平成27年8月5日判決言渡平成26年(行ケ)第10276号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成27年7月27日判決 原告エスライト技研株式会社 訴訟代理人弁理士伊藤茂 同海老裕介 被告Y 被告株式会社新廣 被告ら訴訟代理人弁理士須田篤 同楠修二 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求特許庁が無効2014-800044号事件について平成26年11月14日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等 (1) 被告らは,平成24年3月22日,発明の名称を「軌道パッドおよびレール締結装置」とする発明について特許出願(特願2012-65417号。以下「本件出願」という。)をし,平成25年9月20日,特許第5367111号(請求項の数3。以下「本件特許」という。)として特許権の設定登録を受けた。 (2) 原告は,平成26年3月26日,本件特許に対して無効審判請求をした。特許庁は,上記請求につき無効2014-800044号事件として審理を行い,同年11月14日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,同月25日,原告に送達された。 記請求につき無効2014-800044号事件として審理を行い,同年11月14日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,同月25日,原告に送達された。 (3) 原告は,平成26年12月24日,本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。 2 特許請求の範囲の記載本件特許の特許請求の範囲の請求項1ないし3の記載は,以下のとおりである(甲1。以下,各請求項に記載された発明をそれぞれ請求項の番号に応じて「本件発明1」などという。)。 「【請求項1】タイプレートの上に配置されて既に固化している既設の可変パッドと,レールとの間に設けられる軌道パッドであって,前記可変パッドはレール伸長方向の両端に上方に突出する凸リブを有しており,下面に,前記可変パッドの上に配置されたとき各凸リブを挿入可能な凹溝を有し,前記レールの伸長方向に飛び出すのを防止するために,長さ方向の両端の中央部に,長さ方向に突出して先端が下方に折れ曲がった突出部を有していることを特徴とする軌道パッド。 【請求項2】- 3 -各凹溝は,各凸リブを収容し,前記下面が前記可変パッドの各凸リブの間の上面に接して載る深さに構成されていることを特徴とする請求項1記載の軌道パッド。 【請求項3】タイプレートの上に配置され,内部に樹脂を注入して形成された可変パッドと,前記可変パッドとレールとの間に設けられた請求項1または2に記載の軌道パッドとを有し,レール伸長方向の両端に上方に突出する凸リブを有して既に固化している既設の前記可変パッドの上に,各凹溝に各凸リブを挿入して前記軌道パッドを配置して成ることを特徴とするレール締結装置。」 3 本件審決の理由(1) 本件審 る凸リブを有して既に固化している既設の前記可変パッドの上に,各凹溝に各凸リブを挿入して前記軌道パッドを配置して成ることを特徴とするレール締結装置。」 3 本件審決の理由(1) 本件審決の理由は,別紙審決書写しのとおりであるが,その要旨は,①本件発明1は,本件出願前に頒布された刊行物である特開2011-174299号公報(甲4)に記載された発明並びに特開昭57-201402号公報(甲2)及び特開平8-41803号公報(甲3)に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない,②本件発明2及び3は,本件発明1の発明特定事項を全て含み,更に他の発明特定事項を付加したものに相当する発明であるから,本件発明1の場合と同様の理由により,当業者が容易に発明することができたものではないとして,本件特許には,特許法29条2項違反の無効理由(同法123条1項2号)は認められないというものである。 (2) 本件審決が認定した甲4に記載された発明(以下「甲4発明」という。),本件発明1と甲4発明との一致点及び相違点は,以下のとおりである。 ア甲4発明- 4 -タイプレート11の上に配置され,可変パッド12と,レール1との間に設けられる上面に鋼板14が貼り付けられた軌道パッド13であって,前記鋼板14は軌道パッド13が上記レール1の伸長方向にずれるのを防止するために,長さ方向の両端の中央部に,長さ方向に突出して先端が下方に折れ曲がった湾曲部14aを有し,軌道パッド13の端面と前記湾曲部14aの間には空所を有した軌道パッド13。 イ本件発明1と甲4発明の一致点「タイプレートの上に配置された可変パッドと,レールとの間に設けられる軌道パッドであって,下面に,凹溝を有し,前記レールの伸長方向に パッド13。 イ本件発明1と甲4発明の一致点「タイプレートの上に配置された可変パッドと,レールとの間に設けられる軌道パッドであって,下面に,凹溝を有し,前記レールの伸長方向に飛び出すのを防止するために,長さ方向の両端の中央部に,長さ方向に突出して先端が下方に折れ曲がった突出部を有している軌道パッド。」である点。 ウ本件発明1と甲4発明の相違点(ア) 相違点1本件発明1では,軌道パッドは既に固化している既設の可変パッドと,レールとの間に設けられ,前記可変パッドはレール伸長方向の両端に上方に突出する凸リブを有しているのに対し,甲4発明では,軌道パッドは可変パッドと,レールとの間に設けられるが,可変パッドは既に固化している既設のものではなく,可変パッドはレール伸長方向の両端に上方に突出する凸リブを有しているか否か不明である点。 (イ) 相違点2本件発明1では,軌道パッドは下面に,前記可変パッドの上に配置されたとき各凸リブを挿入可能な凹溝を有しているが,甲4発明では,軌道パッドは下面に凹溝を有しているが,凹溝が各凸リブを挿入可能か否か不明である点。 - 5 -第3 原告の主張 1 取消事由1(相違点の認定の誤り)(1) 相違点1の認定の誤りア甲3の段落【0005】の「ここに従来の軌道パッドはレール長手方向の寸法がタイプレートとほぼ一致するように作られていた。」との記載及び図6(別紙4参照)並びに甲2の第4図(別紙3参照)によれば,本件出願当時,軌道パッドとタイプレートとの間に可変パッドが設置される場合において,軌道パッドが可変パッド上に載る面(以下「接触下面」という。)のレール伸長方向の長さが,タイプレートのレール伸長方向の長さに一致するようにすることは技術常識であ 可変パッドが設置される場合において,軌道パッドが可変パッド上に載る面(以下「接触下面」という。)のレール伸長方向の長さが,タイプレートのレール伸長方向の長さに一致するようにすることは技術常識であったものである。本来,軌道パッドは,レールの下面とタイプレートとの間に設置されて車両通過の際の振動衝撃を緩衝するために設けられるものであるから,軌道パッドの接触下面のレール伸長方向の長さとタイプレートのレール伸長方向の長さを一致するようにすることは,設計上必然的なものであるということもできる。 そして,軌道パッドの接触下面のレール伸長方向の長さとタイプレートのレール伸長方向の長さが一致している場合,軌道パッドとタイプレートとの間に設置される可変パッドは,レール伸長方向の両端が軌道パッドの接触下面及びタイプレートから突出している状態で樹脂を注入されて膨張するため,可変パッドの突出している部分には軌道パッド及びタイプレートのレール伸長方向の両端に沿って上方及び下方に凸リブが形成される(例えば,甲2の第4図の「膨らみ部5」,甲3の図6の「膨張した部分38A」)。 イ甲4には,軌道パッドの接触下面の伸長方向の長さとタイプレートのレール伸長方向の長さとの関係について明示的に述べた記載はない。 しかしながら,①甲4記載の軌道パッド13においては,軌道パッド1- 6 -3に貼り付けられた鋼板14のレール伸長方向における前後両端部の左右両端から水平方向に突出した突出部14cが設けられており(別紙2の図5(a),(c)),この突出部14cの間にタイプレート11のショルダー部11bを挟むように配置することでタイプレート11に対する位置決めができるようにしていること,②ショルダー部11bはタイプレート11のレール伸長方向の長さいっぱいに延在してい ート11のショルダー部11bを挟むように配置することでタイプレート11に対する位置決めができるようにしていること,②ショルダー部11bはタイプレート11のレール伸長方向の長さいっぱいに延在しているから(別紙2の図1及び図2),突出部14cの間の長さはタイプレート11のレール伸長方向の長さとほぼ一致すること,③軌道パッド13のレール伸長方向の長さは,突出部14cの間の長さとほぼ一致すること(図5(c))からすると,甲4記載の軌道パッド13のレール伸長方向の長さは,タイプレート11のレール伸長方向の長さと一致していることを理解することができる。 そして,軌道パッドの接触下面のレール伸長方向の長さとタイプレートのレール伸長方向の長さが一致している場合,可変パッドの突出している部分に軌道パッド及びタイプレートのレール伸長方向の両端に沿って凸リブが形成されることは,前記アのとおりである。 そうすると,甲4記載の可変パッド12の突出している部分には,軌道パッド13及びタイプレート11のレール伸長方向の両端に沿って上方及び下方に凸リブが形成されているといえる。 したがって,甲4発明は,相違点1に係る本件発明1の構成のうち,「可変パッドはレール伸長方向の両端に上方に突出する凸リブを有している」との構成を備えているといえるから,本件審決がした相違点1の認定のうち,上記構成部分を相違点とした認定は誤りである。 (2) 相違点2の認定の誤りア甲3には,「この袋66の他の対角位置には突出部66C,66Cが幅方向に突設されている。従ってこの袋66は,タイプレート14にセットした時には四隅の注入口66A,空気抜き口66B,突出部66C,66- 7 -Cがそれぞれ突壁48,48の端縁に係合し,袋66がタイプレート14に対して正しく位置合せさ タイプレート14にセットした時には四隅の注入口66A,空気抜き口66B,突出部66C,66- 7 -Cがそれぞれ突壁48,48の端縁に係合し,袋66がタイプレート14に対して正しく位置合せされる。」(段落【0027】)との記載があり,図5(別紙4参照)において,可変パッドの袋66の対角位置に,幅方向に突設した突出部66Cが示されている。上記記載から,可変パッドが突出部66Cによってタイプレート14に対して位置決めされていることが理解できる。 甲4の図3(別紙2参照)によれば,甲4発明の可変パッド12の右側面には,上下に間隔をあけて配置された「三角形の突起部」が形成されている。 そうすると,甲4発明の可変パッド12は,「三角形の突起部」によって位置決めされ,その両端がレール伸長方向に突出した状態でタイプレート11の上に設置されることになり,そのように設置された可変パッド12の上に軌道パッド13を載せて可変パッド12に樹脂を充填すれば,可変パッド12のレール伸長方向の両端には,甲3の図6(別紙4参照)に示すように,上方及び下方に突出した凸リブが形成されることになる。 そして,甲4発明の上面に鋼板14が貼り付けられた軌道パッド13には,接触下面の縁に沿って凹溝(別紙2の図5(c)記載の鋼板14の下方に折れ曲がった湾曲部14aと軌道パッド13の端面との間に生じている下方に開口している空間)が設けられているため,可変パッド12の凸リブは必然的にこの凹溝内に突出するように形成され,その凹溝には,上記凸リブが収容されることになる。 したがって,甲4発明の軌道パッド13における凹溝は,少なくとも新設される可変パッド12の凸リブを収容する構造となっている。 イ前記(1)のとおり,甲2ないし4の軌道パッドにおいては,軌道パッドの たがって,甲4発明の軌道パッド13における凹溝は,少なくとも新設される可変パッド12の凸リブを収容する構造となっている。 イ前記(1)のとおり,甲2ないし4の軌道パッドにおいては,軌道パッドの接触下面のレール伸長方向の長さは,タイプレート11のレール伸長方向の長さと一致しているため,各タイプレートのレール伸長方向の長さが同- 8 -一であれば,各可変パッドのレール伸長方向の両端に形成される凸リブの位置に実質的な相違は生じない。 そして,甲2及び甲3記載の凸リブの高さと軌道パッドの接触部分の厚みとの関係を見る限りにおいては,甲4発明の軌道パッド13における凹溝は,各凸リブを収容して接触下面が可変パッドの上面に接して載るようになるのに十分な深さを有することは明らかである。 そうすると,甲4発明の軌道パッド13における凹溝は,軌道パッド13が可変パッド12の上に配置されたときに可変パッド12の凸リブを挿入可能な凹溝であるといえる。 したがって,甲4発明は,相違点2に係る本件発明1の「軌道パッドは下面に,前記可変パッドの上に配置されたとき各凸リブを挿入可能な凹溝を有している」との構成を備えているから,本件審決がした本件発明1と甲4発明との相違点2の認定は誤りである。 2 取消事由2(相違点の容易想到性の判断の誤り)(1) 前記1によれば,本件発明1と甲4発明とは,相違点1に係る本件発明1の構成のうち,軌道パッドが「既に固化している既設の可変パッドと,レールとの間に設けられ」るとの構成に関し,甲4には,甲4発明の軌道パッドがそのような用途に用いられることについての記載がない点でのみ相違し,その余の点においては一致する。 本件審決は,相違点1について,甲4発明は,可変パッドと軌道パッドが同時に設けられるものであり,既に固 うな用途に用いられることについての記載がない点でのみ相違し,その余の点においては一致する。 本件審決は,相違点1について,甲4発明は,可変パッドと軌道パッドが同時に設けられるものであり,既に固化した可変パッドに対し軌道パッドを後から交換可能とする構成はないし,甲4全体からもそのような記載や示唆はないから,仮に甲2及び甲3記載の可変パッドの構成が周知技術であり,その上に載置された軌道パッドだけを交換すべき状況が生じたとしても,甲4発明の軌道パッドを交換用として使用する動機付けは存在しないから,相違点1に係る本件発明1の構成は当業者が容易になし得ることはできない- 9 -旨判断した。 しかしながら,本件審決の判断は,以下のとおり誤りである。 (2)ア前記1(2)イのとおり,甲4発明の軌道パッド13における凹溝は,軌道パッド13が可変パッド12の上に配置されたときに可変パッド12の凸リブを挿入可能な凹溝である。 そして,既設のレール締結装置から軌道パッドを外してこれまで設置されていた軌道パッドと同じサイズの甲4発明の軌道パッド13を既設の可変パッド上に載せた場合には,軌道パッド13の接触下面は可変パッドのレール伸長方向の両端に形成されている凸リブの間にぴったりと嵌まるとともに,その凸リブが凹溝内に挿入されようになるから,甲4発明の軌道パッド13は,既に固化した凸リブを有する既設の可変パッドに対して後から交換可能とする構成を有するものといえる。 しかるところ,甲16(「土木学会第64回年次学術講演会講演概要集64巻・IV-303・2009年・603頁~604頁」)によれば,軌道パッドの交換が必要となった場合,既設の可変パッドをそのまま利用して交換の必要となった軌道パッドのみを交換しようとする試みは,本件出願のかなり前か ・2009年・603頁~604頁」)によれば,軌道パッドの交換が必要となった場合,既設の可変パッドをそのまま利用して交換の必要となった軌道パッドのみを交換しようとする試みは,本件出願のかなり前から行われ,本件出願の約2年半前である平成21年9月には,土木学会年次講演会でその成果が講演されるとともに講演概要集に公表されており,軌道パッドの交換が必要となった場合,既設の可変パッドをそのまま利用して交換が必要となった軌道パッドのみを交換することは,当業者にとって技術常識となっていたものである。 そうすると,当業者は,甲4発明において,上記技術常識を適用して,軌道パッドを「既に固化している既設の可変パッドとレールとの間に設け」る構成(相違点1に係る本件発明1の構成)を採用することを容易に想到することができたものである。 イこれに対し被告らは,軌道パッドの位置決めには高い精度が要求される- 10 -ため,既設の可変パッドの上に,これまで設置されていた軌道パッドと同じサイズの軌道パッドを設置した場合には,仮に設置できたとしても,精密な作業が必要となるため,敷設に時間がかかって作業効率がきわめて悪くなるから,軌道パッドを「既に固化している既設の可変パッドとレールとの間に設け」る構成を採用することを容易に想到することができたものではない旨主張する。 しかしながら,本件発明1の軌道パッドは,単に,既設の軌道パッドのレール伸長方向での両端に沿って可変パッドに形成された凸リブを収納可能な凹溝を設けたという点を特徴とするものであり,甲4発明と構造的に全く相違がない。新たな軌道パッドが必要となったときに,新たな軌道パッドを既設の可変パッド上に設置して補修しようとすることは技術常識である。 また,被告らの主張する軌道パッド設置時の「精密な作 に全く相違がない。新たな軌道パッドが必要となったときに,新たな軌道パッドを既設の可変パッド上に設置して補修しようとすることは技術常識である。 また,被告らの主張する軌道パッド設置時の「精密な作業」とは,既に固化して上面に凹凸形状が形成されている可変パッドの上に新たな軌道パッドを設置するときの「レール面整正(高低整備)」を意味するものと考えられるが,この点に対応するために本件発明1が一体どのような技術的特徴を備えているのかが全く不明である。 したがって,被告らの上記主張は理由がない。 (3) 以上によれば,相違点1に係る本件発明1の構成を当業者が容易に想到することができたものではないとした本件審決の判断には誤りがある。 3 まとめ以上のとおり,本件審決には,本件発明1と甲4発明の相違点についての認定及び容易想到性の判断を誤り,その結果,本件発明1は,甲4に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものではないとした判断の誤りがある。また,同様に,本件審決には,本件発明2及び3についても,甲4に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発- 11 -明することができたものではないとした判断の誤りがある。 したがって,本件審決は,違法であるから,取り消されるべきである。 第4 被告らの主張 1 取消事由1(相違点の認定の誤り)に対し(1) 相違点1について原告は,甲4発明は,相違点1に係る本件発明1の構成のうち,「可変パッドはレール伸長方向の両端に上方に突出する凸リブを有している」との構成を備えているから,本件審決がした相違点1の認定のうち,上記構成部分を相違点と認定したのは誤りである旨主張する。 しかしながら,甲4発明においては,可変パッドがレール伸長方向の両端 る」との構成を備えているから,本件審決がした相違点1の認定のうち,上記構成部分を相違点と認定したのは誤りである旨主張する。 しかしながら,甲4発明においては,可変パッドがレール伸長方向の両端に上方に突出する凸リブを有しているか否か不明である。 したがって,原告の上記主張は理由がない。 (2) 相違点2について原告は,甲4発明は,相違点2に係る本件発明1の「軌道パッドは下面に,前記可変パッドの上に配置されたとき各凸リブを挿入可能な凹溝を有している」との構成を備えているから,本件審決がした本件発明1と甲4発明との相違点2の認定は誤りである旨主張する。 しかしながら,甲4記載の軌道パッドは,下面に凹溝(空所)を有しているが,甲4には,凹溝(空所)を設けた目的の記載はなく,図面からも可変パッドとの関係は不明である。 また,甲4発明において,軌道パッドの下面の凹溝(空所)に既設の可変パッドの凸リブを挿入し,軌道パッドと全くずれがないように設置しようとすれば,精密な作業が必要となって作業効率が極めて悪くなり,現実的ではない。 したがって,原告の上記主張は失当である。 (3) 小括- 12 -以上によれば,本件審決における相違点1及び2の認定に誤りはないから,原告主張の取消事由1は理由がない。 2 取消事由2(相違点の容易想到性の判断の誤り)に対し(1) 前記1のとおり,本件審決における相違点1及び2の認定に誤りはないから,本件発明1と甲4発明との相違点は,相違点1に係る本件発明1の構成のうち,軌道パッドが「既に固化している既設の可変パッドとレールとの間に設けられる」との構成に係る相違点のみであるとの原告の主張は,失当である。 (2) 原告は,甲4発明の軌道パッドは,既に固化した凸リブを有する可変パッド 化している既設の可変パッドとレールとの間に設けられる」との構成に係る相違点のみであるとの原告の主張は,失当である。 (2) 原告は,甲4発明の軌道パッドは,既に固化した凸リブを有する可変パッドに対し後から交換可能とする構成を有していること,軌道パッドの交換が必要となった場合,既設の可変パッドをそのまま利用して交換が必要となった軌道パッドのみを交換することは,本件出願前の技術常識であったことからすると,当業者は,甲4発明において,上記技術常識を適用して,軌道パッドを「既に固化している既設の可変パッドとレールとの間に設け」る構成(相違点1に係る本件発明1の構成)を採用することを容易に想到することができたから,これと異なる本件審決の判断は誤りである旨主張する。 しかしながら,原告の主張は,以下のとおり理由がない。 ア新たな可変パッドを用いて施工する際には,可変パッドがタイプレートと軌道パッドとの間で硬化してそれらに密着するため,隙間は生じないが,硬化した既設の可変パッドの上に軌道パッドを設置しようとすると,多少,位置がずれただけで隙間を生じ,軌道パッドと既設の可変パッドとの間にわずかな隙間があると,列車の風圧で飛散するおそれがあり,非常な危険をもたらすおそれがあるのであるから,甲4発明の軌道パッドは,既に固化した凸リブを有する可変パッドに対し後から交換可能とする構成を有しているものとはいえない。 イ原告は,甲16を根拠として,既設の可変パッドをそのまま利用して交- 13 -換が必要となった軌道パッドのみを交換することは,本件出願前に,当業者にとって技術常識であった旨主張する。 しかしながら,軌道パッドの位置決めには高い精度が要求されるため,既設の可変パッドの上に,これまで設置されていた軌道パッドと同じサイズのものを設置 ,当業者にとって技術常識であった旨主張する。 しかしながら,軌道パッドの位置決めには高い精度が要求されるため,既設の可変パッドの上に,これまで設置されていた軌道パッドと同じサイズのものを設置した場合には,仮に設置できたとしても,精密な作業が必要となるため,敷設に時間がかかって作業効率がきわめて悪くなる。 そのため,「土木学会第65回年次学術講演会講演概要集65巻・IV-256・2010年・511頁~512頁」(乙1)に,甲16に係る講演会が行われた平成21年9月から1年が経過した平成22年9月の時点でも,「新幹線の軌道パッド交換は,軌道パッド及び可変パッドの双方を同時に交換するのを定位としている」との記載があるように,従来から,可変パッドを交換せずに軌道パッドのみを変更することはされていない。 また,原告が挙げる甲16に,可変パッドをそのまま利用して軌道パッドのみを交換する試みについての記載があることのみをもって,それが当業者に広く知れ渡っていたとみることはできないし,本件出願前に,技術常識になっていたということもできない。 したがって,原告の上記主張は,理由がない。 ウ前記ア及びイによれば,甲4発明において,軌道パッドを「既に固化している既設の可変パッドと,レールとの間に設け」る構成とする動機付けが存在しないから,当業者が甲4発明に上記構成を採用することを容易に想到することができたとの原告の主張は理由がない。 したがって,本件審決の相違点の容易想到性の判断に誤りはない。 (3) 以上によれば,本件審決の相違点の容易想到性の判断の誤りをいう原告の主張は,理由がない。 したがって,原告主張の取消事由2は理由がない。 - 14 - 3 まとめ以上のとおり,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,本件審決に 性の判断の誤りをいう原告の主張は,理由がない。 したがって,原告主張の取消事由2は理由がない。 - 14 - 3 まとめ以上のとおり,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,本件審決に誤りはない。 第5 当裁判所の判断 1 取消事由1(相違点の認定の誤り)について(1) 本件明細書の記載事項等についてア本件特許の特許請求の範囲の請求項1ないし3の記載は,前記第2の2のとおりである。 そして,本件出願の願書に添付した明細書(以下,図面(甲15)を含めて,「本件明細書」という。甲1)の「発明の詳細な説明」には,次のような記載がある(下記記載中に引用する図1ないし3,5及び6については別紙1を参照)。 (ア) 【技術分野】【0001】本発明は,軌道パッドおよびレール締結装置に関する。 (イ) 【背景技術】【0002】従来の軌道パッドは,下面に,レールの伸長方向に沿った縦溝や,縦溝に対して垂直方向に設けられた横溝を有している(例えば,特許文献1乃至3参照)。また,従来のレール締結装置として,滑り止めのために,軌道パットとタイプレートとの間に,軌道パット下面の溝の形状に合わせて内部の樹脂を固化させた可変パッドを有するものがある(例えば,特許文献4参照)。 (ウ) 【発明の概要】【発明が解決しようとする課題】【0004】- 15 -しかしながら,特許文献4に記載の可変パッドを使用したレール締結装置では,特許文献1乃至3に記載のような従来の軌道パッドを使用すると,軌道パッドを交換する際に,新しい軌道パッドの下面の溝形状と,既に固化している可変パッドの形状とが合わず,可変パッドの上に新しい軌道パッドを安定して載せることができない。このため,軌道パッドと同時に可変パッドも交換しなければならず, パッドの下面の溝形状と,既に固化している可変パッドの形状とが合わず,可変パッドの上に新しい軌道パッドを安定して載せることができない。このため,軌道パッドと同時に可変パッドも交換しなければならず,費用が嵩むという課題があった。 【0005】本発明は,このような課題に着目してなされたもので,軌道パッドを交換するときの費用の低減を図ることができる軌道パッドおよびレール締結装置を提供することを目的としている。 (エ) 【課題を解決するための手段】【0010】本発明に係る軌道パッドは,タイプレートの上に配置されて既に固化している既設の可変パッドと,レールとの間に設けられる軌道パッドであって,前記可変パッドはレール伸長方向の両端に上方に突出する凸リブを有しており,下面に,前記可変パッドの上に配置されたとき各凸リブを挿入可能な凹溝を有し,前記レールの伸長方向に飛び出すのを防止するために,長さ方向の両端の中央部に,長さ方向に突出して先端が下方に折れ曲がった突出部を有していることを特徴とする。この場合,可変パッドの各凸リブの間の上面と,軌道パッドの下面との間に隙間が生じるのを防ぐことができ,軌道狂いやバタつき,軌道パッドの反り等を防止することができる。 【0011】本発明に係るレール締結装置は,タイプレートの上に配置され,内部に樹脂を注入して形成された可変パッドと,前記可変パッドとレールとの間に設けられた,本発明に係る軌道パッドとを有し,レール伸長方向の両端- 16 -に上方に突出する凸リブを有して既に固化している既設の前記可変パッドの上に,各凹溝に各凸リブを挿入して前記軌道パッドを配置して成ることを特徴とする。 【0012】本発明に係るレール締結装置は,本発明に係る軌道パッドの下面に接するよう可変パッドが設けられ ッドの上に,各凹溝に各凸リブを挿入して前記軌道パッドを配置して成ることを特徴とする。 【0012】本発明に係るレール締結装置は,本発明に係る軌道パッドの下面に接するよう可変パッドが設けられているため,可変パッドにより軌道パッドの滑りを防止することができる。本発明に係るレール締結装置は,新規に設置されるものであっても,古い軌道パッドを本発明に係る軌道パッドに交換することにより構成されるものであってもよい。古い軌道パッドを本発明に係る軌道パッドに交換する場合には,既存の固化した可変パッドを引き続き使用することができる。このため,可変パッドも同時に交換しなければならない場合と比べ,軌道パッドを交換するときの費用の低減を図ることができる。 (オ) 【発明の効果】【0013】本発明によれば,軌道パッドを交換するときの費用の低減を図ることができる軌道パッドおよびレール締結装置を提供することができる。 (カ) 【発明を実施するための形態】【0015】以下,図面に基づき,本発明の実施の形態について説明する。 図1乃至図5は,本発明に関し,実施の形態の軌道パッドおよびレール締結装置を示している。 図1に示すように,レール締結装置10は,軌道の長さ方向に沿って設けられたレール1を固定するものであり,タイプレート11と可変パッド12と軌道パッド13と1対の板バネ14とを有している。 【0016】- 17 -図1に示すように,タイプレート11は,鉄製で,ほぼ矩形状の基板11aと,基板11aの上面に対してほぼ垂直上方に突出して一体的に設けられた1対のショルダー11bとを有している。各ショルダー11bは,基板11aの幅方向に沿って伸びており,所定の間隔を開けて互いに平行に設けられている。タイプレート11は,基板11 して一体的に設けられた1対のショルダー11bとを有している。各ショルダー11bは,基板11aの幅方向に沿って伸びており,所定の間隔を開けて互いに平行に設けられている。タイプレート11は,基板11aの幅方向を軌道の長さ方向に合わせて,絶縁板15を介してボルト16で枕木(図示せず)の上に固定されている。タイプレート11は,各ショルダー11bの間にレール1を配置可能になっている。 【0017】図2に示すように,可変パッド12は,矩形の薄い袋状を成しており,対角の位置にそれぞれ注入口12aと排出口12bとを有している。図1および図3(a)に示すように,可変パッド12は,タイプレート11の上に配置されている。可変パッド12は,注入口12aから内部に樹脂を注入して固化させることにより形成されている。なお,図2および図3に示す可変パッド12は,下面に縦溝が設けられた軌道パッド13の下で固化して,上面に凸リブ12cが形成されたものを示している。 【0019】図1に示すように,可変パッド12および軌道パッド13は,長さ方向を軌道の長さ方向に合わせて,タイプレート11の各ショルダー11bの間に設けられている。レール1は,タイプレート11の各ショルダー11bの間で,軌道パッド13の樹脂板13bの上に配置されている。レール1は,軌道の長さ方向に沿って設けられている。 【0020】図1に示すように,各板バネ14は,それぞれレール1の両側に配置されている。各板バネ14は,一端14aの上に他端14bが重ねられた形状を有し,一端14aでレール1の底部を上から押え,一端14aの取付- 18 -孔および他端14bの取付孔にショルダー11bから上方に突出するボルト17を挿入させ,ショルダー11bを覆った状態で,ボルト17にナット18を取り付けてショ ら押え,一端14aの取付- 18 -孔および他端14bの取付孔にショルダー11bから上方に突出するボルト17を挿入させ,ショルダー11bを覆った状態で,ボルト17にナット18を取り付けてショルダー11bに固定されている。板バネ14は,基板11aの突起11cにより中間折曲部14cが保持されている。 【0022】また,軌道パッド13は,溝形状ではなく,網目状の滑り止め加工13cが下面に施されているため,図3(b)に示すように,既に固化している可変パッド12の上面の凹凸形状に関わらず,可変パッド12の上に安定して載せることができる。このため,古い軌道パッドを新しい軌道パッド13に交換する場合でも,既存の固化した可変パッド12を引き続き使用することができる。このため,可変パッド12も同時に交換しなければならない場合と比べ,軌道パッドを交換するときの費用の低減を図ることができる。また,軌道パッド13の下面の網目状の滑り止め加工13cにより,優れた滑り止め効果を発揮することができる。 【0023】従来,軌道車輌がレール1の上を通過しないとき,軌道パッドが浮いた状態になることがあり,レール1の伸縮に伴うふく進により軌道パッドの位置ずれが発生していた。これに対し,レール締結装置10は,軌道パッド13の下面に設けた各凸条13dにより,軌道車輌がレール1の上を通過しないときでも,可変パッド12との接触を保つことができ,レール1のふく進による位置ずれが発生するのを防ぐことができる。レール1の上を軌道車輌が通過するときは,弾性を有する各凸条13dが潰れるため,網目状の滑り止め加工13cで可変パッド12と接することができ,滑り止め効果を発揮することができる。 【0024】なお,図5に示すように,軌道パッド13は,同時成型で一体的に が潰れるため,網目状の滑り止め加工13cで可変パッド12と接することができ,滑り止め効果を発揮することができる。 【0024】なお,図5に示すように,軌道パッド13は,同時成型で一体的に設け- 19 -られた,硬質ゴム板21aと,硬質ゴム板21aの上面を覆う超硬質ゴム板21bとから成っていてもよい。また,軌道パッド13は,硬質ゴム板21aの上面に長さ方向に沿って互いに平行に設けられた5本の排水用の縦溝21cと,各縦溝21cと垂直に交わるよう,硬質ゴム板21aの上面に巾方向に沿って互いに平行に設けられた3本の排水用の横溝21dとを有していてもよい。本発明の実施の形態の軌道パッド13は,レール1の伸長方向に飛び出すのを防止するために,長さ方向の両端の中央部に,長さ方向に突出して先端が下方に折れ曲がった突出部21eを有している。 【0025】また,図6(a)に示すように,可変パッド12は,既設の場合,変形して,レール1の伸長方向の両端に,その伸長方向に対して垂直に水平方向に伸びて上方に突出する1対の凸リブ12dを有している。この場合,軌道パッド13の下面が平面であると,下面が凸リブ12dで支えられて,可変パッド12の各凸リブ12dの間の上面と,軌道パッド13の下面との間に隙間31が生じてしまう。この隙間31により,2~3mm程度の軌道狂いが生じて不安定となり,軌道パッド13がバタつき状態になる。また,図6(b)に示すように,その状態で軌道パッド13の両端に荷重がかかると,軌道パッド13が変形して反った状態になり,可変パッド12の損傷や軌道パッド13の破断などの原因となる。そこで,これらの問題を解決するため,本発明の実施の形態の軌道パッド13は,図6(c)に示すように,下面のレール1の伸長方向の両端に,可変パッド1 2の損傷や軌道パッド13の破断などの原因となる。そこで,これらの問題を解決するため,本発明の実施の形態の軌道パッド13は,図6(c)に示すように,下面のレール1の伸長方向の両端に,可変パッド12の上に配置されたとき各凸リブ12dを挿入可能な1対の凹溝32を有している。各凹溝32は,各凸リブ12dを収容し,軌道パッド13の下面が可変パッド12の各凸リブ12dの間の上面に接して載る深さに構成する。これにより,隙間31の発生を防ぎ,軌道狂いやバタつき,軌- 20 -道パッド13の反り等を防止することができる。 イ前記アの本件明細書の記載事項によれば,本件明細書には,本件発明1に関し,次の点が開示されていることが認められる。 (ア) 従来の可変パッドを使用したレール締結装置においては,従来の軌道パッドを使用すると,軌道パッドを交換する際に,新しい軌道パッドの下面の溝形状と,既に固化している可変パッドの形状とが合わず,可変パッドの上に新しい軌道パッドを安定して載せることができないため,軌道パッドと同時に可変パッドも交換しなければならず,費用が嵩むという課題があった(段落【0004】)。 (イ) 本件発明1は,上記課題を解決するための手段として,「タイプレートの上に配置されて既に固化している既設の可変パッドと,レールとの間に設けられる軌道パッドであって,前記可変パッドはレール伸長方向の両端に上方に突出する凸リブを有しており,下面に,前記可変パッドの上に配置されたとき各凸リブを挿入可能な凹溝を有し,前記レールの伸長方向に飛び出すのを防止するために,長さ方向の両端の中央部に,長さ方向に突出して先端が下方に折れ曲がった突出部を有していることを特徴とする軌道パッド」の構成を採用し,これにより,軌道パッドがレール伸長方向に飛び出すのを防止する に,長さ方向の両端の中央部に,長さ方向に突出して先端が下方に折れ曲がった突出部を有していることを特徴とする軌道パッド」の構成を採用し,これにより,軌道パッドがレール伸長方向に飛び出すのを防止するとともに,既に固化している既設の可変パッドに対しても,その各凸リブの間の上面と,軌道パッドの下面との間に隙間が生じるのを防ぐことができ,このような隙間を原因とする軌道狂いやバタつき,軌道パッドの反り等を防止することができるため,軌道パッドの交換に当たって固化した既設の可変パッドを引き続き使用することができ,可変パッドも同時に交換しなければならない場合と比べ,軌道パッドを交換するときの費用の低減を図ることができるという効果を奏する(段落【0010】,【0013】,【0024】,【0025】)。 (2) 甲4の記載事項について- 21 -甲4(特開2011-174299号公報)には,次のような記載がある(下記記載中に引用する図1ないし6については別紙2を参照)。 ア 【特許請求の範囲】【請求項1】タイプレートとレール底面との間に軌道パッドが設けられたレール締結装置であって,前記軌道パッドは,ゴム板から成り,底面に,前記レールの伸長方向に対して垂直方向に伸び,所定の間隔をあけて互いに平行に設けられた複数の溝を有することを,特徴とするレール締結装置。 【請求項2】前記軌道パッドと前記レール底面との間に鋼板を有し,前記鋼板は,前記軌道パッドの上面を覆うよう設けられ,前記レールの伸長方向の両端に前記軌道パッドの外側で下方に湾曲して折り曲げられた湾曲部を有し,前記湾曲部の肩から下方に向かって,断面がV字状からU字状を成して伸びる複数の補強溝を有することを,特徴とする請求項1記載のレール締結装置。 【請求項3】前記鋼 折り曲げられた湾曲部を有し,前記湾曲部の肩から下方に向かって,断面がV字状からU字状を成して伸びる複数の補強溝を有することを,特徴とする請求項1記載のレール締結装置。 【請求項3】前記鋼板は,前記タイプレートよりも前記レールの伸長方向に長く形成され,前記タイプレートより突出する前記レールの伸長方向の両端部に,それぞれ両側縁から前記レールの幅方向に突出した1対の突出部を有し,各突出部の先端が下方に折れ曲がっており,各突出部の付け根の上面に補強用の凹部を有していることを,特徴とする請求項2記載のレール締結装置。 【請求項4】前記鋼板は,前記レールの伸長方向の両端縁に沿って,それぞれ各突出- 22 -部の先端から前記湾曲部にかけて下方に折れ曲がった1対の折曲部を有することを,特徴とする請求項3記載のレール締結装置。 【請求項5】前記軌道パッドと前記レール底面との間に鋼板を有し,前記鋼板は,前記タイプレートよりも前記レールの伸長方向に長く形成されて,前記軌道パッドの上面を覆うよう設けられ,前記タイプレートより突出する前記レールの伸長方向の両端部に,それぞれ両側縁から前記レールの幅方向に突出した1対の突出部を有し,各突出部の先端が下方に折れ曲がっており,各突出部の付け根の上面に補強用の凹部を有していることを,特徴とする請求項1記載のレール締結装置。 【請求項6】前記鋼板は,前記レールの伸長方向の両端縁に沿って,それぞれ一方の突出部の先端から他方の突出部の先端にかけて下方に折れ曲がった折曲部を有することを,特徴とする請求項5記載のレール締結装置。 【請求項7】前記軌道パッドと前記タイプレートとの間に可変パッドを有し,前記可変パッドは,透明シートを二つ折りにした矩形の薄い袋状を成し,対角の位置にそれぞれ 請求項5記載のレール締結装置。 【請求項7】前記軌道パッドと前記タイプレートとの間に可変パッドを有し,前記可変パッドは,透明シートを二つ折りにした矩形の薄い袋状を成し,対角の位置にそれぞれ注入口と排出口とを有し,内部に樹脂繊維シートを収納しており,前記軌道パッドと前記タイプレートとの間に挟んだ状態で,前記注入口から内部に樹脂を注入して形成されていることを,特徴とする請求項1,2,3,4,5または6記載のレール締結装置。 イ 【発明の詳細な説明】【技術分野】【0001】本発明は,レール締結装置およびそれに使用される可変パッドの製造方- 23 -法に関する。 ウ 【背景技術】【0002】従来のレール締結装置として,軟質ゴムにより薄板状に形成された基板部の上に,硬質ゴムにより薄板状に形成された表層板部とからなる軌道パッド(例えば,特許文献1参照)を用いるものがある。 エ 【発明の概要】【発明が解決しようとする課題】【0004】しかしながら,特許文献1に記載の軌道パッドでは,レール上を走行する車両の走行状態によって,レールの伸長方向に沿って引っ張られたり押されたりしたときに,レールの伸長方向にずれやすいという課題があった。 【0005】本発明は,このような課題に着目してなされたもので,軌道パッドがレールの伸長方向にずれにくいレール締結装置および可変パッドの製造方法を提供することを目的としている。 オ 【課題を解決するための手段】【0006】上記目的を達成するために,本発明に係るレール締結装置は,タイプレートとレール底面との間に軌道パッドが設けられたレール締結装置であって,前記軌道パッドは,ゴム板から成り,底面に,前記レールの伸長方向に対して垂直方向に伸び,所定の間隔をあけて互いに 置は,タイプレートとレール底面との間に軌道パッドが設けられたレール締結装置であって,前記軌道パッドは,ゴム板から成り,底面に,前記レールの伸長方向に対して垂直方向に伸び,所定の間隔をあけて互いに平行に設けられた複数の溝を有することを,特徴とする。 【0007】本発明に係るレール締結装置は,ゴム板から成る軌道パッドが,底面に,- 24 -レールの伸長方向に対して垂直方向に伸び,所定の間隔をあけて互いに平行に設けられた複数の溝を有しているため,レール上を走行する車両の走行状態によって,レールの伸長方向に沿って引っ張られたり押されたりしても,軌道パッドがタイプレートに対してレールの伸長方向にずれにくい。溝は,いくつあってもよいが,軌道パッドの強度等を考慮して,軌道パッドのレールの伸長方向の両端部に1本ずつ,全部で2本設けられていることが好ましい。 【0008】本発明に係るレール締結装置は,前記軌道パッドと前記レール底面との間に鋼板を有し,前記鋼板は,前記軌道パッドの上面を覆うよう設けられ,前記レールの伸長方向の両端に前記軌道パッドの外側で下方に湾曲して折り曲げられた湾曲部を有し,前記湾曲部の肩から下方に向かって,断面がV字状からU字状を成して伸びる複数の補強溝を有することが好ましい。この場合,鋼板の各湾曲部がレールの伸長方向で軌道パッドを挟むため,軌道パッドがレールの伸長方向にずれるのをより効果的に防止することができる。湾曲部の肩に断面がV字状の深い補強溝を複数有しているため,U字状の溝の場合に比べて,湾曲部を上方に曲げる力に対する強度が大きい。 【0009】また,本発明に係るレール締結装置で,前記鋼板は,前記タイプレートよりも前記レールの伸長方向に長く形成され,前記タイプレートより突出する前記レールの伸長方向の両 る強度が大きい。 【0009】また,本発明に係るレール締結装置で,前記鋼板は,前記タイプレートよりも前記レールの伸長方向に長く形成され,前記タイプレートより突出する前記レールの伸長方向の両端部に,それぞれ両側縁から前記レールの幅方向に突出した1対の突出部を有し,各突出部の先端が下方に折れ曲がっており,各突出部の付け根の上面に補強用の凹部を有していることが好ましい。この場合,鋼板の各突出部がレールの伸長方向でタイプレートを挟むため,軌道パッドがレールの伸長方向にずれるのをさらに効果的に防- 25 -止することができる。各突出部の先端が下方に折れ曲がっているため,各突出部が変形しにくい。補強用の凹部により,各突出部をレールの伸長方向に沿って曲げる力に対する強度が大きく,軌道パッドのずれをさらに効果的に防止することができる。 【0010】さらに,本発明に係るレール締結装置で,前記鋼板は,前記レールの伸長方向の両端縁に沿って,それぞれ各突出部の先端から前記湾曲部にかけて下方に折れ曲がった1対の折曲部を有することが好ましい。この場合,各突出部や鋼板の両端が,さらに変形しにくく,強度が大きい。 【0011】本発明に係るレール締結装置は,前記軌道パッドと前記レール底面との間に鋼板を有し,前記鋼板は,前記タイプレートよりも前記レールの伸長方向に長く形成されて,前記軌道パッドの上面を覆うよう設けられ,前記タイプレートより突出する前記レールの伸長方向の両端部に,それぞれ両側縁から前記レールの幅方向に突出した1対の突出部を有し,各突出部の先端が下方に折れ曲がっており,各突出部の付け根の上面に補強用の凹部を有していてもよい。この場合,鋼板の各突出部がレールの伸長方向でタイプレートを挟むため,軌道パッドがレールの伸長方向にずれるのをさら 端が下方に折れ曲がっており,各突出部の付け根の上面に補強用の凹部を有していてもよい。この場合,鋼板の各突出部がレールの伸長方向でタイプレートを挟むため,軌道パッドがレールの伸長方向にずれるのをさらに効果的に防止することができる。各突出部の先端が下方に折れ曲がっているため,各突出部が変形しにくい。補強用の凹部により,各突出部をレールの伸長方向に沿って曲げる力に対する強度が大きく,軌道パッドのずれをさらに効果的に防止することができる。 【0012】また,本発明に係るレール締結装置で,前記鋼板は,前記レールの伸長方向の両端縁に沿って,それぞれ一方の突出部の先端から他方の突出部の先端にかけて下方に折れ曲がった折曲部を有していてもよい。この場合,- 26 -各突出部や鋼板の両端が,さらに変形しにくく,強度が大きい。 【0013】本発明に係るレール締結装置は,前記軌道パッドと前記タイプレートとの間に可変パッドを有し,前記可変パッドは,透明シートを二つ折りにした矩形の薄い袋状を成し,対角の位置にそれぞれ注入口と排出口とを有し,内部に樹脂繊維シートを収納しており,前記軌道パッドと前記タイプレートとの間に挟んだ状態で,前記注入口から内部に樹脂を注入して形成されていることが好ましい。この場合,可変パッドの内部に注入した樹脂により,可変パッドが軌道パッドの底面の複数の溝の形状に対応した形状で固まるため,軌道パッドがレールの伸長方向にずれるのをさらに効果的に防止することができる。可変パッドが,透明シートを二つ折りにした矩形の薄い袋状を成しているため,折り目の部分にシール加工による加工縁が発生しない。このため,折り目をレールの伸長方向に沿わせ,折り目の反対側の加工縁のみを折り返して,タイプレートの上に配置することができる。これにより,両側の加 折り目の部分にシール加工による加工縁が発生しない。このため,折り目をレールの伸長方向に沿わせ,折り目の反対側の加工縁のみを折り返して,タイプレートの上に配置することができる。これにより,両側の加工縁を折り返して配置する従来の可変パッドに比べて,タイプレートに設置しやすく,安定した状態で設置することができる。また,可変パッドの内部に樹脂繊維シートを収納しているため,内部にガラス繊維シートを収納した従来の可変パッドと比べて,繊維シートの加工性がよく,作業性を高めることができる。 カ 【発明の効果】【0017】本発明によれば,軌道パッドがレールの伸長方向にずれにくいレール締結装置および可変パッドの製造方法を提供することができる。 キ 【発明を実施するための形態】【0019】以下,図面に基づき,本発明の実施の形態について説明する。 - 27 -図1乃至図6は,本発明の実施の形態のレール締結装置および可変パッドの製造方法を示している。 図1乃至図5に示すように,レール締結装置10は,軌道の長さ方向に沿って設けられたレール1を固定するものであり,タイプレート11と可変パッド12と軌道パッド13と鋼板14と1対の板バネ15とを有している。 【0020】図1および図2に示すように,タイプレート11は,鉄製で,ほぼ矩形状の基板11aと,基板11aの上面に対してほぼ垂直上方に突出して一体的に設けられた1対のショルダー11bとを有している。各ショルダー11bは,基板11aの幅方向に沿って伸びており,所定の間隔を開けて互いに平行に設けられている。タイプレート11は,基板11aの幅方向を軌道の長さ方向に合わせて,枕木(図示せず)の上に設けられている。 【0021】図3に示すように,可変パッド12は,透明シートを二つ折りにした矩 れている。タイプレート11は,基板11aの幅方向を軌道の長さ方向に合わせて,枕木(図示せず)の上に設けられている。 【0021】図3に示すように,可変パッド12は,透明シートを二つ折りにした矩形の薄い袋状を成している。可変パッド12は,対角の位置にそれぞれ注入口12aと排出口12bとを有し,注入口12aには逆止弁21が溶着されている。可変パッド12は,内部に樹脂繊維シート22を収納し,縁辺部に,袋を貫通して内部から外部に伸びる複数の糸体23を有している。糸体23は,綿糸から成っている。図1および図2に示すように,可変パッド12は,タイプレート11の上に配置されている。可変パッド12は,注入口12aから内部に樹脂を注入し,固化させることにより形成されている。 【0022】なお,可変パッド12は,本発明の実施の形態の可変パッドの製造方法により製造されている。すなわち,まず,透明シートを二つ折りにして矩- 28 -形状にし,内部に樹脂繊維シート22を収納する。対角の位置にそれぞれ注入口12aと排出口12bとを確保して,重ね合わせた三辺12cをシール加工し,袋状に形成する。注入口12aに逆止弁21を溶着し,縁辺部に糸体23を取り付ける。なお,樹脂繊維シート22は,ガラス繊維シートよりも強度が大きい強化ポリエステルシートやビニロンシート等から成ることが好ましい。 【0023】図4に示すように,軌道パッド13は,矩形のゴム板から成り,底面13aに,所定の間隔をあけて互いに平行に設けられた2本の溝13bを有している。図1および図2に示すように,軌道パッド13は,底面13aを下にして,2本の溝13bがレール1の伸長方向に対して垂直方向に伸びるよう可変パッド12の上に配置されている。 【0024】図1,図2および図5に示すよ すように,軌道パッド13は,底面13aを下にして,2本の溝13bがレール1の伸長方向に対して垂直方向に伸びるよう可変パッド12の上に配置されている。 【0024】図1,図2および図5に示すように,鋼板14は,軌道パッド13の上面を覆うよう,軌道パッド13の上に貼り付けられている。鋼板14は,タイプレート11よりもレール1の伸長方向に長く形成され,レール1の伸長方向の両端に,軌道パッド13の外側で下方に湾曲して折り曲げられた湾曲部14aを有している。また,鋼板14は,各湾曲部14aの肩から下方に向かって伸びる,それぞれ3本の補強溝14bを有している。各補強溝14bは,断面が,湾曲部14aの肩でV字状を成し,湾曲部14aの下方でU字状を成している。 【0025】鋼板14は,タイプレート11より突出するレール1の伸長方向の両端部に,それぞれ両側縁からレール1の幅方向に突出した1対の突出部14cを有している。各突出部14cは,先端が下方に折れ曲がっている。鋼板14は,各突出部14cの付け根の上面に補強用の凹部14dを有して- 29 -いる。さらに,鋼板14は,レール1の伸長方向の両端縁に沿って,それぞれ各突出部14cの先端から湾曲部14aにかけて下方に折れ曲がった1対の折曲部14eを有している。 【0026】図1および図2に示すように,可変パッド12,軌道パッド13および鋼板14は,長さ方向を軌道の長さ方向に合わせて,タイプレート11の各ショルダー11bの間に設けられている。レール1は,タイプレート11の各ショルダー11bの間で,鋼板14の上に配置されている。レール1は,軌道の長さ方向に沿って設けられている。 【0027】図1に示すように,各板バネ15は,それぞれレール1の両側に配置されている。各板バネ15は,一端 ,鋼板14の上に配置されている。レール1は,軌道の長さ方向に沿って設けられている。 【0027】図1に示すように,各板バネ15は,それぞれレール1の両側に配置されている。各板バネ15は,一端15aの上に他端15bが重ねられた形状を有し,一端15aでレール1の底部1aを上から押え,一端15aの取付孔および他端15bの取付孔にショルダー11bから上方に突出するボルト2を挿入させ,ショルダー11bを覆った状態で,ボルト2にナット3を取り付けてショルダー11bに固定されている。板バネ15は,基板11aの突起11cにより中間折曲部が保持されている。 【0028】次に,作用について説明する。 レール締結装置10は,ゴム板から成る軌道パッド13が,底面13aに,レール1の伸長方向に対して垂直方向に伸び,所定の間隔をあけて互いに平行に設けられた2本の溝13bを有しているため,レール1の上を走行する車両の走行状態によって,レール1の伸長方向に沿って引っ張られたり押されたりしても,軌道パッド13がタイプレート11に対してレール1の伸長方向にずれにくい。また,可変パッド12の内部に注入した樹脂により,可変パッド12が軌道パッド13の底面13aの溝13bの形状- 30 -に対応した形状で固まるため,軌道パッド13がレール1の伸長方向にずれるのをより効果的に防止することができる。鋼板14の各湾曲部14aがレール1の伸長方向で軌道パッド13を挟み,鋼板14の各突出部14cがレール1の伸長方向でタイプレート11を挟むため,軌道パッド13がレール1の伸長方向にずれるのをさらに効果的に防止することができる。 【0031】なお,図6に示すように,鋼板14が湾曲部14aを有さず,折曲部14eが,レール1の伸長方向の両端縁に沿って,それぞれ一方 長方向にずれるのをさらに効果的に防止することができる。 【0031】なお,図6に示すように,鋼板14が湾曲部14aを有さず,折曲部14eが,レール1の伸長方向の両端縁に沿って,それぞれ一方の突出部14cの先端から他方の突出部14cの先端にかけて下方に折れ曲がって形成されていてもよい。この場合にも,鋼板14の各突出部14cがレール1の伸長方向でタイプレート11を挟むため,軌道パッド13がレール1の伸長方向にずれるのを効果的に防止することができる。また,各突出部14cの先端が下方に折れ曲がっているため,各突出部14cが変形しにくい。補強用の凹部14dにより,各突出部14cをレール1の伸長方向に沿って曲げる力に対する強度も大きい。各折曲部14eにより,各突出部14cや鋼板14の両端が,さらに変形しにくく,強度が大きい。これらにより,軌道パッド13のずれを,より一層効果的に防止することができる。 (3) 本件出願前の周知技術についてア甲2の記載事項について(ア) 甲2(特開昭57-201402号公報)には,以下の記載がある(下記記載中に引用する第1図ないし第4図については別紙3を参照)。 「3.〔発明の詳細な説明〕スラブ軌道の施工においては,各部材,各部品の製作公差,施工公- 31 -差の不整を補正して所定の精度に軌道を仕上げると同時に,レールを均等に支持しうるようにするために,レール締結部には現場で所定厚さに形成できるようにした可変パッキングが使用される。 第1図及び第2図は前記従来の可変パッキングを示し,内部に補強繊維(1)を有し,且つ逆止弁付き注入口(2)及び排気口(3)を具えた袋状体(4)よりなる可変パッキング(a)を,第3図に示す如く,コンクリートスラブ(b)上のタイプレート(c)と軌道パット(d 強繊維(1)を有し,且つ逆止弁付き注入口(2)及び排気口(3)を具えた袋状体(4)よりなる可変パッキング(a)を,第3図に示す如く,コンクリートスラブ(b)上のタイプレート(c)と軌道パット(d)との間に介装し,硬化剤を添加した液状樹脂を前記袋状体(4)内の注入口(2)より圧入するとともに,同袋状体(4)内の空気を排気口(3)より排出し,袋状態(4)内の空気を完全に排出して排気口(3)をクリップで閉じ,袋状体(4)を樹脂で充填膨脹させたのち同樹脂を硬化せしめ,前記タイプレート(c)及び軌道パット(d)間の間隙を完全に填隙し,袋状体(4)内の補強繊維(1)によって硬化物を強化プラスチックとなし,高強度を有する可変パッキングを構成するものである。(第4図参照)」(1頁左下欄17行~右下欄18行)「即ち従来の可変パッキングにおいては上下2枚のフイルム(4a)(4b)の周辺部を周辺シール部(4c)によって袋状に成型しているので,樹脂注入により第4図に示すように両端か膨らみ,一応可変パッキングの移動防止効果を発軌するが,前記膨らみ部(5)は円形断面となり,レール(e)の移動が衝撃的に生起した場合には膨らみ部(5)を乗超えて移動してしまい,移動止め効果が不十分であつた。」(2頁左上欄4行~11行)「本発明はこのような欠点を除去するために提案されたもので,軌道パッドとタイプレートとの間に介装される袋状体に,硬化性樹脂注入用の逆支弁付き注入口及び空気排気口を配設してなるスラブ軌道用可変パッキングにおいて,前記袋状体の両端縁に沿つて前記軌道パッ- 32 -ド及びタイプレートに対する係止用リブを突設するとともに,同リブの一部に蛇腹部の如き伸縮部を設けてなることを特徴とするスラブ軌道用可変パッキングに係るものである。」(2頁左上欄12行~ 32 -ド及びタイプレートに対する係止用リブを突設するとともに,同リブの一部に蛇腹部の如き伸縮部を設けてなることを特徴とするスラブ軌道用可変パッキングに係るものである。」(2頁左上欄12行~右上欄1行)(イ) 前記(ア)によれば,甲2には,レール締結装置において,タイプレートと軌道パッドの間に介装される可変パッキングについて,レール伸長方向の両端に「膨らみ部(5)」を有する構成が,可変パッキングの移動防止効果を発揮する従来技術として記載されていることが認められる。 イ甲3の記載事項について(ア) 甲3(特開平8-41803号公報)には,以下の記載がある(下記記載中に引用する図5及び図6については別紙4を参照)。 「【発明の詳細な説明】【0001】【産業上の利用分野】本発明は,レール底面とタイプレートとの間に軌道パッドと共に介装される樹脂注入式パッドに関するものである。 【0002】【従来の技術】軌道スラブやPCまくら木にレールを締結する場合,タイプレートをこれら軌道スラブやPCまくら木に固定し,このタイプレートに可変パッドおよび軌道パッドを挟んでレールを載せ,レールを保持している。 【0003】ここに可変パッドは,樹脂を注入した袋であり,樹脂の注入量を調節することによりレール面の高さを調整するものである。なおこの樹脂は袋の注入後に硬化する。 【0005】ここに従来の軌道パッドはレール長手方向の寸法がタイプレートとほぼ一致するように作られていた。一方可変パッドは,その両- 33 -端がタイプレートおよび軌道パッドのレール長手方向両端より突出するように寸法が決められる。そして可変パッドの両縁が樹脂封入時に膨張し,この膨張部分をタイプレートおよび軌道パッドの縁に係合させて樹脂を硬化させる。この結果樹脂 パッドのレール長手方向両端より突出するように寸法が決められる。そして可変パッドの両縁が樹脂封入時に膨張し,この膨張部分をタイプレートおよび軌道パッドの縁に係合させて樹脂を硬化させる。この結果樹脂が硬化した可変パッドの両縁が軌道パッドおよびタイプレートの縁に係合し,可変パッドおよび軌道パッドのレール長手方向の移動を規制するようにしていた。 【0006】このように従来の可変パッドは,タイプレート上に正しく位置合せし,その両縁がタイプレートの両縁からほぼ等しい量だけ突出させる必要がある。そこでこの可変パッドの袋には,位置合せ用の目印が付されていた。この目印は袋の縁に付したもので,この目印をタイプレートの縁に一致させてその上に軌道プレートおよびレールを載せていた。 【0007】【従来技術の問題点】しかし実際の作業現場ではこの目印を正しくタイプレートの縁に位置合せするのは面倒であり,特に夜間の作業では不正確になり易いという問題があった。 【0008】また作業中にこの袋が移動してしまうおそれもあった。このように袋が正しい位置にない状態で樹脂を注入すると,可変パッドの両端がタイプレートおよび軌道パッドに適正に係合できず,樹脂の硬化後に可変パッドや軌道パッドが移動し易いという問題があった。 【0009】【発明の目的】本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり,タイプレートに対して容易に正しい位置に位置決めすることができ,レールの伸縮によっても移動しにくくし,作業性も良い樹脂注入式可変パッドを提供することを目的とする。 【0010】【発明の構成】本発明によればこの目的は,タイプレートと軌道パッド- 34 -との間に軌道パッドと共に介装され,樹脂製袋内の樹脂注入量により前記軌道パッド上のレールの高さを調整可能にする樹脂注入式可変 の構成】本発明によればこの目的は,タイプレートと軌道パッド- 34 -との間に軌道パッドと共に介装され,樹脂製袋内の樹脂注入量により前記軌道パッド上のレールの高さを調整可能にする樹脂注入式可変パッドにおいて,前記樹脂製袋は,対角位置に設けられた樹脂注入口および空気抜き口と,他の対角位置に設けられ前記タイプレートのレール底部ガイド用突壁のレール長手方向の端縁に係合可能な突出部とを備えることを特徴とする樹脂注入式可変パッドにより達成される。 【0025】次に可変パッド38を説明する。この可変パッド38は図7に示すように樹脂製の袋66と,この袋66の内部に注入され硬化した樹脂層68とを有する。袋66は上下のシートの周縁を溶着して袋状としたものである。 【0026】この袋66は図5に示すように,タイプレート14の突壁48間を埋める寸法よりも,レール長手方向に長く,両端の突出部分の対角位置には樹脂注入口66Aと空気抜き口66Bとが形成されている。これら注入口66Aおよび空気抜き口66Bは,それぞれ対角方向へ延出している。 【0027】この袋66の他の対角位置には突出部66C,66Cが幅方向に突設されている。従ってこの袋66は,タイプレート14にセットした時には四隅の注入口66A,空気抜き口66B,突出部66C,66Cがそれぞれ突壁48,48の端縁に係合し,袋66がタイプレート14に対して正しく位置合せされる。 【0032】袋66に樹脂を注入すると,袋66は所定厚さになると共に,タイプレート14および軌道パッド40のゴム板54から突出した部分38A(図6参照)が膨張する。この膨張した部分38Aはタイプレート14と軌道パッド40に係合して相対的移動が規制される。また前記したゴム板54の横溝64にも係合する。さらに袋66の突出部66C 分38A(図6参照)が膨張する。この膨張した部分38Aはタイプレート14と軌道パッド40に係合して相対的移動が規制される。また前記したゴム板54の横溝64にも係合する。さらに袋66の突出部66Cや注入口66A,空気抜き口66Bにも樹脂が流入して硬化してい- 35 -るから,これらの部分がタイプレート14の突壁48に係合する。このため可変パッド38は一層確実にタイプレート14に位置決め固定される。」(イ) 前記(ア)によれば,甲3には,レール締結装置において,タイプレートと軌道パッドの間に介装される可変パッドについて,レール伸長方向の両端に「膨張した部分38A」を有する構成が,タイプレートと軌道パッドに係合して相対的移動を規制する効果を有するものとして記載されていることが認められる。 ウ小括前記ア及びイによれば,タイプレートの上に可変パッドが設置され,更にその上に軌道パッドが設置されるレール締結装置において,軌道パッド及び可変パッドがタイプレートに対してレールの伸長方向にずれるのを防止するための構成として,可変パッドが「レール伸長方向の両端に上方に突出する凸リブを有している」構成は,本件出願前に,周知であったことが認められる。 (4) 相違点1の認定の誤りの有無について原告は,甲4には,軌道パッドの接触下面(可変パッド上に載る面)の伸長方向の長さとタイプレートのレール伸長方向の長さとの関係について明示的に述べた記載はないが,①甲4記載の軌道パッド13においては,軌道パッド13に貼り付けられた鋼板14のレール伸長方向における前後両端部の左右両端から水平方向に突出した突出部14cが設けられており(別紙2の図5(a),(c)),この突出部14cの間にタイプレート11のショルダー部11bを挟むように配置することでタイ ける前後両端部の左右両端から水平方向に突出した突出部14cが設けられており(別紙2の図5(a),(c)),この突出部14cの間にタイプレート11のショルダー部11bを挟むように配置することでタイプレート11に対する位置決めができるようにし,ショルダー部11bはタイプレート11のレール伸長方向の長さいっぱいに延在しているから(別紙2の図2),突出部14cの間の長さはタイプレート11のレール伸長方向の長さとほぼ一致する,②軌- 36 -道パッド13のレール伸長方向の長さは,突出部14cの間の長さとほぼ一致すること(別紙2の図5(c))からすると,甲4記載の軌道パッド13のレール伸長方向の長さは,タイプレート11のレール伸長方向の長さと一致していることを理解することができる,③軌道パッドの接触下面のレール伸長方向の長さとタイプレートのレール伸長方向の長さが一致している場合,可変パッドの突出している部分に軌道パッド及びタイプレートのレール伸長方向の両端に沿って凸リブが形成されること(例えば,甲2の第4図(別紙3)の「膨らみ部5」,甲3の図6(別紙4)の「膨張した部分38A」)からすると,甲4記載の可変パッド12の突出している部分には,軌道パッド13及びタイプレート11のレール伸長方向の両端に沿って凸リブが形成されているとして,甲4発明は,相違点1に係る本件発明1の構成のうち,「可変パッドはレール伸長方向の両端に上方に突出する凸リブを有している」との構成を備えているといえるから,本件審決がした相違点1の認定のうち,上記構成部分を相違点とした認定は誤りである旨主張する。 アそこで検討するに,前記(2)の甲4の記載事項によれば,甲4には,「タイプレート11の上に配置され,可変パッド12と,レール1との間に設けられる上面に鋼板14が貼り付 は誤りである旨主張する。 アそこで検討するに,前記(2)の甲4の記載事項によれば,甲4には,「タイプレート11の上に配置され,可変パッド12と,レール1との間に設けられる上面に鋼板14が貼り付けられた軌道パッド13であって,前記鋼板14は軌道パッド13が上記レール1の伸長方向にずれるのを防止するために,長さ方向の両端の中央部に,長さ方向に突出して先端が下方に折れ曲がった湾曲部14aを有し,軌道パッド13の端面と前記湾曲部14aの間には空所を有した軌道パッド13。」(甲4発明)が記載されていることが認められる。 しかしながら,甲4には,軌道パッド13とタイプレート11の間に配置された可変パッド12が,「そのレール伸長方向の両端に上方に突出する凸リブを有している」との構成を備えることについて述べた記載はなく,また,甲4の図面(図1ないし6)にも上記構成は図示されていない。 - 37 -したがって,甲4に接した当業者において,甲4記載の可変パッド12が上記構成を備えているものと理解するものと認めることはできない。 イこの点に関し,原告は,軌道パッドの接触下面のレール伸長方向の長さとタイプレートのレール伸長方向の長さが一致している場合,可変パッドの突出している部分に軌道パッド及びタイプレートのレール伸長方向の両端に沿って凸リブが形成されること(例えば,甲2の第4図(別紙3)の「膨らみ部5」,甲3の図6(別紙4)の「膨張した部分38A」)からすると,甲4記載の可変パッド12の突出している部分には,軌道パッド13及びタイプレート11のレール伸長方向の両端に沿って凸リブが形成されている旨主張する。 しかしながら,甲4には,タイプレート11,可変パッド12及び軌道パッド13の配置に関し,「図1および図2に示すように,可変パッド1 ール伸長方向の両端に沿って凸リブが形成されている旨主張する。 しかしながら,甲4には,タイプレート11,可変パッド12及び軌道パッド13の配置に関し,「図1および図2に示すように,可変パッド12,軌道パッド13および鋼板14は,長さ方向を軌道の長さ方向に合わせて,タイプレート11の各ショルダー11bの間に設けられている。」(段落【0026】),「レール締結装置10は,ゴム板から成る軌道パッド13が,底面13aに,レール1の伸長方向に対して垂直方向に伸び,所定の間隔をあけて互いに平行に設けられた2本の溝13bを有しているため,レール1の上を走行する車両の走行状態によって,レール1の伸長方向に沿って引っ張られたり押されたりしても,軌道パッド13がタイプレート11に対してレール1の伸長方向にずれにくい。また,可変パッド12の内部に注入した樹脂により,可変パッド12が軌道パッド13の底面13aの溝13bの形状に対応した形状で固まるため,軌道パッド13がレール1の伸長方向にずれるのをより効果的に防止することができる。鋼板14の各湾曲部14aがレール1の伸長方向で軌道パッド13を挟み,鋼板14の各突出部14cがレール1の伸長方向でタイプレート11を挟むため,軌道パッド13がレール1の伸長方向にずれるのをさらに- 38 -効果的に防止することができる。」(段落【0028】)との記載があるが,軌道パッド13の伸長方向の長さ,可変パッド12の伸長方向の長さ及びタイプレート11のレール伸長方向の長さの関係について述べた記載はなく,ましてや軌道パッド13の接触下面(可変パッドの載る面)のレール伸長方向の長さとタイプレート11のレール伸長方向の長さが一致していることや,可変パッド12がタイプレート11に対して突出している範囲等について述べた記載 3の接触下面(可変パッドの載る面)のレール伸長方向の長さとタイプレート11のレール伸長方向の長さが一致していることや,可変パッド12がタイプレート11に対して突出している範囲等について述べた記載はない。 もっとも,前記(3)ウ認定のとおり,タイプレートの上に可変パッドが設置され,更にその上に軌道パッドが設置されるレール締結装置において,軌道パッド及び可変パッドがタイプレートに対してレールの伸長方向にずれるのを防止するための構成として,可変パッドが「レール伸長方向の両端に上方に突出する凸リブを有する」構成は,本件出願前に周知であったものであるが,そのことから直ちに甲4記載の軌道パッド13において上記周知の構成が当然に採用されているものとはいえない。 すなわち,まず,例えば,甲3に,「一方可変パッドは,その両端がタイプレートおよび軌道パッドのレール長手方向両端より突出するように寸法が決められる。そして可変パッドの両縁が樹脂封入時に膨張し,この膨張部分をタイプレートおよび軌道パッドの縁に係合させて樹脂を硬化させる。この結果樹脂が硬化した可変パッドの両縁が軌道パッドおよびタイプレートの縁に係合し,可変パッドおよび軌道パッドのレール長手方向の移動を規制するようにしていた。」(段落【0005】),「このように従来の可変パッドは,タイプレート上に正しく位置合せし,その両縁がタイプレートの両縁からほぼ等しい量だけ突出させる必要がある。そこでこの可変パッドの袋には,位置合せ用の目印が付されていた。この目印は袋の縁に付したもので,この目印をタイプレートの縁に一致させてその上に軌道プレートおよびレールを載せていた。」(段落【0006】),「【従- 39 -来技術の問題点】しかし実際の作業現場ではこの目印を正しくタイプレートの縁に位置合せする の縁に一致させてその上に軌道プレートおよびレールを載せていた。」(段落【0006】),「【従- 39 -来技術の問題点】しかし実際の作業現場ではこの目印を正しくタイプレートの縁に位置合せするのは面倒であり,特に夜間の作業では不正確になり易いという問題があった。」(段落【0007】)との記載があるように,上記周知の構成にも問題点がある。さらには,甲4の段落【0028】に「また,可変パッド12の内部に注入した樹脂により,可変パッド12が軌道パッド13の底面13aの溝13bの形状に対応した形状で固まるため,軌道パッド13がレール1の伸長方向にずれるのをより効果的に防止することができる。鋼板14の各湾曲部14aがレール1の伸長方向で軌道パッド13を挟み,鋼板14の各突出部14cがレール1の伸長方向でタイプレート11を挟むため,軌道パッド13がレール1の伸長方向にずれるのをさらに効果的に防止することができる。」との記載によれば,甲4発明においては,軌道パッド及び可変パッドがタイプレートに対してレールの伸長方向にずれるのを防止するための構成として,「可変パッド12が軌道パッド13の底面13aの溝13bの形状に対応した形状で固まる」構成及び「鋼板14の各湾曲部14aがレール1の伸長方向で軌道パッド13を挟み,鋼板14の各突出部14cがレール1の伸長方向でタイプレート11を挟む」構成を採用していることを理解することができるから,上記のようなずれを防止するために「可変パッドはレール伸長方向の両端に上方に突出する凸リブを有している」構成を採用しなければならない必然性はない。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 ウ以上によれば,甲4の記載事項全体から,甲4発明が「可変パッドはレール伸長方向の両端に上方に突出する凸リブを有し らない必然性はない。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 ウ以上によれば,甲4の記載事項全体から,甲4発明が「可変パッドはレール伸長方向の両端に上方に突出する凸リブを有している」との構成(相違点1に係る本件発明1の構成)を備えているものと認めることはできない。 したがって,本件審決がした相違点1の認定のうち,上記構成部分を相- 40 -違点とした認定は誤りであるとの原告の主張は理由がない。 (5) 相違点2の認定の誤りの有無について原告は,①甲4発明の可変パッド12は,その右側面に上下に間隔をあけて配置された「三角形の突起部」(別紙2の図3)によって位置決めされ,その両端がレール伸長方向に突出した状態でタイプレート11の上に設置されることになり,そのように設置された可変パッド12の上に軌道パッド13を載せて可変パッド12に樹脂を充填すれば,可変パッド12のレール伸長方向の両端には,上方及び下方に突出した凸リブが形成されることになる,②甲4発明の上面に鋼板14が貼り付けられた軌道パッド13には,接触下面の縁に沿って凹溝(別紙2の図5(c)記載の鋼板14の下方に折れ曲がった湾曲部14aと軌道パッド13の端面との間に生じている下方に開口している空間)が設けられているため,可変パッド12の凸リブは必然的にこの凹溝内に突出するように形成され,その凹溝には,上記凸リブが収容されることになるから,軌道パッド13における凹溝は,軌道パッド13が可変パッド12の上に配置されたときに可変パッド12の凸リブを挿入可能な凹溝であるとして,甲4発明は,相違点2に係る本件発明1の構成(「軌道パッドは下面に,前記可変パッドの上に配置されたとき各凸リブを挿入可能な凹溝を有している」との構成)を備えているといえるから,本件審決 であるとして,甲4発明は,相違点2に係る本件発明1の構成(「軌道パッドは下面に,前記可変パッドの上に配置されたとき各凸リブを挿入可能な凹溝を有している」との構成)を備えているといえるから,本件審決がした相違点2の認定は誤りである旨主張する。 しかしながら,甲4発明の軌道パッド13には,「長さ方向の両端の中央部に,長さ方向に突出して先端が下方に折れ曲がった湾曲部14aを有し,軌道パッド13の端面と前記湾曲部14aの間には空所」(別紙2の図5(c)記載の鋼板14の下方に折れ曲がった湾曲部14aと軌道パッド13の端面との間に生じている下方に開口している空間)が設けられているが,前記(4)ウ認定のとおり,そもそも,甲4の記載事項全体から,甲4発明において「可変パッドはレール伸長方向の両端に上方に突出する凸リブを有してい- 41 -る」との構成(相違点1に係る本件発明1の構成)を備えているものと認めることはできないから,上記空所が「軌道パッド13が可変パッド12の上に配置されたときに可変パッド12の凸リブを挿入可能な凹溝」に相当するものと認めることはできない。 また,甲4には,上記空所が形成されることの意義について述べた記載はなく,上記空所を「軌道パッド13が可変パッド12の上に配置されたときに可変パッド12の凸リブを挿入可能」となるようにするために設けたことについての記載も示唆もない。 したがって,原告の上記主張は,理由がない。 (6) まとめ以上によれば,本件審決における相違点1及び2の認定に誤りはないから,原告主張の取消事由1は理由がない。 2 取消事由2(相違点の容易想到性の判断の誤り)について(1) 原告は,本件審決がした本件発明1と甲4発明との相違点1及び2の認定に誤りがあり,両者は,軌道パッドとしての構造 1は理由がない。 2 取消事由2(相違点の容易想到性の判断の誤り)について(1) 原告は,本件審決がした本件発明1と甲4発明との相違点1及び2の認定に誤りがあり,両者は,軌道パッドとしての構造上の相違はなく,相違点1に係る本件発明1の構成のうち,軌道パッドが「既に固化している既設の可変パッドと,レールとの間に設けられ」るとの構成に関し,甲4には,甲4発明の軌道パッドがそのような用途に用いられることについての記載がない点でのみ相違するとの前提に立った上で,上記相違点に係る本件発明1の構成は当業者が容易に想到することができたから,本件審決の相違点の容易想到性の判断には誤りがあり,ひいては,本件発明1は,甲4に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものではないとした本件審決の判断は誤りである旨主張する。 しかしながら,本件審決の相違点1及び2の認定に誤りがないことは,前記1で述べたとおりであるから,原告の上記主張は,その前提において誤りがあり,これを採用することはできない。 - 42 -したがって,原告主張の取消事由2は,理由がない。 (2) なお,以下においては,当業者が相違点1及び2に係る本件発明1の構成を容易に想到することができないとした本件審決の判断について,念のため検討する。 ア原告は,甲16によれば,軌道パッドの交換が必要となった場合,既設の可変パッドをそのまま利用して交換が必要となった軌道パッドのみを交換することは,本件出願前に,当業者にとって技術常識となっていたことからすると,当業者は,甲4発明において,上記技術常識を適用して,軌道パッドを「既に固化している既設の可変パッドとレールとの間に設け」る構成(相違点1に係る本件発明1の構成)を採用することを容易に想到することがで 者は,甲4発明において,上記技術常識を適用して,軌道パッドを「既に固化している既設の可変パッドとレールとの間に設け」る構成(相違点1に係る本件発明1の構成)を採用することを容易に想到することができた旨主張する。 しかるところ,甲16は,平成21年9月に開催された「土木学会第64回年次学術講演会」において,東日本旅客鉄道株式会社の技術者が行った「効果的なレール面整正について」と題する講演の内容を記録した文献であるが,その中には,東日本旅客鉄道管内の東北新幹線のレールに設置された軌道パッドについて,10年以内で定期的に交換することが望ましいにもかかわらず,実際的に定期交換等は行っていないこと,その理由のひとつは,軌道パッドの交換に伴い可変パッドも交換する必要が生じ,レール面整正(高低整備)を行うこととなり,作業・工事費が膨大となり,交換数量に制限が出るためであること,そこで,レール面整正を伴わず,軌道パッドのみを交換するための「新型軌道パッドの開発」に取り組むこととしたことなどが記載され,更に,当該取組みの内容について,開発に係る軌道パッドはレール底部面を溝付とし,可変パッド面を平面としたもの(片面溝付パッド)とされ,軌道パッドのみを交換し,既に敷設されている可変パッドを再用したものを試験敷設し,軌道変位等の推移の検証を行っていることなどが記載されている。 - 43 -上記記載によれば,本件出願前に,従来のレール締結装置には,軌道パッドと同時に可変パッドも交換しなければならず,作業・工事費が嵩むという課題があることが当業者において認識されており,既設の可変パッドを再利用し,軌道パッドのみを交換することができるような軌道パッドを製作しようとする試みが,本件出願(出願日平成24年3月22日)の約2年半前から行われていたことが認 識されており,既設の可変パッドを再利用し,軌道パッドのみを交換することができるような軌道パッドを製作しようとする試みが,本件出願(出願日平成24年3月22日)の約2年半前から行われていたことが認められる。 そこで,当業者が甲4発明において相違点1及び2に係る本件発明1の構成を採用することを容易に想到することができたかどうかについて検討する。 イ(ア) まず,相違点1に係る本件発明1の構成のうち,「可変パッドはレール伸長方向の両端に上方に突出する凸リブを有している」との構成については,甲4の記載事項全体から甲4発明において上記構成を備えているものと認めることはできないが(前記1(4)ウ),一方で,タイプレートの上に可変パッドが設置され,更にその上に軌道パッドが設置されるレール締結装置において,軌道パッド及び可変パッドがタイプレートに対してレールの伸長方向にずれるのを防止するための構成として,上記構成は,本件出願前に周知であったこと(前記1(3)ウ)からすると,甲4発明において,軌道パッド及び可変パッドがタイプレートに対してレールの伸長方向にずれるのをさらに効果的に防止するため,上記構成を採用することを着想すること自体には格段の困難はないものと認められる。 (イ) しかしながら,他方で,前記1(5)のとおり,甲4発明の軌道パッド13には,「長さ方向の両端の中央部に,長さ方向に突出して先端が下方に折れ曲がった湾曲部14aを有し,軌道パッド13の端面と前記湾曲部14aの間には空所」(別紙2の図5(c)記載の鋼板14の下方に折れ曲がった湾曲部14aと軌道パッド13の端面との間に生じて- 44 -いる下方に開口している空間)が設けられているが,甲4には,上記空所が形成されることの意義について述べた記載はなく,上記空所を「軌道パッ 部14aと軌道パッド13の端面との間に生じて- 44 -いる下方に開口している空間)が設けられているが,甲4には,上記空所が形成されることの意義について述べた記載はなく,上記空所を「軌道パッド13が可変パッド12の上に配置されたときに可変パッド12の凸リブを挿入可能」となるようにするために設けたことについての記載も示唆もない。 加えて,甲2及び甲3においても,可変パッドの各凸リブに対応して軌道パッドの下面に,可変パッドの上に配置されたときに各凸リブを挿入可能な凹溝を設けることについての記載や示唆はないし,ましてや,そのような構成が,既に固化している既設の可変パッドをそのまま利用して交換が必要となった軌道パッドのみを交換しようとした場合に効果的であることについての記載も示唆もない。 そうすると,本件出願前に,従来のレール締結装置には,軌道パッドと同時に可変パッドも交換しなければならず,作業・工事費が嵩むという課題があることが当業者において認識されていたとしても,甲4に接した当業者において,甲4発明において,軌道パッドを「既に固化している既設の可変パッドと,レールとの間に設け」る構成(相違点1に係る本件発明1の構成の一部)を採用した上で,「可変パッドはレール伸長方向の両端に上方に突出する凸リブを有している」との構成(相違点1に係る本件発明1の構成の残部)と「軌道パッドは下面に,前記可変パッドの上に配置されたとき各凸リブを挿入可能な凹溝を有している」との構成(相違点2に係る本件発明1の構成)を組み合わせた構成を採用することについての動機付けがあるものと認めることはできない。 したがって,当業者において,甲4に記載された発明及び本件出願前の周知技術から,相違点1及び2に係る本件発明1の構成を容易に想到することができたものと 動機付けがあるものと認めることはできない。 したがって,当業者において,甲4に記載された発明及び本件出願前の周知技術から,相違点1及び2に係る本件発明1の構成を容易に想到することができたものと認めることはできない。 ウ以上によれば,本件発明1は甲4に記載された発明及び本件出願前の周- 45 -知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものとはいえないとした本件審決の判断に誤りはない。 また,本件発明1(請求項1)の記載を引用する本件発明2及び3についても,本件発明1の場合と同様の理由により,甲4に記載された発明及び本件出願前の周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものとはいえないから,これと同旨の本件審決の判断に誤りはない。 3 結論以上の次第であるから,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,本件審決にこれを取り消すべき違法は認められない。 したがって,原告の請求は棄却されるべきものである。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官大鷹一郎 裁判官大西勝滋 裁判官田中正哉 - 46 -(別紙1) 本件明細書の図面【図1】 【図2】 - 47 -【図3】 【図5】 - 48 -【図6】 - 49 -(別紙2) 甲4の図面 【図1】 【図2】 【図6】 (別紙2)甲4の図面 【図1】 【図2】 【図3】 【図4】 【図5】 【図6】 (別紙3)甲2の図面 (別紙4)甲3の図面 【図5】 【図6】
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