【DRY-RUN】主 文 原審判を取り消す。 本件審判の申立を却下する。 理 由 本件抗告の趣旨及び理由は、別紙のとおりである。 原審記録によると次の事実が認められ
主文 原審判を取り消す。 本件審判の申立を却下する。 理由 本件抗告の趣旨及び理由は、別紙のとおりである。 原審記録によると次の事実が認められる。 A(原審申立人。以下同じ。)は、大正一二年七月四日B及びその妻Cと養子縁組をし、翌五日Bとその先妻Dとの長女である抗告人と婚姻し、大正一四年七月一八日Aと抗告人との長男Eが出生した。その後Aと抗告人とは円満を欠くようになり昭和三年か四年頃別居し、Aは昭和五年一二月二七日協議離婚及び離縁をし、抗告人は別居以後B方等でEを養育した。他方、Aはその後広島市に居住し右離婚・離縁の約二年後Fと事実上の婚姻をし昭和二四年七月二四日その届出をした。これより先、Eは応急措置法施行後の昭和二二年七月三日死亡し、抗告人とAとがその共同相続をした。AはE死亡の際電報でその通知を受けたが葬式に出席しなかつた。Eの遺産は、その死亡前から引き続いてもつぱら抗告人側で使用占有し、殊にその遺産に属する原決定添付目録記載不動産中の田より生ずる収益は全部抗告人側で取得し、そのAの相続分に応ずる収益をAに分配したことはなかつた。他方、AはE死亡後広島市で英語学校・予備校等の経営に専念し、Eの遺産に対する自己の相続分を放置していた。ところが、Eの死亡の日から約九年後の昭和三一年一〇月下旬抗告人の養子G(Gは昭和二三年三月二五日抗告人と養子縁組をした。)は、Aに対し「E名義の不動産を自己名義に書き替える必要上、持分放棄の書類を送付されたい。」旨申し入れたところ、Aはこれを拒絶し、昭和三二年四月中抗告人を相手方として遺産分割調停の申立をしたが合意成立の見込がなくAはその申立を取り下げた。ついでAは昭和三三年中抗告人を相手取りEの遺産に属する宅地及び農地の自己の相続分二分の一を抗 二年四月中抗告人を相手方として遺産分割調停の申立をしたが合意成立の見込がなくAはその申立を取り下げた。ついでAは昭和三三年中抗告人を相手取りEの遺産に属する宅地及び農地の自己の相続分二分の一を抗告人が不法に占有侵害しているとして、宅地の賃科相当額、農地の収益相当額の各損害賠償請求の訴(金額三〇万円)を広島地方裁判所に提起したが、抗告人の方で、右損害賠償請求権はAの相続回復請求権に基づくものであつて相続回復請求権は五年の短期時効によつて消滅している旨主張し時効を援用した結果、同裁判所は右損害賠償請求権は相続回復請求権に属するものであり五年の短期時効(民法八八四条)によつて消滅したものと判断し、同年一〇月一〇日A敗訴の判決を言い渡した。 本件遺産分割申立の対象とされているものは、もとEの祖父B(昭和二一年一二月一五日死亡)の所有であり昭和三年六月一五日に同日付売買を登記原因としてBよりその妻Cに、昭和一七年一〇月一三日に同年九月二五日付売買を登記原因としてCよりE(当時一七歳)に順次所有権移転登記がなされた宅地及び田とC名義(昭和三年六月一六日所有権保存登記)よりEに昭和一七年一〇月一三日に同年九月二五日付売買を登記原因として所有権移転登記がなされた建物とである。 以上の事実が認められる。右認定を覆えすに足りる証拠はない。 右認定によると、Aは、相続開始の日の昭和二二年七月三日当時抗告人とともにEの共同相続人となつたことを知つており、Eの前示遺産があることを調べずこれに対する自己の相続分を放置していたところ、その約九年後抗告人の養子Gの前示持分放棄による名義書替の要求に接して遺産の存在を知り、昭和三二年中遺産分割調停の申立をしたがこれを取り下げ、昭和三三年中前示損害賠償請求の訴を提起して敗訴したものであり、他方抗告人はEの共同相続人で 分放棄による名義書替の要求に接して遺産の存在を知り、昭和三二年中遺産分割調停の申立をしたがこれを取り下げ、昭和三三年中前示損害賠償請求の訴を提起して敗訴したものであり、他方抗告人はEの共同相続人ではあるが殊に前示遺産中の田の収益を全部取得してAの共同相続人たる財産上の地位を明確に排除し、その相続権(民法九〇五条一項にいうところの相続分)を侵害し、Eの遺産に対するAの相続分をも占有・管理しているものというべきである。そして抗告人は、前示のように時効の援用(民法八八四条)をした。するとAは、相続開始の日の昭和二二年七月三日当時自己が共同相続人であることを知りながらその当時から五年を経過した昭和二七年七月三日当時までの間相続回復請求権を行<要旨第一>わなかつたものであつて、その相続回復請求権はすでに消滅したものといわねばならない。したがつてAは</要旨第一>共同相続人として抗告人に対し遺産の共有を回復・主張することができない以上、本件遺産分割審判の申立人<要旨第二>たる資格を有しないものというべきである。相続回復請求権が時効により消滅したか否かについての紛争は、</要旨第二>がんらい訴訟事項であるけれども、遺産分割審判手続において審判事項の先決問題としてこれを審理判断し得るものと解するのが相当である。Aの本件審判の申立は不適法なものというべきである。 そうすると、右と異る原審判は失当としてこれを取り消すべく、本件審判の申立はこれを却下すべきであるから、家事審判規則一九条二頃に従い主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官山崎寅之助裁判官山内敏彦裁判官日野達蔵) 裁判官 日野達蔵
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