令和2(わ)2804 背任

裁判年月日・裁判所
令和3年8月4日 大阪地方裁判所
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判決文本文6,733 文字)

主文 被告人を懲役3年に処する。 未決勾留日数中140日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実) 被告人は,平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間,大阪市a区bc番d号に本店を置くα株式会社のβ開発推進担当課長として,同年4月1日から令和元年6月30日までの間,α株式会社のγ開発推進担当課長として,α株式会社が発注するプログラム作成等の業務の発注先業者の選定や同業務委託の代金額交渉などを実質統括し,発注先業者を選定して同業務委託代金額の交渉をする際, α株式会社が無用な支出等により損失を被らないようα株式会社のために誠実にその職務を遂行すべき任務を有していたものであるが,第1 自己の利益を図る目的で,発注先業者に対して正規に支払うべき代金に自己の利得分を加算させてα株式会社の資金から支払わせようと考え,その任務に背き,α株式会社が発注する「ドローンによる屋内自律飛行に関する試作機お よびコントロールアプリケーションの作成」業務に関し,平成29年7月7日頃,発注予定先業者である株式会社δ従業員εに,正規の見積金額に同業務に必要のない電子機器の購入代金相当額を加算した金額の見積書を作成させるなどし,同年8月7日,α株式会社と株式会社δとの間で,正規に支払うべき代金額に前記電子機器の購入代金相当額である452万0880円を加算した3 088万8000円を契約金額とする業務委託契約を締結させ,平成30年4月13日,α株式会社から,前記契約に基づく代金3088万8000円を,東京都渋谷区ef丁目g番h号ζ銀行η支店に開設された株式会社δ名義の普通預金口座に振込送金させて支払わせ,もってα株式会社に対し,正規の代金額との差額452万0880円相当の財産上の損害を加えた。 第2 自 g番h号ζ銀行η支店に開設された株式会社δ名義の普通預金口座に振込送金させて支払わせ,もってα株式会社に対し,正規の代金額との差額452万0880円相当の財産上の損害を加えた。 第2 自己の利益を図る目的で,発注先業者に対して正規に支払うべき代金に自己 の利得分を加算させてα株式会社の資金から支払わせようと考え,その任務に背き,α株式会社が発注する「映像メタデータ自動生成のフィールドトライアルに関するプログラムの作成」業務に関し,平成29年9月5日頃,同業務の発注予定先業者である株式会社θ取締役ιに,正規の見積金額に同業務に必要のない電子機器の購入代金相当額を加算した金額の見積書を作成させるなど し,同年11月13日,α株式会社と株式会社θとの間で,正規の代金額に前記電子機器の購入代金相当額である1620万円を加算した3434万4000円を契約金額とする業務委託契約を締結させ,平成30年4月27日,α株式会社から,前記契約に基づく代金3434万4000円を,大阪市i区jk丁目l番m号ζ銀行κ支店に開設された株式会社θ名義の普通預金口座に振込 送金させて支払わせ,もってα株式会社に対し,正規の代金額との差額1620万円相当の財産上の損害を加えた。 第3 自己の利益を図る目的で,発注先業者に対して正規に支払うべき代金に自己の利得分を加算させてα株式会社の資金から支払わせようと考え,その任務に背き,α株式会社が発注する「AIを活用したFAQ自動生成に関するプログ ラムの作成」業務に関し,平成29年10月16日頃,同業務の発注予定先業者である株式会社θ取締役の前記ιに,正規の見積金額に同業務に必要のない電子機器の購入代金相当額を加算した金額の見積書を作成させるなどし,同年11月21日,α株式会社と株式会社θと 務の発注予定先業者である株式会社θ取締役の前記ιに,正規の見積金額に同業務に必要のない電子機器の購入代金相当額を加算した金額の見積書を作成させるなどし,同年11月21日,α株式会社と株式会社θとの間で,正規の代金額に前記電子機器の購入代金相当額である3024万円を加算した5724万円を契約金額と する業務委託契約を締結させ,平成30年4月27日,α株式会社から,前記契約に基づく代金5724万円を,前記株式会社θ名義の普通預金口座に振込送金させて支払わせ,もってα株式会社に対し,正規の代金額との差額3024万円相当の財産上の損害を加えた。 第4 自己の利益を図る目的で,発注先業者に対して正規に支払うべき代金に自己 の利得分を加算させてα株式会社の資金から支払わせようと考え,その任務に 背き,α株式会社が発注する「腐食監視システムの作成」業務に関し,平成29年10月24日頃,同業務の発注予定先業者である株式会社θ取締役の前記ιに,正規の見積金額に同業務に必要のない電子機器の購入代金相当額を加算した金額の見積書を作成させるなどし,同年12月11日,α株式会社と株式会社θとの間で,正規の代金額に前記電子機器の購入代金相当額である172 8万円を加算した2700万円を契約金額とする業務委託契約を締結させ,平成30年2月28日,α株式会社から,前記契約に基づく代金2700万円を,前記株式会社θ名義の普通預金口座(当時のλ銀行)に振込送金させて支払わせ,もってα株式会社に対し,正規の代金額との差額1728万円相当の財産上の損害を加えた。 第5 自己の利益を図る目的で,発注先業者に対して正規に支払うべき代金に自己の利得分を加算させてα株式会社の資金から支払わせようと考え,その任務に背き,α株式会社が株式会社μに対し えた。 第5 自己の利益を図る目的で,発注先業者に対して正規に支払うべき代金に自己の利得分を加算させてα株式会社の資金から支払わせようと考え,その任務に背き,α株式会社が株式会社μに対して発注する「多様なSDxサービスを実現するホワイトボックスCPE開発に関するハードウェア及びプログラムの作成委託」業務に関し,平成29年10月26日頃,同業務の再委託業務である 「SDx施策ホワイトボックス技術サポート」業務を受注する予定であった株式会社δ従業員の前記εに,株式会社δが株式会社μに対し請求すべき正規の代金額に,前記再委託業務に必要のない電子機器の購入代金相当額を加算した金額の見積を提示させるなどし,平成30年1月15日,同金額の提示を受けた株式会社μとα株式会社との間で,正規の代金額に前記電子機器の購入代 金相当額である1296万円を加算した3618万円を契約金額とする業務委託契約を締結させ,同年4月13日,α株式会社から,前記契約に基づく代金3618万円を,横浜市n区op丁目q番r号ν銀行ξ支店に開設された株式会社μ名義の普通預金口座に振込送金させて支払わせ,もってα株式会社に対し,正規の代金額との差額1296万円相当の財産上の損害を加えた。 第6 自己の利益を図る目的で,発注先業者に対して正規に支払うべき代金に自己 の利得分を加算させてα株式会社の資金から支払わせようと考え,その任務に背き,α株式会社がο株式会社に対して発注する「多様なSDxサービスを実現するホワイトボックスCPE開発に関するハードウェア及びプログラムの作成」業務に関し,平成29年12月8日頃,同業務の再委託業務である「SD-WANソフトウェア・サポート」業務を受注する予定であった株式会社δの 従業員の前記εに,株式会社δ ア及びプログラムの作成」業務に関し,平成29年12月8日頃,同業務の再委託業務である「SD-WANソフトウェア・サポート」業務を受注する予定であった株式会社δの 従業員の前記εに,株式会社δがο株式会社に対し請求すべき正規の代金額に,前記再委託業務に必要のない電子機器の購入代金相当額を加算した金額の見積を提示させるなどし,平成30年1月12日,同金額の提示を受けたο株式会社とα株式会社との間で,正規の代金額に前記電子機器の購入代金相当額である1188万円を加算した3488万9940円を契約金額とする業務委託契 約を締結させ,同年4月25日,α株式会社から,前記契約に基づく代金3488万9940円を,東京都港区st丁目u番v号wx階π銀行ρ支店に開設されたο株式会社名義の当座預金口座に振込送金させて支払わせ,もってα株式会社に対し,正規の代金額との差額合計1188万円相当の財産上の損害を加えた。 第7 自己及び大阪市a区に本店を置くコンピュータソフトウェアの開発及び販売等を業とする株式会社θの利益を図る目的で,発注先業者に対して正規に支払うべき代金に自己及び株式会社θの利得分を加算させてα株式会社の資金から支払わせようと考え,その任務に背き,α株式会社が発注する「ホワイトボックスCPE付加機能におけるハードウェア及びプログラムの作成」業務に関し, 平成30年4月11日頃,同業務の発注予定先業者である株式会社μ従業員Σに,正規の見積金額に,同業務に必要のない株式会社θに対する再委託業務である「ホワイトボックスCPEの動作及び機能検証」業務の契約代金相当額を加算した金額の見積書を作成させるなどし,同年6月4日,α株式会社と株式会社μとの間で,正規に支払うべき代金額に前記再委託契約の契約代金相当額 である4 作及び機能検証」業務の契約代金相当額を加算した金額の見積書を作成させるなどし,同年6月4日,α株式会社と株式会社μとの間で,正規に支払うべき代金額に前記再委託契約の契約代金相当額 である4860万円を加算した9612万円を契約金額とする業務委託契約を 締結させ,平成31年3月5日,α株式会社から,前記契約に基づく代金9612万円を,前記株式会社μ名義の普通預金口座に振込送金させて支払わせ,もってα株式会社に対し,正規の代金額との差額4860万円相当の財産上の損害を加えた。 第8 自己の利益を図る目的で,発注先業者に対して正規に支払うべき代金に自己 の利得分を加算させてα株式会社の資金から支払わせようと考え,その任務に背き,α株式会社がο株式会社に対して発注する「ホワイトボックスCPE付加機能におけるハードウェア及びプログラムの作成」業務に関し,平成30年4月中旬頃,同業務の再委託業務である「ホワイトボックスCPE付加機能におけるプログラムの作成」業務を受注する予定であった株式会社δ従業員の前 記εに,株式会社δがο株式会社に対し請求すべき正規の代金額に,前記再委託業務に必要のない電子機器の購入代金相当額を加算した金額の見積を提示させるなどし,同年6月4日,同金額の提示を受けたο株式会社とα株式会社との間で,正規の代金額に前記電子機器の購入代金相当額である1112万4000円を加算した8424万円を契約金額とする業務委託契約を締結させ,平 成31年3月5日,α株式会社から,前記契約に基づく代金8424万円を,前記ο株式会社名義の当座預金口座に振込送金させて支払わせ,もってα株式会社に対し,正規の代金額との差額1112万4000円相当の財産上の損害を加えた。 第9 自己の利益を図る目的で,発注先業者に対し ο株式会社名義の当座預金口座に振込送金させて支払わせ,もってα株式会社に対し,正規の代金額との差額1112万4000円相当の財産上の損害を加えた。 第9 自己の利益を図る目的で,発注先業者に対して正規に支払うべき代金に自己 の利得分を加算させてα株式会社の資金から支払わせようと考え,その任務に背き,α株式会社が株式会社τに対して発注する「ホワイトボックスCPE付加機能におけるプログラムの作成」業務に関し,平成30年4月23日頃,同業務の再委託業務である「ホワイトボックスCPE付加機能におけるプログラムの作成」業務を受注する予定であった株式会社δ従業員の前記εに,株式会 社δが株式会社τに対し請求すべき正規の代金額に,前記再委託業務に必要の ない電子機器の購入代金相当額を加算した金額の見積を提示させるなどし,同年6月5日,同金額の提示を受けた株式会社τとα株式会社との間で,正規の代金額に前記電子機器の購入代金相当額である6264万円を加算した8208万円を契約金額とする業務委託契約を締結させ,平成31年3月5日,α株式会社から,前記契約に基づく代金8208万円を,東京都港区yz丁目φ番 ω号ν銀行υ支店に開設された株式会社τ名義の普通預金口座に振込送金させて支払わせ,もってα株式会社に対し,正規の代金額との差額6264万円相当の財産上の損害を加えた。 (法令の適用)罰条いずれも刑法247条 刑種の選択いずれも懲役刑を選択併合罪の処理刑法45条前段,47条本文,10条(犯情の最も重い判示第9の罪の刑に法定の加重)未決勾留日数の算入刑法21条(量刑の理由) 本件は,被害会社の技術開発部門の担当課長として業務委託の発注先業者 本文,10条(犯情の最も重い判示第9の罪の刑に法定の加重)未決勾留日数の算入刑法21条(量刑の理由) 本件は,被害会社の技術開発部門の担当課長として業務委託の発注先業者の選定や代金額交渉などを実質的に統括していた被告人が,約1年8か月の間に,9回にわたり,委託業務の遂行に無関係な物品の購入代金や架空の発注業務の契約代金を上乗せした金額で業務委託契約を締結させ,被害会社に合計2億1500万円余りの財産上の損害を負わせた事案である。 本件の被害額は合計2億1500万円余りと極めて高額であり,結果は誠に重大である。また,背任行為の態様を見ても,契約金額のうち不正に上乗せされた金額が占める割合が50パーセント以上に及ぶものが複数あるなど(判示第3,第4,第7,第9。全体としては約43パーセント),契約金額の相当部分を上乗せ額が占めている上,被告人は,大企業の課長という立場を利用して,発注先業者に対し, 不正な金額の見積書を作成させるだけでなく,上乗せした金額でiPad等の換金 が容易な物品を購入させて自身の関係先に送付させた上,買取業者に売却し,売却によって得た資金を外部から発覚しにくい外貨に換え,自身の口座で秘密裏に保管していた(ただし,判示第8,第9については,途中で不正が発覚したことから,被告人がiPad等を受け取るには至っていないが,同様の態様で換金することが予定されていた。)のであって,このような犯行態様は背任の中でも悪質性が高い 部類に入るというべきである。 他方で,被告人と被害会社との間では,損害賠償金の支払につき合意する旨の書面が交わされており,これに基づき,判示第1から第6までの各事実の損害額に相当する9308万0880円が被告人から支払済みであるほか,判示第7の事実に の間では,損害賠償金の支払につき合意する旨の書面が交わされており,これに基づき,判示第1から第6までの各事実の損害額に相当する9308万0880円が被告人から支払済みであるほか,判示第7の事実に関しては,株式会社θから1100万円が,被告人から217万3420円が,そ れぞれ被害会社に支払われている。その結果,被害弁償額は合計1億0625万4300円となり,本件についての弁償未了額は1億0919万0580円となる(上記合意書においては,本件についての弁償未了額を含めて,被告人は,被害会社に対し,少なくとも2億1183万5076円の支払義務があることが確認されている。)。 これに加え,被告人が本件各事実を認め,多くの関係者に迷惑をかけたことについて申し訳ないと述べており,未弁償額についてはこれから働きながら少しずつでも弁償し,税務当局からの還付により得た資金があればそれも弁償に充てると述べていること,被告人に前科前歴がないことなど,被告人に有利に考慮すべき事情も認められる。 しかしながら,これらの事情を十分考慮しても,本件の結果の重大性,態様の悪質性,現時点での被害弁償の状況等を勘案すると,被告人の刑責はなお相当に重いといわざるを得ず,主文の実刑はやむを得ないと判断した。 よって,主文のとおり判決する。 (求刑懲役4年) 令和3年8月10日 大阪地方裁判所第12刑事部 裁判長裁判官渡部市郎 裁判官坂本好司 裁判官尾嶋翔一 裁判官尾嶋翔一

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