-1-H18.9.28東京簡易裁判所平成18年(ハ)第5197号損害賠償請求事件(甲事件)平成18年(ハ)第14347号求償金請求事件(乙事件)甲事件原告(乙事件被告)(以下「原告」という。)甲事件被告(以下「被告A」という。)主文 被告Aは,原告に対し,34万6718円及びこれに対する平成18年1月10日から支払済まで年5パーセントの割合による金員を支払え。 原告は,乙事件原告に対し,9万2425円及びこれに対する平成18年1月26日から支払済まで年5パーセントの割合による金員を支払え。 原告及び乙事件原告のその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,5分し,その2を被告A及び乙事件原告の負担とし,その余を原告の負担とする。 この判決は,第1項,第2項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1請求 甲事件被告Aは,原告に対し,83万3398円及びこれに対する平成18年1月10日から支払済まで年5パーセントの割合による金員を支払え。 乙事件原告は,乙事件原告に対し,46万2125円及びこれに対する平成18年1月26日から支払済まで年5パーセントの割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,普通乗用自動車同士の接触事故であり,原告が,被告Aに対し,不法行為(民法709条)に基づき,車の修理代金43万3398円,評価損40万円の合計金83万3398円及び遅延損害金の支払を求めたのに対し,乙-2-事件原告が,本件事故により,被告A車両に生じた修理代金46万2125円を被告Aとの自動車保険契約に基づいて同人に支払ったことにより,商法662条に基づき,原告に求償した事案である。 争いのない事実平成18年1月10日午前9時5分ころ,東京都世田谷区ab丁目c番d号先の住宅地の中を 険契約に基づいて同人に支払ったことにより,商法662条に基づき,原告に求償した事案である。 争いのない事実平成18年1月10日午前9時5分ころ,東京都世田谷区ab丁目c番d号先の住宅地の中を走る交通整理の行われていない交差点において,優先道路を直進し同交差点上に差しかかった原告の運転する普通乗用自動車(以下「原告車」という。)と優先道路に交差する非優先道路を直進し同交差点を通過しようした被告Aの運転する普通乗用自動車(以下「被告車」という。)とが,同交差点上において出会い頭で衝突する交通事故(以下「本件事故」という。)が発生した。 損害のうち原告車の修理代金は43万3398円,被告車の修理代金は46万2125円であり,乙事件原告の前記保険契約による支払額は46万2125円である。 争点 (1) 本件事故態様及び過失割合(原告の主張)本件事故は,優先道路を直進していた原告車が,交差点を徐行して通過しようとしたところ,非優先道路を直進していた被告車が,一時停止の標識があるにもかかわらず,一時停止も徐行もせず,前方の確認を怠って,交差点に進入した過失により,原告車と被告車とが交差点上において出会い頭で衝突したものであり,当事者双方の過失割合は,被告車が100パーセントである。 (被告A及び乙事件原告)被告Aは,本件交差点手前から原告車進行道路の左右の安全を確認しながら,アクセルを軽く踏み,そろそろと徐行して本件交差点に進入し,中央付-3-近に達したところ,左方より,原告車が,通常の速度で本件交差点に進入してくるのを発見したため,急いでブレーキを踏み,すぐに停止したが,間に合わず,原告車と衝突した。したがって,原告車にも,一定の過失があり,原告車が30パーセント,被告車が70パーセント当事者双方の過失割合は,である。 (2 でブレーキを踏み,すぐに停止したが,間に合わず,原告車と衝突した。したがって,原告車にも,一定の過失があり,原告車が30パーセント,被告車が70パーセント当事者双方の過失割合は,である。 (2) 評価損の存否及び評価損の請求権者は誰か(請求権の帰属)(原告の主張)原告が,原告車を売却又は下取りに出す場合の査定をしたところ,本件事故による車両格落損は,40万から50万円であった。その際,フロントエンジン周りにネジをはずした形跡やエンジンフードが取り外された形跡が明らかに残っていると指摘され,ディーラーで再販売をかけるときには,事故歴,修復歴なしとはいえないとして,前述のとおり下取り価格はかなり低額だった。 (被告Aの主張)評価損とは,車両の交換価値の低下により生じる損害であるから,その所有者に生じる損害であるところ,本件では,登録事項等証明書上の所有者と原告との間で,所有権留保契約が締結されているのであるから,評価損の請求権は,原告ではなく,所有権者である売り主に帰属すると解すべきである。 また,評価損の請求権者が誰であるにせよ,本件において,原告車の損傷部位,程度等からすれば,原告車に評価損が生じる合理的根拠は一切なく原告の評価損の主張は認められるべきではない。 第3当裁判所の判断 本件事故態様及び過失割合(争点1)について(1) 証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア交差点にはミラーが設置されていたが,被告車の進行方向から向かって左から交差する道路(原告車が進行する道路)と原告車の進行方向から向-4-かって右から交差する道路(被告車が進行する道路)は,同ミラーにより互いの接近を確認できない。また,被告車の運転席が一時停止標識の位置に至って初めて上記原告車が進行してくる道路が望めるようになる。 イ被告 から交差する道路(被告車が進行する道路)は,同ミラーにより互いの接近を確認できない。また,被告車の運転席が一時停止標識の位置に至って初めて上記原告車が進行してくる道路が望めるようになる。 イ被告車の進行する道路の道幅は,約4メートルくらいであり,事故当時一時停止標識手前付近に,軽自動車が2台続けて停車していたことから,被告車(トヨタクラウン)は,徐行程度の速度で上記軽自動車の脇を通過して,一時停止標識の手前で一瞬停止し,すぐにアクセルを軽く踏み,交差点入り口では左方向は確認せずにそのまま進入しようとしたが,その瞬間,クラクション音が聞こえ,ほぼ同時に原告車と衝突した。衝突箇所は,原告車が前部バンパー右端とボンネットに係る部分,被告車が前部バンパーから左側前輪のホイール付近である。 ウ原告車は,本件交差点手前40メートル付近にある自宅から発車したばかりであり,自宅からすぐ近くに本件交差点があることからさほど速度は出していなかったが,交差点手前に来て,右方道路から進入しようとしていた被告車を認め,クラクションを鳴らし,制動したものの被告車に衝突した。 (2) 以上の認定事実を前提に以下検討するに,非優先道路から交差点に進入する車は,優先車の進路を妨害しないこと,特に見通しの悪い交差点の場合,一時停止をしたとしても,発進する場合には優先道路を走行する車に自車の存在を知らせるために,徐々に少しづつ自車の頭出しをし,優先車があった場合にはいつでも停止できるよう十分に注意を払った走行をすることが求められるところ,被告車は,優先車である原告車の存在に気づかず,かつ,求められる上記注意義務を怠ったために本件事故が生じたと認められる。したがって,被告車の過失は大きく,本件事故の主たる原因となったことはいうまでもない。 一方,優先道路から交差点に進 づかず,かつ,求められる上記注意義務を怠ったために本件事故が生じたと認められる。したがって,被告車の過失は大きく,本件事故の主たる原因となったことはいうまでもない。 一方,優先道路から交差点に進入する車は,本件のような住宅地の中を走-5-る互いに見通しの悪い交差点手前では,優先関係はあったとしても,通過する際には,非優先道路からの進入車や人の飛び出しに注意して走行するなど,特に安全に進行する義務(道路交通法36条4項)が求められるところ,原告車はこれを怠っているというべきであり,本件事故発生への原告車の責任を全く否定することはできず,原告にも相応の過失が認められる。 (3)以上検討した結果,その他本件に現れた一切の事情を考慮すると,双方の過失割合は,原告車が20パーセント,被告車が80パーセントと認めるのが相当である。 評価損の存否及び評価損の請求権者は誰か(請求権の帰属)(争点2)について事故当時の被害車両の評価価格と修理後の減価した評価価格との差額が評価損いわゆる格落損であるが,これは,潜在的・抽象的な損害であり,これが損害賠償によって請求しうる損害と認められるためには,顕在化・具体化することが必要である。そのためには,当該事故による損傷の部位及び程度,修理の内容及び額,機能的障害及び外観的欠陥残存の有無などから総合して判断すべきである。 本件をみてみるに,証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件事故による損傷程度は比較的軽度であり,修理内容は,フロントバンパーやエンジンフード等を主な取替とし,その他も塗装や補修に係るものであり,フレーム等車体の基本的骨格部分に係わるものでないこと,修理費用は43万3398円であること,修理後は機能上及び外観上も原状回復され,機能的障害及び外観的欠陥は残存してないことが認められる。したがって ーム等車体の基本的骨格部分に係わるものでないこと,修理費用は43万3398円であること,修理後は機能上及び外観上も原状回復され,機能的障害及び外観的欠陥は残存してないことが認められる。したがって,本件事故により生じた評価損は,いまだ顕在化・具体化したということはできず,損害賠償によって請求しうる損害と認めるに足りない。 以上により,その余判断するまでもなく,評価損についての原告の主張は採用できない。 -6- 以上によれば原告の損害は,前記修理代金43万3398円から責任割合を減額した34万6718円であり,乙事件原告は,前記保険支払額46万2125円から被告Aの責任割合を減額した9万2425円の限度で代位請求することができる。 よって,原告の被告Aに対する請求は,34万6718円及びこれに対する平成18年1月10日から支払済まで,乙事件原告の原告に対する請求は,9万2425円及びこれに対する平成18年1月26日から支払済までそれぞれ年5パーセントの割合による遅延損害金の各支払を求める限度でそれぞ理由があるから上記範囲でこれを認容し,その余は理由がないからいずれも棄却し,主文のとおり判決する。 東京簡易裁判所民事第2室裁判官高倉武-7-
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