- 1 -主文 大分税務署長が平成16年7月9日付けでした原告の平成14年4月1日から平成15年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分のうち,所得金額1億3125万9462円,納付すべき税額3867万5000円及び過少申告加算税額187万6000円をそれぞれ超える部分を取り消す。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用はこれを5分し,その3を原告の,その余を被告の負担とする。 事実及び理由 第1請求大分税務署長が平成16年7月9日付けでした原告の平成14年4月1日から平成15年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分のうち,所得金額7133万4462円,納付すべき税額2199万4400円及び過少申告加算税20万7000円をそれぞれ超える部分を取り消す。 第2事案の概要本件は,原告の平成14年4月1日から平成15年3月31日までの事業年度(以下「平成15年3月期」という)における役員報酬及び役員退職給与。 に,それぞれ法人税法(平成18年法律第10号による改正前のもの。以下「法」という)34条1項及び36条に規定する不相当に高額な部分があっ。 たとして,大分税務署長(以下「処分行政庁」という)が行った法人税の更。 正処分(以下「本件更正処分」という)及び過少申告加算税の賦課決定処分。 (以下「本件加算税賦課決定処分」といい,本件更正処分と併せて「本件更正処分等」という)について,原告が,被告に対し,その一部の取消しを求め。 る事案である。 前提事実(証拠を挙示しない事実は争いがない)。 - 2 -( )当事者等 原告は,昭和41年6月20日に設立された一般貨物自動車運送業及び不動産賃貸業等を営む法人である。原告の平成15年3月期末の資 証拠を挙示しない事実は争いがない)。 - 2 -( )当事者等 原告は,昭和41年6月20日に設立された一般貨物自動車運送業及び不動産賃貸業等を営む法人である。原告の平成15年3月期末の資本金は1000万円であり,原告は法2条9号に規定する普通法人で,かつ,同条10号に規定する同族会社に該当する法人である。 Aは,昭和35年ころ,個人で運送業を始め,昭和41年に原告を設立した時に取締役に就任し,昭和43年5月11日から平成14年▲月▲日までの間,原告の代表取締役であった。Aは,平成▲年▲月ころ入院し,入院先での検査の結果,同年▲月▲日過ぎころには○であることが判明し(原告代表者65項,同年▲月下旬に一旦退院したものの,同年▲月上旬に再入院)し,同年▲月▲日死亡した(甲8,原告代表者,一部につき争いがない。 。)( )Aに対する役員報酬 原告は,Aの役員報酬額について,昭和60年ころから平成11年3月までの間,月額150万円としていたが,同年4月以降,月額120万円に引き下げ(甲8,乙17,原告代表者,さらに,平成13年4月以降は月額)88万円に引き下げていたが,平成14年4月以降,月額150万円に増額し,同年4月から8月までの5か月間の役員報酬750万円を平成15年3月期の損金の額に算入した。 また,原告は,平成14年1月から3月までの間のAの役員報酬額についても遡って150万円に増額し,その合計450万円と支払済みの総額264万円との差額186万円を平成14年3月期(原告の平成13年4月1日から平成14年3月31日までの事業年度)の損金の額に算入した。 ( )Aに対する役員退職給与 原告は,Aが死亡により代表取締役から退いたことから,Aの死亡により受領した受取死亡保険金合計2億7200万円(平成15年3月期に 事業年度)の損金の額に算入した。 ( )Aに対する役員退職給与 原告は,Aが死亡により代表取締役から退いたことから,Aの死亡により受領した受取死亡保険金合計2億7200万円(平成15年3月期に雑収入として計上)を原資として,役員退職慰労金規程(甲3)により算出した- 3 -(ただし,勤続年数を37年とするところを38年で計算している)退職。 慰労金2億6100万円(支給名目には退職慰労金1億9950万円のほか,功労金5985万円及び特別功労金165万円が含まれる)及び弔慰金9。 00万円の合計2億7000万円を支給することとし,これを平成15年3月期に死亡退職金として損金算入した。 なお,上記規程には,退職慰労金は,当該役位の最終報酬月額にその在任年数及び支給倍率(取締役社長の場合は3.5)を乗じて算定する(3条)こととし,また,特に功績顕著と認められる役員に対し上記算定額の30%の範囲内で功労金を支給する(5条)とともに,会社創立再建等格別の時期に具体的功労があり,功績顕著と認められる者について同範囲内で特別功労金を支給することがあり(6条,役員の死亡が業務上の死亡ではないとき)は,死亡退職金とは別に直前の月間役員報酬の半年分を弔慰金として支給することができる(8条)旨規定されている(甲3。 )( )確定申告 原告は,平成14年3月期及び平成15年3月期の法人税確定申告書を法定申告期限までに提出した。 平成15年3月期の確定申告では,原告の所得金額を6264万9462円(①)とした。なお,法68条の規定に基づいて控除すべき所得税額は6万2621円であり,既に納付の確定した法人税額は1991万4600円である(甲1。 )( )繰越欠損金 原告は,処分行政庁の調査における指摘に基づき,平成14年3月期の欠損金額1 税額は6万2621円であり,既に納付の確定した法人税額は1991万4600円である(甲1。 )( )繰越欠損金 原告は,処分行政庁の調査における指摘に基づき,平成14年3月期の欠損金額1668万2455円を1482万2455円とする修正申告をした。 そのため,平成15年3月期の確定申告書に繰越欠損金の当期控除額として記載した1668万2455円との差額186万円(②)が当期控除過大額として平成15年3月期の所得金額に加算される。 - 4 -( )本件更正処分等(甲1,一部につき争いがない) 。 処分行政庁は,平成16年7月9日付けで原告の平成15年3月期の法人税について,以下のとおり本件更正処分等をした。 まず,Aの役員報酬として相当であると認められる金額の月額(以下「適正役員報酬月額」という)は120万円であり,これを超過する30万円。 の5か月分150万円(③)が,法34条1項に規定する不相当に高額な部分の金額に当たるとした。なお,比準報酬月額は111万3428円(比較法人は大分税務署管内の別紙別表1(ただし,同表の「類似法人」を「比較法人」に改める)に係る12社)であるが,適正役員報酬月額は,Aの増。 額前の120万円であるとした。 また,Aの弔慰金900万円のうち,適正役員報酬月額の6か月分720万円を弔慰金として損金算入を認め,これを上回る180万円及び退職慰労金2億6100万円の合計2億6280万円をAに対する役員退職給与と認定した。 その上で,Aの役員退職給与として相当であると認められる金額は1億5540万円(適正役員報酬月額120万円×勤続年数37年×功績倍率3. 5)であり,これを上回る1億0740万円(④)が,法36条に規定する不相当に高額な部分に当たるとした。なお,比較法人(熊本国税局管内の別紙別表2 員報酬月額120万円×勤続年数37年×功績倍率3. 5)であり,これを上回る1億0740万円(④)が,法36条に規定する不相当に高額な部分に当たるとした。なお,比較法人(熊本国税局管内の別紙別表2に係る甲,乙の2社)の平均功績倍率は,3.094であるが,原告が主張している功績倍率3.5と近似値であるとして3.5を採用した。 その結果,処分行政庁は,原告の平成15年3月期の所得金額を1億7340万9462円(①~④の合計,納付すべき税額を5132万円(差引)納付すべき税額は3140万5400円)とする本件更正処分及び過少申告加算税を371万1000円とする本件加算税賦課決定処分を行った。 ( )不服申立て(甲2,一部につき争いがない) 。 原告は,本件更正処分等を不服として,平成16年8月27日,審査請求- 5 -をし,国税不服審判所長は,平成18年3月22日,原告の所得金額は2億3670万9462円であり,本件更正処分の額1億7340万9462円はその範囲内にあるから,同処分は適法であるとして審査請求を棄却する旨の裁決をした。 なお,同所長は,136万6056円(比較法人は処分行政庁と同一であるが,不動産収入等の副業を含めた総売上額で計算した。被告も当初この主張をしていたが,採用数値に誤りがあったとして,現主張に訂正した)の。 比準報酬月額を超える150万円の役員報酬について直ちに不相当に高額であるとの判断をせず,処分行政庁の主張を排斥するとともに,弔慰金900万円の損金算入を認める一方,退職給与については平均功績倍率を1.6(比較法人は,福岡県に所在する法人を含め,処分行政庁がいったん抽出した6法人に4法人を加えたものから6法人を抽出した)とした。 。 関連法令等の定め本件関連法令及び弔慰金等の取扱いを定めた相続税法基本通 は,福岡県に所在する法人を含め,処分行政庁がいったん抽出した6法人に4法人を加えたものから6法人を抽出した)とした。 。 関連法令等の定め本件関連法令及び弔慰金等の取扱いを定めた相続税法基本通達の要旨は,別紙「関連法令等」記載のとおりである(乙5。法人税法施行令(以下「法施行令」という)については,平成18年政令第125号による改正前のもの,。 以下も同じ。 。)第3争点及び争点に関する当事者の主張 Aの役員報酬に法34条に規定する不相当に高額な部分があるか(被告の主張)( )Aの役員報酬月額を増額したことに合理的理由がないこと Aの役員報酬は,平成14年1月分以降,月額88万円から150万円に増額されているが,平成14年3月期の売上金額や売上総利益が前期(平成13年3月期)より大幅に減少しており,業績とは無関係に報酬増額がなされたこと,Aは同年▲月から入退院を繰り返しており,報酬増額前と同様な職務を行うことが困難な状況であったこと,不動産収入は減少した運送収入- 6 -を補うには至っていないこと,Aが代表取締役を務める関連会社である株式会社B(以下「関連会社」という)と同時に報酬増額がなされたこと,A。 の役員報酬増額について取締役会で決議された事実及び時期が疑わしいこと,A以外の役員報酬及び従業員給与は,横ばい又は減少していたにもかかわらず,Aの報酬のみが突出して増額されていることなどからすれば,その増額に合理的理由はない。 ( )適正役員報酬月額が136万7690円であること 大分税務署管内の法人から,原告と同種の事業を営む法人で,その事業規模が類似し,外注比率や使用人最高給与額等の点で比較法人として相当でないものを除外する等して12法人を比較法人として抽出した上で,比較法人の代表取締役報酬金額の平均 種の事業を営む法人で,その事業規模が類似し,外注比率や使用人最高給与額等の点で比較法人として相当でないものを除外する等して12法人を比較法人として抽出した上で,比較法人の代表取締役報酬金額の平均額に,売上金額,売上総利益率,使用人最高給与額及び個人換算所得金額(同族会社を個人事業者として捉えた場合の所得金額)の4項目(以下「比準4項目」という)による原告と比較法人の平。 均額との比準割合を加重した金額を12か月で除した額(以下「比準報酬月額」という)は,136万7690円である(計算内容は別紙別表1参。 照。 )比較法人は,客観的な基準に基づいて機械的に抽出されており,また,比準4項目を用いた比準報酬月額の算出は,法34条1項及び法施行令69条1号に基づく合理的なものである。 ( )したがって,適正役員報酬月額は136万7690円であり,Aの役員 報酬のうち,上記金額を超える部分は不相当に高額な部分に当たる。 (原告の主張)( )Aの役員報酬月額を増額したことに合理的理由があること Aの役員報酬の減額は取引先の減少,社内のリストラによる経営責任の明確化のためであり,その後,不動産収入が安定して売上が増加したため,平成14年2月から3月上旬ころ,Aの病気とは無関係に,好調な決算内容を- 7 -勘案して,一時的な減額以前の報酬月額に戻したものであり,他の取締役は,Aの報酬を減額した際も減額がないため報酬額を改定していない。したがって,Aの報酬を月額150万円に増額したことには合理的理由がある。 ( )適正役員報酬月額を算定するに足りる基礎事実が存在しないこと 比較法人の抽出においては,売上金額のみに着目して倍半基準(原告の0. 5倍以上,2倍以下)を適用したこと,原告の売上の約2割を占める不動産業を抽出条件にしていないこと る基礎事実が存在しないこと 比較法人の抽出においては,売上金額のみに着目して倍半基準(原告の0. 5倍以上,2倍以下)を適用したこと,原告の売上の約2割を占める不動産業を抽出条件にしていないこと,売上利益率との相関関係が不明な外注比率を考慮した選別をしたこと,調査に時間を要する事項(使用人最高給与額等)に把握できないものがあった法人を除外したこと,被告による法人の業種管理が不十分で,抽出方法が確立されていないことなど,抽出方法が恣意的で不合理である。 また,抽出された法人の数値の正確性は十分担保されていない。 以上に加え,比準4項目と役員報酬との相関関係の有無・程度が明らかでないこと,原告に比べ遙かに小規模の比較法人が大半の抽出結果をそのまま用いたこと,被告側の度重なる主張の変遷などからすれば,適正役員報酬月額を算定するに足りる基礎事実が存在しない。 なお,被告は,当初,Aの最終報酬月額のみならず適正役員報酬月額が150万円であることを認めていたのであるから,主張を変更することは自白の撤回に当たる。 ( )したがって,適正役員報酬月額は150万円であり,Aの役員報酬に不 相当に高額な部分はない。 Aの役員退職給与に法36条に規定する不相当に高額な部分があるか(被告の主張)( )比較法人の平均功績倍率が2.3であること 熊本国税局管内(種子島及び大島の各税務署管内を除く)の法人から,。 原告と同業種で,事業規模を端的に表す売上金額が同規模で,平成12年4- 8 -月1日から平成15年3月31日までの間に事業年度が終了する期間に,業務上の死亡以外の死亡退職により代表取締役に対して退職金が支給された6法人を抽出し,さらに,原告と6法人の役員退職給与支給年度の前3事業年度における比較項目(売上金額,申告所得金額,総資産価額及び 務上の死亡以外の死亡退職により代表取締役に対して退職金が支給された6法人を抽出し,さらに,原告と6法人の役員退職給与支給年度の前3事業年度における比較項目(売上金額,申告所得金額,総資産価額及び純資産価額)の平均値を比較し,全ての比較項目で倍半基準外となる1法人(別紙別表3の丙)を類似性が低いものとして除き,残る5法人を比較法人として,その功績倍率(役員退職給与の額(功労金等を含む)を,最終報酬月額に。 勤務年数を乗じた額で除して得る倍率)の平均値を算出すると2.3(2. 28)である(各法人の具体的数値は別紙別表2ないし4参照。 )比較法人は,客観的な基準に基づいて機械的に抽出されており,また,平均功績倍率の算出は,法36条及び法施行令72条に基づく合理的なものである。 なお,原告は,Aの創業者としての功績を強調するが,これは,一般に勤続年数の長短及び最終報酬月額に反映されている。 ( )原告の役員退職給与の算出根拠に合理性がないこと Aに対する退職慰労金(功労金及び特別功労金(以下「功労金等」という)を含む)の原資はAの死亡保険金であることや役員退職慰労金規程。 。 の書面が平成14年3月に作成された疑いがあることからすれば,退職慰労金の支給額は,退職慰労金規程に基づいて算出したものではなく,受取死亡保険金に見合う退職慰労金を支給することで,できるだけ法人税及び相続税が少なくなるように算出されたことが疑われる。 また,原告の挙げる独立行政法人,特殊法人及び認可法人(以下「独立行政法人等」という)には業種や事業規模について原告との類似性はなく,。 これら法人の退職金支給率をもって原告の役員退職給与算出に合理性があることにはならない。 ( )弔慰金及び功労金等の損金算入について - 9 -ア弔慰金弔慰金の相当な額につい はなく,。 これら法人の退職金支給率をもって原告の役員退職給与算出に合理性があることにはならない。 ( )弔慰金及び功労金等の損金算入について - 9 -ア弔慰金弔慰金の相当な額については,相続税法基本通達3-20の取扱いに準じて判断するのが合理的であり,当該通達によれば,Aの適正役員報酬月額136万7690円の6か月分である820万6140円が相当な額であり,これを超える79万3860円は,退職給与として取り扱われるべきである。 イ功労金等役員の退職により支給される一切の給与は退職給与であり,功労金等も法36条の退職給与に該当する。また,Aに対する退職慰労金(功労金等を含む)の総額は受取死亡保険金とほぼ同額であり,功労金等は恣意的。 に算出したものである。仮に功労金等が過去からの貢献に対する報酬であり,役員報酬を低額に抑えて会社に留保した利益から支出したものであれば,法35条4項の役員賞与に該当し,全額損金不算入となる。 ( )したがって,Aに対する役員退職給与の適正額は,適正役員報酬月額1 36万7690円に勤続年数37年及び比較法人の平均功績倍率2.3を乗じた1億1639万0419円であり,これを超える部分は不相当に高額な部分に当たる。 (原告の主張)( )比較法人の平均功績倍率が適正に算出されたとはいえないこと 比較法人の抽出過程では,各法人の原資料や退職給与規程を確認せず,調査過程で数値が変遷するなど,その調査方法が杜撰であり,正確な数値が得られているとはいえない。 また,抽出された法人から比較法人を選別した理由も,弔慰金以外の支給額では死亡退職と差異のない普通退職事例や再調査もせず退職事由不明の事例を除いたり,原告より純資産額が10分の1程度の法人を比較法人とするなど合理性を欠いている。加えて,被 理由も,弔慰金以外の支給額では死亡退職と差異のない普通退職事例や再調査もせず退職事由不明の事例を除いたり,原告より純資産額が10分の1程度の法人を比較法人とするなど合理性を欠いている。加えて,被告側の功績倍率に関する主張も大きく- 10 -変遷している。 したがって,被告の算定した平均功績倍率が適正な数値とはいえない。 ( )原告の採用した功績倍率が適正であること 独立行政法人等の退職金支給率は,一般の法人の実態と乖離しないよう所轄官庁の監督が及ぶものであるところ,Aの死亡した平成▲年当時,100分の28(1年単位の功績倍率に引き直すと3.36)であった。 加えて,民間企業は経営環境の変化等のリスクにさらされており,独立行政法人等の代表者よりも退職金支給率が高額であって然るべきであり,創業者兼代表取締役の場合には,原告の役員退職慰労金規程で定める3.5の功績倍率が社会通念上受け入れられていたことは明らかである。 ( )弔慰金及び功労金等の損金算入について ア弔慰金Aの適正な最終報酬月額は150万円であって,その6か月分900万円が弔慰金として相当な額であり,全額損金算入を認めるべきである。 イ功労金等功労金等は,法人税法上の退職給与に該当するものだが,これらは,Aには,役員としての在職中の顕著な功績のほか,会社創業者として会社発展の功績があることや役員報酬を本来よりも低額に抑えて会社に利益を留保することで会社経営を軌道に乗せるなど役員退職金のみでは評価し尽くされない会社創業者の貢献に対する報酬である。 したがって,前記功績倍率によって算定した役員退職金とは別に,その30%を限度として支給する功労金等の規程は合理的であり,Aに支給された功労金等は損金算入されるべきである。 ( )したがって,Aに対する役員退職給与について よって算定した役員退職金とは別に,その30%を限度として支給する功労金等の規程は合理的であり,Aに支給された功労金等は損金算入されるべきである。 ( )したがって,Aに対する役員退職給与については,勤続年数37年を3 8年と誤って算出した点を除けば適正であって,当初損金算入した2億7000万円のうち2億6317万5000円(勤続年数37年で算出した退職- 11 -慰労金及び功労金等並びに弔慰金の合計額)との差額682万5000円が損金算入されずに所得金額に加算されることになる。 損金算入を認めないことにより算出される原告の所得金額等(被告の主張)前記被告の主張により計算すると,原告の平成15年3月期の所得金額は2億1057万4453円,納付すべき税額は6246万9500円(差引納付すべき法人税額は4255万4900円,賦課されるべき過少申告加算税額)は538万3500円となり(別紙計算書1参照,本件更正処分等はいずれ)も上記範囲内であるから適法である。 (原告の主張)前記原告の主張により計算すると,原告の平成15年3月期の所得金額は7133万4462円(当初の申告所得額の6264万9462円(前記①)+繰越欠損金の当期控除過大額の186万円(前記②)+上記2の原告の主張( )の682万5000円,納付すべき税額は2199万4400円(差引 )納付すべき税額は207万9800円,賦課されるべき過少申告加算税額は)20万7000円となり,これを超える部分の本件更正処分等はいずれも違法である。 第4当裁判所の判断 争点1(Aの役員報酬に法34条に規定する不相当に高額な部分があるか)について検討する。 ( )Aの役員報酬月額を増額したことについて アAの役員報酬は,平成11年3月までの15年近くにわたり,月額 (Aの役員報酬に法34条に規定する不相当に高額な部分があるか)について検討する。 ( )Aの役員報酬月額を増額したことについて アAの役員報酬は,平成11年3月までの15年近くにわたり,月額150万円であったのが,同年4月以降,月額120万円に,さらに,平成13年4月以降,月額88万円に引き下げられていたところ,平成14年4月以降,月額150万円に増額され,同年1月分から遡って150万円に増額されたことは前記第2の1( )のとおりである。 - 12 -この点,被告は,原告の平成14年3月期の業績が前期(平成13年3月期)より悪化していることからすれば報酬増額に理由がない旨主張するところ,確かに,平成13年3月期と平成14年3月期とを比較すると,売上金額は約5億8千万円から約3億6千万円に,売上総利益は約1億6千万円から約1億3千万円に減少するなど事業規模の縮小が認められる(甲2,弁論の全趣旨。 )しかしながら,平成13年4月にAの役員報酬が月額88万円に減額された理由は,食中毒事件関係での大口取引先との取引終了による売上減少とそれに伴うリストラにより従業員を削減したことの責任を明確にするためであったところ,遅くとも平成14年3月期末ころには従業員削減等のリストラは終了したこと,購入した賃貸用不動産による売上の増加額は平成14年3月期だけでも約4千万円に上ったこと,平成15年3月期も安定した不動産収入及び運送収入の増加が見込まれていたこと及び実際に平成15年3月期の売上高や売上総利益は増加し,申告所得も6千万円を超え,役員報酬を120万円に下げた平成11年4月ころより約3千万円増加するとともに,営業利益及び経常利益も前期の赤字から3千万円を超す黒字へと改善されていること(甲2,8,乙19,27,原告代表者23~26,9 120万円に下げた平成11年4月ころより約3千万円増加するとともに,営業利益及び経常利益も前期の赤字から3千万円を超す黒字へと改善されていること(甲2,8,乙19,27,原告代表者23~26,93~118項,弁論の全趣旨)からすれば,前期の成績を参考としつつ来期の利益の推移も予想して役員報酬を決定していた原告(原告代表者16~19項)において,経営責任明確化のための報酬減額を解消して,直前の月額120万円に戻すのみならず,平成11年3月以前の15年近くにわたって維持されていた月額150万円の報酬へ増額したとしても,業績の点からは必ずしも不合理であるということはできない。 イまた,Aは,平成▲年▲月ころ入院してから同年▲月まで入退院を繰り返しており(前記第2の1( ) ,入院前と同様の職務を行うことが困難 1 )な状況であったことは窺われ,この点から被告はAの職務実績と無関係の- 13 -増額を不合理であると主張する。 しかしながら,Aは,平成▲年にも,▲月から▲月まで○の手術のため入院し,その後も入退院を繰り返していたが,当時,Aの病気療養を理由にした報酬の減額はなされていないこと(乙19,原告代表者22~24,72~79項)からして,元々原告においては,Aの報酬額は,もっぱら会社の業績を参考にして決められていたことが窺われるし,また,Aが○であることが判明したのは,○との検査結果が出た平成▲年▲月▲日過ぎころよりさらに後の○手術が実施された後のことであり(乙19,報酬)増額の時点(原告代表者は,133項で2月の終わりから3月上旬くらいには決めた旨供述するところ,遅くとも○であることが判明する以前に既に決定されていたものと認められる)で,Aの職務復帰の可能性がない。 ことが明らかであったということはできない。 したがって,被告 には決めた旨供述するところ,遅くとも○であることが判明する以前に既に決定されていたものと認められる)で,Aの職務復帰の可能性がない。 ことが明らかであったということはできない。 したがって,被告の上記主張は採用できない。 ウさらに,被告は,関連会社と同時に報酬増額がなされたことを不合理と主張するが,関連会社とは業種や業績,増額理由も異なっており(甲9,原告代表者139~143項,仮に関連会社における増額が不合理であ)ったとしても,原告における増額までも直ちに不合理といえるものではない。 また,被告は,報酬増額についての取締役会決議及びその時期について疑義がある旨主張するが,前記アのとおり,業績に基づく増額として一応理由があることからすれば,取締役会の決議態様やその時期をもって直ちに増額自体を不合理ということはできない。 なお,他の役員の報酬は改定されない中でAの報酬のみが増額されているが,原告の業績が悪化した間も従業員給与や他の役員の報酬に大した変動もなく,Aの報酬のみが原告の業績を強く反映して突出して減少していたこと(乙17,19,原告代表者28,29項)からすれば,業績の好- 14 -転見込みを反映してAのみが報酬を増額されたとしても不合理ということはできない。 エ以上からすれば,平成14年にAの役員報酬月額が増額されたことについて合理的理由がないということはできない。 ( )比較法人の抽出過程及び抽出結果に基づく比準報酬月額算出の合理性に ついてア証拠(甲1,2,乙16(全枝番を含む。以下書証について同様の場合は枝番を省略する,17,証人C50~79,163~186,32。)4~336項等)によれば,処分行政庁においては,比準報酬月額を算出するに当たって,大分税務署管内で原告と同業種である一般貨物自動車運送 略する,17,証人C50~79,163~186,32。)4~336項等)によれば,処分行政庁においては,比準報酬月額を算出するに当たって,大分税務署管内で原告と同業種である一般貨物自動車運送業を営む法人から,平成14年4月1日から平成15年3月31日の間に終了する事業年度(なお,乙16の12については平成13年3月期との記載があるが,15年3月期の誤記と解される)の売上金額が,原告。 の平成15年3月期の売上金額の倍半基準に該当する24法人を抽出し,そのうち売上総利益率を把握できなかった4法人を除外し,残る20法人(乙16の1~20)に対し使用人最高給与額を照会・調査し,さらに,外注比率(売上金額に占める外注費・傭車料の割合)が20%以上のもの(原告は2.81%,代表者報酬が使用人最高給与額を下回っているも)の及び個人換算所得がマイナスとなっているものをいずれも比較法人として相当ではないとして除外し,また,照会後も使用人最高給与額を把握できなかったものを除外した結果,12法人(乙16の1~12)を比較法人として抽出したことが認められる。 また,比較法人の代表取締役報酬の平均に,比準4項目における原告と比較法人の平均値との比準割合を加重した金額を12か月で除して,比準報酬月額を算出すると,136万7690円であることが認められる(別紙別表1参照。なお,前記のとおり,この比較法人は処分行政庁が抽出)- 15 -したものと同一であるが,運送業以外の売上金も計上して売上金を修正したものである。 そして,上記24法人の抽出は税務署内の管理システムを用いて機械的に抽出したものであり,12法人に絞った後の計算については,調査を担当したC国税調査官だけでなく同僚も確認しており,算出結果の正確性は担保されているものといえる(乙17,証人C ステムを用いて機械的に抽出したものであり,12法人に絞った後の計算については,調査を担当したC国税調査官だけでなく同僚も確認しており,算出結果の正確性は担保されているものといえる(乙17,証人C52~54,89,90,281項。 )イ以上の比較法人の抽出過程及び比準報酬月額の算出について,原告は,抽出方法が恣意的で不合理なものであるとして縷々主張するが,①「事業規模が類似するもの(法施行令69条1号)を検索するにあたり,売」上金額に着目することが不合理とはいえないこと,②原告が運送業を主としていることは明らかであり,同業種の法人として不動産業ではなく運送業を抽出条件とするのも合理的であること,③外注比率が高い法人は,もっぱら自社車両で営業する原告とは営業形態が異なることは容易に予想され,また,個人換算所得がマイナスの法人と原告とでは「収益の状況」(同号)が大きく異なるといえ,これらを除外することも一応理由があること,④他の法人に対し協力依頼をしても必ずしも回答が得られるとは限らず(証人C324~336項,利益率や使用人最高給与額が把握で)きない法人について除外するのもやむを得ないこと,⑤結果的に売上金額が原告を下回る法人が多数であったとしても(別紙別表1,倍半基準)自体は類似規模の法人を抽出する基準として一定の合理性があるといえ,その範囲内であれば事業規模が一応類似するといえることからすれば,原告の主張する他の諸事情を考慮してもなお,上記抽出方法自体が直ちに不合理であるということはできない。 ウそして,比準報酬月額算出に当たって,比較法人の代表取締役報酬の平均額を基にして,比準4項目(売上金額,売上総利益率,使用人最高給与- 16 -額及び個人換算所得金額)を用いたことについても,法施行令69条1号で規定 出に当たって,比較法人の代表取締役報酬の平均額を基にして,比準4項目(売上金額,売上総利益率,使用人最高給与- 16 -額及び個人換算所得金額)を用いたことについても,法施行令69条1号で規定する「役員に対する報酬の支給の状況「事業規模「収益」及」,」,び「使用人に対する給料の支給の状況」並びに実質的な所得金額による法人間の比較を踏まえたものといえ,合理性を有する算出方法といえる。 したがって,比較法人の抽出過程及び抽出結果に基づく比準報酬月額算出の合理性は認められる。 ( )適正役員報酬月額の判断 処分行政庁において抽出した比較法人12社の係数を基に比準報酬月額を算出すると136万7690円であり,被告はこれをもって適正役員報酬月額である旨主張するところ(なお,原告は,被告のこの主張は自白の撤回,に当たると主張するが,被告は最終報酬月額が150万円であることを認めていたにすぎない(第1回弁論準備手続調書)から,前提を欠くものである)前記( )のとおり,比較法人の抽出過程及び抽出結果に基づく比準報。 酬月額の算出自体には合理性が認められ,上記金額は適正役員報酬月額を判断するに当たって重要な資料になるものというべきである。 しかしながら,上記計算で用いられた比準4項目については,法34条1項及び法施行令69条1号で明示的に定められているわけではなく,比準項目として何を選択するのかによって計算結果もある程度変動し得る。 また,原告が指摘するように,比準4項目と役員報酬との相関関係が項目毎にどの程度あるのかは必ずしも明らかではなく,例えば法人の所得金額ないしその実質的な所得金額といえる個人換算所得が報酬に影響しやすいことは十分考えられるが,計算上の比重としては他の比準項目と同じ4分の1の割合で計算されている。 さらに,被告 例えば法人の所得金額ないしその実質的な所得金額といえる個人換算所得が報酬に影響しやすいことは十分考えられるが,計算上の比重としては他の比準項目と同じ4分の1の割合で計算されている。 さらに,被告も認めるように退職役員の最終報酬月額は創業者としての功績等,当該役員の法人に対するそれまでの功績がもっとも表れていると考えられるところ,本件で適正役員報酬月額が問題となっているのはAの最終報- 17 -酬月額であり,単純にある時期の法人の業績のみを参考にして算出される平均的な役員報酬の水準を上回ることは十分考えられる。 以上からすれば,実際の報酬額が比準報酬月額をわずかでも超えたからと言って直ちに不相当というべきではなく,比準報酬月額を基本としつつ,実際の報酬額との差額の程度や,最終報酬月額であれば従前の功績も含まれていること等の事情も踏まえて適正役員報酬月額を判断すべきである(ちなみに,国税不服審判所長も,前記のとおり,136万6056円の比準報酬月額を超える150万円について直ちに不相当に高額であるとの判断をせず,処分行政庁の主張を排斥しているものである。 。)そして,Aの役員報酬月額150万円は,比準報酬月額からわずか1割程度高いだけであること及び創業者として原告に対するAの功績があることは明らかであること(被告自身も,上記のとおり創業者としての功績は役員報酬月額に反映される旨主張しているところである)に加え,前記( )のと。 おり,平成14年に増額された役員報酬月額は平成11年3月以前の15年近くにわたって維持されていた金額に戻ったにすぎず,増額されたことについて不合理ということはできないことも考慮すると,月額150万円をもって直ちに不相当ということはできず,他に適正役員報酬月額が150万円を下回ることを基礎づける事情を認め すぎず,増額されたことについて不合理ということはできないことも考慮すると,月額150万円をもって直ちに不相当ということはできず,他に適正役員報酬月額が150万円を下回ることを基礎づける事情を認めることはできない。 ( )以上からすれば,Aの役員報酬に法34条1項に規定する不相当に高額 な部分があるということはできず,被告の主張は採用できない。 争点2(Aの役員退職給与に法36条に規定する不相当に高額な部分があるか)について( )比較法人の平均功績倍率算出の合理性 ア証拠(甲1,乙11~15,17,証人C95~104,187~209,275~280,294~299,357~360項等)及び弁論の全趣旨によれば,処分行政庁においては,比較法人の平均功績倍率を算出- 18 -するに当たって,十分な事例を把握するために熊本国税局管内の離島に所在する種子島及び大島の各税務署を除く34税務署管内の法人から,原告と同じ道路貨物運送業を営み,平成12年4月1日から平成15年3月31日までの間に終了する事業年度の売上金額が1億5000万円以上で12億円以下の690法人を把握し,各税務署長に対し,上記期間に役員退職給与が支給された事例の調査依頼を行い(乙11,43件の回答があ)ったが,そのうち代表取締役の退職給与支給事例は17件であったこと(乙12,17件中,勤続年数が短期間のもの(3年ないし16年)及)び退職事由が死亡退職ではないもの(普通退職又はその他)9件を除外したこと,残る8件のうち所轄税務署管内の2法人を除く6法人について該当税務署に対する再調査を依頼した(乙13)結果,退職事由が普通退職のもの及び退職給与支給が平成15年10月期であったものが判明した(乙14の5,6)ため,これらを除外することとし,さらに6法人(別紙 務署に対する再調査を依頼した(乙13)結果,退職事由が普通退職のもの及び退職給与支給が平成15年10月期であったものが判明した(乙14の5,6)ため,これらを除外することとし,さらに6法人(別紙別表2)が抽出されたこと(乙12の1~6,14の1~4)が認められる(処分行政庁は,このうち2法人について比較法人として採用している。 。)原告と上記6法人の役員退職給与支給年度の前3事業年度における比較項目(売上金額,申告所得金額,総資産価額及び純資産価額)の平均値を比較すると,1法人(乙14の1,別紙別表2の丙)が全ての比較項目で倍半基準外となり,これを除外して残る5法人を比較法人として,その平均功績倍率を算出すると2.28(小数点以下第2位を四捨五入して計算すると2.3)であることが認められる(別紙別表3及び4参照。 )そして,比較法人の抽出過程では,数値の正確性を期するために,上記のとおり,該当税務署長に対する再調査を実施するとともに,比較法人の資料作成はC国税調査官に加えて他の調査官も確認しており(弁論の全趣旨,算出された平均功績倍率の数値の正確性は担保されているものとい)- 19 -える。 イ以上のような平均功績倍率の算出について,原告は数値の正確性に欠け,比較法人の抽出方法も合理性を欠き,適正な数値ではない旨主張するが,①適正な役員退職給与額を判断すべく広範囲かつ多数の法人の資料を検索・抽出するためには,各法人の原資料や退職給与規程まで確認できなくともやむを得ないし,②調査過程で数値が変遷したとしても,再調査によって正確な数値が明らかになったものと考えられ,③比較法人の抽出条件として退職事由を含ませ,死亡退職以外の退職給与支給事例を除いた点については,法施行令72条が「退職の事情」を考慮要素としていることに照 な数値が明らかになったものと考えられ,③比較法人の抽出条件として退職事由を含ませ,死亡退職以外の退職給与支給事例を除いた点については,法施行令72条が「退職の事情」を考慮要素としていることに照らせば,不合理とはいえないこと,④比較法人の中には純資産額が原告の10分の1程度の法人も存在するが,そもそも比較項目全ての点で倍半基準を充たす比較法人が存在していないように(別紙別表3,厳)密に類似性を求めては比較法人抽出を不可能にするものといえるし,原告と「事業規模が類似するもの(同条)として比較項目のいずれかで倍半」基準を充たす法人を比較法人とすること自体は一定の合理性があること,他方で,比較法人全般に偏りがあるなど役員退職給与の相当な額を算定する資料としての価値が低下するような事情がある場合,別途,相当な額を判断する際に考慮すれば足りることからすれば,被告の用いた比較法人の抽出方法及び平均功績倍率の算出自体が直ちに不合理であるということはできない。 ウそして,5法人を比較法人として,その平均功績倍率を算出したことは,法施行令72条で役員退職給与の相当な額を算定する際に考慮するものとして規定する「退職の事情」及び「同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する退職給与の支給の状況」を踏まえたものといえ,合理性を有する算出方法といえる。 したがって,比較法人の抽出及び抽出結果に基づく平均功績倍率算出自- 20 -体の合理性は認められる。 ( )原告の功績倍率算出根拠について ア原告は,独立行政法人等の役員の退職金支給率から,功績倍率3.5が適正である旨主張する。 もっとも,原告においては,Aの役員退職給与として,退職慰労金1億9950万円のほか,功労金5985万円及び特別功労金165万円が支給されている(前 率から,功績倍率3.5が適正である旨主張する。 もっとも,原告においては,Aの役員退職給与として,退職慰労金1億9950万円のほか,功労金5985万円及び特別功労金165万円が支給されている(前記第2の1( ))にもかかわらず,功労金等を除外して 功績倍率の主張をしているから,原告の主張は,つまるところ,功労金等を含めた役員退職給与の支給が適正であること,すなわち功績倍率4.6(勤続年数37年で算出した退職慰労金及び功労金等の合計額2億5417万5000円を最終報酬月額150万円及び勤続年数37年で除したもの,小数点以下第2位は四捨五入)が適正であると主張するに等しいものである。しかし,このような功績倍率4.6が独立行政法人等に採用されていたと認めるに足りる証拠はない。 イ次に,功労金等を含めた意味で,適正な功績倍率が3.5倍であるかどうかについて検討するに,確かに,独立行政法人等の役員の退職金支給に関しては,功績倍率として計算すると,平成14年度から平成15年12月までの間は3.36,平成16年1月以降は1.5(業績勘案率により最大3.0)であることが認められ(甲6,7,法人の性質上,これら)の数値が,民間企業一般の功績倍率からそれ程かけ離れたものではないと考えられる。 しかしながら,上記事実のみをもって,法人の創業者兼代表取締役の場合には3.5の功績倍率が通例であると認めるには足りないし,独立行政法人等と原告との間には,何らの類似性もなく,仮に法人一般において3倍程度の功績倍率が採られることが多いとしても,そのことをもって直ちに原告において功績倍率3.5で退職給与を支給することが相当であると- 21 -評価することはできない。 ( )役員退職給与の適正額について ア一般に,平均功績倍率法は,特段の事情がない限り, 原告において功績倍率3.5で退職給与を支給することが相当であると- 21 -評価することはできない。 ( )役員退職給与の適正額について ア一般に,平均功績倍率法は,特段の事情がない限り,当該退職役員の当該法人に対する功績はその退職時の報酬に反映されていると考え,同種比較法人の役員に対する退職給与の支給の状況を平均功績倍率として把握し,比較法人の平均功績倍率に当該退職役員の最終報酬月額及び勤続年数を乗じて役員退職給与の適正額を算定する方法であり,適正に算出された平均功績倍率を用いる限り,その判断方法は客観的かつ合理的であり,法施行令72条の趣旨に合致するものということができるところ,前記( )及び ( )によれば,比較法人の平均功績倍率2.3は適正に算出されたことが 認められ,他方,原告と同業種・類似規模の法人はもとより,法人一般において功績倍率3.5ないし4.6が一般に採用されていると認めるに足りる証拠はない。 そうすると,功績倍率2.3を超える部分に相当する役員退職給与額については不相当に高額な部分になるという被告の主張にも相応の根拠がないとはいえない。 イしかしながら,本件については,特有の事情として,以下の点を指摘することができる。 まず,原告と比較法人の業績を比較すると,売上金額こそ概ね倍半基準の範囲内だが,申告所得金額,総資産価額及び純資産価額のいずれの点でも原告が大きく上回るなど(別紙別表3,原告は同業種・類似規模の法)人に比して経営内容が良好である(甲8,原告代表者7~12項)ところ,平均功績倍率は,原告より全般に業績の劣る比較法人の平均値にすぎない。 次に,本件のように比較法人数が少ないと,法人抽出の範囲・方法により法人数がわずかに異なるだけで平均値は容易に変動してしまう。実際に,前記のとおり,処分 全般に業績の劣る比較法人の平均値にすぎない。 次に,本件のように比較法人数が少ないと,法人抽出の範囲・方法により法人数がわずかに異なるだけで平均値は容易に変動してしまう。実際に,前記のとおり,処分行政庁では比較法人中の2法人のみを算定基礎とした- 22 -ことにより平均功績倍率が3.094となったほか,国税不服審判所長による裁決では福岡県の法人からも抽出して被告とは一部構成を異にする6法人を算定基礎としたことにより平均功績倍率が1.6となっている。また,当該業界における功績倍率の平均値をより客観的に求める観点からすれば,原告を加えて平均値を計算することも考えられるが,この場合,被告主張の比較法人に原告を加えるだけで2.3から2.7へ増加することになる。 また,被告が採用した比較法人5社の功績倍率は,高いものから4.00,2.81,2.19,1.45,0.91となっている(別紙別表2,3)ところ,1.45,0.91と低額に過ぎる一部の法人が存在することで平均値が不相当に引き下げられている(前記の独立行政法人等の役員の退職金支給率が原告主張の功績倍率の相当性を直ちに基礎付けることはできないとしても,これとの対比からも上記功績倍率が低額過ぎることは明らかであるし,後記のとおり,処分行政庁はこれらの法人を比較法人から除外している)し,また,これらは平均功績倍率である2.3の周辺。 に集中しているわけではなく,相応のばらつきを見せている。このような功績倍率の分布状況から考えても,平均功績倍率である2.3を超えれば,直ちに不相当に高額であるとするには疑問の余地がある。 さらに,後記のように創業者として多大な功労のあったAのような創業者の功労等,報酬額に相当の影響を及ぼすと考えられる事情は平均値算出過程で基本的に考慮されていない(証人C。なお, 疑問の余地がある。 さらに,後記のように創業者として多大な功労のあったAのような創業者の功労等,報酬額に相当の影響を及ぼすと考えられる事情は平均値算出過程で基本的に考慮されていない(証人C。なお,被告は,創業者としての功績は,一般に勤続年数の長短及び最終報酬月額に反映されているとも主張するが,そうであるとしても,功績倍率の相当性を検討するに当たり,創業者としての功績を全く考慮しないでよいことにはならないというべきである。 。)このような事情を考慮すれば,少なくとも本件においては,比較法人の- 23 -平均功績倍率が役員退職給与の相当額を判断する際の重要な資料になるとしても,平均功績倍率を用いて算出される金額をもって直ちに相当・不相当の基準とするのは相当ではなく(なお,前記のとおり,処分行政庁も,原告の採用した功績倍率が平均功績倍率を上回ったからといって,直ちに不相当に高額であるとは判断していない,比較法人の平均功績倍率に。)加え,その功績倍率の分布状況,平均値算出過程では十分考慮されないが役員退職給与額に相当の影響を及ぼし得る原告やAの事情をも考慮して不相当に高額な部分の有無及び金額を判断するのが相当である。 そして,このように解することは,比較法人の功績倍率の分布状況も同業種・類似規模の法人の支給状況の要素と考えられるうえ,退職給与として相当な額の判断基準として,業務に従事した期間,退職の事情のほか,上記法人の支給状況等を考慮するように定め,これらの列挙事項以外の事情を考慮することについても否定するものではない,法36条及び法施行令72条の趣旨に反するものではない。 ウそこで,これを本件について検討するに,Aは,個人で運送業を始めた数年後に原告を設立した創業者であり,昭和43年から平成▲年の死亡退職に至るまでの間,代表 令72条の趣旨に反するものではない。 ウそこで,これを本件について検討するに,Aは,個人で運送業を始めた数年後に原告を設立した創業者であり,昭和43年から平成▲年の死亡退職に至るまでの間,代表取締役を務めて原告における営業活動を一手に引き受けていたこと,原告の利益率は同業種・類似規模の法人の中では突出して高く(別紙別表1によれば,売上総利益率は12比較法人の平均の2倍以上である,Aの退職前10年くらいの間は原告に毎年平均して4。)500万円程度の所得を計上させるなど,原告を収益性の高い法人に発展させたこと,平成13年ころから大口取引先との取引終了により原告の売上高は減少し,平成14年3月期には経常利益で赤字を計上するものの,リストラや不動産業による安定収入の確保等により翌期には経常利益等を回復させたことが認められ(甲2,8,乙27,原告代表者7~12,22~26,80~82,93~118項,以上によれば,創業者として)- 24 -好業績の法人である原告を維持発展させたAの功績は極めて大きいものといえるところ,このような事情は,創業者であること等を比較法人の抽出条件とはしない平均功績倍率の算出過程では考慮されるものではないが,役員退職給与額に相当の影響を及ぼし得る事情と考えられる。 また,処分行政庁においては,2法人のみを比較法人として平均功績倍率を3.094と算出し,原告の採用していた功績倍率3.5を近似値として相当としているところ,2法人(別紙別表2及び3の甲及び乙)を抽出する過程で,欠損が多額であった1法人(同己)及び功績倍率のあまりの低さから本来あるはずの退職給与が支給されていないと思われる3法人(同丙,丁,戊)を除外したこと(証人C104~109,214~216項)については,上記のような原告と他の同業種・類似規 のあまりの低さから本来あるはずの退職給与が支給されていないと思われる3法人(同丙,丁,戊)を除外したこと(証人C104~109,214~216項)については,上記のような原告と他の同業種・類似規模の法人との業績の差異及びAの創業者としての功績を踏まえれば,その判断に相応の合理性があるものといえる。 以上の点に加え,前記イの諸事情も合わせ考慮すれば,3.5を超えない範囲の功績倍率による役員退職給与については,直ちに不相当と評価することはできないものというべきであり,他に上記範囲の功績倍率による役員退職給与が不相当と評価すべき事情を認めることはできない。 一方で,功績倍率のうち3.5を超える部分に係る役員退職給与については,比較法人の平均功績倍率2.3を大きく超えていること,比較法人の功績倍率の分布状況を見ても,5社中4社は功績倍率が3.0未満にとどまっており,最高値である4.0はそれら4社と比べて突出して高いことなどからすると,原告及びAに特有の上記事情を考慮してもなお,不相当に高額といわざるを得ない。 ( )弔慰金及び功労金等の損金算入について ア弔慰金前記1のとおり,Aの最終報酬月額150万円に不相当に高額な部分は- 25 -なく,相続税法基本通達3-20の取扱いに準じて判断すると,その6か月分900万円が弔慰金として相当な額となり,全額損金算入が認められる。 イ功労金等功労金等も,Aの退職により支給された給与であるから,法36条の退職給与に該当するところ,前記( )のとおり,Aに支給された役員退職給 与のうち,比較法人の平均功績倍率及びAの創業者としての功績等固有の事情を踏まえて,功績倍率3.5で算出される範囲内の役員退職給与であれば相当であると認められるものの,これを超えた部分については名目の如何にかかわらず 平均功績倍率及びAの創業者としての功績等固有の事情を踏まえて,功績倍率3.5で算出される範囲内の役員退職給与であれば相当であると認められるものの,これを超えた部分については名目の如何にかかわらず,過大な役員退職給与として損金算入を認めることはできないのであって,退職慰労金とは別に支給しても合理的であるとの原告の主張(前記( )のとおり実質的に功績倍率4.6が適正と主張するもの といえる)は採用できない。 。 ( )不相当に高額な部分について 以上によれば,Aの役員退職給与のうち相当であると認められる金額は,適正役員報酬月額150万円に勤続年数37年(なお,Aは,創業後2年近く経って代表取締役に就任しているが,勤続年数を37年とすることについては被告も争うものではない)及び功績倍率3.5を乗じた1億9425。 万円であり,これを超える部分は不相当に高額な部分に当たる。 損金算入を認めないことにより算出される原告の所得金額等前記1及び2を前提に計算すると,原告の平成15年3月期の所得金額は,当初6264万9462円であったが,死亡退職金として損金算入していた2億7000万円(弔慰金を控除すると2億6100万円)のうち6675万円が損金算入されずに所得金額に加算され,また,繰越欠損金の当期控除過大額186万円が所得金額に加算される(前記第2の1( ))結果,1億3125 万9462円となり,納付すべき法人税額は3867万5000円(差引納付- 26 -すべき法人税額は1876万0400円,賦課されるべき過少申告加算税額)は187万6000円となり(別紙計算書2参照,これを超える部分の本件)更正処分等はいずれも違法である。 結論 以上のとおり,原告の請求は,本件更正処分等のうち所得金額1億3125万9462円,納付すべ 6000円となり(別紙計算書2参照,これを超える部分の本件)更正処分等はいずれも違法である。 結論 以上のとおり,原告の請求は,本件更正処分等のうち所得金額1億3125万9462円,納付すべき税額3867万5000円及び過少申告加算税額187万6000円をそれぞれ超える部分の取消しを求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は理由がないので棄却することとし,主文のとおり判決する。 大分地方裁判所民事第1部裁判長裁判官金光健二松川充康裁判官力元慶雄裁判官
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