令和7年10月16日東京地方裁判所刑事第6部宣告令和7年刑第1311号、同第1516号窃盗被告事件 主文 1 被告人を懲役3年に処する。 2 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)第1 被告人は、令和4年10月13日午前9時27分頃から同日午後0時57分頃までの間に、東京都渋谷区(住所省略)A方において、同人の弟であるB管理の現金約341万円を窃取した。 第2 被告人は、令和6年1月2日午前10時28分頃から同日午後0時37分頃までの間に、東京都港区(住所省略)C方において、同人の姉であるD管理の現金約300万円を窃取した。 第3 被告人は、令和7年1月1日午前11時頃、東京都江東区(住所省略)E方において、同人の姪であるF管理の現金1000円を窃取した。 (量刑の理由)本件は、警察官として火災事件の捜査に従事していた被告人が、火災現場において、遺留品である現金を盗んだ窃盗3件からなる事案であり、被害総額は約640万円と高額である。各犯行は、出火原因の特定等の捜査のために遺留品に触れ得る立場にあった現職の警察官が、その立場を悪用し、金欲しさから及んだものであり、国民の警察に対する信頼を失墜させる悪質な犯行といえ、被告人は、厳しい非難を免れない。被告人は、住宅ローンの一括返済で一時的に資産が大きく減少する一方で、今後、子の学費の支払が続くことに対する漠然とした不安感から各犯行に及んだというが、そのような経緯・動機を酌むべきとはいえない。以上の犯情によると、被告人の刑事責任は重いものがあるが、被告人が、火災により死亡した住人の遺族 らに対し、被害全額に相当する示談金を支払い、遺族らが被告人を宥恕していることは、財産犯 い。以上の犯情によると、被告人の刑事責任は重いものがあるが、被告人が、火災により死亡した住人の遺族 らに対し、被害全額に相当する示談金を支払い、遺族らが被告人を宥恕していることは、財産犯である本件の量刑において相応に考慮する必要がある。また、被告人が、捜査から一貫して事実関係を認め、反省の態度を示していること、当然のこととはいえ、本件により懲戒免職処分を受け、既に一定の社会的制裁を受けていることなども考慮すると、被告人を実刑に処すべきとはいえず、主文掲記の刑の執行を猶予することが相当であると判断した。 (求刑懲役3年)令和7年10月16日東京地方裁判所刑事第6部 裁判官鈴木悠
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