主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 被告は,原告らに対し,各1万円を支払え。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は,いわゆる新65期司法修習生であった原告らが,①主位的に,平成16年法律第163号による裁判所法改正(以下,同改正を「本件改正」と,同改正後の裁判所法を「本件改正法」ともいう。)による給費制の廃止は違憲無効であり,本件改正後も本件改正前の裁判所法67条2項が効力を有する一方,原告らは違憲無効な立法行為等により本来受給できる同改正前の裁判所法67条2項に基づく給費を受けることができなかったと主張して,ⅰ本件改正前の裁判所法67条2項による給費受給権を有する地位に基づく給与(少なくとも237万4080円)の支払請求(実質的当事者訴訟)又は,ⅱ国家賠償法1条1項に基づく逸失利益(少なくとも237万4080円)及び慰謝料(少なくとも100万円)の損害賠償請求として,②予備的に,仮に上記国家賠償法に基づく損害賠償請求が認められない場合には,原告らは無給のまま適法行為である司法修習に専念させられたことにより,人的収容等により損失を被ったと主張して,損失補償による正当な補償の請求として,少なくとも本件改正前の裁判所法67条2項に基づく給費制において認められていた国家公務員一種採用者と 同等額の給費相当額(少なくとも233万5920円)の支払として,被告に対し,各原告それぞれに1万円の支払(各請求の一部請求)を求める事案である。 2 関係法令等の定め別紙のとおり。 3 前提事実(当事者間に争いがないか又は弁論の全趣旨及び後掲の各証拠により容易に認定できる事 ぞれに1万円の支払(各請求の一部請求)を求める事案である。 2 関係法令等の定め別紙のとおり。 3 前提事実(当事者間に争いがないか又は弁論の全趣旨及び後掲の各証拠により容易に認定できる事実)⑴ 原告らは,いずれも,平成23年11月27日に開始された,いわゆる新65期司法修習を終了した者(新65期司法修習生であった者。なお,平成14年法律第138号による改正後の司法試験法により新設された新司法試験に合格し,司法修習生になった者を新○○期司法修習生といい,同改正の附則7条により平成23年まで実施された同改正以前から行われている現行司法試験(旧司法試験)に合格し,司法修習生になった者を現行○○期司法修習生という。)である。 ⑵ 裁判所法の成立,司法修習制度の開始について裁判所法は,昭和22年4月16日に公布され,日本国憲法と同じ昭和22年5月3日に施行された。 司法修習制度は,戦後の司法制度改革を経て,従来の司法官試補制度及び弁護士試補制度に代わる制度として,将来,裁判官,検察官又は弁護士となるべき者には全て司法修習生として修習を行わせることとし,法曹養成のための統一的修習の目的に応ずるために,裁判所法の制定によってはじめて設けられた(乙1)。 ⑶ 給費制に関する裁判所法改正の経緯ア平成16年改正前の給費制 別紙記載1のとおり,平成16年改正前裁判所法67条2項は,「司法修習生は,その修習期間中,国庫から一定額の給与を受ける。」と規定し,この規定により,裁判所法制定時から平成16年改正までの間,司法修習生には,その修習期間中,国庫から一定額の給与が支給されていた。 イ平成16年改正による給費制から貸与制への移行別紙記載2のとおり,本件改正により,裁判所法67条2項は「司 の間,司法修習生には,その修習期間中,国庫から一定額の給与が支給されていた。 イ平成16年改正による給費制から貸与制への移行別紙記載2のとおり,本件改正により,裁判所法67条2項は「司法修習生は,その修習期間中,最高裁判所の定めるところにより,その修習に専念しなければならない。」と改められ,修習専念義務が明定されるとともに,従前の給費に関する文言が削除される一方,修習資金の貸与に関する同法67条の2が付加され,給費制から貸与制に移行がなされた。 本件改正後の裁判所法(本件改正法)は,当初提出された法律案では,平成18年11月1日から施行することとされていたが,国会における審議を経て,十分な周知期間を確保するなどの趣旨も踏まえた上で,平成22年11月1日から施行することとされた。 ウ平成22年改正による給費制廃止時期の延期及び平成24年改正による返還猶予措置制度の追加別紙記載3のとおり,平成22年法律第64号による裁判所法の改正(以下「平成22年改正」という。)により,本件改正法67条の2の適用は平成23年10月31日まで行わないこととされ,その間は従前の司法修習生と同様,給与が支給されることとされた。 これにより,平成22年11月1日より後に採用され,本件改 正法が適用されることになっていた新64期司法修習生及び現行65期司法修習生に対しては,本件改正法による貸与制が適用されず,従前の司法修習生と同様に給与が支給されることになり,平成23年11月1日以降に採用された新65期司法修習生から本件改正法の貸与制が適用されることとなった。 その後,別紙記載4のとおり,平成24年7月27日,貸与制について,修習資金を返還することが経済的に困難である場合における 5期司法修習生から本件改正法の貸与制が適用されることとなった。 その後,別紙記載4のとおり,平成24年7月27日,貸与制について,修習資金を返還することが経済的に困難である場合における返還猶予措置を講ずるための裁判所法の一部を改正する法律が可決成立した。 エ平成29年改正による修習給付金制度の創設平成23年11月1日以降に採用された司法修習生(新65期以降の司法修習生)に対しては,本件改正法による貸与制が適用されていたところ,法務省は,平成28年12月19日,法曹三者での協議を踏まえ,平成29年度以降に採用される予定の司法修習生(第71期以降)に対する新たな給付制度を創設する方針を発表し,平成29年2月3日,内閣において上記法務省発表と同旨の裁判所法改正案が閣議決定された(甲A159,160)。 その後,平成29年4月19日,別紙記載5のとおり,司法修習生に対する新たな経済的支援として修習給付金を支給し,貸与制を併存する新たな制度の制定を内容とする裁判所法の改正法(平成29年法律第23号)が成立し,同改正後の裁判所法67条の2の委任を受けて,別紙記載9のとおり,司法修習生の修習給付金の給付に関する最高裁判所規則(平成29年最高裁判所規則第3号)が定められた。 4 争点及び争点に対する当事者の主張 ⑴ 争点ア平成16年法律第163号による裁判所法の改正(本件改正,本件改正法)が違憲無効か(争点①)イ本件改正法の立法行為が国家賠償法上違法か(争点②)ウ平成16年以降給費制を復活しなかった立法不作為が国家賠償法上違法か(争点③)エ損失補償の適用があるか(争点④)⑵ 争点①(本件改正法が違憲無効か)について ウ平成16年以降給費制を復活しなかった立法不作為が国家賠償法上違法か(争点③)エ損失補償の適用があるか(争点④)⑵ 争点①(本件改正法が違憲無効か)について【原告らの主張】ア憲法上の要請としての司法修習生の給費制統一司法修習及び給費制は,不完全な司法権の独立や弁護士の地位の劣後等を内容とする戦前の司法制度及び法曹養成制度の下における弊害,そのような制度の下において司法が行政の下におかれ,国による人権弾圧を防ぐことができなかった歴史的経緯を踏まえ,国民の人権擁護を根幹とし,司法権に違憲審査権を付与して三権分立を確立し,司法権を担う法曹三者を憲法上明記した日本国憲法と同時に施行された裁判所法により実施されたものである。 また,司法修習を経た法曹三者は,いずれも憲法にその存在が規定され,憲法上,公的な職務に対する報酬が保障されている。 そして,法曹になる者として司法修習に専念する司法修習生には,その公的な身分及び修習専念等に対する給費支給がされていた。 このように,給費制は憲法の基本的人権擁護の理念を具体化する司法権を担う法曹三者の養成課程である統一司法修習と不可分一体のものとして憲法上保障されているものであり,このことは, 歴史経緯及び司法修習の実態及び司法修習生の身分取扱い等からも裏付けられる。 したがって,司法修習及び給費制は,憲法が要請する制度であり,司法修習生の給費を受ける権利は司法権の本質及び司法修習生の地位等に基づくものであって,これを廃止する本件改正法は違憲無効である。 イ憲法の個別の条項による給費を受ける権利の保障以下のとおり,司法修習生の給費を受ける権利は憲法の個別の条項によっても保障されており,本件 ,これを廃止する本件改正法は違憲無効である。 イ憲法の個別の条項による給費を受ける権利の保障以下のとおり,司法修習生の給費を受ける権利は憲法の個別の条項によっても保障されており,本件改正法はこれらの権利を侵害するものとして違憲無効である。 人格権としての給費を受ける権利(憲法13条)司法修習生は,修習専念義務による諸権利の制約等を前提に司法修習に取り組むものであり,これは国民の権利擁護を担うという人格的選択に基づくものである。このため,司法修習に取り組むことは,単に個人としての人格的価値のみならず,司法権を担うために司法修習に取り組むという公的価値をも含み,人格的生存に不可欠な利益をその内容としている。このため,司法修習生は,修習専念義務のもと,生活等に支障なく司法修習に取り組むことができるよう国に対して求める権利を有している。 これらは,包括的な権利として,憲法13条の幸福追求権から根拠づけられる。 法曹になる職業選択の自由(憲法22条)法曹となる職業選択の自由は,国民の人権擁護という公的価値を有する人格的権利として保障される一方,国が憲法上の法 曹養成義務として実施する司法修習に伴い,兼業禁止及び居住移転等の制約を受ける。 このため,司法修習生には,法曹となる職業選択の自由の保障として,かかる制約のもとにおいて経済的理由で修習を断念したり,修習に専念できない状況に追い込まれることが無いよう,給費等の支給を受ける権利が憲法22条1項により保障されている。 生活保障(憲法25条)司法修習生は,修習専念義務に伴う時間的・場所的な拘束を受け,兼業の禁止,公務員と同様の政治的中立性や守秘義務等の義務 項により保障されている。 生活保障(憲法25条)司法修習生は,修習専念義務に伴う時間的・場所的な拘束を受け,兼業の禁止,公務員と同様の政治的中立性や守秘義務等の義務を負い,制約を課される。このため,被告は,原告らを含む司法修習生に対し,人権擁護を担う法曹になるという司法修習の目的達成に必要な限度での生活保障を施す義務を負うが,被告は,その義務を怠り,給費制を廃止した。 また,本件改正法における貸与制は,借金による生活保障が生活基盤を確保する手段とはならず,連帯保証人を強いたり,保証料を貸与金から控除するなどの制約があることからも,司法修習期間中の生活基盤を確保するために合理的であるとはいえない。 職務に従事するうえでの対価補償(憲法27条)司法修習生は,司法修習に従事することにより,憲法27条1項及び2項の「勤労」をする者であり,被告の定めた条件に従って司法修習に従事し,原告らは被告に対し労務の提供を行っている。このため,被告は,原告らに対し,この労務の提供に対する対価を支払う義務を負い,対価の支払いのための法律 を制定する義務を負う(憲法27条2項)。 被告による給費制の廃止は,これらの義務に反する。 ウ平等権の侵害以下のとおり,本件改正法は,現行65期及び新64期の司法修習生や裁判所書記官研修生との間で不合理な差別的取り扱いをするものであり,憲法14条1項に反し,違憲無効である。 現行65期司法修習生新65期(65期司法修習生のうち新司法試験を合格して司法修習生となった者)と現行65期(65期司法修習生のうち旧司法試験を合格して司法修習生となった者)の司法修習生は,修習カ 習生新65期(65期司法修習生のうち新司法試験を合格して司法修習生となった者)と現行65期(65期司法修習生のうち旧司法試験を合格して司法修習生となった者)の司法修習生は,修習カリキュラムについて若干の差異はあったものの,修習の内容については本質的には同一であった。また,その他の給費の支給にかかわる点を除き,身分上の地位の取り扱い,修習専念義務に基づく権利制約及び実務修習地の指定に伴う居住・移転の自由の制約等についても全く同一であった。 給費制廃止の理由である財政上の理由や国民の理解が得られないといった理由はその具体的な根拠を欠くものであったにもかかわらず,給費制を廃止した本件改正には合理的な理由がなく,現行65期司法修習生と比較して不合理な差別がある。 新64期司法修習生新65期と新64期の司法修習生は,給費の支給に関わる点を除き,修習カリキュラム,身分上の地位の取り扱い,修習専念義務に基づく権利制約及び実務修習地の指定に伴う居住・移転の自由の制約等について全く同一であった。したがって,本件改正による給費制の廃止は合理的理由がなく,新64期司法 修習生と比較して不合理な差別がある。 裁判所書記官研修生裁判所書記官研修生は,司法権を支える人材を育成するという目的,政治活動等の禁止等の権利制約,講義内容,服務監督等において,司法修習生とほぼ同一である。そのような実体的,身分的に裁判所書記官研修生と同一に評価できる司法修習生について給費制を廃止したのは合理的理由がなく,裁判所書記官研修生と比較して不合理な差別がある。 【被告の主張】ア憲法上の要請としての司法修習生の給費制について憲法は,法曹養成に 制を廃止したのは合理的理由がなく,裁判所書記官研修生と比較して不合理な差別がある。 【被告の主張】ア憲法上の要請としての司法修習生の給費制について憲法は,法曹養成に関していかなる制度を採用するかについては何ら定めておらず,司法修習生に対する給費制を要請するものではない。法曹養成に関していかなる制度を採用するか,その具体的内容をどのようなものにするかは,憲法の規律するところではなく,法律事項として立法府の政策的な判断に委ねられており,統一司法修習及び給費制が憲法上保障されているとはいえない。 憲法は,法曹三者のうち検察官及び弁護士の報酬については何ら定めておらず,憲法79条6項後段及び80条2項後段は,司法権の独立の確保のために裁判官の報酬を保障した規定であり,その趣旨が司法修習生に及ぶことはない。 また,司法修習生は公務員に準ずるような公的な身分を有しておらず,国家公務員とは異なり一定の職務を遂行すべき義務を負わず,国に対する勤務を行う立場にないから,司法修習生は国家公務員として勤務の対価である「給与」を受ける前提を欠く。司法修習生が行う司法修習は,専ら司法修習生に対する教育を目的 として行われるものであって,国に対する勤務又は給付の性質を有するものではないから,司法修習生は,司法修習の対価を受ける立場にもない。 原告らは,修習専念義務が,司法修習生が公務員に準ずる公的な身分にあることから導かれるものと主張するが,修習専念義務は高い識見と円満な常識を養い,法律に関する理論と実務を身に着け,裁判官,検察官又は弁護士にふさわしい品位と能力を備えるという司法修習制度の目的から導かれるものである。 したがって,司法修習生の給費制・給費を受け い,法律に関する理論と実務を身に着け,裁判官,検察官又は弁護士にふさわしい品位と能力を備えるという司法修習制度の目的から導かれるものである。 したがって,司法修習生の給費制・給費を受ける権利が憲法上の要請として保障されているとはいえない。 イ憲法の個別の条項による給費を受ける権利の保障について人格権としての給費を受ける権利原告らが主張するところの人格権としての給費を受ける権利の内容は不明というほかなく,この主張は結局のところ,法曹養成制度の具体的内容をどのようなものにするかという立法政策の当否について主張するものに過ぎない。 法曹養成制度の具体的内容については法律事項として立法府の政策的な判断に委ねられており,司法修習生の給費を受ける権利が幸福追求権ないし人格権として保障されているかを含めて,そもそも憲法上の問題を生じさせるものではない。 したがって,司法修習生の給費を受ける権利は憲法13条で保障されておらず,給費制の廃止は同条に反しない。 法曹になる職業選択の自由司法修習生の給費を受ける権利は,憲法22条1項によって保障されたものではない。前述のとおり,司法修習生の修習専 念義務は司法修習の本質から導かれるものであり,また修習地の指定も,司法修習制度の目的と合理的関連性を有するものであることからすれば,これらによって兼業が制約されたり,居住,移転の自由が制約されたりしても,これらの制約は自らの意思で司法修習生となることを選択したことに伴う内在的制約あるいは憲法上許容される公共の福祉による権利制約に過ぎない。 したがって,司法修習生の給費を受ける権利は憲法22条1項で保障されておらず,給費制の廃止は同 択したことに伴う内在的制約あるいは憲法上許容される公共の福祉による権利制約に過ぎない。 したがって,司法修習生の給費を受ける権利は憲法22条1項で保障されておらず,給費制の廃止は同条に反しない。 生活保障司法修習生の給費を受ける権利は憲法25条によって保障されたものではない。 本件改正法による改正前の裁判所法67条2項に基づき司法修習生に支給されていた給費は,司法修習生をして修習に専念させるための配慮として支給されていたものに過ぎず,同項は,司法修習生の生存権の保障を具体化したなどというものではない。憲法25条に関連するのは生活保護法等の社会保障関係の諸法令であって,本件改正法による改正前の裁判所法67条2項は,生存権の保障とは全く関係がない。司法修習生が修習専念義務により生活の糧を得ることが制限されたとしても,それは,司法修習生が自ら司法修習生になることを選択した結果であって,そもそも生存権の保障を及ぼすべき場面には当たらない。本件改正法により給費性に代わる司法修習生の経済的支援措置として導入された貸与制は,司法修習期間中の生活の基盤を確保するのに十分合理的なものとなっている。 したがって,司法修習生の給費を受ける権利は憲法25条で保障されておらず,給費制の廃止は同条に違反しない。 職務に従事するうえでの対価補償司法修習は,法曹に必要な能力を養成するために,実際の法律実務活動の中で行われる臨床教育課程であって,司法修習生が司法修習の課程で法律実務家として国の事務に関して職務を遂行することは予定されていないし,司法修習生にそのような権限は与えられていない。具体的な修習内容に照らしても,司法修習生は,裁判官, 習生が司法修習の課程で法律実務家として国の事務に関して職務を遂行することは予定されていないし,司法修習生にそのような権限は与えられていない。具体的な修習内容に照らしても,司法修習生は,裁判官,検察官又は弁護士の職務その他の国の事務に従事するものではない。 司法修習生の司法修習は,使用者(国)に対する勤務ないし給付の性質を持つものではなく,「労務の提供」に該当せず,憲法27条1項所定の「勤労」には当たらない。 したがって,司法修習生の給費を受ける権利は憲法27条で保障されておらず,給費制の廃止は同条に反しない。 ウ平等権の侵害について 現行65期司法修習生法曹養成制度の具体的内容をどのようなものにするかといった事項は,経済的・社会的条件,一般的な国民生活の状況,国の財政事情,他の政策等を踏まえて検討される必要があり,国の政策的な判断に委ねられるべきものである。したがって,新65期司法修習生とそれ以前の司法修習生との間での区別に事柄の性質に即応した合理的な根拠があるかどうかについては,国に広い裁量があることを前提に,本件で問題となる給費制から貸与制への移行という立法府の判断に合理性があるか否かの 問題に帰着する。 本件改正法による給費制から貸与制への移行は,法曹の質・量の充実,法曹人口の増加等も含め,新たな財政負担を伴う司法制度改革を推進する中で,限りある財政資金をより効率的に活用し,司法制度改革全体について国民の理解が得られる合理的な国民負担(財政負担)を図る必要があること,給費制創設当初と比較して司法修習生が大幅に増加しており,新たな法曹養成制度の整備に当たり,その増加に実効的に対応できる制度とする必要があること,公務に従事し 負担(財政負担)を図る必要があること,給費制創設当初と比較して司法修習生が大幅に増加しており,新たな法曹養成制度の整備に当たり,その増加に実効的に対応できる制度とする必要があること,公務に従事しない者に国が「給与」を支給するのは異例の制度であることなどを踏まえた,司法修習生の「給与」を国民が負担することについて国民の理解を得られるか否かといった観点などによるものであり,合理的な政策判断に基づくものである。貸与制の内容を見ても,司法修習期間中の生活の基盤を確保するのに十分合理的なものとなっている。 したがって,本件改正による給費制から貸与制への移行という立法府の判断には合理性が認められ,新65期司法修習生である原告らと現行65期司法修習生との間の区別には,事柄の性質に即応した合理的な根拠があり,憲法14条1項に反するものではない。 新64期司法修習生 新65期司法修習生である原告らと,新64期司法修習生との間の差異は,事柄の性質に即応した合理的な根拠に基づく区別であり,憲法14条1項に反するものではない。 裁判所書記官研修生裁判所書記官研修生は,裁判所の職員であり,司法修習生とは身分地位が全く異なる上,司法修習が裁判官,検察官又は弁護士に必要な能力を養成するための課程であるのに対し,裁判所書記官養成課程は裁判所書記官として必要な能力を養成するための課程であって,両者はその目的及び内容等が大きく異なる。 以上によれば,新65期司法修習生と裁判所書記官研修生との間に身分地位や待遇の差異があることは当然であって,上記の区別について憲法14条1項違反はそもそも問題とならない。 ⑶ 争点②(本件改正法の立法行為が国家賠償法上 修習生と裁判所書記官研修生との間に身分地位や待遇の差異があることは当然であって,上記の区別について憲法14条1項違反はそもそも問題とならない。 ⑶ 争点②(本件改正法の立法行為が国家賠償法上違法か)について【原告らの主張】争点①について述べたとおり,司法修習生の給費を受ける権利は憲法上保障されているところ,被告は,憲法上要請される給費制について,これを廃止することが許されないことを明確に認識しながら,本件改正法を制定,施行することにより給費制を廃止した。 また,給費制の廃止は,行政権,立法権による司法権そのものへの侵害であるから,原則として国家賠償法上の違法性及び過失が認められ,例外的に違法性や過失を阻却する事情が認められない限り,国家賠償法上違法な行為と認められるべきである。 被告の給費制廃止に係る立法行為には,違法性を阻却すべき事情は一切なく,廃止してはならない法律上の規定を廃止した違法行為であり,少なくとも上記義務違反について過失があった。 このように,本件改正法の立法行為は国家賠償法上違法であり,これにより,原告らは,無給のまま司法修習に専念することを余儀 なくされ,本件改正前の給費相当額の損害を被ったほか,精神的苦痛を被った。 【被告の主張】国会議員の立法行為又は立法不作為が国家賠償法1条1項の適用上違法となるかどうかは,国会議員の立法過程における行動が個別の国民に対して負う職務上の法的義務に違背したかどうかの問題であって,立法の内容又は立法不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合や,国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置をとることが必要不可欠であり,それが 立法不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合や,国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置をとることが必要不可欠であり,それが明白であるにもかかわらず,国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合などに,例外的に国会議員の立法行為又は立法不作為は,国家賠償法1条1項の規定の適用上,違法の評価を受ける。 これを本件についてみると,これまで述べてきたとおり,本件改正法により給費制を廃して貸与制とした立法行為は憲法に違反しないのであるから,本件改正法の立法行為は,国家賠償法1条1項の適用上違法と評価される余地はない。 ⑷ 争点③(平成16年以降給費制を復活しなかった立法不作為が国家賠償法上違法か)について【原告らの主張】被告は,平成23年10月31日の経過により,平成22年改正に基づく給費制延長措置が終了した後,廃止すべきでない給費制を復活させず,貸与制を導入したにとどまった。 また,これは行政権,立法権による司法権そのものへの侵害であるから,原則として国家賠償法上の違法性及び過失が認められ,例 外的に違法性や過失を阻却する事情が認められない限り,国家賠償法上違法な行為と認められるべきである。 被告の給費制を復活しなかった行為には,違法性を阻却すべき事情は一切なく,被告は,廃止してはならない法律上の規定を廃止後,違憲の状態を解消する義務(憲法99条)があったにもかかわらず,これを怠り,立法行為等をせずに漫然と放置した違法があり,不作為に過失があった。 このような立法不作為は国家賠償法上違法であり,これにより,原告らは,無給のまま司法修習に専念することを余儀なくされ,本件改正前の給 ずに漫然と放置した違法があり,不作為に過失があった。 このような立法不作為は国家賠償法上違法であり,これにより,原告らは,無給のまま司法修習に専念することを余儀なくされ,本件改正前の給費相当額の損害を被ったほか,精神的苦痛を被った。 【被告の主張】争点②について述べたとおり,国会議員の立法不作為が国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるのは,極めて例外的な場合に限られるところ,本件改正法の立法行為は憲法に違反するものではないから,平成16年改正以降給費制を復活しなかった立法不作為も,国家賠償法1条1項の適用上違法と評価される余地はない。 ⑸ 争点④(損失補償の適用があるか)について【原告らの主張】ア財産権の制限の有無司法修習生には,司法修習中,居住場所を制限され,かつ同期間中,司法修習を行う場所に留まり,任意に欠席することは許されないという身体的自由の制限を受けている。また,居住場所の家賃,居住場所から修習地までの交通費,転居費用等の積極的財産的負担が生じている。司法修習中,他の収益活動ができないため,収入を得ることができないという消極的財産的負担も生じて いる。 したがって,司法修習生は,財産的負担を伴う身体的自由の制限を受けている。 イ原告らの私有財産が公共のために用いられているか損失補償の対象である「私有財産の収用等」には,公用収用の場合のみならず,行使できる有体無体の財産権を制限することも含まれる(最大判昭27・1・9刑集6巻1号4頁)。 司法修習生は,広く国民に資する法曹を育てるという司法修習の目的を果たすため,修習専念義務等により他の収益活動を禁止され,労働による賃金収入を収受するこ 27・1・9刑集6巻1号4頁)。 司法修習生は,広く国民に資する法曹を育てるという司法修習の目的を果たすため,修習専念義務等により他の収益活動を禁止され,労働による賃金収入を収受すること,つまり賃金債権を取得する行為を制限されており,これは,行使し得る財産権の制限として私有財産の収用等にあたり,司法修習は広く社会公共の利益のために実施されているものであり,公共性もある。 ウ特別の犠牲に該当するか賃金請求権の行使の制限は,いわゆる積極目的規制といえ,財産権を有する者に落ち度があるものではないから,当然に制限を受任しなければならない関係にはなく,修習専念義務における権利制約は特別の犠牲に当たる。 【被告の主張】ア財産権の制限の有無司法修習生は,身体的自由に何らかの制限を受けるものではないし,修習専念義務を課されることそのものによって直接的に何らかの財産的負担が生ずるものではない。また,司法修習生は,修習専念義務を課されることによって,労務又は役務の徴収を課されるものでもない。 したがって,司法修習生が修習専念義務を課されたとしても,財産権の侵害には当たらない。 イ原告らの私有財産が公共のために用いられているか司法修習生が修習専念義務を課されることをもって,その「私有財産」を「公共のために用ひる」ものと解することは,その文言に明らかに反する。その上,司法修習生への採用は,司法修習生の意思に基づくものにほかならず,憲法29条3項が予定する私人の意に反して公権力が行使される場面は存在しないのであり,司法修習生が修習専念義務を課されることは私有財産を公共のために用いる場合には該当しない。 ウ特別の犠牲に該当する 項が予定する私人の意に反して公権力が行使される場面は存在しないのであり,司法修習生が修習専念義務を課されることは私有財産を公共のために用いる場合には該当しない。 ウ特別の犠牲に該当するか修習専念義務は,司法修習制度の本質から導かれるものであるから,司法修習生が修習専念義務を課されることにより権利制約を受けるとしても,それは,司法修習制度から導かれる内在的制約である。よって,司法修習生が修習専念義務を課されることによる権利制約は,憲法29条3項により補償を要する特別の犠牲には当たらない。 第3 争点に対する判断 1 証拠(個別に掲記)及び弁論の全趣旨によれば,前提事実に加え,以下の事実が認められる。 ⑴ 本件改正法の制定経緯ア司法制度改革審議会における調査審議(甲A27ないし39,乙4ないし7)21世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにし,国民がより利用しやすい司法制度の実現,国民の司法 制度への関与,法曹の在り方とその機能の充実強化その他の司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について調査審議することを目的として(司法制度改革審議会設置法2条1項),平成11年7月,内閣の下に司法制度改革審議会が設置され,司法の人的体制の充実の必要性や法曹養成制度の在り方等の人的基盤に関する問題を含めた調査審議がなされることとなった(乙4,5)。 同審議会における調査審議においては,初めに有識者や関係諸機関からのヒアリングを行い,問題意識や議論すべき項目を整理し,「司法制度改革に向けて―論点整理―」として取りまとめた上,論点ごとに審議を進め,平成12年11月には,中間報告を公表した。この中間報告を公表するまでに,同審議会では,会議での議論と並行して 理し,「司法制度改革に向けて―論点整理―」として取りまとめた上,論点ごとに審議を進め,平成12年11月には,中間報告を公表した。この中間報告を公表するまでに,同審議会では,会議での議論と並行して,郵送や電子メールによる意見や要望を受け付けるとともに,全国4か所で公聴会を開催し,各地方の司法機関等の実情を視察し,諸外国の司法制度についての理解を深めるため,現地に赴き,各国の実情を視察するとともに司法関係者との意見交換などを行った(甲A28,乙4,6)。 上記中間報告においては,法曹の質と量を大幅に拡充することが不可欠とされ,そのための法曹養成制度として,法科大学院制度を導入するとともに,司法試験については法科大学院の終了を要件とする新たなものに切り替えることが提言されるとともに,それらを前提とする司法修習に関して,修習内容について「新司法試験実施後の司法修習は,修習生の増加に実効的に対応するとともに,法科大学院での教育内容をも踏まえ,実 務修習を中核として位置付けつつ,修習内容を適切に工夫して実施する。なお,新司法試験実施後の司法修習のうち集合修習(前期)と法科大学院における教育との役割分担の在り方については,今後,法科大学院の制度が整備され定着するのに応じ,随時見直していくことが望ましい。」,司法研修所について「司法研修所の管理・運営については,法曹三者の協働関係を一層強化するとともに,法科大学院関係者や外部の有識者の声をも適切に反映させる仕組みを考えるべきである。」と報告されている。 また,同中間報告では,法曹人口の拡大について,「計画的にできるだけ早期に,年間3000人程度の新規法曹の確保を目指す必要があると考える。」と報告されている。 (以上全体につき,乙6) また,同中間報告では,法曹人口の拡大について,「計画的にできるだけ早期に,年間3000人程度の新規法曹の確保を目指す必要があると考える。」と報告されている。 (以上全体につき,乙6) 司法制度改革審議会が,平成13年6月12日に最終的な調査審議の結果として公表した「司法制度改革審議会意見書―21世紀の日本を支える司法制度―」では,司法修習の項目において,給費制の在り方について「修習生に対する給与の支給(給費制)については,将来的には貸与制への切替えや廃止をすべきではないかとの指摘もあり,新たな法曹養成制度全体の中での司法修習の位置づけを考慮しつつ,その在り方を検討すべきである。」との意見が記載されている(乙7)。 イ司法制度改革推進計画の閣議決定(乙9)司法制度改革審議会の上記意見書の趣旨にのっとって行われるべき司法制度の改革と基盤の整備に関し政府が講ずべき措置に関するものとして,平成14年3月19日,司法制度改革推進計画 が閣議決定され,そこにおいては,法曹人口の大幅な増加とともに,法曹養成制度の改革の一部として,司法修習に関して,法科大学院での教育内容を踏まえた修習内容の検討と併せて司法修習生の給費制の在り方につき検討を行う,とされた(乙9)。 ウ法曹養成検討会における検討(甲A40ないし42,乙10ないし22)司法制度改革推進計画に基づいて設置された司法制度改革推進本部における法曹養成検討会は,委員11名の構成で,平成14年1月11日から平成16年9月1日までの約2年8か月間にわたり,全24回行われた。そのうち,第7回検討会以降の会議において,給費制や貸与制が議論され,以下のような意見が出された。 同検討会においては,修習専念義務を課す以上はそれ 年8か月間にわたり,全24回行われた。そのうち,第7回検討会以降の会議において,給費制や貸与制が議論され,以下のような意見が出された。 同検討会においては,修習専念義務を課す以上はそれに対して経済的な担保を与えるのが当然ではないかという議論が弁護士会で強くあることが紹介される一方,専念義務については,大学では授業料を払っていても学業専念義務はあり,専念義務というのは教育効果を上げるために要求されることで,金を払っているのか,もらっているのかは関係ないのではないかという意見も述べられた(乙10)。 また,給費制について,あればいいことに違いはないが,予算面での制約や,あるいは国民感情からして,エリートに手厚いとか,他の高等専門職育成プロセスとのバランスを考えると,給費制維持一本では頑張りきれないのではないか,修習生は将来支払能力があるはずだから,貸与制が考えられるのではないか,法科大学院の奨学金との連続性で考えるべきだ,などの意見も述べら れた(乙11)。法曹でない委員からは,奨学金に関する様々な議論に参画しているが,全体として給費制に対する抵抗は非常に強く,財政当局よりも財政学の学者からの抵抗が非常に強い,との見解(乙13)や,工学分野等給費制の議論がなされても実現していない他の分野での議論も踏まえるべきだとの意見が出された(乙18)。 日弁連の意見として,給費制は維持されるべきとの考えが述べられたほか,弁護士の委員から,給費制を維持すべきとの意見が強く述べられ,給費制は,法曹資格を貧富の差を問わず広く開き,多様な人材を育てるという歴史的な使命を果たしてきたという事実があり,法曹,特に弁護士の公共性を制度的に担保する役割を果たしており,自身の経験としても,職業生活上,税金で養成されたとい 広く開き,多様な人材を育てるという歴史的な使命を果たしてきたという事実があり,法曹,特に弁護士の公共性を制度的に担保する役割を果たしており,自身の経験としても,職業生活上,税金で養成されたという意識,それを何らかの形で国民に返さなければならないという意識があり,多くの弁護士が現在も国選弁護あるいは法律扶助といったビジネスとしては全く成り立っていない分野の仕事に従事しているという事実があるとの意見が述べられた(乙20)。 さらに,貸与制の具体的な制度として,返還免除等についても検討された。 このような議論を経た結果,同検討会では,平成18年度から貸与制に移行すること,またその具体的な制度の内容がまとめられ,報告されたが,これについては反対意見もあった。 エ国会における審議経過 上記のような司法制度改革審議会における調査審議,司法制度改革推進本部における議論と検討を経て,給費制を定める裁 判所法67条2項を改めて給費制を廃止し,貸与制を定める同法67条の2を設けて貸与制とすることなどを内容とする「裁判所法の一部を改正する法律案」が国会に提出され,平成16年第161回国会において審議が行われた(乙23ないし27)。 衆議院法務委員会における質疑(乙23,24)同委員会では,平成16年11月24日及び同月26日に裁判所法改正案の質疑が行われ,冒頭に,法務大臣から「新たな法曹養成制度の整備は,多様かつ広範な国民の要請にこたえることができる多数のすぐれた法曹の養成を図ることを目的とするものであり,司法修習生の修習についても,司法修習生の増加に実効的に対応することができる制度とすることが求められております。この法律案は,このような状況にかんがみ,新たな法曹養成制 とを目的とするものであり,司法修習生の修習についても,司法修習生の増加に実効的に対応することができる制度とすることが求められております。この法律案は,このような状況にかんがみ,新たな法曹養成制度の整備の一環として,司法修習生に対し給与を支給する制度にかえて,司法修習生がその修習に専念することを確保するための資金を国が貸与する制度を導入することを目的とするものであります。」との趣旨説明がなされた。 同委員会における質疑においては,委員からの司法制度改革において財政上の理由がやや強調されすぎではないかとの問いに対し,司法制度改革推進本部事務局長から,法曹人口の拡大,新しい法曹養成制度の構築について財政負担が伴い,これ以外に裁判員制度,司法ネット等にも財政負担,つまり国民の負担がともなうため,国民の理解を得るためにも,自分たちで努力できるものは努力して合理化する姿勢が大事であり,また公務員でなく,公務にも従事しない者に国が給与を支給するのは, 現行法上かなり異例の制度で,給費制を維持することについてもさまざまな批判があったことなどの状況を総合的に勘案して,給費制を維持することについて国民の理解を得ることが現状では困難であると考え,貸与制に移行することとした旨の答弁がなされた。 また,法科大学院の学費等や司法修習生の給費制の廃止により,経済的に余裕のない者は法曹になるのが難しいのではないか,との委員の質問に対しては,法務副大臣から,法曹になるまでの経済的負担が大きいことは指摘のとおりであるが,法科大学院では奨学金の面で配慮がされ,司法修習生の期間も20万円程度月額で借りられる基盤ができたことでかなりの財政的支援が結果的にはできたことを考えると,この辺のところが精いっぱいのことかなと感じているとの は奨学金の面で配慮がされ,司法修習生の期間も20万円程度月額で借りられる基盤ができたことでかなりの財政的支援が結果的にはできたことを考えると,この辺のところが精いっぱいのことかなと感じているとの答弁がされ,委員からは貸金の返還において,過疎地域で活動する弁護士になった場合などに返還を免除する案についての意見なども述べられた。 また,修習専念義務が裁判所法に明記されることについては,従前から修習専念義務はあったが,給費制のもとでは解釈上当然であるから規定されていなかったが,貸与制のもとでは修習専念義務の有無に若干疑義が生ずるおそれがあるため,明記することとした旨の説明がされている。 また,同委員会では,委員から,平成18年11月1日とされていた施行期日を平成22年11月1日とする修正案が出され,その趣旨について,(給費制の廃止には)十分な周知期間が必要であるのに,第1期の法科大学院生が入学した時点では貸与制への移行やその時期が決まっていなかったことを踏まえ, 同人らに給費制の下での修習を受ける機会を確保するとの観点等から施行期日を平成22年11月1日とすべきと説明がされた。 このような質疑を経て,同委員会では,上記法律案(修正部分を除く)及び修正案が全会一致で可決された。また,修習資金の額,返還期限等について,委員から附帯決議案が提出され,全会一致で可決された。 衆議院本会議上記修正後の法律案は,平成16年11月30日に衆議院本会議で賛成多数により可決された(乙25)。 参議院法務委員会における質疑(乙26)同委員会では,平成16年12月1日,質疑が行われ,委員から,国民から司法修習生を貸与にしろという声は出ておらず,財務省の賛同が得られない 。 参議院法務委員会における質疑(乙26)同委員会では,平成16年12月1日,質疑が行われ,委員から,国民から司法修習生を貸与にしろという声は出ておらず,財務省の賛同が得られないだけではないか,また弁護士の給料からすると法科大学院での奨学金や司法修習中の貸与金は返済可能だろうけれども,一定稼がなければならないという余計なインセンティブが働くのではないか,などの質問がされ,また委員が,反対の討論を行った。 同委員会では,同日に裁決が行われ,上記修正後の法律案が賛成多数で可決された。また,衆議院法務委員会に置ける附帯決議に新司法試験に関する項目が追加された附帯決議が賛成多数で可決された。 参議院本会議上記修正後の法律案は,平成16年12月3日,参議院本会議において賛成多数で可決・成立し,同月10日,公布された (乙27)。 ⑵ 給費制復活を求める運動本件改正後,給費制の復活を求めて,以下のような運動が行われた。 市民のための法律家を育てる会が,平成22年1月,市民や法科大学院教授,医師,弁護士,市民団体代表などが呼びかけ人・賛同人となって結成された(甲A43)。 給費制復活を求める任意団体であるビギナーズ・ネットが,平成22年6月,学生,法科大学院生,司法試験受験者や若手法律家により結成され,平成27年5月時点では,会員数2500名を超える当事者団体となった(甲A44)。 司法修習生に対する給与の支給継続を求める市民連絡会が,平成22年6月16日結成された(甲A46)。同会は,環境団体,消費者団体,労働組合,冤罪被害者支援団体,法律家団体などから構成されており,平成22年11月25日までに賛同団体は833に及んだ(甲A46 2年6月16日結成された(甲A46)。同会は,環境団体,消費者団体,労働組合,冤罪被害者支援団体,法律家団体などから構成されており,平成22年11月25日までに賛同団体は833に及んだ(甲A46)。 イ日本弁護士連合会日本弁護士連合会(以下「日弁連」という。)は,平成22年4月15日,司法修習費用給費制存続緊急対策本部を設置し,同年5月28日,第61回定期総会において,「市民の司法を実現するため,司法修習生に対する給費制維持と法科大学院生に対する経済的支援を求める決議」を採択した(甲A47,48)。 ウ給費制復活を求める請願書名が平成22年5月から11月まで行われ,67万8000筆以上の賛同が寄せられた(甲A53)。 ⑶ 本件改正後の裁判所法改正の経過 ア平成22年改正まで法務省及び文部科学省は,上記⑴のような経緯で導入された新たな法曹養成制度について,法科大学院志願者の数が年々減少しており,現状のままでは,法曹の質を維持しつつ,その大幅な増加を図るという所期の理念の実現は困難ではないかという懸念が示されていることを受けて,新たな法曹養成制度の問題点・論点を検証し,これに対する改善方策の選択肢を整理することを目的として,「法曹養成制度に関する検討ワーキングチーム」を設置し,平成22年3月1日から同年6月25日までの間,全11回にわたり検討を行い,同年7月6日付けで「法曹養成制度に関する検討ワーキングチームにおける検討結果(取りまとめ)」を公表した(乙28)。 同取りまとめでは,貸与金への移行について,「法科大学院入学から司法修習生になるまでに多額の経済的負担が必要となることに加えて,平成22年11月から司法修習生に対する給費制が廃止されて修習資金 同取りまとめでは,貸与金への移行について,「法科大学院入学から司法修習生になるまでに多額の経済的負担が必要となることに加えて,平成22年11月から司法修習生に対する給費制が廃止されて修習資金の貸与制が実施されると,優れた資質を備えた多様な人材が経済的な事情から法曹を志すことを断念せざるを得なくなる事態が拡大することが避けられないという問題があるとの意見があった。この立場からは,改善策として,平成22年11月以降も司法修習生に対する給費制を維持するべきではないかとの意見や,貸与制を導入するとしても返済免除制度を拡大すべきではないかとの意見があった。これらの意見に対しては,貸与制の導入は,新たな法曹養成制度の整備に当たり,法曹人口の拡大を実現する必要があることや,限りある財政資金をより効率的に使用して,司法制度全体に関して合理的な国民負担を図る必 要があることから,司法制度改革審議会以来の様々な議論を経て導入されたものであり,給費制を存続するためには国民的理解が必要ではないかとの意見や,貸与制の具体的な内容を見ても,無利子である上,修習終了後5年間の据置期間を設けて,10年間の分割返済としており,返済猶予・返済免除の制度も設けられていることから,返済の負担が過大とはいえないのではないかとの意見があった。」と指摘されている(乙28)。 イ平成24年改正まで 上記「法曹養成制度に関する検討ワーキングチームにおける検討結果(取りまとめ)」及び裁判所法の平成22年改正による給費制廃止時期の延期を踏まえ,関係各大臣の申し合わせにより,法曹の養成に関するフォーラムが平成23年5月13日に設置され,同月25日から平成24年5月10日までに14回開催された。給費制及び貸与制については,そのうち第1 え,関係各大臣の申し合わせにより,法曹の養成に関するフォーラムが平成23年5月13日に設置され,同月25日から平成24年5月10日までに14回開催された。給費制及び貸与制については,そのうち第1回から第5回まで検討が行われ,第5回において,「法曹の養成に関するフォーラム第一次取りまとめ」が行われた。 同取りまとめでは,司法修習生に経済的支援を行う必要性が述べられたうえで,貸与制を基本として,個々の司法修習修了者の経済的な状況等を勘案した措置を講ずることとされ,具体的には給与取得者については年間収入金額300万円以下,給与取得者以外については年間所得金額200万円以下を基準として最長5年の返還猶予期間を設け,法科大学院中の就学資金であることが明確なものについてはその年間返還額を年間収入・所得額から控除することとされた。 なお,法曹の養成に関するフォーラムでは,司法修習修了者 等の経済的な状況に関する調査が行われたところ,弁護士6年目(貸与金の返還が開始される時点)の平成22年分の所得額は,平均値が1073万円,中央値が957万円であり,弁護士6年目ないし15年目まで(貸与金の返還を行う期間)の平成22年分所得額分布は,200万円未満が5.5パーセント,200万円以上400万円未満が6.7パーセント,400万円以上600万円未満が9.3パーセント,600万円以上が79パーセントであった。 (以上全体につき,甲A63ないし66,69,74,84,85,乙34の1,2) 平成23年11月から司法修習を開始した新65期司法修習生に対して本件改正法67条2項が適用され,以後に採用された司法修習生については,給費制が廃止され貸与制が開始された。 平成24年7月2 11月から司法修習を開始した新65期司法修習生に対して本件改正法67条2項が適用され,以後に採用された司法修習生については,給費制が廃止され貸与制が開始された。 平成24年7月27日,貸与制について修習資金を返還することが経済的に困難である場合における返還猶予措置を講ずるための裁判所法の一部を改正する法律が成立した(乙38)。 ウパブリックコメント法曹養成に関するパブリックコメント(意見公募手続)が,平成25年4月12日から同年5月13日まで実施されたところ,全体で3119通の意見が寄せられ,そのうち,法曹養成課程における経済的支援に関する意見は2421通であり,給費制を求める意見は2239通(約92.5パーセント)であり,貸与制に賛成する意見及び貸与制でもやむを得ないとする意見は8通 (約0.3パーセント)であった(甲A99)。 エ平成29年改正新たな法曹養成制度導入後の状況やこれらに関する法曹三者の協議を踏まえ,法務省は,平成28年12月19日,平成29年度以降に採用される予定の司法修習生(第71期以降)に対する新たな給付制度を創設する方針を発表し(甲A159),平成29年4月19日,別紙記載5のとおり,司法修習生に対する新たな経済的支援として修習給付金を支給し,貸与制を併存する新たな制度の制定を内容とする裁判所法の改正法(平成29年法律第23号)が成立した。 ⑷ 司法修習についてア裁判官,検察官及び弁護士は,原則として司法修習を終了した者でなければなることができない(裁判所法43条,検察庁法18条1項,弁護士法4条)。 イ修習期間修習期間は,裁判所法の制定時,「司法修習生は,少なくとも2年間修習をした後試験に合格したときは, ことができない(裁判所法43条,検察庁法18条1項,弁護士法4条)。 イ修習期間修習期間は,裁判所法の制定時,「司法修習生は,少なくとも2年間修習をした後試験に合格したときは,司法修習生の修習を終える」(67条1項)とされ,その後,平成10年法律第50号により「2年間」が「1年6月間」に,平成14年法律第138号により「1年6月間」が「1年間」に改められ,原告ら新65期司法修習生を含む,法科大学院制度導入後の新司法試験合格者に対しては,1年間の司法修習が行われている。 ウ修習内容司法修習は,司法研修所における修習及び各司法修習生が配属された全国各地の裁判所,検察庁,弁護士会における法曹実務の 中で行われる実務修習,選択型実務修習からなる。この実務修習の配属庁については,修習開始の際に修習予定者からの希望地の申告を受けて決定されるが,希望どおりの配属庁となるとは限らず,転居を伴う実務修習地を指定されることもある(原告A)。 司法研修所における集合修習は,原告ら新65期司法修習生については2か月間行われ,講義,起案や模擬裁判などが行われた。 なお,司法研修所における修習の期間中,司法修習生は司法研修所の寮で生活することができるが,新65期司法修習生については,司法研修所の寮の部屋数が不足し,入寮を希望しても入寮できない者があった(原告B)。 裁判所修習では,司法修習生は各地方裁判所の民事部及び刑事部にそれぞれ配属され,裁判官が担当する訴訟事件を中心に,主に実際の事件(すでに終局している事件を含む)について,口頭弁論,弁論準備手続等の期日の傍聴や判決書の一部又は全部,和解条項等を起案するなどして,裁判官からの指導を受ける(原告A)。 検察修習では, (すでに終局している事件を含む)について,口頭弁論,弁論準備手続等の期日の傍聴や判決書の一部又は全部,和解条項等を起案するなどして,裁判官からの指導を受ける(原告A)。 検察修習では,司法修習生は各地方検察庁の検察官に送致された被疑事件を配てんされ,指導担当検察官の監督の下,被疑者や事件関係者の取調べ等を行い,終局処分を検討し起訴状や不起訴裁定書の起案をし決裁を受けるなどするほか,公判の傍聴,冒頭陳述等の起案を行い,司法解剖を見学することもある(原告C)。 弁護修習では,司法修習生は弁護士会が指定した指導担当弁護士の指導の下で弁護士実務を学び,その内容は指導担当弁護士の指導方針や取扱業務によって異なるが,おおむね法律相談等への立会い,被疑者・被告人の接見への同行,指導担当弁護士が受任 している事件の検討・調査,訴状や準備書面等の起案などを行う(原告D,証人E)。 選択型実務修習では,多数のプログラムから自身の希望に従って修習プログラムを選択して修習を行い,自ら開拓し司法研修所が認めた修習先(一般企業等)で修習する場合もある。 配属庁や配属された指導担当弁護士によって差はあるが,実務修習は原則として平日午前9時から午後5時まで行われ,集合修習は,平日午前9時50分から午後4時40分まで行われる。 エ貸与制の下での司法修習生の生活費用,修習費用日弁連が実施したアンケートによると,住居費負担の無い修習生の平均月額支出は13万8000円(水道光熱費1500円,食費2万7700円,交通費1万5600円,情報通信費9200円,学習費1万円,日用品費4800円,医療費2200円,衣服費9000円,諸雑費4900円,就職活動費6300円,奨学金の返済7700円,交 万7700円,交通費1万5600円,情報通信費9200円,学習費1万円,日用品費4800円,医療費2200円,衣服費9000円,諸雑費4900円,就職活動費6300円,奨学金の返済7700円,交際費1万9700円,年金・各種保険料1万3000円,その他6400円),住居費負担のある修習生の平均月額支出は21万5800円(住居費5万7000円,水道光熱費1万0600円,食費3万9000円,交通費6300円,情報通信費1万0800円,学習費9900円,日用品費5500円,医療費2000円,衣服費7000円,諸雑費5800円,就職活動費1万8700円,奨学金の返済6200円,交際費2万1500円,年金・各種保険料1万1800円,その他8600円)であった(甲A93)。 ⑸ 本件改正前後の司法修習生の地位,給費制,統一司法修習及び修習専念義務等についての説明 ア最高裁判所事務総局総務局が編集した裁判所法逐条解説(昭和44年6月30日発行)においては,司法修習生の現行法上の地位について,「司法修習生は,国家から一定の給与を受けるが,国家公務員法上の国家公務員ではない。しかし,秘密保持等の点に関して,公務員に準ずる取扱いを受ける。」とされ,司法修習生の給与について,「司法修習生は,公務員ではなく,従って,また一定の職務を遂行すべき義務を負うわけではなく,ただ誠実に修習をすべき義務を負うにすぎない。修習は,国に対する勤務ないし給付の性質をもつものではなく,むしろ自己の向上のためになされるものであるから,修習の対価として給与を受けることは,意味をなさない。ただ,法曹の資格要件としての司法修習生の地位の重要性にかんがみ,これに人材を吸収し,また修習に専念させる等の見地から,とくに一定額の給与が支給されるこ 価として給与を受けることは,意味をなさない。ただ,法曹の資格要件としての司法修習生の地位の重要性にかんがみ,これに人材を吸収し,また修習に専念させる等の見地から,とくに一定額の給与が支給されることとされたものである。」と説明されている(乙1)。 イ裁判所法の制定前,第3次裁判所法案に付された司法省側の条文説明として,89条「〔司法修習生の修習および試験〕司法修習生は,少なくとも2年間修習をした後試験に合格したときは,司法修習生を終了する。司法修習生は,その修習期間中国庫から一定額の給与を受ける。第1項の修習及び試験に関する事項は,最高裁判所が,これを定める。」について,「「給与」というのは,手当,俸給を含む趣旨である。司法修習生には,いわゆる判検事のみならず,弁護士にもなれる,というように,司法官試補よりも,ひろい資格が与えられたものと考えれば,従来の試補のように給与を受けることは当然であるし,また,その年限を恩給年限に算入してもよいと考えられる。もし,弁護士の地位も,国 家機関的なものとすれば,弁護士にも,執達吏の場合と同様,国庫から補助を受けることが必要であるとも言い得るであろう。結局,司法修習生は,裁判官,検察官になるのには,必ず経なければならないものであるから,給与を支給する。また,弁護士も,国家事務を行うものであるから,弁護士になる者についても,同様のことがいえる,ということになる。」と記載されている(甲A9の10)。 ウ司法研修所所長であったFは,第15期司法修習生の修習開始式において,「われわれ法曹は,日本国憲法によりとくに正義と秩序を基調として,国民の基本的人権擁護のために,すなわち直接,間接に,国民の名において,国民の福祉を全うするため,裁判官,検察官あるいは弁護士として司法を われ法曹は,日本国憲法によりとくに正義と秩序を基調として,国民の基本的人権擁護のために,すなわち直接,間接に,国民の名において,国民の福祉を全うするため,裁判官,検察官あるいは弁護士として司法を運営すべき重大な任務を負っておるものといわねばならないのであります。そして,わが司法研修所は,この憲法の要請に応じまして,その施行とともに,昭和22年5月3日,裁判所,検察庁,弁護士会の法曹三分野の一元的な専門養成機関として,発足いたしたのであります。」と述べている(甲A15)。 エ司法研修所が昭和38年1月に発行した司法研修所要覧では,司法修習生の身分等について,「司法修習生は公務員ではないが,給与,監督その他の身分関係については公務員と類似の取扱を受ける。すなわち,司法修習生は,修習期間中国庫から一定額(現在月額2万円)の給与を受けるほか,暫定手当,扶養手当などが支給される。また,国家公務員共済組合法の適用を受け,毎月一定額の掛金を負担し,療養費,出産費その他所定の各給付を受ける資格を取得することとなる。研修所入所,滞在などに必要な旅 費についても公務員に準じた取扱を受ける。その反面,司法修習生は,修習の全期間を通じて司法研修所長の監督に服するとともに,実務修習の間はその配属地の高等裁判所長官,地方裁判所長,検事長,検事正または弁護士会長の監督をも受ける。また,司法修習生は,最高裁判所の許可なくして,公務員となり,または他の職業に就き,あるいは財産上の利益を目的とする業務を行うことができないのみならず,修習にあたって知り得た秘密を漏らしてはならない義務を負うなど,公務員と同様の規律を受けているのである。そして,一定の事由があるときは,最高裁判所はその司法修習生を罷免することができる。」としている(甲A たって知り得た秘密を漏らしてはならない義務を負うなど,公務員と同様の規律を受けているのである。そして,一定の事由があるときは,最高裁判所はその司法修習生を罷免することができる。」としている(甲A23)。 オ司法研修所が昭和42年11月に発行した研修時報第33号には,当時の司法研修所長であったGの式辞が掲載されており,その中で司法修習生の身分について,「司法修習生は国家公務員ではないのです。つまり,国のために事務の処理をするという性格は少しも持っていないのであります。だんだんわかりますけれども,裁判所に配属されると裁判事務のお手伝いをします。また検察庁に配属されれば,検察官のお手伝いをします。しかし,それは国家に対するサービスではなくて,それが諸君自身の勉強なのです。だから,国家に対しては諸君は少しもサービスはしていないのです。サービスはしていないのですけれども,司法修習生に対しては,ご承知のとおり,給与が支給されます。あれは「給与」といっており,けっして「月給」とか「俸給」といっておりません。ですから国家に対して諸君がサービスをした反対給付として給与を受けるという意味ではないと思います。どういう意味かというと,これは,修習に専念することを保障する意味で給与を与 えるということになるのではないか(中略)。法律的には公務員としての身分ではないけれども,給与の点では,全く同じ待遇を保障されており,修習に専念する義務を課せられているため,身分上,国家公務員と同様の規律に服するということ,これがまず1つであります。」と述べている(甲A24)。 また,同人は,司法研修所が昭和43年11月に発行した研修時報第36号に掲載された式辞でも同旨のことを述べたうえで,「修習に専念することは直接には,国家のため 」と述べている(甲A24)。 また,同人は,司法研修所が昭和43年11月に発行した研修時報第36号に掲載された式辞でも同旨のことを述べたうえで,「修習に専念することは直接には,国家のためでなくして,諸君の勉強,諸君みずからのためであることはいうまでもありません。」と述べている(甲A25)。 カ司法研修所が本件改正後の平成17年12月に発行した司法修習生便覧,平成19年11月,平成22年11月,平成25年11月にそれぞれ発行した司法修習ハンドブックでは,司法修習生は,修習期間中,その全力を修習のために用いてこれに専念すべき義務(修習専念義務)を負う。司法修習は,法曹に必須の課程として国家によって運営されており,修習の内容も法曹に必要な能力を養成するために高度に専門的であることや,司法修習が,臨床教育課程として,実際の法律実務活動の中で行われるものであり,実際の法曹と同様に中立公正な立場を維持したり,利益相反活動を避けたりする必要がある。司法修習生に課される修習専念義務は,このような司法修習の本質に由来するものである,とされている(甲A19,22,26,乙39)。 2 争点①(本件改正法が違憲無効か)について⑴ 憲法上の要請としての司法修習生の給費制について原告らは,統一司法修習及び給費制が,不完全な司法権の独立や 弁護士の地位の劣後等を内容とする戦前の司法制度及び法曹養成制度の下における弊害等の歴史的経緯を踏まえて,国民の人権擁護を根幹として,三権分立を確立した日本国憲法と同時に施行された裁判所法により実施されたものであり,憲法に司法権を担う法曹三者の存在が規定され,憲法上公的な職務に対する報酬が保障されていることなどを指摘して,統一司法修習及び給費制は憲法上要請された制 された裁判所法により実施されたものであり,憲法に司法権を担う法曹三者の存在が規定され,憲法上公的な職務に対する報酬が保障されていることなどを指摘して,統一司法修習及び給費制は憲法上要請された制度であると主張する。 しかし,憲法には,司法修習や法曹養成制度について記載した条項は何ら存在しないことからして,憲法は,法曹養成についていかなる具体的な制度を採用すべきかについて定めておらず,これを立法に委ねているのであって,統一司法修習や給費制は憲法上保障されているものではないと解するほかない。 確かに,統一司法修習及び給費制は,日本国憲法と同時に施行された裁判所法により実施されたものであり,憲法が国民の人権擁護を根幹として,司法権に違憲審査権を付与して三権分立を確立するものであることは原告らの指摘するとおりである。しかし,そのことから直ちに,裁判所法の定めた統一司法修習や給費制に関する規定が憲法上の要請に基づくものであるとか,これらが憲法上保障されたものと解することはできないし,統一司法修習と給費制とが不可分一体のものと解することもできない。 また,憲法が戦前の司法制度に対する反省を踏まえて成立したものであり,そこに定められた司法権を担うに足る法曹三者を養成すること,質の高い法曹の養成を通じて国民の裁判を受ける権利その他の諸権利を保護することが憲法上要請されるとしても,そこから特定の具体的な法曹養成制度が導き出されるものではなく,そのよ うな要請を満たすためにいかなる法曹養成制度を採用するかは立法事項というべきである。諸外国の例を見ても,法曹養成制度やその過程における法曹志望者に対する国家の経済的支援の在り方には様々なものがあり得るのであって,統一司法修習や給費制が司法権を担うに足る法曹を養成するた きである。諸外国の例を見ても,法曹養成制度やその過程における法曹志望者に対する国家の経済的支援の在り方には様々なものがあり得るのであって,統一司法修習や給費制が司法権を担うに足る法曹を養成するための制度として,憲法と同時に成立した裁判所法において採用されたものであるとしても,そのことからこれらの制度が憲法上の要請を満たすために不可欠な制度とまでは認められないから,これらの制度が憲法上の要請であるとまでは認められない。 そして,法科大学院制度の導入や新司法試験の実施とそれに伴う修習期間の短縮,本件改正等を含む一連の改革後の新たな法曹養成制度は,本件改正により給費制は廃止されたものの,法曹養成に関する司法修習の本質部分に変更はなく,司法権を担うに足る法曹の養成,国民の裁判を受ける権利その他の諸権利の保護を実現するに足る法曹の養成という要請を満たさないものとは解されない。 以上のとおり,司法修習生に対する給費制が憲法上の要請であるとする原告らの主張は採用できない。 なお,原告らは,法曹三者はいずれも憲法にその存在が規定され,憲法上,公的な職務に対する報酬が保障されており,法曹になる者として司法修習に専念する司法修習生には,その公的な身分及び修習専念等に対する給費支給が憲法上保障されているものであり,このことは,歴史経緯及び司法修習の実態及び司法修習生の身分取扱い等からも裏付けられるなどとも主張するが,司法修習生が法曹三者と異なる法的地位,身分の存在であることは明らかであり,憲法上報酬が明示されているのは裁判官(憲法79条5項,80条2項) のみであって,原告ら指摘の憲法の条項は上記判断を左右するものではない。 ⑵ 憲法の個別の条項による給費を受ける権利の保障についてア人格権としての給費を受ける権利 のみであって,原告ら指摘の憲法の条項は上記判断を左右するものではない。 ⑵ 憲法の個別の条項による給費を受ける権利の保障についてア人格権としての給費を受ける権利原告らは,憲法13条の幸福追求権を根拠に,司法修習生は,人格的生存に不可欠な利益として,修習専念義務のもと,生活等に支障なく司法修習に取り組むことができるよう国に対して求める包括的な権利を有しているところ,給費制の廃止によりこれを侵害された旨主張する。 しかし,原告らの主張する上記権利の内容は必ずしも明らかでないものの,少なくとも,生活に支障なく司法修習に取り組むための給費の支給を求める請求権を含むものと解されるところ,国家に対する請求権には根拠法規が必要であることからしても,憲法上何ら司法修習に関する規定がないにもかかわらず,自由権の包括的な根拠規定である憲法13条に基づいて,原告らが国に対して生活等に支障なく司法修習に取り組むことができるよう求める権利(給費の支給を求める権利)があると解することはできない。 原告らは,法曹になる者に対して国が司法修習を不可避的に義務付け,修習専念義務を課す以上,司法修習生が経済的な不安・生活上の不安がなく,かつ精神的にも充実した状況において司法修習に取り組める状況にあることが必要不可欠であり,司法修習中,無給又は事実上の借金強制を受けることなく経済的に安定した状況において安心して司法修習に取り組む権利が保障されなければならない旨主張するが,これは,結局,法曹志望者に対する 国の経済的支援についていかなる制度を採用すべきかに関する主張にほかならないところ,上記⑴に述べたとおり,憲法は法曹養成制度や法曹志望者に対する国の経済的支援の在り方について何ら規 国の経済的支援についていかなる制度を採用すべきかに関する主張にほかならないところ,上記⑴に述べたとおり,憲法は法曹養成制度や法曹志望者に対する国の経済的支援の在り方について何ら規定していないのであって,憲法13条を根拠に司法修習生という身分から特別の給費を求める権利があるとは解されない。司法修習生に修習専念義務があり,最高裁判所の許可がない限り兼職・兼業ができないという点についても,上記1⑷に認定した司法修習の内容に照らせば,司法修習は法曹になるために必要な専門的知識や能力を身に着けるために行われる臨床的な教育課程であり,修習専念義務は国費によって運営されるこのような司法修習を受け修習期間内にこれらを身に着けるために課されるものであり,司法修習の本質に基づくものと解するのが相当であって,給費を受ける権利の根拠となるとは解されない。司法修習生に修習期間中一定の給費を支給すべきという意見は,制度論として一つの傾聴すべき見解ではあっても,それが憲法13条によって保障されているものとは解されない。 以上のとおり,本件改正法が人格権としての給費を受ける権利を侵害し違憲無効であるとの原告らの主張は採用できない。 イ法曹になる職業選択の自由(憲法22条)原告らは,法曹になる職業選択の自由は,憲法22条1項により保障されている一方,国が法曹養成義務として実施する司法修習に伴い,兼業禁止や居住移転等の制約を受けるのであるから,司法修習生には,同項により,このような制約の下においても経済的理由で修習を断念したり修習に専念できない状況に追い込まれたりすることがないよう給費を受ける権利が保障されている旨 主張する。 しかし,法曹も含めた職業選択の自由が憲法22条1項により保障されてい 習に専念できない状況に追い込まれたりすることがないよう給費を受ける権利が保障されている旨 主張する。 しかし,法曹も含めた職業選択の自由が憲法22条1項により保障されていることは原告らの指摘するとおりであるが,本件改正法によっても,司法試験に合格し,司法修習生に採用され,司法修習を終了して考試に合格すれば法曹になる資格を得るという制度に変更はないのであって,本件改正法により法曹になる職業選択の自由が制限されたとは認められない。 また,司法修習生に修習専念義務が課され,兼業禁止等により経済活動が制約されること,実務修習地への居住移転に伴う生活上の負担を受ける場合があること,給費制の廃止により修習中において必要な生活費等を自ら負担する必要があることも原告らの指摘するとおりであるが,修習専念義務が司法修習生制度の本質に基づくものと解されることは前記のとおりであり,原告らの指摘する司法修習に伴う制約は,自らの意思で司法修習生となることを選択したことに伴う内在的制約というべきであって,これらの制約や給費制の廃止をもって法曹となる職業選択の自由が侵害されたものと解することはできない(さらに付言すれば,本件改正法においては,修習期間中本件改正前の給費とほぼ同様の金額を無利子で貸与する貸与制が導入されて,修習期間中の生活を維持し修習に専念するための一定の配慮がされ,修習終了後の貸与金の返還についても,返還時期や期間,返還猶予等の制度上の措置がとられていることからすれば,原告らが主張するように,給費制の廃止によって裕福な家庭の者でなければ実質的に司法修習生にはなることができなくなったとは認められない。原告らの主張する司法修習生になるまでの経済的負担の大きさや将来への不 安は給費制の廃 裕福な家庭の者でなければ実質的に司法修習生にはなることができなくなったとは認められない。原告らの主張する司法修習生になるまでの経済的負担の大きさや将来への不 安は給費制の廃止によるものではなく,本件改正とは別個の問題として検討されるべきものであって,原告らの主張はその前提を欠くものといわざるを得ない。)。 以上のとおり,本件改正法が,法曹になる職業選択の自由を侵害し違憲であるとは認められない。 なお,原告らは,法曹となる職業選択の自由は,国の存続と発展において不可欠な極めて重要な職責を担うことを選択するという極めて高い人格的価値を有するとも主張するが,法曹の担う職責が重要なものであるとしても,他の職業もそれぞれ重要な職責であり,憲法22条1項が,法曹となる職業選択の自由を,他の職業選択の自由と区別して特別な権利として保障しているものとは解されないから,採用できない。 ウ生活保障(憲法25条)原告らは,本件改正法が憲法25条に反し違憲であると主張するが,本件改正前の裁判所法67条2項の給費制は,生存権を保障した規定ではない。また,憲法25条が規定する生存権は,生活保護法等の社会保障関連法令によって具体化され保障されるべきものである。 したがって,本件改正法による給費制の廃止が憲法25条に反するとの原告らの主張は採用できない。 エ職務に従事するうえでの対価補償(憲法27条)原告らは,司法修習生は,司法修習に従事することにより被告に労務を提供し,憲法27条1項及び2項の「勤労」をする者であるとして,被告は司法修習の対価を支払う義務を負うと主張する。 しかし,憲法27条1項及び2項の「勤労者」に該 供し,憲法27条1項及び2項の「勤労」をする者であるとして,被告は司法修習の対価を支払う義務を負うと主張する。 しかし,憲法27条1項及び2項の「勤労者」に該当するか否かは,労働基準法上の「労働者」と同様に「使用者の指揮命令の下で労務を提供する(使用従属)関係」の有無によって判断すべきところ,上記1⑷に認定した司法修習の内容に照らせば,司法修習は,司法修習生が法曹に必要な能力を身に着けるための臨床教育課程であって,司法修習生が修習期間中に国の事務に関して何らかの職務に従事することは予定されておらず,その権限も付与されていないのであって,修習を行うことをもって司法修習生が国に対して労務を提供する勤労者であるとは認められない。 司法研修所における修習(座学等)が労務の提供ではなく,弁護修習が給費を支給する国に対する何らかの労務を提供するものでないことは明らかであり,本件改正前の給費制の下での給費がそれらに対する報酬でないことも明らかである。また,裁判修習や検察修習において,司法修習生が裁判実務や検察実務に携り,取調べ等の一定の事務に従事するのは,将来法曹三者として活動していくための能力を身に着けるため,自らの勉強のためであり,法曹資格を有しない司法修習生が労働として法律事務を行うことは予定されていない。 司法修習,修習専念義務,修習生に対する給費の性質については,上記1⑸に説示したとおり,本件改正前の給費制の下でも同様に理解されていたものであり,司法修習生に退職手当が支払われるべきか争われた事案において,最高裁判所第二小法廷昭42年4月28日判決(民集21巻3号759頁)が「司法修習生は,前叙のごとく,裁判官,検察官又は弁護士となる資格を取得するための修習を行なうものであって,その 事案において,最高裁判所第二小法廷昭42年4月28日判決(民集21巻3号759頁)が「司法修習生は,前叙のごとく,裁判官,検察官又は弁護士となる資格を取得するための修習を行なうものであって,その修習を終えることが,判 事補や2級検察官に任命されるための要件となっており(裁判所法43条,検察庁法18条参照),修習期間中は,国庫から一定額の給与を受けるほか,暫定手当,扶養手当等の諸手当や「公務のため旅行する国家公務員等」として司法研修所入所,滞在などに必要な旅費の支給を受けることになっており(裁判所法67条2項,裁判官の報酬等に関する法律附則14条,裁判官の報酬等の応急的措置に関する法律8条,9条,裁判官報酬等暫定規則1条,国家公務員等の旅費に関する法律参照),また,司法研修所長の統轄に服し,配属地の高等裁判所長官等の監督を受け(司法修習生に関する規則1条,8条参照),兼職を禁止され(同規則2条参照),修習にあたって知り得た秘密を漏らしてはならない義務を負い(同規則3条),一定の事由があるときは,その意に反して罷免される(同規則17条,18条参照)こととなっている。しかし,これらのことはすべて,司法修習生をして右の修習に専念させるための配慮ないしはその修習が秘密事項に関することがあるための配慮にすぎないのであり,司法修習生の勤務形態が国の事務に従事する職員に類似し又はこれに準ずる形式ないし実態があるからではない。」と説示しているのも,同様の理解を前提とするものと解される。 以上のとおり,司法修習生は,憲法27条1項及び2項の「勤労者」とはいえず,本件改正法は同条項に反するものではない。 したがって,原告らの主張は採用できない。 ⑶ 平等権の侵害についてア現行65期司法修習生との差異 及び2項の「勤労者」とはいえず,本件改正法は同条項に反するものではない。 したがって,原告らの主張は採用できない。 ⑶ 平等権の侵害についてア現行65期司法修習生との差異 原告らは,現行65期司法修習生に給費が支給されることと の比較において,本件改正が平等権を侵害する旨主張するところ,新65期司法修習生と現行65期の司法修習生はその採用時期が異なっており,両者について生じた差異は,本件改正法の施行(本件改正後の裁判所法67条2項の適用の有無)により必然的に生じたものであり,このような差異は,法律の制定や改廃の前後では当然に生じるものであるから,新65期と現行65期との給費制に係る差異が不合理な差別であるか否かは,本件改正法に合理性があるか否かの判断に帰着するというべきである。 そして,上記1⑴に認定した本件改正の経緯に照らせば,本件改正は,法曹人口の大幅な増加を含む司法制度改革に伴い,新たな法曹養成制度を導入するに際して,司法修習についても司法修習生の増加に実効的に対応できるものとする必要があり,各種制度の新設等により財政支出が増大する中で,司法制度改革全体に対する国民の理解を得る趣旨でなされたものであり,立法府の政策的判断として合理性が肯定できるというべきである。 これに対し,原告らは,そもそも司法修習における給費制は憲法上の制度であり,給費制の廃止が単なる立法事項ではなく,給費制を廃止する本件改正は違憲無効で合理性がないと主張するが,司法修習生に対する給費制が憲法上保障されているものと解されないことは,上記⑴に説示したとおりである。 また,原告らは,本件改正法の審議経過において,給費制の本質に基づく理性に沿った審議は何らされておらず, 対する給費制が憲法上保障されているものと解されないことは,上記⑴に説示したとおりである。 また,原告らは,本件改正法の審議経過において,給費制の本質に基づく理性に沿った審議は何らされておらず,専ら財政上の理由及び国民の理解が得られないという証拠の無い論拠に より改正が行われており,立法事実は不存在であって,司法制度改革における国民のための司法の実現という理念からすれば司法予算のさらなる増額が要求されるべきであるにもかかわらず,そのような補強を実現しないまま,給費制を廃止したという財政論自体において正当性を有しない旨主張する。 しかし,本件改正法の審議経過に照らして本件改正法に合理性がないとの主張については,そもそも,立法行為による平等権の侵害があるか否か,区別に合理性があるか否かは,まさに当該立法の結果生じた区別の内容の合理性そのものが問題なのであり,審議が十分になされたか否かによって判断されるものとは解し難いというべきである。また,この点をひとまずおくとしても,本件改正の経緯は上記1⑴に認定したとおりであり,本件改正法は,司法制度改革審議会における約2年間の審議調査,司法制度改革推進本部の法曹養成検討会における約2年8か月の検討を踏まえて作成,提出された法律案が,国会における質疑を経て,可決成立されたものであって,その審議の経過が本件改正の効力を左右するような不十分,不合理なものであったとは認められない。 また,原告らは,給費制廃止の理由とされた立法事実は不存在であると主張するが,上記1⑴のとおり,本件改正法により給費制が廃止された趣旨は,法曹人口の大幅な増加を含む司法制度改革に伴い,新たな法曹養成制度を導入するに際して,司法修習についても司法修習生の増加に実効的に対応できるものとする必要があ 正法により給費制が廃止された趣旨は,法曹人口の大幅な増加を含む司法制度改革に伴い,新たな法曹養成制度を導入するに際して,司法修習についても司法修習生の増加に実効的に対応できるものとする必要があり,司法制度改革による裁判員制度や司法ネット等の各種制度が新設されることにより財政支出が増大する中 で,国民の理解を得ることにあるとされていたところ,法曹人口の増加について当初司法試験の合格者の目標が3000人に設定されたことや,司法制度改革に伴って各種制度が新設され,それらに新たな財政支出が必要であったことからすれば,司法に関する予算が国家予算全体からすれば少ないことを考慮しても,司法制度改革に伴って財政支出が増大することに対する国民の理解を得る必要があったことは否定できない。原告らは,そもそも給費制に対する国民の反対意見はなかったとも主張するが,司法制度改革推進本部の法曹養成検討会においてなされた奨学金に関する様々な議論の中でも,法曹三者からは給費制を維持すべきとの要望が強い一方,他の分野からは全体として給費制に対する抵抗は非常に強いなど,委員の実体験を踏まえた議論がなされているのであって(乙13),直接的に国民の賛否を問うてはいないものの,国民の意見が間接的に反映された議論がなされているというべきことからしても,給費制の廃止の検討をすべき立法事実が不存在であったとは認められない。 また,原告らは,財政上の理由で給費制を廃止したことが問題であるとも主張するが,国家予算には限りがあり,またわが国の財政状況が逼迫したものであることは自明のことであるから,司法修習生の給費に係る予算が国家予算全体の中で大きなものとはいえなくとも,財政上の理由から給費制を廃止すること自体が不合理とはいえない。 さらに,原告らは,本 あることは自明のことであるから,司法修習生の給費に係る予算が国家予算全体の中で大きなものとはいえなくとも,財政上の理由から給費制を廃止すること自体が不合理とはいえない。 さらに,原告らは,本件改正後において,日弁連等から給費制の廃止を批判する声が多く上がるとともに,法曹志願者が激減し,司法試験に合格しても修習を辞退する者が増加するなど, 給費制を廃止したことによる弊害が明らかとなり,平成28年12月19日,法務省は,平成29年度以降に採用される予定の司法修習生に対する新たな給付制度を創設する方針を発表し,平成29年2月3日,内閣において,その旨の裁判所法改正案が閣議決定されたことからしても,本件改正法の立法事実は不存在であり,本件改正法に合理性がないとも主張するところ,本件改正後に給費制の復活に向けた様々な運動がなされたことは上記1⑵に認定したとおりであり,本件改正後も裁判所法の改正が数次にわたってなされ,平成29年改正において修習給付金制度が導入されたことは上記1⑶に認定したとおりである。 しかし,上記1⑴に認定した本件改正に至る調査審議等の経緯,内容に照らせば,給費制の復活に向けた運動が存在したことやパブリックコメントにおける意見の多数が給費制復活を求めるものであったことから,本件改正当時の国民の総意が給費制の維持に賛成していたとか,本件改正に関する立法事実が不存在であったと認めることはできない。また,本件改正後の裁判所法の改正や修習給付金制度の導入は,司法制度改革によって導入された,本件改正法による司法修習生に対する給費制の廃止を含む新たな法曹養成制度実施後の新司法試験合格率,法曹志願者数(法科大学院受験者数)の状況や社会全体の法曹需要の動向(司法試験合格者や司法修習修了者の進路状況)等に 法修習生に対する給費制の廃止を含む新たな法曹養成制度実施後の新司法試験合格率,法曹志願者数(法科大学院受験者数)の状況や社会全体の法曹需要の動向(司法試験合格者や司法修習修了者の進路状況)等に関する検討を踏まえてなされたものであり,平成29年度改正後の裁判所において採用された修習給付金制度は,本件改正前の給費制とはその内容や金額が異なる(支給される金額が従前の給費制よりも小さく,貸与制との併用であること等)もので ある。 したがって,原告らの指摘する給費制復活に向けた運動の存在や,本件改正後の裁判所法の改正等をもって,本件改正時に本件改正に関する立法事実が欠けていたと認めることはできない。 以上のとおり,原告らの主張はいずれも採用できず,本件改正法には合理性が肯定できるから,本件改正法の施行による新65期司法修習生と現行65期司法修習生との間の差異が憲法14条に反するとは認められない。 イ新64期司法修習生との差異本件改正法により,新64期の司法修習生は給費を受けていたのに対し,新65期の司法修習生は給費を受けられなかったことが憲法14条に反するかの判断についても,現行65期司法修習生と新65期司法修習生との間の給費に係る差異が憲法14条に反するか否かと同様,本件改正法に合理性があるか否かの判断に帰着するところ,上記アのとおり,本件改正法には合理性が肯定できる。 したがって,本件改正法による新64期司法修習生と新65期司法修習生との間の差異が憲法14条に反するとは認められない。 ウ裁判所書記官研修生との差異原告らは,司法修習生の給費制を廃止したことは,裁判所書記官研修生との関係において不合理な差別があり,憲法14条に反 条に反するとは認められない。 ウ裁判所書記官研修生との差異原告らは,司法修習生の給費制を廃止したことは,裁判所書記官研修生との関係において不合理な差別があり,憲法14条に反すると主張する。 しかし,裁判所書記官研修生は,裁判所職員として採用され国家公務員としての身分を有する者であり,その研修内容は,裁判 所書記官として必要な知識及び能力を養成するためのものであり,研修の後には裁判所書記官となることが予定されているのであって,司法修習生とはその身分地位,研修の内容や位置づけ等が全く異なるものである。国家公務員の研修は,国家公務員がその職責を適切に果たすことができるよう,現在就いている官職や将来就くことが見込まれる官職において求められる能力を身に着けるために日頃の職務において行われる知識等の習得と同様に職務命令に基づいて行われるものであり,国の事務に関していかなる権限も有さず,何らの職責も負っていない司法修習生に対する教育課程である司法修習とは全く異なるものであって,その結果各種相違があるのは当然であり,司法修習生には給費制が廃止されたのに対し裁判所書記官研修生には給与が支払われていることをもって,不合理な差別であるとか,憲法14条に反するものとは解されない。 エ以上のとおり,平等権侵害に関する原告らの主張はいずれも採用できない。 ⑷ なお,原告らは,本件改正に関する立法裁量は極めて減縮されたものというべきであり,本件改正法は国会の立法裁量を超えるものであって違憲無効であるとも主張するところ,当該主張の趣旨は判然としないが,何らかの憲法上の権利を制約する立法,憲法上の権利を具体化し実現する立法について,その立法が国会の立法裁量を超えていないか,という観点で当該立法の憲法 張するところ,当該主張の趣旨は判然としないが,何らかの憲法上の権利を制約する立法,憲法上の権利を具体化し実現する立法について,その立法が国会の立法裁量を超えていないか,という観点で当該立法の憲法適合性の判断をすることがあるとしても,上記⑴ないし⑶に検討したとおり,そもそも,本件改正法は憲法上保障された権利を制約したりそれを実現したりするものとは認められない上,本件改正が立法府に与えられた裁量 を逸脱濫用し,違憲となるものとも認められないから,この点に関する原告らの主張は失当であり,上記⑴ないし⑶の認定判断を左右するものではない。 ⑸ 以上に検討したとおり,本件改正法は憲法に違反するものではなく,有効である。 3 争点②(本件改正法の立法行為が国家賠償法上違法か),争点③(平成16年以降給費制を復活しなかった立法不作為が国家賠償法上違法か)について⑴ 国家賠償法1条1項は,国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が個々の国民に対して負担する職務上の法的義務に違反して当該国民に損害を加えたときに,国又は公共団体がこれを賠償する責任を負うことを規定するものであるところ,国会議員の立法行為又は立法不作為が同項の適用上違法となるかどうかは,国会議員の立法過程における行動が個々の国民に対して負う職務上の法的義務に違反したかどうかの問題であり,立法の内容の違憲性の問題とは区別されるべきものである。そして,上記行動についての評価は原則として国民の政治的判断に委ねられるべき事柄であって,仮に当該立法の内容が憲法の規定に違反するものであるとしても,そのことから直ちに国会議員の立法行為又は立法不作為が国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではない。 もっとも,立法の内容又は立法不作為が国民に憲 規定に違反するものであるとしても,そのことから直ちに国会議員の立法行為又は立法不作為が国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではない。 もっとも,立法の内容又は立法不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合や,国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり,それが明白であるにもかかわらず,国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合などに は,例外的に,国会議員の立法行為又は立法不作為は,国家賠償法1条1項の規定の適用上,違法の評価を受けるものというべきである(最高裁平成17年9月14日大法廷判決・民集59巻7号2087頁,最高裁平成27年12月16日大法廷判決・民集69巻8号2427頁)。 ⑵ これを本件についてみるに,上記2に検討したとおり本件改正が憲法に違反するものとはいえず,また司法修習生の給費を受ける権利は憲法上保障され又は保護されている権利利益とはいえないから,本件改正に係る立法行為にも,平成16年度以降給費制を復活しなかった立法不作為にも,国家賠償法上の違法は認められない。 よって,原告らの本件改正法に係る立法行為,平成16年以降給費制を復活しなかった立法不作為に関する国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求は理由がない。 4 争点④(損失補償の適用があるか)について⑴ 憲法29条3項の「公共のために用いる」との文言に照らすと,同条項を根拠とする補償請求が認められるためには,私人の財産権を公共のために強制的に制限したり収用したりすることが必要であると解される。 ⑵ この点,原告らは,憲法29条3項により補償される財産権とは,人が財産を取得形成する権利も含まれるところ,司法修 権を公共のために強制的に制限したり収用したりすることが必要であると解される。 ⑵ この点,原告らは,憲法29条3項により補償される財産権とは,人が財産を取得形成する権利も含まれるところ,司法修習期間中,原告らは,①被告が原告らに対して修習専念義務や兼業禁止等を課して司法修習に従事させたことにより主として労働や経済活動により財産を獲得することができなくなった,②居住場所を制限され,かつ司法修習を行う場所にとどまり,任意に欠席することは許されないという身体的自由の制限を課された,③居住場所における家賃, 居住場所までの交通費,転居費用,実務修習場所までの交通費という積極的財産的負担が生じた,④司法修習生は,一般人とは異なり裁判官,検察官又は弁護士に準じた立場において業務を行う専門性を有しており,司法修習生に修習専念義務や兼業禁止等を課して司法修習に従事させることは「役務」の徴収に当たり,また司法修習は法曹実務そのものを行わせるものであり,本来は自由に行える労役について司法修習期間中において司法修習に注力させるという意味において「労役」の徴収をしているとして,損失補償の対象となる財産権の制限が認められると主張する。 ⑶ しかし,そもそも,原告らは自ら司法修習生になることを選択し,司法修習生としての採用を希望した者であり,原告らの指摘する事情はいずれも司法修習に必然的に伴う事柄であって,原告らの財産権が「強制的」に制限され,収用されたとはいえない。また,司法修習を行うことそれ自体によって司法修習生に何らかの財産的負担が生じるものではなく,自らの生活費を負担することが財産権の制限や収容と解されないことは当然である。 また,上記2⑵イ,エに述べたとおり,原告らの指摘する修習専念義務や実務修習地への転居等の司法修 が生じるものではなく,自らの生活費を負担することが財産権の制限や収容と解されないことは当然である。 また,上記2⑵イ,エに述べたとおり,原告らの指摘する修習専念義務や実務修習地への転居等の司法修習に伴う制約は,自らの意思で司法修習生となることを選択したことに内在する制約というべきであって,これらの制約をもって原告らの財産権を制限したり収容したりするものと解することはできないし,司法修習は法曹に必要な知識や能力を身に着けるための教育課程であり,司法修習生は何ら国の事務を行うものではなく,何らかのサービスを国に提供しているものではないから,司法修習を行ったことをもって役務の徴収や労役の徴収があったものと解することもできない。 したがって,司法修習を行ったことをもって,原告らの財産権が強制的に制限されたり収用されたりしたものとは認められない。 ⑷ さらに,司法修習は,司法修習生が法曹としての能力を身に着けるため,自らの向上のために行われるものであり,修習に伴って司法修習生が労働や経済活動により財産を獲得できなくなったり,転居を余儀なくされたりしたとしても,それが公共のために用いられるものでないことは明白である。 ⑸ 加えて,憲法29条3項は,「私的財産は,正当な補償の下に,これを公共のために用いることができる」と定めており,同条項に基づく補償請求権は,一般的に当然に受忍すべきものとされる制限の範囲を超え,特定の個人に対して財産上特別の犠牲を課した場合に発生する権利であると解されるところ,これまでに説示したとおり,修習専念義務を課されること(修習場所に行き任意欠席は許されないことも含む)は,司法修習の本質から導かれる内在的制約であり,修習地の指定に伴う家賃,交通費等ついても,人的・物的制約から実務修習地をす 習専念義務を課されること(修習場所に行き任意欠席は許されないことも含む)は,司法修習の本質から導かれる内在的制約であり,修習地の指定に伴う家賃,交通費等についても,人的・物的制約から実務修習地をすべての修習生の希望に沿うことができないことは自明のことであって,原告らの主張する財産権の制限が一般的に当然に受忍すべきものとされる制限の範囲を超えるものとは解されないから,これらは特別の犠牲には該当しない。 以上のとおり,原告らに憲法29条3項の損失補償の適用はなく,この点に関する原告らの主張も採用できない。 結論以上によれば,原告らの請求はいずれも棄却すべきである。よって,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 広島地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官末永雅之 裁判官山本由美子 裁判官岡村祐衣 別紙関係法令等の定め 裁判所法(平成16年法律第163号改正前)66条1項司法修習生は,司法試験に合格した者の中から,最高裁判所がこれを命ずる。 2項前項の試験に関する事項は,別に法律でこれを定める。 67条1項司法修習生は,少なくとも1年間修習をした後試験に合格したときは,司法修習生の修習を終える。 2項司法修習生は,その修習期間中,国庫から一定額の給与を受ける。ただし,修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間を超える部分については,この限りでない。 3項第1項の修習及び試験に関する事項は,最高裁判所がこれを定める。 68条最高裁判所は,司 し,修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間を超える部分については,この限りでない。 3項第1項の修習及び試験に関する事項は,最高裁判所がこれを定める。 68条最高裁判所は,司法修習生の行状がその品位を辱めるものと認めるときその他司法修習生について最高裁判所の定める事由があると認めるときは,その司法修習生を罷免することができる。 2 裁判所法(平成16年法律第163号改正後)66条1項司法修習生は,司法試験に合格した者の中から,最高裁判所がこれを命ずる。 2項前項の試験に関する事項は,別に法律でこれを定める。 67条1項司法修習生は,少なくとも一年間修習をした後試験に合格し たときは,司法修習生の修習を終える。 2項司法修習生は,その修習期間中,最高裁判所の定めるところにより,その修習に専念しなければならない。 3項前項に定めるもののほか,第1項の修習及び試験に関する事項は,最高裁判所がこれを定める。 67条の21項最高裁判所は,司法修習生の修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間,司法修習生に対し,その申請により,無利息で,修習資金(司法修習生がその修習に専念することを確保するための資金をいう。以下この条において同じ。)を貸与するものとする。 2項修習資金の額及び返還の期限は,最高裁判所の定めるところによる。 3項最高裁判所は,修習資金の貸与を受けた者が災害,傷病その他やむを得ない理由により修習資金を返還することが困難となったときは,その返還の期限を猶予することができる。この場合においては,国の債権の管理等に関する法律(昭和31年法律第114号)第26条の規定は,適用しない。 4項最高裁判所は,修習資金の貸与を受けた者が死亡又 返還の期限を猶予することができる。この場合においては,国の債権の管理等に関する法律(昭和31年法律第114号)第26条の規定は,適用しない。 4項最高裁判所は,修習資金の貸与を受けた者が死亡又は精神若しくは身体の障害により修習資金を返還することができなくなったときは,その修習資金の全部又は一部の返還を免除することができる。 5項前各項に定めるもののほか,修習資金の貸与及び返還に関し必要な事項は,最高裁判所がこれを定める。 68条最高裁判所は,司法修習生の行状がその品位を辱めるものと 認めるときその他司法修習生について最高裁判所の定める事由があると認めるときは,その司法修習生を罷免することができる。 附則1項この法律は,平成22年11月1日から施行する。 2項この法律の施行前に採用され,この法律の施行後も引き続き修習をする司法修習生の給与については,なお従前の例による。 3項裁判官の報酬等に関する法律(昭和23年法律第75号)の一部を次のように改正する。 (次のよう略) 3 裁判所法(平成22年法律第64号改正後。平成22年12月3日公布)制定附則4項第67条の2の規定は,平成23年10月31日までの間は,適用しない。この場合において,第67条第2項中「最高裁判所の定めるところにより,その修習に専念しなければならない」とあるのは「国庫から一定額の給与を受ける。ただし,修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間を超える部分については,この限りでない」と,同条第3項中「前項に定めるもののほか,第1項」とあるのは「第1項」とする。 改正附則1項この法律は,公布の日から施行する。 2項この法律による改正後の裁判所法(以下「新裁判所 ,同条第3項中「前項に定めるもののほか,第1項」とあるのは「第1項」とする。 改正附則1項この法律は,公布の日から施行する。 2項この法律による改正後の裁判所法(以下「新裁判所法」という。)附則第4項の規定は,平成22年11月1日からこの法律の施行の日の前日までに採用された司法修習生についても,適用する。 3項新裁判所法附則第4項に規定する日までに採用され,同日後も引き続き修習をする司法修習生の給与については,同日後においても,なお従前の例による。 4項新裁判所法附則第4項後段の規定により読み替えて適用する裁判所法第67条第2項の規定による給与については,裁判所法の一部を改正する法律(平成16年法律第163三号)附則第3項による改正前の裁判官の報酬等に関する法律(昭和23年法律第75号)第14条ただし書に規定する給与の例による。 5項この法律の施行の際,現に裁判所法第67条の2第1項に規定する修習資金の貸与の申請をしている司法修習生については,この法律の施行の日に同項の申請を撤回したものとみなす。 6項附則第2項から前項までに定めるもののほか,この法律の施行に関し必要な事項は,最高裁判所規則で定める。 4 裁判所法(平成24年法律第54号改正後)67条の21項最高裁判所は,司法修習生の修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間,司法修習生に対し,その申請により,無利息で,修習資金(司法修習生がその修習に専念することを確保するための資金をいう。以下この条において同じ。)を貸与するものとする。 2項修習資金の額及び返還の期限は,最高裁判所の定めるところによる。 3項最高裁判所は,修習資金の貸与を受けた者が災害,傷病その他やむを得ない理由によ おいて同じ。)を貸与するものとする。 2項修習資金の額及び返還の期限は,最高裁判所の定めるところによる。 3項最高裁判所は,修習資金の貸与を受けた者が災害,傷病その他やむを得ない理由により修習資金を返還することが困難となったとき,又は修習資金の貸与を受けた者について修習資金を 返還することが経済的に困難である事由として最高裁判所の定める事由があるときは,その返還の期限を猶予することができる。この場合においては,国の債権の管理等に関する法律(昭和31年法律第114号)第26条の規定は,適用しない。 4項最高裁判所は,修習資金の貸与を受けた者が死亡又は精神若しくは身体の障害により修習資金を返還することができなくなったときは,その修習資金の全部又は一部の返還を免除することができる。 5項前各項に定めるもののほか,修習資金の貸与及び返還に関し必要な事項は,最高裁判所がこれを定める。 制定附則1項ないし4項省略5項第67条の2第1項の修習資金の貸与については,法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律(平成14年法律第139号)附則第2条の規定による法曹の養成に関する制度についての検討において,司法修習生に対する適切な経済的支援を行う観点から,法曹の養成における司法修習生の修習の位置付けを踏まえつつ,検討が行われるべきものとする。 5 裁判所法(平成29年法律第23号改正後。同年11月1日施行予定)67条の21項司法修習生には,その修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間,修習給付金を支給する。 2項修習給付金の種類は,基本給付金,住居給付金及び移転給付金とする。 3項基本給付金の額は,司法修習生がその修習期間中の生活を維 裁判所が定める期間,修習給付金を支給する。 2項修習給付金の種類は,基本給付金,住居給付金及び移転給付金とする。 3項基本給付金の額は,司法修習生がその修習期間中の生活を維 持するために必要な費用であって,その修習に専念しなければならないことその他の司法修習生の置かれている状況を勘案して最高裁判所が定める額とする。 4項住居給付金は,司法修習生が自ら居住するため住宅(貸間を含む。以下この項において同じ。)を借り受け,家賃(使用料を含む。以下この項において同じ。)を支払っている場合(配偶者が当該住宅を所有する場合その他の最高裁判所が定める場合を除く。)に支給することとし,その額は,家賃として通常必要な費用の範囲内において最高裁判所が定める額とする。 5項移転給付金は,司法修習生がその修習に伴い住所又は居所を移転することが必要と認められる場合にその移転について支給することとし,その額は,路程に応じて最高裁判所が定める額とする。 6項前各項に定めるもののほか,修習給付金の支給に関し必要な事項は,最高裁判所がこれを定める。 67条の31項最高裁判所は,司法修習生の修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間,司法修習生に対し,その申請により,無利息で,修習専念資金(司法修習生がその修習に専念することを確保するための資金であって,修習給付金の支給を受けてもなお必要なものをいう。以下この条において同じ。)を貸与するものとする。 2項修習専念資金の額及び返還の期限は,最高裁判所の定めるところによる。 3項最高裁判所は,修習専念資金の貸与を受けた者が災害,傷病 その他やむを得ない理由により修習専念資金を返還することが困難となったとき,又は修習専念資金の貸与を受 による。 3項最高裁判所は,修習専念資金の貸与を受けた者が災害,傷病 その他やむを得ない理由により修習専念資金を返還することが困難となったとき,又は修習専念資金の貸与を受けた者について修習専念資金を返還することが経済的に困難である事由として最高裁判所の定める事由があるときは,その返還の期限を猶予することができる。この場合においては,国の債権の管理等に関する法律(昭和31年法律第114号)第26条の規定は,適用しない。 4項最高裁判所は,修習専念資金の貸与を受けた者が死亡又は精神若しくは身体の障害により修習専念資金を返還することができなくなったときは,その修習専念資金の全部又は一部の返還を免除することができる。 5項前各項に定めるもののほか,修習専念資金の貸与及び返還に関し必要な事項は,最高裁判所がこれを定める。 6 司法修習生の給与に関する規則(昭和55年最高裁判所規則第2号。 平成21年最高裁判所規則第10号(司法修習生の修習資金の貸与等に関する規則)附則2条により廃止。ただし,同規則附則3条により,施行前に採用され,施行後も引き続き修習する司法修習生の給与については,なおその効力を有する)1条司法修習生の給与月額は,20万4200円とする。 2条裁判官の報酬等に関する法律(昭和23年法律第75号)第4条から第7条までの規定は,司法修習生の給与について準用する。 3条司法修習生には,第1条に規定する給与のほか,一般職の国家公務員の例に準じて,扶養手当,地域手当,住居手当,通勤手当,期末手当及び勤勉手当を支給する。 4条司法修習生で常勤の国家公務員の職を兼ねるものには,司法修 習生として受けるべき給与は,支給しない。 7 司法修習生の給与に関する暫定措置規則(平 勤勉手当を支給する。 4条司法修習生で常勤の国家公務員の職を兼ねるものには,司法修 習生として受けるべき給与は,支給しない。 7 司法修習生の給与に関する暫定措置規則(平成22年最高裁判所規則第11号〕1条裁判所法の一部を改正する法律(平成22年法律第64号)による改正後の裁判所法(昭和22年法律第59号)(以下この条において「改正後の裁判所法」という。)附則第4項後段の規定により読み替えて適用する改正後の裁判所法第67条第2項の規定により給与の支給を受ける司法修習生(以下単に「司法修習生」という。)の給与(裁判所法の一部を改正する法律(平成16年法律第163号)附則第3項の規定による改正前の裁判官の報酬等に関する法律(昭和23年法律第75号)第14条ただし書の規定によりなお従前の例によることとされる旧裁判官の報酬等の応急的措置に関する法律(昭和22年法律第65号)第8条第1項の規定による給与をいう。次条及び附則第3項において同じ。)の月額は,20万4200円とする。 制定附則1項この規則は,公布の日から施行し,平成22年11月1日から適用する。 2項この規則は,平成23年10月31日限り,その効力を失う。 ただし,同日までに採用され,同日後も引き続き修習をする司法修習生の給与については,同日後においても,なおその効力を有する。 以下省略 8 司法修習生の修習資金の貸与等に関する規則(平成21年最高裁判所規則第10号) 1条1項裁判所法(昭和22年法律第五十九号。以下「法」という。)第67条の2第1項に規定する申請(以下「貸与申請」という。)は,最高裁判所の定める事項を記載した申請書(以下この条及び次条第1項において「貸与申請書」という。)を最高裁判 。以下「法」という。)第67条の2第1項に規定する申請(以下「貸与申請」という。)は,最高裁判所の定める事項を記載した申請書(以下この条及び次条第1項において「貸与申請書」という。)を最高裁判所に提出してしなければならない。 2項貸与申請書には,第4条第1項第1号に掲げる者を保証人に立てる場合にはその者の保証書を,同項第2号に掲げる金融機関を保証人に立てる場合には当該金融機関に保証を委託する旨を記載した書面を添付するほか,最高裁判所の定める書面を添付しなければならない。 3項貸与申請書の提出は,司法修習生の採用の申込みをした者もすることができる。 2条1項修習資金(法第67条の2第1項に規定する修習資金をいう。 以下同じ。)は,貸与申請がされた日(貸与申請書を提出した日が同項に規定する修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間(以下この項及び第7条において「修習期間」という。)の開始の日前であるときは,当該開始の日に貸与申請がされたものとみなす。)の属する貸与単位期間(修習期間をその開始の日又は各月においてその日に応当する修習期間内の日(その日に応当する日がない月においては,その月の末日)から各翌月の修習期間の開始の日に応当する日(その日に応当する日がない月においては,その月の末日)の前日(当該前日が修習期間内にないときは,修習期間の末日)までの各期間に 区分した場合における当該区分による1の期間をいう。以下同じ。)の次の貸与単位期間(貸与申請がされた日が貸与単位期間の初日であるときは,当該貸与単位期間)に係る分からこれを貸与する。 2項修習資金は,次条の規定により各貸与単位期間ごとに定められる額の修習資金を,最高裁判所の定める日までに,最高裁判所の定める方法により交付して 当該貸与単位期間)に係る分からこれを貸与する。 2項修習資金は,次条の規定により各貸与単位期間ごとに定められる額の修習資金を,最高裁判所の定める日までに,最高裁判所の定める方法により交付して貸与するものとする。ただし,貸与申請に係る事実を確認することができない等の事情があるため,修習資金をその日までに交付することができないときは,その日後に交付することができる。 3条1項修習資金の額は,1貸与単位期間につき23万円(以下この条において「基本額」という。)とする。 2項修習資金の貸与を受けようとする者又は修習資金の貸与を受けている司法修習生が,次の各号に掲げる場合において,修習資金の額の変更を申請したときは,修習資金の額を1貸与単位期間につき当該各号に定める額に変更する。 1号基本額未満の額の修習資金の貸与を希望する場合 18万円2号配偶者(届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。),満22歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子又は一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)第11条第2項に規定する扶養親族(同項第1号に掲げる配偶者及び同項第2号に掲げる子を除く。)がある場合 25万5000円 3号自ら居住するため住宅(貸間を含む。)を借り受け,家賃(使用料を含む。)を支払っている場合 25万5000円4号前2号に掲げる場合のいずれにも該当する場合 28万円3項ないし7項省略4条修習資金の貸与を受けようとする者は,次に掲げるいずれかの者を保証人に立てなければならない。 1号自然人2人2号 1の金融機関(最高裁判所の指定するものに限る。)2項前項に規定する保証人は,修習資金の貸与を受けた者と連帯して債務を負担するもの 者を保証人に立てなければならない。 1号自然人2人2号 1の金融機関(最高裁判所の指定するものに限る。)2項前項に規定する保証人は,修習資金の貸与を受けた者と連帯して債務を負担するものとする。 3項民法(明治29年法律第89号)第451条の規定は,修習資金の貸与については適用しない。 5条貸与申請をした者は,最高裁判所の定める撤回書を提出することにより,いつでも将来に向かって貸与申請の撤回をすることができる。 7条修習資金の返還の期限は,修習期間の終了した月の翌月から起算して5年を経過した後10年以内で最高裁判所の定める日とし,その返還は,年賦の均等返還の方法によるものとする。ただし,最高裁判所の定めるところにより繰上返還をすることを妨げない。 12条この規則に定めるもののほか,修習資金の貸与及び返還に関し必要な事項は,最高裁判所が定める。 9 司法修習生の修習給付金の給付に関する規則(平成29年最高裁判所規則第3号。同年11月1日施行予定)1条基本給付金(裁判所法(昭和22年法律第59号。以下「法」という。)第67条の2第2項に規定する基本給付金をいう。以 下同じ。)及び住居給付金(同項に規定する住居給付金をいう。 以下同じ。)は,給付期間(同条第1項に規定する修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間(以下「通常修習期間」という。)をその開始の日(以下「開始日」という。)又は各月において開始日に応当する通常修習期間内の日(開始日に応当する日がない月においては,その月の末日)から各翌月の開始日に応当する日(開始日に応当する日がない月においては,その月の末日)の前日(当該前日が通常修習期間内にないときは,通常修習期間の末日)までの各期間に区分した場合における当該区分に ら各翌月の開始日に応当する日(開始日に応当する日がない月においては,その月の末日)の前日(当該前日が通常修習期間内にないときは,通常修習期間の末日)までの各期間に区分した場合における当該区分による1の期間をいう。以下同じ。)ごとに支給する。 2条1項基本給付金の額は,1の給付期間につき13万5000円とする。ただし,通常修習期間の末日の属する給付期間の基本給付金の額は,当該給付期間にその末日の翌日から次の開始日に応当する日(開始日に応当する日がない月においては,その月の末日。以下同じ。)の前日までの期間を加えた期間の現日数を基礎として,日割りによって計算する。 2項及び3項省略3条基本給付金は,最高裁判所の定める日に,最高裁判所の定める方法により支給する。 4条1項法第67条の2第4項に規定する最高裁判所が定める場合は,司法修習生の配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この項において同じ。),父母又は配偶者の父母が所有し,又は借り受け,居住している 住宅及び最高裁判所がこれらに準ずると認める住宅の全部又は一部を司法修習生が借り受けて当該住宅に居住している場合とする。 2項ないし4項省略10条移転給付金(法第67条の2第2項に規定する移転給付金をいう。以下同じ。)の額は,最高裁判所の定める路程に応じた別表の定額による額とする。 14条この規則に定めるもののほか,修習給付金の支給に関し必要な事項は,最高裁判所が定める。 制定附則1項この規則は,平成29年11月1日から施行する。 2項この規則の規定は,この規則の施行後に採用された司法修習生について適用し,この規則の施行前に採用された司法修習生については,適用しない。 の規則は,平成29年11月1日から施行する。 2項この規則の規定は,この規則の施行後に採用された司法修習生について適用し,この規則の施行前に採用された司法修習生については,適用しない。 10 司法修習生に関する規則(昭和23年最高裁判所規則第15号。平成29年最高裁判所規則第4号による改正前)1条司法研修所長は,修習の全期間を通じて,修習に関しては,司法修習生を統轄する。 2条司法修習生は,最高裁判所の許可を受けなければ,公務員となり,又は他の職業に就き,若しくは財産上の利益を目的とする業務を行うことができない。 3条司法修習生は,修習にあたって知った秘密を漏らしてはならない。 4条司法修習生の修習については,高い識見と円満な常識を養い,法律に関する理論と実務を身につけ,裁判官,検察官又は弁護士 にふさわしい品位と能力を備えるように努めなければならない。 5条1項司法修習生は,修習期間のうち,少なくとも10箇月は実務を修習しなければならない。 2項前項の実務修習の修習期間のうち,少なくとも,4箇月は裁判所で,2箇月は検察庁で,2箇月は弁護士会で修習しなければならない。 3項第1項の実務修習の時期及び場所は,司法研修所長が,これを定める。 6条司法修習生が病気その他の正当な理由によって修習しなかった45日以内の期間は,これを修習した期間とみなす。 7条1項実務修習は,司法研修所長が,地方裁判所,地方検察庁又は弁護士会に委託して,これを行わしめる。 2項司法研修所長は,前項の実務修習を高等裁判所又は高等検察庁に委託して行わしめることができる。 3項司法研修所長は,第一項の規定により弁護士会に実務修習を委託する場合には,日本弁護士連合会にその旨の通知をしなけ 前項の実務修習を高等裁判所又は高等検察庁に委託して行わしめることができる。 3項司法研修所長は,第一項の規定により弁護士会に実務修習を委託する場合には,日本弁護士連合会にその旨の通知をしなければならない。 8条最高裁判所は,実務修習の間,司法修習生に対する監督を高等裁判所長官,地方裁判所長,検事長,検事正又は弁護士会長に委託する。 9条1項実務修習の委託を受けた高等裁判所,地方裁判所,高等検察庁,地方検察庁及び弁護士会は,常に司法研修所と緊密な連絡 を保ち,適当な修習をさせるように留意しなければならない。 2項司法研修所は,高等裁判所,地方裁判所,高等検察庁,地方検察庁及び弁護士会の修習の担当者を召集して,修習に関し協議を行うことができる。 3項第7条第3項の規定は,前項の規定により協議を行う場合に準用する。 10条実務修習の委託を受けた高等裁判所の長官,地方裁判所の所長,高等検察庁の検事長,地方検察庁の検事正及び弁護士会の会長は,実務修習を終えた際,修習事項の大要,成績,行状その他参考となる事項を司法研修所長に報告しなければならない。 11条1項司法研修所は,この規則に定めるものの外,修習に関して必要な事項を定めることができる。 2項高等裁判所,地方裁判所,高等検察庁,地方検察庁及び弁護士会は,この規則に定めるもの又は司法研修所が前項の規定によって定めるものの外,それぞれ各庁又は各会における修習に関して必要な事項を定めることができる。 3項高等裁判所長官,地方裁判所長,検事長,検事正及び弁護士会長は,前項の事項を定めたときは,これを司法研修所長に報告しなければならない。 検事正及び弁護士会長は,前項の事項を定めたときは,これを司法研修所長に報告しなければならない。
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