なる保護具を備ふべし。職工は作業中前項の保護具を使用することを要す。」と定められた(甲B55)。イ昭和4年12月16日に制定された「鉱業警察規則」においては,66条において「選鉱場,焼鉱場,製錬場其の他の坑外作業上にして著しく粉塵を飛散する場所に於ては左の各号の規定に れた(甲B55)。イ昭和4年12月16日に制定された「鉱業警察規則」においては,66条において「選鉱場,焼鉱場,製錬場其の他の坑外作業上にして著しく粉塵を飛散する場所に於ては左の各号の規定に依るべし」とし,「粉塵の飛散を防止する為撒水,粉塵の排出,機械又は装置の密閉其の他適当なる方法を講ずること」,「飲料水を備置き且粉塵の混入を防ぐ施設を為すこと」,「洗面所及食事所を設くること但し作業場内に之を設くる場合に於ては粉塵防止の施設を為すべし」,「有害なる粉塵を発散し又は有害なる瓦斯若は蒸気を発散する坑外作業場に於いては前項の施設を為す外洗面所には石鹸又は其の代用品を用ふべし」と規定された(甲B56)。ウ昭和12年内務省令により,「土木建築工事場安全及び衛生規則」が制定(同年9月30日公布)され,同年11月1日から施行された。同規則は,労働者災害扶助法5条(行政官庁は命令の定むる所に依り事業の行はるる場所に於ける危害の防止又は衛生に関し必要なる事項を事業主又は労働者に命ずることを得)に基づく命令であるが,その適用範囲は同法1条1項2号の事業(土木工事又は工作物の建設,保存,修理,変更若は破壊の工事にして,①国,道府県,市町村又は勅令を以て指定する公共団体の直営工事,②鉄道,軌道若は索道の運輸事業又は水道,電気若は瓦斯の事業を営む者が其の事業の為にする直営工事並びに之等の事業に於ける使用中の工作物(作業の運行に直接関係なきものを除く)に関する注文に依る工事,③其の他の工事にして勅令の定むる規模のもの)とされている。前記③の工事については,その規模について,使用労働者延べ人数千人以上,⒝請負によるものであって請負金額が1万円以上,⒞火薬類,動力(一馬力以下の電動力を除く)により運転する機械又は運搬の用に供する軌道を用い ついては,その規模について,使用労働者延べ人数千人以上,⒝請負によるものであって請負金額が1万円以上,⒞火薬類,動力(一馬力以下の電動力を除く)により運転する機械又は運搬の用に供する軌道を用いるものであって使用労働者延べ人員300人以上,⒟地上10m以上又は地下3m以上において作業をするものであって使用労働者延べ人員300人以上,のいずれかに該当するものうち,軒高9m未満にして且建築面積330㎡未満の木造家屋の建築工事を除くものと規定されている(労働者災害扶助法施行令2条)ことから,土木建築工事安全及び衛生規則の適用範囲には民間の大規模土木工事及び建築工事が含まれていた。そして,土木建築工事場安全及び衛生規則においては,30条1項4号において,鑿岩機による穿孔作業の様な粉じんを著しく飛散する作業に従事する場合には,多量の粉じんを吸入し往々硅肺,塵肺等の呼吸器疾患を誘発するおそれがあることから,そのような作業場においてはやむを得ない場合を除いて注水等の粉じん防止施設を為す必要がある旨定められ,さらに,前記やむを得ない場合,電気又は瓦斯による溶接切断作業をする場合,又は石片飛来のおそれのある作業の場合には疾病,障害を予防するため,適当なる保護具(防塵マスク,保護眼鏡,保護頭巾)を備えて労働者の使用に供しなければならず,また労働者も保護具を使用する義務があるとされた(同条1項5号,2項。甲B59)。エ昭和22年に制定された労働基準法においては,鉱業,砂鉱業,石切業その他土石又は鉱物採取の事業,土木,建築その他工作物の建設,改造,保存,修理,変更,破壊,解体又はその準備の事業等もその適用事業の範囲に含め(同法8条2号,3号),使用者に対し,機械,器具その他の設備,原料若しくは材料又はガス,上記,粉じん等による危害を防止す 保存,修理,変更,破壊,解体又はその準備の事業等もその適用事業の範囲に含め(同法8条2号,3号),使用者に対し,機械,器具その他の設備,原料若しくは材料又はガス,上記,粉じん等による危害を防止するために,必要な措置を講じるように定めており(同法42条)(甲B61,63),同年に制定された労働安全衛生規則では,前記規定を受けて,粉じん作業の危害予防策(健康診断等の健康管理を含む)が定められ,さらに,屋外において著しく粉じんを飛散する作業上においては,使用者が注水その他粉じん防止の措置を講ずべき義務を負うことを規定し,粉じんを発散し衛生上有害な場所における業務においては,使用者がその作業に従事する労働者に使用させるために防護衣,マスク(防塵マスク等),保護眼鏡等の適当な保護具を備える義務を負うことを規定した(甲B62,63)。オ昭和22年に制定された労働基準法施行規則においては,鉛,水銀,クローム,砒素,黄燐,弗素,塩酸,硝酸,亜硫酸,硫酸,二硫化炭素,清算,ベンゼン,アニリン,その他これに準ずる有害物の粉じん,蒸気又は瓦斯を発散する場所における業務については労働時間の延長が2時間を超えることが禁止され(同規則18条9号),同規則35条7号では,「粉塵を飛散する場所における業務に因る塵肺症及びこれに伴う肺結核」が業務上の疾病として規定された(甲B65)。カ昭和25年12月26日には労働衛生保護具検定規則において,労働安全衛生規則183条の2の規定による労働衛生保護具の規格に関する検定についての規定が設けられ,同日付けの労働省告示第19号において,そのうち防じんマスクの規格について,ろじん能力の違いにより第1種と第2種の2種類に分類され,その使用基準は労働省労働基準局から各都道府県労働基準局長宛の基発第24号によって 告示第19号において,そのうち防じんマスクの規格について,ろじん能力の違いにより第1種と第2種の2種類に分類され,その使用基準は労働省労働基準局から各都道府県労働基準局長宛の基発第24号によって指定された(甲B68,69)。 なお,同基発においては,石綿を含む粉じんを発する場所における業務について,1㎤中1000個以上が第1種,1㎤中500個以上であれば2種,と定められていた(甲B69)。キ昭和28年6月25日に採択された「就業の場所における労働者の健康の保護に関する勧告(第97号)」(ILO)には,以下の内容が規定された(甲B72)。3 就業の場所における健康に対する危険を予防し,減少し,又は除去する目的で,次のことを行うための適当且つ実施可能なすべての措置を執るべきである。⒜ 有害な物質又は工程を無害な又は有害度の少い物質又は工程と替えること。⒝ 有害な物質の飛散を防止し,及び労働者を有害放射線から保護すること。⒞ 危険な工程は,最小限の労働者を隔離された室又は別むねの建設物に入れて行うこと。 人体が有害な物質と接触すること,及び粉じん,フューム,ガス,繊維,ミスト又は蒸気が健康を害する虞のあるほど多量に作業室の空気中に脱出することを防止するため,危険な工程は密閉した装置の中で行うこと。⒠ ⒜から⒟までに掲げる一又は二以上の方法で有害な粉じん,フューム,ガス,繊維,ミスト又は蒸気にさらされることを防止できない場合には,これらのものを機械的排気装置,換気系統その他適当な手段でそれらの発生個所で又はその近くで除去すること。⒡ 前記の有害要因から労働者の健康を保護するための他の措置が実施不可能であるか又は充分な保護を確保するに充分でない場合には,労働者を有害要因の影響から保護するために必要な の近くで除去すること。⒡ 前記の有害要因から労働者の健康を保護するための他の措置が実施不可能であるか又は充分な保護を確保するに充分でない場合には,労働者を有害要因の影響から保護するために必要な保護被服,保護具その他適当な保護手段を備え,且つ,その用法を労働者に教えること。 業務に特別の危険が付随しているため,⒡に掲げる保護被服及び保護具を使用する必要がある場合には,使用者は,保護被服及び保護具を支給し,洗たくし,及び維持すべきである。保護被服又は保護具は,有害な又は危険な物質で汚染する虞のある場合において,作業に使用し,又は使用者が洗たくし若しくは維持する必要がないときはいつでも,労働者の平常の被服を汚染する虞のない完全に隔離された施設に保管すべきである。 国家機関は,に掲げる措置に関する研究を促進し,適当な場合には自らこれを行い,且つ,この研究の成果の適用を奨励すべきである。使用者も,また,これらの研究を自発的に行うべきである。ク昭和31年5月には,労働省労働基準局長が「特殊健康診断指導指針について」と題する通達を発し,「石綿又は石綿製品を切断し又は研まする場所における作業」等について,いずれも「有害な又は有害のおそれのある作業」のうち「けい肺を除くじん肺を起こし又はそのおそれある粉じんを発散する場所における業務」に該当するものとして,特殊健康診断の実施を使用者に勧奨すべき作業とした(甲B66)。昭和33年5月,労働省は,「職業病予防のための労働環境の改善等の促進について(基発338号)」 を発し,けい肺等特別保護法によるけい肺健康診断の実施並びに前記昭和31年5月基発第308号通ちょうに基づく特殊健康診断の実施等による結果によれば,以上所見者は各関係作業に従事する労働者中にかなり存在するものと推定さ 保護法によるけい肺健康診断の実施並びに前記昭和31年5月基発第308号通ちょうに基づく特殊健康診断の実施等による結果によれば,以上所見者は各関係作業に従事する労働者中にかなり存在するものと推定され,これが対策を要する事態にあると考えられたことから,同通達の別紙において,けい特法に定める粉じん作業のほか特殊健康診断の指導対象作業についても,発散有害物の抑制目標限度,労働環境に対する措置,労働衛生保護具による措置等の対策を促進した(甲B70,71)。ケ同35年3月31日に制定,公布され,同年4月1日に施行されたじん肺法は,同法が適用される「粉じん作業」について,「当該作業に従事する労働者がじん肺にかかるおそれがあると認められる作業をいう。」とし,その具体的な範囲については「労働省令で定める。」とした。これを受けて制定されたじん肺法施行規則(労働省令第6号。昭和35年3月31日制定。)は,前記「粉じん作業」には「石綿をときほぐし,合剤し,ふきつけし,りゆう綿し,紡糸し,積み込み,若しくは積みおろし,又は石綿製品を積層し,縫い合わせ,切断し,研まし,仕上げし,若しくは包装する場所における作業」をも含むとした。また,じん肺法は,使用者及び粉じん作業に従事する労働者に対し,粉じんの発生の抑制,保護具の使用等につき適切な措置を講ずるよう努めるよう定め,さらに使用者に対しては,常時粉じん作業に従事する労働者に対してじん肺に関する予防及び健康管理のため必要な教育を行うこと及びじん肺健康診断を就業時に実施することなどを義務付けた(甲B2,3)。コ昭和41年1月21日労働省令第1号により,労働安全衛生規則の改正が行われ,粉じん対策についても,工学的知識を活用するものとして,工学衛生管理者の制度が創設された(甲B43)。サ昭和43年7月 昭和41年1月21日労働省令第1号により,労働安全衛生規則の改正が行われ,粉じん対策についても,工学的知識を活用するものとして,工学衛生管理者の制度が創設された(甲B43)。サ昭和43年7月24日基発第472号通達で,昭和23年の第1178 号通達にかかわらず,じん肺法に掲げる作業すべて(すなわち,石綿作業を含む)は,2時間を超える残業制限対象作業であることが明らかにされた(甲B43)。シ昭和45年9月には,石綿について,他の有害物質とともに,対象事業場の総点検が実施され,その結果により,昭和46年1月5日基発第1号をもって,局所排気装置の設置及び性能の向上並びに健康管理等についての指導を促す「石綿取扱い事業場の環境改善等について」の通達が出された。なお,当該基発においては,「最近,石綿粉じんを多量に吸入するときは,石綿肺をおこすほか,肺がんを発生することもあることが判明し,また,特殊な石綿によって胸膜などに中皮腫という悪性腫瘍が発生するとの説も生まれてきた。」と記載された(甲B43,80)。ス昭和46年4月28日労働省令第11号として制定された「特定化学物質等障害予防規則」(以下「旧特化則」という。)においては,使用者には,化学物質等による障害を予防するため,使用する物質の毒性の確認,作業方法の確立,関係施設の改善,作業環境の整備,健康管理の徹底その他必要な措置を講ずる努力義務が課され,また,石綿が第2類物質(局所排気装置の対象物質)に指摘された。同規則においては,石綿について,その屋内発散源への局所排気装置の設置,局所排気装置と除じん装置の併設,環境測定,休憩室・洗浄設備の設置,定期的な健康診断の実施等の使用者の義務が規定された(甲B43,81)。セ労働安全衛生法が昭和47年10月に施行されたことに伴い 所排気装置と除じん装置の併設,環境測定,休憩室・洗浄設備の設置,定期的な健康診断の実施等の使用者の義務が規定された(甲B43,81)。セ労働安全衛生法が昭和47年10月に施行されたことに伴い,旧特化則を同法に基づく省令(昭和47年9月30日労働省令第39号「特定科学物質等障害予防規則」(以下「新特化則」という。))として制定した(甲B82)。ソ昭和50年9月30日,新特化則が改正(労働省令26号。以下「改正特化則」という。)され,規制対象として石綿含有率が重量の5%を超えるものと定め,石綿吹付作業は原則禁止とし,特別管理物質を製造し又は取り扱う作業に常時従事する労働者の作業記録等の事業者における保存期間が30年とされる等,規制が強化された(甲B83)。タ労働省は,昭和51年5月22日基発第408号により,改正特化則の関係規定の遵守に加え,建設業を含めた石綿関連事業場の把握,石綿代替措置の促進,環気中における石綿粉じんの抑制等に留意し,関係者に有害性についての周知を図り,もって関係事業場の石綿粉じんによる健康被害防止の徹底を図ることを求めた(甲B84)。チ石綿粉じんの許容濃度は,昭和23年8月12日基発1178号で通達された一般鉱物粉じんと同じく1000個/㎤,又は15㎎/㎥から,昭和40年の日本産業衛生協会許容濃度等委員会の勧告の第1種粉じんとしての2㎎/㎥を経て,昭和48年の同会の改定勧告,時間加重平均2繊維/㎤,天井値10繊維/㎤(5μ以上),クロシドライトについては,これをはるかに下回る必要があるという勧告が出され,その後,労働省は昭和51年5月22日基発408号を以て「石綿粉じんによる健康障害予防対策の推進について」を通達し,事業場に対し石綿の有害性についての周知と健康障害の防止措置の徹底を 勧告が出され,その後,労働省は昭和51年5月22日基発408号を以て「石綿粉じんによる健康障害予防対策の推進について」を通達し,事業場に対し石綿の有害性についての周知と健康障害の防止措置の徹底を図るよう行政指導を行い,その中で環気中の石綿粉じん濃度基準は当面2繊維/㎤(青石綿は0.2繊維/㎤)以下とされた(甲B15,84)。ツ平成7年4月1日にはアモサイト,クロシドライトの輸入,製造,使用が禁止され,平成16年10月1日には石綿を1重量%を超えて含有する①石綿セメント円筒,②押出成形セメント板,③住宅屋根用化粧スレート,④繊維強化セメント板,⑤窯業系サイディング,⑥クラッチフェーシング,⑦クラッチライニング,⑧ブレーキパッド,⑨ブレーキライニング,⑩接着剤が輸入,製造,使用禁止とされた(甲B103)。 3 争点及び争点に関する当事者の主張(別紙) 故Cが従事した被告の工事及び当該工事現場における粉じん曝露の可能性(争点1) 故Cと被告の関係 故Cが従事した被告の工事 各工事現場における石綿粉じん曝露の可能性 故Cに対する被告の安全配慮義務違反の有無(争点2) 被告の故Cに対する安全配慮義務の存否 故Cが被告以外の工事に従事していたことについて 被告の予見可能性について 被告の負う安全配慮義務の内容及びその違反の有無 被告の工事における故Cの石綿粉じん曝露の有無及び当該石綿粉じん曝露と悪性中皮腫罹患との因果関係(争点3) 不法行為の成否について(争点4) 損害(争点5)第3 当裁判所の判断 1 故Cが従事した被告の工事及び当該工事現場における石綿粉じん曝露の可能性(争点1)前記第2,2の前提事実,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認めら )第3 当裁判所の判断 1 故Cが従事した被告の工事及び当該工事現場における石綿粉じん曝露の可能性(争点1)前記第2,2の前提事実,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 石綿(アスベスト)についてア石綿(アスベスト)とは,天然に産する繊維状けい酸塩鉱物で,国内外において,クリソタイル(白石綿),アモサイト(茶石綿),クロシドライト(青石綿),トレモライト,アクチノライト,アンソフィライトの6種類が石綿と定義されている(なお,アンソフィライト,トレモライト,アクチノライトについては,与えられている鉱物名のうち,繊維状を呈しているものだけをアスベストと呼んでいる。)。ロックウールとは,スラグ,岩石などを主原料として,溶融した後,繊維化した人工の鉱物繊維で,グラスウール,岩綿ともいわれる(甲A51,甲B86,89,96)。イ石綿には,「目視不能」,「拡散」,「浮遊」,「再飛散」,「無臭」等の性質があり,よって,石綿繊維は目に見えず,かなり遠くまで飛散し,長時間浮遊し,床に落ちても歩行,掃除等により再飛散する(甲B77,91)。石綿繊維は数ミクロン単位という微細な繊維であり,1本1本を肉眼で捉えることはできないが,これが束になって飛散したり,同時に石綿以外の粉じんも飛散したような場合には,太陽光や電灯光の当たり具合によって,くもって見えたり,キラキラ光る物が浮遊しているのを見ることがある。 浮遊した石綿繊維は,きちんとした防護服を身につけていない場合には労働者自身の作業着や道具に付着し,労働者が当該作業着や道具をそのまま家に持ち帰ることで家庭内曝露の原因となる(甲B77)。ウ石綿は,耐熱性,抗張性,化学的安定性に富むうえ,断熱性,電気絶縁性が高く,その優れた特徴が広く工業原料とし が当該作業着や道具をそのまま家に持ち帰ることで家庭内曝露の原因となる(甲B77)。ウ石綿は,耐熱性,抗張性,化学的安定性に富むうえ,断熱性,電気絶縁性が高く,その優れた特徴が広く工業原料として活用されてきたことから,石綿曝露を受ける機会は様々な業種,業界に働く労働者ばかりでなく,その家族や工場,鉱山,近隣の居住者にも広がった(甲B16,54)。 我が国における石綿(アスベスト)の使用状況等ア日本の石綿(アスベスト)鉱山で,戦後もしばらくの間操業していたのは,北海道富良野市にあったクリソタイル野沢鉱山,島根県江津市にあったクリソタイル清見鉱山,熊本県松橋町(現宇城市)にあったアンソフィライト鉱山くらいであり,その他の石綿(アスベスト)鉱山は規模も小さく終戦時までにすべて閉山されている(甲B85)。イ我が国における石綿の輸入量は,昭和24年の輸入再開から年々増加し,昭和40年には13万3709t,昭和49年には35万2110tに至った(甲B89)。昭和45年から平成2年にかけては年間約20万から30万tが輸入された(甲B89,96)。輸入量は,平成2年頃から減少し続け,平成18年には零となった(甲B89)。ウ石綿を使った建材製品は昭和30年頃から使用され始め,ビルの高層化や鉄骨構造化に伴い,鉄骨造建築物などの軽量耐火被覆材として,1960年代の高度経済成長期に多く使用され(甲B89,96),上記輸入量の8割以上が建材に消費されたとされている(甲B85,86,89,105)。エ石綿吹付作業は概ね昭和30年頃より開始され,昭和39年に防音用として航空基地周辺の建築物に使用され始めたのを契機として一般に使用されるようになった。昭和42年頃より建築物の超高層ビル化,鉄骨構造化に伴い,鉄骨建築物の軽量耐火 より開始され,昭和39年に防音用として航空基地周辺の建築物に使用され始めたのを契機として一般に使用されるようになった。昭和42年頃より建築物の超高層ビル化,鉄骨構造化に伴い,鉄骨建築物の軽量耐火被覆材として大量に使われ出し,昭和45から48年の高度経済成長期が最需要期であった。吸音用として利用される場合には10から20㎜厚さ程度に吹き付けるが,断熱用として利用される場合には条件によっても異なるが100㎜近くも吹き付ける場合があった(甲B16,54)。 我が国における石綿含有建材の製造・販売時期等ア石綿は,国内での産出がほとんどなく,戦時中の一時期を除き輸入に頼っていた。昭和5年から平成17年までの輸入累計では約1000万トンとなっており,このうち,石綿含有建築材料の出荷量は,昭和46年から平成13年までの総計が約4300万トンで,推定の石綿量が約540万トンとなり,これはこれまでに輸入した石綿量の約50%を占める量であった。なお,昭和35年から昭和46年の間は,石綿の使用料が飛躍的に増加(2倍以上増加)した時期であった(甲A51,B89)。イ 「石綿スレート協会四十年史石綿スレート77年の歩み」(昭和53年3月25日発行。甲A41)には,以下の内容の記載がある。 石綿スレートは,当初JES410として発足した時の種類は小平・大平・小波の3種であったが,その後大波板が追加され,終戦後JIS5403と改められ,その後波板(小波,中波,大波,リブ)とボード(フレキシブル板,平板,軟質板)に大別された。さらに,パーライト板,石綿スレート化粧板,けいカル板,けいカル化粧板,住宅用屋根葺板,住宅用屋根葺下見板,各種合成板など,石綿スレートの規格は10件余りになった。 平板とは,大正13年から生産されている, ト板,石綿スレート化粧板,けいカル板,けいカル化粧板,住宅用屋根葺板,住宅用屋根葺下見板,各種合成板など,石綿スレートの規格は10件余りになった。 平板とは,大正13年から生産されている,石綿スレートのボード類の中では最も歴史の古いものであり,初めは小平板に対して大平板と呼ばれていた。 フレキシブル板は,昭和27年に発売され,石綿の配合量も増し高圧プレスするもので,柔軟性が増し,生産量の増加によりボード生産量のほぼ半数に至っている。 パーライト板とは,パーライト(真珠岩)を混入し,その特性を発揮することにより,水に浮くほど軽量であり,防・耐火性,遮音性,断熱性を高めた製品である。昭和33年に生産が始まり,JISは昭和41年に制定されている。 けいカル板は,セルローズ混入の有無,比重によって分類され,無伸縮に近い特質があり,保温性が高く,内装材として大きく発展することが期待されている。石綿スレート業界で生産が始まったのが昭和44年から,JISは昭和48年に制定されている。ウ社団法人日本石綿協会は,「既存建築物における石綿使用の事前診断監理指針」(平成20年2月。甲A51)において,けい酸カルシウム板第一種は平成6年以降アモサイト石綿を使用しておらず,石綿含有ロックウール吸音天井板は昭和63年以降石綿を使用しておらず,石綿含有吹付ロックウールのうち乾式については(一部のカラー品以外は)昭和56年以降,湿式については平成2年以降石綿を使用しておらず,ビニル床タイルについては昭和63年以降石綿を使用しておらず,フリーアクセスフロア材については平成元年以降石綿を使用しておらず,けい酸カルシウム板第二種については平成3年以降石綿を使用していない,とした。また,代表的な石綿含有建材材料の石綿含有率につい クセスフロア材については平成元年以降石綿を使用しておらず,けい酸カルシウム板第二種については平成3年以降石綿を使用していない,とした。また,代表的な石綿含有建材材料の石綿含有率について,石綿含有スレート波板については5から20%,石綿含有スレートボードについては10から30%,石綿含有けい酸カルシウム板第一種については5から25%,石綿含有パーライト板については15から20%,石綿スラグ石膏板については5%,石綿含有石膏ボードについては1から4.5%,石綿含有けい酸カルシウム板第二種については20から25%,石綿含有耐火被覆板については60から70%,石綿含有窯業系サイディングについては5から15%,石綿含有ロックウール吸音天井板については4%であった(甲A51)。エ我が国における主な石綿含有建材の製造期間は概ね次のとおりである。石綿含有吹付材は,昭和30年に製造を開始され,吹付石綿は昭和50年頃に,石綿含有吹付ロックウールは,乾式については昭和56年以降,湿式については平成元年以降製造が中止された。スレートボード・スレート波板は大正5年頃に製造が開始され,平成16年に製造が中止された。 スレートボード・平板は,大正2年に製造が開始され,平成14年頃に製造が中止された。フレキシブル板は,昭和27年頃に製造が開始され,平成16年に製造が中止された。窯業系サイディングは,昭和42年に製造が開始され,平成10年頃にクリソタイルの使用が中止された。石綿けい酸カルシウム板第一種は,昭和35年に製造が開始され,平成5年以降アモサイト石綿は使用されなくなり,平成6年から平成16年に製造が中止された。石綿けい酸カルシウム板第二種は,昭和38年に製造が開始され,昭和60年以降はクリソタイル,アモサイトの使用が中止された。ビニー ト石綿は使用されなくなり,平成6年から平成16年に製造が中止された。石綿けい酸カルシウム板第二種は,昭和38年に製造が開始され,昭和60年以降はクリソタイル,アモサイトの使用が中止された。ビニール床タイルについては,昭和60年頃以降製造が中止された。ロックウール吸音天井板には,昭和62年以降クリソタイルの使用が中止された。石綿含有せっこうボードについては,昭和63年にクリソタイルの使用が中止された(甲B77,89,96,103,106)。オ (社)日本石綿協会によれば,無石綿製品の製造が開始された時期は,吹付ロックウールについては最も早いもので昭和50年(株I,旧J株 (現在,J株)),湿式吹付材については最も早いもので昭和63年(旧K株(現在,K株),株旧L(現在,株L)),吹付パーライトについては最も早いもので昭和40年(株M),けい酸カルシウム保温材については最も早いもので昭和54年(L2株(現在,株L等),けい酸カルシウム板第2種については最も早いもので昭和59年(旧N(現在,N株),スレートボード・フレキシブル板については最も早いもので平成3年(旧O株(現在,O株)),フレキシブルボード平板については平成5年(旧O株(現在,O株)),スラグ石膏板については最も早いもので昭和63年(旧P株(現在,P株),けい酸カルシウム第1種については最も早いもので平成元年(Q株・旧R株(現在,R株等),ロックウール吸音天井板については最も早いもので昭和62年(S株),ビニル床タイル又はシートについては最も早いもので昭和27年(旧T株(現在,T株),けい酸カルシウム床板材については平成元年(J株),ソフト巾木については昭和40年(旧U (S株),ビニル床タイル又はシートについては最も早いもので昭和27年(旧T株(現在,T株),けい酸カルシウム床板材については平成元年(J株),ソフト巾木については昭和40年(旧U株(現在,U株)),窯業系サイディングについては最も早いもので昭和36年(旧V株(現在,V株),建材複合金属系サイディングについては最も早いもので昭和63年(W株),スレート波板については最も早いもので平成16年(X株等),であった(甲A50)。カ 「昭和52年~53年版建材用途・部位別需要動向と競合性」(建築同友会。甲A42)には,以下の内容の記載がある。 石綿スレートは,石綿,セメントを主原料とし,抄造,圧搾形成されるものであり,波板とボードに大別される。 石綿スレートの主要メーカーとしては,旧L,Z,Y,イ,旧ロなどがある。 石綿セメント硅酸カルシウム板(硅カル板)には,石綿,セメント,硅酸カルシウムと主原料としたものと,セメントを使用せず,石綿,石灰,硅酸カルシウムを原料とする2つの種類がある。硅カル板の主要メーカーの出荷量推定としては,旧Jが300万枚,旧Lが160万枚,Sが80万枚,Yが80万枚,Zが50万枚,その他が180万枚とされている(合計850万枚)。キ昭和47年頃の石綿スレートの企業別シェアは,1位がZ(20.8%),2位が旧L(19.5%),3位がイ(12%),4位が旧ロ(7.6%),5位がハ(6.6%)である。窯業建材の分野におけるスレート関係は比較的メーカーが少ない方であるため,上位メーカーの寡占度は高く,上位5社で全体の66.4%を占めており,上位3社でも52.3%を占める(甲A53)。ク昭和47年頃のロックウール吸音天井板の企業別シェアは,1位がニ 方であるため,上位メーカーの寡占度は高く,上位5社で全体の66.4%を占めており,上位3社でも52.3%を占める(甲A53)。ク昭和47年頃のロックウール吸音天井板の企業別シェアは,1位がニ(46.9%),2位がS(38.3%),3位が旧ホ(9.6%),4位がヘ(4. 3%),5位がM(0.9%)であり,昭和47年時点でこの分野にその後進出することを決定していた企業はト,旧V,イ,旧Jの4社であった(甲A53)。ケロックウール化粧吸音板(主な使用個所がビル・店舗の天井のもののみ)について,ニにおいては昭和43年から昭和57年までの間,S株においては昭和39年から昭和63年までの間,旧ホ株(現在はホ株)昭和48年から昭和60年までの間,石綿含有製品が製造販売されていた(甲A50)。コ昭和45年以降に株式会社L(旧L株,旧Z株等(甲A50参照))が製造,販売した石綿含有製品のうち,けい酸カルシウム板第二種(製品名:ケイカライト)については,昭和62年までに製造,販売されたものは石綿含有製品であり,その後は無石綿製品となった。また,けい酸カルシウム板(製品名:ハイラック,アスベストン,セルストン等)については,愛知,水嶋,茨城,大阪のいずれの工場においても,昭和61年までに製造,販売されたものは石綿含有製品であり,昭和62年から平成4年までの間に製造,販売されたものについては,生産時は無石綿製品であったが,法改正により無石綿製品と石綿含有製品の両方の可能性がある製品である。 平成5年以降は無石綿製品となった。同社の製造,販売したスレート波板(製品名:大波板等)については,平成16年までに製造,販売されたものは石綿含有製品であり,その後は無石綿製品となった。スレートボード(製品名:フレキシブル った。同社の製造,販売したスレート波板(製品名:大波板等)については,平成16年までに製造,販売されたものは石綿含有製品であり,その後は無石綿製品となった。スレートボード(製品名:フレキシブルボード,セルフレックス等)については,無石綿製品となったのは,最も早い石岡工場及び大阪工場で平成14年であった(甲A43)。サ旧Z株式会社(旧商号:Y株式会社)が,スレートボードについて無石綿製品の製造販売を開始したのは,平成2年8月から(「スレートボード・平板」を製造,販売)であった。また,けいカル板については無石綿製品の製造販売を開始したのは昭和58年からであった(甲A44)。シ S建材株式会社において,けいカル板について無石綿製品の製造販売を開始したのは,平成3年11月からであった(ただし,平成3年12月までは石綿含有製品も製造販売されていたため,1か月間は石綿含有と無石綿が重複している。)。ロックウール吸音板(「ダイロートン」シリーズ)については,準不燃材料区分の製品については昭和62年1月以降,不燃材料区分の製品については昭和62年4月以降,石綿を含まないものに切り替えて,製造販売したのであって,これ以前の製品については石綿含有製品である(甲A44)。ス 株イにおいては,吹付石綿(ロックウール含む)については昭和37年から昭和55年まで(なお,無石綿製品が製造販売され始めたのは,昭和55年。),スレート波板については,大波,小波は昭和6年から平成16年まで,中波は昭和37年から平成11年まで,サイディングは昭和53年から平成14年,エスルーフは昭和56年から平成6年まで,スレートボードについては,フレキシブル板(商品名:フレキシブルシート)は昭和28年から平成16年まで(ただし,平成3年に無石綿製品の販売が 年から平成14年,エスルーフは昭和56年から平成6年まで,スレートボードについては,フレキシブル板(商品名:フレキシブルシート)は昭和28年から平成16年まで(ただし,平成3年に無石綿製品の販売が開始された。),軟質フレキシブル板は昭和48年から平成16年まで,平板は昭和6年から昭和60年まで,軟質板は昭和30年から昭和55年まで,けい酸カルシウム板第一種については昭和60年から平成4年まで(ただし,平成4年に無石綿製品の製造販売が開始された。),けい酸カルシウム板第二種については昭和59年から昭和62年まで(ただし,昭和62年に無石綿製品の製造販売が開始された。),耐火被覆板については昭和44年から昭和53年まで,モルタル混和剤については昭和31年から平成15年9月まで(ただし,平成15年から無石綿製品の製造販売が開始された。),石綿含有製品を製造販売していた。なお,無石綿製品が最も早く製造販売されたのは吹付ロックウール(商品名:コーベックス(NS))であり,時期は昭和55年であった(甲A45)。セロ株式会社(昭和25年7月に旧ロ工業株式会社として創業し,昭和62年4月に社名をロ株式会社に変更。)においては,スレート波板(大波,小波,サイディング)については昭和25年から平成16年4月まで,スレートボード(フレキシブルボード,平板,軟質板)については昭和36年から平成9年12月まで,スラグ石膏板については昭和55年から平成9年12月まで(なお,スレートボード及びスラグ石膏板については平成9年12月に製造中止。),窯業系サイディングについては昭和61年から平成16年3月まで,それぞれ石綿含有製品の製造販売がされていた。なお,同社の無石綿製品の製造販売開始については,商品名「ショップサイディング」が最も早くて平成 グについては昭和61年から平成16年3月まで,それぞれ石綿含有製品の製造販売がされていた。なお,同社の無石綿製品の製造販売開始については,商品名「ショップサイディング」が最も早くて平成10年10月からであったが,その他の製品については平成14年6月以降に順次無石綿製品に切り替えられていった(甲A46)。ソ O株式会社においては,ケイカル板については平成元年から平成10年1月まで(ただし,平成5年から無石綿製品あり。),フレキシブルボードについては,昭和47年から平成15年6月まで(ただし,平成3年から無石綿製品あり。),大平板については昭和47年から平成15年6月まで(ただし,平成5年から見石綿製品あり。),スラグ石膏板については昭和59年から平成元年5月まで,サイディングについては昭和62年から平成15年6月まで,それぞれ石綿含有製品の製造販売がされていた。なお,同社が無石綿製品の製造販売を開始したのは早い物で平成3年である(甲A47)。タ J株式会社における昭和43年以降の石綿含有製品の製造販売状況としては,乾式吹付石綿(商品名:トムレックス)ないしロックウール(商品名:スプレークラフト)については昭和49年まで,湿式石綿含有吹付材(商品名:トムウェット)については昭和45年から昭和62年まで,石綿含有けい酸カルシウム板第二種(商品名:キャスライトH,L)については平成2年まで,けい酸カルシウム板(ビル用。商品名:アスベストラックス等)については平成4年まで,石綿含有製品の製造販売が継続されていた。同社の全製品が無石綿製品となったのは平成4年であり,無石綿化が最も早く行われたのは,石綿含有吹付ロックウールである(甲A48)。チチ株式会社製造の不燃ジプトーン(厚さ9㎜。防火材料認定番号第1013号及び第1 綿製品となったのは平成4年であり,無石綿化が最も早く行われたのは,石綿含有吹付ロックウールである(甲A48)。チチ株式会社製造の不燃ジプトーン(厚さ9㎜。防火材料認定番号第1013号及び第1004号。ただし,第1004号(昭和54年6月から製造)については,石綿を使用していない製品も同じ番号となる期間がある。)については,昭和47年7月から昭和61年8月まで石綿を含有していた。チ株式会社における石綿含有商品の生産量の割合は全商品の1%程度であり,殆どの商品には石綿を使用していなかった(乙A6)。ツニ社製造のロックウール化粧吸音板(ミネラートン。昭和43年から昭和44年製造)は石綿を含有していたが,前記時期に製造されたもの以外は石綿を含有していない(乙A7)。テリ株式会社の不燃岩綿吸音天井板「三星印ロックスター」(生産時期昭和38年から昭和50年)については,石綿が使用された記録がない。なお,それ以前に製造されたロックウール不燃吸音天井材「ロックスター」にも石綿は使用されていなかった(乙A9の1・2)。 故Cの経歴及び被告との関係等ア故Cは,昭和21年10月23日に北海道夕張市で出生し,夕張市内の高校を中退後,北海道内の職業訓練所電気課に入学して電気工事士の資格を取得し,昭和37年に被告(当時の商号は「H工業株式会社」)に入社した。その後,昭和43年に被告を退社し,被告の下請業者であるD商会に雇用された後,昭和49年頃にD商会から独立してE電気商会を設立した。そして,昭和58年に株式会社Eを設立し,故Cは同社の代表取締役に就任した(甲A16)。故Cは,D商会を退社後も,被告から工事を請け負うなどして,被告の工事に従事した。イ故Cは,昭和37年に被告に入社後,夕張市から大阪市所在の被告 同社の代表取締役に就任した(甲A16)。故Cは,D商会を退社後も,被告から工事を請け負うなどして,被告の工事に従事した。イ故Cは,昭和37年に被告に入社後,夕張市から大阪市所在の被告社員寮に転居し,昭和43年頃には同社員寮を出て大阪府吹田市bのアパートで生活し始めた。その後,昭和50年10月の結婚を機に吹田市C町のアパートに引っ越し,昭和54年頃には吹田市dのアパートに転居した。そして,昭和60年頃に吹田市dのマンションを購入し,平成18年に死亡するまでの間,同所に居住していた(甲A16)。ウ故Cは,平成16年7月21日に悪性中皮腫を発症した。その後症状は除々に悪化し,平成18年10月18日に悪性中皮腫により死亡した(甲A1,16)。エ故Cの労災認定等 故Cは,平成18年8月22日,悪性中皮腫を発症したことにつき,労災保険に係る休業補償給付等を請求し,石綿ばく露歴質問票において,①建築業,②ビルの解体作業,③電気・ガス・スチームの配管工事,④断熱工事,⑤電気業(発電所・変電所・電気事業所)での仕事に従事したことがあること,仕事においては,石綿セメント板・管を取り扱い,近くでは断熱パッド(詰め物)の取り付け・取りはずし,石綿パイプの取り付け・取りはずし,溶接,保温材で包まれたパイプの取り付け・取りはずし,プレカットされたアスベストブロックの取り付け・取りはずし,石綿壁材やアスベストボール紙の取り付け・取りはずしが行われていたこと,たばこについては,1966年10月から1985年6月までの間,1日に20本程度を吸っていたことを回答した。また,自己が従事した具体的な工事として,①甲ビル新築工事における電気工事(電気室での配管工事。アスベストを使った防火壁内の電気配管作業),②乙ビル地下駐車場工 本程度を吸っていたことを回答した。また,自己が従事した具体的な工事として,①甲ビル新築工事における電気工事(電気室での配管工事。アスベストを使った防火壁内の電気配管作業),②乙ビル地下駐車場工事における電気工事(駐車場配管工事。配管作業),③ヌ病院における電気工事(病院内電気室。配管作業),④大阪市立体育館建設工事における電気工事(体育館電気室。配管作業),⑤ル中学校建設工事(中学校電気室。配管作業),⑥ヲ高校建設工事における電気工事(高校電気室。配意管作業)を挙げた。さらに,職経歴としては,H工業株の従業員であったときに行った甲電信,電話,電報局の新築工事現場においては,アスベスト(天井内の耐火,防火の為)を使用していた天井内での作業が多かった,と記載した(甲A5,11)。 故Cは,平成18年10月に,「昭和38年以降の主な現場名」として,①乙ビルの地下駐車場工事,②大阪市立体育館建設工事,③ワ建設工事,④ヲ高校建設工事,⑤ル中学校建設工事,⑥大阪市南港の市営住宅建設工事を挙げた(甲A23)。 故Cについては,業務上石綿曝露し,悪性中皮腫を発症し,悪性中皮腫により死亡したと認められるとして,労災認定がなされた。当該労災認定においては,調査官意見として,「本件被災者の石綿ばく露したとされる作業への従事については,所属事業所であるD商会●●の証言により,昭和43年~昭和49年までの約7年間,被災者が昭和43年まで所属していたH工業株の下請である当該事業場において,電気工として,主に公共事業の新築,改築に伴う電気配管工事に従事していたことが確認されたものである。・・・。社会保険記録照会回答では,昭和54年9月8日までH株(H工業株から社名変更)の被保険者となっているが,H株には,従業員として 配管工事に従事していたことが確認されたものである。・・・。社会保険記録照会回答では,昭和54年9月8日までH株(H工業株から社名変更)の被保険者となっているが,H株には,従業員として雇っていた記録はなく,また,昭和43年に,D商会を離職し,自営となったということについて,事業主,被災者とも申述していることから,石綿ばく露最終所属事業場についてはD商会とするが妥当と思料する。」と記載されている(甲A1)。なお,前記記載のうち,昭和43年にD商会を離職したとの記載については,昭和49年の誤りであると解される。 上記労災認定手続における聴取の際,事業主(D商会・代表者D)は,昭和43年から昭和49年までの間の故Cの石綿ばく露の状況について,「アスベスト吹きつけ作業の環境下での電気配管工事」と述べた(甲A2)。 故Cを診察したカ病院の医師は,平成18年9月25日付け診断(意見)書の「患者の石綿ばく露歴と発症(死亡)との因果関係に関する意見」欄に,「職業上の曝露歴あり」と記載している(甲A8)。 故Cが従事した可能性がある被告の工事現場故Cが従事した可能性がある被告の工事現場には以下の現場が含まれる。①ヨ記念館新築工事②南港住宅(ポートタウン)建設工事③大阪市立ル中学校分校(ル南中学校)新築工事等④乙ビルディング(地下駐車場)建設工事⑤大阪市立千島体育館新築工事⑥(R-1)梅田駅改造工事⑦タ病院新築工事⑧泉尾第2住宅建設工事⑨大阪市立ヲ高校新築工事等 各建設工事における建材の使用状況等アヨ記念館新築工事 ヨ記念館新築工事仕上表(昭和48年6月製図。甲A28の1の1ないし28の3の2)によれば,管理棟地下1階(係員室,洗面・脱衣室,廊下),同棟1階(事務室 の使用状況等アヨ記念館新築工事 ヨ記念館新築工事仕上表(昭和48年6月製図。甲A28の1の1ないし28の3の2)によれば,管理棟地下1階(係員室,洗面・脱衣室,廊下),同棟1階(事務室,倉庫,管理人室玄関踏込),同棟各階の階段及び湯沸室,食堂棟1階(事務室),講堂棟(控室,客席,設備機械室,投光室の床にはV.A.T(ビニアス系タイル貼り)が,管理棟地下1階(係員室,洗面・脱衣室,廊下),同棟1階(エントランスホール,事務室,廊下,倉庫,管理人室玄関踏込),同棟2階(同窓会室,ロビー,廊下),同棟3階(ホール・廊下,会議室(B),クローク,宿泊室(洋間)),同棟各階の階段及び湯沸室,食堂棟1階(レストラン,娯楽室,事務室,階段),同棟2階(喫茶室),渡り廊下(1階),展示棟1階(ホール),同棟2階(ギャラリー,階段),講堂棟(ホワイエ,ラウンジ,控室,客席)の巾木にはソフト巾木が,管理棟地下1階(和室45帖,係員室,洗面・脱衣室,浴室,便所),同棟1階(洗面・脱衣室,浴室),同棟3階(脱衣室,浴室),同棟各階の湯沸室及び便所,講堂棟(客席,第1及び第2便所)の天井にはF.S(フレキシブルシート)が,管理棟1階(エントランスホール,事務室,応接室,役員室,迎賓室,廊下),同棟2階(会議室,同窓会室,大会議室(A),ロビー),同棟3階(ホール・廊下,会議室,クローク,宿泊室),講堂棟(ホワイエ,控室)の天井にはけい酸カルシウム板が,管理棟1階(倉庫,更衣室(和室),管理人室(和室,DK,玄関踏込),同棟2階(倉庫),同棟3階(リネン),展示棟1階(ホール)の天井及び管理棟1階(管理人室DK),同棟3階(和室12帖,同6帖)の壁には石膏ボードが,管理棟地下1階(屋外ドライエリア),食堂棟1階(レストラン,娯楽室,事務 (リネン),展示棟1階(ホール)の天井及び管理棟1階(管理人室DK),同棟3階(和室12帖,同6帖)の壁には石膏ボードが,管理棟地下1階(屋外ドライエリア),食堂棟1階(レストラン,娯楽室,事務室,厨房,階段),同棟2階(喫茶室),渡り廊下(1,2階共通),展示棟1階(ホール),同棟2階(ギャラリー,階段),講堂棟(客席(ギャラリー裏・階段及びスロープ),設備機械室,投光室,ファンルーム,外部ファンルーム)の天井及び講堂棟(設備機械室,投光室,ファンルーム,外部ファンルーム)の壁はロックウール(吹付)が,それぞれ使用された。なお,本件工事においては,各所においてモルタルが使用されている。 上記ヨ記念館新築工事仕上表には,仕上表示略記号欄において,①V. A.T(ビニアス系タイル貼り),②P.B(石膏ボード),③P.B(穴)(穴あき石膏ボード),④S.B(石綿板),⑤F.S(フレキシブルボード),F.S(穴)(穴あきフレキシブルボード),⑥R.WTex(石綿系吸音板)との記載がされた。なお,「RW」については記載がない。 大阪ヨ記念館については,着工が昭和48年7月,竣工が昭和49年10月であった(甲A40)。イ南港住宅(ポートタウン)建設工事 南港住宅(ポートタウン)建設工事(南港住宅(ポートタウン第2住区)工事)において,被告が受注したのは,2区電気設備工事(昭和51年10月20日契約締結。),及び2区電気設備追加工事(屋外工事。 昭和53年2月18日契約締結。)であった。なお,前者の工事期限は昭和53年3月31日,後者(追加工事)については同年4月10日と定められていた(乙A3)。 南港住宅(ポートタウン)建設工事における特記仕様書(昭和51年1月製図)においては,一般共通事項として,「材料 後者(追加工事)については同年4月10日と定められていた(乙A3)。 南港住宅(ポートタウン)建設工事における特記仕様書(昭和51年1月製図)においては,一般共通事項として,「材料,商品名,製造会社,施工事業所等で特記された以外のものを使用する場合は本市係員が同等以上と認めたものを使用すること」とされ,防水工事においては下地モルタル,仕上モルタル等との記載があり,内装工事について「クロスB」として「PA-5000(ときわ)」,石膏ボード(厚9 底目地張。目地底はテープ貼。但し断熱部分は奥付とする),石綿けい酸カルシウム板(厚6 表面はポリウレタン系シーラー処理をしたものとする),フレキシブルボード(厚3.2(特記なき限り)底目地貼。目地底テープ貼),化粧プラスターボード(ジプトーン(チ)455×910(7m/m),吉野天井板(チ)455×1910(7m/m)),E材,断熱材として石膏ボード厚9(和室押入)(1F~10F),石綿けい酸カルシューム板材と同等製品以上(11F~14F)とされた。また,内装プレハブ工事特記仕様書(昭和51年1月製図)においては,「第2章部品,部材の規格」において,材料として,「石膏ボードはJIS-A-6901 2級相当品とする。厚9m/m」,「石綿けい酸カルシューム板(厚6m/m)不燃や1061号の上ウレタン系シーラー処理をしたものとする。」とされ,「第3章部品の製作」において,間仕切パネルにつき,複合型(40m/m及び18m/m)には,1F~10Fについては石膏ボード(厚9m/m)が,11Fから14Fについては石綿けい酸カルシューム板(厚6m/m)を使用することとされた(甲A29の1の3ないし5)。 南港住宅(ポートタウン)建設工事の外部仕上表(甲A29の1の6の1・2) 1Fから14Fについては石綿けい酸カルシューム板(厚6m/m)を使用することとされた(甲A29の1の3ないし5)。 南港住宅(ポートタウン)建設工事の外部仕上表(甲A29の1の6の1・2)においては,「凡例」として,「P.B 石膏ボード」,「KPW 硅カル板」,「SB軟軟質石綿板」,「F.S フレキシブル板」,「F. S(孔) 孔明フレキシブル板」とされた。 南港住宅(ポートタウン)建設工事における室内仕上表(住戸室内仕上表。昭和51年1月製図。甲A29の1の7の1・2)においては,玄関,台所,食堂,便所,脱衣室の腰壁及び台所,食堂の天井にはクロスB(PA-5000(ときわ))を,玄関,台所,食堂,居室(和室),押入(天袋),便所,脱衣室の腰壁及び玄関,台所,食堂,居室(和室)の天井には石膏ボードを,玄関,台所,食堂,居室(和室),押入(天袋),便所,脱衣室の腰壁には硅カル板を,浴室,脱衣室の天井にはフレキシブル板,便所の天井には孔明フレキシブル板を,それぞれ使用することとされた。 室内仕上表(○老住戸室内仕上表。昭和51年1月製図。甲A29の1の8の1・2)においては,玄関,台所,便所の腰壁にはクロスB(PA-5000(ときわ))を,台所,居室(和室),押入・物入,便所の腰壁及び玄関,台所,居室(和室)の天井には石膏ボードを,バルコニーの腰壁には石綿板を,便所の天井には孔明フレキシブル板を,それぞれ使用することとされた。 なお,当該工事においては,各所にモルタルが使用された。ウ大阪市立ル中学校分校(ル南中学校)新築工事等 1970(昭和45)年4月1日に,大阪市立ル中学校から大阪市立ル南中学校が分離独立した(甲A32)。 大阪市立ル中学校分校新築工事建設工事特記事項(甲A30 分校(ル南中学校)新築工事等 1970(昭和45)年4月1日に,大阪市立ル中学校から大阪市立ル南中学校が分離独立した(甲A32)。 大阪市立ル中学校分校新築工事建設工事特記事項(甲A30の1の1の1・2)においては,同工事の内装工事に関し,「プラスチック系タイル三星プラスタイルP(リ)程度とする」,「塩ビタイルマチコ S2m/m(旧U)」,「化粧PB チボードアートタイガーボードアートタイガートーン程度とする」,「石綿繊維吸音板ミネラートン(ニKK) ロックスター(リ)程度とする」,「石綿吹付旧JKK 旧L イ石綿セメントKK程度とする」とされ,これらの建材を使用することとされた。 北棟仕上表(昭和44年12月製図。甲A30の1の3の1ないし4の2)においては,北棟3階の英語教室(No.1ないし3)及び英語準備室の床には塩ビタイルを,同棟1階の木工工作室,木工機械室,2階の金工工作室,金工機械室,金工原動機室,3階の英語教室(No. 1ないし3),英語録音室,同棟4階の音楽教室(No.1及び2)の天井には石綿繊維吸音材を,同棟1階第1ないし3教室,習字教室,調理教室,被服教室,染色室,総合実習室,同棟2階の社会科教室,数学教室,普通教室(C.R),同棟3階の普通教室(C.R),電気実習室,製図室の天井には有孔化粧石膏ボード底目7m/mを,同棟4階の音楽準備室の天井には化粧石膏ボードを,同棟4階普通教室(C.R)の天井には有孔化粧石膏ボードを,同棟1階の理科準備室,第3教室準備室,家庭科準備室,木工工具準備室,木工試験室,木工材料作品室,木工塗装室,同棟2階の社会科準備室,数学準備室,金工準備室,金工試験室,金工材料作品室,同棟3階の英語準備室,製図準備室,暗室の天井には化粧PBを,同棟1階の 準備室,木工試験室,木工材料作品室,木工塗装室,同棟2階の社会科準備室,数学準備室,金工準備室,金工試験室,金工材料作品室,同棟3階の英語準備室,製図準備室,暗室の天井には化粧PBを,同棟1階の総合実習室,木工機械室,同棟2階の金工工作室,金工機械室,金工原動機室,同棟3階の英語教室(No.1ないし3),英語録音室,同棟4階の音楽教室(No.1及び2)の天井(下地)には石膏ボードを,各階の廊下・ホールの巾木には塩ビ巾木タイルを,各階の階段室(No.1ないし4)の天井には化粧石膏ボード7m/mを,各階の男子及び女子便所,洗面所の天井には大平板を,それぞれ使用することとされた。 中棟仕上表(昭和44年12月製図。甲A30の1の5の1・2)においては,1階の図書室,読書相談室の天井には石綿繊維吸音板を,1階の管理整理室,保健室,特殊学級(男子及び女子),2階の促進教室(No.1ないし9),促進教員室,3階の彫塑室,版画室,絵画室の天井には有孔化粧石膏ボード7m/mを,1階の特殊学級整理室,2階の予備室,3階の美術準備室,材料室,各階の廊下・ホールの天井には化粧石膏ボードを,3階の陶芸教室の天井には石綿繊維吹付を,各階の男子及び女子便所の天井には大平板を,1階の図書室,読書相談室の天井(下地)には石膏ボード9m/mを,それぞれ使用することとされた。 南棟仕上表(昭和44年12月製図。甲A30の1の6の1・2)においては,1階の生徒会室,生徒会本部室,新聞部室,湯沸室・休憩室・洗面室,便所,2階の男子ロッカー室,印刷室,相談室(No.1及び2),教具室,放送室前・資料室,3階の全部屋の床にはプラスチックタイルを,2階の放送室前・資料室の巾木には塩ビタイルを,地階の機械室には石綿繊維吹付を,地階の機械室以外,1階の用務員室 o.1及び2),教具室,放送室前・資料室,3階の全部屋の床にはプラスチックタイルを,2階の放送室前・資料室の巾木には塩ビタイルを,地階の機械室には石綿繊維吹付を,地階の機械室以外,1階の用務員室,2階の男子及び女子ロッカー室,印刷室,教具室,放送室前・資料室,屋階の電話交換機室,各階の廊下・ホールの天井には化粧石膏ボードを,1階ピロティの天井には硅石及びパーライトを,1階の生徒会室,生徒会本部室,新聞部室,2階の教員室,用務室の天井には有孔化粧石膏ボードを,相談室(No.1及び2),放送調整室,3階の全部屋の天井には石綿繊維吸音板を,1階のピロティ,相談室(No.1及び2),放送スタジオ,放送調整室,3階各部屋の天井(下地)には石膏ボードを,それぞれ使用することとされた。 大阪市立ル中学校増築工事建設工事特記事項書(体育館)(昭和45年7月製図。甲A30の2の1)においては,左官工事について「硅石パーライト吹付ツG211(ツ株式会社)又はネオパールステン(ネ株)電着工法」と,内装工事について「プラスチック系タイル貼三星プラスタイルP(リ)程度とする」,「塩ビタイル三星ソフト巾木(リ)程度とする」,「化粧PB 化粧PBとあるは全てジプトーン程度とする」とされた。 室内仕上一覧表(甲A30の2の3の1・2)においては,1階計測室,2階管理室,計測・診療室,廊下,4階ギャラリー,各階の階段室の床にはプラスチックタイルを,1階計測室,2階クラブ室,管理室,計測・診察室,廊下の巾木には塩ビタイルを,1階ホール・廊下の天井にはフレキシブルオードを,最上階の天井には石膏ボードを,外部については軒裏にフレキシブルボード(底目)色リシン吹付(軽量鉄骨下地)を,それぞれ使用することとされた。 大阪市ル中学校増 の天井にはフレキシブルオードを,最上階の天井には石膏ボードを,外部については軒裏にフレキシブルボード(底目)色リシン吹付(軽量鉄骨下地)を,それぞれ使用することとされた。 大阪市ル中学校増築工事建築工事特記事項(講堂)(昭和45年8月製図。甲A30の3の1)においては,左官工事について「パーライト吹付ネオパールステン(ネ株)又はナVP(ナ株)エルデン程度とする」とされ,内装工事については「ビニールアスベストタイル」,「巾木塩ビタイル三星ソフト巾木(リ)程度とする」,「有孔アスベストラックス」,「吹付石綿」とされた。 室内仕上表(昭和45年8月製図。甲A30の3の2の1・2)においては,1階視聴覚教室,同通路,準備室,2階ロビー,側廊下A・B,中2階講堂,3階ロビー中3階調整室の床にはビニールアスベストタイルを,1階準備室,2階ロビー,側廊下A・B,3階ロビー,中3階調整室の巾木にはソフト巾木を,中2階講堂の壁(下地)には有孔アスベストラックスを,1階玄関ホール,厨房・下処理室,野菜室・穀物室・雑品室,2階ロビーの天井にはフレキシブルボードを,1階食堂,休憩室,同踏込,厨房便所,視聴覚教室,同前室,同通路,準備室,クラブ室(No.1及び2),中2階講堂,3階ロビー,中3階調整室の天井には石膏ボードを,2階便所(男子・女子),中3階地学室の天井には大平板を,地階の天井には吹付石綿を,それぞれ使用することとされた。 なお,大阪市立ル中学校の前記各図面によれば,当該各工事においては,各所においてモルタルが使用されることとされていた。エ乙ビルディング(地下駐車場)建設工事乙ビルディング(地下駐車場)建設工事の仕上表(昭和37年11月20日製図。甲A31の1ないし5)においては,地下4階,地下3階 されることとされていた。エ乙ビルディング(地下駐車場)建設工事乙ビルディング(地下駐車場)建設工事の仕上表(昭和37年11月20日製図。甲A31の1ないし5)においては,地下4階,地下3階の各運転手控室,ローカ,地下2階の管理室踏,管理室6帖,電話自動交換室,ローカ,地下1階のM.D.F,ローカ,喫茶室,ロッカー,中2階喫茶室,半地下のローカ,案内室の床にはアスタイル(明)を,地下4ないし1階及び半地下の各M,N,Pの各階段,半地下のS階段の床及び地下4階,地下3階の運転手控室,ローカ,地下2階の管理室踏,電話自動交換室,ローカ,ロッカー,事務室,地下1階のM.D.F,ローカ,半地下の案内室,ローカの巾木にはアスタイルを,地下4階,地下3階の運転手控室,ローカ,電気室,地下2階の管理室踏,管理室6帖,電話自動交換室,ローカ,客用WC男女,ロッカー,WC,事務室案内所,軽食室,地下1階のローカ,男女客用WC,売場,百貨店用ホール,掃除具庫,材料庫,女子更衣室,食堂,厨房,階段,食堂,半地下のローカ,階段の天井にはプラスターボードを,地下2階のローカ,ロッカー,事務室の床にはアスタイル(暗)を,地下2階の案内室,半地下のローカの巾木にはソフト巾木を,地下1階の扉,厨房にはフレキシブルボードを,地下1階のローカ,女子更衣室,食堂,半地下のローカの床にはビニラートタイルを,各階の巾木,腰壁等の各所においてモルタルを,それぞれ使用することとされた。オ大阪市立千島体育館新築工事千島体育館新築工事仕上表(No.1及び2。昭和47年9月製図。甲A34の6・7)においては,1階の事務室,医務室,現業員室,湯沸室,放送室,役員室,会議室,ロビー・競技場・通路,No.1階段,2階の階段ホール,ロビー,男女洗面所,前室,踏込,器具庫の床 図。甲A34の6・7)においては,1階の事務室,医務室,現業員室,湯沸室,放送室,役員室,会議室,ロビー・競技場・通路,No.1階段,2階の階段ホール,ロビー,男女洗面所,前室,踏込,器具庫の床はV.A.T(ビニアス系タイル貼り)を,1階の事務室,医務室,現業員室,湯沸室,放送室,役員室,会議室,男子・女子更衣室,脱衣室,2階の階段ホール,ロビー,男女子更衣室,男女洗面所,前室,トレーニングルーム,器具庫の巾木にはソフト巾木を,1階のピロティ,湯沸室,男子・女子更衣室,男子・女子シャワー室,男子・女子便所,ロビー男女便所,同通路,2階の男女子更衣室,男女子シャワー室,男子・女子便所,男女洗面所,同前室の天井にはF.S(フレキシブルシート)を,1階ロビー,レストスペース,事務室,医務室,宿直室,現業員室,放送室,役員室,会議室,ロビー・競技場・通路,2階の階段ホール,ロビー,倉庫,分電室,剣道場,防具庫,柔道場,踏込,控室,トレーニングルーム,器具庫の天井にはP. B(石膏ボード)ないし化粧P.Bを,R階の天井には吹付石綿を,それぞれ使用することとされた。なお,前記仕様表には,仕上げ表示略記号欄(表)が設けられ,そこには,「V.A.T ビニアス系タイル貼り」,「P.B 石こうボード」,「P. B(穴) 穴あき石こうボード」,「S.B 石綿板」,「F.S フレキシブルボード」,「F.S(穴)穴あきフレキシブルボボード」などが記載された。カ (R-1)梅田駅改造工事 (R-1)梅田駅改造工事の工期は,昭和61年3月から平成3年3月までとされていた。当該工事のうち,「その2の1」は昭和61年3月19日から昭和61年10月31日まで,「その2の2」は昭和62年2月28日から昭和62年9月15日まで,「その2の3」は昭和6 月までとされていた。当該工事のうち,「その2の1」は昭和61年3月19日から昭和61年10月31日まで,「その2の2」は昭和62年2月28日から昭和62年9月15日まで,「その2の3」は昭和62年10月3日から昭和63年9月30日まで,「その2の4」は昭和63年2月17日から平成2年3月31日まで,「その2の5」は昭和63年3月30日から平成2年3月31日まで,「その2の6」は昭和63年10月13日から昭和63年12月24日まで,「その2の7」は平成1年3月28日から平成2年3月31日まで,「その2の8」は平成1年9月26日から平成2年10月31日まで,「その2の9」は平成1年12月9日から平成2年12月28日まで,「その2の10」は平成2年1月30日から平成2年12月25日まで,「その2の11」は平成2年6月12日から平成3年3月31日までとされていた(甲A35の1)。当該工事のうち,被告が関与した工事の実施時期は,昭和62年1月から平成2年3月である。 第1号線梅田停留所改造工事(その2の2)改造概要仕上表(甲A35の2の1・2)においては,券売機室の巾木にフレキシブルボード,天井にロックウール吸音板及び石膏ボード,仮室内所の天井に化粧石膏ボードを,それぞれ使用することとされた。 同仕上表(その2の3)(甲A35の3の1・2)においては,券売機室の天井及び券売機室,仮女子係員室,仮厚生委員室の壁についてはフレキシブル板を,仮駅長分室,仮女子係員室の天井及び券売機室,出札室,北係員室,仮駅長分室,仮仮泊室,仮女子係員室,仮厚生委員室の天井には石膏ボード又は化粧石膏ボードを,それぞれ使用することとされた。 同仕上表(その2の4(乗降場・同階段,北中連絡通路,汚水ポンプ室,排水ポンプ室,倉庫,分電盤 子係員室,仮厚生委員室の天井には石膏ボード又は化粧石膏ボードを,それぞれ使用することとされた。 同仕上表(その2の4(乗降場・同階段,北中連絡通路,汚水ポンプ室,排水ポンプ室,倉庫,分電盤室,送風機室))(甲A35の4)においては,石綿の含有が疑われる建材の使用はなかった。 同仕上表(その2の5)(A35の5の1・2)においては,駅長室,係員室,仮泊室,更衣室,女子更衣室,案内所,券売機室,研修室,厚生委員室,駅長分室,女子●●室,監視室,作業員室の天井にロックウール吸音板を,駅長分室,女子●●室,監視室,作業員室に石膏ボードを,便所(男子,女子,身障者)の天井にフレキシブル板を,それぞれ使用することとされた。なお,その2の5の仕上表には,共通凡例として「Pu.B プラスターボード」等と記載された。 同仕上表(その2の6)(甲A35の6)においては,南東券売機室,出札室の天井にはロックウール吸音板と石膏ボードを使用することとされた。 同仕上表(その2の7)(甲A35の7)においては,便所(男子・女子)の天井に繊維入り石膏板を,排水ポンプ室の天井に波形スレートを,それぞれ使用することとされた。 同仕上表(その2の8(中央西広間,各出入口等))(甲A35の8)においては,石綿の含有が疑われる建材の使用はなかった。 同仕上表(その2の9)(甲A35の9)においては,倉庫の壁の一部に繊維石膏板を使用することとされた。 同仕上表(その2の10)(甲A35の10)においては,定期券売場の天井に石膏ボード及びロックウール吸音板を使用することとされた。 なお,前記各仕上表によれば,各所の巾木や壁においてはモルタルを使用することとされた。キタ病院新築工事(第3期,第4期) タ病院新築工事 びロックウール吸音板を使用することとされた。 なお,前記各仕上表によれば,各所の巾木や壁においてはモルタルを使用することとされた。キタ病院新築工事(第3期,第4期) タ病院新築工事第3期建築工事特記仕様書(昭和46年6月作成。甲A36の1の1)によれば,同第3期工事の工事期間は昭和46年6月から昭和47年3月31日までとされていた。また,電気工の担当区分は,機器基礎工事,梁貫通用スリープ,制御及フロートスイッチ及警報電極棒(配線),動力操作盤及二次側配線工事,電気時計製作工事,館内放送用機器製作取付工事,各換気扇電源,動力操作盤の電源及接地線,照影器具用支持用吊金物,昇降機電源工事,試運転用動力,油,水,ガス,(竣功引渡)約30日分,監視室グラフィックパネル盤,監視室監視盤,発電機用排気管及通気管,火災報知器設備の発信機,ベル及表示ランプ収容面の供給取付,消火栓起動用押釦及表示灯の供給取付及配管配線工事とされた。コンクリートブロック及煉瓦工事については,煙突内部耐火被覆ブロックとして,石綿(旧J又は係員の承認する同等以上のメーカーのもの)を使用することになっていた。内装及び外装工事については,①アスファルトタイル,プラスチックタイル及びリノタイル,ゴムタイル張として,「ビニールタイルCJIS1種 303×303×2% ビニルアスベストタイル」と記載された(製造会社については,ラ,ム,リ,旧U,ウ,と指定されている。)。②繊維板,石膏ボード,石綿スレート,木毛セメント板については,石膏ボード(施工ヶ所を天井・壁,製造業者をチ,三菱又は同等以上で係員の承認するもの),石綿大平板(施工ヶ所を天井,製造業者をイ,旧L,旧J又は同等以上で係員の承認するもの),パーライトボード(施工ヶ所を天井,製造業 を天井・壁,製造業者をチ,三菱又は同等以上で係員の承認するもの),石綿大平板(施工ヶ所を天井,製造業者をイ,旧L,旧J又は同等以上で係員の承認するもの),パーライトボード(施工ヶ所を天井,製造業者をイ,戊,旧J又は同等以上で係員の承認するもの),石綿吸音板(施工ヶ所を天井,製造業者をニ,リ,S又は係員の承認するもの同等以上のメーカー)と記載された。③紙・布・プリステック・単板及びビニールレザー張りについては,布(クロス)の材質・形状について,「特記無き限り不燃材とする(検定合格品),塗装下地用(芯地)(不燃材)と記載された。なお,防水工事に関しては,防水剤入りセメントモルタルの記載がある。 タ病院新築工事第3期本館仕上工事内部仕上表1(甲A36の2の2の1・2)においては,B棟地下1階では,壁の下地に石膏ボード,壁及び天井の下地にフレキシブルボードが使用され,床の多くにアスベスト系塩ビタイル,壁に岩綿吸音板,大平板下地スタイロテックス貼,フレキシブルボード,巾木,壁,天井にモルタルを,それぞれ使用することとされた。なお,石膏ボード,ビニルクロス貼,岩綿吹付については,仕上の項目に記載があるものの,具体的な使用室名が記載されていない。 同仕上表2(甲A36の2の3の1・2)においては,B棟地階,C棟地下1階,階段では,壁及び天井の下地として石膏ボード,天井の下地としてフレキシブルボードを使用し,床にはアスベスト系塩ビタイルを,壁の一部に石膏ボード,トムレックス吹付を,天井の一部に岩綿吸音板,大平板スタイロテックス貼,フレキシブルボード,トムレックス吹付を,床,巾木,壁,天井の各所にモルタルを,それぞれ使用することとされた。なお,ビニールクロス貼,岩綿吹付については,仕上の項目として記載があるものの,具体的な使 レキシブルボード,トムレックス吹付を,床,巾木,壁,天井の各所にモルタルを,それぞれ使用することとされた。なお,ビニールクロス貼,岩綿吹付については,仕上の項目として記載があるものの,具体的な使用室名が記載されていない。 同仕上表3(甲A36の2の4の1・2)においては,A棟1階では,壁及び天井の下地として石膏ボードを使用し,床にはアスベスト系塩ビタイルを,壁には石膏ボード,ビニールクロス貼を,天井には岩綿吸音板,大平板スタイロテックス貼を,床,巾木,壁,天井の各所にモルタルを,それぞれ使用することとされた。なお,フレキシブルボード及び岩綿吹付については下地又は仕上項目に記載があるものの,具体的な使用室名の記載がない。 同仕上表4(甲A36の2の5の1・2)においては,B棟1階,C棟1階では,壁及び天井の下地に石膏ボードを,天井の下地にフレキシブルボードを使用し,床にはアスベスト系塩ビタイルを,壁の一部に石膏ボード下地,ビニールクロス貼を,天井に岩綿吸音板,フレキシブルボードを,床,巾木,壁,天井の各所にはモルタルを,それぞれ使用することとされた。なお,岩綿吹付については,仕上項目に記載があるものの,具体的な使用室名の記載がない。 同仕上表5(甲A36の2の6の1・2)においては,C棟1階では,壁及び天井の下地に石膏ボードを,天井の下地にフレキシブルボードを使用し,壁には石膏ボード下地,ビニールクロス貼を,天井の多くに岩綿吸音板,一部にフレキシブルボードを,床,巾木,壁,天井の一部にモルタルを,それぞれ使用することとされた。なお,アスベスト系塩ビタイル岩綿吹付については,仕上項目に記載があるものの,具体的な使用室名の記載はない。 同仕上表6(甲A36の2の7の1・2)においては,C棟1階では することとされた。なお,アスベスト系塩ビタイル岩綿吹付については,仕上項目に記載があるものの,具体的な使用室名の記載はない。 同仕上表6(甲A36の2の7の1・2)においては,C棟1階では,壁及び天井の下地に石膏ボードを使用し,壁の一部に石膏ボード下地,ビニールクロス貼を,天井に岩綿吸音板,フレキシブルボードを,床,巾木,壁,天井の各所にはモルタルを,それぞれ使用することとされた。なお,アスベスト系塩ビタイル,岩綿吹付については,仕上項目に記載があるものの,具体的な使用室名の記載はない。 同仕上表7(甲A36の2の8の1・2)においては,A棟2階では,壁及び天井の下地に石膏ボードを使用し,床にはアスベスト系塩ビタイルを,壁には石膏ボード下地,ビニールクロス貼を,天井に岩綿吸音板,大平板下地スタイロテックス貼,フレキシブルボードを,床,壁の一部にはモルタルを,それぞれ使用することとされた。なお,岩綿吹付については,仕上項目に記載があるものの,具体的な使用室名の記載はない。 同仕上表8(甲A36の2の9の1・2)においては,B棟2階では,壁及び天井の下地に石膏ボードを,天井の下地にフレキシブルボードを使用し,床にはアスベスト系塩ビタイルを,壁には石膏ボード下地,ビニールクロス貼を,天井の一部には岩綿吸音板及びフレキシブルボードを,巾木,壁,天井の各所にはモルタルを,それぞれ使用することとされた。なお,岩綿吹付については,仕上項目に記載があるものの,具体的な使用室名の記載はない。 同仕上表9(甲A36の2の10の1・2)においては,C棟2階では,壁及び天井の下地に石膏ボードを,天井の下地にフレキシブルボードを使用し,床の一部にはアスベスト系塩ビタイルを,壁には石膏ボード下地,一部にビニールクロ 1・2)においては,C棟2階では,壁及び天井の下地に石膏ボードを,天井の下地にフレキシブルボードを使用し,床の一部にはアスベスト系塩ビタイルを,壁には石膏ボード下地,一部にビニールクロス貼及び岩綿吹付を,天井に岩綿吸音板,一部に大平板スタイロテックス貼,岩綿吹付,フレキシブルボードを,床,巾木,壁,天井の各所にはモルタルを,それぞれ使用することとされた。 同仕上表10(甲A36の2の11の1・2)においては,A,B,C棟3階では,壁及び天井の下地に石膏ボードを,天井の下地にフレキシブルボードを使用し,壁には石膏ボード下地,一部にビニールクロス貼を,天井の一部にフレキシブルボードを,床,巾木,壁,天井の各所にはモルタルを,それぞれ使用することとされた。なお,アスベスト系塩ビタイル,岩綿吹付,岩綿吸音板については,仕上項目に記載があるものの,具体的な使用室名の記載はない。 同仕上表11(甲A36の2の12の1・2)においては,B棟4から7階,屋1階,2階では,壁及び天井の下地に石膏ボードを,天井の下地にフレキシブルボードを使用し,壁には石膏ボード下地,一部にビニールクロス貼を,天井の一部にフレキシブルボードを,床,巾木,壁,天井の各所にモルタルを,それぞれ使用することとされた。なお,アスベスト系塩ビタイル,岩綿吹付,岩綿吸音板については,仕上項目に記載があるものの,具体的な使用室名の記載はない。 タ病院新築工事(第4期)建築工事特記仕様書(甲A36の1の2)によれば,当該工事の工事期間は昭和47年9月から昭和48年3月までとされ,電気工の担当区分は梁貫通用スリープ,試運転用動力,油,水,ガス,煙感知器連動装置配管配線及機器とされた。同仕様書では,内装及び外装工事について,①プラスチックタイル貼りにつ 年3月までとされ,電気工の担当区分は梁貫通用スリープ,試運転用動力,油,水,ガス,煙感知器連動装置配管配線及機器とされた。同仕様書では,内装及び外装工事について,①プラスチックタイル貼りについて,Pタイル(材質:ビニールアスベストタイル(リ,ム,旧U又は同等以上のメーカー))とされ,②繊維板,石膏ボード,石綿スレートボード,木毛セメント板,合板について,石膏ボード(材質:JIS規格品。形状:12m/m(不燃)・9m/m(準不燃)。チ,ゐ,又は同等以上のメーカー),石綿スレートボード(材質:JIS規格品。イ,旧L,又は同等以上のメーカー)とされた。なお,防水工事では,モルタル防水の場合には,防水剤入りセメントモルタル(ノ,オ,又は同等以上のメーカー)を使用することとされた。 タ病院新築工事第4期体育館外部内部仕上表(甲A36の2の13)においては,体育館競技室(外部)の庇(幕板)には裏当にプラスターボードを,天井(内部)にはプラスターボード,石綿大平板を,床(防水),巾木及び壁(下地,材料・仕上)にはモルタルを,それぞれ使用することとされた。 タ病院新築工事第4期教員独身寮仕上表,面積表(甲A36の2の14)においては,床には塩ビタイルを,天井にはプラスターボード,石綿大平板を,外部内部とも各所にモルタルを,それぞれ使用することとされた。 タ病院新築工事第4期職員宿舎仕上表(甲A36の2の15)においては,天井にはプラスターボードを,床,巾木,壁,天井の各所にはモルタル(防水モルタル等)を使用することとされた。ク泉尾第2住宅建設工事 泉尾第2住宅においては,被告が請け負ったのは1区の電気設備工事であり,2区については他の電気設備工事会社(ク工業株)が請け負っている(乙A8)。 ク泉尾第2住宅建設工事 泉尾第2住宅においては,被告が請け負ったのは1区の電気設備工事であり,2区については他の電気設備工事会社(ク工業株)が請け負っている(乙A8)。 46年度泉尾第2住宅建設工事の特記仕様書ソノ1及び2(昭和46年7月製図。甲A37の6・7)においては,内装工事のクロス貼(和室)Aクロス貼にはLY9600OP(カワキチ),とされた。 46年度泉尾第2住宅建設工事仕上表(昭和46年7月製図。甲A37の8の1・2)においては,ピロティ及びエレベーターホールの天井に石綿板を,玄関PS,便所(脱衣室),浴室,焚口PSの天井にフレキシブルボード(又は有孔フレキシブルボード)を,和室天井(最上階,梁型),壁(RC部分,妻壁,内部間仕切)にAクロスを,各所にはモルタルを,それぞれ使用することとされた。 46年度泉尾第2住宅建設工事保育所併存棟仕上表(昭和46年7月製図。甲A37の11の1・2)においては,保育室,1才児コーナー,0才児コーナー,職員室の各天井及び休憩室,現業員室の壁にはフレキシブルボードを,幼児便所,乳児便所,厨家,踏込,便所,調乳室の各天井には大平板を,玄関の天井にはダイロートンを,休憩室,現業員室の壁にはAクロスを,それぞれ使用することとされた。ケ大阪市立ヲ高校新築工事等 ヲ高校新築工事図面リスト・特記仕様(昭和37年12月製図。甲A38の1)においては,特記仕様として,雑工事の部分に,「ピータイル塩化ビニル系アスベストタイル・・・旧U(ビニラートタイル),リ(Pタイル)・・・」,「炭化コルク・・・新●アスベスト製と同等品以上」,「保冷板ニKK製」,「フレキシブル石綿板」と記載され,また,その他の部分に,「有孔石膏ボード」と記載された。 ヲ高校 タイル)・・・」,「炭化コルク・・・新●アスベスト製と同等品以上」,「保冷板ニKK製」,「フレキシブル石綿板」と記載され,また,その他の部分に,「有孔石膏ボード」と記載された。 ヲ高校新築工事工場棟平面,立面図(昭和37年12月製図。甲A38の5)においては,特記仕様として,屋根に「大波石綿スレート葺はZ株式会社責任施工(AS式安定書)とする。又は,ヤ株式会社責任施工とする。」とされた。 ヲ高校新築工事仕上表(昭和38年1月製図。甲A38の3)においては,本館1階の自動制御実験室,器械室(機械科),精密測定室前室,電話交換室,同2階の高周波実験室,準備室,通信機器・実験室,暗室,無線室,照明工学実験室,模型標本室(電気科),電子機器実験室・準備室,電極誘導機室の前室,電気磁気実験室,同3階の暗室,模型標本室,同5階の器材室(電気科),機械工場の管理室,工具室の床にはピータイルを,本館各階のほぼ全ての部屋及び廊下の天井にはプラスターボード(一部有孔プラスターボード)を,本館5階の便所の天井にはフレキシブル石綿板を,それぞれ使用することとされた。 ヲ高校増築工事図面リスト・特記仕様・仕上表(昭和38年5月製図。 甲A38の6)においては,特記仕様のうち雑工事について,「ピータイル貼塩化ビニールアスベスト系タイル・・・旧UKK(ビニラートタイル),リKK(Pタイル)・・・」,「炭化コルク・・・新●アスベスト製と同等品以上とする」,「保冷板ニKK製・・・同等品以上」,「フレキシブル石綿板」とされた。また,特記仕様のうち内部仕上げでは,暗室,模型標本室,●器分析実習室・前処理室,プラント制御室,物理教室・準備室の床にはピータイルを,暗室,天秤室,化学教室Ⅰ・Ⅱ・準備室,物理講義室,物理教室・準備室,器 仕様のうち内部仕上げでは,暗室,模型標本室,●器分析実習室・前処理室,プラント制御室,物理教室・準備室の床にはピータイルを,暗室,天秤室,化学教室Ⅰ・Ⅱ・準備室,物理講義室,物理教室・準備室,器具室,各階の廊下,一般教室,ホールの天井にはプラスターボード(一部有孔プラスターボード)を,また便所の天井にはフレキシブル石綿板(一部有孔フレキシブル石綿板)を使用することとされた。 ヲ高校工場棟其の他増築工事図面リスト・特記仕様・仕様表(昭和38年4月製図。甲A38の9)においては,特記仕様として,「屋根工事波形(大波)スレート,・・・マKK,・・・ヤKKの責任施工とする。」,雑工事について「Pタイル塩化ビニールアスベスト系タイル・・・旧U(ビニラートタイル),リ(Pタイル)・・・」,「有孔石膏ボード」と記載された。また,仕上表において,A工場棟の暗室,材料試験室,同準備室の床にはピータイルを,●前室●●●,暗室,材料試験室,同準備室,空電室の天井には有孔プラスターボードを,B工場棟の木●工場,同準備室,●●試験室,板金工場の準備室の床にはピータイルを,コンプレサー室,木●工場,同準備室,●●試験室,板金工場の準備室の天井には有孔プラスターボードを,それぞれ使用することとされた。 ヲ高増築工事仕様書(昭和39年8月製図。甲A38の13)においては,1階の事務室,宿直校務員室の洗面脱衣室,進路指導生活指導室,職員室,更衣室,放送室,屋内階段,2階の倉庫,音楽室,同準備室,図書室,書庫にはビニアスタイルを,1階の事務室,便所,宿直校務員室の校務員前室,浴室,洗面脱衣室,和室,進路指導生活指導室,職員室,更衣室,2階の便所,倉庫,音楽室,同準備室,図書室には有孔石膏ボードないしハードボードを,それぞれ使用することとされ 宿直校務員室の校務員前室,浴室,洗面脱衣室,和室,進路指導生活指導室,職員室,更衣室,2階の便所,倉庫,音楽室,同準備室,図書室には有孔石膏ボードないしハードボードを,それぞれ使用することとされた。 ヲ高体育館増築工事仕上表(昭和39年10月製図。甲A38の18)においては,体育館及び体育教官室の天井に,ハードボード及びプラスターボードを使用することとされた。 ヲ高食堂増築工事仕様・建具リスト(昭和40年6月製図。甲A38の24の1・2)においては,便所,シャワー室の天井にフレキシブル板を,体育器具庫,従業員室,倉庫の天井に石膏ボードを,それぞれ使用することとされた。 ヲ高校増築工事仕様書(昭和41年7月製図。甲A38の26)においては,2階の音楽室,同準備室,保健室の床にはビニアスタイルを,1階のホール,女子更衣室,下足室,2階の音楽室,同準備室,保健室の天井にはプラスターボードを,それぞれ使用することとされた。 なお,当該工事においては,壁,天井の相当部分について,モルタルが使用されることとなっていた。ア前記の各工事が被告ないしD商会の請け負った建設工事であり,各工事が施工された時期に故Cは被告ないしD商会の従業員であったこと,故Cが労災認定時に自らが関与した工事として乙ビル地下駐車場工事,大阪市立体育館建設工事,ル中学校建設工事,ヲ高校建設工事,大阪市南港の市営住宅建設工事を挙げていること(前記エ,同),昭和41年に被告に入社し,故Cと同様D班に配属され,被告退社後はE電気商会に(同社が株式会社化するまで)雇用されていたケ(以下「ケ」という。)は,ル中学校,タ病院,南港住宅の現場に故Cと一緒に行ったと述べていること(甲A55),昭和45年から昭和55年頃まで被告の従業員として建設 株式会社化するまで)雇用されていたケ(以下「ケ」という。)は,ル中学校,タ病院,南港住宅の現場に故Cと一緒に行ったと述べていること(甲A55),昭和45年から昭和55年頃まで被告の従業員として建設工事に従事し,故Cとも同じ工事現場で働いたことが多いというフ(以下「フ」という。)が,タ病院新築工事(躯体埋設工事及び新築工事大3期(仕上工事)),泉尾第2住宅建設工事,南港住宅(ポートタウン)建設工事,大阪市立千島体育館新築工事,ヨ記念館新築工事に故Cが従事していたと述べていること(乙A12),昭和51年4月から被告に雇用され,被告の工事担当者として,南港住宅(ポートタウン第2住区)2区工事,スーパー河内長野店改装工事,(R-1)梅田駅改造電気工事に直接関与したコ(以下「コ」という。)が,南港住宅(ポートタウン第2住区)2区工事には故Cが作業員として関与しており,その他2つの工事についてはEが被告の下請業者として作業に従事していたと述べていること(乙A13,証人コ),故Cが労災認定時に自己の従事した建築現場について故意に事実と異なる供述をする動機は見当たらないことなどを考慮すれば,前記の各工事については,故Cが工事現場に赴き,同所における電気設備工事作業等に従事していたと認められる。イなお,(R-1)梅田駅改造工事について,コは,故CがEの社長の立場にあったことから,工事作業には直接従事していなかったと述べるが,Eの従業員数が,昭和60年頃までは4名から6人程度,平成8年頃以降は2名と非常に少ないこと(甲A24の1・2,55,証人F),ケは自分がEで働いていた昭和58年頃までの間,故Cは経営者でありながら現場に出て作業をしていたと述べ,また,故Cの子でありEの工事にも従事したことがあるFは,平成8年から平成12年頃故C は自分がEで働いていた昭和58年頃までの間,故Cは経営者でありながら現場に出て作業をしていたと述べ,また,故Cの子でありEの工事にも従事したことがあるFは,平成8年から平成12年頃故Cは社長でありながら実際に工事現場で作業に従事していたと述べていることなどからすれば,故CはEの経営者となって以降も工事現場において作業に従事していたことが認められる。さらに,(R-1)梅田駅改造工事の工期は昭和62年から平成2年頃であるところ,この時期のみEの経営実態が変化していたことを窺わせる証拠はないのであるから,当該時期においても故Cは工事現場において自ら作業に従事していたことが推認できる。ウまた,被告は,前記記載の各工事に故Cが従事していた可能性があることは認めつつ,ル中学校(ル南中学校)建築工事については,タ病院新築電気設備工事と工期が重なっていることを理由に,乙ビルディング(地下駐車場)建設工事については,大阪市立ヲ高校新築工事等及び甲ビル新築工事と工期が重なっていることを理由に,故Cが作業員として各工事に関与することはなかったと主張する。しかし,①後記3カないしのとおり,電気工は建築工事の最初から最後まで携わるものの,工期を通して絶え間なく作業があるわけではなく,工事現場に赴かない時期もあること,②故Cと同様に被告従業員(電気工)として工事に従事した経験のあるフやケが,大きな現場を担当している期間であっても,これと平行して他の現場に作業員として短期間ないしスポット的に関与することは可能であると述べていること,③被告が主張する故Cが従事した応援工事の工期は相互に重なっているものもあることなどからすれば,工期が重なっているという理由のみで故Cが前記各工事に携わらなかったとはいえない。なお,被告は,タ病院新築工 張する故Cが従事した応援工事の工期は相互に重なっているものもあることなどからすれば,工期が重なっているという理由のみで故Cが前記各工事に携わらなかったとはいえない。なお,被告は,タ病院新築工事のうち被告が請け負った第3期及び第4期工事のうち,故Cが関与した可能性があるのは第3期工事のみであると主張するが,このことを裏付ける証拠としては伝聞供述のみであるところ(乙A12),その信用性の裏付けはなく,他に,本件において当該被告の主張を裏付ける客観的証拠は見当たらないことからすれば,前記被告の主張は採用できない。 前記イないし,同ウないしオ,ケないしテ及び甲A26によれば,我が国における石綿含有建材の製造販売時期は以下のとおりである。アスレートボード・平板(大平板)については,大正13年には生産が開始され,平成16年頃に製造が中止された。無石綿製品製造開始は平成2年である。イスレートボード・フレキシブル板については,昭和27年頃に製造,販売が開始され,平成16年に製造が中止された。無石綿製品の製造開始は平成3年である。ウスレート波板については,大正5年頃に製造が開始され,平成16年に製造が中止された。無石綿製品の製造開始は平成16年である。エ石綿含有吹付材については,昭和30年頃に製造が開始され,そのうち吹付石綿は昭和50年頃以降使用が中止された。石綿含有吹付ロックウール(乾式)については昭和56年以降石綿を使用していない(ただし,一部のカラー品除く)。石綿含有吹付ロックウール(湿式)については,昭和45年に製造が開始され,平成元年頃以降石綿を使用していない。無石綿製品の製造開始は,乾式が昭和50年,湿式が昭和63年である。オけい酸カルシウム板第一種(けいカル板)は,昭和35年に製 昭和45年に製造が開始され,平成元年頃以降石綿を使用していない。無石綿製品の製造開始は,乾式が昭和50年,湿式が昭和63年である。オけい酸カルシウム板第一種(けいカル板)は,昭和35年に製造が開始され,平成5年頃以降はアモサイト石綿を使用していない。平成16年頃に製造が中止された。無石綿製品の製造開始は平成58年頃である。カけい酸カルシウム板第二種は,昭和38年に製造が開始された。昭和60年以降はクリソタイル,アモサイトの使用が中止され,平成3年頃以降石綿を使用していない。無石綿製品の製造開始は昭和59年頃である。キ石綿含有ロックウール吸音天井板(ロックウール天井板又はロックウール吸音天井板)は,遅くとも昭和39年には製造が開始され,昭和62年頃以降石綿を使用していない。無石綿製品製造開始は昭和62年である。クビニール床タイル(Pタイル)については,昭和27年に製造が開始され,昭和62年頃から石綿を使用していない。無石綿の製品製造開始は昭和27年である。ケビニール床シートについては,昭和26年に製造が開始され,平成2年に製造が終了した。コ石綿含有石膏ボード(石膏含有プラスターボード)は,昭和45年頃には製造が開始され(甲A51),昭和63年頃に製造が終了した。サ窯業系サイディングは,昭和35年頃に製造が開始され,平成10年頃にクリソタイルの使用が中止され,平成16年に製造が終了した。無石綿製品の製造開始は昭和36年である。シソフト巾木(シート巾木)の無石綿製品製造開始は昭和40年である。スモルタル混和剤については,株イは,昭和31年から平成15年9月まで石綿含有製品を製造・販売していた。なお,同社は無石綿製品の販売を平成15年に開始した。なお,モルタルでは,「のり」をよ スモルタル混和剤については,株イは,昭和31年から平成15年9月まで石綿含有製品を製造・販売していた。なお,同社は無石綿製品の販売を平成15年に開始した。なお,モルタルでは,「のり」をよくするために,テーリング材という石綿の粉末を混合して使用することがある(甲B86)。セ石綿含有壁紙(一般にメーカー名が仕様書に記載されていた。「アスベスト壁紙」,「不燃クロス」と呼ばれる。)については,昭和45年に製造が開始され,平成3年に製造が終了した。ソ石綿セメント管については,主に水道管として利用され,昭和60年に製造が終了した。タ石綿セメント円筒については,主に排水管として利用され,昭和35年に製造が開始し,平成16年に製造が終了した。チパーライト板は,昭和26年頃に製造が開始された。ツフリーアクセスフロア材は,平成元年以降石綿を使用していない。 前記の各工事現場における石綿含有建材の使用状況アヨ記念館新築工事 ヨ記念館新築工事においては,同工事の工期が昭和48年7月から昭和49年10月であることから,ビニアス系タイル,ソフト巾木,フレキシブルシート,けい酸カルシウム板,石膏ボード,吹付ロックウールについては石綿含有建材の可能性があり,モルタルは混和剤に石綿が使用されている可能性がある。このうち,けい酸カルシウム板については無石綿製品が製造されていない時期であることから,石綿含有建材であったと認められる(前記ア,)。 また,昭和35年から昭和46年は石綿の使用量が飛躍的に増加した時期であり,昭和45年から平成2年にかけては石綿の年間輸入量が20tから30tと非常に多い時期であったこと,我が国では石綿(アスベスト)の全輸入量の約8割以上が建材に使用されていたこと,昭和4 時期であり,昭和45年から平成2年にかけては石綿の年間輸入量が20tから30tと非常に多い時期であったこと,我が国では石綿(アスベスト)の全輸入量の約8割以上が建材に使用されていたこと,昭和40年頃には多くの種類の石綿含有建材の製造が開始されていたことに加え,石綿が前記ウのように耐熱性等の優れた特徴を有していたために広く活用されていたことも踏まえれば,昭和40年から平成2年頃に使用された建材のうち石綿製品の製造がある建材については,石綿含有建材である可能性が高いといえる(前記ウ,同イないしエ,同ア,)。よって,同工事に使用された前記各建材については,石綿が含有されていたことが推認される。 前記各建材は,前記アのとおり,非常に多くの場所に使用されていたことから,これらの建材の切断等により,同工事現場においては石綿粉じんが発生していたと考えられ,よって,同工事現場において作業に従事することにより石綿粉じんに曝露する可能性があったといえる。イ南港住宅(ポートタウン)建設工事 南港住宅(ポートタウン)建設工事においては,第2住区のうち被告が受注したのは第2工区のみであり,その他の第1,3,4工区についてはそれぞれ別の請負業者が請負契約を締結しているのであるから,故Cが従事した可能性がある工事現場は第2工区のみであると解される(前記イ)。 南港住宅(ポートタウン)建設工事のうち第2工区に使用された建材については,仕様書及び各仕上表の製図年月日等から考えて,前記イ,同ないしのとおりである。よって,同工事において使用された建材のうち,石綿含有建材である可能性がある建材は,クロスB(PA-5000(ときわ)),石膏ボード,硅カル板(石綿けい酸カルシウム板),フレキシブル板及び孔明フレキ って,同工事において使用された建材のうち,石綿含有建材である可能性がある建材は,クロスB(PA-5000(ときわ)),石膏ボード,硅カル板(石綿けい酸カルシウム板),フレキシブル板及び孔明フレキシブル板,石綿板であり,モルタルについては混和剤に石綿が使用されていた可能性がある。なお,「クロスB」として記載されている「PA-5000(ときわ)」について,レ工業株式会社は,石綿含有建材であると回答している(弁論の全趣旨)。また,このうち,けい酸カルシウム板については無石綿製品が製造されていない時期であることから,石綿含有建材であったと認められる。 南港住宅(ポートタウン)建設工事の工期は昭和51年から昭和53年であるところ,前記アで述べたことからすれば,昭和51年から昭和53年に使用された建材のうち,同時期に石綿製品の製造・販売がある建材については,石綿含有建材である可能性が高いといえる。よって,同工事に使用された前記各建材については,石綿が含有されていたことが推認される。 石綿を含有し又は含有することが推認される前記各建材は,前記イないしのとおり,同工事において各所に使用されていたことから,これらの建材の切断等により,同工事現場においては石綿粉じんが発生していたと考えられ,よって,同工事現場において作業に従事することにより石綿粉じんに曝露する可能性があったといえる。ウ大阪市立ル中学校(ル南中学校)新築工事等 大阪市立ル中学校(ル南中学校)新築工事等の工期は昭和45年から昭和46年頃であったと認められる(甲A30の1の1の1ないし3の2の2)。 大阪市立ル中学校分校新築工事特記事項によれば,同工事に用いられるプラスチック系タイル,塩ビタイルについては,石綿含有建材である三星プラスタイ れる(甲A30の1の1の1ないし3の2の2)。 大阪市立ル中学校分校新築工事特記事項によれば,同工事に用いられるプラスチック系タイル,塩ビタイルについては,石綿含有建材である三星プラスタイルP(リ)やマチコS(旧U)(甲A27)と同程度の建材を使用するように指定されている。石綿繊維吸音板に関する指示については,同工事の各仕様書の作成が昭和44年であることから考えれば,同時期に前記特記事項書も作成されたと推認されるため,ミネラートン(ニが製造。昭和43年から昭和44年にかけて製造されたものは石綿含有建材(前記ツ)。)は石綿含有建材であると推認される。他方,化粧プラスターボードについては,アートタイガーボード及びアートタイガートーン(チ)と同程度の建材を用いるようにとの指示があるところ,「タイガーボード」及び「タイガートーン」はチ株式会社の石膏ボードの商品名であると推認されるが,同商品名が付された石綿含有石膏ボードについて製造が開始されたのは早いものでも昭和45年7月からであり(甲A27,乙A6),チ株式会社によれば,「不燃タイガーボード9,不燃ジプトーン,不燃マーブルトーン,準不燃タイガートーン,ニュータイガートーン」以外の石膏製品については石綿を含有していなかったというのであるから(乙A6),同工事の特記事項として記載されたアートタイガーボード及びアートタイガートーンについては石綿含有建材ではないと考えられる。また,吸音天井材として指示されていたロックスター(リ)についても無石綿製品である(前記テ)。以上のことから,プラスチック系タイル,塩ビタイルについては石綿含有建材が使用された可能性が高く,石綿吹付については石綿含有建材であると認められる。同工事の北棟,中棟,南棟の各仕上表によれば,石綿含有建材の可 ,プラスチック系タイル,塩ビタイルについては石綿含有建材が使用された可能性が高く,石綿吹付については石綿含有建材であると認められる。同工事の北棟,中棟,南棟の各仕上表によれば,石綿含有建材の可能性が高いプラスチックタイル,塩ビタイルのほか,石綿含有建材の可能性がある建材として有孔化粧石膏ボード,化粧石膏ボード,石膏ボード,大平板,パーライト,石綿繊維吹付が使用されている。このうち,大平板については,無石綿製品の製造が開始されたのが平成2年であることから,同工事に使用されたものは石綿含有製品であったと認められる。 大阪市立ル中学校増築工事建設工事特記事項書(体育館)によれば,プラスチック系タイルについては前記と同様,石綿含有建材と同程度の建材の使用が指示されている。塩ビタイルについては,三星ソフト巾木(リ)と同程度との指示がある。化粧プラスターボードについては,ジプトーンと同程度の建材を使用するように指示されているところ,前記チのとおり,ジプトーンのうち石綿が含有されていたのは昭和47年以降に製造されたものであり,同工事の特記事項書が昭和45年に製図されていることからすれば,当該特記事項書に同程度のものを使用するよう指示された「ジプトーン」は石綿含有建材ではなかったと考えられる。前記特記事項書の記載から,同工事の室内仕上一覧表によれば,同工事に使用された建材のうち,プラスチックタイルは石綿含有建材である可能性が高いと考えられ,この他,塩ビタイルについても,「ソフト巾木」は石綿含有建材である可能性があるため,石綿を含有していた可能性が認められる。この他,フレキシブルボード,石膏ボードも石綿含有建材である可能性がある。なお,フレキシブルボードについては無石綿製品の製造開始が平成3年であるため,同工事において た可能性が認められる。この他,フレキシブルボード,石膏ボードも石綿含有建材である可能性がある。なお,フレキシブルボードについては無石綿製品の製造開始が平成3年であるため,同工事において用いられたものについては石綿含有建材であったと認められる。 大阪市立ル中学校増築工事建築工事特記事項書(講堂)及び同工事の室内仕上表(昭和45年8月製図)によれば,石綿含有建材の可能性がある建材として,ビニールアスベストタイル,ソフト巾木,有孔アスベストラックス,フレキシブルボード,大平板,吹付石綿が使用されていたことが認められる。なお,大平板について無石綿製品の製造が開始されたのは平成2年,フレキシブルボードについて無石綿製品の製造が開始されたのは平成3年であること,吹付石綿については無石綿製品というものは存在しないことから,同工事において使用されたこれらの建材は石綿含有建材であると認められる。 また,大阪市立ル中学校(ル南中学校)新築工事等においては,各所にモルタルが使用されており,モルタルについては混和剤に石綿が使用されていた可能性がある(前記ウ,)。 大阪市立ル中学校(ル南中学校)新築工事等の工期は昭和45年から昭和46年頃であるところ,前記アで述べたことからすれば,昭和45年から昭和46年頃に使用された建材のうち同時期に石綿製品の製造がある建材については,石綿含有建材である可能性が高いといえる。よって,同工事に使用された建材のうち石綿含有建材の可能性が認められた建材については,石綿が含有されていたものと推認される。 以上のことから同工事に使用された石綿を含有すると認められる各建材は,前記ウないし,同,同,同のとおり,同工事において各所に使用されていたことから,これらの建材の切断等により,同 以上のことから同工事に使用された石綿を含有すると認められる各建材は,前記ウないし,同,同,同のとおり,同工事において各所に使用されていたことから,これらの建材の切断等により,同工事現場においては石綿粉じんが発生していたと考えられ,よって,同工事現場において作業に従事することにより石綿粉じんに曝露する可能性があったといえる。エ乙ビルディング(地下駐車場)建設工事 乙ビルディング(地下駐車場)建設工事の仕上表は昭和37年11月20日に製図されており,被告が同工事の工期は昭和36年2月から昭和38年6月までであったと主張していることも踏まえれば,同工事は昭和36年から昭和38年頃にかけて行われたものと推認される。 前記同工事の仕上表によれば,同工事に使用された建材のうち,石綿含有建材である可能性が認められる建材は,アスタイル(石油アスファルト,石綿,合成樹脂,顔料などを加熱,混合して薄い板状に固めた建材。床材として使用される。),ソフト巾木,フレキシブルボード,ビニラートタイル,モルタル(混和剤に石綿が使用されている可能性がある。)が認められる。アスタイル(明),アスタイル(暗)については,原告らが指摘するようにリが製造していたアスファルトタイル(明色,暗色)を指しているとまでは言い難いものの,アスタイルが前記のとおり石綿含有建材である可能性が認められることから,これらも石綿含有建材の可能性が高いと考えられる。なお,同工事の工期からすれば,プラスターボードについては石綿含有製品の製造が開始された時期が昭和45年頃である(前記)から,同工事に使用されたものは石綿含有建材ではないと認められる。一方,ソフト巾木について無石綿製品が製造され始めたのは昭和40年,フレキシブルボードについて無 た時期が昭和45年頃である(前記)から,同工事に使用されたものは石綿含有建材ではないと認められる。一方,ソフト巾木について無石綿製品が製造され始めたのは昭和40年,フレキシブルボードについて無石綿製品の製造が開始されたのは平成3年であるから,これらについては同工事に使用されたものは石綿含有建材であったと認められる。よって,同工事に用いられた建材のうち,石綿含有建材であるものはソフト巾木,フレキシブルボードであり,石綿含有建材の可能性があるものはアスタイル,ビニラートタイル,モルタルである。 乙ビルディング(地下駐車場)建設工事の工期は昭和36年から昭和38年頃であるところ,当該工期は,石綿含有建材が最も多く使用されていたと考えられる時期(昭和40年頃から平成2年頃。前記ア)よりも数年ほど前である。しかし,昭和35年以降石綿の輸入量・使用量が大きく増加していたことを踏まえれば(前記ア),昭和35年以降昭和39年までに製造された建材のうち同時期に石綿製品の製造がある建材について,当該建材が石綿含有建材である可能性は,昭和40年に近づくにつれ高まるものと考えられる。そして,同工事の仕様表が昭和37年11月20日に製図されていたことに照らせば,同工事に使用された建材のうち石綿含有建材の可能性が認められた建材については,石綿が含有されていた可能性は高いと認められる。 同工事においては,石綿含有建材及び石綿含有建材である可能性が高い建材が,前記エのとおり地下4階から半地下にかけて各所に使用されていたことから,これらの建材の切断等により,同工事現場においては石綿粉じんが発生していたと考えられ,よって,同工事現場において作業に従事することにより石綿粉じんに曝露する可能性があったといえる。 なお,被告は, の建材の切断等により,同工事現場においては石綿粉じんが発生していたと考えられ,よって,同工事現場において作業に従事することにより石綿粉じんに曝露する可能性があったといえる。 なお,被告は,同工事の床タイルに使用された石綿は非飛散性の石綿であるから,これによる石綿粉じん曝露の可能性はないと主張する。しかし,飛散性か非飛散性かといった区別については,特別管理産業廃棄物である廃石綿等が飛散性アスベスト,これら以外の石綿(アスベスト)を含有する型品が廃棄物となったものを非飛散性アスベストとしているものであって,非飛散性アスベストであってもその切断,破砕等の作業に際して石綿粉じんが発生することは否定されていないと解される。よって,非飛散性アスベストであっても,これによる石綿粉じん曝露の可能性は否定されず,被告の前記主張は認められない。オ大阪市立千島体育館新築工事 千島体育館新築工事仕上表は昭和47年9月に製図されていること,被告が同工事の工期については昭和48年3月から昭和49年1月であると主張していることからすれば,同工事の工期は昭和48年から昭和49年頃であったと認められる。 千島体育館新築工事仕上表によれば,同工事において使用された建材のうち,石綿含有建材の可能性がある建材は,ビニールアスベストタイル,ソフト巾木,フレキシブルシート,石膏ボード,化粧石膏ボードである。また,吹付石綿は石綿含有建材である。 大阪市立千島体育館新築工事の工期が昭和48年から昭和49年頃であることからすれば,前記アで述べたことからすれば,昭和49年頃に使用された建材のうち同時期に石綿製品の製造がある建材については,石綿含有建材であった可能性が高いといえる。よって,同工事に使用された建材のうち石綿含有建材の可能性が ことからすれば,昭和49年頃に使用された建材のうち同時期に石綿製品の製造がある建材については,石綿含有建材であった可能性が高いといえる。よって,同工事に使用された建材のうち石綿含有建材の可能性が認められた建材については,石綿が含有されていたものと推認される。 同工事においては,石綿を含有すると認められる前記の各建材が,前記オのとおり各所に使用されており,これらの建材の切断等により,同工事現場においては石綿粉じんが発生していたと考えられる。よって,同工事現場において作業に従事することにより石綿粉じんに曝露する可能性があったといえる。 なお,同工事に使用された石綿含有建材が非飛散性アスベストであったとしても前記認定に影響がないことは,前記エのとおりである。カ (R-1)梅田駅改造工事 前記カのとおり,(R-1)梅田駅改造工事の工期は昭和61年3月から平成3年3月までであるところ,このうち被告が関与した工事の実施時期は昭和62年1月から平成2年3月である。当該工事の期間と重なるものは,「その2の2」ないし「その2の7」である。また,「その2の8」ないし「その2の10」については一部工期が重なっている。 第1号線梅田駅停留所改造工事改造概要仕上表(その2の2ないしその2の10)によれば,同工事に使用された建材のうち,その2の2ではフレキシブルボード,ロックウール吸音板,石膏ボード,化粧石膏ボード,その2の3ではフレキシブル板,石膏ボード,化粧石膏ボード,その2の5ではロックウール吸音板,石膏ボード,フレキシブル板,その2の6ではロックウール吸音板,石膏ボード,その2の7では石膏板,波形スレート,その2の9では繊維石こう板,その2の10では石膏ボード,ロックウール吸音板,全体的にモルタル(混和 レキシブル板,その2の6ではロックウール吸音板,石膏ボード,その2の7では石膏板,波形スレート,その2の9では繊維石こう板,その2の10では石膏ボード,ロックウール吸音板,全体的にモルタル(混和剤に石綿が使用されている可能性がある)について,石綿含有建材である可能性が認められる。同工事の工期が昭和62年以降であることを踏まえれば,前記各建材のうち,ロックウール吸音天井板,石膏ボード,化粧石膏ボード,繊維石膏板については石綿含有建材の製造が終了しており,それ以前に製造された石綿含有建材の流通がある可能性を踏まえても,同工事において石綿が含有されたものが使用されたとは認め難い。一方,波形スレート及びフレキシブル板については無石綿製品の製造開始前であることから,石綿含有建材が使用されたと認められる(前記)。モルタルについては混和剤に石綿が使用されていた可能性が認められ,前記アのとおり,平成2年までの期間には大量の石綿含有建材が使用されたと推認されることからすれば,石綿が使用されていた可能性は高いと考えられる。よって,同工事においては,その2の2,その2の3,その2の5に使用されたフレキシブル板,その2の7で使用された波形スレートの切断,破砕等の際や,モルタルを使用する際に石綿粉じんが発生し,これによって同工事に従事していた作業員が石綿粉じんに曝露した可能性があると考えられる。しかし,同工事においては,モルタルを除くと,石綿含有建材が使用されたのは,その2の2の券売機室,その2の3の券売機室,仮女子係員室,仮厚生委員室,その2の5の便所(男子,女子,身障者),その2の7の排水ポンプ室と,かなり限られた場所である。 この点,被告は,被告が受注したのは北中階及び中階南連絡通路等であって,そのうち北改札付近エリアのみ 2の5の便所(男子,女子,身障者),その2の7の排水ポンプ室と,かなり限られた場所である。 この点,被告は,被告が受注したのは北中階及び中階南連絡通路等であって,そのうち北改札付近エリアのみEに請け負わせたと主張する。 各工期が記載された図面(甲A35の1)によれば,被告が請け負ったのは「その2の3」,「その2の4」及び「その2の5」であると考えられるところ,前記で認定したとおりの使用状況からすれば,石綿曝露の可能性を否定することはできないと考えられる。キタ病院新築工事 タ病院新築工事(第3期)工事の工期は昭和46年6月から昭和47年3月31日である。同工事の第4期工事の工期は昭和47年9月から昭和48年3月である(前記キ,同)。 同工事第3期工事特記仕様書においては,煙突内部耐火被覆ブロックでは石綿を使用することとされ,内装及び外装においては石膏ボードとしてチ,ゐまたは同等以上のものと指定がなされた。昭和46年頃は石綿含有建材の使用が多かったこと(前記ア),チ株式会社においては,昭和45年から石綿を含有する石膏ボードを製造していたことに照らせば(乙A6),当該工事において用いられた石膏ボードには石綿が含有されていたと推認される。また,岩綿吸音板については,ニ,リ,S又は同等以上のメーカーの製造したものと指定されているところ,前記のとおり昭和46年頃の石綿含有建材の使用量及びニ及びSが昭和46年頃に石綿含有ロックウール吸音天井板を製造していたこと,及び無石綿製品の製造が開始されたのは昭和62年であることからすれば,同工事に使用された岩綿吸音板には石綿が使用されていたと推認される。タ病院新築工事第3期本館仕上工事内部仕上表(1ないし11)によれば,A棟においては,各階に石膏ボード,ビニールク とからすれば,同工事に使用された岩綿吸音板には石綿が使用されていたと推認される。タ病院新築工事第3期本館仕上工事内部仕上表(1ないし11)によれば,A棟においては,各階に石膏ボード,ビニールクロス,モルタルが,1階及び2階には岩綿吸音板,大平板,アスベスト系塩ビタイルが,2階及び3階にはフレキシブルボードが,それぞれ使用された。B棟においては,各階に石膏ボード,フレキシブルボード,モルタルが,地下1階及び1階にはアスベスト系塩ビタイル,岩綿吸音板が,地下1階にはトムレックス(旧J株式会社が製造した吹付石綿の商品名。昭和31年から昭和49年まで製造。石綿含有率は60から70%であり,白石綿,青石綿,茶石綿を使用。),大平板が,地下1階及び1階を除く各階にはビニールクロスが,それぞれ使用された。C棟においては,各階に石膏ボード,フレキシブルボード,ビニールクロス,モルタルが,1階及び2階には岩綿吸音板が,2階にはアスベスト系塩ビタイル,岩綿吹付,大平板が,それぞれ使用された。以上の建材のうち,フレキシブルボードについては,無石綿製品の製造が開始されたのは平成3年であるから,同工事において使用された建材には石綿が含有されていたと認められる。また,大平板について無石綿製品の製造が開始されたのは平成2年であるから,同工事において使用された建材には石綿が含有されていたと認められる。以上より,同工事に使用された前記各建材のうち,アスベスト系塩ビタイル,トムレックス吹付,フレキシブルボード,石膏ボード,岩綿吸音板,大平板は石綿含有建材であったと認められる。 タ病院新築工事第3期工事の工期が昭和46年6月から昭和47年3月31日であることからすれば,前記アで述べたとおり,昭和46年から昭和47年に使用された建材のうち たと認められる。 タ病院新築工事第3期工事の工期が昭和46年6月から昭和47年3月31日であることからすれば,前記アで述べたとおり,昭和46年から昭和47年に使用された建材のうち同時期に石綿製品の製造がある建材については,石綿含有建材であった可能性が高いといえる。よって,同工事に使用された建材のうち石綿含有建材の可能性が認められた建材については,石綿が含有されていたものと推認され,モルタル,岩綿吹付,ビニールクロスについては,石綿含有建材であった可能性が高いと考えられる。 同第3期工事においては,石綿含有建材又は石綿含有建材の可能性が高いと認められる建材が,前記キないしのとおり各所に使用されており,これらの建材の切断等により,同第3期工事現場においては石綿粉じんが発生していたと考えられる。よって,同第3期工事現場において作業に従事することにより石綿粉じんに曝露する可能性があったといえる。 同工事第4期工事特記仕様書においては,石膏ボードについて,「材質:JIS規格品。形状:12m/m(不燃)・9m/m(準不燃)。チ,ゐ又は同等以上のメーカー」と指定されている。昭和47年から昭和48年頃は石綿含有建材の使用が多い時期であったこと(前記ア),石綿含有石膏ボードについてはJIS規格が存在すること(甲A26)及びチにおいては,第4期工事が行われた時期において9m/m(準不燃)の石綿含有石膏ボードが製造されていたことなどに照らせば,同工事において使用された石膏ボードについては石綿含有建材であった可能性が高い。同第4期工事の各仕上表によれば,体育館についてはプラスターボード(石膏ボード),石綿大平版,モルタルが使用され,教員独身寮においては塩ビタイル,プラスターボード(石膏ボード),石綿大平版,モル 同第4期工事の各仕上表によれば,体育館についてはプラスターボード(石膏ボード),石綿大平版,モルタルが使用され,教員独身寮においては塩ビタイル,プラスターボード(石膏ボード),石綿大平版,モルタルが使用され,職員宿舎においてはプラスターボード(石膏ボード),モルタルが使用されている。以上のうち,石綿大平板については石綿含有建材であると認められる。 また,モルタルについては混和材に石綿が使用されている可能性がある。 塩ビタイルについては,前記特記仕様書において,内装及び外装工事におけるプラスチックタイル貼りについて「Pタイル(材質:ビニールアスベストタイル)」という記載があることから,石綿含有建材である可能性が認められる。 タ病院新築工事第4期工事の工期が昭和47年9月から昭和48年3月であることからすれば,前記アで述べたとおり,昭和47,48年頃に使用された建材のうち同時期に石綿製品の製造がある建材については,石綿含有建材であった可能性が高いと考えられる。よって,同工事に使用された建材のうち石綿含有建材の可能性が認められた建材については,石綿が含有されていたと推認される。したがって,塩ビタイル,モルタルについては,石綿含有建材であったものと推認される。 同第4期工事においては,石綿含有建材又は石綿含有建材と推認される建材が,前記キないしのとおり各所に使用されており,これらの建材の切断等により,同第3期工事現場においては石綿粉じんが発生していたと考えられる。よって,同第4期工事現場において作業に従事することにより石綿粉じんに曝露する可能性があったといえる。ク泉尾第2住宅建設工事 泉尾第2住宅建設工事において,被告が担当した工区は1区のみであり,保育所併存棟については他の業者が担当した(甲A3 より石綿粉じんに曝露する可能性があったといえる。ク泉尾第2住宅建設工事 泉尾第2住宅建設工事において,被告が担当した工区は1区のみであり,保育所併存棟については他の業者が担当した(甲A37の1)。同工事に関する特記仕様書及び仕上表が昭和46年7月に製図されていることから,同工事の工期は昭和46年頃であったと考えられる。 46年度泉尾第2住宅建築工事の特記仕様書によれば,内装工事のクロス貼りについて,「Aクロス貼りにはLY9600OP(カワキチ)」と指定されている。株式会社エは,昭和45年から平成元年にかけて石綿含有壁紙(商品名:無機質壁紙。LY-8585他。)を製造していること,昭和46年頃には石綿含有建材が大量に使用されていたと考えられること(前記ア)から,同工事において使用された「Aクロス」については,石綿を含有していた可能性が高いと考えられる。同工事の仕様書(保育所併存棟を除く)によれば,1区においては,石綿板,フレキシブルボード(又は有孔フレキシブルボード),Aクロス,モルタルが使用されていたことが認められる。前記建材のうち,石綿板については石綿含有建材と認められる。また,フレキシブルボードについては,無石綿製品の製造開始は平成3年であることから,同工事において用いられたものは石綿含有建材であると考えられる。モルタルについては混和剤に石綿が使用されていた可能性があり(前記),同時期においては石綿含有建材が多く使用されていたこと(前記ア)を踏まえれば,石綿を含有していた可能性が高いと認められる。 同工事において石綿含有建材又は石綿含有建材の可能性の高い建材が使用された箇所は多いとはいえないものの,これらの建材を用いた作業をする際には石綿粉じんが発生した可能性があることから,同工事現 同工事において石綿含有建材又は石綿含有建材の可能性の高い建材が使用された箇所は多いとはいえないものの,これらの建材を用いた作業をする際には石綿粉じんが発生した可能性があることから,同工事現場において作業することによって石綿粉じんに曝露することはあり得る。ケ大阪市立ヲ高校新築工事等 大阪市立ヲ高校新築工事等に際して作成された図面等の製図年月日が昭和37年12月から昭和41年7月であること,被告が同工事の工期について昭和39年12月から昭和40年8月であると主張していることからすれば,同工事の工期は昭和38年から昭和41年頃であったと考えられる。 ヲ高校新築工事図面リスト・特記仕様においては,ピータイルについて旧Uのビニラートタイル,リのPタイルが指定されている。旧Uは商品名をビニラートタイルとする石綿含有ビニル床タイルを昭和32年から昭和42年にかけて製造していたこと,リにおいては商品名をPタイルとする石綿含有ビニル床タイルを昭和30年から昭和61年まで製造していたことを踏まえれば,同工事において使用されたピータイルについては石綿含有建材であったと認められる。大阪市立ヲ高校新築工事においては,ピータイル,プラスターボード(一部有孔プラスターボード),フレキシブル石綿板が使用された。 ヲ高校増築工事図面リスト・特記仕様・仕上表によれば,同工事においてはピータイル,プラスターボード(一部有孔プラスターボード),フレキシブル石綿板(一部有孔フレキシブル石綿板)が使用された。このうち,ピータイルについては,前記と同じ理由から,石綿含有建材であったと認められる。 ヲ高校工場棟其の他増築工事図面リスト・特記仕様・仕上表によれば,同工事においては,ピータイル,有孔プラスターボードが使用された。 この 記と同じ理由から,石綿含有建材であったと認められる。 ヲ高校工場棟其の他増築工事図面リスト・特記仕様・仕上表によれば,同工事においては,ピータイル,有孔プラスターボードが使用された。 このうち,ピータイルについては,前記と同じ理由から,石綿含有建材であったと認められる。 ヲ高増築工事仕様書によれば,同工事にはビニアスタイル,有孔石膏ボードないしハードボードが使用された。 ヲ高体育館増築工事仕様・建具リストによれば,同工事にはフレキシブル板,石膏ボードが使用された。 ヲ高校増築工事仕様書(昭和47年1月製図)によれば,同工事にはビニアスタイル,プラスターボードが使用された。 大阪市立ヲ高校新築工事等においては,壁,天井等の相当部分についてモルタルが使用されている。 以上の各建材のうち,フレキシブル石綿板については石綿含有建材であると認められる。また,大阪市立ヲ高校新築工事等が昭和38年から昭和41年であることから,前記アで述べたことを踏まえると,昭和38年から昭和41年に使用された建材のうち同時期に石綿製品の製造がある建材については,石綿含有建材であった可能性が高いといえる。 よって,同工事に使用された建材のうち石綿含有建材の可能性が認められた建材については,石綿が含有されていたものと推認される。大阪市立ヲ高校新築工事等が行われた期間において,ビニアスタイル及びモルタルに使用する混和剤については石綿含有建材の製造がなされていたことから,同工事に用いられたビニアスタイル,モルタルに使用された混和剤については石綿含有製品の可能性が高いといえる。また,フレキシブル板については無石綿製品の製造が開始されたのは平成3年であるから,同工事において使用されたものは石綿含有製品であったと認められる。 ついては石綿含有製品の可能性が高いといえる。また,フレキシブル板については無石綿製品の製造が開始されたのは平成3年であるから,同工事において使用されたものは石綿含有製品であったと認められる。なお,プラスターボード(有孔のものを含む)については,昭和38年から昭和41年頃には石綿含有製品の製造があったとは認められないため,これは無石綿製品であったと考えられる。 以上より,大阪市立ヲ高校新築工事等において用いられたピータイル,フレキシブル石綿板(フレキシブル板)については石綿含有建材であったと認められ,ビニアスタイル及びモルタルについては石綿含有建材であったと推認されるところ,これらの建材は前記ケないしのとおり同工事において広く使用されていたことから,当該建材を使用する際の切断,破砕作業等により石綿粉じんが相当程度発生していたことが推認され,よって,同工事の作業に従事することによって石綿粉じんに曝露する可能性があるといえる。コ原告らは,各工事現場の各仕上表に記載されている「仕上表示略記号」の表もしくは「凡例」の表等に記載されている建材について,いずれも実際に工事において使用されていたと主張しているが,各工事現場の各仕上表に記載されている「仕上表示略記号」「凡例」の表については,各仕上表に記載されている略記号であっても当該表に記載されていなかったり,またその逆もあることから,当該表に記載されている建材が全て実際の工事に使用されていたと認めることはできない。よって,具体的な使用箇所の指摘がある建材についてのみ,当該各工事において使用されたものと解される。サ被告は,大阪市が発表したアスベストが含まれる建築物の一覧(乙A2)によれば,大阪市が建築したものでかつ本件で問題となっている建築物のうち,石綿(ア 各工事において使用されたものと解される。サ被告は,大阪市が発表したアスベストが含まれる建築物の一覧(乙A2)によれば,大阪市が建築したものでかつ本件で問題となっている建築物のうち,石綿(アスベスト)が使用されている建築物は,ル中学校技術室のみであると主張する。しかし,大阪市は,前記一覧の前文において,大阪市が平成8年度以前に建設された大阪市所有の建築物等を対象に,吹付けロックウール,吹付けひる石,吹付けパーライト,折板裏打ち石綿断熱材の使用状況やアスベスト含有状況について実態調査を実施し,市設建築物のアスベスト対策を進めたこと,平成17年度及び平成18年度において,アスベストを含有する吹付材等が露出し,飛散のおそれのあるもの等について125施設で対策を実施したことを述べた上で,平成19年度にはさらに70施設で対策を実施し,これにより,解体時等に対策を実施する3施設を除き,全ての施設建築物のアスベスト対策が完了するとした(乙A2)。以上の記載内容からすれば,大阪市が前記石綿(アスベスト)対策を実施したのは,石綿含有吹付材が用いられている建築物で,かつその劣化等によって飛散のおそれがあるものについてであったと推認される。よって,前記一覧に記載のない施設(すなわち,大阪市がアスベスト対策を実施しなかった施設)であるからといって,アスベスト含有建材が使用されていなかったということはできない。シ被告は,建設工事では,工事の進行に伴い部分変更や仕様変更をすることは珍しいことではなく,工事着工前に作成されている設計図に記載されている建材が実際に工事に使用されたとは限らないと主張する。工事着工前に設計図等が作成された段階で,使用する建材の商品名等具体的な内容まで決定されていることはまれであるといえる(甲B108の ている建材が実際に工事に使用されたとは限らないと主張する。工事着工前に設計図等が作成された段階で,使用する建材の商品名等具体的な内容まで決定されていることはまれであるといえる(甲B108の1ないし3,証人テ等)。しかし,設計図等の記載を元に具体的な建材の調達を行う担当者が建材の購入を行う(証人テ)など,設計図等の図面が建設工事を進める上での基本となる重要なものであることや,図面の作成時において当該建物の使途に合致し,建築基準法等の規制も十分に考慮されていると考えられることからすれば,フレキシブル板,石膏ボード,モルタル等といった使用される建材の種類についてまで特記事項書や仕様表から大きく変更されるということは考え難く,また,本件において問題となっている建築工事においてそのような変更がなされたことを示す証拠は見当たらない。よって,建設工事の設計図等における使用建材に関する記載の信用性は高いといえることから,建設工事において使用された建材の種類については特記事項書等の設計図に記載された建材が仕様されたものと認められる。ス被告は,E材を使用した場合には,電気工による配線作業において石綿粉じんが発生しないと主張する。確かに,E材(合成樹脂線ぴ)工事は,プレキャストコンクリート工法によるプレハブ住宅や鉄筋コンクリート集合住宅において,建物の内装ができあがってから配線工事を施設するための工法であり,E材の取付けは,木ねじ・接着剤を併用して,造営材に確実に取り付けるものであるから(乙A5),E材を使用した場合には,壁や天井に石綿含有建材が使用されていたとしても,そこに穴を開ける作業等が必要なくなるため,電気工の配線作業からは石綿粉じんがほとんど発生しないと考えられる。しかし,工事現場全体として見た時には,天井や壁に使用する建材の切 用されていたとしても,そこに穴を開ける作業等が必要なくなるため,電気工の配線作業からは石綿粉じんがほとんど発生しないと考えられる。しかし,工事現場全体として見た時には,天井や壁に使用する建材の切断や石綿吹付等が行われていることに変わりはないのであるから,石綿粉じんは発生すると考えられる。よって,E材が使用された工事現場においても,石綿含有建材が使用されている以上,石綿粉じん曝露の可能性は否定できない。 2 故Cに対する被告の安全配慮義務違反の有無(争点2) 故Cと被告の関係ア故Cは,被告を事業所とする厚生年金に,昭和37年10月17日から昭和54年9月9日まで加入していた(甲A12)。イ Eのトラック等には「H工業株式会社 SHIDENCO 株E」と記載されていた(甲A56の1ないし4)。また,Eの従業員は,被告の会社名が入った作業服及びヘルメットをEから支給され,工事現場において身につけていた(甲A55,61)。ウ Eの昭和59年度(昭和59年7月1日から昭和60年6月30日)の「法人の事業概況説明書(建設業)」においては,Eの工事の受注方法としては,下請が99.27%を占め,その主な元請先は被告であり,当該年度の「主な完成工事の状況」によれば,請負先を被告とする工事の請負金額が5264万7000円(工期は昭和59年7月から昭和60年6月),アが180万円(工期は昭和60年2月から同年3月),サが169万円(工期は昭和59年12月から昭和60年1月),キが40万円(工期は昭和60年5月)とされており,被告が約99%を占めている。ただし,当該年度においては,当期の営業成績の概要欄に,「売上が最低目標の50,000千円を突破した為好業績につながった。しかし,持ち込み材料比率が高いため,必ずしも利益 告が約99%を占めている。ただし,当該年度においては,当期の営業成績の概要欄に,「売上が最低目標の50,000千円を突破した為好業績につながった。しかし,持ち込み材料比率が高いため,必ずしも利益に結びつかない。H工業の場合,材料は原則として寄与しないため。」と記載されている。なお,当期の完成工事高は5303万6000円,工事原価は3604万4000円,収入総利益は1699万1000円であった(甲A24の1)。エ Eの昭和60年度(昭和60年7月1日から昭和61年6月30日)の「法人の事業概況説明書(建設業)」においては,Eの工事の受注方法としては,下請が99%を占めており,そのうち主な元請先は被告であり,当該事業年度における「主な完成工事の状況」によれば,請負先を被告とする工事の請負金額が4394万7000円(工期は昭和60年から昭和61年6月),ユが79万2000円(工期は昭和61年2月から同年3月),メが92万円(昭和61年1月から同年2月),ミが24万円(工期は昭和61年2月),シが25万円(工期は昭和61年3月),ヒが4万5000円(工期は昭和61年2月)であり,被告が約95%を占めていた。なお,当該事業年度の完成工事高は4619万4000円,工事原価は3079万2000円,収入総利益は1540万1000円であった(甲A24の2)。オ Eは,1995(平成7)年から2004(平成16)年までの10年間に,被告から267件の工事を請け負った(甲A52)。カ故Cは,Eの経営者となった後,平成18年度のH株式会社本店電力部協力会社安全衛生協議会の会長を務めた(甲A11,54)。 海外及び国際会議等における医学的知見ア石綿肺について 石綿肺は,アスベスト粉じんを大量に吸ったときに起きるじん肺の一 電力部協力会社安全衛生協議会の会長を務めた(甲A11,54)。 海外及び国際会議等における医学的知見ア石綿肺について 石綿肺は,アスベスト粉じんを大量に吸ったときに起きるじん肺の一種で,肺の組織の酸素を取り入れる末梢の部分が線維化し,固くなって機能しなくなり,呼吸機能が下がっていくものである。最初の石綿曝露から10年以上の曝露があって発症することが多い(甲B28)。 フランスで,明治23(1890)年から明治28(1895)年の間,ある石綿工場の労働者17人のうち16人が石綿肺で死亡したとの記録があり,明治31(1898)年にはイギリスの工場監督官ルーシー・ディーンが石綿の健康被害を報告し,その1年後,ロンドンにあるチャリング・クロス病院のモンタギュー・マレー博士が,吸い込んだ石綿(アスベスト)粉じんによって肺疾患に罹患した最初の症例である33歳男性を診て報告した。ドイツでも大正3(1914)に最初の石綿肺症例が報告され,アメリカにおいては1930(昭和5)年にアスベスト工場労働者の石綿肺についての研究報告があいついで発表されるなど,明治23年頃(1890年代)以降,各国において次々と石綿被害が報告された。これらの肺疾患は,1924年,W.E.クックによって石綿肺と名付けられ,1930年代前半には,石綿曝露により石綿肺を引き起こす危険性があるとの知見が確立された(甲B16ないし18,28ないし30,54)。 1930年,ミアウェザーとプライスは,アスベスト工場の状況についての調査を完了し,その報告書をイギリス及びアメリカにおいて発表した。その中では,線維症の最終的に形成される程度と進行の速度は維持した曝露の強さに比例するとされた上で,この仮説が正しいとすれば,粉じんの多いアスベストの工程の近辺 ギリス及びアメリカにおいて発表した。その中では,線維症の最終的に形成される程度と進行の速度は維持した曝露の強さに比例するとされた上で,この仮説が正しいとすれば,粉じんの多いアスベストの工程の近辺の空気の粉じん濃度を減少させるような手段を用いることによって,第一には,労働者に障害をもたらすような線維症が進行するまでの期間を大幅に長くすることができ,粉じんを完全に抑制するような手段がとられれば,この病気をほとんど全てなくすことができると述べられていた(甲B29の1・2)。 ILOは,昭和5(1930)年に第1回国際けい肺会議を開催し,じん肺に関する知見が交換され,石綿肺はけい肺に次いで重要なじん肺であることが確認された(甲B29の1・2)。 1931(昭和6)年に,イギリスで,世界で最初のアスベスト粉じん規制法が制定され,特定の作業における排気装置の設置や粉じんの抑制が義務付けられるとともに,新規採用時や年ごとの健康診断の実施や労災補償の対象となることが定められた(甲B17,28)。イ発がん性及び中皮腫について 石綿に伴う肺がんに関する事例は,1930年代から報告され始め,海外においては,石綿が発がん性を有することが除々に明らかにされていった(甲B16,30,34,35)。昭和18(1943)年には,アメリカのウィルヘルム・ヒューバーが,石綿肺患者の肺がんに関する研究をもとにアスベストの発がん性を指摘した。リチャード・ドールは,昭和30(1955)年,疫学的手法によって石綿の発がん性を明確にし,この報告によって,石綿の発がん性に関する知見が確立された(甲B28,32の1・2,54)。 大正6(1917)年には,イギリスのロンドン病院で初めての中皮腫患者が発生し,1930年代から胸膜のがんや中皮腫が報 石綿の発がん性に関する知見が確立された(甲B28,32の1・2,54)。 大正6(1917)年には,イギリスのロンドン病院で初めての中皮腫患者が発生し,1930年代から胸膜のがんや中皮腫が報告されていた(甲B28)。J.C.ワーグナーとC.A.スレグスは,昭和34(1959)年,ヨハネスブルグで開催されたじん肺の国際会議において4年間に発生した33例の中皮腫のうち32例が石綿鉱山の従事者及びその家族,鉱山付近の居住者,石綿運搬従事者などであったと報告し,ワーグナーらは,翌昭和35(1960)年,中皮腫に関する調査結果を発表し,わずか数ヶ月という短期間の石綿曝露でも中皮腫に罹患する可能性があることを指摘した(甲B17,28)。その後も,多くの研究者によって石綿と中皮腫との関係に関する研究がなされ,1960年代には石綿曝露と中皮腫罹患との間に因果関係を認める旨の知見が確立された(甲B17,28,54)。 昭和28(1953)年から開始されたニューヨークにあるマウント・サイナイ病院のアーヴィング・J・セリコフらによる疫学調査は,前記ドールやワーグナーらによって明らかにされたアスベストの発がん性をさらに広く知らしめた。当該調査結果は論文にまとめられ,昭和39(1964)年にニューヨーク科学アカデミー主催の「アスベストの生体的影響」と題する国際会議で発表され,大きな反響を呼んだ(甲B28,54)。当該論文の最後の部分では,断熱作業員の曝露が電気工,配管工をはじめ様々な職種に対しても及んでいる可能性を指摘するとともに,アスベストの近隣曝露による中皮腫発症を重要な問題として取り上げ,関連論文が紹介された(甲B28)。 昭和39(1964)年にニューヨークで開催された前記国際会議は,アスベストによる健康への影響を主要テー 近隣曝露による中皮腫発症を重要な問題として取り上げ,関連論文が紹介された(甲B28)。 昭和39(1964)年にニューヨークで開催された前記国際会議は,アスベストによる健康への影響を主要テーマとして公式に取り上げた世界で初めての国際会議であり,そこでは,職業性の曝露だけではなく,一般環境の問題や,中皮腫の問題が取り上げられており,特に中皮腫については10のセッションのうち2つに取り上げられるなど,当該会議においては中皮腫がアスベスト関連疾患の一つとして明確に位置づけられていた。また,採掘や加工,セメント製品の製造と消費,紡織品の製造などの段階で起きる非職業性の曝露の可能性が指摘され,過去50年の間に進んできたアスベストの産業利用が様々な形で曝露の機会を拡大させ,アスベスト製品の使用や関連工場の周辺での活動も非職業曝露に当たる範囲に含まれるようになったことも示された(甲B28)。 昭和41(1966)年には,東京において第9回国際癌学会が開催され,石綿とがんとの関連性に関する5本の論文が発表された。そのうち,ジャン・リーベンは,石綿関連工場の作業者のみならず,労働者の家族や工場周辺の住民にも中皮腫の発症が見られたことを報告した(甲B28)。 昭和44(1969)年に東京で開催された第16回国際労働衛生会議では,石綿関連の9題の報告がなされ,共同議長の佐野辰雄は,肺がん及び中皮腫は大気汚染問題の重要な課題になっており,わずかな量の石綿の吸入さえも避けるべき時代に到達した,と総括した(甲B28)。 昭和47(1972)年,ILOは,石綿のがん原性を指摘した。同年に行われたWHOの下位機関であるIARCの「人に対する化学物質のがん発生危険の評価」についての研究グループの報告でも,気管支がん,肺がん並びに胸膜 LOは,石綿のがん原性を指摘した。同年に行われたWHOの下位機関であるIARCの「人に対する化学物質のがん発生危険の評価」についての研究グループの報告でも,気管支がん,肺がん並びに胸膜及び腹膜の中皮腫の発生と石綿曝露との関連性は極めて確かな事実であると評価された。この時期に各国で禁止や規制の動きが加速した(甲B28)。 なお,クリソタイルは,しばしば,クロシドライト及びアモサイトより有害性が低いとされているが,昭和61(1986)年までにWHO傘下の国際がん研究機関(IARC)は,3つ全てが発がん性物質であり,他の発がん性物質と同様にそれらへの曝露に対する既知の安全レベルというものは存在しないと結論づけた(甲B17)。 我が国における医学的知見アじん肺(石綿肺等)について 我が国における最初のじん肺の論文は,明治23(1890)年に発表された坪井次郎の「塵埃吸引病」と佐藤英太郎の「鉱夫肺病ニ就テ」である。坪井は「塵埃吸引病」の中で,じん肺の予防法として,作業の湿式化,換気,防じんマスクの使用と使用に当たっての注意等を書いており,この予防面に関しては現在の粉じん対策と大差ないことを指摘している。また,佐々木四郎は,我が国で初めてじん肺研究のために粉じん測定を行い(特殊吸引装置を用いて石工の呼吸域における粉じん測定を行った。),明治40(1907)年に「石粉の石工に及ぼす影響について」という論文を発表した(甲B14)。 我が国においては,昭和2(1927)年に鈴木和夫らが国内で初めて石綿肺の症例を報告し(甲B16,28),塵肺という言葉が使用され始めたのは昭和4,5年頃からであったと考えられる。昭和6(1931)年に出版された大西清治の「労働衛生概論」の第4節(粉塵に因る健康障害)には,塵肺が単な B16,28),塵肺という言葉が使用され始めたのは昭和4,5年頃からであったと考えられる。昭和6(1931)年に出版された大西清治の「労働衛生概論」の第4節(粉塵に因る健康障害)には,塵肺が単なる粉じん障害の結果であると見なされたのは一昔も前のことで,今は病理的研究の進歩によって,塵肺に対する見解は次第に狭まりつつあることが指摘された。 昭和9(1934)年には昭和5(1930)年にヨハネスブルクにて開催されたILOの国際硅肺会議の議事録が内務省社会局労働部によって資料化され,大西清治が,医療関係者に広く読まれていた雑誌で前記国際会議(ILO 1930)の内容を紹介し,会議のまとめとしてアスベスト塵の吸入によるじん肺の発生が確実であると示されていること,さらに,石綿肺に関するイギリスのクックやミアウェザーの当時の最新の業績を紹介し,アスベストの吸引でじん肺が起こることや,X線画像での石綿肺とけい肺の相違について詳しく報告した。鯉沼茆吾は,昭和9(1934)年に出版した「職業病」(甲B21)において塵肺に触れ,「硅酸塵によりて起る塵肺は硅肺といふのであるが,此の外にアスベスト粉も,鐵粉も,石炭粉も害を起す。」,「粉塵の飛散を防止する設備をなすことが豫防の第一義で,防塵具を着用することは第二義的のものである。」などとして,塵肺について予防の重要性を説いた。また,同人が昭和13(1938)年に出版した「職業病と工業中毒」には,「粉塵に因る呼吸器疾患」の第二節で塵肺,第三節で硅肺,第四節でアスベスト肺,第五節では国際硅肺会議の覚書についての記載がされた(甲B14,25)。杉山旭は,昭和9(1934)年に日本の石綿製造業向けに書いた書籍の最後3頁を石綿工場の衛生問題にあて,石綿粉じんが身体に有害であることを指摘し,カナダ 書についての記載がされた(甲B14,25)。杉山旭は,昭和9(1934)年に日本の石綿製造業向けに書いた書籍の最後3頁を石綿工場の衛生問題にあて,石綿粉じんが身体に有害であることを指摘し,カナダやロシアの工場では集塵機が工場内各所に設置されていることなど防塵マスク以外の対策を紹介し,除塵設備を施し衛生設備を完全にすることを勧めた(甲B28)。さらに,昭和13(1938)年には,石川知福が,アスベストの需要が拡大し,防火材,耐熱材として広く使用されていることから,アスベスト工場だけでなく,アスベストを使用する断熱作業でも石綿肺が生じるおそれがあることを指摘した(甲B28)。 以上のように,昭和13(1924)年までの間にじん肺(けい肺,石綿肺)に関する様々な海外の医学的知見が国内に紹介された(甲B19ないし26)。そのような中で,昭和12(1937)年から昭和15(1940)年にかけて,保険院社会保険局健康相談所大阪支局の助川浩医師らによって,大阪府泉南郡を中心とする大阪府及び奈良県の石綿工場等14工場,1024名を対象とする石綿肺の疫学的,臨床的調査が実施され,昭和15(1940)年3月に,その調査結果が発表された。この保険院調査のうち,勤続3年以上の者206名及び3年未満で自他覚所見のある者45名の合計251名に対して実施された胸部X線検査によれば,石綿肺の発生率は25.9%であり,勤続年数3から5年で20.8%,5から10年で25.5%,10から15年で60%,15から20年で83.3%,20から25年で100%との結果が得られたことから,石綿肺罹患者数と勤続年数,粉じん濃度には相関関係があること等が報告され,今後の石綿肺の予防と治療の適切な対策を樹立すべきことが緊要な課題であるとも述べられた(甲B15, の結果が得られたことから,石綿肺罹患者数と勤続年数,粉じん濃度には相関関係があること等が報告され,今後の石綿肺の予防と治療の適切な対策を樹立すべきことが緊要な課題であるとも述べられた(甲B15,27など)。 昭和30(1955)年に出版された「珪肺と塵肺(佐野辰雄)」において,第三回国際塵肺会議の報告が記載されるとともに,珪肺や塵肺の予防は防塵の一語に尽きるとされ,また,労働者の健康管理の重要性が説かれた。そして,このような予防措置が講じられることによって珪肺及び塵肺の予防に効果があることが示された(甲B33)。 戦後においても,宝来善次博士及び瀬良好澄博士らが昭和27(1952)年から実施した関西地区での石綿の調査研究,労働省が昭和31(1956)年度から昭和34(1957)年度に労働衛生試験研究として組織した宝来博士を班長とする研究班による「石綿肺の診断基準に関する研究」,同時期に東京で行われた吉見による石綿肺の調査研究など,各種の調査が実施された。前記「石綿肺の診断基準に関する研究」で報告された剖検を含む各種じん肺(石綿肺以外のもの)に関する知見は,昭和35年のじん肺法制定への有力な資料となった(甲B15,27)。 昭和35(1960)年には,宝来らによる昭和34年度労働省労働厚生試験研究成果報告書「石綿肺等のじん肺に関する研究」がまとめられ,また,我が国初の石綿肺合併肺癌剖検例が瀬良らによって報告された(甲B64)。昭和41(1966)年,宝来は石綿肺の病態の特徴と管理について日本災害医学会において特別講演を行った。そして,その後も宝来らによるじん肺,石綿肺等に関する調査研究が進められた(甲B15)。イ発がん性及び中皮腫について 石綿が発がん性物質であることは,我が国においても昭和20年 を行った。そして,その後も宝来らによるじん肺,石綿肺等に関する調査研究が進められた(甲B15)。イ発がん性及び中皮腫について 石綿が発がん性物質であることは,我が国においても昭和20年代から指摘されており,遅くとも昭和34(1959)年頃までには,ドールらの研究が紹介されるなど,昭和35(1960)年頃までに様々な海外の事例や知見が報告された(甲B28,33ないし36)。昭和35(1960)年頃になると,我が国における肺がんを合併した石綿肺の剖検例が瀬良らによって報告され(甲B16,37),昭和35(1960)年に出版された「癌研究の進歩第2版」においては,アスベストと原因とする肺がんを職業癌の一種とした(甲B36)。昭和40年代においても,労働省が「じん肺と肺がんとの因果関係に関する研究」を災害医学に関する研究の委託テーマとし,その研究結果として,石綿肺に原発性肺がんの合併が多いことはイギリス,ドイツ,アメリカなどの諸外国で確認されており,両者に因果関係を認める論拠は十分であるとするなど,石綿の発がん性を肯定する内容の報告等がされた(甲B37,40ないし43)。また,昭和35(1960)年頃,石綿による肺がんを理由とする労災認定がされた例が現れ,昭和50(1975)年までの間に国による石綿による肺がんの労災認定は8例に及んだ(甲B16,28)。 中皮腫に関するワーグナーらの研究は,昭和35年頃,我が国における研究者らにも知られていた(甲B42)。昭和41(1966)年に東京で開催された第9回国際癌学会での報告は,同42年頃,我が国においても紹介され,極めて低濃度で短期間の曝露であっても,石綿曝露により中皮腫に罹患する危険性があることが紹介された。昭和44(1969)年に東京で行われた国際労働衛生会 告は,同42年頃,我が国においても紹介され,極めて低濃度で短期間の曝露であっても,石綿曝露により中皮腫に罹患する危険性があることが紹介された。昭和44(1969)年に東京で行われた国際労働衛生会議においては,「じん肺」のセッションの中で,じん肺に関する日本の状況の報告及び海外の調査報告等がなされ。同セッションのまとめとして,肺がん,なかでも中皮腫によるじん肺の複雑化は大気汚染問題の重要な課題になっており,わずかなアスベストでさえも吸入を避けるべき時代に到達したことを示すものである,とされた(甲B28)。同年,関東労災病院の吉見正二は,肋膜中皮腫の発生が石綿肺にみられることは周知のことであるとした(甲B28)。さらに,昭和42(1967)年に九州大学の石西伸は自己の論文「石綿と悪性新生物」の中で,アスベストが原因と考えられる肺がんや中皮腫の状況を詳しく整理した上で,結びとして,「低濃度,長期間の曝露において,肺癌及び中皮腫の発生の存在する事実が解明された現在,産業医学的な問題より,より広い公衆衛生学的問題として,石綿による環境汚染は考えなければならない。」とした(甲B28,40)。一方,これと同時期に,労働安全衛生関係者向けの職業病の解説書に,アスベストが発がん性物質として取り上げられるようになった。昭和43(1968)年12月7日に発行された「職業病とその対策」(久保田重孝ほか)では,職業ガンを「ある職業に従事することにより,その職業に特有の発ガン因子にばくろし,発生するガン」と定義した上で,「最近,職業ガンの中で最大の関心を払われているのは石綿による肺がんと胸膜,腹膜の中皮腫である」と記載され,肺がんに関するドールやセリコフなどの研究,中皮腫に関するワグナーなどの研究を詳しく伝えた上で「上述の疫学的証拠とこれら実 いるのは石綿による肺がんと胸膜,腹膜の中皮腫である」と記載され,肺がんに関するドールやセリコフなどの研究,中皮腫に関するワグナーなどの研究を詳しく伝えた上で「上述の疫学的証拠とこれら実験的証拠を総合し,石綿が職業がん因子であることは確かであると考えられる。」とした(甲B28,42)。昭和48(1973)年には石綿肺に合併した胸膜中皮腫,翌昭和49(1974)年には胸膜中皮腫が,いずれも大阪から報告されている(甲B16)。 昭和46(1971)年に出版された「労働の科学」においては,瀬良好澄が,昭和30(1955)年に石綿肺に肺がんが,昭和35(1960)年に胸膜・腹膜に悪性中皮腫が合併することが多いという報告以来,石綿と肺がんに因果関係があることについては,今や異論のないところであるとの認識を示した上で,大阪における調査結果や臨床結果等を検討し,その結果,石綿肺は肺がんの合併も決して少なくはないと推測できるなどと述べ,石綿肺はじん肺の中でも最も有害なものの一つであり,石綿作業環境の改善指導,早期発見の検診の励行,ことに退職者や家内労働者も含めた広範な検診と,追求調査の早急な実施のための各方面の協力体制が望まれるとの見解を示している(甲B43)。ウ石綿肺等に関する国内の社会的状況 昭和33(1958)年から同34(1959)年にかけて泉南地方の石綿被害が大きく報道され(甲B44ないし46),これ以降も,昭和47(1970)年11月17日朝日新聞において「石綿作業で肺がん国立療養所病院長確認日本にも6人の死」,「加工中などに飛散した石綿粉塵の発がん性や,これによる大気汚染の危険は,海外で早くから指摘されていたが,わが国で石綿によるとみられる肺がん患者の発生が明らかになったのは,これが初めてである。」との記事 中などに飛散した石綿粉塵の発がん性や,これによる大気汚染の危険は,海外で早くから指摘されていたが,わが国で石綿によるとみられる肺がん患者の発生が明らかになったのは,これが初めてである。」との記事が掲載され,その後の記事では,大阪労基署管内で昭和30(1955)年から昭和45(1970)年までの間に石綿じん肺で死亡したことが確認された者のうち23.8%の者が肺がんへ移行して死亡していたことが確認されたことを掲載するなど,石綿被害に関する報道は続けられた(甲B47ないし53)。 前記イのとおり,昭和35(1960)年頃から石綿による肺がんについて労災認定がなされる事案も散見されるようになり,昭和50(1975)年度までに8件が労災認定された(甲B16,28)。 昭和45(1970)年11月17日の朝日新聞において「石綿粉じんが肺ガン生む 8人発症6人死ぬ」との見出しの記事が掲載されたことをきっかけに,その後も石綿に関する報道が続けられ,石綿が発がん性物質であること等も報じられた。また,国会において話題にも取り上げられた。これらにより,アスベストの発がん性に関する認識についても,社会一般に広まっていった(甲B28)。エ石綿業界における認識等昭和34(1959)年の「石綿誌」に掲載された岩井産業提供による記事では,カナダのジョンソン社が他の鉱山に先んじて,数年前に除塵と工場内の空気浄化のための袋状の濾過装置を取り付けたことを伝え,粉じん問題への関心の高さと防塵対策が可能なことを示した。また,同誌では,同年,けい肺特別保護法が昭和35(1960)年3月で失効することから,労働省ではこれに替わる健康管理,予防を中心としたじん肺特別保護法と補償面を強化した労災保険法の一部改正法を制定し,近く閣議に諮った上で,時 別保護法が昭和35(1960)年3月で失効することから,労働省ではこれに替わる健康管理,予防を中心としたじん肺特別保護法と補償面を強化した労災保険法の一部改正法を制定し,近く閣議に諮った上で,時期通常国会に提出の模様と伝えた。当該法案には,「石綿製品,石綿セメント製品,石綿高・低圧管を製造する業種は勿論広く石綿を取り扱う作業は全部含まれることになる」と記載されていた(甲B28)。オ土木作業におけるじん肺全国労働衛生週間のしおり(甲B73ないし76)によれば,次のとおり,昭和37年以降,土木建設事業従事者におけるじん肺有所見者は継続して見られ,その率は他の業種と比較しても高い。① 産業別じん肺の有所見者率水力発電建設事業隧道建設事業その他土木建設事業昭和37年1.0%8.5%11.0%昭和38年2.6%3.7%10.9%昭和39年2.2%15.6%25.3%昭和40年2.6%4.9%6.2%昭和41年3.5%6.5%6.1%昭和42年0.4%3.5%5.1%昭和43年0.8%3.2%4.6%昭和44年6.1%2.3%0.8%昭和48年2.5%3.2%4.6%② 建設工業におけるじん肺症発生者数じん肺症石綿肺及びこれに伴う結核肺昭和39年32名1名昭和40年24名1名昭和44年83名昭和48年190名 被告の故Cに対する安全配慮義務の存否ア労働契約上の使用者は,支配下にある労働者に対し,労働者の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮する義務を負っているものと解すべきであり,この安全配慮義務は,ある法 対する安全配慮義務の存否ア労働契約上の使用者は,支配下にある労働者に対し,労働者の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮する義務を負っているものと解すべきであり,この安全配慮義務は,ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入った当事者間において,当該法律関係の不随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務として一般的に認められるべきものである。そして,このことは,元請会社が下請会社の労働者に対して実質的に支配を及ぼしている場合にも変わらないというべきである。イ 証拠(甲A55,乙A12,13,証人ソ,証人コ)によれば,被告は,工事を請け負った各建設工事現場に,現場管理業務を担う被告の従業員を派遣し,その者が他者との調整や施工図の作成,材料の手配,電気工への作業指示等を行っていたことが認められる。そして,被告においては,官公庁等の工事等を請け負うことが多かったため,工事の規模はそれなりに大きく,そのため現場管理業務を行う者は当該工事に常駐し,自己の従業員や下請業者の作業員に対して指示等を行っていた。また,被告から派遣された現場管理者は,請け負った工事現場において,定例会議等に出席して他業者の予定を確認し,作業予定の調整等も行っていたものである。よって,被告は,被告が請け負った工事現場において作業をする被告の従業員及び被告から工事を請け負った下請業者の従業員に対し,その作業指示等をすることによって,同人らを管理・監督していたといえる。 故Cは,前記第2,2ア,前記1アのとおり,昭和37年から昭和43年までは被告の従業員として被告の電気工事に従事し,その後は被告の下請業者であるD商会の従業員として被告の工事に従事していた。さらに,昭和49年頃に独立してE電気商会の経営者とな 37年から昭和43年までは被告の従業員として被告の電気工事に従事し,その後は被告の下請業者であるD商会の従業員として被告の工事に従事していた。さらに,昭和49年頃に独立してE電気商会の経営者となった後も,前記ヨ記念館新築工事,南港住宅(ポートタウン)建設工事等被告の受注した工事に作業員として従事していた。そして,E電気商会を株式会社化した後も,前記(R-1)梅田駅改造工事等多くの被告の工事を受注し,現場において作業に従事したと認められる(前記1,前記ウないしオ)。さらに,前述のとおり,Eの従業員数が多いときでも6名程度であったこと,Eの従業員であったケ及びモ並びにEでアルバイトをしていたFが,故Cは経営者になった後も工事現場(応援工事を含む)に出て作業に従事していたと述べていることからすれば,故CはEの経営者という立場になって以降も,自ら請け負った工事の現場に赴いて作業に従事していたと推認される。 よって,故Cは,被告の従業員であったときはもちろんのこと,被告の下請業者の経営者であった期間についても,継続的に,被告が請け負った工事現場において被告の管理・監督の下で電気設備工事作業に従事していたものと認められる。 前記アの事実に加え,①故Cと同時期にD班(D商会)及びE電気商会に属して被告の工事に従事していたケが,故Cとほぼ同時期に被告を退社した後,昭和54年9月までの間(すなわち,故Cが被告の厚生年金に加入していた期間とほぼ同じ期間)被告の厚生年金に加入しており,D班及びE電気商会において従事した工事が全て被告の指揮監督する建設現場であったと述べていること(甲A55),②被告の主張によれば,被告においては,若い電気工の指導教育のための制度として,被告が直接指導教育をする直営班以外に,被告の下請業者に 告の指揮監督する建設現場であったと述べていること(甲A55),②被告の主張によれば,被告においては,若い電気工の指導教育のための制度として,被告が直接指導教育をする直営班以外に,被告の下請業者に自己の若い従業員を配属し下請協力業者に実務教育を委ねることもあり,直営班と下請班(下請業者の従業員と被告の従業員で構成される。)とは厳密に区別されておらず,被告の判断によって人員が移動させられることもあったこと等に照らせば,被告とその下請業者との関係は非常に密接であったといえ,故Cは被告と直接の雇用関係がなくなった後も,被告の下請業者として被告の工事に従事していた間,被告の従業員と同等の立場にあり,被告の工事に被告の従業員と同程度従事していたことが窺われる。また,前記イによれば,通常単なる元請会社の一つにすぎない会社の名前を自社のトラック等に記載することは考え難いこと,前記ウないしオからはEの収入のうち大部分が被告からの請負工事によるものであると考えられることなどからすれば,Eと被告の間には専属下請ないしそれと等しい密接な関係があったと推認される。 ウ以上によれば,故Cは,被告の従業員であった期間(昭和37年から昭和43年)のみならず,D商会の従業員又はEの経営者であった期間(昭和43年から平成18年頃)においても,被告との間に支配従属関係があったと認められる。したがって,当該期間を通して,被告は故Cに対して安全配慮義務を負っていたというべきである。 故Cが被告以外の工事に従事していたことについて被告は,故Cは,被告の従業員であった時期からEの経営者となった時期を通じて,被告以外の会社が請け負った工事現場に応援に行っていたことを理由に,E(故C)が被告の専属下請ではないと主張する。本件において,被告は,被告の 業員であった時期からEの経営者となった時期を通じて,被告以外の会社が請け負った工事現場に応援に行っていたことを理由に,E(故C)が被告の専属下請ではないと主張する。本件において,被告は,被告の従業員が故Cと交流のあった元従業員等から聞き取った内容のみから故Cが行った応援工事現場を特定しており(乙A12,13,15,証人ソ,証人コ),また,当該聞き取りの際に元従業員が何らかの客観的記録等に基づいて供述したことは窺えず,むしろ年月の経過のために記憶が曖昧になっている可能性も否定できないのであるから,被告が主張するとおりの現場に故Cが応援に行っていたと認めることはできない。仮に,故Cが被告が請け負った工事現場以外に応援工事に行っていたとしても,前記の各事情からすれば,Eが被告の専属下請ないしそれと等しい密接な関係にあったことは否定できない。よって,前記被告の主張は認められない。 被告の予見可能性についてア安全配慮義務の前提として,使用者が認識すべき予見義務の内容は,生命,健康という被害法益の重大性にかんがみ,安全性に疑念を抱かせる程度の抽象的な危惧があれば足り,生命,健康に対する障害の性質,程度や発症頻度まで具体的に認識する必要はないというべきである。よって,石綿の発がん性や中皮腫発生の危険性についての具体的な認識まではなくとも,石綿粉じんに曝露することによって生命,健康に重大な損害が生じることについての認識があれば足りると解するのが相当である。イ前記によれば,海外においては,石綿による健康被害の可能性として,石綿肺の危険性については1930年頃,発がん性については1955年頃,中皮腫との関連性については1960年代までには確立されていたということができる。我が国においては,前記第2,2及び前記 て,石綿肺の危険性については1930年頃,発がん性については1955年頃,中皮腫との関連性については1960年代までには確立されていたということができる。我が国においては,前記第2,2及び前記のとおり,①昭和4年から工場や鉱業において発生する粉じんが有害であることを前提とした規制が行われ,昭和12年には一定規模以上の土木建築工事についても規制の対象となり,昭和22年には旧労働基準法及び旧労働安全衛生規則が制定されて土木建築業を含めた事業の労働者を粉じん等による危害から保護するよう定められた上,昭和35年にはじん肺法が制定されて石綿に関する一定の作業が粉じん作業として規制の対象とされる等といった法令の整備状況や,②国内におけるじん肺についての調査及びその報告に加え海外におけるじん肺に関する知見が紹介されることなどにより,戦前から石綿の危険性が指摘されていたこと,③戦後においては,戦前以上に石綿に関する調査研究が進められ,これによる医学的知見の確立がされるとともに,海外における研究や事例に関する報告等もされたことにより石綿が発がん性物質であること等も指摘され,昭和35年頃から石綿による肺癌について労災認定もなされるようになり,さらには昭和33年から昭和34年にかけて石綿被害に関する大きな新聞報道もされたこと,④前記オのとおり,土木建設作業従事者において,昭和37年頃にはじん肺有所見者が継続して高い率で現れていたこと,そして,⑤前記第3,1アないしエ及び後記3アないしキのとおり,電気工が従事する建築工事現場においても,石綿製品が使用されることが多く,同所における作業中には石綿を含む粉じんが飛散することによって従業員らがこれを吸入することを想定できたと考えられること等に照らせば,電気設備工事を担う会社として土木建設業に携わる被 されることが多く,同所における作業中には石綿を含む粉じんが飛散することによって従業員らがこれを吸入することを想定できたと考えられること等に照らせば,電気設備工事を担う会社として土木建設業に携わる被告においても,遅くとも故Cが被告の従業員となった昭和37年頃までには,石綿を含む粉じんが人の生命,身体に重大な障害を与える危険性があることを十分に認識でき,また認識すべきであったと認められる。 被告の負う安全配慮義務の内容及びその違反の有無ア前記で述べたとおり,被告は,遅くとも昭和37年頃には,石綿を含む粉じんの有する危険性を認識できたというべきであり,故Cが各建設現場で勤務する際に石綿を含む粉じんに曝露することで重大な健康被害を受けるおそれがあったことを予見できたというべきであるから,遅くとも同年以降には,作業員が石綿を含む粉じんに曝露することにより健康被害を受けることを防止するための措置を講ずべきであった。イ被告が負うべき具体的な安全配慮義務の内容としては,石綿等の粉じんによる健康被害の蓋然性,建設現場における作業内容,同年頃までの知見や法令等による規制などに照らせば,①粉じんが発生・飛散する場所において作業する作業員に対して防塵マスクを支給し,その着用を指示・指導するなどして,作業員に防塵マスクの着用を徹底させ,作業着等に付着した粉じんによる曝露を防止するため,作業後には着衣に付着した粉じんを落とし,皮膚に付着した粉じんを洗い流すように指導をし,②作業員に対して石綿を含む粉じんが生命及び健康に対して及ぼす危険性について教育をするとともに,定期的に健康診断を行う義務を負っていたとともに,③昭和47年頃からは,作業を行う建築工事現場において,石綿粉じんが発生する可能性が高い区域には立ち入らないよう作業員に周知し て教育をするとともに,定期的に健康診断を行う義務を負っていたとともに,③昭和47年頃からは,作業を行う建築工事現場において,石綿粉じんが発生する可能性が高い区域には立ち入らないよう作業員に周知し,また,作業に際して発生する石綿粉じんの量を減らすための対策を講じるなど,可能な限り作業員が石綿粉じんに接触する機会を減少するようにすべきであったというべきである。ウ そこで,被告が前記安全配慮義務を果たしていたか否かを検討するに,本件においては,被告が,昭和37年頃から,使用者として,前記の各対策及び措置を十分に講じ,故Cら被告従業員に対する安全配慮義務を尽くしていたことを認めるに足りる証拠はない。 むしろ,証人ソによれば,昭和30年代から昭和50年代頃における石綿等の粉じんに関する被告の対応としては,被告が請け負った工事現場における石綿含有建材の使用状況については全く把握していなかったこと,被告が自己の従業員や下請業者の従業員に対してマスクを用意することは原則として行っておらず,マスクを必要とするような特殊な工事現場の場合であっても,マスクは消耗品に該当し,消耗品の代金については契約金額の中に含まれるため,被告が特別に支給することはなかったこと,防護服については,平成に入って以降,必要な工事現場では着用を指示指導し始めたこと,工事作業に際して発生する石綿を含む粉じんの量を減らすための対策についても何ら行っていなかったこと,被告の行う電気工事における独自の石綿対策については協議することすらなかったことが認められる。さらに,同人が,工事現場における定例会では粉じん対策についての話はなかったと述べていることや工事現場においてアスベスト対策がとられていたことはなかったと述べていることからすれば,工事に従事している作業員に 人が,工事現場における定例会では粉じん対策についての話はなかったと述べていることや工事現場においてアスベスト対策がとられていたことはなかったと述べていることからすれば,工事に従事している作業員に対して石綿を含む粉じんについての教育を行ったり,着衣等に付着した石綿を含む粉じんからの曝露を予防するための対策を指示することもなかったと考えられる。 以上によれば,少なくとも昭和37年から平成に入るまでの間,被告は,前記イ①ないし③のいずれの義務についても怠っていたと認められる。 被告は,昭和37年から昭和59年頃の工事に関しては,建材が石綿を含有しているか否かについて全く情報がなかったのであるから,そのような被告に石綿の危険性を予見することはできなかったと主張するが,前記のとおり,当時の我が国における状況からすれば,被告は,遅くとも昭和37年頃までに,石綿等の粉じんの危険性を十分認識し得たといえることからすれば,石綿による健康被害の内容・程度についての具体的危険性について認識しておらず,石綿含有建材に限定した対策を取るべき必要性を把握していなかったとしても,前記安全配慮義務を免れることはできないというべきである。 3 被告の工事における故Cの石綿粉じん曝露の有無及び当該石綿粉じん曝露と悪性中皮腫罹患との因果関係(争点3) 中皮腫についてア中皮腫は,臓器の表面と体壁の内側を覆う漿膜の表面にある中皮細胞に由来する腫瘍である。中皮腫は非常にまれな病気であり,日本全体でも年間300人程度しか発生しないが,石綿作業者には高率に発生する。中皮腫のほとんどが石綿(アスベスト)曝露が原因であると報告されており,短期間の石綿暴露や微量曝露でも発生する。また,中皮腫の平均潜伏期間は肺がんよりも長く(初回曝露から平均で40年 発生する。中皮腫のほとんどが石綿(アスベスト)曝露が原因であると報告されており,短期間の石綿暴露や微量曝露でも発生する。また,中皮腫の平均潜伏期間は肺がんよりも長く(初回曝露から平均で40年後,最短で20年前後と言われている。),肺がんと異なり年数を経るほど発生頻度が高くなる。つまり,石綿の体内沈着量がさほど多くなくても,沈着した期間が長くなるほど中皮腫発生の危険性は増大するとされている。そのため,間接曝露,近隣曝露,家庭内曝露が原因の場合もあり,職業歴のみならず住居等についても調査が必要となる(甲B1,86,89,111)。イ独立行政法人労働者健康福祉機構アスベスト関連疾患研究センターの調査によれば,平成12年から平成20年1月までの症例で,中皮腫症例221例中職業別調査が可能であった症例は201例,その内職業上の石綿曝露によって発生したと思われる例が169例(84.1%)であった(甲B110)。当該調査による胸膜中皮腫の潜伏期間の平均値は42.6年である(曝露期間1から55年,初回曝露年齢15から50歳,潜伏期間14から64年の平均値)。ウ中皮腫の発生は喫煙とは無関係であるといわれている(甲B96)。 建設工事現場における石綿粉じんの発生量等ア社団法人日本産業衛生学会によれば,労働者が有害物に連日曝露する場合に,当該有害物の空気中濃度がこの数値以下であれば,ほとんどすべての労働者に悪影響が見られぬ濃度(許容濃度)として勧告した石綿粉じん濃度は,クリソタイル,アモナイト,トレモライト,アンソフィライト,アクチノライトについては,時間荷重平均:5㎛以上の石綿繊維で2繊維/㎤(これに対応する石綿粉じんの重量濃度は,0.12㎎/㎥)ceiling値:5㎛以上の石綿繊維で10繊維/㎤(いかなる時も1 ,アクチノライトについては,時間荷重平均:5㎛以上の石綿繊維で2繊維/㎤(これに対応する石綿粉じんの重量濃度は,0.12㎎/㎥)ceiling値:5㎛以上の石綿繊維で10繊維/㎤(いかなる時も15分間の平均濃度がこの値を超えてはならない),クロシドライトについては,0. 2繊維/㎤とされた(甲B100)。イ昭和51年5月22日基発408号通達添付の「石綿関係資料」によれば,建設工事における石綿吹付け作業中の石綿粉じん濃度が測定された結果,石綿含有量50%の建材を用いた乾式吹付(15か所平均)では,41.76㎎/㎥×50%,40.68㎎/㎥×50%,37.66㎎/㎥×50%であり,湿式吹付(15か所平均)では,17.28㎎/㎥×50%,14.26㎎/㎥×50%,12.11㎎/㎥×50%であったとされた(甲B99)。ウ石綿含有建材の現場加工における石綿粉じん濃度は,①石綿含有建材の種類と石綿含有量(石綿粉じん発散量の違い),②屋内作業と屋外作業(吸入性石綿粉じんの滞留状態の違い),③切断方法(石綿粉じん発散量の違い),④除塵装置の有無(除塵装置がない場合は,二次発塵にも影響を及ぼす),⑤屋内作業場の密閉の度合(吸入性石綿粉じんの滞留状態の違い)によって異なると考えられている。可搬式電動丸ノコ等を使用し,かつ屋内作業の場合には,石綿管理濃度(2本/㎤)を超える状況となり,特に屋内作業であって密閉状態にある場合には,管理濃度の数倍から数十倍になることがあるといわれている(甲B96)。エ石綿含有建築材料の施工では,手工具,可搬式電動工具を用いた加工作業が通例であり,材料の切断等にともなって石綿粉じんが発生する。石綿粉じんの発生量は可搬式電動丸ノコを用いて行う材料の切断作業が最も多く,閉め切られた部屋等通風の不十分な 搬式電動工具を用いた加工作業が通例であり,材料の切断等にともなって石綿粉じんが発生する。石綿粉じんの発生量は可搬式電動丸ノコを用いて行う材料の切断作業が最も多く,閉め切られた部屋等通風の不十分な場所で作業を行った場合,空気中の石綿粉じんの濃度は,石綿の管理濃度を超えることがある。弓ノコ,シングルカッター等の手工具による切断の場合には,電動工具に比べて発塵量は少ない(甲B96)。オ昭和63年の論文で報告された,久永直見講師と酒井潔研究生による調査では,屋内における石綿建材の電動丸鋸による切断が行われた場合,測定時間2.5分で,当該作業員の鼻先のみならず,そこから1.5m離れた場所においても,100f/㎖を超える粉じん濃度が測定された。また,ビス,釘打ち,ドリル穿孔などによる建材の貼り付けを主とした作業でも,間に電動丸鋸による切断を含む場合には,その影響で高い濃度が検出されることもあった。さらに,石綿含有建材の取り扱い後にはしばしば建材片や切り屑,粉じんが床に散乱したままで放置されていることから,同じ場所で別の作業をする者について曝露濃度を測定したところ,0.05から0.5f/㎖であり,ナイフ切断とやすりかけの作業でも石綿粉じん濃度は比較的高濃度であった(甲B98)。カ平成元年,久永らは,建築現場における石綿粉じんの曝露実態を把握するために,建築現場19か所で85名の建築作業従事者の鼻先の気中石綿粉じん濃度等を測定し,作業者の健康に対する影響を調査した。その結果,屋内での建材の丸鋸切断が主の作業では,作業者の鼻先においては6.3から787f/㎖,その4m以内では3.6から630f/㎖,建材のビス打ち付けが主な作業では,作業者の鼻先においては0.6から28.8f/㎖,その4m以内では0.1から19.2f/㎖,屋外の作業では0 ら787f/㎖,その4m以内では3.6から630f/㎖,建材のビス打ち付けが主な作業では,作業者の鼻先においては0.6から28.8f/㎖,その4m以内では0.1から19.2f/㎖,屋外の作業では0. 01から1.2f/㎖の粉じんが測定された(甲B97)。キ海老原勇医師が,昭和62年10月に東京都内の2個所(①木造二階建ての集合住宅,②木造二階建ての個人住宅)で行った,外壁材切断・張り付け作業に伴う建設作業者の石綿曝露実態調査では,作業者の作業中の平均曝露濃度は0.94から1.58f/㎖(平均1.19f/㎖)であった。発塵及び作業者の粉じん曝露は,外壁材の切断作業,釘打ち作業,集塵装置付きの電動丸鋸の集塵箱にたまった切り粉を捨てる作業などにおいて,著しいピークを示した。なお,前記②における作業では,集塵装置の付いた電動丸鋸が使用されていたが,作業者が集塵を行う方法を知らなかったために,電動丸鋸本体のみで使用しており,また,集塵装置が電動丸鋸本体に付いておらず,本体にホースなどを付けて集塵を行う方式のものも使用されていた(甲B105)。ク昭和35年の電動工具(電動グラインダー,電動鋸,電動ドリル等)の生産高は34万4244台,出荷高は33万6099台,在庫高は2万1676台であったところ,翌36年には生産高が59万7072台,出荷高が59万8577台,在庫高は2万0664台と増え,その後も生産高,出荷高とも増加を続け,昭和44年には生産高は222万6431台,出荷高は213万0341台,在庫高は31万1267台に,昭和48年には生産高は352万3924台,出荷高は354万4299台,在庫高は27万5542台となった(甲B102の1ないし3)。その後昭和59年には生産高及び出荷高とも1000万台を超え,平成8年まではこ は生産高は352万3924台,出荷高は354万4299台,在庫高は27万5542台となった(甲B102の1ないし3)。その後昭和59年には生産高及び出荷高とも1000万台を超え,平成8年まではこの水準を維持していた(甲B102の4ないし9)。平成9年以降は生産量・販売量とも減少し,平成13年にはいずれも650万台程度になった(甲102の9・10)。 電気工の石綿曝露状況等ア石綿に関する健康管理等専門委員会が作成した「石綿ばく露歴把握のための手引」(平成18年10月作成)においては,「高濃度曝露,中等度曝 露,事例報告の多い作業」として,①石綿や石綿含有岩綿等の吹きつけ・張りつけ等作業,②配管・断熱・保温・ボイラー・築炉関連作業,③建築現場の作業(建築現場における事務職含めた全職種),④解体作業(建築物,構造物,石綿含有製品等)が挙げられている。前記①及び③については,関連する職種として「電気工事士」が挙げられており,①については,石綿の吹き付けを行っている際,作業周辺は粉じんが舞っていて,作業者や周辺で作業をしていた者が高濃度曝露した可能性があるとされ,③については,石綿の吹き付け時以外にも,現場において,石綿耐火被覆板,外側を石綿管で覆った塩ビ管,ビニールアスベストタイル,石綿セメント板等の石綿含有建材を切断,加工する際に石綿粉じんが発生すること,内装仕上げ工の作業においては,壁周り,照明周りに岩綿吸板(石綿入り)を張りつける際にその形に合わせてボードを切り抜く作業が多いこと,石綿ケイカル板を開削して設備器具を取り付ける際には,断面の繊維がささくれだっており,このような断面から繊維が飛散し作業者が曝露した可能性があること,建築現場においてはほこりが多いため,5S運動(整理・整頓・清掃・清潔・躾)が展開され 付ける際には,断面の繊維がささくれだっており,このような断面から繊維が飛散し作業者が曝露した可能性があること,建築現場においてはほこりが多いため,5S運動(整理・整頓・清掃・清潔・躾)が展開されており,作業中のみならず作業後の清掃時にも曝露する可能性があることが指摘されている(甲B77,101)。また,日本家屋(街場作業)の建設現場では,電気工,水道工,ダクト工。衛生設備工は天井内作業があり,天井に石綿吹付けがある場合には,壁をこすって石綿に曝露する可能性があるとされている(甲B77)。なお,同手引きにおいて石綿曝露の可能性のある産業として指摘されたものには,土木・建設業(建築工事業,木造建築工事業,鉄骨・鉄筋工事業,建築リフォーム工事業)及び電気工事関係(電気工事業,電気通信・信号装置工事業)が含まれている(甲B77)。 イ厚生労働省による「石綿ばく露作業による労災認定等事業場一覧表」に よれば,平成16年度から平成22年度までの肺がん及び中皮腫の労災保険法支給決定件数における建設業が全体に占める割合は40%を超えており,石綿救済法支給決定件数において建設業が占める割合についても20%程度かそれ以上となっている。また,前記一覧表には,事業所名等から建設現場において電気工事を担当したと考えられる労働者が毎年一定数存在していることから,電気工が建設現場において石綿粉じんに暴露する可能性があることが推認される(甲B78の1・2,87,94の1ないし4)。なお,労災等が認定された事例には,事業場内での間接曝露によるものも多く存在する(甲B78の2,87)。ウ独立行政法人環境再生保全機構による,平成18年度から平成20年度の被認定者(療養者)を対象とした被認定者産業分類分布(労災等被認定者を除く)によれば,建 多く存在する(甲B78の2,87)。ウ独立行政法人環境再生保全機構による,平成18年度から平成20年度の被認定者(療養者)を対象とした被認定者産業分類分布(労災等被認定者を除く)によれば,建設業の石綿暴露被認定者数は製造業に次いで2番目に多く,これらの被認定者が石綿に曝露した可能性の高い昭和40年の産業分類別就労人口から考えれば,その割合も高い(甲89)。エ海老原勇医師が,東京,神奈川,千葉,埼玉の大工や左官屋など建設職人の加盟する組合が①昭和58年から昭和62年まで(建設作業者5712名,事務系作業者1979名),②平成9年(建設作業者5688名。ただし,東京,神奈川の組合のみ。),③平成17年から平成18年(建設作用者6268名。ただし,東京の組合のみ。)に,それぞれ実施した一般検診の胸部レントゲン写真及び,事務系作業員の一般検診で撮影した胸部レントゲン写真を,職業,職種,年齢など全てブラインドとして読影し,その後に年齢別,職種別などに検討を加えた結果,曝露から発生まで15年以上の期間が必要とされる胸膜肥厚斑については,日本への石綿輸入量がピークを迎える以前の曝露を反映した①と,その10年経過後の曝露状況を反映した②とを比較すると,石綿曝露機会が少ないと考えられる設計・ 事務では①,②とも胸膜肥厚斑が認められず,瓦工・軽天工では①及び②とも5%と差がなかったのに対し,電気工を含む他の職種ではいずれも有所見者率の増加が認められた。さらに,③においては,板金工,タイル工,電気工,内装工等の有所見者率は5%を超え,電気工については②から約4倍,①と比較すると約7.5倍に増加したとされている(甲B105)。また,前記検討の結果,建設作業者のうち電気工を含む多くの職種から,石綿胸膜炎,びまん性胸膜肥厚(その成因として いては②から約4倍,①と比較すると約7.5倍に増加したとされている(甲B105)。また,前記検討の結果,建設作業者のうち電気工を含む多くの職種から,石綿胸膜炎,びまん性胸膜肥厚(その成因としては石綿胸膜炎が最も重要であると考えられている。),石綿肺,石綿関連肺癌(石綿肺に合併する肺癌は石綿曝露作業の期間を問わず石綿関連肺癌として判断され,石綿肺が認められない場合には,石綿小体が5000本/乾燥肺1g以上ないし石綿繊維200万本/乾燥肺1g以上,あるいは,気管支肺胞洗浄液1㎖中に石綿小体5本以上が認められれば,石綿曝露作業の期間を問わず石綿関連肺癌と判断される。なお,石綿関連肺癌に関する業務上の認定基準は,臨床的のみならず剖検を含めて胸膜肥厚斑を有する肺癌であることである。),悪性中皮腫の罹患者が認められた(甲B105)。当該調査・検討においては,胸膜肥厚斑と異なり,比較的多量の石綿曝露で発症すると考えられている石綿肺にも,建設作業の殆どの職種に極めて高率に認められた。また,前記肺癌罹患者には胸膜肥厚斑が高率に存在することが剖検によって判明し,その肺内の石綿量は多いとされた(甲B105)。オ海老原勇医師が1996年頃の数年間に診断した悪性中皮腫に罹患した建設労働者9名のうち,3名が電気工,2名が大工,溶接工,石工,ブロック工,塗装工が各1名であったとされている(甲B86)。カ川村光夫医師は,2012(平成24)年に発表した「建設労働者に対するアスベスト胸部CT検診4年間の成績」という論文において,2005年4月から2009年3月までの間建設業に従事する労働者を対象に胸 部正面写真で異常を認めた例について胸部CT検査を行い,胸部CTを行った340例(のべ436名)のうち,胸膜肥厚斑(石綿を吸うことによって胸郭 3月までの間建設業に従事する労働者を対象に胸 部正面写真で異常を認めた例について胸部CT検査を行い,胸部CTを行った340例(のべ436名)のうち,胸膜肥厚斑(石綿を吸うことによって胸郭の内面を覆っている胸膜に部分的に線維が増加して厚くなってくるものであり,石綿以外の原因では起こらないとされている(甲B86)。)の所見を認めたのは143例(42.1%。年齢は45から77歳。)であり,職業別では,大工,電気工,塗装工の順であったとした。そして,当該検診の結果,建設労働者において胸膜肥厚斑の有所見者は高率であり,胸部単準写真と比べて胸部CT検診はその拾い上げに有効であったと結論付けた(甲B95)。キ アメリカにおいて石綿肺の死亡数が最も多い産業は建築業であり,職種別では,多い順に,配管蒸気工,監督者,電気工,大工,断熱工,建築以外の作業員,製造業監督,溶接溶断工,清掃工,トラック運転手である。電気工は,石綿肺のPMR(全死亡にしめる特定死因の死亡割合比)を職業別に見た場合には上から13番目である。また,中皮腫死亡者数は,産業別では建築業が最も多く,職種別では,多い順に,管理者,主婦,配管保温工,清掃工,監督者,大工,小学校教員,農業,電気工,トラック運転手である。中皮腫のPMRについて,産業別では建築は上から5番目,職種別では,多い方から配管保温工,機械技術者,電気工となる。 ドイツでは,石綿による中皮腫の労災認定件数は,産業別では,多い方から鋼鉄・金属,科学,精密機械・電気,建設となっており,職業別では,多い方から機械修理,科学動労者,板金工・据付工,電気工,建築工事現場監督者である。なお,ドイツにおいては,電気工,電気(設備)取付け職人(電信電話手作業者)が,石綿曝露の職業・仕事の一つとされている(甲B77) 理,科学動労者,板金工・据付工,電気工,建築工事現場監督者である。なお,ドイツにおいては,電気工,電気(設備)取付け職人(電信電話手作業者)が,石綿曝露の職業・仕事の一つとされている(甲B77)。 電気工の建設現場における石綿粉じん曝露の可能性 証拠(甲A55,B107,108の1ないし3,109の1ないし3,119,120,証人F,証人テ,証人ソ,証人コ)によれば,以下の事実が認められる。ア建設工事の流れ現場建設工事は,大別すると,仮設工事,基礎工事,躯体工事,仕上工事,設備工事,外構工事の6段階に分けられる。まず仮設工事から始まり,次に基礎工事が行われる。その後,躯体工事(鉄骨造では建方,鉄筋コンクリート造では建込といわれる。鉄骨建方工事,床工事,耐火被覆工事に分けられる。),仕上工事(外壁工事,建具工事,ガラス工事,防水工事,金属工事,石工事,タイル工事,内装工事,吹付工事,塗装工事,左官工事等)が行われる。設備工事(電気設備工事,給排水衛生設備工事,空調設備工事,昇降機設備工事等)は,建物の構造種別や用途にかかわらず,仕上工事・竣工検査に至るまで,建築工事の全行程に関わりがある。イ建設現場における会議等 建築現場においては,工事所長,係員,その日に現場で作業をする職人らによって毎朝朝礼が行われることがあり,その際には,当日に予定されている主な作業内容や安全上特に注意すべき事項を確認したり,注意事項が伝えられたりした。 そのほかに,毎月1回,設計士や時には施主も出席する定例会議が行われることもある。工事所長と係員,電気や給排水,空調設備等の第1次下請業者の工事担当者又は職長などが参加し,施工済みの工事の報告や今後の工事予定の確認,工事の技術的な事項の確認,工程表の修正,安全衛 ることもある。工事所長と係員,電気や給排水,空調設備等の第1次下請業者の工事担当者又は職長などが参加し,施工済みの工事の報告や今後の工事予定の確認,工事の技術的な事項の確認,工程表の修正,安全衛生に関する注意事項の指示,確認等が行われた。また,使用する具体的な建材などの選定をすることもあった。ウ建築現場の密閉化 建築現場では,足場を組んだ後(すなわち,仮設工事時)に建物全体を覆う形でシートを張り巡らせる,シート養生が行われる。養生シートは,粉じんの飛散防止目的もあるため,仕上工事終了後になされる足場の解体と同時に行う「養生剥がし」作業によって取り外されるまでは張られたままであり,建築現場において発生する粉じんは外部に排出されにくい状態となる。また,外壁材の建込や屋根下地工事が行われた後は,建築現場はさらに密閉化が進むことになり,建築現場で発生した粉じんはますます外に排出されにくくなる。エ同時並行作業 建築現場では,多くの作業員が同時に作業していることが多々ある。同じ職種に限らず,様々な職種の建設作業従事者が同じ日に同時並行で作業をすることは多い。また,必ずしも工事工程表で予定されていたとおりに各工事が進行するとは限らないため,工期の遅れが発生したりすることによって,工事工程表では重ならないはずの作業が重なり,同じ日に同時並行で作業がなされることも珍しくはない。 電気工は,配管工や保温工と同時に作業を行うことがよくある。また,電気工が作業をしている同じフロアで吹き付け作業をしていることもある。電気工が配線・配管作業を行っているときに,内装の大工が壁や天井を張っていることも多い。オ清掃建設作業によって発生し,床に溜まった粉じんについては,必要に応じて箒等を用いて掃除されていた。また, が配線・配管作業を行っているときに,内装の大工が壁や天井を張っていることも多い。オ清掃建設作業によって発生し,床に溜まった粉じんについては,必要に応じて箒等を用いて掃除されていた。また,週に1回又は月に何度かはその日に作業している作業員全員で一斉清掃を行っていた。カ電気工が行う作業 電気設備は建物の設備として必要不可欠なだけではなく,建設工事の屋内現場や現場事務所の照明,工事用機械や電動工具の動力などに電力を供給するなど建設工事自体を勧めるに当たっても必要不可欠であるため,鉄筋コンクリート造か鉄骨造かにかかわらず,電気工は工事の最初期から現場に入り,工事完成時まで現場に関わり続ける。 電気工は,躯体工事のときには躯体に打ち込む配管,配線を打ち込む作業を行うために工事現場に来る程度であるが,仕上げ段階においては常時現場の中に入って作業を行う。 電気工の仕事は,仮設電気工事から始まる。これが終わると,建物の基礎工事が始まる。基礎工事が始まって整地が終了するまでの段階では,電気工に仕事はない。 躯体工事においては,電気工はコンクリート打設作業等の進行に合わせて適宜配線・配管作業,ボックス取付作業等を行う。 梁の鉄骨やデッキプレートへの吹き付け作業が終わると,吹き付け材が乾くのを待って,電気工が天井内(デッキプレートと本天井となるボードの間であるが,ボードはまだ張られていない。)の配線・配管作業を行う。吹き付け作業前に,配線・配管作業を行うと,吹き付け材で配線した電線ケーブルや配管したパイプが覆われてしまい,改修作業などの際にどこにケーブルやパイプがあるか分からなくなるため,吹き付け前に配線・配管作業を行うことはない。 天井ボードが張られた後,電気工は照明器具の取付作業を行う。契約内 てしまい,改修作業などの際にどこにケーブルやパイプがあるか分からなくなるため,吹き付け前に配線・配管作業を行うことはない。 天井ボードが張られた後,電気工は照明器具の取付作業を行う。契約内容によっては,天井の照明器具を付けるために周囲のボードを切り抜くことも電気工の仕事である。また,ボード工が照明器具を取り付けるための開口作業をする契約になっていた場合であっても,実際に照明器具を取り付ける際には,電気工が当該照明器具の大きさに合うように穴の大きさを微調整する必要がある。 オフィスビルでは,照明器具はほとんどが埋め込み型のため,照明器具を吊りボルトでつるす必要がある。そのため照明器具用の吊りボルトをはめるインサートを取り付ける作業を行う。マンションでは,本天井に設置されたシーリングという取り付け器具に照明器具をはめ込む方式(直付け型)なので,吊りボルトでつる必要はない。デッキプレートにインサートを取り付けて,このインサートに吊りボルトをねじ込む作業に際しては,先に行われる吹き付け作業によりインサートが隠れてしまうため,吹付材を剥がしてインサートを露出させる必要がある。 ビルが立ち上がっていくと,下の階から間仕切り工事が行われるため,電気工は間仕切り部分(壁)に設置するコンセント,スイッチの位置にボックスを取り付け,天井から電線ケーブルを配線し,ボックスに接続する作業を行う。 一通り配管作業が終わると,配管したパイプへの通線作業(パイプの中に電線ケーブルを通す作業)を行う。通線作業が終わると,幹線工事(躯体の天井(床)に設けられたスリーブ(貫通穴)を通してEPS内に電源ケーブル(幹線)の配線を地下から最上階まで行い,各階に設けた配電盤に接続する作業)を行う。電気工は,電源ケーブルを通した後,貫通 体の天井(床)に設けられたスリーブ(貫通穴)を通してEPS内に電源ケーブル(幹線)の配線を地下から最上階まで行い,各階に設けた配電盤に接続する作業)を行う。電気工は,電源ケーブルを通した後,貫通部分(スリーブ部分)に耐火被覆作業を行う。 各階の作業が進んでいくと,電気工は,各部屋や共用部分に照明器具を取り付ける。埋込み型の場合は,ボードが張られている本天井に,照明器具の大きさにあった穴を開け,そこに照明器具を埋め込み,吊りボルトで固定する。壁や柱に設置されたボックスにコンセントやスイッチの取り付けも行う。壁や柱にはられたボードにボックスの大きさに合わせて穴を開け,そこにコンセントやスイッチの取り付けを行う。 照明器具の設置が終了したら,測定器で各階にある配電盤の絶縁測定を行い,問題がなければ電力会社から許可がおり,受電することになる。キ電気工の作業による石綿粉じんの発生と曝露 天井の配管作業や照明器具(埋込み型)の取り付けに際しては,デッキプレートに取り付けられたインサートに吊りボルトを取り付ける必要がある。デッキプレートに取り付けられたインサートは耐火被覆工事の際に吹き付けられた吹き付け材に覆われているため,電気工は,脚立の上に乗って,上を向いて,目安が付いているところの吹き付け材を手やドライバーでこそげ落としながらインサートを露出させる。このとき,吹き付け材は乾燥しているので,こすることによって粉じんが発生する。 配線作業時にも,吹き付け材の付着したH鋼に沿ってはわせながら固定するため,固定に必要な部分の吹き付け材を剥がす作業が必要になる。 電線ケーブルやパイプが床や天井等を貫通している部分(スリーブ部分)については,火災が発生した場合に火が貫通部分から他の階や他の階に通り抜けないようにする必 き付け材を剥がす作業が必要になる。 電線ケーブルやパイプが床や天井等を貫通している部分(スリーブ部分)については,火災が発生した場合に火が貫通部分から他の階や他の階に通り抜けないようにする必要があるため,貫通部分に耐火被覆作業を行う。耐火被覆板と充鎮材が使用されたが,耐火被覆板の切断の際には粉じんが発生し,充鎮材(綿条のもの)を掴むと粉じんが立ち上がっていた。 照明器具の取り付けにおいては,埋込型の場合には天井に穴を開けてインサート取り付けた吊りボルトに固定して設置する。直付け型の場合には,軽天下地と本天井のボードに穴を開け,そこに照明器具を埋め込み,インサートに取り付けた吊りボルトで固定して取り付ける。このとき,天井の開口を「引き回し」と呼ばれるのこぎり等を使用して行うが,その際に粉じんが発生した。ボックス出し作業においても,壁等を切断する必要があるため,その際に粉じんが発生した。 床に落ちた粉じんも,多くの作業員が作業をして動き回るため,再び 舞い上がって浮遊する。ア訴訟上の因果関係の立証とは,一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく,経験則に照らして全証拠を総合検討し,特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり,その判定は通常人が疑義を差し挟まない程度に真実性の確信を持ち得る程度のもので足りると解される(最高裁判所昭和50年10月24日第二小法廷判決・民集29巻9号1417頁)。イ中皮腫発生のほとんどの原因が石綿曝露であり,短期間・低濃度の曝露でも中皮腫を惹起するものとされていることからすれば,石綿に曝露しその後に中皮腫に罹患した場合には,当該石綿曝露が中皮腫罹患の原因であることと矛盾する特段の事情がない限り,石綿曝露と中皮腫罹患との間の因果 腫を惹起するものとされていることからすれば,石綿に曝露しその後に中皮腫に罹患した場合には,当該石綿曝露が中皮腫罹患の原因であることと矛盾する特段の事情がない限り,石綿曝露と中皮腫罹患との間の因果関係は認められるというべきである。ウ 前記アないしキによれば,石綿曝露を原因とする肺癌ないし中皮腫の罹患者の中で,電気工の占める確率は比較的高い割合であったといえる。 そして,前記ア,同ウ,エ,同,同カないし,同キないしによれば,石綿含有建材が天井や床等に使用されている建設工事現場においては,電気工は自らの作業によって発生した石綿粉じんに曝露する状況にあったほか,自らの作業によって石綿粉じんを発生させなかった場合であっても,同一の工事現場において他の職種が石綿粉じんを発生させることにより,石綿粉じんに曝露することもあったといえる。また,工事現場内において行われる清掃(前記オ)によっても,床等に堆積した石綿粉じんが再飛散し,これによって石綿粉じんに曝露する可能性がある。 以上のように,電気工は,石綿含有建材が使用された建築工事現場において作業に従事することにより石綿粉じんに曝露する可能性が高いと いうべきところ,前記1のとおり,故Cが従事した被告の工事現場においては壁や天井等に多くの石綿含有建材が使用されていたことからすれば,故Cはこれらの工事現場において電気設備工事作業に従事することにより石綿粉じんに曝露したと認められる。また,故Cが昭和37年以降継続して被告の工事に従事してきたと考えられることからすれば,故Cが従事した被告の工事は前記1の9つの工事以外にも相当数あったことが推認され,かつ,昭和40年から平成2年にかけては特に石綿含有建材の使用が多かったと考えられることから,故Cは前記1の9つ ば,故Cが従事した被告の工事は前記1の9つの工事以外にも相当数あったことが推認され,かつ,昭和40年から平成2年にかけては特に石綿含有建材の使用が多かったと考えられることから,故Cは前記1の9つの工事以外の被告の工事に従事した際にも石綿粉じんに曝露していたと考えられる。エ前記のとおり,中皮腫は,そのほとんどが石綿粉じんに曝露したことによって発生するものであり,短期間・少量の石綿粉じん曝露によっても発生し,平均潜伏期間は初回曝露から40年程度(最短で20年程度)を要するとされていることからすれば,故Cは昭和40年頃から昭和60年頃にかけて石綿粉じんに曝露したことにより中皮腫に罹患し,これによって死亡したといえる。よって,前記2のとおり,被告が,少なくとも昭和37年から昭和63年頃までの間,故Cに対して負っていた安全配慮義務に違反しており,同期間内に従事した被告の工事によって故Cが石綿粉じんに曝露したことが認められる以上,故Cの中皮腫罹患と被告の安全配慮義務違反には相当因果関係が認められる。したがって,被告は,故Cの中皮腫発生及びこれによる死亡について,安全配慮義務違反に基づく損害賠償責任を負う。 被告は,電気工の作業内容は多種多様であり,被告が受注していた大規模・中規模の工事においては,電気工の作業によって石綿粉じんが発生し,これに曝露することはないと主張し,証人ソ及び証人コはこれに沿う証言をする。 しかし,上記証言によっても,被告の受注した工事における電気工事が,前記認定の一般的な電気工事の工程・方法と異なっているとまでは認められず,被告の主張する事実をもって前記認定を左右するものではない。 被告は,故Cが他社の工事現場において石綿粉じんを吸引した可能性があること,及び,故Cは,炭鉱の町として っているとまでは認められず,被告の主張する事実をもって前記認定を左右するものではない。 被告は,故Cが他社の工事現場において石綿粉じんを吸引した可能性があること,及び,故Cは,炭鉱の町として有名な北海道夕張市において出生し,高校中退まで同地において生活していた。隣接市である富良野市及び日高町には石綿鉱山があり,環境曝露の可能性も高いことを指摘し,これらが故Cの中皮腫発生の原因であると主張する。この点,後者の指摘については,故Cが北海夕張市において生活していた時期に北海富良野市にあるクリソタイル野沢鉱山が操業していたとしても(前記1ア),夕張市と富良野市の位置関係及び距離を考慮すれば,故Cが夕張市において生活していたというのみでは,富良野市のクリソタイル野沢鉱山で発生した石綿粉じんによって故Cが石綿粉じんに曝露したとは認められない。また,被告の主張するように,故Cが被告以外の企業等が行う電気設備工事において粉じんを吸入し,それが故Cの悪性中皮腫発症に何らかの影響を与えていることは否定し難いところであるが,故Cが被告の下で電気設備工として働いていた時期及び年数,行っていた工事内容,担当した工事現場等の諸事情に鑑みれば,被告の下における作業による粉じんの吸入と悪性中皮腫の発症との間に因果関係があることは明らかである。よって,故Cの悪性中皮腫罹患及びこれを原因とする死亡による損害について,故Cが従事していたと考えられる工事を主導していた企業と被告との共同不法行為が成立する可能性はあるが,それは当該他社と被告との内部的負担割合の問題を生じさせるにすぎず,故Cに対する関係においては各人が全ての損害を賠償する責任を負う。 4 損害(争点5) 入院雑費 15万7500円証拠(甲C5の1・2)によれば,故Cは を生じさせるにすぎず,故Cに対する関係においては各人が全ての損害を賠償する責任を負う。 4 損害(争点5) 入院雑費 15万7500円証拠(甲C5の1・2)によれば,故Cは,中皮腫等の治療のために,カ病院において,平成16年7月21日から同年8月14日までの25日間,平成18年7月31日から同年10月18日までの80日間の合計105日間入院したことが認められるから,入院雑費として15万7500円を要したことが認められる。 通院交通費 1万3330円ア電車,バス代 3180円証拠(甲C5の2)及び弁論の全趣旨によれば,故Cは,中皮腫等の治療のため,公共交通機関により,平成16年8月26日,同年9月30日,同年10月28日の3回通院し,合計3180円(片道:バス代210円,電車代320円)を要したことが認められる。イタクシー代 1万0150円証拠(甲C6の1・2)及び弁論の全趣旨によれば,故Cは,中皮腫等の治療のため,平成18年7月28日,症状悪化によりもはや公共交通機関による通院が困難であったためタクシーで通院し(片道3540円,3610円),同年7月31日の入院時もタクシーを使用した(領収書は存在しないが,前記タクシー代から考えるに,同年7月31日のタクシー代は少なくとも片道3000円は要したと認められる。)ことにより,合計1万0150円を要したことが認められる。 付添看護費ア入院付添看護費証拠(甲C5の1・2,9の1・2)によれば,故Cは,中皮腫等の治療のため合計105日入院したことが認められるものの,入院時,故Cは日常生活動作に支障はなく,その後の病状,診療経過に照らして,病院による看護に加えて付添看護が必要であったとは認められない。イ通院・自宅療養 たことが認められるものの,入院時,故Cは日常生活動作に支障はなく,その後の病状,診療経過に照らして,病院による看護に加えて付添看護が必要であったとは認められない。イ通院・自宅療養付添看護費証拠(甲A60,原告A)及び弁論の全趣旨によれば,自宅療養期間において,故Cは自らタクシーに乗って通院しており,また,入院するまでは,無理をしてはいても仕事(指示)ができる状態にあったと認められることから,自宅療養についての付添看護費についても,損害として認められない。 文書料 2万3100円証拠(甲C7の1ないし4)によれば,故Cは中皮腫罹患に関する診断書等の文書4通の費用として,合計2万3100円を要したことが認められる。 葬儀関係費 150万円証拠(甲C8の1ないし14)及び弁論の全趣旨によれば,故Cの死亡に伴う葬儀関係費(仏壇購入費,墓地使用料・管理料,墓地外柵代金,石碑代金を含む)として150万円を下らない費用が発生したことが認められるところ,本件安全配慮義務違反と相当因果関係のある葬儀関係費に係る損害として150万円を認める。 休業損害原告らは,故Cにつき,平成16年7月以降,悪性中皮腫の発症により一般的には就労不能の健康状態であり,本来であれば安静にすべきところ,再入院直前である平成18年7月まで被告の現場で稼働し,就労を継続することでかろうじて生きる気力を維持していたのであり,このような経緯に鑑みれば,たとえ収入があったからといって,それは故Cの想像を絶する努力と家族による看護によって得られたものであるから,損害から控除すべきではないとして,故Cには悪性中皮腫の発症以降死亡までの間,労働能力喪失率100%の休業損害が発生したというべきであると主張する。しかし,故Cは平成17年度の役 ものであるから,損害から控除すべきではないとして,故Cには悪性中皮腫の発症以降死亡までの間,労働能力喪失率100%の休業損害が発生したというべきであると主張する。しかし,故Cは平成17年度の役員報酬を受け取っており(甲C10),平成18年4月から7月までも同様に役員報酬を受け取っていたと推認されるところ(弁論の全趣旨),休業したことによる損害があったとは認められない。 会社の減収については,故Cが中皮腫に罹患したことによるものであると認めるに足りる証拠は見当たらない。よって,故Cに休業損害が発生していたとは認められない。 逸失利益 2392万1280円証拠(甲C10)及び弁論の全趣旨によれば,故Cは中皮腫に罹患していなければ,以下の計算式のとおり,死亡による逸失利益として2392万1280円の損害を被ったと認められる。基礎収入(平成17年の年収である480万円)×8.306(故Cの死亡時の年齢が59歳であることから,就労可能年数11年間に相当するライプニッツ係数)×(1-0.4(生活費控除))=2392万1280円 慰謝料ア入通院慰謝料 200万円証拠(甲C5の1・2,9の1・2)及び弁論の全趣旨によれば,故Cは,中皮腫等のため,105日(約3か月)入院し,715日(約24か月)通院したことが認められることから,通院慰謝料の額は200万円とするのが相当である。イ死亡慰謝料 2500万円故Cが死亡するに至った経緯のほか,被告の安全配慮義務違反の内容など,本件における諸般の事情を考慮すると,故Cの死亡慰謝料は2500万円とするのが相当である。 故Cの損害額のまとめしたがって,故Cの被った損害額は,合計5261万5210円と認められる。 原告らによる相続前記第2,2 Cの死亡慰謝料は2500万円とするのが相当である。 故Cの損害額のまとめしたがって,故Cの被った損害額は,合計5261万5210円と認められる。 原告らによる相続前記第2,2アによれば,前記の損害は,原告A及び原告Bがそれぞれその2分の1に相当する2630万7605円を相続により承継した。 損益相殺 ア証拠(甲C1,3の1ないし3,13の1ないし3,14の1ないし20)によれば,労災保険による葬祭料一時金として69万2280円が支給されたほか,原告Aは,故Cの死亡により,平成25年9月までに遺族補償年金合計1200万5340円を受け取っていることが認められる。イしたがって,上記葬祭料一時金につき,原告らがそれぞれ承継した葬儀関係費に係る損害額から34万6140円が控除され,遺族補償年金につき,原告Aが承継した逸失利益に係る損害額1196万0640円から控除されることとなる。よって,原告らが,被告に対して請求できる損害賠償額は,原告Aにつき1400万0825円,原告Bにつき2596万1465円である。 弁護士費用弁護士費用に係る損害として,原告Aについて140万円,原告Bについて260万円と認めるのが相当である。 5 不法行為の成否について(争点4)前記認定,説示したところによれば,被告による安全配慮義務違反行為(違法行為)があること,当該義務違反行為が少なくとも被告の過失に基づくこと,当該違法行為と故Cの死亡との間に相当因果関係があること,故Cの死亡により前記4のとおりの損害が発生していることが認められることから,被告には故Cに対する不法行為が成立し,前記4の損害を賠償する責任を負う。そして,被告の当該不法行為に基づく損害賠償債務について,原告らは不法 4のとおりの損害が発生していることが認められることから,被告には故Cに対する不法行為が成立し,前記4の損害を賠償する責任を負う。そして,被告の当該不法行為に基づく損害賠償債務について,原告らは不法行為のときの後である故Cの死亡した日(平成18年10月18日)から支払済みまでの遅延損害金を請求することができる。第4 結論以上によれば,原告らの請求は,被告に対し,原告Aにつき1540万0825円及び内1400万0825円に対する平成18年10月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を,原告Bにつき2856万1465円及び内2596万1465円に対する平成18年10月18日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるから,その限度でこれを認容し,その余は理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法64条本文,同法61条を,仮執行の宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。大阪地方裁判所第16民事部裁判長裁判官森木田邦裕裁判官長丈博裁判官栗阪美穂
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