【DRY-RUN】主 文 原判決及び本件命令主文第一項中、控訴人株式会社朝日新聞社西部本社に関する部 分並びに控訴人株式会社朝日新聞社関係でのAについての部分を取消す。 控訴人株式会社朝日新聞社のその余の部分につい
主 文 原判決及び本件命令主文第一項中、控訴人株式会社朝日新聞社西部本社に関する部 分並びに控訴人株式会社朝日新聞社関係でのAについての部分を取消す。 控訴人株式会社朝日新聞社のその余の部分についての控訴を棄却する。 訴訟費用は第一、二審を通じ、控訴人朝日新聞社西部本社に関して生じた部分は、 被控訴人及び参加人らの負担とし、控訴人朝日新聞社に関して生じた部分は、同控 訴人の負担とする。 事 実 第一 当事者双方の求める裁判 控訴人ら代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人福岡県地方労働委員会が参加 人らを申立人、控訴人らを被申立人とする福岡地労委昭和四九年(不)第二四号不 当労働行為救済申立事件について、昭和五〇年九月六日付でなした命令中主文第一 項を取り消す。訴訟費用は第一、二審を通じ被控訴人及び参加人らの負担とす る。」との判決を求め、被控訴人、参加人らは控訴棄却の判決を求めた。 第二 当事者の主張 次のとおり付加するほか、原判決事実摘示と同一であるからこれを引用する(但 し、原判決三枚目表二行目から四行目にかけて「被告は、……について」とあるの を、「参加人らは、控訴人らを被申立人とし、本件命令書記載の第一、七、(1) ないし(3)の処分が不当労働行為であるとして被控訴人に救済命令を申立て(福 岡地労委昭和四九年(不)第二四号不当労働行為救済申立事件)、被控訴人は、」 と、同一四枚目表七行目に「2」とあるのを「三」と、同五枚目表九行目、同七枚 目表八行目、同八枚目表三行目、同葉裏二行目、九枚目表一三行目、同一〇枚目表 一行目、同一一枚目表二行目、同葉裏九行目、同一二枚目表一一行目、同二四枚目 裏九行目、同二八枚目表六行目、同二九枚目裏一行目、同三三枚目裏一〇行目と一 一行目、同三四枚目裏一行目、同三七枚目表一〇行目の「第一、」または「第 二、」 葉裏九行目、同一二枚目表一一行目、同二四枚目 裏九行目、同二八枚目表六行目、同二九枚目裏一行目、同三三枚目裏一〇行目と一 一行目、同三四枚目裏一行目、同三七枚目表一〇行目の「第一、」または「第 二、」の次のアラビヤ数字をいずれもそれに該当の漢数字に、同一一枚目表二行目 の「(3)乃至(6)」とあるのを「(1)ないし(3)」と、同二二枚目裏一二 行目及び同二三枚目表九行目から一〇行目にかけて「七五条」とあるのを「七三 条」とそれぞれ改め、同八枚目表三行目、同三三枚目裏一〇行目と一一行目の各括 弧内を削り、同三二枚目表一一行目、同三三枚目表一行目の各「業務命令」の後に 「拒否」を挿入する。)。 一 控訴人らの主張 組合又は組合員は会社の許諾がない限り、会社の所有、管理する施設を利用する 権限はなく、組合又は組合員が会社の許諾を得ないでこれら会社の施設を利用して 組合活動を行うことは、これらの者に対しその利用を許さないことが権利濫用と認 められるような特段の事情のない限り、正当な組合活動として許容されることはな いというべきである。本件の場合、約一ケ月間にわたり、「無能な経営者は死ね」 などと記載した悪質なビラを含む、総数一万八〇〇〇枚のビラを、大半が全面のり 付けで、社屋の内外のいたる所に貼付し、その結果読者のひんしゆくを買い新聞販 売店の業務意欲を失わせるなど、会社の販売業務は著しく阻害されたのであるか ら、かかるビラ貼り行為のために会社の施設の利用を許さないことが権利の濫用に なるなどという特段の事情が存しないことは言うまでもないところである。 原判決は、いわば相対説の立場から、ビラ貼り行為の判断要素として、ビラの形 態、記載内容、貼付場所、貼付方法等の行為態様、紛争経緯、労使間の慣行などの 要素を列挙するが、そもそも会社施設の利用権限の存否が問題であつて、かかる判 断 から、ビラ貼り行為の判断要素として、ビラの形 態、記載内容、貼付場所、貼付方法等の行為態様、紛争経緯、労使間の慣行などの 要素を列挙するが、そもそも会社施設の利用権限の存否が問題であつて、かかる判 断要素のいかんを問う余地もないのであるが、仮りに原判決の立場に立つて右の諸 点を検討しても、本件ビラ貼り行為を正当とする余地はない。 二 参加人らの主張 1 会社施設に対するビラ貼りは、労働組合が憲法上保障された団結権、団体行動 権行使の重要な一環としてなされるものであり、それが会社の意に反してなされた というだけで違法となるものではなく、正当な組合活動として許容される限度は、 原判決が挙示する諸要素を総合して判断すべきであるが、ここでは特に、本件ビラ 貼りによつて会社の販売業績など業務に全く支障がなかつたことを付言する。 2 訴外Aに対する会社の懲戒処分は同人が前記昼勤拒否、夜勤強行就労を企画指 導したことを決定的動機とするものであり、ビラ貼り等の行為を指示したことは付 随的な理由にすぎない。したがつて、右ビラ貼り行為に違法な点があつたとして も、右昼勤拒否等が正当な団体行動である以上、右処分が不当労働行為であること は免れない。 第三 証拠関係(省略) 理 由 当裁判所は、控訴人株式会社朝日新聞社西部本社の本訴請求はすべて正当として 認容すべきであり、控訴人株式会社朝日新聞社の本訴請求は、そのうちAに関する 部分は正当として認容すべきであり、その余の者等に関する部分は失当として棄却 すべきものと認定判断するが、その理由は次のとおり改め、加えるほか、原判決理 由説示と同一であるから、これを引用する。 一 原判決五二枚目裏二行目から五四枚目表九行目までの説示を次のとおり改め る。 2 次に控訴人らの、西部本社は労働組合法上の使用者に該当せず、被申立人適格 を有 説示と同一であるから、これを引用する。 一 原判決五二枚目裏二行目から五四枚目表九行目までの説示を次のとおり改め る。 2 次に控訴人らの、西部本社は労働組合法上の使用者に該当せず、被申立人適格 を有しないとの主張について判断する。 労組法七条二項の使用者とは、原則として労働契約の当事者に限るものというべ く、仮に不当労働行為救済の目的からその使用者概念を拡張する必要性を認める余 地があるとしても、成立に争いがない甲第一号証、原審証人B、同C、当審証人D の各証言並びに弁論の全趣旨によれば、控訴人会社は、東京、大阪、西部、名古屋 に各発行本社を置き日刊新聞の発行を業とする会社であるが、西部本社は商法上株 式会社朝日新聞社の支店であつて、西部本社代表は西部本社の事務を統轄するとは いえ登記を有する支配人でも代表権もなく、その機能は西部本社を構成する編集 局、業務局、印刷局及び総務部の各部、局間の調整指導を行うに過ぎず、加えて本 件不当労働行為救済の目的は、その原因たる事実関係が西部本社において惹起した ものであるとはいえ、控訴人会社のした懲戒処分の取消を求めるものであることが 明らかであるから、西部本社に被申立人適格はないものといわねばならない。 3 よつて、本件救済命令申立の、申立人適格を争う控訴人らの主張は理由がな く、被申立人適格を争う控訴人らの主張は理由がある。 二1 原判決五四枚目裏四行目、同葉九行目、同五五枚目表一一、一二行目に「堅 型」とあるのを「竪型」と改める。 2 同五七枚目裏一三行目及び同五八枚目表四行目に「機付人員」とあるのを、そ れぞれ「在籍人員」と改める。 3 同葉裏八行目から九行目にかけて「できない見解」とあるのを「できないとの 見解」と改める。 4 同六一枚目表一三行目の「成立に争いのない」の後に「甲第九号証の八」を、 同葉裏一行目の「同第三号 る。 3 同葉裏八行目から九行目にかけて「できない見解」とあるのを「できないとの 見解」と改める。 4 同六一枚目表一三行目の「成立に争いのない」の後に「甲第九号証の八」を、 同葉裏一行目の「同第三号証」の後に、「同第一〇四号証の二」をそれぞれ挿入 し、同四行目に「丙第四二号証」とあるのを、「丙第四二号証の一、二、」と、同 六行目から七行目にかけて「証人A、同C」とあるのを、「原審及び当審証人A、 原審証人C、当審証人E、同D」とそれぞれ改める。 5 同六五枚目裏八行目の「同第四六号証の一、二」の後に「同第八六号証」を挿 入し、同九行目に「丙第二ないし同第四号証」とあるのを、「丙第二、三号証」と 改め、同一一行目に「同第八六号証」とあるのを削除し、同一二行目の「甲第四八 号証の一〇、」の後に、「原審証人Aの証言によつて真正に成立したことが認めら れる丙第四号証、」を挿入し、同一二行目から一三行目にかけて「証人A、同C、 同F」とあるのを、「原審及び当審証人A、原審証人F、当審証人E」と改める。 6 同六六枚目表二行目に「記載部」とあるのを、「記載部分」と改める。 7 同七一枚目表一〇行目の「採用しない。)、」の後に「丙第一一一号証の一、 二、」を、同葉裏三行目の「各証」の後に「、当審証人Aの証言によつて真正に成 立したことが認められる丙第一〇九号証の四のイ、ロ、ハ、第一一〇号証の一、 二、当審証人Gの証言によつて真正に成立したことが認められる同第一一一号証の 三ないし五並びに右各証言」をそれぞれ挿入する。 8 同七四枚目表一三行目に「同一二日」とあるのを、「同一五日」と改める。 9 同葉裏九行目の「規定されている」を「、同第六九条には『組合が会社の施設 を利用又は使用しようとする場合は、予め会社の許可を得るものとする。』と各規 定されている」に改める。 三 同七五枚目表一行 9 同葉裏九行目の「規定されている」を「、同第六九条には『組合が会社の施設 を利用又は使用しようとする場合は、予め会社の許可を得るものとする。』と各規 定されている」に改める。 三 同七五枚目表一行目の末尾の次に行を変え、次の説示を加える。 本件ビラ貼付について、一部の読者や販売店から苦情を述べられたことはあつた が、本件ビラ貼付の前後を通じ全体としての販売成績にはさして影響がなく、本件 ビラ貼付によつて各別業務が阻害されることはなかつた。 四 原判決の理由説示のうち、本件ビラ貼りについての部分(同八一枚目表一一行 目から八四枚目表六行目まで)を次のとおり改める。 前記認定事実によると、会社内における組合の掲示は、会社と組合間の労働協約 により、会社の認めた一定の掲示板を使用し、それ以外の場所を使用する場合は会 社の許可を要することになつているところ、本件ビラは会社の所有ないし管理す る、所定の掲示板以外の場所に、会社の警告を無視し、あるいは会社が撤去したそ の跡に貼るなどして、無権限に貼付されたものであることは明らかである。そして 控訴人会社においては、従来も争議時には会社の許可なく掲示板以外の場所に組合 のビラが貼付されたことがあつたが、本件の場合に比較し小規模であつたため、抗 議、警告にとどめ、処分にまでは至らなかつたものの、本件の場合、約一ヶ月間に わたり、総数約一万八〇〇〇枚のビラが貼付され、その記載内容も中には「無能な 経営者は死ね!!」、「俺が死ぬときてめえも殺す」、「下の工場は五月一〇日よ りドレイ工場です。」など穏当を欠くものもあり、貼付場所も印刷課休憩室及びそ の附近に始まり、後には見学者通路の壁、正面玄関のガラス扉、正面玄関内業務会 議室横の壁一帯さらには社屋の外壁にまで及び、貼付方法も当初はセロテープを用 いていたが、後には殆どのり付の方法で貼 室及びそ の附近に始まり、後には見学者通路の壁、正面玄関のガラス扉、正面玄関内業務会 議室横の壁一帯さらには社屋の外壁にまで及び、貼付方法も当初はセロテープを用 いていたが、後には殆どのり付の方法で貼られたため、会社はこれをはぐのに消防 用ホースや鉄ベラを使用しなくてはならなかつた程であることに徴すると、組合の 本件ビラ貼りが、腰痛症多発の事情から機付人員削減に反対する立場を明らかに し、他職場の理解を得、組合の結束を強めるための情宣活動として始められたもの で、数回にわたる労使間の交渉によるも対立が顕著なうえ、会社の強行実施が予定 され、かつ実施後も解決のめどがつかないという背景のもとに拡大、強化されてい つたということ、その結果、社屋の内外の美観を損ね、一時的にせよ、新聞販売店 などに不信感を与えたことはあつたが、会社の業務自体は格別阻害されることはな かつたことなどの諸事情を考慮に入れても、本件ビラ貼り行為は度を過ぎ、正当な 組合活動として許容される範囲を逸脱したものといわねばならない。 五 原判決の理由説示のうち、本件救済命令の正当性についての部分(同八四枚目 八行目から一〇行目まで)を次のとおり改める。 会社の本件懲戒処分のうち、Aに関する部分は、同人が西部支部執行委員長とし て支部組合員に指示して、昭和四九年五月一五日から同月二七日までの間昼勤拒 否、夜間強行就労の行為をさせ、同年四月二六日から同年五月二六日までの間会社 の許可した以外の場所にビラを貼らせたことを理由とするものであり、Hほか七六 名に関する部分は、前記昼勤拒否、夜間強行就労を理由とするものであることは当 事者間に争いがない。 そして、前記昼勤拒否、夜間強行就労を理由とする本件懲戒処分が労組法七条一 号の不当労働行為を構成すると判断して発した本件命令は相当であり、これを取り 消すべき瑕疵は認め とは当 事者間に争いがない。 そして、前記昼勤拒否、夜間強行就労を理由とする本件懲戒処分が労組法七条一 号の不当労働行為を構成すると判断して発した本件命令は相当であり、これを取り 消すべき瑕疵は認められないが、Aに対する本件懲戒処分については、同人が前記 のとおり組合員をしてビラ貼りをさせたことをも処分の一事由となつているので、 同人に関する部分の本件命令の当否を検討するに、右のビラ貼りが正当な組合活動 として許容される範囲を逸脱したものであることは前示のとおりであり、参加人ら 主張の如くAに対する本件懲戒事由が前記昼勤拒否、夜間強行就労を決定的動機と するものであつて、ビラ貼りは付随的事由に過ぎないと認めるに足りる証拠はな く、本件ビラ貼りを企画実行させたことのみをもつても、本件懲戒を不当といいき れないことからすると、Aに対する本件懲戒処分をもつて不当労働行為とした本件 命令は、不当として取消を免れない。 六 よつて、控訴人西部本社の本訴請求及び控訴人会社の本訴請求中Aに関する部 分は理由があるから、原判決及び本件命令の右部分を取消し、控訴人会社の爾余の 部分についての請求は理由がないからこの部分についての控訴を棄却し、訴訟費用 の負担につき民訴法九六条、八九条、九二条、九三条を適用して、主文のとおり判 決する。 (裁判官 美山和義 前川鉄郎 川畑耕平)
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