- 1 -主文 本件訴えのうち次の(1)ないし(3)の部分をいずれも却下する。 (1)処分行政庁が平成17年3月4日付けで東京都に対してした別紙事業目録2及び7記載の各都市計画事業に係る各事業計画変更認可の取消しを求める部分(2)処分行政庁が同日付けで東京都に対してした別紙事業目録4記載の都市計画事業に係る事業計画変更認可の取消しを原告A以外の原告らが求める部分(3)処分行政庁が同日付けで東京都に対してした別紙事業目録6記載の都市計画事業に係る事業計画変更認可の取消しを原告B以外の原告らが求める部分 原告らのその余の訴えに係る請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1請求処分行政庁が平成17年3月4日付けで東京都に対してした別紙事業目録1,2,4,6及び7記載の各都市計画事業に係る事業施行期間をいずれも平成20年3月31日まで延伸するものとする各事業計画変更認可を取り消す。 第2事案の概要本件は,C株式会社α線(以下「α線」という)のβ駅付近からγ駅付近。 までの区間を連続立体交差化する都市計画事業及びその付属街路(関連側道)を設置する都市計画事業につき,処分行政庁が,施行者である東京都に対し,事業施行期間をいずれも3年間延伸するものとする事業計画変更の認可をしたところ,各都市計画事業の事業地周辺に居住する原告らがその違法性を主張して取消しを求める事案である。 被告は,上記各事業計画変更の認可はいずれも適法であると主張するほか,- 2 -付属街路を設置する都市計画事業に係る各事業計画変更の認可取消しの訴えに関しては,原告らの全員又はその一部に原告適格がない部分があるとしてその部分の訴えの却下を求めている。 前提事実(当事者間に争いのない事実,当裁判所に顕著な事 る各事業計画変更の認可取消しの訴えに関しては,原告らの全員又はその一部に原告適格がない部分があるとしてその部分の訴えの却下を求めている。 前提事実(当事者間に争いのない事実,当裁判所に顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1)9号線都市計画決定(乙4,5,7ないし19(枝番のあるものはそのすべてを含む)。)建設大臣は,昭和39年12月16日付けで,都市計画法(大正8年法律第36号。いわゆる旧都市計画法)3条に基づき,世田谷区δ(β駅付近)を起点とし,葛飾区ε(ζ駅付近)を終点とする東京都市計画高速鉄道第9号線(昭和45年の都市計画の変更以降の名称は「東京都市計画都市高速鉄」。)(「」道第9号線であるに係る都市計画を決定した以下9号線都市計画という。 。)東京都は,9号線都市計画について,都市計画法(平成4年法律第82号による改正前のもの)21条2項において準用する同法18条1項に基づく変更を行い,平成5年2月1日付けで告示した(以下,この都市計画の変更を「平成5年決定」という。平成5年決定は,α線のβ駅付近からγ駅。)付近までの区間(以下「本件区間」という)について,η駅付近を掘割式。 とするほかは高架式を採用し,鉄道と交差する道路とを連続的に立体交差化することを内容とするものであり,α線の複々線化と相まって,鉄道の利便性の向上及び混雑の緩和,踏切における渋滞の解消,一体的な街づくりの実現を図ることを目的とするものである。 (2)9号線付属街路都市計画決定(乙24の1~3),「」,世田谷区は既に都市計画決定をしていた東京都市計画道路について都市計画法(平成11年法律第87号による改正前のもの)21条2項において準用する同法19条1項に基づく変更を 3),「」,世田谷区は既に都市計画決定をしていた東京都市計画道路について都市計画法(平成11年法律第87号による改正前のもの)21条2項において準用する同法19条1項に基づく変更を行い,東京都市計画道路・区画- 3 -街路都市高速鉄道第9号線付属街路第3号線から同第12号線までの10本の付属街路に係る都市計画を追加する決定をし(以下「9号線付属街路都市計画」という,平成5年2月1日付けで告示した。追加の理由は「都市。),高速鉄道第9号線の高架化,複々線化に伴う沿線環境の確保及びまちづくり,」。 などに資するため関連側道として区画街路を追加するものとされている9号線付属街路都市計画の内容は,別紙「9号線付属街路都市計画目録」記載のとおりである。 (,,,,,)(3)都市計画事業認可甲10 乙20 25の1~6 ,()建設大臣は都市計画法平成11年法律第160号による改正前のもの59条2項に基づき,平成6年5月19日付けで,東京都に対し,平成5年決定により変更された9号線都市計画を基礎として,本件区間の連続立体交差化を内容とする別紙事業目録1記載の都市計画事業(以下「本件9号線事業」という)の認可をし,平成6年6月3日付けで告示した。 。 また,建設大臣は,9号線付属街路都市計画のうち東京都市計画道路・区画街路都市高速鉄道第9号線付属街路第3号線から同第6号線まで,同第9号線及び同第10号線に係る各都市計画を基礎として,同項に基づき,平成6年5月19日付けで,東京都に対し,上記各付属街路6本の設置を内容とする別紙事業目録2ないし7記載の各都市計画事業(以下,併せて「本件各付属街路事業」といい,個別に特定するときは路線の番号に応じ「本件付属街路第3号線事業」などという)の認 属街路6本の設置を内容とする別紙事業目録2ないし7記載の各都市計画事業(以下,併せて「本件各付属街路事業」といい,個別に特定するときは路線の番号に応じ「本件付属街路第3号線事業」などという)の認可をし,同年6月3日付けで告示し。 た。本件各付属街路事業に係る付属街路は,本件9号線事業によるα線の連続立体交差化に当たり,環境に配慮して沿線の日照への影響を軽減することを主たる目的とし,また,沿線地域内の交通の処理や災害時の緊急車両の通行に供すること,地域の街づくりのために役立てること等をも目的として設置することとされたものである。 (4)事業計画変更認可(乙1,2,22,23,27,28(枝番のあるも- 4 -のはそのすべてを含む)。),()建設大臣は都市計画法平成11年法律第160号による改正前のもの63条2項に基づき,平成12年2月25日付けで,東京都に対し,本件9号線事業及び本件各付属街路事業の事業施行期間をそれぞれ平成17年3月31日まで5年間延伸するものとする事業計画の変更の認可をし,平成12年3月8日付けで告示した(以下,これらを「第1回変更認可」ということがある。 。)国土交通大臣の権限の委任を受けた処分行政庁は,同法63条2項に基づき,平成17年3月4日付けで,東京都に対し,本件9号線事業並びに本件各付属街路第3号線事業,同第5号線事業,同第9号線事業及び同第10号線事業(別紙事業目録2,4,6及び7記載の各事業)の事業施行期間をそれぞれ平成20年3月31日まで3年間延伸するものとする事業計画の変更(,「」の認可をし以下本件9号線事業に係るものを本件9号線事業変更認可といい,本件各付属街路事業に係るものを併せて「本件各付属街路事業変更認可」という。個別に特定するときは路線の番号に応じ「本 」の認可をし以下本件9号線事業に係るものを本件9号線事業変更認可といい,本件各付属街路事業に係るものを併せて「本件各付属街路事業変更認可」という。個別に特定するときは路線の番号に応じ「本件付属街路第3号線事業変更認可」などという,平成17年3月24日付けで告示した。 。)(5)原告らの居住地及び不動産上の権利(甲13)ア原告らはいずれも,本件9号線事業及び本件各付属街路事業の各事業地の周辺にある本判決原告ら肩書住所地に居住する者である。 東京都環境影響評価条例(昭和55年東京都条例第96号。ただし平成10年東京都条例第107号による改正前のもの。以下「本件条例」という)は,鉄道の新設又は改良など同条例別表に掲げる事業でその実施が。 環境に著しい影響を及ぼすおそれのあるものとして東京都規則で定める要件に該当するものを「対象事業」とした上で(2条3号,東京都知事に)おいて「事業者が対象事業を実施しようとする地域及びその周辺地域で,当該対象事業の実施が環境に著しい影響を及ぼすおそれがある地域」とし- 5 -て,当該対象事業に係る関係地域を定めなければならないとしている(2条5号,13条1項。原告らはいずれも,本件9号線事業に係る関係地)域として定められた地域(以下「本件関係地域」という)内に居住して。 いる。 イ原告Aは,本件付属街路第5号線事業の事業地内に不動産上の権利を有しており,また,原告Bは,本件付属街路第9号線事業の事業地内に存する建物の共有持分権を有し,その敷地につき利用権の設定を受けている。 (6)別件訴訟(甲10,13,当裁判所に顕著な事実)原告B,原告D,原告E,原告F及び原告Gは,本件9号線事業の事業地周辺に居住する他の住民らとともに,平成6年,本件9号線事業の認可及び本件各付属街路事業の認 (甲10,13,当裁判所に顕著な事実)原告B,原告D,原告E,原告F及び原告Gは,本件9号線事業の事業地周辺に居住する他の住民らとともに,平成6年,本件9号線事業の認可及び本件各付属街路事業の認可(前記(3))がいずれも違法であるとして,建設大臣の事務承継者である処分行政庁に対し,これらの認可の取消しを求める訴えを東京地方裁判所に提起した。この訴訟(以下「別件訴訟」という。なお,以下においては,別件訴訟の原告となった者のうち上記各原告ら以外の者の氏名の表示は一切省略する)の経過は次のとおりである。 。 ア第一審判決東京地方裁判所は,平成13年10月3日,別件訴訟原告らのうち一部については原告適格を否定し,その訴えをいずれも却下したが,その余の別件訴訟原告らの訴えに基づき,本件9号線事業の認可及び本件各付属街路事業の認可(前記(3))のいずれをも取り消す判決を言い渡した。 イ控訴審判決別件訴訟原告らのうち第一審において敗訴した者及び処分行政庁(別件訴訟被告)は控訴し,東京高等裁判所は,平成15年12月18日言渡しの判決において,上記第一審敗訴原告らの控訴をいずれも棄却し,第一審判決のうち請求を認容した部分を取り消した上,別件訴訟原告らのうち第一審において勝訴した者の請求につき,以下のとおり判断した。 - 6 -(ア)本件9号線事業の認可並びに本件付属街路第3号線事業の認可,同第4号線事業の認可,同第5号線事業の認可及び同第6号線事業の認可の各取消請求に係る訴えをいずれも却下する。 (イ)原告Bほか1名(本件付属街路第9号線事業の事業地内に不動産上の権利を有する者)を除く上記第一審勝訴原告らの本件付属街路第9号線事業の認可の取消請求に係る訴えをいずれも却下する。 (ウ)原告Dほか2名(本件付属街路第10号線事業の事業地内に不動 内に不動産上の権利を有する者)を除く上記第一審勝訴原告らの本件付属街路第9号線事業の認可の取消請求に係る訴えをいずれも却下する。 (ウ)原告Dほか2名(本件付属街路第10号線事業の事業地内に不動産上の権利を有する者)を除く上記第一審勝訴原告らの本件付属街路第10号線事業の認可の取消請求に係る訴えをいずれも却下する。 (エ)原告Bほか1名の本件付属街路第9号線事業の認可取消請求をいずれも棄却する。 (オ)原告Dほか2名の本件付属街路第10号線事業の認可取消請求をいずれも棄却する。 すなわち,控訴審判決は,別件訴訟原告らのうち本件付属街路第9号線事業の事業地内に不動産上の権利を有する者は同事業の認可の,本件付属街路第10号線事業の事業地内に不動産上の権利を有する者は同事業の認可の各取消しを求める原告適格を有するとしたが,その余の訴えに関しては別件訴訟原告らはいずれも原告適格を有しないとし,また,上記原告適格を有する者らの訴えに係る請求はいずれも棄却すべきものとしたのであった。 ウ上告審判決(大法廷判決)(ア)別件訴訟原告らは最高裁判所に上告し,同裁判所大法廷は,平成17年12月7日,裁判所法10条,最高裁判所裁判事務処理規則9条3項により,上告受理申立て理由のうち原告適格に係る所論に関する部分について以下のとおりの判決を言い渡した(民集59巻10号2645頁。以下「別件大法廷判決」という。 。)- 7 -a原告B,原告D,原告E,原告F,原告Gほか32名(別件訴訟原告らのうち本件関係地域内に居住する者)は,本件9号線事業の認可の取消しを求める原告適格を有する。 b上記上告のうち次の各訴えに関する部分を棄却する。 ①原告E,原告F,原告Gほか30名の本件各付属街路事業の認可の取消しの訴え②原告Bほか1名(本件付属街 の取消しを求める原告適格を有する。 b上記上告のうち次の各訴えに関する部分を棄却する。 ①原告E,原告F,原告Gほか30名の本件各付属街路事業の認可の取消しの訴え②原告Bほか1名(本件付属街路第9号線事業の事業地内に不動産上の権利を有する者)の本件付属街路第3号線事業,同第4号線事業,同第5号線事業,同第6号線事業及び同第10号線事業の認可の取消しの訴え③原告Dほか1名(本件付属街路第10号線事業の事業地内に不動産上の権利を有する者)の本件付属街路第3号線事業,同第4号線事業,同第5号線事業,同第6号線事業及び同第9号線事業の認可の取消しの訴え④その余の別件訴訟原告らの訴えすなわち,別件大法廷判決は,別件訴訟原告らのうち本件関係地域内に居住する者は本件9号線事業の認可の,本件付属街路第9号線事業の事業地内に不動産上の権利を有する者は同事業の認可の,本件付属街路第10号線事業の事業地内に不動産上の権利を有する者は同事業の認可の各取消しを求める原告適格を有するとしたが,その余の訴えに関しては別件訴訟原告らはいずれも原告適格を有しないとしたのであった。 (イ)別件大法廷判決の理由(法廷意見)の概要は次のとおりである。 a本件関係地域内に居住している者は,その住所地と本件9号線事業の事業地との距離関係などに加えて,本件条例2条5号の規定する関係地域が,対象事業を実施しようとする地域及びその周辺地域で当該対象事業の実施が環境に著しい影響を及ぼすおそれがある地域として- 8 -東京都知事が定めるものであることを考慮すれば,本件9号線事業が実施されることにより騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者に当たると認められるから,本件9号線事業の認可の取消しを求める原告適格を有する。 これに対 業が実施されることにより騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者に当たると認められるから,本件9号線事業の認可の取消しを求める原告適格を有する。 これに対し,本件関係地域外に居住し,本件9号線事業が実施されることにより騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれがあるとはいえない者は,本件9号線事業の認可の取消しを求める原告適格を有しない。 b本件各付属街路事業に係る付属街路は,本件9号線事業による沿線の日照への影響を軽減することのほか,沿線地域内の交通の処理や災害時の緊急車両の通行に供すること,地域の街づくりのために役立てること等をも目的として設置されるものであるというのであり,本件各付属街路事業は,本件9号線事業と密接な関連を有するものの,これとは別個のそれぞれ独立した都市計画事業であることは明らかであるから,本件各付属街路事業の認可の取消しを求める原告適格についても,個々の事業の認可ごとにその有無を検討すべきである。 別件訴訟原告らは,原告Bほか1名及び原告Dほか1名がそれぞれ本件付属街路第9号線事業及び同第10号線事業の各事業地内の不動産につき権利を有する旨をいうほかには,本件各付属街路事業に係る個々の事業の認可によって,自己のどのような権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれがあるかについて,具体的な主張をしていない。そして,本件各付属街路事業に係る付属街路が,α線の連続立体交差化に当たり,環境に配慮して日照への影響を軽減することを主たる目的として設置されるものであることに加え,これらの付属街路の規模等に照らせば,本件各付属街路事業の事業地内の不動産につき権利を有しない者について,本件各付- 9 -属街路事業が実施さ とを主たる目的として設置されるものであることに加え,これらの付属街路の規模等に照らせば,本件各付属街路事業の事業地内の不動産につき権利を有しない者について,本件各付- 9 -属街路事業が実施されることにより健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれがあると認めることはできない。したがって,原告Bほか1名が本件付属街路第9号線事業の認可の,原告Dほか1名が同第10号線事業の認可の各取消しを求める原告適格を有するほかに,別件訴訟原告らは本件各付属街路事業の認可の取消しを求める原告適格を有しない。 エ上告審判決(小法廷判決)最高裁判所第一小法廷は,平成18年11月2日,最高裁判所裁判事務処理規則9条4項により,別件大法廷判決により上告棄却とされた部分を除き,その余の上告受理申立て理由について上告を棄却する判決を言い渡した(民集60巻9号3249頁。以下「別件小法廷判決」という。 。)その結論の概要は次のとおりである。 (ア)本件9号線事業の認可に違法は認められない。なお,原判決は,本件9号線事業の認可の取消しの訴えを却下すべきものとしているが,本件各付属街路事業の認可の取消請求に関して平成5年決定の適否を判断しており,その中で,この決定を行ったことに裁量権の範囲の逸脱又は濫用はなく,平成5年決定を前提とする本件9号線事業の認可が適法で,。 ,あると判断しておりこの判断は是認することができる以上によれば原告適格を有する別件訴訟原告らによる本件9号線事業の認可取消請求は棄却すべきこととなるが,その結論は原判決よりも同原告らに不利益となり,民訴法313条,304条により許されないので,原判決の結論を維持して上告を棄却するにとどめるほかはない。 (イ)本件各付属街路事業の認可に違法はないとした原審の判断は,是認するこ 不利益となり,民訴法313条,304条により許されないので,原判決の結論を維持して上告を棄却するにとどめるほかはない。 (イ)本件各付属街路事業の認可に違法はないとした原審の判断は,是認することができる。 争点 本件の主要な争点及びこれに関する当事者の主張の概要は次のとおりであ- 10 -る。 (1)本件訴えのうち本件各付属街路事業変更認可の取消しを求める部分についての原告適格(原告らの主張)ア本件9号線事業の認可と本件各付属街路事業の認可とは,形式はともあれ,実体的には一体の行政処分というべきである。したがって,本件9号線事業により健康又は生活環境に係る著しい被害を受けるおそれのある者は,いずれも本件各付属街路事業の認可についてもその取消しを求め,本件9号線事業及び本件各付属街路事業によって構成される連続立体交差化事業の計画全体の見直しを迫り,健康又は生活環境に係る著しい被害を受けないという都市計画法で保護された利益の回復を求める利益を有する。 本件各付属街路事業変更認可は,本件9号線事業の事業施行期間の延伸に伴い同事業に付属する街路事業の事業施行期間を同様に延伸することを内容とする認可であるところ,原告らは,本件関係地域内に居住し,本件9号線事業の事業施行期間が延伸されることにより騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者に当たるから,同様の理由により,本件各付属街路事業変更認可の取消しを求める原告適格を有する。よって,原告らはいずれも本件各付属街路事業変更認可の取消しを求める原告適格を有する。 イ本件9号線事業から離れて考えても,本件各付属街路事業による各付属街路は,自動車も走行する道路であるから,周辺住民への被害は,騒音や振動に限られるものではなく,本件条例10条が環境影 を有する。 イ本件9号線事業から離れて考えても,本件各付属街路事業による各付属街路は,自動車も走行する道路であるから,周辺住民への被害は,騒音や振動に限られるものではなく,本件条例10条が環境影響予測評価を行う項目として規定する「大気汚染,水質汚濁,土壌汚染,騒音,振動,地盤沈下,悪臭,日照阻害,電波障害その他の公害,植物,動物その他の自然環境,史跡,文化財その他の歴史的環境,景観」等広範な影響が想定される。したがって,本件各付属街路事業自体によりこうした被害が予想され- 11 -る本件関係地域内に居住している原告らには,本件各付属街路事業の認可につき独自にその取消しを求める原告適格が認められる。 そして,本件各付属街路事業変更認可は,本件各付属街路事業の事業施行期間を延伸することを内容とするものであるところ,原告らは,上記のとおりこれにより健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者に当たるから,本件各付属街路事業変更認可につき独自に取消しを求める原告適格が認められる。 ウ原告B及び原告Dは,それぞれ,本件付属街路第9号線事業及び同第10号線事業の事業地内に不動産上の権利を有する者であるから,被告の主張を前提にしても,それぞれ,本件付属街路第9号線事業変更認可及び同第10号線事業変更認可の取消しを求める原告適格を有する。 (被告の主張)ア別件大法廷判決は,本件各付属街路事業の認可については,各付属街路事業の事業地内の不動産につき権利を有する者はその取消しを求める原告適格を有するが,その事業地の周辺に居住するというのみではその取消しを求める原告適格を有しないと判断している。 したがって,本件各付属街路事業変更認可の取消しを求める原告適格についても,各事業の事業地内の不動産につき権利を有する者か否かを問題にす みではその取消しを求める原告適格を有しないと判断している。 したがって,本件各付属街路事業変更認可の取消しを求める原告適格についても,各事業の事業地内の不動産につき権利を有する者か否かを問題にすれば足りる。 イ原告らはいずれも本件付属街路第3号線事業及び同第10号線事業の各事業地内の不動産に権利を有する者ではない。原告Dは,かつては本件付属街路第10号線事業の事業地内の不動産に権利を有していたが,現在は有していない。したがって,原告らはいずれも,本件付属街路第3号線事業変更認可及び同第10号線事業変更認可の取消しを求める原告適格を有しない。 また,原告A以外の原告らは本件付属街路第5号線事業の事業地内の不- 12 -動産に権利を有する者でなく,原告B以外の原告らは同第9号線事業の事業地内の不動産に権利を有する者でないから,それぞれの事業変更認可の取消しを求める原告適格を有しない。 (2)本件9号線事業変更認可及び本件各付属街路事業変更認可の適法性(被告の主張)本件9号線事業変更認可及び本件各付属街路事業変更認可は,以下に述べるとおり,都市計画法63条,61条の要件を満たし,適法である。 なお,争点(1)において主張したとおり,本件付属街路第3号線事業変更認可及び同第10号線事業変更認可に関しては,原告らはいずれもその取消しを求める原告適格を有しないから,その変更認可の適法性については検討を要しないが,予備的に適法性の主張も行う。 ア申請手続が法令に違反しないこと(同法61条)東京都は,平成17年2月9日,処分行政庁に対し,同法63条に基づき本件9号線事業変更認可及び本件各付属街路事業変更認可の申請をし,その申請手続に法令違反は認められない。 イ事業の内容が都市計画に適合していること(同法61条1号)(ア)延伸認可における 基づき本件9号線事業変更認可及び本件各付属街路事業変更認可の申請をし,その申請手続に法令違反は認められない。 イ事業の内容が都市計画に適合していること(同法61条1号)(ア)延伸認可における適合性の審査の内容本件9号線事業変更認可及び本件各付属街路事業変更認可において唯一変更されたのは事業施行期間である。 事業計画の変更の認可の効力は,当該変更に係る部分のみに及ぶのであり,変更されない部分は変更認可の対象範囲に含まれず,従前の事業認可の効力が維持されていると解すべきである。すなわち,同法63条1項ただし書は,設計の概要について国土交通省令で定める軽易な変更をしようとするときは,国土交通大臣の認可を要しないとしており,この規定は,事業計画の変更がされた場合には,その効力が変更された部分のみに及ぶことを前提に,軽易な変更は従前の事業認可の効力を維持- 13 -する部分がほとんどであることから,手続を省略し得ることとしたものであるから,事業計画の変更認可の効力が当該変更に係る部分のみに及ぶことを当然の前提としているものと解される。 事業施行期間の適切性が事業認可の要件とされている意義は,事業施行期間が,事業の完了を見込め,かつ,事業の実現に当たって不必要に長いものでないことを事業地の面積や設計の概要,資金計画等を踏まえて確認することにあるのであるから,事業施行期間の変更のみを内容とする事業計画の変更認可(延伸認可)においては,既に従前の事業認可において審査判断がされている都市計画への適合性について,改めて審査を行う必要も合理的理由もなく,事業施行期間以外の事業内容及び前提となる都市計画に従前どおり変更がないことを確認するのみで必要十分である。 このことは,事業認可及び事業計画変更認可の処分としての性質と同法61条1号の要件との関 事業施行期間以外の事業内容及び前提となる都市計画に従前どおり変更がないことを確認するのみで必要十分である。 このことは,事業認可及び事業計画変更認可の処分としての性質と同法61条1号の要件との関係からも裏付けられる。すなわち,同法60条,61条の規定によれば,事業認可に当たっては,申請書に記載された「事業地」及び「設計の概要」から申請に係る「事業の内容が都市計画に適合し」ているか否かを判断し,申請書に記載された「事業施行期間」から申請に係る「事業施行期間が適切である」か否かを判断する趣旨と解することができるのであって,前者は,特定の都市計画事業について収用権等の設権的効果を生じさせるべきか否かを判断するための要件であり,後者は,この判断を前提として,生じさせる効果の終期を定めるための要件である。この両者は可分な二段階の構造を成しているから,延伸認可申請は,従前の認可のうち終期を定めた部分の判断のみを取り上げてその見直しを求める趣旨といえる。したがって,延伸認可について判断すべき「事業の内容が都市計画に適合していること」とは,原則として,都市計画に変更がないことをいうのであって,申請書に記- 14 -載された変更後の「事業施行期間」から変更申請に係る「事業施行期間が適切である」か否かを判断すれば足りるというべきである。 以上のとおり,延伸認可においては,前提となる従前の都市計画に変更がない限り,当初認可におけるような都市計画と事業計画とを照合しての適合性の要件による審査を改めてする必要はないというべきである。 (イ)本件9号線事業変更認可について本件9号線事業変更認可については,本件9号線事業の9号線都市計画との適合性は,既に平成6年の当初の認可の際に審査され適合する旨の判断がされている。そして,9号線都市計画に変更がなく,本 可について本件9号線事業変更認可については,本件9号線事業の9号線都市計画との適合性は,既に平成6年の当初の認可の際に審査され適合する旨の判断がされている。そして,9号線都市計画に変更がなく,本件9号線事業についても事業施行期間以外の事業地や設計の概要に変更はないから,本件9号線事業変更認可における都市計画適合性の判断は適法である。 (ウ)本件各付属街路事業変更認可について本件各付属街路事業変更認可についても,本件各付属街路事業の9号線付属街路都市計画への適合性は,既に平成6年の当初の認可の際に審査され適合する旨の判断がされている。そして,9号線付属街路都市計画に変更がなく,本件各付属街路事業についても事業施行期間以外の事業地や設計の概要に変更はないから,本件各付属街路事業変更認可における都市計画適合性の判断は適法である。 ウ事業施行期間が適切であること(ア)事業施行期間の適切性の要件の意義と司法審査の在り方同法63条2項が準用する同法61条1号が「事業施行期間が適切であること」を事業計画の変更認可の要件としている趣旨は,事業施行期間が,事業認可によって事業者に付与された事業施行権(収用権等)の存続期間であることから,当該期間内に事業完了を見込めるか否かを確- 15 -認するとともに,他面において,事業施行期間中は,同法69条以下に規定する土地等の収用等,同法65条に規定する建築等の制限,同法67条に規定する先買い権など一定の法律効果が生じることとなるため,事業地内の不動産に権利を有する者の法的地位を長期間不安定にすることのないよう事業施行期間が事業の実現に当たって不必要に長いものでないかを事業地の面積や設計の概要,資金計画等を踏まえて確認することにある。したがって,事業施行期間は,事業の完了を見込める期間でなければ いよう事業施行期間が事業の実現に当たって不必要に長いものでないかを事業地の面積や設計の概要,資金計画等を踏まえて確認することにある。したがって,事業施行期間は,事業の完了を見込める期間でなければならない反面,不必要に長いものであってはならず,施行期間として相当なものであることを要する。もっとも,事業の完了の見通しは将来の予測に係る事項であるため,事業施行をめぐる諸事情の変化により,当初の事業認可時の事業施行期間で事業が完了しない場合も当然あり得る。同法63条は,このような場合の措置として,都道府県が事業計画の変更の認可を国土交通大臣に求め,事業施行期間を延長できることを規定している。したがって,事業施行期間で事業完了見込みを確認するといっても,将来,必要に応じ,同条に基づく変更により弾力的な取扱いをすべきことが当然予定されている。 事業施行期間の適切性の要件に適合するか否かは,①同法61条1号が「適切」という抽象的な文言で規定しているにすぎないこと,②事業施行期間の適切性は,当該事業の規模,事業地の面積,設計の概要,事業地の取得ないし利用の難易など様々な事項を考慮し,これらを総合して事業の完了見込みという将来予測をするものであり,政策的,技術的な裁量を必要とする事項であること,③前述のとおり,都市計画法は,厳密な事業完了見込みの確認までは要求しておらず,事業施行期間の適切性を相当幅のある概念としてとらえていると解されることからみて,具体的にどの程度の期間が事業施行期間として適切であるかは,国土交通大臣あるいはその権限の委任を受けた地方整備局長等の広範な裁量権- 16 -の行使にゆだねられているというべきである。 したがって,申請に係る事業施行期間が適切であるとした処分行政庁の判断は,その広範な裁量権の範囲を逸脱し,あるいはこれを 局長等の広範な裁量権- 16 -の行使にゆだねられているというべきである。 したがって,申請に係る事業施行期間が適切であるとした処分行政庁の判断は,その広範な裁量権の範囲を逸脱し,あるいはこれを濫用したと認められる場合に限って違法となる。 (イ)本件9号線事業変更認可及び本件各付属街路事業変更認可における事業施行期間の適切性本件9号線事業変更認可の申請は,α線のθ駅及びι駅の駅舎の一部につき駅ホームの工事が未了となっていたため,また,本件各付属街路事業変更認可の各申請は,それぞれ一部につき道路工事が未了となっていたため,いずれも都市計画事業として当該工事を完成させるための事業期間を確保することを目的として行われたものである。 各申請時の用地取得状況は,いずれも高い取得率となっていた上,東京都の説明によれば,いずれの事業についても,任意買収ないし土地収用手続により2年3か月ないし2年9か月程度で用地取得等を行い,5か月ないし6か月程度で設計を,3か月ないし9か月程度で整備工事を完了させるとのことであった。 そこで,処分行政庁は,上記各事業ごとに,①申請前の用地取得状況や今後の用地取得計画に照らして,用地取得が可能であるか,②申請前の施工状況に照らして,残工事の完了が可能であるかを勘案し,各事業がそれぞれ申請された事業施行期間(3年の延伸)内に完了することが合理的に見込まれたことから,当該事業施行期間が適切であると判断したものである。したがって,事業施行期間が適切であるとの処分行政庁の判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用はない。 (原告らの主張)ア平成6年5月に行われた本件9号線事業の認可及び本件各付属街路事業の認可は,次の理由により,事業施行期間を6年間とした点において,都- 17 -市計画法61条1号の「事業施行期間が適切であ )ア平成6年5月に行われた本件9号線事業の認可及び本件各付属街路事業の認可は,次の理由により,事業施行期間を6年間とした点において,都- 17 -市計画法61条1号の「事業施行期間が適切であること」の要件を欠いており,違法であった。 すなわち,東京都と建設大臣は,地元住民によるα線の地下化要求に対,,。 し高架方式の方が安価に期間も早く完成すると繰り返し弁明していたそこで高架式での事業施行が早く安く完成するという虚構を作出するため,,に6年という到底完了不能な短い事業施行期間を定めて事業認可を行い地下化要求を抑え込もうとしたのである。このように住民を欺くために事業施行期間を設定することは論外であり,違法の極みといわなければならない。 平成12年2月に行われた第1回変更認可は,これを何ら吟味することなく5年間期間を延長したものであり違法であるが,これに加えて,更に3年延長する(累計14年間)本件9号線事業変更認可及び本件各付属街路事業変更認可は,無法極まるもので,到底許されることではない。 イ本件9号線事業変更認可及び本件各付属街路事業変更認可は,それ自体をとっても,同法61条1号の要件を欠き違法である。 (ア)都市計画との不適合本件9号線事業変更認可及び本件各付属街路事業変更認可において事業施行期間を3年間延伸することとされた理由は,国土交通省の見解によれば,主として駅舎整備の一部及び関連側道整備の一部が未了だからである。 しかし,関連側道(付属街路)については,9号線付属街路都市計画で定められた10本の関連側道でさえ,その後事業認可されたのはそのうちの6本(本件各付属街路事業に係る6本の付属街路)で,延長距離にすると都市計画された距離全体からみてわずか38.3パーセントにすぎず,特に鉄道の南側は全部が事業認可の対 後事業認可されたのはそのうちの6本(本件各付属街路事業に係る6本の付属街路)で,延長距離にすると都市計画された距離全体からみてわずか38.3パーセントにすぎず,特に鉄道の南側は全部が事業認可の対象から除外されてしまったことなど,9号線都市計画及び9号線付属街路都市計画そのものに適- 18 -合していない。事業認可の対象とされなかった関連側道をどうするか,事業そのものの抜本的な見直しも必要となる。したがって,本件区間におけるα線の連続立体交差化事業は完了しておらず,完了するまでの期間も全く予測できないのであるから,本件9号線事業変更認可及び本件各付属街路事業変更認可においては,事業施行期間を「適切」に定めることは不可能であり,変更認可をすること自体同法61条1号に違反する。 (イ)事業施行期間の不適切性平成12年2月に行われた第1回変更認可は,平成17年3月31日まで5年間の事業施行期間の延伸を認めたものであるが,それは「そ,の時点の状況に応じて必要な期間のみ」であったはずであり,それ以前の地元住民の反応や抵抗を既に十二分に知り尽くした上でのものであったから,この延伸期間を徒過するのも「予想に反し」ていたとか「やむを得ない」などという弁明は通用するわけがないのであって,もはや事業施行期間の再延長を認めるべき「合理的」な理由は一切ない。 また,過去5年間における事業の進捗状況に照らせば,今後さらに3年間施行期間を延長しても,その期間内に事業が完了するという保証は全くない。任意に不動産の買収に応じない意向を示している地元住民が存在しており,住民が同意しない限り,3年間延長しても完了しないことは明白で,強制収用という強権発動は論外である。3年という再延伸期間の設定が適切であるとの判断は到底なし得ない。 第3争点に対する判断 り,住民が同意しない限り,3年間延長しても完了しないことは明白で,強制収用という強権発動は論外である。3年という再延伸期間の設定が適切であるとの判断は到底なし得ない。 第3争点に対する判断 争点(1)(本件各付属街路事業変更認可の取消しを求める原告適格)について(1)都市計画事業の事業計画変更の認可取消しの訴えの原告適格ア都市計画事業の事業計画変更の認可について,同変更認可の相手方以外- 19 -の者が訴えをもってその取消しを求める場合に,どの範囲の者がその取消しを求める原告適格を有するといえるのか,すなわち,その取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者の範囲はどこまでであるのかが,ここで検討すべき問題である。 都市計画事業の事業計画変更の認可については,都市計画事業の認可に関する規定である都市計画法60条,61条及び62条が準用されているから(同法63条2項,同変更認可の取消しを求める原告適格を有する)者の範囲は,都市計画事業の認可の取消しを求める原告適格を有する者の範囲と一致するものと解される。 そこで,都市計画事業の認可の取消しを求める原告適格についてまず検討する。 イ都市計画事業の認可又は承認が告示されると(同法62条1項,①事)業地内において当該事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更,建築物の建築,その他工作物の建設を行うこと等が制限され(同法65条1項,②事業地内の土地建物等を有償譲渡しようとする際には,優)先的にこれらを買い取ることができる権利が施行者に与えられ(同法67条,③認可又は承認をもって土地収用法20条の規定による事業の認定)に代え,同告示をもって同法26条1項の規定による事業認定の告示とみなした上,都市計画事業を同法の事業に該当するものとみなして同法の手続により土地の収 って土地収用法20条の規定による事業の認定)に代え,同告示をもって同法26条1項の規定による事業認定の告示とみなした上,都市計画事業を同法の事業に該当するものとみなして同法の手続により土地の収用,使用をすることができるものとされている(都市計画法69条以下。これらの規定によれば,事業地内の不動産につき権利)を有する者は,都市計画事業の認可の取消しを求める原告適格を有するものと解される(最高裁平成11年11月25日第一小法廷判決・裁判集民事195号387頁参照。 )次に,都市計画事業の認可は,都市計画に事業の内容が適合することを基準としてされるものであるところ,都市計画に関する都市計画法の規定- 20 -(,,,,,,1条2条13条1項柱書き同項11号16条1項17条1項2項)に加えて,環境基本法等の規定の趣旨及び目的をも参酌し(都市計画法13条1項柱書きは,都市計画は,当該都市について公害防止計画が定められているときは,当該公害防止計画に適合しなければならないと定めているところ,公害防止計画の根拠となる法律は環境基本法である。また,東京都においては本件条例が制定されている,併せて,都市計画。)法66条が,認可の告示があったときは,施行者が,事業の概要について事業地及びその付近地の住民に説明し,意見を聴取する等の措置を講ずることにより,事業の施行についてこれらの者の協力が得られるように努めなければならないと規定していることも考慮すれば,都市計画事業の認可に関する同法の規定は,事業に伴う騒音,振動等によって,事業地の周辺地域に居住する住民に健康又は生活環境の被害が発生することを防止し,もって健康で文化的な都市生活を確保し,良好な生活環境を保全することも,その趣旨及び目的とするものと解される。そして, 事業地の周辺地域に居住する住民に健康又は生活環境の被害が発生することを防止し,もって健康で文化的な都市生活を確保し,良好な生活環境を保全することも,その趣旨及び目的とするものと解される。そして,事業地の周辺地域に居住する住民は,違法な事業に起因する騒音,振動等によって健康又は生活環境に係る著しい被害を受けないという具体的利益を有すると解されるところ,これらの利益の内容及び性質等を考慮すれば,同法は,都市の健全な発展と秩序ある整備を図るなどの公益的見地から都市計画施設の整備に関する事業を規制するとともに,騒音,振動等によって健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある個々の住民に対して,そのような被害を受けないという利益を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解される。したがって,都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち当該事業が実施されることにより騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は,当該事業の認可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消訴訟における原告適格を有するものといわ- 21 -なければならない(別件大法廷判決参照。 )ウ上記イの見解によれば,都市計画事業の認可について,同認可の相手方以外の者のうちその取消しを求める原告適格を有する者の範囲は次のとおりである。 ①都市計画事業の事業地内の不動産につき権利を有する者②都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち当該事業が実施されることにより騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者そして,前記アにおいて述べたとおり,これらの者は,また,都市計画事業の事業計画変更の認可の取消しを求める原告適格を有する者でもある。 又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者そして,前記アにおいて述べたとおり,これらの者は,また,都市計画事業の事業計画変更の認可の取消しを求める原告適格を有する者でもある。 (2)本件各付属街路事業変更認可の取消しを求める原告適格上記(1)の見地に立って,本件各付属街路事業変更認可の取消しを求める原告適格を原告らが有するか否かについて判断する。 ア原告らの中には,本件各付属街路事業の事業地内の不動産につき権利を有する者がいるので,第1にこの点から検討する。 前記前提事実(5)のとおり,原告Aは,本件付属街路第5号線事業の事業地内に,原告Bは,同第9号線事業の事業地内に,それぞれ不動産上の権利を有する者である。したがって,原告Aは本件付属街路第5号線事業変更認可の,原告Bは同第9号線事業変更認可の,各取消しを求める原告適格を有する。 原告Dは,本件付属街路第10号線事業の事業地内に不動産上の権利を,(),有すると主張するが 証拠 乙33の1~3及び弁論の全趣旨によれば同原告は,本件訴え提起当時は同事業地内に土地を所有していたものの,平成17年12月5日までにこれを東京都に売り渡し,所有権移転登記手続も済ませて所有権を喪失していることが認められ,ほかに,本件口頭弁- 22 -論終結時において同原告が同事業地内に不動産上の権利を有することを認めるに足りる証拠はない。したがって,同原告は,同事業地内の不動産につき権利を有する者として同事業変更認可の取消しを求める原告適格を有しない。 以上によれば,都市計画事業の事業地内の不動産につき権利を有するとの観点から原告適格が肯定される者は,本件付属街路第5号線事業変更認可の取消しにつき原告A,同第9号線事業変更認可の取消しにつき原告Bであり,ほかにはいない。 イ 地内の不動産につき権利を有するとの観点から原告適格が肯定される者は,本件付属街路第5号線事業変更認可の取消しにつき原告A,同第9号線事業変更認可の取消しにつき原告Bであり,ほかにはいない。 イ第2に,本件各付属街路事業の実施により,原告らの中に,健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者がいるかどうかが問題になる。 原告らは,この点に関し,本件9号線事業と本件各付属街路事業は一体であるから,本件9号線事業変更認可の取消しを求める原告適格を有する者は本件各付属街路事業変更認可の取消しを求める原告適格を有すると主張する。 しかし,本件各付属街路事業に係る付属街路は,本件9号線事業による沿線の日照への影響を軽減することのほか,沿線地域内の交通の処理や災害時の緊急車両の通行に供すること,地域の街づくりのために役立てること等をも目的として設置されるものであり,本件各付属街路事業は,本件9号線事業と密接な関連を有するものの,これとは別個のそれぞれ独立した都市計画事業であることは明らかであるから,本件各付属街路事業変更認可の取消しを求める原告適格についても,個々の事業の変更認可ごとにその有無を検討すべきである(別件大法廷判決参照。 )そこで,個々の事業の変更認可ごとに検討する。原告らは,本件各付属街路事業に係る付属街路は,自動車も走行する道路であるから「大気汚,染,水質汚濁,土壌汚染,騒音,振動,地盤沈下,悪臭,日照阻害,電波- 23 -障害その他の公害,植物,動物その他の自然環境,史跡,文化財その他の歴史的環境,景観」等(本件条例10条参照)広範な影響が想定され,したがって,本件各付属街路事業自体によりこうした被害が予想される本件関係地域内に居住している原告らには,本件各付属街路事業変更認可につき独自にその取消しを 件条例10条参照)広範な影響が想定され,したがって,本件各付属街路事業自体によりこうした被害が予想される本件関係地域内に居住している原告らには,本件各付属街路事業変更認可につき独自にその取消しを求める原告適格が認められると主張する。 前記前提事実(3)及び(4)によれば,本件各付属街路事業変更認可に係る付属街路の延長及び幅員は,次のとおりである。 本件付属街路第3号線事業に係る付属街路延長620m幅員6m~12m本件付属街路第5号線事業に係る付属街路延長650m幅員6.0m~9.0m本件付属街路第9号線事業に係る付属街路延長210m幅員7.5m~8.0m本件付属街路第10号線事業に係る付属街路延長190m幅員7.5m~9.5mこのように,延長が最も長いものでも650mであり,最も短いものは190mにすぎない。幅員も,6mから12mまでの間である。このよう,,に各付属街路の規模が比較的小さなものであることに加え前記のとおりこれらの付属街路が,α線の連続立体交差化に当たり,環境に配慮して日照への影響を軽減することを主たる目的として設置されるものであることに照らせば,本件各付属街路事業が実施されることにより,本件関係地域内に居住する原告らが,その健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的- 24 -に受けるおそれがある者であると直ちに認めることはできない。そして,ほかにこのおそれがある者と認めるに足りる証拠はない。 したがって,原告らのいずれについても,健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者という観点から,本件各付属街路事業変更認可の取消しを求める原告適格を認めることはできない。 ウ既に確定した別件大法廷判決・同小法廷判決は,別件訴訟における原告適格に関する最終的な裁判所の判断であ という観点から,本件各付属街路事業変更認可の取消しを求める原告適格を認めることはできない。 ウ既に確定した別件大法廷判決・同小法廷判決は,別件訴訟における原告適格に関する最終的な裁判所の判断であり,かつ,前記(1)アで述べたとおり,本件各付属街路事業の認可の取消しを求める原告適格の範囲と本件各付属街路事業変更認可の取消しを求める原告適格の範囲は一致するものと解されるから,別件大法廷判決の判断は,本件各付属街路事業変更認可の取消しを求める原告適格を判断するに当たっても尊重されるべきものである。そして,前記ア及び上記イの判断は,別件大法廷判決にそったものである。 エ以上をまとめると,本件各付属街路事業変更認可の取消しを求める原告適格については,次のとおりとなる。 (ア)本件付属街路第3号線事業変更認可及び同第10号線事業変更認可,,。 についてはいずれの原告もその取消しを求める原告適格を有しない(イ)本件付属街路第5号線事業変更認可については,原告Aはその取消しを求める原告適格を有するが,その余の原告らはその取消しを求める原告適格を有しない。 (ウ)本件付属街路第9号線事業変更認可については,原告Bはその取消しを求める原告適格を有するが,その余の原告らはその取消しを求める原告適格を有しない。 したがって,本件訴えのうち以下の部分は,その余の点について判断するまでもなく,原告適格を欠く者の訴えとして不適法であるから,却下を免れない。 - 25 -①処分行政庁が平成17年3月4日付けで東京都に対してした別紙事業目録2及び7記載の各都市計画事業(本件付属街路第3号線事業及び同第10号線事業)に係る各事業計画変更認可の取消しを求める部分②処分行政庁が同日付けで東京都に対してした別紙事業目録4記載の都市計画事業(本件付属街路第 市計画事業(本件付属街路第3号線事業及び同第10号線事業)に係る各事業計画変更認可の取消しを求める部分②処分行政庁が同日付けで東京都に対してした別紙事業目録4記載の都市計画事業(本件付属街路第5号線事業)に係る事業計画変更認可の取消しを原告A以外の原告らが求める部分③処分行政庁が同日付けで東京都に対してした別紙事業目録6記載の都市計画事業(本件付属街路第9号線事業)に係る事業計画変更認可の取消しを原告B以外の原告らが求める部分 争点(2)(本件9号線事業変更認可及び本件各付属街路事業変更認可の適法性)について上記1において判断したとおり,本件訴えのうち,本件付属街路第3号線事業変更認可及び同第10号線事業変更認可の取消しを求める部分については,,。 不適法として却下すべきであるからその適法性について判断する必要はないしたがって,ここでは,本件9号線事業変更認可,本件付属街路第5号線事業変更認可及び同第9号線事業変更認可の適法性についてのみ判断する。 (1)都市計画事業の事業計画変更の認可の適法性ア都市計画事業の事業計画変更の認可は,都市計画法61条の定めるところによって行われる(同法63条1項,2項。本件9号線事業及び本件)各付属街路事業の施行に関して,施行者である東京都が行政機関の免許等を必要とすることはないから,本件においては,専ら,同法61条1号の要件を検討すれば足りる。したがって,同変更認可が適法といえるためには,①申請手続が法令に違反しないこと②事業の内容が都市計画に適合していること③事業施行期間が適切であること- 26 -の三つの要件が満たされなければならない。 このうち上記②及び同③の要件については次のように解する。都市計画の決定又は変更については,その政策的,技術的な性格からして,これを であること- 26 -の三つの要件が満たされなければならない。 このうち上記②及び同③の要件については次のように解する。都市計画の決定又は変更については,その政策的,技術的な性格からして,これを決定又は変更する行政庁の広範な裁量にゆだねられている(別件小法廷判決参照。都市計画事業の認可又は承認(事業計画変更の認可又は承認を)含む)についても,政策的,技術的な見地からの判断が求められること。 に変わりがないことに加え,同法61条1号が「適合「適切」といっ」,た規範的評価を含んだ文言を使用していることからすると,認可又は承認をする行政庁の広範な裁量にゆだねられていると解すべきである。したがって,裁判所が都市計画事業の事業計画変更認可の内容の適否を審査するに当たっては,当該認可が裁量権の行使としてされたことを前提として,その基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる場合,又は,事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと,判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限り,裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものとして違法となるとすべきである。 イ以上の見地に立って,以下,前記①から同③までの要件について検討することとするが,被告は,事業施行期間の変更のみを内容とする事業計画の変更認可(延伸認可)においては,前記①及び同③の要件のみを審査すれば足り,前記②の要件を改めて審査する必要はないとの趣旨の主張をするので,ここでこの被告の主張の当否について判断しておくこととする。 都市計画事業の事業計画の変更とは,事業地,設計の概要又は事業施行(,,)。 期間の変更のことをいう同法63条1項60条1項3号同条2項 被告の主張の当否について判断しておくこととする。 都市計画事業の事業計画の変更とは,事業地,設計の概要又は事業施行(,,)。 期間の変更のことをいう同法63条1項60条1項3号同条2項被告は,事業の内容が都市計画に適合しているとの前記②の要件は,認可申請書に記載された事業地及び設計の概要から判断するものであり,事- 27 -業施行期間が適切であるとの前記③の要件は,同申請書に記載された事業施行期間から判断するものであって,この2つの判断は可分であると主張する。そして,事業計画変更認可の申請のうち,延伸認可の申請は,従前の事業計画において定めた事項のうち事業施行期間のみを変更し,従前の認可のうち終期を定めた部分の判断(すなわち,事業施行期間が適切であるとした判断)のみを取り上げてその見直しを求める趣旨の申請であるから,従前の認可のうち当該特定の事業計画について収用権の付与その他の設権的効果を発生させるものとした部分の判断(すなわち,事業地及び設計の概要を基にして事業の内容が都市計画に適合するとした判断)の見直,,,しを求める趣旨を含むものではなくしたがって延伸認可に当たっては後者の部分の判断の見直しは行わないものであると主張する。 確かに,延伸認可の申請は,被告の主張するとおり,従前の認可のうち終期を定めた部分の判断(すなわち,事業施行期間が適切であるとした判断)の見直しのみを求める趣旨で行われるものと解されるが,そうであるからといって,同法上,認可を行う行政庁がそのような申請者の意図に拘束されなければならないとする理由を見いだすことはできない。同法は,都市の健全な発展と秩序ある整備を図り(同法1条,健康で文化的な都)市生活及び機能的な都市活動を確保する(同法2条)などの見地から,都市計画施設の整備に関する事業等 いだすことはできない。同法は,都市の健全な発展と秩序ある整備を図り(同法1条,健康で文化的な都)市生活及び機能的な都市活動を確保する(同法2条)などの見地から,都市計画施設の整備に関する事業等の認可又は承認(同法59条)を規制することとしているのであって,都市計画事業の事業計画変更認可の要件を当初の認可の要件と全く同じものとしているのも(同法63条2項,61条,認可を行う行政庁が,当初の認可の段階にとどまらず,変更認可の)段階においても,既に当初の認可があることは踏まえつつも,上記のような見地から適切な判断を行うことを求めているからにほかならないと解される。そうである以上,延伸認可の申請の場合であっても,前記①から同③までの要件のいずれについても,認可を行う行政庁は審査をする必要が- 28 -あるといわなければならず,これに反する被告の主張は採用することができない。 (2)申請手続に法令違反がないことまず,前記①の要件について判断する。 (,,,,) 証拠 乙1の1の11の2の11の3の11の4の11の5の1及び弁論の全趣旨によれば,本件9号線事業変更認可及び本件各付属街路事,,,,業変更認可の各申請の際施行者である東京都は申請書に施行者の名称都市計画事業の種類,事業計画など都市計画法60条1項各号が規定する必要事項を記載し,同条2項各号に規定する事項を事業計画に定め,同条3項が規定する書類を添付した上でこれを提出していることが認められ,その手続に法令違反はない。よって,前記①の要件は満たされている。 (3)事業の内容が都市計画に適合していること次に,前記②の要件について判断する。 ア本件9号線事業変更認可について別件訴訟においては,本件9号線事業の認可の取消しが請求され,この請求につい (3)事業の内容が都市計画に適合していること次に,前記②の要件について判断する。 ア本件9号線事業変更認可について別件訴訟においては,本件9号線事業の認可の取消しが請求され,この請求については訴えを却下する控訴審判決が確定した。結局,同認可が取り消されることはなかったのであるから,出訴期間(行政事件訴訟法14条)が経過した現時点においては,同認可にはいわゆる不可争力が生じており,何人もこれが違法であることを主張してその取消しを訴求すること。 ,,,はできないまた主文における判断ではないものの別件小法廷判決は本件訴えの原告らの過半数及び主に活動している訴訟代理人を共通とし,被告側も共通である別件訴訟において,その当事者間で真剣に争われた同,,認可の適法性について判断を示しこれに違法はないとしたのであるからこの判断は本件訴訟においても十分尊重されるべきである。そうすると,同認可は適法であったと判断するほかなく,当然のことながら,無効であるとはおよそいえない。したがって,裁量権の範囲の逸脱又は濫用の有無- 29 -について検討するまでもなく,同認可の際,本件9号線事業はその基となる9号線都市計画に適合しているとした建設大臣の判断は,適法であったということができる。 また,平成12年2月に行われた第1回変更認可についても,既に出訴期間は経過しているから,不可争力が生じている。 そして,その後本件9号線事業変更認可が行われるまでの間に,同事業の9号線都市計画への適合性にかかわる事実関係に変化が生じたことを認めるに足りる証拠はないから,以上を前提とすれば,本件9号線事業変更認可の際に,同事業が9号線都市計画に適合していることを前提とした処分行政庁の判断にも,裁量権の範囲の逸脱又は濫用はなかったものということができる。 いから,以上を前提とすれば,本件9号線事業変更認可の際に,同事業が9号線都市計画に適合していることを前提とした処分行政庁の判断にも,裁量権の範囲の逸脱又は濫用はなかったものということができる。 なお,前記(1)において述べたとおり,被告は,本件9号線事業変更認可の際には事業の内容の都市計画への適合性を改めて審査する必要はないと主張するものであるが,これは審査の在り方についての法律上の主張であり,被告においても,本件9号線事業変更認可に際して上記の適合性があることを当然の前提として主張していると解される。 イ本件付属街路第5号線事業変更認可及び同第9号線事業変更認可について別件訴訟においては,本件付属街路第5号線事業の認可及び同第9号線事業の認可の取消しも請求され,本件付属街路第5号線事業の認可の取消請求については,訴えを却下する控訴審判決が確定し,同第9号線事業の認可の取消請求については,原告Bほか1名の請求を棄却し,その余の請求に係る訴えを却下する控訴審判決が確定した。この結果,上記各認可にも不可争力が生じており,現時点においては何人もこれが違法であることを主張してその取消しを訴求することはできないし,特に原告Bについていえば,本件付属街路第9号線事業の認可は適法であって同原告はその取- 30 -消しを請求することができないとした同判決の判断に既判力が生じている。そうすると,上記いずれの認可もやはり適法であったと判断するほかなく,当然のことながら,無効であるとはおよそいえない。したがって,裁量権の範囲の逸脱又は濫用の有無について検討するまでもなく,上記各認可の際,各事業はその基となる9号線付属街路都市計画及び9号線都市計画に適合していることを前提とした建設大臣の判断は,適法であったということができる。 また,平成12年2月 するまでもなく,上記各認可の際,各事業はその基となる9号線付属街路都市計画及び9号線都市計画に適合していることを前提とした建設大臣の判断は,適法であったということができる。 また,平成12年2月に行われた第1回変更認可についても,既に出訴期間は経過しているから,不可争力が生じている。 そして,その後本件付属街路第5号線事業変更認可及び同第9号線事業変更認可が行われるまでの間に,各事業の9号線付属街路都市計画及び9号線都市計画への適合性にかかわる事実関係に変化が生じたことを認めるに足りる証拠はないから,以上を前提とすれば,本件付属街路第5号線事業変更認可及び同第9号線事業変更認可の際に,各事業が上記各都市計画に適合しているとした処分行政庁の判断にも,裁量権の逸脱又は濫用はなかったものということができる。 なお,ここでも,被告は,本件付属街路第5号線事業変更認可及び同第9号線事業変更認可に際して,上記の適合性があることを当然の前提とする主張をしていると解される。 (4)事業施行期間が適切であること最後に,前記③の要件について判断する。 ア申請から認可までの事実関係(ア)本件9号線事業変更認可証拠(乙29,30,32,34の1~12,37)及び弁論の全趣旨によれば,本件9号線事業変更認可の申請から認可までの事実関係は次のとおりであったと認められる。 - 31 -東京都は,本件9号線事業のうちθ駅及びι駅の駅舎の一部につき駅ホームの工事が未了となっていたため,都市計画事業として当該工事を完成させるための事業期間を確保することを目的として,同事業の事業施行期間を平成20年3月31日まで3年間延伸することを内容とする事業計画変更認可の申請をした。 ,,申請前の用地取得状況は全体計画面積8787平方メートルに対し約8745平方メート 事業の事業施行期間を平成20年3月31日まで3年間延伸することを内容とする事業計画変更認可の申請をした。 ,,申請前の用地取得状況は全体計画面積8787平方メートルに対し約8745平方メートルを取得済みであり,取得済み面積は全体のうち約99.5パーセントであった。残された約42平方メートルの土地に関しては,東京都は,処分行政庁に対し,任意買収ないし土地収用手続により2年3か月程度で用地を取得し,6か月程度で設計を,9か月程度で整備工事を完了させると説明した。 処分行政庁は,これらの事情を踏まえ,上記申請における事業施行期間の終期である平成20年3月31日までに本件9号線事業が完了する,。 ことが見込まれると判断しこの事業施行期間を適切なものと判断した(イ)本件付属街路第5号線事業変更認可証拠(乙29,30,32,35の1~7,37)及び弁論の全趣旨によれば,本件付属街路第5号線事業変更認可の申請から認可までの事実関係は次のとおりであったと認められる。 東京都は,本件付属街路第5号線事業の一部につき道路工事が未了となっていたため,都市計画事業として当該工事を完成させるための事業施行期間を確保することを目的として,同事業の事業施行期間を平成20年3月31日まで3年間延伸することを内容とする事業計画変更認可の申請をした。 ,,申請前の用地取得状況は全体計画面積2371平方メートルに対し約2152平方メートルを取得済みであり,取得済み面積は全体のうち約90.8パーセントであった。残された約219平方メートルの土地- 32 -に関しては,東京都は,処分行政庁に対し,任意買収ないし土地収用手続により2年3か月程度で用地を取得し,5か月程度で設計を,6か月程度で工事を完成させると説明した。 処分行政庁は,これらの事情を踏まえ,上記 は,東京都は,処分行政庁に対し,任意買収ないし土地収用手続により2年3か月程度で用地を取得し,5か月程度で設計を,6か月程度で工事を完成させると説明した。 処分行政庁は,これらの事情を踏まえ,上記申請における事業施行期間の終期である平成20年3月31日までに本件付属街路第5号線事業が完了することが合理的に見込まれると判断し,この事業施行期間を適切なものと判断した。 (ウ)本件付属街路第9号線事業変更認可証拠(乙29,30,32,36の1~7,37)及び弁論の全趣旨によれば,本件付属街路第9号線事業変更認可の申請から認可までの事実関係は次のとおりであったと認められる。 東京都は,本件付属街路第9号線事業の一部につき道路工事が未了となっていたため,都市計画事業として当該工事を完成させるための事業施行期間を確保することを目的として,同事業の事業施行期間を平成20年3月31日まで3年間延伸することを内容とする事業計画変更認可の申請をした。 ,,申請前の用地取得状況は全体計画面積1094平方メートルに対し約1081平方メートルを取得済みであり,取得済み面積は全体のうち約98.8パーセントであった。残された約13平方メートルの土地に関しては,東京都は,処分行政庁に対し,任意買収ないし土地収用手続により2年9か月程度で用地を取得し,5か月程度で設計を,3か月程度で工事を完了させると説明した。 処分行政庁は,これらの事情を踏まえ,上記申請における事業施行期間の終期である平成20年3月31日までに本件付属街路第9号線事業が完了することが合理的に見込まれると判断し,この事業施行期間を適切なものと判断した。 - 33 -イ 判断 上記アの事実関係によれば,本件9号線事業変更認可,本件付属街路第5号線事業変更認可及び同第9号線事業変更認可のいずれに ると判断し,この事業施行期間を適切なものと判断した。 - 33 -イ 判断 上記アの事実関係によれば,本件9号線事業変更認可,本件付属街路第5号線事業変更認可及び同第9号線事業変更認可のいずれにおいても,各変更認可の申請時において,各事業の工事は進展しており,用地の取得状況も,全体計画面積に対して90.8パーセントから99.5パーセントという高い数字であった。そして,施行者である東京都の説明によれば,3年以内に未取得の用地を取得した上で工事を完了させることができる見込みがあるというのであり,この説明が根拠を欠くものであったことを認めるに足りる証拠はない。これを前提とすると,各申請に係る事業施行期間は,それぞれ当該事業の完了を合理的に見込める期間であったということができるから,処分行政庁がこれを適切であると判断したことにも合理性があり,その判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があったということはできない。 (5)まとめ以上の検討によれば,本件9号線事業変更認可,本件付属街路第5号線事業変更認可及び同第9号線事業変更認可のいずれについても,都市計画法63条2項,61条1号の定める要件がすべて満たされていたということができるから,各変更認可はいずれも適法である。 結論 争点(1)及び同(2)に対する判断を踏まえれば,本件の結論は次のとおりとなる。 本件付属街路第3号事業変更認可及び同第10号線事業変更認可の取消しの訴えは,原告のいずれにも原告適格がないので,不適法であり,却下する。 本件付属街路第5号線事業変更認可については,原告A以外の原告らによる取消しの訴えは,原告適格がなく不適法であって,却下を免れず,原告Aによる取消しの訴えは,理由がないので,その請求を棄却する。 - 34 -本件付属街路第9号線事業変更認可については,原告B による取消しの訴えは,原告適格がなく不適法であって,却下を免れず,原告Aによる取消しの訴えは,理由がないので,その請求を棄却する。 - 34 -本件付属街路第9号線事業変更認可については,原告B以外の原告らによる取消しの訴えは,原告適格がなく不適法であって,却下を免れず,原告Bによる取消しの訴えは,理由がないので,その請求を棄却する。 本件9号線事業変更認可の取消しの訴えは,理由がないので,その請求を棄却する。 よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部裁判長裁判官大門匡裁判官倉地康弘裁判官小島清二
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